JPH0959164A - 抗炎症剤 - Google Patents

抗炎症剤

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JPH0959164A
JPH0959164A JP21200395A JP21200395A JPH0959164A JP H0959164 A JPH0959164 A JP H0959164A JP 21200395 A JP21200395 A JP 21200395A JP 21200395 A JP21200395 A JP 21200395A JP H0959164 A JPH0959164 A JP H0959164A
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chitin
phosphate group
group
phosphate
salt
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JP21200395A
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English (en)
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Seiichi Tokura
清一 戸倉
Saburo Minami
三郎 南
Shinichiro Tanioka
真一郎 谷岡
Satoshi Miyazaki
聡 宮崎
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SAN FIVE KK
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SAN FIVE KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 炎症に対する治療効果及び予防効果に優れ、
副作用が低いと共に、安価に供給できる抗炎症剤を提供
する。 【解決手段】 リン酸基が導入されたキチン又はその塩
類を有効成分とする。また、リン酸基とカルボキシメチ
ル基が導入されたキチン又はその塩類を有効成分とす
る。そして、前記キチンが、カルボキシメチル基が導入
された後にリン酸基が導入されたキチンである。さら
に、前記リン酸基が、尿素を含有するジメチルホルムア
ミドを溶媒とし且つオルトリン酸をリン酸化剤としてキ
チンに導入されたリン酸基である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、炎症の治療や予
防等に有用な医薬である抗炎症剤に関する。
【0002】
【従来の技術】周知のように、炎症とは、微小循環系が
分布している組織に対し、外来性の異物、物理的エネル
ギー、損傷等の有害刺激が加わった場合に生じる局所性
の反応である。有害刺激の加わった組織の微小循環系は
一過性に収縮した後、拡大し、通常は閉じている毛細血
管床が開き、血流量が増加する。さらに、細静脈領域の
血管内皮細胞間隙が開くことにより、この間隙を通じて
血漿成分、多形核白血球、単球、リンパ球等の細胞成分
が組織間質へ浸出する血管透過亢進現象が起こる。これ
らの血漿成分、細胞成分によって生成される活性因子系
の作用により、組織細胞の増殖が促進され、修復へと導
かれるのである。
【0003】しかしながら、炎症反応は、生体にとって
有利な反応ばかりではない。すなわち、組織間質に浸潤
した多数の多形核白血球や単球等が、蛋白分解酵素や活
性酸素等を放出することによって、肺、肝臓、腎臓等の
臓器、あるいは関節、筋肉等に対して損傷を引き起こす
ことがある。このような炎症反応により主要臓器が障害
を受けた場合、生体は重篤な状態に追い込まれることに
なる。例えば、近年、多発する傾向にある成人呼吸窮迫
症候群(ARDS)は、肺における多形核白血球の突発
的な組織間質への浸潤によって引き起こされる難病であ
り、その治療法が発症メカニズムの点から検討されてい
る。
【0004】一般的に、上記のような炎症反応の治療や
予防等を目的とした従来の抗炎症剤としては、副腎皮質
ホルモン剤(ステロイド剤)や非ステロイド剤等が繁用
されており、その消炎メカニズムは、炎症細胞自体の機
能を抑制するもの、又は炎症産物を分解あるいは吸着し
て無毒化するものである。また、Sialyl−Lew
is X等の糖鎖を利用して血管内皮細胞の白血球接着
レセプターをブロックすることにより、白血球の組織間
質への浸潤を防止する研究(NATURE、364巻、
8号、149−151頁,発行所 Macmillan Magazines
Ltd. )も行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
抗炎症剤においては、その治療効果が満足できるもので
はなかった。例えば、副腎皮質ホルモン剤(ステロイド
剤)においては、感染誘発、副腎皮質機能抑制等の副作
用が認められ、非ステロイド剤においても、ステロイド
剤と比較して毒性は低いものの、薬効の点で十分ではな
い。また、Sialyl−Lewis Xについては、
製造に手間が掛かり、値段も高価であるため、大量供給
が困難である等の問題点があった。
【0006】この発明は、上記のような事情や問題点に
鑑みてなされたものであって、炎症に対する治療効果及
び予防効果に優れ、副作用が低いと共に、安価に供給で
きる抗炎症剤を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、この発明の請
求項1記載の抗炎症剤は、リン酸基が導入されたキチン
又はその塩類を有効成分とするものである。請求項2記
載の抗炎症剤は、リン酸基とカルボキシメチル基が導入
されたキチン又はその塩類を有効成分とするものであ
る。請求項3記載の抗炎症剤は、請求項2記載の発明に
おいて、前記キチンが、カルボキシメチル基が導入され
た後にリン酸基が導入されたキチンであることを特徴と
するものである。請求項4記載の抗炎症剤は、請求項1
乃至3のいずれか記載の発明において、前記リン酸基
が、尿素を含有するジメチルホルムアミドを溶媒とし且
つオルトリン酸をリン酸化剤としてキチンに導入された
リン酸基であることを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】次に、この発明の実施の形態につ
いて説明する。実施の形態に係る抗炎症剤は、リン酸基
が導入されたキチン又はその塩類を有効成分とするも
の、あるいはリン酸基とカルボキシメチル基が導入され
たキチン又はその塩類を有効成分とするものである。
【0009】ここで、前記リン酸基が導入されたキチ
ン、及びリン酸基とカルボキシメチル基が導入されたキ
チンとは、構成単糖としてN−アセチル−D−グルコサ
ミンとD−グルコサミンを有し且つD−グルコサミンの
割合が20%以下のもの、又はN−アセチル−D−グル
コサミンのみからなる多糖であるキチンに、リン酸基、
あるいはリン酸基とカルボキシメチル基を導入した構造
を有するものである。
【0010】前記リン酸基が導入されたキチン、及びリ
ン酸基とカルボキシメチル基が導入されたキチンの製造
方法としては、例えばカニ、エビ等の甲殻、イカの軟甲
等から蛋白の除去、及び灰分の除去を行って抽出したキ
チンをリン酸化、あるいはリン酸化及びカルボキシメチ
ル化する方法を挙げることができる。
【0011】前記リン酸化の方法としては、メタンスル
ホン酸を溶媒として五酸化二リンを用いる方法等、公知
の方法(例えば「キチン、キトサンハンドブック」,第
7章,「7.10 その他」,キチン、キトサン研究会
編,1995年2月25日1版1刷発行,技報堂出版)
を用いることができるが、特に、尿素を含有するジメチ
ルホルムアミドを溶媒とし、且つオルトリン酸をリン酸
化剤とする方法を用いた場合には、上記のメタンスルホ
ン酸のような強酸を使用せず、よりマイルドな条件でリ
ン酸基の導入を行うことができるので、リン酸基が導入
されたキチン、あるいはリン酸基とカルボキシメチル基
が導入されたキチンを、より高分子量で得ることができ
るという利点がある。このようにして、本発明品を高分
子量としておけば、生体内で代謝されにくいため、長期
間その効果を持続させることができる。
【0012】また、前記カルボキシメチル化の方法とし
ては、キチンを高濃度の水酸化ナトリウム水溶液中でモ
ノクロロ酢酸と反応させる方法(「キチン、キトサンハ
ンドブック」,第7章,「7.10 その他」,キチ
ン、キトサン研究会編,1995年2月25日1版1刷
発行,技報堂出版)を挙げることができる。
【0013】なお、リン酸基とカルボキシメチル基が導
入されたキチンを製造する場合におけるリン酸化とカル
ボキシメチル化の順序としては、カルボキシメチル化を
行った後にリン酸化を行うのが操作上、効率が良い。該
リン酸基とカルボキシメチル基が導入されたキチンは、
また、リン酸基が導入されたキチンと比較して生体適合
性が高く、より低毒性であるという利点を有している。
【0014】また、上記のリン酸化やカルボキシメチル
化に際しては、リン酸化剤やカルボキシメチル化剤の添
加量、反応時間、反応温度等を適宜調節すれば、リン酸
基、あるいはカルボキシメチル基の置換度を調節するこ
とができる。
【0015】ここで、リン酸基が導入されたキチンの構
成単糖当たりのリン酸基の置換度は、0.1〜2.0、
好ましくは0.1〜1.5の範囲であることが望まし
い。なお、構成単糖当たりのリン酸基の置換度が0.1
未満である場合は、水に溶けにくいため取り扱いが困難
であると共に、抗炎症剤としての効果も低いものであ
る。
【0016】また、リン酸基とカルボキシメチル基が導
入されたキチンの構成単糖当たりのリン酸基及びカルボ
キシメチル基の置換度は、共に0.05〜1.9、好ま
しくは0.05〜1.5の範囲が良く、且つ双方の置換
度の和が、構成単糖当たり0.1〜2.0の範囲である
ことが望ましい。なお、構成単糖当たりの双方の置換度
の和が0.1未満である場合は、水に溶けにくいため取
り扱いが困難であると共に、抗炎症剤としての効果も低
いものである。
【0017】一方、リン酸基が導入されたキチンの塩、
及びリン酸基とカルボキシメチル基が導入されたキチン
の塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウ
ム塩等の無機塩基との塩、及びジエタノールアミン塩、
シクロヘキシルアミン塩、アミノ酸塩等の有機塩基との
塩等、医学的に許容し得る塩が含まれる。
【0018】なお、リン酸基が導入されたキチン又はそ
の塩類、あるいはリン酸基とカルボキシメチル基が導入
されたキチン又はその塩類の投与量は、生体内において
目的とする治療効果を生ずるに十分な量であり、一般に
体重1kg当たり0.01〜200mg、好ましくは
0.1〜100mgであり、必要に応じて、例えば1日
当たり1〜4回、あるいは1週間間隔等、任意の回数や
間隔で投与できるが、目安として、高分子量のもの(分
子量20000以上)は3〜7日間隔、低分子量のもの
(分子量20000以下)は数時間〜2日間隔で投与す
るのが望ましい。ここでいう分子量とは、標準物質とし
てプルランを用いたHPLC分析より得られる数平均分
子量である。
【0019】また、投与方法としては、経口、経気管、
肛門、鼻、局所(舌下を含む)、膣、注射(皮下、筋肉
内、静脈内、頭蓋内、脊髄腔内(硬膜外及びクモ膜下腔
内)、皮内、胸腔、及び腹腔を含む)、塗布等の任意の
方法をとることができるが、好ましい投与経路は、炎症
の部位や程度等により異なる。
【0020】投与に際しては、リン酸基が導入されたキ
チン、あるいはリン酸基とカルボキシメチル基が導入さ
れたキチンを、上記の投与方法に適した有機又は無機の
個体、又は液体賦形剤等の医薬用担体と混合して製剤と
して投与することができる。このような製剤には、錠
剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤等の個体、及び液剤、乳
剤、懸濁剤等の液体や軟膏が含まれる。また、必要に応
じて補佐薬、安定剤、乳化剤、pH調節剤等の添加剤を
加えることもできる。
【0021】上記のように構成されるリン酸基が導入さ
れたキチン又はその塩類、あるいはリン酸基とカルボキ
シメチル基が導入されたキチン又はその塩類を有効成分
とする抗炎症剤の作用効果については、現在のところ明
確に解明されてはいないが、上記のリン酸基が導入され
たキチン、リン酸基とカルボキシメチル基が導入された
キチン、又はこれらの塩類が、炎症反応における有害刺
激により引き起こされる白血球の血管内皮への接着を阻
害することによって、血管外への白血球の浸潤を抑制
し、炎症反応を抑えるものと考えられる。
【0022】
【実施例】次に、実施例を挙げてこの発明を詳細に説明
するが、この発明はかかる実施例に限定されるものでは
ない。
【0023】(実施例1)スルメイカの軟甲10kgを
フェザーミル(5mmスクリーン通過)により粉砕し、
粉砕物を1規定の水酸化ナトリウム水溶液(30リット
ル)に投入し、90℃で1時間保持した後、洗液が中性
になるまで水洗し、続いて0.1規定の塩酸水溶液に1
時間浸漬した。次に再度、洗液が中性になるまで水洗し
た後、更に1規定の水酸化ナトリウム水溶液(90℃)
中に1時間保持し、水洗後、オーブン(50℃)で10
時間乾燥し、精製イカキチン1.2kgを得た。この精
製イカキチンを遠心流動化ミルにて粉砕し、100メッ
シュ以下の微粉末に粉砕した。
【0024】そして、ジメチルホルムアミド150ml
に尿素150gを加え、100℃に加温して溶解させた
溶液に、前記微粉末状キチン10gを加えて分散させ
た。別に、85%リン酸30mlに五酸化リンを12g
加え、15時間還流して脱水した後、室温まで放冷する
ことによってオルトリン酸を調製した。このオルトリン
酸26mlを前記キチンのジメチルホルムアミド分散液
に加え、150℃にて3時間撹拌してキチンにリン酸基
を導入した。この反応溶液に脱イオン水1000mlを
加え、リン酸基が導入されたキチンを溶解させた後、こ
の溶液を10規定の水酸化ナトリウム水溶液を用いてp
Hを11に調整し、不溶部を遠心分離にて除去し、上澄
み液を10日間透析した。さらに、透析後の溶液を濃縮
し、凍結乾燥を行ってリン酸基が導入されたキチンのナ
トリウム塩、約12gを得た。
【0025】得られたリン酸基が導入されたキチンのナ
トリウム塩を3mg量り取り、濃硫酸1.5ml、過塩
素酸0.5mlを加えて100℃で2.5時間分解を行
った。反応溶液を冷却後、脱イオン水で希釈して50m
lとし、試料溶液とした。この試料溶液を10ml取
り、これに5N硫酸3.4ml、アミドール試液(2,
4−ジアミノフェノール二塩酸塩0.5gと亜硫酸ナト
リウム10.0gを脱イオン水に溶解させて50mlと
したもの)2ml、モリブデン試薬(モリブデン酸アン
モニウム8.3gを脱イオン水に溶解させて100ml
としたもの)2mlをそれぞれ加え、20分間放置し
た。次いで、760nmでの吸光度を測定し、リン酸二
水素カリウムを標準物質とした検量線よりリン含有量を
求め、置換度を算出した結果、1.3であった。分子量
は、標準物質としてプルランを用いたHPLC分析の結
果、約97000であった。
【0026】上記のようにして製造したリン酸基が導入
されたキチンのナトリウム塩を、生理食塩水に5mg/
mlの濃度で溶解させ、1規定の塩酸及び1規定の水酸
化ナトリウムでpHを7.4に調製し、体重2.8k
g、2歳の雑種、雌猫の口内炎の治療に使用した。
【0027】上記により調製したリン酸基が導入された
キチンの溶液3mlを7日間隔で橈側皮静脈に投与(体
重1kg当たり約5.4mg投与)したところ、血中の
白血球数が、投与開始前では32000個/μlであっ
たのが、投与開始後1週間で11200個/μlと正常
値を示し、投与開始後2週間で口内炎の症状が完全に消
失していた。なお、投与を開始した直後、若干の発疹を
生じることがあったが、一過性の症状であり、重度の副
作用あるいは毒性と思われる症状は観察されなかった。
【0028】(実施例2)上記実施例1で製造した精製
イカキチンの微粉末20gを、4℃にて、0.2%のド
デシル硫酸ナトリウムを含む60%の水酸化ナトリウム
水溶液80mlに分散させ、4℃を保持したまま1時間
撹拌して粘稠な溶液とした。この粘稠な溶液をマイナス
20℃で約10時間凍結した後、イソプロピルアルコー
ル200mlを添加し、室温になるまで徐々に加温して
凍結させた粘稠な溶液を徐々に融解させた。次いで、融
解させた溶液を十分に撹拌しながら、反応系が中和され
るまでモノクロロ酢酸を数回に分けて加え、生じた生成
物を濾過して集め、エタノール500mlで洗浄した。
この生成物を500mlの脱イオン水に溶解させ、不溶
部を遠心分離によって除去した後、2000mlのアセ
トン中に滴下して沈殿を生成させた。この沈殿を濾過に
よって回収し、再度脱イオン水500mlに溶解させた
後、12日間透析した。さらに、透析後の溶液を濃縮
し、凍結乾燥を行ってカルボキシメチル基が導入された
キチン、約15.3gを得た。
【0029】得られたカルボキシメチル基が導入された
キチンの置換度は、元素分析の結果より0.6であり、
分子量は、標準物質としてプルランを用いたHPLC分
析の結果より約190000であった。
【0030】上記により調製したカルボキシメチル基が
導入されたキチン10gを用い、反応時間を1時間とし
た以外は実施例1と同様にして、カルボキシメチル基が
導入されたキチンにさらにリン酸基を導入し、リン酸基
とカルボキシメチル基が導入されたキチンのナトリウム
塩、約10.8gを得た。
【0031】得られたリン酸基とカルボキシメチル基が
導入されたキチンのリン酸基の置換度は、実施例1と同
様の方法で算出した結果、0.5であり、分子量は、上
記と同様のHPLC分析の結果、約113000であっ
た。
【0032】上記のようにして製造したリン酸基とカル
ボキシメチル基が導入されたキチンのナトリウム塩を、
生理食塩水に5mg/mlの濃度で溶解させ、1規定の
塩酸及び1規定の水酸化ナトリウムでpHを7.2に調
製し、腎炎の症状を呈していた体重3.2kg、3歳の
雑種、雌猫の治療に用いた。なお、治療の全過程を通じ
て併用薬は使用しなかった。
【0033】治療開始前に血液生化学検査をVISIO
Nシステム(ダイナボット株式会社製)を用いて行った
ところ、血中尿素窒素量(BUN)が162.3mg/
dl、血中クレアチニン量が8.1mg/dlと尿毒症
を併発していた。上記により調製したリン酸基とカルボ
キシメチル基が導入されたキチンの溶液4mlを、3日
間隔で橈側皮静脈に投与(体重1kg当たり約6.3m
g投与)した結果、投与開始後3日目でBUNが89.
3mg/dl、血中クレアチニン量が5.1mg/dl
と改善し、6日目にはBUNが21.4mg/dl、血
中クレアチニン量が1.3mg/dlと正常値を示し、
炎症症状が消失した。また、治療の全過程を通じて、リ
ン酸基とカルボキシメチル基が導入されたキチンを投与
することによる副作用あるいは毒性と思われる症状は観
察されなかった。
【0034】(実施例3)上記実施例2で製造したリン
酸基とカルボキシメチル基が導入されたキチンを、生理
食塩水に10mg/mlの濃度で溶解させ、体重790
kg、3歳のホルスタインの右前膝関節に発症した関節
炎の治療に使用した。
【0035】上記により調製したリン酸基とカルボキシ
メチル基が導入されたキチンの溶液15mlを、炎症部
皮下に4日間隔で2回投与(体重1kg当たり0.2m
g投与)したところ、9日目には炎症症状は完全に消失
していた。また、治療の全過程を通じて、リン酸基とカ
ルボキシメチル基が導入されたキチンを投与することに
よる副作用あるいは毒性と思われる症状は観察されなか
った。
【0036】(実施例4)本願発明者らは、キトサンを
犬の皮下に体重1kg当たり200mg投与することに
より、キトサン投与後3日以内に肺に炎症が生じ、極度
に肺血管の透過性が亢進する結果、肺胞内への血漿成分
や細胞成分の重度な浸潤が起こり、肺水腫による呼吸困
難を発生することを確認している(第8回,キチン、キ
トサンシンポジウム講演要旨集,29〜30頁)。そこ
で、犬の肺に炎症を生じさせるためにキトサンを投与
し、この症例の治療に、リン酸基が導入されたキチンを
使用した。なお、治療の全過程を通じて併用薬は使用し
なかった。
【0037】健康な体重10.5kgの雄の雑種犬に、
キトサン粉末を50mg/mlの濃度になるようにリン
酸緩衝液に分散させた懸濁液42ml(体重1kg当た
り200mg投与)を頸部皮下に投与し、キトサン投与
直後に、実施例1にて調製したリン酸基が導入されたキ
チンのナトリウム塩を生理食塩水に5mg/mlの濃度
で溶解し、1規定の塩酸でpHを7.2に調製した溶液
21ml(体重1kg当たり10mg投与)を静脈内に
投与した。
【0038】キトサン、及びリン酸基が導入されたキチ
ンを投与して4日目までは、臨床的な症状は見られなか
った。投与後4日目に共試犬を安楽死させ、肺を摘出し
て組織を観察したところ、肺胞内の出血もなく、健康な
肺の像を呈していた。
【0039】(比較例1)健康な体重10kgの雄のビ
ーグル犬に、キトサン粉末を50mg/mlの濃度にな
るようにリン酸緩衝液に分散させた懸濁液40ml(体
重1kg当たり200mg投与)を頸部皮下に投与し
た。
【0040】キトサンを投与して2日目より食欲減退、
しゅう明、呼吸困難を呈した。投与後4日目に共試犬を
安楽死させ、肺を摘出して組織を観察したところ、血漿
成分及び細胞成分の肺組織内への重度な浸潤、多量の出
血、気管支内への浸出液の貯留、無気肺化が起こってい
た。
【0041】
【発明の効果】以上のように、請求項1記載の抗炎症剤
によれば、炎症に対する治療効果及び予防効果に優れ、
副作用が低いと共に、製造が容易であるので安価に供給
することができる。
【0042】請求項2記載の抗炎症剤によれば、上記の
効果に加え、リン酸基とカルボキシメチル基が導入され
たキチンが、リン酸基が導入されたキチンより生体適合
性が高いため、より低毒性の抗炎症剤を供給することが
できる。
【0043】請求項3記載の抗炎症剤によれば、キチン
をカルボキシメチル化した後にリン酸化を行うので、リ
ン酸基とカルボキシメチル基が導入されたキチンを効率
的に製造することができる。
【0044】請求項4記載の抗炎症剤によれば、キチン
をリン酸化するに際して、尿素を含有するジメチルホル
ムアミドを溶媒とし且つオルトリン酸をリン酸化剤とす
ることによって、よりマイルドな条件でキチンへのリン
酸基の導入を行えるようにしたので、生体内で代謝され
にくいより高分子量の抗炎症剤を得ることができると共
に、このように抗炎症剤を高分子量としておけば、生体
内での残留時間が長く、長期間その効果を持続させるこ
とができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮崎 聡 鳥取県鳥取市湖山町東5丁目133番地 サ ンファイブ株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リン酸基が導入されたキチン又はその塩
    類を有効成分とする抗炎症剤。
  2. 【請求項2】 リン酸基とカルボキシメチル基が導入さ
    れたキチン又はその塩類を有効成分とする抗炎症剤。
  3. 【請求項3】 前記キチンが、カルボキシメチル基が導
    入された後にリン酸基が導入されたキチンである請求項
    2記載の抗炎症剤。
  4. 【請求項4】 前記リン酸基が、尿素を含有するジメチ
    ルホルムアミドを溶媒とし且つオルトリン酸をリン酸化
    剤としてキチンに導入されたリン酸基である請求項1乃
    至3のいずれか記載の抗炎症剤。
JP21200395A 1995-08-21 1995-08-21 抗炎症剤 Pending JPH0959164A (ja)

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1127574A1 (en) * 2000-02-22 2001-08-29 Food Industry Research and Development Institute Use of chitinous materials for inhibiting cellular nitric oxide production
US6653294B2 (en) 2000-02-29 2003-11-25 Food Industry Research & Development Institute Use of chitinous materials for inhibiting cellular nitric oxide production
JP2005501845A (ja) * 2001-08-16 2005-01-20 メディカル リサーチ カウンシル キチン微小粒子およびそれらの医学的用途

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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