JP4647414B2 - さや管推進工法 - Google Patents
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例えば、ダクタイル鋳鉄管を用いた管路の構築(埋設)や旧管路の布設替え(更新)は、一般的には、地面を開削して管を埋設する開削工法が採用される。
しかし、近年の交通事情や、都心部等での複雑な管路の構築により、開削工法による管路の新規構築や旧管路の布設替えが困難な状況となっている。そのため、開削工法に代わる方法として、さや管推進工法やパイプインパイプ工法が採用されている。
なお、このパイプインパイプ工法における既設管等もさや管1の一つであるため、この明細書(「特許請求の範囲」も含む)においては、図15に示す、上記さや管推進工法、パイプインパイプ工法等のように、さや管1の中に新管2を推進挿入して二重管構造とする工法を、特に特定しない限り、総称して「さや管推進工法」と言う。
また、継手について、近年、耐震性が要求され、その耐震管継手は、一般的には、受口2bに対し挿し口2aが所要範囲において伸縮可能(抜き挿し可能)な構造のものであり、PII形、S形、NS形、SII形等がある。
また、PII形継手による新管2の挿入力は、受口2b端面側のロックリング4とその溝5端面の当接によって伝達されるため、その挿入力が大きくなると、ロックリング4が捩れ破損する等の恐れがあって、円滑な推進がされない恐れがある。このため、発進坑Sと到達坑Tの間隔の長い場合等の大きな推進力が働く場合には、挿し口2aの外周面にリブを別途に溶接などにより固定し、そのリブを受口2bの端面に当接させて推進力を伝達するようにしている。そのリブの取り付けは煩雑である。
この構造の耐震管継手におけるさや管推進工法においては、地中Wに埋設されたさや管1内にその一端から他端に向かって新管2を継ぎ合せつつ順次挿入する際、新管2の挿し口2a外周面に推進力伝達材を設け、この推進力伝達材により、前記挿し口2aを抜けない範囲で動き得る所要長さの中程に維持して推進し、地震などによりその推進力よりも大きな押圧力が作用したときには、その押圧力が前記推進力伝達材の維持力より勝り、前記挿し口を抜けない範囲で動き得る所要長さの中程の維持が解放されて挿し口2aが受口2bにさらに押し込まれるようにしている(図11、特許文献2参照)。
この技術は、さや管1内の閉塞を維持した状態で、新管2をさや管1内に挿入しなくてはならないため、その挿入部分の閉塞は、さや管1内面全周に膨縮チューブを設けたり(特許文献3)、さや管1の軸方向前後の内面全周にフラップ状のシール板を設けたりして(特許文献4)、そのチューブ又はシール板の新管2外周面への摺動圧接によって行っている。
このため、さや管推進工法に比べてパイプインパイプ工法は、推進力の予測が困難であり、特に、推進力伝達材を用いた耐震管継手における推進工法では、その推進力伝達材による耐震管継手の胴付き間隔(押し込み代)の確保が困難である。
このため、上記の特許文献3、4に記載の技術により、さや管1内に、膨出した継手部となる新管2を推進挿入するには、直管部と継手部の径の異なる外周面に、チューブ又はシール板を摺動圧接させてさや管1の端面を閉塞することとなる。
このため、この技術では、新管2には全長がほぼ直管部(同一径)のものに限られる。また、流体が気体であって、チューブが膨縮する場合でも、十分な圧接力を得るためには、チューブ内を高圧にする必要があり、高圧であれば、チューブの体積増減は容易ではなく、継手部の通過時には大きな摩擦抵抗が生じ、チューブの破損に繋がる。
フラップは、通常、可撓性に富み、そのフラップの円環状内を摺動する新管の大きさ(径)変化・振れに柔軟に対応する。しかし、上述のように、その先端縁が新管の外周面に圧接して水密性を維持する点は不十分である。
このため、そのフラップ先端縁全周に中実断面円状のゴム製リングを設ければ、そのリングが、その弾力によりフラップの円環状内を摺動する新管の外周面に圧接する。このとき、リングは、フラップ先端縁より大径のため、腰が強く、フラップの撓みに影響されにくく、フラップが摺動する新管の大きさ(径)変化・振れに柔軟に対応して撓んでも、その新管外周面への確実な圧接を維持して水密性を担保する。
このように、さや管外周面に嵌めた筒体内に止水部材を設ければ、さや管内面内に比べて、筒体内面内は広いため(径が大きいため)、止水部材の取付けスペースも広く取ることができ、また、フラップの撓み代も大きく取ることができ、新管の大きさ(径)変化・振れへの対応も円滑となる。このため、止水性も高い。
さらに、止水部材を有する筒体をさや管に嵌めるだけで、その止水部材をさや管に取付けることができて、作業性が良いうえに、その筒体を他のさや管にも使用できる等、コスト削減となる。
例えば、新管の継ぎ合せ部が耐震管継手構造の場合、すなわち、新管の継ぎ合せ部が、新管の挿し口外周面に推進力伝達材を設け、この推進力伝達材により、挿し口を抜けない範囲で動き得る所要長さの中程に維持して推進し、地震などによりその推進力よりも大きな押圧力が作用したときには、その押圧力が前記推進力伝達材の維持力より勝り、前記挿し口を抜けない範囲で動き得る所要長さの中程の維持が解放されて挿し口が受口にさらに押し込まれるようにした伸縮可能な耐震継手構造の場合、その新管の大きさ(径)変化が大きいため、非常に有効である。
この構成においても、止水部材をさや管内面に設けず、さや管の一端外周面に水密に嵌めた筒体の内面全周に水密に設けたものとすることができて、上記と同様な作用を得ることができる。
発進坑Sと到達坑Tは、既設管1の埋設時と同一個所に形成しても良いが、道路の側部等の形成し得る所であれば、任意である。さや管1に挿入される新管2の先頭管先端は円錐状のキャップ30を嵌めて閉塞され、新管2内に浮力材aが流入しないようになる。
その推進は、上述の図15に記載の手段、特許文献5に記載の手段、特願2004−213203に記載の手段などの各種の手段を採用する。
円筒管11は、同図に示すように、さや管1一端にパッキング11cを介して嵌め込み、ビス11dによりそのさや管1一端に取付ける。また、円筒管11は、図4に示すように、偏芯した2つの筒状部11a、11bとから成り、前者の筒状部11aはさや管1に嵌められて同一心C1とされ、後者の筒状部11bは新管2と同一心C2とされる。
円筒管11には、バルブ13a付給排水管13が設けられ、この給排水管13により、さや管1内に浮力材aを注入又は浮力材aを排出する。
フラップ12bの厚み・長さ(軸心に向く長さ)、リング12cの径は、撓み度、圧接度(水密度)を考慮して適宜に設定すればよいが、フラップ12bの厚みは、柔軟な撓みを得ることができ、かつリング12cの保持ができる限りにおいて薄い方が好ましい。
この止水部材12は、その筒状部12aを円筒管11内面に当てがい、その内面に、図6に示す一つ割開き勝手のリング状止め具14を当ててビス15により円筒管11に取付ける。
このとき、リング12cは、フラップ12b先端縁より大径のため、フラップ12bの撓みに影響されにくく、フラップ12bが摺動するキャップ30又は新管2外周面の大きさ(径)変化・振れ変化・振れに柔軟に対応して撓んでも、そのキャップ30又は新管2外周面への確実な圧接を維持して水密性を担保する。なお、キャップ30又は新管2の挿入時、フラップ12bも必要に応じて拡径する。
この治具20はビスによりさや管1の他端外面に取付けられ、上記止水機構10と同様に、バルブ13a付給排水管13が設けられており、この給排水管13により、さや管1内に浮力材aを注入又は浮力材aを排出する。
このキャップ30の外周面には図9に示す挿込み防止リング35が固定される。このリング35は、同図に示すように、2つ割部材35a、35bからなり、その両部材35a、35bをボルト36により締結して構成され、周囲のねじ孔37にビス38をねじ通してその先端をキャップ30外周面に圧接することによりキャップ30に取付けられる。各ビス38のねじ込み度合を調整することにより、このリング35とキャップ30の調芯を行なう。
その発進坑Sにおいて、図10(a)に示すように、止水部材12付の円筒管11を、さや管1の発進坑S側(一端)にゴム輪(パッキング)11cを介して嵌め、ビス11d止め等により取り付け、その円筒管11内に挿込み防止リング35付のキャップ30を嵌める。
一方、さや管1の到達坑T側(他端)には、レベル調整部材23付の治具20を取り付けて、さや管1の両端を閉塞する(さや管1内を液密にする)。
この浮力材aの充填が完了した後、又は充填前に、図10(b)に示すように、最先の新管2の挿し口2aをさや管1に嵌めたキャップ30の筒状部31に嵌め込む。このとき、挿込み防止リング35のさや管1の端面への当接により、キャップ30のさや管1内への挿し込みが阻止される。
つぎに、挿込み防止リング35をキャップ30から外した後、浮力材aが充填されておれば、さらに新管2を押し込み、充填されていなければ、浮力材aの充填後、同様に押し込む。
また、この新管2の推進挿入は、浮力材a内で行われるため、その浮力材aから浮力を受けながら、低摩擦でさや管1内を進む。このとき、新管2の進行により、押された浮力材aはさや管1の到達坑T側(他端)のレベル調整部材23の透孔26からオーバーフローし、そのレベルが一定に維持され、新管2の軸心C2もほぼ一定レベルに維持される。
このとき、リング12cは、フラップ12b先端縁より大径のため、フラップ12bの撓みに影響されにくく、フラップ12bが摺動する受口2bの大きな外径変化・振れに柔軟に対応して撓んでも、その受口2b外周面への確実な圧接を維持して水密性を担保する。
挿し口2aが治具20内に嵌り、さらにレベル調整部材23に至れば(同図(a))、同図(b)に示すように、レベル調整部材23を外して、必要であれば、さらに新管2の挿し口2aを到達坑T内に所要長さ突出させる。その後、給排水管13から排水してさや管1内から浮力材aを排出させる。
また、既設管内に耐震管継手を有する新管2を推進挿入するパイプインパイプ工法においては、そのさや管(既設管)内面は、錆や異物の付着により凹凸の激しい内面となっているのが通常であり、その内面を摺動させて新管2を推進する場合に比べて、この浮力による推進は、その内面から離して移動させるので、推進力が極めて小さくてすみ、より効果的である。
また、上記実施例は、さや管1は既設管に限らず(パイプインパイプ工法に限らず)、ヒューム管や鋼管を新たに埋設した上記さや管推進工法に採用できることは言うまでもない。
さらに、新管2の挿入推進は、到達坑T側から行うこともできる。
2 新管
10 さや管発進坑側止水機構
11 止水機構の円筒管
12 止水部材
12a 止水部材12の筒状部
12b 止水部材12のフラップ
12c 止水部材12の中実リング
13 給排水管
20 さや管到達坑側止水兼芯出し用治具
21、22 止水兼芯出し用円筒状部
23 浮力材レベル調整部材
26 浮力材レベル調整用透孔
30 最先新管挿し口用キャップ
a 浮力材(水)
Claims (2)
- 地中(W)に埋設されたさや管(1)内にその一端(S)から他端(T)に向かって新管(2)をその最先の新管(2)の受口(2b)に後行の新管(2)の挿し口(2a)を挿入接続して継ぎ合せつつ順次挿入する際、前記さや管(1)の両端を閉塞し、そのさや管(1)内に浮力材(a)を注入して前記新管(2)に浮力を与えて、その新管(2)とさや管(1)間の摩擦を低減したさや管推進工法において、
上記新管(2)の継ぎ合せ部が、上記受口(2b)に挿し口(2a)を挿し込んでその挿し口(2a)を有する直管部より受口(2b)が大径となって膨出するものであり、
上記さや管(1)の一端側の閉塞は、そのさや管(1)内面全周に水密に設けた止水部材(12)により行ない、その止水部材(12)は、その内周全面にさや管(1)の軸心に向くフラップ(12b)を有するとともに、そのフラップ(12b)の先端縁全周にその先端縁より大径の中実断面円状のゴム製リング(12c)を有するものであり、
上記新管(2)のさや管(1)の一端内への挿入は、上記継ぎ合せ部の直管部から受口(2b)の拡径に応じて、上記止水部材(12)のリング(12c)を拡径させるとともに、そのフラップ(12b)をさや管(1)の他端側に撓ませて、前記リング(12c)を前記新管(2)の外周面に水密に圧接しつつその新管(2)の摺動を許容することを特徴とするさや管推進工法。 - 地中(W)に埋設されたさや管(1)内にその一端(S)から他端(T)に向かって新管(2)をその最先の新管(2)の受口(2b)に後行の新管(2)の挿し口(2a)を挿入接続して継ぎ合せつつ順次挿入する際、前記さや管(1)の両端を閉塞し、そのさや管(1)内に浮力材(a)を注入して前記新管(2)に浮力を与えて、その新管(2)とさや管(1)間の摩擦を低減したさや管推進工法における前記さや管(1)の一端側の閉塞構造であって、
上記新管(2)の継ぎ合せ部が、上記受口(2b)に挿し口(2a)を挿し込んでその挿し口(2a)を有する直管部より受口(2b)が大径となって膨出するものであり、
上記さや管(1)内面全周に止水部材(12)を水密に設け、その止水部材(12)は、その内周全面にさや管(1)の軸心に向くフラップ(12b)を有するとともに、そのフラップ(12b)の先端縁全周にその先端縁より大径の中実断面円状のゴム製リング(12c)を有するものであり、
上記新管(2)のさや管(1)の一端内への挿入時には、上記継ぎ合せ部の直管部から受口(2b)の拡径に応じて、上記止水部材(12)のリング(12c)を拡径させるとともに、そのフラップ(12b)をさや管(1)の他端側に撓ませて、前記リング(12c)を前記新管(2)の外周面に水密に圧接しつつその新管(2)の摺動を許容して上記さや管(1)一端の閉塞を行うものであることを特徴とするさや管の一端側の閉塞構造。
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