JP4189243B2 - ウェハ支持部材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主にウェハを加熱する際に用いるウェハ支持部材に関するものであり、例えば半導体ウェハや液晶装置あるいは回路基板等のウェハ上に薄膜を形成したり、前記ウェハ上に塗布されたレジスト液を乾燥焼き付けしてレジスト膜を形成する際に好適なウェハ支持部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体製造装置の製造工程における、半導体薄膜の成膜処理、エッチング処理、レジスト膜の焼き付け処理等においては、半導体ウェハ(以下、ウェハと略す)を加熱するためにウェハ支持部材が用いられている。
【0003】
従来の半導体製造装置は、まとめて複数のウェハを成膜処理するバッチ式のものが使用されていたが、半導体素子の配線の微細化に伴い、ウェハ熱処理温度の精度向上が必要となり、温度精度に優れた枚葉式の熱処理装置が広く使用されるようになった。
【0004】
例えば、半導体製造装置の製造工程における半導体ウェハ(以下ウェハと略す)への加工において、導体膜や絶縁膜の成膜処理、エッチング処理、レジスト膜の焼き付け処理等には、ウェハを加熱するためにウェハ支持部材が用いられている。
【0005】
このようなウェハ支持部材として、例えば特許文献1や特許文献2には、図5に示すようなウェハ支持部材が提案されている。
【0006】
このウェハ支持部材71は、板状セラミック体72、金属ケース79、を主要な構成要素としたもので、アルミニウム等の金属からなる有底状の金属ケース79の開口部に、窒化物セラミックスや炭化物セラミックスからなる板状セラミック体72を断熱樹脂リング74を介してボルト80で固定され、その上面をウェハWを載せる載置面73とするとともに、板状セラミック体72の下面に、例えば同心円状の帯状抵抗発熱体75を備えるようになっていた。
【0007】
さらに、帯状抵抗発熱体75の端子部には、給電端子77がロウ付けされており、この給電端子77が金属ケース79の底部79aに形成されたリード線引出用の孔76に挿通されたリード線78と電気的に接続されるようになっていた。
【0008】
ところで、このようなウェハ支持部材71において、ウェハWの表面全体に均質な膜を形成したり、レジスト膜の加熱反応状態を均質にしたりするためには、ウェハの温度分布を均一にすることが重要である。その為、これまでウェハの温度分布を小さくするため、帯状抵抗発熱体75の抵抗分布を調整したり、帯状抵抗発熱体75の温度を分割制御したりすることが行われており、また、熱引きを発生し易い構造の場合、その周囲の発熱量を増大させる等の提案がされていた。
【0009】
しかし、いずれも非常に複雑な構造、制御が必要になるという課題があり、簡単な構造で温度分布を均一に加熱できるようなウェハ支持部材が求められていた。
【0010】
このようなウェハ支持部材として、例えば特許文献3には、図7に示すようなウェハ支持部材が提案されている。
【0011】
このウェハ支持部材41は、アルミニウム等からなる有底状のケース44の開口部に、板状セラミックス体の一方の主面に発熱抵抗体43を有し他方の主面にウェハを載せる載置面47を備えたウェハ加熱部42を固定してある。ウェハ支持部材41は、ケース44の外周面に沿ってケース取り付け部材46に固定した構造となっていた。
【0012】
また、このウェハ支持部材41は、ケース取り付け部材46の下部に設けられたリフトピン45によりウェハWを昇降させることにより、ウェハ支持部材41からウェハWを脱着させるようになっていた。
【0013】
また、特許文献4に開示されたウェハ支持部材41はケース44の肉厚を50mm以下としているが、ケース44とウェハ加熱部42とから囲まれた空間を構成するケース44の側面や底面の厚みが一定で冷却効率が不十分でしかもケース44が重く剛性も小さかった。
【0014】
ところで、このようなウェハ支持部材41において、ウェハWの表面全体に均質な膜を形成したり、レジスト膜の加熱反応状態を均質にしたりするためには、ウェハWの温度分布を均一にすることが重要であった。
【0015】
また、多数のウェハWを効率的に加熱できるようにするため、加熱冷却のタクトタイムを短くする必要があった。このため、ウェハ加熱部42を構成する板状セラミックス体として窒化アルミニウムや炭化珪素等の高熱伝導率で剛性の大きなセラミックスを用いて加熱冷却を有利にし、また均熱性を改善するために、ウェハ加熱部42に形成される帯状の抵抗発熱体43の抵抗分布を均一になるように調整したり、帯状抵抗発熱体43を分割し分割した領域で温度分布を制御したりすることが行われていた。
【0016】
しかし、いずれも非常に複雑な構造、制御が必要になるという課題があり、簡単な構造で温度分布を均一に加熱できるようなウェハ支持部材が求められていた。
【0017】
そこでこの課題を解決するウェハ支持部材として、特許文献5や特許文献6のような例がある。このウェハ支持部材51は、図6に示すように、有底のケース61、板状セラミックス体52を主要な構成要素としている。このウェハ支持部材51の特徴として、前記板状セラミックス体52の外周部を弾性体58により金属製ケース61に押圧固定していることが挙げられる。これにより、板状セラミックス体52の温度が変動した場合にケース61に変形が発生しても、上記弾性体58によってこれを吸収し、これにより板状セラミックス体52の反りを防止し、ウェハW加熱におけるウェハW表面に温度分布が発生することを防止した。
【0018】
また、このウェハ支持部材はウェハWを支持ピンで支える事で載置面から一定の間隔を空けウェハW面内の温度差を小さくしている。
【0019】
〔特許文献1〕特開2001−203156号公報
〔特許文献2〕特開2001−313249号公報
〔特許文献3〕特開2002−56954号公報
〔特許文献4〕特開2002−25758号公報
〔特許文献5〕特開2001−237166号公報
〔特許文献6〕特開2002−373769号公報
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
半導体素子の配線微細化に伴い使用され始めた化学増幅型レジストにおいては、ウェハの温度の均一性は勿論のこと、ウェハを熱処理装置に載置した瞬間から離脱し熱処理を終了させるまでの過渡的な温度履歴も極めて重要となり、ウェハ載置直後から概ね60秒以内にウェハの温度が均一に安定することが望まれている。
【0021】
しかしながら、特許文献1に紹介されている装置では、樹脂リング74としてフッ素樹脂が用いられるが、固定ボルト80による押圧により変形し易く板状セラミックス体72が傾いたりして位置精度良く設置できないとの課題があった。また、特許文献2では前記樹脂リング74に繊維を含有した樹脂が用いられているが、使用中に繊維が脱落しウェハWを汚染する虞があった。また、何れも熱サイクルにより板状セラミックス体72が傾いたり変位したりして位置精度を保持することが困難であり、長時間に渡りウェハWを均一に加熱することが困難で、しかも樹脂リング74の外周に固定ボルトを貫通する部分を有することからウェハ支持部材71の外形が板状セラミック体72より大きくなり、金属ケース79のサイズも大きくなり熱容量も大きくなることから急冷や急速加熱が困難となり、樹脂リングの部材コストが高くなり実用的ではなかった。特に、板状セラミックス体72の位置精度を高めるには、樹脂リング74と板状セラミックス体72の接触巾を13mmを超えて接触させる必要があり、それでもウェハWを均一に加熱したり、ウェハWを急速に昇温したり急速に降温させることが困難であった。
【0022】
また、上記従来技術のウェハWを載置するウェハ加熱部42は、ウェハWの温度分布を均一にするように載置面47の反りと平面度を調整している。この理由は、ウェハ加熱部42に反り等が生じるとウェハWと載置面47の間隔が変化しウェハWの表面の温度差が生じるからである。ウェハW表面の温度差が生じると例えばウェハWのレジスト液を乾燥硬化させる場合、硬化状態が不均一となりレジスト膜が均一とならない虞があった。
【0023】
しかしながら、従来のウェハ加熱部42をケース44に設置した状態で上記反りと平面度を保持した状態で、ケース44をケース取り付け部材46に固定する際、ケース44がケース取り付け部材46の設置面に載せられたり倣うように固定されるので、ケース取り付け部材46の設置面の反りや平面度の影響を受けて、ウェハ加熱部42を構成する板状セラミックス体200の平面度が変化し、板状セラミックス体200の他方の主面である載置面47に設置されたウェハWの温度分布がばらついてしまうという問題があった。
【0024】
また、特許文献4のウェハ支持部材のようにケースの側壁を単に50mm以下としても、ケースの剛性が小さくウェハWの温度分布がばらついたり、ウェハ支持部材の冷却速度が小さいとの問題があった。
【0025】
また、特許文献5のウェハ支持部材のようなケースはウェハ加熱部52の熱がケース61を伝わりケースの温度が上昇し、ウェハ加熱部52を冷却してもケース61の熱がウェハ加熱部52に伝わり冷却速度を低下させる虞があった。
【0026】
そこで、本発明の目的は、ケース44に設置したウェハ加熱部42をケース取り付け部材46等に載せたり、固定したとしてもウェハ加熱部42の載置面47の温度均一性に優れ、しかもウェハWの温度分布のバラツキが小さく、急速な加熱冷却ができるウェハ支持部材を提案することにある。
【0027】
【課題を解決するための手段】
本発明のウェハ支持部材は、板状セラミックス体の一方の主面に抵抗発熱体を備え、他方の主面をウェハ加熱面としたウェハ加熱部と、前記抵抗発熱体に電力を供給する給電端子と、該給電端子を囲むように板状セラミックス体と接続した金属製のケースと、前記板状セラミック体の周辺部と前記ケースとの間に介在する、ヤング率が1GPa以上で前記板状セラミックス体のヤング率より小さい接触部材とを備え、前記ケースは支柱部と筒状部と板状支持部とからなり、前記接触部材の熱伝導率が前記板状セラミックス体の熱伝導率より小さく、前記板状セラミックス体と前記筒状部の上部が前記接触部材を介して前記支柱部に弾性的に結合し、前記筒状部の下部が前記板状支持部と離間していることを特徴とする。
【0028】
また、本発明のウェハ支持部材は、板状セラミックス体の一方の主面に抵抗発熱体を備え、他方の主面をウェハ加熱面としたウェハ加熱部と、前記抵抗発熱体に電力を供給する給電端子と、該給電端子を囲むように板状セラミックス体と接続した金属製のケースと、前記板状セラミック体の周辺部と前記ケースとの間に介在する、ヤング率が1GPa以上で前記板状セラミックス体のヤング率より小さい接触部材とを備え、前記ケースは支柱部と筒状部と板状支持部とからなり、前記接触部材の熱伝導率が前記板状セラミックス体の熱伝導率より小さく、前記板状セラミックス体と前記筒状部の上部と前記支柱部の上部とが前記接触部材を介して結合し、前記支柱部の下部が前記板状支持部と弾性的に結合していることを特徴とする。
【0031】
また、前記接触部材が前記板状セラミックス体と接する巾が0.1〜13mmであることを特徴とする。
【0033】
また、前記接触部材の断面が円形状であることを特徴とする。
【0034】
また、前記接触部材の直径が1mm以下であることを特徴とする。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0036】
図1は本発明に係るウェハ支持部材1の一例を示す断面図で、炭化珪素または窒化アルミニウムを主成分とするセラミックスからなる板状セラミックス体2の一方の主面を、ウェハWを載せる載置面3とするとともに、他方の主面に抵抗発熱体5を形成したウェハ加熱部100を備えたものである。
【0037】
抵抗発熱体5のパターン形状としては、略同心円状をしたものや渦巻き状をしたものなど、載置面3を均一に加熱できるパターン形状であれば良い。均熱性を改善するため、抵抗発熱体5を複数のパターンに分割することも可能である。またパターンの線幅や粗密を調整し、電力密度に分布をつけて均熱性を改善しても良い。
【0038】
抵抗発熱体5には、金や銀、パラジウム、白金等の材質からなる給電部6が形成され、該給電部6に給電端子11を接触させることにより、導通が確保されている。給電端子11と給電部6とは、導通が確保できる方法で有れば、はんだ付け、ロウ付け等の手法を用いてもよい。
【0039】
金属製のケース19は支柱部7と側壁をなす筒状部22と板状支持部21とを有し、支柱部7は3本以上備え、筒状部22の内側に備えることが好ましい。そして、板状セラミックス体2と筒状部22の上側の開口部の外周にボルト16を貫通させ、板状セラミックス体2と筒状部22や支柱7が直接当たらないように、リング状の接触部材17を介在させ、ボルト16は支柱部7により支えられ、支柱部7の下部は板状支持部21と弾性体18を介在させてナット20を螺着することにより弾性的に固定している。これにより、板状セラミックス体2の温度が変動した場合に金属製のケース19が変形しても、上記弾性体18によってこれを吸収し、これにより板状セラミックス体2の反りを抑制し、ウェハ表面に、板状セラミックス体2の反りに起因する温度ばらつきが発生することを防止できるようになる。また、直径2〜8mmの支柱部7を3箇所〜12箇所設け、筒状部22の板厚みを0.3〜1mmとすることで、ケース19の熱容量を小さくすることができることから、ウェハ加熱部100を200℃以上に加熱し室温に冷却するに際して降温スピードを高めることができる。
【0040】
なお、板状セラミックス体2はその金属製のケース19の開口部を覆うように設置してある。また、金属製のケース19には冷却ガスを排出するための孔23が施されており、板状セラミックス体2の抵抗発熱体5に給電するための給電部6に導通するための給電端子11,板状セラミックス体2を冷却するためのガス噴射口24、板状セラミックス体2の温度を測定するための熱電対27を設置してある。
【0041】
さらに、板状支持部21は、板状セラミックス体2から10〜50mmの距離に設置することが望ましい。更に好ましくは20〜30mmである。これは、ウェハ加熱部100と金属ケース19との相互の輻射熱により載置面3の均熱化が容易となると同時に、外部との断熱効果があるので、載置面3の温度が一定で均熱となるまでの時間が短くなるためである。
【0042】
また、ウェハ加熱部100には少なくとも3箇所の貫通孔26が設けられ、ウェハリフトピン25を上下させることにより、板状セラミックス体2へウェハを迅速に載置離脱がおこなえる。また、ウェハリフトピン25がウェハ加熱部100の板状セラミックス体2へ直接接触しないようにガイド部材12が設置されている。
【0043】
このように、ウェハ加熱部100の周辺部をリング状の接触部材17を介して前記ケース19と接合し、前記ケース19は支柱部7と筒状部22と板状支持部21からなり、前記ウェハ加熱部100と板状支持部21とは支柱部を介して弾性的に結合していることにより、ウェハ支持部材1を抵抗発熱体5で急激に加熱し温度を上げてケース19が変形してもケース19との断熱を維持しつつケース19の変形をウェハ支持部材100に伝えることが少なく、ウェハ加熱部100を急速に温度上昇させることができる。
【0044】
また、上記ウェハ支持部材1をケース取り付け部材に固定し、板状支持部21が変形してもウェハ加熱部100が変形することがなく、載置面3に載せたウェハWと載置面3の間の間隔が変化する虞が小さいことからウェハWの面内温度差が大きくなる虞がない。
【0045】
図2は、本発明の他の実施形態を示す図である。ボルト16は支柱部7の上部に固定され、ウェハ加熱部100と筒状部22の上部が接触部材17を介して支柱部7に弾性的に結合し、支柱部7は板状支持部に固定され、前記筒状部22の下部22aは板状支持部21と離間していることを特徴とする。このような構造とすることで、接触部材17からの熱を筒状部7に伝え板状支持部21に熱が伝わり難くすることで、ウェハ過熱部100の急速昇温や急速冷却を短時間に行うことがえきるとともに、板状支持部21をケース取り付け部46にボルトで固定し、板状支持部21が変形してもウェハ加熱部100にこの変形を伝えることがないことから、ウェハWを均一に加熱することができる。更にこのような構造とすることで、筒状部22にはウェハ加熱部100を直接支えることがなく、筒状部22を0.5〜0.1mmと薄肉化することができることから、ケース19の熱容量を小さくすることが可能である。しかも、ウェハ加熱部100の周辺部を接触部材17で固定していることから接触部材17や筒状部22との結合部で隙間が発生し難いことからウェハWのレジスト膜等から発生したガスが直接前記隙間を通過して給電部6等を腐食する虞が小さく好ましい。
【0046】
図3は、図1に示すウェハ支持部材1のリング状の接触部材17付近を示す拡大断面図である。リング状の接触部材17の断面は多角形や円形の何れでも良いが、板状セラミックス体2と接触部材17が平面で接触する場合において、板状セラミックス体2と接触部材17の接する接触部の巾は0.1mm〜13mmであれば、板状セラミックス体2の熱が接触部材17を介して金属製のケース19に流れる量を小さくすることができる。そして、ウェハWの面内の温度差が小さくウェハWを均一に加熱することができる。
【0047】
接触部材17の接触部の巾が0.1mm未満では、板状セラミックス体2と接触固定した際に接触部が変形し、接触部材が破損する虞がある。また、接触部材17の接触部の巾が13mmを越える場合には、板状セラミックス体2の熱が接触部材に流れ、板状セラミックス体2の周辺部の温度が低下しウェハWを均一に加熱することが難しくなる。好ましくは接触部材17と板状セラミックス体2の接触部の巾は0.1mm〜8mmであり、更に好ましくは0.1〜2mmである。
【0048】
また、接触部材17の熱伝導率は板状セラミックス体2の熱伝導率より小さいことが好ましい。接触部材17の熱伝導率が板状セラミックス体2の熱伝導率より小さければ板状セラミックス体2に載せたウェハW面内の温度分布を均一に加熱することができると共に、板状セラミックス体2の温度を上げたり下げたりする際に、接触部材17との熱の伝達量が小さく金属製のケース19との熱的干渉が少なく、迅速に温度を変更することが容易となる。
【0049】
接触部材17の熱伝導率が板状セラミックス体2の熱伝導率の10%より小さいウェハ支持部材1では、接触部材を介して板状セラミックス体2の熱が金属製のケース19に流れ難く、雰囲気ガス(ここでは空気)による伝熱や輻射伝熱により板状セラミックス体2から金属製のケース19へ流れる熱が多くなり、逆に効果が小さい。
【0050】
接触部材17の熱伝導率が板状セラミックス体2の熱伝導率より大きい場合には、板状セラミックス体2の周辺部の熱が接触部材17を介して金属製のケース19に流れ、金属製のケース19を加熱すると共に、板状セラミックス体2の周辺部の温度が低下しウェハW面内の温度差が大きくなり好ましくない。また、金属製のケース19が加熱されることからガス噴射口24からエアーを噴射し板状セラミックス体2を冷却しようとしても金属製のケース19の温度が高いことから冷却する時間が大きくなったり、一定温度に加熱する際に一定温度になるまでの時間が大きくなったりする虞があった。
【0051】
一方、前記接触部材17を構成する材料としては、小さな接触部を保持するために、接触部材のヤング率は1GPa以上が好ましく、更に好ましくは10GPa以上である。このようなヤング率とすることで、接触部の巾が0.1mm〜8mmと小さく、板状セラミックス体2を金属製のケース19に接触部材17を介してボルト16で固定しても、接触部材17が変形すること無く、板状セラミックス体2が位置ズレしたり平行度が変化したりすることなく、精度良く保持することができる。特に、接触部材17のヤング率が板状セラミックス体2のヤング率より小さいことが好ましい。これは、接触部材17と板状セラミックス体2の接触部において板状セラミックス体2側の変形量が小さく、ウェハWの面内温度差が大きくなる虞が小さくなるからである。
【0052】
接触部材17として上記特性を満足する材料を用いると、特許文献6に記載されたようなフッ素系に樹脂やガラス繊維を添加した樹脂からなる接触部材に比べて、優れた精度を達成することができる。
【0053】
前記接触部材17の材質としては、鉄とカーボンからなる炭素鋼やニッケル、マンガン、クロムを加えた特殊鋼等の金属がヤング率が大きく好ましい。また、熱伝導率の小さな材料としては、ステンレス鋼やFe―Ni−Co系合金の所謂コバールが好ましく、板状セラミックス体2の熱伝導率より小さくなるように接触部材17の材料を選択することが好ましい。
【0054】
更に、接触部材17と板状セラミックス体2との接触部を小さく、且つ接触部が小さくても接触部が欠損しパーティクルを発生する虞が小さく安定な接触部を保持できるために、板状セラミックス体2に垂直な面で切断した接触部材17の断面は多角形より円形が好ましく、断面の直径1mm以下の円形のワイヤを接触部材17として使用すると板状セラミックス体2と金属製のケース19の位置が変化することなくウェハWの表面温度を均一にしかも迅速に昇降温することが可能である。
【0055】
そして、金属製のケース19内に昇降自在に設置されたリフトピン25により、ウェハWを載置面3上に載せたり載置面3より持ち上げたりといった作業がなされる。そして、ウェハWは、ウェハ支持ピン8により載置面3から浮かした状態で保持され、片当たり等による温度バラツキを防止するようにしている。
【0056】
また、このウェハ支持部材1によりウェハWを加熱するには、搬送アーム(不図示)にて載置面3の上方まで運ばれたウェハWをリフトピン25にて支持したあと、リフトピン25を降下させてウェハWを載置面3上に載せる。
【0057】
次に、給電部6に通電して抵抗発熱体5を発熱させ、板状セラミックス体2を介して載置面3上のウェハWを加熱するのであるが、本発明によれば、ウェハ支持部材1に板状セラミックス体2を支持する接触部材17を介して金属製のケース19と接続していることから、板状セラミックス体2に接続した接触部材17により板状セラミックス体2の熱が必要以上に逃げることなく運転できるので、板状セラミックス体2を有効に短時間で均熱化しウェハWの温度を均一に加熱することができる。
【0058】
さらに、板状セラミックス体2を炭化珪素質焼結体又は窒化アルミニウム質焼結体により形成してあることから、ヤング率が200GPa以上と大きく熱を加えても変形が小さく、板厚を薄くできるため、所定の処理温度に加熱するまでの昇温時間及び所定の処理温度から室温付近に冷却するまでの冷却時間を短くすることができ、生産性を高めることができるとともに、板状セラミックス体2は60W/(m・K)以上の熱伝導率を有することから、薄い板厚でも抵抗発熱体5のジュール熱を素早く伝達し、載置面3の温度ばらつきを極めて小さくすることができる。
【0059】
板状セラミックス体2の厚みは、2〜5mmとすることが好ましい。板状セラミックス体2の厚みが2mmより薄いと、板状セラミックス体2の強度がなくなり抵抗発熱体5の発熱による加熱時、ガス噴射口24らの冷却エアーを吹き付けた際に、冷却時の熱応力に耐えきれず、板状セラミックス体2にクラックが発生する。また、板状セラミックス体2の厚みが5mmを越えると、板状セラミックス体2の熱容量が大きくなるので加熱および冷却時の温度が安定するまでの時間が長くなってしまい好ましくない。
【0060】
このように、板状セラミックス体2の熱容量を小さくすると、金属製のケース19からの熱引きにより板状セラミックス体2の温度分布が悪くなる。そこで、金属製のケース19が板状セラミックス体2をその外周部で保持する構造としている。
【0061】
また、抵抗発熱体5への給電方法については、金属製のケース19に設置した給電端子11を板状セラミックス体2の表面に形成した給電部6にバネ(不図示)で押圧することにより接続を確保し給電する。これは、2〜5mmの厚みの板状セラミックス体2に金属からなる端子部を埋設して形成すると、該端子部の熱容量により均熱性が悪くなるからである。そのため、本発明のように、給電端子11をバネで押圧して電気的接続を確保することにより、板状セラミックス体2とその金属製のケース19の間の温度差による熱応力を緩和し、高い信頼性で電気的導通を維持できる。さらに、接点が点接触となるのを防止するため、弾性のある導体を中間層として挿入しても構わない。この中間層は単に箔状のシートを挿入するだけでも効果がある。そして、給電端子11の給電部6側の径は、1.5〜5mmとすることが好ましい。
【0062】
また、板状セラミックス体2の温度は、板状セラミックス体2にその先端が埋め込まれた熱電対27により測定する。熱電対27としては、その応答性と保持の作業性の観点から、外径0.8mm以下のシース型の熱電対27を使用することが好ましい。この熱電対27の先端部は、板状セラミックス体2に孔が形成され、この中に設置された固定部材により孔の内壁面に押圧固定することが測温の信頼性を向上させるために好ましい。同様に素線の熱電対やPt等の測温抵抗体を埋設して測温を行うことも可能である。
【0063】
さらに、レジスト膜形成用のウェハ支持部材1として使用する場合は、板状セラミックス体2の主成分を炭化珪素にすると、大気中の水分等と反応してガスを発生させることもないため、ウェハW上へのレジスト膜の貼付に用いたとしても、レジスト膜の組織に悪影響を与えることがなく、微細な配線を高密度に形成することが可能である。この際、焼結助剤に水と反応してアンモニアやアミンを形成する可能性のある窒化物を含まないようにすることが必要である。
【0064】
なお、板状セラミックス体2を形成する炭化珪素質焼結体は、主成分の炭化珪素に対し、焼結助剤として硼素(B)と炭素(C)を添加したり、もしくはアルミナ(Al2O3)イットリア(Y2O3)のような金属酸化物を添加して十分混合し、平板状に加工したのち、1900〜2100℃で焼成することにより得られる。炭化珪素はα型を主体とするものあるいはβ型を主体とするもののいずれであっても構わない。
【0065】
また、板状セラミックス体2を形成する窒化アルミニウム質焼結体は、主成分の窒化アルミニウムに対し、焼結助剤としてY2O3やYb2O3等の希土類元素酸化物と必要に応じてCaO等のアルカリ土類金属酸化物を添加して十分混合し、平板状に加工した後、窒素ガス中1900〜2100℃で焼成することにより得られる。
【0066】
さらに、板状セラミックス体2の載置面3と反対側の主面は、ガラスや樹脂からなる絶縁層4との密着性を高める観点から、平面度20μm以下、面粗さを中心線平均粗さ(Ra)で0.1μm〜0.5μmに研磨しておくことが好ましい。
【0067】
一方、炭化珪素質焼結体を板状セラミックス体2として使用する場合、半導電性を有する板状セラミックス体2と抵抗発熱体5との間の絶縁を保つ絶縁層としては、ガラス又は樹脂を用いることが可能であり、ガラスを用いる場合、その厚みが100μm未満では耐電圧が1.5kVを下回り絶縁性が保てず、逆に厚みが400μmを越えると、板状セラミックス体2を形成する炭化珪素質焼結体や窒化アルミニウム質焼結体との熱膨張差が大きくなり過ぎるために、クラックが発生して絶縁層として機能しなくなる。その為、絶縁層としてガラスを用いる場合、絶縁層4の厚みは100〜400μmの範囲で形成することが好ましく、望ましくは200μm〜350μmの範囲とすることが良い。
【0068】
また、板状セラミックス体2を、窒化アルミニウムを主成分とする焼結体で形成する場合は、板状セラミックス体2に対する抵抗発熱体5の密着性を向上させるために、ガラスからなる絶縁層を形成する。ただし、抵抗発熱体5の中に十分なガラスを添加し、これにより十分な密着強度が得られる場合は、省略することが可能である。
【0069】
この絶縁層を形成するガラスの特性としては、結晶質又は非晶質のいずれでも良く、耐熱温度が200℃以上でかつ0℃〜200℃の温度域における熱膨張係数が板状セラミックス体2を構成するセラミックスの熱膨張係数に対し−5〜+5×10−7/℃の範囲にあるものを適宜選択して用いることが好ましい。即ち、熱膨張係数が前記範囲を外れたガラスを用いると、板状セラミックス体2を形成するセラミックスとの熱膨張差が大きくなりすぎるため、ガラスの焼付け後の冷却時においてクラックや剥離等の欠陥が生じ易いからである。
【0070】
なお、ガラスからなる絶縁層を板状セラミックス体2上に被着する手段としては、前記ガラスペーストを板状セラミックス体2の中心部に適量落とし、スピンコーティング法にて伸ばして均一に塗布するか、あるいはスクリーン印刷法、ディッピング法、スプレーコーティング法等にて均一に塗布したあと、ガラスペーストを600℃以上の温度で焼き付けすれば良い。また、絶縁層としてガラスを用いる場合、予め炭化珪素質焼結体又は窒化アルミニウム質焼結体からなる板状セラミックス体2を850〜1300℃程度の温度に加熱し、絶縁層を被着する表面を酸化処理しておくことで、ガラスからなる絶縁層との密着性を高めることができる。
【0071】
さらに、絶縁層上に被着する抵抗発熱体5材料としては、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)等の金属単体を、蒸着法やメッキ法にて直接被着するか、あるいは前記金属単体や酸化レニウム(Re2O3)、ランタンマンガネート(LaMnO3)等の導電性の金属酸化物や上記金属材料を樹脂ペーストやガラスペーストに分散させたペーストを用意し、所定のパターン形状にスクリーン印刷法等にて印刷したあと焼付けして、前記導電材を樹脂やガラスから成るマトリックスで結合すれば良い。マトリックスとしてガラスを用いる場合、結晶化ガラス、非晶質ガラスのいずれでも良いが、熱サイクルによる抵抗値の変化を抑えるために結晶化ガラスを用いることが好ましい。
【0072】
ただし、抵抗発熱体5材料に銀(Ag)又は銅(Cu)を用いる場合、マイグレーションが発生する恐れがあるため、このような場合には、抵抗発熱体5を覆うように絶縁層と同一の材質からなるコート層を40〜400μm程度の厚みで被覆しておけば良い。
【0073】
図1では、抵抗発熱体5に対し、給電部6において給電端子11をロウ付けや導電性接着剤で固定して導通を確保するようにしている。給電端子11は、抵抗発熱体5の端子部に弾性体で押圧し導通を確保しても構わない。
【0074】
また、これまで、抵抗発熱体5を板状セラミックス体2の表面に形成するタイプのウェハ支持部材1について説明してきたが、抵抗発熱体5は、板状セラミックス体2に内蔵されていても構わない。
【0075】
例えば主成分が窒化アルミニウムからなる板状セラミックス体2を用いる場合、まず、抵抗発熱体5の材料としては窒化アルミニウムと同時焼成できる材料という観点から、WもしくはWCを用いる。板状セラミックス体2は、窒化アルミニウムを主成分とし焼結助剤を適宜含有する原料を十分混合したのち円盤状に成形し、その表面にWもしくはWCからなるペーストを抵抗発熱体5のパターン形状にプリントし、その上に別の窒化アルミニウム成形体を重ねて密着した後、窒素ガス中1900〜2100℃の温度で焼成することにより得ることが出来る。
【0076】
また、抵抗発熱体5からの導通は、窒化アルミニウム質基材にスルーホールを形成し、WもしくはWCからなるペーストを埋め込んだ後焼成するようにして表面に電極を引き出すようにすれば良い。また、給電部6は、ウェハWの加熱温度が高い場合、Au、Ag等の貴金属を主成分とするペーストを前記スルーホールの上に塗布し900〜1000℃で焼き付けることにより、内部の抵抗発熱体5の酸化を防止することができる。
【0077】
【実施例】
(実施例 1)
以下、本発明の実施例を示す。
【0078】
熱伝導率が80W/(m・K)の炭化珪素質焼結体に研削加工を施し、板厚4mm、外径330mmの円板状をしたセラミックス板を複数枚製作し、各セラミックス板の一方の主面に絶縁層7を被着するため、ガラス粉末に対してバインダーとしてエチルセルロースと有機溶剤としてテルピネオールを混練して作製したガラスペーストをスクリーン印刷法にて敷設し、150℃にて加熱して有機溶剤を乾燥させたあと、550℃で30分間脱脂処理を施し、さらに700〜900℃の温度で焼付けを行うことにより、ガラスからなる厚み200μmの絶縁層を形成した。次いで絶縁層上に抵抗発熱体5を被着するため、導電材としてAu粉末とPt粉末を添加したガラスペーストを、スクリーン印刷法にて所定のパターン形状に印刷したあと、150℃に加熱して有機溶剤を乾燥させ、さらに550℃で30分間脱脂処理を施したあと、700〜900℃の温度で焼付けを行うことにより、厚みが50μmの抵抗発熱体5を形成した。抵抗発熱体5は円形の中心部と外周部を周方向に4分割した5つのパターン構成とした。しかるのち抵抗発熱体5にAuを含有する給電部6を導電性接着剤を用いて固着させることにより、ウェハ加熱部100を製作した。
【0079】
また、金属ケースは主面の30%に開口部を形成した厚み2.5mmのSUS304からなる板状支持部21と側壁をなす筒状部22を準備し、熱電対10、及び10本の給電端子11を所定の位置に形成した。
【0080】
その後、ケース19に締結した支柱部7の上に、筒状部22の上部を載せ、接触部材17を載せウェハ加熱部100を重ね弾性体18を介して固定することにより図2に示した本発明のウェハ支持部材1とした(表1中のNo.1)。
【0081】
また、図1に示すように、ケース19の板状支持部21は30%に開口部を形成した厚み2.5mmのSUS304からなり、炭化珪素製の板状セラミック体2に抵抗発熱体5を備えたウェハ加熱部100の周辺をボルト16を貫通し筒状部22の上部と支柱部7の上部を接触部材17を挟み8ヶ所でネジで固定し、支柱部7の下部を弾性体18を介して板状支持部21に弾性的に結合したウェハ支持部材1を本発明の試料No.2とした。
【0082】
また、図6に示すように、炭化珪素製の前記ウェハ加熱部100を支ケース19に8ヶ所でネジ締めしたウェハ支持部材51を比較用として試料No.3とした。
【0083】
そして、このようにして得られた3種類のウェハ支持部材1、51の給電端子11、57に通電して200℃に30分保持した。そして、載置面3、53の上に載せたウェハ表面の温度分布を中心とウェハ半径の1/2の周上の6分割点6点の合計7点の温度バラツキを測定し保持温度バラツキとした。その後、通電状態を変えず上記ウェハを取り除き、20分後に室温のウェハWを載せてウェハWが200±0.3℃に保持されるまでの時間を応答時間とした。また、30℃から200℃に5分で昇温し5分間保持した後、30分間冷却する温度サイクルを1000サイクル繰り返した後、室温から200℃に設定し10分後のウェハ温度の最大値と最小値の差をウェハWの温度差として測定した。
【0084】
ウェハ面の温度上昇時の応答時間が60秒以内であるものはレジスト膜の形成が均一であり優れていた。応答時間が60秒を越えるとレジスト膜形成が不均一であることが分った。また、温度キープ時の保持温度バラツキについては1℃以内をレジスト膜の形成が均一であり、これを越えるものは、レジスト膜形成が不均一であった。
【0085】
それぞれの結果は表1に示す通りである。
【0086】
【表1】
【0087】
表1からわかるように、ウェハ加熱部をケース61に弾性体を介してネジ締めした試料No.3は、ウェハ面内の昇温時の応答時間が68秒と大きくなる。また、200℃キープ時の温度バラツキも1℃を越え好ましくない。これに対し、ウェハ加熱部100と板状支持部21が弾性的に結合した試料No.1,2は、ウェハW面内の昇温時の応答時間は45秒以下と優れ、ウェハの温度差も0.45℃以下と優れていた。
【0088】
(実施例 2)
まず、窒化アルミニウム粉末に対し、重量換算で1.0質量%の酸化イットリウムを添加し、さらにイソプロピルアルコールとウレタンボールを用いてボールミルにより48時間混練することにより窒化アルミニウムのスラリーを製作した。
【0089】
次に、窒化アルミニウムのスラリーを200メッシュに通し、ウレタンボールやボールミル壁の屑を取り除いた後、防爆乾燥機にて120℃で24時間乾燥した。
【0090】
次いで、得られた窒化アルミニウム粉末にアクリル系のバインダーと溶媒を混合して窒化アルミニムのスリップを作製し、ドクターブレード法にて窒化アルミニムのグリーンシートを複数枚製作した。
【0091】
そして、得られた窒化アルミニムのグリーンシートを複数枚積層熱圧着にて積層体を形成した。
【0092】
しかる後、積層体を非酸化性ガス気流中にて500℃の温度で5時間脱脂を施した後、非酸化性雰囲気にて1900℃の温度で5時間の焼成を行い各種の熱伝導率を有する板状セラミックス体を製作した。
【0093】
そして、窒化アルミニウム焼結体に研削加工を施し、板厚3mm、外径330mmの円盤状をした板状セラミックス体2を複数製作し、更に中心から60mmの同心円上に均等に3箇所貫通孔を形成した。貫通口径は、4mmとした。
【0094】
次いで板状セラミックス体2の上に抵抗発熱体5を被着するため、導電材としてAu粉末とPd粉末と、前記同様の組成からなるバインダーを添加したガラスペーストを混練して作製した導電体ペーストをスクリーン印刷法にて所定のパターン形状に印刷したあと、150℃に加熱して有機溶剤を乾燥させ、さらに550℃で30分間脱脂処理を施したあと、700〜900℃の温度で焼き付けを行うことにより、厚みが50μmの抵抗発熱体5を形成した。抵抗発熱体5は直径方向に4分割しパターン配置は、中心部から1パターン、2パターン、4パターン、8パターンの計15パターン構成とした。しかるのち抵抗発熱体5に給電部6を導電性接着剤にて固着させることにより、板状セラミックス体2を製作した。
【0095】
また、金属製のケース19は、直径330mmで底面21を構成する厚み2.0mmのアルミニウムと筒状部22を構成する厚み1.0mmのアルミニウムからなり、底面21に、ガス噴射口12、熱電対13、導通端子11を所定の位置に取り付けた。また、底面21から板状セラミックス体2までの距離は20mmとした。その後、前記金属製のケース19の開口部に、板状セラミックス体2を重ね、その外周部にボルト16を貫通させ、板状セラミックス体2と金属製のケース19が直接当たらないように、リング状の接触部材17を介在させ、接触部材17側より弾性体18を介在させてナット20を螺着し弾性的に固定することによりウェハ支持部材1とした。接触部材17の断面は台形状で、板状セラミックス体の周辺部を支持するリング状とした。台形状の断面の大きさは、下辺が4mmで高さ2mmとし上辺は0.05〜4mmと、下辺が15mmで高さ2mmで上辺を5〜15mmとした接触部材をそれぞれのウェハ支持部材に取り付けた。また、接触部材の材質はSUS304、炭素鋼を用いた。作製した各種のウェハ支持部材を試料No.21〜29とした。
【0096】
評価は、測温抵抗体が29箇所に埋設された測温用ウェハを用いて行った。夫々のウェハ支持部材に電源を取り付け25℃から200℃まで5分間でウェハWを昇温し、ウェハWの温度を200℃に設定してからウェハWの平均温度が200℃±0.3℃の範囲で一定となるまでの時間を応答時間として測定した。また、30℃から200℃に5分で昇温し5分間保持した後、30分間冷却する温度サイクルを1000サイクル繰り返した後、室温から200℃に設定し10分後のウェハ温度の最大値と最小値の差をウェハWの温度差として測定した。
【0097】
それぞれの結果は表1に示す通りである。
【0098】
【表2】
【0099】
表1から判るように、試料No.21は、接触部材と板状セラミックス体との接触部の巾が0.05mmと小さく応答時間やウェハの温度差は小さかったが、使用中に接触部材のエッジからと思われるパーティクルが発生し使用できなかった。また、試料No.29は接触部材の接触部の巾が15mmと大きくウェハの温度差が0.8℃とやや大きかった。
【0100】
これらに対し、試料No.22〜28は接触部材と板状セラミックス体との接触部の巾が0.1〜13mmの範囲にあり、ウェハの温度差は0.46℃以下であり、応答時間も45秒以下と小さく好ましい特性を示した。
【0101】
従って、接触部材を板状セラミックス体に垂直な面で切断した断面において、板状セラミックス体と接触する接触部の巾は0.1〜13mmであることが好ましいことが判明した。
【0102】
(実施例 3)
実施例1と同様の工程で酸化イットリウムの添加量を0.1〜5質量%の範囲で変化させて板状セラミックス体を作製した。また、SUS304、SUS403、Fe−Ni−Co合金(コバール)、炭素鋼、アルミニウムを用いて板状セラミックス体と接触する接触部の巾が2mmの接触部材を作製した。そして、板状セラミックス体2の熱伝導率と接触部材の熱伝導率の比が1〜128%となるように板状セラミックス体と接触部材を組み合わせ板状セラミックス体に上記接触部材を介してアルミニウム製の金属製のケースを取り付けウェハ支持部材を作製した。
【0103】
尚、試料No.31〜38は金属製の接触部材を用い、金属製のケースは直径330mmで側壁部の板厚が1.0mm、底面の板厚が2.0mmとし、深さは30mmとした。また、試料No.39、40は樹脂製の接触部材でヤング率が1GPaを下回ることから台形状の接触部材の変形が大きく応答時間は46秒以上とやや大きかった。図2に示すように板状セラミックス体の外周部を覆う構造とし、金属製のケースは直径340mmで筒状部の厚み0.5mm、底面の厚み2.0mmとし、深さは30mmとした。
【0104】
そして、実施例1と同様に評価した。
【0105】
その結果を表3に示す。
【0106】
【表3】
【0107】
接触部材としてSUS304、Fe−Ni−Co合金、SUS403、炭素鋼を用い、熱伝導率の異なる窒化アルミニウムと組み合わせ、接触部材の熱伝導率が板状セラミックス体の熱伝導率より小さい試料No.31〜37のウェハ接触部材は応答時間が38秒以内でしかもウェハの温度差も0.45℃以下と優れていることが分った。
【0108】
しかし、試料No.38は接触部材の熱伝導率が板状セラミックス体より大きく、応答時間が55秒とやや大きく、しかもウェハの温度差も0,73℃とやや大きかった。
【0109】
また、試料No.39や40のように接触部材を樹脂で作製したウェハ支持部材は応答時間はそれぞれ46秒、47秒と小さいが、ウェハの温度差が0.76℃、0.83℃とやや大きかった。樹脂製の接触部材は温度の繰り返しサイクルで変形するためウェハの温度差が大きくなると考えられる。
【0110】
従って、接触部材の熱伝導率は板状セラミックス体の熱伝導率より小さいウェハ支持部材は応答特性やウェハの温度差が小さく優れた特性を示すことが分った。
【0111】
(実施例 4)
実施例2と同様の方法でヤング率300GPaの窒化アルミニウム製の板状セラミックス体を作製した。また、SUS304、SUS403、Fe−Ni−Co合金(コバール)、炭素鋼、アルミニウム、錫、錫鉛合金を用いて板状セラミックス体と接触する接触部材の接触部の巾が0.1mmでヤング率の異なる接触部材を作製した。そして、板状セラミックス体に上記接触部材を介して実施例3と同様にアルミニウム製の金属製のケースを取り付けウェハ支持部材を作製した。
【0112】
そして、実施例2と同様に評価した。
【0113】
その結果を表4に示す。
【0114】
【表4】
【0115】
ヤング率が1GPa以上の接触部材からなる試料No.41〜47のウェハ支持部材は、応答時間が33秒以下と小さく、しかもウェハの温度差も0.42℃以下小さく好ましい特性を示すことが分った。
【0116】
しかし、試料No.48のフッ素樹脂や繊維入り樹脂からなるウェハ支持部材は応答時間が60秒と大きく、しかもウェハの温度差が0.56℃とやや大きかった。
【0117】
従って、接触部材のヤング率は1GPa以上で板状セラミックス体より小さいウェハ支持部材が好ましいことが判明した。
【0118】
(実施例 5)
実施例2と同様に板状セラミックス体を作製した。また、接触部材として炭素鋼で断面が台形のウェハ支持部材と、炭素鋼製の接触部材で断面が円形の接触部材を作製し、板状セラミックス体に上記接触部材を介してアルミニウム製の金属製のケースを取り付けウェハ支持部材を作製した。
【0119】
そして、実施例2と同様に評価した。その結果を表5に示す。
【0120】
【表5】
【0121】
試料No.51、52の接触部材が台形のウェハ支持部材は応答時間が33秒で、ウェハの温度差が0.4℃であったが、図4に示す構造の試料No.53,54のように接触部材の断面が円形であるものは応答時間が19秒、18秒と小さく、ウェハの温度差も0.15℃、0.13℃と小さく好ましいことが分った。
【0122】
特に、試料No.54のように接触部材の断面が円形で断面の直径が1mm以下のウェハ支持部材は応答時間が18秒で且つウェハの温度差が0.13℃と極めて優れた特性を示すことが分った。
【0123】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、板状セラミックス体の一方の主面に抵抗発熱体を備え、他方の主面にウェハ加熱面を備えたウェハ加熱部と、前記抵抗発熱体に電力を供給する給電端子と、該給電端子を囲むように板状セラミックス体と接続したケースと、前記板状セラミック体の周辺部をリング状に接触して前記ケースと接続する接触部材とを備え、前記ケースは支柱部と筒状部と板状支持部とからなり、前記板状セラミックス体と板状支持部とは支柱部を介して弾性的に結合することによって、ウェハの温度差の小さなしかも応答時間が小さく良好なウェハ支持部材が得られる。
【0124】
また、前記板状セラミックス体と前記筒状部の上部が前記接触部材を介して支柱に弾性的に結合し、前記筒状部の下部が前記板状支持部と離間したり、前記板状セラミックス体と前記筒状部の上部が前記接触部材を介して結合し、前記筒状部の下部が前記板状支持部と弾性的に結合したりすることで、更に均熱性に優れたウェハ支持部材を得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のウェハ支持部材を示す断面図である。
【図2】本発明の他のウェハ支持部材を示す断面図である。
【図3】本発明のウェハ支持部材の接触部材周辺を示す断面図である。
【図4】本発明のウェハ支持部材の接触部材周辺を示す断面図である。
【図5】従来のウェハ支持部材を示す断面図である。
【図6】従来のウェハ支持部材を示す断面図である。
【図7】従来のウェハ支持部材を示す断面図である。
【符号の説明】
1、71:ウェハ支持部材
2、72:板状セラミックス体
3、73:載置面
5、75:抵抗発熱体
6:給電部
7、支柱部
8:支持ピン
11、77:給電端子
12:ガイド部材
16:ボルト
17:接触部材
18:弾性体
20:ナット
21:底面(筒状支持部)
22:筒状部
23:孔
24:ガス噴射口
25:ウェハリフトピン
26:貫通孔
27:熱電対
28:ガイド部材
19、79:金属製のケース
W:半導体ウェハ
Claims (5)
- 板状セラミックス体の一方の主面に抵抗発熱体を備え、他方の主面をウェハ加熱面としたウェハ加熱部と、前記抵抗発熱体に電力を供給する給電端子と、該給電端子を囲むように板状セラミックス体と接続した金属製のケースと、前記板状セラミック体の周辺部と前記ケースとの間に介在する、ヤング率が1GPa以上で前記板状セラミックス体のヤング率より小さい接触部材とを備え、前記ケースは支柱部と筒状部と板状支持部とからなり、前記接触部材の熱伝導率が前記板状セラミックス体の熱伝導率より小さく、前記板状セラミックス体と前記筒状部の上部が前記接触部材を介して前記支柱部に弾性的に結合し、前記筒状部の下部が前記板状支持部と離間していることを特徴とするウェハ支持部材。
- 板状セラミックス体の一方の主面に抵抗発熱体を備え、他方の主面をウェハ加熱面としたウェハ加熱部と、前記抵抗発熱体に電力を供給する給電端子と、該給電端子を囲むように板状セラミックス体と接続した金属製のケースと、前記板状セラミック体の周辺部と前記ケースとの間に介在する、ヤング率が1GPa以上で前記板状セラミックス体のヤング率より小さい接触部材とを備え、前記ケースは支柱部と筒状部と板状支持部とからなり、前記接触部材の熱伝導率が前記板状セラミックス体の熱伝導率より小さく、前記板状セラミックス体と前記筒状部の上部と前記支柱部の上部とが前記接触部材を介して結合し、前記支柱部の下部が前記板状支持部と弾性的に結合していることを特徴とするウェハ支持部材。
- 前記接触部材が前記板状セラミックス体と接する巾が0.1〜13mmであることを特徴とする請求項1または2に記載のウェハ支持部材。
- 前記接触部材の断面が円形状であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のウェハ支持部材。
- 前記接触部材の直径が1mm以下であることを特徴とする請求項4に記載のウェハ支持部材。
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