JP4641684B2 - 解凍装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電場雰囲気内で、肉、魚等の食品を解凍するための解凍装置に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
現在、食品を長期間保存できる冷凍食品が数多く流通しているが、解凍時のドリップの流失によって味が落ちてしまうという問題があるばかりでなく、大量の冷凍食品を解凍するのに長時間を要していた。
【0003】
そこで本発明は、大量の冷凍食品を短時間でドリップの流失が少ない状態で解凍できるような解凍装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明の解凍装置は、温度調節可能なハウジングと、このハウジング内に循環空気の流れを形成するための送風機と、前記循環空気を加熱するための加熱装置と、前記循環空気の温度を調節するための熱交換器と、前記ハウジング内に電場雰囲気を形成するための電場装置とからなることを特徴とする。また、前記ハウジング内の温度コントロールは、設定温度に対して上下に所定幅に振るようにすることが好ましい。更に、前記循環空気は、高湿空気であることが好ましい。更にまた、前記電場雰囲気は、ハウジング内に設けたラックに高電圧発生装置を接続することにより形成することが好ましい。更にまた、前記ハウジング内に被処理物を載置する棚を設け、この棚上に被処理物をアルミニウム材を介して載置することが好ましい。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施態様について説明する。
【0006】
図1において、本発明の解凍装置Mは、断熱材を備えて温度調節可能なハウジング1を有し、このハウジング1の内壁は、壁面を電気的に絶縁するために絶縁板2で被われている。この絶縁板2の表面には、TiO2粒子からなる光触媒層3が形成されている。この光触媒層3は、ハウジング1内を殺菌するとともに脱臭する。
【0007】
前記ハウジング内1には、冷凍食品を載置するための移動棚(ラック)4が移動自在にセットされ、この移動棚4の下面には、絶縁キャスター5が設けられている。この移動棚4の上端には、接触部6aが設けられ、この接触部6aに前記ハウジング天面に設けられた高電圧発生装置6が着脱自在に接続されている。移動棚4は、ハウジング1内で絶縁状態に保持されて全体が帯電し、棚4上に置かれた冷凍食品が帯電される。そして、帯電される移動棚4、高電圧発生装置6等が電場装置を形成している。
【0008】
また、前記ハウジング1内の天井面近傍には、解凍風形成ユニットUが設けられ、このユニットUは前記ハウジング1内に循環空気の流れ(風速1m〜5m)を形成するための送風機7を備え、この送風機7のファン7aの表面にも光触媒が付着され、ファン7aの回転により空気をカットするために接触面積が増加するので光触媒の効果が増大する。このファン7aに近接してマイナスイオン発生装置8が設けられ、このマイナスイオン発生装置8には、前記高電圧発生装置6からの高圧電圧が供給され、これによりコロナ放電によりマイナスイオンを発生させ、このマイナスイオンが循環風によってハウジング内の食品に供給され解凍速度を早めることができる。
【0009】
前記マイナスイオン発生装置8の隣には、熱交換器(蒸発器)9が設けられ、この熱交換器9に近接して、加熱装置としての電熱ヒータ10が設けられている。そして、前記送風機7、熱交換器9および電熱ヒータ10はコントローラ11に接続され、このコントローラ11によって送風機7による風速と循環空気の温度がコントロールされる。 なお、ハウジング1内には、超音波加湿器12からはパイプ13を介して水蒸気が送られ、ハウジング1内を適宜の湿度にコントロールして冷凍食品fの乾燥を防止している。
【0010】
なお、前記超音波加湿器12内の水も光触媒で処理されている。具体的には、加湿器12内に光触媒を付着したセラミックボールまたは不織布等を投入する。また、コントローラ11にはハウジング1内の適宜位置にセットされた温度計12が接続され、この温度計12により循環風の温度がコントロールされる。
【0011】
図3は、過失空気を循環させるための他の実施例を示すものであり、この解凍装置0は、ハウジング20を有し、このハウジング20内には、移動棚21が載置されている。そして、この移動棚21に高電圧発生装置22が接続され、この移動棚21は電気的に周囲から絶縁され、全体が帯電している。前記ハウジング20の天面には、ファン23、熱交換器24および電熱ヒータ25が設けられ、温度調節された循環風がハウジング20内を通ってハウジング20に隣接する加湿ユニット26に入り、加温された後に再びハウジング20内に戻るようになっている。前記ハウジング20と加湿ユニット26との境界壁27には、流通孔28が設けられ、この流通孔28を通過した低音空気が、加湿ユニット26内に入る。前記加湿ユニット26は、その下面に湯タンク29が設けられ、この湯タンク29内にはヒータ30が設けられ、このヒータ30によってタンク内の水が加熱され、その水蒸気によってハウジング20内を通って冷凍食品に接触して冷却された冷却空気が加温と加湿される。
【0012】
前記湯タンク29上方には、熱交換器40が設けられ、この熱交換器40によって流通孔28を通過した循環空気が加温される。また、前記湯タンク29内にポンプ31が設けられ、このポンプ31によって湯タンク29内の水がパイプ32を通って加湿ユニット26の上部に送られ水平に伸び滴下管33から分散して滴下される。前記滴下管33の下方には、2枚のパンチングプレート34、34が間隔を配して設けられ、前記流通孔28および熱交換器40を通って上昇する空気流が滴下する水滴とで熱交換される。
【0013】
前記滴下管33上には、水滴を除去するエリミネータ35が設けられ、このエリミネータ35を通過した空気流がファン36によって吸引され、ダクト37を通ってハウジング20内のファン23、熱交換器24および電熱ヒータ25からなる熱交換部に至り、更にハウジング20内に送られる。
【0014】
前記ハウジング内の内壁には光触媒が付着されると共に、加湿ユニット26内のパンチングプレート34、エリミネータ35、熱交換器40には光触媒が付着され、これによって循環風が殺菌されると共に脱臭される。ファン36、23の表面にも光触媒が付着される。
【0015】
次に作用について説明する。
【0016】
食品の解凍には、種々実験の結果、循環風と加熱風と電場雰囲気が必要であることが判明している。食品の表面から熱を奪うためには、ある程度の空気の流れが必要であるので、能力の十分なファン7、23、26が必要である。また、電場雰囲気は熱の伝達効率を増大するので、食品の表面の温度と内部の温度差が小さくなり平均的に解凍することとなる。更に、冷凍食品の凝固温度は一般に−2℃〜−5℃であり、この範囲で解凍可能であるが、解凍時の設定温度はできるだけ低いほうが(−2℃位)が好ましい。しかしながら、実際上、肉、鶏肉、魚等は+3℃以下に抑えればドリップ量を小さく抑えることができる。解凍時の最終設定温度が低ければ、−5℃から芯温を上昇させるのに長時間を要するので、食品に応じて最終設定温度を定める必要がある。
【0017】
電場がその効果を大きく発揮するのは−5℃以上になったときであり、また、解凍には−5℃以上になったときに温度コントロールが重要であり、−5℃〜0℃位の間で電場が作用して食品全体が平均して解凍される。電場が解凍を促進するためには電流値が重要であり、冷凍食品fに0.1mA〜10mA程度の電流が必要である。これ以下では解凍時間が長くなるし、これ以上では装置の安全性から問題であるし、また、食品が解けすぎてドリップが多くなるおそれがある。そして、循環風が多湿であると、前記移動棚に印加された電流は周りの小さな水滴を含んだ雰囲気中に漏洩して電流値が大きくなり、加える電圧を大きくしなくても(2〜3V)、冷凍食品に流れる電流が大きくなる。
【0018】
更に、電場雰囲気内では、空気に含まれる水滴が小さくなり、この水滴の凝固点も電場雰囲気内では0.5℃程低下するので、水滴の凍結を防止した状態でハウジング内の設定温度を低くできる。また、ハウジング1、20内の内壁には光触媒が付着され、図2の加湿ユニット26内の各部品には光触媒がパンチングプレート34には溶射により、エリミネータ35、熱交換器40にはドブ漬けにより塗料としての光触媒が付着されているので、ハウジング内の循環空気が光触媒に触れて殺菌されるとともに脱臭される。
【0019】
前記ハウジング1および20内の温度は、例えば図2に示すようにコントロールされる。冷凍食品は一般に−20℃以下の状態で移動棚4、21上にセットされている。冷凍食品の温度が低いときは、設定温度が+15℃に設定され、食品の温度上昇に伴って一定時間後に+7℃に設定される。食品の温度が−5℃以上になったときには、0℃に設定されると、数時間で殆んどの食品が解凍される。このように解凍時には複数段階に設定温度が変化されるが、食品の種類、品温、大きさ等によってこの設定温度とその段階数が定められる。
【0020】
なお、ハウジング内の設定温度にコントロールするためには、設定温度を中心に上下に振れることとなるが、この振れを例えば1波長に対応する時間Tが15から20分になるようにコントロールされると、この振れが電場の効果を著しく増大せしめることが判明している。すなわち、食品の温度が上昇する方向にあると(解凍時)、設定温度の各段階においてハウジング内の温度が上昇するとき(図2のaの部分)のエネルギーが解凍時の食品の温度上昇を促進する性質が判明しており、このようにハウジング内の温度を上下に振ってやれば、解凍時間が早くなる。このように電場を利用すれば、解凍時間を著しく早めることができる。
【0021】
なお、本発明の解凍装置は、小型解凍装置にも応用できる。
【0022】
図4において、本発明の小型解凍装置Fは、縦長のハウジング50を有し、このハウジング50内には、固定棚51が設けられ、この固定棚51には、上下に間隔を配して棚板52、52…52が設けられ、この棚板52上にアルミニウムのパン53を介して、又は、アルミニウム板のパンチングプレートからなる棚板52に冷凍食品fが載置される。このように、熱伝導率が良好であるアルミニウム材を介して食品fを置くと、解凍時間が短くなるばかりでなく、電気伝導率も良好で、電場の電圧降下も小さいので電場効果も向上する。なお、図1、3の移動棚4、21もアルミニウム材で形成してもよい。
【0023】
前記ハウジング50の上面には、電圧発生装置53が設けられ、この装置53がアルミ材からなる固定棚51に接続され、この固定棚51が絶縁状態で保持される。ハウジング50の上部には、コントローラ60によってコントロールされる熱交換器54および電熱ヒータ55が設けられ、仕切り61内に設けられたファン56、57によってハウジング内で循環風が発生する。なお、前記電熱ヒータ54は、従来冷蔵庫に備えられているデフロスト用のヒータで兼用でき、デフロスト用のヒータのON・OFF制御を組み直すことにより利用できる。
【0024】
また、ハウジング内の加湿のために、ハウジング側面に超音波加湿器58が設けられている。また、この小型解凍装置においても、ハウジングの内壁、ファン56、57、熱交換器54等が光触媒処理されている。更に、マイナスイオン発生装置を取付けてもよい。
【0025】
なお、本発明の解凍装置は、食品解凍後は鮮度保持庫として利用でき、食品をマイナス温度に長時間保存でき、食品を冷凍する冷凍庫としても利用できる。食品を冷凍する際にも、電場を印加すると、図5に示すように、食品表面よりも早く内部から凍っていくことが判明している。すなわち、表面は図5のA曲線に示すように、電場雰囲気内では品物の表面は帯電しているので、大きく過冷却を起こしてA曲線に下方に大きく膨らむ膨出部eが生じるが、これに交し、品物の中心温度を示すB曲線では過冷却を起こさずスムーズに凍っていくので、品物内部はB曲線上のx点、表面はA曲線上のy点で凍り始める。したがって、例えばまんじゅうのような場合、内部の具を外部の皮で包んでいるときにも、内部の具から凍り始め、その後外被が凍り始めるので、その膨張により外被にひび割れが生じることがない。
【0026】
従来の冷凍装置では、冷凍速度が遅いと先ず表面から凍っていって固くなり、次いで内部が膨張しながら凍るので、固くなった表面にひび割れができ、このひび割れが解凍時のドリップの増大にもつながっていたが、電場雰囲気内では、表面の温冷却現象により表面のひび割れが防止できる。
【0027】
【発明の効果】
このように、冷凍食品の低いときは電熱ヒータで循環空気を加熱して、大きなカロリーを与えて早く冷凍食品の温度を上昇せしめ、冷凍食品が−5℃近傍になったら雰囲気温度を下げて電場効果を十分に発揮せしめるとドリップの少ない早い解凍が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の解凍装置の概略構成図である。
【図2】本発明の解凍装置の温度コントロール図である。
【図3】本発明の他の実施例である解凍装置の概略構成図である。
【図4】本発明の他の実施例である小型解凍装置の概略構成図である。
【図5】本発明の解凍装置を冷凍装置として使用した場合における食品の状態説明グラフである。
【符号の説明】
1、20…ハウジング
3…光触媒層
4、21…移動棚
8…イオン発生装置
9…熱交換器
10…電熱ヒータ
12…超音波加湿器
26…加湿ユニット
35…エリミネータ
40…熱交換機
53…アルミパン

Claims (5)

  1. 温度調節可能なハウジングと、このハウジング内に循環空気の流れを形成するための送風機と、前記ハウジング内に電場雰囲気を形成するための電場装置と、前記循環空気を加熱するための加熱ヒータと、前記循環空気の温度を冷却するための蒸発器と、前記循環空気を加湿するための加湿器と、前記ハウジング内の温度をコントロールするためのコントローラと,を有し、前記送風機と、加熱ヒータと蒸発器はユニットをなし、前記コントローラはハウジング内の温度を冷凍食品の冷凍温度に応じて高温から0℃の範囲内で多段に変化せしめ各段階において設定温度を中心に上下に波状に振らし、この振れの一波長分の時間が15分〜20分になるように調節したことを特徴とする解凍装置。
  2. 前記加熱ヒータは、デフロスト用のヒータで兼用したことを特徴とする請求項1記載の解凍装置。
  3. 前記循環空気は、高湿空気であることを特徴とする請求項1又2記載の解凍装置。
  4. 前記電場雰囲気は、ハウジング内に設けたラックに高電圧発生装置を接続することにより形成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の解凍装置。
  5. 前記ハウジング内に被処理物を載置する棚を設け、この棚上に被処理物をアルミニウム材を介して載置したことを特徴とする請求項1記載の解凍装置。
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