JP2544136B2 - 硫酸化多糖体ds4152を含有する血管新生抑制剤及び抗腫瘍剤 - Google Patents

硫酸化多糖体ds4152を含有する血管新生抑制剤及び抗腫瘍剤

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JP2544136B2
JP2544136B2 JP62125443A JP12544387A JP2544136B2 JP 2544136 B2 JP2544136 B2 JP 2544136B2 JP 62125443 A JP62125443 A JP 62125443A JP 12544387 A JP12544387 A JP 12544387A JP 2544136 B2 JP2544136 B2 JP 2544136B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、新規な硫酸化多糖体DS4152を有効成分とし
て含有する血管新生抑制剤及び抗腫瘍剤並びにこれと更
にステロイド剤を含有する血管新生抑制剤及び抗腫瘍剤
に関する。
〔従来の技術及びその問題点〕
従来、ミクロコツカスsp.AT−25の発酵生産物中に線
溶誘導作用、感染防御作用およびインターフエロン誘起
作用を有する硫酸化多糖体DF4639が存在することが知ら
れていた(特開昭56−67301号、特開昭57−42627号およ
び特開昭59−25329号)。
本発明者らは、種々の有用性の期待される硫酸化多糖
体DF4639について生物学的特性を明らかにすべく検討を
おこなつた結果、DF4639が強い発熱性を有することを知
つた。
〔問題点を解決するための手段〕
そこで、本発明者らは、この発熱性物質を除去すべ
く、更に研究をおこなつていたところ、DF4639は、いく
つかの成分の混合物であり、そのうちのDS4152と名づけ
られた一成分は発熱性がなく、しかも優れた血管新生抑
制作用及び抗腫瘍作用を有することを見出した。
更にまた、本発明者は、このDS4152とステロイド剤と
を組合せると血管新生抑制作用及び抗腫瘍作用が相乗的
に増強されることを見出した。
本発明は、上記の知見に基くものであり、その目的
は、新規な硫酸化多糖体DS4152を提供するものである。
また、本発明の他の目的は、硫酸化多糖体DS4152を有
効成分として含有する血管新生抑制剤及び抗腫瘍剤を提
供するものである。
更に、本発明の他の目的は、硫酸化多糖体DS4152とス
テロイド剤とを有効成分として含有する血管新生抑制剤
及び抗腫瘍剤を提供するものである。
本明細書中の「血管新生抑制」とは、胚の発育、黄体
形成、創傷の治癒等に極めて重要なだけでなく、関節リ
ユーマチを含む慢性炎症、免疫応答、腫瘍増殖等の病的
状態においてもその病体と進展に深く関与している血管
の新生作用を弱めることをいう。したがつて、血管新生
抑制剤は、上記血管の新生作用が関与する諸疾患、例え
ばリユーマチ性関節炎、増殖性網膜炎、乾癬、糖尿性網
膜炎、未熟児網膜症等の治療、予防に有効なものであ
る。特に腫瘍は強い血管新生を促し、新生された血管よ
り供給される血液がさらに腫瘍の増殖と進展を促進する
とされているので、抗腫瘍剤としても有効である。
本発明の硫酸化多糖体DS4152は、アルスロバクターs
p.AT−25(工業技術院微生物工業技術研究所には、Micr
ococcus sp.AT−25として、FERM P−5255及びArthrobac
tor sp.AT−25としてFERM BP−1357の番号で寄託されて
いる)の培養物から分離されるDF4639(特開昭56−0730
1号参照)から、その中に含まれる分子量15×104以上の
発熱性物質等を適当な分子量分画法、例えばゲルろ過法
や限外ろ過法、アルコール沈澱法で除くことによつて得
られる。
すなわち、ゲルろ過法によればDF4639を適当なゲルろ
過担体、例えば、セフアクリル〔Sephacryl S−300(フ
アルマシア製)〕を用いてゲルろ過を行い、得られるフ
ラクシヨンについて高速ゲルろ過クロマトグラフイー
(東洋ソーダ製G3000 SWカラム使用)を行い、排除限界
(ボイド・ボリユーム、void volume)にピークを示す
フラクシヨン(H画分)とボイド・ボリユームにピーク
を与えず分子量約2×104〜8×104の範囲に溶出される
フラクシヨン(L画分)を各々集め、透析する。
また、限外過は適当な膜(例えばAmicon社製のYM1
0、YM30、XM50、PM30やFiltron社製のVOVA100、OMEGA10
0、NOVA50、OMEGA50等特にYM10)を用い、窒素ガスによ
る加圧またはペリスタリツク(peristalic)ポンプによ
つて加圧(0.5〜5kg/cm2程度)し、透過液をDS4152とし
て集めればよい。使用溶媒は、水−エタノール(10:2〜
3)または水が適当であり、4℃乃至室温で行なうのが
一般的である。
得られた各透析内液を濃縮後ろ過し、ろ液を数倍量の
エタノール中に撹拌下注ぐことにより生成する白色沈澱
を集め、90%エタノール、エタノール、アセトンの順に
洗つた後、減圧乾燥すれば、目的とするDS4152(L画
分)と発熱性物質(H画分)が各々得られる。
こうして得られるDS4152は以下に述べる物理化学的諸
性質を示す。下記の物性はそのナトリウム塩についての
ものである。
(1) 分子量(ゲルろ過法による) 29,000±3,000 (2) 元素分析値(5ロツトの巾を示す) C 24.42〜25.76% H 3.34〜3.98% N 0.51〜0.89% S 10.6〜11.7% P 0.77〜1.06% (3) 糖および蛋白質の含量 糖含量(%):57±3(フエノール−硫酸法、ガラクト
ース標準) 蛋白含量(%):1±0.5(ローリー・フオリン法、牛血
清アルブミン標準) (4) 比旋光度 ▲〔α〕25 D▼−37゜±1゜(0.5%水溶液) (5) 赤外線吸収スペウトルにおける主要吸収帯 1240,840(肩),810(cm-1;KBr) (6) 溶解性 水に易溶。エーテル、ベンゼン、クロロホルム、メタ
ノール、エタノール等の有機溶媒には殆ど不溶。
(7) 呈色反応 フエノール−硫酸、アンスロン−硫酸、ビユレツト反
応およびローリー・フオリン反応は陽性。水解液のエル
ソン・モルガン反応およびニンヒドリン反応も陽性。カ
ルバゾール反応および坂口反応は陰性。
(8) 塩基性、中性、酸性の区別 pH6〜8(3%濃度水溶液) (9) 構成糖および硫酸基、燐の含量 D−グルコース、D−ガラクトース、SO3NaおよびP
(燐)の含有モル比はD−グルコースを10としてそれぞ
れ約10:61:73:6である。
(10) 構成アミノ酸およびアミノ糖 酸加水分解物のアミノ酸分析計による分析で、アラニ
ン、グリシン、グルタミン酸、ジアミノピメリン酸、グ
ルコサミンおよびムラミン酸の存在を認める。
叙上のDS4152は、後記実施例で示す如く、単独でも血
管新生抑制作用を有するものであるが、ステロイド剤と
組合せることにより、更に優れた血管新生抑制作用を示
す。
尚、本発明の血管新生抑制剤においては、DS4152の代
りにヘパリン、低分子ヘパリン等を使用することもでき
る。
従来、プレドニゾロン、6α−メチルプレドニゾロ
ン、デキサメサゾン等のステロイドホルモンが、鶏胚漿
尿膜、兎角膜、ハムスタ一頬袋に実験的に誘導された血
管新生を抑制する作用を有することが報告されている
(Cancer,Res.39 1305(1979)J.Natl.Cancer Inst.57
769(1976)及びProc.Natl.Acad.Sci.USA 78 1176(198
1))。また、ステロイドホルモンのうち、糖質コルチ
コイド(プレドニゾロン、プレドニゾン、ベタメサゾン
等)は白血病、悪性リンパ腫、乳癌、前立腺癌の治療に
使用されている。
更に、アンドロスタンを母核とする男性ホルモンであ
るテストステロンプロピオネート、フルオキシメステロ
ン等が抗乳腺腫瘍剤として用いられており、20〜30%の
有効率が得られると報告されている(Oncologia 10 72
(1984))。
更にまた、プロゲステロンの誘導体、テストステロン
の誘導体およびエストロジエン剤が前立腺癌の治療に用
いられている。
前記のDS4152と組合せ用いることのできるステロイド
剤は、糖質コルチコイド類、黄ホルモン類、エストラン
類及びアンドロスタン類等であり、より具体的には次の
ものが例示される。
(1) プレグナンを母核とするステロイドホルモン、
すなわちグルココルチコイドであり、たとえばコーチゾ
ンおよびその誘導体(アセテート、エナンテート、ウン
デシレート等);ハイドロコーチゾンおよびその誘導体
(アセテート、ヘミサクシネート、カプロエート等);
プレドニゾンおよびその誘導体;プレドニゾロンおよび
その誘導体(アセテート、ヘミサクシネート、フオスフ
エート、ブチルアセテート、テトラヒドロフタレート、
トリメチルアセテート等);メチルプレドニゾロンおよ
びその誘導体(アセテート、ヘミサクシネート等);ベ
タメサゾンおよびその誘導体(フオスフエート、バレレ
ート等)が挙げられる。
また、グルココルチコイドのC−11位の水酸基がα配
置になつた異性体(たとえば、11α−エピハイドロコー
チゾン)も含まれるし、前記グルココルチコイドのテト
ラハイドロ代謝物(グルココルチコイド活性の有無は関
連しない)も含まれる。
更に、黄体ホルモンであるプロゲステロン、メドロキ
シプロゲステロンおよびその誘導体(アセテート等)、
デイドロゲストロンおよびその17α−アセトキシ誘導体
(デユフアストン)等があげられる。
更にまた、ミネラロコルチコイドであるアルドステロ
ン、デソキシコルチコステロンおよびその誘導体(アセ
テート、トリメチルアセテート、エナンテート、フエニ
ルプロピオネート等)もあげられる。
(2) アンドロスタンを母核とするステロイドホルモ
ン、すなわち、男性ホルモンであり、たとえば、アンド
ロステロン、テストステロンおよびその誘導体(プロピ
オネート、エナンテート、ブチレート、カプリレート
等)があげられる。また、エピチオスタノールおよびそ
の誘導体、ミピチオスタンがあげられる。さらにフルオ
キシメステロンおよびその誘導体、メチルテストロンお
よびその誘導体、スタノロンおよびその誘導体も含まれ
る。
(3) エストランを母核とするステロイドモルモン、
すなわち、卵胞ホルモンであり、たとえば、エストロン
およびその誘導体、エストラジオールおよびその誘導体
(ベンゾエート、ジプロピオネート、バレレート、ウン
デセノエート等)、エストリオールおよびその誘導体
(トリプロピオネート等)があげられる。
本発明の血管新生抑制剤の剤型としては、有効成分を
医学的に許容される担体、賦形剤を含有する種々の形
態、例えば水または各種の輪液用製剤に溶解させた液
剤、散剤、顆粒剤、錠剤、注射剤、坐剤等が挙げられ
る。
本発明の血管新生抑制剤がDS4152とステロイド剤とを
含有するものである場合、これらをそれぞれ別個に上記
剤型の単剤に調製して組合せ剤とすることも、あるいは
両成分を含む合剤とし製剤化することもできる。
本発明の血管新生抑制剤は、静脈内、動脈内、経口、
皮下、直腸内、粘膜内または患部局所内に投与すること
ができる。その投与量は、成人の経口一日量で、DS4152
として1〜2000mg程度であり、ステロイド類は男性ホル
モン剤、糖質コルチコイド剤で10〜1000mg、通常30〜60
mgが適当で、漸減していくのが好ましいことがある。プ
ロゲステロン剤では100〜1200mgが適当である。注射に
よる投与の場合は通常経口の1/5量が適当である。
また、本発明の血管新生抑制剤を抗腫瘍剤として用い
る場合の投与方法及び用量も、ほぼ上記と同じである。
〔発明の効果〕
本発明のDS4152はそれ単独であつても血管新生抑制作
用を奏するが、これを更にステロイド剤と組合せるとよ
り優れた血管新生抑制作用を奏する。
したがつて、DS4152単独であつても血管新生抑制剤と
して有用であるが、更にステロイド剤と組合せたものは
相乗的に作用が増強されるので、例えば腫瘍血管の新生
を抑制し、癌の増殖を防ぐ血管新生抑制剤として特に有
用なものである。
〔実施例〕
次に実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明する。
実施例1(A) 特開昭56−67301号に記載の方法により得られたDF463
9(5.0g)を15mlの0.1M NaClに溶解し、これを0.1M Na
Clで平衡化したカラム(セフアクリルS−300;5.0×80c
m)にかけて同溶媒にて溶出し、18mlずつ溶出液を集め
た。得られたフラクシヨンについて高速ゲル過クロマ
ドグラフイー(東洋ソーダ製G3000 SWカラム、溶媒0.1M
酢酸カリウム緩衝液pH6.5)を行い、ボイド・ボリユー
ムにピークを与えず、分子量(デキストラン標準)が約
2×104〜8×104の範囲に溶出されるフラクシヨンを集
め(約700ml)、脱イオン水に対して透析した。透析内
液を約50mlまで濃縮後ろ過した。ろ液を約400mlのエタ
ノール中へ撹拌下滴下して、生成した沈澱を集め、これ
を90%エタノール、エタノール、アセトンの順に洗つた
後、減圧乾燥(50℃、6時間)して目的物のDS4152の白
色粉末3.8gを得た。
一方、上記高速ゲル過クロマトグラフイーでボイド
・ボリユームにピークを与えるフラクシヨンを集め(約
90ml)、上述のDS4152の場合と同様に処理して、H画分
を微黄色粉末として0.18g得た。
DS4152の物理化学的性質および生物学的性質をDF4639
およびそのH画分と比較して示す。
(a) 糖、蛋白、SおよびP含量(第1表) (b) ガラクトース、グルコース、硫酸基および燐の
構成モル比 検体を1規定硫酸中100℃で5時間加水分解しイオン
交換樹脂で脱塩処理した後、常法によりアルジトールア
セテートとしてガスクロマトグラフイーで分析した。ま
た、硫酸基および燐のモル比は、SおよびPの含量
(%)から算出した。
第2表は、グルコースを1.0モルとした場合の各成分
のモル比の1例である。
(c) 構成アミノ酸およびアミノ糖の同定 DS4152を3規定塩酸中、100℃16時間加水分解した
後、常法によりアミノ酸分析計にて分析した結果、アラ
ニン、グリシン、グルタミン酸、ジアミノピメリン酸、
グルコサミンおよびムラミン酸のピークを認めた。
(d) 比旋光度:▲〔α〕25 D▼(c=0.5、水) (e) ゲルろ過溶出パターン 第1図、第2図および第3図に、それぞれDS4152、DF
4639およびH画分の高速ゲル過クロマトグラムを示す
(東洋ソーダ製G3000 SWカラム使用、溶媒0.1M酢酸カリ
ウム緩衝液pH6.5、0.9ml/分、標準物質デキストランT
−10およびT−40)。
(f) 紫外部吸収スペクトル 2mg/ml水溶液において220〜340nmに極大吸収は認めら
れない。
(g) 赤外線吸収スペクトル(KBr錠) 1240、840(肩)および810cm-1に、硫酸化多糖に特徴
的な吸収を示す。
DS4152の構造としては、主としてD−ガラクトースと
D−グルコースから成る糖質部分にムラミン酸フオスフ
エートを介してペプチドグリカン部の結合した硫酸化多
糖体であると推定される。
(h) 発熱性試験 日本薬局方(第10改正)に準じて行つた発熱性試験の
結果を第4表に示す。
(i) DS4152の急性毒性(マウス、静注)は、LD50
2000mg/kg以上であつた。
実施例1(B) DF4639(6.0g)を300mlの水−エタノール(10:3)溶
媒に溶解し、YM10膜(41.8cm2、アミコン社製)を用い
て、窒素で加圧(1.5kg/cm2)下、室温で限外過し
た。上記溶媒を追加しながら透過液量が約3となるま
で実施した。透過液の濃縮液(約50ml)に100mgの酢酸
ナトリウムを加えて溶解した後、遠心分離により得られ
る上清を約500mlのエタノール中へ撹拌下滴下した。生
成した沈澱を集め、90%エタノール、エタノール、アセ
トンの順に洗つた後、減圧乾燥(55℃、5時間)してDS
4152の白色粉末3.3gを得た。
このものの物理化学的性質は、次に示す糖、蛋白、S
及びPの含量を除き、実施例1(A)のDS4152と同一で
あつた。
糖含量 58 % S含量 11.3 % 蛋白含量 0.9 % P含量 0.92% 高速ゲル過クロマトグラムを第4図に示す(G3000S
Wカラム、0.1M酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)、0.8ml/
分)。
実施例2 鶏胚漿尿膜血管新生阻止試験(直接法): 鶏胚を用い、テイラーとフオークマン(Nature297:30
7,(1982))の方法を一部改良した以下の方法で行つ
た。
鶏(ノーリンクロス)の4〜5日齢受精卵の漿尿膜
に、生理食塩水で溶解したDS4152又はヘパリンを添加
し、37℃で培養した。
薬物添加2日後に、漿尿膜血管の発達度を生理食塩水
のみを添加した対照と比較し、プロビツト法により、50
%血管新生阻止量(ID50値)を算出した。
この結果、本発明のDS4152のID50値は、160ngであつ
た。これに対し、ヘパリンは、100μgでも作用を示さ
なかつた。
実施例3 鶏胚漿尿膜血管新生阻止試験(直接法): 実施例2と同様にして、ステロイドとDS4152を併用し
た場合の効果について調べた。ステロイドとしては、酢
酸コーチゾンを0.5μg/鶏胚の量(血管新生に影響のな
い量)用いた。また、比較として、DF4369及びH画分に
ついてもその活性を調べた。この結果を第5表に示す。
実施例4 実施例2と同様な方法で、各種ステロイドとDS4152の
併用によるID50値の変化を検討した。この結果、種々の
ステロイドに10ngのDS4152を加えれば、それぞれの鶏胚
漿尿膜血管新生阻止活性が16〜100倍に増加することが
明らかとなつた(第6表)。
実施例5 血管新生阻止作用(ex vivo法): DS4152を生理食塩水に溶解し、ICR系雄マウスに皮下
もしくは経口で投与し、6時間後に血液を採取した。0.
313%クエン酸ナトリウムで凝固を阻止し、直接法と同
様に5日齢受精鶏卵漿尿膜に添加し、2日後に判定し
た。この結果を第7表に示す。
この結果から明らかなように、用量依存的な血管新生
抑制作用が認められた。
実施例6 血管新生阻止作用(ex vivo法): 実施例5と同様にして、ステロイドとDS4152を併用し
た場合の効果について調べた。ステロイドとしては、酢
酸コーチゾンを5mg/kgの割合で用い、DS4152は30mg/kg
又は300mg/kgとなるよう調整して加えた。また、比較と
してDF4639及びH画分を用いた。この結果を第8表に示
す。なお、表中の数値は、生理食塩水を同量投与した対
照マウスより採取した血液を添加した漿尿膜血管の発達
度を100%とした時の阻止率である。
DS4152およびDF4639は経口、皮下いずれの経路によつ
ても漿尿膜血管新生を抑制することが認められた。
実施例7 血管新生阻止作用(ex vivo法): ICR系雄マウスに、生理食塩水に溶解したDS4152を経
口投与した。ステロイドは、DS4152と共にまたは単独
で、生理食塩水に懸濁して経口または筋肉内投与した。
投与6時間後に採血し、0.313%クエン酸ナトリウム
で凝固を阻止し、これを直接法と同様に5日齢受精卵漿
尿膜に加え、2日後に血管新生に及ぼす効果を判定し
た。結果は、同量の生理食塩水のみを投与したマウス
の、6時間経過後の血液を加えた場合の漿尿膜血管の発
達度を対照とし、阻止百分率で示した。この結果は第9
表の通りである。
実施例8 抗腫瘍試験: C57BL/6雄マウスに同系の卵巣由来腹水腫瘍M5076を1
×106個皮下接種し、5日目よりDS4152を30mg/kg1日1
日週6回皮下投与したところ、著名な抗腫瘍効果と生存
日数の有意な延長が認められた。すなわち第10表に示す
ように移植21日目の腫瘍平均重量は対照群の37%(63
%抑制)であり、かつメデイアン生存日数が対照群より
33%延長した。
*腫瘍平均重量は、腫瘍塊の長軸と短軸の長さを測定
し、以下の式から求めた。
実施例9 抗腫瘍試験: ICR系雄マウス(5週齢)にザルコーマ180(S180)を
1×106個皮下接種し、3日目より酢酸コーチゾンの生
理食塩水懸濁液を250mg/kg/日の割合で3日間、100mg/k
g/日の割合で1日投与した。
DS4152は生理食塩水に溶解し、0.61もしくは6.1mg/マ
ウスとなる様1日1回皮下もしくは経口にて4日間投与
した。移植7日目に屠殺して腫瘍重量を対照と比較した
ところ第11表に示す如く酢酸コーチゾンのみを投与した
群では腫瘍重量は生理食塩水投与群と差がなかつたが、
さらにDS4152を投与することにより顕著な増殖阻止作用
が得られ、対照群の腫瘍重量の6.9〜17.5%であつた。
実施例10 顆粒剤: DS4152 6mg、乳糖300mg、トウモロコシデンプン144m
g、カルボキシメチルセルロースカルシウム30mg及びヒ
ドロキシプロピルセルロース20mgを用い、常法に従つて
500mgの顆粒剤を調製した。この顆粒剤は症状にあわせ
て1日500mg〜5gを服用する。
実施例11 注射剤: DS4152 12mg、塩化ナトリウム90mgを注射用蒸留水に
溶解し、10mlとする。この溶液をメンブランフイルター
で過した後、アンプルに充填し、115℃で30分間滅菌
し注射剤とする。
実施例12 錠剤: DS4152 6mg、プレドニゾロン20mg、乳糖50mg、トウ
モロコシデンプン15.5mg、カルボキシメチルセルロース
カルシウム5mg、ヒドロキシプロピルセルロース3mg及び
ステアリン酸マグネシウム0.5mgを常法に従つて混合、
打錠し、1錠とする。
【図面の簡単な説明】
第1図ないし第4図は高速ゲル過クロマトグラムであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12P 21/00 A61K 37/02 ABY (C12P 21/00 C12R 1:06) (C12P 21/00 C12R 1:265) (72)発明者 小河 秀正 東京都江戸川区北葛西1丁目16番13号 第一製薬中央研究所内 (56)参考文献 J.Biochem.(Toky o),Vol.92〔1982〕P.1775− 1784

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ナトリウム塩として下記の物理化学的性質
    を有する硫酸化多糖体DS4152を有効成分として含有する
    血管新生抑制剤。 (1) 分子量(ゲルろ過法による) 29,000±3,000 (2) 元素分析値 C 24.42〜25.76% H 3.34〜3.98% N 0.51〜0.89% S 10.6〜11.7% P 0.77〜1.06% (3) 糖および蛋白質の含量 糖含量(%):57±3(フエノール−硫酸法、ガラクト
    ース標準) 蛋白含量(%):1±0.5(ローリー・フオリン法、牛血
    清アルブミン標準) (4) 比旋光度 ▲〔α〕25 D▼−37゜±1゜(0.5%水溶液) (5) 赤外線吸収スペクトルにおける主要吸収帯 1240,840(肩),810(cm-1;KBr) (6) 溶解性 水に易溶。エーテル、ベンゼン、クロロホルム、メタノ
    ール、エタノール等の有機溶媒には殆ど不溶。 (7) 呈色反応 フエノール−硫酸、アンスロン−硫酸、ビユレツト反応
    およびローリー・フオリン反応は陽性。水解液のエルソ
    ン・モルガン反応およびニンヒドリン反応も陽性。カル
    バゾール反応および坂口反応は陰性。 (8) 塩基性、中性、酸性の区別 pH6〜8(3%濃度水溶液) (9) 構成糖および硫酸基、燐の含量 D−グルコース、D−ガラクトース、SO3NaおよびP
    (燐)の含有モル比はD−グルコースを10としてそれぞ
    れ約10:61:73:6である。 (10) 構成アミノ酸およびアミノ糖 酸加水分解物のアミノ酸分析計による分析で、アラニ
    ン、グリシン、グルタミン酸、ジアミノピメリン酸、グ
    ルコサミンおよびムラミン酸の存在を認める。
  2. 【請求項2】リユーマチ性関節炎、増殖性網膜炎、乾
    癬、糖尿性網膜炎、未熟児網膜症に有効な特許請求の範
    囲第1項記載の血管新生抑制剤。
  3. 【請求項3】ナトリウム塩として下記の物理化学的性質
    を有する硫酸化多糖体DS4152を有効成分として含有する
    抗腫瘍剤。 (1) 分子量(ゲルろ過法による) 29,000±3,000 (2) 元素分析値 C 24.42〜25.76% H 3.34〜3.98% N 0.51〜0.89% S 10.6〜11.7% P 0.77〜1.06% (3) 糖および蛋白質の含量 糖含量(%):57±3(フエノール−硫酸法、ガラクト
    ース標準) 蛋白含量(%):1±0.5(ローリー・フオリン法、牛血
    清アルブミン標準) (4) 比旋光度 ▲〔α〕25 D▼−37゜±1゜(0.5%水溶液) (5) 赤外線吸収スペクトルにおける主要吸収帯 1240,840(肩),810(cm-1;KBr) (6) 溶解性 水に易溶。エーテル、ベンゼン、クロロホルム、メタノ
    ール、エタノール等の有機溶媒には殆ど不溶。 (7) 呈色反応 フエノール−硫酸、アンスロン−硫酸、ビユレツト反応
    およびローリー・フオリン反応は陽性。水解液のエルソ
    ン・モルガン反応およびニンヒドリン反応も陽性。カル
    バゾール反応および坂口反応は陰性。 (8) 塩基性、中性、酸性の区別 pH6〜8(3%濃度水溶液) (9) 構成糖および硫酸基、燐の含量 D−グルコース、D−ガラクトース、SO3NaおよびP
    (燐)の含有モル比はD−グルコースを10としてそれぞ
    れ約10:61:73:6である。 (10) 構成アミノ酸およびアミノ糖 酸加水分解物のアミノ酸分析計による分析で、アラニ
    ン、グリシン、グルタミン酸、ジアミノピメリン酸、グ
    ルコサミンおよびムラミン酸の存在を認める。
  4. 【請求項4】硫酸化多糖体DS4152と、ステロイド剤とを
    有効成分として含有する特許請求の範囲第1項記載の血
    管新生抑制剤。
  5. 【請求項5】ステロイド剤が糖質コルチコイド類、黄体
    ホルモン類、エストラン類及びアンドロスタン類から選
    ばれたものである特許請求の範囲第4項記載の血管新生
    抑制剤。
  6. 【請求項6】リユーマチ性関節炎、増殖性網膜炎、乾
    癬、糖尿性網膜炎、未熟児網膜症に有効な特許請求の範
    囲第4項記載の血管新生抑制剤。
  7. 【請求項7】硫酸化多糖体DS4152と、ステロイド剤とを
    有効成分として含有する特許請求の範囲第3項記載の抗
    腫瘍剤。
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