JP4642696B2 - コンデンサマイクロホンユニット - Google Patents

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本発明は、感度や周波数応答などの性能を安定させる構造を付与するなかで、共振の発生と漏洩電流に起因する雑音の発生とを抑えることのできるコンデンサマイクロホンユニットに関する技術である。
コンデンサマイクロホンユニットは、下記特許文献1に開示されているように、前側の前部音響端子孔が設けられた前端面と、後側の開口面を備えた円筒状のユニットケース内に、コンデンサ部と、該コンデンサ部の静電容量の容量変化を電気インピーダンスに変換するインピーダンス変換器とを少なくとも収納して形成されている。
登録第3017118号実用新案公報
このうちインピーダンス変換器は、コンデンサ部における背極板との導通を確保した状態のもと、プリント基板に一体的に実装されてユニットケース内に収納されている。また、ユニットケースは、その開口縁がユニットケースの内側に向けてかしめられることで、開口面の側がプリント基板により封口されている。
図3は、従来からあるコンデンサマイクロホンユニットの一例につき、その断面構造を示す説明図であり、図4は、その構成部材であるプリント基板の平面図である。
これらの図によれば、コンデンサマイクロホンユニット1は、コンデンサ部Cの背極板2とプリント基板3が備えるインピーダンス変換器4側から引き出された導電パターンPとを電気的に導通させるべく介在配置される導電体5を少なくとも備えて形成されている。、
このうちユニットケース9は、例えば、アルミニウムのような金属などの導電性素材により円筒状に形成されており、前部音響端子孔Fが設けられた前端面9aと、後側の開口面9bとを有し、前端面9aの側に背極板2を含むコンデンサ部Cを収納している。
また、ユニットケース9の開口縁9cは、ユニットケース9の内側に向けてカールするようにかしめ加工されている。これにより、ユニットケース9は、プリント基板3を保持し、該プリント基板3により、その開口部9a側が封口されている。
一方、プリント基板3は、そのマイクロホンケース9の内方に向く面の略中央部位に実装されたインピーダンス変換器(EFT)4を備えているほか、同一面側に該インピーダンス変換器4と電気的に導通させた導電パターンPが形成されている。
この場合、導電パターンPは、プリント基板3の周縁部3a近傍に同心円状に形成された環状パターン層P1と、該環状パターン層P1の適宜位置からインピーダンス変換器4に向けて形成された直線状の接続パターン層P2とで構成されている。
さらに、プリント基板3は、環状パターン層P1とインピーダンス変換器4との間に位置する面領域に、同一円周上に等間隔に配列された複数の後部音響端子孔Rを備えている。
また、略円筒状を呈する導電体5は、背極板2の周縁部2aの全周域に当接する開放端面と、環状パターン層P1の全周域に当接する開放端面とを有して、背極板2とプリント基板3との間に介在配置されている。したがって、導電体5とプリント基板3との間には、隔室Mが確保され、該隔室M内にインピーダンス変換器4も配置されることになる。
この場合、導電体5は、相互の電気的導通を確保させた円筒状の前部導電体5Aと有底筒状の後部導電体5Bとを、軸心方向に対して横断方向に分割された配置関係のもとで配設されている。その結果、背極板2は、前部導電体5A側と当接し、プリント基板3の環状パターン層P1は、後部導電体5B側と当接することになる。
このうち、後部導電体5Bは、前部導電体5Bと接触する側に、隔室Mを仕切る仕切部5cを有して形成されている。また、該仕切部5cには、音響抵抗材7で遮蔽された通孔8が設けられており、これにより、コンデンサマイクロホンユニット1に対し指向性が調整された単一指向性を付与することができるようになっている。
また、隔室Mは、前部導電体5A側に確保される前部隔室M1と、後部導電体5B側に確保される後部隔室M2とに分割され、そのうちの後部隔室M2内にインピーダンス変換器4が配置されることになる。
さらに、背極板2および導電体5の外周面と、ユニットケース9との間には、該ユニットケース9の内周面に沿わせて周回させた絶縁材6が介在配置されており、該絶縁材6により背極板2および導電体5と、ユニットケース9との間の短絡を阻止できるようになっている。したがって、環状パターン層P1は、絶縁材6の当接面の内側に位置するプリント基板3上に形成されることになる。
一方、プリント基板3の外表面の周縁部3aには、ユニットケース9の開口縁9cが圧接して圧縮性の応力が生成されている。この応力は、プリント基板3の周縁部3a近傍で後部導電体5B側へと伝達され、さらに、前部導電体5Aを経て背極板2側へと順次伝達されてコンデンサ部Cをユニットケース9内で支持している。
したがって、コンデンサマイクロホンユニット1には、背極板2とインピーダンス変換器4との間に、背極板2→前部導電体5A→後部導電体5B→環状パターンP1→接続パターンP2→インピーダンス変換器4という導電路が安定的に確保されることになる。
ところで、図3に示されているコンデンサマイクロホンユニット1によれば、インピーダンス変換器4は、ユニットケース9の後部隔室M2内に位置しており、該後部隔室M2は、後部音響端子孔Rと音響的に結合している。
したがって、後部音響端子孔Rは、複数個形成されてその総開口面積が大きなものとなっているので、インピーダンス変換器4が配置されている後部隔室M2とで高い共振を発生させる共振回路を形成してしまう不都合があった。
特に、単一指向性のコンデンサマイクロホンユニット1である場合には、共振が発生して指向条件が劣化し、指向周波数応答も劣化するという問題があった。
また、プリント基板3は、導電パターンPにおける環状パターン層P1をユニットケース9の近傍に位置させている関係上、温度差の大きな環境に持ち出すなどした際に絶縁抵抗を低下させて漏洩電流が流れやすくなり、これに起因する雑音を発生させやすくするという不都合もあった。
さらに、コンデンサマイクロホンユニット1は、背極板2の有効面積を大きく形成して感度やS/N比などの性能を高めることができるので、絶縁材6の厚さを相対的に薄くすることも有効であると考えられている。
しかしながら、この場合、環状パターン層P1は、絶縁材6が薄くされたその分、プリント基板3の周縁にさらに近づけて形成されなければならず、ユニットケース9側にさらに近づくことで、漏洩電流に起因する雑音をより発生させやすくしてしまうことになる。
また、ユニットケース9は、プレス成形された際に開口部9b側の裾長さが不揃いになりがちであり、開口縁9cをかしめ加工した際に、プリント基板3の周縁部3aに加わる応力も位置によってばらつきが生じることになる。
その結果、導電体5は、ばらつきのある応力を受けることになり、背極板2の側へもばらつきのある応力が伝達されて、背極板2を含むコンデンサ部Cをユニットケース9内に安定的に保持させることができなくなる。このため、コンデンサマイクロホンユニット1には、感度や周波数応答にバラツキを生じさせてしまうという問題もあった。
本発明は、従来技術の上記課題に鑑み、感度や周波数応答などの性能を安定化させるとともに、共振の発生と漏洩電流に起因する雑音の発生とを効果的に抑えることのできるコンデンサマイクロホンユニットを提供することに目的がある。
本発明は、上記目的を達成すべくなされたものであり、コンデンサ部の背極板とプリント基板が備えるインピーダンス変換器側から引き出された導電パターンとを電気的に導通させるべく介在配置される導電体を少なくとも備え、該導電体と前記プリント基板との間に確保される隔室内に前記インピーダンス変換器を位置させ、かつ、その開口縁側をかしめ加工して保持される前記プリント基板を介してユニットケースの開口面を封口してなるコンデンサマイクロホンユニットにおいて、前記導電パターンは、前記プリント基板の略中央寄りに設けられた後部音響端子孔の囲繞領域に備えられ、前記導電体は、前記背極板の周縁部にその開放端面が当接する大径部と、前記導電パターンにその開放端面が当接する小径部とを備え、前記インピーダンス変換器は、前記小径部を介して前記隔室が仕切られた内隔室部と外隔室部とのうち、該外隔室部側に位置させて前記後部音響端子孔側と音響的に分離させたことを最も主要な特徴としている。
この場合、導電体における前記大径部と前記小径部との境界に位置する連通孔は、音響抵抗材で遮蔽されるのが望ましい。
本発明によれば、プリント基板には、その略中央寄りに後部音響端子孔を設け、該後部音響端子孔の囲繞領域に導電パターンを形成しているので、プリント基板とユニットケースとの間に、大きな沿面距離を確保することができる。
しかも、導電体は、背極板の側に当接する大径部とプリント基板の側に当接する小径部とを備えているので、プリント基板に生成された応力を、導電体を介して背極板の側へむらなく伝達してコンデンサ部を安定的に保持することができる。
さらに、インピーダンス変換器が配置されている内隔室部は、後部音響端子孔と音響的に分離させてあるので、共振の発生を効果的に低減させることができる。
また、連通孔を音響抵抗材で遮蔽してある場合には、単一指向性に優れたマイクロホンユニットを提供することができる。
図1は、本発明の一例についてその断面構造を示す説明図であり、図2は、その構成部材であるプリント基板の平面図である。
これらの図によれば、コンデンサマイクロホンユニット11は、ユニットケース92と、コンデンサ部Cの背極板22とプリント基板32が備えるインピーダンス変換器(EFT)42側から引き出された導電パターン33との間を電気的に導通させるべく介在配置される導電体52とを少なくとも備えて構成されている。
このうち、ユニットケース92は、前部音響端子Fが設けられた前端面93と後端開口面94とを備えた例えばアルミニウムのような導電性素材により円筒状に形成されている。そして、該ユニットケース92内には、前部音響端子F近傍にコンデンサ部Cが、後端開口面94の側にインピーダンス変換器42を実装させたプリント基板32がそれぞれ収容されている。
また、ユニットケース92は、その後端開口面94側の開口縁95が、ユニットケース92内側に向けたかしめ加工が施されているので、後端開口面94がプリント基板32を介して封口されている。
一方、プリント基板32は、その中央位置に後部音響端子孔Rが設けられているほか、ユニットケース92の内方と向き合う側の面上の後部音響端子孔Rから離間させた位置にインピーダンス変換器42が実装されている。また、インピーダンス変換器42が実装されている面側のプリント基板32は、後部音響端子孔Rの囲繞領域に位置させた環状パターン層34と、該環状パターン層34とインピーダンス変換器42との間を電気的に接続する接続パターン層35とからなる導電パターン33が形成されている。
導電体52は、座高の低い円筒状の大径部53と、該大径部53よりはやや座高の高い円筒状の小径部54と、これら大径部53と小径部54との間に介在させた水平連結部55とで一体に形成されている。この場合、導電体52は、銅合金のような導電性素材で一体成形されたものが用いられている。
このうち、大径部53は、円板状を呈する背極板22における周縁部23の全周にその開放端面56の側が当接する形状が付与されて形成されている。また、小径部54は、プリント基板32に形成されている環状パターン層34の全周にその開放端面57の側が当接する形状が付与されて形成されている。
水平連結部55は、大径部53における開放端面56の反対側に位置する側を閉止しつつ、小径部54の開放端面56の反対側に位置する相当部位に連通孔82を設けることで、相互に連通する配置関係のもとで大径部53と小径部54とを一体化している。
さらに、導電体52は、後部音響端子孔Rと連通し、小径部54から大径部53を経て背極板22へと至る空気路の形成が自在な内隔室部M1を有している。したがって、ユニットケース92には、小径部54の内側に内隔室部M1が、小径部54の外側に外隔室部M2がそれぞれ区画形成されることになる。
また、インピーダンス変換器42は、後部音響端子孔Rとは音響的に分離させた外隔室部M2側に位置する配置関係のもとでプリント基板32に実装されている。
さらに、ユニットケース92には、背極板22の外周面と大径部53の外周面とに当接する円筒状の絶縁材62をその内側に周回配置することで、背極板22とユニットケース92とが電気的に短絡するのを阻止している。この場合、背極板22は、絶縁材62の径方向での肉厚によりその有効面積が規制されることになる。
一方、コンデンサマイクロホンユニット11は、導電体52における連通孔82を大径部53側から接着するなどして遮蔽する音響抵抗材72により単一指向性のユニットとして形成されている。
次に、上記構成からなる本発明の作用・効果を図1および図2を参酌して説明すれば、先ず、ユニットケース92内に必要部材を収納し、その後端開口面94側にプリント基板32を配置した上で開口縁95をかしめることにより、後端開口面94がプリント基板32により封口される。このとき、ある程度の弾性を有するプリント基板32は、その周縁部36が開口縁95により押圧される結果、弾性変形して圧縮性の応力を生成するに至る。
この応力は、プリント基板32に当接する小径部54へと伝わり、連結部55を経て大径部53へと順次伝達される。このようにして導電体52側に付与される応力は、大径部53が当接する背極板22に対して押圧力として作用してコンデンサ部Cをユニットケース92の内側へと押し付けることになる。
このため、プリント基板32から導電体52を経て背極板22を含むコンデンサ部Cへと至る応力伝達路を形成している構成各部材は、相互に密な接触状態のもとでユニットケース92内に安定的に保持されることになる。
また、同時に、コンデンサマイクロホンユニット11には、背極板22からインピーダンス変換器42へと至る、背極板22→導電体52→導電パターン33→インピーダンス変換器42という導電路が確保されることになる。
この場合、かしめられた開口縁95は、プリント基板32における周縁部36の全周にわたり圧接することから、プリント基板32側に生成される圧縮性応力における径方向での成分がその周縁部36の全周から中心部位に向かうことになって、中心寄りの部位には特に大きな応力が生成されることになる。
このため、プリント基板32は、その中心位置の部位がユニットケース92の内側に向けて撓むことになり、小径部54の開放端面57と密に接触して応力をむらなく導電体52の側に伝えることができることになる。
また、コンデンサマイクロホンユニット11は、空気路を形成している内隔室部M1に連通孔82を遮蔽すべく配設された音響抵抗材72を備えているので、後部音響端子孔Rを経て入射した音波が小径部54→音響抵抗材72→大径部53を通過するなかで、その音圧などの特性を大きく低減させて背極板22へと到達させることができる。
このため、コンデンサマイクロホンユニット11は、後方(180°方向)の指向性が調整された単一指向性のユニットとして形成することができることになる。
この場合、後部音響端子孔Rは、小径部54側の内隔室部M1とは連通しているものの、インピーダンス変換器42が位置している外隔室部M2とは音響的に分離されているので、共振回路が形成されることはない。
また、プリント基板32は、大きな沿面距離を確保させた導電パターン33を備えているので、コンデンサマイクロホンユニット11を温度差の大きな環境に持ち出すなどして、ユニットケース92側に結露を生じさせたとしても、導電パターン33への到達を困難にして漏洩電流の発生を抑制し、結果的に漏洩電流に起因する雑音発生を抑えたコンデンサマイクロホンユニット11を提供することができる。
このため、コンデンサマイクロホンユニット11は、絶縁材62の厚さを相対的に薄くして背極板22の有効面積をそれだけ大きくすることができるので、感度やS/N比などの性能の優れた高品質なものとすることができる。
さらに、プリント基板32から背極板22へと至る応力伝達路を形成している構成各部材は、安定的にユニットケース92内に保持されており、コンデンサ部Cの保持状態も安定的であることから、感度や周波数応答の安定したコンデンサマイクロホンユニット11を提供することができる。
以上は、本発明を図示例に基づいて説明したものであり、その具体的な構成はこれに限定されるものではない。例えば、導電体52は、背極板22の周縁部23およびプリント基板32の環状パターン層34との安定的かつ確実な当接が確保できるのであれば、具体的な形状は問うものではない。
また、図示例では、後部音響端子孔Rは、その位置をプリント基板32の中心位置と一致させた配置関係で形成されているが、環状パターン層34が大きな沿面距離を確保し、かつ、外隔室部M2内にインピーダンス変換器42を安定的に位置させることができるものでさえあれば、プリント基板32の中心位置に必ずしも一致させて設ける必要はない。
さらに、図示例では、連通孔82を音響抵抗材72で覆うことで単一指向性を付与したコンデンサマイクロホンユニットが示されているが、必要により音響抵抗材を用いないコンデンサマイクロホンユニットを形成することもできる。
本発明の一例についてその断面構造を示す説明図図。 図1に示すコンデンサマイクロホンユニットの構成部材であるプリント基板の平面図。 従来からあるコンデンサマイクロホンユニットの一例についてその断面構造を示す説明図。 図3に示すコンデンサマイクロホンユニットの構成部材であるプリント基板の平面図。
符号の説明
11 コンデンサマイクロホンユニット
22 背極板
23 周縁部
32 プリント基板
33 導電パターン
34 環状パターン層
35 接続パターン層
36 周縁部
42 インピーダンス変換器
52 導電体
53 大径部
54 小径部
55 水平連結部
56,57 開放端面
62 絶縁材
72 音響抵抗材
82 連通孔
92 ユニットケース
93 前端面
94 後端開口面
95 開口縁
C コンデンサ部
F 前部音響端子孔
R 後部音響端子孔
M1 内隔室部
M2 外隔室部

Claims (2)

  1. コンデンサ部の背極板とプリント基板が備えるインピーダンス変換器側から引き出された導電パターンとを電気的に導通させるべく介在配置される導電体を少なくとも備え、該導電体と前記プリント基板との間に確保される隔室内に前記インピーダンス変換器を位置させ、かつ、その開口縁側をかしめ加工して保持される前記プリント基板を介してユニットケースの開口面を封口してなるコンデンサマイクロホンユニットにおいて、
    前記導電パターンは、前記プリント基板の略中央寄りに設けられた後部音響端子孔の囲繞領域に備えられ、前記導電体は、前記背極板の周縁部にその開放端面が当接する大径部と、前記導電パターンにその開放端面が当接する小径部とを備え、前記インピーダンス変換器は、前記小径部を介して前記隔室が仕切られた内隔室部と外隔室部とのうち、該外隔室部側に位置させて前記後部音響端子孔側と音響的に分離させたことを特徴とするコンデンサマイクロホンユニット。
  2. 導電体における前記大径部と前記小径部との境界に位置する連通孔は、音響抵抗材で遮蔽した請求項1に記載のコンデンサマイクロホンユニット。
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