JP4691788B2 - 軸流ファンの動翼 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、軸流ファン、特に低圧軸流ファンの動翼に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
低圧軸流ファンは、従来から種々の送風機として、業務用から家庭用まで幅広く使用されている。このような低圧軸流ファンは、通常、円筒ケーシングの内部に設置された動翼と静翼とで構成される。又、静翼が無く、動翼のみを備えているものもある。
【0003】
図6は従来の低圧軸流ファンの一例を示したものであり、図6の例では、円筒状のケーシング1の内部に、ケーシング1と同軸のボス部2と、該ボス部2の外周に固定された複数(図では十字方向に4枚)の動翼3とから低圧軸流ファン4が構成されている。
【0004】
このような低圧軸流ファン4の動翼3を設計する場合には、一般の動翼3は翼弦長に比べて翼高さ(半径方向長さ)が大きい、即ちアスペクト比が大きいために、ボス部2に固定される動翼3の翼基端3A(ROOT部)及び翼先端3B(TIP部)の両翼端3A,3B付近を除いて、翼高さ方向の大部分の箇所での流れの状態は同一であり、二次元的な流れであるのが好ましいとされてきた。又、アスペクト比がそれほど大きくない場合でも、両翼端3A,3Bに図示しない所要の大きさの仕切り板を一体に固定して半径方向の流れを抑制するようにしたものにおいては、翼高さ方向の全域に亘って二次元的な流れの状態であるとみなされている。
【0005】
こうした二次元的な流れ場では、流線はすべて動翼3の軸に直交する断面内にあり、しかもどの断面でも同じ流れのパターンとなる。そこで、動翼3の流体特性を考えるに当たっては、二次元流れ場の単位幅を持つ翼とした取扱いが現在でも主流となっており、その揚力分布は自由渦分布と呼ばれ、図1に破線で示すように翼基端3Aから翼先端3Bに向かう翼高さ方向の揚力分布が一定値5となるように翼形状を決定していた。
【0006】
図6において、流体の軸流と回転流の合速度に対して揚力を発生しない無揚力角αに、動翼3の持つ迎角βを加えたものがピッチ角Pである。
【0007】
このときの翼基端3Aから翼先端3Bに向かうピッチ角Pは、図7に示すように直線変化6となっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来の低圧軸流ファン4の動翼3では、以下のような問題が生じる。
【0009】
従来は、動翼3の翼高さ方向全体に亘って一定の揚力(直線変化6)を発生させることが良いとされているために、翼基端3A及び翼先端3Bまで揚力を発生させるようにしており、従って、ケーシング1及びボス部2に近接した両翼端3A,3Bで急激に揚力がなくなることによって、流体の剥離現象が発生し、この剥離現象のために騒音或いは振動が発生するという問題を有していた。
【0010】
又、動翼3の翼先端3Bまで一定の揚力を発生させるためには、動翼3の翼先端3Bとケーシング1内面とのクリアランスを極力小さく仕上げることが要求される。即ち、このクリアランスが大きくなると、動翼3の翼先端3Bにおいて揚力が急激に低下してしまう問題がある。
【0011】
しかし、上記したように動翼3の翼先端3Bとケーシング1内面とのクリアランスを極力小さくするためには、ボス部2の回転軸芯を正確に芯出しする必要があると共に、各動翼3の翼先端3Bの高さ、形状を正確に一致させるように製作する必要があり、更に、ケーシング1内面も高い精度で仕上げる必要がある。このために、低圧軸流ファン4の製作に高い精度が要求されることになって、製作に時間が掛かり製作コストが増加するという問題を有していた。
【0012】
本発明は、かかる従来装置のもつ問題点を解決すべくなしたもので、騒音や振動が生じ難く、動翼の翼先端とケーシング内面とのクリアランスを小さくするという制約をなくして、従来と同一の性能を維持しながら大幅な低コスト化を達成できるようにした軸流ファンの動翼を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、動翼の翼高さ方向両翼端で揚力が発生せず中間部の揚力が最大になるように、翼高さ方向の揚力を楕円分布としたことを特徴とする軸流ファンの動翼、に係るものである。
【0014】
上記手段において、動翼の翼高さ方向両翼端のピッチ角が小さく中間部のピッチ角が大きいピッチ角分布を有している。
【0015】
本発明では、動翼の翼高さ方向の揚力分布が楕円分布となるようにしたことにより、動翼の翼基端と翼先端とで揚力が発生しなくなり、よって低圧軸流ファンに適用した場合に、ケーシング及びボス部に近接した両翼端で流体の剥離現象が生じることがなくなり、剥離現象による騒音及び振動を防止できる。
【0016】
又、上記問題の防止により、翼先端とケーシング内面とのクリアランスを極力小さく仕上げるという制約をなくすことができ、そのため、ボス部の回転軸芯を正確に芯出したり、各動翼の翼先端の高さ、形状を正確に一致させたり、ケーシング内面を高い精度で仕上げるといった従来行っていた面倒な作業をなくして製作工程を著しく簡素化することができる。よって、製作時間を短縮して製作コストを大幅に低減できる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図2、図3は本発明を実施する低圧軸流ファンの動翼7の一例を示したものであり、本発明の動翼7は、図2、図3に示すように、動翼7の翼基端7Aと翼先端7Bのピッチ角は小さく、中間部のピッチ角は大きいピッチ角分布8を有している。このピッチ角分布8は、図3に示すように楕円或いは放物線の一部を形成するような曲線を有しており、比較のために破線で示した従来の動翼の場合の直線変化6とは著しく相違している。
【0019】
そして、図1に本発明の動翼7を実線で示したように、翼基端7Aと翼先端7Bで揚力が発生せず、中間部の揚力が最大となって、翼高さ方向の揚力分布が楕円分布9となるように、前記したピッチ角分布8を決定する。
【0020】
上記した本発明の動翼7は、図1の実線で示す楕円分布9の内側の面積で表わされる全揚力を発生することになり、この面積が、破線で示す従来の一定値5の揚力分布の内側の面積と一致するように設定すると、従来の動翼と同一の性能を発揮することになる。
【0021】
図4は前記動翼7により低圧軸流ファンを製作する際における設計方法の一例を示すフローチャートである。
【0022】
低圧軸流ファンを製作するに当たっては、先ず、工程Aにて、低圧軸流ファンの要求風量、ファン回転数・直径などを決定する。続いて、工程Bにて、動翼7の所要揚力を決定する。次に、工程Cにて、NACA型などの翼型を選定する。続いて、工程Dにて、動翼7の輪郭(各半径位置での翼弦張)を設定する。次に、工程Eにて、翼面上の揚力分布が楕円分布となるように各半径位置での揚力を設定する。次に、工程Fにて、各半径位置での揚力を出すための迎角を設定する。次に、工程Gにて、翼特性図での検討を行う。次に、工程Hにて、設定した迎角で失速しないか、抗力は小さいかを判定する。
【0023】
この時、図5に示す迎角カーブ10と抗力カーブ11の関係線図を用いて、迎角と抗力を判定する。図5において、12は、抗力が最小となる迎角の好適範囲を表わしている。
【0024】
上記工程Hにおいて、失速を起こしてしまう迎角であったり、抗力が大きい場合には、工程Dに戻って動翼7の輪郭の設定からやり直す。
【0025】
工程Hにて、失速しない迎角で、抗力が小さいと判定されると、工程Iにて、ピッチ角分布の決定が行われる。ピッチ角分布が良好であれば、設計は終了する。一方、ピッチ角分布が良好でなかった場合には、工程Cに戻って翼型選定からやり直す。
【0026】
上記したように、翼高さ方向の揚力分布が図1の楕円分布9になるようにピッチ角分布8を決定した動翼7によれば、動翼7の翼基端7Aと翼先端7Bとで揚力が発生しないために、図6に示す低圧軸流ファンに適用した場合に、ケーシング1及びボス部2に近接した両翼端3A,3Bで流体の剥離現象が生じることがなくなり、よって剥離現象による騒音及び振動が発生するのを防止できる。
【0027】
又、こうした問題が防止されることにより、翼先端7Bとケーシング1内面とのクリアランスを極力小さく仕上げるという制約をなくすことができ、よって、ボス部2の回転軸芯を正確に芯出しすること、各動翼7の翼先端7Bの高さ、形状を正確に一致させること、ケーシング1内面を高い精度で仕上げることなど、従来必要としていた高い精度での低圧軸流ファン4の製作工程を著しく簡素化することができ、よって製作時間を短縮して製作コストを大幅に低減することができる。
【0028】
尚、本発明は上記形態例にのみ限定されるものではなく、動翼の翼型、輪郭などには限定されないこと、その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ること、などは勿論である。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、動翼の翼高さ方向の揚力分布が楕円分布となるようにしたことにより、動翼の翼基端と翼先端とで揚力が発生しなくなり、よって低圧軸流ファンに適用した場合に、ケーシング及びボス部に近接した両翼端で流体の剥離現象が生じることがなくなり、剥離現象による騒音及び振動を防止できる効果がある。
【0030】
又、上記問題の防止により、翼先端とケーシング内面とのクリアランスを極力小さく仕上げるという制約をなくすことができ、そのため、ボス部の回転軸芯を正確に芯出したり、各動翼の翼先端の高さ、形状を正確に一致させたり、ケーシング内面を高い精度で仕上げるといった従来行っていた面倒な作業をなくして製作工程を著しく簡素化することができ、よって製作時間を短縮して製作コストを大幅に低減できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の低圧軸流ファンの動翼の揚力分布と、従来の動翼の揚力分布とを比較して示した線図である。
【図2】 本発明の動翼のピッチ角分布を示す線図である。
【図3】 本発明の動翼のピッチ角分布と従来の動翼のピッチ角分布を比較して示した線図である。
【図4】 本発明の動翼により低圧軸流ファンを製作する際における設計方法の一例を示すフローチャートである。
【図5】 迎角カーブと抗力カーブの関係線図である。
【図6】 従来の低圧軸流ファンの一例を示す切断側面図である。
【図7】 従来の動翼のピッチ角分布を示す線図である。
【符号の説明】
7 動翼
7A 翼基端
7B 翼先端
8 ピッチ角分布
9 楕円分布
Claims (2)
- 動翼の翼高さ方向両翼端で揚力が発生せず中間部の揚力が最大になるように、翼高さ方向の揚力を楕円分布としたことを特徴とする軸流ファンの動翼。
- 動翼の翼高さ方向両翼端のピッチ角が小さく中間部のピッチ角が大きいピッチ角分布を有していることを特徴とする請求項1記載の軸流ファンの動翼。
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