JP2005030469A - 耐震管継手 - Google Patents
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Abstract
【課題】新規な構造の耐震管継手を提供し、その管継手により推進工法を行い、その際、大きな推進力でも支障なく、地震には、急激に破壊して円滑な挿し込み作用をする。
【解決手段】受口2内面に突起13を設け、その受口内面にロックリング11を預けた状態で、挿し口1をその受口2に挿し入れ、その溝12に嵌めて、そのロックリング11の受口内面の突起13と奥端部2a間の移動により伸縮代Lを確保する。挿し口先端を伸縮代Lの中程に支持する推進力伝達材14は、ハニカムコアからなってその孔方向を推進方向として大きな耐力を有し、管を案内するキャスタの有無に関係なく、推進力により、破壊することなく、挿し口先端の伸縮代Lを維持して管Pを推進させる。敷設後、地震などの大きな地盤変動が生じれば、その変動による圧縮力により、ハニカムコアからなる推進力伝達材14は急激に圧壊して、受口2に対し挿し口1が伸縮して、その地盤変動に対応する。
【選択図】図1
【解決手段】受口2内面に突起13を設け、その受口内面にロックリング11を預けた状態で、挿し口1をその受口2に挿し入れ、その溝12に嵌めて、そのロックリング11の受口内面の突起13と奥端部2a間の移動により伸縮代Lを確保する。挿し口先端を伸縮代Lの中程に支持する推進力伝達材14は、ハニカムコアからなってその孔方向を推進方向として大きな耐力を有し、管を案内するキャスタの有無に関係なく、推進力により、破壊することなく、挿し口先端の伸縮代Lを維持して管Pを推進させる。敷設後、地震などの大きな地盤変動が生じれば、その変動による圧縮力により、ハニカムコアからなる推進力伝達材14は急激に圧壊して、受口2に対し挿し口1が伸縮して、その地盤変動に対応する。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、水道、ガス、下水道等に用いる流体輸送用配管を構築する際の耐震管継手、その管継手の接続方法及びそれらに基づく非開削で布設する推進工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ダクタイル鋳鉄管等により流体輸送用配管を構築する際、その配管継手部は、一の管の挿し口を他の管の受口にゴム輪を介在して挿し込んで構成され、その受口に対し挿し口が所要範囲において伸縮可能(抜き差し可能)な耐震構造とする継手として、PII形、S形、NS形、SII形等がある。
【0003】
その耐震管継手は、通常、挿し口外周面の突部を受口内面の突部と奥端部の間を移動可能としたものであり、例えば、その代表例であるNS形継手は、図11に示すように、挿し口1の先端に突起3、受口2の内面に芯出しゴム4を介してロックリング5をそれぞれ設け、受口2にシール用ゴム輪6を介在して挿し口1を挿入し、そのロックリング5と受口内面の奥端部2aとの間を突起3(挿し口1の先端)を移動可能として挿し口1の伸縮代Lを確保した構成であり、引き抜き力に対しては、挿し口1がその突起3がロックリング5に当接するまで後退し、挿し込み力に対しては、挿し口1の先端が奥端部2aに当接するまで挿し込まれる。
【0004】
一方、ダクタイル鋳鉄管等による流体輸送用配管を埋設する工法としては、地面を開削して布設する開削工法が一般的であったが、近来は幹線道路だけではなく一般道路においても交通量が増加しているので、開削工法のために交通を遮断することは困難となっている。このため、発進立坑と到達立坑だけを開削し、さや管(鞘管)としてヒューム管や鋼管等を推進埋設した後にダクタイル鋳鉄管を挿入するさや管推進工法や、既設管をさや管として、その中に口径の小さい新管を挿入して管路を更新(既設管更新)するパイプインパイプ工法等の推進工法が広く採用されるようになった。
【0005】
そのパイプインパイプ工法は、図12に示すように発進坑Sと到達坑Rとの間に埋設されている既設管P’内にこれよりも径の小さな新管Pを挿入敷設するものであり、発進坑Sには油圧ジャッキJが設置され、この油圧ジャッキJの後部は反力受けHに当接し、前部は押角Bを介して新管Pを押圧するようになっている。新管Pは、その先端部の挿し口1を先行の新管Pの後端部の受口2に挿入することによって順次接合され、既設管P’内に押し込まれて行く。なお、先頭の新管Pの先端部には挿入抵抗を小さくするための先導ソリKを取り付ける。
【0006】
ところで、近年、管路にも耐震性が要求され、その耐震性を有する配管とすべく、上述の各種の耐震管継手が採用されている。この耐震管継手を上述の推進工法に採用する際、上記所要範囲の伸縮代Lを確保して新管Pを敷設するかが問題となり、その伸縮代Lの確保は、挿し口突起3(先端)を受口2のロックリング5と奥端部2aの中程に位置させて推進することである。その問題を解決した技術として、挿し口1外周面に固定のフランジ7と受口2の端面との間に推進力伝達材8を介在した技術がある(特許文献1参照)。
【0007】
この技術は、推進時、推進力伝達材8により、図11に示すように、挿し口1の先端(突起3)を伸縮代Lの中程に維持し、地震等の地盤変動時の挿し口1の受口2への挿し込みに対しては、推進力伝達材8が収縮する(弾性変形から塑性変形を経て最終的に破壊する)ことにより、挿し口1がその縮み代L1 分、軸方向に移動してその変動を吸収するとともに、それ以上の縮みを阻止する。その推進力伝達材8を、同図鎖線に示すように挿し口1の先端と受口2内面の奥端部2aに介在する技術もある(特許文献2参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開2002―276284号公報
【特許文献2】
特開平10−148288号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述の従来の耐震管継手は、何れのものも、受口2内面にロックリング5を嵌め込み等によって設け、そのロックリング5と係止する挿し口1の突起3等は、挿し口1と一体成形、溶接又はリングの嵌め込みによって設けている。
【0010】
この構造では、施工上、好ましくない場合や異なる構成の耐震管継手が要求される場合がある。
【0011】
また、従来の推進力伝達材8は、低発泡ポリスチレン(EPS)等から成り、図10鎖線で示すように、挿し口1の挿し込みによる圧縮力に対して、その変化量(厚みtの変化)は弾性変形域からなだらかな塑性変形域を経て破壊(圧壊)に至って厚みが固定される。この圧縮特性において、 推進力伝達材8として推進時に許容できる変化量は、 弾性変形の範囲内(同図のa点まで)であり、従来の低発泡ポリスチレン等からなる推進力伝達材8のそのa点に至る圧縮強度は3MPa程である。
【0012】
従来の推進工法において、一般に、フランジ7にキャスタを設けて、管Pを低抵抗で挿し込む場合には、 通常、 推進力伝達材8への圧縮力は3MPaを越えないため、 従来のEPS等のもので充分である。
【0013】
しかし、 既設管更新において、通常、 その既設管P’には、近年使用のダクタイル鋳鉄管より素材特性の劣る鋳鉄管が使用されているため、 その内面が荒れており(凹凸が激しく)、また、その管路の継手部には凹部が存在するため、 キャスタがその凹部に嵌まり却って走行し難くなり、 大きな推進力を必要としたり、キャスタを使用できない場合がある。また、キャスタの存在により、 さや管に挿入し得る新管Pの外径は小さくなるため、特に、 既設管P’の更新は、できるだけ流通面積の減少を少なくするために、既設管P’の内径に近い外径の新管Pを挿入する必要がある。このようなこと等から、 キャスタを使用しない場合がある。
【0014】
このようなキャスタを使用しない場合、 推進時の推進力伝達材8への圧縮力は3MPaを遥かに越えて10MPa以上と成る。この場合には、 従来のEPS等の推進力伝達材8は使用することができない。
【0015】
この発明は、従来と異なる耐震管継手を提供することを第1の課題、その管継手により推進工法を行い得るようにすることを第2の課題、さらに、その推進工法において、キャスタを使用しない既設管更新等のように、推進時に大きな圧縮力が働く場合においても、挿し口先端が伸縮代Lの中程を維持して推進し得るようにすることを第3の課題とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記第1の課題を達成するために、この発明は、受口内面に突起を設け、その受口内面にロックリングを預けた状態で、挿し口をその受口に挿し入れ、そのロックリングを挿し口外周面の溝に嵌めて、そのロックリングの受口内面の突起と奥端部間の移動により上記伸縮代Lを確保するようにしたのである。このように、突起を受口側に設け、挿し口にその挿し込みによりロックリングを設けるようにすれば、コスト的に安くし得る場合があるとともに、施工上において有効な場合がある。
【0017】
具体的には、一の管の挿し口が他の管の受口にゴム輪を介在して挿し込まれ、前記挿し口の先端部外周面の溝にロックリングが嵌め込まれ、前記受口内面の前記ロックリングの管軸方向外側にはそのロックリングに係止する突起が設けられ、その突起と受口内面の奥端部との間を前記ロックリングを移動可能として挿し口の伸縮代を確保した耐震管継手であって、前記ロックリングは、一つ割閉り勝手のもので、挿し口の先端部が押し広げて通過して前記溝に嵌まり込み可能なものであり、受口内面には、前記ロックリングを前記受口内面の奥端部から挿し口の先端部端面と前記溝の間以上管軸方向外側に離れて位置させる部材を設けた構成としたのである。
【0018】
この構成では、ロックリングは、一つ割閉り勝手のものであるため、挿し口の通過によって拡径した後、挿し口外周面の溝に対応すれば、その縮径力でその溝に嵌まって挿し口に取付けられる。このとき、ロックリングは、受口内面の奥端部から挿し口の先端部端面と前記溝の間以上管軸方向外側に離れて位置されているため、挿し口先端が前記受口内面の奥端部に当接する前に溝に必ず対応して嵌まる。
【0019】
ロックリングを受口内面の奥端部から離れて位置させる部材は、ステンレス、アルミニウム等の金属、ポリエチレン、ポリプロピレン、 塩化ビニル等の樹脂などの水質に影響を与えない限りにおいて、 任意に選択する。
【0020】
この耐震管継手を推進工法に適用して第2の課題を達成するには、上記管軸方向外側に離れて位置させる部材を、推進工法における推進力伝達材とし、その推進力伝達材により、上記挿し口先端を上記伸縮代の中程に位置させるようにする。ここで、推進力伝達材とは、特許文献1に記載のように、挿し口から受口への推進力の伝達が可能で、地震などによりその推進力よりも大きな押圧力(圧縮力)が作用した時には塑性変形から破壊に至って(圧壊して)、挿し口の挿し込みを許容するものを言う。
【0021】
このとき、第3の課題を達成するために、 上記推進力伝達材をハニカムコアにより形成すれば、ハニカムコアは、図9(a)に示すように、一般に、小さな六角形がたくさん集まった蜂の巣状の心材をいい、そのハニカムコアからなる推進力伝達材は、低発泡ポリスチレン等からなる従来のEPS製推進力伝達材に対して、数倍の耐力(圧縮強度)を有するとともに、図9(a)の矢印方向(孔方向)の圧縮力に対し、ある値以上の圧縮力に対しては急激に破壊する性質を有する。すなわち、このハニカムコアは、高い耐力を有し、 かつ推進力伝達材としては優れた圧縮特性を有するものと言える。
【0022】
この性質は、図9(a)の小さな六角形がたくさん集まった蜂の巣状の芯材の態様に限らず、同図(b)〜(f)に示すように、ハニカムコアの変形例とされるものにおいても発揮される。すなわち、筒状の孔が隔壁で区画されたものであれば、その孔の長さ方向には大きな耐力(圧縮強度)を発揮し、その孔の長さ方向の力に対しては図10の実線に示す厚さ変化曲線(圧縮曲線)を示す。このため、この発明でいう「ハニカムコア」とはそのような構成でもって、そのような性質を有する態様の全てを言う。また、ハニカムコアの素材としては、アルミニウム等の非鉄金属、ステンレスなどの鉄系金属、紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、FRP等の樹脂などの種々の周知のものが考えられ、推進力伝達材として使用し得るものであれば、何れでも良い。さらに、ハニカムコアの耐力は、その材質のみならず、孔の密度によっても調整し得る。
【0023】
これらの耐震管継手は、例えば、上記受口内面に、上記ゴム輪をセッティングするとともに、上記ロックリングを上記管軸方向外側に離れて位置させる部材と共にセッティングし、その後、上記挿し口を前記受口に挿し込み、その際、挿し口の先端部を、上記突起を通過させた後、前記ロックリングを拡径させて通過させ、前記ロックリングを上記溝に嵌め込むことによって構成する。この受口に挿し口を挿し込む際、挿し口の外周面と上記ゴム輪の間にシート状の案内リングを介在させて、ゴム輪の損傷を防止することが好ましい。
【0024】
この耐震管継手により、挿し口が受口に対し上記伸縮代内で管軸方向に抜けることなく動き得るように管を接続しつつ地中に埋設する推進工法にあっては、受口内面に、ゴム輪をセッティングするとともに、ロックリングを推進力伝達材を介してセッティングし、その後、挿し口を受口に挿し込み、その際、挿し口の先端部を、上記突起を通過させた後、ロックリングを拡径させて通過させ、ロックリングを溝に嵌め込み、その状態で、前記推進力伝達材により、挿し口先端を伸縮代の中程に維持して推進する。
【0025】
このとき、推進力伝達材がハニカムコアであれば、上述のように図10実線で示す厚み変化曲線を呈して、大きな耐力を有し、キャスタを介した長い距離の推進の場合は勿論のこと、そのキャスタを介しない(ソリなどによる)推進においても、その推進力により、収縮することなく、挿し口の先端を伸縮代の中程に維持して管を推進させる。敷設後、地震などの大きな地盤変動が生じれば、その変動による圧縮力により、ハニカムコアからなる推進力伝達材が円滑に収縮して、受口に対し挿し口が伸縮して、その地盤変動に対応する。すなわち、耐震機能を発揮する。
【0026】
【実施の形態】
一実施例を図1乃至図4に示し、この実施形態は、従来と同様に、ダクタイル鋳鉄管からなる一の管Pを、その挿し口1を他の管Pの受口2にゴム輪6を介在して挿し込んで接続する耐震管継手構造ではあるが、挿し口1の先端部外周面の溝12にロックリング11が嵌め込まれ、前記受口2内面の前記ロックリング11の管軸方向外側にはそのロックリング11に係止する突起13を一体成形でもって設け、その突起13と受口内面の奥端部2aとの間を前記ロックリング11を移動可能として挿し口1の伸縮代Lを確保したことを特徴とする。突起13は溶接等により受口2内面に一体に設けることもできる。
【0027】
上記ロックリング11は、FCD、SSなどの従来のロックリング5と同様な素材から成って、図2に示すように一つ割閉り勝手のもので、上記挿し口1の先端部が押し広げて通過して前記溝12に嵌まり込み可能なものである。その押し広げを円滑にするため、挿し口先端部の外周全面は下り傾斜のテーパ面1bとなっている。また、ロックリング11は、同図に示すように、同様に一つ割の推進力伝達材14にボルト締め、リベット止め、溶接、接着剤などにより固定され、この推進力伝達材14と共に受口2内面の突起13と奥端部2aの間に嵌めることにより、受口2内面の奥端部2aから挿し口1の先端部端面と前記溝12の間t以上管軸方向外側に離れて位置して、挿し口1の先端が伸縮代Lの中程に位置する。
【0028】
推進力伝達材14は、アルミニウムからなる図9(a)で示す標準六角形タイプのハニカムコアからなり、図2に示すように、ハニカムの孔14aを厚さ方向(ロックリング11の幅方向 図2(b)左右方向)として一つ割円環状にしたものである。推進力伝達材14も閉り勝手とし得る。
【0029】
因みに、従来のEPSからなる推進力伝達材8は、その圧縮強度の上限が3MPaであるのに対し、この実施例のアルミニウム製ハニカムコアからなる推進力伝達材14は、その約10倍の約30MPaあり、その値を超えると、急激に座屈する。
【0030】
この実施形態の構成は以上のとおりであり、図3(a)に示すように、受口2内面に、上記ゴム輪6をセッティングするとともに、ロックリング11付推進力伝達材14を受口2内面の突起13と奥端部2aの間に嵌め、そのゴム輪6の内面全周にポリプロピレンなどの樹脂製シート状案内リング15を挿入して当てがい(同図(a)から(b))、その後、同図(b)から(c)に示すように、挿し口1を前記受口2に案内リング15をガイドとして挿し込み、その先端部がゴム輪6を通り抜けた後、案内リング15を引き抜き、挿し口1の先端部をさらに挿し込んで、突起13を通過させるとともに、ロックリング11を拡径させて通過させ、ロックリング11を溝12に嵌め込む(同図(d))。その状態は、挿し口1の先端が伸縮代Lの中程に位置(規定胴付寸法L1 の位置)する。案内リング15は挿し口1の挿し込み完了後(L1の位置)、引き抜いても良い。また、ゴム輪6、ロックリング11(推進力伝達材14)は、それぞれ現場でセッティングしても、工場等でセッティングしても良い。
【0031】
この状態で、ジャッキで推進力を加えると、その状態(図4(a)の状態)をほぼ維持したままで推進される。このとき、推進力伝達材14は、弾性変形の範囲内(図10の実線のa点までの間)で収縮する。管Pの所要長さの敷設が終了すれば、さや管P’と新管Pの間にモルタル等が打設される。
【0032】
この施設後、地震等の地盤変動時には、挿し口1の受口2からの引き抜きに対しては、図4(b)に示すように、ロックリング11が推進力伝達材14を押し潰して(収縮させて(塑性変形から破壊させて))突起13に当接するまで挿し口1が後退してそれ以上の引き抜きが阻止され、挿し口1の受口2への挿し込みに対しては、図4(c)に示すように、推進力伝達材14が収縮(塑性変形から破壊)することにより、挿し口1がその縮み代L1 分、挿し口1の先端が受口2の内面奥端部2aに当接するまで管軸方向に移動してその変動を吸収するとともに、それ以上の挿し込みを阻止する。なお、ロックリング11は、通常、図示のごとく、推進力伝達材14が圧壊して受口2の内面から脱落しない限り、その突起13又は奥端部2aと当接せずにその圧壊状態の推進力伝達材14で移動が阻止される場合が多い。このため、この圧壊状態の推進力伝達材14の厚みも考慮して伸縮代Lを決定する。
【0033】
上記実施の形態は、図1に示すように、ロックリング11と受口2の内面の間に空隙sを持たせて、ロックリング11の拡径を円滑に許容するようにしたが、その空隙sの存在により、ロックリング11の芯出しが正確でない。このため、図5に示すようにその空隙をなくすれば、その芯出しが正確となる。この場合には、ロックリング11の拡径は推進力伝達材14のハニカム構造を押し潰してなされることとなるが、その押し潰しはハニカム孔14aの径方向のため、比較的容易になされてその拡径を許容する。しかし、図6に示すように、ロックリング11の外周にゴム16を介在してその拡径を確実になし得るようにすることが好ましい。 また、空隙sが在る無しに関係なく、図7に示すように、突起13側の推進力伝達材14は削除することができる。
【0034】
この発明は、上記実施形態の耐震管継手構造に限らず、一の管Pの挿し口1が他の管Pの受口2にゴム輪6を介在して挿し込まれ、前記挿し口1の先端部外周面の溝12にロックリング11が嵌め込まれ、前記受口2内面の前記ロックリング11の管軸方向外側にはそのロックリング11に係止する突起13を一体に設け、その突起13と受口2内面の奥端部2aとの間を前記ロックリング11を移動可能として挿し口1の伸縮代Lを確保した耐震管継手であれば、採用できることは言うまでもない。
【0035】
また、従来のEPS製推進力伝達材14を採用することも、推進作用に支障がない限りにおいて可能であり、推進工法を採用しない場合(開削工法などの場合)には、その推進力伝達材14に相当する部材は、ロックリング11を受口内面の奥端部2aから挿し口1の先端部端面と溝12の間t以上管軸方向外側に離れて位置させ、かつ挿し口1の挿し込み時にその位置を維持し得るものなら、何れでも良い。この場合には、図8に示すように、奥端部2a側の推進力伝達材に相当する部材14bをその奥端部2aから挿し口1の先端部端面と溝12の間t以上を残して削除したものとすることができる。このとき、突起13側の部材14bは削除したり、 短くしても良い。さらに、推進工法において、特許文献1に示すキャスタを使用したものに限らず、キャスタを使用しないものでも採用し得ることは勿論である。このとき、ハニカムコアの推進力伝達材14はその何れの態様でも使用し得る。
【0036】
【発明の効果】
この発明は、以上のように、従来と異なる耐震管継手を提供でき、その管継手により推進工法を行うことができ、さらに、その推進工法において、有効に推進力を得ることができると共に、地殻変動に円滑に対応して、信頼性の高い耐震管継手を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】管継手構造の一実施形態の要部切断正面図
【図2】同実施形態の推進力伝達材を示し、(a)は左側面、(b)は切断正面図
【図3】同実施形態の接続作用図
【図4】同実施形態による地殻変動吸収作用図
【図5】管継手構造の他の実施形態の要部断面図
【図6】同他の実施形態の要部断面図
【図7】同他の実施形態の要部断面図
【図8】同他の実施形態の要部断面図
【図9】ハニカムコアの各例の斜視図
【図10】推進力伝達材の圧縮力と厚み変化量との関係図
【図11】従来の管継手構造の要部断面図
【図12】推進工法の説明図
【符号の説明】
1 挿し口
2 受口
6 シール用ゴム輪
11 ロックリング
12 ロックリング用溝
13 受口側突起
14 推進力伝達材
14a ハニカム孔
15 案内リング
P 新管
P’ さや管(既設管)
【発明の属する技術分野】
この発明は、水道、ガス、下水道等に用いる流体輸送用配管を構築する際の耐震管継手、その管継手の接続方法及びそれらに基づく非開削で布設する推進工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ダクタイル鋳鉄管等により流体輸送用配管を構築する際、その配管継手部は、一の管の挿し口を他の管の受口にゴム輪を介在して挿し込んで構成され、その受口に対し挿し口が所要範囲において伸縮可能(抜き差し可能)な耐震構造とする継手として、PII形、S形、NS形、SII形等がある。
【0003】
その耐震管継手は、通常、挿し口外周面の突部を受口内面の突部と奥端部の間を移動可能としたものであり、例えば、その代表例であるNS形継手は、図11に示すように、挿し口1の先端に突起3、受口2の内面に芯出しゴム4を介してロックリング5をそれぞれ設け、受口2にシール用ゴム輪6を介在して挿し口1を挿入し、そのロックリング5と受口内面の奥端部2aとの間を突起3(挿し口1の先端)を移動可能として挿し口1の伸縮代Lを確保した構成であり、引き抜き力に対しては、挿し口1がその突起3がロックリング5に当接するまで後退し、挿し込み力に対しては、挿し口1の先端が奥端部2aに当接するまで挿し込まれる。
【0004】
一方、ダクタイル鋳鉄管等による流体輸送用配管を埋設する工法としては、地面を開削して布設する開削工法が一般的であったが、近来は幹線道路だけではなく一般道路においても交通量が増加しているので、開削工法のために交通を遮断することは困難となっている。このため、発進立坑と到達立坑だけを開削し、さや管(鞘管)としてヒューム管や鋼管等を推進埋設した後にダクタイル鋳鉄管を挿入するさや管推進工法や、既設管をさや管として、その中に口径の小さい新管を挿入して管路を更新(既設管更新)するパイプインパイプ工法等の推進工法が広く採用されるようになった。
【0005】
そのパイプインパイプ工法は、図12に示すように発進坑Sと到達坑Rとの間に埋設されている既設管P’内にこれよりも径の小さな新管Pを挿入敷設するものであり、発進坑Sには油圧ジャッキJが設置され、この油圧ジャッキJの後部は反力受けHに当接し、前部は押角Bを介して新管Pを押圧するようになっている。新管Pは、その先端部の挿し口1を先行の新管Pの後端部の受口2に挿入することによって順次接合され、既設管P’内に押し込まれて行く。なお、先頭の新管Pの先端部には挿入抵抗を小さくするための先導ソリKを取り付ける。
【0006】
ところで、近年、管路にも耐震性が要求され、その耐震性を有する配管とすべく、上述の各種の耐震管継手が採用されている。この耐震管継手を上述の推進工法に採用する際、上記所要範囲の伸縮代Lを確保して新管Pを敷設するかが問題となり、その伸縮代Lの確保は、挿し口突起3(先端)を受口2のロックリング5と奥端部2aの中程に位置させて推進することである。その問題を解決した技術として、挿し口1外周面に固定のフランジ7と受口2の端面との間に推進力伝達材8を介在した技術がある(特許文献1参照)。
【0007】
この技術は、推進時、推進力伝達材8により、図11に示すように、挿し口1の先端(突起3)を伸縮代Lの中程に維持し、地震等の地盤変動時の挿し口1の受口2への挿し込みに対しては、推進力伝達材8が収縮する(弾性変形から塑性変形を経て最終的に破壊する)ことにより、挿し口1がその縮み代L1 分、軸方向に移動してその変動を吸収するとともに、それ以上の縮みを阻止する。その推進力伝達材8を、同図鎖線に示すように挿し口1の先端と受口2内面の奥端部2aに介在する技術もある(特許文献2参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開2002―276284号公報
【特許文献2】
特開平10−148288号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述の従来の耐震管継手は、何れのものも、受口2内面にロックリング5を嵌め込み等によって設け、そのロックリング5と係止する挿し口1の突起3等は、挿し口1と一体成形、溶接又はリングの嵌め込みによって設けている。
【0010】
この構造では、施工上、好ましくない場合や異なる構成の耐震管継手が要求される場合がある。
【0011】
また、従来の推進力伝達材8は、低発泡ポリスチレン(EPS)等から成り、図10鎖線で示すように、挿し口1の挿し込みによる圧縮力に対して、その変化量(厚みtの変化)は弾性変形域からなだらかな塑性変形域を経て破壊(圧壊)に至って厚みが固定される。この圧縮特性において、 推進力伝達材8として推進時に許容できる変化量は、 弾性変形の範囲内(同図のa点まで)であり、従来の低発泡ポリスチレン等からなる推進力伝達材8のそのa点に至る圧縮強度は3MPa程である。
【0012】
従来の推進工法において、一般に、フランジ7にキャスタを設けて、管Pを低抵抗で挿し込む場合には、 通常、 推進力伝達材8への圧縮力は3MPaを越えないため、 従来のEPS等のもので充分である。
【0013】
しかし、 既設管更新において、通常、 その既設管P’には、近年使用のダクタイル鋳鉄管より素材特性の劣る鋳鉄管が使用されているため、 その内面が荒れており(凹凸が激しく)、また、その管路の継手部には凹部が存在するため、 キャスタがその凹部に嵌まり却って走行し難くなり、 大きな推進力を必要としたり、キャスタを使用できない場合がある。また、キャスタの存在により、 さや管に挿入し得る新管Pの外径は小さくなるため、特に、 既設管P’の更新は、できるだけ流通面積の減少を少なくするために、既設管P’の内径に近い外径の新管Pを挿入する必要がある。このようなこと等から、 キャスタを使用しない場合がある。
【0014】
このようなキャスタを使用しない場合、 推進時の推進力伝達材8への圧縮力は3MPaを遥かに越えて10MPa以上と成る。この場合には、 従来のEPS等の推進力伝達材8は使用することができない。
【0015】
この発明は、従来と異なる耐震管継手を提供することを第1の課題、その管継手により推進工法を行い得るようにすることを第2の課題、さらに、その推進工法において、キャスタを使用しない既設管更新等のように、推進時に大きな圧縮力が働く場合においても、挿し口先端が伸縮代Lの中程を維持して推進し得るようにすることを第3の課題とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記第1の課題を達成するために、この発明は、受口内面に突起を設け、その受口内面にロックリングを預けた状態で、挿し口をその受口に挿し入れ、そのロックリングを挿し口外周面の溝に嵌めて、そのロックリングの受口内面の突起と奥端部間の移動により上記伸縮代Lを確保するようにしたのである。このように、突起を受口側に設け、挿し口にその挿し込みによりロックリングを設けるようにすれば、コスト的に安くし得る場合があるとともに、施工上において有効な場合がある。
【0017】
具体的には、一の管の挿し口が他の管の受口にゴム輪を介在して挿し込まれ、前記挿し口の先端部外周面の溝にロックリングが嵌め込まれ、前記受口内面の前記ロックリングの管軸方向外側にはそのロックリングに係止する突起が設けられ、その突起と受口内面の奥端部との間を前記ロックリングを移動可能として挿し口の伸縮代を確保した耐震管継手であって、前記ロックリングは、一つ割閉り勝手のもので、挿し口の先端部が押し広げて通過して前記溝に嵌まり込み可能なものであり、受口内面には、前記ロックリングを前記受口内面の奥端部から挿し口の先端部端面と前記溝の間以上管軸方向外側に離れて位置させる部材を設けた構成としたのである。
【0018】
この構成では、ロックリングは、一つ割閉り勝手のものであるため、挿し口の通過によって拡径した後、挿し口外周面の溝に対応すれば、その縮径力でその溝に嵌まって挿し口に取付けられる。このとき、ロックリングは、受口内面の奥端部から挿し口の先端部端面と前記溝の間以上管軸方向外側に離れて位置されているため、挿し口先端が前記受口内面の奥端部に当接する前に溝に必ず対応して嵌まる。
【0019】
ロックリングを受口内面の奥端部から離れて位置させる部材は、ステンレス、アルミニウム等の金属、ポリエチレン、ポリプロピレン、 塩化ビニル等の樹脂などの水質に影響を与えない限りにおいて、 任意に選択する。
【0020】
この耐震管継手を推進工法に適用して第2の課題を達成するには、上記管軸方向外側に離れて位置させる部材を、推進工法における推進力伝達材とし、その推進力伝達材により、上記挿し口先端を上記伸縮代の中程に位置させるようにする。ここで、推進力伝達材とは、特許文献1に記載のように、挿し口から受口への推進力の伝達が可能で、地震などによりその推進力よりも大きな押圧力(圧縮力)が作用した時には塑性変形から破壊に至って(圧壊して)、挿し口の挿し込みを許容するものを言う。
【0021】
このとき、第3の課題を達成するために、 上記推進力伝達材をハニカムコアにより形成すれば、ハニカムコアは、図9(a)に示すように、一般に、小さな六角形がたくさん集まった蜂の巣状の心材をいい、そのハニカムコアからなる推進力伝達材は、低発泡ポリスチレン等からなる従来のEPS製推進力伝達材に対して、数倍の耐力(圧縮強度)を有するとともに、図9(a)の矢印方向(孔方向)の圧縮力に対し、ある値以上の圧縮力に対しては急激に破壊する性質を有する。すなわち、このハニカムコアは、高い耐力を有し、 かつ推進力伝達材としては優れた圧縮特性を有するものと言える。
【0022】
この性質は、図9(a)の小さな六角形がたくさん集まった蜂の巣状の芯材の態様に限らず、同図(b)〜(f)に示すように、ハニカムコアの変形例とされるものにおいても発揮される。すなわち、筒状の孔が隔壁で区画されたものであれば、その孔の長さ方向には大きな耐力(圧縮強度)を発揮し、その孔の長さ方向の力に対しては図10の実線に示す厚さ変化曲線(圧縮曲線)を示す。このため、この発明でいう「ハニカムコア」とはそのような構成でもって、そのような性質を有する態様の全てを言う。また、ハニカムコアの素材としては、アルミニウム等の非鉄金属、ステンレスなどの鉄系金属、紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、FRP等の樹脂などの種々の周知のものが考えられ、推進力伝達材として使用し得るものであれば、何れでも良い。さらに、ハニカムコアの耐力は、その材質のみならず、孔の密度によっても調整し得る。
【0023】
これらの耐震管継手は、例えば、上記受口内面に、上記ゴム輪をセッティングするとともに、上記ロックリングを上記管軸方向外側に離れて位置させる部材と共にセッティングし、その後、上記挿し口を前記受口に挿し込み、その際、挿し口の先端部を、上記突起を通過させた後、前記ロックリングを拡径させて通過させ、前記ロックリングを上記溝に嵌め込むことによって構成する。この受口に挿し口を挿し込む際、挿し口の外周面と上記ゴム輪の間にシート状の案内リングを介在させて、ゴム輪の損傷を防止することが好ましい。
【0024】
この耐震管継手により、挿し口が受口に対し上記伸縮代内で管軸方向に抜けることなく動き得るように管を接続しつつ地中に埋設する推進工法にあっては、受口内面に、ゴム輪をセッティングするとともに、ロックリングを推進力伝達材を介してセッティングし、その後、挿し口を受口に挿し込み、その際、挿し口の先端部を、上記突起を通過させた後、ロックリングを拡径させて通過させ、ロックリングを溝に嵌め込み、その状態で、前記推進力伝達材により、挿し口先端を伸縮代の中程に維持して推進する。
【0025】
このとき、推進力伝達材がハニカムコアであれば、上述のように図10実線で示す厚み変化曲線を呈して、大きな耐力を有し、キャスタを介した長い距離の推進の場合は勿論のこと、そのキャスタを介しない(ソリなどによる)推進においても、その推進力により、収縮することなく、挿し口の先端を伸縮代の中程に維持して管を推進させる。敷設後、地震などの大きな地盤変動が生じれば、その変動による圧縮力により、ハニカムコアからなる推進力伝達材が円滑に収縮して、受口に対し挿し口が伸縮して、その地盤変動に対応する。すなわち、耐震機能を発揮する。
【0026】
【実施の形態】
一実施例を図1乃至図4に示し、この実施形態は、従来と同様に、ダクタイル鋳鉄管からなる一の管Pを、その挿し口1を他の管Pの受口2にゴム輪6を介在して挿し込んで接続する耐震管継手構造ではあるが、挿し口1の先端部外周面の溝12にロックリング11が嵌め込まれ、前記受口2内面の前記ロックリング11の管軸方向外側にはそのロックリング11に係止する突起13を一体成形でもって設け、その突起13と受口内面の奥端部2aとの間を前記ロックリング11を移動可能として挿し口1の伸縮代Lを確保したことを特徴とする。突起13は溶接等により受口2内面に一体に設けることもできる。
【0027】
上記ロックリング11は、FCD、SSなどの従来のロックリング5と同様な素材から成って、図2に示すように一つ割閉り勝手のもので、上記挿し口1の先端部が押し広げて通過して前記溝12に嵌まり込み可能なものである。その押し広げを円滑にするため、挿し口先端部の外周全面は下り傾斜のテーパ面1bとなっている。また、ロックリング11は、同図に示すように、同様に一つ割の推進力伝達材14にボルト締め、リベット止め、溶接、接着剤などにより固定され、この推進力伝達材14と共に受口2内面の突起13と奥端部2aの間に嵌めることにより、受口2内面の奥端部2aから挿し口1の先端部端面と前記溝12の間t以上管軸方向外側に離れて位置して、挿し口1の先端が伸縮代Lの中程に位置する。
【0028】
推進力伝達材14は、アルミニウムからなる図9(a)で示す標準六角形タイプのハニカムコアからなり、図2に示すように、ハニカムの孔14aを厚さ方向(ロックリング11の幅方向 図2(b)左右方向)として一つ割円環状にしたものである。推進力伝達材14も閉り勝手とし得る。
【0029】
因みに、従来のEPSからなる推進力伝達材8は、その圧縮強度の上限が3MPaであるのに対し、この実施例のアルミニウム製ハニカムコアからなる推進力伝達材14は、その約10倍の約30MPaあり、その値を超えると、急激に座屈する。
【0030】
この実施形態の構成は以上のとおりであり、図3(a)に示すように、受口2内面に、上記ゴム輪6をセッティングするとともに、ロックリング11付推進力伝達材14を受口2内面の突起13と奥端部2aの間に嵌め、そのゴム輪6の内面全周にポリプロピレンなどの樹脂製シート状案内リング15を挿入して当てがい(同図(a)から(b))、その後、同図(b)から(c)に示すように、挿し口1を前記受口2に案内リング15をガイドとして挿し込み、その先端部がゴム輪6を通り抜けた後、案内リング15を引き抜き、挿し口1の先端部をさらに挿し込んで、突起13を通過させるとともに、ロックリング11を拡径させて通過させ、ロックリング11を溝12に嵌め込む(同図(d))。その状態は、挿し口1の先端が伸縮代Lの中程に位置(規定胴付寸法L1 の位置)する。案内リング15は挿し口1の挿し込み完了後(L1の位置)、引き抜いても良い。また、ゴム輪6、ロックリング11(推進力伝達材14)は、それぞれ現場でセッティングしても、工場等でセッティングしても良い。
【0031】
この状態で、ジャッキで推進力を加えると、その状態(図4(a)の状態)をほぼ維持したままで推進される。このとき、推進力伝達材14は、弾性変形の範囲内(図10の実線のa点までの間)で収縮する。管Pの所要長さの敷設が終了すれば、さや管P’と新管Pの間にモルタル等が打設される。
【0032】
この施設後、地震等の地盤変動時には、挿し口1の受口2からの引き抜きに対しては、図4(b)に示すように、ロックリング11が推進力伝達材14を押し潰して(収縮させて(塑性変形から破壊させて))突起13に当接するまで挿し口1が後退してそれ以上の引き抜きが阻止され、挿し口1の受口2への挿し込みに対しては、図4(c)に示すように、推進力伝達材14が収縮(塑性変形から破壊)することにより、挿し口1がその縮み代L1 分、挿し口1の先端が受口2の内面奥端部2aに当接するまで管軸方向に移動してその変動を吸収するとともに、それ以上の挿し込みを阻止する。なお、ロックリング11は、通常、図示のごとく、推進力伝達材14が圧壊して受口2の内面から脱落しない限り、その突起13又は奥端部2aと当接せずにその圧壊状態の推進力伝達材14で移動が阻止される場合が多い。このため、この圧壊状態の推進力伝達材14の厚みも考慮して伸縮代Lを決定する。
【0033】
上記実施の形態は、図1に示すように、ロックリング11と受口2の内面の間に空隙sを持たせて、ロックリング11の拡径を円滑に許容するようにしたが、その空隙sの存在により、ロックリング11の芯出しが正確でない。このため、図5に示すようにその空隙をなくすれば、その芯出しが正確となる。この場合には、ロックリング11の拡径は推進力伝達材14のハニカム構造を押し潰してなされることとなるが、その押し潰しはハニカム孔14aの径方向のため、比較的容易になされてその拡径を許容する。しかし、図6に示すように、ロックリング11の外周にゴム16を介在してその拡径を確実になし得るようにすることが好ましい。 また、空隙sが在る無しに関係なく、図7に示すように、突起13側の推進力伝達材14は削除することができる。
【0034】
この発明は、上記実施形態の耐震管継手構造に限らず、一の管Pの挿し口1が他の管Pの受口2にゴム輪6を介在して挿し込まれ、前記挿し口1の先端部外周面の溝12にロックリング11が嵌め込まれ、前記受口2内面の前記ロックリング11の管軸方向外側にはそのロックリング11に係止する突起13を一体に設け、その突起13と受口2内面の奥端部2aとの間を前記ロックリング11を移動可能として挿し口1の伸縮代Lを確保した耐震管継手であれば、採用できることは言うまでもない。
【0035】
また、従来のEPS製推進力伝達材14を採用することも、推進作用に支障がない限りにおいて可能であり、推進工法を採用しない場合(開削工法などの場合)には、その推進力伝達材14に相当する部材は、ロックリング11を受口内面の奥端部2aから挿し口1の先端部端面と溝12の間t以上管軸方向外側に離れて位置させ、かつ挿し口1の挿し込み時にその位置を維持し得るものなら、何れでも良い。この場合には、図8に示すように、奥端部2a側の推進力伝達材に相当する部材14bをその奥端部2aから挿し口1の先端部端面と溝12の間t以上を残して削除したものとすることができる。このとき、突起13側の部材14bは削除したり、 短くしても良い。さらに、推進工法において、特許文献1に示すキャスタを使用したものに限らず、キャスタを使用しないものでも採用し得ることは勿論である。このとき、ハニカムコアの推進力伝達材14はその何れの態様でも使用し得る。
【0036】
【発明の効果】
この発明は、以上のように、従来と異なる耐震管継手を提供でき、その管継手により推進工法を行うことができ、さらに、その推進工法において、有効に推進力を得ることができると共に、地殻変動に円滑に対応して、信頼性の高い耐震管継手を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】管継手構造の一実施形態の要部切断正面図
【図2】同実施形態の推進力伝達材を示し、(a)は左側面、(b)は切断正面図
【図3】同実施形態の接続作用図
【図4】同実施形態による地殻変動吸収作用図
【図5】管継手構造の他の実施形態の要部断面図
【図6】同他の実施形態の要部断面図
【図7】同他の実施形態の要部断面図
【図8】同他の実施形態の要部断面図
【図9】ハニカムコアの各例の斜視図
【図10】推進力伝達材の圧縮力と厚み変化量との関係図
【図11】従来の管継手構造の要部断面図
【図12】推進工法の説明図
【符号の説明】
1 挿し口
2 受口
6 シール用ゴム輪
11 ロックリング
12 ロックリング用溝
13 受口側突起
14 推進力伝達材
14a ハニカム孔
15 案内リング
P 新管
P’ さや管(既設管)
Claims (6)
- 一の管Pの挿し口1が他の管Pの受口2にゴム輪6を介在して挿し込まれ、前記挿し口1の先端部外周面の溝12にロックリング11が嵌め込まれ、前記受口2内面の前記ロックリング11の管軸方向外側にはそのロックリング11に係止する突起13が設けられて、その突起13と受口2内面の奥端部2aとの間を前記ロックリング11を移動可能として前記挿し口1の伸縮代Lを確保した耐震管継手であって、
上記ロックリング11は、一つ割閉り勝手のもので、上記挿し口1の先端部が押し広げて通過して上記溝12に嵌まり込み可能なものであり、上記受口2内面には、前記ロックリング11を前記受口2内面の奥端部2aから挿し口1の先端部端面と前記溝12の間t以上管軸方向外側に離れて位置させる部材を設けたことを特徴とする耐震管継手。 - 上記管軸方向外側に離れて位置させる部材を、推進工法における推進力伝達材14とし、その推進力伝達材14により、上記挿し口1の先端を上記伸縮代Lの中程に位置させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の耐震管継手。
- 上記推進力伝達材14をハニカムコアにより形成して、そのハニカムコア14の孔方向を管軸方向としたことを特徴とする請求項2に記載の耐震管継手。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の耐震管継手を成すに際し、上記受口2内面に、上記ゴム輪6をセッティングするとともに、上記ロックリング11を上記管軸方向外側に離れて位置させる部材と共にセッティングし、その後、上記挿し口1を前記受口2に挿し込み、その際、挿し口1の先端部を、上記突起13を通過させた後、前記ロックリング11を拡径させて通過させ、前記ロックリング11を上記溝12に嵌め込んで前記耐震管継手構造とすることを特徴とする管の接続方法。
- 請求項4記載の管の接続方法において、受口2に挿し口1を挿し込む際、挿し口1の外周面と上記ゴム輪6の間にシート状の案内リング15を介在するようにしたことを特徴とする管の接続方法。
- 管Pの挿し口1を先行する管Pの受口2に挿し込んで請求項2又は3に記載の耐震管継手として、前記挿し口1が受口2に対し上記伸縮代L内で管軸方向に抜けることなく動き得るように管Pを接続しつつ地下に埋設する推進工法であって、
上記受口2内面に、上記ゴム輪6をセッティングするとともに、上記ロックリング11を上記推進力伝達材14を介してセッティングし、その後、上記挿し口1を前記受口2に挿し込み、その際、挿し口1の先端部を、上記突起13を通過させた後、前記ロックリング11を拡径させて通過させ、前記ロックリング11を上記溝12に嵌め込み、その状態で、前記推進力伝達材14により、前記挿し口1の先端を上記伸縮代Lの中程に維持して推進することを特徴とする推進工法。
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-
2003
- 2003-07-10 JP JP2003194835A patent/JP2005030469A/ja active Pending
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