JP4634396B2 - ローラねじ - Google Patents

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Description

本発明は、ねじ軸とナットとの間に転がり運動可能にローラを介在させたローラねじに関する。
ねじ軸とナットとの間に転がり運動可能にボールを介在させたボールねじは、すべり接触するねじに比べて、ナットに対してねじ軸を回転させる際の摩擦係数を低減できるので、工作機械・ロボットの位置決め機構、送り機構、あるいは自動車のステアリングギヤ等に実用化されている。
近年許容荷重を増大するために、転動体としてボールの替わりにローラを使用したローラねじが、例えば特許文献1のように考案されている。このローラねじでは、ねじ軸の外周面にローラ転走溝を形成し、ナットの内周面にもねじ軸のローラ転走溝に対向する螺旋状の負荷ローラ転走溝を形成する。ねじ軸のローラ転走溝とナットのローラ転走溝との間の負荷ローラ転走路に、転動体として複数のローラを配列・収容する。ナットに負荷転走の一端と他端を接続する無負荷ローラ戻し通路が形成される循環部材を設け、この循環部材により負荷ローラ転走路を転がるローラを循環させる。複数のローラ間には、ローラ同士の接触を防止するためにリテーナが介在される。
負荷ローラ転走路ではローラは螺旋状の軌道に沿って移動する。無負荷ローラ戻し通路の曲線部ではローラは曲線状の軌道に沿って移動する。ボールは四方八方いずれの方向にも転がることができるが、ローラはその移動方向が一方向に限られるので、ローラを螺旋状又は曲線状の軌道に沿って円滑に移動させるのは一般的に困難である。
この問題を解決するために、ローラの軸線が軌道の中心に向くようにローラを配列させることが考えられる。しかし、このように配列されたローラ間に、リテーナ両側に配置されるローラの軸線を平行にするリテーナを介在させると、ローラの移動に伴いリテーナが通路の内側に寄り、最終的には通路の内側壁面に接触してしまう。
またローラは、螺旋状の負荷ローラ転走路を通過した後、負荷ローラ転走路から離脱して無負荷ローラ戻し通路の曲線部に入る。負荷ローラ転走路と無負荷ローラ戻し通路の曲線部とでは、その曲率半径や移動中のローラの内周側が約90度相違する(詳しくは後述する)。これら負荷ローラ転走路及び無負荷ローラ戻し通路の曲線部の相違に対応して、負荷ローラ転走路及び無負荷ローラ戻し通路の双方で円滑にローラを移動させることができるリテーナが望まれる。
そこで本発明は、負荷ローラ転走路及び無負荷ローラ戻し通路の曲線部の壁面にリテーナが接触するのを防止でき、またリテーナが負荷ローラ転走路及び無負荷ローラ戻し通路の双方で円滑にローラを移動させることができるローラねじを提供することを目的とする。
特開平11−210858号公報
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照番号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものでない。
上記課題を解決するために請求項1の発明は、外周面に螺旋状のローラ転走溝(5a)が形成されたねじ軸(5)と、内周面に前記ねじ軸(5)の前記ローラ転走溝(5a)に対向する螺旋状のローラ転走溝(6a)が形成されたナット(6)と、前記ねじ軸(5)の前記ローラ転走溝(5a)と前記ナット(6)の前記ローラ転走溝(6a)との間の負荷ローラ転走路(9)の一端と他端を接続する無負荷ローラ戻し通路(10)が形成される循環部材(12,13)と、前記負荷ローラ転走路(9)及び前記無負荷ローラ戻し通路(10)に配列される複数のローラ(7)と、前記複数のローラ(7)間に介在されるリテーナ(8)と、を備え、前記ローラ(7)に接触する前記リテーナ(8)の正面に、前記負荷ローラ転走路(9)において、前記リテーナ(8)の両側に配置される一対の前記ローラ(7)の軸線間の角度を、前記ねじ軸(5)の軸線方向からみて所定の角度(α)に保つ第1の傾斜面(34)と、前記無負荷ローラ戻し通路(10)の曲線状に伸びる曲線部(16)において、前記リテーナ(8)の両側に配置される一対の前記ローラ(7)の軸線間の角度を、前記曲線部(16)が含まれる平面と直交する方向からみて前記角度(α)と異なる所定の角度(β)に保つ第2の傾斜面(35)と、を形成することを特徴とする。
請求項2の発明は、前記負荷ローラ転走路(9)において、前記ねじ軸(5)の軸線方向からみて、前記複数のローラ(7)の軸線は、前記負荷ローラ転走路(9)の円形状の軌道の中心(A)に向かい、前記無負荷ローラ戻し通路(10)の曲線部(16)において、前記曲線部(16)が含まれる平面と直交する方向からみて、前記複数のローラ(7)の軸線は、前記曲線部(16)の曲線形状の軌道の中心(B)に向かうことを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載のローラねじにおいて、前記第1の傾斜面(34)と前記第2の傾斜面(35)との境界に稜線(36)が形成されることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1ないし3いずれかに記載のローラねじにおいて、前記ねじ軸(5)の前記ローラ転走溝(5a)は断面V字形状に形成され、前記ナット(6)の前記ローラ転走溝(6a)も断面V字形状に形成され、断面略四角形状の前記負荷ローラ転走路(9)及び前記無負荷ローラ戻し通路(10)には、前記ローラ(7)の進行方向から見た状態において、隣接するローラ(7)の軸線が互いに直交するように、円筒形状の複数のローラ(7)がクロス配列されることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1ないし4に記載のローラねじにおいて、前記無負荷ローラ戻し通路(10)は、前記ねじ軸(5)の軸線と平行に直線状に伸びる直線部(11)と、この直線部(11)の両側に設けられ、前記負荷ローラ転走路(9)に接続される前記曲線部(16)と、を有することを特徴とする。
請求項6の発明は、外周面に螺旋状のローラ転走溝(5a)が形成されたねじ軸(5)と、内周面に前記ねじ軸(5)の前記ローラ転走溝(5a)に対向する螺旋状のローラ転走溝(6a)が形成されたナット(6)と、前記ねじ軸(5)の前記ローラ転走溝(5a)と前記ナット(6)の前記ローラ転走溝(6a)との間の負荷ローラ転走路(9)の一端と他端を接続する無負荷ローラ戻し通路(10)が形成される循環部材(12,13)と、前記負荷ローラ転走路(9)及び前記無負荷ローラ戻し通路(10)に配列される複数のローラ(7)と、前記複数のローラ(7)間に介在されるリテーナ(8)と、を備え、前記ローラ(7)に接触する前記リテーナ(8)の正面に、前記リテーナ(8)の両側に配置される一対の前記ローラ(7)の軸線間の角度を、所定の角度(α)に保つ第1の傾斜面(34)と、前記リテーナ(8)の両側に配置される一対の前記ローラ(7)の軸線間の角度を、前記角度(α)と異なる所定の角度(β)に保つ第2の傾斜面(35)と、を形成することを特徴とするローラねじ。
請求項7の発明は、外周面に螺旋状のローラ転走溝(5a)が形成されたねじ軸(5)と、内周面に前記ねじ軸(5)の前記ローラ転走溝(5a)に対向する螺旋状のローラ転走溝(6a)が形成されたナット(6)と、前記ねじ軸(5)の前記ローラ転走溝(5a)と前記ナット(6)の前記ローラ転走溝(6a)との間の負荷ローラ転走路(9)の一端と他端を接続する無負荷ローラ戻し通路(10)が形成される循環部材(12,13)と、前記負荷ローラ転走路(9)及び前記無負荷ローラ戻し通路(10)に配列される複数のローラ(7)と、前記複数のローラ(7)間に介在されるリテーナ(8)と、を備え、前記ローラ(7)に接触する前記リテーナ(8)の正面に、前記負荷ローラ転走路(9)において、前記リテーナ(8)の両側に配置される一対の前記ローラ(7)の軸線間の角度を、前記ねじ軸(5)の軸線方向からみて所定の角度(α)に保つ第1の傾斜面(34)を形成し、前記負荷ローラ転走路(9)において、前記ねじ軸(5)の軸線方向からみて、前記複数のローラ(7)の軸線は、前記負荷ローラ転走路(9)の円形状の軌道の中心(A)に向かうことを特徴とする。
請求項8の発明は、外周面に螺旋状のローラ転走溝(5a)が形成されたねじ軸(5)と、内周面に前記ねじ軸(5)の前記ローラ転走溝(5a)に対向する螺旋状のローラ転走溝(6a)が形成されたナット(6)と、前記ねじ軸(5)の前記ローラ転走溝(5a)と前記ナット(6)の前記ローラ転走溝(6a)との間の負荷ローラ転走路(9)の一端と他端を接続する無負荷ローラ戻し通路(10)が形成される循環部材(12,13)と、前記負荷ローラ転走路(9)及び前記無負荷ローラ戻し通路(10)に配列される複数のローラ(7)と、前記複数のローラ(7)間に介在されるリテーナ(8)と、を備え、前記ローラ(7)に接触する前記リテーナ(8)の正面に、前記無負荷ローラ戻し通路(10)の曲線状に伸びる曲線部(16)において、前記リテーナ(8)の両側に配置される一対の前記ローラ(7)の軸線間の角度を、前記曲線部(16)が含まれる平面と直交する方向からみて所定の角度(β)に保つ第2の傾斜面(35)を形成し、前記無負荷ローラ戻し通路(10)の曲線部(16)において、前記曲線部(16)が含まれる平面と直交する方向からみて、前記複数のローラ(7)の軸線は、前記曲線部(16)の曲線形状の軌道の中心(B)に向かうことを特徴とする。
請求項1の発明によれば、リテーナに負荷ローラ転走路及び無負荷ローラ戻し通路の曲線部に対応して第1の傾斜面及び第2の傾斜面を設けているので、負荷ローラ転走路及び無負荷ローラ戻し通路の両方でリテーナが通路の壁面に接触するのを防止できる。
請求項2の発明によれば、ローラの軸線を曲線経路の中心に向かわせた状態でローラを移動させることができるので、負荷ローラ転走路及び無負荷ローラ戻し通路の曲線に沿って円滑にローラを移動させることができる。
請求項3の発明によれば、ローラとリテーナとの接触位置が、稜線を挟んだ第1の傾斜面と第2の傾斜面との間で変動する。
請求項4の発明のように、円筒形状のローラを負荷ローラ転走路及び無負荷ローラ戻し通路の曲線部に沿って移動させると、ローラの内周側に外周側よりも大きなすべりが発生する。このためローラが移動中に所定の軸線から傾いてしまう所謂スキューを起こしやすくなる。本発明のリテーナはスキューの発生を効果的に防止する。
請求項5の発明のように無負荷ローラ戻し通路を構成すると、無負荷ローラ戻し通路の曲線部がねじ軸の軸線と略平行な平面内に配置される。一方、負荷ローラ転走路はねじ軸の軸線に直交する平面からリード角だけ傾けた平面内に配置される。本発明はこのような負荷ローラ転走路及び無負荷ローラ戻し通路を有するローラねじに有効である。
請求項6の発明によれば、リテーナに負荷ローラ転走路及び無負荷ローラ戻し通路の曲線部に対応して第1の傾斜面及び第2の傾斜面を設けているので、負荷ローラ転走路及び無負荷ローラ戻し通路の両方でリテーナが通路の壁面に接触するのを防止できる。
請求項7の発明によれば、負荷ローラ転走路において、ローラの軸線をねじ軸の軸線方向からみて円形状の負荷ローラ転走路の中心に向かわせた状態でローラを移動させるので、負荷ローラ転走路に沿って円滑にローラを移動させることができる。
請求項8の発明によれば、無負荷ローラ戻し通路の曲線部において、ローラの軸線を無負荷ローラ戻し通路の曲線部が含まれる平面と直交する方向からみて、円弧状の曲線部の中心に向かわせた状態でローラを移動させるので、円弧状の曲線部に沿って円滑にローラを移動させることができる。
本発明の一実施形態におけるローラねじの斜視図。 ローラねじの主要部品の分解斜視図。 全部品を組み合わせたローラねじの側面図。 図3のIV−IV線矢視図。 ねじ軸を示す側面図。 ねじ軸のローラ転走溝の溝直角断面形状を示す図。 ナット6の詳細図(図(A)はナットの正面図を示し、(B)は軸線方向に沿った断面図を示し、(C)裏面図を示す)。 方向転換路構成部材の取付け座の詳細図((B)は(A)のB−B線断面図)。 ナットのローラ転走溝の溝直角断面形状を示す図。 ローラの側面図。 負荷ローラ転走路内のローラを示す断面図。 螺旋状の負荷ローラ転走路、円弧状の方向転換路及び直線部を循環するローラの軌道の中心線を示す図。 ナットの一方側の端面に取付けられる方向転換路構成部材と他方側の端面に取付けられる方向転換路構成部材との位置関係を示す図。 方向転換路構成部材の内周側を示す図((A)は正面図を示し、(B)は側面図を示す)。 方向転換路構成部材の内周側を示す図((A)は側面図を示し、(B)は裏面図を示す)。 方向転換路構成部材の外周側を示す図((A)は正面図を示し、(B)は側面図を示す)。 方向転換路構成部材の外周側を示す図((A)は側面図を示し、(B)は正面図を示す)。 パイプの断面図。 直線部を移動するローラの姿勢の回転を示す図。 リテーナの正面図(一部Z−Z断面図を含む)。 リテーナの斜視図。 負荷ローラ転走路及び方向転換路の斜視図。 負荷ローラ転走路を移動するローラ及びリテーナを示す図。 負荷ローラ転走路におけるリテーナの断面図。 方向転換路を移動するローラ及びリテーナを示す図。 方向転換路におけるリテーナの断面図。
符号の説明
5a…ローラ転走溝
5…ねじ軸
6…ナット
6a…ローラ転走溝
7…ローラ
8…リテーナ
9…負荷ローラ転走路
10…無負荷ローラ戻し通路
11…直線部
12…パイプ(循環部材)
13…方向転換路構成部材(循環部材)
16…方向転換路(曲線部)
34…第1の傾斜面
35…第2の傾斜面
36…稜線
図1は、本発明の一実施形態におけるローラねじの斜視図を示す。ローラねじは、外周面に螺旋状のローラ転走溝5aが形成されたねじ軸5と、内周面にローラ転走溝5aに対向する螺旋状のローラ転走溝6aが形成されるナット6とを備える。ねじ軸5のローラ転走溝5aとナット6のローラ転走溝6aとの間の負荷ローラ転走路には、複数のローラ7が隣接するローラ7の軸線が互いに直交するようにクロス配列される。ローラ7間にはローラ7同士の接触を防止するリテーナ8が介在される。
ナット6をねじ軸5に対して相対的に回転させると、複数のローラ7がローラ転走溝5aとローラ転走溝6aとの間の負荷ローラ転走路9を転がりながら移動する。負荷ローラ転走路9の一端まで転がったローラ7は無負荷ローラ戻し通路10を経由した後、数巻き手前の負荷ローラ転走路9の他端に戻される。
図2は無負荷ローラ戻し通路10が形成される循環部材12,13の斜視図を示す。無負荷ローラ戻し通路10は、ナット6の軸線と平行に伸びる直線部11と、直線部11の両端に設けられ、直線部11と負荷ローラ転走路9とを接続する曲線部としての円弧状の方向転換路16からなる。
ナット6には、ねじ軸5の軸線と平行に伸びる貫通孔が形成され、この貫通孔にパイプ12が挿入される。このパイプ12内に直線的な軌道を有する断面四角形状の直線部11が形成される。詳しくは後述するが、ローラ7が直線部11を移動するにしたがってローラ7の姿勢が回転するように直線部11はねじれている。
ナット6の軸線方向の両端面には、方向転換路構成部材13が取付けられる。方向転換路構成部材13には、円弧状の軌道を有すると共に断面四角形状の方向転換路16が形成される。方向転換路構成部材13は、方向転換路16の四角形断面の対角線の位置で内周側13aと外周側13bとに2分割されている。これら方向転換路構成部材13の内周側13a及び外周側13bそれぞれはフランジ部を有する。方向転換路構成部材13の内周側13a及び外周側13bを重ね合わせてナット6の端面に位置決めし、ボルト等の固定手段でフランジ部をナット6の端面に固定する。パイプ12の両端は方向転換路構成部材13に嵌まるので、方向転換路構成部材13をナット6に固定することで、パイプ12もナット6に固定される。
図3はローラねじの側面図を示し、図4は図3のIV−IV線矢視図を示す。上記パイプ12及び方向転換路構成部材13が組み込まれたナット6の軸線方向の両端面には、異物を除去するため並びにナット6の内部から潤滑剤が漏れるのを防止するために、ラビリンスシール14が取付けられる。そしてナット6の端面には、ラビリンスシール14を覆うキャップ15が取付けられる。
図5はねじ軸5を示す。ねじ軸5の外周には所定のリードを有する螺旋状のローラ転走溝5aが形成される。この実施形態では、許容荷重を増加させ、且つナット6の全長を短くするためにローラ転走溝5aの条数を4条に設定している。勿論ローラ転走溝5aの条数は一条、二条、三条等様々に設定することができる。
図6はねじ軸5のローラ転走溝5aの溝直角断面形状を示す。ローラ転走溝5aの断面はV字形状でその開き角度は90度に設定される。ローラ転走溝5aの底には90度の交差部分も研削加工できるように研削逃げのための円弧部5bが形成される。
図7はナット6の詳細図を示す。図7(A)はナット6の正面図を示し、図7(B)は軸線方向に沿った断面図を示し、図7(C)はナット6の裏面図を示す。ナット6の内周面にはねじ軸5のローラ転走溝5aに対向する螺旋状のローラ転走溝6aが形成される。またナット6にはナット6の軸線方向に伸びる貫通孔17が形成される。貫通孔17は中央部17aが小径に形成され、中央部の両側の両端部17bが中央部17aよりも僅かに大径に形成される。貫通孔17の中央部17aにパイプ12が挿入され、両端部17bに方向転換路構成部材13が挿入される。ナット6の端面には、方向転換路構成部材13をナット6に取付けるための取付け座18が形成される。パイプ12及び方向転換路構成部材13はローラ転走溝6aの条数と等しい数(この実施形態では4つ)設けられ、4条のローラ転走溝6aそれぞれを転がるローラ7を循環させる。
図8は取付け座18の詳細図を示す。取付け座18には、後述する方向転換路構成部材13の薄肉部(23、図15(A)参照)に形状を合わせた円弧形状の逃げ溝19が形成される。通常のエンドキャップ方式のボールねじでは、ナットの端面はフラットに形成され、逃げ溝19は形成されることがない。そしてフラットな部分に方向転換路を構成する部材を取付ける。しかしローラねじの場合、ローラ7を円滑に循環させるためには方向転換路16の曲率半径が大きくなる傾向がある。方向転換路16の曲率半径が大きくなると、方向転換路構成部材13がナット6のローラ転走溝6aに干渉し易くなる。方向転換路構成部材13に薄肉部23を形成し、且つナット6の端面に方向転換路構成部材13の薄肉部23に形状を合わせた逃げ溝19を形成することで、方向転換路16の曲率半径が大きくなってもローラ転走溝6aに方向転換路構成部材13が干渉するのを防止することができる。
図9はナット6のローラ転走溝6aの溝直角断面形状を示す。ローラ転走溝6aの断面はV字形状でその開き角度は90度に設定される。ローラ転走溝6aの底には90度の交差部分も研削加工できるように研削逃げのための円弧部6bが形成される。
図10はローラ7の側面図を示す。負荷ローラ転走路9を転がるローラ7は円筒形状でその直径Dと高さLが略等しい(正確にはローラ7の直径Dがローラの高さLよりも僅かに大きい)。このため側面からみたローラ7の形状は正方形に近くなる。
この実施形態では、ローラ7の側面形状に合わせて負荷ローラ転走路9及び無負荷ローラ戻し通路10の断面形状が正方形に形成される。図11は負荷ローラ転走路9に収容されたローラ7を示す。ローラ7は、その周面がローラ転走溝5aの壁面と該壁面に対向するナット6のローラ転走溝6aの壁面との間で圧縮されることで荷重を負荷する。このため、ねじ軸5の軸線方向の一方向の荷重しか負荷できない。すなわち、一つのボールがねじ軸の軸線方向の一方向及び該一方向と反対方向の荷重を負荷するのとは対照的に、一つのローラ7は、ねじ軸5の軸線方向の一方向(1)又は他方向(2)の荷重(図11では一方向(1)の荷重のみ)を負荷する。ねじ軸5の軸線方向の一方向(1)及び他方向(2)の荷重を負
荷するためには、ローラの7進行方向から見た状態において、隣接するローラ7の軸線7a,7bが互いに直交するようにクロス配列する必要がある。
なお、この実施形態のようにクロス配列して、一方向(1)の荷重を負荷するローラ7の
数と他方向(2)の荷重を負荷するローラ7の数を等しくてもよいが、両方向の許容荷重を
変えたい場合には、一方向(1)の荷重を負荷するローラ7の数と他方向(2)の荷重を負荷するローラ7の数を異ならせてもよい。ローラ7の数を適宜異ならせると、一方向(1)の許
容荷重と他方向(2)の許容荷重を任意に変えることができる。
ローラ7の直径Dには、ねじ軸5のローラ転走溝5aの壁面と該壁面に対向するナット6のローラ転走溝6aの壁面との間の距離よりも僅かに大きい所謂オーバーサイズのものが用いられる。このため負荷ローラ転走路9内でローラは弾性変形していることになり、それに見合う荷重が予圧荷重としてナット6の内部に存在する。ローラ7は負荷ローラ転走路9内でクロス配列されているので、ローラ7からナット6に加わる荷重は隣接するローラ7で互いに反発する方向に作用する。
図12は螺旋状の負荷ローラ転走路9、円弧状の方向転換路16及び直線部11を循環するローラ7の軌道の中心線を示す。図(A)は負荷ローラ転走路9を移動するローラ7の軌道(ねじ軸5の軸線方向からみた状態)を示し、図(B)は無限循環路の全体を循環するローラ7の軌道を示す(ねじ軸5の側方からみた状態)。負荷ローラ転走路9でのローラ7の軌道は、ねじ軸5の軸線方向からみて半径がRCD/2の円形状になる。無負荷ローラ戻し通路10の直線部11でのローラの軌道は、ねじ軸5の軸線5cに平行な直線になる。方向転換路16でのローラ7の軌道は、曲率半径Rの円弧になる。
これら負荷ローラ転走路9、方向転換路16及び直線部11の繋ぎ目では、ローラ7の軌道の接線方向が連続になっている。これによりこれらの繋ぎ目が滑らかになる。具体的には、負荷ローラ転走路9と方向転換路16との繋ぎ部分では、方向転換路16の接線方向は、ねじ軸5の軸線方向から見た状態において、負荷ローラ転走路9の中心線の接線方向と一致し、且つねじ軸5の側方から見た状態において、負荷ローラ転走路9のリード角と一致する。また直線部11と方向転換路16の繋ぎ部分では、方向転換路16の接線方向は、直線部11の中心線の伸びる方向と一致する。
図13は、ナット6の一方側の端面に取付けられる方向転換路構成部材13と他方側の端面に取付けられる方向転換路構成部材13との位置関係を示す。上述したように無負荷ローラ戻し通路10の直線部11の中心線は、ねじ軸5の軸線5cと平行に伸びる。方向転換路16の中心線は、図(A)に示されるようにねじ軸5の軸線方向から見た状態において、負荷ローラ転走路9の中心線の接線方向に伸びる。そして手前側の方向転換路16の中心線と奥側の方向転換路16の中心線とは、所定の開き角度γで交差する。方向転換路16の曲率半径が大きいほど開き角度γが大きくなる傾向がある。この実施形態では方向転換路16の曲率半径が例えばローラ7の直径Dの5倍程度に設定され、開き角度が例
えば90度〜100度に設定される。詳しくは後述するが、直線部11は通路内を移動するローラ7の姿勢をこの開き角度と略等しい角度γ回転させる。
ここで曲線部としての方向転換路16が含まれる平面P1,P2(正確には方向転換路16の中心線が含まれる平面)は、ねじ軸の軸線に略平行になる。一方、螺旋状の負荷ローラ転走路9は、ねじ軸5の軸線と直交する平面からリード角傾けた平面に配置される。
図14及び図15は方向転換路構成部材の内周側13aを示す。この方向転換路構成部材の内周側13aは、曲率半径Rの方向転換路が形成される本体部21と、ナット6の端
面に取付けられるフランジ部22とを有する。本体部21の一端には、負荷ローラ転走路9内に入ってローラ7を掬い上げる掬上げ部21aが形成される。本体部21の他端はパイプ12に嵌め込まれる。内周側13aの掬上げ部21aは、外周側13bの掬上げ部と協働して螺旋状の負荷ローラ転走路9を転がるローラ7を接線方向に掬い上げる。方向転換路16は掬い上げた直後にローラ7を方向転換させ、円弧状の方向転換路16に沿ってローラを移動させる。
方向転換路部材の内周側13aには、方向転換路構成部材13が取付けられるナット6の端面よりもナット側に突出すると共に、方向転換路16の形状に合わせて曲線状に曲げられる薄肉部23が形成される。薄肉部23の断面形状はV字形状に形成される。この薄
肉部23がナット6の端面に形成された逃げ溝19(図8参照)に嵌り込む。
図16及び図17は方向転換路構成部材の外周側13bを示す。この方向転換路構成部材の外周側13bは、曲率半径Rの方向転換路16が形成される本体部25と、ナット6
の端面に取付けられるフランジ部26とを有する。本体部25の一端には、負荷ローラ転走路9内に入ってローラを掬い上げる掬上げ部25aが形成される。本体部25の他端はパイプ12に嵌め込まれる。外周側の掬上げ部25aは、内周側の掬上げ部21aと協働して螺旋状の負荷ローラ転走路9を転がるローラ7を接線方向に掬い上げる。方向転換路16は掬い上げた直後にローラ7を方向転換させ、円弧状の方向転換路16に沿ってローラを移動させる。またこの方向転換路構成部材の外周側13bには、ねじ軸5のローラ転走溝5aの形状に合わせた突出部27が形成され、これにより掬上げ部25aの強度を確保している。方向転換路構成部材13は金属製であっても樹脂製であってもよい。
図18はパイプ12の断面図を示す。ローラ7が無負荷ローラ戻し通路10の直線部11を通過する間、ローラ7の姿勢が回転するように直線部11はねじられる。ローラ7は直線部11の中心線12aに沿って移動しながら、中心線12aの周りを回転する。ここでローラ7の移動距離とローラ7の回転角度が比例する。この例では、無負荷ローラ戻し通路10の一端から他端に至るまでローラ7は、約90度+2β度(ねじ軸の軸線方向から見た一対の方向転換路の開き角度γ)回転する。パイプ12は中心線に沿って2分割される。このパイプ12は金属製であっても樹脂製であってもよい。
図19は直線部11を移動するローラ7の姿勢の回転を示す。この図19から直線部11を移動するに従って、ローラ7のA1の位置が左斜め上から左斜め下へと移動し、ロー
ラ7の姿勢が約90度回転するのがわかる。
直線部11でローラ7の姿勢を回転させることにより、負荷ローラ転走路9からローラ7を掬い上げ、また負荷ローラ転走路9にローラ7を戻すときに、側面形状が四角形のローラ7の姿勢を断面四角形状の負荷ローラ転走路9の形状に一致させることができる。
また、ローラ7の姿勢を一対の方向転換路16の開き角度γと略等しい角度回転させることで、ねじ軸5の軸線の一方向(1)からの荷重を負荷していたローラが、反転しないで
(再びねじ軸5の軸線の前記一方向(1)からの荷重を負荷できる状態で)負荷ローラ転走
路9に戻る。またローラ7間に介在されるリテーナ8も反転しないで戻すことができる。リテーナ8は後述するように扇形に形成される。扇形のリテーナ8が反転すると、リテーナ8の外周側の幅が広くなければいけないのに逆に内周側の幅が広くなってしまう。ローラ7の姿勢を一対の方向転換路16と略等しい角度γ回転させることで、ローラ7及びリテーナ8を反転させないことができる。
図20及び図21は本実施形態で使用されるリテーナ8の詳細図を示す。図20は正面図(一部Z−Z断面図を含む)を示し、図21は斜視図を示す。断面四角形状の負荷ローラ転走路9及び方向転換路16に合わせて、リテーナ8の正面形状は四角形状に形成される。リテーナ8の4辺の中央部分には、潤滑剤を収容するための逃げ溝31が形成される。リテーナ8の中央部分にも潤滑剤を保持するための貫通孔32が形成される。また正面図において、リテーナ8の下側の2つの角部33a,33bは円弧状に面取りされ、上側の2つの角部33c,33dは直線状に面取りされる。これによりリテーナ8の上下を区別することができ、リテーナ8の姿勢を間違えて負荷ローラ転走路9及び無負荷ローラ戻し通路10に組み込むのを防止できる。
リテーナ8の正面には、リテーナ8の両側に配置される一対のローラ7の軸線を、所定の角度(α)に保つ第1の傾斜面34(図21中斜線で示す)と、リテーナ8の両側に配置される一対のローラ7の軸線を、角度(α)と異なる所定の角度(β)に保つ第2の傾斜面35(図21中斜線で示す)とが形成される。第1の傾斜面34と第2の傾斜面35との境界には稜線36が形成される。ローラ7は稜線36を挟んだ第1の傾斜面34と第2の傾斜面35との間でリテーナ8との接触位置が変動する。ローラ7が接触位置を変動しやすいようにリテーナ8には窪み部38,39が形成される。なお第1の傾斜面34及び第2の傾斜面35はリテーナ8の正面のみに形成されてもよいし、正面及び背面に形成されてもよい。
図20に示されるように、ローラ7及びリテーナ8が負荷ローラ転走路9を移動する間は、ローラ7及びリテーナ8はねじ軸5の中心線上の点Aを中心に半径RCD/2の円弧上を
移動する。一方、ローラ7及びリテーナ8が方向転換路16を移動する間は、ローラ7及びリテーナ8は方向転換路16の中心Bを中心に半径Rの円弧上を移動する。ローラ7が負荷ローラ転走路9を移動する間は、ローラ7の角部7aが負荷ローラ転走路9の内周側になり、方向転換路16を移動する間はローラ7の角部7bが方向転換路16の内周側になる。ローラ7の中心からみると、角部7aの方向と角部7bの方向は略90度ずれている。このため、ローラ7が負荷ローラ転走路9を移動する間は、ローラ7はリテーナ8の第1の傾斜面34に接触し、ローラ7が方向転換路16を移動する間は、ローラ7はリテーナ8の第2の傾斜面35に接触する。ローラ7が負荷ローラ転走路9から方向転換路16に切り替わったときに、ローラ7とリテーナ8との接触位置が変動する。
図22は負荷ローラ転走路9及び方向転換路16の斜視図を示す。ローラ7が負荷ローラ転走路9を移動する間は、負荷ローラ転走路9の角部9aが内周側になり、方向転換路16を移動する間は、方向転換路16の角部16aが内周側になることがわかる。
図23は負荷ローラ転走路9を移動するローラ7及びリテーナ8を示す。リテーナ8の両側のローラ7はクロス配列されているので、図23(A)と図23(B)ではリテーナ両側のローラ7の姿勢が異なっている。負荷ローラ転走路9では、リテーナ8の第1の傾斜面34とローラ7とが接触し、ねじ軸5の軸線方向からみて(この図23に示される状態)、リテーナ8の両側に配置される一対のローラ7の軸線間の角度は所定の角度αに保たれる。そしてねじ軸5の軸線方向からみて、複数のローラ7の軸線は、円形状の負荷ローラ転走路9の中心A(ねじ軸の軸線)に向かう。より詳しくは中心Aよりも僅かに手前で交差し、中心Aでは僅かな寸法S1だけずれる。
図24は負荷ローラ転走路9におけるリテーナ8の断面図(リテーナ8の対角線付近で且つ第1の傾斜面34上で切断した断面図)を示す。リテーナ8は内周側が薄く、外周側が厚い。リテーナ8の内周側の横幅W1は外周側の横幅W2よりも小さい。
図25は方向転換路16を移動するローラ7及びリテーナ8を示す。リテーナ8の両側のローラ7はクロス配列されているので、図25(A)と図25(B)ではリテーナ両側のローラ7の姿勢が異なっている。方向転換路16では、リテーナ8の第2の傾斜面35とローラ7とが接触し、方向転換路16が含まれる平面から直交する方向からみて(図25に示される状態)、ローラ7の軸線は所定の角度βに保たれる。そして複数のローラ7の軸線は、円弧形状の方向転換路16の中心Bに向かう。より詳しくは中心Bよりも僅かに手前で交差し、中心Bでは僅かな寸法S2だけずれる。
方向転換路16の曲率半径Rは負荷ローラ転走路9の曲率半径RCD/2よりも小さいので
、ローラ7の軸線を中心に向かわせるために角度βは角度αよりも大きく設定される。
図26は方向転換路におけるリテーナ8の断面図(リテーナの対角線付近で且つ第2の傾斜面35上で切断した断面図)を示す。リテーナ8は内周側が薄く、外周側が厚い。リテーナ8の内周側の横幅W3は外周側の横幅W4よりも小さい。
負荷ローラ転走路9において、リテーナ8がローラ7の軸線をねじ軸5の軸線方向からみて負荷ローラ転走路9の円形状の軌道の中心に向かわせた状態でローラを移動させるので、ローラ7が所定の軸線から傾くスキューを起こすことなく、負荷ローラ転走路9に沿ってローラ7が円滑に移動する。また、方向転換路16(無負荷ローラ戻し通路10の曲線部)において、ローラ7の軸線を方向転換路16が含まれる平面と直交する方向からみて、方向転換路16の円弧状の軌道の中心に向かわせた状態でローラ7を移動させるので、ローラ7がスキューを起こすことなく、円弧状の方向転換路16に沿って円滑に移動する。
負荷ローラ転走路9や方向転換路16では曲線状の経路に沿ってリテーナ8が移動するので、リテーナ8が負荷ローラ転走路9や方向転換路16の壁面に接触するおそれがある。この実施形態によれば、リテーナ8に負荷ローラ転走路9及び方向転換路16に対応して第1の傾斜面34及び第2の傾斜面35を設けているので、負荷ローラ転走路9及び方向転換路16の両方でリテーナ8が通路の壁面に接触するのを防止できる。
無負荷ローラ戻し通路10の直線部11では、リテーナ8とローラ7との間に僅かな隙間が空くことになるが、直線部11では隙間に関わらずローラ7及びリテーナ8が円滑に移動し易い。
なお本発明は上記実施形態に限られることなく、本発明の要旨を変更しない範囲で他の実施形態にも具現化できる。例えば循環部材には、この実施形態のようなエンドキャップ方式の循環部材に限られることなく、リターンパイプ方式等様々な方式の循環部材を用いることができる。またこの実施形態では、直径と長さが略等しい円筒形状のローラを用い、無負荷ローラ戻し通路の断面形状を正方形に形成したが、この他にも直径と長さとが異なる円筒形状のローラを用い、無負荷ローラ戻し通路の断面形状をローラの形状に合わせて長方形に形成してもよいし、他にも円錐形状のローラを用い、無負荷ローラ戻し通路の断面形状を円錐形状のローラに合わせた台形形状に形成してもよい。
さらに方向転換路の軌道は曲率一定の円弧状でなくても、クロソイド曲線等様々な曲線であってもよい。
本明細書は、2004年11月12日出願の特願2004−328496に基づく。この内容はすべてここに含めておく。

Claims (8)

  1. 外周面に螺旋状のローラ転走溝が形成されたねじ軸と、
    内周面に前記ねじ軸の前記ローラ転走溝に対向する螺旋状のローラ転走溝が形成されたナットと、
    前記ねじ軸の前記ローラ転走溝と前記ナットの前記ローラ転走溝との間の負荷ローラ転走路の一端と他端を接続する無負荷ローラ戻し通路が形成される循環部材と、
    前記負荷ローラ転走路及び前記無負荷ローラ戻し通路に配列される複数のローラと、
    前記複数のローラ間に介在されるリテーナと、を備え、
    前記ローラに接触する前記リテーナの正面に、
    前記負荷ローラ転走路において、前記リテーナの両側に配置される一対の前記ローラの軸線間の角度を、前記ねじ軸の軸線方向からみて所定の角度(α)に保つ第1の傾斜面と、
    前記無負荷ローラ戻し通路の曲線状に伸びる曲線部において、前記リテーナの両側に配置される一対の前記ローラの軸線間の角度を、前記曲線部が含まれる平面と直交する方向からみて前記角度(α)と異なる所定の角度(β)に保つ第2の傾斜面と、を形成することを特徴とするローラねじ。
  2. 前記負荷ローラ転走路において、前記ねじ軸の軸線方向からみて、前記複数のローラの軸線は、前記負荷ローラ転走路の円形状の軌道の中心に向かい、
    前記無負荷ローラ戻し通路の曲線部において、前記曲線部が含まれる平面と直交する方向からみて、前記複数のローラの軸線は、前記曲線部の曲線形状の軌道の中心に向かうことを特徴とする請求項1に記載のローラねじ。
  3. 前記第1の傾斜面と前記第2の傾斜面との境界に稜線が形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のローラねじ。
  4. 前記ねじ軸の前記ローラ転走溝は断面V字形状に形成され、
    前記ナットの前記ローラ転走溝も断面V字形状に形成され、
    断面略四角形状の前記負荷ローラ転走路及び前記無負荷ローラ戻し通路には、前記ローラの進行方向から見た状態において、隣接するローラの軸線が互いに直交するように、円筒形状の複数のローラがクロス配列されることを特徴とする請求項1ないし3いずれかに記載のローラねじ。
  5. 前記無負荷ローラ戻し通路は、
    前記ねじ軸の軸線と平行に直線状に伸びる直線部と、この直線部の両側に設けられ、前記負荷ローラ転走路に接続される前記曲線部と、を有することを特徴とする請求項1ないし4に記載のローラねじ。
  6. 外周面に螺旋状のローラ転走溝が形成されたねじ軸と、
    内周面に前記ねじ軸の前記ローラ転走溝に対向する螺旋状のローラ転走溝が形成されたナットと、
    前記ねじ軸の前記ローラ転走溝と前記ナットの前記ローラ転走溝との間の負荷ローラ転走路の一端と他端を接続する無負荷ローラ戻し通路が形成される循環部材と、
    前記負荷ローラ転走路及び前記無負荷ローラ戻し通路に配列される複数のローラと、
    前記複数のローラ間に介在されるリテーナと、を備え、
    前記ローラに接触する前記リテーナの正面に、
    前記リテーナの両側に配置される一対の前記ローラの軸線間の角度を、所定の角度(α)に保つ第1の傾斜面と、
    前記リテーナの両側に配置される一対の前記ローラの軸線間の角度を、前記角度(α)と異なる所定の角度(β)に保つ第2の傾斜面と、を形成することを特徴とするローラねじ。
  7. 外周面に螺旋状のローラ転走溝が形成されたねじ軸と、
    内周面に前記ねじ軸の前記ローラ転走溝に対向する螺旋状のローラ転走溝が形成されたナットと、
    前記ねじ軸の前記ローラ転走溝と前記ナットの前記ローラ転走溝との間の負荷ローラ転走路の一端と他端を接続する無負荷ローラ戻し通路が形成される循環部材と、
    前記負荷ローラ転走路及び前記無負荷ローラ戻し通路に配列される複数のローラと、
    前記複数のローラ間に介在されるリテーナと、を備え、
    前記ローラに接触する前記リテーナの正面に、
    前記負荷ローラ転走路において、前記リテーナの両側に配置される一対の前記ローラの軸線間の角度を、前記ねじ軸の軸線方向からみて所定の角度(α)に保つ第1の傾斜面を形成し、
    前記負荷ローラ転走路において、前記ねじ軸の軸線方向からみて、前記複数のローラの軸線は、前記負荷ローラ転走路の円形状の軌道の中心に向かうことを特徴とするローラねじ。
  8. 外周面に螺旋状のローラ転走溝が形成されたねじ軸と、
    内周面に前記ねじ軸の前記ローラ転走溝に対向する螺旋状のローラ転走溝が形成されたナットと、
    前記ねじ軸の前記ローラ転走溝と前記ナットの前記ローラ転走溝との間の負荷ローラ転走路の一端と他端を接続する無負荷ローラ戻し通路が形成される循環部材と、
    前記負荷ローラ転走路及び前記無負荷ローラ戻し通路に配列される複数のローラと、
    前記複数のローラ間に介在されるリテーナと、を備え、
    前記ローラに接触する前記リテーナの正面に、
    前記無負荷ローラ戻し通路の曲線状に伸びる曲線部において、前記リテーナの両側に配置される一対の前記ローラの軸線間の角度を、前記曲線部が含まれる平面と直交する方向からみて所定の角度(β)に保つ第2の傾斜面を形成し、
    前記無負荷ローラ戻し通路の曲線部において、前記曲線部が含まれる平面と直交する方向からみて、前記複数のローラの軸線は、前記曲線部の曲線形状の軌道の中心に向かうことを特徴とするローラねじ。
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