JP4652040B2 - 流体吐出ノズルおよびこれを用いた基板処理装置 - Google Patents

流体吐出ノズルおよびこれを用いた基板処理装置 Download PDF

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Description

本発明は、流体吐出ノズルおよびこれを用いた基板処理装置に関し、より詳しくは、半導体ウェハ、液晶基板、ディスク基板およびフォトマスクなどの基板の表面に流体を吐出する流体吐出ノズルおよびこれを用いた基板処理装置に関する。
半導体装置の製造工程では、半導体ウェハの表面に種々の汚染物が付着する。
例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法またはスパッタ法によって、半導体ウェハの上に絶縁膜または金属膜を形成する工程では、半導体ウェハの表面にパーティクル状の汚染物が付着する。また、ドライエッチングによって、半導体ウェハの上に形成された膜にパターンを形成する工程では、半導体ウェハの表面に、レジスト残渣などのエッチングによる残渣や金属汚染物が付着する。
こうした汚染物を除去する方法として、従来より、2流体吐出ノズルを用いた液滴噴射による洗浄が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この方法によれば、気体と液体を混合させて形成した液滴を気中で噴射した後、これを被洗浄物の表面に衝突させることによって洗浄が行われる。
図19は、従来の2流体吐出ノズル101の断面図である。気体流入口102と液体流入口103からそれぞれ気体と液体を流入すると、混合部104において気体と液体が混合された後、直線状に伸びた導出路105で、液滴が気体の流れによって加速されるとともに液滴の粒径が小さくなる。そして、噴射口106から被洗浄物に向かって液滴が噴射される。
図20は、図19の2流体吐出ノズル101を備えた従来の洗浄装置の断面図である。
図20の洗浄装置は、半導体ウェハ107を保持するステージ108と、ステージ108を回転させるモータ109と、洗浄時の液滴の飛散を防止する洗浄カップ110とを備える。ここで、洗浄カップ110には、下方から排気口111が接続されている。また、2流体吐出ノズル101の液体流入口103と気体流入口102には、それぞれ液体供給手段112と気体供給手段113が配管によって接続されている。
次に、従来の洗浄装置の動作について説明する。まず、半導体ウェハ107をステージ108の上に固定した後、モータ109によってステージ108を所定の回転数で回転させる。この状態で、気体供給手段113と液体供給手段112から気体と液体を2流体吐出ノズル101に供給すると、2流体吐出ノズル101から液滴が半導体ウェハ107に向かって噴射される。この際、ロボット(図示せず)を用いて、2流体吐出ノズル101を図の横方向に移動することにより、半導体ウェハ107の全面に液滴を噴射させることができる。
半導体ウェハ107の表面に付着した汚染物は、液滴が汚染物に衝突することによって除去される。ここで、洗浄力は液滴が衝突する角度によって変化し、垂直に衝突する場合に洗浄力は最も高くなる。このため、2流体吐出ノズル101は、半導体ウェハ107に対して垂直に配置される。除去された汚染物並びに噴射された液滴および気体は、その大部分が半導体ウェハ107の外周方向へ流れた後に排気口111から外部へと排出される。
2流体吐出ノズルから噴射された液滴の大きさ(粒径)は、数μm〜数100μmの範囲に分布している。このため、従来より、100μm以上の大きな液滴が衝突すると、半導体ウェハ上に形成された微細なパターンの一部が欠けたり、消失したりするという問題があった。
微細パターンへのダメージは、半導体ウェハの表面に液滴が衝突する際の衝突速度と液滴の粒径とに依存し、衝突速度または粒径がある閾値を超えると、微細パターンにダメージが生じる。図21は、液滴の衝突速度および粒径と、微細パターンへのダメージとの関係を示したものである。この図からも分かるように、ダメージを抑制するには、液滴の衝突速度と粒径の分布を制御することが必要になる。
液滴の噴射速度は、2流体吐出ノズルの噴射口の断面積と気体の流量によって制御可能である。また、導出路の長さを5mm以上にすると、液滴の速度分布を一定とすることができるようになる。したがって、従来の2流体吐出ノズルであっても、液滴の衝突速度をある閾値以下に制御することは可能である。
特許第3315611号公報
しかしながら、従来の2流体吐出ノズルでは、気体の流量を少なくして噴射速度を低下させると、液滴の粒径が大きくなるとともにその分布も広がることが確認されている。上述したように、大きな液滴は微細パターンにダメージを生じやすいことから、このことは、従来の2流体吐出ノズルにおける大きな問題となっていた。
また、液滴が半導体ウェハに対して垂直に衝突すると、洗浄力が高くなるものの、微細パターンへのダメージも生じやすい。一方、汚染物の除去性能(洗浄性能)は、液滴の速度が速くて液滴の粒径が小さくなるほど向上する。ここで、液滴が衝突する際に生じる圧力、すなわち汚染物を除去する力は、液滴の大きさには依存しない。しかし、液滴が大きいと液滴個数が減少するので、結果として洗浄効率が低下するようになる。微細パターンへのダメージを抑えるために液滴の噴射速度を低下させると、液滴の粒径が大きくなって洗浄性能が低下してしまう。
さらに、従来の洗浄装置では、洗浄カップの排気口は下方に備えられており、2流体吐出ノズルから半導体ウェハの表面に対して垂直に噴射された液滴、気体および除去された汚染物の大部分は、この排気口より排出される。しかし、その一部は、半導体ウェハの上方へ飛散し、ある確率で半導体ウェハ表面に付着してしまうという問題もあった。
このように、従来の2流体吐出ノズルおよびこれを用いた従来の洗浄装置には、微細パターンにダメージを生じやすく且つ洗浄性能が低いという問題があった。また、被洗浄物に汚染物を再付着させるという問題もあった。本発明はこうした問題点に鑑みてなされたものである。
すなわち、本発明の目的は、ダメージを抑制しつつ基板に流体を供給することのできる流体吐出ノズルを提供することにある。
また、本発明の目的は、上記の流体吐出ノズルを用いて基板への汚染物の再付着を抑制することのできる基板処理装置を提供することにある。
本発明の他の目的および利点は、以下の記載から明らかとなるであろう。
本発明の流体吐出ノズルは、第1の流体流入口と第2の流体流入口とを有し、第1の流体流入口から流入した第1の流体および第2の流体流入口から流入した第2の流体を混合する混合部と、一端に混合部が接続し、混合部から供給された第1の流体および第2の流体を噴射する噴射口が他端に設けられた流体導出路と、噴射口から流体導出路の長手方向に延設された湾曲部とを備え、湾曲部が、流体導出路の中心軸から離れる方向に徐々に湾曲した形状を有することを特徴とするものである。
また、本発明の基板処理装置は、基板を載置する基板載置台と、この基板載置台を回転させる基板載置台回転手段と、基板載置台が配置され、底面に設けられた第1の排気口と側面に設けられた第2の排気口とを備えた基板処理容器と、基板の上に流体を吐出する本発明にかかる流体吐出ノズルとを有し、流体吐出ノズルが、流体導出路の中心軸を延長した線が基板処理容器の側面と交わるところに第2の排気口が位置するよう設置されることを特徴とするものである。
この発明は以上説明したように、湾曲部を設けることによって、液滴の大きさが大きくなるほど液滴速度および衝突角度を低下させることができるようになる。したがって、微小な液滴のみを基板に衝突させることが可能となるので、基板にダメージを与えることなしに流体を供給することができる。
また、本発明によれば、流体導出路の中心軸を延長した線が基板処理容器の側面と交わるところに第2の排気口が位置するように流体吐出ノズルを設置するので、流体吐出ノズルから噴射された気体の一部と大きな液滴を、第2の排気口から効率よく排気することができる。したがって、基板への汚染物の再付着を抑制することが可能となる。
実施の形態1.
図1(a)〜(c)に、本実施の形態における流体吐出ノズルとしての2流体吐出ノズルを示す。図1(a)は2流体吐出ノズルの斜視図、図1(b)は平面図、図1(c)は断面図である。また、図2は、図1(a)〜(c)の2流体吐出ノズルの動作を説明するための図である。
2流体吐出ノズル1では、第1の流体流入口としての気体流入口2と、第2の流体流入口としての液体流入口3から、それぞれ第1の流体としての気体と、第2の流体としての液体を流入すると、まず、混合部4でこれらが混合される。そして、流体導出路としての導出路5において、液滴は、気体の流れによって加速されるとともに粒径が小さくなる。その後、液滴は、導出路5の端部に設けられた噴射口6から半導体ウェハ7に向かって噴射される。
図1(a)に示すように、導出路5の長手方向の断面は矩形状を呈している。そして、本実施の形態では、2流体吐出ノズル1が、導出路5の半導体ウェハ7と対向する面11に接続した湾曲部8を有することを特徴としている。
湾曲部8は、噴射口6から導出路5の長手方向に延設されており、導出路5の中心軸12から離れる方向に(すなわち、半導体ウェハ7に向かって)徐々に湾曲した形状を有する。これにより、導出路5から噴射された気体は、コアンダ効果によってこの湾曲に沿った流れを生じる。
洗浄力は、半導体ウェハ7に対して液滴が垂直に衝突するときに最も高くなることから、図2に示すように、湾曲部の先端8aでの曲面が半導体ウェハ7に対して略垂直になるようにして、2流体吐出ノズル1を設置することが好ましい。
湾曲部の先端8aから半導体ウェハ7の表面までの距離Tは、2mm〜30mmの範囲内であることが好ましい。T<2mmでは、湾曲部の先端8aから半導体ウェハ7までの距離が近くなるために、先端8aの近傍で気体の流れが妨げられて液滴の分級効果が低下する。一方、T>30mmでは、液滴の速度が減衰して衝突速度が遅くなるため洗浄力が低下する。
また、図2において、導出路5の中心軸12と半導体ウェハ7の表面とがなす角度(θ)は0度〜80度の範囲内にあることが好ましく、15度〜60度の範囲内にあることがより好ましい。θ<0度の場合には、噴射された気体と液滴の一部が上方へ飛散した後、ある確率で半導体ウェハの表面に付着するという問題を生じる。一方、θ>80度の場合は、湾曲部が短くなるために液滴の分級が十分に行われなくなる。このため、半導体ウェハの表面に大きな液滴が衝突することによって、微細パターンへ与えるダメージが大きくなる。
次に、図3を用いて、本実施の形態によって液滴が分級される様子を説明する。
噴射口6から噴射された微小な液滴9aは、湾曲部8に沿った気体の流れとともに曲げられて、半導体ウェハ7の表面に略垂直(図のP方向)に衝突する。しかし、大きな液滴9bは、質量が大きく慣性力が強いために、噴射口6から直進した後、空気抵抗によって徐々に速度を落として、半導体ウェハ7の表面に対し斜め(図のP´方向)に衝突する。すなわち、本実施の形態の2流体吐出ノズルによれば、大きな液滴は、衝突速度が遅い状態で且つ衝突面に対して斜め方向に衝突するので、半導体ウェハに衝突する際の衝撃力を弱くして微細パターンにダメージを与え難くすることができる。
このように、湾曲部を設けることによって、液滴の大きさが大きくなるほど、液滴速度および衝突角度を低下させることができるようになる。一般に、液滴の大きさは数μmから数100μmの幅で分布しているが、大きな液滴の衝突により微細パターンにかかる衝撃力を湾曲部を設けることによって低下させることが可能となる。
尚、本実施の形態における2流体吐出ノズルは、図1〜図3の例に限られるものではなく、図4(a)〜(c)の形状であってもよい。
図1〜図3の例では、湾曲部8が噴射口6から離れるにしたがい徐々に湾曲している。図4(b)および(c)もこの点で共通しているが、これらは、導出路5の壁面11において、噴射口6から長手方向に延設された延出部13を有する点で図1〜図3と異なっている。ここで、図4(b)の例では、延出部13は導出路5の中心軸12に平行である。一方、図4(c)の例では、延出部13は湾曲部8と同じ方向に湾曲している。尚、延出部13を設けることによって、壁面11とは反対の延出部13端部が実質的な噴射口となる。
これに対して、図4(a)の例では、図1〜図3のように、湾曲部が噴射口から離れるにしたがい徐々に湾曲する形状は有していない。図4(a)では、湾曲部8は、噴射口6に接続し導出路5の中心軸12に平行な第1の部分801と、第1の部分801に接続し、導出路5の中心軸12から離れる方向に徐々に湾曲した第2の部分802を有する。
湾曲部8の曲率半径は、10mm〜200mmの範囲内であることが好ましく、20mm〜100mmの範囲内であることがより好ましい。曲率半径が10mmより短くなると、湾曲部8に沿って流れる気体の量が少なくなる。このため、液滴が分級され難くなる結果、大きな液滴が大きな速度および衝突角度で半導体ウェハ7に衝突するようになって、微細パターンへのダメージが大きくなる。一方、曲率半径が200mmより長い場合は、噴射口6から半導体ウェハ7の表面までの距離が遠くなるため、半導体ウェハ7に衝突する液滴の速度が低下して洗浄力の低下を招く。
また、導出路5の長さは、5mm〜100mmの範囲内であることが好ましい。導出路5の長さが5mmより短い場合は液滴の加速が不十分であり、液滴の噴射速度が遅くなることによって洗浄性能が低下する。一方、導出路5の長さが100mmより長い場合は、途中で液滴同士が凝集して大きな液滴になる割合が多くなる結果、液滴個数が減少して洗浄効率が低下する。
また、本実施の形態においては、導出路5の長手方向の断面がすべて矩形状である例について示したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、導出路5の途中の形状を円形状などの他の形状とすることができる。また、導出路5の長手方向から見たときの噴射口6の形状も矩形状に限られるものではない。
本実施の形態においては、湾曲部8と接続する部分の噴射口6の形状が、導出路5の長手方向から見て直線状であることが好ましい。したがって、噴射口6の形状は、矩形状以外に、例えば、湾曲部8が接続する面に一辺を接する三角形状または半円形状などとすることもできる。
また、図1において、湾曲部8が接続する噴射口6の直線部分の長さLは、これに垂直な高さ方向の長さLより長い方が好ましい。このような形状とすることによって、液滴の分級効率を向上できるとともに、微小な水滴をより多く半導体ウェハに衝突させて洗浄効果を高めることが可能となる。
次に、図5(a)および(b)を用いて、本実施の形態における基板処理装置としての洗浄装置について説明する。図5(a)は洗浄装置の断面図、図5(b)は平面図である。尚、本実施の形態における基板処理装置には、本実施の形態における2流体吐出ノズルが適用される。
本実施の形態における洗浄装置は、半導体ウェハ18を載置する基板載置台(ステージ)19と、基板載置台19を回転させる基板載置台回転手段(モータ)20と、洗浄時の液滴の飛散を防止する基板処理容器(洗浄カップ)15とを備える。ここで、基板処理容器15には、下方から排気口16が接続されている。また、2流体吐出ノズル1の液体流入口(図示せず)と気体流入口(図示せず)には、それぞれ液体供給手段21と気体供給手段22が配管によって接続されている。
基板処理容器15は、底面に設けられた第1の排気口16に加えて、側面に設けられた第2の排気口17を有する。そして、2流体吐出ノズル1は、導出路5の中心軸を延長した線12が基板処理容器15の側面と交わるところに第2の排気口17が位置するように設置する。このようにすることによって、2流体吐出ノズル1から噴射された気体の一部と大きな液滴は、第2の排気口17から効率よく排気される。尚、図1(a)では第1の排気口を2個所に設けているが、これに限られるものではなく、第1の排気口の個数は洗浄装置に応じて適宜変更可能である。
第1の排気口16だけを設けた場合には、斜め横方向に噴射された気体や液滴が基板処理容器15から排出され難く、一部が半導体ウェハ18の上方へ飛散した後、ある確率で半導体ウェハ18の表面に付着するという問題を生じる。これに対して、第2の排気口17を設けることによって、半導体ウェハ18の上方へ飛散した気体や液滴も効率よく排出できるようになる。
次に、図5(a)および(b)を用いて、本実施の形態における洗浄装置の動作について説明する。
まず、半導体ウェハ18を基板載置台19の上に固定した後、基板載置台回転手段20を用いて、基板載置台19を所定の回転数で図5(a)の矢印の方向に回転させる。この状態で、液体供給手段21と気体供給手段22によって2流体吐出ノズル1に液体と気体を供給すると、2流体吐出ノズル1から液滴(図示せず)が半導体ウェハ18に向かって噴射される。この際、ロボット(図示せず)を用いて、2流体吐出ノズル1を図5(b)の矢印の方向に移動することにより、半導体ウェハ18の全面に渡って液滴を噴射させることができる。尚、気体としては窒素ガスまたは乾燥空気などが使用され、液体としては純水や各種薬液などが使用される。
半導体ウェハ18の表面に付着した汚染物(図示せず)は、液滴が汚染物に衝突することによって除去される。そして、除去された汚染物並びに噴射された液滴および気体は、第1の排気口16および第2の排気口17から効率よく外部へ排出される。
図6〜図14に、本実施の形態における2流体吐出ノズルの変形例を示す。尚、これらの図において、図1〜図3と同じ符号を付した部分は同じものであることを示している。
図6は、噴射口27に、導出路25の長手方向の断面積を変化させる絞り部26を備えた2流体吐出ノズルの断面図である。絞り部26を設けることによって、噴射口27の面積Aが導出路5の長手方向の断面積Bより小さくなるようにしている。この場合、断面積Bを1とすると、面積Aの比率は0.1〜0.9の範囲内であることが好ましく、0.4〜0.8の範囲内であることがより好ましい。面積Aが0.1未満では、気体の流れが妨げられることによって液滴の微粒化が低下する。一方、面積Aが0.9より大きい場合には、液滴の微粒化の効果が少なくなる。
一般に、導出路の内部では、一部の液滴同士がある割合で凝集することによって、大きな液滴が形成される。噴射口の断面積を小さくすることにより、この部分での気体の流速を速くすることができるので、液滴を再微粒化してより微細な液滴を噴射することが可能となる。したがって、微細パターンへのダメージを一層抑制できるとともに、高い洗浄性能を得ることができる。
図7は、導出路28の途中に、導出路28の長手方向の断面積を変化させる絞り部29を備えた2流体吐出ノズルの断面図である。絞り部29を設けることによって、液滴の再微粒化を促進するとともに液滴を加速できるので、より高速で微小な液滴を噴射して高い洗浄性能を得ることができる。
図8は、噴射口30付近(図8の領域A)での導出路31の長手方向の断面積が、噴射口31に向かって徐々に小さくなるようにした2流体吐出ノズルの断面図である。このような形状とすることによって、液滴の再微粒化を促進するとともに液滴を加速できるので、より高速で微小な液滴を噴射して高い洗浄性能を得ることができる。
図9は、導出路32の長手方向の断面積が噴射口33に向かって徐々に小さくなる2流体吐出ノズルの断面図である。図8と異なる点は、導出路32の全体に渡って長手方向の断面積が変化する点にある。このような形状であっても、液滴の再微粒化を促進するとともに液滴を加速できるので、より高速で微小な液滴を噴射して高い洗浄性能を得ることができる。
図10は、導出路34の途中に複数の絞り部35,36を備えた2流体吐出ノズルの断面図である。絞り部35,36を複数設けることによって、導出路34の長手方向の断面積を複数段階で変化させることができる。したがって、液滴の再微粒化を更に促進するとともに液滴を加速できるので、一層高速で微小な液滴を噴射して高い洗浄性能を得ることができる。尚、図10の例では、2つの絞り部35,36を設けることによって、導出路34の長手方向の断面積を2段階に変化させているが、3つ以上の絞り部を設けた場合にも同様の効果が得られる。
このように、導出路の長手方向の断面積を変えることによって、この中を流れる気体の流速を変えることができる。したがって、噴射口または噴射口付近での導出路の長手方向の断面積が、他の部分での断面積より小さくなるようにすることによって、液滴の再微粒化を促進するとともに液滴を加速できるので、より微細な液滴を噴射して高い洗浄性能を得ることができる。ここで、噴射口の面積をAとし、導出路の長手方向の断面積をBとすると、断面積Bに対する面積Aの比率は0.1〜0.9の範囲内であることが好ましく、0.4〜0.8の範囲内であることがより好ましい。面積Aが0.1未満では、気体の流れが妨げられることによって液滴の微粒化が低下する。一方、面積Aが0.9より大きい場合には、液滴の微粒化の効果が少なくなる。
図11は、湾曲部37の曲率半径が噴射口6から離れるにしたがって徐々に小さくなるようにした2流体吐出ノズルの断面図である。すなわち、図11において、噴射口6の近傍における湾曲部の曲率半径Lと、噴射口6と反対の湾曲部37端部の近傍における曲率半径Lとの間にはL>Lの関係がある。湾曲部の曲率半径をこのように変化させることによって、液滴を分級する効率を高めて、より微小な液滴をより多く半導体ウェハに衝突させることが可能となる。
図12は、噴射口6と反対の湾曲部38の端部に連接して、半導体ウェハ40に対し実質的に垂直な垂直部39が設けられた2流体吐出ノズルの断面図である。この場合、湾曲部38の曲率半径は、噴射口6からの距離にかかわらず一定であってもよいし、噴射口6から離れるにしたがって徐々に小さくなるように変化していてもよい。
湾曲部38に接続する垂直部39を設けることによって、液滴の運動(流れ)を半導体ウェハ40に垂直な方向へ安定させることができる。したがって、より多くの液滴を半導体ウェハの表面に垂直に衝突させることが可能となるので、より高い洗浄性能を得ることができる。
図13(a)は、湾曲部41に側壁部42,43が設けられた2流体吐出ノズルの斜視図である。また、図13(b)は、図13(a)で長手方向の断面図である。尚、図13(b)では、説明のために側壁部42,43を点線で示している。
側壁42,43を設けることによって噴流の分散が抑えられるので、湾曲部41に沿った気体の流れが形成されやすくなり、液滴の分級効果を高めることができる。
図14(a)は、導出路5の湾曲部44が接続する面10と同一面上であって、噴射口6と反対の湾曲部44の先に遮蔽板45が設けられた2流体吐出ノズルの斜視図である。また、図14(b)は、図14(a)で長手方向の断面図である。遮蔽板45は、湾曲部44に設けられた側壁部46,47によって固定される。尚、図13(b)では、側壁部46,47を点線で示している。
導出路5を通過した液滴は湾曲部44によって分級された後、微小な液滴が、湾曲部44と遮蔽板45の間に設けられた開口部48から半導体ウェハ(図示せず)の表面に略垂直に衝突する。一方、大きな液滴は、質量が大きく慣性力が強いために、噴射口6から直進して小さな液滴より遠くに落ちようとする。しかし、遮蔽版45があることによって、大きな液滴は、遮蔽版45に遮られ、半導体ウェハ上に落下するのを妨げられる。すなわち、遮蔽板45によって気体の流れが区切られるので、遮蔽板45を設けない場合に比較して液滴を分級する効果を高めることができる。このように、図14(a)および(b)に示す2流体吐出ノズルによれば、ある大きさ以下の微小な液滴のみを選別して半導体ウェハに衝突させることができるので、微細パターンへのダメージを一層抑制することが可能となる。
図15〜図17は、図14と同様の遮蔽板を設けた2流体吐出ノズルの変形例である。
図15の例は、遮蔽板50を噴射口6と反対の湾曲部51の先に設ける点で図14(a),(b)と共通するが、さらに遮蔽板50を導出路5の中心軸12を延長した線上に設ける点でこれらの図と異なる。換言すると、遮蔽板50は、導出路5の中心軸12を延長した線上に、開口部49を挟んで湾曲部51に隣接して設けられる。ここで、遮蔽板50は、半導体ウェハ52と実質的に平行となる位置に設けることが好ましい。
図15に示す構造とすることによって、導出路5から直線状に噴射した大きな液滴は遮蔽板50に衝突し、半導体ウェハ52の表面には直接衝突しなくなる。したがって、微細パターンへのダメージを一層抑制することが可能となる。
図16の例は、半導体ウェハ53と反対の遮蔽板54の対向面に整流板55を設けた2流体吐出ノズルの断面図である。遮蔽板54は、導出路5の中心軸12を延長した線上に、開口部59を挟んで湾曲部56に隣接して設けられる。すなわち、図15とは、遮蔽板54を噴射口6と反対の湾曲部56の先に設ける点で共通しているが、さらに整流板55を設ける点で異なる。尚、整流板50は、遮蔽板54とともに、湾曲部56に設けられた側壁部57,58(図16の点線で囲まれた部分)によって固定される。
整流板55を設けることによって、導出路5から噴射した気体の一部と大きな液滴は、遮蔽板54と整流板55の間を通るようになる。したがって、気体の流れがスムーズになり、液滴が遮蔽板54に衝突して上方へ飛び散るのを防ぐことができる。また、図5(a)において、2流体吐出ノズル1に代えて、図16の2流体吐出ノズルを設置する場合、遮蔽板54と整流板55によって囲まれる空間を基板処理容器15の側面に投影した部分に第2の排気口17がくるようにすることが好ましい。このようにすることによって、排気効率を高めて洗浄能力を向上させることが可能となる。
また、図17の例は、導出路5の湾曲部60が接続する面10に対向する導出路5の壁面11と整流板61とによって囲まれた開口部62に、遮蔽板64と反対の方向に突出する突出部63を設けた2流体吐出ノズルの断面図である。図16とは、遮蔽板64の対向面に整流板61を設ける点で共通するが、さらに突出部63を設ける点で異なる。尚、整流板61は、遮蔽板64とともに、湾曲部60に設けられた側壁部65,66(図17の点線で囲まれた部分)によって固定される。
突出部63を設けることによって、遮蔽板64と整流板61の間を通る気体の流れ(図17の矢印の方向の流れ)を一層スムーズにすることができるようになる。
尚、上述の例における流体吐出ノズルでは、いずれも導出路が、混合部に接続する端部より噴射口のある端部の方が半導体ウェハとの距離が小さくなるように設置される。しかしながら、本発明においては、導出路が上記の例と反対向きになるようにしてもよい。
例えば、図18に示すように、2流体吐出ノズルを、導出路71の噴射口72のある端部より混合部73に接続する端部の方が、半導体ウェハ74との距離が小さくなるようにして設置してもよい。この場合、導出路71を通過する気体の噴射方向は図で斜め上方向になる。
図18の構造とすることによって、噴射口72から噴射された大きな液滴は整流板75に衝突した後、気体の一部とともに開口部76から排出される。一方、小さな液滴は、湾曲部77に沿った気体の流れに沿って曲げられて、開口部78から半導体ウェハ74の表面に略垂直に衝突する。尚、整流板75は、遮蔽板79とともに、湾曲部77に設けられた側壁部80,81(図18の点線で囲まれた部分)によって固定される。
図18の構造によれば、湾曲部77を長くとることができるので、液滴を分級する効果を高めて、より微小な液滴のみを半導体ウェハ74の表面に衝突させることができる。したがって、微細パターンへのダメージを更に抑制することが可能となる。
以上述べたように、本発明によれば、大きさが100μm以下である微小な液滴のみを半導体ウェハに衝突させることが可能となる。したがって、微細パターンにダメージを与えることなしに高い洗浄性能を得ることができる。
尚、本発明においては、上記の変形例を適宜組み合わせて実施することも可能である。
また、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々変形して実施することができる。
例えば、上記実施の形態においては、半導体ウェハを洗浄する例について述べたが、本発明はこれに限られるものではない。半導体ウェハ以外の液晶基板、ディスク基板およびフォトマスクなどの他の基板にも本発明を適用することが可能である。さらに、基板に処理液を吐出する用途であれば、洗浄以外の他の処理にも本発明を適用することができる。
本実施の形態における2流体吐出ノズルの(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は断面図である。 図1(a)〜(c)の2流体吐出ノズルの動作説明図である。 図1(a)〜(c)の2流体吐出ノズルの動作説明図である。 (a)〜(c)は、本実施の形態における2流体吐出ノズルの変形例である。 本実施の形態における洗浄装置の(a)は断面図、(b)は平面図である。 本実施の形態における2流体吐出ノズルの変形例である。 本実施の形態における2流体吐出ノズルの変形例である。 本実施の形態における2流体吐出ノズルの変形例である。 本実施の形態における2流体吐出ノズルの変形例である。 本実施の形態における2流体吐出ノズルの変形例である。 本実施の形態における2流体吐出ノズルの変形例である。 本実施の形態における2流体吐出ノズルの変形例である。 本実施の形態における2流体吐出ノズルの変形例である。 本実施の形態における2流体吐出ノズルの変形例である。 本実施の形態における2流体吐出ノズルの変形例である。 本実施の形態における2流体吐出ノズルの変形例である。 本実施の形態における2流体吐出ノズルの変形例である。 本実施の形態における2流体吐出ノズルの変形例である。 従来の2流体吐出ノズルの断面図である。 従来の2流体吐出ノズルを備えた従来の洗浄装置の断面図である。 液滴の衝突速度および粒径と、微細パターンへのダメージとの関係を示す図である。
符号の説明
1 2流体吐出ノズル
2 気体流入口
3 液体流入口
4 混合部
5 導出路
6 噴射口
7 半導体ウェハ
8 湾曲部
12 中心軸
15 基板処理容器
16 第1の排気口
17 第2の排気口
18 半導体ウェハ
19 基板載置台
20 基板載置台回転手段
21 液体供給手段
22 気体供給手段

Claims (31)

  1. 第1の流体流入口と第2の流体流入口とを有し、前記第1の流体流入口から流入した第1の流体および前記第2の流体流入口から流入した第2の流体を混合する混合部と、
    一端に前記混合部が接続し、前記混合部から供給された前記第1の流体および前記第2の流体を噴射する噴射口が他端に設けられた流体導出路と、
    前記噴射口から前記流体導出路の長手方向に延設された湾曲部とを備え、
    前記湾曲部は、前記流体導出路の中心軸から離れる方向に徐々に湾曲した形状を有することを特徴とする流体吐出ノズル。
  2. 前記流体導出路は前記長手方向に矩形状の断面を有する請求項1に記載の流体吐出ノズル。
  3. 前記噴射口の形状が前記長手方向から見て矩形状である請求項2に記載の流体吐出ノズル。
  4. 前記湾曲部は、前記噴射口から離れるにしたがい徐々に湾曲している請求項1〜3に記載の流体吐出ノズル。
  5. 前記流体導出路の前記湾曲部が接続する面の対向面に、前記噴射口から前記長手方向に延設された延出部を有する請求項4に記載の流体吐出ノズル。
  6. 前記延出部は前記流体導出路の中心軸に平行である請求項5に記載の流体吐出ノズル。
  7. 前記延出部は、前記湾曲部と同じ方向に湾曲している請求項5に記載の液体吐出ノズル。
  8. 前記湾曲部は、前記噴射口に接続して前記流体導出路の中心軸に平行な第1の部分と、
    前記第1の部分に接続し、前記流体導出路の中心軸から離れる方向に徐々に湾曲した第2の部分とを有する請求項1〜3に記載の流体吐出ノズル。
  9. 前記湾曲部の曲率半径が10mm〜200mmの範囲内である請求項1〜8に記載の流体吐出ノズル。
  10. 前記湾曲部の曲率半径が20mm〜100mmの範囲内である請求項9に記載の流体吐出ノズル。
  11. 前記流体導出路の前記長手方向の長さが5mm〜100mmの範囲内である請求項1〜10に記載の流体吐出ノズル。
  12. 前記噴射口に前記流体導出路の前記長手方向の断面積を変化させる絞り部が設けられている請求項1〜11に記載の流体吐出ノズル。
  13. 前記流体導出路の途中に前記流体導出路の前記長手方向の断面積を変化させる絞り部が設けられている請求項1〜11に記載の流体吐出ノズル。
  14. 前記流体導出路は、前記噴射口に向かって前記長手方向の断面積が徐々に小さくなる形状を有する請求項1〜11に記載の流体吐出ノズル。
  15. 前記噴射口の付近において前記長手方向の断面積が徐々に小さくなる請求項14に記載の流体吐出ノズル。
  16. 前記流体導出路の全体に渡って前記長手方向の断面積が徐々に小さくなる請求項14に記載の流体吐出ノズル。
  17. 前記流体導出路の前記長手方向の断面積に対する前記噴射口の面積の比率が0.1〜0.9の範囲内である請求項12〜16に記載の流体吐出ノズル。
  18. 前記流体導出路の前記長手方向の断面積に対する前記噴射口の面積の比率が0.4〜0.8の範囲内である請求項17に記載の流体吐出ノズル。
  19. 前記湾曲部の曲率半径が前記噴射口から離れるにしたがって徐々に小さくなる請求項1〜18に記載の流体吐出ノズル。
  20. 前記湾曲部に沿うようにして前記噴射口に接続する側壁部を有する請求項1〜19に記載の流体吐出ノズル。
  21. 前記流体導出路の前記湾曲部が接続する面と同一面上に、開口部を挟んで前記湾曲部に隣接する遮蔽板を有する請求項20に記載の流体吐出ノズル。
  22. 前記流体導出路の中心軸を延長した線上に、開口部を挟んで前記湾曲部に隣接する遮蔽板を有する請求項20に記載の流体吐出ノズル。
  23. 前記遮蔽板の対向面に整流板を有する請求項21または22に記載の流体吐出ノズル。
  24. 前記整流板と、前記流体導出路の前記湾曲部が接続する面の対向面との間に設けられた開口部に、前記遮蔽板と反対の方向に突出する突出部を有する請求項23に記載の流体吐出ノズル。
  25. 基板を載置する基板載置台と、
    前記基板載置台を回転させる基板載置台回転手段と、
    前記基板載置台が配置され、底面に設けられた第1の排気口と側面に設けられた第2の排気口とを備えた基板処理容器と、
    前記基板の上に流体を吐出する請求項1〜24に記載の流体吐出ノズルとを有し、
    前記流体吐出ノズルは、前記流体導出路の中心軸を延長した線が前記基板処理容器の側面と交わるところに前記第2の排気口が位置するよう設置されることを特徴とする基板処理装置。
  26. 前記流体吐出ノズルに、前記噴射口と反対の前記湾曲部の端部に連接して、前記基板に対して実質的に垂直な垂直部が設けられている請求項25に記載の基板処理装置。
  27. 前記湾曲部の先端から前記基板の表面までの距離が2mm〜30mmの範囲内である請求項25または26に記載の基板処理装置。
  28. 前記流体導出路の中心軸と前記基板の表面とがなす角度が0度〜80度の範囲内である請求項25〜27に記載の基板処理装置。
  29. 前記流体導出路の中心軸と前記基板の表面とがなす角度が15度〜60度の範囲内である請求項28に記載の基板処理装置。
  30. 前記流体吐出ノズルは、前記流体導出路の前記混合部に接続する端部より前記噴射口が設けられた端部の方が前記基板との距離が小さくなるように設置される請求項25〜29に記載の基板処理装置。
  31. 前記流体吐出ノズルは、前記流体導出路の前記噴射口が設けられた端部より前記混合部に接続する端部の方が前記基板との距離が小さくなるように設置される請求項25〜29に記載の基板処理装置。
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