JP4646502B2 - ウェハ支持部材 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主にウェハを加熱する際に用いるウェハ加熱装置に関するものであり、例えば半導体ウェハや液晶装置あるいは回路基板等のウェハ上に薄膜を形成したり、前記ウェハ上に塗布されたレジスト液を乾燥焼き付けしたりしてレジスト膜を形成する際に好適なウェハ支持部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体製造装置の製造工程における、半導体薄膜の成膜処理、エッチング処理、レジスト膜の焼き付け処理等においては、半導体ウェハ(以下、ウェハと略す)を加熱するためのウェハ支持部材が用いられている。
【0003】
従来の半導体製造装置は、複数のウェハを一括して加熱するバッチ式と、1枚ずつ加熱する枚様式とがあり、枚葉式には、温度制御性に優れているので、半導体素子の配線の微細化とウェハ熱処理温度の精度向上が要求されるに伴い、ウェハ支持部材が広く使用されている。
【0004】
このようなウェハ支持部材として、例えば特許文献1や特許文献2には、図8に示すようなウェハ支持部材が提案されている。
【0005】
このウェハ支持部材71は、板状セラミック体72、金属ケース79、を主要な構成要素としたもので、アルミニウム等の金属からなる有底状の金属ケース79の開口部に、窒化物セラミックスや炭化物セラミックスからなる板状セラミック体72を樹脂製の断熱性の接続部材74を介してボルト80で固定され、その上面をウェハWを載せる載置面73とするとともに、板状セラミック体72の下面に、例えば図9に示すような同心円状の抵抗発熱体75を備えるようになっていた。
【0006】
さらに、抵抗発熱体75の端子部には、給電端子77がロウ付けされており、この給電端子77が金属ケース79の底部79aに形成されたリード線引出用の孔76に挿通されたリード線78と電気的に接続されるようになっていた。
【0007】
ところで、このようなウェハ支持部材71において、ウェハWの表面全体に均質な膜を形成したり、レジスト膜の加熱反応状態を均質にするためには、ウェハの温度分布を均一にすることが重要である。その為、これまでウェハの面内の温度差を小さくするため、抵抗発熱体75の抵抗分布を調整したり、抵抗発熱体75の温度を分割制御することが行われている。また、熱引きを発生し易い構造の特許文献3や特許文献4に記載のウェハ支持部材では、ウェハWの周辺域の発熱域を増大させる等の提案がなされていた。
【0008】
近年半導体配線の微細化の為に用いられるようになってきた化学増幅型レジストの熱処理に於いては、ウェハWを板状セラミックス体72の上に差し替えした際に温度が安定するまでの過渡時における、ウェハW面内の温度バラツキが、露光後のレジストの化学増幅処理に極めて重要であり、従来に増して、緻密かつ応答性の良い温度制御が必要となってきた。
【0010】
特許文献5には、載置面73からウェハを浮かせて支持するために3個の支持ピン82を設置し、この位置を調整することにより、ウェハWの反りを発生させることにより載置面73との間隔を調整し、ウェハWの温度を均一にすることが示されていた。
【0011】
また、ウェハWを載せる載置面を凸形状としてウェハW面の過渡温度特性を改善したウェハ支持部材が開示されている(特許文献6)。
【0012】
しかし、いずれも非常に複雑で微妙な構造、制御が必要になるという課題があり、簡単な構造で温度分布を更に均一に加熱できるようなウェハ支持部材が求められていた。
【0013】
【特許文献1】
特開2001−203156号公報
【0014】
【特許文献2】
特開2001−313249号公報
【0015】
【特許文献3】
特開2002−76102号公報
【0016】
【特許文献4】
特許第2527836号公報
【0017】
【特許文献5】
特開平10−223642号広報
【0018】
【特許文献6】
特開2002−83858号公報
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献5に示すウェハ加熱装置は、ウェハを均一に加熱するために、ウェハWの反りを利用して調整するようにしているが、載置面73に温度差があり、その温度差は載置面73内全体に一様でなく、ウェハWの反りでこの温度差を補正しても十分補正できず温度差がまだ大きいとの課題があった。このようにウェハWと載置面73の間の間隔が一定でないと、ウェハWを載せ替えた際の昇温過渡時に、前記間隔が小さい部分は板状セラミックス体72の昇温の影響を大きく受けて速やかに温度が高めになり、逆に前記間隔が大きい部分はウェハWの温度が遅れ気味に上昇するので、両者の間で温度差が大きくなるという問題があった。最近のレジストにおいては、この温度差が成膜バラツキや、レジスト膜の反応状態を不均一にしてしまうという問題があった。
【0020】
特に、近年、細密化が進み、低温側での温度依存性の高いレジストが普及されており、ウェハが載置面73へ載置される直後でウェハWの温度が室温から設定温度に達するまでのウェハW面内の最大温度差が6℃以下と小さいことが望まれている。
【0021】
更に、半導体素子の配線微細化に伴い使用され始めた化学増幅型レジストにおいては、ウェハの温度の均一性は勿論のこと、ウェハを熱処理装置に載置した瞬間から離脱し熱処理を終了させるまでの過渡的な温度履歴も極めて重要となり、ウェハ載置直後から概ね60秒以内にウェハの温度が均一に安定することが望まれている。
【0022】
しかしながら、特許文献1や2に紹介されている装置では、樹脂リング74としてフッ素樹脂が用いられるが、固定ボルト80による押圧により変形し易く板状セラミックス体72が傾いたりして位置精度良く設置できないことから過渡時のウェハ面内の温度差が大きいとの課題があった。
【0023】
また、特許文献6に記載のように載置面を凸形状とてウェハ温度の過渡特性を改善しているが、更なる過渡特性の改善が望まれている。
【0024】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記の課題について鋭意検討した結果、板状セラミックス体の一方の主面に抵抗発熱体を備え、他方の主面にウェハを載せる載置面を備えたウェハ支持部材であって、前記抵抗発熱体に電力を供給する給電部と、該給電部を囲む金属ケースとを有し、前記板状セラミックス体の外周部に位置する前記抵抗発熱体は同心円状のパターンを有し、前記載置面は突出量が5〜90μmの凸状で、且つ前記抵抗発熱体の外接円の直径が前記板状セラミックス体の直径の90〜99%であり、前記板状セラミックス体の周辺部をリング状に支持して前記金属ケースと接続する接触部材を備え、前記接触部材の断面が円形状で、前記断面の直径が1mm以下であることを特徴とする。
【0025】
また、本発明は、板状セラミックス体の一方の主面に抵抗発熱体を備え、他方の主面にウェハを載せる載置面を備えたウェハ支持部材であって、前記抵抗発熱体に電力を供給する給電部と、該給電部を囲む金属ケースと、前記載置面に前記ウェハを浮かした状態で保持するウェハ支持ピンとを有し、前記板状セラミックス体の外周部に位置する前記抵抗発熱体は同心円状のパターンを有し、前記載置面と前記ウェハとの間隔が中心部で狭く外周部で広くなるように前記載置面が突出量5〜90μmの凸状で、且つ前記抵抗発熱体の外接円の直径が前記板状セラミックス体の直径の90〜99%であり、前記板状セラミックス体の周辺部をリング状に支持して前記金属ケースと接続する接触部材を備え、前記接触部材の断面が円形状で、前記断面の直径が1mm以下であることを特徴とする。
【0027】
また、前記接触部材が前記板状セラミックス体と接する巾が0.1〜13mmであることを特徴とする。
【0028】
また、前記接触部材の熱伝導率が前記板状セラミックス体の熱伝導率より小さいことを特徴とする。
【0029】
また、前記接触部材のヤング率が1GPa以上で、板状セラミックス体のヤング率より小さいことを特徴とする。
【0032】
また、前記抵抗発熱体は、前記外接円に接する円弧状パターンと、該円弧状パターンに連続して繋がった連結パターンとを備え、前記外接円の一部に前記円弧状パターンのない空白域が存在し、この空白域の間隔が、前記板状セラミックス体の直径と前記外接円の直径との差より小さいことを特徴とする。
【0033】
また、前記円弧状パターンの線幅は、前記円弧状パターンに繋がる前記連結パターンの線幅と同等或いは大きいことを特徴とする。
【0034】
また、前記板状セラミックス体の厚みが1〜7mmで、前記抵抗発熱体の厚みが5〜70μmであるとともに、前記抵抗発熱体の外接円の面積に対する抵抗発熱体の面積の比率が5〜50%であることを特徴とする。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0036】
図1(a)は本発明ウェハ支持部材1の例を示す断面図であり、図1(b)は図1(a)の板状セラミックス体2が凸形状であることを示す模式図である。炭化珪素または窒化アルミニウムを主成分とするセラミックスからなる板状セラミックス体2の一方の主面を、ウェハWを載せる載置面3とするとともに、他方の主面に抵抗発熱体5を形成し、該抵抗発熱体5に電気的に接続する給電部6を具備したヒータ板100を備え、給電部6に給電端子11が接続している。これらの給電部6を囲む金属ケース19が接続部材17を介して板状セラミックス体2の他方の主面の周辺部に固定されている。
【0037】
また、ウェハリフトピン25は板状セラミック体2を貫通する孔を通してウェハWを上下に移動させて、ウェハWを載置面3に載せたり降ろしたりすることができる。そして、給電部6に給電端子11が接続されて外部から電力が供給され、測温素子27で板状セラミックス体2の温度を測定しながらウェハWを加熱することができる。
【0038】
尚、ウェハWは、ウェハ支持ピン8により載置面3から浮かした状態で保持され、ウェハWの片当たり等による温度バラツキを防止する。また、抵抗発熱体5を複数のブロックに分割する場合、それぞれのブロックの温度を独立に制御することにより、載置面3上のウェハWを均一に加熱することが好ましい。
【0039】
図2は本発明に掛かるウェハ支持部材1の他の実施例を示す断面図で、図1と異なり、板状セラミックス体2の外周面13に接続部材17を介して金属ケースと固定してある。
【0040】
図3は抵抗発熱体5のパターン形状の例を示し、抵抗発熱体5の周辺部は同心円状をした円弧状パターン5aとこれらと連続して繋がっている連結パターン5bからなり、板状セラミックス体2の外周部に位置する前記抵抗発熱体5は同心状の円弧状パターン5aを有することが好ましく、載置面3を均一に加熱できるパターン形状であれば良い。また、均熱性を改善するため、周辺部に4個と中心部に2個の合計6個のパターンに抵抗発熱体5を分割している。またパターンの線幅や粗密を調整し、発熱量の密度に分布をつけて均熱性を改善しても良い。また、抵抗発熱体5の外接円Cの直径DCはウェハWの直径DWと同等或いは直径DCが直径DWより大きいことがウェハW面内の温度差を小さくする上で好ましい。
【0041】
図4は本発明の抵抗発熱体5のパターン形状の他の例を示す。抵抗発熱体5は周辺部に4個と中心部に1個の合計5個のパターンに分割された例を示す。
【0042】
また、図5は抵抗発熱体5が1個のパターン形状からなる他の例を示す。
【0043】
本発明のウェハ支持部材1は、板状セラミックス体2の一方の主面にウェハWを載せる載置面3が凸状で、且つ抵抗発熱体5の外接円Cの直径DCが板状セラミックス体2の直径Dの90〜99%であることが重要である。
【0044】
載置面3が凸状であると、加熱した板状セラミックス体2に室温に冷えたウェハWを載せると、ウェハW面内の温度差が小さい状態で加熱されることから好ましい。
【0045】
更に、抵抗発熱体5の外接円Cの直径DCが板状セラミックス体2の直径Dの90〜99%であると、載置面3が凸状による相乗効果が発現し、ウェハWを載置面3に載せた瞬間からウェハWが加熱され温度が一定の温度に達するまでのウェハW面内の温度差が小さくなる。その結果、例えばウェハW上のレジスト膜の面内での均一性が極めて優れたものとなることが判明した。
【0046】
載置面3が凸状で抵抗発熱体5の外接円Cの直径DCが板状セラミックス体2の直径Dの90%より小さいと、ウェハWを板状セラミックス体2に載せた瞬間板状セラミックス体2の熱が奪われるが、板状セラミックス体2の周辺はウェハWが対向していないことから温度の低下が小さ、ウェハWの中心より周辺の温度が高い状態で加熱されながら設定温度に収斂する。この理由からウェハW面内の過渡時の温度差が大きくなる虞があるからである。また、ウェハを急速に昇温したり急速に降温させたりする時間が大きくなりウェハWの温度応答特性が劣る。更に、板状セラミックス体2の直径Dが大きくなり、均一に加熱できるウェハWの大きさが板状セラミックス体2の直径Dに比較して小さくなり、ウェハWを加熱する電力に対するウェハ加熱効率が悪くなる。
【0047】
載置面3が凸状で抵抗発熱体5の外接円Cの直径DCが板状セラミックス体2の直径Dの99%より大きいと接触部材17と抵抗発熱体5の外周との間隔が小さく抵抗発熱体5の外周部から熱が接触部材17に大量に流れるとともにウェハWと対向しない板状セラミックス体2の周辺部の熱容量が小さいことから、板状セラミックス体2にウェハWを載せた瞬間、ウェハWの周辺の温度が下がりすぎてウェハW面内の温度差が大きな状態で加熱される虞がある。
【0048】
また、ウェハW温度が定常な状態で、外周部の円弧状パターン5aが存在しない部分からも熱が流れ、外周部の円弧状パターン5aが板状セラミックス体2の中心部へ曲がっていることから抵抗発熱体5を囲む外接円Cに沿って円弧状パターン5aが欠落する部分Pの温度が低下しウェハWの面内温度差を大きくする虞があるからである。
【0049】
より好ましくは、抵抗発熱体5の外接円Cの直径DCが板状セラミックス体2の直径Dの92〜97%である。
【0050】
特に、板状セラミックス体2と金属ケース19の外形が略同等で、板状セラミックス体2を下から金属ケース19が支える図1のウェハ支持部材1の場合、ウェハWの面内の温度差を小さくするには、抵抗発熱体5の外接円Cの直径DCが板状セラミックス体2の直径Dの92〜95%であり、更に好ましくは93〜95%である。
【0051】
一方、板状セラミックス体2の外周面13を覆うように金属ケース19が接続した図2のウェハ支持部材の場合には、抵抗発熱体5の外接円Cの直径DCが板状セラミックス体2の直径Dの95〜98%が好ましく、更に好ましくは96〜97%である。
【0052】
尚、本発明のウェハ支持部材1は板状セラミックス体2の周辺部下面に金属ケース19を接続したり、板状セラミックス体2の外周面13で金属ケースと接続した例で説明したが、周辺部下面と外周面との両方同時に金属ケース19と接続したウェハ支持部材1も含まれることは当然である。
【0053】
また、凸状の載置面3の突出量toが5〜90μmであることが好ましい。
【0054】
突出量が5μmを下回ったり、載置面3が凹状であったりすると、ウェハWの中心部における板状セラミックス体2との距離が周辺部より大きくなり、載置面3からの熱の伝達が遅くなり、載置面3にウェハWを載せた直後の過渡時のウェハWの中心部の温度が低くなる虞がある。
【0055】
また、前記突出量が90μmを超えると、板状セラミックス体2の中心部と周辺部の高低差が大きくなり過ぎて、ウェハWの周辺部と板状セラミックス体2との距離が中心部に比べ大きくなり、中心部に比べ周辺部の温度が低く、温度差が大きな状態で加熱される虞があるからである。
【0056】
より好ましくは、凸状の載置面3の突出量が20〜70μmであり更に好ましくは30〜50μmである。尚、この突出量はウェハWサイズにも関連し、概ね直径300mm以上大きさのウェハWでより効果が大きくなることが判明した。
【0057】
図6は、図1に示すウェハ支持部材1のリング状の接触部材17付近を示す拡大断面図である。リング状の接触部材17の断面は多角形や円形の何れでも良いが、板状セラミックス体2と接触部材17が平面で接触する場合において、板状セラミックス体2と接触部材17の接する接触部の巾は0.1mm〜13mmであれば、板状セラミックス体2の熱が接触部材17を介して有底の金属ケース19に流れる量を小さくすることができることからウェハWの過渡時の温度差が小さくなり好ましい。また、ウェハWの面内の定常時の温度差が小さくウェハWを均一に加熱することができる。
【0058】
接触部材17の接触部の巾が0.1mm以下では、板状セラミックス体2と接触固定した際に接触部が変形し、接触部材が破損する虞がある。また、接触部材17の接触部の巾が13mmをえる場合には、板状セラミックス体2の熱が接触部材に流れ、板状セラミックス体2の周辺部の温度が低下して、室温に冷えたウェハWを載置面3に載せた瞬間ウェハW周辺部の温度が低く加熱され、ウェハWを均一に加熱することが難しくなる。好ましくは接触部材17と板状セラミックス体2の接触部の巾は0.1mm〜8mmであり、更に好ましくは0.1〜2mmである。
【0059】
また、接触部材17の熱伝導率は板状セラミックス体2の熱伝導率より小さいことが好ましい。接触部材17の熱伝導率が板状セラミックス体2の熱伝導率より小さければ板状セラミックス体2に載せたウェハW面内の温度分布を均一に加熱することができると共に、板状セラミックス体2の温度を上げたり下げたりする際に、接触部材17との熱の伝達量が小さく有底の金属ケース19との熱的干渉が少なく、過渡時のウェハW面内の温度差が小さく迅速に温度を変更することが容易となる。
【0060】
接触部材17の熱伝導率が板状セラミックス体2の熱伝導率の10%より小さいウェハ支持部材1では、接触部材17を介して板状セラミックス体2の熱が有底の金属ケース19に流れ難く、ウェハWを板状セラミックス体2に載せた直後のウェハW面内温度差に金属ケース19の熱引けが悪影響する効果が小さく好ましい。
【0061】
接触部材17の熱伝導率が板状セラミックス体2の熱伝導率より大きい場合には、板状セラミックス体2の周辺部の熱が接触部材17を介して有底の金属ケース19に流れ、有底の金属ケース19を加熱すると共に、板状セラミックス体2の周辺部の温度が低下して、ウェハW面内の温度差が大きくなり好ましくない。また、有底の金属ケース19が加熱されることからガス噴射口24からエアを噴射し板状セラミックス体2を冷却しようとしても有底の金属ケース19の温度が高いことから冷却する時間がくなったり、一定温度に加熱する際に一定温度になるまでの時間が長くなったりする虞があった。
【0062】
一方、接触部材17を構成する材料としては、小さな接触部を保持するために、接触部材のヤング率は1GPa以上が好ましく、更に好ましくは10GPa以上である。このようなヤング率とすることで、接触部の巾が0.1mm〜8mmと小さく、板状セラミックス体2を有底の金属ケース19に接触部材17を介してボルト16で固定しても、接触部材17が変形することがなく、板状セラミックス体2が位置ズレしたり平行度が変化したりすることなく、精度良く保持することができる。
【0063】
尚、接触部材をフッ素系に樹脂やガラス繊維を添加した樹脂からなる接触部材では得られない精度を達成することができる。
【0064】
触部材17の材質としては鉄とカーボンからなる炭素鋼やニッケル、マンガン、クロムを加えた特殊鋼等の金属がヤング率が大きく好ましい。また、熱伝導率の小さな材料としては、ステンレス鋼やFe―Ni−Co系合金の所謂コバールが好ましく、板状セラミックス体2の熱伝導率より小さくなるように接触部材17の材料を選択することが好ましい。
【0065】
更に、接触部材17と板状セラミックス体2との接触部を小さく、且つ接触部が小さくても接触部が欠損しパーティクルを発生する虞が小さく安定な接触部を保持できるために、板状セラミックス体2に垂直な面で切断した接触部材17の断面は多角形より円形が好ましく、断面の直径1mm以下の円形のワイヤを接触部材17として使用すると板状セラミックス体2と有底の金属ケース19の位置が変化することなくウェハWの表面温度を均一にしかも迅速に昇降温することが可能であるとともにウェハWの過渡時の面内温度差小さくなり好ましい。
【0066】
更に、本発明のウェハ支持部材1において、抵抗発熱体5の外接円Cと接する円弧状パターン5aと、この円弧状パターン5aと連続して繋がった連結パターン5bとを備え、外接円Cの一部に円弧状のパターンのない空白域Pが存在し、この空白域Pの間隔Sが、板状セラミックス体の直径Dと外接円Cの直径DCとの差(以下、Lと略する)より小さいことが好ましい。特に、ウェハWを載置面3に載せた直後のウェハW面内の温度差を小さくする上で好ましいことが判明した。
【0067】
間隔SがLより大きいと空白域Pの熱が板状セラミックス体の周辺部へ流れ空白域Pの温度が下がる虞がある。しかし、間隔SがLより小さいと空白域Pの温度が下がり難く板状セラミックス体2の載置面3に載せたウェハWの周辺部の一部の温度が低下せずウェハW面内の温度差が小さくなり好ましい。
【0068】
そこで、円弧状パターンの線幅は、円弧状パターンに繋がる連結パターンの線幅と同等或いは大きいことが好ましい。
【0069】
上記空白域Pの温度を下げないためには、空白域の温度を上げる必要があり、空白域を加熱する連結パターン5bの抵抗を同等か或いは大きくして発熱量を増大すると、空白域Pの温度が下がる虞が小さくなり、ウェハWの面内温度が均一となり好ましい。印刷法等で作成した抵抗発熱体5で断面が面状の場合、円弧状パターン5aの線幅Wpより連結パターン5bの線幅Wsを小さくすることで連結パターン5bの抵抗を大きくすることができ、連結パターン5bの温度を円弧状パターン5aの温度より高めることでウェハWの面内温度を均一とすることができる。
【0070】
また、板状セラミックス体2の厚みは1〜7mmであり、抵抗発熱体5の厚みは5〜70μmであるとともに、抵抗発熱体を囲む外接円Cの面積に対し、外接円Cに占める抵抗発熱体5の面積の比率が5〜50%であることが好ましい。
【0071】
即ち、抵抗発熱体5を囲む外接円Cの面積に対し、抵抗発熱体5の面積の比率を5%未満とすると、抵抗発熱体5の相対向する対向領域において、対向領域の対向間隔S1が大きくなり過ぎることから、抵抗発熱体5のない間隔S1に対応した載置面3の表面温度が他の部分と比較して小さくなり、載置面3の温度を均一にすることが難しい。
【0072】
逆に抵抗発熱体5を囲む外接円Cの面積に対し、外接円C内に占める抵抗発熱体5の面積の比率が50%を超えると、板状セラミック体2と抵抗発熱体5との間の熱膨張差を3.0×10−6/℃以下に近似させたとしても、両者の間に作用する熱応力が大きすぎること、板状セラミック体2は変形し難いセラミック焼結体からなるものの、その板状セラミック体2の厚みtが1mm〜7mmと薄いことから抵抗発熱体5を発熱させると、載置面3側が凹となるように板状セラミック体2に反りが発生し、その結果、ウェハWの中心部の温度が周縁よりも小さくなり、温度バラツキが大きくなるがある。
【0073】
なお、好ましくは、抵抗発熱体5を囲む外接円Cの面積に対し、外接円C内に占める抵抗発熱体5の面積の比率を10%〜30%、さらには15%〜25%とすることが好ましい。
【0074】
より具体的には、抵抗発熱体5は外周部に相対する対領域を有し、対向領域の間隔S1が0.5mm以上で、板状セラミックス体2の板厚の3倍以下であることが好ましい。対向領域の間隔S1が0.5mm以下では抵抗発熱体5を印刷し形成する際に抵抗発熱体5の対領域でひげ状の突起が発生しその部分が短絡する虞がある。また、対向領域の間隔S1が板状セラミックス体2の厚みの3倍をえると、対領域S1に対応するウェハWの表面にクールゾーンが発生しウェハWの面内温度差を大きくする虞があるからである。
【0075】
さらに、このような効果を効率良く発現させるには、抵抗発熱体5の膜厚を5〜70μmとすることが好ましい。
【0076】
抵抗発熱体5の膜厚が5μmを下回ると、抵抗発熱体5をスクリーン印刷法で膜厚を均一に印刷することが困難となるからであり、また、抵抗発熱体5の厚みが70μmをえると、外接円P1に対し抵抗発熱体5の占める面積の比率を50%以下としても抵抗発熱体5の厚みが大きく、抵抗発熱体5の剛性が大きくなり、板状セラミックの温度変化によって生じる抵抗発熱体5の伸び縮みによる影響で板状セラミック体2が変形する虞がある。また、スクリーン印刷で均一の厚みに印刷することが難しくウェハWの表面の温度差が大きくなったりする虞があるからである。なお、好ましい抵抗発熱体5の厚みは10〜30μmとすることが良い。
【0077】
次に、更に詳細な他の構成や製法について説明する。
【0078】
本発明に係るウェハ支持部材1の板状セラミックス体2の厚みtは1〜7mmで、100〜200℃のヤング率が200〜450MPaである板状セラミック体2からなることが好ましい。
【0079】
100〜200℃のヤング率が200〜450MPaである板状セラミック体2の材質としては、炭化珪素、アルミナ、窒化珪素、サイアロン、窒化アルミニウムを用いることができ、この中でも特に窒化アルミニウムは50W/(m・K)以上、さらには100W/(m・K)以上の高い熱伝導率を有するとともに、フッ素系や塩素系等の腐食性ガスに対する耐蝕性や耐プレズマ性にも優れることから、板状セラミック体2の材質として好適である。
【0080】
尚、板状セラミックス体2の厚みは、2〜5mmとすると更に好ましい。板状セラミックス体2の厚みが2mmより薄いと、板状セラミックス体2の強度がなくなり抵抗発熱体5の発熱による加熱時、ガス噴射口24らの冷却エアを吹き付けた際に、冷却時の熱応力に耐えきれず、板状セラミックス体2にクラックが発生する虞があるからである。また、板状セラミックス体2の厚みが5mmをえると、板状セラミックス体2の熱容量が大きくなるので加熱および冷却時の温度が安定するまでの時間が長くなる虞がある。
【0081】
有底の金属ケース19は側壁部22と底面21を有し、板状セラミックス体2はその有底の金属ケース19の開口部を覆うように設置してある。また、有底の金属ケース19には冷却ガスを排出するための孔23が施されており、板状セラミックス体2の抵抗発熱体5に給電するための給電部6に導通するための給電端子11,板状セラミックス体2を冷却するためのガス噴射口24、板状セラミックス体2の温度を測定するための測温素子27を設置してある。
【0082】
なお、有底の金属ケース19の深さは10〜50mmで、底面21は、板状セラミックス体2から10〜50mmの距離に設置することが望ましい。更に好ましくは20〜30mmである。これは、板状セラミックス体2と有底の金属ケース19相互の輻射熱により載置面3の均熱化が容易となると同時に、外部との断熱効果があるので、載置面3の温度が一定で均一な温度となるまでの時間が短くなるためである。
【0083】
板状セラミックス体2は、有底の金属ケース19の開口部の外周にボルト16を貫通させ、板状セラミックス体2と有底の金属ケース19が直接当たらないように、リング状の接触部材17を介在させ、有底の金属ケース19側より弾性体18を介在させてナット20を螺着することにより弾性的に固定している。これにより、板状セラミックス体2の温度が変動した場合に有底の金属ケース19が変形しても、弾性体18によってこれを吸収し、これにより板状セラミックス体2の反りを抑制し、ウェハ表面に、板状セラミックス体2の反りに起因する温度ばらつきが発生することを防止できるようになる。
【0084】
さらに、載置面が凸状になるように形成するには、板状セラミックスに抵抗発熱体5を形勢したヒータ板100を金属ケース19に接触部材17を介して固定した後、導通端子11の押圧力により調整することができる。急速昇温および急速降温を可能にするため、ヒータ板100の厚みは1〜7mmの範囲に調整されており、その一方、ヒータ板100の外形は200mmから300mmへのウェハWの大型化に伴い直径230mmから330mmへと大型化する傾向にある。ヒータ板100の大面積化と薄肉化により、ヒータ板100は、導通端子11の押圧力によって変形するようになってきている。
【0085】
そこで、この押圧力を利用して、ヒータ板100の突出量を調整することができる。場合によっては、ヒータ板100を載置面3側が平坦もしくは凹になるように加工した後、導通端子11の押圧力によりヒータ板100の反りを狙いの5〜90μmの凸状とすることができる。
【0086】
また、ヒータ板100の載置面3側に、ヒータ板100の熱膨張係数より0.8〜1.8×10−6/℃大きな熱膨張係数を有するガラス層を40〜300μm厚み形成することにより、載置面3側が凸になるような反りを生成させても良い。
【0087】
ガラス層の厚みを40μm未満にすると、反りに対する影響が小さくなるので所望の効果が期待できなくなる。また、ガラス層の厚みが300μmをえる厚みにすると、載置面3側からの熱伝達が遅くなりウェハWの昇温速度が遅くなってしまうので好ましくない。
【0088】
次に、ウェハ支持部材1をレジスト膜形成用として使用する場合のウェハ支持部材1の製法と構成に付いて述べる。
【0089】
板状セラミックス体2の主成分を炭化珪素にすると、大気中の水分等と反応してガスを発生させることもないため、ウェハW上へのレジスト膜の貼付に用いたとしても、レジスト膜の組織に悪影響を与えることがなく、微細な配線を高密度に形成することが可能である。この際、焼結助剤に水と反応してアンモニアやアミンを形成する可能性のある窒化物を含まないようにすることが必要である。
【0090】
なお、板状セラミックス体2を形成する炭化珪素質焼結体は、主成分の炭化珪素に対し、焼結助剤として硼素(B)と炭素(C)を添加したり、もしくはアルミナ(Al)イットリア(Y)のような金属酸化物を添加したりして十分混合し、平板状に加工した、1900〜2100℃で焼成することにより得られる。炭化珪素はα型を主体とするものあるいはβ型を主体とするもののいずれであっても構わない。
【0091】
炭化珪素質焼結体を板状セラミックス体2として使用する場合、半導電性を有する板状セラミックス体2と抵抗発熱体5との間の絶縁を保つ絶縁層としては、ガラス又は樹脂を用いることが可能であり、ガラスを用いる場合、その厚みが100μm未満では耐電圧が1.5kVを下回り絶縁性が保てず、逆に厚みが400μmをえると、板状セラミックス体2を形成する炭化珪素質焼結体との熱膨張差が大きくなり過ぎるために、クラックが発生して絶縁層として機能しなくなる。その為、絶縁層としてガラスを用いる場合、絶縁層の厚みは100〜400μmの範囲で形成することが好ましく、望ましくは200μm〜350μmの範囲とすることが良い。
【0092】
さらに、板状セラミックス体2の載置面3と反対側の主面は、ガラスや樹脂からなる絶縁層との密着性を高める観点から、平面度20μm以下、面粗さを中心線平均粗さ(Ra)で0.1μm〜0.5μmに研磨しておくことが好ましい。
【0093】
一方、板状セラミックス体2を、窒化アルミニウムを主成分とする焼結体で形成する場合は、主成分の窒化アルミニウムに対し、焼結助剤としてYやYb等の希土類元素酸化物と必要に応じてCaO等のアルカリ土類金属酸化物を添加して十分混合し、平板状に加工した後、窒素ガス中1900〜2100℃で焼成することにより得られる。板状セラミックス体2に対する抵抗発熱体5の密着性を向上させるために、ガラスからなる絶縁層を形成することもある。ただし、抵抗発熱体5の中に十分なガラスを添加し、これにより十分な密着強度が得られる場合は、省略することが可能である。
【0094】
この絶縁層を形成するガラスの特性としては、結晶質又は非晶質のいずれでも良く、耐熱温度が200℃以上でかつ0℃〜200℃の温度域における熱膨張係数が板状セラミックス体2を構成するセラミックスの熱膨張係数に対し+1×10−7/℃〜+6×10−7/℃の範囲で大きなものを適宜選択して用いることが好ましい。即ち、熱膨張係数が前記範囲を外れたガラスを用いると、板状セラミックス体2を形成するセラミックスとの熱膨張差が大きくなりすぎるため、ガラスの焼付け後の冷却時においてクラックや剥離等の欠陥が生じ易いからであり、載置面3側を凸状に形成することが容易となる。
【0095】
なお、ガラスからなる絶縁層を板状セラミックス体2上に被着する手段としては、ガラスペーストを板状セラミックス体2の中心部に適量落とし、スピンコーティング法にて伸ばして均一に塗布するか、あるいはスクリーン印刷法、ディッピング法、スプレーコーティング法等にて均一に塗布した、ガラスペーストを600℃以上の温度で焼き付ければ良い。また、絶縁層としてガラスを用いる場合、予め炭化珪素質焼結体又は窒化アルミニウム質焼結体からなる板状セラミックス体2を850〜1300℃程度の温度に加熱し、絶縁層を被着する表面を酸化処理しておくことで、ガラスからなる絶縁層との密着性を高めることができる。
【0096】
図9に示すように、板状セラミック体2の中心から放射方向に見て、抵抗発熱体5の間隔が密な部分と粗な部分が交互に現れる抵抗発熱体パターンでは、粗な部分に対応するウェハWの表面温度は小さく、密な部分に対応するウェハWの温度は大きくなり、ウェハWの表面の全面を均一に加熱することが難しいことから好ましくない。
【0097】
抵抗発熱体5は、導電性の金属粒子にガラスフリットや金属酸化物を含む電極ペーストを印刷法で板状セラミック体2に印刷、焼き付けしたもので、金属粒子としては、Au、Ag、Cu、Pd、Pt、Rhの少なくとも一種の金属を用いることが好ましく、またガラスフリットとしては、B、Si、Znを含む酸化物からなり、板状セラミック体2の熱膨張係数より小さな4.5×10−6/℃以下の低膨張ガラスを用いることが好ましく、さらに金属酸化物としては、酸化珪素、酸化ホウ素、アルミナ、チタニアから選ばれた少なくとも一種を用いることが好ましい。
【0098】
ここで、抵抗発熱体5を形成する金属粒子として、Au、Ag、Cu、Pd、Pt、Rhの少なくとも一種の金属を用いるのは、電気抵抗が小さいからである。
【0099】
抵抗発熱体5を形成するガラスフリットとして、B、Si、Znを含む酸化物からなり、抵抗発熱体5を構成する金属粒子の熱膨張係数が板状セラミック体2の熱膨張係数より大きいことから、抵抗発熱体5の熱膨張係数を板状セラミック体2の熱膨張係数に近づけるには、板状セラミック体2の熱膨張係数より大きな4.5×10−6/℃以下の低膨張ガラスを用いることが好ましいからである。
【0100】
また、抵抗発熱体5を形成する金属酸化物としては、酸化珪素、酸化ホウ素、アルミナ、チタニアから選ばれた少なくとも一種を用いるのは、抵抗発熱体5の中の金属粒子と密着性が優れ、しかも熱膨張係数が板状セラミック体2の熱膨張係数と近く、板状セラミック体2との密着性も優れるからである。
【0101】
ただし、抵抗発熱体5に対し、金属酸化物の含有量が80%を超えると、板状セラミック体2との密着力は増すものの、抵抗発熱体5の抵抗値が大きくなり好ましくない。その為、金属酸化物の含有量は60%以下とすることが良い。
【0102】
そして、導電性の金属粒子とガラスフリットや金属酸化物からなる抵抗発熱体5は、板状セラミック体2との熱膨張差が3.0×10−6/℃以下であるものを用いることが好ましい。熱膨張差が3.0×10−6/℃を超えると、抵抗発熱体5を発熱させた時、板状セラミック体2との間に作用する熱応力によって、載置面3側が凹状に反るがあるからである。
【0103】
さらに、絶縁層上に被着する抵抗発熱体5材料としては、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)等の金属単体を、蒸着法やメッキ法にて直接被着するか、あるいは前記金属単体や酸化レニウム(Re)、ランタンマンガネート(LaMnO)等の導電性の金属酸化物や金属材料を樹脂ペーストやガラスペーストに分散させたペーストを用意し、所定のパターン形状にスクリーン印刷法等にて印刷した後、けて、導電材を樹脂やガラスから成るマトリックスで結合すれば良い。マトリックスとしてガラスを用いる場合、結晶化ガラス、非晶質ガラスのいずれでも良いが、熱サイクルによる抵抗値の変化を抑えるために結晶化ガラスを用いることが好ましい。
【0104】
ただし、抵抗発熱体5材料に銀(Ag)又は銅(Cu)を用いる場合、マイグレーションが発生する恐れがあるため、このような場合には、抵抗発熱体5を覆うように絶縁層と同一の材質からなるコート層を40〜400μm程度の厚みで被覆しておけば良い。
【0105】
更に、抵抗発熱体5への給電方法については、抵抗発熱体5に金や銀、パラジウム、白金等の材質からなる給電部6が形成され、該給電部6に給電端子11を接触させることにより、導通が確保されている。給電端子11と給電部6とは、導通が確保できる方法でれば、はんだ付け、ロ付け等の手法を用いてもよいが、有底の金属ケース19に設置した給電端子11を板状セラミックス体2の表面に形成した給電部6にバネ(不図示)で押圧することにより載置面3を凸状にするとともに接続を確保し給電することが好ましい。これは、1〜7mmの厚みの板状セラミックス体2に金属からなる端子部を埋設して形成すると、該端子部の熱容量により均熱性が悪くなるからである。そのため、給電端子11をバネで押圧して電気的接続を確保することにより、板状セラミックス体2とその有底の金属ケース19の間の温度差による熱応力を緩和し、高い信頼性で電気的導通を維持できる。さらに、接点が点接触となるのを防止するため、弾性のある導体を中間層として挿入しても構わない。この中間層は単に箔状のシートを挿入するだけでも効果がある。そして、給電端子11の給電部6側の径は、1.5〜5mmとすることが好ましい。
【0106】
また、板状セラミックス体2の温度は、板状セラミックス体2にその先端が埋め込まれた熱電対等の測温素子27により測定する。測温素子27としては、その応答性と保持の作業性の観点から、外径0.8mm以下のシース型の熱電対を使用することが好ましい。この熱電対の先端部は、板状セラミックス体2に孔が形成され、この中に設置された固定部材により孔の内壁面に押圧固定することが測温の信頼性を向上させるために好ましい。同様に素線の熱電対やPt等の測温抵抗体を埋設して測温を行うことも可能である。
【0107】
また、板状セラミック体2の他方の主面3に抵抗発熱体5のみを備えたウェハ支持部材1について示したが、本発明は、主面3と抵抗発熱体5との間に静電吸着用やプラズマ発生用としての電極を埋設したものであっても良いことは言うまでもない。
【0108】
【実施例】
(実施例 1)
まず、窒化アルミニウム粉末に対し、重量換算で1.0質量%の酸化イットリウムを添加し、さらにイソプロピルアルコールとウレタンボールを用いてボールミルにより48時間混練することにより窒化アルミニウムのスラリーを製作した。
【0109】
次に、窒化アルミニウムのスラリーを200メッシュに通し、ウレタンボールやボールミル壁の屑を取り除いた後、防爆乾燥機にて120℃で24時間乾燥した。
【0110】
次いで、得られた窒化アルミニウム粉末にアクリル系のバインダーと溶媒を混合して窒化アルミニムのスリップを作製し、ドクターブレード法にて窒化アルミニムのグリーンシートを複数枚製作した。
【0111】
そして、得られた窒化アルミニムのグリーンシートを複数枚積層熱圧着にて積層体を形成した。
【0112】
しかる後、積層体を非酸化性ガス気流中にて500℃の温度で5時間脱脂を施した後、非酸化性雰囲気にて1900℃の温度で5時間の焼成を行い各種の熱伝導率を有する板状セラミックス体を製作した。
【0113】
そして、窒化アルミニウム焼結体に研削加工を施し、板厚3mm、直径315mm〜345mmの円盤状をした板状セラミックス体2を複数枚製作し、更に中心から60mmの同心円上に均等に3箇所貫通孔を形成した。貫通口径は、4mmとした。
【0114】
次いで板状セラミックス体2の上に抵抗発熱体5を被着するため、導電材としてAu粉末とPd粉末と、前記同様の組成からなるバインダーを添加したガラスペーストを混練して作製した導電体ペーストをスクリーン印刷法にて所定のパターン形状に印刷したあと、150℃に加熱して有機溶剤を乾燥させ、さらに550℃で30分間脱脂処理を施したあと、700〜900℃の温度で焼き付けを行うことにより、厚みが50μmの抵抗発熱体5を形成した。抵抗発熱体5のパターン配置は、中心部から放射状に円と円環状に分割し、中心部に円形の1つにパターンを形成し、その外側の円環状の部分に2つにパターンを形成し、更にその外側に4つのパターンからなる計7個のパターン構成とした。そして、最外周の4つのパターンの外接円Cの直径を310mmとして、板状セラミックスの直径を変えて作製した。そして抵抗発熱体を覆うようにコート層を形成し、しかるのち抵抗発熱体5に給電部6をロウ付けし固着させることにより、板状セラミックス体2を製作した。
【0115】
また、有底の金属ケースの底面の厚みは2.0mmのアルミニウムと側壁部を構成する厚み1.0mmのアルミニウムからなり、底面に、ガス噴射口、熱電対、導通端子を所定の位置に取り付けた。また、底面から板状セラミックス体までの距離は20mmとした。
【0116】
その後、有底の金属ケースの開口部に、板状セラミックス体を重ね、その外周部にボルトを貫通させ、板状セラミックス体と有底の金属ケースが直接当たらないように、リング状の接触部材を介在させ、接触部材側より弾性体を介在させてナットを螺着することにより弾性的に固定することによって、ウェハ支持部材とした。
【0117】
尚、凸状の載置面の突出量は導通端子により板状セラミックス体を押圧する力とコート層の厚みを変えて調整した。
【0118】
また、板状セラミックス体の周辺部下面を支持する支持構造▲1▼と、板状セラミックス体の外周面を支持する支持構造▲2▼との2つの構造でウェハ支持部材を作製した。尚、支持構造▲1▼では、板状セラミックス体の直径と金属ケースの外形である直径を同じとした。
【0119】
尚、接触部材はリング状でその断面は四角形とした。台形状の断面の大きさは、厚み1mmで幅5mmとした。また、接触部材の材質はTiやチタン合金を用いた。作製した各種のウェハ支持部材を試料No.1〜12とした。
【0120】
作製したウェハ支持部材の評価は、測温抵抗体が29箇所に埋設された直径300mmの測温用ウェハを用いて行った。夫々のウェハ支持部材に電源を取り付け25℃から200℃まで5分間でウェハWを昇温し、ウェハWの温度を200℃に設定してからウェハWの平均温度が200℃±0.5℃の範囲で一定となるまで保持した。その後ウェハWを取り外した。そして、測温用ウェハWを用いてウェハW面が同じ室温のウェハWを載置面に載せ、ウェハWの温度が200℃に達するまでの各測温抵抗体の温度を測定した。そして室温25℃から200℃±0.5℃の範囲になるまでの時間を応答時間として測定し、それまでの各測温抵抗体の最大温度差を過渡時のウェハが200℃に達するまでのウェハ面内の最大温度差(℃)とした。
【0121】
また、30℃から200℃に5分で昇温し5分間保持した後、30分間冷却する温度サイクルを1000サイクル繰り返した後、室温から200℃に設定し10分後のウェハ温度の最大値と最小値の差をウェハWの温度差として測定した。
【0122】
それぞれの結果は表1に示す通りである。
【0123】
【表1】
Figure 0004646502
【0124】
表1の試料No.1は、板状セラミックス体の直径に対する抵抗発熱体の外接円の比率が90%であるが、載置面がー10μmの凹面状であることから過渡時のウェハW面内の最大温度差が11.5℃と大きく、また、ウェハの温度差は0.5℃と大きく、特に応答時間が65秒と大きく何れの特性値も好ましくなかった。
【0125】
また、試料No.12は板状セラミックス体の直径に対する抵抗発熱体の外接円の比率が99.5%と大きくウェハの面内温度差は2.1℃と大きく、応答時間も68秒と大きく好ましくなかった。
【0126】
これらに対し、載置面が凸状で、且つ抵抗発熱体の外接円の直径が板状セラミックス体の直径の90〜99%である試料No.3〜11はウェハの面内の温度差が0.5℃未満と小さく、しかも応答時間も38秒以下と小さく優れていることが分かる。
【0127】
更に、板状セラミックス体の外周部下面で金属ケースと接触部材を介して接続した支持構造▲1▼では、試料No.4〜6に示すように板状セラミックス体の直径に対する抵抗発熱体の外接円の比率が92〜95%で、ウェハ面内の最大温度差が5.5℃以下と小さく、ウェハの面内温度差が0.40℃以下で且つ応答時間が34秒以下と優れている。
【0128】
また、試料No.5,6は面内温度差が0.35℃以下で応答時間も33秒以下と小さいことから、板状セラミックス体の直径に対する抵抗発熱体の外接円の比率が93〜95%であるとさらに好ましいことが分る。
【0129】
一方、板状セラミックス体の外周部側面で金属ケースと接触部材を介して接続した支持構造▲2▼では、試料No.7〜10に示すように板状セラミックス体の直径に対する抵抗発熱体の外接円の比率が95%〜98%で、ウェハの面内温度差が0.44℃以下で且つ応答時間は33秒以下と優れていた。更に、試料No.8,9の面内温度差はどちらも0.40℃で応答時間が30秒と小さいことから、板状セラミックス体の直径に対する抵抗発熱体の外接円の比率が96%〜97%であることがさらに好ましいことが分った。
【0130】
また、載置面の突出量は試料No.3〜11のように5μmから90μmであると好ましいことが分かった。
【0131】
(実施例 2)
実施例1と同様に板状セラミックス体2を製作した。
【0132】
そして、有底の金属ケース19は、直径330mmで底面21を構成する厚み2.0mmのアルミニウムと側壁部22を構成する厚み1.0mmのアルミニウムからなり、底面21に、ガス噴射口12、熱電対13、導通端子11を所定の位置に取り付けた。また、底面21から板状セラミックス体2までの距離は20mmとした。その後、有底の金属ケース19の開口部に、板状セラミックス体2を重ね、その外周部にボルト16を貫通させ、板状セラミックス体2と有底の金属ケース19が直接当たらないように、リング状の接触部材17を介在させ、接触部材17側より弾性体18を介在させてナット20を螺着することにより弾性的に固定してウェハ支持部材1とした。接触部材17の断面は台形状で、板状セラミックス体の周辺部を支持するリング状とした。台形状の断面の大きさは、下辺4mmで高さ2mmとし上辺は0.05〜4mmとして、下辺が15mmで高さ2mmで上辺を5〜15mmとした接触部材をそれぞれのウェハ支持部材に取り付けた。また、接触部材の材質はチタンを用いた。作製した各種のウェハ支持部材を試料No.21〜29とした。
【0133】
尚、載置面3の突出量は40μmで一定とし、抵抗発熱体5の外接円の直径が板状セラミックス体2の直径の95%とした。
【0134】
評価は、実施例1と同様に行った。
【0135】
それぞれの結果は表2に示す通りである。
【0136】
【表2】
Figure 0004646502
【0137】
表1から判るように、試料No.21は、接触部材17と板状セラミックス体2との接触部の巾が0.05mmと小さく応答時間やウェハの温度差は小さかったが、使用中に接触部材のエッジからと思われるパーティクルが発生しウェハ面内の最大温度差が5.6℃とやや大きく好ましくなかった。
【0138】
また、試料No.29は接触部材17の接触部の巾が15mmと大きくウェハ面内の最大温度差が6℃とやや大きかった。
【0139】
これに対し、試料No.22〜28のウェハ支持部材1は接触部材17が板状セラミックス体2と接触する面積が0.1〜13mmであることからウェハ面内の最大温度差が4.1℃以下と小さく、ウェハの面内温度差は0.4℃以下であり、応答時間も38秒以下と小さくより優れた特性を示すことが分かった。
【0140】
(実施例 3)
実施例1と同様の板状セラミックス体2の製造工程において、酸化イットリウムの添加量を0.1〜5質量%の範囲で変化させて板状セラミックス体2を作製した。また、SUS304、SUS403、Fe−Ni−Co合金(コバール)、炭素鋼、アルミニウムを用いて板状セラミックス体2と接触する接触部の巾が2mmの接触部材を作製した。そして、板状セラミックス体2の熱伝導率と接触部材の熱伝導率の比が1〜128%となるように板状セラミックス体と接触部材を組み合わせ板状セラミックス体に上記接触部材を介してアルミニウム製の有底の金属ケースを取り付けウェハ支持部材を作製した。
【0141】
尚、試料No.31〜38は金属製の接触部材を用い、有底の金属ケースは直径330mmで側壁部の板厚が1.0mm、底面の板厚が2.0mmとし、深さは30mmとした。また、試料No.39、40は樹脂製の接触部材でヤング率が1GPaを下回ることから台形状の接触部材の変形が大きくウェハ支持部材として使用困難であったことから、図4に示すように板状セラミックス体の外周部を覆う構造とし、有底の金属ケースは直径340mmで側壁部の厚み1.0mm、底面の厚み2.0mmとし、深さは30mmとした。
【0142】
そして、実施例1と同様に評価した。
【0143】
その結果を表3に示す。
【0144】
【表3】
Figure 0004646502
【0145】
接触部材としてSUS304、Fe−Ni−Co合金、SUS403、炭素鋼を用い、熱伝導率の異なる窒化アルミニウムと組み合わせ、接触部材の熱伝導率が板状セラミックス体の熱伝導率より小さい試料No.31〜37のウェハ接触部材は応答時間が35秒以内でしかもウェハの温度差も0.35℃以下と優れていることが分った。
【0146】
しかし、試料No.38は接触部材の熱伝導率が板状セラミックス体より大きく、ウェハ面内の最大温度差が5.7℃と大きく、応答時間が53秒とやや大きく、しかもウェハ面内の温度差が0.55℃とやや大きかった。
【0147】
従って、接触部材の熱伝導率は板状セラミックス体の熱伝導率より小さいウェハ支持部材は応答特性やウェハの温度差が小さく優れた特性を示すことが分った。
【0148】
(実施例 4)
実施例2と同様に板状セラミックス体を作製した。また、SUS304、SUS403、Fe−Ni−Co合金(コバール)、炭素鋼、アルミニウム、錫、錫鉛合金を用いて板状セラミックス体と接触する接触部材の接触部の巾が0.1mmでヤング率の異なる接触部材を作製した。そして、板状セラミックス体に上記接触部材を介して実施例2と同様にアルミニウム製の有底の金属ケースを取り付けウェハ支持部材を作製した。
【0149】
そして、実施例1と同様に評価した。
【0150】
その結果を表4に示す。
【0151】
【表4】
Figure 0004646502
【0152】
ヤング率が1GPa以上の接触部材からなる試料No.41〜47のウェハ支持部材は、ウェハの最大温度差が4.3℃以下で、ウェハ面内の温度差が0.35℃以下であり、応答時間が35秒以下と小さく好ましい特性を示すことが分った。
【0153】
しかし、試料No.48のフッ素樹脂や繊維入り樹脂からなるウェハ支持部材はウェハの最大温度差が6℃で、ウェハ面内の温度差が0.49℃であり、応答時間が45秒とやや大きかった。
【0154】
従って、接触部材のヤング率は1GPa以上で300GP以下であることが判明した。
【0155】
(実施例 5)
実施例1と同様に板状セラミックス体を作製した。また、接触部材として炭素鋼で断面が台形のウェハ支持部材と、炭素鋼製の接触部材で断面が円形の接触部材を作製し、板状セラミックス体に上記接触部材を介してアルミニウム製の有底の金属ケースを取り付けウェハ支持部材を作製した。
【0156】
そして、実施例1と同様に評価した。
【0157】
その結果を表5に示す。
【0158】
【表5】
Figure 0004646502
【0159】
試料No.51、52の接触部材が台形のウェハ支持部材はウェハ面内の最大温度差が4.5℃、3.2℃で、ウェハ面内の温度差が0.36℃、0.26℃と応答時間が35秒、29秒であったが、図7に示す構造の試料No.53,54のように接触部材の断面が円形であるものは応答時間が23秒、21秒と小さく、ウェハの最大温度差も3.1℃、2.8℃と小さく、ウェハの面内温度差は0.25℃、0.22℃と小さくより好ましいことが分った。
【0160】
特に、接触部材の断面が円形で断面の直径が1mm以下のウェハ支持部材は応答時間が21秒で且つウェハの最大温度差が2.8℃、ウェハの面内温度差が0.22℃と更に優れた特性を示すことが分った。
【0161】
(実施例6)
実施例1と同様の工程で板状セラミックス体を作製した。そして、板状セラミックス体の主面に実施例1と同様の工程で抵抗発熱体を印刷した。最外周の抵抗発熱体のパターンは図4に示す最外周のパターンの構成として、抵抗発熱体として最外周の4つのパターンに接する外接円の一部に円弧状パターンのない空白域Pの間隔Sとし、抵抗発熱体に接する外接円の直径を310mmとして板状セラミックス体の直径を変えたウェハ支持部材を作製した。
【0162】
また、板状セラミックス体に上記接触部材を介してアルミニウム製の有底の金属ケースを取り付けウェハ支持部材を作製した。
【0163】
そして、実施例1と同様に評価した。その結果を表6に示す。
【0164】
【表6】
Figure 0004646502
【0165】
板状セラミックス体の直径と抵抗発熱体の外接円の直径との差Lが、空白域の間隔Sより大きい試料No.61、65、67は、ウェハの最大温度差はそれぞれ5.5℃、5.4℃、5.7℃で、ウェハの面内温度差は0.47℃、0.45℃、0.48℃であり、応答時間は38、37、38秒とやや大きかった。
【0166】
これらに対し、試料No.62、63,64、66、68の空白域の間隔Sが上記の差Lより小さいウェハ支持部材は、ウェハの最大温度差は3.3℃以下で、ウェハの面内温度差は0.25℃以下と小さく、応答も29秒以下とより優れた特性を示すことが判明した。
【0167】
(実施例 7)
実施例2の試料No.63と同様の構成で、抵抗発熱体の外周部の円弧状パターンの線幅とこれに繋がる連結パターンの線幅を変えたウェハ支持部材を作製し実施例2と同様の評価を行った。その結果を表3に示す。
【0168】
【表7】
Figure 0004646502
【0169】
連結パターンの線幅が円弧状パターンの線幅と同等或いは大きい試料No.73,74、76、77のウェハの最大温度差は2.8℃以下と小さく、ウェハの面内温度差は0.21℃以下と小さく、しかも応答時間が22秒以下と優れている事が判明した。
【0170】
更に、連結パターンの線幅が円弧状のパターンの線幅より小さい試料No.74、77のウェハの最大温度差は2.5℃、2.69℃と小さく、面内温度差が0.2℃と小さく、しかも応答時間が20秒と極めて優れている事が判明した。
【0171】
これらに対して、試料No.71、72、75はウェハの最大温度差が5.1〜5.3℃とやや大きく、ウェハの面内温度差が0.42〜0.45℃で応答時間も33〜35秒とやや大きかった。
【0172】
従って、ウェハ支持部材において、円弧状パターンの線幅は、円弧状パターンと繋がる連結パターンの線幅と、同等或いは大きいことによりウェハの温度差が小さく応答時間の小さい優れたウェハ支持部材を提供できることが判明した。
【0173】
(実施例 8)
実施例1と同様に板状セラミックス体を作製した。
【0174】
ただし、ペーストの印刷厚みは20μmとし、また、抵抗発熱体を囲む外接円に対し、抵抗発熱体の占める面積の比率を異ならせたものを用意した。
【0175】
そして、実施例1と同様に評価した。その結果を表8に示す。
【0176】
【表8】
Figure 0004646502
【0177】
この結果、試料No.80のように、抵抗発熱体を囲む外接円に対し、抵抗発熱体の占める面積の比率が5%を下回り3%である試料は、ウハの面内の最大温度差が5.9℃とやや大きく、ウェハの面内温度差が0.48℃で応答時間は39秒とやや大きかった。また、試料No.89のように、抵抗発熱体を囲む外接円に対し、抵抗発熱体の占める面積の比率が50%をえ60%であると、ウハの一部に温度の高いホットエリが現れ、ウハの面内の最大温度差が5.8℃と大きく、ウェハの面内温度差は0.45℃で、応答時間は34秒とやや大きかった。
【0178】
これに対し、試料No.81〜88に示すように、抵抗発熱体の外接円に対して、抵抗発熱体の占める面積の比率が5〜50%である試料は、ウハの面内の最大温度差が4.8℃以下と小さく、ウェハの面内温度差が0.39℃以下と小さく、応答時間も34秒以下と小さく優れた特性を示した。
【0179】
また、試料No.82〜86のように、抵抗発熱体の外接円に対して、抵抗発熱体の占める面積の比率を10〜30%とすることで、ウハの面内の最大温度差を3.6℃以内で、ウェハの面内温度差が0.28以下と小さく、応答時間も29秒以下と更に優れていることが判明した。
【0180】
さらに試料No.83〜85のように、抵抗発熱体の外接円に対して、抵抗発熱体の占める面積の比率を15〜25%とすることでハの面内の最大温度差1.9℃以内となり、ウェハの面内温度差が0.17℃以下となり応答時間が22秒以下となり、極めて優れていることが分かった。
【0181】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、板状セラミックス体の一方の主面に抵抗発熱体を備え、他方の主面にウェハを載せる載置面を備えたウェハ支持部材であって、抵抗発熱体に電力を供給する給電部と、この給電部を囲む金属ケースと、載置面にウェハを浮かした状態で保持するウェハ支持ピンとを有し、板状セラミックス体の外周部に位置する抵抗発熱体は同心円状のパターンを有し、載置面とウェハとの間隔が中心部で狭く外周部で広くなるように載置面が突出量5〜90μmの凸状で、且つ抵抗発熱体の外接円の直径が板状セラミックス体の直径の90〜99%とし、板状セラミックス体の周辺部をリング状に支持して金属ケースと接続する接触部材を備え、接触部材の断面が円形状で、断面の直径が1mm以下とすることにより、板状セラミックス体上にウェハを差し替えした直後の温度が安定するまでの過渡時のウェハ面内の温度ばらつきが小さく、ウェハ面内の温度差が小さく温度応答特性の優れたウェハ保持部材が得られる。
【0182】
更に、ウェハ支持部材において、外接円と接する円弧状パターンと、この円弧状パターンと連続して繋がった連結パターンとを備え、外接円の一部に円弧状のパターンのない空白域の間隔が、板状セラミックス体と外接円の直径との差より小さことでウェハの均熱性の高いウェハ支持部材が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明のウェハ加熱装置の一例を示す断面図、(b)は板状セラミックス体を示す模式図である。
【図2】本発明の他のウェハ加熱装置の一例を示す断面図である。
【図3】本発明の抵抗発熱体の形状を示す概略図である。
【図4】本発明の他の抵抗発熱体の形状を示す概略図である。
【図5】本発明の他の抵抗発熱体の形状を示す概略図である。
【図6】本発明のウェハ加熱装置の一例を示す断面図であり、接触部材の付近の拡大図を示す。
【図7】本発明のウェハ加熱装置の一例を示す断面図であり、接触部材の付近の拡大図を示す。
【図8】従来のウェハ加熱装置の一例を示す断面図である。
【図9】従来の抵抗発熱体の形状を示す概略図である。
【符号の説明】
1、71:ウェハ支持部材
2、72:板状セラミックス体
3、73:載置面
5、75:抵抗発熱体
6:給電部
8:支持ピン
10:ガイド部材
11、77:給電端子
13:外周面
16:ボルト
17:接触部材
18:弾性体
19、79:金属ケース
20:ナット
21:底面
23:孔
24:ガス噴射口
25:ウェハリフトピン
26:貫通孔
27:測温素子
28:従来のガイド部材
W:半導体ウェハ

Claims (8)

  1. 板状セラミックス体の一方の主面に抵抗発熱体を備え、他方の主面にウェハを載せる載置面を備えたウェハ支持部材であって、前記抵抗発熱体に電力を供給する給電部と、該給電部を囲む金属ケースとを有し、前記板状セラミックス体の外周部に位置する前記抵抗発熱体は同心円状のパターンを有し、前記載置面は突出量が5〜90μmの凸状で、且つ前記抵抗発熱体の外接円の直径が前記板状セラミックス体の直径の90〜99%であり、前記板状セラミックス体の周辺部をリング状に支持して前記金属ケースと接続する接触部材を備え、前記接触部材の断面が円形状で、前記断面の直径が1mm以下であることを特徴とするウェハ支持部材。
  2. 板状セラミックス体の一方の主面に抵抗発熱体を備え、他方の主面にウェハを載せる載置面を備えたウェハ支持部材であって、前記抵抗発熱体に電力を供給する給電部と、該給電部を囲む金属ケースと、前記載置面に前記ウェハを浮かした状態で保持するウェハ支持ピンとを有し、前記板状セラミックス体の外周部に位置する前記抵抗発熱体は同心円状のパターンを有し、前記載置面と前記ウェハとの間隔が中心部で狭く外周部で広くなるように前記載置面が突出量5〜90μmの凸状で、且つ前記抵抗発熱体の外接円の直径が前記板状セラミックス体の直径の90〜99%であり、前記板状セラミックス体の周辺部をリング状に支持して前記金属ケースと接続する接触部材を備え、前記接触部材の断面が円形状で、前記断面の直径が1mm以下であることを特徴とするウェハ支持部材。
  3. 前記接触部材が前記板状セラミックス体と接する巾が0.1〜13mmであることを特徴とする請求項1または2に記載のウェハ支持部材。
  4. 前記接触部材の熱伝導率が前記板状セラミックス体の熱伝導率より小さいことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のウェハ支持部材。
  5. 前記接触部材のヤング率が1GPa以上で、前記板状セラミックス体のヤング率より小さいことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のウェハ支持部材。
  6. 前記抵抗発熱体は、前記外接円に接する円弧状パターンと、該円弧状パターンに連続して繋がった連結パターンとを備え、前記外接円の一部に前記円弧状パターンのない空白域が存在し、この空白域の間隔が、前記板状セラミックス体の直径と前記外接円の直径との差より小さいことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のウェハ支持部材。
  7. 前記円弧状パターンの線幅は、前記円弧状パターンに繋がる前記連結パターンの線幅と同等或いは大きいことを特徴とする請求項に記載のウェハ支持部材。
  8. 前記板状セラミックス体の厚みが1〜7mmで、前記抵抗発熱体の厚みが5〜70μmであるとともに、前記抵抗発熱体の外接円の面積に対する前記抵抗発熱体の面積の比率が5〜50%であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のウェハ支持部材。
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