JP4646217B2 - 選択抽出によるカキ肉エキスの製造方法 - Google Patents

選択抽出によるカキ肉エキスの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は例えば生ガキ等のカキ肉よりカキ肉のエキスを効率よく抽出すると共に、カキ肉内に存する有益な有効微量成分を逃すことなく抽出して製造できるカキ肉エキスの製造方法に関するものである。
近年、カキ肉のエキスは健康補助食品として有益物質を多く含んだ極めて優れた製品であると一般にその認識度は日増しに高まっている。
そして、現在では例えば多種多様な抽出法によって抽出されたカキ肉エキスに関する健康補助食品が販売されている(特開平10−136946号公報)。
しかして、かかるカキ肉のエキスの抽出に際しては、グリコーゲンやタウリンあるいは蛋白質等の有益な栄養源及び亜鉛等を含むいわゆる血小板の凝集を抑制する作用を有する物質を多量に含有され、効率よくカキ肉エキス中に回収できる様抽出することが望ましい。
特開平10−136946号公報
かくして本発明は上記の課題に鑑みて創案されたものであり、タウリン、グリコーゲン、蛋白質あるいは特に亜鉛を含有したいわゆる血小板凝集抑制作用物質、ビタミンその他有益な物質の含有率、抽出度がきわめて高効率であるカキ肉エキスの製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明は、
溶液が貯留された抽出容器内に生カキ肉を収納し、該容器を密閉して1.1気圧乃至2.5気圧に加圧すると共に、加圧時間を5分乃至60分間、加圧時の温度を75度から120度の加圧状態として前記生カキ肉からカキ肉エキスを抽出する加圧抽出工程あるいは生カキ肉を抽出容器に20kg収納し、該抽出容器を密閉して0.1気圧乃至0.2気圧の範囲内に減圧し、該減圧状態で53分間あるいは60分間前記生カキ肉からカキ肉エキスを抽出する減圧抽出工程のいずれかを、カキ肉細胞内の成分が加圧されることにより活発に動き回り細胞膜を通り抜け、細胞外へ飛び出るよう溶出する現象により抽出がされ、カキ肉細胞内の奥深いに部位に存在するミトコンドリア内の成分抽出を行え、また短時間でカキ肉エキスが多く抽出できるメリットが存し、亜鉛(Zn)、セレン(Se)、鉄(Fe)の加圧状態においても安定性の高い微量元素を多く採取できるとの加圧抽出の特徴、あるいはカキ肉細胞外の圧力がカキ肉細胞内の圧力より低下するため、カキ肉細胞内の成分が細胞外に吸い取られるように抽出、溶出できて、カキ肉細胞表面付近に存在している成分を抽出できると共に、減圧状態で沸点が低くなり、温度の上昇が比較的ない状態を利用し、加熱で比較的変性しやすい栄養成分、特に細胞表面に存在している微量元素、ビタミンを採取できるとの減圧抽出の特徴の両者の特徴を考慮すると共に、生カキ肉の状態(肉厚のカキ肉なのか否かなど)あるいは生カキの重量のカキ肉データを参酌し、カキ肉エキスを抽出するに際し、抽出の時点でもっとも好ましいあるいはもっとも欲せられる抽出を判定して選択する抽出選択工程と、
前記選択された抽出により前記生カキ肉からカキ肉エキスを抽出して前記容器の溶液内へ送出させる送出工程と、
前記カキ肉エキスが送出された抽出溶液を濃縮する濃縮工程と、
前記濃縮工程による濃縮液にアルコール溶液を加えて前記カキ肉エキスを沈殿させる沈殿工程と、
前記沈殿工程による沈殿物を乾燥させてカキ肉エキスの乾燥物を生成する生成工程と、
を有することを特徴とし、
または、
溶液が貯留された抽出容器内に生カキ肉を収納し、該抽出容器で常圧状態にし、前記生カキ肉からカキ肉エキスを抽出して前記抽出溶液内へ送出させる第1送出工程と、
前記カキ肉エキスが送出された抽出溶液を濃縮する第1濃縮工程と、
前記第1濃縮工程による濃縮液にアルコール溶液を加えて前記カキ肉エキスを沈殿させる第1沈殿工程と、
前記第1沈殿工程による沈殿物を乾燥させてカキ肉エキスの乾燥物を生成する第1生成工程と、
前記第1送出工程で使用された生カキ肉を再度溶液が貯留された抽出容器内に収納し、該容器を密閉して1.1気圧乃至2.5気圧に加圧すると共に、加圧時間を5分乃至60分間、加圧時の温度を75度から120度の加圧状態として前記生カキ肉から再度カキ肉エキスを抽出する加圧抽出工程あるいは生カキ肉を抽出容器に20kg収納し、該抽出容器を密閉して0.1気圧乃至0.2気圧の範囲内に減圧し、該減圧状態で53分間あるいは60分間前記生カキ肉から再度カキ肉エキスを抽出する減圧抽出工程のいずれかを、カキ肉細胞内の成分が加圧されることにより活発に動き回り細胞膜を通り抜け、細胞外へ飛び出るよう溶出する現象により抽出がされ、カキ肉細胞内の奥深いに部位に存在するミトコンドリア内の成分抽出を行え、また短時間でカキ肉エキスが多く抽出できるメリットが存し、亜鉛(Zn)、セレン(Se)、鉄(Fe)の加圧状態においても安定性の高い微量元素を多く採取できるとの加圧抽出の特徴、あるいはカキ肉細胞外の圧力がカキ肉細胞内の圧力より低下するため、カキ肉細胞内の成分が細胞外に吸い取られるように抽出、溶出できて、カキ肉細胞表面付近に存在している成分を抽出できると共に、減圧状態で沸点が低くなり、温度の上昇が比較的ない状態を利用し、加熱で比較的変性しやすい栄養成分、特に細胞表面に存在している微量元素、ビタミンを採取できるとの減圧抽出の特徴の両者の特徴を考慮すると共に、生カキ肉の状態(肉厚のカキ肉なのか否かなど)あるいは生カキの重量のカキ肉データを参酌し、カキ肉エキスを抽出するに際し、抽出の時点でもっとも好ましいあるいはもっとも欲せられる抽出を判定して選択する抽出選択工程と、
前記抽出選択工程により選択された抽出によって生カキ肉のエキスを抽出溶液内へ送出する第2送出工程と、
前記カキ肉エキスが送出された抽出溶液を濃縮する第2濃縮工程と、
前記第2濃縮工程による濃縮液にアルコール溶液を加えて前記カキ肉エキスを沈殿させる第2沈殿工程と、
前記第2沈殿工程による沈殿物を乾燥させてカキ肉エキスの乾燥物を生成する第2生成工程と、
を有することを特徴とし、
または、
前記生カキ肉は剥き身である、
ことを特徴とするものである。
本発明の選択抽出によるカキ肉エキスの製造方法によれば、グリコーゲンやタウリンあるいは蛋白質等の有益な栄養源及び亜鉛等を含むいわゆる血小板の凝集を抑制する作用を有する物質など有益な物質を多量に含有させて、効率よくカキ肉エキス中に回収できる様抽出できる優れた効果を奏する。
以下、本発明の好適な実施例を説明する。
まず、水などの溶液を貯留したいわゆる半球状をなすカマ型の抽出容器内に、剥き身の生カキ肉をそのままの形で、すなわち剥き身の生カキ肉を粉砕することなく丁寧に収納する。
次いで、前記抽出容器を密閉して、該抽出容器内を加圧するか減圧するかの選択がなされる。
該選択は、通常コンピュータ内のデータが参酌されて行われる。
そして、加圧抽出の特徴あるいは減圧抽出の特徴が考慮され、その抽出の時点でもっとも好ましいあるいはもっとも欲せられる抽出法が選択される。
ここで、加圧抽出法と減圧抽出法の原理の違いについて説明する。
加圧抽出は、例えばカキ肉細胞内の成分が加圧により活発に動き回ることによって細胞膜を通り抜け、細胞外へ飛び出るよう溶出する現象により抽出がなされるものである。よって、加圧抽出は例えばカキ肉細胞内の奥深いに部位に存在する成分抽出に優れている。例えばミトコンドリア内の成分抽出などが挙げられる。
これに対し、減圧抽出は、例えばカキ肉細胞外の圧力がカキ肉細胞内の圧力より低下するため、カキ肉細胞内の成分が細胞外に吸い取られるように抽出、溶出される。
よって、減圧抽出は、特にカキ肉細胞表面付近に存在している成分を抽出する場合に優れていると言えるのである。
そして、加圧抽出では、短時間でカキ肉エキスが多く抽出できるメリットも存するものであり、特に亜鉛(Zn)、セレン(Se)、鉄(Fe)など加圧状態においても安定性の高い微量元素などを多く採取するときなど有効とされる。
これに対し、減圧抽出では、例えば減圧状態では沸点が低くなり、温度の上昇が比較的ない状態などを利用することにある。
すなわち、ビタミンあるいはタンパク質など加熱などで比較的変性しやすい栄養成分、特に細胞表面に存在している微量元素ビタミンなどを採取するときに有効な抽出法となるのである。
その他、例えば、生カキ肉の状態(肉厚のカキ肉なのか否かなど)あるいは生カキの重量などのカキ肉データが参酌され、全体としてカキ肉エキスを抽出するに際し、加圧抽出が好ましいのかあるいは減圧抽出が好ましいのかが選択判定されるものとなる。
ここで、上記抽出選択工程で加圧抽出が選択された場合につき説明する。
まず、抽出容器が密閉されて加圧される。
この加圧の程度については何ら限定されるものではないが、1気圧以上に加圧するものであり、例えば1.1気圧乃至2.5気圧程度が好ましいものである。また、加圧する時間も限定されるものではないが、5分乃至60分程度がこのましいものとなる。また、この際の温度は75度Cから120度Cであり、加圧すると温度は常圧時より上昇するものとなる。
なお前記加圧抽出に際しては、剥き身のカキ肉を傷つけないよう抽出容器内で攪拌する必要はない。本発明によれば攪拌しなくとも効率よく抽出出来るからである。また、攪拌すると、抽出すべき有効成分を痛めるおそれがある。
しかして、生カキ肉からは各種有効成分を効率よく抽出される。そして、前記の各種有効成分が抽出容器内の水溶液内に効率よく溶け出すものとなる。
この抽出量は通常の常圧の下で抽出した場合と比較し、かなりの増量が確認されている。また、従来と比較して抽出時間も大幅に短縮させて同じ量を抽出することが出来る。
ついで、前記生カキ肉からカキ肉エキスを抽出した抽出溶液を濃縮する。
ここで、水溶液の濃縮方法については何ら限定されず、抽出されたカキ肉のエキスをその固形分の含有量が例えば15〜45(W/W)%程度になるよう濃縮出来ればよい。
そして、この濃縮の際には、通常は温度が上げられ、60度乃至70度の範囲、若しくはそれ以上の高温で作業されるが、減圧低温加熱濃縮方法を採用すれば、これよりも低温で作業することが出来る。
減圧低温加熱濃縮、すなわち、低温で濃縮作業を行うことはカキ肉エキスの抽出にとってきわめて重要な要素であることが判明した。
カキ肉のエキスである蛋白質溶液を高温状態で持続すると蛋白質は硬く凝縮することが判明している。しかし、低温状態では蛋白質の凝縮は緩やかのものとなる。その緩やかな蛋白質が溶液中にある場合、溶液と接する面積は多くなるといえる。
たとえば、高温殺菌牛乳より低温殺菌牛乳の方が消化率が良いのは低温殺菌牛乳中の蛋白質と消化液の接する面積が高温殺菌牛乳中の蛋白質より広いためであると理解されている。
しかして、次の沈殿させる工程の説明でも述べることとするが、蛋白質はアルコール溶液に接することにより変性し沈殿する。このとき、緩やかな凝縮の蛋白質は、硬く凝縮した蛋白質よりアルコール溶液と蛋白質とが接する面積が大きく、もって蛋白質は変性しやすく沈殿しやすくなるのである。
このように、減圧低温加熱濃縮を行うことにより生カキから抽出された蛋白質の凝縮は、緩やかなものとなる。するとアルコールと蛋白質が接する面積が、高温で濃縮した蛋白質より増大しているためにより多くの蛋白質が沈殿し、その沈殿物より多くの乾燥物が収得できるのである。
ところで、いかなる濃縮作業によるかについては本発明では何ら限定されるものではなく、前記の減圧低温加熱濃縮に限らず、例えば、常圧加熱による濃縮、膜による濃縮、加圧加熱による濃縮などによって行っても構わないものである。
前記所定の濃度に濃縮された濃縮液にアルコール溶液を加えて、例えば攪拌が行われた所定時間経過後にカキ肉エキスが沈殿するのを待つ。
そして、該沈殿物を採取し、それを乾燥させてカキ肉エキスの乾燥物を生成するのである。
この様に本発明によれば、タウリン、グリコーゲン、蛋白質、あるいは亜鉛を含有したいわゆる血小板の凝集を抑制する作用を有する物質、ビタミン、その他有益な物質の含有率、抽出度が高いカキ肉エキスの抽出、製造方法が提供できることとなる。
ここで、図1の表を参照して説明する。
図1のNo.1に示す様に、従来通りの常圧抽出、すなわち1気圧の状態で80分間の抽出作業を行った場合には、100g中に、Znは24.4mg、Seは125.4μg、Feは4.22mg、Cuは4.73mgが抽出された。そして、剥き身を使用した生カキ20kgからはカキ肉エキスとなる乾燥物重量が772.2g採取された。
これに対し、加圧抽出、すなわち1.5気圧の加圧状態で20分間の抽出作業を行った場合、100g中、Znは26.1mg、Seは129.6μg、Feは3.52mg、Cuは4.93mgが抽出された。そして、生カキ20kgからは乾燥物重量が958.5g採取された。このように、かなりの増量が見受けられた。
さらに、加圧抽出、すなわち1.5気圧で40分間の抽出作業を行った場合には、100g中、Znは27.74mg、Seは108.6μg、Feは3.87mg、Cuは3.67mgが抽出され、そして、生カキ20kgからは乾燥物重量が1054.8g採取された。
また、加圧抽出、すなわち2気圧に上昇させて20分間の抽出作業を行った場合には、100g中、Znは23.2mg、Seは111.7μg、Feは2.87mg、Cuは3.38mgが抽出された。そして、生カキ20kgからは乾燥物重量が956.9g採取された。
さらに、加圧抽出、すなわち2気圧で30分間の抽出作業を行った場合には、100g中、Znは22.3mg、Seは103.9μg、Feは3.17mg、Cuは4.49mgが抽出され、そして、生カキ20kgからは乾燥物重量が943.4g採取された。
次に、二度抽出について説明する。
該抽出容器でまず常圧状態、すなわち一気圧の状態、いわゆる常圧状態で前記生カキ肉からカキ肉エキスを抽出する。
この抽出は常圧抽出と称され、例えば80分乃至120分間の時間で行われる。
ここで、前記溶液の温度については何ら制限はなく、通常は50度から80度程度で行われる。しかし、これに限定されるものではなく、50度以下でも構わないし、80度以上でも構わない。
しかして、前記常圧で抽出された生カキ肉エキスは前記容器の溶液内に送出され、例えばカキ肉エキスが溶けた水溶液が採取される。
次いで、この水溶液を濃縮させる。ここで、水溶液の濃縮方法についても何ら限定されず、例えば抽出されたカキ肉のエキスをその固形分の含有量が15〜45(W/W)%程度になるよう濃縮出来ればよい。
そして、この濃縮の際には、通常は温度が上げられ、60度乃至70度の範囲、若しくはそれ以上の高温で作業されるが、減圧低温加熱濃縮方法を採用すれば、これよりも低温で作業することが出来ること既に述べたとおりである。
このように、低温で濃縮作業を行うことはカキ肉エキスの抽出にとってきわめて重要な要素であることが判明している。
しかしながら、いかなる濃縮作業によるかについては何ら限定されるものではなく、前記の減圧低温加熱濃縮に限らず、例えば、常圧加熱による濃縮、膜による濃縮、加圧加熱による濃縮などによって行っても構わないものである。
前記所定の濃度に濃縮された濃縮液にアルコール溶液を加えて、所定時間経過後にカキ肉エキスが沈殿するのを待つ。
そして、該沈殿物を採取し、それを乾燥させてカキ肉エキスの乾燥物を生成する。
ここで、本発明では、前記抽出のために一度使用した生カキ肉を再度、溶液が貯留された抽出容器内に収納する。そして、今回は前回の場合と異なり、該容器を密閉して加圧する。
この加圧の程度については何ら限定されるものではないが、1気圧以上であり、例えば1.1気圧乃至2.5気圧程度が好ましい。また、加圧する時間も限定されるものではないが、5分乃至60分程度と解される。
しかして、一度カキ肉エキスが抽出された前記の生カキ肉から再度各種有効成分を効率よく抽出される。そして、前記の各種有効成分が抽出容器内の水溶液内に効率よく溶け出す。
この抽出量は通常の常圧の下で二度抽出した場合と比較し、約60%程度の増量が確認されている。
ついで、前記生カキ肉から再度カキ肉エキスを抽出した水溶液を濃縮する。なお、この濃縮もやはり減圧低温加熱濃縮が好ましい。
次いで、前記の濃縮液にアルコール溶液を加えて前記カキ肉エキスを沈殿させ、該沈殿物を乾燥させてカキ肉エキスの乾燥物を生成するのである。
この様に本発明によれば、タウリン、グリコーゲン、蛋白質、あるいは亜鉛を含有したいわゆる血小板の凝集を抑制する作用を有する物質、ビタミン、その他有益な物質の含有率、抽出度が高いカキ肉エキスの抽出、製造方法が提供できることとなる。
ここで二度抽出実施の結果につき図1の表を参照して説明する。
図1のNo.6,No7に示す様に、通常の常圧抽出、すなわち1気圧で80分間の抽出を行った後、再度抽出後の生カキ肉を使用して、加圧抽出、すなわち1.5気圧で20分間の抽出作業を行った。
すると、さらに、100g中、Znは32.7mg、Seは109.5μg、Feは5.84mg、Cuは4.11mg抽出された。
そして、生カキ20kgからは乾燥物重量が1気圧の状態で80分間の場合に、772.2g、その採取後の2回目の加圧状態による抽出作業を行ったときには306.6g採取され、合計で1078.8gが採取出来た。
さらに、通常の常圧抽出、すなわち1気圧で80分間の抽出を行った後、再度抽出後の生カキ肉を使用して、加圧抽出、すなわち1.5気圧で40分間の抽出作業を行った。
すると、この場合には、100g中、Znは20.9mg、Seは127.3μg、Feは4.34mg、Cuは4.34mg抽出され、そして、生カキ20kgからは乾燥物重量が1気圧で80分間の場合、772.2g採取され、2回目の加圧状態による抽出作業を行ったときには416.5g採取された。よって合計で1188.7gが採取されているのである。
次に、減圧抽出が選択された場合につき説明する。
減圧抽出が選択された場合には、前述したように、例えば減圧状態では沸点が低くなり、温度の上昇が比較的ない状態などの特徴を利用できる。
そして、該減圧抽出はビタミンあるいはタンパクなど加熱などで比較的変性しやすい微量元素を多く採取したいときに有効な抽出法となる。
この減圧の程度については何ら限定されるものではないが、1気圧以下に減圧するものであり、例えば0.01気圧乃至0.99気圧程度、特に0.1乃至0.2気圧程度が好ましいものである。また、減圧する時間も限定されるものではないが、30分乃至70分程度と解される。
しかして、生カキ肉からは各種有効成分を効率よく抽出される。そして、前記の各種有効成分が抽出容器内の水溶液内に効率よく溶け出す。特に、変性しやすい、壊れやすいビタミンやタンパクは変性させることなく、またこれら有効成分を壊れない状態で抽出することが出来る。
しかも、この抽出量は通常の常圧1気圧の下で抽出した場合と比較し、かなりの増量も確認されている。
ついで、前記生カキ肉からカキ肉エキスを抽出した水溶液を濃縮する。
ここで、水溶液の濃縮方法については何ら限定されず、抽出されたカキ肉のエキスをその固形分の含有量が例えば15〜45(W/W)%程度になるよう濃縮出来ればよい。
そして、この濃縮の際には、通常は温度が上げられ、60度乃至70度の範囲、若しくはそれ以上の高温で作業されるが、減圧低温加熱濃縮方法を採用すれば、これよりも低温で作業することが出来る。
減圧低温加熱濃縮を行うことにより生カキから抽出された蛋白質の凝縮は、緩やかなものとなる。するとアルコールと蛋白質が接する面積が、高温で濃縮した蛋白質より増大しているためにより多くの蛋白質が沈殿し、その沈殿物より多くの乾燥物が収得できるのである。
ところで、いかなる濃縮作業によるかについては本発明では何ら限定されるものではなく、前記の減圧低温加熱濃縮に限らず、例えば、常圧加熱による濃縮、膜による濃縮、加圧加熱による濃縮などによって行っても構わないものである。
前記所定の濃度に濃縮された濃縮液にアルコール溶液を加えて、所定時間経過後にカキ肉エキスが沈殿するのを待つ。
そして、該沈殿物を採取し、それを乾燥させてカキ肉エキスの乾燥物を生成するのである。
この様に本発明によれば、タウリン、グリコーゲン、蛋白質、あるいは亜鉛を含有したいわゆる血小板の凝集を抑制する作用を有する物質その他有益な物質の含有率、抽出度が高いカキ肉エキスの抽出、製造方法が提供でき、特にビタミン、タンパクは変性させない状態、壊れない状態でスムーズに抽出できるものとなる。
ここで、図2の表を参照して説明する。
図2のNo.1に示す様に、従来通りの常圧抽出、すなわち1気圧の状態で80分間の抽出作業を行った場合には、100g中でZnは24.4mg、Seは125.4μg、Feは4.22mg、が抽出された。そして、剥き身を使用した生カキ20kgからはカキ肉エキスとなる乾燥物重量が772.2g採取された。
これに対し、減圧抽出、すなわち0.1乃至0.2気圧の減圧状態で60分間の抽出作業を行った場合、
100g中でZnは22.1mg、Seは136μg、Feは4.8mgが抽出された。そして、生カキ20kgからは乾燥物重量が1187gが採取された。このように、前記の0.1乃至0.2気圧の減圧状態での抽出ではかなりの増量が見受けられた。
また、もう一度抽出時間を変えて減圧抽出を行ったところ、すなわち0.1気圧乃至0.2気圧で53分間の抽出作業を行った場合、100g中でZnは24.7mg、Seは137μg、Feは5.08mgが抽出され、そして、生カキ20kgからは乾燥物重量が1195g採取された。
次に、二度抽出について説明する。
該抽出容器でまず常圧状態、すなわち一気圧の状態、いわゆる常圧状態で前記生カキ肉からカキ肉エキスを抽出する。
この抽出は常圧抽出と称され、例えば80分乃至120分間の時間で行われる。
ここで、前記溶液の温度については何ら制限はなく、通常は50度から80度程度で行われる。しかし、これに限定されるものではなく、50度以下でも構わないし、80度以上でも構わない。
しかして、前記常圧で抽出された生カキ肉エキスは前記容器の溶液内に送出され、例えばカキ肉エキスが溶けた水溶液が採取される。
次いで、この水溶液を濃縮させる。ここで、水溶液の濃縮方法についても何ら限定されず、例えば抽出されたカキ肉のエキスをその固形分の含有量が15〜45(W/W)%程度になるよう濃縮出来ればよい。
そして、この濃縮の際には、通常は温度が上げられ、60度乃至70度の範囲、若しくはそれ以上の高温で作業されるが、減圧低温加熱濃縮方法を採用すれば、これよりも低温で作業することが出来ること既に述べたとおりである。
このように、低温で濃縮作業を行うことはカキ肉エキスの抽出にとってきわめて重要な要素であることが判明している。
しかしながら、いかなる濃縮作業によるかについては何ら限定されるものではなく、前記の減圧低温加熱濃縮に限らず、例えば、常圧加熱による濃縮、膜による濃縮、加圧加熱による濃縮などによって行っても構わないものである。
前記所定の濃度に濃縮された濃縮液にアルコール溶液を加えて、例えば攪拌した所定時間経過後にカキ肉エキスが沈殿するのを待つ。
そして、該沈殿物を採取し、それを乾燥させてカキ肉エキスの乾燥物を生成する。
ここで、本発明では、前記抽出のために一度使用した生カキ肉を再度、溶液が貯留された抽出容器内に収納する。そして、今回は前回の場合と異なり、該容器を密閉して減圧する。
この減圧の程度については何ら限定されるものではないが、1気圧以下であればよく、例えば0.001気圧乃至0.99気圧程度、特に0.1気圧乃至0.2気圧程度が好ましい。また、減圧する時間も限定されるものではないが、30分乃至70分程度と解される。
しかして、一度カキ肉エキスが抽出された前記の生カキ肉から再度各種有効成分を効率よく抽出される。そして、前記の各種有効成分が抽出容器内の水溶液内に効率よく溶け出す。
この抽出量は1回だけ通常の常圧の下で抽出した場合と比較し、かなりの増量がみられる。
ついで、前記生カキ肉から再度カキ肉エキスを抽出した水溶液を濃縮する。なお、この濃縮もやはり減圧低温加熱濃縮が好ましい。
次いで、前記の濃縮液にアルコール溶液を加えて前記カキ肉エキスを沈殿させ、該沈殿物を乾燥させてカキ肉エキスの乾燥物を生成するのである。
この様に二度抽出によっても、タウリン、グリコーゲン、蛋白質、あるいは亜鉛を含有したいわゆる血小板の凝集を抑制する作用を有する物質その他有益な物質の含有率、抽出度が高いカキ肉エキスの抽出、製造方法が提供でき、特にビタミン、タンパクは変性させない状態、壊れない状態で抽出できるものとなる。
加圧抽出による乾燥物100g中の微量元素含有量及び生カキ20kgから製造される乾燥物重量を説明する表である。 減圧抽出による乾燥物100g中の微量元素含有量及び生カキ20kgから製造される乾燥物重量を説明する表である。

Claims (3)

  1. 溶液が貯留された抽出容器内に生カキ肉を収納し、該容器を密閉して1.1気圧乃至2.5気圧に加圧すると共に、加圧時間を5分乃至60分間、加圧時の温度を75度から120度の加圧状態として前記生カキ肉からカキ肉エキスを抽出する加圧抽出工程あるいは生カキ肉を抽出容器に20kg収納し、該抽出容器を密閉して0.1気圧乃至0.2気圧の範囲内に減圧し、該減圧状態で53分間あるいは60分間前記生カキ肉からカキ肉エキスを抽出する減圧抽出工程のいずれかを、カキ肉細胞内の成分が加圧されることにより活発に動き回り細胞膜を通り抜け、細胞外へ飛び出るよう溶出する現象により抽出がされ、カキ肉細胞内の奥深いに部位に存在するミトコンドリア内の成分抽出を行え、また短時間でカキ肉エキスが多く抽出できるメリットが存し、亜鉛(Zn)、セレン(Se)、鉄(Fe)の加圧状態においても安定性の高い微量元素を多く採取できるとの加圧抽出の特徴、あるいはカキ肉細胞外の圧力がカキ肉細胞内の圧力より低下するため、カキ肉細胞内の成分が細胞外に吸い取られるように抽出、溶出できて、カキ肉細胞表面付近に存在している成分を抽出できると共に、減圧状態で沸点が低くなり、温度の上昇が比較的ない状態を利用し、加熱で比較的変性しやすい栄養成分、特に細胞表面に存在している微量元素、ビタミンを採取できるとの減圧抽出の特徴の両者の特徴を考慮すると共に、生カキ肉の状態(肉厚のカキ肉なのか否かなど)あるいは生カキの重量のカキ肉データを参酌し、カキ肉エキスを抽出するに際し、抽出の時点でもっとも好ましいあるいはもっとも欲せられる抽出を判定して選択する抽出選択工程と、
    前記選択された抽出により前記生カキ肉からカキ肉エキスを抽出して前記容器の溶液内へ送出させる送出工程と、
    前記カキ肉エキスが送出された抽出溶液を濃縮する濃縮工程と、
    前記濃縮工程による濃縮液にアルコール溶液を加えて前記カキ肉エキスを沈殿させる沈殿工程と、
    前記沈殿工程による沈殿物を乾燥させてカキ肉エキスの乾燥物を生成する生成工程と、
    を有することを特徴とする選択抽出によるカキ肉エキスの製造方法。
  2. 溶液が貯留された抽出容器内に生カキ肉を収納し、該抽出容器で常圧状態にし、前記生カキ肉からカキ肉エキスを抽出して前記抽出溶液内へ送出させる第1送出工程と、
    前記カキ肉エキスが送出された抽出溶液を濃縮する第1濃縮工程と、
    前記第1濃縮工程による濃縮液にアルコール溶液を加えて前記カキ肉エキスを沈殿させる第1沈殿工程と、
    前記第1沈殿工程による沈殿物を乾燥させてカキ肉エキスの乾燥物を生成する第1生成工程と、
    前記第1送出工程で使用された生カキ肉を再度溶液が貯留された抽出容器内に収納し、該容器を密閉して1.1気圧乃至2.5気圧に加圧すると共に、加圧時間を5分乃至60分間、加圧時の温度を75度から120度の加圧状態として前記生カキ肉から再度カキ肉エキスを抽出する加圧抽出工程あるいは生カキ肉を抽出容器に20kg収納し、該抽出容器を密閉して0.1気圧乃至0.2気圧の範囲内に減圧し、該減圧状態で53分間あるいは60分間前記生カキ肉から再度カキ肉エキスを抽出する減圧抽出工程のいずれかを、カキ肉細胞内の成分が加圧されることにより活発に動き回り細胞膜を通り抜け、細胞外へ飛び出るよう溶出する現象により抽出がされ、カキ肉細胞内の奥深いに部位に存在するミトコンドリア内の成分抽出を行え、また短時間でカキ肉エキスが多く抽出できるメリットが存し、亜鉛(Zn)、セレン(Se)、鉄(Fe)の加圧状態においても安定性の高い微量元素を多く採取できるとの加圧抽出の特徴、あるいはカキ肉細胞外の圧力がカキ肉細胞内の圧力より低下するため、カキ肉細胞内の成分が細胞外に吸い取られるように抽出、溶出できて、カキ肉細胞表面付近に存在している成分を抽出できると共に、減圧状態で沸点が低くなり、温度の上昇が比較的ない状態を利用し、加熱で比較的変性しやすい栄養成分、特に細胞表面に存在している微量元素、ビタミンを採取できるとの減圧抽出の特徴の両者の特徴を考慮すると共に、生カキ肉の状態(肉厚のカキ肉なのか否かなど)あるいは生カキの重量のカキ肉データを参酌し、カキ肉エキスを抽出するに際し、抽出の時点でもっとも好ましいあるいはもっとも欲せられる抽出を判定して選択する抽出選択工程と、
    前記抽出選択工程により選択された抽出によって生カキ肉のエキスを抽出溶液内へ送出する第2送出工程と、
    前記カキ肉エキスが送出された抽出溶液を濃縮する第2濃縮工程と、
    前記第2濃縮工程による濃縮液にアルコール溶液を加えて前記カキ肉エキスを沈殿させる第2沈殿工程と、
    前記第2沈殿工程による沈殿物を乾燥させてカキ肉エキスの乾燥物を生成する第2生成工程と、
    を有することを特徴とする選択抽出によるカキ肉エキスの製造方法。
  3. 前記生カキ肉は剥き身である、
    ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の選択抽出によるカキ肉エキスの製造方法。
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