JP4649649B2 - テーブルこんろ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、バーナと、そのバーナの炎を検知する熱電対と、その熱電対の熱起電力を検知する熱電対回路とを備えたテーブルこんろに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えばテーブルこんろでは、点火/消火操作に伴う器具の動作状態を検知してマグネット安全弁のON/OFF制御や鍋底温度を監視するサーミスタの消火温度の設定や解除等を行うため、点火/消火操作を検知する検知手段が設けられる。この検知手段としては、点火/消火操作に連動してON/OFFするコックスイッチを設けたり、バーナの炎を検知する熱電対の熱起電力を熱電対回路によって監視し、熱起電力を一定の検知レベルと比較して点火と消火とを判断する手段が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前者のコックスイッチは、検知の確実性は期待できるが、新たなスイッチの付加に伴うコストアップや組み付け作業の増加が生じる他、コックスイッチの故障時の対処にも問題がある。又、後者の熱電対の熱起電力監視によるものは、コストアップ等の問題が生じないが、熱電対自体の応答性が悪いため、単独で検知手段を構成すると点火/消火操作の短時間での繰り返しに追従できず、正確な検知が行えない。
【0004】
そこで、請求項1に記載の発明は、コストアップや組み付け作業の増加等の問題を生じさせることなく、迅速且つ確実な消火検知が可能となるテーブルこんろを提供することを目的としたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、熱電対回路で検知される熱起電力が、所定時間にわたって一度も上昇することなく連続し所定値低下した場合にバーナの消火と判断する一方、熱起電力が所定時間連続して低下することなく上昇に転じると、バーナの消火とは判断しない判断手段を設けたことを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1の目的に加えて、熱電対の起電力監視により消火後の再点火も迅速且つ確実に検知可能として、点火/消火操作の繰り返しにも良好な応答性で追従させるために、判断手段が、消火の判断後、熱起電力が所定時間連続した正の勾配で上昇した場合にバーナの再点火と判断する構成としたものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係るテーブルこんろにおいて、コンロ部1の概略図を示すもので、バーナ2は、ガス管5が接続されるバーナ本体3と、バーナ本体3の頭部に載置されるバーナヘッド4とからなり、ガス管5には、点火ツマミ6の操作によって開弁可能なメイン弁7とマグネット安全弁8とが設けられている。又、バーナヘッド4の中央には、鍋底温度を検知するサーミスタ9が、バーナヘッド4の炎孔近傍には、炎を検知する熱電対10が夫々設けられて、コントローラ11に接続されている。12は乾電池で、コントローラ11は乾電池12から電源を得てマグネット安全弁8の開弁を保持する吸着電流を供給可能となっている。更に、図2は、コントローラ11における熱電対回路13の回路図で、コントローラ11内にはマイコン14が設けられ、熱電対10は、マイコン14のA/D変換ポートにオペアンプ15を介して接続されている。このオペアンプ15は、熱電対10の微少起電力を増幅し、マイコン14で制御できる電圧レベルにするためのものである。
【0007】
以上の如く構成されたテーブルこんろの作動を図3のフローチャートに基づいて説明する。まず、S1でコンロ部1の点火ツマミ6を押し回し操作することで、メイン弁7とマグネット安全弁8とが強制的に開弁されて燃料ガスが供給されると共に、図示しない点火装置が動作してバーナヘッド4近傍の電極に放電され、バーナ2に点火される(S2)。そしてS3で、図4に示すように、点火時Tから上昇した熱電対10の熱起電力が判定レベルVを超えたことを確認すると、コントローラ11は正常な点火が行われたとして、マグネット安全弁8をON(吸着保持電流を供給)する。尚、ここで判定レベルVを超えなければマグネット安全弁8はOFFされる(S5)。
【0008】
次に、S6で点火ツマミ6によって時間Tで消火操作が行われると、メイン弁7が閉じてバーナ2へのガスの供給が停止するため、熱電対10の熱起電力が低下する。しかし、熱電対10の応答性が悪いため、熱起電力は緩やかに低下し、点火消火の判定レベルVを直ちに下回らない。そこで、マイコン14は、S7において、熱起電力を現在の値V から1秒前をV 、2秒前をV ・・として5秒前の値V まで監視し、これらが連続した負の勾配で所定値低下した場合、即ちV >V >V >V >V >V と、0.62V >V との双方の条件が成立した場合に消火されたものと判断して、S8でマグネット安全弁8をOFFさせる。尚、サーミスタ9の消火温度を煮物か油物かで自動判別して設定していた場合は、ここでその消火温度がリセットされる。
【0009】
このように熱起電力を連続した5秒間監視するようにしたのは、例えば風による炎のゆらぎによって偶発的に熱起電力が低下した場合でも、5秒以上低下することがないこと、又、風による断続的な低下であれば必ず山(熱起電力の上昇)が現れて、連続して熱起電力が低下することがないこと、更に、通常の消火の場合は、5秒間は略直線的に低下すること、からである。
一方、熱起電力の低下を0.62V としたのは、消火の場合、各種条件(風向き、ガス種、グリル付テーブルこんろであればグリル内の水の有無等)により、最も減衰率α(α=(V−V)/V×100)の小さいもので48.3%であり、これに80%のマージンを掛けて38.6%となるため、ここからV <V −0.38V によって偶発的には起こり得ない0.62V を得たものである。尚、火力変化や鍋を載せた際の変化による熱起電力の減衰率は、最大19.5%であって、V=0.805Vであることから、上記V<0.62Vで充分判別可能となる。
【0010】
そして、S9で消火直後に時間Tで再点火操作された場合、熱起電力は判定レベルVを下回ることなく再び上昇する。よってS10では、先の消火検知後現在の熱起電力の値をV′、その1秒前をV′、2秒前をV′として、V′>V′>V′となった場合、即ち2秒間連続した正の勾配で熱起電力が上昇した場合に再点火されたものと判断し、S11でマグネット安全弁8をONさせる。このように再点火時に2秒間の熱起電力監視を行うようにしたのは、ここでは1秒ごとの熱起電力を用いて制御しているため、1秒間の監視、即ちV′>V′では、熱起電力がA/D変換閾値付近でふらついた場合に誤検知となることから、正確な熱起電力監視が行える必要最小限の時間として連続した2秒間の上昇を選択したものである。
【0011】
このように上記形態によれば、熱電対回路13で検知される熱起電力が、5秒間連続した負の勾配で所定値低下した場合にバーナ2の消火と判断する判断手段を設けたことで、熱起電力の応答性の悪さ(熱起電力の判定レベルで消火を判断すると、20〜30秒かかる)にかかわりなく、熱起電力の監視のみで迅速且つ確実に消火を検知することができる。よって、消火動作や制御条件のリセット等を確実に行うことができると共に、コックスイッチ等の操作状態の検知手段を別途用いる必要がなくなり、コストアップや組立の手間も生じない。
又、ここでは、消火の判断後、熱起電力が2秒間連続した正の勾配で上昇した場合にバーナ2の再点火と判断する構成としているから、熱起電力の監視のみで消火後の再点火も迅速且つ確実に検知可能となり、よりコスト面で優れると共に、点火/消火操作の繰り返しにも良好な応答性で追従可能となる。
【0012】
尚、上記形態では、消火検知に5秒、再点火検知に2秒を夫々選択しているが、この検知時間は上記形態に限定するものでなく、熱起電力の監視のみで消火又は再点火が検知可能であれば適宜増減可能である。
【0013】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、熱電対回路で検知される熱起電力が、所定時間にわたって一度も上昇することなく連続し所定値低下した場合にバーナの消火と判断する判断手段を設けたことで、熱起電力の応答性の悪さにかかわりなく、熱起電力の監視のみで迅速且つ確実に消火を検知することができる。よって、消火動作や制御条件のリセット等を確実に行うことができると共に、コックスイッチ等の操作状態の検知手段を別途用いる必要がなくなり、コストアップや組立の手間も生じない。また、判断手段は、熱起電力が所定時間連続して低下することなく上昇に転じると、バーナの消火とは判断しないため、風等に起因した炎のゆらぎによる偶発的な熱起電力の低下であるのか、それともバーナの消火であるのかを確実に判断することができる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、判断手段が、消火の判断後、熱起電力が所定時間連続した正の勾配で上昇した場合にバーナの再点火と判断する構成としたことで、熱起電力の監視のみで消火後の再点火も迅速且つ確実に検知可能となり、よりコスト面で優れると共に、点火/消火操作の繰り返しにも良好な応答性で追従可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】テーブルこんろのこんろ部の概略図である。
【図2】熱電対回路の回路図である。
【図3】こんろ部の作動状態を示すフローチャートである。
【図4】熱起電力の変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1・・こんろ部、2・・バーナ、7・・メイン弁、8・・マグネット安全弁、10・・熱電対、11・・コントローラ、14・・マイコン。

Claims (2)

  1. バーナと、そのバーナの炎を検知する熱電対と、その熱電対の熱起電力を検知する熱電対回路とを備えたテーブルこんろであって、
    前記熱電対回路で検知される熱起電力が、所定時間にわたって一度も上昇することなく連続し所定値低下した場合に前記バーナの消火と判断する一方、前記熱起電力が所定時間連続して低下することなく上昇に転じると、前記バーナの消火とは判断しない判断手段を設けたことを特徴とするテーブルこんろ。
  2. 判断手段が、消火の判断後、熱起電力が所定時間連続した正の勾配で上昇した場合にバーナの再点火と判断する請求項1に記載のテーブルこんろ。
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