JP4411314B2 - 磁気記録媒体用シリコン基板およびその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体用シリコン基板およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、磁気記録媒体製造用のシリコン基板およびその製造方法に関する。
情報記録の技術分野において、文字や画像あるいは楽曲といった情報を磁気的に読み込み・書き出しする手段であるハードディスク装置は、パーソナルコンピュータを初めとする電子機器の一次外部記録装置や内蔵型記録手段として必須のものとなっている。このようなハードディスク装置には磁気記録媒体としてハードディスクが内蔵されているが、従来のハードディスクでは、ディスク表面に磁気情報を水平に書き込むいわゆる「面内磁気記録方式(水平磁気記録方式)」が採用されていた。
図1(A)は、水平磁気記録方式のハードディスクの一般的な積層構造を説明するための断面概略図で、非磁性基板1上に、スパッタリング法で成膜されたCr系下地層2、磁気記録層3および保護膜としてのカーボン層4が順次積層され、このカーボン層4の表面に液体潤滑剤を塗布して形成された液体潤滑層5が形成されている(例えば、特許文献1参照)。そして、磁気記録層3は、CoCr,CoCrTa,CoCrPt等の一軸結晶磁気異方性のCo合金であり、このCo合金の結晶粒がディスク面と水平に磁化されて情報が記録されることとなる。なお、磁気記録層3中の矢印は磁化方向を示している。
しかしながら、このような水平磁気記録方式では、記録密度を高めるために個々の記録ビットのサイズを小さくすると、隣接した記録ビットのN極同士およびS極同士が反発し合って境界領域が磁気的に不鮮明になるので、高記録密度化のためには磁気記録層の厚みを薄くして結晶粒のサイズを小さくする必要がある。結晶粒の微細化(小体積化)と記録ビットの微小化が進むと熱エネルギによって結晶粒の磁化方向が乱されてデータが消失するという「熱揺らぎ」の現象が生じることが指摘され、高記録密度化には限界があるとされるようになった。つまり、KuV/kBT比が小さいと熱揺らぎの影響が深刻になる。ここで、Kuは記録層の結晶磁気異方性エネルギ、Vは記録ビットの体積、kBはボルツマン定数、Tは絶対温度(K)である。
このような問題に鑑みて検討されるようになったのが「垂直磁気記録方式」である。この記録方式では、磁気記録層はディスク表面と垂直に磁化されるため、N極とS極が交互に束ねられてビット配置され、磁区のN極とS極は隣接しあって相互に磁化を強めることとなる結果、磁化状態(磁気記録)の安定性が高くなる。つまり、垂直に磁化方向が記録される場合には、記録ビットの反磁界が低減されるので、水平磁気記録方式と比較すると、記録層の厚みをそれほど小さくする必要はない。このため、記録層厚を厚くして垂直方向を大きくとれば、全体としてKuV/kBT比が大きくなって「熱揺らぎ」の影響を小さくすることが可能である。
上述のように、垂直磁気記録方式は、反磁場の軽減とKuV値を確保できるため、「熱揺らぎ」による磁化不安定性が低減され、記録密度の限界を大幅に拡大することが可能となる磁気記録方式であることから、超高密度記録を実現する方式として期待されている。
図1(B)は、軟磁性裏打ち層の上に垂直磁気記録のための記録層を設けた「垂直二層式磁気記録媒体」としてのハードディスクの基本的な層構造を説明するための断面概略図で、非磁性基板11上に、軟磁性裏打ち層12、磁気記録層13、保護層14、潤滑層15が順次積層されている。ここで、軟磁性裏打ち層12には、パーマロイやCoZrTaアモルファスなどが典型的に用いられる。また、磁気記録層13としては、CoCrPt系合金、PtCo層とPdとCoの超薄膜を交互に数層積層させた多層膜、PtFeあるいは、SmCoアモルフアス膜などが用いられる。なお、磁気記録層3中の矢印は磁化方向を示している。
図1(B)に示したように、垂直磁気記録方式のハードディスクでは、磁気記録層13の下地として軟磁性裏打ち層12が設けられ、その磁気的性質は「軟磁性」であり、層厚みは概ね100nm〜200nm程度とされる。この軟磁性裏打ち層12は、書き込み磁場の増大効果と磁気記録膜の反磁場低減を図るためのもので、磁気記録層13からの磁束の通り道であるとともに、記録ヘッドからの書き込み用磁束の通り道として機能する。つまり、軟磁性裏打ち層12は、永久磁石磁気回路における鉄ヨークと同様の役割を果たす。このため、書き込み時における磁気的飽和の回避を目的として、磁気記録層13の層厚に比較して厚く層厚設定される必要がある。
図1(A)に示したような水平磁気記録方式は、その熱揺らぎ等による記録限界から、100G〜150Gbit/平方インチの記録密度を境として、図1(B)に示したような垂直磁気記録方式に順次切り替わりつつある。なお、垂直磁気記録方式での記録限界がどの程度であるかは現時点では定かではないが、500Gbit/平方インチ以上であることは確実視されており、一説では、1000Gbit/平方インチ程度の高記録密度が達成可能であるとされている。このような高記録密度が達成できると、2.5インチHDDプラッタ当り600〜700Gバイトの記録容量が得られることになる。
ところで、HDD用の磁気記録媒体用基板には、一般に、3.5インチ径の基板としてAl合金基板が、2.5インチ径の基板としてガラス基板が使用されている。特に、ノートブックパソコンのようなモバイル用途では、HDDが外部からの衝撃を頻繁に受けるため、これらに搭載される2.5インチHDDでは、磁気ヘッドの「面打ち」により記録メディアや基板が傷つけられたり、データが破壊される可能性が高いことから、磁気記録媒体用基板として硬度の高いガラス基板が使用されるようになった。
モバイル機器が小型化されると、それに内蔵される磁気記録媒体用基板にはより高い耐衝撃性が求められることとなる。2インチ径以下の小口径基板用途の殆どはモバイル用途であるため、2.5インチ径の基板以上に、高い耐衝撃性が求められる。また、モバイル機器の小型化は必然的に、搭載部品の小型化と薄型化を要求するところとなり、2.5インチ径基板の標準厚が0.635mmであるのに対し、例えば1インチ径基板の標準厚みは0.382mmとされている。
このような事情を背景として、ヤング率が高く薄板でも十分な強度が得られ、しかも磁気記録媒体の製造プロセスと相性のよい基板が求められているが、ガラス基板は主にアモルファス強化ガラスで0.382mm厚の1インチ径基板が実用化されているものの、これ以上の薄板化は容易ではない。また、ガラス基板の厚み調整には、ラップ研磨が必須となるが、このラップ調厚加工は比較的長い時間を要し、コストダウンの障害となるという問題もある。
また、ガラス基板は絶縁体であるため、磁性膜をスパッタ成膜する工程において基板がチャージアップを生じやすいという問題がある。実用上はスパッタ工程で基板の掴み換えを行うことで量産化を可能としているが、ガラス基板の使用を難しいものにしている要因の1つである。
ガラス基板以外にも、サファイアガラス基板、SiC基板、エンジニアリングプラスティック基板、カーボン基板などの代替基板が提案されたが、強度、加工性、コスト、表面平滑性、成膜親和性などの観点からは、小口径基板の代替基板としては何れも不十分であるというのが実情である。
このような事情を背景として、本発明者らは、シリコンの単結晶基板をHDD記録膜基板として使用することを既に提唱している(例えば特許文献2参照)。
シリコン単結晶基板は、表面平滑性、環境安定性、信頼性等に優れ、剛性もガラス基板と比較して高いため、HDD基板に適している。加えて、絶縁性のガラス基板とは異なり半導体性であり、通常はp型もしくはn型のドーパントが含まれていることが多いためにある程度の導電性をもつ。したがって、スパッタ成膜時におけるチャージアップもある程度は軽減され、金属膜の直接スパッタ成膜やバイアススパッタも可能である。さらに、熱伝導性も良好であるため、基板加熱も容易で、スパッタ成膜工程との相性は極めて良好である。しかも、シリコン基板の純度は非常に高く、加工後の基板表面は安定で経時変化も無視できるという利点がある。
特開平5−143972号公報 特開2005−108407号公報
しかしながら、LSI等の素子製造用の「半導体グレード」のシリコン単結晶は一般に高価であるため、単結晶シリコン基板を磁気記録媒体用基板として用いることを考えた場合には、ガラス基板やAl基板に比較してコスト面で劣るという深刻な問題がある。
また、単結晶シリコン基板は、特定の結晶方位(110)に僻開するという性質があるため、モバイル機器等に搭載して外部衝撃を受けた場合に、僻開してしまうというおそれもある。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、充分な耐衝撃性を有し、加工プロセスや磁気記録層の成膜プロセスを複雑なものとすることがなく、しかもコストダウンを可能とする磁気記録媒体用シリコン基板を提供することにある。
上述の課題を解決するために、本発明の磁気記録媒体用シリコン基板は、99.999%以上の純度の多結晶シリコンからなり、結晶粒の平均グレインサイズが1mm以上15mm以下であり、その表面には中性もしくは酸性のスラリを用いたCMP表面平滑化加工が施されており、該表面は多結晶の粒界を反映した表面段差を有しない表面平滑性を有することを特徴とする。
このシリコン基板の直径は、例えば、65mm以下(ここで言う径は呼び径)である。
また、本発明の磁気記録媒体用シリコン基板の製造方法は、99.999%以上の純度で結晶粒の平均グレインサイズが1mm以上15mm以下の多結晶シリコン基板の表面を、中性もしくは酸性のスラリを用いたCMP処理で平滑化して多結晶の粒界を反映した表面段差を有しない表面平滑性のものとする工程を備えている。
好ましくは、前記スラリとして、平均粒径20乃至80nmのコロイダルシリカを用い、前記スラリのpH値を2乃至7として前記CMP処理を実行する。
また、本発明の磁気記録媒体用シリコン基板の製造方法は、前記CMP処理されるシリコン基板を150mm角以上の多結晶シリコン基板から直径65mm以下でコア抜きする工程を備えるようにしてもよい。
本発明は、磁気記録媒体用シリコン基板の純度と多結晶シリコンの平均グレインサイズを適切な範囲に選択することとし、しかも、その表面の平滑化のための処理条件を適切なものとしたので、この多結晶シリコン基板を用いることにより、充分な耐衝撃性を備える磁気記録媒体が得られる。
つまり、本発明によれば、充分な耐衝撃性を有し、加工プロセスや磁気記録層の成膜プロセスを複雑なものとすることがなく、しかもコストダウンを可能とする磁気記録媒体用シリコン基板を得ることができる。
以下に、図面を参照して本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
図2は、本発明の磁気記録媒体用シリコン基板の製造プロセスの一例を説明するためのフローチャートである。先ず、シリコン基板をコア抜きして取得するための多結晶シリコン(Si)ウェハを準備する(S101)。この多結晶Siウェハは、いわゆる「半導体グレード」(一般には、その純度は「11ナイン」(99.999999999%)以上である)のものである必要はなく、概ね「太陽電池グレード」のものでよい。太陽電池グレードの多結晶Siウェハの純度は、一般的には「6ナイン」(99.9999%)以上であるが、本発明では、「5ナイン」(99.999%)までは許容できる。
多結晶Siウェハの純度の下限を「5ナイン」と設定するのは、これよりも低純度であると、粒界に結晶中の不純物が析出して基板強度が低下させるおそれがあるためである。なお、基板強度等の観点からは多結晶Siウェハの純度は高いほど好ましいが、高純度とするにつれて原料コストは増大する。したがって、精々、「8ナイン」(99.999999%)〜「9ナイン」(99.9999999%)程度でよい。
多結晶Siウェハの形状は矩形でも円板状でもよいが、材料歩留まりの観点からは、矩形形状の方が好ましい。なお、太陽電池用多結晶Siウェハの一般的な形状は約150mm角の矩形であるので、図2に示したプロセス例ではこの形状の多結晶Siウェハを用いた例を示している。
多結晶シリコン基板の耐衝撃性の観点からは、多結晶粒の平均グレインサイズを考慮することが重要で、本発明ではこれを1mm以上15mm以下とする。多結晶シリコン基板において、表面に現れる個々の結晶面方位は当然のことながらランダムである。シリコン結晶の僻開面は(110)面であり、(100)面を主面とする単結晶シリコン基板の場合には4方向に必ず僻開面が存在することとなるが、多結晶シリコン基板の場合には、何れの方向に僻開面が存在するかは確率的な問題となる。このため、耐衝撃性の向上という観点からは、定まった方向に僻開性を有さない多結晶シリコン基板の方が有利である。しかし、多結晶中に多数存在する粒界は、基板強度を低下させるように作用する。
本発明者の検討によれば、結晶粒の大きさ(「グレインサイズ」:結晶粒形状を円板状と仮定した際の直径)が概ね1mm以上であれば、僻開性と基板強度のバランスで得られる耐衝撃性を良好なものとすることが可能であることが見いだされた。平均グレインサイズが1mm未満であると、粒界の影響で単結晶の場合に比較しての強度低下が無視できなくなる。また、平均グレインサイズが15mmを越えると、単結晶の場合と然程差異のない僻開性が認められるようになる。
この多結晶Siウェハから、レーザ加工による「コア抜き」により、シリコン基板を取得する(S102)。本発明では、主として、モバイル機器用途の磁気記録媒体用シリコン基板を想定しているので、コア抜きするシリコン基板の直径は概ね65mm以下、21mm以上のものとなる。
コア抜き加工には、ダイヤモンド砥石によるカップ切断、超音波切断、ブラスト加工、ウォータージェット処理など種々の方法があるが、加工速度の確保、切り代量の削減、口径の切り替え容易性、治具製作や後加工の容易性などから、固体レーザによるレーザコア抜きが望ましい。固体レーザはパワー密度が高くビームを絞れるため、溶断残渣(ドロス)の発生が少なく加工面が相対的にきれいなためである。この場合のレーザ光源としては、Nd−YAGレーザやYb−YAGレーザなどを挙げることができる。
コア抜きして得られたシリコン基板に、芯取および内外端面処理を施し(S103)、さらに、エッチングを施して加工ダメージ層を除去し(S104)、その後の研磨でチッピング等が生じないように端面加工を施す(S105)。
このようにして得られたシリコン基板に、研磨を施して表面を平滑化(平坦化)するが、本発明においては、この表面平滑化を、中性もしくは酸性のスラリを用いたCMP処理で実行する。単結晶Si基板の表面平滑化は、アルカリ性のスラリ(コロイダルシリカなど)による多段CMP研磨により行われるのが一般的である。しかし、本発明が対象とするSi基板は多結晶であるため、単結晶Si基板と同様にアルカリ性スラリを用いてCMP研磨を行うと、良好な表面平滑性を得ることが困難であることが確認された。
図3は、ステップS101〜S105で得られた多結晶シリコンウェハに、アルカリ性のコロイダルシリカを用いてCMP研磨を施した後の表面状態を示す図(PhaseShifter社製の「Opti Flat」で測定)である。この図から確認できるように、アルカリ性スラリでCMP研磨を行うと多結晶の粒界を反映してシリコン基板表面に段差が生じる。これは、「ケミカル性」が強いCMP研磨では、結晶方位が異なる結晶粒毎の研磨速度が大きく異なることとなるためであると解釈できる。本発明者は、この現象を検討し、CMP研磨の際の「ケミカル性」をなるべく抑制することで良好な表面平滑性を得ることができることを見出したのである。なお、このようなCMP研磨は、複数段に分けて実行することが好ましく、その場合、徐々にスラリのpHを高めるとよい。
図2に示した例では、CMP研磨工程を1段研磨(S106)と2段研磨(S107)の2段とし、1段研磨(S106)は概ね酸性のコロイダルシリカを用い、2段研磨(S107)では中性のコロイダルシリカを用いてCMP研磨を行っている。1段研磨の工程は、多結晶シリコン基板の厚みムラや表面段差を大まかに除去するためのもので、表面平坦化や撓み量が所定の値となるようにする必要がある。つまり、1段研磨を主に「機械研磨」工程とし、2段研磨でCMP研磨を施すこととすればよい。この場合、機械研磨の研磨剤としては、ジルコニア、アルミナ、GC、セリアなどが用いられる。また、固定砥粒径が小さいダイヤモンド砥石を用いた超精密両頭研削加工を行ってもよい。
2段研磨(3段研磨以上となる場合もある)は基板の表面平坦性を確保するための工程であり、「ケミカル作用」による研磨と「機械作用」による研磨を複合させたCMP研磨とする。仕上げ研磨を機械研磨のみとした場合には、多結晶シリコン基板表面の微小なキズを除去仕切れず、磁気記録媒体としたときにヘッド浮上性に悪影響を及ぼす。特に、垂直磁気記録媒体用基板にはテクスチャ加工を行わない場合が多いので、仕上げ研磨での微小キズの影響が大きく影響することとなる。そこで、中性近傍であるが「ケミカル作用」を有する研磨を施すことによって、基板表面を平滑化するために、最終研磨工程にCMP研磨を採用することとしている。
上述したように、本発明では、CMP研磨のスラリとして中性もしくは酸性のものを用いるが、このようなスラリは、シリコン結晶に対するケミカル性の研磨能力は弱いが、その分、結晶面方位に起因する段差を生じ難く、多結晶の研磨には適している。従って、最終研磨(図2の例では2段研磨(S107))として中性コロイダルシリカを用いたCMP研磨を施すことにより、平滑で機械強度の優れた多結晶シリコン基板を作製することができる。
CMP研磨用スラリとしては、例えば、平均粒径20乃至80nmのコロイダルシリカが用いられ、このスラリのpH値を2〜7の酸性領域として用いる。なお、pH調整は、塩酸、硫酸、フッ酸などを添加することで行う。また、コロイダルシリカの濃度としては5〜30%程度とし、コロイダルシリカを分散させた酸性もしくは中性溶液中で、多結晶シリコン基板表面を5分〜1時間程度CMP研磨して、所望の厚さ及び表面平滑度とする。
このような研磨工程に続き、スクラブ洗浄(S108)、RCA洗浄(S109)を行い、基板表面を光学検査(S110)して梱包、出荷される(S111)。そして、このようにして得られた多結晶のシリコン基板上に、磁気記録層を形成すると、図1(B)に図示したような積層構造の磁気記録媒体を得ることができる。
以下に、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
純度が「6ナイン」の多結晶シリコンウェハ(156mm角、厚み0.6mm)を準備し(S101)、この多結晶シリコンウェハから、レーザ加工機(YAGレーザ、波長1064nm)により、外径48mm、内径12mmのシリコン基板をコア抜きしてウェハ当たり9枚の基板を得た(S102)。これらの基板に、芯取り加工(S103)、エッチング(S104)、端面研磨(S105)を施した後、主面に1段および2段の研磨加工を施した。研磨加工は何れも両面研磨機を用いて行い、1段研磨(S106)は表面平坦性や低湾曲性を確保するために、酸化ジルコニウムのスラリを用いた主に機械研磨とし、2水準の加工圧で計30分間実行した。
2段研磨(S107)はCMP研磨とし、スラリとしてほぼ中性コロイダルシリカ(ph値6.7、粒径30nm)を用いて、「ケミカル作用」を相対的に抑えたCMP研磨を20分間行った。
また、2段研磨の代わりに、精密研削加工と1段研磨による平滑化加工も行った。1段研磨の代わりに5000番以上のダイヤモンド塗粒を砥石として、両頭研削機で精密研削加工を行った。研磨加工はほぼ中性コロイダルシリカによる1段の最終研磨(30分間)のみとした。
これらの多結晶シリコン基板を、スクラブ洗浄で残留コロイダルシリカを除去した後(S108)に精密洗浄(RCA洗浄:S109)を行い、研磨面の湾曲度(ウェビネスをPhase Shifter社製のOpti-Flatで、マイクロウェビネスをZygo社製の光学計測器で測定)、および、平滑性(ラフネス)をDigital Instrument社製のAFM装置で測定した。
表1は、このようにして得られた評価結果(Ra:ラフネス、Wa:ウェビネス、μ−Wa:マイクロウェビネス)を纏めたもので、研磨後の多結晶シリコン基板の表面特性は良好で、アルカリ性のコロイダルシリカでCMP研磨加工した場合のような、各結晶粒の分布を反映した段差は一切観察されなかった。図4は、上述の条件(研磨圧:5kg/cm2)で研磨した後の多結晶シリコン基板表面の評価例(図4(A)はウェビネス、図4(B)はラフネス)を示すための図である。
Figure 0004411314
図5は、比較のために、「4ナイン」(99.99%の純度の多結晶シリコンウェハから得た基板を用いて上記実施例と同様の処理を施した後の基板表面を観察した例を示す図であるが、この像には、多結晶粒界が研磨により顕在化した様子が認められている。この現象は、多結晶シリコンの純度が低いために、結晶中の不純物が粒界に濃縮されたためであると考えられる。
本発明は、充分な耐衝撃性を有し、加工プロセスや磁気記録層の成膜プロセスを複雑なものとすることがなく、しかもコストダウンを可能とする磁気記録媒体用シリコン基板を提供する。
水平磁気記録方式(A)および垂直磁気記録方式(A)のハードディスクの一般的な積層構造を説明するための断面概略図である。 本発明の磁気記録媒体用シリコン基板の製造プロセスを説明するためのフローチャートである。 多結晶シリコンウェハにアルカリ性のコロイダルシリカを用いてCMP研磨を施した後の表面状態を示す図である。 本発明の手法で研磨した多結晶シリコン基板表面の評価例((A)はウェビネス、(B)はラフネス)を示すための図である。 「4ナイン」(99.99%)の純度の多結晶シリコンウェハから得た基板を用いて実施例と同様の処理を施した後の基板表面を観察した例を示す図である。
符号の説明
1、11 非磁性基板
2 Cr系下地層
3、13 磁気記録層
4、14 保護層
5、15 潤滑層
12 軟磁性裏打ち層

Claims (6)

  1. 99.999%以上の純度の多結晶シリコンからなり、結晶粒の平均グレインサイズが1mm以上15mm以下であり、その表面には中性もしくは酸性のスラリを用いたCMP表面平滑化加工が施されており、該表面は多結晶の粒界を反映した表面段差を有しない表面平滑性を有することを特徴とする磁気記録媒体用シリコン基板。
  2. 前記シリコン基板の直径は65mm以下である請求項1記載の磁気記録媒体用シリコン基板。
  3. 99.999%以上の純度で結晶粒の平均グレインサイズが1mm以上15mm以下の多結晶シリコン基板の表面を、中性もしくは酸性のスラリを用いたCMP処理で平滑化して多結晶の粒界を反映した表面段差を有しない表面平滑性のものとする工程を備えていることを特徴とする磁気記録媒体用シリコン基板の製造方法。
  4. 前記スラリとして、平均粒径20乃至80nmのコロイダルシリカを用い、前記スラリのpH値を2乃至7として前記CMP処理を実行することを特徴とする請求項3に記載の磁気記録媒体用シリコン基板の製造方法。
  5. 前記CMP処理されるシリコン基板を、150mm角以上の多結晶シリコン基板から直径65mm以下でコア抜きする工程を備えていることを特徴とする請求項3または4に記載の磁気記録媒体基板の製造方法。
  6. 請求項1または2記載のシリコン基板上に磁気記録層を備えた磁気記録媒体。
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