JP4641879B2 - 小径木を利用した木質パネル及びその製造方法 - Google Patents
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そのため、間伐の際に発生した小径木の有効利用を図るべく、種々の提案がなされている(例えば、特許文献1,2参照)。
すなわち、上記した従来の提案は、本来商品価値のない間伐材等の小径木を利用して、通常の木材から得られるような製品を現実的なコストで製造することができる、というものに止まり、間伐材そのものに経済的価値を持たせて、積極的に間伐を促進しようというところまでは至っていない。
さらに、本発明の木質パネルでは、六角形又は台形の集合とすることで接着面積を大きくとることができ、高い接着強度を得ることができるほか、乾燥等による割れの発生をほぼ完全に抑制することができ、建築物や家具その他の木製品の材料として広範に利用することができる。
図1及び図2は、本発明の一実施形態にかかり、木質パネルを形成するための最初のステップを説明する図である。ここで、図1は木口面に台形の形どりをした小径木の横断面図を、図2は、この小径木から切り出した台形材の斜視図を示している。
図1及び図2に示すように、この実施形態では、一本の小径木1からは二つの台形材2,2を切り出す。小径木1としては、30年生相当の直径(直径20cm程度)を有する間伐材を用いる。間伐材としては、日本国内の人工林の大部分を占める杉や檜を利用することができる。
次いで、この六角形の対向する二つの頂点を直線で結ぶ。これにより、小径木1の中心を通る前記直線を共通の底辺とする対称形の二つの台形1a,1bが木口面Fに形どりされる。この後、図2に示すように、小径木1から二つの台形材2,2を切り出す。
小径木1は、予め径が近似するものを多数本用意しておき、同じ長さ寸法に裁断しておく。そして、同一形状,同一大きさの台形1a,1bを各小径木1の木口面Fに形どりし、各小径木1から同じ長さの台形材2,2・・・を二本ずつ切り出す。
この積層体3を、木口面(上面3a)と平行に予め決定された間隔Sで切断することで、板状体(以下、台形集成材と記載する)を得ることができる。
このような台形集成材4は、木材繊維が表裏面に対して垂直方向、つまり、台形集成材2に作用する荷重と同方向に走っているため、圧縮荷重や打撃荷重、摩擦に強いという利点がある。そのため、この台形集成材4を利用した木質パネルは、体育館やホテル,旅館その他の公共施設等の床などに好適である。
また、この台形集成材4では、隣接する台形材2,2・・・を上下逆向きに配置して接着しているので、接着面積を大きくとることができ、高い接着強度を得ることができるほか、台形材2,2・・・の上底面と下底面との膨張量の違いに起因する乾燥後の割れを効果的に抑制することができるという利点がある。
ところで、上記したような台形集成材4は、圧縮荷重や打撃荷重、摩擦には強いものの、曲げ荷重には弱く、撓みやすいという欠点がある。もちろん、積層体3から台形集成材4を切り出す際の寸法Sを大きくすれば、曲げ剛性もそれに応じて高くなるが、木質パネルの肉厚が増大することは好ましいことではない。
そこで、図6に示す実施形態では、上記の手順で得られた台形集成材4の裏面に、間伐材から切り出した角材を利用した集成材からなる補強用のパネル5を張り付けている。パネル5の木質繊維の方向は、台形集成材4の繊維と直交する方向であるので、このようなパネル5を台形集成材4と組み合わせて木質パネルを形成することで、前記木質パネルの曲げ剛性を高めることができる。
また、台形集成材4とパネル5の板厚の比は、台形集成材4及びパネル5の材質や求める木質パネルの曲げ強度、木質パネルの製造コスト等に依存する。例えば、パネル4を檜の間伐材から形成し、パネル5を杉の間伐材から形成する場合は、日本国内における檜と杉の植生の比率(おおよそ1:4)に応じて、前記板厚の比をおおよそ1:4とするとよい。
また、図7に示すように、通信ケーブルや電源ケーブル等のケーブルを埋設するための二重床6においては、図6に示す手順で得られた木質パネルを適宜のサイズに裁断して床パネル7とし、この床パネル7を二重床6の孔6aに嵌め込んで利用することができる。
図8及び図9に示す実施形態では、木口模様と角材の長手方向に向かう木目とが交互に現れる木質パネルについて説明する。
この実施形態においては、台形材2,2・・・を交互に繊維方向を直交させて組み合わせ、図8に示すような積層体3′を形成している。この積層体3′では、上面3a′及び下面(図に現れず)だけでなく、側面3b′の一部にも木口模様が出現している。
図示するように、このようにして形成された集成材4′は、同心円状の木口模様と台形材2の長手方向に向かう木目模様とが交互に現れる新たなデザインとなる。
また、この集成材4′は、補強材(先の実施形態のパネル5)を設けなくても、高い曲げ剛性を確保することができ、木質パネルの板厚を薄くすることができるという利点がある。
例えば、図8及び図9を参照しながら説明した木質パネルでは、台形集成材2を交互に繊維方向を違わさせて積み重ね、積層体3′を形成するものとして説明したが、台形集成材2と通常の角材又は間伐材から形成された角材の集成材とを交互に積み重ねて、積層体3′を形成するものとしてもよい。
1a,1b 台形
2 台形材
3,3′ 積層体
3a 上面
3b 周囲面
4 台形集成材
5 パネル
6 二重床
7 床パネル
Claims (2)
- 間伐材等の小径木から切り出した角材を積層させて積層体を形成し、この積層体を前記小径木の木口面と平行な面内で切断して形成される木質パネルの製造方法において、
前記小径木の半径に最も近い寸法を有する六角形の角材を二等分して形成された台形の角材を準備し、
前記台形の角材の斜面どうしを隙間なく密着させた平面状の層を形成し、
一段ごとに繊維方向が交叉するように前記層を積み上げることで、立方体状の前記積層体を形成し、
前記積層体を構成する面のうち、前記木口が出現している面と平行な面内で前記積層体を切断すること、
を特徴とする木質パネルの製造方法。 - 前記積層体を切断して得られた板状の集成材の裏面に、木製の補強材を接着することを特徴とする請求項1に記載の木質パネルの製造方法。
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