JP2005050820A - ホットプレート - Google Patents

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Yasuji Hiramatsu
靖二 平松
Yasutaka Ito
康隆 伊藤
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Abstract

【課題】 セラミック基板にクーリングスポットが発生するのを防止することができ、従って、セラミック基板の加熱面の温度を均一にすることができ、シリコンウエハ等の被加熱物を均一に加熱することができるホットプレートを提供する。
【解決手段】 その表面または内部に抵抗発熱体が形成されたセラミック基板が、支持容器に配設されてなるホットプレートであって、前記セラミック基板は、前記支持容器の内部に設置された支持部材により支持されており、かつ、前記支持部材と前記セラミック基板との接触部は、前記抵抗発熱体が形成された領域の内部に存在することを特徴とするホットプレート。
【選択図】 図4

Description

本発明は、主に、半導体の製造や検査に用いるホットプレート(セラミックヒータ)に関する。
エッチング装置や、化学的気相成長装置等を含む半導体製造・検査装置等においては、従来、ステンレス鋼やアルミニウム合金などの金属製基材を用いたヒータやウエハプローバ等が用いられてきた。
ところが、このような金属製のヒータは、以下のような問題があった。
まず、金属製であるため、ヒータ板の厚みは、15mm程度と厚くしなければならない。なぜなら、薄い金属板では、加熱に起因する熱膨張により、反り、歪み等が発生していまい、金属板上に載置したシリコンウエハが破損したり傾いたりしてしまうからである。しかしながら、ヒータ板の厚みを厚くすると、ヒータの重量が重くなり、また、嵩張ってしまうという問題があった。
また、抵抗発熱体に印加する電圧や電流量を変えることにより、シリコンウエハ等の被加熱物を加熱する面(以下、加熱面という)の温度を制御するのであるが、金属板が厚いために、電圧や電流量の変化に対してヒータ板の温度が迅速に追従せず、温度制御しにくいという問題もあった。
そこで、特許文献1には、基板として、熱伝導率が高く、強度も大きい窒化物セラミックや炭化物セラミックを使用し、これらのセラミックからなる板状体の表面に、金属粒子を焼結して形成した抵抗発熱体が設けられたセラミック基板が提案されている。
図7は、このような構成のセラミック基板が支持容器に設置されたホットプレートを模式的に示した断面図である。
このホットプレート20では、底面41bに抵抗発熱体42が形成された円板形状のセラミック基板41が断熱リング25を介して円環形状の支持容器本体21に嵌め込まれており、抵抗発熱体42の端部には、半田層(図示せず)等を介して外部端子43が接続されている。
支持容器本体21の下部の内側には、このセラミック基板41を支持するための基板受け部21aが一体的に形成されており、一方、支持容器本体21の下面には、有底円筒形状の遮熱部材26がボルト28を用いて取り付けられ、固定されている。
このボルト28は、押さえ用金具27を固定する働きも有しており、この押さえ用金具27により、セラミック基板41が断熱リング25を介して基板受け部21aに押しつけられ、固定されている。
また、遮熱部材26の底部には、冷媒導入管19が設けられており、この冷媒導入管19を介して冷媒が支持容器20の内部に導入されるとともに、遮熱部材26に設けられた貫通孔26aを介して排出され、加熱後の冷却時にセラミック基板41が冷却されるようになっている。
このような構成のホットプレート20に通電すると、抵抗発熱体が発熱する結果、セラミック基板上に載置されるシリコンウエハ9等を所定の温度に加熱することができる。
特開平11−40330号公報
しかしながら、上記した構成のホットプレート20では、セラミック基板の側面または底面外周が断熱リング25等を介して支持容器本体21と接しており、そのために、この部分から熱が逃散しやすい。
このような熱の逃散を防止するため、断熱性能を有する断熱リング25をセラミック基板41と支持容器20との間に介装しているが、セラミック基板41が、例えば、300℃程度の高温になった場合には、やはり、この断熱リング25を通って熱が逃散するのを完全に防止するのは難しくかった。
さらに、このセラミック基板41の側面や底面外周には、抵抗発熱体42が形成されていないため、熱の逃散により一層温度が低下しやすく、そのために、この部分に所謂クーリングスポット(局部的に温度の低下した部分)が発生し、シリコンウエハ等の被加熱物を均一に加熱することが難しいという問題があった。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、抵抗発熱体が形成されていないセラミック基板の側面や底面外周からの放熱を防止するために、セラミック基板の側面や底面外周部と支持容器とを全く接触させずに、セラミック基板を支持する方法を見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、その表面または内部に抵抗発熱体が形成されたセラミック基板が、支持容器に配設されてなるホットプレートであって、
上記セラミック基板は、上記支持容器の内部に設置された支持部材により支持されており、かつ、
上記支持部材と上記セラミック基板との接触部は、上記抵抗発熱体が形成された領域の内部に存在することを特徴とするホットプレートである。
上記ホットプレートによれば、セラミック基板の側面や底面外周部は、断熱リングや支持容器等と全く接触しておらず、他の部分と同様に空気と接しているため、この部分からの熱の逃散が他の部分に比べて大きくなることはなく、従って、これらの部分にクーリングスポットが発生することはない。
また、上記支持部材と上記セラミック基板との接触部は、上記抵抗発熱体が形成された領域の内部に存在するので、たとえ、上記支持部材を介して多少の放の逃散があったとしても、抵抗発熱体の発熱量を制御することにより、支持部材からの熱の逃散を補うことができる。従って、セラミック基板にクーリングスポットが発生することはない。
上記ホットプレートにおいて、上記支持部材は、弾性体からなることが望ましい。弾性体でセラミック基板を支持することにより、セラミック基板に急激な負荷がかかった場合であっても、弾性体が衝撃を吸収し、セラミック基板やシリコンウエハ等の被加熱物の損傷を防止することができるからである。
弾性体としては、板状バネやコイルバネを使用することができる。また、コイルバネや板状バネの材質としては、金属が挙げられ、上記金属としては、例えば、ステンレス、インコネル、鋼鉄、アルミニウム、ニッケル、銅等が挙げられる。
これらのなかでは、金属製のバネが望ましい。金属バネは、耐熱性を有するため、高温用のホットプレートとした場合であっても耐久性に優れるからである。
また本発明では、支持部材は、セラミックであってもよい。セラミックの方が金属に比べて熱伝導率が相対的に低く、耐熱性にも優れるからである。
上記セラミックとしては、アルミナ、シリカ、コージェライト、ジルコニア、SiCおよびAlNから選ばれる少なくとも1種を使用することができる。また、これらの中では、アルミナが好ましい。
さらに、上記支持部材とセラミック基板の接触部の表面は、JIS R 0601で、Rmaxが0.1μm以上であることが望ましい。Rmaxが0.1μm未満では、接触面積が大きくなり、加熱面にクーリングスポットが発生しやすいからである。
上記支持部材とセラミック基板の接触部の表面とは、支持部材側の接触面またはセラミック基板側の接触面であるが、支持部材側の接触面およびセラミック基板側の接触面両方であってもよい。
表面の粗化方法としては、研磨処理、サンドブラスト処理などが挙げられる。
本発明に係るホットプレートでは、セラミック基板の側面や底面外周部は、断熱リングや支持容器等と全く接触しておらず、他の部分と同様に空気と接しているため、この部分からの熱の逃散が他の部分に比べて大きくなることはなく、これらの部分にクーリングスポットが発生することはない。
また、上記支持部材と上記セラミック基板との接触部は、上記抵抗発熱体が形成された領域の内部に存在するので、抵抗発熱体の発熱量を制御することにより、支持部材からの放熱を補うことができ、セラミック基板にクーリングスポットが発生するのを防止することができる。
従って、セラミック基板の加熱面の温度を均一にすることができ、シリコンウエハ等の被加熱物を均一に加熱することができる。
本発明のホットプレートは、その表面または内部に抵抗発熱体が形成されたセラミック基板が、支持容器に配設されてなるホットプレートであって、
上記セラミック基板は、上記支持容器の内部に設置された支持部材により支持されており、かつ、上記支持部材と上記セラミック基板との接触部は、上記抵抗発熱体が形成された領域の内部に存在することを特徴とする。
以下、本発明のホットプレートについて、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明のホットプレートの一例を模式的に示す底面図であり、図2は、図1に示したホットプレートの平面図である。
セラミック基板41は、円板形状に形成されており、抵抗発熱体42は、セラミック基板41の底面に同心円状のパターンに形成されている。また、これら抵抗発熱体42は、互いに近い二重の同心円同士が1組の回路として、1本の線になるように接続されている。このようなパターンの抵抗発熱体を形成することにより、加熱面41aの温度を均一にすることができる。
抵抗発熱体42の端部には、半田層(図示せず)等を介して外部端子43が接続されており、外部端子43には導電線14を有するソケット23が取り付けられ、この導電線14は、支持容器11の外部に引き出され、電源(図示せず)との接続が図られている。
また、中央に近い部分には、シリコンウエハの運搬等に用いるリフターピンを挿入するための複数の貫通孔45が形成されるとともに、支持容器11の底部にも、これらに連通する貫通孔が形成されている。
一方、セラミック基板41の底面には、熱電対等の測温素子47を挿入するための有底孔44が形成され、この測温素子47より配線46が導出され、支持容器11の底部の貫通孔11aより外部に引き出されている。
支持容器11の底部には、複数(4個)のわずかに屈曲した形状の支持部材12が一端部を固定具18により固定され、斜めに傾斜した状態で設置されており、一方、セラミック基板41の底面には、凹部49が形成され、この凹部49に支持部材12の上端が挿入され、この部分を支点としてセラミック基板41が支持・固定されている。
この支持部材12は、上記ステンレス、インコネル、鋼鉄等の金属バネで形成されており、セラミック基板41の中心に対して十字になる位置に凹部(接触部)が存在する。支持部材12の個数は、3個以上であれば、特に限定されないが、セラミック基板41の中心に対して回転対象になるように接触部が形成されていることが望ましい。
また、支持部材12は、セラミック等により形成されていてもよい。熱伝導率が低く、セラミック基板41からの熱の逃散を防止することができるからである。セラミック基板の抵抗発熱体形成領域の内部に貫通孔等を設け、この貫通孔に支持部材を挿入することによりセラミック基板を支持・固定してもよい。
なお、支持容器11の底部には、従来のホットプレート20の場合と同様に、冷媒導入管19が固定され、冷却することができるようになっている。
上述のように、セラミック基板41には、リフターピンを挿通するための貫通孔45が複数個設けられているが、この複数のリフターピンでシリコンウエハ9を支持することにより、セラミック基板41の上面より一定の距離離間させた状態でシリコンウエハを載置し、加熱等を行うことができる。
また、セラミック基板41に貫通孔や凹部を形成し、この貫通孔等に先端が尖塔状または半球状の支持ピンをセラミック基板41よりわずかに突出させた状態で挿入、固定し、この上にシリコンウエハ9を載置することにより、シリコンウエハ9をセラミック基板41の上面より一定の距離離間させた状態で載置することができる。
本発明のホットプレート10では、このように支持容器11の底部に設けられた支持部材12により、抵抗発熱体42が形成された領域の内部でセラミック基板41を支持しているため、その部分から多少の熱の逃散があっても、抵抗発熱体42の発熱量を制御することにより、クーリングスポットが発生するのを防止することができる。
また、セラミック基板41の側面や底面外周は、他の部分と同様に、空気と接しており、従って、これらの部分からの熱の逃散が特に大きくなることはなく、セラミック基板の加熱面41aを均一な温度にすることができる。
従って、本発明のホットプレート10を用いることにより、シリコンウエハ9等の被加熱物を均一に加熱することができる。
図3は、本発明のホットプレートの別の実施形態を模式的に示す断面図である。このホットプレート50では、セラミック基板51は、円板形状に形成されており、抵抗発熱体52は、セラミック基板51の内部に、図1に示したパターンと同様のパターン、すなわち、同心円形状のパターンで形成されている。
そして、抵抗発熱体52の端部の直下には、スルーホール58が形成され、さらに、このスルーホール58を露出させる袋孔(図示せず)が底面51bに形成され、袋孔には外部端子53が挿入され、ろう材(図示せず)等で接合されている。
そして、外部端子53には、導電線14を有するソケット23が取り付けられ、この導電線14は電源(図示せず)と接続されている。
また、図1に示したホットプレート10の場合と同様に、支持容器11の底部には、支持部材12が一端部を固定具18により固定された状態で設置されており、一方、セラミック基板51の底面に形成された凹部59には、支持部材12の上端が挿入され、セラミック基板51が支持されている。
このホットプレート50においても、支持部材12が抵抗発熱体52が形成された領域の内部でセラミック基板51を支持しているため、その部分から多少の熱の逃散があっても、抵抗発熱体52の発熱量を制御することにより、クーリングスポットが発生するのを防止することができ、シリコンウエハ9等の被加熱物を均一に加熱することができる。
図4は、本発明のホットプレートのさらに別の実施形態を模式的に示す断面図である。
この場合、柱状のアルミナ製の支持部材62により、セラミック基板41が支持されているほかは、図1に示したホットプレートと同様に構成されている。
上記構成のホットプレートは、金属に比べて熱伝導率の低いアルミナ製の支持部材62が用いられているので、セラミック基板41の加熱面の温度がより均一になる。
抵抗発熱体のパターンとしては、図1に示した同心円形状のほかに、渦巻き形状、偏心円形状などの単独パターン、同心円形状と屈曲線形状との組み合わせ、または、渦巻き形状や偏心円形状と屈曲線形状との組み合わせなどを挙げることができる。
また、抵抗発熱体は螺旋形状でもよい。
上記ホットプレートにおいて、上記抵抗発熱体からなる回路の数は1以上であれば特に限定されないが、加熱面を均一に加熱するためには、複数の回路が形成されていることが望ましく、複数の同心円状の回路と屈曲線状の回路とを組み合わせたものが好ましい。
なお、図1、3に示したように、本発明のホットプレートでは、抵抗発熱体は、底面に形成されていてもよく、セラミック基板の内部に形成されていてもよい。
上記抵抗発熱体を、セラミック基板の内部に形成する場合、その形成位置は特に限定されないが、セラミック基板の底面からその厚さの60%までの位置に少なくとも1層形成されていることが好ましい。加熱面まで熱が伝搬する間に拡散し、加熱面での温度が均一になりやすいからである。
セラミック基板の内部または底面に抵抗発熱体を形成する際には、金属や導電性セラミックからなる導体ペーストを用いることが好ましい。
即ち、セラミック基板の内部に抵抗発熱体を形成する場合には、グリーンシート上に導体ペースト層を形成した後、グリーンシートを積層、焼成することにより、内部に抵抗発熱体を形成する。一方、表面に抵抗発熱体を形成する場合には、通常、焼成を行って、セラミック基板を製造した後、その表面に導体ペースト層を形成し、焼成することより、抵抗発熱体を形成する。
上記導体ペーストとしては特に限定されないが、導電性を確保するため金属粒子または導電性セラミックが含有されているほか、樹脂、溶剤、増粘剤などを含むものが好ましい。
上記金属粒子としては、例えば、貴金属(金、銀、白金、パラジウム)、鉛、タングステン、モリブデン、ニッケルなどが好ましい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの金属は、比較的酸化しにくく、発熱するに充分な抵抗値を有するからである。
上記導電性セラミックとしては、例えば、タングステン、モリブデンの炭化物などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これら金属粒子または導電性セラミック粒子の粒径は、0.1〜100μmが好ましい。0.1μm未満と微細すぎると、酸化されやすく、一方、100μmを超えると、焼結しにくくなり、抵抗値が大きくなるからである。
上記金属粒子の形状は、球状であっても、リン片状であってもよい。これらの金属粒子を用いる場合、上記球状物と上記リン片状物との混合物であってよい。
上記金属粒子がリン片状物、または、球状物とリン片状物との混合物の場合は、金属粒子間の金属酸化物を保持しやすくなり、抵抗発熱体とセラミック基板との密着性を確実にし、かつ、抵抗値を大きくすることができるため有利である。
導体ペーストに使用される樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。また、溶剤としては、例えば、イソプロピルアルコールなどが挙げられる。増粘剤としては、セルロースなどが挙げられる。
抵抗発熱体用の導体ペーストをセラミック基板の表面に形成する際には、導体ペースト中に金属粒子のほかに金属酸化物を添加し、金属粒子および金属酸化物を焼結させたものとすることが好ましい。このように、金属酸化物を金属粒子とともに焼結させることにより、セラミック基板と金属粒子とを密着させることができる。
金属酸化物を混合することにより、セラミック基板との密着性が改善される理由は明確ではないが、金属粒子表面や非酸化物からなるセラミック基板の表面は、その表面がわずかに酸化されて酸化膜が形成されており、この酸化膜同士が金属酸化物を介して焼結して一体化し、金属粒子とセラミックとが密着するのではないかと考えられる。また、セラミック基板を構成するセラミックが酸化物の場合は、当然に表面が酸化物からなるので、密着性に優れた導体層が形成される。
上記金属酸化物としては、例えば、酸化鉛、酸化亜鉛、シリカ、酸化ホウ素(B23 )、アルミナ、イットリアおよびチタニアからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
これらの酸化物は、抵抗発熱体の抵抗値を大きくすることなく、金属粒子とセラミック基板との密着性を改善することができるからである。
上記酸化鉛、酸化亜鉛、シリカ、酸化ホウ素(B23 )、アルミナ、イットリア、チタニアの割合は、金属酸化物の全量を100重量部とした場合、重量比で、酸化鉛が1〜10、シリカが1〜30、酸化ホウ素が5〜50、酸化亜鉛が20〜70、アルミナが1〜10、イットリアが1〜50、チタニアが1〜50であって、その合計が100重量部を超えない範囲で調整されていることが好ましい。
これらの範囲で、これらの酸化物の量を調整することにより、特にセラミック基板との密着性を改善することができる。
上記金属酸化物の金属粒子に対する添加量は、0.1重量%以上10重量%未満が好ましい。また、このような構成の導体ペーストを使用して抵抗発熱体を形成した際の面積抵抗率は、1〜45mΩ/□が好ましい。
面積抵抗率が45mΩ/□を超えると、印加電圧量に対して発熱量は大きくなりすぎて、表面に抵抗発熱体を設けたセラミック基板では、その発熱量を制御しにくいからである。なお、金属酸化物の添加量が10重量%以上であると、面積抵抗率が50mΩ/□を超えてしまい、発熱量が大きくなりすぎて温度制御が難しくなり、温度分布の均一性が低下する。
抵抗発熱体がセラミック基板の表面に形成される場合には、抵抗発熱体の表面部分に、金属被覆層が形成されていることが好ましい。内部の金属焼結体が酸化されて抵抗値が変化するのを防止するためである。形成する金属被覆層の厚さは、0.1〜10μmが好ましい。
上記金属被覆層を形成する際に使用される金属は、非酸化性の金属であれば特に限定されないが、具体的には、例えば、金、銀、パラジウム、白金、ニッケルなどが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのなかでは、ニッケルが好ましい。
なお、抵抗発熱体をセラミック基板の内部に形成する場合には、抵抗発熱体表面が酸化されることがないため、被覆は不要である。
本発明のセラミック基板は、100℃以上使用することが望ましく、200℃以上で使用することがより望ましい。
本発明のホットプレートを構成するセラミック基板の材料は特に限定されるものではなく、例えば、窒化物セラミック、炭化物セラミック、酸化物セラミック等が挙げられる。
上記窒化物セラミックとしては、金属窒化物セラミック、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン等が挙げられる。
また、上記炭化物セラミックとしては、金属炭化物セラミック、例えば、炭化ケイ素、炭化ジルコニウム、炭化チタン、炭化タンタル、炭化タングステン等が挙げられる。
上記酸化物セラミックとしては、金属酸化物セラミック、例えば、アルミナ、ジルコニア、コージュライト、ムライト等が挙げられる。
これらのセラミックは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのセラミックのなかでは、窒化物セラミック、炭化物セラミックの方が酸化物セラミックに比べて好ましい。熱伝導率が高いからである。
また、窒化物セラミックのなかでは、窒化アルミニウムが最も好適である。熱伝導率が180W/m・Kと最も高いからである。
また、上記セラミック材料は、焼結助剤を含有していてもよい。上記焼結助剤としては、例えば、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、希土類酸化物等が挙げられる。これらの焼結助剤のなかでは、CaO、Y23 、Na2 O、Li2 O、Rb2 Oが好ましい。これらの含有量としては、0.1〜20重量%が好ましい。また、アルミナを含有していてもよい。
上記セラミック基板は、明度がJIS Z 8721の規定に基づく値でN4以下のものであることが望ましい。このような明度を有するものが輻射熱量、隠蔽性に優れるからである。また、このようなセラミック基板は、サーモビュアにより、正確な表面温度測定が可能となる。
ここで、明度のNは、理想的な黒の明度を0とし、理想的な白の明度を10とし、これらの黒の明度と白の明度との間で、その色の明るさの知覚が等歩度となるように各色を10分割し、N0〜N10の記号で表示したものである。
そして、実際の測定は、N0〜N10に対応する色票と比較して行う。この場合の小数点1位は0または5とする。
このような特性を有するセラミック基板は、セラミック基板中にカーボンを100〜5000ppm含有させることにより得られる。カーボンには、非晶質のものと結晶質のものとがあり、非晶質のカーボンは、セラミック基板の高温における体積抵抗率の低下を抑制することでき、結晶質のカーボンは、セラミック基板の高温における熱伝導率の低下を抑制することができるため、その製造する基板の目的等に応じて適宜カーボンの種類を選択することができる。
非晶質のカーボンは、例えば、C、H、Oだけからなる炭化水素、好ましくは、糖類を、空気中で焼成することにより得ることができ、結晶質のカーボンとしては、グラファイト粉末等を用いることができる。
また、アクリル系樹脂を不活性雰囲気下で熱分解させた後、加熱加圧することによりカーボンを得ることができるが、このアクリル系樹脂の酸価を変化させることにより、結晶性(非晶性)の程度を調整することもできる。
セラミック基板の形状は、円板形状が好ましく、その直径は、200mm以上が好ましく、250mm以上が最適である。
円板形状のセラミック基板は、温度の均一性が要求されるが、直径の大きな基板ほど温度が不均一になりやすいからである。
セラミック基板の厚さは、50mm以下が好ましく、20mm以下がより好ましい。また、1〜5mmが最適である。
上記厚さが薄すぎると、高温で加熱する際に反りが発生しやすく、一方、厚過ぎると熱容量が大きく成りすぎて昇温降温特性が低下するからである。
また、セラミック基板の気孔率は、0または5%以下が好ましい。上記気孔率はアルキメデス法により測定する。
高温での熱伝導率の低下、反りの発生を抑制することができるからである。
本発明では、必要に応じて、セラミック基板に熱電対を埋め込んでおくことができる。熱電対により抵抗発熱体の温度を測定し、そのデータをもとに電圧、電流量を代えて、温度を制御することができるからである。
上記熱電対の金属線の接合部位の大きさは、各金属線の素線径と同一か、もしくは、それよりも大きく、かつ、0.5mm以下がよい。このような構成によって、接合部分の熱容量が小さくなり、温度が正確に、また、迅速に電流値に変換されるのである。このため、温度制御性が向上してウエハの加熱面の温度分布が小さくなるのである。
上記熱電対としては、例えば、JIS−C−1602(1980)に挙げられるように、K型、R型、B型、E型、J型、T型熱電対が挙げられる。
本発明のホットプレートは、主に、半導体の製造や半導体の検査を行うために用いられる装置で、セラミック基板に抵抗発熱体のみを設けたものであるが、セラミック基板の内部に静電電極を設けた場合には、静電チャックとして機能し、セラミック基板の表面に導体層を設け、セラミック基板の内部にガード電極やグランド電極を設けた場合には、ウエハプローバとして機能する。
次に、図5(a)〜(d)に基づき、底面に抵抗発熱体が形成されたホットプレートの製造方法について説明する。
(1) セラミック基板の作製工程
上述した窒化アルミニウムなどの窒化物セラミックに必要に応じてイットリア等の焼結助剤やバインダ等を配合してスラリーを調製した後、このスラリーをスプレードライ等の方法で顆粒状にし、この顆粒を金型などに入れて加圧することにより板状などに成形し、生成形体(グリーン)を作製する。この際、カーボンを含有させてもよい。
次に、この生成形体を加熱、焼成して焼結させ、セラミック製の板状体を製造する。この後、所定の形状に加工することにより、セラミック基板41を作製するが、焼成後にそのまま使用することができる形状としてもよい。加圧しながら加熱、焼成を行うことにより、気孔のないセラミック基板41を製造することが可能となる。加熱、焼成は、焼結温度以上であればよいが、窒化物セラミックでは、1000〜2500℃である。
次に、このセラミック基板に、必要に応じて、シリコンウエハを運搬するためのリフターピンを挿通する貫通孔45、熱電対などの測温素子を埋め込むための有底孔44、シリコンウエハを支持するための支持ピンを埋設するための凹部(図示せず)等を形成する(図5(a))。また、図5には図示していないが、支持部材を挿入するための凹部(図1参照)を形成する。
(2) セラミック基板に導体ペーストを印刷する工程
上述した導体ペーストを用い、スクリーン印刷などの方法により発熱体パターンに印刷し、導体ペースト層を形成する。抵抗発熱体は、セラミック基板全体を均一な温度にする必要があることから、図1に示すような同心円形状とするか、または、同心円状と屈曲線状とを組み合わせたパターンに印刷することが好ましい。
導体ペースト層は、焼成後の抵抗発熱体42の断面が、方形で、偏平な形状となるように形成することが好ましい。
(3) 導体ペーストの焼成
セラミック基板41の底面に印刷したペースト層を加熱焼成して、樹脂、溶剤を除去するとともに、金属粒子を焼結させ、セラミック基板41の底面に焼き付け、抵抗発熱体42を形成する(図5(b))。加熱焼成の温度は、500〜1000℃が好ましい。
導体ペースト中に上述した金属酸化物を添加しておくと、金属粒子、金属酸化物およびセラミック基板が焼結して一体化するため、抵抗発熱体とセラミック基板との密着性が向上する。
(4) 金属被覆層の形成
次に、抵抗発熱体42表面には、金属被覆層420を設ける(図5(c))。
金属被覆層420は、電解めっき、無電解めっき、スパッタリング等により形成することができるが、量産性を考慮すると、無電解めっきが最適である。
(5) 端子等の取り付け
抵抗発熱体42のパターンの端部に電源との接続のための外部端子43を半田470等を用いて取り付ける。また、有底孔44に測温素子(熱電対)48を挿入し、ポリイミド等の耐熱樹脂、セラミックで封止し、ホットプレート10とする(図5(d))。
そして、このホットプレートを図1に示したような支持部材12を有する支持容器11に設置し、ソケットから延びたリード線を電源に接続することにより、ホットプレートの製造を終了する。
上記ホットプレートを製造する際に、セラミック基板の内部に静電電極を設けることにより静電チャックを製造することができ、また、加熱面にチャックトップ導体層を設け、セラミック基板の内部にガード電極やグランド電極を設けることによりウエハプローバを製造することができる。
セラミック基板の内部に電極を設ける場合には、金属箔等をセラミック基板の内部に埋設すればよい。また、セラミック基板の表面に導体層を形成する場合には、スパッタリング法やめっき法を用いることができ、これらを併用してもよい。
次に、図6(a)〜(d)に基づき、セラミック基板の内部に抵抗発熱体を有するホットプレートの製造方法について説明する。
(1)グリーンシートの作製工程
まず、窒化物セラミックの粉末をバインダ、溶剤等と混合してペーストを調製し、これを用いてグリーンシートを作製する。
上述したセラミック粉末としては、窒化アルミニウム等を使用することができ、必要に応じて、イットリア等の焼結助剤を加えてもよい。また、グリーンシートを作製する際、結晶質や非晶質のカーボンを添加してもよい。
また、バインダとしては、アクリル系バインダ、エチルセルロース、ブチルセロソルブ、ポリビニルアルコールから選ばれる少なくとも1種が望ましい。
さらに溶媒としては、α−テルピネオール、グリコールから選ばれる少なくとも1種が望ましい。
これらを混合して得られるペーストをドクターブレード法でシート状に成形してグリーンシート500を作製する。
グリーンシート500の厚さは、0.1〜5mmが好ましい。
次に、得られたグリーンシートに、必要に応じて、シリコンウエハを支持するための支持ピンを挿入する貫通孔となる部分、シリコンウエハを運搬等するためのリフターピンを挿入する貫通孔となる部分、熱電対などの測温素子を埋め込むための有底孔となる部分、抵抗発熱体を外部端子と接続するためのスルーホールとなる部分280等を形成する。後述するグリーンシート積層体を形成した後に、上記加工を行ってもよい。
(2)グリーンシート上に導体ペーストを印刷する工程
グリーンシート500上に、上述した導体ペーストを用い、導体ペーストからなる導体ペースト層520を形成する。また、スルーホールとなる部分に導体ペーストを充填し、充填層580を形成する。
これらの導電ペースト中には、金属粒子または導電性セラミック粒子が含まれている。金属粒子の材料としては、例えば、タングステンまたはモリブデン等が挙げられ、導電性セラミックとしては、例えば、タングステンカーバイドまたはモリブデンカーバイドが挙げられる。
上記金属粒子であるタングステン粒子またはモリブデン粒子等の平均粒子径は、0.1〜5μmが好ましい。平均粒子が0.1μm未満であるか、5μmを超えると、導体ペーストを印刷しにくいからである。
このような導体ペーストとしては、例えば、金属粒子または導電性セラミック粒子85〜87重量部;アクリル系、エチルセルロース、ブチルセロソルブ、ポリビニルアルコールから選ばれる少なくとも1種のバインダ1.5〜10重量部;および、α−テルピネオール、グリコールから選ばれる少なくとも1種の溶媒を1.5〜10重量部を混合した組成物(ペースト)が挙げられる。
(3)グリーンシートの積層工程
上記(1)の工程で作製した導体ペースト等を印刷していないグリーンシート500を、上記(2)の工程で作製した導体ペースト層220等を有するグリーンシート500の上下に積層する(図6(a))。
このとき、上側に積層するグリーンシート500の数を下側に積層するグリーンシート500の数よりも多くして、抵抗発熱体52の形成位置を底面の方向に偏芯させる。
具体的には、上側のグリーンシート500の積層数は20〜50枚が、下側のグリーンシート500の積層数は5〜20枚が好ましい。
(4)グリーンシート積層体の焼成工程
グリーンシート積層体の加熱、加圧を行い、グリーンシート500および内部の導体ペーストを焼結させ、セラミック基板51を作製する(図6(b))。
加熱温度は、1000〜2000℃が好ましく、加圧の圧力は、10〜20MPaが好ましい。加熱は、不活性ガス雰囲気中で行う。不活性ガスとしては、例えば、アルゴン、窒素などを使用することができる。
得られたセラミック基板51に、リフターピンを挿通するための貫通孔55、測温素子を挿入するための有底孔54や、外部端子53を挿入するための袋孔57等を設ける(図6(c))。貫通孔55、有底孔54および袋孔57は、表面研磨後に、ドリル加工やサンドブラストなどのブラスト処理を行うことにより形成することができる。
次に、袋孔57より露出したスルーホール58に外部端子53を金ろう等を用いて接続する(図6(d))。さらに、図示はしないが、外部端子53に、例えば、導電線を有するソケットを脱着可能に取り付ける。
なお、加熱温度は、半田処理の場合には90〜450℃が好適であり、ろう材での処理の場合には、900〜1100℃が好適である。さらに、測温素子としての熱電対などを耐熱性樹脂で封止し、ホットプレートとする。
(5)この後、このような内部に抵抗発熱体52を有するセラミック基板51を、図3に示した支持部材12を有する支持容器11に取り付け、ソケットから延びたリード線を電源に接続することにより、ホットプレートの製造を終了する。
上記ホットプレートを製造する際にも、セラミック基板の内部に静電電極を設けることにより静電チャックを製造することができ、また、加熱面にチャックトップ導体層を設け、セラミック基板の内部にガード電極やグランド電極を設けることによりウエハプローバを製造することができる。
セラミック基板の内部に電極を設ける場合には、グリーンシート上に静電電極やガード電極等のパターンに導体ペースト層を形成し、積層、焼成すればよい。また、セラミック基板の表面に導体層を形成する場合には、セラミック基板を製造した後、スパッタリング法やめっき法を用いることにより導体層を形成すればよい。この際、スパッタリング法とめっき法とを併用してもよい。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例1) ホットプレートの製造(図1、4参照)
(1)窒化アルミニウム粉末(トクヤマ社製、平均粒径1.1μm)100重量部、酸化イットリウム(Y23 :イットリア、平均粒径0.4μm)4重量部、アクリル系樹脂バインダ12重量部およびアルコールからなる組成物のスプレードライを行い、顆粒状の粉末を作製した。
(2)次に、この顆粒状の粉末を金型に入れ、平板状に成形して生成形体(グリーン)を得た。
(3)加工処理の終わった生成形体を温度:1800℃、圧力:20MPaでホットプレスし、厚さが3mmの窒化アルミニウム焼結体を得た。
次に、この板状体から直径210mmの円板体を切り出し、表面を平均粒径1μmのダイヤモンドペーストでポリッシングし、接触部の表面が、JIS R 0601でRmax=2μmであるセラミック製の板状体(セラミック基板41)とした。
次に、この板状体にドリル加工を施し、半導体ウエハを運搬するためのリフターピンを挿入する貫通孔45、熱電対を埋め込むための有底孔(直径:1.1mm、深さ:2mm)44、支持部材を挿入・固定するための凹部(図1参照)を形成した(図5(a))。
(4)上記(3)で得たセラミック基板41の底面に、スクリーン印刷にて導体ペーストを印刷した。印刷パターンは、図1に示したような同心円形状のパターンとした。
導体ペーストとしては、プリント配線板のスルーホール形成に使用されている徳力化学研究所製のソルベストPS603Dを使用した。
この導体ペーストは、銀−鉛ペーストであり、銀100重量部に対して、酸化鉛(5重量%)、酸化亜鉛(55重量%)、シリカ(10重量%)、酸化ホウ素(25重量%)およびアルミナ(5重量%)からなる金属酸化物を7.5重量部含むものであった。また、銀粒子は、平均粒径が4.5μmで、リン片状のものであった。
(5)次に、導体ペーストを印刷した焼結体を780℃で加熱、焼成して、導体ペースト中の銀、鉛を焼結させるとともに焼結体に焼き付け、抵抗発熱体を形成した。銀の抵抗発熱体42は、その端子部近傍で、厚さが5μm、幅が2.4mm、面積抵抗率が7.7mΩ/□であった(図5(b))。
(6)次に、硫酸ニッケル80g/l、次亜リン酸ナトリウム24g/l、酢酸ナトリウム12g/l、ほう酸8g/l、塩化アンモニウム6g/lを含む水溶液からなる無電解ニッケルめっき浴に上記(5)で作製した焼結体を浸漬し、銀の抵抗発熱体42の表面に厚さ1μmの金属被覆層420(ニッケル層)を析出させた(図5(c))。
(7)電源との接続を確保するために抵抗発熱体42の端部に、スクリーン印刷により、銀−鉛半田ペースト(田中貴金属社製)を印刷して半田層を形成した。ついで、半田層の上に断面がT字形状の外部端子43を載置して、420℃で加熱リフローし、抵抗発熱体の端部に半田層420を介して外部端子43を取り付けた。
(8)温度制御のための熱電対を有底孔44に挿入し、ポリイミド樹脂を充填し、190℃で2時間硬化させ、底面41bに抵抗発熱体42を有するセラミック基板41を得た。
(9)この後、図1に示したような形状のコバール製の金属バネからなる支持部材(表面は、JIS R 0601でRmax=0.1μm)12を備えた支持容器11中にセラミック基板41を入れ、凹部49に支持部材12の上端を挿入、固定することにより、セラミック基板41を支持させ、導電線等の配線作業を行うことにより、ホットプレート10の製造を終了した。
(実施例2)ホットプレート(図3、5参照)
(1)窒化アルミニウム粉末(トクヤマ社製、平均粒径:1.1μm)100重量部、酸化イットリウム(Y23 :イットリア、平均粒径:0.4μm)4重量部、アクリルバインダ11.5重量部、分散剤0.5重量部および1−ブタノールとエタノールとからなるアルコール53重量部を混合したペーストを用い、ドクターブレード法により成形を行って、厚さ0.47mmのグリーンシート500を作製した。
(2)次に、このグリーンシート500を80℃で5時間乾燥させた後、スルーホール58となる貫通孔等をパンチングにより形成した。
(3)平均粒子径1μmのタングステンカーバイト粒子100重量部、アクリル系バインダ3.0重量部、α−テルピネオール溶媒3.5重量部および分散剤0.3重量部を混合して導体ペーストAを調製した。
平均粒子径3μmのタングステン粒子100重量部、アクリル系バインダ1.9重量部、α−テルピネオール溶媒3.7重量部および分散剤0.2重量部を混合して導体ペーストBを調製した。
この導体ペーストAをグリーンシート上にスクリーン印刷で印刷し、抵抗発熱体52用の導体ペースト層520を形成した。印刷パターンは、図1に示したような同心円パターンとし、導体ペースト層の幅を10mm、その厚さを12μmとした。また、スルーホールとなる部分に導体ペーストBを充填し、充填層580を形成した。
上記処理の終わったグリーンシート500に、導体ペーストを印刷しないグリーンシート500を上側(加熱面)に37枚、下側に13枚、130℃、8MPaの圧力で積層した(図6(a))。
(4)次に、得られた積層体を窒素ガス中、600℃で5時間脱脂し、1890℃、圧力15MPaで10時間ホットプレスし、厚さ3mmの窒化アルミニウム焼結体を得た。これを230mmの円板状に切り出し、表面を平均粒径1μmのダイヤモンドペーストでポリッシングして、接触部の表面がJIS R 0601でRmax=2μmである、内部に厚さ6μm、幅10mm(アスペクト比:1666)の抵抗発熱体52およびスルーホール58を有するセラミック基板51とした。
(5)次に、(4)で得られた板状体を、ダイヤモンド砥石で研磨した後、マスクを載置し、ガラスビーズによるブラスト処理で表面に熱電対のための有底孔54およびシリコンウエハを運搬等するリフターピンを挿入するための貫通孔55を設けた(図6(b))。
(6)さらに、スルーホール58の真下を、ドリルでえぐり取って直径3.0mm、深さ0.5mmの袋孔57を形成してスルーホール58を露出させ(図6(c))、この袋孔57にNi−Auからなる金ろうを用い、外部端子をろう材(。
(7)温度制御のための複数の熱電対を有底孔54に埋め込み、ポリイミド樹脂を充填し、190℃で2時間硬化させた。
(8)この後、支持容器12を用意し、この支持容器12に中板15を取り付けた後、この中板15にスチール製の板バネ(表面の粗度が、JIS R 0601でRmax=0.1μm)16および外部端子22を取り付け、外部端子13から延びたリード線17を貫通孔14aを介して外部に引き出す。
(9)この後、図1に示したような形状の支持部材12を備えた支持容器11中にセラミック基板51を入れ、凹部59に支持部材12の上端を挿入、固定することにより、セラミック基板51を支持させ、導電線等の配線作業を行うことにより、ホットプレート20の製造を終了した。
(実施例3)
実施例1と同様であるが、支持部材として、気孔率10%のアルミナ(直径10mm、高さ20mm)を使用した。このようなアルミナ製の支持部材は、粒径1μmのアルミナ粉末を成形して柱状とし、1600℃で3時間常圧焼結させることにより製造した。そして、この後、柱の端面を平均粒子径1μmのダイヤモンドペーストで研磨し、接触部の表面をJIS R 0601でRmaxが1μmとなるようにした。
なお、アルミナ製の支持部材の上部は、セラミック基板41の底面に形成された凹部49に嵌合されている。
(実施例4)
実施例1と同様であるが、支持部材として、気孔率10%のアルミナ(直径10mm、高さ20mm)を使用した。このようなアルミナ製の支持部材は、粒径1μmのアルミナ粉末を成形して柱状とし、1600℃で3時間常圧焼結させることにより製造した。そして、この後、柱の端面を平均粒子径0.05μmのダイヤモンドペーストで研磨し、接触部の表面をJIS R0601 Rmaxで0.08μmとした。
また、セラミック基板も平均粒子径0.05μmのダイヤモンドペーストで研磨し、接触面をJIS R 0601 Rmaxで0.08μmとした。
なお、アルミナ製の支持部材の上部は、セラミック基板41の底面に形成された凹部49に嵌合されている。
(比較例1)
実施例1の場合と同様にしてセラミック基板41を製造した後、図7に示した支持容器20に断熱リング25を介してはめ込み、導電線等の配線作業を行うことにより、ホットプレートを製造した。
実施例1〜4および比較例1に係るホットプレートに通電を行って300℃まで加熱し、加熱面全体の温度をサーモビュア(日本データム社製 IR162012−0012)で測定した。
実施例1〜4に係る製品のセラミック基板では、加熱面全体がほぼ均一な温度であったのに対し、比較例1に係るホットプレートでは、セラミック基板41、51の外周に近い部分に、クーリングスポットが発生していた。
また、このサーモビュアを用いて、加熱面の最高温度と最低温度との差(ΔT℃)を測定したところ、実施例1ではΔTが5℃、実施例2ではΔTが6℃、実施例3ではΔTが6℃、実施例4ではΔTが8℃と小さかったのに対し、比較例1では、ΔTは、12℃と大きくなっていた。
また、実施例3、4の比較では、実施例4の方が若干ΔTが大きい。支持部材およびセラミック基板自体がほぼ鏡面であるため接触面積が大きいためと推定される。
本発明のホットプレートの一例を模式的に示す断面図である。 図1に示すホットプレートの平面図である。 本発明のホットプレートの他の一例を模式的に示す断面図である。 本発明のホットプレートのさらに他の一例を模式的に示す断面図である。 (a)〜(d)は、本発明の図1に示すホットプレートを構成するセラミック基板の製造工程の一部を模式的に示す断面図である。 (a)〜(d)は、本発明の図3に示すホットプレートを構成するセラミック基板の製造工程の一部を模式的に示す断面図である。 従来のホットプレートの一例を模式的に示す断面図である。
符号の説明
10、50 ホットプレート
11 支持容器
11a 貫通孔
12 支持部材
18 固定具
23 ソケット
41、51 セラミック基板
42、52 抵抗発熱体
43、53 外部端子
44、54 有底孔
45、55 貫通孔
46、56 配線
47、57 測温素子
49、59 凹部
58 スルーホール

Claims (6)

  1. その表面または内部に抵抗発熱体が形成されたセラミック基板が、支持容器に配設されてなるホットプレートであって、
    前記セラミック基板は、前記支持容器の内部に設置された支持部材により支持されており、かつ、
    前記支持部材と前記セラミック基板との接触部は、前記抵抗発熱体が形成された領域の内部に存在することを特徴とするホットプレート。
  2. 前記支持部材は、弾性体からなる請求項1に記載のホットプレート。
  3. 前記弾性体は、金属製のバネである請求項2に記載のホットプレート。
  4. 前記支持部材は、セラミックである請求項1〜3のいずれか1に記載のホットプレート。
  5. 前記支持部材は、アルミナである請求項4に記載のホットプレート。
  6. 前記支持部材とセラミック基板の接触部の表面は、JIS R 0601でRmaxが0.1μm以上である請求項1〜5のいずれか1に記載のホットプレート。
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