JP4648606B2 - 冷却ファン - Google Patents
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Description
【発明の背景】
本発明は、産業用エンジン又は自動車エンジンにより駆動され且つこれらのエンジンの冷却に使用されるファンのような冷却ファンに関する。より具体的には、本発明の特定の特徴は、リングファンに関する一方、その他の特徴はファンブレードの設計に関する。
【0002】
殆どの産業用エンジン及び自動車用エンジンの適用例において、冷却液ラジエータを亙って空気を吹き出すべくエンジン被駆動の冷却ファンが利用される。通常、このファンは、エンジンのクランク軸に接続されたベルト駆動機構を介して駆動される。
【0003】
典型的な冷却ファンは、中央のハブプレートに取り付けられた複数のブレードを備えている。ハブプレートは、例えば、ベルト駆動機構との回転接続部を提供し得るような形態とすることができる。ファンブレードの寸法及び数は、特定の適用例に対する冷却条件によって決まる。例えば、小型の自動車用ファンは、直径僅か22.86cm(9インチ)の4つのブレードがあればよい。より大型の適用例の場合、より多数のブレードが必要とされる。1つの典型的な高荷重の自動車の適用例において、外径704mmの9つのブレードがファンの設計に含まれている。
【0004】
ブレードの数及び直径に加えて、特定のファンの冷却能力は、また、その作動速度におけるファンにより発生させることのできる空気流の体積によっても支配される。この空気流の体積は、ブレードの面積及び曲率又はプロフィールのようなブレードの特定の幾何学的形態及びファンの回転速度に依存する。
【0005】
冷却ファンの寸法及び空気流の容量が増すに伴い、ファン、特に、ブレードが受ける荷重も増大する。更に、より高速の回転速度及びファンを通る増大した空気流は、ブレードのピッチ誤差(depitching)、及び顕著な騒音上の問題を発生する可能性がある。これらの問題点にある程度まで対処するため、特定の冷却ファンの設計はファンの円周の周りにリングを内蔵している。具体的には、ブレード先端がリングに取り付けられ、このことは、ブレード先端に安定性をもたらす。このリングは、また、特に、リングがリングの円周に従うU字形のシュラウドと組み合わされたとき、ブレード先端に発生する渦流を少なくするのにも役立つ。
【0006】
このため、リングファンの設計は、従来の非支持型の冷却ファンの形態にて生じる構造上の難点の幾つかを解消する。しかし、リングファンにより提供される強度の増加及び改良された振動特性に伴って、これらファンの通常の作動状態は向上し、同様に、リングファンの能力範囲を拡大している。更に、円周リングの質量慣性は、ブレード−リングの相互境界面に加わる求心力を増大させる。
【0007】
その結果、再度、リングファンの強度を増大させると同時に、リングファンの冷却空気流の容量を向上させる方法を開発する必要性が生じている。この必要性は、より大型の産業用エンジン及び自動車エンジンの増大する冷却要求に応えるべくファンの作動回転速度が増すに伴って、特に、顕著となっている。
【0008】
【発明の概要】
これらの必要性に対処するため、本発明は、ファンがリング型ファンである、エンジン冷却装置内で使用されるエンジン被駆動冷却ファンを提供しようとするものである。該ファンは、中央ハブと、該ハブから半径方向外方に突き出す複数のファンブレードとを備えており、ブレードの各々は、ハブに接続されたブレード根元部及びその他端におけるブレード先端を備えている。ブレードの各々は、ファンの入口側の前縁及びファンの出口側の後縁を更に画定する。該冷却ファンは、また、複数のファンブレードの各々のブレード先端に接続された周縁リングをも備えている。
【0009】
本発明の1つの特徴において、該周縁リングは、ファンの出口側に半径方向外方に拡がる縁部を有している。拡がった縁部は、ファンを格納又は輸送のため積み重ねたとき、別の冷却ファンの周縁部の上に入れ子式に嵌るようにされた拡がり面を画定する。この拡がった縁部は、所定の数の冷却ファンの積重ね体の高さを低くし、また、積重ね体の安定性を向上させる。
【0010】
本発明の特定の実施の形態における別の特徴において、ファンブレードの各々は、ブレードの後部面に取り付けられた支持ベーンを備えている。好ましい実施の形態において、支持ベーンは、ブレードの根元部及び前縁に隣接して開始する第一の端部と、ブレードの根元部とブレードの先端との間にてブレードの後縁にて終わる他端たる第二の端部とを有している。好ましくは、支持ベーンは、ファンブレードの後部面に沿った空気流路の曲率に従い得るように第一の端部及び第二の端部の間で湾曲している。この特徴により、支持ベーンが冷却ファンを通る空気流を乱すことはない。
【0011】
支持ベーンは、ファンブレードの重要な領域にファンブレードに追加的な支持力及び剛さを提供し得るようにブレードの根元部から開始する。より具体的には、支持ベーンの位置及び形態は、冷却ファンの第一の振動モードの剛さを増し、第一のモードの励起振動数がファンの最高回転速度を越えるようにする。
【0012】
最も好ましい実施の形態において、複数のファンブレードの各々は、根元部と先端との間のブレード長さを画定し、また、支持ベーンは、ブレードの長さの第一の半分にて後縁の位置にて終わっている。この位置決めもまた冷却ファンを通る空気流に対する支持ベーンの影響を最小にする。
【0013】
本発明の冷却ファンの別の特徴において、ブレードの根元部に隣接して中央ハブには、周縁支持リングが設けられる。この特徴により、支持ベーンは、リングが支持ベーンに支持力及び剛さを提供し得るように支持リングに取り付けられている。最も好ましくは、冷却ファンは、支持リングと支持体との間に接続されたベーン支持上部構造体を更に備えている。この上部構造体は、リングとベーンとの間に接続されたリブを配置することを含むことができ、このリブは、ファンがある速度で作動しているとき、支持ベーンに加わる空気力学的荷重に反応し得るように配置されている。この上部構造体は、支持ベーンの実質的に中間の位置にて支持ベーンから実質的に垂直に突き出す角度付きリブを含むことができる。ベーンは、空気流路に従い得るように湾曲しているため、垂直方向リブは、ブレードの根元部及び支持リングに対しある角度を成して突き出す。ブレードの前縁により近い位置に追加的な半径方向リブを設けることができる。
【0014】
その他の実施の形態において、冷却ファンは、また、支持リング及び中央ハブの間に接続されたリング支持上部構造体も備えることができる。このリング上部構造体は、支持ベーンに加わった荷重に反応するのを助力し得るように、リングに対する支持体を提供する。好ましくは、リング上部構造体は、ベーン支持上部構造体のリブに相応するようにリブを配置することを含む。
【0015】
本発明の別の特徴において、周縁外側リング及びブレード先端は、その間に融合領域(blend region)を画定する。より具体的には、この融合領域は、後縁に隣接するブレードの先端縁と周縁リングの拡がった縁部との間に配置されている。この融合領域は、最初に、外側リングとファンブレードとの間の接続部に存在する応力増大部分を解消し、このことは、ブレードとリングが分離する虞れを実質的に少なくする。更に、本発明の融合領域は、挿入体を必要とせずに、2部分から成る金型を使用する典型的な成形方法により実現することができる。
【0016】
本発明の更に別の特徴において、ファンブレードの各々は、ブレードの強度及び剛さを維持しつつ、空気流の特徴を最適にする独特の翼型の幾何学的形態を有している。このように、本発明の1つの特徴は、ブレードのキャンバ(camber)がブレードの半径方向長さに沿って変化するブレードの幾何学的形態とすることである。より具体的には、このキャンバは、ブレードの根元部から半径方向距離の約六分の一(1/6)の位置に最小値を有する。このように、キャンバは、ブレードの根元部からこの位置まで縮小し、また、それ以降、ブレードの後縁まで増大する。代替的な実施の形態において、ブレードの幾何学的形態はブレードの半径方向長さに沿って変化し、半径方向長さに沿った同一の位置に最大値を有する弦角度を含む。同様に、ブレードは、この同一の位置に最大値を有する可変の弦−ピッチ比(cpr)を画定することができる。形成されるブレードは、従来から既知のファンブレードよりも優れた改良された空気流の特徴を有する。
【0017】
本発明の1つの目的は、エンジン冷却装置用に強度及び性能が最適化されたリングファンを提供することである。別の目的は、その他のファンに対する該ファンの積み重ね性を向上させる特徴に存する。
【0018】
本発明の1つの有利な点は、第一の振動モードの剛さが増大したリングファンを提供することにある。別の有利な点は、ファンの空気流特性に顕著に影響せずにこの改良された剛さが実現されることである。
【0019】
以下の説明及び添付図面を考慮することにより、色々な実施の形態における本発明のその他の目的及び有利な点が理解されよう。
【0020】
【好ましい実施の形態の説明】
本発明の原理の理解を促進する目的のため、次に、図面に図示した実施の形態に関して説明し、この説明のため特定の用語を使用する。しかし、これにより本発明の範囲を何ら限定することを意図するものではないことが理解されよう。本発明は、図示した装置及び記述方法の任意の変更例及び更なる改変例を含み、また、本発明が関係する技術分野の当業者に通常案出されるであろう本発明の原理の更なる適用例を包含するものである。
【0021】
本発明の1つの実施の形態において、図1に図示したようなリンクファン10は、中央ハブプレート12に取り付けられた多数のブレード11を備えている。ハブプレートは、ファンを既知の設計のファン駆動アセンブリに取り付け得る形態とされた取り付けボルトリング13を含むことができる。該ファン10は、ファンブレード11の各々のブレード先端17に固着された外側リング15を更に備えている。上述したように、図1のリングファン10は既知の方法で製造することができる。例えば、外側リング15及びブレード11は、従来から既知の方法にて金属製ハブプレート12の周りに射出成形されることが好ましい高強度の成形可能なポリマー材料にて製造することができる。この方法において、典型的に、ハブプレート12は、ブレード11の各々の根元部19に形成された内側リング16内に成形される。
【0022】
ブレード11の各々は、リングファン10に対する効果的な入口である前面22を備えている。同様に、ブレードの各々はリングファンの後側に反対側の裏側面25を備えている(図2参照)。好ましい実施の形態において、各々がブレードの根元部19からブレード先端17まで実質的に均一な厚さを有する9つのブレード11を設けることができる。1つの代替的な実施の形態において、ブレード11の各々はブレードの前縁11aからその後縁11bまで厚さを変化させることができる。ブレード11の各々は、リングファン10をその標準的な作動回転速度範囲内で作動させたとき、最大の空気流を提供し得るようにされた翼型の形態に従うことが好ましい。
【0023】
図2を参照すると、ファン10の外側リング15は、全体としてファンの外面に配置された拡がった縁部28を含むことが理解できる。該拡がった縁部はブレード11の各々の先端17から離れる漸進的な曲率に従う半径方向外方に拡がった面29を画定する。該ファンは、ファンブレードの前縁11aにおける入口側10aと、後縁11bにおける反対側出口側10bとを画定する。外側リングの拡がった縁部28はファンの出口側10bに配置される。
【0024】
外側リング15の拡がった縁部28により提供される1つの有利な点が図5に図示されている。より具体的には、図5には、本発明による3つのファン、すなわち、積み重ねた配置状態のファン101、102、103が図示されている。典型的に、冷却ファンを製造するとき、これらのファンは格納及び/又は最終ユーザに輸送するため積み重ねられる。積み重ねたファンの高さを増し且つ/又は特定の高さの範囲内で保持することのできるファンの数を増すことを必要とする、格納又は輸送されるファンの数を最適にすることが重要であることが極めて多い。本発明の拡がった縁部28はその双方の有益な目的を達成する。具体的には、拡がった縁部28は、下方の隣接するファンの外側リング15に静止することができる入れ子式面を特に拡がった面29に提供する。この特徴は、ファンの各々が次の隣接するファン内に僅かに入れ子式に嵌るから、互いの頂部に積み重ねられた所定の数のファン全体の高さを低くすることになる。更に、縁部28の拡がった面29はファンの各積重ね体の安定性を増すことに役立ち、積重ね体が移動したり倒れるのを防止できるようにする。
【0025】
図2を再度参照すると、本発明の当該実施の形態の別の重要な特徴を認識することができる。具体的には、ブレード11の各々は、背面25に画定された支持ベーン30を備えることができる。好ましくは、該支持ベーン30は、ブレード11の各々と略等しい厚さであり、また、ファン10の他の部分と共に成形し得る形態とされている。本発明によれば、支持ベーン30は、ブレード11の各々の根元部19に隣接している。特定の作動状態下、すなわち、高回転速度及び高空気流量のとき、リングファン10は、その第一の振動モード(すなわち、ドラム状振動)にて励起させることができる。ブレードの各々のブレード根元部19の支持ベーン30は第一モードの剛さを増し、その結果、振動モードに対する励起速度がリングファン10の通常の作動速度範囲以上まで増大する。
【0026】
支持ベーン30を追加することは、リングファン10の振動特性を向上させる上で重要であるが、このことは、ブレード11の各々の背面25を亙る空気流を乱す可能性がある。このため、本発明の更なる特徴において、支持体30の各々は、ブレードの前縁11aからその後縁11bまで湾曲している。具体的には、該ベーンは、図2に矢印Fで示した特徴的な空気流路の曲率に従う。最も好ましくは、支持ベーン30は、ブレード根元部19に直ぐ隣接する位置から開始し且つ空気流の曲率Fに従ってブレードの後縁11bに達し、ブレードの半径方向長さの約三分の一の位置で終わるようにする。
【0027】
図示した実施の形態において、空気流の曲率Fは混合流れ冷却ファン(mixed flow cooling fans)に共通である。半径方向及び軸方向流れファンのようなその他の型式のファンの場合、その他の流れベクトルが生じ、また、これに応じて支持ベーン30の曲率も変更可能であると考えられる。
【0028】
支持ベーン30の更なる特徴において、ベーンは、ファン10の内側成形リング16の周りで薄肉厚のリングの形態にある内側支持リング35から開始する。この支持リング35は、ファンの背面から突き出す十分な高さを有し、支持リング35の上端縁が図4に最も良く示すようにファンの拡がった縁部28の面を僅かに越えて、すなわち縁部28の面の外側に突き出す。しかし、好ましくは、支持リングはファンをその駆動機構により取り付けるのを妨害する程、ファンのハブから上方に突き出さないようにする。
【0029】
特定の実施の形態において、このように、支持ベーン30は支持リング35にて開始し、また、ブレード根元部19にて支持リングに等しい高さを有する。ブレード弦がその半径方向長さに沿って湾曲するため、ベーンがブレード根元部からブレードの後縁11bの終点まで横断するとき、支持ベーン30の高さは低下する。最も好ましくは、ベーンの後縁33がファンブレード11の後縁により形成された面の外側まで伸びないような支持ベーンの構造とする。
【0030】
支持ベーン30及び関係するリング35は協働してリングファン10の第一の振動モードの応答周波数を増し且つその厳格さを軽減する。しかし、支持ベーン30の各々の流れ案内面31を保ち得るように、これらの機能を更に強化することが望ましい。その結果、本発明の好ましい実施の形態の更なる特徴によれば、支持リング35及びベーン30の各々の後側支持面32の間にベーン支持上部構造体37が配置される。更に、支持リング35自体には、リングの半径方向内方にリング支持上部構造体39が設けられ且つこの支持リングは、成形したファン10の内側リング16内に一体化される。
【0031】
ベーン支持上部構造体37及びリング支持上部構造体39の詳細は、図6に最も明確に図示されている。最も好ましい実施の形態において、ベーン支持上部構造体37は、支持面32に接触するように支持リング35から半径方向外方に突き出す一対の平行な半径方向支持リブ42を備えている。これらの平行な半径方向リブ42は、ブレードの各々の前縁11aに隣接するように配置されている。更に、ベーン支持上部構造体37は、全体として、支持ベーン30の中間点に角度付きのベーン支持リブ47を備えている。該角度付きのリブ47は、その中間弦位置にて支持ベーン30に加わった空気力学的力に直接反作用し得るように方向設定されている。
【0032】
支持リング35の曲がり又は振動を防止するため、リング支持上部構造体39は、一対の半径方向リング支持リブ44と、角度付きのリング支持リブ49とを備えている。半径方向リブ44は、ベーン支持体を介してファンの内側リング16及びハブプレート12内に直接伝達された全ての負荷に反作用し得るように、半径方向ベーンの支持リブ42と整合されている。同様に、角度付きのリング支持リブ49は、支持ベーン30に対し上記の方向に作用する空気力学的負荷に直接反作用し得るように、角度付きベーン支持リブ47と整合されている。
【0033】
最後に、本発明の1つの特定の実施の形態によれば、角度付きリング支持リブ49の各々は、内側リング16とハブプレート12との間にて支持リング35まで亙る実質的に垂直に方向設定された支えリブ50を備えている。この形態により、ベーン支持上部構造体37及びリング支持上部構造体39は、支持ベーン30に対し十分な強度及び剛さを提供する。この追加的な支持は支持ベーンがファンブレード11の各々に対し十分な強度及び剛さを提供することを許容する。この強化特徴を組み合わせることは、リングファン10がその可能な最高速度及び冷却空気流の量にて作動することを許容する。
【0034】
本発明の更なる特徴は、図7及び図8に最も良く図示されている。既知のリングファンの従来技術のブレードBは図7に図示されており、この場合、ブレードの先端は周縁リングOに取り付けられている。この典型的な従来技術の構造において、ブレードの先端の取り付け箇所は湾曲した凹部Rにある。この凹部は、外側リングOに沿って実質的に内側にあり、ブレードの相当な長さが非支持状態のままであるようにする。この非支持状態の長さは、従来技術のファンブレードの通常の使用中、先端が曲がり且つ破損することさえもある領域Cを形成する。更に、また最も重要なことは、ブレードとリングの相互境界面が凹部Rの半径に顕著な応力増大部分を発生させる可能性があることである。これらの応力増大部分の結果、ブレード先端がリングから分離し、その後、通常、冷却ファンが破損する可能性がある。
【0035】
この重要な問題点に対処するため、本発明の1つの実施の形態は、図8に図示するように、外側リング15の拡がった縁部18及びブレード11の各々の先端17の間に融合領域20を形成することを考える。特に、この融合領域20は、ブレードの先端端縁18及び外側リング15の拡がった面29の間にある。
【0036】
図8に図示するように、融合領域20を追加することはブレード先端17の非支持長さを著しく短縮することになる。一方、この長さの短縮は、通常の使用中に曲がる可能性のある領域C´を著しく縮小する。更に、該領域C´にてブレードが破損したとしても、その失われた材料がブレード及びファンの性能に与える影響力は最小である。更なる有利な点は、特定のファン設計に対し、ブレードの幅を拡げることができ、このため、ブレードの後縁11bが図8の特定の実施の形態にて示した程度よりも拡がった縁部28を越えて更に伸びることである。
【0037】
また、本発明による融合領域20は標準的な成形技術に対応することができる。従来のファン製造方法によれば、金属製の中央ハブの周りでポリマーを射出成形するため、2つの部分から成る金型が使用される。ファン設計の多くの特徴は、2つの金型半体が分離する方向及び可動の金型挿入体の使用を不要にすることが望ましいことで決まる。図7に図示した従来技術のブレードの形態は、金型挿入体無しで容易に実現可能であるブレードの設計の一例である。
【0038】
本発明のブレード及び融合領域は、従来技術のブレードの設計より僅かな量の材料をブレード先端に追加することを含む。この追加された材料は、融合領域20にてブレードの凸状側部に付与され、この凸状側部は、2つの部分から成る金型が分離する方向に対応する。このように、本発明のブレードを強化する特徴は、成形過程の複雑さ及びコスト増を伴うことなく実現可能である。
【0039】
本発明はまた、本発明のその他の特徴により提供される強度上の特徴を保ちつつ、ファン10の空気流出力を向上させる独創的なブレードの幾何学的形態とすることも考える。より具体的には、本発明の1つの特徴は、図10a乃至図10cのグラフに示した幾何学的パラメータに従って製造されたブレードとすることである。このブレードの幾何学的形態は、標準的な設計パラメータ、すなわち、剛率(solidity)、弦角度及びブレードの根元部から半径方向距離の関数としてのキャンバにて表わされる。剛率は、ブレードの面積の相対的測定値であり、弦−ピッチ比(cpr)として表示されることがある。このパラメータは特定の半径方向位置におけるブレードの間隔の関数である。弦角度は、ファンの回転面に対するブレードの弦の角度である。キャンバは、ブレードの曲率の測定値、より具体的には、特定の半径方向位置におけるキャンバ高さと弦の長さとの比である。
【0040】
図10a乃至図10cのグラフに示すように、剛率及び弦角度の最大値及びキャンバの最小値は全て同一のファン半径のものである。好ましい実施の形態において、この半径は、ブレードの全長の約六分の一である。剛率及び弦角度の値は最大値から漸進的に減少する一方、キャンバパラメータは漸進的に増大する。本発明によれば、剛率及び弦角度の値は、ブレードの根元部又は先端の何れかにおける相応する値よりもそのそれぞれの最大値が著しく大きい。例えば、ブレードの剛率パラメータの値は根元部にて約0.90、先端にて0.60であり、最大値は約1.05である。弦角度はブレード根元部の36°から40°の最大値まで増大し、最終的に、ブレード先端の約27.5°まで減少する。その双方のパラメータに対し、最大値はブレード根元部の値よりも少なくとも10%大きい。最後に、キャンバ値は根元部の0.12の値から開始して、先端の0.13にて終わり、その最小値は約0.113である。
【0041】
本発明に対するブレードの幾何学的形態の新規性は、図9a乃至図9cのグラフに示した従来技術のブレードの設計を比較することで理解することができる。1つの例外を除いて、剛率又は弦角度の実質的に最大値を示す従来技術のブレードの設計は存在しない。最も重要なことは、本発明のキャンバ曲線、すなわち、ブレード根元部からブレードの長さの最初の六分の一における最小値まで縮小し、次に、再度ブレード先端まで増大する曲線を考える設計は従来技術に存在しない点である。
【0042】
本発明によるブレードの幾何学的形態は、特に、ブレード根元部にて従来技術のリングファンブレードの設計に優る増大した強度を呈する一方、回転するファンブレードにより発生される冷却空気流を最適にする。このブレードの幾何学的形態は、多岐に亙る冷却ファンに使用可能であることが理解される。図示した特定の実施の形態において、ブレードの幾何学的形態は、混合流れリングファンに適用される。リング無しファン及び軸方向並びに半径方向流れファンにも同一の幾何学的形態が使用可能である。
【0043】
本発明を図面に図示し且つ上記の説明にて記述したが、これは単に一例であり、性質上限定的なものではないと理解すべきである。好ましい実施の形態のみを図示し且つ記載したものであり、本発明の精神に属する全ての変更及び改変例は、保護の対象に加えることを望むものであることを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の1つの実施の形態によるリングファンの平面図である。
【図2】 図1に図示したリングファンの底部斜視図である。
【図3】 図1及び図2に図示したリングファンの側面図である。
【図4】 矢印の方向に見たときの図1の線4−4に沿ったリングファンの側面断面図である。
【図5】 積み重ねた配置状態で示した、図1のファンのような多数のリングファンの側面部分断面図である。
【図6】 図2に図示した本発明のリングファンの一部分の拡大斜視図である。
【図7】 従来技術の冷却ファンの形態に対するブレード−リング相互境界面の拡大部分図である。
【図8】 本発明の1つの好ましい実施の形態によるブレード−リング相互境界面の拡大部分図である。
【図9】 9aは、従来技術の冷却ファンブレードのブレード幾何学的形態におけるパラメータのグラフである。
9bは、従来技術の冷却ファンブレードのブレード幾何学的形態におけるパラメータのグラフである。
9cは、従来技術の冷却ファンブレードのブレード幾何学的形態におけるパラメータのグラフである。
【図10】 10aは、本発明の1つの実施の形態による冷却ファンブレードのブレード幾何学的形態におけるパラメータのグラフである。
10bは、本発明の1つの実施の形態による冷却ファンブレードのブレード幾何学的形態におけるパラメータのグラフである。
10cは、本発明の1つの実施の形態による冷却ファンブレードのブレード幾何学的形態におけるパラメータのグラフである。
Claims (15)
- エンジン冷却装置内で使用されるエンジン被駆動冷却ファン(10)において、
中央ハブ(12)と、
該ハブ(12)から半径方向外方に突き出す複数のファンブレード(11)であって、各々がハブに接続されたブレード根元部(19)及びその他端におけるブレード先端(17)を有し、各々が、ファンの入口側(10a)の前縁(11a)及びファンの出口側(10b)の後縁(11b)を画定し、更に、ファン(10)の入口側(10a)に向けた前面(22)及びファン(10)の出口側(10b)に向けた反対側背面(25)を画定するファンブレードと、
前記ブレード(11)の各々が、その前記背面(25)に取り付けられた支持ベーン(30)を有し、該支持ベーン(30)の各々が、前記ブレード根元部(19)及び前記前縁(11a)に隣接して開始する第一の端部及び前記ブレード根元部(19)と前記ブレード先端(17)との間にて前記後縁(11b)で終わる他端の第二の端部を有することとを備え
前記複数のファンブレード(11)の前記ブレード根元部(19)に隣接して前記ハブ(12)に取り付けられた周縁支持リング(35)を更に備え、前記支持ベーン(30)の前記第一の端部が前記支持リング(35)に取り付けられる、エンジン被駆動冷却ファン。 - 請求項1による冷却ファン(10)において、支持ベーン(30)が前記第一の端部と前記第二の端部との間で湾曲している、冷却ファン。
- 請求項2による冷却ファン(10)において、前記支持ベーン(30)が、前記ファンブレード(11)の各々の前記背面(25)に亙って前記空気流路(F)に相応するように湾曲している、冷却ファン。
- 請求項1による冷却ファン(10)において、前記複数のファンブレード(11)の各々が、前記根元部(19)及び前記先端(17)の間のブレード長さを画定し、
前記支持ベーン(30)が、前記ブレード根元部(19)からの前記ブレードの長さの三分の一の位置で終わる、冷却ファン。 - 請求項1による冷却ファン(10)において、前記第一の端部及びその前記第二の端部の間で前記支持リング(35)と前記支持ベーン(30)との間で接続されたベーン支持上部構造体(37)を更に備える、冷却ファン。
- 請求項5による冷却ファン(10)において、前記支持ベーン(30)が前記第一の端部と前記第二の端部との間で湾曲している、冷却ファン。
- 請求項6による冷却ファン(10)において、前記ベーン支持上部構造体(37)が、前記支持ベーン(30)の前記中間の位置にて前記湾曲した支持ベーン(30)から実質的に垂直に突き出す角度付きリブ(47)を備える、冷却ファン。
- 請求項5による冷却ファン(10)において、前記支持リング(35)と前記中央ハブ(12)との間で接続されたリング支持上部構造体(39)を更に備える、冷却ファン。
- 請求項8による冷却ファン(10)において、前記ベーン支持上部構造体(37)が、前記支持ベーン(30)と前記支持リング(35)との間で接続された半径方向に向けられ且つ角度を付けたリブ(42、47)の構成を含み、前記リング支持上部構造体(39)が、前記ベーン支持上部構造体(37)の前記半径方向に向けられ且つ角度を付けたリブ(42、47)の相応する一方と整合されたリブ(44、49)の構成を含む、冷却ファン。
- 請求項1による冷却ファン(10)において、前記支持リング(35)が、1つの面を画定する前記中央ハブ(12)からの高さを有し、前記支持ベーン(30)が、前記支持ベーン(30)を前記面に保ち得るようにされた前記ファンブレード(11)の各々の前記背面(25)からの高さを画定する、前記冷却ファン。
- エンジン冷却装置内で使用されるエンジン被駆動冷却ファン(10)において、
中央ハブ(12)と、
該ハブ(12)から半径方向外方に突き出す複数のファンブレード(11)であって、各々がハブ(12)に接続されたブレード根元部(19)及びその他端におけるブレード先端(17)を有し、前記ブレード先端(17)が先端縁(18)を有し、各々が、ファン(10)の入口側(10a)の前縁(11a)及びファン(10)の出口側(10b)の後縁(11b)を画定する複数のファンブレードと、を備え、
ファンの前記出口側にて半径方向外方に拡がった縁部(28)を画定する周縁リング(15)と、
該周縁リング(15)が、前記ブレード(11)の前記前縁(11a)から前記後縁(11b)の基端側の融合領域(20)まで前記複数のファンブレード(11)の各々の前記先端縁(18)の相当な部分に接続され、前記融合領域(20)が前記周縁リング(15)の前記拡がった縁部(28)に接続されるエンジン被駆動冷却ファン。 - エンジン冷却装置内で使用されるエンジン被駆動冷却ファン(10)において、
中央ハブ(12)と、
該ハブ(12)から半径方向外方に突き出す複数のファンブレード(11)であって、各々が前記ハブ(12)に接続されたブレード根元部(19)及びその他端におけるブレード先端(17)を有し、前記根元部(19)と前記先端(17)との間の半径方向長さを画定する複数のファンブレードと、を備え、
前記ファンブレード(11)の各々が、前記ブレード(11)の半径方向長さに沿って変化するキャンバを画定し、該キャンバが前記ブレード根元部(19)から半径方向長さの略六分の一(1/6)の位置に最小値を有するエンジン被駆動冷却ファン。 - 請求項12による冷却ファン(10)において、前記ファンブレード(11)の各々が、前記ブレード(11)の半径方向長さに沿って変化する弦角度を画定し、該弦角度が半径方向長さに沿った位置に最大値を有する、冷却ファン。
- 請求項12による冷却ファン(10)において、前記ファンブレード(11)の各々が、前記ブレード(11)の半径方向長さに沿って変化する弦−ピッチ比(cpr)を画定し、該cprが半径方向長さに沿った位置に最大値を有する、冷却ファン。
- 請求項12による冷却ファン(10)において、前記複数のファンブレード(11)の各々の前記ブレード先端(17)に接続された周縁リング(15)を更に備える、冷却ファン。
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