JP2005254496A - インクジェットプリンタ - Google Patents

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Abstract

【課題】漏れたインクが、記録ヘッドなどの、インクの影響を受ける部分に流れるのを抑制する。
【解決手段】ホルダ本体12cの底壁12aの下側に記録ヘッド11を設け、そのホルダ本体12cの底壁12aに形成される開口部12dおよびスリット12eの周囲に、それらの内部へのインクの侵入を阻止する凸壁部12fを設ける。開口部12dは、ヘッドホルダ12の底壁12a下側に記録ヘッド11の上面側を接着固定する接着剤を充填するものであり、スリット12eは、記録ヘッド11への電気配線のためのフラットフレキシブルケーブル20がヘッドホルダ12の底壁12aを貫通するものである。そして、スリット12eの外側に、ヘッドホルダ12の底壁12a下側に記録ヘッド11の上面を接着固定する接着剤を充填する開口部12dを並んで形成し、それらの間に、スリット12eと開口部12dとが共有する凸壁部12fを設ける。
【選択図】 図3

Description

本発明は、インクジェットプリンタ、特にインクタンクからインク供給管を通じて、移動するヘッドホルダ上の記録ヘッドにインクを供給するインクジェットプリンタに関するものである。
近年、インクジェットプリンタにおいて、製品として薄さを確保するために、キャリッジとしての大きさを薄くしたい。つまり、キャリッジにインクタンクを搭載しない構成としたいという要求がある。そのためには、インクタンクのインクを、インク供給チューブを介して、キャリッジ上の記録ヘッドに供給する必要がある。
インクジェットプリンタ本体内に固定されたインクタンクから可撓性を有するチューブを介して、往復移動するキャリッジに搭載された記録ヘッドにインクを供給するチューブ供給形式のインクジェットプリンタはすでに知られている(例えば特許文献1参照)。
特公平7−121583号公報(図2,図3等参照)
前述したような構成とすると、保守点検時などにおいて、例えば記録ヘッドを交換する場合や、工場でインク供給チューブをチューブジョイントから取り外す場合などにおいて、インク供給チューブから漏れたインクがキャリッジ上に落下するおそれがある。そのまま、記録を行うためにキャリッジを移動させると、慣性によってインクが移動し、記録ヘッドを接着している接着部分をインクで濡らして、接着力を低下させるおそれがある。また、そのような漏れたインクによってフレキシブルフラットケーブルなどの電子部品が濡れると、ショートが発生するおそれもある。
本発明は、漏れたインクによって、インクの影響を受ける部分(接着部分や電子部品など)が濡れるのを抑制できるインクジェットプリンタを提供することを目的とする。
請求項1の発明は、被記録媒体に対して移動するヘッドホルダにインクジェット式の記録ヘッドを搭載し、プリンタ本体に載置されたインクタンクからインク供給管を介して、前記ヘッドホルダに搭載されたダンパー装置を経て前記記録ヘッドにインクを供給するように構成されたインクジェットプリンタにおいて、前記ヘッドホルダは、底壁下側に前記記録ヘッドが設けられた箱形状のホルダ本体を有し、そのホルダ本体の底壁に形成される開口部に対し、前記開口部内へのインクの侵入を阻止するインク侵入阻止対策が施されていることを特徴とする。ここで、インク侵入阻止対策としては、開口部の周囲に凸壁部を設けたり、凹溝部を設けたり、撥水処理を施したりすることが相当し、完全に阻止する場合だけでなく、完全でない阻止(抑制)も含まれるのはいうまでもない。
このようにすれば、箱形状のホルダ本体(ヘッドホルダ)の底壁に形成される開口部に対し、前記開口部内へのインクの侵入を阻止するインク侵入阻止対策が施されているので、ホルダ本体内に少量のインクが流れ込んできても、開口部内にそのインクが侵入(移動)しにくくなる。よって、万一漏れたインクがホルダ本体内に流れてきても、前記開口部内へのインクの侵入が阻止されるので、前記開口部内にインクの影響を受ける部分(接着部分や電子部品など)を配設しておけば、その部分がインクによって濡れるのを回避できる。例えば開口部内に接着部分を配設しておけば、その接着部分がインクで濡れて、接着力が低下するのを回避でき、また、前記開口部内にフレキシブルフラットケーブルなどの電子部品を配設しておけば、その電子部品が濡れて、ショートが発生するのを未然に防止することができる。
請求項2の発明は、被記録媒体に対して移動するヘッドホルダにインクジェット式の記録ヘッドを搭載し、プリンタ本体に載置されたインクタンクからインク供給管を介して、前記ヘッドホルダに搭載されたダンパー装置を経て前記記録ヘッドにインクを供給するように構成されたインクジェットプリンタにおいて、前記ヘッドホルダは、底壁下側に前記記録ヘッドが設けられた箱形状のホルダ本体を有し、そのホルダ本体の底壁に形成される開口部の周囲またはその一部に、前記開口部内へのインクの侵入を阻止する凸壁部を設けることを特徴とする。
このようにすれば、箱形状のホルダ本体内に、漏れたインクが侵入しても、ホルダ本体の底壁に形成される開口部の周囲またはその一部に凸壁部が設けられているので、凸壁部によって開口部内へのインクの侵入が阻止される。よって、凸壁部を設けるという簡単な構成で、開口部内へのインクの侵入を阻止することができ、その開口部内にインクの影響を受ける部分(接着部分や電子部品など)を配設するようにすれば、その部分がインクによって濡れるのを回避できる。
請求項3の発明は、請求項2記載のインクジェットプリンタにおいて、前記開口部が、前記ヘッドホルダの底壁下側に前記記録ヘッドの上面側を接着固定する接着剤を充填するものである。
このようにすれば、ヘッドホルダの底壁下側に前記記録ヘッドの上面側を接着固定する接着剤を充填する開口部の周囲またはその一部に凸壁部が設けられているので、凸壁部によって開口部内へのインクの侵入が阻止され、接着部分が濡れることがなくなる。よって、インクの成分に弱い接着部分が保護され、接着力の低下が回避され、また、インクが接着剤を侵して記録ヘッド側へ侵入して電気的な障害を発生するということがなくなる。
請求項4の発明は、請求項2記載のインクジェットプリンタにおいて、前記開口部は、前記記録ヘッドへの電気配線のためのフラットフレキシブルケーブルがヘッドホルダの底壁を貫通するスリットである。
このようにすれば、記録ヘッドへの電気配線のためのフラットフレキシブルケーブルがヘッドホルダの底壁を貫通するスリットの周囲またはその一部に凸壁部が設けられているので、凸壁部によって、フラットフレキシブルケーブルと記録ヘッドとの接続部にインクが侵入して、ショートが発生するのが回避される。
請求項5の発明は、請求項4記載のインクジェットプリンタにおいて、前記スリットの外側に、前記ヘッドホルダの底壁下側に前記記録ヘッドの上面を接着固定する接着剤を充填する開口部が並んで形成され、それらの間に、前記スリットと開口部とが共有する前記凸壁部が設けられている。
このようにすれば、スリットの外側に、ヘッドホルダの底壁下側に前記記録ヘッドの上面を接着固定する接着剤を充填する開口部が並んで形成され、それらの間に前記凸壁部が設けることで、開口部内へのインクの侵入を阻止する凸壁部を、前記スリットと開口部とで共有するようにしているので、構造の簡略化を図ることができる。
請求項6の発明は、請求項4記載のインクジェットプリンタにおいて、前記凸壁部は、前記開口部の全周囲に亘って設けられ、前記凸壁部の内側に、前記開口部を囲む平坦面を有する。
このようにすれば、フラットフレキシブルケーブルの周囲に封止剤を塗布する場合に、それを塗布するニードルの先端を平坦面に、それに続く胴部を凸壁部に接触支持させることができるので、平坦面と凸壁部との2カ所をニードルの案内部として機能させることができる。よって、封止剤を安定して塗布することができるので、封止剤を塗布する際に、ニードル(金属ニードルや硬質樹脂ニードルなど)が不用意に動いて、フラットフレキシブルケーブルを損傷させることなどを回避することができる。
請求項7の発明は、請求項4又は6に記載のインクジェットプリンタにおいて、前記開口部と前記フレキシブルフラットケーブルとの間に封止剤が充填されている。
このようにすれば、万一インクが開口部内に侵入しても、ヘッドホルダの底壁下側へのインクの侵入が封止剤にて阻止される。
以上のように、本発明は、箱形状のホルダ本体(ヘッドホルダ)の底壁に形成される開口部内へのインクの侵入を阻止し、その開口部内にインクが侵入しにくくなるようにしているので、その開口部内にインクの影響を受ける部分(接着部分や電子部品など)を配設することで、その部分がインクによって濡れるのを回避することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に沿って詳細に説明する。
図1は本発明に係るインクジェットプリンタの主たる構成要素を示す概略構成図、図2はインクジェットプリンタヘッドの底面図、図3は記録ヘッド、補強フレーム、ヘッドホルダ、及びダンパー装置の分解斜視図である。
図1〜図3に示すように、インクジェットプリンタ100は、インクジェットプリンタヘッド1として、ノズル孔からインクを吐出するインクジェット式でかつ薄板形状の記録ヘッド11と、この記録ヘッド11が搭載され合成樹脂材料により形成されるヘッドホルダ12とを備える。そして、ヘッドホルダ12は、用紙P(被記録媒体)に対して移動可能である。インクタンク(図示せず)のインクは、インク供給チューブ13a〜13d(インク供給管)を介して、ヘッドホルダ12に搭載されたダンパー装置14に供給され、ダンパー装置14に一旦貯留され、その後記録ヘッド11にインクを供給するように構成されている。なお、前記インクタンクは、プリンタフレーム(図示せず)に着脱可能に設けられ、記録ヘッド11に供給するインクを貯留する。具体的に図示していないが、フルカラー記録のために、複数のインクタンク(個別の色、即ち、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー用のインクタンク)が前記プリンタフレームに設けられている。
ヘッドホルダ12は、前記プリンタフレームの前後において平行に設けられ左右方向に延びる後側ガイド部材2Aと前側ガイド部材2Bとにスライド移動可能に支持されている。前側ガイド部材2Aは、スライド移動方向と直交する断面をほぼL字形に形成され、後側ガイド部材2Bは、スライド移動方向に延びる水平な面を有している。そして、このヘッドホルダ12に、駆動プーリ3Aと従動プーリ3Bとの間に巻き掛けられたエンドレスのタイミングベルト4の一部が連結され、駆動プーリ3Aを駆動モータ5で回転駆動することで、ヘッドホルダ12がタイミングベルト4を介してガイド部材2A,2Bに沿って左右方向に往復移動する構成とされている。ヘッドホルダ12の上側部分はカバー24にて覆われている。なお、具体的に図示しないが、周知の用紙搬送機構により、用紙Pは記録ヘッド11の下面側でヘッドホルダ12の移動方向と直交する方向(図1の矢印A方向)に、記録可能な状態で搬送される。また、インク受け部(記録動作中に定期的にノズルの目詰まり防止のためのインク吐出(フラッシング)を行う)や、メンテナンスユニット(ノズル面のクリーニングを行い、また、色毎にインクを選択的に吸引するための回復処理、及び後述するダンパー装置14内の気泡(空気)を除去する除去処理を行う)も配設されている。
記録ヘッド11の下面には、図2(記録ヘッド11を下面からみた図)において左側からブラックインク(BK)用のノズル16aの2列と、シアンインク(C)用のノズル16bの列と、イエローインク(Y)用のノズル16cの列と、マゼンタインク(M)用のノズル16dの列とが、ヘッドホルダ12の移動方向(主走査方向)と直交する方向に長く形成されている。そして、用紙Pの上面に対向するように各ノズル16a〜16dが下向きにて露出している。
記録ヘッド11の一端側には、図3に示すように、キャビティユニット17のインク供給口18a〜18dが、上面に列状に開口して各インク色(本実施形態では4色)毎に設けられている。これらインク供給口18a〜18dから延びる各インク供給チャンネルを介してインクが分配され、圧電アクチュエータ19の駆動によりノズル16a〜16dからインクを吐出させるように構成されている。ブラックインク(BK)用のインク供給口18aは、シアンインク(C)用、イエローインク(Y)用及びマゼンタインク(M)用のインク供給口18b〜18dよりも開口面積が大きく形成されている。
記録ヘッド11においては、圧電アクチュエータ19の外形状を、平面視でキャビティユニット17の外形状よりも小さくし、キャビティユニット17の背面に圧電アクチュエータ19を積層した際に、インク供給口18a〜18d及び圧電アクチュエータ19周囲のキャビティユニット17の背面が記録ヘッド11の背面側において露出するようにしている。
圧電アクチュエータ19の上面には、そのアクチュエータ19に電圧を印加するフレキシブルフラットケーブル20の基端部分が固定されている。フレキシブルフラットケーブル20は、ドライバIC21を備え、ダンパー装置14の上側に設けられたプリント基板22(図5参照)に電気的に接続される。プリント基板22は、他のフレキシブルフラットケーブル20’(図1参照)を介してプリンタ本体側のプリント基板(図示せず)に接続される構成となっている。また、ドライバIC21は発熱するので、それを冷却するためにアルミニウム合金製のヒートシンク23がドライバIC21に押し付けられ(図6参照)、ドライバIC21がヒートシンク23を介して自然冷却されるようになっている。
記録ヘッド11は、その背面に枠状の補強フレーム33を介在させて、ヘッドホルダ12の下側に固定される。補強フレーム33は、記録ヘッド11の背面に沿った偏平な板形状を有しているとともに、補強フレーム33の中央開口部33a内の大きさは、平面視で圧電アクチュエータ19の外形状よりも僅かに大きく、かつキャビティユニット17の外形状よりも小さく形成されている。そのため、補強フレーム33は、その中央開口部33a内に圧電アクチュエータ19とフレキシブルフラットケーブル20とを位置させるように、キャビティユニット17の背面に接着固定される。
補強フレーム33は、金属製(例えばSUS430)で、キャビティユニット17よりも厚く、かつ剛性が大きく形成されている。そして補強フレーム33は、キャビティユニット17のインク供給口18a〜18dに対応する補強フレーム33の一端側の位置に、ダンパー装置14のインク流出口32a〜32dと、キャビティユニット17のインク供給口18a〜18dとを接続する4つのインク通路孔33b〜33eが列状に穿設されている。
図3に示すように、補強フレーム33の隅部にはネジ穴33f,33gが設けられている。そして、このネジ穴33f,33gに対応させて、ダンパー装置14の外周面に外周方向に突出するフランジ状の取付部14aを設け、各取付部14aにそれぞれ取付穴14bが穿設されている。そして、締結部材としてネジ28が、各取付穴14bに挿入されて、ネジ穴33f,33gにそれぞれ螺合され、これにより底壁12aの下面に接着固定された補強フレーム33の上面にダンパー装置14が固定される。
記録ヘッド11と補強フレーム33との間の段差を解消し記録ヘッド11を保護するために、記録ヘッド11の周囲に位置する平面視コ字形状の保護カバー51が、補強フレーム33に取り付けられている。
図4〜図7に示すように、ダンパー装置14は、本体ケース5の内部を仕切壁にて区画することで、インク色毎に独立した複数のダンパー室、つまりブラックインク(BK)用のダンパー室31a、シアンインク(C)用のダンパー室31b、イエローインク(Y)用のダンパー室31c及びマゼンタインク(M)用のダンパー室31dを備えている。
ダンパー装置14の本体ケース25は、上面を開放した箱状の下ケース26と、その下ケース26の上面を覆って下ケース26に固定された上ケース27とから構成される。下ケース26及び上ケース27は共に合成樹脂材料にて射出成形されたものであり、超音波溶着等にて液密的に結合されている。これら両ケース26,27が結合されることによってダンパー室31a〜31dが形成される。なお、ダンパー室31a〜31dは、それらがそれぞれ1つの単独の室で形成されるようにしているが、それぞれの室が分割された複数の室から構成されるようにしてもよい。そして、各ダンパー室31a〜31dは、それらの端部において各インク色毎のインク流出口32a〜32dに連通している。
ヘッドホルダ12の底側の壁である底壁12aは、記録ヘッド11の背面とほぼ平行であり、この底壁12aの下面に記録ヘッド11が接着されている。また、ヘッドホルダ12の底壁12aの上側には、インクを一時的に貯えるダンパー装置14と、このダンパー装置14のダンパー室31a〜31d内の空気を定期的に排気する排気弁手段15(図7参照)とが搭載されている。
インク流出口32a〜32dは、下ケース26の下面に並んで位置し、底壁12aよりも下方に突出した位置で、下向きに開口している。一方、キャビティユニット17(記録ヘッド11)は、上面に各インク色毎のインク供給チャンネル(マニホールド)の端部と連通した複数のインク供給口18a〜18dを、各インク流出口32a〜32dと対向した位置に備えている。各ダンパー室31a〜31dのインク流出口32a〜32dは、補強フレーム33に設けた通路孔33b〜33eを貫通し、記録ヘッド11の各インク供給口18a〜18dと、ゴムパッキン等の弾性シール材34を介して連通している。
インク流出口32a〜32dが設けられている部位とは反対側の部位に、上ケース27(本体ケース25)の側面からフランジ状のダンパー延長部27aが突出し、そのダンパー延長部27aには、図3及び図4に示すように各インク色毎のインク流路、すなわちブラックインク(BK)用、シアンインク(C)、イエローインク(Y)用及びマゼンタインク(M)用の各インク流入路35a,35b,35c、35dが独立して形成され、ダンパー室31a〜31dにそれぞれ連通されている。
このインク流路35a,35b,35c,35dの上流側部分は、ダンパー延長部27aの下面側に凹み形成され、それらを可撓性膜(図示せず)で封止することで形成されている。また、下流側部分は、本体ケース25付近で、貫通孔を通じて、上ケース27の上面側に凹み形成されている。これらのインク流路35a〜35dは可撓性膜(上面側のインク流路35a〜35dを覆う可撓性膜43のみ図示)で封止することで形成されている。この可能性膜43が延長されて、後述の排気通路41に対応する凹溝部の上側まで延長され、排気通路41を形成する構成とされている。
また、インク流路35a〜35dの上流端に対応するダンパー延長部27aの上側に、弾性シール材52を介して、チューブジョイント36(供給管接続具)が設けられている。
上ケース27のダンパー延長部27aの下側には、そのダンパー延長部27aに対応して、ヘッドホルダ12のホルダ延長部12bが形成されている。このホルダ延長部12bは、ダンパー装置14が収納される箱形状のホルダ本体12cの上端部から、ダンパー延長部27aに対応して延びている。
また、ホルダ本体12cの底壁12aの下側に記録ヘッド11が設けられ、そのホルダ本体12cの底壁12aに形成される開口部12d,12eの全周囲(またはその一部であってもよい)に、開口部12d,12e内へのインクの侵入を阻止する凸壁部12fが設けられている。このようにして、開口部12d,12e内へのインクの侵入を阻止するインク侵入阻止対策が施されている。
このような対策が施されているのは、ヘッドホルダ12の底壁12a下側に記録ヘッド11の上面側を接着固定する接着剤Sを充填する開口部12dや、記録ヘッド11への電気配線のためのフラットフレキシブルケーブル20がヘッドホルダ12の底壁12aを貫通するスリット12eである。つまり、開口部12dの周囲に設ける凸壁部12fによって開口部12d内へのインクの侵入が阻止されるので、接着部分が濡れることがなくなり、インクの成分に弱い接着部分(接着剤)が保護され、接着力の低下が回避される。また、スリット12eの周囲凸壁部12fが設けられているので、凸壁部12fによってインクの侵入が阻止され、フラットフレキシブルケーブル20と圧電アクチュエータ19との電気的接続部がインクによって濡れて、電気的なショートが発生するのが回避される。
そして、ヘッドホルダ12の底壁12a下側に記録ヘッド11の上面を接着固定する接着剤を充填する複数の開口部12dが、記録ヘッド11の長手方向の両側縁に沿ってそれぞれ並んで形成され、一方の列の開口部12dとスリット12eとの間に、前記開口部12dとスリット12eとが共有する凸壁部12f’が設けられている。このように凸壁部12f’を共有化することで、構造の簡略化が図られる。
また、スリット12e(開口部)については、凸壁部12fが全周囲に亘って設けられ、凸壁部12fの内側に、スリット12eを囲む平坦面12gを有する構成とされている。そして、スリット12eとフレキシブルフラットケーブル20との間に封止剤Fが充填され、この封止剤Fによってフレキシブルフラットケーブル20の固定とインクの底壁12aの下方への侵入の阻止とを図っている。インクの底壁12aの下方への侵入が確実に阻止されるので、記録ヘッド11がインクで濡れるのも回避できる。
両延長部27a,12bの先端部分の上側に、各インク色毎のインク流路を有するチューブジョイント36がばね37により弾性的に取り付けられている。そしてチューブジョイント36は、各インク流路35a〜35dに連通するチューブ接続部36a〜36dを有し、このチューブ接続部36a〜36dに、一端部が前記インクタンクに連通するインク供給チューブ13a〜13dの他端部が着脱可能に接続されている(図4参照)。これにより、インク供給チューブ13a〜13dとチューブ接続部36a〜36dとの接続部分(インクが漏れやすい部分)の下方に、両延長部27a,12bが位置し、前記接続部分よりインクが漏れた場合には、前記両延長部27a,12bで受け止められる構成とされている。なお、チューブジョイント36には、プリント基板22とプリンタ本体側のプリント基板とを接続するためのフレキシブルフラットケーブル20’を係止する係止部36eが一体に設けられている。
そして、ホルダ延長部12bで受け止められたインクがホルダ本体12c内に侵入しないように、図7に示すように、ホルダ本体12c側へのインクの移動を阻止するインク堰部12hがホルダ延長部12bの上面側に形成されている。また、ダンパー延長部27aに、インク堰部12hよりホルダ本体12c側に位置する凸部27bが、インク堰部12hに対応して形成されている。そして、さらに、ホルダ延長部12c上の、凸部27bよりさらにホルダ本体12c側に、ホルダ本体12c側へのインクの移動を阻止する第2の堰部12kが形成されている。これにより、前記接続部分より漏れたインクが、ホルダ延長部12bの上面に沿って、ホルダ本体12c内に移動するのが抑制される。
また、上ケース27の上面側には、それぞれダンパー室31a〜31dの上部空間部に一端部が連通する排気通路41が各インク色毎に(4つ)独立して凹み形成されている。この排気通路41の他端部は、本体ケース25を横切って延び、下ケース26に貫通形成された各インク色毎の排気孔42の上端に連通している。なお、各排気通路41は、それらの開放上面を可撓性膜43で覆うことで画定されている。
各排気孔42には、図6に示すように、排気孔42を大気に連通させたりその連通を遮断させたりする弁体44が摺動可能に設けられている。その弁体44は、大径の弁部44aと、その下端に一体に連接した小径のバルブロッド44bと、弁部44aに接してバルブロッド44bに被嵌したシール部材44cと備え、排気孔42の途中の連通口42aが、弁部57aによりシール材44cを介して開閉されるように構成されている。また、弁部44aを連通口42aを閉塞する方向に付勢するばね部材45が設けられている。
そして、通常時は、弁体44はばね部材45によって常時下向きに押圧されており、シール部材44cを介して連通口42aを閉塞する弁閉止状態となる。一方、ヘッドホルダ12が待機位置に移動したときに、バルブロッド44bが、図示しないメンテナンスユニットの突起部によって上方に押し上げられ、これに伴い弁部44aおよびシール部材44cが、連通口42aから離れた弁開放状態となる。この状態で、吸引ポンプ(図示せず)の駆動により各ダンパー室31a〜31d内に蓄積した気泡が一括して吸引され大気に排出される。
このように、インクタンクからインク供給チューブ13a〜13dを通して記録ヘッド11に供給されるインクを、そのインク流路の途中となるダンパー室31a〜31d内に一旦貯留することで、インク中から気泡を分離浮上させ、ダンパー室31a〜31dの上部空間に蓄積した気泡を、上記のように、吸引ポンプにより排出させることが可能になる。
記録ヘッド11を構成するキャビティユニット17は、前面に多数のノズルを列状に備えるノズルプレートと、その上に順に積層されインク流路を形成する複数枚の中間プレートとを備え、それぞれ接着剤にて重ね接合した構造としている。合成樹脂(例えばポリイミド樹脂)製のノズルフレートを除く他のプレートは、ニッケル合金鋼板製で、50〜150μm程度の厚さを有する。ノズルプレートには、微小径(実施形態では25μm程度)のノズル16a〜16dが微小間隔で多数個穿設されている。このノズル16a〜16dは、前述したとおり、ノズルプレート61の長辺方向に沿って、千鳥配列状で5列に配列されている。
そして、プレート型の圧電アクチュエータ19における下面全体に、接着剤としてのインク非浸透性の合成樹脂材料からなる接着剤シート19’を予め貼着し、次いで、キャビティユニット17の上側に対して、圧電アクチュエータ19を所定の位置関係で接着固定する。また、この圧電アクチュエータ19における上側の表面には、フレキシブルフラットケーブル20が重ねられることにより、このフレキシブルフラットケーブル20における多数の配線パターン(図示せず)と圧電アクチュエータ上の多数の電極とが電気的に接合される。
フレキシブルフラットケーブル20の周囲(スリット12e)との間に封止剤Fを塗布するには、図8に示すように、ニードル71の先端をスリット12eの周囲の平坦面12gに、それに続く胴部を凸壁部12fの角部に接触支持させることで、平坦面12gと凸壁部12fとをニードル71の案内部として機能させ、安定して塗布することができる。つまり、スリット12eの全周にわたって平坦面12gと凸壁部12fとで、ニードル71を円滑に案内しつつ封止剤Fを塗布することができるので、ニードル71(金属ニードルや硬質樹脂ニードル等)がその塗布作業中に不用意に動いて、フラットフレキシブルケーブル20に当たって、そのケーブル20を損傷したり、塗布が不均一になったりするのを回避できる。
また、万一インクがスリット12e内に侵入しても、スリット12内には封止剤Fが充填されているので、スリット12eを通じて、ヘッドホルダ12の底壁12a下側へのインクが侵入するのが阻止される。
以上のように、本実施の形態においては、インクジェットプリンタヘッドを交換する場合や、工場で組立の際にインク供給チューブを一時的に取り外したとき、あるいはインク供給チューブとチューブ接続口部36a〜36eとの接続部から、インクが漏れたとしても、チューブ接続口部36a〜36eが、ダンパ延長部27a及びホルダ延長部12bによって、記録ヘッド11の圧電アクチュエータ19、それに接続したフレキシブルフラットケーブル20、ドライバIC21などの電子部品から離れた位置にあるので、それら電子部品をインクで濡らすことがない。また、ホルダ延長部12b上に落ちたインクは、ホルダ本体12c側が下になるように傾けたとしても、インク堰部12h,12k及び凸部27bによって電子部品側への移動が阻止される。インクがインク堰部12kを越えても、凸壁部12fによって開口部12d,12eへの侵入が阻止され、開口部12d,12eに充填された接着剤、充填剤が、インクによって侵されることがなく、圧電アクチュエータ19とフレキシブルフラットケーブル20との接続部にインクが侵入することがない。
したがって、記録ヘッド11、特に電子部品へのインクの付着による電気的なショート事故等が解消される。
本発明に係るインクジェットプリンタの主たる構成要素を示す概略構成図である。 インクジェットプリンタヘッドの底面図である。 記録ヘッド、補強フレーム、ヘッドホルダ、及びダンパー装置の分解斜視図である。 本発明に係るインクジェットプリンタヘッドを、一部を断面で示す平面図である。 図4のV-V線における断面図である。 図4のVI-VI線における断面図である。 ホルダ延長部、ダンパー延長部、弾性シール材、チューブジョイントおよびばねの関係を示す一部断面側面図である。 封止剤塗布の説明図である。
符号の説明
100 インクジェットプリンタ
1 インクジェットプリンタヘッド
11 記録ヘッド
12 ヘッドホルダ
12a 底壁
12b ホルダ延長部
12c ホルダ本体
12d 開口部
12e スリット
12f 凸壁部
12g 平坦面
13 インク供給チューブ(インク供給管)
14 ダンパー装置
16a〜16d ノズル
20 フラットフレキシブルケーブル
27a ダンパー延長部
31a〜31d ダンパー室
36 チューブジョイント
F 封止剤

Claims (7)

  1. 被記録媒体に対して移動するヘッドホルダにインクジェット式の記録ヘッドを搭載し、プリンタ本体に載置されたインクタンクからインク供給管を介して、前記ヘッドホルダに搭載されたダンパー装置を経て前記記録ヘッドにインクを供給するように構成されたインクジェットプリンタにおいて、
    前記ヘッドホルダは、底壁下側に前記記録ヘッドが設けられた箱形状のホルダ本体を有し、そのホルダ本体の底壁に形成される開口部に対し、前記開口部内へのインクの侵入を阻止するインク侵入阻止対策が施されていることを特徴とするインクジェットプリンタ。
  2. 被記録媒体に対して移動するヘッドホルダにインクジェット式の記録ヘッドを搭載し、プリンタ本体に載置されたインクタンクからインク供給管を介して、前記ヘッドホルダに搭載されたダンパー装置を経て前記記録ヘッドにインクを供給するように構成されたインクジェットプリンタにおいて、
    前記ヘッドホルダは、底壁下側に前記記録ヘッドが設けられた箱形状のホルダ本体を有し、そのホルダ本体の底壁に形成される開口部の周囲またはその一部に、前記開口部内へのインクの侵入を阻止する凸壁部を設けることを特徴とするインクジェットプリンタ。
  3. 前記開口部は、前記ヘッドホルダの底壁下側に前記記録ヘッドの上面側を接着固定する接着剤を充填するものであることを特徴とする請求項2記載のインクジェットプリンタ。
  4. 前記開口部は、前記記録ヘッドへの電気配線のためのフラットフレキシブルケーブルがヘッドホルダの底壁を貫通するスリットであることを特徴とする請求項2記載のインクジェットプリンタ。
  5. 前記スリットの外側に、前記ヘッドホルダの底壁下側に前記記録ヘッドの上面を接着固定する接着剤を充填する開口部が並んで形成され、それらの間に、前記スリットと開口部とが共有する前記凸壁部が設けられていることを特徴とする請求項4記載のインクジェットプリンタ。
  6. 前記凸壁部は、前記開口部の全周囲に亘って設けられ、前記凸壁部の内側に、前記開口部を囲む平坦面を有することを特徴とする請求項4記載のインクジェットプリンタ。
  7. 前記開口部と前記フレキシブルフラットケーブルとの間に封止剤が充填されていることを特徴とする請求項4又は6に記載のインクジェットプリンタ。
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