JP4636336B2 - 排気弁の故障診断装置 - Google Patents
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Description
また、水素排気弁の故障の有無を検知するために、水素排気弁の上流側に圧力センサを設置するだけでは、燃料電池の出力変動に伴う水素循環系の圧力変化や、配管の圧力損失等により、水素排気弁を開閉したときに十分な圧力差を得ることができず、誤検出をする場合があった。
また、従来では、水素排気弁の開閉時間と燃料電池スタックの発電電量との関係を予めマップデータとして保持しておき、このマップデータを参照しながら水素排気弁を開閉制御していたので、水素排気系の経時変化や何等かのシステム要因により水素排気弁の流量特性に変化が生じた場合に、実際の水素パージ量とマップ値(予定される水素パージ量)との間にずれが生じ得る。実際の水素パージ量がマップ値を下回ると、水素循環系の不純物濃度が上昇し、燃料電池スタックの発電特性が低下する。一方、実際の水素パージ量がマップ値を上回ると、燃費の悪化を招く。このような異常を検出するために、水素排気弁の開弁時と閉弁時のそれぞれにおける、水素排気弁上流側の水素排出通路の圧力変化を検出するだけでは、異常部位を特定することができない。
そこで、本発明は上述の問題を解決し、燃料電池システムのアノード排出ガスの排出流路に配設されている排気弁の故障判定を正確に行える故障診断装置を提案することを課題とする。
上記の課題を解決するため、本発明の故障診断装置は、燃料電池から排気されるアノード排出ガスの排出流路に配設された排気弁の故障を診断するための装置であって、燃料電池のアノード排出ガスの排出口と排気弁との間のアノード排出ガスの状態量を検出する検出手段と、検出手段が検出したアノード排出ガスの状態量に基づいて排気弁の故障を判定する判定手段とを備える。アノード排出ガスの排出口と排気弁との間のアノード排出ガスの状態量に基づいて排気弁の故障判定を行うため、正確な故障診断が可能になる。
本発明の故障診断装置は、燃料電池から排気されるアノード排出ガスの排出流路に配設された排気弁の故障を診断するための装置であって、燃料電池のアノード排出ガスの排出口と排気弁との間のアノード排出ガスの状態量を検出する検出手段と、検出手段が検出したアノード排出ガスの状態量と燃料電池の運転状態に対応する故障判定値とに基づいて排気弁の故障を判定する判定手段とを備える。燃料電池の運転状態に対応する故障判定値に基づいて排気弁の故障判定を行うことにより、燃料電池の運転状態に影響されることなく正確に故障判定を行える。
排気弁の故障判定に用いられるアノード排出ガスの状態量としては、例えば、アノード排出ガスの圧力が好適である。
本発明の故障診断装置はアノード排出ガスの排出口と排気弁との間の排出流路の流路断面積を小さくする絞り手段を更に備え、検出手段は絞り手段と排気弁との間のアノード排出ガスの状態量を検出するように構成するのが望ましい。排出流路に絞り手段を設置することで、排気弁の開弁時におけるアノード排出ガス圧の低下量を一層大きくすることができるため、燃料電池の運転状態によって変動するアノード排出ガス圧の影響を受けずに正確な故障判定を行える。
ここで、判定手段は排気弁の故障が検出された場合には排気弁の故障判定を複数回繰り返すのが望ましい。このように構成すれば、一時的な作動不良等による誤判定を回避できる。
また、判定手段は、排気弁の開閉に伴う圧力変動に基づいて排気弁の故障を判定するのが好ましい。排気弁の開閉に伴う圧力変動を検出することで、弁故障を判定できる。
また、判定手段は、閉弁している排気弁が開弁するときに検出手段が検出するアノード排出ガスの圧力、排気弁が開弁してから閉弁するまでに検出手段が検出するアノード排出ガスの最低圧力、及び開弁している排気弁が閉弁するときに検出手段が検出するアノード排出ガスの復帰圧力に基づいて排気弁の故障を判定するのが好ましい。これら複数の圧力値に基づいて排気弁の故障判定を行うことで、精度の高い故障判定を実現できる。
また、判定手段は、閉弁している排気弁が開弁するときに検出手段が検出したアノード排出ガスの圧力値の低下量が所定の閾値未満である場合に、排気弁の下流側又は排気弁自体に流量低下要因があると判定し、所定の閾値以上である場合に、排気弁の上流側に流量低下要因があると判定するのが好ましい。かかる構成により、アノード排出ガスの排出流路に生じた流量低下要因の部位を特定できる。
図2は水素排気弁の開弁時における出口水素圧力の低下を示す図である。
図3は出口水素圧力の絶対圧を利用した故障判定ルーチンである。
図4は出口水素圧力の差圧を利用した故障判定ルーチンである。
図5は実施例2の燃料電池システムの主要構成図である。
図6は実施例3の燃料電池システムの主要構成図である。
図7は水素排気弁の開閉動作に伴う圧力変化を示す説明図である。
図8は水素排気弁の故障判定ルーチンである。
図9は水素排気弁の開閉動作に伴う圧力変化を示す説明図である。
図10は水素排気弁の開閉動作に伴う圧力変化を示す説明図である。
図11は水素排気系の異常部位を特定する判定ルーチンである。
次に、水素排気弁62の故障判定の概要について説明する。水素排気弁62が正常に閉弁しているときには、水素排気口27と水素排気弁62との間の水素排出路32の水素圧力(以下、出口水素圧力と称する。)の最低圧は水素パージ時(水素排気弁62の開弁時)の想定最高圧(推定最高圧)以上になり、水素排気弁62が正常に開弁しているときには、出口水素圧力は通常運転時(水素排気弁62の閉弁時)の想定最低圧(推定最低圧)以下になることが本発明者の実験により確認されている。ここで、水素パージ時の想定最高圧及び通常運転時の想定最低圧としては、システムの運転状態(燃料電池スタック20の運転負荷やレギュレータ61の流量特性など)に対応して定まる圧力値でもよく、又はシステムの運転状態に関係ない一定圧力値であってもよい。これらの圧力値(水素パージ時の想定最高圧、通常運転時の想定最低圧)は水素排気弁62の故障判定値として用いることができる。具体的には、水素排気弁62が閉弁しているときの出口水素圧力(絶対圧)若しくは水素排気弁62が開弁しているときの出口水素圧力(絶対圧)を故障判定値と比較することにより、又はこれらの出口水素圧力の差圧を故障判定値と比較することにより、水素排気弁62の開閉故障又は破損等の有無を判定できる。但し、出口水素圧力は水素排気弁62が開閉しなくても、運転負荷やレギュレータ61の流量特性等に起因して水素流量が絶えず変動するため、これらの影響による圧力変動が水素排気弁62の開閉に伴う圧力変動として誤判定されないように故障判定値の値を設定する必要がある。また、水素排気弁62の開閉故障を一旦検出すると、故障判定を所定回数繰り返し実行することで誤判定を回避することができる。
図3は出口水素圧力の絶対値を用いた水素排気弁故障判定ルーチンを示している。同ルーチンは制御部50によって実行される。同ルーチンが呼び出されると、まず、変数Iを初期化するために、初期値「1」を代入する(S101)。変数Iは故障判定の繰り返し回数を計数するための変数である。次に、水素パージを行うか否かを判定する(S102)。水素パージを行う場合には(S102;YES)、水素排気弁62に開弁指令を与え(S103)、出口水素圧力の最低値(圧力センサ70が検出した最低圧)P1が水素パージ時の想定最高圧PX以上であるか否かを判定する(S104)。出口水素圧力の最低値P1が水素パージ時の想定最高圧PX未満である場合には(S104;NO)、正常に開弁していると判定し(S105)、同ルーチンを終了する。一方、出口水素圧力の最低値P1が水素パージ時の想定最高圧PX以上である場合には(S104;YES)、水素排気弁62が正常に開いていない、つまり、閉故障と判定する(S106)。そして、変数Iの値を「1」だけインクリメントし(S107)、変数Iの値が所定回数IA未満であれば(S108;NO)、S103以降の処理を再度繰り返し、変数Iの値が所定回数IA以上であれば(S108;YES)、水素排気弁62は閉故障の状態にあると確定する(S109)。
一方、水素パージを行わない場合には(S102;NO)、水素排気弁62に閉弁指令を与え(S110)、出口水素圧力(圧力センサ70が検出した水素圧)P2が通常運転時の想定最低圧PY以下であるか否かを判定する(S111)。出口水素圧力P2が通常運転時の想定最低圧PY以上である場合には(S111;NO)、正常に閉弁していると判定し(S105)、同ルーチンを終了する。一方、出口水素圧力P2が通常運転時の想定最低圧PY以下である場合には(S111;YES)、水素排気弁62が正常に閉じてない、つまり開故障と判定する(S112)。そして、変数Iの値を「1」だけインクリメントし(S113)、変数Iの値が所定回数IB未満であれば(S114;NO)、S110以降の処理を再度繰り返し、変数Iの値が所定回数IB以上であれば(S114;YES)、水素排気弁62は開故障の状態にあると確定する(S115)。
尚、「開故障」とは弁が開いたままになって閉弁できなくなる故障状態をいい、「閉故障」とは弁が閉じたままになって開弁できなくなる故障状態をいう。
図4は出口水素圧力の差圧を用いた水素排気弁故障判定ルーチンを示している。同ルーチンは制御部50によって実行される。同ルーチンが呼び出されると、まず、変数Jを初期化するために、初期値「1」を代入する(S201)。変数Jは故障判定の繰り返し回数を計数するための変数である。次に、水素パージを行うか否かを判定する(S202)。水素パージを行わない場合には(S202;NO)、同ルーチンを終了する。水素パージを行う場合には(S202;YES)、水素排気弁62に開弁指令を与え(S203)、水素パージ直後(開弁指令を与えた直後)の出口水素圧力PAと、水素パージ後(開弁指令を与えてから所定時間経過後)の出口水素圧力の最低圧力PBを記録する(S204,S205)。水素排気弁62が正常に開弁したならば、出口水素圧力は低下するはずであるから、上述した圧力PAと圧力PBの差圧は所定の想定差圧(故障判定値)PZ以上になることが予想される。想定差圧PZは水素排気弁62が正常に開弁したときに検出される出口水素圧力の差圧である。大流量の水素を必要とする高負荷時にはレギュレータ61の2次圧は低下する一方で、小流量の水素で足りる低負荷時にはレギュレータ61の2次圧は増加するため、想定差圧PZは高負荷運転時よりも低負荷運転時の方が大きい値になる。そこで、差圧(PA−PB)と想定差圧PZを比較し、差圧(PA−PB)が想定差圧PZ以上であれば(S206;YES)、開閉故障なし(正常作動)と判定し(S207)、同ルーチンを終了する。
一方、差圧(PA−PB)が想定差圧PZ未満であれば(S206;NO)、水素排気弁62が正常に開閉していない、つまり、開閉故障が生じていると判定する(S208)。次いで、水素排気弁62が開故障の状態にあるのか又は閉故障の状態にあるのかを判定するため、水素パージ時の出口水素圧力の最低圧力が取り得る最高圧力PHと、上述した圧力PBを比較し(S209)、圧力PBが圧力PH以上である場合には(S209;YES)、水素排気弁62が正常に開弁しない、つまり、閉故障と判定する(S210)。誤判定を回避するため、再度、水素排気弁62に開閉指令を与え(S211)、変数Jの値を「1」だけインクリメントする(S212)。変数Jの値が所定回数JC未満であれば(S213;NO)、S204以降の処理を再度繰り返し、変数Jの値が所定回数JC以上であれば(S213;YES)、水素排気弁62は閉故障の状態にあると確定する(S214)。
一方、圧力PBが圧力PH未満である場合には(S209;NO)、水素排気弁62は正常に開弁できていると推定できる。そこで、水素排気弁62が開故障の状態にあるか否かを判定するため、水素パージ時の想定最低圧PLと、上述した圧力PAを比較し(S215)、圧力PAが圧力PL以下である場合には(S215;YES)、水素排気弁62が正常に閉弁しない、つまり、開故障と判定する(S216)。その後は上述したS211以降の処理を行う。これに対して、圧力PAが圧力PL以上である場合には(S215;NO)、S208の故障判定は誤りと考えられるため、水素排気弁62に開閉故障は生じてないもの判定して、同ルーチンを終了する。
尚、上述した水素排気弁故障判定ルーチンでは運転負荷に応じて変動する出口水素圧力を用いているので、故障判定精度を高めるために水素排出口27と圧力センサ70との間の水素排出路32に流路断面積を小さくするオリフィス(絞り手段又は流量制限手段)80を設けて(図1参照)、水素排気弁62の開弁後における出口水素圧力の低下量を一層増大させるように構成するのが望ましい。圧力センサ70の上流にオリフィス80を設けると、水素排出路32の流体抵抗は増大するため、水素排気弁62を開弁しても、オリフィス80の下流にある圧力センサ70には水素ガスが流入し難くなる。このため、図2に示すように、オリフィス80を設けたときの出口水素圧力(実線)の低下量はオリフィス80を設けていないときの出口水素圧力(点線)の低下量よりも大きくなる。このように、水素排気弁62の開弁後における出口水素圧力の低下量を大きくすることで、運転負荷やレギュレータ61の流量特性等に起因する開閉故障の誤判定を回避することができる。
但し、故障判定値として用いられる「水素パージ時の想定最高圧」、「通常運転時の想定最低圧」、「想定差圧」、「水素パージ時の出口水素圧力の最低圧力が取り得る最高圧力」、「水素パージ時の想定最低圧」については、オリフィス80の設置に伴う出口水素圧力の低下量を考慮して適宜補正する必要がある。
本実施例によれば、運転負荷やレギュレータ61の流量特性等に起因する水素流量の変動を加味した故障判定値と、出口水素圧力を比較して水素排気弁32の故障判定を行うので、システムの運転状態に影響されずに故障判定を行うことができる。また、圧力センサ70の上流にオリフィス80を設置することにより水素排気弁62の開弁後における出口水素圧力の低下量を大きくし、運転負荷やレギュレータ61の流量特性等に起因する開閉故障の誤判定を回避できる。
尚、出口水素圧力の絶対圧を用いた水素排気弁故障判定ルーチンと、出口水素圧力の差圧を用いた水素排気弁故障判定ルーチンは何れか一方のみを実行してもよいが、一方の故障判定ルーチンで開閉故障が検出された場合に、他方の故障判定ルーチンを実行して開閉故障の有無を再判定するように構成してもよい。
図7は水素排気弁62の開閉動作に伴う圧力変化を示す説明図である。同図に示す例では、水素排気弁62の開閉作動を3回繰り返すための駆動信号が出力されている。1回目の開弁指令は時刻t1〜t2の期間に、2回目の開弁指令は時刻t3〜t4の期間に、3回目の開弁指令は時刻t5〜t6の期間に、それぞれ出力されている。ところが、1回目の開弁指令では水素排気弁62は正常に開弁しているものの、2回目及び3回目の開弁指令では水素排気弁62は正常に開閉作動せず、開弁したままである(開故障)。図中P1_nは水素排気弁62にn回目の開弁指令が与えられた直後の圧力値、P2_nは水素排気弁62にn回目の開弁指令が与えられてから閉弁指令が与えられる迄の最低圧力値、P3_nは水素排気弁62にn回目の閉弁指令が与えられた直後の復帰圧力値である。これらの各圧力値P1_n,P2_n,及びP3_nは、圧力センサ70の検出値である。水素排気弁62に弁故障が生じてない場合には、水素排気弁62が閉弁しているときの圧力P1_nは、水素循環路33の圧力に等しい。水素排気弁62が開弁すると、水素排出路34を流下する水素ガスの流れは流量制限要素90によって抑制され、最低圧力値P2_nは流量制限要素90が無いときの最低圧力値よりも大幅に低下するので、水素排気弁62の開閉に伴う圧力変化を大きくとることが可能である。
次に、水素排気弁62の開閉故障を診断する方法について説明する。
(1)制御部50は、1回目の開弁指令が水素排気弁62に与えられたときの圧力値P1_1,P2_1,及びP3_1を記憶する。
(2)制御部50は、P3_1とP2_1とを比較し、両者の差圧が所定の閾値以上であるか否かを判定する。図7に示す例では、1回目の開弁指令に対して水素排気弁62は正常に開閉しているので、両者の差圧は閾値以上となる。そこで、制御部50は、水素排気弁62が正常に開閉していると判断し、P1_1を正常圧力として記憶する。
(3)制御部50は、2回目の開弁指令が水素排気弁62に与えられたときの圧力値P1_2,P2_2,及びP3_2を記憶する。
(4)制御部50は、P3_2とP2_2とを比較し、両者の差圧が所定の閾値以上であるか否かを判定する。図7に示す例では、2回目の開弁指令に対して水素排気弁62は正常に開閉していないので、両者の差圧は閾値未満となる。そこで、制御部50は、水素排気弁62が開故障の状態にあると判断する。
(5)水素排気弁62が開故障の状態にあると、大量の水素オフガスが希釈器93に流れ込み、十分に希釈されないままシステム外に排気される虞がある。そこで、制御部50はエアコンプレッサ91に対してエア流量の増加を指示する。
(6)更に、再判定のために制御部50は水素排気弁62に3回目の開弁指令を与える。
(7)制御部50は、3回目の開弁指令が水素排気弁62に与えられたときの圧力値P1_3,P2_3,及びP3_3を記憶する。
(8)制御部50は、P1_1(正常時圧力)とP1_3とを比較し、両者の差圧が所定の閾値未満であるか否かを判定する。図7に示す例では、3回目の開弁指令に対して水素排気弁62は正常に開閉していないので、両者の差圧は閾値以上となる。そこで、制御部50は、水素排気弁62が開故障の状態が継続していると判定する。
(9)水素排気弁62の開故障の状態が継続していると判定されたならば、最終確認として、制御部50はP3_3とP2_3とを比較し、両者の差圧が所定の閾値以上であるか否かを判定する。図7に示す例では、3回目の開弁指令に対して水素排気弁62は正常に開閉していないので、両者の差圧は閾値未満となる。そこで、制御部50は水素排気弁62の開故障の状態が継続していると判定する。
図8は水素排気弁62の故障判定ルーチンを示している。同図を参照しながら、上述の説明を再述する。同ルーチンが呼び出されると、制御部50は、P3_1とP2_1との差圧が所定の閾値以上であるか否かを判定する(S301)。P3_1とP2_1との差圧が所定の閾値以上である場合には(S301;YES)、制御部50は、水素排気弁62が正常に開閉していると判定し(S302)、本ルーチンを終了する。一方、P3_1とP2_1との差圧が所定の閾値未満である場合には(S301;NO)、水素排気弁62が開故障している可能性があるので、制御部50は再度、水素排気弁62に開弁指令を与えるとともに、エアコンプレッサ91にエア流量増加指示を与える(S303)。次いで、制御部50は、P1_1とP1_3との差圧が所定の閾値未満であるか否かを判定する(S304)。P1_1とP1_3との差圧が所定の閾値未満である場合には(S304;YES)、制御部50は、水素排気弁62が正常に開閉していると判定し(S302)、本ルーチンを終了する。一方、P1_1とP1_3との差圧が所定の閾値以上である場合には(S304;NO)、水素排気弁62が開故障している可能性があるので、再確認のために、P3_3とP2_3との差圧が所定の閾値以上であるか否かを判定する(S305)。P3_3とP2_3との差圧が所定の閾値以上である場合には(S305;YES)、制御部50は、水素排気弁62が正常に開閉していると判定し(S302)、本ルーチンを終了する。一方、P3_3とP2_3との差圧が所定の閾値未満である場合には(S305;NO)、制御部50は、水素排気弁62が開故障していると判定し(S306)、本ルーチンを終了する。
本実施例によれば、流量制限要素90の出口側と水素排気弁62の入口側との間の水素排出路34に圧力センサ70を配設したので、水素排気弁62の開閉に伴う圧力変化を大きくとることが可能となる。また、複数の圧力値(P1_n,P2_n,及びP3_n)の比較により水素排気弁62の故障をより正確に判定することができるとともに、水素排気弁62の開故障に備えて予めエアコンプレッサ91のエア流量を増量しておくことで、高濃度水素ガスの排気を抑制できる。
図9及び図10は、水素排気弁62の開閉動作に伴う圧力変化を示している。図中、P1は水素排気弁62に開弁指令が与えられた直後の圧力値、P2は水素排気弁62に開弁指令が与えられてから閉弁指令が与えられる迄の最低圧力値、P3は水素排気弁62が閉弁して所定時間が経過した後の圧力値(復帰圧力値)を示している。P1〜P3は、何れも圧力センサ70の検出値である。
図9において、実線は水素排気弁62の下流側或いは水素排気弁62自体に流量低下要因(例えば、詰まり等)が生じたときの圧力変化を示し、一点鎖線は正常状態の圧力変化を示している。水素排気弁62の下流側或いは水素排気弁62自体に流量低下要因が生じると、水素排気弁62下流側或いは水素排気弁62自体の圧力損失が増加するので、水素排気弁62を開弁したときに圧力センサ70が検出する圧力値P2は、正常値P2′よりも高くなる。一方、水素排気弁62の上流側には、流量低下要因が無いので、水素排気弁62閉弁時の圧力変化は、正常時の圧力変化とほぼ同様となり、復帰圧力P3は、正常値P3′とほぼ同一である。
図10において、実線は水素排気弁62の上流側(例えば、流量制限要素90)に流量低下要因が生じたときの圧力変化を示し、一点鎖線は正常状態の圧力変化を示している。水素排気弁62の上流側に流量低下要因が生じると、流量制限要素90を通過する水素ガス量が低下するので、水素排気弁62を開弁したときに圧力センサ70が検出する圧力値P2は、正常値P2″よりも低くなる。更に、水素排気弁62の上流側の圧力損失の増大に伴い、水素排気弁62を閉弁しても、圧力は直ちには復帰せず、復帰圧力P3は正常値P3″よりも低くなる。
このように、水素排気弁62の下流側或いは水素排気弁62自体に流量低下要因が生じた場合と、その上流側に流量低下要因が生じた場合とでは、圧力変化の様子が大きく異なる。水素排気弁62の下流側或いは水素排気弁62自体に流量低下要因が生じると、水素排気弁62を開弁したときの圧力降下量(P1−P2)は小さくなるが、水素排気弁62を再び閉弁したときの圧力復帰量(P3−P2)は正常値である。一方、水素排気弁62の上流側に流量低下要因が生じると、水素排気弁62を開弁したときの圧力降下量(P1−P2)は大きくなり、水素排気弁62を再び閉弁したときの圧力復帰量(P3−P2)は小さくなる。
図11は水素排気系の異常部位判定ルーチンを示している。
制御部60は、水素排気弁62に開閉指令を与えるとともに、圧力センサ70が検出した圧力値P1,P2,P3を記憶する。
制御部60は、差圧(P1−P2)が所定の閾値以内であれば(S401;YES)、正常であると判定する(S402)。
一方、差圧(P1−P2)が所定の閾値を超えていれば(S401;NO)、制御部60は、規定差圧−(P1−P2)を演算する(S403)。規定差圧−(P1−P2)>0であれば(S404:YES)、制御部60は、水素排気弁62の下流側又は水素排気弁62自体に流量低下要因が生じていると判定する(S405)。
規定差圧−(P1−P2)≦0であれば(S404:NO)、制御部60は、規定差圧−(P3−P2)を演算する(S406)。規定差圧−(P3−P2)>0であれば(S407:YES)、制御部60は、水素排気弁62の上流に流量低下要因が生じていると判定する(S409)。
規定差圧−(P3−P2)≦0であれば(S407:NO)、制御部60は、水素排気弁62の下流側の圧力損失が減少しているものと判定する(S408)。
本実施例によれば、圧力値P1,P2,P3を検出することにより、水素排気系に生じた流量低下要因の部位(異常部位)を特定することができる。
Claims (9)
- 燃料電池から排気されるアノード排出ガスの排出流路に配設された排気弁の故障を診断するための装置であって、
前記燃料電池のアノード排出ガスの排出口と前記排気弁との間のアノード排出ガスの圧力を検出する検出手段と、
前記検出手段が検出したアノード排出ガスの圧力に基づいて前記排気弁の故障を判定する判定手段とを備え、
前記判定手段は、前記排気弁に開弁指令が与えられたときに前記検出手段が検出したアノード排出ガスの最低圧力が所定の閾値以上であるときに前記排気弁が故障していると判定する、故障診断装置。 - 燃料電池から排気されるアノード排出ガスの排出流路に配設された排気弁の故障を診断するための装置であって、
前記燃料電池のアノード排出ガスの排出口と前記排気弁との間のアノード排出ガスの圧力を検出する検出手段と、
前記検出手段が検出したアノード排出ガスの圧力に基づいて前記排気弁の故障を判定する判定手段とを備え、
前記判定手段は、前記排気弁に閉弁指令が与えられたときに前記検出手段が検出したアノード排出ガスの圧力が所定の閾値未満であるときに前記排気弁が故障していると判定する、故障診断装置。 - 請求項1又は請求項2に記載の故障診断装置であって、
前記排出口と前記排気弁との間の排出流路の流路断面積を小さくする絞り手段を更に備え、
前記検出手段は、前記絞り手段と前記排気弁との間のアノード排出ガスの圧力を検出する、故障診断装置。 - 請求項1乃至請求項3のうち何れか1項に記載の故障診断装置であって、
前記判定手段は、前記排気弁の故障が検出された場合には、前記排気弁の故障判定を複数回繰り返す、故障診断装置。 - 請求項1乃至請求項4のうち何れか1項に記載の故障診断装置であって、
nを正数としたとき、
前記判定手段は、前記排気弁にn回目の閉弁指令が与えられた直後に前記検出手段が検出するアノード排出ガスの復帰圧力と、前記排気弁に開弁指令が与えられてからn回目の閉弁指令が与えられるまでに前記検出手段が検出するアノード排出ガスの最低圧力との差圧が所定の閾値以上であるときに前記排気弁は正常に開閉していると判定する、故障診断装置。 - 請求項1乃至請求項4のうち何れか1項に記載の故障診断装置であって、
nを正数としたとき、
前記判定手段は、前記排気弁にn回目の閉弁指令が与えられた直後に前記検出手段が検出するアノード排出ガスの復帰圧力と、前記排気弁に開弁指令が与えられてからn回目の閉弁指令が与えられるまでに前記検出手段が検出するアノード排出ガスの最低圧力との差圧が所定の閾値未満であり、且つ、前記排気弁に異なる時刻に二つの開弁指令が与えられた直後に前記検出手段が検出するアノード排出ガスの圧力の差圧が所定の閾値未満であるときに前記排気弁は正常に開閉していると判定する、故障診断装置。 - 請求項1乃至請求項4のうち何れか1項に記載の故障診断装置であって、
n,kを異なる正数としたとき、
前記判定手段は、前記排気弁にn回目の閉弁指令が与えられた直後に前記検出手段が検出するアノード排出ガスの復帰圧力と、前記排気弁に開弁指令が与えられてからn回目の閉弁指令が与えられるまでに前記検出手段が検出するアノード排出ガスの最低圧力との差圧が所定の閾値未満であり、且つ、前記排気弁に異なる時刻に二つの開弁指令が与えられた直後に前記検出手段が検出するアノード排出ガスの圧力の差圧が所定の閾値以上であり、且つ、前記排気弁に(n+k)回目の閉弁指令が与えられた直後に前記検出手段が検出するアノード排出ガスの復帰圧力と、前記排気弁に開弁指令が与えられてから(n+k)回目の閉弁指令が与えられるまでに前記検出手段が検出するアノード排出ガスの最低圧力との差圧が所定の閾値未満であるときに前記排気弁は正常に開閉していると判定する、故障診断装置。 - 燃料電池から排気されるアノード排出ガスの排出流路に配設された排気弁の故障を診断するための装置であって、
前記燃料電池のアノード排出ガスの排出口と前記排気弁との間のアノード排出ガスの圧力を検出する検出手段と、
前記検出手段が検出したアノード排出ガスの圧力に基づいて前記排気弁の故障を判定する判定手段とを備え、
前記判定手段は、閉弁している排気弁が開弁するときに前記検出手段が検出したアノード排出ガスの圧力値の低下量が所定の閾値未満である場合に、前記排気弁の下流側又は前記排気弁自体に流量低下要因があると判定する、故障診断装置。 - 燃料電池から排気されるアノード排出ガスの排出流路に配設された排気弁の故障を診断するための装置であって、
前記燃料電池のアノード排出ガスの排出口と前記排気弁との間のアノード排出ガスの圧力を検出する検出手段と、
前記検出手段が検出したアノード排出ガスの圧力に基づいて前記排気弁の故障を判定する判定手段とを備え、
前記判定手段は、閉弁している排気弁が開弁するときに前記検出手段が検出したアノード排出ガスの圧力値の低下量が所定の閾値以上である場合に、前記排気弁の上流側に流量低下要因があると判定する、故障診断装置。
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