以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1(a)は本発明に係るウェハ支持部材1の1例を示す断面図で、炭化珪素または窒化アルミニウムを主成分とするセラミックスからなる板状体2の一方の主面あるいは内部に複数の抵抗発熱体5を形成し、他方の主面をウェハWを載せる載置面3とするとともに、上記抵抗発熱体5に電気的に接続する給電部6を具備したヒータ部7からなり、給電部6に給電端子11が接続している。これらの給電部6を囲む金属製のケース19が断熱性の断熱部材17を介して板状体2の他方の主面の周辺部に固定されている。
また、ウェハリフトピン25は板状体2を貫通する孔26を通してウェハWを上下に移動させウェハWを載置面3に載せたり降ろしたりすることができる。そして、給電部6に給電端子11が接続し外部から電力が供給され、測温素子27で板状体2の温度を測定しながらウェハWを加熱することができる。
尚、抵抗発熱体5を複数の抵抗発熱体5a、5b、・・に分割する場合、それぞれの抵抗発熱体5a、5b・・の温度を独立に制御することにより、各給電部6の給電端子11に電力を供給し、各測温素子27の温度が各設定値となるように給電端子11に加える電力を調整し、載置面3に載せたウェハWの表面温度が均一となるようにしている。
抵抗発熱体5には、金や銀、パラジウム、白金等の材質からなる給電部6が形成され、該給電部6に給電端子11を接触させることにより、導通が確保されている。給電端子11と給電部6とは、導通が確保できる方法で有れば、はんだ付け、ロウ付け等の手法を用いてもよい。
ウェハWの載置面3に対応して円板状のウェハWの表面を均一に加熱するにはウェハW周辺の雰囲気やウェハWに対抗する壁面やガスの流れの影響を受けるが、円板状のウェハWの表面温度をばらつかせないために、ウェハWの周囲や上面の対抗面や雰囲気ガスの流れはウェハWに対し中心対称となるように設計されている。ウェハWを均一に加熱するにはウェハWに対し中心対称な上記環境に合わせたウェハ支持部材1が必要で、載置面3を中心対称に分割し抵抗発熱体ゾーン4を形成することが好ましい。
本発明のウェハ支持部材1は、図1(a)、(b)にその一例を示すように、板状体2の一方の主面または内部に抵抗発熱体5を備え、他方の主面にウェハを載せる載置面3を備えたウェハ支持部材1であって、抵抗発熱体5に電力を供給する給電端子6を囲むケース19と、該ケース19と上記板状体の周辺部との間に断熱部材17とを備えるとともに、該断熱部材17は板状体2の周辺の端面を離間して筒状に覆い、且つ上記板状体2の一方の主面の周辺と上記ケース19の開口部を接続していることを特徴とする。
板状体2の載置面3に隣接した周辺の端面2aからの放熱を防ぐには周辺の端面2aを断熱部材17で覆うことが必要であるが、周辺の端面2aから断熱部材17へ面接触して熱が伝わることが無いように周辺の端面2aと断熱部材17が接触しないことが重要である。このように配置することで周辺の端面2aから断熱部材17への熱の伝達量が小さくなり載置面3の周辺の温度低下を防止できることからウェハWの周辺の温度低下を防止することができる。
更に、周辺の端面2aと断熱部材17との隙間G1は0.2〜3mmであることが好ましい。この隙間が0.2mmを下回ると周辺の端面2aと断熱部材17の間隔が小さ過ぎることから周辺の端面2aから断熱部材17へ熱が逃げてウェハWの周辺の温度が低下する虞があった。また、隙間が3mmを超えると隙間が大きくなり過ぎて隙間に対流が発生し熱が逃げる虞があった。更に好ましくは隙間は0.3〜1.5mmである。
尚、板状体2の周辺で略3等分に位置する部分で隙間G1を工具顕微鏡や隙間ゲージで測定しその平均値を上記の隙間として求める事ができる。
また、板状体2の一方の主面の周辺のC面の大きさCiが他方の主面の周辺のC面の大きさCtより大きいことが好ましい。このようにC面を形成すると、載置面3側のC面が小さいことから隙間に異物等が挟まることが無く好ましい。また、板状体2の一方の主面の周辺のC面の大きさCiが大きいと断熱部材17との間隔を大きくすることができて断熱効果が大きくなり好ましい。より具体的には載置面3側のC面の各成分の大きさC1、C2、C3は0.2〜0.6mmであり、他方の主面のC面の大きさC4は0.5〜1mmであることが好ましい。更にこのようなC面は板状体2の端面2aの熱応力を緩和する効果が大きく、端面から破壊する虞が少なく好ましい。また、C3はC1やC2と同等の大きさが好ましい。
上記の隙間を保持するように板状体2を断熱部材17に接続するには板状体2の周辺に貫通孔2bを設け、この貫通孔2bに通した固定部材9で断熱部材17と板状体2の間隔を一定に保持することができる。そして、周辺凸部40は固定部材9で接続していることが好ましい。
また、固定部材9で板状体2の横ずれを防止しても、板状体2が上下にずれる虞があるので、図2に示すように板状体2が上記断熱部材から出る押え金具29で押圧されていることが好ましい。また、押え金具29から熱がケース19に流れることを防止するために押え金具29の突起部29aで点押しすることが好ましい。また、押え金具29の数は3〜5箇所が好ましい。
また、本発明のウェハ支持部材1は板状体2の他方の主面より断熱部材17の上面の高さが大きいことを特徴とする。断面部材17の上面で押え金具29を取り付ける面が板状体2の他方の主面より高い位置にあると押え金具29を取り付けても押え金具29の本体と上記の他方の主面が面接触する虞がなく板状体2の熱を抑え押え金具29に多量に伝える虞が少ないことから、板状体2の温度が低下する虞が少なく好ましい。そして、押え金具29には突起部29aで板状体2を押え板状体2を断熱部材17に固定することができる。板状体2の他方の主面より押え金具29取り付け面は0.1〜0.5mm高いことが好ましい。より好ましくは0.2〜0.4mmである。0.1mmより小さいと押え金具29を伝わり板状体2の熱が伝わりやすくなりウェハWの面内温度差が大きくなる虞があった。また、0.5mmを超えると押え金具29に設けた突起部29aが大きくなり押え金具29も大きくなり熱容量が大きくなりウェハWの過渡時の面内温度差が大きくなる虞があった。
また、載置面3に対しウェハWを所定の位置に載せることが必要であり、載置面3に対しウェハWをガイドする役目の周辺凸部40があることが好ましい。周辺凸部40がないとウェハWが横ずれしてウェハWを均一に加熱することができない虞があった。
そして、板状体2の周辺に貫通孔2bを備え、該貫通孔2bを通して周辺凸部40が取り付けられていることが好ましい。例えば貫通孔2bを通した固定部材9で周辺凸部40を取り付けることで周辺凸部40を簡単に板状体2の周辺に取り付ける事ができるからである。板状体2の横ずれを防止する固定部材9で周辺凸部40を取り付けることができることから構造が簡略化され載置面3の温度差をより小さくできることから好ましい。
また、周辺凸部40が板状体2の半径方向または垂直方向の少なくとも一方向に移動可能となるように保持されていることが好ましい。周辺凸部40の固定穴12と固定部材9との間に隙間を備えることで、孤立した周辺凸部40への熱の流出を防ぎ、過渡時のウェハW面内の温度差の増大を防ぐ効果があるからである。周辺凸部40そのものに熱容量があり、載置面3の上のウェハWを加熱する際に、熱が周辺凸部40から固定部材9を介してケース19に流れウェハWの面内温度差が大きくなる虞があり、周辺凸部40から固定部材9に流れる熱を少なくする必要があるからである。載置面3の上に在る周辺凸部40を固定する固定孔12と固定部材9の間に隙間があると、周辺凸部40から固定部材9への熱が伝わり難くなり、固定部材9を介してケース19や接続部材17に流れる熱が少なくなり、周辺凸部40の周辺の温度低下を防ぐ事ができることから好ましい。上記隙間の大きさとしては貫通孔の直径と固定部材9の外径の差で0.2〜1mmあると断熱効果が優れ好ましい。更に好ましくは0.3〜0.8mmである。このように接続すると固定部材9と周辺凸部40との接触面積も小さくなり周辺凸部40を介して熱が逃げる虞が小さくなり好ましい。そして、このように配設することで、載置面3の温度分布を均一に保つ事が可能となり、温度変更時の過渡時のウェハW面内の温度差を小さくできる。
また、ウェハWは不図示のアームから移送され板状体2の載置面3に突出したウェハリフトピン25の上に載せられる。そしてウェハリフトピン25が降下し周辺凸部40にガイドされながら載置面3上の内側凸部8にウェハWは載せられる。ウェハWの面内温度差を小さくするには、抵抗発熱体5を備えた板状体2の中心位置に合わせ、板状体2に対して正確な位置にウェハWを載せることが重要であり、周辺凸部40をウェハガイドとして、ウェハWの周囲が周辺凸部40と接触しながらガイドされて内側凸部8で支えられることが好ましい。
また、本発明のウェハ支持部材1は、ヒータ部7とケース19で囲まれた内面に冷却ガスを流通させるために、ケース19にヒータ部7を冷却するノズル24と開口部23を備え、上記周辺凸部40を固定する固定部材9が上記板状体2を貫通し断熱部材17と接続固定することが好ましい。ノズル24から噴射された冷却ガスを排出する開口23をケース19に備える事で、冷却媒体によりヒータ部7を効率良く冷却することができるとともにウェハ支持部材1の冷却スピードが大きくなり好ましい。
また、図6に示すように、上記抵抗発熱体5の外接円Cの直径Dが上記板状体2の直径DPの91〜95%であることが好ましい。抵抗発熱体5の外接円Cの直径Dが板状体2の直径DPの91%より小さいと、ウェハを急速に昇温したり急速に降温させたりする時間が大きくなりウェハWの温度応答特性が劣る虞がある。
また、ウェハWの周辺部の温度を下げないようウェハWの表面温度を均一に加熱するには、直径DはウェハWの直径の1.00〜1.07倍程度が好ましいことから、ウェハWの大きさに対して板状体2の直径DPが大きくなり、均一に加熱できるウェハWの大きさが板状体2の直径DPに比較して小さくなり、ウェハWを加熱する投入電力に対しウェハWを加熱する加熱効率が悪くなる。更に、板状体2が大きくなることからウェハ製造装置の設置面積が大きくなり、最小の設置面積で最大の生産を行う必要がある半導体製造装置の設置面積に対する稼働率を低下させ好ましくない。
抵抗発熱体5の外接円Cの直径Dが板状体2の直径DPの95%より大きいと断熱部材17と抵抗発熱体5の外周との間隔が小さく抵抗発熱体5の外周部から熱が断熱部材17に不均一に流れ、特に、外周部の外接円Cに接する円弧状パターン51が存在しない部分からも熱が流れ、外周部の円弧状パターン51が板状体2の中心部へ曲がっていることから抵抗発熱体5を囲む外接円Cに沿って円弧状パターン51が欠落する部分Pの温度が低下しウェハWの面内温度差を大きくする虞がある。より好ましくは、抵抗発熱体5の外接円Cの直径Dが板状体2の直径DPの92〜94%である。
次に本発明のウェハ支持部材1のその他の構成に付いて説明する。
図4(a)(b)(c)(d)は周辺凸部40を示す拡大断面図である。図4(a)は円錐台形状の周辺凸部40を示し。図4(b)は円柱の上に円錐台を形成した形状の周辺凸部40を示す。図4(c)は周辺が湾曲面からなる周辺凸部40を示す。図4(d)は円柱形状の周辺凸部40を示す。
図4に示す様に、周辺凸部40の載置面3に平行な外形を示す断面が円形であることを特徴とする。この様な形状とすることで、周辺凸部40を小さくすることができて、ヒータ部7の周辺の温度を低下させる虞がなく、また、取り付けも容易となり好ましい。
そして、周辺凸部40は柱状で頂部の直径が小さく、底面の直径が大きいことが好ましい。この様に頂部の径が小さいとウェハWがずれて載置面3に置かれようとしてもウェハWの位置を周辺凸部40の内面に沿ってウェハWの位置をガイドしながら内側凸部8に対し正確な位置に載せることができる。
また、周辺凸部40の外周面の平均表面粗さRaは3より小さいことが好ましい。表面粗さRaが3.0を超えるとウェハWの周辺の端面と接触してウェハW位置を矯正する際にウェハWと接触しウェハWを磨耗させる可能性があり、パーティクルを発生しウェハWの歩留まりを低下させる虞があり好ましくない。また、平均表面粗さRaが0.01を下回ると、周辺凸部40の表面加工が困難である。
また、周辺凸部40がウェハWの横ズレを防ぐには周辺凸部40が同一円周上に少なくとも3個必要であり、周辺凸部40と接触する内接円の直径はウェハWの直径より1.001〜1.03倍の大きさであることが好ましい。より好ましくは1.001〜1.02倍である。このように配設することにより載置面3上の正確な位置にウェハWを載せることができることから抵抗発熱体5を備えた板状体2からの熱を均一に受けることが可能となりウェハWの表面温度差を小さくすることができる。より具体的には、直径200mmのシリコンウェハでは周辺凸部40の内接円の直径は200.2〜206mmであり、直径300mmのウェハW用では、上記内接円の直径は300.3〜309mmであることが好ましい。更に好ましくは200.2〜104mmであり、300.3〜306mmである。
周辺凸部40は円形のセラミック部材からなり、該セラミック部材の熱容量が上記周辺凸部40と上記板状体2が接触する面と同じ大きさの上面を有し厚みが板状体2と同じ大きさで、上記板状体2と同材質からなる円柱の熱容量の3倍より小さいことが好ましい。周辺凸部40は板状体2の周辺の上面に載せられているが、ウェハWの表面を均一に加熱するには板状体2の載置面3の温度分布が重要であり、載置面3の周辺に周辺凸部40があると周辺凸部40の熱容量に対応して板状体2から熱が周辺凸部40に移動したり、周辺凸部40から板状体2に移動したりする。この熱の移動により周辺凸部40の周囲の板状体2の温度が高くなったり、低くなったりすることが判明した。そして、主に周辺凸部40と板状体2の接触面40a、3aを介して熱が移動する。ウェハWの定常時の面内温度差を0.5℃以下としたり、過渡時の面内温度差を小さくしたりするにはこの周辺凸部40の熱容量が小さいことが好ましく、接触面3aを上面とする板状体2の筒状部2aの熱容量の3倍より小さいと熱の流れが小さくなり、ウェハWの面内温度差が大きくなる虞が小さいことがわかった。
また、周辺凸部40の直径は5〜15mmが好ましく、更に好ましくは7〜11mmである。そして、高さは3〜14mmが好ましい。そして、図4の(a)(b)(c)の様に外周面にテーパが備わっていると好ましいが、図4(d)のように外周が円柱状でも良い。そしてこれらの周辺凸部40はその内側に空間4bが形成されていることが好ましい。このような空間を形成することで周辺凸部40の熱容量を低減させることができるからである。更に、周辺凸部40の底面40aの平均表面粗さRaは0.1〜10で板状体2と接触面の平均表面粗さRaは同様に0.1〜10であると接触面からの熱伝導が小さくなりより好ましい。
更に、板状体2の周辺凸部40の熱伝導率は板状体2の熱伝導率の2倍以下の熱伝導率を有することが好ましい。周辺凸部40の熱伝導率が板状体2の熱伝導率の2倍を超えると周辺凸部40の温度が上昇し易くなりウェハWを加熱する際の過渡時のウェハW面内温度差が大きくなる虞がある。好ましくは、板状体2の熱伝導率より小さくすると、周辺凸部40の周辺の温度低下や上昇を小さくすることができて好ましい。
尚、ウェハWの表面温度差を小さくするには周辺凸部40の一部は板状体2の抵抗発熱体5を囲む外接円の内部にあることが好ましい。このような配置とすると抵抗発熱体5によりウェハWの表面積より広い範囲の載置面3を加熱することが可能となり、ウェハWの面内の温度差が小さくなり好ましい。
そして、載置面3とウェハWの間隔は内側凸部8でウェハWを支持して保たれるが、ウェハW面と載置面3の間隔をできるだけ均一にするためには、内側凸部8が載置面3に均等に配設されていることが好ましい。内側凸部8は載置面3の中心から周辺凸部40に内接する内接円の直径の0.5倍の範囲内に少なくとも1個、上記内接円の直径の0.5〜1倍の範囲内に少なくとも3個配置されているとウェハW表面の変形が小さく、むら無く支持することが可能となり、ウェハWの自重による変形や反りを防止することができることから、ウェハW面内の温度差が小さくなり好ましい。
また、ウェハWは内側凸部8を介して載置面3と一定の間隔で離間させることにより、載置面3と直接接触した場合の片あたりによるウェハW面内の温度バラツキの発生を防止できる。そして、載置面3上のガスを介してウェハWを加熱することによりウェハW面内の温度を均一に昇温させたり、ウェハW面内の温度を均一に保持したりすることができる。
ウェハWの表面温度差を小さくするには、ウェハWと載置面3の間のパーティクルの噛み込みを防止したり載置面3の微妙な変形によるウェハW面の温度変化を防止したりする点から、ウェハWと載置面3の間隔を決める内側凸部8の載置面からの突出高さは0.05〜0.5mmが適切であり、0.05mmを下回ると載置面3の温度がウェハWに急激に伝わりウェハW面内の温度差を大きくする。また、0.5mmを超えると載置面3からウェハWへ伝わる熱の伝わりが遅くなりウェハW面内の温度差を大きくする。更に好ましくは0.07〜0.2mmである。
また、図5(a)は本発明のウェハ支持部材1で、板状体2の一方の主面に抵抗発熱体5として複数の抵抗発熱体ゾーン4mを備え、中心部に円形の抵抗発熱体ゾーン4aと、その外側に同心円の2つの円環内に抵抗発熱体ゾーン4bcと抵抗発熱体ゾーン4dgとを備える各抵抗発熱体ゾーン4mの配置例を示す。
図5(b)は、本発明のウェハ支持部材1の中心部の円形の抵抗発熱体ゾーン4aと、その外側に円環4bcを2等分した扇状の2個の抵抗発熱体ゾーン4b、4cを備え、更にその外側の円環4dg内にそれぞれ対抗する位置で円環を円周方向に4等分した扇状の4個の抵抗発熱体ゾーン4d、4e、4f、4gからなるウェハ支持部材1であり、ウェハWの表面温度がより均一となり好ましい。
上記ウェハ支持部材1の各抵抗発熱体ゾーン4a〜4gは独立して発熱でき、各抵抗発熱体ゾーン4a〜4gに対応して抵抗発熱体5a〜5gを備えている。
尚、円環状の抵抗発熱体ゾーン4bc、4dgはそれぞれ放射方向に2分割、4分割したが、これに限るものではない。
図5(b)の抵発熱体ゾーン4b、4cの境界線は直線であるが、必ずしも直線である必要はなく、波線で有ってよい。抵抗発熱体ゾーン4b、4cが板状体2の中心に対して中心対称であることが好ましい。
同様に、抵抗発熱体ゾーンの4dと4e、4eと4f、4fと4g、4gと4dとのそれぞれの境界線も必ずしも直線である必要はなく、それぞれの抵抗発熱体4dから4gは、板状体2の中心に対し中心対称であることが好ましい。
上記の各抵抗発熱体5は、印刷法等で作製し、1〜5mmの巾で厚みが5〜50μmで形成することが好ましい。一度に印刷する印刷面が大きくなると、印刷面の左右や前後でスキージとスクリーンとの間の圧力の違いから印刷厚みが一定とならない虞が生じる。特に、抵抗発熱体5の大きさが大きくなると、抵抗発熱体5の左右前後の厚みが異なり設計した発熱量がバラツク虞があった。発熱量がバラツクとウェハWの面内温度差が大きくなり好ましくない。この抵抗発熱体5の厚みのバラツキから生じる温度バラツキを防ぐには、一つの抵抗発熱体の外径が小さくなるように、外径の大きな個々の抵抗発熱体5を分割することが有効である事が判明した。
そこで、ウェハW載置面3の中心部を除く同心円環状の抵抗発熱体ゾーンは左右に2分割し、更に大きな円環状の抵抗発熱体ゾーンは4分割することで抵抗発熱体ゾーン4mにある抵抗発熱体5の印刷する大きさを小さくすることができることから、抵抗発熱体5の各部の厚みを均一にすることができ、更にウェハWの前後左右の微妙な温度差を補正しウェハWの表面温度を均一にすることができる。
板厚が1〜7mmの板状体2の一方の主面側を、ウェハを載せる載置面3とするとともに、上記板状体2の下面に抵抗発熱体5を備えたウェハ支持部材1において、上記抵抗発熱体5の厚みが5〜50μmであるとともに、上記抵抗発熱体を囲む外接円Cの面積に対し、上記外接円Cに占める抵抗発熱体5の面積の比率が5〜50%であることが好ましい。
即ち、抵抗発熱体5を囲む外接円Cの面積に対し、外接円C内に占める抵抗発熱体5の面積の比率を5%未満とすると、抵抗発熱体5の相対向する対向領域において、対向領域の対向間隔S1が大きくなり過ぎることから、抵抗発熱体5のない間隔S1に対応した載置面3の表面温度が他の部分と比較して小さくなり、載置面3の温度を均一にすることが難しいからであり、逆に抵抗発熱体5を囲む外接円Cの面積に対し、外接円C内に占める抵抗発熱体5の面積の比率が50%を超えると、板状体2と抵抗発熱体5との間の熱膨張差を3.0×10−6/℃以下に近似させたとしても、両者の間に作用する熱応力が大きすぎることから、板状体2は変形し難いセラミック焼結体からなるものの、その板厚tが1mm〜4mmと薄いことから抵抗発熱体5を発熱させると、載置面3側が凹となるように板状体2に反りが発生し、その結果、ウェハWの中心部の温度が周縁よりも小さくなり、温度バラツキが大きくなる虞があるからである。
なお、好ましくは、抵抗発熱体5を囲む外接円Cの面積に対し、外接円C内に占める抵抗発熱体5の面積の比率を10%〜30%、さらには15%〜25%とすることが好ましい。
さらに、このような効果を効率良く発現させるには、抵抗発熱体5の膜厚を5〜50μmとすることが好ましい。
抵抗発熱体5の膜厚が5μmを下回ると、抵抗発熱体5をスクリーン印刷法で膜厚を均一に印刷することが困難となるからであり、また、抵抗発熱体5の厚みが50μmを超えると、外接円P1に対し、抵抗発熱体5の占める面積の比率を50%以下としても抵抗発熱体5の厚みが大きく、抵抗発熱体5の剛性が大きくなり、板状体2の温度変化により抵抗発熱体5の伸び縮みによる影響で板状体2が変形する虞がある。また、スクリーン印刷で均一の厚みに印刷することが難しくウェハWの表面の温度差が大きくなったりする虞があるからである。なお、好ましい抵抗発熱体5の厚みは10〜30μmとすることが良い。
本発明の抵抗発熱体5のパターン形状としては、図6に示したような折り返しパターン、あるいは図6や図7に示すような複数のゾーンに分割され、個々のゾーンが円弧状のパターンと直線状のパターンとからなる渦巻き状やジグザクな折り返し形状をしたもので、本願発明のウェハ支持部材1はウェハWを均一に加熱することが重要であることから、これらのパターン形状は帯状の抵抗発熱体5の各部の密度が均一なことが好ましい。図6に示すように板状体2の外周部に位置する上記抵抗発熱体5d、5e、5d、5fは板状体2の中心から遠い部位は同心円状をした円弧状パターン51とこれらと連続して繋がっている連結パターン52からなることが好ましい。ただし、図9に示すような、板状体22の中心から放射方向に見て、抵抗発熱体25の間隔が密な部分と粗な部分が交互に現れる抵抗発熱体パターンでは、粗な部分に対応するウェハWの表面温度は小さく、密な部分に対応するウェハWの温度は大きくなり、ウェハWの表面の全面を均一に加熱することはできないことから好ましくない。
また、抵抗発熱体5を複数のゾーンに分割する場合、それぞれのゾーンの温度を独立に制御することにより、載置面3上のウェハWを均一に加熱することが好ましい。
抵抗発熱体5は、導電性の金属粒子にガラスフリットや金属酸化物を含む電極ペーストを印刷法で板状体2に印刷、焼き付けしたもので、金属粒子としては、Au、Ag、Cu、Pd、Pt、Rhの少なくとも一種の金属を用いることが好ましく、またガラスフリットとしては、B、Si、Znを含む酸化物からなり、板状体2の熱膨張係数より小さな4.5×10−6/℃以下の低膨張ガラスを用いることが好ましく、さらに金属酸化物としては、酸化珪素、酸化ホウ素、アルミナ、チタニアから選ばれた少なくとも一種を用いることが好ましい。
ここで、抵抗発熱体5を形成する金属粒子として、Au、Ag、Cu、Pd、Pt、Rhの少なくとも一種の金属を用いるのは、電気抵抗が小さいからである。
抵抗発熱体5を形成するガラスフリットとして、B、Si、Znを含む酸化物からなり、抵抗発熱体5を構成する金属粒子の熱膨張係数が板状体2の熱膨張係数より大きいことから、抵抗発熱体5の熱膨張係数を板状体2の熱膨張係数に近づけるには、板状体2の熱膨張係数より小さな4.5×10−6/℃以下の低膨張ガラスを用いることが好ましいからである。
また、抵抗発熱体5を形成する金属酸化物としては、酸化珪素、酸化ホウ素、アルミナ、チタニアから選ばれた少なくとも一種を用いるのは、抵抗発熱体5の中の金属粒子と密着性が優れ、しかも熱膨張係数が板状体2の熱膨張係数と近く、板状体2との密着性も優れるからである。
ただし、抵抗発熱体5に対し、金属酸化物の含有量が80%を超えると、板状体2との密着力は増すものの、抵抗発熱体5の抵抗値が大きくなり好ましくない。その為、金属酸化物の含有量は60%以下とすることが良い。
そして、導電性の金属粒子とガラスフリットや金属酸化物からなる抵抗発熱体5は、板状体2との熱膨張差が3.0×10−6/℃以下であるものを用いることが好ましい。
即ち、抵抗発熱体5と板状体2との熱膨張差を0.1×10−6/℃とすることは製造上難しく、逆に抵抗発熱体5と板状体2との熱膨張差が3.0×10−6/℃を超えると、抵抗発熱体5を発熱させた時、板状体2との間に作用する熱応力によって、載置面3側が凹状に反る虞があるからである。
更に、抵抗発熱体5への給電方法については、有底の金属製のケース19に設置した給電端子11を板状体2の表面に形成した給電部6にバネ(不図示)で押圧することにより接続を確保し給電する。これは、1〜4mmの厚みの板状体2に金属からなる端子部を埋設して形成すると、該端子部の熱容量により均熱性が悪くなるからである。そのため、本発明のように、給電端子11をバネで押圧して電気的接続を確保することにより、板状体2とその有底の金属製のケース19の間の温度差による熱応力を緩和し、高い信頼性で電気的導通を維持できる。さらに、接点が点接触となるのを防止するため、弾性のある導体を中間層として挿入しても構わない。この中間層は単に箔状のシートを挿入するだけでも効果がある。そして、給電端子11の給電部6側の径は、1.5〜5mmとすることが好ましい。
また、板状体2の温度は、板状体2にその先端が埋め込まれた熱電対27により測定する。熱電対27としては、その応答性と保持の作業性の観点から、外径0.8mm以下のシース型の熱電対27を使用することが好ましい。この熱電対27の先端部は、板状体2に孔が形成され、この中に設置された固定部材により孔の内壁面に押圧固定することが測温の信頼性を向上させるために好ましい。同様に素線の熱電対やPt等の測温抵抗体を埋設して測温を行うことも可能である。
また、図1(a)では板状体2の他方の主面3に抵抗発熱体5のみを備えたウェハ支持部材1について示したが、本発明は、主面3と抵抗発熱体5との間に静電吸着用やプラズマ発生用としての電極を埋設したものであっても良いことは言うまでもない。
更に詳細な構成について説明する。
図1(a)は本発明に係るウェハ支持部材の一例を示す断面図で、板厚tが1〜4mm、100〜200℃のヤング率が200〜450MPaである板状体2の一方の主面を、ウェハWを載せる載置面3とするとともに、他方の主面に抵抗発熱体5を形成し、この抵抗発熱体5に電気的に接続する給電部6を備えたものである。
100〜200℃のヤング率が200〜450MPaである板状体2の材質としては、アルミナ、窒化珪素、サイアロン、窒化アルミニウムを用いることができ、この中でも特に窒化アルミニウムは50W/(m・K)以上、さらには100W/(m・K)以上の高い熱伝導率を有するとともに、フッ素系や塩素系等の腐食性ガスに対する耐蝕性や耐プレズマ性にも優れることから、板状体2の材質として好適である。
板状体2の厚みは、2〜4mmとすると更に好ましい。板状体2の厚みが2mmより薄いと、板状体2の強度がなくなり抵抗発熱体5の発熱による加熱時、ガス噴射口24らの冷却エアーを吹き付けた際に、冷却時の熱応力に耐えきれず、板状体2にクラックが発生する虞があるからである。また、板状体2の厚みが4mmを越えると、板状体2の熱容量が大きくなるので加熱および冷却時の温度が安定するまでの時間が長くなる虞がある。
板状体2は、有底の金属製のケース19開口部の外周に固定部材9を貫通させ、板状体2と有底の金属製のケース19が直接当たらないように、リング状の断熱部材17を介在させ、有底の金属製のケース19側より弾性体18を介在させてナット20を螺着することにより弾性的に固定している。これにより、板状体2の温度が変動した場合に有底の金属製のケース19が変形しても、上記弾性体18によってこれを吸収し、これにより板状体2の反りを抑制し、ウェハ表面に、板状体2の反りに起因する温度ばらつきが発生することを防止できるようになる。
リング状の断熱部材17の断面は多角形や円形の何れでも良いが、板状体2と断熱部材17が平面で接触する場合において、板状体2と断熱部材17の接する接触部の巾は0.1mm〜13mmであれば、板状体2の熱が断熱部材17を介して有底の金属製のケース19に流れ量を小さくすることができる。そして、ウェハWの面内の温度差が小さくウェハWを均一に加熱することができる。更に好ましくは0.1〜8mmである。断熱部材17の接触部の巾が0.1mm以下では、板状体2と接触固定した際に接触部が変形し、断熱部材が破損する虞がある。また、断熱部材17の接触部の巾が13mmを超えると、板状体2の熱が断熱部材に流れ、板状体2の周辺部の温度が低下しウェハWを均一に加熱することが難しくなる。好ましくは断熱部材17と板状体2の接触部の巾は0.1mm〜8mmであり、更に好ましくは0.1〜2mmである。
また、断熱部材17の熱伝導率は板状体2の熱伝導率より小さいことが好ましい。断熱部材17の熱伝導率が板状体2の熱伝導率より小さければ板状体2に載せたウェハW面内の温度分布を均一に加熱することができると共に、板状体2の温度を上げたり下げたりする際に、断熱部材17との熱の伝達量が小さく有底の金属製のケース19との熱的干渉が少なく、迅速に温度を変更することが容易となる。
断熱部材17の熱伝導率が板状体2の熱伝導率の10%より小さいウェハ支持部材1では、板状体2の熱が有底の金属製のケース19に流れ難く、板状体2から有底の金属製のケース19に熱が、雰囲気ガス(ここでは空気)による伝熱や輻射伝熱により流れる熱が多くなり逆に効果が小さい。
断熱部材17の熱伝導率が板状体2の熱伝導率より大きい場合には、板状体2の周辺部の熱が断熱部材17を介して有底の金属製のケース19に流れ、有底の金属製のケース19を加熱すると共に、板状体2の周辺部の温度が低下しウェハW面内の温度差が大きくなり好ましくない。また、有底の金属製のケース19が加熱されることからガス噴射口24からエアを噴射し板状体2を冷却しようとしても有底の金属製のケース19の温度が高いことから冷却する時間が大きくなったり、一定温度に加熱する際に一定温度になったりするまでの時間が大きくなる虞があった。
一方、上記断熱部材17を構成する材料としては、小さな接触部を保持するために、断熱部材のヤング率は1GPa以上が好ましく、更に好ましくは10GPa以上である。このようなヤング率とすることで、接触部の巾が0.1mm〜8mmと小さく、板状体2を有底の金属製のケース19に断熱部材17を介して固定部材9で固定しても、断熱部材17が変形することが無く、板状体2が位置ズレしたり平行度が変化したりすることなく、精度良く保持することができる。
尚、特許文献2に記載のような、フッ素系樹脂やガラス繊維を添加した樹脂からなる断熱部材では得られない精度を達成することができる。
上記断熱部材17の材質としては鉄とカーボンからなる炭素鋼やニッケル、マンガン、クロムを加えた特殊鋼等の金属がヤング率が大きく好ましい。また、熱伝導率の小さな材料としては、ステンレス鋼やFe―Ni−Co系合金の所謂コバールが好ましく、板状体2の熱伝導率より小さくなるように断熱部材17の材料を選択することが好ましい。
更に、断熱部材17と板状体2との接触部を小さく、且つ接触部が小さくても接触部が欠損しパーティクルを発生する虞が小さく安定な接触部を保持できるために、板状体2に垂直な面で切断した断熱部材17の断面は多角形より円形が好ましく、断面の直径1mm以下の円形のワイヤを断熱部材17として使用すると板状体2と有底の金属製のケース19の位置が変化することなくウェハWの表面温度を均一にしかも迅速に昇降温することが可能である。
以上、断熱部材17の構成と板状体2と抵抗発熱体5の配設の関係について説明したが、これらの配設は、上記周辺凸部40の一部が抵抗発熱体5を囲む直径Dの内側に存在することから、周辺凸部40のウェハW面内温度に対する影響を考慮していることは言うまでもない。
次に、有底の金属製のケース19は側壁部22と底面21を有し、板状体2はその有底の金属製のケース19の開口部を覆うように設置してある。また、有底の金属製のケース19には冷却ガスを排出するための孔23が施されており、板状体2の抵抗発熱体5に給電するための給電部6に導通するための給電端子11,板状体2を冷却するためのガス噴射口24、板状体2の温度を測定するための熱電対27を設置してある。
なお、有底の金属製のケース19の深さは10〜50mmで、底面21は、板状体2から10〜50mmの距離に設置することが望ましい。更に好ましくは20〜30mmである。これは、板状体2と有底の金属製のケース19相互の輻射熱により載置面3の均熱化が容易となると同時に、外部との断熱効果があるので、載置面3の温度が一定で均一な温度となるまでの時間が短くなるためである。
そして、有底の金属製のケース19内に昇降自在に設置されたリフトピン25により、ウェハWを載置面3上に載せたり載置面3より持ち上げたりといった作業がなされる。そして、ウェハWは、ウェハ支持ピン8により載置面3から浮かした状態で保持され、片当たり等による温度バラツキを防止するようにしている。
また、このウェハ加熱装置1によりウェハWを加熱するには、搬送アーム(不図示)にて載置面3の上方まで運ばれたウェハWをリフトピン25にて支持したあと、リフトピン25を降下させてウェハWを載置面3上に載せる。
次に、ウェハ支持部材1をレジスト膜形成用として使用する場合は、板状体2の主成分を炭化珪素にすると、大気中の水分等と反応してガスを発生させることもないため、ウェハW上へのレジスト膜の貼付に用いたとしても、レジスト膜の組織に悪影響を与えることがなく、微細な配線を高密度に形成することが可能である。この際、焼結助剤に水と反応してアンモニアやアミンを形成する可能性のある窒化物を含まないようにすることが必要である。
なお、板状体2を形成する炭化珪素質焼結体は、主成分の炭化珪素に対し、焼結助剤として硼素(B)と炭素(C)を添加したり、もしくはアルミナ(Al2O3)イットリア(Y2O3)のような金属酸化物を添加したりして十分混合し、平板状に加工したのち、1900〜2100℃で焼成することにより得られる。炭化珪素はα型を主体とするものあるいはβ型を主体とするもののいずれであっても構わない。
一方、炭化珪素質焼結体を板状体2として使用する場合、半導電性を有する板状体2と抵抗発熱体5との間の絶縁を保つ絶縁層としては、ガラス又は樹脂を用いることが可能であり、ガラスを用いる場合、その厚みが100μm未満では耐電圧が1.5kVを下回り絶縁性が保てず、逆に厚みが400μmを超えると、板状体2を形成する炭化珪素質焼結体や窒化アルミニウム質焼結体との熱膨張差が大きくなり過ぎるために、クラックが発生して絶縁層として機能しなくなる。その為、絶縁層としてガラスを用いる場合、絶縁層4の厚みは100〜400μmの範囲で形成することが好ましく、望ましくは200μm〜350μmの範囲とすることが良い。
さらに、板状体2の載置面3と反対側の主面は、ガラスや樹脂からなる絶縁層4との密着性を高める観点から、平面度20μm以下、面粗さを中心線平均粗さ(Ra)で0.1μm〜0.5μmに研磨しておくことが好ましい。
また、板状体2を、窒化アルミニウムを主成分とする焼結体で形成する場合は、主成分の窒化アルミニウムに対し、焼結助剤としてY2O3やYb2O3等の希土類元素酸化物と必要に応じてCaO等のアルカリ土類金属酸化物を添加して十分混合し、平板状に加工した後、窒素ガス中1900〜2100℃で焼成することにより得られる。板状体2に対する抵抗発熱体5の密着性を向上させるために、ガラスからなる絶縁層を形成することもある。ただし、抵抗発熱体5の中に十分なガラスを添加し、これにより十分な密着強度が得られる場合は、省略することが可能である。
この絶縁層を形成するガラスの特性としては、結晶質又は非晶質のいずれでも良く、耐熱温度が200℃以上でかつ0℃〜200℃の温度域における熱膨張係数が板状体2を構成するセラミックスの熱膨張係数に対し−5×10−7/℃〜+5×10−7/℃の範囲にあるものを適宜選択して用いることが好ましい。即ち、熱膨張係数が上記範囲を外れたガラスを用いると、板状体2を形成するセラミックスとの熱膨張差が大きくなりすぎるため、ガラスの焼付け後の冷却時においてクラックや剥離等の欠陥が生じ易いからである。
なお、ガラスからなる絶縁層を板状体2上に被着する手段としては、上記ガラスペーストを板状体2の中心部に適量落とし、スピンコーティング法にて伸ばして均一に塗布するか、あるいはスクリーン印刷法、ディッピング法、スプレーコーティング法等にて均一に塗布したあと、ガラスペーストを600℃以上の温度で焼き付けすれば良い。また、絶縁層としてガラスを用いる場合、予め炭化珪素質焼結体又は窒化アルミニウム質焼結体からなる板状体2を850〜1300℃程度の温度に加熱し、絶縁層を被着する表面を酸化処理しておくことで、ガラスからなる絶縁層との密着性を高めることができる。