JP4645151B2 - インクジェット記録装置 - Google Patents
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Description
この構成では、使用後のインクカートリッジを取り外す際に、インクカートリッジのインク供給口付近に付着していたインクが滴下して、フラットケーブルと電気回路基板との接続部分を濡らすと、電気回路がショートしたり、発煙が生じたりして故障を引き起こすおそれがあるため、吸液性弾性体を、フラットケーブルと電気回路基板との接続部分を上から覆うように、ヘッドユニットとキャリッジ間に挟んで固定することが提案されている。
このインクミストは、狭い間隙でも通過できるため、記録ヘッドで発生した後に、ヘッドユニットの電気回路基板まで回り込むおそれがある。その結果、インクミストが電気回路に付着すると、電気回路がショートし、故障を引き起こすおそれがある。
請求項4に記載の発明では、インクを被記録媒体(P)へ吐出して記録を行う記録ヘッド(30)と、この記録ヘッド(30)に接続される電気回路(84c)が表面に形成された電気回路基板(84)と、前記記録ヘッド(30)及び前記電気回路基板(84)を収容する箱状のヘッドホルダ(9)と、前記電気回路基板(84)の表面を覆って前記ヘッドホルダ(9)に装着されたカバー(9d)と、前記記録ヘッド(30)が前記インクを吐出したときに発生するインクミストの侵入を遮蔽する遮蔽部材とを備えたインクジェット記録装置(1)において、前記遮蔽部材は、多孔質弾性体で形成されており、前記電気回路(84c)が形成された領域の周縁において、前記カバー(9d)の裏面と前記電気回路基板(84)の表面のうちの少なくとも一方に設けられ、前記カバー(9d)の裏面と前記電気回路基板(84)の表面との間の前記電気回路(84c)が形成された領域を含む空間をその外側の空間から遮蔽しているという技術的手段を採用する。
なお、上記括弧内の符号は、後述の実施形態において使用する符号に対応するものである。
記録ヘッドがインクを吐出したときに発生するインクミストの侵入を遮蔽する遮蔽部材を、電気回路が形成された領域の周縁とカバーの裏面との間に形成される間隙の少なくとも一部に介在させているため、その間隙からのインクミストの侵入が遮蔽されるので、インクミストが電気回路に付着することを防止することができるインクジェット記録装置を実現することができる。
また、遮蔽部材はカバーの裏面に取付けられているため、カバーの裏面と遮蔽部材との間の隙間をなくすことができるため、カバーの裏面と遮蔽部材との間に形成される隙間からのインクミストの侵入を防止できる。また、カバーの裏面には、電気回路などの障害物が存在しないため、遮蔽部材の取り付け作業を簡単に行うことができる。
また、遮蔽部材は電気回路基板の表面に取付けられているため、電気回路基板の表面と遮蔽部材との間の隙間をなくすことができるため、電気回路基板と遮蔽部材との間に形成される隙間からのインクミストの侵入を防止できる。また、遮蔽部材を電気回路の形成領域に沿って取り付けることができるため、必要な部分を確実に遮蔽することができる。
また、カバーの裏面に取付けられた遮蔽部材と、電気回路基板の表面に取付けられた遮蔽部材との間にケーブルが挿通されており、その挿通箇所において遮蔽部材がケーブルの周囲に密着しているので、インクミストがケーブルと遮蔽部材の隙間を経由して侵入し、電気回路に付着することを防止できる。
また、ケーブルの折り重ねられた部分同士が所定の固定手段により密着固定されているため、ケーブルが折り曲げる前の状態に戻ろうとする反力を押さえることができる。したがって、その反力によって、ケーブルと遮蔽部材との間に隙間が形成されてしまい、その隙間からインクミストが侵入してしまうおそれがない。
また、ケーブルが折り重ねられた部分の隙間からインクミストが侵入し、電気回路に付着することを防止できる。
表裏両面に接着面が形成された接着テープにより、ケーブルの折り重ねられた部分を密着固定することができるため、接着剤を使用した場合のように接着剤の乾きを待つ必要もないので、短時間で固定できる。
遮蔽部材は、弾性体であるため、取付箇所の凹凸部分にも対応して密着することができるため、インクミストの遮蔽効果をより一層高めることができる。
また、遮蔽部材は、多孔質であるため、変形に過大な力を必要とせず、密着状態を保つための適度な反力が得られる。
ヘッドホルダの開口部がカバーで覆われているので、ヘッドホルダの開口部からのインクミストの侵入が防止され、インクミストが電気回路基板に付着することを防止することができる。
(インクジェット記録装置の主要構成)
最初に、この実施形態のインクジェット記録装置の主要構成について、図1を参照して説明する。図1はインクジェット記録装置の主要構成を示す平面説明図である。
インクジェット記録装置1の内部には、2本のガイド軸6,7が設けられており、そのガイド軸6,7には、キャリッジを兼用するヘッドホルダ9が取付けられている。ヘッドホルダ9には、記録用紙Pへインクを吐出して記録を行うインクジェットヘッド30が保持されている。ヘッドホルダ9は、モータ10により回転する無端ベルト11に取付けられており、モータ10の駆動により、ガイド軸6,7に沿って移動する。なお、ガイド軸7に沿って帯状に延びる公知のタイミング指標部材(図示せず)が設けられており、そのタイミング指標部材には、ヘッドホルダ9の位置を検出するためのマークが記されている。
また、インクジェットプリンタ1の本体内の静止位置には、イエローインクが収容されたインクタンク5aと、マゼンタインクが収容されたインクタンク5bと、シアンインクが収容されたインクタンク5cと、ブラックインクが収容されたインクタンク5dとが備えられている。各インクタンク5a〜5dは、それぞれ可撓性のチューブ14a、14b、14c、14dによってチューブジョイント20(図2)と接続されている。
ヘッドホルダ9の移動方向の一端には、フラッシング部12が設けられており、他端にはメンテナンス部4が設けられている。インクジェットヘッド30は、気泡などを含んだ不良インクをフラッシング部12へ吐出してインクの吐出性能を良好な状態に維持する。また、メンテナンス部4では、気泡を含んだインクの吸引、ノズル面の払拭などを行い、インクの吐出性能を良好な状態に維持する。
次に、ヘッドホルダ9の主要構造について図2ないし図4を参照して説明する。図2はヘッドホルダから電気回路基板を取り外した状態を示す斜視説明図である。図3はヘッドホルダの一部縦断面説明図である。図4は図3のA−A矢視部分断面図である。
なお、以下の説明では、インクを吐出する側を下面および下方向とし、その反対側を上面および上方向とする。また、図1においてインクジェットプリンタを図面下辺側すなわち正面から見た場合の左端側を左方向、右端側を右方向、図面下辺側を前方、図面上辺側を後方とする。
図4に示すように、インクジェットヘッド30は、多数のインク流路を有するキャビティ部31とそのインク流路内のインクに選択的に吐出圧力を付与する圧電アクチュエータ32とを積層して構成され、キャビティ部31の下面31aにインク色毎に列をなしたノズル列を有し、上面に、インク色毎に独立したインク流入口31b(図3)を有する。
図3に示すように、インクジェットヘッド30の上面には、枠状の補強フレーム33が接着固定されている。補強フレーム33には、各インク流入口31bに対応したインク通路口33aが形成されている。図4に示すように、インクジェットヘッド30と補強フレーム33(図3)とからなるユニットは、底壁9eの下面に沿って配置され、底壁9eに貫通形成された開口90に注入された接着剤91により接着固定されている。
図2に示すように、各インク貯留部40a(図3)の上面開口部は、可撓性の膜状部材41に覆われている。具体的には、膜状部材41は、樹脂製のフィルムで構成され、各インク貯留部40a(図3)を画定する隔壁及びバッファタンク40の外周壁の上端に接着または超音波溶着などにより固定されている。各インク貯留部40a(図3)の上部には、公知のように所定量の空気が溜められ、その空気と可撓性の膜状部材41との協働で、インクジェットヘッド30(図3)の走査にともなうインクの圧力変動が吸収される。上記の所定量を超える空気は、バッファタンク40の側面に設けられた排気装置45によって外部へ排気される。
図4に示すように、排気装置45は、各インク貯留部40a(図3)の上部空間にそれぞれ排気通路45aを介して連通した筒状のケース部45bを各インク貯留部40a(図3)毎に有し、各筒状のケース部45b内に、その内部流路を開閉する弁45cを備えている。筒状のケース部45bの下端は、インクジェットヘッド30の下面31aとほぼ同一平面に開口しており、ヘッドホルダ9が一方の走査端に移動したとき、図示しない操作部材により弁45cを開放し、下端の開口に吸引装置を接続することにより、各インク貯留部40a(図3)から空気を排出することができる。
チューブジョイント20には、各インクタンク5a〜5dから延びる可撓性の各チューブ14a〜14d(図1)が、チューブ接続口21a〜21d(図2)でそれぞれ接続されている。
チューブジョイント20の前端には、さらに保持部材29が突出形成され、後述する電気回路基板84を、本体側の静止位置に設けられた図示しない制御装置と電気的に接続するフレキシブルフラットケーブル71が保持部材29のスリット29a(図2)に挿通支持されている。
電気回路基板84の左側(バッファタンク40を挟んで排気装置45とは反対側)の下面には、電子部品が突出状態に取り付けられている。具体的には、図2に示すように、ICチップ80(図4)の駆動に必要な電荷を蓄積するバイパスコンデンサ81、記録用紙Pの有無を検出する媒体センサ82、本体側の帯状のタイミング指標部材のマークを読みとるエンコーダ83が、バッファタンク40の左側に間隔を置いて電気回路基板84から垂下状態に配置されている。ヘッドホルダ9の内部左側には、電気回路基板84をヘッドホルダ9に取り付けた際に、バイパスコンデンサ81、媒体センサ82をそれぞれ収容する収容空間9b、9cが形成されている。
フレキシブルフラットケーブル70は、ヘッドホルダ9の底壁9eに貫通形成されたスリット9hを通って、ヘッドホルダ9内に延び、さらに後述するヒートシンク60とヘッドホルダ9の側壁9iとの間の縦空間9f、及び電気回路基板84とバッファタンク40との間の横空間9gを通り、電気回路基板84の右端84bで左方に折り返され、更に電気回路基板84の上方で、フラット面を電気回路基板84の基板面に対向させながら3重に折り返されて、上方から順に折り曲げ部70a〜70cを形成し、その先端は、電気回路基板84の上面84fに設けられたコネクタ85に着脱可能に電気的に接続されている。
ここで、折り曲げ部70aと折り曲げ部70bとは両面テープ70dで接着固定されており、作業者はこの部分を操作し、コネクタ85への接続を容易に行うことができる。フレキシブルフラットケーブル70をコネクタ85に接続した後に、折り曲げ部70bと折り曲げ部70cとは両面テープ70eで一体的に接着固定される。なお、本実施形態では、両面テープを用いて接着を行っているが、接着剤など他の固定手段を用いてもよい。
電気回路基板84には、コネクタ85と、裏面に設けられたバイパスコンデンサ81、媒体センサ82およびエンコーダ83と接続された電気回路84cとが上面に形成されており、電気回路基板84は、フレキシブルフラットケーブル71(図2)を介して、本体側の制御装置と接続されている。
図2に示すように、バッファタンク40の左側壁42の上端には、リブ50,51が上方へ突出して設けられている。図3に示すように、リブ50,51は、バッファタンク40の左側壁42の上端42aから側方に少し間隔をおいて電気回路基板84と膜状部材41との間の横空間9g内へ突出形成されており、左側壁42と一体形成されている。
この実施形態では、遮蔽部材87、88は、弾性を有する多孔質樹脂のフォームで形成されており、それぞれ両面テープで電気回路基板84の表面84fおよびカバー9dの裏面9tに固定されている。
フレキシブルフラットケーブル70の折り曲げ部70a〜70cは、遮蔽部材87と遮蔽部材88との間に挿通されており、その挿通箇所において、遮蔽部材87と遮蔽部材88とが、折り曲げ部70a〜70cの周囲に密着している。
上記2つの遮蔽部材87、88は、一方のみにすることもできる。例えば、カバー9dの裏面9tにのみ遮蔽部材88を取り付け、その遮蔽部材88の下面を電気回路基板84に当接させ、その際にフレキシブルフラットケーブル70も電気回路基板84に当接させる。また、電気回路基板84にのみ遮蔽部材87を取り付け、その遮蔽部材87の上面をカバー9dの裏面9tに当接させ、その際にフレキシブルフラットケーブル70もカバー9dの裏面9tに当接させる。
また、電気回路基板84と本体側の制御装置とを接続するフレキシブルフラットケーブル71も、2つの遮蔽部材87、88またはその一方によって、上記と同様にインクミストを遮蔽して電気回路基板84と接続することができる。
(1)以上のように、上記最良の形態のインクジェット記録装置1を使用すれば、遮蔽部材87および遮蔽部材88が、カバー9dの裏面9tと電気回路基板84の上面84fとの間隙9uに介在し、電気回路基板84に形成された電気回路84cを環状に囲んで配置されているので、囲まれた領域の内部へのインクミストの侵入を確実に遮蔽でき、インクミストが電気回路84cに付着することを防止することができるインクジェット記録装置を実現することができる。
また、フレキシブルフラットケーブル70の折り曲げ部70a〜70cの隙間からインクミストが侵入し、電気回路84cに付着することを防止できる。
更に、接着剤を使用した場合のように接着剤の乾きを待つ必要もないので、短時間で固定できる。
また、遮蔽部材87、88は、多孔質であるので、変形に過大な力を必要とせず、密着状態を保つための適度な反力が得られる。
(1)電気回路84cのうち、必要な領域、例えば、高電圧が発生する領域のみ、遮蔽部材87、88で囲んでもよい。この構成を使用した場合でも、前述した最良の形態の効果を奏することができる。
(請求項1)
記録用紙Pが被記録媒体に、インクジェットヘッド3が記録ヘッドにそれぞれ対応する。
(請求項4)
フレキシブルフラットケーブル70がケーブルに対応する。
(請求項5)
両面テープ70d、70eが固定手段に対応する。
3 インクジェットヘッド(記録ヘッド)
9 ヘッドホルダ
9d カバー
70 フレキシブルフラットケーブル(ケーブル)
70d、70e 両面テープ(固定手段)
84 電気回路基板
84c 電気回路
87、88 遮蔽部材
P 記録用紙(被記録媒体)
Claims (5)
- インクを被記録媒体へ吐出して記録を行う記録ヘッドと、
この記録ヘッドに接続される電気回路が表面に形成された電気回路基板と、
前記記録ヘッド及び前記電気回路基板を収容する箱状のヘッドホルダと、
前記電気回路基板の表面を覆って前記ヘッドホルダに装着されたカバーと、
前記記録ヘッドが前記インクを吐出したときに発生するインクミストの侵入を遮蔽する遮蔽部材と、
前記電気回路と前記記録ヘッドとを電気的に接続するケーブルとを備えたインクジェット記録装置において、
前記遮蔽部材は、前記電気回路が形成された領域の周縁において、前記カバーの裏面と前記電気回路基板の表面に設けられ、前記カバーの裏面と前記電気回路基板の表面との間の前記電気回路が形成された領域を含む空間をその外側の空間から遮蔽しており、
前記ケーブルは、前記遮蔽部材の前記カバーの裏面に設けられた部分と、前記電気回路基板の表面に設けられた部分との間に挿通されており、かつ、その挿通箇所において前記遮蔽部材が前記ケーブルの周囲に密着しており、前記挿通箇所において折り重ねられ、その折り重ねられた部分同士が固定手段により密着固定していることを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記固定手段は、表裏両面に接着面が形成された接着テープであることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
- 前記遮蔽部材は、多孔質弾性体であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録装置。
- インクを被記録媒体へ吐出して記録を行う記録ヘッドと、
この記録ヘッドに接続される電気回路が表面に形成された電気回路基板と、
前記記録ヘッド及び前記電気回路基板を収容する箱状のヘッドホルダと、
前記電気回路基板の表面を覆って前記ヘッドホルダに装着されたカバーと、
前記記録ヘッドが前記インクを吐出したときに発生するインクミストの侵入を遮蔽する遮蔽部材とを備えたインクジェット記録装置において、
前記遮蔽部材は、多孔質弾性体で形成されており、前記電気回路が形成された領域の周縁において、前記カバーの裏面と前記電気回路基板の表面のうちの少なくとも一方に設けられ、前記カバーの裏面と前記電気回路基板の表面との間の前記電気回路が形成された領域を含む空間をその外側の空間から遮蔽していることを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記電気回路基板は、前記ヘッドホルダの開口部内に、その開口部とほぼ平行に配置され、前記カバーは、前記開口部を覆うように前記ヘッドホルダに装着されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載のインクジェット記録装置。
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