JP4646548B2 - Al2O3系セラミックスの製造方法 - Google Patents

Al2O3系セラミックスの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4646548B2
JP4646548B2 JP2004160095A JP2004160095A JP4646548B2 JP 4646548 B2 JP4646548 B2 JP 4646548B2 JP 2004160095 A JP2004160095 A JP 2004160095A JP 2004160095 A JP2004160095 A JP 2004160095A JP 4646548 B2 JP4646548 B2 JP 4646548B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sample
grain size
crystal grain
ceramics
tic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004160095A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005336034A (ja
Inventor
俊二 三垣
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kyocera Corp filed Critical Kyocera Corp
Priority to JP2004160095A priority Critical patent/JP4646548B2/ja
Publication of JP2005336034A publication Critical patent/JP2005336034A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4646548B2 publication Critical patent/JP4646548B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Magnetic Heads (AREA)
  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)

Description

本発明は、イオンミリング法(RIE法)などのイオン照射によって表面加工するのに適したAl系セラミックスに関するもので、磁気ヘッド用基板や、治具、測定用具などに用いられるAl系セラミックスの製造方法に関するものである。
近年、ハードディスクドライブ等に用いられる磁気記録媒体は急速に高密度化が要求されるようになってきている。この高密度化に対応できるように、記録再生用の磁気ヘッドは、従来のフェライト等を使用した磁気ヘッドに代わり、磁気記録の高密度化に好適な磁性薄膜を使用した磁気ヘッドが注目されている。特に、磁気抵抗効果を用いたMR(Magnetro Resistive)ヘッドやGMR(Giant MR)ヘッド等の注目度が高くなっている。
このような記録再生用の磁気ヘッドは、メディア表面から浮上しており、その浮上量は20nm程度と極めて小さい。そのため、特許文献1には、磁気ディスクの内周と外周の周速の違いで磁気ヘッドの浮上量の差が発生するため、その差を低減しようとして、浮上部に正圧部を設けるだけでなく、浮上面の一部に微小な溝(凹部)を凹設することで、負圧部を形成し、磁気ディスクの内外周で浮上量を一定にしようとする磁気ヘッドが提案されている。
また、ハードディスク装置に装着した際、ヘッドとメディアの接触衝撃による粒子脱落のない磁気ヘッド材料が求められており、結晶間の結合力を高める、即ち焼結性を向上させることが必要とされている。
焼結性向上のためには焼成温度を上げる、或いは焼結助剤成分を添加するという方法があるが、焼成温度を上げると結晶粒子の成長が起こり微細結晶を得難い。
焼結助剤添加はイオンミリングや反応性イオンエッチング法による加工時に、加工レートの違いにより加工後の表面部位が劣化するといった問題が起こり十分な解決には至っていない。
また、ハードディスク装置の記録密度の高密度化要求に伴い、磁気記録の読み取り、書き込み素子であるトランスデューサーの形状の微細化により、記録再生時の発熱が大きくなるに従い、トランスデューサーから磁気ヘッドスライダの熱伝導による温度上昇の抑制の要求が高くなり、高熱伝導性を有する薄膜磁気ヘッドが必要となってきている。
このような磁気ヘッドを作成するには、先ず、基板からスライシング加工などを行い、切り出された磁気ヘッドスライダの浮上面に対して研磨処理を施した後、この浮上面に負圧部用の溝を凹設する。この負圧部用の溝は、その深さが数ミクロン程度と非常に浅く、かつ高い加工精度が要求されるため、その加工には通常Ar、CF、CCl、BClなどのイオンビームによるイオンミリング法、反応性イオンエッチング法等のイオン照射を利用した方法が用いられている。
従来からこのような加工方法が用いられるため、このような磁気ヘッドスライダ用の材料としては、耐摩チッピング性、および機械加工性に優れる等の特性が要求されている。
ここで、図1は磁気ヘッドにおけるTPCスライダの一例を示す図で、1は基板を示し、2はスライダ浮上面を、3はレールを、4は溝を、5はステップ部を示している。
これらの要求に満足しえる材料の一つとして、Alに対してTiCを含有するAl−TiC系セラミックスが多用されている。このAl−TiC系セラミックスは、記特性を満足させるため、MgOやY、Ybなどの焼結助剤を添加し、完全に緻密セラミックスとすることにより鏡面加工性を向上させたり、セラミックスの結晶粒径を1.5〜3μm程度に粒成長させることにより、スライシング加工時の耐チッピング性や機械加工性を向上させていた(特許文献1参照)。
また、MgOやNiO、Cr、或いはZrOといった快削性付与剤を0.5〜5重量部添加することにより、機械加工における耐チッピング性を向上させることが知られている(特許文献2参照)。
また、セラミックス中のTiCの平均粒径が1.0〜2.5μmであり、TiCのうち粒径が0.1μmのものが10重量%以下であることを特徴とし、スライシング加工等の耐チッピング性を向上させたものが知られている(特許文献3参照)。
記手法によれば、いずれもスライシング加工といった機械加工における耐チッピング性は向上するが、現在の磁気ヘッドの浮上面となるABSレール加工が施されるイオンミリング或いは反応性イオンエッチング法のような加工においては、粒子径が大きいとAl とTiCの段差が顕著にあらわれ、また快削性付与剤が、該加工によりAlやTiCとのミリングレートの違いにより突起や穴の発生を伴い、満足できる面品位を得難いといった問題があった。
そのため、本願出願人はAl−TiC系セラミックスにおいて、先にAlの平均結晶粒径がTiCのそれより5〜50%大きく、さらには結晶全体の平均結晶粒径が1μm以下、TiCの平均結晶粒径が0.9μm以下であり、結晶粒の粒界層の含有量が1.0重量%以下であるセラミックスを提案されている(特許文献4参照)。
これによればイオンミリング性、反応性イオンエッチング法による加工などによる加工面品位は向上している。
特開平2−153860号公報 特開昭57−135773号公報 特開平9−315848号公報 特開平7−242463号公報
しかしながら、加工性の向上や粒子脱落防止ならびに熱伝導率向上のために、結晶粒径を大きくすることや、加工性の向上や粒子脱落防止のために焼結助剤を添加することで、イオンミリングや反応性イオンエッチング法による加工時に表面部位が劣化するといった問題があるが、イオンミリングや反応性イオンエッチング法による加工時に表面部位の品質を向上させるためにAl系セラミックスの純度を上げる方法や微細粒径を微細にすることにより、熱伝導率の悪化やスライシング加工時にチッピングが発生する問題があり、その問題は相反する課題となっていた。
通常、微細な結晶粒径を含まないAl系セラミックスを得る場合には、原材料の粒子径を選択することや、焼結時の温度を調整し粒成長させるなどして、ある程度の制御は行っているが、それでも完全に除去することは不可能であった。
従って本発明は、スライシング加工等の機械加工時の耐チッピング性がよく、イオンミリングや反応性イオンエッチング法による加工後の表面品位に優れるとともに、微細な結晶を有しながらも熱伝導率の低下が少なく、結晶粒子脱落のないヘッド部材に好適なAl系セラミックスの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討の結果、Al と、TiCおよびTiNから選ばれる少なくとも1種とを含むAl 系セラミックスにおける結晶粒子径を制御し、微小なサイズの結晶粒子を含まないセラミックスが、セラミックス内部に介在する内部応力を緩和し、破壊に対する靭性を向上させることができ、スライシング加工時の耐チッピング性、磁気ヘッドの粒子脱落防止、イオンミリングや反応性イオンエッチング法による加工時における表面部位の品質を向上させ、微細な結晶を有しながらも熱伝導率の低下が少ないことを知見し、本発明に至った。すなわち、本発明のセラミックスの製造方法は、Al 粉末と、TiCおよびTiNから選ばれる少なくとも1種の粉末とを所定の比率で添加、混合した後、限外ろ過法を用いて作製したスラリーを乾燥させ成形し、焼成することによって、50〜95質量%のAl と、TiCおよびTiNから選ばれる少なくとも1種を5〜50質量%含有するAl 系セラミックスであって、該セラミックス中の平均結晶粒径が0.5〜1.2μmで、かつ、最小結晶粒径が0.2μm以上であるAl 系セラミックスを用いて得ることを特徴とする。
発明の製造方法によれば、Al 粉末と、TiCおよびTiNから選ばれる少なくとも1種の粉末とを所定の比率で添加、混合した後、限外ろ過法を用いて作製したスラリーを乾燥させ成形し、焼成することによって、50〜95質量%のAl と、TiCおよびTiNから選ばれる少なくとも1種を5〜50質量%含有するAl 系セラミックスであって、該セラミックス中の平均結晶粒径が0.5〜1.2μmで、かつ、最小結晶粒径が0.2μm以上であるAl 系セラミックスを得ることにより、焼結前の原料スラリーの段階で限外ろ過を使用して、完全に微粒子を除去してしまうため、原材料の選択や焼結温度を調整する必要がなくなり、容易に微粒結晶を含まないセラミックスを得ることができる。
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は磁気ヘッドにおけるTPCスライダの一例を示す図で、1は基板を示し、2はスライダ浮上面を、3はレールを、4は溝を、5はステップ部を示している。
本発明の製造方法により作製されるセラミックスは、50〜95量%のAlと、TiCおよびTiNから選ばれる少なくとも1種を5〜50量%含有するAl系セラミックスであって、Al系セラミックス中の平均結晶粒径が0.5〜1.2μmかつ結晶粒径が0.2μm以上であることにより、スライシング加工等の機械加工時の耐チッピング性がよく、イオンミリングや反応性イオンエッチング法による加工後の表面品位に優れるとともに、微細な結晶を有しながらも熱伝導率の低下が少なく、結晶粒子脱落のないヘッド部材に好適なセラミックス、これを用いた薄膜磁気ヘッド用基板、ならびにその製造方法を提供することができる。
各成分を記範囲に限定したのは、TiCおよびTiNから選ばれる少なくとも1種が5量%より少ないと耐チッピング性が低下しかつ体積固有抵抗値が絶縁体となるためであり、50量%を超えると、焼結性が低下することにより、チッピングが増加することと、イオンミリングや反応性イオンエッチング法による加工時のスピードが低下し不経済となり、さらにはメディアとの接点が多くなるために磁気ヘッドスライダとしての摺動特性が低下するためである。
含有量の測定としては、蛍光X線分析によりセラミックスに含まれる元素を特定し、X線回折により結晶相を同定して酸化アルミニウムと炭化チタンの結晶相が存在することを確認し、さらに蛍光X線分析により元素の定量分析を行い、アルミニウムとチタンをそれぞれ酸化物換算、炭化物換算する方法を用いた。
記組成からなるセラミックスは、組成上はAl結晶粒と、TiCおよびTiNから選ばれる少なくとも1種の結晶粒により構成されるが、焼結助剤成分が含まれると、イオンミリングや反応性イオンエッチング法による加工時において、加工レートの違いにより段差形状に突起や穴が形成され摺動特性が低下する恐れがある。そこで、本発明では焼結助剤を含んでも良いが含有量は0.05〜0.5量部と少ない方が好ましい。なお、記焼結助剤成分が0.05量部未満では焼結性が悪く、また、0.5量部を超えると焼結性は向上するが、イオンミリングや反応性イオンエッチング法による加工後の表面品位が低下し摺動特性が低下する。焼結助剤としてはMgO、CaO、Y、Yb、Nb等を用いればよい。
また、セラミックスの結晶の平均結晶粒径を限定したのは、平均結晶粒径が0.5μmより小さいとスライシング加工により加工負荷が大となり、焼結助剤成分の添加が極微量であるために耐チッピング性が低下し、逆に1.2μmより大きいとスライシング加工性は向上し、耐チッピング性には優れるが、前述したようにイオンミリングや反応性イオンエッチング法による加工により、表面品位が低下し、薄膜磁気ヘッドの浮上特性に大きく影響を与え、更には薄膜磁気ヘッドの浮上量が安定せず、ヘッド特性が安定しなくなるためである。平均結晶粒径が0.5〜1.2μmであれば好適な加工面品位が得られ、ヘッド特性を安定化させることができる。
また、セラミックスの結晶中に0.2μm以下の結晶粒径を含むと、スライシング加工性が悪くなり、チッピングが増大し、加工面が粗くなる。そのため、ヘッドが衝撃を受けた際に加工面が粗いために結晶粒子が脱落しやすくなる。
なお、平均結晶粒径の測定は金属顕微鏡で写真を撮影し、その写真からコード法を採用して測定を行った値である。
さらに、セラミックスの結晶中に0.2μm以下の結晶粒径を含むと、結晶粒界が増えることにより熱伝導率が下がる傾向にあり、トランスデューサーの形状の微細化で記録再生時の温度上昇の抑制に応えられなくなるといった問題がある。
微小粒径は、スライシング加工性や熱伝導率等の特性の面からは0.2μm以下を含まないのが好ましく、歩留りの面からは0.1μm以下を含まないのが望ましい。
さらに本発明によれば、前記セラミックスは限外ろ過法を用いて得ることにより、原材料の選択や焼結温度を調整する必要がなくなり、容易に微粒結晶を含まないセラミックスを得ることができる。
なお、最小結晶粒径が0.2μm以上である結晶粒径の測定は、透過電子顕微鏡(TEM)により写真を撮影し、その結晶写真中で0.2μm以下の結晶が存在するかを確認したものである。
限外ろ過では、限外ろ過膜と呼ばれるスキン層とスポンジ層からなる非対象膜を使用することにより、高分子量物質は透過させずに、水、イオン分子、低分子量物質を透過させ、特に透水性にすぐれている。通常、分子量1,000〜300,000程度の高分子量物質などを対象とした膜による分離を限外ろ過(UF:Ultrafiltration)と言うが、今回は、この限外ろ過膜を用いて、セラミックスラリー中に含まれる微粒子0.2μm以下のサイズのものを除去したものである。
これは、焼結前の原料スラリーの段階で限外ろ過を使用して、完全に微粒子を除去してしまうことによる。
本発明の製造方法により作製される前記セラミックスは、Al粉末と、TiCおよびTiNから選ばれる少なくとも1種の粉末を、さらには所定の焼結助剤を前述したような所定の比率で添加した後、ボールミルなど任意の方法で混合し、その後、限外ろ過装置を用いて微粒の粉砕粒子領域をカットする、スラリーを乾燥させた後成形し、その成形体を1500〜1750℃、Alと、TiCおよびTiNから選ばれる少なくとも1種の量比が概ね7:3であり、ボールミル混合後の一次粒子の平均結晶粒径が1.0μmの場合、望ましくは1700〜1730℃の温度範囲でホットプレス法により焼成すればよい。また熱間静水圧焼成法(HIP法)等によっても焼結できる。
前述したようにAl結晶粒と、TiCおよびTiNから選ばれる少なくとも1種の結晶粒を制御するには、出発原料としていずれも粒径が小さく、望ましくはAlが平均粒子径0.3〜1.0μm、TiCおよびTiNは0.3〜1.5μmのものを用いる。また粒度ばらつきの小さい、形状の揃った原料を用い、粒成長を防ぐために焼成温度をできるだけ低く設定することが望ましい。
(実施例1)
平均粒径0.3μmのAl原料(純度99.9%以上)と、平均粒径1.0μmのTiC原料(純度99.5%以上)を使用し、これらをセラミックスの組成としてAl、TiC、および焼結助剤がそれぞれ表1に示す割合となるように秤量し、溶媒にメタノールを使用して前記原料固形分に対して80量%添加し、振動ミルを用いて120時間粉砕混合した。得られた原料スラリーの平均粒子径は0.4μmであった。
こうして得られたスラリーにメタノールを添加して4倍に希釈した後、図5に示すような限外ろ過装置を用いてろ過を行った。図中、限外ろ過を行うスラリー20を、攪拌タンク21で攪拌機22を用いて攪拌し、送液ポンプ23を用いて限外ろ過膜装置24に送りろ過を行い、微粒子含有スラリー25を除去した。結果、限外ろ過を行ったスラリーは微粒子を含むメタノールが除去されていくため、濃縮されることとなる。このようにして、限外ろ過装置を用いてセラミックスで0.2μm以下の結晶粒径を含まない条件にて希釈前の容積に戻るまで濃縮、つまり限外ろ過を行った。
Al70%、TiC30%の組成の場合の限外ろ過前後のスラリーの粒度分布測定結果を図6に示す。
限外ろ過を行った原料スラリーの粒径分布が、粗粒側へシフトしており、微粒がカットされているのがわかる。限外ろ過装置のろ過膜の目開きは、調合組成の比率やスラリーの性状によって変化するので種々条件を見ながら選択すれば良い。
次に前期微粒を含まない部分のスラリーを乾燥し成形用原料を得た。次いで所望の形状に成形し、1700℃、250kg/cmの圧力で1時間ホットプレス焼成をおこなった。
得られたセラミックスに対してその表面を鏡面加工後、平均結晶粒径、0.2μm以下の結晶粒径の有無の確認、破壊靭性値としてK1c、熱伝導率、内部応力の測定を行った。平均結晶粒径の測定は金属顕微鏡により2,000倍の倍率で写真を撮影し、その写真からコード法を採用して測定を行った。
また、0.2μm以下の結晶粒径の有無の確認は、透過電子顕微鏡(TEM)により20,000倍の写真を撮影し、その結晶写真中で0.2μm以下の結晶が存在するかを確認することで行った。0.2μm以下の結晶の占有率は、前記透過電子顕微鏡写真を画像解析装置(Luzex−FS)にて求めた。またK1cの測定は98.065Nの荷重にてIndentation Fracture法(IF法)により行った。熱伝導率については、レーザーフラッシュ法にて求めた。内部応力の測定については、図2(a)(b)に示すブロック11の変形量を下記の(1)〜(4)の手順で測定することにより評価した。
(1)磁気ヘッド用基板を11aで切断し、切断面を測定面11aとして鏡面加工する。
(2)測定面11aの平面度を表面粗さ計で、A=72mmの距離を測定する。
(3)磁気ヘッド用基板を、測定面11aと平行に11bで切断して、平行面11bを鏡面加工する。また、平行面11bと測定面11aの距離Bは13mmとした。
(4)再度、測定面11aの平面度を表面粗さ計で72mm測定する。
また、本評価方法は特開1999−92213号公報に記載されている方法から応力計算を省略し変形量のみで検討したものである。すなわち、ブロック11の切断前後における変形量が小さいほど磁気ヘッド用基板に残留する内部応力も小さいと判断できる。そして、変形量の測定はTaylor Hobson製のTalysurf series2を使用した。
耐チッピング性については試料を3×4×30mmの矩形状に切断し、その表面が鏡面になるまで錫盤等を用いて研磨し、次いでダイヤモンドホイル(レジン#325、φ110mm×1mmt)を回転数5,500rpm、送り40mm/minに設定し、これを用いて記矩形体を切断し、その切断面よりチッピングの評価を得た。評価基準としてダイヤモンドホイルが通過した界面からチッピングにより除去された部分の長さを測定した。ダイヤモンドホイルが通過した界面の任意の500μmを選び、最大チッピング幅並びにそれ以下で最も大きなチッピング幅をもつ5点を選び、その5点の平均チッピング幅を評価基準としており、その平均チッピング幅が大きくなると耐チッピング性が劣ると判定した。評価基準は表1に示す通りである。
機械加工性については記セラミックスをφ76mm、厚みφ4mmの円盤状に研磨し、次いでダイヤモンドホイル(レジン#325、φ110mm×1mmt)を回転数5,500rpm、送り100mm/minに設定し、これを用いて記円盤を切断したその切断に際してダイヤモンドホイルの主軸に接続された回転駆動用モータの負荷電流を測定し、定常切断時の平均電流値を求めた。この平均電流値が大きくなると切断抵抗が大きくなり、これに伴って機械加工性が低下することを示しており、その評価基準としては○印
、△印、×印の3段階に区分し、順次機械加工性が低下することを表す。同様にして、限外ろ過を行わなかった試料の結果についても表1中に7・8・9として示す。
表1からも明らかなように、試料No1はK1cが大きいが、平均結晶粒径が小さいため、機械加工性が低下している。また、内部応力が大きいため耐チッピング性も悪い。試料No5は、K1cが低く耐チッピング性が悪い。試料No2〜4は、限外ろ過により0.2μm以下の微粒子を含まないことから、熱伝導率が18〜23W/m・kと比較用の試料No7〜9の15〜17W/m・kに比較して向上していることがわかる。さらに内部応力についても、試料No2〜4は、0.7〜1.5MPaと比較用の試料No7〜9の2.1〜2.8MPaに比較して向上していることがわかる。耐チッピング性についても、試料No2の○に対し、比較用の試料No7の△、試料No3の◎に対し、比較用の試料No8の△、試料No4の△に対し、比較用の試料No9の×の評価と全ての試料において改善傾向にあることがわかる。
機械加工性についても、試料No2の○に対し、比較用の試料No7の△、試料No3の○に対し、比較用の試料No8の△、試料No4の◎に対し、比較用の試料No9の○の評価として全ての試料において同等以上か改善傾向にあることがわかる。耐チッピング性と機械加工性の差については、平均結晶粒径がほぼ同じであっても微小な粒子が含まれると加工の際に負荷がかかり、チッピングが発生し易くなっていると考えられる。本発明における試料No3の透過電子顕微鏡写真(倍率×20,000)を図3、比較例の試料No8の透過電子顕微鏡写真(倍率×20,000)を図4に示すが、これら結晶写真が示す通り、本願発明の図3では0.2μm以下の結晶粒径を含んでいない。これは内部応力にも関連があると思われ、微粒域をカットした試料No2〜4では総じて耐チッピング性および機械加工性に優れ内部応力の値も小さい。
(実施例2)
平均粒径0.3μmのAl原料(純度99.9%以上)と、平均粒径1.2μmのTiN原料(純度99.5%以上)を使用し、これらをセラミックスの組成としてAl、TiN、および焼結助剤がそれぞれ表2に示す割合となるように秤量し、溶媒にメタノールを使用して前記原料固形分に対して80量%添加し、振動ミルを用いて120時間粉砕混合した。得られた原料スラリーの平均粒子径は0.5μmであった。
こうして得られたスラリーにメタノールを添加して4倍に希釈した後、限外ろ過装置を用いてセラミックスで0.2μm以下の結晶粒径を含まない条件にて希釈前の容積に戻るまで濃縮、つまり限外ろ過を行った。その後、前期微粒を含まない部分のスラリーを乾燥し成形用原料を得た。次いで所望の形状に成形し、1650℃、250kg/cmの圧力で1時間ホットプレス焼成をおこなった。
得られたセラミックスに対して実験例1の時と同様、平均結晶粒径、0.2μm以下の結晶粒径の有無の確認、破壊靭性値としてK1cの測定、熱伝導率の測定、内部応力の評価、耐チッピング性の評価、機械加工性の評価を行った。その結果を表2に示す。
表2からも明らかなように、試料No10はK1cが大きいが、平均結晶粒径が小さいため、機械加工性が低下している。
また、内部応力が大きいため耐チッピング性も悪い。試料No14は、K1cが低く耐チッピング性が悪い。試料No11〜13は、限外ろ過により0.2μm以下の微粒子を含まないことから、熱伝導率が23〜28W/m・kと比較用の試料No15〜17の20〜22W/m・kに比較して向上していることがわかる。
さらに内部応力についても、試料No11〜13は、1.6〜2.6MPaと比較用の試料No15〜17の2.4〜3.6MPaに比較して向上していることがわかる。
耐チッピング性についても、試料No11の○に対し、比較用の試料No15の△、試料No12の◎に対し、比較用の試料No16の△、試料No13の△に対し、比較用の試料No17の×の評価と全ての試料において改善傾向にあることがわかる。
機械加工性についても、試料No11の○に対し、比較用の試料No15の△、試料No12の○に対し、比較用の試料No16の△、試料No13の◎に対し、比較用の試料No17の○の評価と全ての試料において同等以上か改善傾向にあることがわかる。
耐チッピング性と機械加工性の差については、平均結晶粒径がほぼ同じであっても微小な粒子が含まれると加工の際に負荷がかかり、チッピングが発生し易くなっていると考えられる。これは内部応力にも関連があると思われ、微粒域をカットした試料No11〜13では掃総じて耐チッピング性および機械加工性に優れ内部応力の値も小さい。
(実施例3)
平均粒径0.3μmのAl原料(純度99.9%以上)と、平均粒径1.0μmのTiC原料(純度99.5%以上)、平均粒径1.2μmのTiN原料(純度99.5%以上)を使用し、これらをセラミックスの組成としてAl、TiN、および焼結助剤がそれぞれ表3に示す割合となるように秤量し、溶媒にメタノールを使用して前記原料固形分に対して80量%添加し、振動ミルを用いて120時間粉砕混合した。得られた原料スラリーの平均粒子径は0.5μmであった。
こうして得られたスラリーにメタノールを添加して4倍に希釈した後、限外ろ過装置を用いてセラミックスで0.2μm以下の結晶粒径を含まない条件にて希釈前の容積に戻るまで濃縮、つまり限外ろ過を行った。その後、前期微粒を含まない部分のスラリーを乾燥し成形用原料を得た。次いで所望の形状に成形し、1675℃、250kg/cmの圧力で1時間ホットプレス焼成をおこなった。
得られたセラミックスに対して実験例1の時と同様、平均結晶粒径、0.2μm以下の結晶粒径の有無の確認、破壊靭性値としてK1cの測定、熱伝導率の測定、内部応力の評価、耐チッピング性の評価、機械加工性の評価を行った。その結果を表3に示す。
表3からも明らかなように、試料No18はK1cが大きいが、平均結晶粒径が小さいため、機械加工性が低下している。
また、内部応力が大きいため耐チッピング性も悪い。試料No22は、K1cが低く耐チッピング性が悪い。試料No19〜21は、限外ろ過により0.2μm以下の微粒子を含まないことから、熱伝導率が21〜25W/m・kと比較用の試料No23〜25の18〜20W/m・kに比較して向上していることがわかる。
さらに内部応力についても、試料No19〜21は、1.2〜2.1MPaと比較用の試料No23〜25の2.4〜3.2MPaに比較して向上していることがわかる。
耐チッピング性についても、試料No19の○に対し、比較用の試料No23の△、試料No20の◎に対し、比較用の試料No24の△、試料No21の△に対し、比較用の試料No25の×、の評価と全ての試料において改善傾向にあることがわかる。
機械加工性についても、試料No19の○に対し、比較用の試料No23の△、試料No20の○に対し、比較用の試料No24の△、試料No21の◎に対し、比較用の試料No25の○の評価と全ての試料において同等以上か改善傾向にあることがわかる。
耐チッピング性と機械加工性の差については、平均結晶粒径がほぼ同じであっても微小な粒子が含まれると加工の際に負荷がかかり、チッピングが発生し易くなっていると考えられる。これは内部応力にも関連があると思われ、微粒域をカットした試料No19〜21では掃総じて耐チッピング性および機械加工性に優れ内部応力の値も小さい。
磁気ヘッドにおけるTPCスライダの一例を示す図である。 磁気ヘッド用基板の内部応力(変形量)の評価方法示す図である。 本発明における実施例の結晶写真の一例を示す写真である。 本発明における比較例の結晶写真の一例を示す写真である。 本発明における限外ろ過装置の一例を示す図である。 限外ろ過前後のスラリーの粒径分布の差を示す図である。
符号の説明
1:基板
2:スライダ浮上面
3:レール
4:溝
5:ステップ部
10:磁気ヘッド用基板
11:ブロック
11a:測定面
11b:平行面
20:スラリー
21:攪拌タンク
22:攪拌機
23:送液ポンプ
24:限外ろ過膜装置
25:微粒子含有スラリー
Al:Al結晶
TiC:TiC結晶
Al:Al結晶
Ti:TiC結晶

Claims (1)

  1. Al 粉末と、TiCおよびTiNから選ばれる少なくとも1種の粉末とを所定の比率で添加、混合した後、限外ろ過法を用いて作製したスラリーを乾燥させ成形し、焼成することによって、50〜95質量%のAl と、TiCおよびTiNから選ばれる少なくとも1種を5〜50質量%含有するAl 系セラミックスであって、該セラミックス中の平均結晶粒径が0.5〜1.2μmで、かつ、最小結晶粒径が0.2μm以上であるAl 系セラミックスを得ることを特徴とするAl系セラミックスの製造方法。
JP2004160095A 2004-05-28 2004-05-28 Al2O3系セラミックスの製造方法 Expired - Fee Related JP4646548B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004160095A JP4646548B2 (ja) 2004-05-28 2004-05-28 Al2O3系セラミックスの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004160095A JP4646548B2 (ja) 2004-05-28 2004-05-28 Al2O3系セラミックスの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005336034A JP2005336034A (ja) 2005-12-08
JP4646548B2 true JP4646548B2 (ja) 2011-03-09

Family

ID=35490001

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004160095A Expired - Fee Related JP4646548B2 (ja) 2004-05-28 2004-05-28 Al2O3系セラミックスの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4646548B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5148502B2 (ja) * 2006-11-07 2013-02-20 京セラ株式会社 セラミック焼結体とそれを用いた磁気ヘッド用基板および磁気ヘッドならびに記録媒体駆動装置
CN101689374B (zh) 2007-06-27 2012-03-28 京瓷株式会社 磁头用基板、磁头以及记录介质驱动装置
JP5106317B2 (ja) * 2008-08-28 2012-12-26 京セラ株式会社 磁気ヘッド用基板および磁気ヘッドならびに磁気記録装置
CN101856843B (zh) * 2010-05-28 2014-08-27 航天科工哈尔滨风华有限公司 具有透波性能的陶瓷基复杂曲面零件机械加工装置及方法
JP2013032265A (ja) * 2011-07-01 2013-02-14 Maruwa Co Ltd 半導体装置用アルミナジルコニア焼結基板及びその製造方法

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0543311A (ja) * 1991-08-01 1993-02-23 Denki Kagaku Kogyo Kk セラミツクス材料及び薄膜磁気ヘツド用セラミツクス基板
JP2000103667A (ja) * 1998-09-30 2000-04-11 Kyocera Corp Al2O3−TiC系焼結体及びこれを用いた薄膜磁気ヘッド用基板
JP2004153007A (ja) * 2002-10-30 2004-05-27 Kyocera Corp イオンミリング評価用基板およびその製造方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0543311A (ja) * 1991-08-01 1993-02-23 Denki Kagaku Kogyo Kk セラミツクス材料及び薄膜磁気ヘツド用セラミツクス基板
JP2000103667A (ja) * 1998-09-30 2000-04-11 Kyocera Corp Al2O3−TiC系焼結体及びこれを用いた薄膜磁気ヘッド用基板
JP2004153007A (ja) * 2002-10-30 2004-05-27 Kyocera Corp イオンミリング評価用基板およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005336034A (ja) 2005-12-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH0319184B2 (ja)
JP3933523B2 (ja) 薄膜磁気ヘッド用セラミックス基板材料
JP4646548B2 (ja) Al2O3系セラミックスの製造方法
JP3121980B2 (ja) 磁気ヘッド用基板
JP5148502B2 (ja) セラミック焼結体とそれを用いた磁気ヘッド用基板および磁気ヘッドならびに記録媒体駆動装置
JP2000103667A (ja) Al2O3−TiC系焼結体及びこれを用いた薄膜磁気ヘッド用基板
JP5228850B2 (ja) 焼結体
JP2009110571A (ja) 磁気ヘッド用基板およびこれを用いた磁気ヘッドならびに記録媒体駆動装置
JP6563708B2 (ja) 薄膜磁気ヘッド用基板、磁気ヘッドスライダ、および、ハードディスクドライブ装置
JP2007039308A (ja) 焼結体、磁気ヘッドスライダ、及び焼結体の製造方法
JP4453627B2 (ja) 磁気ヘッドスライダ用焼結体、磁気ヘッドスライダ、及び、磁気ヘッドスライダ用焼結体の製造方法
JP2009120428A (ja) 焼結体及びその製造方法
JP2006347798A (ja) セラミック焼結体及びその製造方法並びに磁気ヘッド用基板
JP6359897B2 (ja) 薄膜磁気ヘッド用基板、磁気ヘッドスライダ、および、ハードディスクドライブ装置
JPH10212164A (ja) 磁気ヘッド用基板材料
JP6563710B2 (ja) 薄膜磁気ヘッド用基板、磁気ヘッドスライダ、および、ハードディスクドライブ装置
JP6563709B2 (ja) 薄膜磁気ヘッド用基板、磁気ヘッドスライダ、および、ハードディスクドライブ装置
JP2007176786A (ja) セラミック焼結体とそれを用いた磁気ヘッド用基板および磁気ヘッド、ならびに記録媒体駆動装置
JP2008243354A (ja) 磁気ヘッド用基板とその製造方法およびこれを用いた磁気ヘッドならびに記録媒体駆動装置
JPH1112026A (ja) Al2O3−TiC系焼結体および磁気ヘッド用基板
JP5295109B2 (ja) 磁気ヘッド用基板、磁気ヘッドおよび記録媒体駆動装置
JP5106317B2 (ja) 磁気ヘッド用基板および磁気ヘッドならびに磁気記録装置
JP4270066B2 (ja) 薄膜磁気ヘッド用基板およびこれを用いた薄膜磁気ヘッド
JPS6042275A (ja) セラミック製ブレ−ドおよびその製造方法
JPS6110052A (ja) 薄膜磁気ヘツド用基板材料

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070411

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20091001

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100601

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100723

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20101109

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20101207

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131217

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4646548

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees