JP2013239360A - 燃料電池システム及びその故障診断方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】パージ実行時のパージ効率を下げることなく、パージ弁の故障診断を誤判定すること無く行い得る燃料電池システム及びその故障診断方法を提供する。
【解決手段】燃料電池10と、燃料電池10に供給される燃料ガスが通流する燃料ガス供給流路と、燃料電池10から排出される燃料オフガスが通流する燃料オフガス排出流路と、燃料オフガス排出流路に設置され、燃料オフガスを排出するパージ弁29と、を備え、パージ実行をしないとき、流路断面積制御手段53により、燃料オフガス流量がパージ実行時における燃料オフガス流量よりも少なくなるよう配管径制御機構31を制御して、燃料電池10の燃料オフガスの圧力をパージ弁29の上流側の燃料オフガス排出流路に設置された第1圧力センサ25により検出し、故障検知手段54により、第1圧力センサ25の検出圧力に基づきパージ弁29の故障を判定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、パージ弁の故障診断を行う燃料電池システム及びその故障診断方法に関する。
燃料電池システムを搭載した車両などでは、例えば燃費を改善するために、燃料電池スタックから排出された水素ガスを再循環させる水素循環経路を備えたものが種々提案されている。この水素循環経路には、水素ガスの一部を排気するためのパージ弁が備えられており、該パージ弁の開閉によりアノード極に供給される水素濃度を適正に維持している。
このようなパージ弁の故障診断を行う装置として、特許文献1に開示されたものがある。特許文献1では、アノード排出ガスの排出口とパージ弁との間に圧力センサを設置して、パージ指令があったときの圧力変動値で、弁の開故障及び閉故障を検知する方法が提案されている。ここで、「開故障」とは弁が開いたままになって閉弁できなくなる故障状態をいい、「閉故障」とは弁が閉じたままになって開弁できなくなる故障状態をいう。また、特許文献1では、水素流量の変動を加味した故障判定値との比較によりパージ弁の故障判定を行い、燃料電池の運転状態に影響されずに開故障及び閉故障を検知する。
WO2005/119823号公報
また、特許文献1では、システムが持つ流量特性等に起因する故障の誤判定を回避するために、燃料電池のアノード排出ガスの排出口とパージ弁との間に、排出流路の流路断面積を小さくする絞り手段(オリフィス)を備えた構成を開示しているが、パージ実行時には、絞り手段で小さくなった流路断面積分だけ置換できる燃料ガス量が減り、パージ効率(以下では、1回のパージで置換できる燃料ガス量について、最大量に対する比を意味するものとして用いる)が下がるという事情があった。
そこで、本発明は、パージ実行時のパージ効率を下げることなく、パージ弁の故障診断を誤判定すること無く行い得る燃料電池システム及びその故障診断方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、本発明に係る燃料電池システムは、燃料ガス及び酸化剤ガスが供給されて発電する燃料電池と、前記燃料電池に供給される燃料ガスが通流する燃料ガス供給流路と、前記燃料電池から排出される燃料オフガスが通流する燃料オフガス排出流路と、前記燃料オフガス排出流路に設置され、燃料オフガスを排出するパージ手段と、前記パージ手段の上流側の前記燃料オフガス排出流路に設置され、燃料オフガスの圧力を検出する第1の圧力センサと、前記第1の圧力センサの上流側の前記燃料オフガス排出流路に設置され、燃料オフガスの流路断面積を調整する流路断面積調整手段と、前記パージ手段に開閉指令を出力して、燃料オフガスのパージ実行を制御するパージ制御手段と、前記パージ実行をしていないとき、燃料オフガスの流路断面積が該パージ実行時よりも小さくなるよう前記流路断面積調整手段を制御する流路断面積制御手段と、前記第1の圧力センサの検出圧力に基づき前記パージ手段の故障を検知する故障検知手段と、を備えることを特徴とする。
このような構成によれば、パージ非実行時における燃料オフガスの流路断面積は、パージ実行時における燃料オフガスの流路断面積よりも小さくなるよう調整されるので、仮にパージ手段に漏れ故障が発生していたときには、燃料オフガスが流路断面積調整手段の下流側に流入し難くなるので、第1の圧力センサの検出圧力における圧力低下量を大きくすることができる。これにより、燃料電池システムの負荷変動や流量特性等に起因する圧力の低下と明確に区別して故障判定を行うことができ、故障診断における誤判定を回避することができる。また、パージ実行時には、燃料オフガスの流路断面積は相対的に大きくなるよう調整されるので、1回のパージで置換できる燃料ガス量を減らすことなく維持でき、パージ実行時のパージ効率を下げることなく維持できる。結果として、パージ実行時のパージ効率を下げることなく、パージ手段の故障診断を誤判定無く行い得る燃料電池システムを実現することができる。
また、前記燃料電池に供給される燃料ガスの目標圧力の変動状況に基づき、前記燃料電池が安定発電中か否かを判定する安定発電判断手段を備え、前記故障検知手段は、前記安定発電判断手段によって安定発電中と判断された場合に故障を検知することが好ましい。
このような構成によれば、燃料ガス供給系・循環系での圧力変動が小さい場合にのみ故障検知を行うので、燃料電池システムの負荷変動や流量特性等に伴う誤検知を確実に防止することができる。
また、前記故障検知手段は、予め前記パージ手段の故障を判定するための圧力に関する故障閾値と、所定時間とを設定し、前記パージ実行をしないとき、所定の基準圧力に対する前記第1圧力センサの検出圧力の差分を求め、前記所定時間の間、前記差分の絶対値が前記故障閾値を上回るとき、前記パージ手段が故障であると判定することが好ましい。
このような構成によれば、シミュレーション実験等に基づき予め設定される所定時間及び故障閾値によって故障判定を行うので、パージ手段における故障判定を簡易な構成でより正確に行うことができる。
また、前記故障検知手段は、予め前記パージ手段の故障を判定するための圧力に関する故障閾値と、所定時間とを設定し、前記パージ実行をしないとき、所定の基準圧力から前記故障閾値を差し引いた故障判断値を求め、前記所定時間の間、前記第1の圧力センサの検出圧力が前記故障判断値を下回るとき、前記パージ手段が故障であると判定することが好ましい。
このような構成によれば、シミュレーション実験等に基づき予め設定される所定時間及び故障閾値、並びに故障閾値に基づく故障判断値によって故障判定を行うので、パージ手段における故障判定を簡易な構成でより正確に行うことができると共に、減算回数を減らして計算量を抑制することができる。
また、故障検知手段は、予め前記パージ手段の故障を判定するための圧力に関する閉故障閾値と、判定時間とを設定し、前記パージ実行時であって、該パージ実行の開始から前記判定時間が経過した時に、所定の基準圧力に対する前記第1の圧力センサの検出圧力の差分の絶対値が前記閉故障閾値を下回るとき、前記パージ手段が故障であると判定することが好ましい。
このような構成によれば、シミュレーション実験等に基づき予め設定される判定時間及び閉故障閾値によって故障判定を行うので、パージ手段における故障判定を、簡易な構成でより正確に行うことができる。
また、故障検知手段は、予め前記パージ手段の故障を判定するための圧力に関する閉故障閾値と、判定時間とを設定し、前記パージ実行時であって、該パージ実行の開始から前記判定時間が経過した時に、前記第1の圧力センサの検出圧力が所定の基準圧力から前記閉故障閾値を差し引いた閉故障判断値を下回るとき、前記パージ手段が故障であると判定することが好ましい。
このような構成によれば、シミュレーション実験等に基づき予め設定される判定時間及び閉故障閾値、並びに閉故障閾値に基づく閉故障判断値によって故障判定を行うので、パージ手段における故障判定を、簡易な構成でより正確に行うことができると共に、減算回数を減らして計算量を抑制することができる。
また、前記所定の基準圧力は、前記燃料電池に供給される燃料ガスの目標圧力であることが好ましい。
このような構成によれば、燃料電池システムの運転制御に通常使用されている燃料ガスの目標圧力を基準圧力として用いるので、新たな手段構成を要することなく簡易な構成で、故障診断を行うことができる。
また、前記流量調整手段の上流側の前記燃料オフガス排出流路または前記燃料ガス供給流路に設置され、燃料オフガスまたは燃料ガスの圧力を検出する第2の圧力センサを備え、前記所定の基準圧力は、前記第2の圧力センサの検出圧力であることが好ましい。
このような構成によれば、実測圧力を基準圧力として用いるので、より正確な故障検知が可能となる。
また、前記パージ手段から排出される燃料オフガスを希釈ガスで希釈する希釈器を備え、前記流路断面積調整手段は、前記希釈ガスの最小流量に基づき前記流路断面積を調整することが好ましい。
例えば、希釈ガスの最小流量に応じた排出可能な燃料オフガス量を求め、該排出可能燃料オフガス量とパージ手段の入口及び出口間の最大圧力差とに基づき最小の流路断面積を求め、該最小流路断面積より大きな流路断面積となるよう流路断面積調整手段の流路断面積を設定する。このようにすることにより、希釈できる量に合わせてパージ手段の故障の検知精度を向上させることができると共に、不必要に流路断面積を小さくして、燃料オフガス流量を絞ってパージ効率を下げることもなく、排出濃度を維持することが可能となる。
また、前記パージ手段の故障が検知されたとき、前記流路断面積制御手段は、前記流路断面積が最小面積になるよう前記流路断面積調整手段を制御することが好ましい。
このような構成によれば、パージ手段が故障した場合であっても流路断面積調整手段は最小流路断面積に設定されているので、排出可能燃料オフガスを超えるガスを排出することを好適に抑制することができる。
また、本発明に係る燃料電池システムの故障診断方法は、燃料ガス及び酸化剤ガスが供給されて発電する燃料電池と、前記燃料電池に供給される燃料ガスが通流する燃料ガス供給流路と、前記燃料電池から排出される燃料オフガスが通流する燃料オフガス排出流路と、前記燃料オフガス排出流路に設置され、燃料オフガスを排出するパージ手段と、前記パージ手段の上流側の前記燃料オフガス排出流路に設置され、燃料オフガスの圧力を検出する第1の圧力センサと、前記第1の圧力センサの上流側の前記燃料オフガス排出流路に設置され、燃料オフガスの流路断面積を調整する流路断面積調整手段と、を備える燃料電池システムの故障診断方法であって、前記パージ手段に開閉指令を出力して、燃料オフガスのパージ実行を制御するパージ制御ステップと、前記パージ実行をしていないとき、燃料オフガスの流路断面積が該パージ実行時よりも小さくなるよう前記流路断面積調整手段を制御する流路断面積制御ステップと、前記第1の圧力センサの検出圧力に基づき前記パージ手段の故障を検知する故障検知ステップと、を含むことを特徴とする。
このような故障診断方法によれば、流路断面積制御ステップにより、パージ非実行時における燃料オフガスの流路断面積は、パージ実行時における燃料オフガスの流路断面積よりも小さくなるよう調整されるので、仮にパージ手段に故障が発生していたときには、第1の圧力センサの検出圧力における圧力低下量を大きくすることができることから、燃料電池システムの負荷変動や流量特性等に起因する圧力の低下と明確に区別して故障判定を行うことができ、故障診断における誤判定を回避することができる。また、パージ実行時には、燃料オフガスの流路断面積は相対的に大きくなるよう調整されるので、1回のパージで置換できる燃料ガス量を減らすことなく維持でき、パージ実行時のパージ効率を下げることなく維持できる。結果として、パージ実行時のパージ効率を下げることなく、パージ手段の故障診断を誤判定無く行い得る燃料電池システムを実現することができる。
本発明により、パージ実行時のパージ効率を下げることなく、パージ弁の故障診断を誤判定すること無く行い得る燃料電池システム及びその故障診断方法を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る燃料電池システムの構成図である。 配管径制御機構の断面構造を説明する説明図である。 パージ弁の故障の有無に応じた圧力センサ出力値の時間的推移を例示するタイムチャート(パージ非実行時)である。 第1実施形態におけるパージ弁の故障診断方法の手順を説明するフローチャートである。 本発明の第2実施形態に係る燃料電池システムの構成図である。 第2実施形態におけるパージ弁の故障診断方法の手順を説明するフローチャートである。 本発明の第3実施形態に係る燃料電池システムの構成図である。 第3実施形態におけるパージ弁の故障診断方法の手順を説明するフローチャートである。 パージ弁の故障の有無に応じた圧力センサ出力値の時間的推移を例示するタイムチャート(パージ実行時)である。 第3変形例におけるパージ弁の故障診断方法の手順を説明するフローチャートである。
本発明の燃料電池システム及びその故障診断方法の実施形態について、第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態、第1変形例、第2変形例、第3変形例の順に適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
〔第1実施形態〕
図1は本発明の第1実施形態に係る燃料電池システムの構成図である。同図において、本実施形態の燃料電池システム1は、燃料電池10、アノード系20、カソード系40、制御部51などで構成されている。
燃料電池10は、例えば固体高分子型燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell:PEFC)であり、MEA(Membrane Electrode Assembly、膜電極接合体)を図示しない導電性のセパレータ(図示せず)で挟持してなる単セルを厚み方向に複数積層し、各単セルを電気的に直列に接続した構造を有している。
MEAは、電解質膜(固体高分子膜)を、触媒を含むアノード及びカソード等で挟持した構造を有している。セパレータには、燃料ガス(反応ガス;水素)が通流するアノード流路11及び酸化剤ガス(反応ガス;空気)が通流するカソード流路12がそれぞれ形成されている。アノード流路11は、単セルの積層方向に貫通して各アノードに水素を分配供給する水素導入連通路と、アノードに対向する面に形成された流路と、単セルの積層方向に貫通して各アノードから燃料オフガス(水素など)を集合排出する水素導出連通路とで構成されている。カソード流路12は、単セルの積層方向に貫通して各カソードに空気を分配供給する空気導入連通路と、カソードに対向する面に形成された流路と、各単セルの積層方向に貫通して各カソードから酸化剤オフガス(湿潤な空気など)を集合排出する空気導出連通路とで構成されている。
このような燃料電池10では、アノードに水素が供給され、カソードに酸素を含む空気が供給されることにより、アノード及びカソードに含まれる触媒上で電極反応が起こり、燃料電池10が発電可能な状態となる。また、燃料電池10は、図示しない外部負荷と電気的に接続され、外部負荷によって電流が取り出されると、燃料電池10が発電するようになっている。
また、アノード系20は、燃料電池10のアノードに対して燃料ガス(水素)を給排する系であり、水素タンク21、水素供給/循環デバイス22、パージ弁29(パージ手段)、配管径制御機構31(流路断面積調整手段)、配管a1〜a6などで構成されている。水素タンク21は、高純度の水素を高圧で圧縮した容器であり、配管a1を介して下流側の水素供給/循環デバイス22と接続されている。
水素供給/循環デバイス22は、配管(燃料ガス供給流路)a2を介して水素タンク21からの水素ガスを燃料電池10に供給すると共に、配管a4を介して燃料電池10から排出された未反応の水素を吸引し、アノードに戻して再循環させる。なお、本実施形態の水素供給/循環デバイス22を含む燃料ガス供給系・循環系の構成としては、種々の態様が考えられる。(1)水素供給/循環デバイス22をエゼクタで具現する構成、(2)レギュレータ及びエゼクタで具現する構成、(3)前記(1)及び(2)に加えて配管a4に循環ポンプを配置する構成、等々である。なお、本実施形態では、後記するように、燃料ガスの目標圧力を基準圧力として用いていることから、該燃料ガスの目標圧力を調整する手段としてレギュレータを備える構成とするのが望ましい。
パージ弁29は、例えば、常閉型で電磁作動式のものであり、配管(燃料オフガス排出流路)a5,a6に接続されている。このパージ弁29は、例えば燃料電池10の発電中に制御部51の開閉指令に基づき定期的に開弁して、水素循環路(配管a2,a3,a4、アノード流路11)に蓄積した不純物(水分(水蒸気、結露水)、窒素等)を排出すると共に、水素タンク21から新鮮な水素を供給して、発電性能の低下を防止するようになっている。
配管径制御機構31は、配管a3,a5に接続されて絞り手段または流量制限手段として機能する。配管径制御機構31の断面構造を図2に示す。制御部51からの開度制御指令に基づき弁体31aを配管方向に対して垂直方向に移動させて、燃料オフガス排出流路の径、即ち流路断面積を調節し、燃料オフガス排出流路を流れる燃料オフガスの流量を調整する。すなわち、図2に示すように、配管径制御機構31はコイル31b及び圧縮ばね31cを備えた電磁作動式のものであり、コイル31bに印加される(制御指令の)電圧値に応じて弁体31aが図に対して上下方向に移動する。
ここで、図2(a)は弁開度(、即ち流路断面積)が最小の状態を、図2(b)は弁開度(流路断面積)が最大の状態をそれぞれ示す。図2(a)の状態では、コイル31bに電圧は印加されておらず、弁体31aは圧縮ばね31cで突出方向に付勢されている。また、図2(b)の状態では、コイル31bに電圧が印加されて図中上方向に弁体31aを移動させる力が働き、圧縮ばね31cの図中下方向に働く弾性力とのバランスによって弁体31aの位置が定まる。なお、配管径制御機構31は電磁作動式に限定されることなく、空圧作動式など他の作動機構によるものであっても良い。また、流路断面積調整手段としては、少なくとも流量を調整する機能を有していれば良く、他の構造を備えた可変オリフィスや弁開度を調節可能な調節弁であっても良い。また、ここではノーマルオープン型の場合のみを例示したが、ノーマルクローズ型の弁を用いても良い。
また、この配管径制御機構31の下流側となる配管a5には、燃料オフガスの圧力を検出する第1圧力センサ25が設置されている。
また、カソード系40は、燃料電池10のカソードに対して酸化剤ガス(空気(酸素))を給排する系であり、エアコンプレッサ(不図示)、配管b1,b2などで構成されている。エアコンプレッサは、例えばモータで駆動される機械式の過給器であり、外気(空気)を圧縮して燃料電池10のカソードに供給する。このエアコンプレッサは、配管b1を介してカソード流路12の入口と接続されている。また、カソード流路12の出口側では配管b2に背圧弁41が接続されている。背圧弁41は、バタフライ弁等で構成される常閉型の弁であり、その開度は制御部51によって制御され、燃料電池10のカソードに供給される空気の圧力を適宜調節している。
また、パージ弁29の下流側の配管a6及び背圧弁41の下流側の配管b3は希釈器42に接続されている。希釈器42は、アノード流路11から排出された燃料オフガスとカソード流路12から排出された酸化剤オフガスとを混合し、燃料オフガスに含まれる水素を、酸化剤オフガス(空気等)で希釈するようになっている。希釈後のガスは配管b4を介して外に排出される。
また、制御部51は、MPU(Micro-Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサ、プログラムや各種データを記憶したROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリなどで構成され、パージ弁29等の各種弁を開閉し、背圧弁41の開度を調節し、エアコンプレッサ等の各モータの回転速度を調節する。
制御部51は、パージ制御手段52、流路断面積制御手段53、故障検知手段54及び安定発電判断手段55を備えている。なお、これらは、前記プロセッサ上で実行されるプログラムの機能的まとまりとして具現されるものである。パージ制御手段52は、パージ弁29に開閉指令を出力して、燃料オフガスを排出するパージの実行/非実行を制御する。流路断面積制御手段53は、パージ非実行時に、燃料オフガス流量がパージ実行時における燃料オフガス流量よりも少なくなるように配管径制御機構31を制御する。
また、故障検知手段54は、第1圧力センサ25で検出された燃料オフガスの圧力と燃料ガスの目標圧力との差分の時間的推移に基づいてパージ弁29の故障を判定する。本実施形態では、基準圧力として燃料ガスの目標圧力を用いる。ここで、燃料ガスの目標圧力は、例えば、燃料電池10のアノード流路11の入口圧力についての目標圧力である。また、安定発電判断手段55は、燃料電池10に供給される燃料ガスの目標圧力の変動状況に基づき、燃料電池10が安定発電中か否かを判定する。なお、要求負荷(アクセル開度)の変化に応じて燃料電池10の指令電流値が変化し、燃料電池10の指令電流値変化に応じて燃料ガスの目標圧力は変化する。また、水素供給/循環デバイス22に備えるレギュレータにより燃料ガスの所定目標圧力となるように調整される。したがって、燃料電池10が安定発電中か否かを判断するためのパラメータとしては、燃料ガスの目標圧力の他に、要求負荷(アクセル開度)や燃料電池10の指令電流値等のパラメータによっても行うことができる。
ここで、故障検知手段54が実行する故障判定の基本的考え方について図3を参照して説明する。図3はパージ非実行時におけるパージ弁29の故障の有無に応じたタイムチャートであり、(a)は配管径制御機構31によって流路断面積を小さくする場合の第1圧力センサ25の出力値Pm1oを、(b)は配管径制御機構31によって流路断面積を小さくしない場合の第1圧力センサ25の出力値Pm1を、それぞれ示す。なお、パージ非実行時は、パージ制御手段52によりパージ弁29に対して閉弁指令が出力されている時である。
アノード圧力が運転状態に応じた目標圧となるような燃料ガス供給量で燃料ガス供給を行っている状態であって、パージ弁29による水素パージが行われていない時に、パージ弁29に故障が無ければ、第1圧力センサ25の出力値Pm1o、Pm1はほぼ燃料ガス目標圧力となる。また、パージ弁29に漏れ等の故障が発生している場合には、第1圧力センサ25の出力値Pm1o、Pm1は低下する。すなわち、第1圧力センサ25で検出された燃料オフガスの圧力(Pm1o、Pm1)と、燃料ガスの目標圧力との差分が、その圧力低下量ΔPm1o、ΔPm1となる。ここで、運転状態に応じた目標圧となるような燃料ガス供給量とは、事前の実機テストやシミュレーション等で求められるものであって、予め制御部51のメモリに保持されるものである。また、本実施形態でいう故障としては、パージ弁29の開閉機構の動作不良等によってパージ弁29が開いたままの状態、或いは完全に閉じきれない状態となる故障、シール等の付属部品が劣化することにより生じた隙間から漏れ出す故障等が考えられる。
また、配管径制御機構31等の流量調整手段によって流路断面積を小さくして燃料オフガス流量を少なくした場合は、図3(b)と対比して図3(a)に示すように、故障による圧力低下量ΔPm1oはΔPm1よりも大きくなる。これは、圧力低下量がパージ弁29への供給流量に対する漏れ出す流量の比でほぼ決まることから、配管径制御機構31によって流路断面積を小さくすることで、燃料オフガスが第1圧力センサ25側に流れ難くなり、対比するパージ弁29への供給流量を配管径制御機構31によって少なくした分だけ圧力低下量が大きくなることによるものである。
このように、故障による圧力低下量をより大きなものとすることができれば、燃料電池システム1の負荷変動や流量特性等に起因する圧力の低下と明確に区別して故障の判定を行うことができ、誤検知を確実に防止することができる。また、他の要因による圧力低下と明確に区別できることから、所定期間Tz1oをTz1よりも短く設定することができ、より速く故障検出を行うことができる。
次に、故障判定の基本的手法について具体的に説明する。本実施形態では、圧力低下について故障によるものか否かを判定するために、故障閾値ΔPz1o及び所定期間Tz1oを設定している。つまり、故障検知手段54は、故障による圧力低下量ΔPm1oの絶対値が故障閾値ΔPz1oを上回る期間が、連続して所定期間Tz1oを超えたときに、故障であると判定する。なお、図3において見方を変えてみると、第1圧力センサ25の検出値Pm1oが燃料ガス目標圧力から故障閾値ΔPz1oを差し引いた故障判断値Pz1oを下回る期間が、連続して所定期間Tz1oを超えたときに故障であると判定しても良いことが分かる。
これら両者の判定法は意味的には等価であるが処理手順が異なる。前者の判定法では、圧力低下量ΔPm1o=燃料ガス目標圧力−第1圧力センサ25の検出値Pm1oの減算を行った後、圧力低下量ΔPm1oの絶対値が故障閾値ΔPz1oを上回る期間が連続して所定期間Tz1oを超えたか否かを判定する。これに対して後者の判定法では、故障判断値Pz1o=燃料ガス目標圧力−故障閾値ΔPz1oの減算を行った後、第1圧力センサ25の出力値Pm1oが故障判断値Pz1oを下回る期間が連続して所定期間Tz1oを超えたか否かを判定する。ここで、減算の回数について比較してみると、前者の判定法では「ΔPm1o=燃料ガス目標圧力−検出値Pm1o」の減算を少なくとも所定期間Tz1oの間のサンプリング数回(検出回数分)行う必要があるのに対し、後者の判定法では「Pz1o=燃料ガス目標圧力−ΔPz1o」の1回で済む。後記する図4のフローチャートでは、計算量がより少ない後者の判定法を採用している。
なお、故障閾値ΔPz1o及び所定期間Tz1oは、当該燃料電池システムの特性や燃料ガスの目標圧力に応じて定まり、事前の実機テストやシミュレーション実験等で求め得る値である。したがって、予め、燃料ガスの目標圧力に対する故障閾値ΔPz1o及び所定期間Tz1oをこれら実験等によって求めておき、制御部51のメモリ(不図示)に保持されるテーブルとして構成するのが望ましい。
次に、以上のような構成要素を備えた燃料電池システムの故障診断方法について、図4を参照して説明する。ここで、図4は第1実施形態におけるパージ弁29の故障診断方法の手順を説明するフローチャートである。なお、図4におけるステップS101〜ステップS110の手順は、パージ非実行時には、制御部51により、パージ弁29の開閉制御の周期(や開弁制御における開制御時間)よりも十分に短い周期で繰り返し実行されるものである。
まず、制御部51は、現在水素パージが行われているか(パージ弁29が開制御されているか)否かを判断する(ステップS101)。例えば、パージ制御手段52によるパージ弁29の開閉制御が、パージフラグ(オン時に開制御、オフ時に閉制御)に基づき行われている場合には、該パージフラグを参照して判断すれば良い。水素パージが行われている場合(S101:Yes)にはステップS111に進む。また、水素パージが行われておらず、パージ弁29が閉制御されている場合(S101:No)にはステップS102に進む。
水素パージが行われている場合、故障検知手段54は、配管径制御機構31に対して流路断面積(配管径)が大きくなるように配管径についての制御指令を出力する(ステップS111)。そして、水素パージの終了判断を行う(ステップS112)。すなわち、(パージフラグがオン状態で)水素パージが行われている間はこの状態を維持し、(パージフラグがオフ状態となって)水素パージが終了するとステップS113に進む。
そして、故障検知手段54は、配管径制御機構31に対して流路断面積(配管径)が小さくなるように配管径についての制御指令を出力し(ステップS113)、ステップS102に進む。つまり、ステップS101〜ステップS110で行う故障判定手順は、パージ弁29に閉弁指令が出力されて、水素パージが行われていない状態にあるときに実施されるもので、水素パージ中には該水素パージが終了するまで実施されない。
次に、ステップS102では、安定発電判断手段55は、燃料電池10に供給される燃料ガスの目標圧力の変動状況に基づき燃料電池10が安定発電中であるか否かを判定する。すなわち、直前の所定時間T_an以内に負荷変動等に起因して燃料ガス目標圧力が変化したか否かを判断し、燃料ガス目標圧力が変化していない場合を安定発電中であるとする。安定発電中でない場合(S102:Yes)には終了して次の実行周期まで待つこととなる。また、安定発電中の場合(S102:No)にはステップS103に進む。なお、圧力変化の有無の判断については、所定圧力範囲を設定して、所定時間T_an以内に該所定圧力範囲を超えて変化した場合に安定発電中でないとし、圧力変化が該所定圧力範囲内の場合には安定発電中であると判断しても良い。
次に、燃料ガス供給量を運転状態に応じた燃料ガス目標圧となる供給量に固定(ステップS103)した上で、故障検知手段54は、第1圧力センサ25により検出された燃料オフガスの検出圧力値Pm1oを取得し(ステップS104)、また、燃料ガス目標圧力から故障閾値ΔPz1oを減算して故障判断値Pz1oを求める(ステップS105)。
そして、燃料オフガスの検出圧力値Pm1oを故障判断値Pz1oと比較して(ステップS106)、検出圧力値Pm1oが故障判断値Pz1o以上であれば(S106:No)、パージ弁29は正常に閉じていると判断し、検出圧力値Pm1oが故障判断値Pz1oを下回る期間を計数するカウンタCTを初期化(ステップS110)した後、終了して次の実行周期まで待つこととなる。また、検出圧力値Pm1oが故障判断値Pz1oを下回っている場合(S106:Yes)には、ステップS107に進む。
そして、カウンタCTが、所定期間Tz1oに該当する計数値CT(Tz1o)に達したか否かを判断する(ステップS107)。カウンタCTが計数値CT(Tz1o)に達した場合(S107:Yes)は、検出圧力値Pm1oが故障判断値Pz1oを下回る期間が連続して所定期間Tz1oを超えたことを意味し、パージ弁29が正常に閉じておらず故障していると判定して(ステップS109)終了する。また、カウンタCTが計数値CT(Tz1o)に達していない場合(S107:No)は、検出圧力値Pm1oが故障判断値Pz1oを下回る期間が連続して所定期間Tz1oを超えていないことを意味し、カウンタCTをインクリメント(ステップS108)した後に終了して次の実行周期まで待つこととなる。
以上説明したように、本実施形態の燃料電池システム及びその故障診断方法では、パージ制御手段52(パージ制御ステップ)によりパージ実行をしていないとき、流路断面積制御手段53により、流路断面積を小さくし、燃料オフガス流量がパージ実行時における燃料オフガス流量よりも少なくなるよう配管径制御機構31の配管径を制御する(流路断面積制御ステップ)。また、燃料電池10の燃料オフガスの圧力を第1圧力センサ25により検出し(検出ステップ)、故障検知手段52により、第1圧力センサ25で検出された燃料オフガスの圧力と燃料ガスの目標圧力との差分の時間的推移に基づいてパージ弁29の故障を判定する(故障判定ステップ)。
これにより、パージ非実行時における燃料オフガスの流路断面積は、パージ実行時における燃料オフガスの流路断面積よりも小さくなるよう調整されるので、仮にパージ弁29に漏れ故障が発生していたときには、燃料オフガスが流路断面積調整手段の下流側に流入し難くなるので、第1の圧力センサの検出圧力における圧力低下量を大きくすることができる。これにより、燃料電池システム1の負荷変動や流量特性等に起因する圧力の低下と明確に区別して故障の判定を行うことができ、故障診断における誤判定を回避することができる。また、パージ実行時には、燃料オフガスの流路断面積は相対的に大きくなるよう調整されるので、1回のパージで置換できる燃料ガス量を減らすことなく維持でき、パージ実行時のパージ効率を下げることなく維持できる。結果として、パージ実行時のパージ効率を下げることなく、パージ弁29の故障診断を誤判定無く行い得る燃料電池システムを実現することができる。
また、本実施形態では、故障検知手段54は、第1圧力センサ25で検出された燃料オフガスの圧力Pm1oと、燃料ガスの目標圧力から故障閾値ΔPz1oを差し引いた故障判断値Pz1oとの比較の時間的推移に基づいてパージ弁29の故障を判定する。より具体的に、故障検知手段52は、所定時間Tz1oにわたって故障判断値Pz1oとの比較について第1圧力センサ25で検出された燃料オフガスの圧力Pm1oが下回るとき、パージ弁29が故障であると判定する。
このように、本実施形態では、故障判断値Pz1oとの比較、及び所定時間Tz1oにわたる判断によって、パージ弁29における漏れ等の故障判定を行うので、燃料ガスの目標圧力に応じた故障閾値ΔPz1o及び所定時間Tz1oを、予め実機テストやシミュレーション実験等で求めて設定しておけば良い。その結果として、パージ弁29における漏れ故障判定を簡易な構成でより正確に行うことができる。
なお、故障検知手段54は、第1圧力センサ25で検出された燃料オフガスの圧力Pm1oと、燃料ガスの目標圧力との差分の時間的推移に基づいてパージ弁29の故障を判定するようにして良い。より具体的に、故障検知手段52は、所定時間Tz1oにわたって差分(圧力低下量ΔPm1o)の絶対値が故障閾値ΔPz1oを上回るとき、パージ弁29が故障であると判定する。このような判定によっても前記と同等の効果が得られる。
また本実施形態では、安定発電判断手段55によって燃料ガスの目標圧力の変動状況に基づき燃料電池10が安定発電中か否かを判定し、故障検知手段54は、安定発電中と判断された場合に故障判定を実行する。このように、アノード供給系・循環系での圧力変動が小さい場合にのみ故障検知を行うので、燃料電池システム1の負荷変動や流量特性等に伴う誤検知を確実に防止することができる。
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態に係る燃料電池システム及びその故障診断方法について説明する。図5は第2実施形態の燃料電池システム2の構成図である。同図において、本実施形態の燃料電池システム2は、第1実施形態と同様に、燃料電池10、アノード系20、カソード系40、制御部512などで構成されている。
本実施形態において第1実施形態と異なる点は、水素供給/循環デバイス22と燃料電池10のアノード流路11入口と間の配管a2に、燃料ガスの圧力を検出する第2圧力センサ26が設置されている点である。また、制御部512の故障検知手段542における故障判定も、該第2圧力センサ26によって検出した燃料ガスの圧力を基準圧力として行う点が異なる。
すなわち、制御部512の故障検知手段542は、第1圧力センサ25で検出された燃料オフガスの圧力と第2圧力センサ26によって検出された燃料ガスの圧力との差分の時間的推移に基づいてパージ弁29の故障を判定する。第1実施形態では燃料ガスの目標圧力を基準圧力として用いたが、本実施形態では、配管径制御機構31の上流側の燃料ガス供給流路(a2)の燃料ガス圧力(第2圧力センサ26による実測圧力)を基準圧力として用いるので、より正確な故障検知が可能となる。
故障検知手段542が実行する故障判定の基本的考え方については、図3において、燃料ガス目標圧力を第2圧力センサ26による燃料ガス圧力検出値Pinに置き換えて見れば良い。また、本実施形態の以下の説明では、第1圧力センサ25の検出値をΔPm2o、故障閾値をΔPz2o、圧力低下量をΔPm2o、故障判断値をPz2o、とそれぞれ表記する。
したがって、故障検知手段542は、第2圧力センサ26による燃料ガス圧力検出値Pinと第1圧力センサ25の検出値Pm2oとの差分、即ち、故障による圧力低下量ΔPm2oの絶対値が故障閾値ΔPz2oを上回る期間が、連続して所定期間Tz2oを超えたときに故障であると判定する。また、見方を変えて、第1圧力センサ25の検出値Pm2oが第2圧力センサ26による燃料ガス圧力検出値Pinから故障閾値ΔPz2oを差し引いた故障判断値Pz2oを下回る期間が、連続して所定期間Tz2oを超えたときに故障であると判定しても良い。
次に、本実施形態の燃料電池システムの故障診断方法について、図6を参照して説明する。ここで、図6は第2実施形態におけるパージ弁29の故障診断方法の手順を説明するフローチャートである。なお、図6におけるステップS201〜ステップS210の手順は、制御部512により、パージ弁29の開閉制御の周期よりも十分に短い周期で繰り返し実行されるものである。
まず、第1実施形態と同様に、水素パージが行われていない(パージ弁29が閉制御されている)とき(S201:No)で、且つ、燃料電池10が安定発電中であるとき(S202:No)に、以下の故障判定手順に進み、そうでないとき(S201:YesまたはS202:Yes)には、ステップS211〜ステップS213を第1実施形態のステップS111〜ステップS113と同様に実行し、燃料オフガスの流路断面積(配管径)が小さくなるように制御指令を出力して(ステップS213)、ステップS202に進む。
ステップS202では、安定発電判断手段53は、燃料電池10が安定発電中であるか否かを判定する。すなわち、所定時間T_an以内に負荷変動等に起因して燃料ガス目標圧力が変化したか否かを判断し、燃料ガス目標圧力が変化していない場合を安定発電中であるとする。安定発電中でない場合には終了して次の実行周期まで待つこととなる。また、安定発電中の場合にはステップS203に進む。
次に、故障検知手段542は、第1圧力センサ25により検出された燃料オフガスの検出圧力値Pm2oと、第2圧力センサ26による燃料ガス圧力検出値Pinとを取得し(ステップS203)、第2圧力センサ26による燃料ガス圧力検出値Pinから第1圧力センサ25の検出値Pm2oを減算して圧力低下量ΔPm2oを求める(ステップS204)。
そして、圧力低下量ΔPm2oの絶対値を故障閾値ΔPz2oと比較して(ステップS205)、圧力低下量ΔPm2oの絶対値が故障閾値ΔPz2o以下であれば(S205:No)、圧力低下量ΔPm2oの絶対値が故障閾値ΔPz2oを上回る期間を計数するカウンタCTを初期化(ステップS210)した後、終了して次の実行周期まで待つこととなる。また、圧力低下量ΔPm2の絶対値が故障閾値ΔPz2oを上回っている場合(S205:Yes)には、ステップS206に進む。
そして、圧力低下量ΔPm2oの絶対値が故障閾値ΔPz2oを上回る期間を計数するカウンタCTが、所定期間Tz2oに該当する計数値CT(Tz2o)に達したか否かを判断する(ステップS206)。カウンタCTが計数値CT(Tz2o)に達した場合(S206:Yes)は、圧力低下量ΔPm2oの絶対値が故障閾値ΔPz2oを上回る期間が連続して所定期間Tz2oを超えたことを意味し、パージ弁29の故障と判定して(ステップS209)終了する。また、カウンタCTが計数値CT(Tz2o)に達していない場合(S206:No)には、圧力低下量ΔPm2oの絶対値が故障閾値ΔPz2oを上回る期間が連続して所定期間Tz2oを超えていないことを意味し、カウンタCTをインクリメント(ステップS207)した後、終了して次の実行周期まで待つこととなる。
以上説明したように、本実施形態の燃料電池システム及びその故障診断方法では、パージ制御手段52(パージ制御ステップ)によりパージ実行をしていないとき、流路断面積制御手段53により、燃料オフガス流量がパージ実行時における燃料オフガス流量よりも少なくなるよう配管径制御機構31の配管径を制御する(流路断面積制御ステップ)。また、燃料電池10の燃料オフガスの圧力を第1圧力センサ25により検出すると共に、燃料ガスの圧力を第2圧力センサ26により検出し(検出ステップ)、故障検知手段542により、第2圧力センサ26で検出された燃料ガスの圧力と第1圧力センサ25で検出された燃料オフガスの圧力との差分の時間的推移に基づいてパージ弁29の故障を判定する(故障判定ステップ)。
これにより、パージ非実行時における燃料オフガスの流路断面積は、パージ実行時における燃料オフガスの流路断面積よりも小さくなるよう調整されるので、仮にパージ弁29に故障が発生していたときには、第1圧力センサ25の検出圧力における圧力低下量を(ΔPm2oのように)大きくすることができることから、燃料電池システム2の負荷変動や流量特性等に起因する圧力の低下と明確に区別して故障判定を行うことができ、故障診断における誤判定を回避することができる。また、パージ実行時には、燃料オフガスの流路断面積は相対的に大きくなるよう調整されるので、パージ実行時のパージ効率を下げることなく維持できる。結果として、パージ実行時のパージ効率を下げることなく、パージ弁29の故障診断を誤判定無く行い得る燃料電池システムを実現することができる。
また、本実施形態では、故障検知手段542は、所定時間Tz2oにわたって差分(圧力低下量ΔPm2o)の絶対値が故障閾値ΔPz2oを上回るとき、パージ弁29が故障であると判定する。このように、故障閾値ΔPz2oとの比較、及び所定時間Tz2oにわたる判断によって、パージ弁29における漏れ等の故障判定を行うが、燃料ガスの目標圧力に応じた故障閾値ΔPz2o及び所定時間Tz2oについては、予め実機テストやシミュレーション実験等で求めて設定しておけば良い。その結果として、パージ弁29における故障判定を簡易な構成でより正確に行うことができる。
なお、故障検知手段542は、所定期間Tz2oにわたって第1圧力センサ25の検出値Pm2oが第2圧力センサ26による燃料ガス圧力検出値Pinから故障閾値ΔPz2oを差し引いた故障判断値Pz2oを下回るとき、パージ弁29が故障であると判定するようにしても良い。このような判定によっても前記と同等の効果が得られると共に、処理手順における減算の回数を減らして計算量をより少なくすることができる。
また、安定発電判断手段53によって燃料電池が安定発電中か否かを判定することによる効果は、第1実施形態と同等である。
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態に係る燃料電池システム及びその故障診断方法について説明する。図7は第3実施形態の燃料電池システムの構成図である。同図において、本実施形態の燃料電池システム2は、第1実施形態と同様に、燃料電池10、アノード系20、カソード系40、制御部513などで構成されている。
本実施形態において第1実施形態と異なる点は、燃料電池10のアノード流路11出口と配管径制御機構31との間の配管a3に、燃料オフガスの圧力を検出する第3圧力センサ27が設置されている点である。また、制御部513の故障検知手段543における故障判定も、該第3圧力センサ27によって検出した燃料オフガスの圧力を用いて判定を行う点が異なる。
すなわち、制御部513の故障検知手段543は、第1圧力センサ25で検出された燃料オフガスの圧力と第3圧力センサ27によって検出された燃料オフガスの圧力との差分の時間的推移に基づいてパージ弁29の故障を判定する。第1実施形態では燃料ガスの目標圧力を基準圧力として用いたが、本実施形態では、配管径制御機構31の上流側の燃料オフガス排出流路(a3)の燃料オフガス圧力(第3圧力センサ27による実測圧力)を基準圧力として用いるので、より正確な故障検知が可能となる。また、第2実施形態と比較して、基準圧力として燃料オフガス圧力を用いることにより、燃料電池10における差圧(入口圧力と出口圧力との圧力差)の変動を排除することができ、より正確な故障検知が可能となる。
故障検知手段543が実行する故障判定の基本的考え方については、図3において、燃料ガス目標圧力を第3圧力センサ27による燃料オフガス圧力検出値Poutに置き換えて見れば良い。また、本実施形態の以下の説明では、第1圧力センサ25の検出値をΔPm3o、故障閾値をΔPz3o、圧力低下量をΔPm3o、故障判断値をPz3o、とそれぞれ表記する。
したがって、故障検知手段523は、第3圧力センサ27による燃料オフガス圧力検出値Poutと第1圧力センサ25の検出値Pm3oとの差分、即ち(漏れ)故障による圧力低下量ΔPm3oの絶対値が故障閾値ΔPz3oを上回る期間が、連続して所定期間Tz3oを超えたときに故障であると判定する。また、見方を変えて、第1圧力センサ25の検出値Pm3oが第3圧力センサ27による燃料オフガス圧力検出値Poutから故障閾値ΔPz3oを差し引いた故障判断値Pz3oを下回る期間が、連続して所定期間Tz3oを超えたときに故障であると判定しても良い。本実施形態では、計算量がより少ない後者の判定法を採用する。
次に、本実施形態の燃料電池システムの故障診断方法について、図8を参照して説明する。ここで、図8は第3実施形態におけるパージ弁の故障診断方法の手順を説明するフローチャートである。なお、図8におけるステップS301〜ステップS310の手順は、制御部513により、パージ弁29の開閉制御の周期よりも十分に短い周期で繰り返し実行されるものである。
まず、第1実施形態と同様に、水素パージが行われていない(パージ弁29が閉制御されている)とき(S301:No)で、且つ、燃料電池10が安定発電中であるとき(S302:No)に、以下の故障判定手順に進み、そうでないとき(S301:YesまたはS302:Yes)には、ステップS311〜ステップS313を第1実施形態のステップS111〜ステップS113と同様に実行し、燃料オフガスの流路断面積(配管径)が小さくなるように制御指令を出力して(ステップS313)、ステップS302に進む。
ステップS302では、安定発電判断手段53は、燃料電池10が安定発電中であるか否かを判定する。すなわち、所定時間T_an以内に負荷変動等に起因して燃料ガス目標圧力が変化したか否かを判断し、燃料ガス目標圧力が変化していない場合を安定発電中であるとする。安定発電中でない場合には終了して次の実行周期まで待つこととなる。また、安定発電中の場合にはステップS303に進む。
次に、故障検知手段543は、第1圧力センサ25により検出された燃料オフガスの検出圧力値Pm3oと、第3圧力センサ27による燃料オフガス圧力検出値Poutとを取得し(ステップS303)、また、第3圧力センサ27による燃料オフガス圧力検出値Poutから故障閾値ΔPz3oを減算して故障判断値Pz3oを求める(ステップS304)。
そして、燃料オフガスの検出圧力値Pm3oを故障判断値Pz3oと比較して(ステップS305)、検出圧力値Pm3oが故障判断値Pz3o以上であれば(S305:No)、検出圧力値Pm3oが故障判断値Pz3oを下回る期間を計数するカウンタCTを初期化(ステップS310)した後、終了して次の実行周期まで待つこととなる。また、検出圧力値Pm3oが故障判断値Pz3oを下回っている場合(S305:Yes)には、ステップS306に進む。
そして、カウンタCTが、所定期間Tz3oに該当する計数値CT(Tz3o)に達したか否かを判断する(ステップS306)。カウンタCTが計数値CT(Tz3o)に達した場合(S306:Yes)は、検出圧力値Pm3oが故障判断値Pz3oを下回る期間が連続して所定期間Tz3oを超えたことを意味し、パージ弁29の故障であると判定して(ステップS309)終了する。また、カウンタCTが計数値CT(Tz3o)に達していない場合(S306:No)は、検出圧力値Pm3oが故障判断値Pz3oを下回る期間が連続して所定期間Tz3oを超えていないことを意味し、カウンタCTをインクリメント(ステップS307)した後に終了して次の実行周期まで待つこととなる。
以上説明したように、本実施形態の燃料電池システム及びその故障診断方法では、パージ制御手段52(パージ制御ステップ)によりパージ実行をしていないとき、流路断面積制御手段53により、燃料オフガス流量がパージ実行時における燃料オフガス流量よりも少なくなるよう配管径制御機構31の配管径を制御する(流路断面積制御ステップ)。また、燃料電池10の燃料オフガスの圧力を第1圧力センサ25により検出すると共に、燃料オフガスの圧力を第3圧力センサ27により検出し(検出ステップ)、故障検知手段543により、第3圧力センサ27で検出された燃料ガスの圧力と第1圧力センサ25で検出された燃料オフガスの圧力との差分の時間的推移に基づいてパージ弁29の故障を判定する(故障判定ステップ)。
これにより、パージ非実行時における燃料オフガスの流路断面積は、パージ実行時における燃料オフガスの流路断面積よりも小さくなるよう調整されるので、仮にパージ弁29に故障が発生していたときには、第1圧力センサ25の検出圧力における圧力低下量を(ΔPm3oのように)大きくすることができることから、燃料電池システム2の負荷変動や流量特性等に起因する圧力の低下と明確に区別して故障の判定を行うことができ、故障診断における誤判定を回避することができる。また、パージ実行時には、燃料オフガスの流路断面積は相対的に大きくなるよう調整されるので、パージ実行時のパージ効率を下げることなく維持できる。結果として、パージ実行時のパージ効率を下げることなく、パージ弁29の故障診断を誤判定無く行い得る燃料電池システムを実現することができる。
より具体的に、故障検知手段543は、所定期間Tz3oにわたって第1圧力センサ25の検出値Pm3oが第3圧力センサ27による燃料オフガス圧力検出値Poutから故障閾値ΔPz3oを差し引いた故障判断値Pz3oを下回るとき、パージ弁29が故障であると判定する。このように、本実施形態では、故障判断値Pz3oとの比較、及び所定時間Tz3oにわたる判断によって、パージ弁29における漏れ等の故障判定を行い、燃料ガスの目標圧力に応じた故障閾値ΔPz3o及び所定時間Tz3oについては、予め実機テストやシミュレーション実験等で求めて設定しておく態様を採る。その結果として、パージ弁29における故障判定を簡易な構成でより正確に行うことができる。
なお、故障検知手段543は、所定時間Tz3oにわたって差分(圧力低下量ΔPm3o)の絶対値が故障閾値ΔPz3oを上回るとき、パージ弁29が故障であると判定するようにしても良い。このような判定によっても前記と同等の効果が得られる。
〔第1変形例〕
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。例えば、第1、第2及び第3実施形態において、パージ弁29の閉制御時に配管径制御機構32によって配管径が小さくなるよう調節する手法として、以下のような手法を採ることができる。
すなわち、希釈器42における希釈ガス、即ちカソード系40における酸化剤ガスの最小流量に基づき、配管径制御機構31の流路断面積を調節するものである。パージ弁29の漏れ故障の検知において、少なくともパージ弁29の漏れ故障として検知したい最小の漏れ口の流路断面積Smin(隙間Dmin)を想定するとき、配管径制御機構31により調節される流路断面積(配管径)はこの最小流路断面積Smin(隙間Dmin)より大きく設定すれば良いことになる。
ここで、最小流路断面積Smin(隙間Dmin)は、パージ弁29が閉制御時に、パージ弁29の漏れ故障により外に排出したくない水素濃度まで希釈しきれなくなる流量Qの水素が漏れてしまう隙間のことである。したがって、燃料電池10の運転中におけるカソード系40における酸化剤ガスの最小流量(供給圧力)から、その時に、希釈器42において排出可能な燃料オフガス流量Qを算出し、この排出可能な燃料オフガス流量Qと、パージ弁29の入口及び出口間で発生し得る最大圧力差とに基づき、最小流路断面積Smin(隙間Dmin)を算出する。そして、配管径制御機構31によって、流路断面積(配管径)がこの最小流路断面積Smin(隙間Dmin)より大きくなるように調節される。
これにより、希釈できる量に合わせてパージ弁29の故障の検知精度を向上させることができると共に、不必要に流路断面積(配管径)を小さくして燃料オフガス流量を絞ることにより、パージ効率を下げることもなく、排出濃度を維持することが可能となる。
〔第2変形例〕
また、上記した第1、第2及び第3実施形態では、パージ実行時には故障診断を行わず、パージ非実行時に故障診断を行うようにしたが、パージ実行時に詰まり等の閉故障についての故障診断を行うようにしても良い。ここで、本変形例でいう閉故障としては、パージ弁29の開閉機構の動作不良等によってパージ弁29が閉じたままの状態、或いは完全に開ききれない状態となる故障、シール等の付属部品が劣化することにより弁内流路における流れを妨げる故障等が考えられる。
ここで、図9を参照して、故障検知手段54、542、543が実行する故障判定の基本的考え方について説明する。なお、以下では、代表的に第1実施形態に対する変形として、図1の参照符号を用いて説明する。図9は、パージ実行時におけるパージ弁29の故障の有無に応じた圧力センサ出力値の時間的推移を例示するタイムチャートであり、(a)はパージ制御に用いるパージフラグを、(b)は故障が有る場合の第1圧力センサ25の出力値Pm1を、(c)は故障が無い場合の第1圧力センサ25の出力値Pm1を、それぞれ示す。
パージ弁29による水素パージが行われていない時に、パージ弁29に故障が無ければ、第1圧力センサ25の出力値Pm1はほぼ燃料ガス目標圧力である。この状態で、パージフラグがオンとなってパージ弁29の開制御が行われると、第1圧力センサ25の出力値Pm1は、徐々に低下していくことになる。このとき、パージ弁29に故障が有る場合(図9(b)参照)には、故障が無い場合(図9(c)参照)と比べて圧力低下の速度が遅い。したがって、パージ実行の開始(パージフラグがオンとなる立ち上がりタイミング)から判定時間Tyが経過した時に、基準圧力(ここでは、燃料ガスの目標圧力)に対する第1圧力センサ25の出力値Pm1の差分(圧力低下量ΔPm1)の絶対値が故障閾値ΔPy(閉故障閾値)を下回るか否かを判定すれば、パージ弁29が故障であるか否かを判定することができる。
ここで、故障閾値ΔPy及び判定時間Tyは、当該燃料電池システムの特性や燃料ガスの目標圧力、そして特にパージ弁29の特性に応じて定まり、事前の実機テストやシミュレーション実験等で求め得る値である。したがって、予め、燃料ガスの目標圧力に対する故障閾値ΔPy及び判定時間Tyをこれら実験等によって求めておき、制御部51のメモリ(不図示)に保持されるテーブルとして構成するのが望ましい。
具体的判定手法としては、パージ実行の開始から判定時間Tyが経過した時に、燃料ガスの目標圧力に対する第1圧力センサ25の出力値Pm1の差分(圧力低下量ΔPm1)の絶対値が故障閾値ΔPyを下回るときに、パージ弁29が故障であると判定する。また、本変形例においても上記実施形態と同様に見方を変えてみると、パージ実行の開始から判定時間Tyが経過した時に、第1圧力センサ25の検出値Pm1が燃料ガス目標圧力から故障閾値ΔPyを差し引いた故障判断値Py(閉故障判断値)を下回るときに、パージ弁29が故障であると判定しても良いことが分かる。
次に、パージ実行時におけるパージ弁29の故障診断方法について、図10を参照して説明する。図10は、変形例におけるパージ弁の故障診断方法の手順を説明するフローチャートであり、接続子P1から接続子P2までの処理は、例えば、図4におけるステップS111とステップS112の間に挿入されることとなる。なお、ステップS112のNo判断の分岐先は接続子P1となる。
まず、故障検知手段54は、パージ実行の開始から判定時間Tyが経過したか否かを判断する(ステップS401)。すなわち、判定時間Tyが経過するまではこの判断を繰り返し、判定時間Tyが経過した時点でステップS402に進む。
次に、故障検知手段54は、第1圧力センサ25により検出された燃料オフガスの検出圧力値Pm1を取得し(ステップS402)、また、燃料ガスの目標圧力から第1圧力センサ25の検出値Pm1を減算して圧力低下量ΔPm1を求める(ステップS403)。
そして、圧力低下量ΔPm1の絶対値を故障閾値ΔPyと比較して(ステップS404)、圧力低下量ΔPm1の絶対値が故障閾値ΔPy以上であれば(S404:No)、接続ポイントP1に進む。また、圧力低下量ΔPm1の絶対値が故障閾値ΔPy2oを下回っている場合(S404:Yes)には、パージ弁29の故障と判定して(ステップS405)終了する。
このように本変形例によれば、シミュレーション実験等に基づき予め設定される判定時間Ty及び故障閾値ΔPyによって故障の判定を行うので、パージ弁29における詰まり等の閉故障判定を、簡易な構成でより正確に行うことができる。また、判定時間Ty及び故障判断値Pyによって故障判定を行う場合も、同様にパージ弁29における詰まり等の閉故障判定を、簡易な構成でより正確に行うことができると共に、減算回数を減らして計算量を抑制することができる。
〔第3変形例〕
また、上記した第1、第2及び第3実施形態、並びに第1及び第2変形例において、パージ弁29の故障が検知されたとき、配管径制御機構31等の流量調整手段によって流路断面積を最小面積に設定するのが望ましい。これにより、パージ弁29が故障した場合であっても流路断面積調整手段は最小流路断面積に設定されているので、排出可能燃料オフガスを超えるガスを排出することを好適に抑制することができる。
1,2,3 燃料電池システム
10 燃料電池
11 アノード流路
12 カソード流路
20 アノード系
21 水素タンク
22 水素供給/循環デバイス
25 第1圧力センサ(第1の圧力センサ)
26 第2圧力センサ(第2の圧力センサ)
27 第3圧力センサ(第2の圧力センサ)
29 パージ弁(パージ手段)
31 配管径制御機構(流路断面積調整手段)
a1〜a6,b1〜b4 配管
40 カソード系
41 背圧弁
42 希釈器
51,512,513 制御部
52 パージ制御手段
53 流路断面積制御手段
54,542,543 故障検知手段
55 安定発電判断手段

Claims (11)

  1. 燃料ガス及び酸化剤ガスが供給されて発電する燃料電池と、
    前記燃料電池に供給される燃料ガスが通流する燃料ガス供給流路と、
    前記燃料電池から排出される燃料オフガスが通流する燃料オフガス排出流路と、
    前記燃料オフガス排出流路に設置され、燃料オフガスを排出するパージ手段と、
    前記パージ手段の上流側の前記燃料オフガス排出流路に設置され、燃料オフガスの圧力を検出する第1の圧力センサと、
    前記第1の圧力センサの上流側の前記燃料オフガス排出流路に設置され、燃料オフガスの流路断面積を調整する流路断面積調整手段と、
    前記パージ手段に開閉指令を出力して、燃料オフガスのパージ実行を制御するパージ制御手段と、
    前記パージ実行をしていないとき、燃料オフガスの流路断面積が該パージ実行時よりも小さくなるよう前記流路断面積調整手段を制御する流路断面積制御手段と、
    前記第1の圧力センサの検出圧力に基づき前記パージ手段の故障を検知する故障検知手段と、
    を備えることを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記燃料電池に供給される燃料ガスの目標圧力の変動状況に基づき、前記燃料電池が安定発電中か否かを判定する安定発電判断手段を備え、
    前記故障検知手段は、前記安定発電判断手段によって安定発電中と判断された場合に故障を検知すること
    を特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記故障検知手段は、予め前記パージ手段の故障を判定するための圧力に関する故障閾値と、所定時間とを設定し、
    前記パージ実行をしないとき、所定の基準圧力に対する前記第1の圧力センサの検出圧力の差分を求め、
    前記所定時間の間、前記差分の絶対値が前記故障閾値を上回るとき、前記パージ手段が故障であると判定すること
    を特徴とする請求項1または請求項2に記載の燃料電池システム。
  4. 前記故障検知手段は、予め前記パージ手段の故障を判定するための圧力に関する故障閾値と、所定時間とを設定し、
    前記パージ実行をしないとき、所定の基準圧力から前記故障閾値を差し引いた故障判断値を求め、
    前記所定時間の間、前記第1の圧力センサの検出圧力が前記故障判断値を下回るとき、前記パージ手段が故障であると判定すること
    を特徴とする請求項1または請求項2に記載の燃料電池システム。
  5. 前記故障検知手段は、予め前記パージ手段の故障を判定するための圧力に関する閉故障閾値と、判定時間とを設定し、
    前記パージ実行時であって、該パージ実行の開始から前記判定時間が経過した時に、所定の基準圧力に対する前記第1の圧力センサの検出圧力の差分の絶対値が前記閉故障閾値を下回るとき、前記パージ手段が故障であると判定すること
    を特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の燃料電池システム。
  6. 前記故障検知手段は、予め前記パージ手段の故障を判定するための圧力に関する閉故障閾値と、判定時間とを設定し、
    前記パージ実行時であって、該パージ実行の開始から前記判定時間が経過した時に、前記第1の圧力センサの検出圧力が所定の基準圧力から前記閉故障閾値を差し引いた閉故障判断値を下回るとき、前記パージ手段が故障であると判定すること
    を特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の燃料電池システム。
  7. 前記所定の基準圧力は、前記燃料電池に供給される燃料ガスの目標圧力であること
    を特徴とする請求項3乃至請求項6の何れか1項に記載の燃料電池システム。
  8. 前記流路断面積調整手段の上流側の前記燃料オフガス排出流路または前記燃料ガス供給流路に設置され、燃料オフガスまたは燃料ガスの圧力を検出する第2の圧力センサを備え、
    前記所定の基準圧力は、前記第2の圧力センサの検出圧力であること
    を特徴とする請求項3乃至請求項6の何れか1項に記載の燃料電池システム。
  9. 前記パージ手段から排出される燃料オフガスを希釈ガスで希釈する希釈器を備え、
    前記流路断面積調整手段は、前記希釈ガスの最小流量に基づき前記流路断面積を調整すること
    を特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか1項に記載の燃料電池システム。
  10. 前記パージ手段の故障が検知されたとき、前記流路断面積制御手段は、前記流路断面積が最小面積になるよう前記流路断面積調整手段を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項9記載の燃料電池システム。
  11. 燃料ガス及び酸化剤ガスが供給されて発電する燃料電池と、
    前記燃料電池に供給される燃料ガスが通流する燃料ガス供給流路と、
    前記燃料電池から排出される燃料オフガスが通流する燃料オフガス排出流路と、
    前記燃料オフガス排出流路に設置され、燃料オフガスを排出するパージ手段と、
    前記パージ手段の上流側の前記燃料オフガス排出流路に設置され、燃料オフガスの圧力を検出する第1の圧力センサと、
    前記第1の圧力センサの上流側の前記燃料オフガス排出流路に設置され、燃料オフガスの流路断面積を調整する流路断面積調整手段と、
    を備える燃料電池システムの故障診断方法であって、
    前記パージ手段に開閉指令を出力して、燃料オフガスのパージ実行を制御するパージ制御ステップと、
    前記パージ実行をしていないとき、燃料オフガスの流路断面積が該パージ実行時よりも小さくなるよう前記流路断面積調整手段を制御する流路断面積制御ステップと、
    前記第1の圧力センサの検出圧力に基づき前記パージ手段の故障を検知する故障検知ステップと、
    を含むことを特徴とする燃料電池システムの故障診断方法。
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