JP6510908B2 - 減速機付モータ - Google Patents
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偏心部は、モータ部の回転軸線に対して偏心した位置を中心とする偏心外周面を有し、この偏心外周面に揺動歯車が相対回転可能に挿入されている。また、出力部は、モータ部の回転軸線と同軸上に回転する。
例えば、モータ部の回転軸に、偏心部とは別にバランスウェイトを設ける技術が開示さえている(例えば、特許文献1参照)。
さらに、偏心部とバランスウェイトとを別々に設けると、これら偏心部とバランスウェイトとの相対位置を高精度に決めにくく、荷重バランスを改善しにくいという課題があった。
また、従動部に、偏心部とバランスウェイトとが一体的に設けられているので、これら偏心部とバランスウェイトとを近接配置できると共に、これら偏心部とバランスウェイトとの相対位置を高精度に決めることができる。このため、容易に荷重バランスを改善できる。
また、従動部に、偏心部とバランスウェイトとが一体的に設けられているので、これら偏心部とバランスウェイトとを近接配置できると共に、これら偏心部とバランスウェイトとの相対位置を高精度に決めることができる。このため、容易に荷重バランスを改善できる。
図1は、減速機付モータ1の斜視図、図2は、減速機付モータ1の断面図、図3は、減速機付モータ1の分解斜視図である。
図1〜図3に示すように、減速機付モータ1は、DCブラシ付きモータとして構成された偏平形状のモータ部10と、モータ部10の回転出力がクラッチ機構60を介して伝達される減速機構100と、を備えている。
なお、以下の説明において、説明を分かり易くするために、出力軸111から出力を取り出す側を上側(図1〜図3における上側)と称し、その反対側を下側(図1〜図3における下側)と称する。また、モータ軸線L1に沿う方向を単に軸方向、モータ軸線L1回りの方向を単に周方向、モータ軸線L1に直交する方向を径方向と称して説明する場合がある。
さらに、モータハウジング11の周壁11bには、内周面に複数(例えば、この実施形態では6つ)のモータマグネット(永久磁石)13が配置されている。モータマグネット13は、断面円弧状に形成されており、N極とS極とが周方向に交互に配置されている。なお、モータマグネット13をリング状に形成し、このモータマグネット13に複数の磁極を形成してもよい。
モータハウジング11の底壁11aの径方向中心には、主軸部材2が立設されている。主軸部材2は、基端2aが底壁11aの中央支持部11cに固定されている。主軸部材2は、アーマチュア20の径方向中心部を貫通して、ギヤケーシング101の中央開口から先端2bが突き出している。そして、主軸部材2の中心線が、モータ軸線L1と同軸に設定されている。
モータ部10の主要素であるアーマチュア20は、主軸部材2と同軸に配置されており、主軸部材2を囲んだ状態でモータハウジング11内に配置されている。アーマチュア20は、アーマチュアコイル24が形成されているアーマチュアコア21と、このアーマチュアコア21の上下方向から装着される下側のインシュレータ22および上側のインシュレータ23と、アーマチュアコア21の径方向中央に配置されているコンミテータ30と、を備えている。
図4は、コンミテータ30の斜視図である。
同図に示すように、コンミテータ30は、絶縁樹脂で構成された略円筒状の樹脂ボス部31と、樹脂ボス部31に装着された複数(例えば、本実施形態では9枚)のセグメント金属片32と、により構成されている。
そして、圧入嵌合部33の内周面31aにすべり軸受3が設けられていると共に、円筒壁35の内周面35aにすべり軸受4が設けられている。これらすべり軸受3,4を介し、主軸部材2にコンミテータ30が回転自在に支持される。
このように構成されたコンミテータ30に、クラッチ機構60が連結される。
図5は、クラッチ機構60の詳細を示す分解斜視図である。
同図に示すように、クラッチ機構60は、モータ部10の回転出力を減速機構100に伝達すると共に、減速機構100からモータ部10へ動力が伝達されることを阻止するためのものである。クラッチ機構60は、コンミテータ30に連結される駆動部61と、駆動部61の上側に設けられる従動部62と、駆動部61と従動部62との間に設けられるブレーキ部63と、により構成されている。
図5、図6に示すように、駆動部61は、略円板状の駆動部本体64を有している。駆動部本体64の外径は、コンミテータ30の円筒壁35の外径よりも大きく設定されている。駆動部本体64の径方向中央には、貫通孔64aが形成されている。貫通孔64aの内径は、コンミテータ30の円筒壁35の内周面35aの内径とほぼ同一に設定されている。そして、円筒壁35の内周面35aに設けられたすべり軸受4の上端が、貫通孔64aに臨まされている。すなわち、駆動部61もコンミテータ30と同様に、すべり軸受3を介して主軸部材2に回転自在に支持される。
図5、図7、図8に示すように、従動部62は、略円筒状の偏心部67を有している。この偏心部67は、減速機構100の一部も構成している。
偏心部67の軸方向に貫通する中心孔の内周面67aは、モータ軸線L1を中心とした円筒面で形成されている。内周面67aには、すべり軸受50が圧入されている。これにより、偏心部67は、主軸部材2に回転自在に支持される。
一方、偏心部67の外周面67bは、モータ軸線L1と同心の中心O1に対して偏心した位置を中心O2とする円筒面で形成されている。
また、3つの従動爪68のうちの1つ(以下、第1の従動爪68という場合がある)は、偏心部67の中心O1と中心O2とを結ぶ直線L2上で、かつ偏心部67の偏心方向H側に配置されている。さらに、第1の従動爪68は、縦壁68bの周方向中央が直線L2上に位置するように配置されている。
図5、図9に示すように、ブレーキ部63は、従動部62から駆動部61への動力の伝達を阻止するためのものであって、3つの略円板状のコロ71と、これらコロ71を保持するコロホルダ72と、を備えている。3つのコロ71は、それぞれ従動爪68の内周面68c側に配置されている。
ここで、収納凹部73bの半円形状は、コロ71の半径よりも若干大きな曲率半径で形成されている。このため、収納凹部73b内において、コロ71は、多少ガタツキを持って収納される。
ここで、従動部62の偏心部67は、減速機構100の一部を構成している。
図10は、減速機構100を上側からみた平面図である。
図2、図3、図10に示すように、減速機構100は、給電装置40の上側にスペーサ80を介して配置され、上からギヤケーシング101によって覆われている。ギヤケーシング101の開口縁には、モータハウジング11の複数のボルト座12に対応する位置に、それぞれボルト座105が径方向外側に向かって突出形成されている。各ボルト座105には、それぞれ不図示のボルトを挿通可能な貫通孔105aが形成されている。そして、モータハウジング11のボルト座12と、ギヤケーシング101のボルト座105と、を軸方向に重ね合わせ、不図示のボルトによって両者12,105を締結固定することにより、モータハウジング11とギヤケーシング101とが一体化される。
減速機構100は、ハイポサイクロイド減速機構として構成されており、偏心部67の他に、ギヤケーシング101の内周面に固定されたリングギヤ102と、偏心部67に転がり軸受81を介して回転自在に取り付けられた揺動歯車103と、揺動歯車103に噛合される出力部110と、を備えている。
歯車本体103aの外周部には、リングギヤ102の内歯102aと噛合される外歯103bが形成されている。また、歯車本体103a上には、内歯リング103cが立設されている。内歯リング103cの外径は、歯車本体103aよりも小さく設定されている。内歯リング103cの内周面には、内歯103dが形成されている。
次に、図3に基づいて、給電装置40について説明する。
同図に示すように、給電装置40は、略円板状に形成された絶縁樹脂製の給電ハウジング41に、ブラシホルダ42を介して、ブラシ45を支持させたものである。ブラシ45は、不図示のバネによって径方向中央(コンミテータ30のセグメント32a)に向かって付勢されている。また、一対のブラシ45は、コンミテータ30の樹脂ボス部31の円筒壁35の外周側で、アーマチュアコア21の軸方向に隣接した上側の位置に配置されている。これにより、一対のブラシ45は、先端がコンミテータ30のセグメント32aに摺接する。また、一対のブラシ45は、給電ハウジング41の一側に一体成形されているコネクタ48の端子48a(図2参照)に電気接続されている。
次に、減速機付モータ1の動作について説明する。
まず、モータ部10の動作について説明する。
不図示の外部電源(外部制御機器)にコネクタ48を電気的に接続すると、このコネクタ48、ブラシ45、およびセグメント32aを介してアーマチュアコイル24に給電が行われる。すると、アーマチュアコア21に所定の磁界が発生する。そして、この磁界と、モータマグネット13との間に磁気的な吸引力や反発力が作用し、アーマチュア20が回転する。この回転によって、ブラシ45が摺接するセグメント32aが順次変更され、アーマチュアコイル24に流れる電流の向きが切替えられる、いわゆる整流が行われる。これにより、アーマチュア20が継続的に回転する。アーマチュア20が継続的に回転すると、コンミテータ30と連結されているクラッチ機構60が作動する。
次に、図11に基づいて、クラッチ機構60の動作について説明する。
図11は、クラッチ機構60の動作説明図であって、(a)〜(d)は、駆動条件ごとのクラッチ機構60の挙動を示す。
まず、図11(a)に示すように、駆動部61と従動部62とが中立位置(ニュートラル位置)にあるときは、駆動爪66と従動爪68とが接触していない。また、従動爪68の内周面68cにおける周方向中央に、コロ71が位置している(以下、このコロ71の位置を、コロ71の中立位置という)。従動爪68の内周面68cは、周方向中央に向かうに従って窪むように形成されているので、コロホルダ72の径方向において、コロ71にガタツキがある。このため、コロ71は回転可能な状態になっている。
このため、従動爪68の縦壁68bにおける周方向端部68d側にコロ71が位置すると、従動爪68によってコロ71が径方向内側に押圧される(図11(b)における矢印F1参照)。そして、コロ71が径方向内側に変位する(図11(b)における矢印Y4参照)。これにより、主軸部材2と駆動爪66とによりコロ71を挟持した状態になり、コロホルダ72の回転が阻止される。この結果、駆動部61の回転が阻止される(ブレーキ状態)。すなわち、コロ71やコロホルダ72に加え、主軸部材2、および従動爪68もブレーキ部63として機能している。
まず、図11(c)に基づいて、図11(b)の状態から駆動部61を時計回り(図11(c)における矢印Y5参照)に駆動させた場合について説明する。
図11(c)に示すように、駆動部61を時計回りに回転させると、駆動爪66と係合突起73c(コロホルダ72)と従動爪68とが一体となって回転しようとする。このとき、駆動爪66の係合溝66aとコロホルダ72の係合突起73cとのガタツキ(クリアランス)、およびコロホルダ72の収納凹部73bとコロ71とのガタツキ(クリアランス)によって、従動爪68の縦壁68bにおける周方向中央側にコロ71が位置するように、従動爪68がずれる。これにより、主軸部材2と駆動爪66とによるコロ71の挟持(ブレーキ状態)が解除される。このため、コロ71が自由に回転できる状態になり、駆動部61と従動部62とが一体となって回転する。
図11(d)に示すように、駆動部61を反時計回りに回転させると、駆動爪66と係合突起73c(コロホルダ72)とが一体となって回転する。このとき、駆動爪66は、従動爪68から離間する方向に回転移動することになるので、従動爪68には回転力が作用せず、その場に止まる。この状態で、コロホルダ72が回転し続けるので、コロ71が中立位置に移動する。この結果、主軸部材2と駆動爪66とによるコロ71の挟持(ブレーキ状態)が解除される。そして、このまま、駆動部61が回転し続けると、図11(a)に基づいて上記で説明したように、駆動部61と従動部62とが一体となって回転する。
次に、減速機構100の動作について説明する。
アーマチュア20の回転により、クラッチ機構60を介して偏心部67が回転すると、その回転を受けて揺動歯車103が回転する。ここで、揺動歯車103は、偏心部67に対して転がり軸受81を介して回転自在に設けられていると共に、外歯103bがリングギヤ102の内歯102aに噛合されている。このため、揺動歯車103は、モータ軸線L1回りに公転し、かつ偏心部67の中心O2(図8参照)回りに回転する。この揺動歯車103の揺動回転により、揺動歯車103の内歯103dに噛合される出力部110が減速回転を出力する。
このとき、偏心部67の偏心した質量のアンバランス、および揺動歯車103の揺動回転の際の荷重のアンバランスは、偏心部67と一体化されている従動部62(クラッチ機構60)に設けられたバランスウェイト69によって調整される。
また、偏心部67とバランスウェイト69とを一体化させることで、バランスウェイト69を、所望の位置に正確に設けることができる。すなわち、バランスウェイト69の周方向中央を、偏心方向H(図8参照)とは中心O1,O2を挟んで反対側の直線L2上に正確に位置させることができる。このため、減速機付モータ1の荷重バランスを容易に改善できる。
一方、第1の従動爪68は、偏心部67の偏心方向H側に設けられているので、取付け剛性を確保し易い。
例えば、上述の実施形態では、減速機付モータ1を構成するモータ部10は、モータマグネット13の磁極数が6個、アーマチュア20のスロット21sが9個、コンミテータ30のセグメント32aが9個のいわゆる6極9スロット9セグメントの集中巻き直流モータとして構成されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、モータマグネット13の磁極数、スロット数、およびセグメント数は、任意に設定することが可能である。
さらに、上述の実施形態では、コンミテータ30、540は、アーマチュアコア21から軸方向に突出した樹脂ボス部31、331、531の円筒壁35、535の外周面に、セグメント32aが配置されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、円板状のコンミテータの一面にセグメントが放射状に配置される、いわゆるディスク型コンミテータにも、上述の実施形態を適用することが可能である。
また、上述の実施形態では、クラッチ機構60は、3つの駆動爪66と3つの従動爪68とにより、駆動部61と従動部62とを係合させる場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、駆動爪66や従動爪68の個数を任意に設定することが可能である。
2…主軸部材(係止シャフト)
10…モータ部
60…クラッチ機構
61…駆動部
62…従動部
63…ブレーキ部
66…駆動爪
67…偏心部
68…従動爪(第1の従動爪、第2の従動爪、第3の従動爪)
69…バランスウェイト
71…コロ
100…減速機構
101…ギヤケーシング
102…リングギヤ
102a…内歯
103…揺動歯車
103b…外歯
103d…内歯
110…出力部
111…出力軸
H…偏心方向
L1…モータ軸線(回転軸線)
Claims (4)
- モータ部と、
前記モータ部の回転出力がクラッチ機構を介して伝達される減速機構と、
を備え、
前記減速機構は、
ギヤケーシングと、
回転軸線に対して偏心した位置を中心とする偏心部と、
前記偏心部に相対回転可能に嵌合され、外歯と内歯を有する揺動歯車と、
前記揺動歯車の前記外歯に噛合され、前記ギヤケーシングに固定されるリングギヤと、
前記揺動歯車の前記内歯に噛合され、前記回転軸線回りに回転する出力部と、
を備え、
前記クラッチ機構は、
前記モータ部側に設けられる駆動部と、
前記減速機構側に設けられる従動部と、
前記従動部から前記駆動部への動力の伝達を阻止可能なブレーキ部と、
を備え、
前記従動部に、前記偏心部が一体的に設けられていると共に、前記偏心部の偏心した質量及び前記減速機構の荷重バランスを調整するためのバランスウェイトが一体的に設けられていることを特徴とする減速機付モータ。 - 前記クラッチ機構は、
前記回転軸線上に設けられた係止シャフトと、
前記係止シャフトの周囲に設けられた複数のコロと、
をさらに備え、
前記駆動部および前記従動部は、前記回転軸線回りに回転可能に設けられていると共に、
前記駆動部は、前記複数のコロの間に配置される複数の駆動爪を有している一方、
前記従動部は、前記複数のコロの前記回転軸線と直交する径方向外側に配置され、前記駆動爪と係脱可能、かつ前記複数のコロを前記係止シャフトに向かって押圧可能な従動爪を有し、
前記係止シャフト、前記複数のコロ、および前記従動爪が、前記ブレーキ部として機能することを特徴とする請求項1に記載の減速機付モータ。 - 周方向に隣り合う2つの前記従動爪の間で、かつ前記偏心部の偏心方向とは反対側に、前記バランスウェイトが設けられていることを特徴とする請求項2に記載の減速機付モータ。
- 前記従動爪は、周方向に等間隔で3つ設けられており、
3つの前記従動爪のうち、第1の前記従動爪は、前記偏心部の偏心方向に配置され、
前記第1の前記従動爪以外の第2の前記従動爪と第3の前記従動爪とに跨るように、前記バランスウェイトが設けられていることを特徴とする請求項3に記載の減速機付モータ。
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