JP2005026585A - セラミック接合体 - Google Patents

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康隆 伊藤
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Abstract

【課題】セラミック基板の加熱面に温度分布が生じることなく、半導体ウエハ、液晶基板等の被加熱物を均一に加熱することができるセラミック接合体を提供すること。
【解決手段】その内部に導電体が設けられた円板形状のセラミック基板の底面に保護セラミック体が接合されたセラミック接合体であって、保護セラミック体の熱伝導率は、セラミック基板の熱伝導率の80%以下であることを特徴とする。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に、半導体の製造、検査や光分野等に用いられるセラミック接合体に関する。
【0002】
【従来の技術】
エッチング装置や、化学的気相成長装置等を含む半導体製造・検査装置等においては、従来、基板として、熱伝導率が高く、強度も大きい窒化物セラミックや炭化物セラミックを使用し、これらのセラミックからなる板状体の表面に、金属粒子を焼結して形成した抵抗発熱体が設けられたセラミック基板が用いられてきた(例えば、特許文献1参照)。
このようなセラミックヒータでは、高温においても機械的な強度の大きいセラミック基板を用いているため、セラミック基板の厚さを薄くして熱容量を小さくすることができ、その結果、電圧や電流量の変化に対してセラミック基板の温度を迅速に追従させることができる。
【0003】
また、このようなセラミックヒータのなかには、特許文献2、特許文献3等に記載のように、円筒状又は円柱状等の保護セラミック体と円板状のセラミック基板とを接合させてセラミック接合体を構成し、半導体製造工程に用いる反応性ガスやハロゲンガス等から外部端子等の配線を保護する手段がとられたものがある。そして、従来、これらの保護セラミック体とセラミック基板とは同じ高熱伝導率の材料により構成されていた。
【0004】
しかしながら、これらのセラミック接合体(セラミックヒータ)の温度を上げ、上記セラミック基板の半導体ウエハ等を加熱する加熱面の温度を測定すると、上記保護セラミック体からの熱の逃散に起因して、上記加熱面の温度に温度分布が生じてしまうという問題があった。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−40330号公報
【特許文献2】
特許第2525974号公報
【特許文献3】
特公平6−28258号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、上記課題に鑑みてなされたものであり、セラミック基板の加熱面に温度分布が生じることなく、半導体ウエハ、液晶基板等の被加熱物を均一に加熱することができるセラミック接合体を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のセラミック接合体は、その内部に導電体が設けられた円板形状のセラミック基板の底面に、保護セラミック体が接合されたセラミック接合体であって、
上記保護セラミック体の熱伝導率は、上記セラミック基板の熱伝導率の80%以下であることを特徴とするものである。
【0008】
上記セラミック接合体によれば、セラミック基板の底面に接合された保護セラミック体の熱伝導率が上記セラミック基板の熱伝導率の80%以下と低く設定されているため、保護セラミック体からの熱の逃散量が低下し、その結果、加熱面の温度分布が減少し、半導体ウエハ、液晶基板等の被加熱物を均一に加熱することができる。
【0009】
上記導電体が発熱体であって、上記セラミック接合体は、ホットプレートとして機能するか、又は、上記導電体が静電電極であって、上記セラミック接合体は、静電チャックとして機能することが望ましい。
上記発熱体は、抵抗発熱体であってもよく、ペルチェ素子のような発熱素子であってもよい。上記発熱体が抵抗発熱体である場合、上記抵抗発熱体は、層状に形成されていてもよく、線条体で形成されていてもよい。
上記セラミック基板は、直径250mm以上であることが望ましい。セラミック基板の直径が250mm以上であると、セラミック基板が大口径となるために熱が拡散しやすく温度分布が発生し易くなるが、本発明では、保護セラミック体の熱伝導率を低下させており、本発明の効果がより有効に作用し、このような大口径のセラミック基板であっても加熱面の温度を均一にすることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態について説明する。
本発明のセラミック接合体は、その内部に導電体が設けられた円板形状のセラミック基板の底面に、保護セラミック体が接合されたセラミック接合体であって、上記保護セラミック体の熱伝導率は、上記セラミック基板の熱伝導率の80%以下であることを特徴とするものである。
本発明のセラミック接合体において、上記保護セラミック体は、柱状体や板状体であってもよく、筒状体のような中空体であってもよく、内部に空洞が存在せず、セラミックが充填された構造の充実体であってもよい。
【0011】
図11は、充実体からなる保護セラミック体481を用いたセラミック接合体(ホットプレート)400を模式的に示した断面図であり、充実体からなる保護セラミック体481の内部にソケット485を有する外部端子483及び導電線430が埋設されるとともに、測温素子180のリード線290も埋設されている。
【0012】
また、図12は、板状体からなるセラミック体581を用いたセラミック接合体(ホットプレート)500を模式的に示した断面図であり、充実体からなるセラミック体581の内部にソケット585を有する外部端子583及び導電線530が埋設されるとともに、測温素子180のリード線290も埋設されている。柱状体の場合、図13(a)〜(c)に示すように、三角柱状体150や四角柱状体160であってもよく、それ以上の多角柱状体170であってもよい。
【0013】
本発明で、その最も好適な例は、その内部に導電体が設けられた円板形状のセラミック基板の底面に、円筒形状の筒状保護セラミック体が接合されたセラミック接合体であって、
上記筒状保護セラミック体の熱伝導率は、上記セラミック基板の熱伝導率の80%以下であることを特徴とするセラミック接合体である。そこで、以下においては、このセラミック接合体について説明していくことにする。
【0014】
図1は、本発明のセラミック接合体の一例であるホットプレート(セラミックヒータ)を模式的に示した平面図であり、図2は、その断面図であり、図3は、図2に示した筒状保護セラミック体近傍の部分拡大断面図である。
【0015】
図2に示すように、このホットプレート10では、円板形状のセラミック基板11の底面11bの中央付近に、直接、セラミック基板11の80%以下の熱伝導率を有する筒状保護セラミック体17が接合されている。また、筒状保護セラミック体17は、支持容器の底板(図示せず)に密着するように形成されているため、筒状保護セラミック体17の内側と外側とは完全に隔離されている。
セラミック基板11の内部には、図1に示すように、同心円形状の回路からなる抵抗発熱体12が形成されており、これら抵抗発熱体12は、互いに近い二重の同心円同士が1組の回路として、1本の線になるように接続されている。
【0016】
また、図2に示すように、抵抗発熱体12と底面11bとの間には、セラミック基板11の中心方向に向かって延びる導体回路18が形成されており、抵抗発熱体端部12aと導体回路18の一端とはバイアホール130を介して接続されている。
【0017】
この導体回路18は、抵抗発熱体端部12aを中央部に延設するために形成されたものであり、セラミック基板11の内部において、筒状保護セラミック体17の内側の近傍にまで延びた導体回路18の他端の直下にはスルーホール13′およびこのスルーホール13′を露出させる袋孔19が形成され、このスルーホール13′は、半田層(図示せず)を介して先端がT字形状の外部端子23と接続されている。
【0018】
なお、抵抗発熱体端部12aが筒状保護セラミック体17の内側にある部分では、バイアホールや導体回路は必要がないので、抵抗発熱体の端部に直接スルーホール13が形成され、半田層を介して外部端子23と接続されている。
そして、これらの外部端子23には導電線230を有するソケット25が取り付けられ、この導電線230は、底板(図示せず)に形成された貫通孔から外部に引き出され、電源等(図示せず)と接続されている。
【0019】
一方、セラミック基板11の底面11bに形成された有底孔14には、リード線290を有する熱電対等の測温素子180が挿入され、耐熱性樹脂、セラミック(シリカゲル等)等を用いて封止されている。このリード線290は、碍子(図示せず)の内部を挿通しており、支持容器の底板に形成された貫通孔(図示せず)を通して外部に引き出されており、碍子の内部も外部と隔離されている。
さらに、セラミック基板11の中央に近い部分には、リフターピン(図示せず)を挿通するための貫通孔15が設けられている。
【0020】
上記リフターピンは、その上にシリコンウエハ等の被処理物を載置して上下させることができるようになっており、これにより、シリコンウエハを図示しない搬送機に渡したり、搬送機からシリコンウエハを受け取ったりするとともに、シリコンウエハをセラミック基板11の加熱面11aに載置して加熱したり、シリコンウエハを加熱面11aから50〜2000μm離間させた状態で支持し、加熱することができるようになっている。
【0021】
また、セラミック基板11に貫通孔や凹部を設け、この貫通孔または凹部に先端が尖塔状または半球状の支持ピンを挿入した後、支持ピンをセラミック基板11よりわずかに突出させた状態で固定し、上記支持ピンでシリコンウエハを支持することにより、加熱面11aから50〜2000μm離間させた状態で加熱してもよい。
【0022】
なお、支持容器の底板には、冷媒導入管等を設けてもよい。この場合、この冷媒導入管に、配管を介して冷媒を導入することより、セラミック基板11の温度や冷却速度等を制御することができる。
上述したように、このホットプレート10では、セラミック基板11の底面11bに、セラミック基板11の80%以下の熱伝導率を有する筒状保護セラミック体17が接合されているため、従来に比べて筒状保護セラミック体17を通して逃散する熱量が小さくなり、その結果、筒状保護セラミック体17が接合されている部分やその周辺での温度の低下が減少し、セラミック基板の加熱面における温度分布が小さくなり、半導体ウエハや液晶基板等の被加熱物全体を均一な温度で加熱することができる。
【0023】
また、筒状保護セラミック体17は図示しない支持容器の底板(容器壁)まで形成されており、筒状保護セラミック体17の内側とその外側とは、完全に隔離された状態となっているので、底板の貫通孔から引き出された導電線230を管状の部材で保護することにより、ホットプレート10の周囲が反応性ガスやハロゲンガス等を含む雰囲気となっており、これら反応性ガス等が支持容器の内部に入り込み易い状態であっても、筒状保護セラミック体17の内部の配線等が腐食することはない。なお、測温素子180からの配線290も、碍子等により保護されているため、腐食することはない。
【0024】
さらに、筒状保護セラミック体17の内部に不活性ガス等をゆっくり流し込んで、反応性ガスやハロゲンガス等が筒状保護セラミック体17の内部に流れ込まないようにすることにより、一層確実に導電線230の腐食を防止することができる。
筒状保護セラミック体17は、セラミック基板11をしっかりと支持する働きも有しているので、セラミック基板11が高温に加熱された際にも、自重により反るのを防止することができ、その結果、シリコンウエハ等の被処理物の破損を防止することもできる。
【0025】
本発明のセラミック接合体におけるセラミック基板の形状は、図1に示すように、円板形状であるが、その直径は、200mm以上が望ましく、250mm以上がより望ましい。上記セラミック接合体を、ホットプレートや静電チャックとして用いた場合、このような大きな直径を持つ基板は、大口径の半導体ウエハを載置することができるからである。また、大きな直径を持つホットプレートほど基板の周辺から逃散する熱量が大きくなり、加熱面の温度を不均一になりがちであるが、本発明では、筒状保護セラミック体17の熱伝導率が低いので、加熱面の温度は均一化されやすい。
【0026】
セラミック基板の直径は、特に12インチ(300mm)以上であることが望ましい。次世代の半導体ウエハの主流となるからである。
また、上記セラミック基板の厚さは、25mm以下であることが望ましい。上記セラミック基板の厚さが25mmを超えると温度追従性が低下するからである。また、その厚さは、0.5mm以上であることが望ましい。0.5mmより薄いと、セラミック基板の強度自体が低下するため破損しやすくなる。より望ましくは、1.5を超え5mm以下である。5mmより厚くなると、熱が伝搬しにくくなり、加熱の効率が低下する傾向が生じ、一方、1.5mm以下であると、セラミック基板中を伝搬する熱が充分に拡散しないため加熱面に温度ばらつきが発生することがあり、また、セラミック基板の強度が低下して破損する場合があるからである。
【0027】
本発明のセラミック接合体において、セラミック基板を形成するセラミックとしては特に限定されないが、例えば、窒化物セラミック、炭化物セラミック、酸化物セラミックが望ましい。
窒化物セラミック、炭化物セラミック、酸化物セラミックは、熱膨張係数が金属よりも小さく、機械的な強度が金属に比べて格段に高いため、セラミック基板の厚さを薄くしても、加熱により反ったり、歪んだりしない。そのため、セラミック基板を薄くて軽いものとすることができる。さらに、セラミック基板の熱伝導率が高く、セラミック基板自体が薄いため、セラミック基板の表面温度が、抵抗発熱体の温度変化に迅速に追従する。即ち、電圧、電流値を変えて抵抗発熱体の温度を変化させることにより、セラミック基板の表面温度を制御することができるのである。
【0028】
上記窒化物セラミックとしては、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、上記炭化物セラミックとしては、例えば、炭化ケイ素、炭化ジルコニウム、炭化チタン、炭化タンタル、炭化タングステン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
さらに、上記酸化物セラミックとしては、例えば、アルミナ、ジルコニア、コージュライト、ムライト等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0029】
これらのなかでは、窒化物セラミックである窒化アルミニウムが最も好ましい。熱伝導率が180W/m・Kと最も高く、温度追従性に優れるからである。
また、上記セラミック基板は、焼結助剤を含有していてもよい。上記焼結助剤としては、例えば、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、希土類酸化物等が挙げられる。これらの焼結助剤のなかでは、CaO、Y、NaO、LiO、RbOが好ましい。これらの含有量としては、0.1〜20重量%が好ましい。また、アルミナを含有していてもよい。
【0030】
また、本発明のセラミック基板は、カーボンを含有し、その含有量は、200〜5000ppmであることが望ましい。電極を隠蔽することができ、また黒体輻射を利用しやすくなるからである。
【0031】
なお、上記セラミック基板は、明度がJIS Z 8721の規定に基づく値でN6以下のものであることが望ましい。この程度の明度を有するものが輻射熱量、隠蔽性に優れるからである。
ここで、明度のNは、理想的な黒の明度を0とし、理想的な白の明度を10とし、これらの黒の明度と白の明度との間で、その色の明るさの知覚が等歩度となるように各色を10分割し、N0〜N10の記号で表示したものである。
そして、実際の測定は、N0〜N10に対応する色票と比較して行う。この場合の小数点1位は0または5とする。
【0032】
このような特性を有するセラミック基板11は、基板中にカーボンを100〜5000ppm含有させることにより得られる。カーボンには、非晶質のものと結晶質のものとがあり、非晶質のカーボンは、基板の高温における体積抵抗率の低下を抑制することでき、結晶質のカーボンは、基板の高温における熱伝導率の低下を抑制することができるため、その製造する基板の目的等に応じて適宜カーボンの種類を選択することができる。
【0033】
非晶質のカーボンは、例えば、C、H、Oだけからなる炭化水素、好ましくは、糖類を、空気中で焼成することにより得ることができ、結晶質のカーボンとしては、グラファイト粉末等を用いることができる。
また、アクリル系樹脂を不活性雰囲気下で熱分解させた後、加熱加圧することによりカーボンを得ることができるが、このアクリル系樹脂の酸価を変化させることにより、結晶性(非晶性)の程度を調整することもできる。
また、セラミック基板の気孔率は、0または5%以下が好ましい。高温での熱伝導率の低下、反りの発生を抑制することができるからである。上記気孔率はアルキメデス法により測定する。
【0034】
本発明のセラミック接合体における筒状保護セラミック体の熱伝導率は、セラミック基板の熱伝導率の80%以下である。
この筒状保護セラミック体は、熱伝導率がセラミック基板の熱伝導率の80%以下であれば、その材質は特に限定されないが、その主成分はなるべくセラミック基板と同じことが望ましい。筒状保護セラミック体は、セラミック基板の底面に接合する必要があり、良好な接合体を作製するためには、材質の差異が小さいことが望ましいからである。
【0035】
従って、主成分が同じ化合物からなるセラミックで、気孔率を増大させたり、焼結助剤や添加剤の種類を変える等して製造した、セラミック基板よりも熱伝導率が低い保護セラミック体を使用することが望ましい。例えば、セラミック基板として、イットリアを焼結助剤として使用して製造した窒化アルミニウム焼結体を用いる場合、筒状保護セラミック体には、焼結助剤としてアルミナを使用したセラミック基板よりも気孔率の高い窒化アルミニウム焼結体を用いることが考えられる。また、同じ焼結助剤(例えば、イットリア)を用いる場合には、その量を少なくして気孔率の高い焼結体を製造してもよい。このように主成分が同じ化合物からなるセラミックを用いることにより、接合が良好に進行し、加熱や冷却によりセラミック基板と筒状保護セラミック体との間に熱応力が作用しても剥がれ等が発生しにくい。ちなみに、窒化アルミニウム粉末100重量部に対してイットリア粉末2重量部を添加して焼結したセラミック基板の熱伝導率は、約180W/m・Kであり、窒化アルミニウム粉末100重量部に対してイットリア粉末を添加せずに焼結したセラミック基板の熱伝導率は、約90W/m・Kと約半分になる。
【0036】
さらに、接合等に問題がなければ、筒状保護セラミック体を他の種類のセラミック、例えば、石英等で構成することもできる。石英であれば、0.1W/m・Kと極めて小さいので、筒状保護セラミック体からの熱の逃散を防止することができる。
保護セラミック体として、上述した充実体や板状体等を使用した場合も、材料として同様のものを用いることができる。
【0037】
本発明のセラミック接合体における筒状保護セラミック体の形状は、円筒形状であるが、その内径は、30mm以上であることが望ましい。
30mm未満であると、セラミック基板をしっかりと支持することが困難になり、セラミック基板が高温に加熱された際、セラミック基板が自重によって反ってしまうおそれがあるからである。
【0038】
また、上記筒状保護セラミック体の厚さは、3〜20mmであることが望ましい。3mm未満であると、筒状保護セラミック体の厚さが薄すぎるため、機械的強度が乏しくなり、昇温と降温とを繰り返すことによって、上記筒状保護セラミック体が破損してしまうおそれがあり、20mmを超えると、筒状保護セラミック体の厚さが厚すぎるため、熱容量が大きくなり、昇温速度が低下しすぎるおそれがあるからである。なお、上記筒状保護セラミック体と上記セラミック基板とを接合する方法については、後で詳述することにする。
【0039】
また、図2に示すように、セラミック基板11には、被加熱物を載置する加熱面11aの反対側から加熱面11aに向けて有底孔14を設けるとともに、有底孔14の底を抵抗発熱体12よりも相対的に加熱面11aに近く形成し、この有底孔14に熱電対等の測温素子180を設けることが望ましい。
測温素子180により抵抗発熱体12の温度を測定し、そのデータをもとに電圧、電流量を変えて、温度を制御することができるからである。
【0040】
また、有底孔14の底と加熱面11aとの距離は、0.1mm〜セラミック基板の厚さの1/2であることが望ましい。
これにより、測温場所が抵抗発熱体12よりも加熱面11aに近くなり、より正確な半導体ウエハの温度の測定が可能となるからである。
【0041】
有底孔14の底と加熱面11aとの距離が0.1mm未満では、放熱してしまい、加熱面11aに温度分布が形成され、厚さの1/2を超えると、抵抗発熱体の温度の影響を受けやすくなり、温度制御できなくなり、やはり加熱面11aに温度分布が形成されてしまうからである。
【0042】
有底孔14の直径は、0.3mm〜5mmであることが望ましい。これは、大きすぎると放熱性が大きくなり、また小さすぎると加工性が低下して加熱面11aとの距離を均等にすることができなくなるからである。
【0043】
有底孔14は、図1に示したように、セラミック基板11の中心に対して対称で、かつ、十字を形成するように複数配列することが望ましい。これは、加熱面全体の温度を測定することができるからである。
【0044】
上記測温素子としては、例えば、熱電対、白金測温抵抗体、サーミスタ等が挙げられる。
【0045】
また、上記熱電対としては、例えば、JIS−C−1602(1980)に挙げられるように、K型、R型、B型、S型、E型、J型、T型熱電対等が挙げられるが、これらのなかでは、K型熱電対が好ましい。また、熱電対が一端部が閉鎖された細い筒状体に挿入され、2種の金属が接続された部分が上記一端部付近まで達し、その周囲がアルミナ等の酸化物粉末の充填物により満たされたシース熱電対を使用してもよい。シース熱電対の先端を有底孔に挿入し、バネ等を用いて機械的に固定することにより、容易かつ正確にセラミック基板の温度を測定することができるからである。
【0046】
上記熱電対の接合部の大きさは、素線の径と同じか、または、それよりも大きく、0.5mm以下であることが望ましい。これは、接合部が大きい場合は、熱容量が大きくなって応答性が低下してしまうからである。なお、素線の径より小さくすることは困難である。
【0047】
通常、上記測温素子は、金ろう、銀ろうなどを使用して、有底孔14の底に接着してもよく、有底孔14に挿入した後、耐熱性樹脂、セラミック(シリカゲル等)等で封止してもよく、両者を併用してもよい。
上記耐熱性樹脂としては、例えば、熱硬化性樹脂、特にはエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド−トリアジン樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0048】
上記金ろうとしては、37〜80.5重量%Au−63〜19.5重量%Cu合金、81.5〜82.5重量%:Au−18.5〜17.5重量%:Ni合金から選ばれる少なくとも1種が望ましい。これらは、溶融温度が、900℃以上であり、高温領域でも溶融しにくいためである。
銀ろうとしては、例えば、Ag−Cu系のものを使用することができる。
【0049】
さらに、本発明に係るホットプレート10の測温手段として、サーモビュア等の光学的な手段を用いた測温手段を用いることも可能である。
上記サーモビュアを用いた場合には、セラミック基板11の加熱面11aの温度を測定することができるほか、シリコンウエハ等の被加熱物表面の温度を直接測定することができるため、被加熱物の温度制御の精度が向上する。
【0050】
セラミック基板の内部に形成される抵抗発熱体のパターンとしては、図1に示した同心円形状のほか、渦巻き形状、偏心円形状、同心円形状と屈曲線形状との組み合わせなどを挙げることができる。また、抵抗発熱体12の厚さは、1〜50μmが望ましく、その幅は、5〜20μmが望ましい。
抵抗発熱体12の厚さや幅を変化させることにより、その抵抗値を変化させることができるが、この範囲が最も実用的だからである。抵抗発熱体12の抵抗値は、その厚さが薄く、また、その幅が狭くなるほど大きくなる。
【0051】
抵抗発熱体12は、断面が方形、楕円形、紡錘形、蒲鉾形状のいずれでもよいが、偏平なものであることが望ましい。偏平の方が加熱面11aに向かって放熱しやすいため、加熱面11aへの熱伝搬量を多くすることができ、加熱面11aの温度分布ができにくいからである。なお、抵抗発熱体12は螺旋形状でもよい。
【0052】
ホットプレート10において、抵抗発熱体12からなる回路の数は1以上であれば特に限定されないが、加熱面11aを均一に加熱するためには、複数の回路が形成されていることが望ましい。
【0053】
また、抵抗発熱体12の形成位置は、セラミック基板11の内部であれば、特に限定されないが、セラミック基板11の底面11bからその厚さの60%までの位置に少なくとも1層形成されていることが好ましい。加熱面11aまで熱が伝搬する間に拡散し、加熱面11aでの温度が均一になりやすいからである。
【0054】
また、抵抗発熱体12を形成する際には、金属や導電性セラミックからなる導体ペーストを用いることが好ましい。即ち、セラミック基板11の内部に抵抗発熱体12を形成する際には、グリーンシート上に導体ペースト層を形成した後、グリーンシートを積層、焼成することにより、内部に抵抗発熱体12を作製する。上記導体ペーストとしては特に限定されないが、導電性を確保するため金属粒子または導電性セラミックが含有されているほか、樹脂、溶剤、増粘剤などを含むものが好ましい。
【0055】
上記金属粒子としては、例えば、貴金属(金、銀、白金、パラジウム)、鉛、タングステン、モリブデン、ニッケル等が好ましい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの金属は、比較的酸化しにくく、発熱するに充分な抵抗値を有するからである。
【0056】
上記導電性セラミックとしては、例えば、タングステン、モリブデンの炭化物などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これら金属粒子または導電性セラミック粒子の粒径は、0.1〜100μmが好ましい。0.1μm未満と微細すぎると、酸化されやすく、一方、100μmを超えると、焼結しにくくなり、抵抗値が大きくなるからである。
【0057】
上記金属粒子の形状は、球状であっても、リン片状であってもよい。これらの金属粒子を用いる場合、上記球状物と上記リン片状物との混合物であってよい。
上記金属粒子がリン片状物、または、球状物とリン片状物との混合物の場合は、金属粒子間の金属酸化物を保持しやすくなり、抵抗発熱体12とセラミック基板11との密着性を確実にし、かつ、抵抗値を大きくすることができるため有利である。
【0058】
導体ペーストに使用される樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。また、溶剤としては、例えば、イソプロピルアルコール等が挙げられる。増粘剤としては、セルロース等が挙げられる。
【0059】
また、基板の内部に導体回路18を形成する際には、上述した抵抗発熱体12を形成する際に使用した金属や導電性セラミックからなる導体ペーストを用いることができるほか、電極等を形成する際に通常に用いられる導体ペースト等を用いることができるが、形成された導体回路は発熱しないように抵抗が低いことが望ましい。抵抗発熱体が形成されている領域と重なることが多いと考えられるので、発熱するとその領域だけが温度が高くなりすぎるおそれがあるからである。
【0060】
導体回路18の大きさは特に限定されず、幅は0.1〜50mm、厚さは0.1〜500μmが好ましく、長さは、抵抗発熱体12の端部からセラミック基板11の中央付近に接合された筒状保護セラミック体17の内側までの距離に合わせて適宜調整される。
【0061】
本発明では、ソケット25を介して外部端子23と接続されている導電線230は、他の導電線230との間の短絡等を防止するために、耐熱性の絶縁部材で被覆されていることが望ましい。
このような絶縁性部材としては、筒状保護セラミック体17と同様の窒化アルミニウムや、その他、アルミナ、シリカ、ムライト、コージェライト等の酸化物セラミック、窒化珪素、および、炭化珪素等が挙げられる。
【0062】
また、図1〜3に示したホットプレート10では、通常、セラミック基板11が支持容器(図示せず)の上部に嵌合されているが、他の実施の形態においては、基板が上端に基板受け部を有する支持容器の上面に載置され、ボルト等の固定部材により固定されていてもよい。
【0063】
なお、上述した本発明に係るホットプレート10は、100℃以上で使用することが望ましく、200℃以上で使用することがより望ましい。
【0064】
本発明のセラミック接合体を構成するセラミック基板は、半導体の製造や半導体の検査を行うためや、液晶基板の加熱等に用いられるものであり、具体的には、例えば、静電チャック、サセプタ、ホットプレート(セラミックヒータ)等が挙げられる。
【0065】
上述したホットプレートは、セラミック基板の内部に抵抗発熱体のみが設けられた装置であり、これにより、シリコンウエハ等の被処理物をセラミック基板の表面に載置または離間させて保持し、所定の温度に加熱したり洗浄を行うことができる。
【0066】
本発明のセラミック接合体を構成するセラミック基板の内部に形成された導電体が静電電極および導体回路である場合には、上記セラミック接合体は、静電チャックとして機能する。
図4は、このような静電チャックを模式的に示す縦断面図であり、図5は、その部分拡大断面図であり、図6は、静電チャックを構成する基板に形成された静電電極付近を模式的に示す水平断面図である。
【0067】
この静電チャック30を構成するセラミック基板31の内部には、半円形状のチャック正負極静電層32a、32bが対向して配設され、これらの静電電極上にセラミック誘電体膜34が形成されている。また、セラミック基板31の内部には、抵抗発熱体320が設けられ、シリコンウエハ等の被処理物を加熱することができるようになっている。なお、セラミック基板31には、必要に応じて、RF電極が埋設されていてもよい。
【0068】
上記静電電極は、貴金属(金、銀、白金、パラジウム)、鉛、タングステン、モリブデン、ニッケル等の金属、または、タングステン、モリブデンの炭化物等の導電性セラミックからなるものであることが好ましい。また、これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
この静電チャック30は、図4、5に示した通り、セラミック基板31中に静電電極32a、32bが形成され、静電電極32a、32bの端部の直下にスルーホール33が形成され、静電電極32上にセラミック誘電体膜34が形成されている以外は、上述したホットプレート10と同様に構成されている。
すなわち、セラミック基板31の底面の中央付近には、熱伝導率がセラミック基板31の80%以下である筒状保護セラミック体37が接合されている。
【0069】
筒状保護セラミック体37の内側の上方には、スルーホール33、330が形成されており、これらのスルーホール33、330は、静電電極32a、32b、抵抗発熱体320に接続されるとともに、袋孔390に挿入された外部端子360に接続され、この外部端子360の一端には、導電線331を有するソケット350が接続されている。そして、この導電線331が貫通孔(図示せず)より外部に引き出されている。
【0070】
また、筒状保護セラミック体37の外側に端部を有する抵抗発熱体320の場合には、図1〜3に示したホットプレート10の場合と同様に、バイアホール39、導体回路380およびスルーホール330′を形成することより、抵抗発熱体320の端部を筒状保護セラミック体37の内側に延設している(図5参照)。従って、スルーホール330′を露出させる袋孔390に外部端子360を挿入して接続することにより、筒状保護セラミック体37の内側に外部端子360を格納することができる。
【0071】
このような静電チャック30を作動させる場合には、抵抗発熱体320および静電電極32に、それぞれ電圧を印加する。これにより、静電チャック30上に載置されたシリコンウエハが所定温度に加熱されるとともに、静電的にセラミック基板31に吸着されることになる。なお、この静電チャックは、必ずしも、抵抗発熱体320を備えていなくてもよい。
【0072】
この静電チャック30では、セラミック基板31の底面に、熱伝導率がセラミック基板31の80%以下である筒状保護セラミック体37が接合されているため、筒状保護セラミック体37を通って逃散する熱量が小さくなり、セラミック基板31の加熱面の温度分布が小さくなる。
【0073】
図7は、他の静電チャックの基板に形成された静電電極を模式的に示した水平断面図である。基板71の内部に半円弧状部72aと櫛歯部72bとからなるチャック正極静電層72と、同じく半円弧状部73aと櫛歯部73bとからなるチャック負極静電層73とが、互いに櫛歯部72b、73bを交差するように対向して配置されている。
【0074】
また、図8は、更に別の静電チャックの基板に形成された静電電極を模式的に示した水平断面図である。この静電チャックでは、基板81の内部に円を4分割した形状のチャック正極静電層82a、82bとチャック負極静電層83a、83bが形成されている。また、2枚のチャック正極静電層82a、82bおよび2枚のチャック負極静電層83a、83bは、それぞれ交差するように形成されている。
【0075】
なお、円形等の電極が分割された形態の電極を形成する場合、その分割数は特に限定されず、5分割以上であってもよく、その形状も扇形に限定されない。
次に、本発明のセラミック接合体の製造方法の一例として、ホットプレートの製造方法について、図9を参照しながら説明する。
図9(a)〜(d)は、本発明に係るホットプレートの製造方法の一部を模式的に示した断面図である。
【0076】
(1)グリーンシートの作製工程
まず、窒化物セラミック等のセラミックの粉末をバインダ、溶剤等と混合してペーストを調製し、これを用いてグリーンシート50を作製する。
上述した窒化物等のセラミック粉末としては、窒化アルミニウム等を使用することができ、必要に応じて、イットリア等の焼結助剤、Na、Caを含む化合物等を加えてもよい。
【0077】
また、バインダとしては、アクリル系バインダ、エチルセルロース、ブチルセロソルブ、ポリビニルアルコールから選ばれる少なくとも1種が望ましい。
さらに溶媒としては、α−テルピネオール、グリコールから選ばれる少なくとも1種が望ましい。
これらを混合して得られるペーストをドクターブレード法でシート状に成形してグリーンシート50を作製する。
グリーンシート50の厚さは、0.1〜5mmが好ましい。
【0078】
次に、抵抗発熱体の端部と導体回路とを接続するためのバイアホールとなる部分630を形成したグリーンシートと、導体回路と外部端子とを接続するためのスルーホールとなる部分63、63′を形成したグリーンシートを作製する。
【0079】
また、必要に応じて、シリコンウエハを運搬するためのリフターピンを挿入する貫通孔となる部分、シリコンウエハを支持するための支持ピンを挿入する貫通孔となる部分、熱電対などの測温素子を埋め込むための有底孔となる部分等を形成する。なお、貫通孔や有底孔は、後述するグリーンシート積層体を形成した後、または、上記積層体を形成し、焼成した後に上記加工を行ってもよい。
【0080】
なお、バイアホールとなる部分630およびスルーホールとなる部分63、63′には、上記ペースト中にカーボンを加えておいたものを充填してもよい。グリーンシート中のカーボンは、スルーホール中に充填されたタングステンやモリブデンと反応し、これらの炭化物が形成されるからである。
【0081】
(2)グリーンシート上に導体を含む層を形成する工程
バイアホールになる部分630を形成したグリーンシート上に、金属ペーストまたは導電性セラミックを含む導体ペーストを印刷し、導体を含む導体ペースト層62を形成する。
これらの導体ペースト中には、金属粒子または導電性セラミック粒子が含まれている。
【0082】
上記金属粒子であるタングステン粒子またはモリブデン粒子等の平均粒径は、0.1〜5μmが好ましい。平均粒子が0.1μm未満であるか、5μmを超えると、導体ペーストを印刷しにくいからである。
このような導体ペーストとしては、例えば、金属粒子または導電性セラミック粒子85〜87重量部;アクリル系、エチルセルロース、ブチルセロソルブ、ポリビニルアルコールから選ばれる少なくとも1種のバインダ1.5〜10重量部;および、α−テルピネオール、グリコールから選ばれる少なくとも1種の溶媒を1.5〜10重量部混合した組成物(ペースト)が挙げられる。
また、スルーホールとなる部分63、63′を形成したグリーンシート上に、静電電極等を形成するときに通常使用される導体ペーストを印刷して、導体ペースト層68を形成する。
【0083】
上記説明においては、グリーンシート上にスクリーン印刷等により導体ペースト層を形成したが、金属粒子または導電性セラミック粒子を含むグリーンシートを形成し、その後、このグリーンシートから抵抗発熱体のパターンを打ち抜き、下記の(3)の工程で、このグリーンシートの打ち抜き体をセラミック基板材料を含むグリーンシートの間に挟み込んでもよい。
【0084】
(3)グリーンシートの積層工程
導体ペースト層62を印刷したグリーンシート上に、導体ペーストを印刷していないグリーンシート50を複数積層し、その下に、導体ペースト層68を形成したグリーンシートを重ねる。そして、このグリーンシートの下に、更に、何も印刷していないグリーンシート50を複数積層する(図9(a))。
【0085】
このとき、導体ペースト層62を印刷したグリーンシートの上側に積層するグリーンシート50の数を下側に積層するグリーンシート50の数よりも多くして、製造する抵抗発熱体の形成位置を底面側の方向に偏芯させる。
具体的には、上側のグリーンシート50の積層数は20〜50枚が、下側のグリーンシート50の積層数は5〜20枚が好ましい。また、グリーンシートの間に抵抗発熱体となるタングステン線を挟み込んでもよい。
【0086】
(4)グリーンシート積層体の焼成工程
グリーンシート積層体の加熱、加圧を行い、グリーンシート50および内部の導体ペースト層62、68等を焼結させ、セラミック基板11、抵抗発熱体12および導体回路18等を製造する(図9(b))。
【0087】
加熱温度は、1000〜2000℃が好ましく、加圧の圧力は、10〜20MPaが好ましい。加熱は、不活性ガス雰囲気中で行う。不活性ガスとしては、例えば、アルゴン、窒素等を使用することができる。
【0088】
次に、セラミック基板11の底面11bに、測温素子を挿入するための有底孔を設ける(図示せず)。上記有底孔は、表面研磨後に、ドリル加工やサンドブラストなどのブラスト処理等を行うことにより形成することができる。なお、上記有底孔や凹部は、後述するセラミック基板11と筒状保護セラミック体17とを接合した後に設けてもよく、グリーンシート50に予め有底孔となる部分を設けておき、グリーンシート50を積層、焼成すると同時に形成してもよい。
また、内部の抵抗発熱体12と接続するためのスルーホール13、13′を露出させるために袋孔19を形成する。この袋孔19もセラミック基板11と筒状保護セラミック体17とを接合した後に設けてもよい。
【0089】
(5)筒状保護セラミック体の製造
窒化アルミニウム粉末等を円筒形状の成形型に入れて成形し、必要に応じて切断加工する。これを加熱温度1000〜2000℃、常圧で焼結させて筒状保護セラミック体17を製造する。上記焼結は、不活性ガス雰囲気中で行う。不活性ガスとしては、例えば、アルゴン、窒素等を使用することができる。この場合、上述したように、セラミック基板に用いた焼結助剤とは異なる焼結助剤を用いたり、イットリア等の焼結助剤の量を低減することにより、気孔率が高く、その熱伝導率がセラミック基板の80%以下の筒状保護セラミック体を製造することができる。接合等に問題がなければ、他の種類のセラミックを用いてもよい。
【0090】
また、筒状保護セラミック体17の大きさは、セラミック基板の内部に形成したスルーホール13,13′がその内側に収まるように調整する。
次いで、筒状保護セラミック体17の端面を研磨して平坦化する。
【0091】
(6)セラミック基板と筒状保護セラミック体との接合
セラミック基板11の底面11bの中央付近と筒状保護セラミック体17の端面とを接触させた状態で、セラミック基板11と筒状保護セラミック体17とを加熱して、これらを接合する。このとき、筒状保護セラミック体17の内径の内側にセラミック基板11内のスルーホール13,13′が収まるようにし、筒状保護セラミック体17をセラミック基板11の底面11bに接合する(図9(c))。
【0092】
具体的には、図10に示すような開口91を設けたマスク90をセラミック基板11の底面に載置した後、開口91に筒状保護セラミック体17を嵌め込み、加熱することで、セラミック基板11と筒状保護セラミック体17とを接合する。なお、セラミック基板11と筒状保護セラミック体17とを接合する方法として、金ろう、銀ろう等を用いてろう付けする方法、酸化物系ガラス等の接着剤を用いて接合する方法等を用いることができる。
【0093】
また、セラミック基板11および筒状保護セラミック体17を形成するセラミックと主成分が同じセラミックペーストを塗布し、これを焼結させる方法、セラミック基板や筒状保護セラミック体の接合面に焼結助剤を含有する溶液を塗布する方法によっても、セラミック基板11と筒状保護セラミック体17とを接合することができる。
【0094】
本発明では、例えば、主成分が同じ化合物からなり、その気孔率のみが異なるか、焼結助剤等が異なるセラミックをセラミック基板と筒状保護セラミック体とに用いることにより、セラミック基板11と筒状保護セラミック体17とを強固に接合することができる。
【0095】
(7)端子等の取り付け
筒状保護セラミック体17の内径の内側に形成した袋孔19に、半田やろう材を介して外部端子23を挿入し、加熱してリフローすることにより、外部端子23をスルーホール13、13′に接続する(図9(d))。
上記加熱温度は、半田処理の場合には90〜450℃が好適であり、ろう材での処理の場合には、900〜1100℃が好適である。
【0096】
次に、この外部端子23にソケット25を介して電源に接続される導電線230に接続する(図2参照)。
更に、測温素子としての熱電対等を、形成した有底孔に挿入し、耐熱性樹脂等で封止することで、その底面に筒状保護セラミック体を備えたホットプレートを製造することができる。シース熱電対を上記有底孔に挿入することにより、セラミック基板の温度を測定することとしてもよい。
【0097】
このホットプレートでは、その上にシリコンウエハ等の半導体ウエハを載置するか、または、シリコンウエハ等をリフターピンや支持ピン等で保持させた後、シリコンウエハ等の加熱や冷却を行いながら、洗浄等の操作を行うことができる。
【0098】
上記ホットプレートを製造する際に、セラミック基板の内部に静電電極を設けることにより静電チャックを製造することができる。ただし、この場合は、静電電極と外部端子とを接続するためのスルーホールを形成する必要があるが、支持ピンを挿入するための貫通孔を形成する必要はない。
【0099】
セラミック基板の内部に電極を設ける場合には、抵抗発熱体を形成する場合と同様にグリーンシートの表面に静電電極となる導体ペースト層を形成するか、静電電極となる導電体粉末を含むグリーンシートから静電電極パターンを打ち抜いた打ち抜き体を載置してもよい。
【0100】
また、上記した工程でグリーンシート積層体を作製する代わりに、上述した窒化アルミニウムや炭化珪素などの窒化物等のセラミックの粉末に必要に応じてイットリア(Y)やBC等の焼結助剤、Na、Caを含む化合物、バインダ等を配合してスラリーを調製した後、このスラリーをスプレードライ等の方法で顆粒状にし、この顆粒を金型に入れて加圧することにより板状などに成形し、生成形体(グリーン)を作製してもよい。この際、セラミック基板の内部に抵抗発熱体を形成するには、この顆粒を金型に入れる際、タングステン線を内部に埋設してもよく、上述した抵抗発熱体となる導電体粉末を含むグリーンシートから抵抗発熱体パターンを打ち抜いた打ち抜き体を埋設してもよい。
【0101】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
【実施例】
(実施例1) 静電チャックの製造(図4〜6参照)
(1)窒化アルミニウム粉末(トクヤマ社製、平均粒径1.1μm)100重量部、イットリア(平均粒径0.4μm)2重量部、アクリル系樹脂バインダ12重量部、分散剤0.5重量部および1−ブタノールとエタノールとからなるアルコール53重量部を混合した組成物を用い、ドクターブレード法を用いて成形することにより厚さ0.47mmのグリーンシートを得た。
【0102】
(2)次に、このグリーンシートを80℃で5時間乾燥した後、何も加工を施していないグリーンシートと、パンチングを行い、発熱体と導体回路とを接続するためのバイアホール用貫通孔を設けたグリーンシートと、導体回路と外部端子とを接続するためのバイアホール用貫通孔を設けたグリーンシートと、静電電極と外部端子とを接続するためのスルーホール用貫通孔を設けたグリーンシートとを作製した。
【0103】
(3)平均粒子径1μmのタングステンカーバイト粒子100重量部、アクリル系樹脂バインダ7.5重量部、分散剤0.2重量部、1−ブタノールとエタノールとからなるアルコール53重量部を混合した組成物を用い、ドクターブレード法を用いて成形することにより厚さ0.06mmのグリーンシートを得た。そして、このグリーンシートの打ち抜きを行って、図1に示した抵抗発熱体のパターンからなるグリーンシート打ち抜き体を得るとともに、図6に示した静電電極のパターンからなるグリーンシート打ち抜き体を得た。
【0104】
(4)平均粒子径1μmのタングステンカーバイト粒子100重量部、アクリル系バインダ3.5重量部、α−テルピネオール溶媒5重量部、分散剤0.5重量部を混合して導体ペーストを調製した。
そして、発熱体と導体回路とを接続するためのバイアホール用貫通孔と外部端子を接続するためのスルーホール用貫通孔に導体ペーストを充填するとともに、導体ペーストを用い、導体回路となる部分を印刷した。
【0105】
次に、上記処理の終わった各グリーンシートを積層したが、その際、所定の位置に、静電電極のパターンからなる打ち抜き体と抵抗発熱体のパターンからなるグリーンシート打ち抜き体とを挟んだ。
すなわち、抵抗発熱体のパターンからなるグリーンシート打ち抜き体を載置した後、このグリーンシート打ち抜き体が載置されたグリーンシートの上側(加熱面側)に、スルーホール33となる部分のみが形成されたグリーンシートを34枚積層し、そのすぐ下側(底面側)に導体回路となる導体ペースト層が印刷されたグリーンシートを積層し、さらに、その下側にスルーホール33、330、330′となる部分が形成されたグリーンシートを12枚積層した。
【0106】
このように積層したグリーンシートの最上部に、静電電極のパターンからなるグリーンシート打ち抜き体を載置し、さらにその上に何の加工もしていないグリーンシートを2枚積層し、これらを130℃、8MPaの圧力で圧着して積層体を形成した。
【0107】
(5)次に、得られた積層体を窒素ガス中、350℃で5時間脱脂し、その後、1890℃、圧力15MPaの条件で3時間ホットプレスし、厚さ3mmの窒化アルミニウム板状体を得た。
これを直径230mmの円板状に切り出し、内部に、厚さが5μm、幅が2.4mmの発熱体320、厚さが20μm、幅が10mmの導体回路380および厚さ6μmのチャック正極静電層32a、チャック負極静電層32bを有するセラミック基板31とした。
【0108】
(6)次に、(5)で得られたセラミック基板31を、ダイヤモンド砥石で研磨した後、マスクを載置し、ガラスビーズによるブラスト処理で表面に熱電対のための有底孔300を設け、セラミック基板31の底面31bで、スルーホール33、330が形成されている部分をえぐりとって袋孔390を形成した。
【0109】
(7)窒化アルミニウム粉末(トクヤマ社製、平均粒径1.1μm)100重量部、アクリル系樹脂バインダ4重量部、分散剤0.5重量部および1−ブタノールとエタノールとからなるアルコール53重量部を混合した組成物を用い、スプレードライ法により顆粒を製造し、この顆粒をパイプ状の金型に入れ、常圧、1890℃で焼結させ、長さ200mm、外径45mm、内径35mmの筒状保護セラミック体37を製造した。
【0110】
(8)セラミック基板31の底面31bであって、袋孔390がその内径の内側に収まるような位置に、筒状保護セラミック体37の端面を接触させ、1890℃に加熱することで、セラミック基板31と筒状保護セラミック体37とを接合した。
【0111】
具体的には、図10に示すような開口91を設けたマスク90をセラミック基板31の底面に載置した後、開口91に筒状保護セラミック体37を嵌め込み、加熱することで、セラミック基板31と筒状保護セラミック体37とを接合した。
【0112】
(9)次に、筒状保護セラミック体37の内部の袋孔390に、Au/Niろう(Au:82重量%、Ni:18重量%、リフロー温度:1000℃)を用いて、外部端子360を取り付けた。そして、外部端子360にソケット350を介して導電線331を接続した。
【0113】
(10)そして、温度制御のための熱電対を有底孔300に挿入し、シリカゾルを充填し、190℃で2時間硬化、ゲル化させることで、その内部に静電電極、発熱体、導体回路、バイアホールおよびスルーホールが設けられたセラミック基板の底面に、筒状保護セラミック体が接合され、上記セラミック基板が静電チャックとして機能するセラミック接合体を製造した。
【0114】
(実施例2) セラミックヒータの製造
(1)窒化アルミニウム粉末(平均粒径:0.6μm)100重量部、イットリア(平均粒径:0.4μm)4重量部、アクリルバインダ12重量部およびアルコールからなる組成物のスプレードライを行い、顆粒状の粉末を作製した。
【0115】
(2)次に、この顆粒状の粉末を金型に入れるとともに、その内部にタングステン線を埋設し、平板状に成形して生成形体(グリーン)を得た。タングステン線の端部には、外部端子との接合が容易になるように、タングステンからなる円柱形状の導電体(スルーホール)が接合されており、この導電体の位置をセラミック基板の底面からわずかに内部に入り込んだ位置になるように設定した。
(3)次に、この生成形体を1800℃、圧力:20MPaでホットプレスし、厚さが3mmの窒化アルミニウム板状体を得た。
【0116】
次に、この板状体から直径210mmの円板体を切り出し、セラミック製の板状体(セラミック基板)とした。なお、タングステン線からなる抵抗発熱体の端部は、後述する筒状保護セラミック体を接合した際に、上記筒状保護セラミック体の内部に存在するように設定した。
【0117】
(4)次に、(3)で得られたセラミック基板を、ダイヤモンド砥石で研磨した後、マスクを載置し、ガラスビーズによるブラスト処理で表面に熱電対のための有底孔を設け、セラミック基板の底面で、導電体が埋設されている部分を抉り取って有底孔を形成した。
【0118】
(5)窒化アルミニウム粉末(トクヤマ社製、平均粒径1.1μm)100重量部、Al(平均粒径0.4μm)10重量部、アクリル系樹脂バインダ4重量部、分散剤0.5重量部および1−ブタノールとエタノールとからなるアルコール53重量部を混合した組成物を用い、スプレードライ法により顆粒を製造し、この顆粒を円筒状の金型に入れ、常圧、1890℃で焼結させ、筒状保護セラミック体を製造した。
【0119】
(6)セラミック基板および筒状保護セラミック体の接合面に硝酸イットリウム(2.61×10−1mol/L)水溶液を塗布した後、セラミック基板の底面であって、袋孔がその内径の内側に収まるような位置に、筒状保護セラミック体の端面を接触させ、1890℃に加熱することで、セラミック基板と筒状保護セラミック体とを接合した。
具体的には、実施例1の場合と同様にしてセラミック基板と筒状保護セラミック体とを接合した。
【0120】
(7)次に、筒状保護セラミック体の内部の有底孔に、銀ろう(Ag:40重量%、Cu:30重量%、Zn:28重量%、Ni:1.8重量%、残部:その他の元素、リフロー温度:800℃)を用いて、外部端子を取り付けた。そして、外部端子にソケットを介して導電線を接続した。
【0121】
(8)そして、温度制御のための熱電対を有底孔に挿入し、シリカゾルを充填し、190℃で2時間硬化、ゲル化させることで、その内部に発熱体、導体回路、バイアホールおよびスルーホールが設けられたセラミック基板の底面に、筒状保護セラミック体が接合され、上記セラミック基板がセラミックヒータとして機能するセラミック接合体を製造した。
【0122】
(実施例3) 静電チャックの製造(図4〜6参照)
(1)窒化アルミニウム粉末(トクヤマ社製、平均粒径1.1μm)100重量部、イットリア(平均粒径0.4μm)4重量部、アクリル系樹脂バインダ12重量部、分散剤0.5重量部および1−ブタノールとエタノールとからなるアルコール53重量部を混合した組成物を用い、ドクターブレード法を用いて成形することにより厚さ0.47mmのグリーンシートを得た。
【0123】
(2)次に、このグリーンシートを80℃で5時間乾燥した後、何も加工を施していないグリーンシートと、パンチングを行い、発熱体と導体回路とを接続するためのバイアホール用貫通孔を設けたグリーンシートと、導体回路と外部端子とを接続するためのバイアホール用貫通孔を設けたグリーンシートと、静電電極と外部端子とを接続するためのスルーホール用貫通孔を設けたグリーンシートとを作製した。
【0124】
(3)平均粒子径1μmのタングステンカーバイド粒子100重量部、アクリル系バインダ3.0重量部、α−テルピネオール溶媒3.5重量部、分散剤0.3重量部を混合して導体ペーストAを調製した。
また、平均粒子径3μmのタングステン粒子100重量部、アクリル系バインダ1.9重量部、α−テルピネオール溶媒3.7重量部、分散剤0.2重量部を混合して導体ペーストBを調製した。
【0125】
(4)バイアホール用貫通孔を設けたグリーンシートの表面に、導体ペーストAをスクリーン印刷法により印刷し、発熱体となる導体ペースト層を印刷した。また、導体回路と外部端子とを接続するためのスルーホール用貫通孔を設けたグリーンシートの表面に、上記導電性ペーストAをスクリーン印刷法により印刷し、導体回路となる導体ペースト層を印刷した。更に、何も加工を施していないグリーンシートに図7に示した形状の静電電極パターンからなる導体ペースト層を形成した。
【0126】
更に、発熱体と導体回路とを接続するためのバイアホール用貫通孔と外部端子を接続するためのスルーホール用貫通孔に導体ペーストBを充填した。
次に、上記処理の終わった各グリーンシートを積層した。
【0127】
まず、発熱体となる導体ペースト層が印刷されたグリーンシートの上側(加熱面側)に、スルーホール33となる部分のみが形成されたグリーンシートを34枚積層し、そのすぐ下側(底面側)に導体回路となる導体ペースト層が印刷されたグリーンシートを積層し、さらに、その下側にスルーホール33、330、330′となる部分が形成されたグリーンシートを12枚積層した。
このように積層したグリーンシートの最上部に、静電電極パターンからなる導体ペースト層を印刷したグリーンシートを積層し、さらにその上に何の加工もしていないグリーンシートを2枚積層し、これらを130℃、8MPaの圧力で圧着して積層体を形成した。
【0128】
(5)次に、得られた積層体を窒素ガス中、600℃で5時間脱脂し、その後、1890℃、圧力15MPaの条件で3時間ホットプレスし、厚さ3mmの窒化アルミニウム板状体を得た。
これを直径230mmの円板状に切り出し、内部に、厚さが5μm、幅が2.4mmの発熱体320、厚さが20μm、幅が10mmの導体回路380および厚さ6μmのチャック正極静電層32a、チャック負極静電層32bを有するセラミック基板31とした。
【0129】
(6)次に、(5)で得られたセラミック基板31を、ダイヤモンド砥石で研磨した後、マスクを載置し、ガラスビーズによるブラスト処理で表面に熱電対のための有底孔300を設け、セラミック基板31の底面31bで、スルーホール33、330が形成されている部分をえぐりとって袋孔390を形成した。
【0130】
(7)窒化アルミニウム粉末(トクヤマ社製、平均粒径1.1μm)100重量部、アクリル系樹脂バインダ4重量部、分散剤0.5重量部および1−ブタノールとエタノールとからなるアルコール53重量部を混合した組成物を用い、スプレードライ法により顆粒を製造し、この顆粒をパイプ状の金型に入れ、常圧、1890℃で焼結させ、長さ200mm、外径45mm、内径35mmの筒状保護セラミック体37を製造した。
【0131】
(8)セラミック基板31の底面31bであって、袋孔390がその内径の内側に収まるような位置に、筒状保護セラミック体37の端面を接触させ、1890℃に加熱することで、セラミック基板31と筒状保護セラミック体37とを接合した。具体的には、実施例1と同様にして、セラミック基板31と筒状保護セラミック体37とを接合した。
【0132】
(9)次に、筒状保護セラミック体37の内部の袋孔390に、銀ろう(Ag:40重量%、Cu:30重量%、Zn:28重量%、Ni:1.8重量%、残部:その他の元素、リフロー温度:800℃)を用いて、外部端子360を取り付けた。そして、外部端子360にソケット350を介して導電線331を接続した。
【0133】
(10)そして、温度制御のための熱電対を有底孔300に挿入し、シリカゾルを充填し、190℃で2時間硬化、ゲル化させることで、その内部に静電電極、発熱体、導体回路、バイアホールおよびスルーホールが設けられたセラミック基板の底面に、筒状保護セラミック体が接合され、上記セラミック基板が静電チャックとして機能するセラミック接合体を製造した。
【0134】
(実施例4)
以下の工程を実施したほかは、実施例1と同様の方法で、セラミック接合体(静電チャック)を製造した。
まず、セラミック基板を直径300mmとし、(7)の工程において、窒化アルミニウム粉末100重量部、アクリル系樹脂バインダ4重量部、分散剤0.5重量部、アルコール53重量部を混合し、スプレードライ法により顆粒を製造するとともに、導電線と外部端子とをソケットで連結して電力供給線とし、この電力供給線を金型に入れ、顆粒を金型に充填してプレスし、さらに、1000kg/cmの圧力で冷間静水圧プレスを行った後、常圧、1890℃にて焼結させ、さらに、外形加工して長さ200mm、外径45mmの円柱状の充実体からなるセラミック体とした。
【0135】
(実施例5)
以下の工程を実施したほかは、実施例2と同様の方法で、セラミック接合体(ホットプレート)を製造した。
セラミック基板を直径320mmとし、(5)において、窒化アルミニウム粉末100重量部、アクリル系樹脂バインダ4重量部、分散剤0.5重量部、アルコール53重量部を混合し、スプレードライ法により顆粒を製造するとともに、導電線と外部端子とをソケットで連結して電力供給線とし、この電力供給線を金型にいれ、顆粒を金型に充填してプレスし、さらに、1000kg/cmの圧力で冷間静水圧プレスを行った後、常圧、1890℃にて焼結させ、さらに、外形加工して長さ200mm、外径45mmの円柱状で充実体のセラミック体とした。
【0136】
(実施例6)
以下の工程を実施したほかは、実施例1と同様の方法で、セラミック接合体(静電チャック)を製造した。
(7)の工程において、アルミナ粉末100重量部、アクリル系樹脂バインダ4重量部、分散剤0.5重量部、アルコール53重量部を混合し、スプレードライ法により顆粒を製造するとともに、円筒形状に成形し、大気雰囲気の常圧、1600℃で3時間焼成し、さらに、外形加工して長さ200mm、外径45mm、厚さ8mmの筒状保護セラミック体とした。
【0137】
また、(8)の工程において、ガラスペースト(旭硝子社製 ハイブリッドIC用多層絶縁ガラスペースト)を、セラミック基板31および筒状保護セラミック体37の接合面に塗布した後、セラミック基板31の底面31bであって、袋孔390がその内径の内側に収まるような位置に、筒状保護セラミック体37の端面を接触させ、700℃で加熱することで、セラミック基板31と筒状保護セラミック体37とを接合した。
【0138】
(比較例1)
以下の工程を実施したほかは、実施例1と同様の方法で、セラミック接合体(静電チャック)を製造した。
まず、セラミック基板を直径300mmとし、(7)の工程において、窒化アルミニウム粉末100重量部、イットリア(平均粒径0.4μm)4重量部、アクリル系樹脂バインダ11.5重量部、分散剤0.5重量部、アルコール53重量部を混合し、スプレードライ法により顆粒を製造するとともに、導電線と外部端子とをソケットで連結して電力供給線とし、この電力供給線を金型にいれ、顆粒を金型に充填してプレスし、さらに、1000kg/cmの圧力で冷間静水圧プレスを行った後、常圧、1890℃にて焼結させ、さらに、外形加工して長さ200mm、外径45mmの筒状保護セラミック体とした。
【0139】
(比較例2)
以下の工程を実施したほかは、実施例2と同様の方法で、セラミック接合体(静電チャック)を製造した。
まず、セラミック基板を直径300mmとし、(5)の工程において、窒化アルミニウム粉末100重量部、イットリア(平均粒径0.4μm)4重量部、アクリル系樹脂バインダ11.5重量部、分散剤0.5重量部、アルコール53重量部を混合し、スプレードライ法により顆粒を製造するとともに、導電線と外部端子とをソケットで連結して電力供給線とし、この電力供給線を金型にいれ、顆粒を金型に充填してプレスし、さらに、1000kg/cmの圧力で冷間静水圧プレスを行った後、常圧、1890℃にて焼結させ、さらに、外形加工して長さ200mm、外径45mmの筒状保護セラミック体とした。
【0140】
(比較例3)
以下の工程を実施したほかは、実施例3と同様の方法で、セラミック接合体(静電チャック)を製造した。
まず、セラミック基板を直径300mmとし、(7)の工程において、窒化アルミニウム粉末100重量部、イットリア(平均粒径0.4μm)4重量部、アクリル系樹脂バインダ11.5重量部、分散剤0.5重量部、アルコール53重量部を混合し、スプレードライ法により顆粒を製造するとともに、導電線と外部端子とをソケットで連結して電力供給線とし、この電力供給線を金型にいれ、顆粒を金型に充填してプレスし、さらに、1000kg/cmの圧力で冷間静水圧プレスを行った後、常圧、1890℃にて焼結させ、さらに、外形加工して長さ200mm、外径45mmの筒状保護セラミック体とした。
【0141】
実施例1〜6および比較例1〜3に係るセラミック接合体について、以下の評価試験を行った。その結果を下記の表3に示す。
【0142】
評価方法
(1)加熱時の加熱面の温度の測定
セラミック基板の加熱面の温度を450℃に設定し、サーモビュア(日本データム株式会社製 IRI62012−0012)を用いて実際の加熱面の温度を測定した。そして、最高温度と最低温度との温度差を求め、加熱面の面内温度分布とした。
【0143】
(2)ヒートサイクル試験
25℃に保持した後、450℃に加熱する過程を繰り返すヒートサイクル試験を500回行い、筒状保護セラミック体とセラミック基板との接合部におけるクラックの発生の有無を確認した。なお、発生率50%未満ならクラック発生しないと判断し、50%以上でクラック発生と判断した。
【0144】
(3)熱伝導率の測定
保護セラミック体とセラミック基板との熱伝導率を下記の方法により測定した。
a.使用機器
リガクレーザーフラッシュ法熱定数測定装置
LF/TCM−FA8510B
b.試験条件
温度・・・常温、200℃、400℃、500℃、700℃
雰囲気・・・真空
c.測定方法
・比熱測定における温度検出は、試料裏面に銀ペーストで接着した熱電対(プラチネル)により行った。
・常温比熱測定はさらに試料上面に受光板(グラッシーカーボン)をシリコングリースを介して接着した状態で行い、試料の比熱(Cp)は、下記の計算式(1)により求めた。
Figure 2005026585
上記計算式(1)において、ΔOは、入力エネルギー、ΔTは、試料の温度上昇の飽和値、CpG.C.は、グラッシーカーボンの比熱、WG.C.は、グラッシーカーボンの重量、CpS.G.は、シリコングリースの比熱、WS.G.は、シリコングリースの重量、Wは、試料の重量である。
その結果を下記の表1に示す。
【0145】
【表1】
Figure 2005026585
【0146】
上記表1に示した結果より明らかなように、実施例に係るセラミック接合体(ホットプレート、静電チャック)では、保護セラミック体の熱伝導率がセラミック基板の熱伝導率の80%以下であるため、加熱面の最高温度と最低温度との温度差は小さく、加熱面の温度が均一であるのに対し、比較例に係るセラミック接合体(ホットプレート、静電チャック)では、保護セラミック体の熱伝導率とセラミック基板の熱伝導率とが同じであるため、実施例に比べて加熱面の最高温度と最低温度との温度差が大きく、加熱面の温度の均一性に劣ることがわかる。なお、ヒートサイクル試験では、実施例5に係るセラミック接合体を除いて、実施例に係るセラミック接合体及び比較例に係るセラミック接合体とも、クラックの発生はなかった。実施例5に係るセラミック接合体は、セラミック基板と保護セラミック体との材質の違いに起因してクラックが発生したと考えられる。
【0147】
【発明の効果】
本発明のセラミック接合体によれば、セラミック基板の底面に接合された保護セラミック体の熱伝導率が上記セラミック基板の熱伝導率の80%以下と低く設定されているため、保護セラミック体からの熱の逃散量が低下し、その結果、加熱面の温度分布が減少し、半導体ウエハ、液晶基板等の被加熱物を均一に加熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセラミック接合体の一例であるホットプレートを模式的に示す平面図である。
【図2】図1に示したホットプレートの断面図である。
【図3】図2に示した断面の部分拡大断面図である。
【図4】本発明のセラミック接合体の一例である静電チャックを模式的に示す縦断面図である。
【図5】図4に示した縦断面の部分拡大断面図である。
【図6】静電チャックを構成するセラミック基板に埋設されている静電電極の一例を模式的に示す水平断面図である。
【図7】セラミック基板に埋設されている静電電極の別の一例を模式的に示す水平断面図である。
【図8】セラミック基板に埋設されている静電電極の更に別の一例を模式的に示す水平断面図である。
【図9】(a)〜(d)は、本発明のセラミック接合体の一例であるホットプレートの製造方法の一例を模式的に示す断面図である。
【図10】セラミック基板と筒状保護セラミック体との接合方法の一例を模式的に示す斜視図である。
【図11】本発明のセラミック接合体の一例を示す断面図である。
【図12】本発明のセラミック接合体の一例を示す断面図である。
【図13】(a)〜(c)は、本発明のセラミック接合体を構成する柱状体の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
10、400、500 ホットプレート(セラミック接合体)
11、21、31、71、81 セラミック基板
11a、21a、71a、81a 加熱面
11b、21b、71b、81b 底面
12 発熱体
62 導体ペースト層
630 充填層
23、360、483、583 外部端子
13、13′、33、330 スルーホール
14、300 有底孔
15、35 貫通孔
50 グリーンシート
17、37 筒状保護セラミック体
430、530 導電線
481 保護セラミック体(充実体)
581 保護セラミック体(板状体)

Claims (4)

  1. その内部に導電体が設けられた円板形状のセラミック基板の底面に、保護セラミック体が接合されたセラミック接合体であって、
    上記保護セラミック体の熱伝導率は、上記セラミック基板の熱伝導率の80%以下であることを特徴とするセラミック接合体。
  2. 保護セラミック体は、円筒形状の筒状保護セラミック体である請求項1記載のセラミック接合体。
  3. 上記導電体は、発熱体であり、ホットプレートとして機能する請求項1または2に記載のセラミック接合体。
  4. 上記導電体は、静電電極であり、静電チャックとして機能する請求項1または2に記載のセラミック接合体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012119120A (ja) * 2010-11-30 2012-06-21 Kyocera Corp セラミックヒータ
KR101397133B1 (ko) 2013-04-29 2014-05-19 주식회사 메카로닉스 정전척의 제조방법
KR101397132B1 (ko) * 2013-04-29 2014-05-19 주식회사 메카로닉스 정전척의 제조방법
JP2016513947A (ja) * 2013-03-15 2016-05-16 アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドApplied Materials,Incorporated 静電チャックの修理および改修のための方法および装置

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