JP4635569B2 - ロール金型の製造方法及びロール金型 - Google Patents
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Description
加えて、雌型取り付け時に凹凸に触れることがあり、凹凸面が汚れたり損傷を受けたりする問題があった。
本発明のロール金型によれば、寄りやシワなく金属層(めっき部分)がロール型母材外周面に固定され、かつ外周表面の凹凸に汚れや損傷がないので、本ロール金型を使用した加工によりシート上に凹凸を寸法精度よく形成することが可能となる。しかも、ロール金型の大型化が容易であり、大面積のシートを凹凸の寸法精度よく加工することが可能となる。
(S1)基板表面を加工して微細な凹凸を形成して、マスター原盤10とする(図1)。マスター原盤10の縦幅方向は最終的にロール金型の幅方向となり、横幅方向はロール金型の円周方向となる。
なお、めっき処理前に必要に応じて、マザー原盤21の凹凸面について脱脂などの清浄化処理を行うとよい。また、めっき層の応力でマザー原盤21が変形することがあるため、マザー原盤21の外周端部(4辺)を「額縁」状の治具で押さえて変形を防止するとよい。めっき処理終了後にこの治具を外してつぎの工程に進む。
図4に示す平板形状のマザー原盤21を、無電解めっき浴B1の無電解めっき液m1中に浸漬させ、無電解めっき処理を行い、マザー原盤21の凹凸面上に無電解めっき層30aを形成する。このとき、無電解めっき液m1を攪拌して常にマザー原盤21の凹凸面上に新鮮なめっき液が供給されるようにするとよい。無電解めっき層30aの膜厚は、少なくともマザー原盤21の凹凸を埋め、つぎの電気めっき処理においてカソード電極となる程度の膜厚であることが好ましい(図5(b))。
無電解めっき処理が終了したマザー原盤21を、電気めっき浴B2の電気めっき液m2中に浸漬させ、マザー原盤21の凹凸面上の無電解めっき層30aをカソード電極とし、この無電解めっき層30aに対向するようにアノード電極Eを配置して電気めっき処理を行い、マザー原盤21の凹凸面の無電解めっき層30a上に電気めっき層30bを形成する。電気めっき層30bの膜厚は、金型ロールとして使用に耐えられる程度の強度をもつような膜厚であることが好ましい。
マザー原盤21が取り除かれることにより、サン原盤30は外周表面に微細な凹凸を有する金属層となる(図10)。また、その凹凸形状は、MMS(マスター・マザー・サン)プロセスで転写されてきた凹凸の形状である。例えば、プリズムシート加工用であれば円筒外周方向の断面形状は三角形状の溝あるいは突起が連続して配列されたもの(図10(b))であり、円筒長手方向にこの断面形状の三角柱が規則的に配置されたものとなる(図10(a))。
このとき、本発明のロール金型40によれば、金型表面の凹凸に寄りやシワの発生はなく、汚れや損傷もないために、シートS1を加工した際に均一な面が得られ、大面積の光学シートを作製することができる。
本発明のロール金型を次の手順で作製した。
(S11)以下の条件で基板を加工してマスター原盤10を作製した。
・基板:Niめっきが施され、その表面が鏡面に仕上げられたステンレス基板(厚さ20mm、横幅1.6m、縦幅1m)
・凹凸加工機:先端部分の頂角が90度の二等辺三角形であり、加工方向に対して逃げ角を設けたV字溝加工用のダイヤモンドバイトを用いた精密切削加工機
・加工方法:基板の鏡面に対して、ダイヤモンドバイトが深さ30μmまで彫るように設定し、横平均ピッチ50μm、平均深さ30μmのV字溝を縦幅方向にスライド加工により隙間なく形成した。
ついで、該額縁状治具に装着されたマザー原盤21の凹凸面に無電解Niめっき処理のための前処理を行った。詳しくは、純水リンスの後、表面処理液による脱脂処理10sec後、純水リンスを行い、次いで純水、触媒付与液を塗布10sec後、純水リンスを十分に行い、次いで触媒活性化液を塗布20sec後、純水で十分に洗浄を行った。
前処理された額縁状治具に装着されたマザー原盤21を、塩化ニッケル、コハク酸ナトリウム、ホスフィン酸ナトリウムなどを含むNi−Pの無電解めっき液m1を満たした無電解めっき浴B1に5分間浸漬させた(図5)。このとき、該無電解めっき液m1は、pH7.1、液温50℃に管理し、攪拌により反応面に対して絶えず新しいめっき液が供給されるようにしてめっきを行った。この時のめっき層30aの膜厚は、100nmとした。
ついで、pH4.0、液温50℃に管理されたスルファミン酸ニッケル、界面活性剤を含む電気めっき液m2を満たしたNiめっきB2に、額縁状治具に装着されたマザー原盤21を浸漬させカソード電極につないだ。一方、Niめっきされた電極板をアノード電極Eとし、該マザー原盤21の凹凸面から一定距離となるよう配置した。ついで循環ポンプによりめっき液m2を撹拌し、剥がれなどが起きないように電流レベルを徐々に上げながら通電しマザー原盤21内面のめっき層30a上にめっきを行った(図6)。この時のめっき層30bの膜厚は200μmとした。
以上のめっき処理により、マザー原盤21上に、めっき部分(無電解めっき層30a及び電気めっき層30b)からなるサン原盤30を得た(図7)。ここで、マザー原盤21上のめっき面(凹凸面から見た場合の裏面)をめっき処理でできた微小な凹凸を除去するように研磨した。
つぎに、マザー原盤21及びサン原盤30の横幅寸法がロール型母材の外周長さに合うように、マザー原盤21とともにサン原盤30の横幅方向を切断した。ここでは、用いるロール型母材の直径は50cmであることから、横幅寸法が1.57mとなるように切断した。
最後に、サン原盤30の継ぎ目部分eを溶接により接合し、ロール金型40を完成した(図11)。
比較例としてのロール金型を次の手順で作製した。
(S21)実施例と同じ条件で基板を加工してマスター原盤10を作製した。
これに対して比較例のロール金型で作製したシートでは、金型ロールの外周表面の凹凸にマザー原盤の巻き付け作業時に発生した寄り、シワ及び汚れがあるため、加工面の凹凸にムラが発生しており、裏面から光を当てておもて面から目視観察するとこのムラに起因して光の放射状態に異常が認められ製品として成り立たなかった。
Claims (4)
- 外周表面に微細な凹凸を備えるロール金型の製造方法であって、
可撓性を有し、一方の主面上に微細な凹凸が形成された平板形状の原盤の該凹凸形成面にめっき処理を施し、ついで前記原盤を、めっき面を内側に向けて撓ませながら円筒形状のロール型母材の外周面に巻き付けた後に、前記原盤をはずして前記凹凸が転写されためっき部分をロール型母材の外周面上に固定することを特徴とするロール金型の製造方法。 - 前記原盤は、基板の表面に微細な凹凸を形成した後、該基板の凹凸形状を可撓性を有するシートの表面に転写したものであることを特徴とする請求項1に記載のロール金型の製造方法。
- 前記めっき処理として、最初に無電解めっき処理を施し、ついで電気めっき処理を施す
ことを特徴とする請求項1に記載のロール金型の製造方法。 - 請求項1〜3のいずれか一に記載のロール金型の製造方法により製造され、円筒形状のロール型母材と、該ロール型母材の外周面に固定され外周表面に微細な凹凸を有する金属層とからなることを特徴とするロール金型。
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