JP4633223B2 - 血管内皮細胞増殖因子依存性血管内皮細胞増殖の抑制剤 - Google Patents

血管内皮細胞増殖因子依存性血管内皮細胞増殖の抑制剤 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、構成糖としてグルコサミンとヘキスロン酸との二糖単位の繰り返し構造で形成された基本骨格を有する硫酸化グリコサミノグリカン及びその塩よりなる血管内皮細胞増殖因子(VEGF)作用抑制剤及び該硫酸化グリコサミノグリカン及びその塩を有効成分として含有する血管新生抑制剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
生体内に存在する様々な増殖因子(GF)は、ヘパリン及びヘパラン硫酸(HS)と結合する事が知られており、細胞表面に存在するヘパラン硫酸と結合することが貯蔵、放出、安定性等に関して重要であることが知られている。
GFの一種である血管内皮細胞増殖因子(以下、VEGFと言うこともある。)は、血管内皮細胞に特異的に作用するヘパリン結合性増殖因子であり、また、VEGFのPre-mRNAには8つのエクソンがあり、それらのスプライシングの違いによって、分子サイズの異なるアイソフォームが少なくとも4種類(VEGF121、VEGF165、VEGF189、VEGF206)あることが現在知られている。VEGF121はエクソン1〜5と8からなり、主に胎盤で産生されるが、他のアイソフォームと異なり、ヘパリン/ヘパラン硫酸との結合性を有しないことが知られている(Cohen et al.,J.Biol.Chem.,270,11322-11326 (1995))。生体内で主に検出されるVEGF165は、エクソン1〜5と7と8からなり、内皮細胞を用いたin vitro実験において、VEGF165がVEGFレセプターに効果的に結合するためにヘパリン/ヘパラン硫酸を必要とすることが知られている(Soker et al.,Biochem.Biophys.Res.Comm.,203,1339-1347(1994))。また、野村らによると、定量的RT−PCR(reverse transcriptionpolymerase chain reaction)を施行し、内皮細胞と周皮細胞を正常酸素濃度より徐々に低酸素状態にしていくと、両細胞VEGF121、VEGF165のmRNAが増加することが報告されている(Nomura,M.et.al.:J.Biol.Chem.,270:28316-28324,1995)。
一方、VEGF189とVEGF206は、ネガティブチャージを持った物質と非特異的な作用を示す塩基性アミノ酸に富む部分を含むエクソン6をはじめ全てのエクソンを含んでいる為、ヘパリン/ヘパラン硫酸への親和性はVEGF165より高い親和性を持っている。従って、一旦細胞外に分泌された後、細胞表面あるいは細胞間質のヘパリン様物質と結合した型で存在することが知られている。
【0003】
VEGFは、様々な疾患や生理環境下に於いて起こる血管新生を誘導する重要な調節因子である血管形成誘導因子の一種である。この血管形成誘導因子には、他に繊維芽細胞増殖因子(FGF)、トランスフォーミング成長因子β(TGFβ)等が知られており、血管新生は、様々なサイトカイン等による複雑な時間軸を持った一連の複合反応であると考えられているが、現在、最も疾病の原因と密接に関連していると疑われているのはVEGFである。
血管新生は、正常な生体では胎生期の血管形成や組織の構築、黄体形成や子宮内膜の増殖期及び創傷治癒過程等に関与しているが、臨床的には組織が低酸素状態になると誘導されることが良く知られており、血管新生の多くは、何らかの病的状態と関係していると考えられている。病的状態としては、炎症、糖尿病性網膜症、慢性関節リウマチ、乾セン、固形腫瘍の増殖、心筋梗塞、卵巣過剰刺激症候群等の発症、増悪において重要な役割を果たす事が知られている。
例えば、腫瘍における血管新生は固形腫瘍の増大や転移に重要な役割を果たしており、VEGFを生産するガン細胞は悪性度が高いことが知られている。Kimらは、VEGF特異的モノクローナル抗体によってヌードマウスに移植した平滑筋肉腫などの腫瘍細胞の増大が部分的に抑制されることや、腫瘍血管密度が減少させられることを報告している(Kim K.J. et al. Nature, 362, 841 (1993))。
【0004】
増殖性網膜症、例えば糖尿病性網膜症、網膜静脈閉塞症、高安症などの網膜の虚血により発症する疾病に対しVEGFが関与することも知られている。これらの疾患では、網膜毛細血管に微小血栓が形成され、さらに血管壁構成細胞が変性して基底膜が残り、内腔にグリア細胞が増生、侵入し、血管閉塞が生じ、その結果、閉塞した虚血領域の周辺の網膜血管より内皮細胞が遊走、増殖し、新生血管を形成することが知られている。また、網膜の色素上皮細胞、血管周辺細胞、虹彩によりVEGFが産生され、網膜症の患者の眼房水や硝子体液中にはVEGFが増加していることが知られている。Hataら、更にはIshiharaらは、低酸素条件下、グリア細胞と内皮細胞を同一培地内で培養したとき、グリア細胞によって産生された血管新生因子が内皮細胞を増殖させ、さらに内皮細胞の管腔形成を促進すること、及びこれらの現象が抗VEGF中和抗体によってほとんど抑制されることを報告している(Hata Y. et al. Virchows Arch., 426, 279(1995)、Ishihara T. et al.日本血栓止血学会誌, 7(2), 123(1996))。
【0005】
異常な血管新生を制御することが可能になれば、それによって引き起こされる種々の疾病の治療につながるとの認識の下に、既に、内因性、外因性を問わず様々な分子種の血管新生抑制活性物質が近年報告されている。具体的には、例えば、ヘパリン結合性増殖因子の作用を直接的または間接的に抑制する物質として、抗VEGF抗体、シグナルトランスダクション能を消失した部分変異VEGF、可溶化VEGFレセプターや、硫酸化カルボキシメチルキチン、スラミン、多硫酸化ペントサン、テコガラン、硫酸化マルトオリゴ糖等の多硫酸化物や、インターフェロンなどが知られている。しかしながら、これらの物質の中には、副作用を有するものや、安定性の点で問題があるものもあり、すぐに医薬品として使用出来るものは未だに提供されていない。
【0006】
ところで、抗血液凝固剤として広く使用されているヘパリンは、血液凝固段階に関与する酵素やヘパリン結合性増殖因子、例えば、繊維芽細胞増殖因子(FGF)、肝細胞増殖因子(HGF)、VEGFやミドカインなどの機能に直接的又は間接的に作用していることが知られており、その為、血管新生抑制剤や、血管新生療法への応用検討も行われている。しかしながら、ヘパリンには強い抗血液凝固活性や、出血活性があり、抗血液凝固剤以外の医薬品としての適応において、これが投与制限因子(dose limiting factor)になっている。
【0007】
各種増殖因子と選択的脱硫酸化処理されたヘパリン類との相互作用を評価することによって、各種増殖因子との特異的相互作用を示すヘパリンのドメイン構造が明らかにされつつある。
【0008】
VEGFとヘパリンの結合に関しては、ヘパリンの硫酸化の程度及び硫酸基の位置が重要で、全硫酸含量を1%にまで脱硫酸化したヘパリンでは活性が無く、O-過硫酸化ヘパリンはヘパリンよりも活性が強いことが報告されている(Tessler S. et al., J.Biol. Chem.,269,12456(1994))。また、VEGFとそのレセプターとの結合に関与するヘパリンの効果については、16〜18糖に相当するヘパリンフラグメントでは阻害的に作用し、22個以上の糖に相当するヘパリンフラグメントでは増強的に作用することが、更にほぼ完全にO-脱硫酸化したヘパリンや、N-脱硫酸化したヘパリンの効果は天然ヘパリンより弱いことも報告されている(Soker S. et al., Biochem.Biophys.Res.Commun., 203, 1339(1994))。また、NIH-3T3細胞に発現されたflk-1/fmsキメラレセプターがVEGFによって自己リン酸化されることと、ヘパリンによってこの自己リン酸化が阻害されることも知られている(Shoshana T. et al., J. Biol. Chem., 269,12456(1994))。
しかしながら、これらの報告で用いられたヘパリン誘導体は非特異的な過硫酸化や脱硫酸化処理によって得られたものばかりであるので、VEGFと特異的相互作用を示すヘパリンのドメイン構造については未だ解明されておらず、また、VEGF誘導性細胞増殖を抑制する作用に関しては何ら報告されていない。
【0009】
一方、ヘパリンを抗血液凝固剤以外に適用するために化学的方法で修飾された種々の非凝固性ヘパリンが報告されており、特開昭63−278901には、非硫酸化ウロン酸−N硫酸塩グルコサミン型の二糖のないフラグメントから基本的に成る修飾ヘパリンを血管形成の間に平滑筋細胞の増殖を防止する為や、ある種の転移の進行を防止する為に用いる事が出来るとの記載があり、WO92/17187には非凝固性ヘパリンに平滑筋増殖抑制作用があることが記載されているが、VEGF活性制御との関係については何ら記載されていない。また、USP5,296,471号においては、選択的且つ段階的に2−O−,3−O−脱硫酸化ヘパリンを製造する方法およびその組成物について言及され、当該組成物は実質的に抗血液凝固活性が消失しており、抗癌活性、血小板凝集阻害活性、ヘパラナーゼ阻害活性や血管新生阻害活性を有していることが記載されているが、VEGF活性制御との関係については何ら示されていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、VEGF作用の抑制剤の提供、及び、血管新生抑制剤の提供、更にVEGF等の関与が示唆されている血管新生が関与していると考えられている悪性腫瘍の増大や転移、増殖性網膜症、関節リウマチ、卵巣過剰刺激症候群等に対する治療に用いることが可能で、人体に適用するに際し、安全で副作用などの問題がほとんど無い薬剤を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、グルコサミンとヘキスロン酸の二糖単位の繰り返し構造を基本骨格とする硫酸化グリコサミノグリカンにおいて、構成グルコサミンの6位及びN位の硫酸基の割合が、VEGFと血管内皮細胞に存在するヘパラン硫酸又はヘパリンとの結合に拮抗する作用、VEGF誘導性細胞増殖抑制作用及び血管新生抑制作用に重要であることを見出した。また、当該硫酸化グリコサミノグリカンに於けるヘキスロン酸の2位の硫酸基を選択的に除去した物質や、一部の構成ヘキスロン酸の環構造を特異的に開環する処理と選択的に2位の硫酸基を除去する処理を行った物質は、上記の作用に加え、出血等の副作用がほとんど無いことを見出した。これらの知見に基づき、これらの硫酸化グリコサミノグリカンが、VEGFが関与していると考えられている血管新生を伴う疾病等の為の医薬として有用であることを知得し、本発明を完成するに到った。
【0012】
即ち、本発明の要旨は、構成ヘキスロン酸残基の2位の硫酸基の少なくとも一部が脱硫酸化されたヘパリンであって、その構造中にヘキスロン酸の2位と3位の炭素原子間で開環された開環ヘキスロン酸を少なくとも1箇所以上含み、かつ、グリコサミノグリカン分解酵素による分解と高速液体クロマトグラフィーによる分析を組み合わせた二糖組成分析において、下記構造式(1)で表される△DiHS−di(6,N)Sの組成(モル%)が80%以上である、ヘパリン及びその塩からなる血管内皮細胞増殖因子依存性血管内皮細胞増殖の抑制剤に存する。但し、式中において、R1、R2はSO3-で、R3はHであることを意味する。
【0013】
【化2】
Figure 0004633223
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を更に詳細に説明する。
本発明のVEGF作用抑制剤及び血管新生抑制剤をなす物質(以下、本発明物質という)は、後述の試験法1に記載のグリコサミノグリカン分解酵素による分解と高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLCともいう)による分析を組み合わせた二糖組成分析において不飽和二糖体組成である上記構造式(1)で表される△DiHS-di(6,N)Sの組成(モル%)が40%以上である、グルコサミンとヘキスロン酸からなる二糖単位の繰り返し構造を基本骨格とする硫酸化グリコサミノグリカン及びその塩である。
【0015】
本発明物質は、グルコサミンとヘキスロン酸が結合した二糖単位の繰り返し構造を持ち、所望量の硫酸基を有する多糖または、オリゴ糖であれば特に限定されないが、通常ヘパリン又はヘパラン硫酸を化学的に修飾して得られるものである。すなわち、本発明物質はスルホアミノ基(N-硫酸基)及び6−O−硫酸基を有するグルコサミンが構造中に多く含まれ、二糖組成分析において、上記組成を示す。なお、本発明物質を構成するグルコサミンは、通常D-グルコサミンであり、2位がスルホアミノ基で無い場合、通常、アセチルアミノ基である。ヘキスロン酸としては、例えば、D-グルクロン酸、L-イズロン酸が挙げられ、2位が硫酸エステル化されていない場合は、ヒドロキシ基である。ヘキスロン酸の2位の硫酸化率は低い方が好ましく、上記二糖組成分析で分析した場合、全構成ヘキスロン酸のうち30%以下であるとより好ましい。また、グルコサミンの6位、N位の硫酸化率は高い方が好ましい。本発明物質の重量平均分子量は、VEGF作用抑制効果及び血管新生抑制効果を示す限り、特に限定されないが、5,000〜25,000Daが好ましく、より好ましくは、7,000〜20,000Daであり、10,000〜14,000Daであると更に好ましい。
更に本発明物質は、その塩の形で使用することが可能であり、塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、トリブチルアミン塩等が挙げられるが、アルカリ金属塩が好ましく、特にナトリウム塩が好ましい。
【0016】
二糖組成分析における不飽和二糖体組成とは、グリコサミノグリカン分解酵素によって分解され、かつHPLCで特定可能な前記一般式(1)で示される不飽和二糖体の総量を100%とし、特定の構造を持つ各不飽和二糖体の割合を示し、その数値は酵素消化前の硫酸化グリコサミノグリカンの硫酸基の位置及び数を反映するもので、一般式(1)中の各置換基が下表の通りであるものを、通常下記の略で表す。
【0017】
【表1】
Figure 0004633223
【0018】
また、上記略号の示す構造は以下の通り表記されることもある。
ΔDiHS-0S:ΔHexA1→4GlcNAc、ΔDiHS-6S:ΔHexA1→4GlcNAc(6S)、ΔDiHS-NS:ΔHexA1→4GlcNS、ΔDiHS-US:ΔHexA(2S)1→4GlcNAc、ΔDiHS-di(6,N)S:ΔHexA1→4GlcNS(6S)、ΔDiHS-di(U,N)S:ΔHexA(2S)1→4GlcNS、ΔDiHS-di(U,6)S:ΔHexA(2S)1→4GlcNAc(6S)、ΔDiHS-tri(U,6,N)S:ΔHexA(2S)1→4GlcNS(6S)。
上記式中、ΔHexAは不飽和ヘキスロン酸、GlcNAcはN−アセチルグルコサミン、GlcNSはN−硫酸化グルコサミン、カッコ内は硫酸基の結合位置を示す。
【0019】
本発明物質の好ましい例として、構成ヘキスロン酸残基の2−O−硫酸基を選択的に除去する脱硫酸化処理を行って得られる△DiHS-di(6,N)Sが40%以上である硫酸化グリコサミノグリカン(以下、本発明物質1という)や、2−O−硫酸基を有しないヘキスロン酸の少なくとも一部を酸化・還元処理、例えば、過ヨウ素酸塩等の酸化剤による酸化反応でヘキスロン酸の2−3位の炭素原子間を開環し、開環により生じたアルデヒド基を還元処理した後、開環していない他のヘキスロン酸残基の2−O−硫酸基を選択的に除去して得られる△DiHS-di(6,N)Sが80%以上である硫酸化グリコサミノグリカン(以下、本発明物質2という)が挙げられる。
【0020】
本発明物質1及び本発明物質2は、その2−O−硫酸基を持つヘキスロン酸残基の含有量が全構成ヘキスロン酸残基(本発明物質2に関しては、開環しているヘキスロン酸残基及び開環していないヘキスロン酸残基を合わせたものとする)に対し30(モル)%以下であることが好ましく、特に本発明物質1に関しては、20%〜25%がより好ましく、本発明物質2に関しては、10%〜20%がより好ましく、更に0〜10%であるとより好ましい。また、本発明物質1及び2は、上述の様に、ΔDiHS-di(6,N)Sのモル%が40%以上であり、特に本発明物質1に関しては、△DiHS-di(6,N)Sのモル%が、40%〜45%がより好ましく、本発明物質2に関しては、50%以上が好ましく、より好ましくは80%以上であり、85%〜90%であると更に好ましい。
【0021】
本発明物質1は、ブタ、ウシ等の哺乳動物の臓器(腸、肺、肝、腎、血管等)から抽出、精製されたヘパリン、ヘパラン硫酸等の硫酸化グリコサミノグリカンを原料とし、その構成ヘキスロン酸残基の2−O−硫酸基を選択的に除去する脱硫酸化処理を行って得ることができるが、脱硫酸化処理方法は、当該2−O−硫酸基を選択的に脱硫酸化することが出来る処理であれば、特に制限されない。例えばJasejaらの方法(Jaseja et al.,Can. J. Chem.,67,1449(1989))など、それ自体公知の方法に準拠して行うことができ、具体的には、硫酸化グリコサミノグリカンのアルカリ性水溶液を調製し、凍結乾燥する方法が挙げられる。更に、脱硫酸化処理後、適当な溶媒を用いた溶媒沈殿、限外ろ過、カラムクロマトグラフィー、透析、凍結乾燥等、又は、これらの組み合わせによって容易に濃縮・精製することが出来る。具体的には、前記脱硫酸化処理により得られた凍結乾燥パウダーを、蒸留水に溶解し、pH7に調整し、透析処理、凍結乾燥処理に順次付する方法が挙げられる。なお、本発明物質1の製造法は上記方法に限定されるものではなく、例えば、通常のヘパリン、ヘパラン硫酸から、△DiHS-di(6,N)Sが40%以上で、2−O−硫酸基含量の低いものを選択してもよく、2−O−硫酸基を有するヘキスロン酸残基の含有量が、全構成ヘキスロン酸残基に対し30(モル)%以下であると好ましい。
【0022】
本発明物質2は、原料の硫酸化グリコサミノグリカンを、先ず酸化・還元処理することによって、2−O−硫酸基を有しないヘキスロン酸の少なくとも一部において2−3位の炭素原子間で開環させ、開環により生じたアルデヒド基を還元する。次いで、開環していない他のヘキスロン酸残基の2-O-硫酸基を選択的に除去することにより製造することができる。硫酸化グリコサミノグリカンの酸化・還元処理は、ヘキスロン酸の2−3位の炭素原子間のみを選択的に開裂する処理法であれば、特に制限されず、例えば、Casuらの方法(Casu B.et al.,Arzneim Forsch/Drug Res.,36,6337(1986))に準じて行うことができる。具体的には、過ヨウ素酸ナトリウムなどの酸化剤により硫酸化グリコサミノグリカンの2−O−硫酸基を有しないヘキスロン酸の2−3位の炭素原子間を酸化的に開裂し、開裂により生成したアルデヒド基をホウ素化水素ナトリウムなどの還元剤で還元処理する方法が挙げられる。
次いで、硫酸化グリコサミノグリカンの酸化・還元処理生成物を、脱硫酸化処理するが、該処理生成物を構成する2−O−硫酸基を有するヘキスロン酸の当該硫酸基を選択的に脱硫酸化処理する方法であれば特に制限されない。具体的には本発明物質1の製造における脱硫酸化方法を採用することが出来る。前記脱硫酸化処理後の濃縮・精製方法に関しては、適当な溶媒を用いた溶媒沈殿、限外ろ過、カラムクロマトグラフィー、透析、凍結乾燥等、又は、これらの組み合わせによる方法が可能であり、具体的には本発明物質1と同様な方法が挙げられる。
【0023】
本発明物質1及び本発明物質2を製造するための出発原料としての硫酸化グリコサミノグリカンは、グルコサミンとヘキスロン酸が交互に結合した二糖の繰り返し構造を持ち、硫酸化されているグリコサミノグリカンであれば特に限定されない。具体的には、前記のヘパリン、ヘパラン硫酸が挙げられる。構造中のグルコサミンのN-硫酸基及び6-硫酸基の割合の高いものが好ましいが、△DiHS-di(6,N)Sが40%以上である本発明物質1及び本発明物質2が得られる限り、これに限定されない。原料として使用するグリコサミノグリカンの硫酸化率が低い場合には、硫酸化処理を行うことにより、硫酸化率を高めた硫酸化グリコサミノグリカンでも構わない。
【0024】
本発明物質1及び本発明物質2のAPTT活性は、後述する標準ヘパリンに比べて20%以下であることが好ましく、本発明物質2に関しては、特に5%以下であることがさらに好ましい。また、本発明物質1及び本発明物質2のTT活性は、標準ヘパリンに比べて5%以下が好ましく、3%以下であることが更に好ましい。
【0025】
本発明者らは、VEGFとグリコサミノグリカンとの結合に係わる構造的特性を検討するために、ヘパリン固定化ビーズを用いたイムノアッセイ(ELISA)によって、各種グリコサミノグリカンがヘパリンとVEGFとの結合を阻害する度合いを測定した。コンドロイチン硫酸A(CS-A)、コンドロイチン硫酸C(CS-C)、デルマタン硫酸(DS)、ヒアルロン酸(HA)及びヘパリンに関して前記のELISAを行ったところ、CS-A、CS-C、DS、HAは、400μg/mlの高濃度を添加しても、VEGFとビーズに固定化されているヘパリンとの結合を阻害しなかったが、ヘパリンはほぼ完全に阻害した。これによって、VEGFは、グリコサミノグリカンのうち、ヘパリンとのみ特異的に結合する事が確認された。
【0026】
更に、ヘパリンに於ける硫酸基の位置や含有量の違いにより各種増殖因子との結合に変化が生じるという報告(Ishihara and Ono, 1998)を考慮し、ヘパリンがVEGFと結合する為に必須となる構造的特徴を、本発明物質1、本発明物質2、ヘパリンの構成糖であるグルコサミンの6-O-硫酸基を選択的に除去したヘパリン(以下、6−O−脱硫酸化ヘパリンと称する)、ヘパリンの構成糖であるグルコサミンのN-硫酸基を選択的に除去後、同部位をアセチル化したヘパリン(以下、N−脱硫酸・N−Ac化ヘパリンと称する)、及び市販のヘパリンを用いて、前記同様にヘパリン固定化ビーズを使用したELISAを行い、各物質がVEGFとビーズに固定化されているヘパリンとの結合を阻害する度合いを調べた。
【0027】
その結果、ヘパリンは、50μg/ml以上では、ビーズに固定化されたヘパリンとVEGFとの結合に対し、ヘパリン等を何も加え無い場合に比べて、50%以上の結合阻害を示し、400μg/mlではほぼ完全に結合を阻害し、本発明物質1及び本発明物質2に関しては、ヘパリンと比較すると結合阻害の度合いはやや弱まるが、依然として阻害活性を保持しており、また、本発明物質2は、本発明物質1よりも阻害活性がより保持されていた。しかし、N−脱硫酸・N−Ac化ヘパリン及び6−O−脱硫酸化ヘパリンは、高濃度であっても20%程度迄しか結合阻害を示さなかった。これにより、ヘパリンとVEGFとの結合には、ヘパリンにおけるグルコサミンのN-硫酸基及びグルコサミンの6-O-硫酸基の含量が影響しており、ヘパリンがVEGFと結合する為には、N−硫酸基、6−O−硫酸基を高含量含んでいる事が重要であると推測される。
【0028】
また、生体内増殖因子の一種であるFGFに関しては、ヘパリンのN-硫酸基と2−O−硫酸基が結合に重要であり、HGFに関しては、N−硫酸基、2−O−硫酸基及び6−O−硫酸基を要することが既に知られている(Ashikari S.et.al. J.Biol.Chem.,270, 29586 (1995))。従って、上記測定結果と対比すると、各増殖因子(GF)の種類により、結合に必要とされるグリコサミノグリカンの構造的特徴が異なることは明らかである。
【0029】
また、生体内増殖因子により誘導される細胞増殖に関して、副腎皮質由来内皮細胞(AEC)のbFGF誘導性細胞増殖に、構成ヘキスロン酸の2位の硫酸基を除去したヘパリンは、影響を示さなかったことが既に報告されている(Ishihara M.et al.,Glycobiology,Vol.4,451-458,1994)。そこで、本発明者等はVEGFとビーズに固定化されたヘパリンとの結合阻害活性を示した本発明物質1、本発明物質2及びヘパリンに関し、ヒト由来臍帯静脈血管内皮細胞(以下、HUVE細胞という)のVEGF誘導性細胞増殖への影響について調べた。その結果、ヘパリン、本発明物質1及び本発明物質2のいずれも、約50μg/ml以上の濃度において濃度依存的にHUVE細胞のVEGF誘導性細胞増殖を抑制し、約200μg/ml以上では、ほぼ横ばいの抑制活性を示した。同様の実験を6−O−脱硫酸化ヘパリン及びN−脱硫酸・N−Ac化ヘパリンについても行ったところ、HUVE細胞のVEGF誘導性細胞増殖に対し影響を示さなかった。
また、生体内増殖因子により誘導される細胞増殖に関して、副腎皮質由来内皮細胞(AEC)のbFGF誘導性細胞増殖に、構成ヘキスロン酸の2位の硫酸基を除去したヘパリンは、影響を示さなかったことが既に報告されている(Ishihara M.et al.,Glycobiology,Vol.4,451-458,1994)。
【0030】
上記の結果より、前述のVEGFとビーズに固定化されたヘパリンとの結合阻害活性と同様に、HUVE細胞のVEGF誘導性細胞増殖を抑制するためにはグリコサミノグリカンは、6−O−硫酸基及びN−硫酸基を多く含む事が必要であることが推測される。また、本発明物質1及び本発明物質2は、特異的にVEGFに作用しているように推測され、ELISAにおけるVEGFとグリコサミノグリカンとの結合と、HUVE細胞のVEGF誘導性細胞増殖との間にも明らかな相関関係があると推測される。
【0031】
前述のようにVEGFは、血管新生に深く係わりがあることが最近注目され研究されているので、更に、本発明者らは、VEGF作用抑制効果を示した本発明物質1及び本発明物質2に関し、鶏有精卵を用いて、血管新生に対する効果について調べた。その結果、本発明物質1及び本発明物質2共に、血管新生の抑制作用を示し、本発明物質2に関しては、本発明物質1よりも抑制作用が強いことが判明し、更に、用量依存性があると推測される結果を得た。
この血管新生抑制作用の結果と、上記に記載したVEGFとビーズに固定化されたヘパリンとの結合を阻害する作用の結果において両結果とも、本発明物質2が本発明物質1よりも強い作用を示していることは、VEGFが血管新生における重要な因子の一つであることの裏付けであると考えられる。
【0032】
本発明物質1及び本発明物質2は、前述の様に抗血液凝固活性の指標となるTT活性とAPTT活性が低く、またAPTT活性よりTT活性の方がより低い特性を呈する。これより、標準ヘパリンより抗血液凝固活性が低いと考えられるが、更に、APTT活性と比較してTT活性が低い物質は、医薬品として投与した際に抗血液凝固活性が低く、安全性が高いことが知られており、本発明物質1及び本発明物質2を医薬品組成物に用いた場合、出血活性が低く、有用な医薬となる可能性が高い。
【0033】
本発明物質1又は本発明物質2は、ヘパリンと同様にVEGFによって起こる好ましくない生理作用を抑制する作用を有し、更に血管新生を抑制する作用も有することが判明した。しかもヘパリンとは異なって出血活性等の副作用が極めて低いので、本発明物質1又は本発明物質2を有効成分とする医薬(以下、本発明医薬ともいう)を調製することにより、VEGFが関与していると考えられている疾病の治療、予防、緩和に用いることが出来、また、血管新生が重要な役割を担っていると考えられている腫瘍の増大や転移等の疾病に関して、血管新生を抑制することによる癌等悪性腫瘍の転移抑制剤や、増殖性網膜症治療剤等の医薬の提供を可能にする。更に、この医薬は、関節リウマチ、卵巣過剰刺激症候群等の他の適応疾患に対する治療や予防にも有用である。
【0034】
本発明物質を有効成分として含有するVEGF作用抑制剤及び血管新生抑制剤を生体に投与する際の剤型および投与経路としては、対象となる疾患の性質や重篤度に応じて適宜選択することができる。例えば、それらをそのまま、または他の薬理学的に許容され得る担体、賦形剤、希釈剤等と共に製剤化し(例えば、注射剤、錠剤、カプセル剤、液剤、軟膏、ゲル剤、スプレー剤等)、温血動物(例えば、ヒト、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、イヌ、ネコ、ウマ等)に対して、経口的または非経口的に安全に投与することができる。
【0035】
本発明医薬における本発明物質の配合量並びに投与量は、その製剤の投与方法、投与形態、使用目的、患者の具体的症状、患者の体重などに応じて個別に決定されるべき事項であり、特に限定されないが、臨床投与量として、1日当たり概ね100μg/Kg〜100 mg/Kg程度を例示することができる。また、上記製剤の投与間隔は1日1回程度でも可能であり、1日2〜4回、またはそれ以上の回数に分けて投与することもできる。また、例えば点滴などにより連続的に投与することも可能である。
【0036】
なお、本発明医薬の有効成分である本発明物質1及び2は、後述する実施例において細胞に対する毒性は見られなかった。ヘパリンのマウス(雄、雌)における急性毒性試験によるLD50値は、経口投与で5000mg/Kg以上、皮下または腹腔内投与で2500mg/Kg以上、静注で1000mg/Kg程度であることが知られている。本発明物質は、TT活性が標準ヘパリンと比較して極めて低いため(5%未満)、安全性は高い。
【0037】
【実施例】
本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
なお、本実施例における試験法は以下の通りである。
試験法1
[酵素消化による二糖分析]
硫酸化グリコサミノグリカン(本発明物質1、本発明物質2及び標準ヘパリン)における硫酸基の置換位置を分析する方法は、次のようにして行った。すなわち、対象とする各硫酸化グリコサミノグリカンを酵素消化し、生成した不飽和二糖体(一般式(1))を高速液体クロマトグラフィ(HPLC)で分析した[新生化学実験講座3、糖質II(東京化学同人刊、1991年)p49−62参照]。各不飽和二糖のピーク面積を計算して、全面積に対するピーク面積をパーセントとして表した。
(1) 標準ヘパリン、本発明物質1及び本発明物質2の分解酵素による消化
新生化学実験講座3、糖質II(東京化学同人刊、1991年)p49−62に記載の方法により、2mM酢酸カルシウムを含む20mM酢酸ナトリウム(pH7.0)220μlに、標準ヘパリン、本発明物質1及び本発明物質2各1.0mgを溶解して、20mUのヘパリナーゼ、20mUのヘパリチナーゼIおよびIIを加えて、37℃、2時間反応させた。
【0038】
(2) HPLCによる分析
標準ヘパリン、本発明物質1及び本発明物質2を上記(1)に従い分解酵素により消化を行った後の溶液50μlを、HPLC(医理化、モデル852型)を用いて分析した。イオン交換樹脂カラム(ダイオネックス社、CarboPac PA-1カラム4.0mm × 250mm)を使用し、232nmでの吸光度を測定した。不飽和二糖(4〜12糖)スタンダードを基準とし(Yamada, et al., J.Biol.Chem.,270,8696-8706,(1995))、流速1ml/分で、塩化リチウムを用いたグラジエント系(50mM→2.5M)を用いる方法に準拠した(Kariya, et al., Comp.Biochem.Physiol., 103B, 473, (1992))。
【0039】
6種の不飽和二糖標品(8nmol each/shot)の溶出順は、ΔDiHS-0S(保持時間 2.6min)、ΔDiHS-NS(保持時間 10.9min)、ΔDiHS-6S(保持時間 12.0min)、ΔDiHS-di(6,N)S(保持時間 15.2min)、ΔDiHS-di(U,N)S(保持時間 16.3min)、ΔDiHS-tri(U,6,N)S(保持時間21.9min)である。
【0040】
試験法2
[分子量測定]
標準ヘパリン、本発明物質1及び本発明物質2の3%溶液10μlをHPLCによるゲルろ過で分析した。使用カラムはTSKgel-( G4000 + G3000 + G2500 )PWXL(東ソー、7.8mm × 300mm)を用い、溶出液に0.2M塩化ナトリウムを使用して、1.0ml/分の流速で展開した。標準ヘパリン、本発明物質1及び本発明物質2の検出には示差屈折計(島津製作所、AID-2A)を用いた。本発明における重量平均分子量(Mw)はヘパリンの分子量標準品を対照にして求めた(Kaneda, et al.,Biochem.Biophys.Res.Com.,220,108-112(1996))。その計算式は、MW=10(10.17-0.19 × RT)、[RT:ピークトップのリテンションタイム(分)]である。標準ヘパリンの分子量は光散乱法を用いて行った(Nagasawa, et al.,J.Biochem.,81,989-993(1977))。
【0041】
試験法3
[活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)活性の測定]
APTTの測定のため、ラット(SD系雄性ラット(194〜224g)、チャールスリバ)の下大動脈より3.2%クエン酸1/10容量で採血し、血液を1000×g、10分間遠心分離して得た血漿100μlと、様々な濃度の各被検サンプル100μlとを測定用カップに入れ、37℃、1分間保温した。その後、あらかじめ37℃に保温しておいたアクチン(商品名:吉富製薬(株))100μlを添加し、さらに2分間保温した。次いで、37℃の保温しておいた0.02M CaCl2溶液100μlを添加し、この時より凝固が起こるまでの時間を血液凝固自動測定装置(KC-10A:アメルング社)で測定した。
なお、APTTにおける測定時間の上限は100秒までとした。標準ヘパリンのAPTT活性を100としたとき、各被検サンプルのAPTT活性をその相対値で表−2に示した。
【0042】
試験法4
[トロンビン時間(TT)の測定]
上記試験法3で得た血漿100μlと、様々な濃度の各被検サンプル100μlとを測定用カップに入れ、37℃、1分間保温した。その後、5分前より37℃に保温しておいたトロンビン(商品名:吉富製薬(株)、10U/ml)100μlを添加し、この時より凝固が起こるまでの時間を血液凝固自動測定装置(KC-10A:アメルング社)で測定した。なお、TTにおける測定時間の上限は100秒までとした。標準ヘパリンのTT活性を100としたとき、各被検サンプルのTT活性をその相対値で表−2に示した。
【0043】
試験法5
[ヘパリンビースと増殖因子との結合に対する阻害活性の測定]
(1) 試薬の調製
増殖因子溶液は、VEGF165、FGF-2およびHGFを各40ng/mlになるように、1%牛血清アルブミンを含んだ生理食塩含有リン酸バッファー(BSA-PBS)で溶解し調製した。ヘパリンビーズ懸濁液は、ヘパリンアガロースビーズ(タイプI、ブタ腸粘膜由来ヘパリン使用、Sigma社)と、ポリアクリルアミドゲル(Bio-Gel P-30,Fine、Bio-Rad社)を1:1になるように混合して調製した。抗VEGF165抗体、抗FGF-2抗体および抗HGF抗体はBSA-PBSで1:500に希釈したものを用いた。HRP(ホースラディシュ由来ペルオキシダーゼ)で標識した抗IgG抗体(標識二次抗体、Bio-Rad社)はBSA-PBSで1:1000に希釈したものを用いた。
【0044】
(2) ELISA法による結合阻害活性測定
様々な重量の被検サンプル(5〜40μg)を100μlの各種増殖因子溶液に溶解し、室温で3分間混合させた(0.25ml-マイクロチューブ使用)。続いて、各マイクロチューブに50μlのヘパリンビーズ懸濁液を添加し、さらに、室温で30分間混合させた。ヘパリンビーズは試験に使用する各被検サンプルを同濃度含んだBSA-PBSで4回洗浄した後、0.02%Tween20を含んだPBS(PBST)で4回洗浄した。それぞれのチューブに100μlの各種増殖因子抗体を加え、室温で60分間混合させた後、ヘパリンビーズをBSA-PBSとPBSTで各4回ずつ洗浄した。続いて、100μlの抗Ig-G抗体を加え、室温で60分間混合させた後、ヘパリンビーズをBSA-PBSとPBSTで各4回ずつ洗浄した。洗浄したヘパリンビーズに100μlのペルオキシダーゼ基質(ABTS:Bio-Rad社カタログNo.172-1064)を加え、室温で30分間反応させた。遠心分離法で得られた上清液の414nmの吸収からヘパリンビーズに結合した各種増殖因子の量を求め、各被検サンプルによる増殖因子とビーズに固定化されたヘパリンとの結合を阻害する活性を算出した。
【0045】
試験法6
[VEGF依存性細胞増殖制御活性の測定]
(1)ヒト臍帯血管内皮細胞(HUVEC)の培養
HUVEC(Clonetics社)は10%(v/v)ウシ胎仔血清(FBS;非働化したもの)と抗生物質(ストレプトマイシン;100μg/ml、ペニシリンG;100U/ml)を含んだ199培地(LifeTechnologies社)で継代維持され(4〜6代目を使用)、ほぼ集密期に達したとき、0.05%トリプシンと0.02% EDTA を含有したPBS溶液でプレートから遊離させた。この細胞を遠心分離法で回収し、5%(v/v)FBSを含むPBS溶液で6×105cell/mlになるように懸濁し、本測定に供した。
【0046】
(2)本発明物質1、本発明物質2及び標準ヘパリンによるVEGF依存性細胞増殖抑制活性の測定
96-マルチウエル組織培養プレートのそれぞれのウエルに100μlの10%(v/v)FBS(非働化したもの)、抗生物質(ストレプトマイシン;100μg/ml、ペニシリンG;100U/ml)とhr-VEGF165(2.5ng/ml:ヒューマンリコンビナントVEGF165 )を含んだ199培地を加え、様々な濃度に調整した被検サンプル(0〜512μg/ml)を添加した。(1)で作成したHUVEC懸濁液を3000 cells/wellになるように接種し、3日間培養した。培養終了後、10μlのWST-1試薬(ノンラジオアクティブ細胞増殖アッセイ溶液、同仁社)をそれぞれのウエルに添加し、37℃、2時間反応させた。450nmの吸光度を測定することにより、それぞれのウエルの細胞増殖量を定量した。被検サンプルを添加しない場合の細胞増殖量と、各被検サンプルを添加した場合の細胞増殖量とを比較し、被検サンプル添加による細胞増殖減少量を、細胞増殖抑制量とした。256μg/mlの標準ヘパリン添加した場合の細胞増殖抑制量を100%の細胞増殖抑制活性とし、256μg/mlの各被検サンプルを添加した場合の細胞増殖抑制活性を百分率で算出した。
【0047】
[本明細書における標準ヘパリン]
以下に示す物性を有するブタ小腸由来ヘパリンのナトリウム塩(サイエンティフィックプロテインラボラトリー社製LotNo.40210910)を標準ヘパリンとして用いた。
(1) 上記試験法1に記載の二糖組成分析法による測定値から算出した不飽和二糖体組成はΔDiHS-0S:3.7%、ΔDiHS-NS:3.2%、ΔDiHS-6S:4.7%、ΔDiHS-US:1.5%、ΔDiHS-di(6,N)S:14.7%、ΔDiHS-di(U,N)S:6.8%、ΔDiHS-di(U,6)S:0.0%、ΔDiHS-tri(U,6,N)S:61.3%であり、未同定ピーク:4.1%である。
(%は全てモル%比を表す)。
(2) 抗血液凝固活性が170〜190IU/mgである。(SPL社規格)
(3) 重量平均分子量が11,000〜14,000 Daである。
【0048】
実施例1
製造例
[本発明物質1の合成]
標準ヘパリンを原料とし、その2-O-脱硫酸化反応をJasejaらの方法(Jaseja et al.,Can. J. Chem.,67,1449(1989))を部分的に改変した方法により実施した。すなわち、200mgのヘパリンナトリウム塩を20mlの0.4N 水酸化ナトリウム(NaOH)に溶解し、直ちに凍結乾燥処理を行った。得られた凍結乾燥パウダーを20mlの蒸留水に溶解した後、1N 酢酸を添加することによりpH 7に調整した。次いで、この溶液を透析処理、凍結乾燥処理に順次付した。その結果、165mgの2−O−脱硫酸化ヘパリンをナトリウム塩として得た。
【0049】
[本発明物質2の合成]
(1)ヘパリンの酸化・還元処理
ヘパリンの酸化・還元処理反応は、Casuらの方法(Casu B.et al.,Arzneim Forsch/Drug Res.,36,6337(1986))に従って行った。即ち、1.3gの標準ヘパリンに対し、50mlの0.05N過ヨウ素酸ナトリウムを添加し、4℃にて撹拌下、3日間放置して酸化的開裂反応を進行させた。反応を終了させるために3mlのグリセロールを反応混液に添加し、得られた反応混液を透析チューブに移し、蒸留水に対し2日間透析した。次いで、透析内液を凍結乾燥処理に付して1.2gの凍結乾燥パウダーを得た。得られた生成物(1.2g)に対し、30mlの0.2Nホウ素化水素ナトリウム(NaBH4)と0.25N炭酸水素ナトリウムを添加し、4℃にて撹拌下3時間放置してアルデヒド基を還元した。適量の氷酢酸を用いて反応混液のpHを5に調整し、過剰のNaBH4を分解させた。次いで、5N NaOHを用いて反応混液のpHを9〜10に調整し、反応混液を透析チューブに移し、蒸留水に対し2日間透析した。透析内液を凍結乾燥することにより1.1gの酸化・還元処理ヘパリンをナトリウム塩として得た。
【0050】
(2) 酸化・還元処理ヘパリンの2−O−脱硫酸化処理
上記(1)で得られた酸化・還元処理ヘパリン200mgを 20mlの0.4N NaOHに溶解し、直ちに凍結乾燥処理を行った。得られた凍結乾燥パウダーを20mlの蒸留水に溶解した後、1N 酢酸を添加することによりpH 7に調整した。次いで、この溶液を透析処理、凍結乾燥処理に順次付した。その結果、150mgの酸化・還元ヘパリンの2−O−脱硫酸化物をナトリウム塩として得た。
【0051】
実施例 2
[ゲル濾過HPLCおよび光散乱法による分子量測定]
(1)ゲル濾過HPLC分析
各50μg/5μlの標準ヘパリン,本発明物質1及び本発明物質2を、0.2N NaCl で平衡化した4,000、3,000および2,500Gタイプの TSKgel-PWXL カラム(東ソー、7.8mm × 300mm)を上流から順に各一本ずつ連結した東ソー社製 CCPM型HPLC に付し、溶出液に0.2M塩化ナトリウム(NaCl)を使用して、1.0ml/分の流速で展開し、ゲル濾過(GPC-)HPLC 分析を行った。なお、被検物質の検出には示差屈折計(島津製作所、AID-2A)を用い、カラムオーヴン 40℃、0.6ml/ml の定流速下で、示差屈折(RI)を指標とした。その結果、標準ヘパリン,本発明物質1及び本発明物質2の保持時間は、それぞれ 33.50,33.60および 34.10分であった。得られた結果を基に算出した分子量を表−1に示した。
【0052】
(2)光散乱法
各100mg の標準ヘパリンおよび本発明物質2を、10mlの0.2N NaClに溶解した後、1.25倍、2.5倍、5倍および10倍希釈の溶液を調製して、大塚電子製ダイナミック光散乱光度計を用いて、設定温度 20℃の下、測定波長 633nm(He-Neレーザー)により分子量測定を行った。その結果、標準ヘパリンおよび本発明物質2の分子量は、それぞれ 1.37×104Daおよび1.11×104Daと算出され、ゲル濾過HPLC分析と同等の結果を得た。
【0053】
実施例 3
[二糖組成分析]
二糖組成分析は、試験法1に記載の方法に従って実施した。
標準ヘパリン,本発明物質1および本発明物質2の不飽和二糖組成について、表−1に示した。本発明物質1の不飽和二糖は、主として約6%のΔDiHS-0S、約20%のΔDiHS-NS、約43%のΔDiHS-di(6,N)S、約6%のΔDiHS-di(U,N)S および約14%のΔDiHS-tri(U,6,N)S から成っており他の成分は微量であることが判明した。一方、本発明物質2の不飽和二糖は、約12%のΔDiHS-NS および約87%のΔDiHS-di(6,N)S から成っていることが判明した。
【0054】
実施例4
[血液凝固系に対する標準ヘパリン、本発明物質1及び本発明物質2の影響]
血液凝固系に対する標準ヘパリン、本発明物質1及び本発明物質2の影響を前記試験法3及び4にしたがって分析した。ヘパリン等何も添加しない状態で測定したAPTTおよびTTの値(以下、正常値と言う)の2倍の凝固時間を示す標準ヘパリンの濃度はそれぞれ、0.54μg/mlと0.13μg/mlであった。同様に、正常値を2倍に延長させる本発明物質1及び本発明物質2の濃度を求め、標準ヘパリンのAPTT活性及びTT活性それぞれを100とし、本発明物質1及び本発明物質2のAPTT活性及びTT活性それぞれをその相対値で示した。(表−2)
【0055】
実施例5
[VEGF165、FGF2、HGFに対する標準ヘパリン、本発明物質1及び本発明物質2の結合活性]
各増殖因子(VEGF165、FGF2及びHGF)それぞれと標準ヘパリン、本発明物質1又は本発明物質2との結合活性は、試験法5に従って、ヘパリンビーズと各増殖因子との結合を被検物質が50%阻害する能力(IC50値)を測定することで評価した。VEGF165に対する分析結果として、図1に結合阻害曲線を示した。本発明物質1および本発明物質2は標準ヘパリンに比べて結合阻害が弱いものの阻害活性を保持していた。一方、FGF2や、HGFに対しては、ほとんど作用を示さなかった。(表−2)
【0056】
実施例6
[増殖因子依存性細胞増殖に対する標準ヘパリン、本発明物質1及び本発明物質2の制御活性]
VEGF依存性細胞増殖に対する標準ヘパリン、本発明物質1及び本発明物質2の制御活性評価は試験法6に示した方法に従って実施した。被検物質の細胞増殖抑制効果について測定し、その結果を表−2に示した。本発明物質1および本発明物質2は、その適用濃度に応じてVEGF依存性細胞増殖を抑制する特性を有しており、VEGF2.5ng/mlに対して本発明物質64〜512μg/mlの濃度で、標準ヘパリンより当該増殖因子依存性細胞増殖を抑制する活性を有していた。
【0057】
【表2】
Figure 0004633223
【0058】
【表3】
Figure 0004633223
【0059】
実施例7
[鶏有精卵を用いたin vivo 血管新生アッセイ]
(1)試料の調製
本発明物質1及び本発明物質2をそれぞれ100μg計量し、10μlの1%メチルセルロース−生理食塩水に溶解した。また、陽性対照として標準ヘパリンを用い、同様に調製した。
用量依存性を確認する為、本発明物質2を500μg計量し、同様に調製した。
(2)アッセイ手順
4日齢の胚の漿尿膜(直径:2〜3mm)に(1)で調製した試料をそれぞれ添加したもの、及び、何も投与しない4日齢の胚の漿尿膜(直径:2〜3mm)を用い、38℃で約42〜46時間インキュベートした。形成された毛細血管を視覚化するために漿尿膜にイントラリピッドを注入した後、写真撮影を行った。血管の面積比を算出することによって評価した。試験は、各試料について5例ずつ実施した。
(3)評価法及び結果
胚と血管の面積を、画像解析ソフト(Image-Pro Plus,Mwdia Cybernetics 社)を用いて、写真プリント上から計測し、胚の面積を100として血管面積の割合をパーセントで表した。結果を図2に示す。
本発明物質2は、陽性対照として用いたヘパリンと同等以上の血管新生抑制作用を示し、何も投与しない場合における血管新生を、約70%抑制した。また、本発明物質1についても、何も投与しない場合における血管新生を、約40%抑制することが分かった。
本発明物質については、100μgより高用量である500μg用いた方が、より血管新生抑制作用を示し、用量依存性があるのではないかと推測される。
【0060】
実施例8
製剤例
(1) 注射剤
実施例1で調製した本発明物質1または本発明物質2を終濃度5mg/mlとなるように5%マンニトール水溶液に溶解し、これを無菌ろ過後、2mlずつ分注して2種類の注射剤を製造した。
(2) 錠剤
実施例1で調製した本発明物質1または本発明物質2を100mgずつ秤量し、それぞれに乳糖670mg、馬鈴薯デンプン150mg、結晶セルロース60mg、及び軽質無水ケイ酸50mgを混合し、これにヒドロキシプロピルセルロース30mgをメタノールに溶解した溶液(10%w/w)を添加して練合造粒した。次に、これを径0.8mmのスクリーンで押し出して顆粒状にし、乾燥した後、ステアリン酸マグネシウム15mgを添加して圧縮成型し、2種類の200mgの錠剤を製造した。
【0061】
(3) カプセル剤
実施例1で調製した本発明物質1または本発明物質2を100mgずつ秤量し、それぞれに乳糖765mg、馬鈴薯デンプン150mg、ステアリン酸マグネシウム10mg及び軽質無水ケイ酸50mgを均一に混合し、これを200mgずつ硬カプセルに充填し、2種類のカプセル剤を製造した。
(4) 軟膏剤
実施例1で調製した本発明物質1または本発明物質2を100mgずつ秤量し、それぞれに鉱油4g、石油ゼリー8g、混合メチル/プロピルパラバン60mg、非イオン性界面活性剤1gおよび精製水30gを均一に混合し、これを容器に充填し、2種類の軟膏剤を製造した。
【0062】
【発明の効果】
本発明は、硫酸化グリコサミノグリカンの構成グルコサミンにおけるN-硫酸基及び6−硫酸基が、VEGFとの結合に必須であること、更に、N−硫酸基及び6−硫酸基を多く含有する硫酸化グリコサミノグリカンは、VEGF作用抑制剤として、また、VEGFとの関係が指摘されている血管新生に対する抑制剤として有効であることを見出したものであり、この様な物質は、ヘパリンからVEGFとの作用を指標に選択する事が可能である。更に、該硫酸化グリコサミノグリカンの構成ヘキスロン酸残基の2−O−硫酸基を選択的に脱硫酸化処理すること、或いは該硫酸化グリコサミノグリカンの2−O−硫酸基を有しないヘキスロン酸の一部を酸化・還元処理などの方法により開環した後、残りのヘキスロン酸残基が有する2−O−硫酸基を選択的に除去することにより得る事ができる該物質は、VEGFとヘパリンとの結合に拮抗する作用、VEGF誘導性細胞増殖を抑制する作用、及び血管新生を抑制する作用を有し、しかも抗血液凝固活性が極めて低いので、該物質を有効成分とする医薬は、VEGFが関与していると考えられている疾病の治療、予防、緩和に用いることが出来、また、VEGF等が生起因子として示唆されている血管新生が重大な役割を果たしていると考えられている癌等悪性腫瘍の転移を抑制する薬剤や増殖性網膜症に対する治療剤等の医薬、他にも、関節リウマチ、卵巣過剰刺激症候群等の他の適応疾患に対する治療や予防に有用な医薬組成物を提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ELISA法によるVEGF165に対するヘパリン及び本発明物質1及び本発明物質2の結合阻害曲線を示す。
【図2】鶏有精卵を用いたin vivo 血管新生アッセイにおける、ヘパリン及び本発明物質1及び本発明物質2の血管新生抑制を示す。
縦軸は、画像解析の結果、胚の面積を100とした血管面積の割合をパーセントで表したもの。

Claims (3)

  1. 構成ヘキスロン酸残基の2位の硫酸基の少なくとも一部が脱硫酸化されたヘパリンであって、その構造中にヘキスロン酸の2位と3位の炭素原子間で開環された開環ヘキスロン酸を少なくとも1箇所以上含み、かつ、グリコサミノグリカン分解酵素による分解と高速液体クロマトグラフィーによる分析を組み合わせた二糖組成分析において、下記構造式(1)で表される△DiHS−di(6,N)Sの組成(モル%)が80%以上である、ヘパリン及びその塩からなる血管内皮細胞増殖因子依存性血管内皮細胞増殖の抑制剤。
    Figure 0004633223
    (但し、式中において、R1、R2はSO3-を、R3はHをそれぞれ示す。)
  2. 該ヘパリンにおいて、構成ヘキスロン酸残基における2位に硫酸基を有するヘキスロン酸の割合が、全構成ヘキスロン酸のうちの20(モル)%以下である請求項1に記載の血管内皮細胞増殖因子依存性血管内皮細胞増殖の抑制剤。
  3. 該ヘパリンのトロンビン時間(TT)が、標準ヘパリンに比べて5%以下である請求項1又は2に記載の血管内皮細胞増殖因子依存性血管内皮細胞増殖の抑制剤。
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