JP4950762B2 - 冷却ファン - Google Patents
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Description
しかしながら、安全率αを大きくすると、設計上の回転数Nαも大きくなるので、冷却ファンに生じる遠心力が増大し、特に、ブレードとリングとのつながり部分の表面に亀裂が生じ易くなる。冷却ファンの強度が得られなければ、使用上の回転数を低く設定しなければならず、必要な風量が得られなくなってしまう。
よって、悪条件下で使用される建設機械等のエンジンを冷却するために使用されても、十分な強度を有し、かつ、必要な風量を確保できる冷却ファンを提供することができ、本発明の目的を達成できる。
また、外径寸法が600mm以上に設定されているので、例えば、ホイールローダ、ブルドーザ、油圧ショベル、ダンプトラック等の建設機械のエンジンを冷却するために使用する場合に、600mm以上の外径寸法を有しているので、回転数を更に大きくすることなく、必要な風量を維持できるとともに、付着物によるアンバランスが生じにくく、十分な強度を確保することができる。
図1は、本実施形態の冷却ファン1を示す正面図である。図2は、図1におけるII−II線断面図である。
図1,図2において、冷却ファン1は、中央部の鋼製のハブプレート2と、このハブプレート2の外周部に形成された内側リング3と、この内側リング3から等周間隔で放射状に設けられた複数のブレード4と、各ブレード4の先端同士を連結するように各ブレード4の先端から連続して設けられた外側リング5とを含んで構成され、回転軸P周りに矢印Aの方向に回転することで、ブレード4の吸気側(負圧側)から吐出側(図2中の矢印Bの方向)に流体が送風されるようになっている。
内側リング3、ブレード4、および外側リング5は、ナイロン系樹脂を射出成形して一体的に形成されると同時に、ハブプレート2は、内側リング3にインサート成形される。具体的には、内側リング3、ブレード4、および外側リング5をインサート成形型内への溶融樹脂の射出により一体的に形成することで、三次元形状の冷却ファン1を実現している。ハブプレート2は、前記成形型内に予め配置され、図2に示されるように、その周縁部分が樹脂で覆われるようにインサート成形される。このようにして冷却ファン1が軽量化されて、回転時に発生する遠心力が低減され、強度を十分に維持できるようになっている。
ブレード4の枚数は、12〜16枚(図では14枚)に設定されている。
冷却ファン1のブレード外径寸法φ1は、600mm以上850mm以下に設定されている。
図3に示すように、外側リング5は、周方向の全体で略円筒状とされたリング本体部51と、このリング本体部51の軸方向両端から径方向の外側に向かって延設されるリング側部52とを備え、図3に示すように、周方向の一部では、外方に開口した略C字状断面を有している。そして、略C字状断面による開口部分は、外側リング5の全周にわたる溝部54となっている。
また、張出部41の直線部43から外側リング5へ向かって、半径R3の円弧部45と、この円弧部に連続する半径R4の曲線部46とが形成され、直線部43から外側リング5の半径R1の曲面部53までの間を滑らかな曲状部が連続して形成されている。このように、ブレード4の吐出側外周部と、外側リング5とが、半径R3の円弧部45と、半径R4の曲線部46とで連続され、特に半径R4の寸法は、半径R3の寸法よりも大きく、10〜14mmに設定されている。
ブレード外径寸法φ1:620mm
ブレード枚数 :14枚
半径R4 :10mm
厚み寸法t1 :5.5mm
ブレード外径寸法φ2 :850mm
ブレード枚数 :14枚
半径R8 :13.7mm
厚み寸法t3 :7.5mm
この冷却ファン1Aにおける半径R5,R6,R7の各寸法は、上述した半径R8と同様に、ブレード外径寸法φが620mmの冷却ファン1において対応する半径R1,R2,R3の各寸法よりもそれぞれ大きく設定されている。
冷却ファン1について前述したように、ブレード4の枚数を12〜16枚とし、ブレード4の吐出側外周部と外側リング5とを半径10〜14mmの曲線部で連続させ、外側リング5のリング側部52の厚さ寸法を5.5〜7.5mmに設定したのは、次の知見(1)〜(3)に基づくものである。
(1)発明者は、冷却ファン1におけるブレード枚数を変更することによる影響を探るべく、シミュレーションを行ったところ、図5に示されるように、ブレード枚数だけを変更させると、ブレードが12枚以上の場合では、1枚のブレードに生じる応力σがブレードの応力基準値σ1よりも小さくなることが判った。このことから、1枚のブレードが負担する遠心力を小さくして、設計上の回転数を増大させても、ブレードの強度を維持するためには、ブレードの枚数を12枚以上に設定するのがよいことが判る。
また、ブレードの枚数を11枚以下または17枚以上に設定すると、送風効率が低下してしまい、必要な風量が得られなくなってしまうのに対して、ブレードが12枚以上16枚以下の場合では、冷却ファンを設計上の回転数で回転して得られる風量Qが風量基準値Q1に達することが判った。
以上のことから、ブレード枚数を12〜16枚にすることで、必要な強度が維持され、かつ、必要な風量が得られることが確認された。
このことから、設計上の回転数を増大させることで遠心力が大きくなっても、ブレードと外側リングとの連続部の形状による応力集中を緩和させるためには、ブレード4の吐出側外周部と外側リング5とを半径10mm以上の曲線部で連続させることがよいことが確認された。また、ブレードの形状に対する影響を小さくして送風効率が下がってしまうのを防ぐためには、曲線部の半径R4を14mm以下に設定するのがよいことが判った。
つまり、連続部の半径R4を10〜14mmにすることで、必要な強度が維持され、かつ、必要な風量が得られることが確認された。
このことから、外側リング5の周方向に直交する断面形状の断面係数Zを大きくして、設計上の回転数が増大した場合に遠心力が大きくなっても、リング側部52(特に先端部分)の強度を維持するためには、リング側部52の厚さ寸法t1を5.5mm以上に設定するのが良いことが判った。また、外側リング5の重量増加による遠心力増大の影響を受けても、外側リング5の強度を維持するためには、厚さ寸法t1を7.5mm以下に設定するのが良いことが判った。
つまり、外側リング5の厚さ寸法t1を5.5〜7.5mmにすることで、必要な強度が維持されることが確認された。
従って、上記に開示した形状、材質等を限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質等の限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
また、前記実施形態では、内側リング3とブレード4と外側リング5とがナイロン系樹脂で形成されており、例えば、ガラス繊維強化ポリアミドのような樹脂で形成されている。さらに、内側リング3とブレード4と外側リング5とが一体で形成されていたが、本発明では少なくともブレード4と外側リング5とが一体で形成されていればよい。
また、前記実施形態の冷却ファンは、エンジンで駆動されるものに限らず、電動モータや油圧モータで駆動されてもよい。
Claims (2)
- 回転軸周りに放射状に設けられる複数のブレードと、各ブレードの外周側に設けられる外側リングとを備える冷却ファンであって、
外径寸法が600mm以上に設定されており、
前記ブレードの枚数は、12〜16枚に設定され、
前記ブレードの吐出側外周部には、前記外側リングに連続する半径10〜14mmの曲線部が形成され、
前記外側リングは、略円筒状のリング本体部と、このリング本体部の軸方向両端から径方向の外側に向かって延設されるリング側部とを備え、周方向の外方に開口した略C字状断面を有し、
前記リング側部の厚さ寸法が、5.5〜7.5mmに設定されている
ことを特徴とする冷却ファン。 - 請求項1に記載の冷却ファンにおいて、
前記ブレードおよび前記外側リングは、ナイロン系樹脂で形成されている
ことを特徴とする冷却ファン。
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