JP4270066B2 - 薄膜磁気ヘッド用基板およびこれを用いた薄膜磁気ヘッド - Google Patents

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Description

本発明は、コンピュータのハードディスクドライブやテープストレージの薄膜磁気ヘッドに用いられる基板およびそれを用いた薄膜磁気ヘッドに関する。
近年、情報通信技術の発展に伴って、コンピュータで扱う情報量が飛躍的に増大してきている。特に、従来ではアナログ信号としてのみ扱うことが可能であった音声や音楽、画像などのマルチメディア情報もデジタル信号に変換することによりパーソナルコンピュータで処理できるようになってきている。このような音楽や画像などのマルチメディアデータは、多くの情報を含むため、パーソナルコンピュータなどに用いられる情報記録装置の容量を大きくすることが求められている。
ハードディスクドライブは、コンピュータに従来より用いられている典型的な情報記録装置である。上述した要求に応えるため、近年ますます大容量のハードディスクドライブが求められている。つまり、ハードディスクドライブの記録密度を高めることが求められている。
また、マルチメディア情報がデジタル化されることにより、コンピュータ以外の種々の家庭用機器にもハードディスクドライブ装置が搭載されるようになってきた。たとえば、ハードディスクビデオレコーダー、カーナビゲーションシステム、デジタルカメラ、携帯オーディオプレーヤーには、ハードディスクドライブを搭載したものが既に市販されている。また、携帯型ゲーム機、携帯型テレビなどにもハードディスクドライブを搭載することが検討されている。こうした用途では、ハードディスクドライブの小型化への要求が強く、またコストを低減することも求められている。
このような、高密度記録化、小型化および低コスト化への要求に対して、磁気ディスク、磁気ヘッドおよび信号処理方法などにおいて、革新的技術の採用や技術改良が行われてきた。図1(a)および(b)は、ハードディスクドライブの記録密度およびハードディスクドライブにおける記録再生ヘッドの浮上高の経年変化を示すグラフである。図1(a)に示すように、線記録密度は、1980年では、約10Mビット/インチであったのに比べ、2000年では約1Gビット/インチ近くまで向上している。また、磁気ディスクと記録再生ヘッドとの間隔は、図1(b)に示すように、1990年には100nm以上であったのに対して、2000年には10nm近くまで低下している。近年では、磁気ディスクの直径が1インチであり、記録容量が4Gバイトのハードディスクドライブも普及しており、さらなる線記録密度の向上および磁気ディスクと記録再生ヘッドとの間隔の低減を達成するため、技術革新が続けられている。
このようなハードディスクドライブの記録再生ヘッドとして、記録再生素子に用いられるコアやコイル部分も半導体薄膜プロセスによって製造が可能な薄膜磁気ヘッドが1990年頃より採用されている。図2(a)および(b)に示すように、ジンバル14に支持された薄膜磁気ヘッド10は、スライダ11およびスライダに設けられた記録・再生素子12を備えている。記録・再生素子12は実際には記録素子および再生素子から構成されている場合が多いが、見易さのため、図2(a)および(b)ではあわせて表示している。スライダ11は、磁気ディスクが回転することにより、磁気ディスクの表面に生じる気流を受けて所定の高さで上昇する力が働くように設計された構造を備えている。この構造をエアーベアリングサーフェス(ABS)といい、磁気ディスクと対向する面11aに設けられている。エアーベアリングサーフェス11aは、一対の凸部11bに挟まれたキャビティ11cを有する。
従来よりスライダ11にはAl23−TiC系のセラミックス焼結体(以下AlTiCと略する)が用いられてきた。AlTiCは、Al23を主相とし、TiCを副相として含み、硬度が高く、電気伝導性および切削加工性に優れる。また、量産性にすぐれる。薄膜磁気ヘッド用基板としてこのような特性のすべてを満足する材料は少ないため、薄膜磁気ヘッド用基板として種々の材料が提案されてきたが(特許文献1)、ほとんどすべてのハードディスクドライブの薄膜磁気ヘッドにAlTiCからなる基板が用いられてきた。
特開平2−199808号公報 特開昭62−266726号公報
上述したように、磁気ディスクと記録再生ヘッドとの間隔(記録再生ヘッドの浮上高)は、現在市販されている製品では10nm近くにまで低下しており、ハードディスクドライブの記録密度をさらに向上させた次世代の高密度記録用ハードディスクドライブでは、この間隔を数nm以下となるように設計される。また、数nmの間隔で磁気ディスクから離間した状態を維持することが要求されるエアーベアリングサーフェス11aは、この数字よりはるかに小さい面粗度で加工されることが要求される。
本発明は、このような課題を解決し、磁気ディスクと記録再生ヘッドとの間隔が数nmとなるような高密度記録用のハードディスクドライブの薄膜磁気ヘッドに好適に用いることができる薄膜磁気ヘッド用基板および薄膜磁気ヘッドを提供することを目的とする。
本発明の薄膜磁気ヘッド用基板は、MSi2(MはMo、Ti、Nb、Cr、W、Taからなる群から選ばれる1種以上の金属)の単結晶からなる。
ある好ましい実施形態において、前記MはMoである。
本発明の薄膜磁気ヘッドは、上記いずれかに規定される薄膜磁気ヘッド用基板からなり、エアーベアリングサーフェスを有するスライダと、前記エアーベアリングサーフェスに隣接した面に設けられた記録再生素子とを備える。
ある好ましい実施形態において、薄膜磁気ヘッドは、前記エアーベアリングサーフェスに設けられた、ダイヤモンドライクカーボン膜をさらに備える。
ある好ましい実施形態において、前記ダイヤモンドライクカーボン膜は、前記エアーベアリングサーフェスと接触している。
ある好ましい実施形態において、薄膜磁気ヘッドは、前記記録再生素子と、前記スライダとの間に前記MSi2の酸化物からなる絶縁膜をさらに備える。
本発明によれば、研磨加工性、エッチング加工性および熱伝導性などにすぐれ、小型で高記録密度のハードディスクドライブに適した薄膜磁気ヘッド用基板が得られる。
本願発明者は、従来のAlTiCからなる薄膜磁気ヘッド基板を用いて、数nmの間隔で磁気ディスクから離間した状態を維持することのできる薄膜磁気ヘッドが作成可能であるかを検討した。その結果、AlTiCからなる薄膜磁気ヘッド基板を用いる場合、以下で説明する問題が生じることが分かった。
まず、上述したようにAlTiCは、Al23を主相とし、TiCを副相として含む複合セラミックス焼結体であり、Al23およびTiCがそれぞれ結晶粒を構成している。Al23およびTiCのビッカース硬度はそれぞれ2300および2500であり、異なっている。このため、AlTiCからなる薄膜磁気ヘッド基板にCMPなどを含む物理的研磨を施す場合、硬度の差異によるエッチング速度差が生じるため、研磨面において、一定値以上の平坦度を得ることが難しい。また、Al23やTiCの結晶粒は厳密には研磨面に対して任意の方向に配向するため、同じ組成の結晶粒でも研磨能率に差異があり、結晶方位の違いにより、結晶段差が生じる。前述のように要求される磁気ディスクと記録再生ヘッドとの間隔は数nm以下であるため、この段差は非常に大きな問題となる。
また、薄膜磁気ヘッド20は、図3(a)に示すようにAlTiC基板21上に、Al23膜22、記録再生素子23およびAl23膜24が積層された構造を備える。この構造を得るために、図3(b)に示すように、AlTiC基板21’上にこれらの膜および複数の記録再生素子23を形成する。記録再生素子23は、記録素子および再生素子から構成されるが、見易さのため、合わせて示している。また、同様の理由から、Al23膜22、24は図示していない。その後、破線で示すように、複数の記録再生素子23を含むバー21’’が切り出される。図に示すように、基板21’の厚さ方向tと平行に切り出された面25がエアーベアリングサーフェスとなる。面25を研磨し、平坦となるように仕上げられる。
面25には、AlTiC基板21、Al23膜22、記録再生素子23およびAl23膜24が露出するため、面25を研磨する際、これらの研磨能率の差異が問題となる。具体的には、AlTiC基板21の硬度が最も高く、AlTiC基板21>Al23膜22、24>記録再生素子23の順となる。このため、AlTiC基板21が平滑になるよう面25を研磨すると、AlTiC基板21よりもAl23膜22、24および記録、再生素子23は研磨されすぎてしまう。またAl23膜22、24よりも記録再生素子23はさらに多く研磨される。その結果図3(c)に示すように、面25におけるAl23膜22、24の部分はAlTiC基板21の部分に比べ一段低くなる。また、記録再生素子23の部分はAl23膜22、24に比べさらに低くなる。この段差(ポールチップリセッションとも呼ばれる)は、各部の材料物性である硬度の差異によって生じているため、物理的研磨を行う限り、この差異を解消することは非常に困難である。
さらに、バー21’’の平坦化された面25は、図3(b)に示すように各記録再生素子23が破線で挟まれる領域において、図2(b)に示すエアーベアリングサーフェスの構造を有するように加工される。この加工には、フッ化炭素やArによるドライエッチングが施される。一般に、ドライエッチングにおいて、異なる2つの化学種のエッチング速度はエッチング条件を適切に選択、調整することにより、制御される。しかし、異なる2つの化学種に対するエッチング速度を一致させ、エッチング量差が厳密にゼロとなるよう制御することは現在考えられるドライエッチング方法では非常に困難である。薄膜磁気ヘッドの場合、AlTiC基板21にAl23およびTiCの2つの化学種が含まれる。このため、上述したエアーベアリングサーフェスの構造を形成する際、Al23およびTiCのエッチング速度を完全に一致させることは困難であり、面25を完全に平滑にすることも難しい。また、上述した物理的研磨と同様、Al23やTiCの結晶粒の配向方向によってもエッチング速度に違いが生じるため、この点でも面25を完全に平滑にすることは難しい。
また、AlTiC基板を用いる場合、セラミックス焼結体であることに起因して、結晶粒の3重点や2粒子の界面にマイクロポアや歪み相が必然的に生じる。マイクロポアや歪み相は穴として表面の平坦化に影響するだけでなく、不純物が堆積あるいは滞留するポケットとしても作用するという問題もある。
また、面25の上述の加工工程および基板21’からバー21’’を切断する工程において、加工精度および加工品質が高くかつ加工能率のよいことが求められる。つまり、断加工しやすいよう研削抵抗が低くまた、加工面のチッピングや欠け、脱粒のないことが薄膜磁気ヘッド用基板には求められる。現在より微細な薄膜磁気ヘッドを作製するためには、研削抵抗を現在と同程度に維持したままで、チッピングや脱粒をさらに低減する必要がある。しかし、AlTiCが硬質であり焼結体であることから、このような要求を満たすことは困難であると考えられる。
これらの課題はAlTiCが複合セラミックス焼結体であることに起因していると考えられる。このため、薄膜磁気ヘッド用基板として単結晶材料を用いれば、上述した課題は解決されると考えられる。本願発明者は、このような知見に基づき、AlTiCと代替可能な単結晶材料について検討をおこなった。
薄膜磁気ヘッド用基板としては、上述した機械的および化学的加工性に加えて、所定の熱的および電気的特性を満たす必要がある。薄膜磁気ヘッドでは、記録再生素子が動作する熱により、記録再生素子自体が熱膨張し、エアーベアリングサーフェスから素子が突出することが問題となる。素子の突出を防止するためには、素子で発生した熱を高効率で放熱することが必要であり、このため、薄膜磁気ヘッド用基板には高い熱伝導性が要求される。現在より微細な薄膜磁気ヘッドを実現するためには、AlTiC以上に熱伝導率の高いことが求められる。また、微細な形状を有するABSを精度よく形成するために、基板の熱膨張率が小さいことが求められる。さらに、記録再生素子において静電気が蓄積し、静電破壊が生じないよう、適度な導電性を有していることが求められる。
これらの条件を満たす単結晶材料として、本願発明者は、Mo、Ti、Nb、Cr、W、Taからなる群から選ばれる一種以上の金属のシリサイドの単結晶が薄膜磁気ヘッド用基板に適していることを見出した。これらの金属のシリサイドはタービンや、エンジン、航空機器などの耐熱構造材として適していることが報告されているが、一般に比較的大きな構造への適用が検討されているのみであり、本願発明のような微細な構造体へ用いることは検討されていなかった。また、従来の報告では金属シリサイドとして、焼結により得られる多結晶体が用いられており、単結晶の金属シリサイドを構造体に用いる検討はほとんどされていなかった。こうした比較的大きな構造体では、サブミクロン以下の表面平滑性が要求されることはほとんどなかった。このようなことから、金属シリサイドの単結晶を微小構造体に用いるという発想は従来にはなかったものであるといえる。
また、特許文献2は、金属シリサイドが潤滑作用を有し、良好な摺動性が要求される薄膜磁気ヘッドのスライダに適していると開示している。しかし、特許文献2は、金属シリサイドの焼結体を用いる点、摺動性の改善を目的としている点、特許文献2の技術水準では浮上量は0.1〜0.3μmであり、本願発明が解決しようとする課題は生じていなかった点において本願発明とは全く異なる思想により金属シリサイド焼結体を開示しているにすぎないと考えられる。
以下、本発明の薄膜磁気ヘッド用基板を詳細に説明する。本発明の薄膜磁気ヘッド用基板は、金属シリサイドの単結晶からなる。金属シリサイドは、金属元素をMとしてMSi2で示される組成を有する。金属Mは、Mo、Ti、Nb、Cr、W、Taからなる群から選ばれる1種以上を含む。
上記金属のシリサイドは、薄膜磁気ヘッドに要求される程度の十分な機械的強度を有し、かつ、金属炭化物やAlTiCに比べて硬度が小さい。具体的には、上述した金属シリサイドのビッカース硬度Hvは700〜1500程度である。このため、金属シリサイドからなる基板の研磨効率および研削効率はAlTiC基板の2倍以上となり、研磨および研削のいずれの加工性にも優れる。研削抵抗もAlTiCに比べ、1/2以下となる。このため、研磨工程で用いる砥石の表面が研磨により劣化し、ドレスが必要となるまでの時間もAlTiC基板を研磨する場合の2倍以上になり、砥石の寿命も長くなる。また、研削抵抗が小さいため、砥石を用いた研磨における直線加工性が向上し、加工精度の向上および加工速度の増大を同時に達成できる。
また、ビッカース硬度Hvが上述した範囲にあるため、従来粗研磨および仕上げ研磨の2段階が必要であったダイヤ砥粒による研磨において、粗研磨工程を省略しても従来のAlTiCと同程度の研磨面を得ることができる。さらに細かい砥粒を用い、エアーベアリングサーフェスの面粗度を従来よりも小さくすることも可能である。
本発明で用いる金属シリサイドのビッカース硬度Hvは、従来のAlTiCより小さいく、Al23や記録再生素子を構成する金属のビッカース硬度Hvに近い。このため、エアーベアリングサーフェスを研磨する際、硬度の差異によって生じるエッチング量の差異も小さくなり、図3(c)に示すような加工時の段差もAlTiCを用いた場合に生じる段差の1/10程度にすることができる。これにより、製造する薄膜磁気ヘッドの特性が向上し、また、製造した薄膜磁気ヘッド間での特性のばらつきも低減させることができる。
また、本発明で用いる金属シリサイドは、Siを含む単結晶であるため、ドライエッチング能率が高い。化学種が一種であるため、ドライエッチングにおいて、化学種ごとにエッチング速度が異なるという課題も解消される。また、単結晶であるため、粒界や異相が存在せず、研削および研磨した面や、エッチング後の面の面粗度が小さく、平滑性は非常によい。単結晶中には粒界が存在しないので、加工時の脱粒も生じず、発塵を抑制することができる。
こうした研磨、研削特性に加え、本発明の薄膜磁気ヘッド用基板は、100から1000mΩcmの範囲内の電気抵抗、6から10ppm/Kの範囲内の熱膨張率および、30から70W/mKの範囲内の熱伝導率を有する。AlTiCと同程度の電気抵抗を有するため、静電気が記録再生素子に蓄積されるのを効果的に防止することができる。また、熱膨張率もAlTiCと同程度であるため、熱膨張による加工精度の低下を防止し、微小な形状の薄膜磁気ヘッドを作製することができる。熱伝導率もAlTiC以上に十分高く、放熱性に優れる。このため、微細化することにより、記録再生素子に蓄積しやすい熱を効率的に放散させることができる。
これらの物性が薄膜磁気ヘッド用基板に特に適しているという点で、金属シリサイドの金属元素Mは、Mo、W、Tiであることが好ましく、Moを金属元素として選択することが特に好ましい。
本発明の薄膜磁気ヘッド用基板は、金属シリサイドの単結晶である限り、単結晶の結晶系および基板の主面となる面の面方位に特に制限はない。薄膜磁気ヘッド用基板のサイズに特に制限はなく、作製される薄膜磁気ヘッドの外形および薄膜磁気ヘッドの製造工程で用いられる装置の最大加工寸法により、適宜適切な寸法の基板を用いることができる。
本発明で用いる金属シリサイド単結晶は、チョクラルスキー法、フラックス法、ブリッジマン法、FZ法、EPG法のいずれを用いて成長させてもよい。単結晶を作製する際、結晶成長方法を適切に選択することにより、Mo、Ti、Nb、Cr、W、Taから主金属および副金属を選択し、混合金属シリサイドの単結晶を成長させてもよい。
上述したように本発明の薄膜磁気ヘッド用基板によれば単結晶材料で基板が構成されているため、AlTiC基板を用いた場合に結晶粒が表面に現れることによる微細加工性および平滑加工性の限界を克服し、研磨加工性、エッチング加工性および熱伝導性などに優れ、小型で高記録密度のハードディスクドライブに適した薄膜磁気ヘッド用基板が得られる。
(実施例1)
純度99.9%のMoSi2の粉末(あるいはカレット)を用意し、黒鉛坩堝に粉末を入れ、高周波加熱炉に導入する。高周波電力を印加し、Ar雰囲気中でMoSi2の粉末を溶融させ、チョクラルスキー法により単結晶を作製した。この単結晶を直径3インチ長さ100mmに加工し、インゴットとした。得られた結晶はMoSi2のC11立方晶構造を有していた。
インゴットから(100)面が主面となるようにウエハーを切り出し、粗研磨後、面取り加工、両面粗研磨を施した。歪取りのため、ウエハーを1500℃で3時間熱処理した。熱処理後のウエハーの両面をダイヤ研磨し、片面にコロイダルシリカを用いたCMP加工を施し、直径3インチ、厚さ1.2mmのウエハーを得た。また、インゴットからそれぞれ所定の形状に切り出した試料を作成し、表1に示す物性を測定した。また、比較例として、従来のAlTiC基板の物性を測定した。なお、密度、電気抵抗、抗折強度、ヤング率、ビッカース硬度、熱膨張率および熱伝導度は一般的な計測機器を用いて測定を行った。
Figure 0004270066
表1に示すように、本発明のMoSi2単結晶の密度は、Moの比重が大きいことから、AlTiCに比べてやや密度は高い。しかし、微細な薄膜磁気スライダを形成するのに、問題のない範囲内の値である。MoSi2単結晶の電気抵抗はAlTiCより小さく、静電気の蓄積を防止することができるため、薄膜磁気ヘッド用基板として適している。
抗折強度は、AlTiCに比べると小さい。しかし、本願発明者は薄膜磁気ヘッド用基板が約300MPa以上の抗折強度を有しておれば、従来と同様のプロセスによりバー状に加工して薄膜磁気スライダを作製する場合に、基板やバーが加工工程で被る力によって破損することがないことを確認した。
MoSi2単結晶のヤング率はAlTiCとほぼ同程度であり、各工程において特に問題となる基板やバーの変形が生じない範囲である。
ビッカース硬度は、AlTiCに比べて6割程度の値であり、かなり小さくなっている。このため、AlTiCに比べて研磨および研削に性能に優れ、生産性が向上することが分かる。
熱膨張率はAlTiCと同程度以下の値であり、高密度記録ヘッドのエアーベアリングサーフェスを高い精度で加工する場合に、基板が収縮することによる影響が抑制されている。また、熱伝導率はAlTiCに比べて2倍以上の値を示す。このため、放熱性に優れ、特に微細な記録再生素子で発生する熱を効率よく放散することができる。このように、MoSi2単結晶からなる薄膜磁気ヘッド用基板は高密度記録で微細な薄膜磁気ヘッドを製造するのに適していることが分かる。
次に、得られたウエハーを薄膜磁気ヘッド用基板112として用い、図4(a)および(b)に示す薄膜磁気ヘッドを作成した。比較例としてAlTiC基板を用いた薄膜磁気ヘッドも作成した。まず、絶縁膜として、基板112の表面に厚さ約1μmのアルミナ膜113をスパッタ法により形成した。アルミナ膜113上に再生素子としてGMR素子116を半導体フォトリソグラフィ技術により形成し、さらにアルミナ膜113を堆積した。GMR素子116と基板112との間に基板112の表面を酸化させることによって得られるMSi2の酸化膜を形成してもよい。図示しないシールド層を形成した後、書き込み素子114、コイル115および電極118を半導体フォトリソグラフィ技術を用いて形成した。これらの工程では、基板112が単結晶からなるため、基板112の表面における欠陥密度がAlTiCに比べて著しく低減されている。このため、基板112上における素子の不良はほとんど発生しなかった。
得られた基板を図3(b)に示すようにバーとして切断し、基板112の主面に隣接し、エアーベアリングサーフェスとなる面112aに対して、エレメントハイト加工研磨を施した。研削能率は、AlTiCを用いた従来の基板と同等な直線性研磨状態が達成できる砥石の送りスピードに設定した。本実施形態による基板112の研削速度は約500mm/minであり、従来のAlTiC基板の研削速度は約50mm/minあった。本実施形態によれば従来の研削速度の10倍の速度を達成することができた。
次に、切断したバーを1/4μmのダイヤ砥粒を用いて、エアーベアリングサーフェスとなる面112aをさらに研磨した。研磨能率は、約4.2μm/minであった。従来のAlTiC基板の研磨速度が約0.8μm/minであるので、従来の研磨速度の5倍の速度を達成することができた。また、研磨後、基板112、素子113、116およびアルミナ膜113のエアーベアリングサーフェスとなる面112aにおける段差は約0.5nmであった。AlTiCを用いた従来の基板の場合約5nmであったので、段差を一桁小さくすることができた。
また、研磨後のエアーベアリングサーフェスとなる面112aの平均面粗度Raは0.3nmであった。AlTiCを用いた従来の基板の平均面粗度Raが0.5nmであったので、表面粗さも向上していることが分かる。
次に、エアーベアリングサーフェスを形成するためにドライエッチングを行った。以下の表2にイオンミリングおよびRIEによるエッチングの速度を示す。
Figure 0004270066
表2に示すように、本実施形態の基板はいずれのエッチング方法においても、AlTiC基板を研磨する場合に比べてエッチング速度が向上しており、また、エッチング後の表面の面粗度も従来に比べ10倍以上向上していた。また、深さ約1μmまでエッチングを行い、研削時の位置あわせ精度の確認をおこなった。その結果、高い精度で基板112をドライエッチングにより、除去することが可能であることがわかった。基板112が単結晶MoSi2からなるため、グレインが基板112中に存在せず、平滑なエッチを有するエアーベアリングサーフェスを形成することができた。
最後に、個々の薄膜磁気ヘッドを分離するためにバーを、#2000番のダイヤモンド砥石で切断したところ、チッピングの発生が無い良好な加工エッジが得られた。切断面の平均面粗度Raは本実施形態の薄膜磁気ヘッドでは1.2nmであり、従来AlTiC基板を用いた従来の薄膜磁気ヘッドでは2.5nmであった。
さらに、エアーベアリングサーフェス112aを保護するために、エアーベアリングサーフェス112aに接するよう、エアーベアリングサーフェス112a上に直接厚さ2nmのダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜120を堆積した。このダイヤモンドライクカーボン膜120は、下地膜を設けなくとも十分な密着強度で形成することができた。一方、比較例の薄膜磁気ヘッドでは、AlTiCとダイヤモンドライクカーボン膜との密着性が弱いため、下地膜として厚さ0.5nmのSi膜を形成した後、厚さ5nmのダイヤモンドライクカーボン膜を堆積した。
このようにして得られた本実施例の薄膜磁気ヘッドおよびは比較例の薄膜磁気ヘッドの素子評価を行った。まず、薄膜磁気ヘッドの記録素子に電流を流し、通電により発生した熱による素子の膨張を突き出し量として光学的計測方法により計測した。その結果、本実施例の薄膜磁気ヘッドでは突き出し量は平均5nmであった。一方、比較例の薄膜磁気ヘッドでは突き出し量は12nmであった。これは、表1に示すように、MoSi2の熱伝導性がAlTiCよりも優れるため、本実施例の薄膜磁気ヘッドでは、記録素子で発生した熱をすばやく放散させることができ、記録素子自体の温度上昇を抑制できるからであると考えられる。
また、本実施例の薄膜磁気ヘッドおよび比較例の薄膜磁気ヘッドをそれぞれ純粋100ccで満たされた所定の容器内へ投入し、各容器を100kHzの超音波洗浄器に入れ、薄膜磁気ヘッドを所定の時間、洗浄した。洗浄後、0.5μm以上のパーティクル発生量をパーティクルカウンタを用いて計測した。その結果、本実施例の薄膜磁気ヘッドおよび比較例の薄膜磁気ヘッドは120カウントおよび2000カウントであった。これは、比較例の薄膜磁気ヘッドに用いられているAlTiCが焼結体であるため、焼結体の空隙に不純物や異物が入り込んでおり、不純物や異物が洗浄によりAlTiCから脱離したものと考えられる。これに対し、本実施例の薄膜磁気ヘッドでは単結晶を用いるため、そのような不純物や異物が取り込まれる空隙がない。このため、洗浄によってもパーティクルの発生がほとんどないものと考えられる。
これらの評価から、本実施例の薄膜磁気ヘッドは、通電による記録素子の飛び出しが少ないため、図4(a)に示すように磁気ディスク117と薄膜時ヘッドとの間隙dがより狭くなる高密度記録用ハードディスクドライブに適していることが分かる。また、本実施例の薄膜磁気ヘッドは、不純物の取り込みが抑制され、発塵が非常に少ない。このような発塵は、記録密度が高まるにつれて記録あるいは再生エラーを引き起こす要因となる。したがって、本実施例の薄膜磁気ヘッドはこの点においても高密度記録用ハードディスクドライブに適していることが分かる。
本発明の薄膜磁気ヘッド用基板は、特に、微小な薄膜磁気ヘッドにおよび高密度記録用ハードディスクドライブに好適に用いられる。
(a)は、ハードディスクドライブにおけるヘッド浮上高の経年変化を示すグラフであり、(b)はハードディスクドライブにおける線記録密度の経年変化を示すグラフである。 (a)は、磁気ディスクが回転している状態における薄膜磁気ヘッドの姿勢を示す模式図であり、(b)は薄膜磁気ヘッドのスライダにおけるエアーベアリングサーフェスの構造の一例を示す斜視図である。 (a)は従来の薄膜磁気ヘッドの構造を模式的に示す断面図であり、(b)は、一般的な薄膜磁気ヘッドの製造途中の状態を説明する模式図である。(c)は、従来の薄膜磁気ヘッドにおいてポールチップリセッションが発生している様子を示す模式図である。 (a)は本発明の薄膜磁気ヘッドの構造を模式的に示す断面図であり(b)は(a)に示す薄膜磁気ヘッドの記録素子の構造を模式的に示す平面図である。
符号の説明
10 薄膜磁気ヘッド
11 スライダ
11a、112a エアーベアリングサーフェス
12、23 記録再生素子
21、112 基板
22、24、113 Al23
25 面
116 再生素子
114 記録素子
120 ダイヤモンドライクカーボン膜
115 コイル

Claims (6)

  1. MSi2(MはMo、Ti、Nb、Cr、W、Taからなる群から選ばれる1種以上の金属)の単結晶からなる薄膜磁気ヘッド用基板。
  2. 前記MはMoである請求項1に記載の薄膜磁気ヘッド用基板。
  3. 請求項1または2に規定される薄膜磁気ヘッド用基板からなり、エアーベアリングサーフェスを有するスライダと、
    前記エアーベアリングサーフェスに隣接した面に設けられた記録再生素子と、
    を備えた薄膜磁気ヘッド。
  4. 前記エアーベアリングサーフェスに設けられた、ダイヤモンドライクカーボン膜をさらに備えた請求項3に記載の薄膜磁気ヘッド。
  5. 前記ダイヤモンドライクカーボン膜は、前記エアーベアリングサーフェスと接触している請求項4に記載の薄膜磁気ヘッド。
  6. 前記記録再生素子と、前記スライダとの間に前記MSi2の酸化物からなる絶縁膜をさらに備えた請求項3に記載の薄膜磁気ヘッド。
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