JP4649474B2 - 車両座席内アジャスタ用駆動ユニット - Google Patents

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Description

本発明は、モータと該モータの出力側に設けられて出力手段を有するギアステージとを備えてアジャスタに用いられる車両座席内アジャスタ用駆動ユニットに関し、特に、自動車座席内アジャスタ用駆動ユニットに関する。
従来の車両座席内アジャスタ用駆動ユニットは、個々の構成部材を相互に調節することにより車両座席の使用者にとって最適な座席位置に設定するためにモータ駆動可能な車両座席に使用されている。
また、車両座席内アジャスタ用駆動ユニットでは、ブラシ整流形式(brush-commutated)と電気整流形式(electronically commutated)とが、現在の技術水準として公知である。
そして、ギアステージによって回転速度を下げるとともに出力トルクを増大するようになっている。
本発明の目的は、前述したような従来の車両座席内アジャスタ用駆動ユニットを改善することであり、特に、電気整流モータを用いた車両座席内アジャスタ用駆動ユニットを改善することである。
本発明の目的は、本発明の目的は、モータと該モータの出力側に設けられて出力手段を有するギアステージ(gear stage)、すなわち、ギア段とを備えてアジャスタに用いられ、ギアステージが、モータから伝達される駆動力の回転方向を変更することなく出力手段の回転方向を規定して出力手段の2つの異なる回転方向を選択するスイッチギアとして設計されているとともに、ギアステージの複数の異なる構成部材を巻き線スプリングを用いて摩擦係合してロックするロック手段を有している、または、ギアステージの複数の異なる構成部材を歯付き爪部材を用いて積極的にロックするロック手段を有する車両座席内アジャスタ用駆動ユニットにより解決される。
有利な改良は、従属する請求項の要旨である。
出力手段の回転方向は、モータの回転方向を変更することなくスイッチギアを介して任意に選択できるようになっている。
その結果、モータに必要とされる電気回路を大幅に簡略化できるようになっている。
スイッチギアを備えた車両座席内アジャスタ用駆動ユニットは、車両座席内のアジャスタ、例えば、背もたれの傾斜アジャスタに使用されている。
なお、本発明におけるアジャスタの適用範囲は、車両座席内に限定されないことは言うまでもない。
本発明におけるアジャスタは、自動車内の他箇所、例えば、窓リフター装置や外部ミラー装置や摺動ルーフ装置に用いても良い。
また、スイッチギアを用いることで、2つの異なるギア比を選択しても良い。
電気的に整流されてブラシを必要としないモータを用いることにより、電気的な効率を大幅に向上させるとともに必要とされる設置スペースを削減でき、また、運転騒音を低減できるようになっている。
複数のモータを用いた場合には、このモータに関連する電気手段を用いることで、大きな余分な力を生じることなく回転速度または位置に関して相互に同期を取ることができるようになっている。
電気的に整流することにより、ロック状態の検出やロック力の最大許容量の電気的な規定や温度管理を達成できるため、ブラシを使用したモータと比較して高いエネルギー密度の電磁コンバータを実現でき、その結果、設置スペース及び総重量の低減を達成できるようになっている。
電気的な制御機器をモータに一体化することにより、ロック状態を検出することや、既設のセンサーを評価することや、例えば、モータ機能のパラメータを記録またはプログラムする際において電気機能と駆動部材との間の調和を図ることなどの効果を奏するようになっている。
前述したアジャスタの適用範囲においては、モータのステータによって発生する磁界の回転方向を変更することでモータのロータの回転方向を変更することが一般に行われる電気整流形式のモータとは異なり、本発明においては、出力手段の回転方向を変更することのできないモータのみが使用されている。
そして、2つのロータを使用する場合、例えば、内部ロータと外部ロータとを使用する場合、各ロータの回転方向を電気的に変更することは一切行われておらず、例えば、内部ロータは、常に出力手段からみて時計回りに回転し、外部ロータは、常に出力手段からみて時計回りに回転するように設計されている。
このようなモータを用いることにより、電気構成部材の費用を低く抑えることができるばかりか、構成部材と設置スペースと重量などに関する追加費用を必要とすることなく充分な回転力を発生して、効率性の向上や駆動騒音の低減や阻止電流の認識などの電気整流に関する本質的な効果を達成するようになっている。
異なる回転速度で、及び/または、異なる方向に回転する2つのロータを用いることで、回転速度の絶対値と比較して低くてギアステージを介して更に下げることのできる相対的な運動を生じさせて、出力側におけるトルクを増大できるようになっている。
複数のロータがそれぞれ異なるポール数を有するとともに、このロータのポール数がステータのポール数とは異なるように設計することにより、ロータの回転速度がステータの磁界の回転速度から外れることを補償できるので、前述した2つのロータの異なる回転速度、及び/または、異なる方向を簡便に実現できるようになっている。
ステータのポール数とロータのポール数との比率を2:3及び3:2とは異なるように設定することにより、異なる回転速度、及び/または、異なる回転方向を実現でき、その結果、例えば、2つのロータを使用する場合に、小さな相対運動を発生させて回転速度を低下させるとともに出力トルクを増大させるようになっている。
ステータが適切に電気的に整流されているともに、ロータがポールとして永久磁石を保持していることにより、低摩擦、低発熱及び低エネルギー消費であるモータの低騒音性または静音運転を確保できるようになっている。
ステータの円周方向において、全ての第2ステータポールが、隣接するステータポールに対して磁束回路を構成するコイルを保持しており、すなわち、円周方向に複数配置されたステータポールは、1つ置きに磁束回路を構成するコイルを保持している。
これらのステータとロータとを中心軸に対して半径方向に連続して配置する、または、軸方向に連続的に(ディスクアーマチュア)配置している。
異なる回転速度を生じさせるために、ステータとロータのポール数を例えば2ずつ異ならせても良い。
希土類族から採取した金属からなる永久磁石の使用と、低電流でも比較的大きなトルクを生させる巻線タイプと、極数の比率の組み合わせとが、必要とされる設置スペースを更に低減させるようになっている。
モータがモータピニオンを介して中間ギアを駆動するように設計しても良く、この場合、確実な手段、すなわち、凹凸係合などを利用して、または、摩擦係合を利用して中間ギアをロックすることで出力側からもたらされたトルク力をロックできるようになっている。
このモータは、幾つかのタイプのモータから選択することができ、例えば、半径方向形状で内部ロータ式モータ(内部ロータを有するモータ)、外部ロータ式モータ(外部ロータを有するモータ)または二重ロータ式モータ(内部ロータおよび外部ロータを有するモータ)から選択することができる。
前述した幾つかのモータと幾つかのギアステージとを組み合わせることにより、少数の各構成モジュールを用いて多数の車両座席内アジャスタ用駆動ユニットを作成する、すなわち、少数のギアステージと少数のモータとを組み合わせることで様々なバリエーションの車両座席内アジャスタ用駆動ユニットを提供でき、その結果、様々な状況の要件に対応することができ、なお、前述したギアステージに関しては、幾つかのギアステージを相互に接続して用いても良い。
2つの異なる回転速度、及び/または、異なる回転方向を利用することによってシャフトの周囲で出力運動を引き起こすディファレンシャルギア(differential gear)としてギアステージを設計し、その結果、出力側における低回転速度を実現する非常に小さな相対運動を発生させることができるようになっている。
2つの異なる回転速度、及び/または、異なる回転方向は、モータを介してギアステージに伝達する、または、ギアステージ自体で生成することができ、そして、そのような回転速度によって1つの構成部材を固定することで他の構成部材の出力として運び出すことができるようになっている。
このギアステージは、電気的に整流されたステータと、永久磁石を保持して中心軸を中心として回転してステータと磁気的に相互作用するロータとを備えたモータに接続されている。
このモータは、駆動騒音および摩擦抵抗を殆ど生じることなく作動するようになっている。
ギアステージは、中空のローラ、及び/または、中実のローラを有する摩擦ホイール形式として設計しても良く、または、歯車形式として設計しても良く、これらの摩擦ホイール形式と歯車形式とを比較した場合には摩擦ホイール形式の方が製造が容易であり、そして、中空のローラを選択した場合には重量を低減できるとともにロータ用のベアリングとしても機能できるようになっている。
モータの電気的かつ機械的な効率性が、車両座席内アジャスタ用駆動ユニットの全体の効率性にとって重要であることは当然であるが、ギアステージの効率性も、車両座席内アジャスタ用駆動ユニットの全体の効率性にとって重要であり、また、特に摩擦ホイール形式を選択した場合に、ギアステージが中心軸に対して完全に対称的な構成を呈することで、追加のベアリングを何ら必要とすることなく、ギアステージの構成部材自身がベアリング機能を発揮して、必要とされるベアリングの数量を最も少なく抑えることができるようになっている。
ギアステージは、中心ギア、すなわち、サンギアと1組の遊星ローラまたはギアと中空ギアとを有する単一段形式の遊星ディファレンシャルギアとして設計しても良く、また、中心ギア及び中空ギアは、モータのロータに回転自在な状態に強固にそれぞれ接続されており、そして、遊星ローラまたはギアを支持する遊星キャリヤが、出力手段として作用するようになっている。
また、ギアステージは、中心軸に対して同心円状に配置された中心ギアと内側遊星ローラと外側遊星ローラと外側リングとを有する多段形式の遊星ディファレンシャルギアとして設計しても良く、この場合、中心ギアまたは外側リングが、軸方向に隣接して配置されている。
異なる外径を有する2つの中心ギア、または、異なる内径を有する2つの外側リング、または、異なる弾性率を有する2つの中心ギアまたは2つの外側リングが、回転速度の違いを生じさせるようになっている。
ギアステージは、中心軸に対して同心円状に配置された中心ギアと、1組以上の段から外れた遊星ローラと中空ギアとを有する単一段形式の遊星ディファレンシャルギアとしても設計しても良く、この場合、中心ギアまたは中空ギアが軸方向に隣接して配置されている。
異なる弾性率と異なる外径とを有する2つの中心ギア、または、異なる内径を有する2つの中空ギアが、回転速度の違いを生じさせるようになっている。
例えば、異なる直径を有する2つの隣接したギア部材の一方をハウジングに取り付けるとともに、他方を出力手段に接続することにより、前述した回転速度の違いを取り除くことができるようになっている。
2つの外側リングを有した構成では、ハウジングに取り付けられた一方の部材が、ステータに接続されており、入力手段として機能する中心ギアが、モータのロータに回転自在な状態で強固に接続されている。
中心軸の方向に向けて付勢をかけることでギアステージを保持して軸合わせするため、また、製造公差を許容して補償するために、中空ギアまたは外側リングは、弾性を備えた金属リング部分と該金属リング部分を設置するエラストマーベッド部分とを有している。
金属リング部分とエラストマーベッド部分とを収容して軸方向に固定する支持体部分が、中空シャフトとして設計された出力手段としてのベル状の部材に接合されている。
電磁石を備えた切換えコイルを用いることにより、簡便な設計によって切換えを達成できるようになっている。
この電磁石は、摩擦係合または接触的で確実な手段、すなわち、凹凸係合などを利用してロックを行うために、2つの相互に隣接したギア部材に連結されて相互に反撥する永久磁石と相互作用するようになっている。
モータがモータピニオンを介して中間ギアを駆動するように設計しても良く、この場合、確実な手段、すなわち、凹凸係合などを利用して、または、摩擦係合を利用して中間ギアをロックすることで出力側からもたらされたトルク力をロックできるようになっている。
ギアステージは、幾つかのタイプのギアステージから選択すれば良い。
これらの幾つかのタイプのギアステージと選択可能な幾つかのタイプのモータとを組み合わせることで、少数の各構成モジュールを用いて多数の車両座席内アジャスタ用駆動ユニットを作成する、すなわち、少数のギアステージと少数のモータとを組み合わせて様々なバリエーションの車両座席内アジャスタ用駆動ユニットを提供でき、その結果、様々な要件に対応することができるようになっている。
本発明を図面に示された実施例及び複数の変形例に基づいて、以下に詳細に説明する。
本発明における車両座席内アジャスタ用駆動ユニット10は、モータ12と、このモータ12の出力側に設けられたギアステージ(gear stage)14、すなわち、ギア段とから構成されている。
まず、モータ12について、図2A乃至図2Cに基づいて以下に説明する。
モータ12は、ステータ16を有する電気的に整流されたモータであり、ステータ16のステータポール18が、第1中心軸Aの周りに星状に、すなわち、放射状に配置されている。
図2A乃至図2Cに示す第1中心軸Aは、円筒座標で以下で使用される方向性を規定している。
コイル20が、全12本のステータポール18の第2ポールに対してそれぞれ巻き付けられており、すなわち、6本のコイル20が、円周方向に全12本配置されたステータポールに対して1本置きに巻きつけられており、このコイル20は、モータ12に一体化されたDC供給電気回路(図示しない)を介して一定間隔で交互に励磁されて空間的な回転磁界を発生させるようになっている。
このモータ12の具体的な形態として、図2A乃至図2Cに示すように、3つの異なるタイプのモータ12があり、第1タイプのモータ12では、図2Aに示すように、内部ロータ式モータ12としてステータ16の半径方向内側に配置された内部ロータ22が設けられており、また、第2タイプのモータ12では、図2Bに示すように、外部ロータ式モータ12としてステータ16の半径方向外側に配置された外部ロータ24が設けられており、そして、第3タイプのモータ12では、図2Cに示すように、二重ロータ式モータ12として内部ロータ22及び外部ロータ24がそれぞれ設けられている。
前述した3つのタイプのモータ12の全てに共通して、内部ロータ22または外部ロータ24が、第1中心軸Aの周りを回転し、また、永久磁石26が、ステータ16に面した内部ロータ22または外部ロータ24の円周面に沿って配置されており、この永久磁石26が、円周方向に交互にポールを介して支持されている。
本発明で使用される永久磁石26の全てが、例えば希土類族からなる金属を含有することで、高度の透磁率を示すようになっているのが好ましい。
第1タイプのモータ12と第3タイプのモータ12において内部ロータ22の構成部材として配置されるとともに第2タイプのモータ12においてステータ16の構成部材として配置される内側磁束リング28と、第1タイプのモータ12においてステータ16の構成部材として配置されるとともに第2タイプのモータ12と第3タイプのモータ12において外部ロータ24の構成部材として配置される外側磁束リング30とが、磁束回路を形成している。
これらの内側磁束リング28と外側磁束リング30は、必要であれば、永久磁石26のキャリヤとして同時に作用するように設定しても良い。
外部ロータ24は、(内部ロータ22と比較して)大きな半径に亘って作用する磁力によって多量のトルクを発生させるようになっている。
前述した3つ全てのタイプのモータ12は、中空シャフト状、すなわち、第1中心軸Aの周りの領域が空くように設計されているのが好ましい。
前述した永久磁石26の数量とステータポール18の数量との比率が、2:3または3:2に等しくならないように設定されており、その結果、内部ロータ22または外部ロータ24の回転が、ステータ16での磁界の回転から外れるように設計されており、すなわち、内部ロータ22または外部ロータ24の回転の速度が、ステータ16により生じる磁界の回転の速度からずれるように設計されている。
本実施例の場合、内部ロータ22が、10個の永久磁石26を備え、外部ロータ24が、14個の永久磁石26を備えている。
第3タイプのモータ12(二重ロータ式モータ)においては、内部ロータ22と外部ロータ24の永久磁石26の数量がそれぞれ異なるように設定されていることにより、内部ロータ22と外部ロータ24が、異なった回転速度(5:7)で反対の回転方向(図2Cにおける矢印の方向)にそれぞれ回転するようになっている。
なお、モータ12を前述したような半径方向構造(radial structure)で設計する代わりに軸方向構造(axial structure)で設計しても良く、すなわち、ロータ(ディスクアーマチュア)とステータ16とを軸方向に並列配置しても何ら構わない。
つぎに、ギアステージ14について、図3A乃至図12に基づいて以下に説明する。
ギアステージ14は、モータ12の回転速度を下げると同時にモータ12のトルクを伝達するように設計されている。
ギアステージ14は、ディファレンシャルギアシステム(differential gear system)として設計されており、その多様なタイプを以下に説明する。
ギアステージ14の各タイプは、中心ギア32、すなわち、サンホイール(sun wheel)形状を呈した中空または中実の円筒状の滑らかなローラを有する摩擦ホイール遊星式のディファレンシャルギア(friction wheel planetary differential gear)、または、平らな歯付きの遊星ギア34’を有する歯車遊星式のディファレンシャルギア(toothed wheel planetary differential gear)のいずれかの形態を呈しているのが好ましい。
そして、前述した各タイプのギアステージ14は、いずれも第1中心軸Aの周りの領域を空けた状態の中空シャフト状に設計されているのが好ましい。
第1タイプのギアステージ14は、図3A及び図3Bに示すようなギアステージを単一段形式で形成したディファレンシャルギアである。
まず、この第1タイプのギアステージ14を図3Aに示す摩擦ホイール形式に基づいて以下に説明する。
ギアステージ14の中心軸が、モータ12の中心軸に軸合わせされている。
サンギアとしての中心ギア32が、第1中心軸Aの周りに配置されており、第1中空ギア36で囲まれた3つの内側遊星ローラ34が、中心ギア32の円周面に沿って移動するようになっている。
第1中空ギア36は、半径方向へ付勢されており、何らスリップを生じさせることなく内側遊星ローラ34を良好に回転させるようになっている。
環状の遊星キャリヤ38が、内側遊星ローラ34を軸方向に保持している。
この第1タイプのギアステージ14と前述した第3タイプのモータ12(二重ロータ式モータ)との組み合わせが最も好ましいが、ブラシ整流モータ(brush-commutated motors)を含む他のタイプのモータ12でも好ましい効果を発揮することができるようになっている。
前述したモータ12の内部ロータ22が、ギアステージ14の中心ギア32に回転自在な状態で強固に接続されており、一方、前述したモータ12の外部ロータ24が、ギアステージ14の第1中空ギア36に回転自在な状態で強固に接続されている。
遊星キャリヤ38は、車両座席内アジャスタ用駆動ユニット10の出力手段54として機能している。
これらの中心ギア32と第1中空ギア36と遊星キャリヤ38の直径の寸法は、内部ロータ22及び外部ロータ24の回転速度やトルク力や回転方向などに対応して設計されている。
ギアステージ14の中心ギア32と内側遊星ローラ34と第1中空ギア36の軸方向への長さは、モータ12の内部ロータ22と外部ロータ24がギアステージ14を介してステータ16に軸支される程度に充分に長く設定されている。
そして、前述したような図3Aに示す摩擦ホイール形式のギアステージ14と、図3Bに示す歯車形式のギアステージ14との間の差異は、各構成部材の表面の態様のみであるため、対応する構成部材の参照番号には「’」を付加している。
図3Bに示す歯車形式のギアステージ14では、中心ギア32’と遊星ギア34’と第1中空ギア36’とは、それぞれ歯部分を有しており、図3Aに示す摩擦ホイール遊星式の場合と同様にモータ12に連結されており、図3Aに示す摩擦ホイール遊星式の場合と同様の相対運動を行い、そして、遊星キャリヤ38は、出力手段として機能している。
つぎに、第2タイプのギアステージ14について、図4に基づいて以下に説明する。
この第2タイプのギアステージ14は、ギアステージを多段形式で形成したディファレンシャルギアであり、以下の説明においては、径方向階層式の摩擦ホイール形式のディファレンシャルギアとして説明するが、歯車形式を採用しても何ら構わない。
第1中心軸Aの回りにおいて中実の構成部材と中空の構成部材のいずれを使用しても良い。
中心ギア32は、第1中心軸Aの周りに配置されており、この中心ギア32の外周面には、1組の内側遊星ローラ34が配置されている。
軸方向に並んだ状態で配置された第1外側遊星ローラ40と第2外側遊星ローラ42とは、各内側遊星ローラ34の間に生じた周方向の隙間に挿入されており、また、これら第1外側遊星ローラ40と第2外側遊星ローラ42は、内側遊星ローラ34の軸方向への長さの約半分の長さを有しており、そして、第2外側遊星ローラ42の直径は、第1外側遊星ローラ40の直径と比較して僅かに小さく設定されており、この寸法関係は、例えば、一方でメートル寸法を有する円筒ローラを使用するとともに他方でインチベースの寸法を有する円筒形状のローラを使用することで達成されるようになっている。
なお、円筒形状のローラの代わりに、他の形状を呈したローラを使用しても良い。
中空ギアとして機能して第1外側遊星ローラ40を半径方向外部に囲む第1外側リング44と、中空ギアとして機能して第2外側遊星ローラ42を半径方向外部に囲む第2外側リング46とが、第1外側遊星ローラ40と第2外側遊星ローラ42と内側遊星ローラ34とを中心ギア32に向けて同時に全ての接点において付勢している。
半径方向に階層列を呈する第1外側遊星ローラ40と第2外側遊星ローラ42とを前述したように付勢することで、全てのローラが相互に保持して同心の半径方向に対称的なスリップレス状態が生じるため、ギアステージ14の高度な効率化を達成できるようになっている。
遊星キャリヤ、すなわち、遊星ローラの内部ベアリングは、必ずしも必要ではないが、設けても何ら構わない。
軸方向の所定位置に遊星ローラを保持するために半径方向外部に突出するリムを中心ギア32に設けても良い。
このことは、他のタイプのギアステージ14の場合においても同様である。
第1外側リング44と第2外側リング46とは、原則的に同様に形成されているため、第1外側リング44を図5及び図6に基づいて以下に説明する。
第1外側リング44は、図6に示すように、弾性を備えた鋼製の金属リング部分48を有しており、この金属リング部分48は、半径方向の内周面で第1外側遊星ローラ40と接触しており、第1外側遊星ローラ40に対して中心方向へ向けた付勢力を発揮するために、環状に複数配置された第1外側遊星ローラ40で規定される仮想円の外径よりも小さな内径を有している。
金属リング部分48の半径方向の外周面及び軸方向の両側面には、第1外側リング44のエラストマーベッド部分50が配置されている。
プラスチックからなるエラストマーベッド部分50と金属リング部分48とが、協働して非常に均一な圧力付加を実現するようになっている。
エラストマーベッド部分50が、運転騒音を遮断するとともに一瞬の衝撃を吸収して軽減するようになっている。
なお、このような第1外側リング44の二部材構造を第1タイプのギアステージ14の第1中空ギア36、36’において採用しても良い。
第1外側リング44を半径方向に固定するために、金属リング部分48とエラストマーベッド部分50には支持体部分52が設けられており、その組立性の関係上、支持体部分52は、二部材構造であり、半径方向外側でエラストマーベッド部分50に、そして面の両端部では2つのフランジに係合しており、このような構造を他の2つのタイプのギアステージ14において採用しても良い。
均整の取れた回転を呈して運転騒音を回避するために、金属リング部分48とエラストマーベッド部分50は、半径方向に連続した設計になっているが、金属リング部分48とエラストマーベッド部分50は、分割して設計されていても良く、スロット等を設けても良く、特に、例えば、周り止め状態で支持体部分52に接続されるようになっていれば矢印状スロットを設けても良い。
ギアステージ14で発生する熱を発散するため、エラストマーベッド部分50が、良好な熱伝導率を有しているのが好ましく、この熱伝導率は、例えば、埋め込み用金属または他の熱伝導性ファイバーにより、または、中空スペース及び窪みに熱伝導性材料を充填することで達成されるようになっている。
金属リング部分48とエラストマーベッド部分50との間に、熱伝導性ペーストを設けても良い。
第1外側遊星ローラ40と第2外側遊星ローラ42との直径差に起因にして、第1外側リング44と第2外側リング46とが、異なる速度で回転するようになっている。
そして、このような回転速度の差を利用して、ギアステージ14がモータ12に接続された際に、ギアステージ14での大きな減速(例えば、200)が実現されるようになっている。
この多段形式の第2タイプのギアステージ14は、第1タイプのモータ12または第2タイプのモータ12と組み合わされるのが好ましいが、ブラシ整流モータを含む他のタイプのモータ12と組み合わせても良い。
第1外側リング44、すなわち、支持体部分52が、例えばハウジング、すなわち、ステータ16に接続されている。
駆動ギア、すなわち、入力ギアとして機能する中心ギア32は、モータ12の内部ロータ22、または、モータ12の外部ロータ24、または、ギアステージ14の遊星キャリヤ38に接続されており、第2外側リング46は、車両座席内アジャスタ用駆動ユニット10からアジャスタ80への出力手段54として機能している。
この場合、例えば中空シャフトとしての外部シャフトが、ベル状の末端片により第2外側リング46に、すなわち、支持体部分52に取り付けられている。
この場合、第2外側リング46が、中心ギア32と同じ方向に回転するようになっている。
第2タイプのギアステージ14用に選択される形状により、別途に用意したベアリングを中心ギア32に、すなわち、内部ロータ22(または外部ロータ24)に設ける必要はなく、そして、別途に用意したベアリングを第2外側リング46に、すなわち、出力手段54に設ける必要はないが、別途に用意したベアリングを設けても何ら構わない。
別途に用意したベアリングを設けた場合には、ギアステージ14の内部ロータ22または外部ロータ24のベアリングが、遊びのない状態で、そのため、騒音を生じることなく内部ロータ22または外部ロータ24を作動できるという利点を有している。
第2タイプのギアステージ14の変形例においては、小さな第2外側リング46が、ハウジング、すなわち、モータ12のステータ16に取り付けられており、大きな第1外側リング44が、車両座席内アジャスタ用駆動ユニット10からアジャスタ80への出力手段54として機能しており、その結果、中心ギア32と第1外側リング44とが、逆方向に回転するように設計されている。
必要であるならば、第1外側リング44と第2外側リング46とをハウジング、すなわち、モータ12のステータ16に取り付けて、例えば、2つのポールシステム(two pawl system)または回路を介して、出力に変化をもたらすことで、出力手段54の回転方向を逆にすることが可能であり、一方で中心ギア32の回転方向は同じままであるように設計しても良い。
これにより、モータ12に必要な電気システムの設計を簡便化することができ、モータ12の製造を簡略化できるようになっている。
第2タイプのギアステージ14は、異なるローラセット数を設けることで更に改良されるようになっている。
一般に、互いに軸方向後方に配置された1つ以上の中心ギアと、適切に軸方向に配置された同数の内側遊星ローラと、(出来れば)同期目的の1組の中間遊星ローラと、互いに軸方向後方に配置された1組以上の外側ローラと、適切に軸方向に配置された同数の外側リングとを設けても良い。
回転速度の小さな違いは、2つの隣接するギア部材間で前述した方法により取り去られる。
中心ギアと1組の遊星ローラの代わりに、外側の遊星ローラ組上で直接回転する適度に大きい直径の中心ギアを使用しても良く、及び/または、1組の外側遊星ローラと外側リングの代わりに、内側の遊星ローラ組上で直接回転する適度に小さい直径の外側リングを使用しても良い。
つぎに、第3タイプのギアステージ14について、図7及び図8に基づいて以下に説明する。
この第3タイプのギアステージ14は、ギアステージを単一段形式で形成したディファレンシャルギアであり、以下の説明においては、径方向階層式の摩擦ホイール形式のディファレンシャルギアとして説明するが、歯車形式を採用しても何ら構わない。
ギアステージ14は、モータ12の第1中心軸Aに軸合わせされている。
中心ギア32は、第1中心軸Aの周りに配置されており、3つの内側遊星ローラ34は、中心ギア32の外周面に沿って回転するようになっている。
段から外れた内側遊星ローラ34が、低弾性率を有した、すなわち、比較的硬い環状の第1中空ギア36によって軸方向のほぼ中程領域まで囲まれている。
これら3つの内側遊星ローラ34の軸方向の残りの半分領域では、第1中空ギア36より高い弾性率と小さな内周を有した第2中空ギア56によって囲まれている。
2つの要因により、第2中空ギア56が、内側遊星ローラ34との接触により生じた円形では無い三角形気味の形状を呈しており、この三角形は、図7では僅かに誇張されており、作動時には動的に変化するようになっている。
なお、適切な弾性率に関しては、適切な材料を選択することで得られるようになっている。
第1中空ギア36と第2中空ギア56とが、半径方向への高圧力の付勢力を発揮して何らスリップを生じることのない内側遊星ローラ34の良好な回転を保証しており、中心ギア32が、半径方向への力を補償している。
遊星キャリヤの代替部材としての中心ギア32によってもたらされた推力によって、第1中空ギア36と第2中空ギア56との中空ギアの内周比率は、変速比200に対して200/199である必要はなく、その代わり、より大きい比率、すなわち、許容公差に殆ど影響されない比率を選択することができるようになっている。
さらに、中心ギア32の代わりに、遊星ローラを支持する遊星キャリヤを第1タイプのギアステージ14の設計と同様に入力手段、すなわち、駆動手段として使用しても良く、または、遊星ローラを配置したベアリングケージを使用しても良い。
変形例として、軸方向に並んだ状態で配置された異なる弾性率の2つの中心ギアと中空ギアとを組み合わせても良く、または、連続または分離した異なる弾性率の中心ギアと中空ギアとを組み合わせても良い。
この遊星ローラは、段付けされていても良い。
第2中空ギア56の変形を出力手段54(車両座席内アジャスタ用駆動ユニット10からアジャスタ80への)としての剛性シャフトに伝えるため、または、第2中空ギア56の変形をハウジングで支持するために、第2中空ギア56を半径方向外側で囲むエラストマーベッド部分50(例えばゴムリングからなる)内に取り付け、このエラストマーベッド部分50は、支持体部分52の半径方向内側に配置されている。
このエラストマーベッド部分50を金属リングからなる第2中空ギア56の一部分として見なしても良い。
このエラストマーベッド部分50の代わりに、変形可能な壁を有するカップやダンパー部材としての穴あきディスクを介在させて、第2中空ギア56のための弾性スポークまたは軸方向または半径方向出力ピックオフを設けても良い。
第2中空ギア56の僅かに不均一な運動は、適切には補償されない、もしくは、少しも補償されないようになっている。
この第3タイプのギアステージ14は、第1タイプのモータ12または第2タイプのモータ12に組み合わされるのが好ましいが、ブラシ整流モータを含む他のタイプのモータ12と組み合わせても良い。
第1中空ギア36は、例えばハウジング、すなわち、モータ12のステータ16に取り付けられている。
入力手段として作用する中心ギア32が、内部ロータ22(または、外部ロータ24)に接続されており、一方で、第2中空ギア56が、車両座席内アジャスタ用駆動ユニット10からアジャスタ80への出力手段54として作用している。
この場合、例えば、中空シャフトとしての出力シャフトが、ベル状の端部片により第2中空ギア56、すなわち、支持体部分52に取り付けられている。
それぞれの直径は、直径の選択によって別の比率が可能になるように常時同じ大きさのオーダーとする必要がある。
中心ギア32と内側遊星ローラ34と第1中空ギア36の軸方向長さは、内部ロータ22と外部ロータ24とがギアステージ14によってステータ16に対して位置決めされる程度に充分な長さで設定するのが好ましい。
第3タイプのギアステージ14用に選択される形状により、中心ギア32に、すなわち、内部ロータ22(または外部ロータ24)に、第2中空ギア56に、すなわち、出力手段54に対して個別のベアリングを設ける必要はないが、設けても良い。
つぎに、スイッチギア形式で設計されたギアステージ14について、図9乃至図12に基づいて以下に説明する。
ギアステージ14は、図9及び図10に示すようなスイッチギアとして設計しても良く、そのスイッチギアにより出力手段54の2つの異なった回転方向をモータ12の唯一の永久回転方向を保持しながら選択することが可能であり、すなわち、スイッチギアを用いてモータ12からの駆動力の回転方向を変更することなく出力手段54の回転方向を変更することができ、このギアステージ14を第2タイプのギアステージ14に基づいて以下に詳細に説明する。
前述した第2タイプのギアステージ14に関する記述において説明したように、1組の内側遊星ローラ34が、中心ギア32の外周に配置されており、また、1組の第1外側遊星ローラ40が、内側遊星ローラ34の上面に配置されているとともに軸方向にオフセットされた第1外側リング44を介して付勢されて所定位置に保持されており、そして、1組の第2外側遊星ローラ42が、第2外側リング46を介して付勢されて所定位置に保持されている。
第2外側リング46は、車両座席内アジャスタ用駆動ユニット10からアジャスタ80への出力手段54の一部を構成している。
第3外側リング58が、第2外側リング46の軸方向反対側で第1外側リング44の近傍に配置されているとともに、内側遊星ローラ34の軸方向長さは、付勢された第3外側リング58が内側遊星ローラ34を取り囲むように設定されている。
第1外側リング44及び第3外側リング58の外径は、ほぼ一致している。
以下に、スイッチギア形式のギアステージ14で用いられるロック手段について説明する。
まず、巻線スプリング60が、その中間領域を介してハウジングに取り付けられており、または、巻線スプリング60の幾つかの巻線が、第1外側リング44に巻き付けられ、それ以外の巻線が、第3外側リング58に巻き付けられている。
各々の場合、保持磁石61としての永久磁石が、巻線スプリング60の両自由端に配置されており、2つの保持磁石61の相互の対面極が互いに反発し合うようになっている。
この保持磁石61は、例えば希土類族からなる金属を含有しているため、高い透磁率を適切に保有している。
任意の極を励磁する切換えコイル63を巻付けた軟鉄からなるコア62が、2つの保持磁石61の間に配置されている。
非励磁状態での切換えコイル63では、双方の保持磁石61が、磁束回路を局部的に構成するコア62に接触している。
その結果、第1外側リング44と第3外側リング58とギアステージ14とが、結果として所定位置に保持されている。
モータ12のステータ16のコイルを励磁した場合、切換えコイル63も励磁されるようになっている。
2つの保持磁石61のうちの一方が、電流方向に引き付けられ、他方が反発するようになっている。
その結果、電流方向に反発した保持磁石61が巻線スプリング60の側方を開くため、第1外側リング44と第3外側リング58を解除するようになっている。
通常、回転速度の違いを生じる第1外側リング44と第3外側リング58の小さな違いのために、第2外側リング46、すなわち、出力手段54の回転方向が規定され、その結果、第1外側リング44または第3外側リング58がロックされ、一方、モータ12、すなわち、中心ギア32の回転方向が一定のままであり、出力の2つの可能な回転方向が相互に対向している(一方向モータ)。
図9乃至図11に示すような摩擦係合タイプのロック手段を有するスイッチギアの代わりとして、図12に示すように積極的に確実に作用するロック手段を備えたスイッチギアを使用しても良い。
例えば、図12に示すように、保持磁石61が、それぞれ切換え可能に歯付き外側リングをロックする歯付き爪部材64に配置されている。
この機能は、前述した機能と同様である。
このロック手段は、休止状態の出力手段54によってもたらされるトルク力をロックするために使用しても良い。
このようなロック作用は、ギアステージ14内で発生させる必要はなく、モータ12とギアステージ14との間で作用するように設定しても良い。
図13Aに示すように、モータ12の出力シャフトには、例えば、中心ギア32に接続された中間ギア67に係合するモータピニオン66が設けられており、また、出力シャフトは、2つのカム突起68’を有したディスクカム68と摩擦接続されている。
休止状態では、スプリングを介して付勢された2つの歯付き爪部材64が、中間ギア67でほぼ確実に係合して、特に、出力側からもたらされたトルク力に対して中間ギア67の駆動をロックするようになっている。
モータ12が回転を開始した場合、ディスクカム68が、モータ12と共に回転し、図13Bに示すように、カム突起68’が、歯付き爪部材64の制御外周部分64’に接触して歯付き爪部材64を上げることで、歯付き爪部材64と中間ギア67との係合を解除するようになっている。
この際、中間ギア67は、何ら阻害されることなく駆動されて、ディスクカム68との摩擦接触を適切に解消するようになっている。
本実施例の変形例において、ディスクカム68は、回転軸との摩擦接触で支持されることなく、モータ12の非回転部に回転自在にしっかりと接続されており、このモータ12は、ハウジングに対して小さな角度範囲により回転自在に支持されている。
このようにして支持されたモータピニオン66とディスクカム68との間に生じるトルクのために、モータ12の電源をオンにして、歯付き爪部材64が自動的に係合解除すると、ディスクカム68が、直ちに自動的に回転するようになっている。
このタイプのモータ整流は、このロック手段には重要でない。
摩擦係合を用いてロック作用を実現するように設計しても良い。
ある一定の特殊な状況において、車両座席内アジャスタ用駆動ユニット10が、高回転速度、及び/または、高トルクを出力するように設計されているのが好ましい。
車両座席内アジャスタ用駆動ユニット10が、車両に使用される場合、前述した特殊な状況とは、例えば衝突事故の発生である。
車両座席内アジャスタ用駆動ユニット10を用いて駆動される装置は、車両使用者の安全性を向上させるために、特定の設定や状態をできうる限り素早く取ることのできるように設計されている。
この場合、車両座席内アジャスタ用駆動ユニット10の継続的使用性については考慮しなくても良い。
その他の特殊な状況とは、広範囲に亘る車両座席のアジャスタ80の迅速な設定、例えば、車両使用者が後部座席へ容易にアクセスするために長手方向調整を行うこと、及び、この長手方向調整を行うとともに背もたれを前方に向けて折り畳むこと(旋回自在)などである。
第1外側リング44と第2外側リング46の形状寸法または第1中空ギア36と第2中空ギア56の弾性率の違いが十分に大きい場合に、選択可能なギア比(変速比)を有したスイッチギア形式で構成された第2タイプのギアステージ14または第3タイプのギアステージ14を用いることで、前述したような迅速な調整を機械的に実現できるようになっている。
高精度に交互に切換えることができる場合に、第1外側リング44または第2外側リング46、もしくは、第1中空ギア36または第2中空ギア56をロックするように設計されてスイッチギア内に設けられたロック手段を用いることで、異なる速度、すなわち、異なるギア比を出力側で発生させることができるようになっている。
モータ12の回転方向が一定である場合、出力手段54の回転方向が、一方向モータのための前述した状況に関連した状態を変化させるようになっている。
出力手段54の一定の回転方向は、ロック手段の切換え以外では、モータ12の回転方向を変えることによっても実現できるようになっている。
特殊な状況において、モータ12が星形接続回路のコイル20で作動することにより、短時間で有効抵抗を下げまた性能を上げるために、中心タップを備えた星形接続システムに操作を切換えることができるようになっている。
モータ12を励磁させるために星形接続回路を用いることは、第3タイプのモータ12とロック手段を伴う組み合わせにとって良好な解決策である。
特殊な状況の発生時には、第3タイプのモータ12の2つのロータのうちの1つが、ロック手段によって機械的にロックされるようになっている。
それから下流のギアステージ14が、高いギア比(低減速)を有するディファレンシャルギアとして作用するようになっている。
スイッチが、中間タップに作られた後、他方のロータが、低抵抗により高い出力消費で作動し、このことが最終的には、出力手段54で適切な出力の増大を生じさせるようになっている。
本発明に係る車両座席内アジャスタ用駆動ユニット10は、他用途でも使用できるが、本実施例では車両内のアジャスタ80を駆動させるために用いられている。
アジャスタ80は、一般に相互に回転する2つの構成部材を備えており、これら2つの構成部材の間で、車両座席内アジャスタ用駆動ユニット10が出力手段54を介してアジャスタ80に対してトルクを出力するようになっている。
出力手段54の低回転速度は、大量のトルクを生じるようになっている。
出力手段54の回転運動をアジャスタ80の直線運動に変換する手段を設けても良い。
アジャスタ80の各調整方向のために、別個の車両座席内アジャスタ用駆動ユニット10を設けても良い。
幾つかの用途では、同様の態様で形成された2つのアジャスタ80が、単一の構成部材を移動させるために協働するようになっている。
例えば、車両座席の両側にアジャスタ80がそれぞれ設けられ、公知方法では、この一対のアジャスタ80は、回転自在な伝動ロッドによって相互に連結されて同期が取られるようになっている。
本発明による車両座席内アジャスタ用駆動ユニット10は、非常に狭い設置スペースしか必要としないため、一対のアジャスタ80に対してそれぞれ個別に設けることができるように設計されている。
複数の車両座席内アジャスタ用駆動ユニット10は、例えば、モータ12の電気整流用として用いられる電気手段を介して同期が取られるようになっており、車両座席に用いる場合、車両座席の構造物の剛性を介して同期が取られるようになっている。
本発明の一実施例である車両座席内アジャスタ用駆動ユニットの概略説明図。 第1タイプのモータを示す平面図。 第2タイプのモータを示す平面図。 第3タイプのモータを示す平面図。 摩擦ホイール形式を呈する第1タイプのギアステージを示す平面図。 歯車形式を呈する第1タイプのギアステージを示す平面図。 第2タイプのギアステージを部分的に示す平面図。 図4のV−V線に沿ったギアステージの断面図。 図5に示したギアステージの拡大図。 第3タイプのギアステージを示す平面図。 図7のVIII−VIII線に沿ったギアステージの断面図。 スイッチギア形式を呈したギアステージを示す平面図。 図9のX方向から見たギアステージの断面図。 図9のXI−XI線に沿ったギアステージの断面図。 図9に示すギアステージの変形例を示す断面図。 モータの休止状態におけるロック手段を示す説明図。 モータの駆動開始時におけるロック手段を示す説明図。
符号の説明
10 ・・・ 車両座席内アジャスタ用駆動ユニット
12 ・・・ モータ
14 ・・・ ギアステージ
16 ・・・ ステータ
18 ・・・ ステータポール
20 ・・・ コイル
22 ・・・ 内部ロータ
24 ・・・ 外部ロータ
26 ・・・ 永久磁石
28 ・・・ 内側磁束リング
30 ・・・ 外側磁束リング
32,32’ ・・・ 中心ギア
34 ・・・ 内側遊星ローラ
34’ ・・・ 遊星ギア
36,36’ ・・・ 第1中空ギア
38 ・・・ 遊星キャリヤ
40 ・・・ 第1外側遊星ローラ
42 ・・・ 第2外側遊星ローラ
44 ・・・ 第1外側リング
46 ・・・ 第2外側リング
48 ・・・ 金属リング部分
50 ・・・ エラストマーベッド部分
52 ・・・ 支持体部分
54 ・・・ 出力手段
56 ・・・ 第2中空ギア
58 ・・・ 第3外側リング
60 ・・・ 巻線スプリング
61 ・・・ 保持磁石
62 ・・・ コア
63 ・・・ 切換えコイル
64 ・・・ 歯付き爪部材
64’ ・・・ 制御外周部分
66 ・・・ モータピニオン
67 ・・・ 中間ギア
68 ・・・ ディスクカム
68’ ・・・ カム突起
80 ・・・ アジャスタ
A ・・・ 第1中心軸
B ・・・ 第2中心軸

Claims (9)

  1. モータ(12)と該モータ(12)の出力側に設けられて出力手段(54)を有するギアステージ(14)とを備えてアジャスタ(80)に用いられる車両座席内アジャスタ用駆動ユニット(10)において、
    前記ギアステージ(14)が、前記モータ(12)から伝達される駆動力の回転方向を変更することなく出力手段(54)の回転方向を規定して出力手段(54)の2つの異なる回転方向を選択するスイッチギアとして設計されているとともに、前記ギアステージ(14)の複数の異なる構成部材を巻き線スプリング(60)を用いて摩擦係合してロックするロック手段を有している、または、前記ギアステージ(14)の複数の異なる構成部材を歯付き爪部材(64)を用いて積極的にロックするロック手段を有していることを特徴とする車両座席内アジャスタ用駆動ユニット(10)。
  2. 前記モータ(12)が、ブラシを有さない電気整流されたモータであることを特徴とする請求項1記載の車両座席内アジャスタ用駆動ユニット(10)。
  3. 前記ギアステージ(14)が、中心ギア(32;32’)と遊星ローラ(34)または遊星ギア(34’)と中空ギア(36,36’,56)または外側リング(44,46)とを有する単一段形式の遊星ディファレンシャルギアとして設計されていることを特徴とする特徴とする請求項1または請求項2記載の車両座席内アジャスタ用駆動ユニット(10)。
  4. 前記2つの中心ギア(32)が、異なる外径または異なる外周及び/又は異なる弾性をそれぞれ有しており、及び/又は、前記2つの外側リング(44,46)が、異なる内径をそれぞれ有しており、及び/又は、前記2つの中空ギア(36,56)が、異なる内周または異なる弾性をそれぞれ有していることを特徴とする請求項3記載の車両座席内アジャスタ用駆動ユニット(10)。
  5. 前記複数の異なる外側リング(44,46)及び/又は複数の異なる中空ギア(36,56)及び/又は複数の異なる中心ギア(32)が、切換え自在にロックされていることを特徴とする請求項3または請求項4記載の車両座席内アジャスタ用駆動ユニット(10)。
  6. 前記2つの中心ギア(32)または2つの外側リング(44,46)または2つの中空ギア(36,56)の一方が、ハウジングに固定されているとともに、他方が、前記出力手段(54)に固定されていることを特徴とする請求項5記載の車両座席内アジャスタ用駆動ユニット(10)。
  7. 前記中心ギア(32)が、前記モータ(12)のロータ(22,24)に強固に接続されており、前記第1外側リング(44)または第1中空ギア(36)が、前記ステータ(16)に接続されているとともに、前記第2外側リング(46)または第2中空ギア(56)が、前記出力手段(54)に接続されていることを特徴とする請求項6記載の車両座席内アジャスタ用駆動ユニット(10)。
  8. 前記ロック手段が、前記車両座席内アジャスタ用駆動ユニット(10)の電源を入れた際に自動的かつ機械的に解除されるようになっていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の車両座席内アジャスタ用駆動ユニット(10)。
  9. 相互に反発するように配置された保持磁石(61)と相互作用するとともにコア(62)を有する切換えコイル(63)が、切換えのために設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の車両座席内アジャスタ用駆動ユニット(10)。
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