JP3975444B2 - マイクロレンズアレイ用複製型の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、マイクロレンズアレイ用複製型の製造方法に係る。
【0002】
【従来の技術】
マイクロレンズアレイを複製する為の金型の製造方法として、金属等からなる基板をダイヤモンド部材で切削することにより製造する特許文献1に記載された製造方法がある。
また、金属加工に要する時間とコストを低減させるために、フォトリソグラフィで形成したレンズ形状のパターンを有する原盤に樹脂を滴下して層状にし、これに基板を載せた状態で樹脂を硬化させ、パターンを樹脂に転写する方法で複製型を得る特許文献2に記載された製造方法がある。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−144348号公報
【特許文献2】
特開2002−321227号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の切削による方法では、加工に長い時間を要するため型が高価になり、特に大型の型を製造することが現実的には困難であった。
また、レンズ部に相当する部分は微細な切削加工が必要であり、そのため工具は高い精度が要求されて高価となってしまう。また、工具の寿命も短くなるため頻繁に新しい工具と交換しなければならず、さらに、工具の摩耗により加工精度が安定して維持できないという問題があった。
また、フォトリソグラフフィでパターンを形成する製造方法においても、大型の複製型を製造する場合、フォトリソグラフィの大型設備が必要となるので製造が困難なものであった。
【0005】
そこで本発明が解決しようとする課題は、微細なレンズ形状に相当する凹部を高精度に安定して形成でき、安価で、大型の型を容易に製造できるマイクロレンズアレイ用複製型の製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本願発明は手段として次の構成を有する。
即ち、請求項1に係る発明は、マイクロレンズアレイの製造方法に用いられるマイクロレンズアレイ用複製型の製造方法において、基材1上に未硬化の紫外線硬化樹脂層2を設ける樹脂層形成工程と、複数のビーズ3を前記未硬化の紫外線硬化樹脂層2に所定の深さまで浸漬して前記未硬化の紫外線硬化樹脂層2を硬化させる硬化工程と、前記硬化させた紫外線硬化樹脂層2から前記ビーズ3を溶解またはエッチングにより脱離する脱離工程とを有することを特徴とするマイクロレンズアレイ用複製型の製造方法である。
また、請求項2に係る発明は、前記脱離工程は、前記溶解または前記エッチングと超音波振動の付与とにより、前記硬化させた紫外線硬化樹脂層2から前記ビーズ3を脱離することを特徴とする請求項1記載のマイクロレンズアレイ用複製型の製造方法である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、好ましい実施例により図1,図2を用いて説明する。
図1は、本発明のマイクロレンズアレイ用複製型の製造方法の実施例で製造した複製型の一例を示す図であり、
図2は、本発明のマイクロレンズアレイ用複製型の製造方法を説明する図であり、
図3は、本発明のマイクロレンズアレイ用複製型の製造方法の実施例で製造した複製型を用いてマイクロレンズアレイを作成する方法を説明する図である。
【0008】
本発明のマイクロレンズアレイ用複製型の製造方法は、紫外線硬化樹脂に所定寸法のマイクロビーズの一部を浸漬させ、その状態で紫外線硬化樹脂を硬化させた後、浸漬したマイクロビーズを除去するという製造方法である。
この方法で製造したマイクロレンズアレイ用複製型10の一例を図1に示す。
図1(a)は、その斜視図であり、レンズ部に相当する凹部10Aを6行6列の2次元的に配列して形成したものである。
図1(b)は、図1(a)のA−A断面を示した断面図である。
以下、この製造方法を工程順に図2(a)〜図2(d)により詳述する。
【0009】
(工程1)〔図2(a)参照〕
複製型の基材1上に紫外線硬化樹脂2を塗布する。もちろん、方法は塗布に限らず、未硬化の紫外線硬化樹脂2が層状に形成されればよい。
【0010】
(工程2)〔図2(b),図2(c)参照〕
所定の直径Rのビーズ3を所定のピッチPで複数2次元的に配列固定したビーズ固定基材4を予め用意し、このビーズ固定基材4を上方から矢印方向に下降させて工程1で設けた未硬化の紫外線硬化樹脂2の層にビーズ3を所定の深さDだけ浸漬する。
ビーズの直径R,配列ピッチP及び浸漬深さDは、製造するマイクロレンズアレイの所定のレンズ部形状に応じて設定する。
例えば、マイクロレンズが半球形状であれば、D=R/2とすればよい。
【0011】
(工程3)〔図2(c)参照〕
紫外線硬化樹脂2に紫外線UVを照射してこれを硬化させる。
ビーズ3が紫外線不透過性の材質で形成されている場合は、複製型の基材1の材料を紫外線透過材で形成し、この基材1側(図の下方)から紫外線UVを照射する。もちろん、ビーズ3とビーズ固定基材4と、ビーズ3を接着剤で固定している場合はこの接着剤とを含めて紫外線透過性材料で形成し、図の上方から紫外線UVを照射してもよい。
【0012】
(工程4)〔図2(d)参照〕
次に、ビーズ3を溶解またはエッチングして除去する。
この除去の際、ビーズ3を完全に溶解してもよいが、ビーズ3と紫外線硬化樹脂2との界面部分が溶解するか、あるいは、ビーズ3が浸漬している部分の約半分が除去できれば、超音波振動を基材1やビーズ3に加えることでビーズ3を紫外線硬化樹脂2から脱離させることができる。この脱離の完了により、図1に示すマイクロレンズアレイ用の複製型10が得られる。
この場合の超音波振動は、一例として、周波数26kHz,出力300W,付与時間5分間で付与すればよい。この条件は限定されるものではなく適宜設定できるものである。
図2(d)では、ビーズ3の浸漬部分がほぼ溶解して隙間Fが生じた状態を示している。
【0013】
上述した(工程1)〜(工程4)により、マイクロレンズアレイ用の複製型10が製造できる。
【0014】
次に、上述の工程によってマイクロレンズアレイ用複製型10を製造した実施例として第1実施例〜第3実施例を順次説明する。
【0015】
<第1実施例>
材質がニッケルの直径R=100μmの球状マイクロビーズ3を、配列ピッチP=120μmとしてアクリル材からなるビーズ固定基材4にアクリル系透明接着剤(図には明示せず)で固定し、透明なポリカーボネート材からなる基体1上に塗布した紫外線硬化樹脂2に浸漬深さD=50μmで浸漬した。
基体1側から紫外線を照射して紫外線硬化樹脂2を硬化させた後、王水によりビーズ3をエッチングし、紫外線硬化樹脂2との界面部を除去した。
その後、水中において超音波振動を基体1やビーズ3に付与し、残存したビーズ3を完全に紫外線硬化樹脂2から脱離してマイクロレンズアレイ用複製型10を得た。
紫外線硬化樹脂2として、ウレタン系紫外線硬化樹脂(大日本インキ化学工業製、EX−8210)を使用した。
【0016】
<第2実施例>
材質がガラスの直径R=80μmの球状マイクロビーズ3を、配列ピッチP=90μmとしてポリカーボネート材からなる透明なビーズ固定基材4にアクリル系透明接着剤(図には明示せず)で固定し、アクリル材からなる基体1上に塗布した紫外線硬化樹脂2に浸漬深さD=40μmで浸漬した。
ビーズ固定基材4側から紫外線を照射して紫外線硬化樹脂2を硬化させた後、フッ酸とフッ化アンモニウムとの混合液によりビーズ3をエッチングし、紫外線硬化樹脂2との界面部を除去した。
その後、水中において超音波振動を基体1やビーズ3に付与し、残存したビーズ3を紫外線硬化樹脂2から完全に脱離してマイクロレンズアレイ用複製型10を得た。
紫外線硬化樹脂2として、アクリル系紫外線硬化樹脂(株式会社スリーボンド製、T3087B)を使用した。
【0017】
<第3実施例>
材質が蝋の直径R=120μmの球状マイクロビーズ3を、配列ピッチP=140μmとしてアクリル材からなるビーズ固定基材4にアクリル系透明接着剤(図には明示せず)で固定し、透明なポリカーボネート材からなる基体1上に塗布した紫外線硬化樹脂2に浸漬深さD=60μmで浸漬した。
基材1側から紫外線を照射して紫外線硬化樹脂2を硬化させた後、加熱によりビーズを溶解して紫外線硬化樹脂2から完全に除去し、マイクロレンズアレイ用複製型10を得た。
紫外線硬化樹脂2として、アクリル系紫外線硬化樹脂(株式会社スリーボンド製、T3087B)を使用した。
【0018】
次に、第1〜第3実施例により製造したマイクロレンズアレイ用複製型10からマイクロレンズアレイを作成した。
まず、図3(A)に示すように、この複製型表面上に紫外線硬化樹脂6を塗布し、その上に透明のアレイ用基材7を配置した。
紫外線を照射して紫外線硬化樹脂6を硬化させた後、図3(B)に示すように、複製型から硬化した樹脂6を剥離することで、マイクロレンズアレイ8を得た。
このマイクロレンズアレイ8は、球面状のレンズ部8Aが高精度に形成され必要な性能を十分に有していることが確認された。
【0019】
本発明の実施例は、上述した構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変形してもよいものである。
【0020】
例えば、層状に設ける紫外線硬化樹脂の厚さ,ビーズ3の径,ピッチP,浸漬深さ等は、この実施例で製造した複製型で作成するマイクロレンズアレイの形状に応じて適宜設定できるものである。
【0021】
また、ビーズ3をビーズ固定基材4に固定する手段は限定されるものではない。
さらに、ビーズ固定基材4以外の支持手段により、ビーズ3を支持して基体1上に塗布した紫外線硬化樹脂2に所定の浸漬深さで浸漬させてもよい。
【0022】
このビーズ固定基材4やこれ以外の支持手段は一体で形成されているものに限らない。
例えば、所定の大きさの基材を分割した部分的基材にビーズを固定し、それを複数合体して所定の大きさのビーズ固定基材としてもよい。
また、ビーズ3を支持手段で支持せずに、基体1上に塗布した紫外線硬化樹脂2に散布して所定の深さで浸漬させてもよい。
【0023】
上述の実施例では、ビーズ3をエッチングして脱離する際、エッチング処理後に超音波振動を水中で基体1やビーズ3に付与する例を示しているが、エッチング処理と同時に超音波振動を付与してもよい。この場合、ビーズ3の脱離効率が向上するとともに、水中に基体1等を移動させる必要がないので、工程を少なくすることができる。
また、ビーズ3を溶解する際にも、その溶解処理と同時に超音波振動を付与してもよい。これにより、脱離を促進して脱離効率を向上させることができる。
【0024】
【発明の効果】
以上詳述したように、本願発明のマイクロレンズアレイ用複製型の製造方法によれば、レンズ形状に相当する凹部を高精度に安定して形成でき、安価で、大型の型も容易に製造できるという効果を得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のマイクロレンズアレイ用複製型の製造方法の実施例で製造した複製型の一例を示す図である。
【図2】本発明のマイクロレンズアレイ用複製型の製造方法を説明する図であり、本発明の電気音響変換器の実施例を示す断面図である。
【図3】本発明のマイクロレンズアレイ用複製型の製造方法の実施例で製造した複製型を用いてマイクロレンズアレイを作成する方法を説明する図である。
【符号の説明】
1 基材
2,6 紫外線硬化樹脂(層)
3 ビーズ
4 ビーズ固定基材
7 アレイ用基材
8 マイクロレンズアレイ
8A レンズ部
10 複製型
10A 凹部
R (ビーズの)直径
P (配列)ピッチ
D (浸漬)深さ
Claims (2)
- マイクロレンズアレイの製造方法に用いられるマイクロレンズアレイ用複製型の製造方法において、
基材上に未硬化の紫外線硬化樹脂層を設ける樹脂層形成工程と、
複数のビーズを前記未硬化の紫外線硬化樹脂層に所定の深さまで浸漬して前記未硬化の紫外線硬化樹脂層を硬化させる硬化工程と、
前記硬化させた紫外線硬化樹脂層から前記ビーズを溶解またはエッチングにより脱離する脱離工程とを有することを特徴とするマイクロレンズアレイ用複製型の製造方法。 - 前記脱離工程は、前記溶解または前記エッチングと超音波振動の付与とにより、前記硬化させた紫外線硬化樹脂層から前記ビーズを脱離することを特徴とする請求項1記載のマイクロレンズアレイ用複製型の製造方法。
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