JP2000344674A - 血管内皮細胞増殖因子作用の抑制剤及び血管新生の抑制剤 - Google Patents

血管内皮細胞増殖因子作用の抑制剤及び血管新生の抑制剤

Info

Publication number
JP2000344674A
JP2000344674A JP2000099433A JP2000099433A JP2000344674A JP 2000344674 A JP2000344674 A JP 2000344674A JP 2000099433 A JP2000099433 A JP 2000099433A JP 2000099433 A JP2000099433 A JP 2000099433A JP 2000344674 A JP2000344674 A JP 2000344674A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hexuronic acid
heparin
substance
glycosaminoglycan
present
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2000099433A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4633223B2 (ja
Inventor
Masayuki Ishihara
雅之 石原
Katsuaki Ono
克明 小野
Kiyoshi Suzuki
喜義 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seikagaku Corp
Original Assignee
Seikagaku Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seikagaku Corp filed Critical Seikagaku Corp
Priority to JP2000099433A priority Critical patent/JP4633223B2/ja
Publication of JP2000344674A publication Critical patent/JP2000344674A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4633223B2 publication Critical patent/JP4633223B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Polysaccharides And Polysaccharide Derivatives (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】VEGFの作用を抑制することに基づくVEGF作
用抑制剤の提供、また大きな一要因としてVEGFの関与が
指摘されている血管新生作用を抑制する薬剤の提供、更
に血管新生によって引き起こされると考えられている悪
性腫瘍、増殖性網膜症、関節リウマチ、卵巣過剰刺激症
候群等に対する治療に用いることが可能で、人体に適用
するに際し、安全で副作用などの問題がほとんど無い医
薬組成物を提供する。 【解決手段】グルコサミンとヘキスロン酸から成る二糖
単位の繰り返し構造を基本骨格とする硫酸化グリコサミ
ノグリカンにおいて、グリコサミノグリカン分解酵素に
よる分解と高速液体クロマトグラフィーによる分析を組
み合わせた二糖分析により得られる下記構造式(1)で
表される二糖組成において、△DiHS-di(6,N)
Sのモル%が40%以上である硫酸化グリコサミノグリ
カンから成るVEGF作用の抑制剤及び血管新生抑制
剤。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、構成糖としてグル
コサミンとヘキスロン酸との二糖単位の繰り返し構造で
形成された基本骨格を有する硫酸化グリコサミノグリカ
ン及びその塩よりなる血管内皮細胞増殖因子(VEG
F)作用抑制剤及び該硫酸化グリコサミノグリカン及び
その塩を有効成分として含有する血管新生抑制剤に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】生体内に存在する様々な増殖因子(G
F)は、ヘパリン及びヘパラン硫酸(HS)と結合する
事が知られており、細胞表面に存在するヘパラン硫酸と
結合することが貯蔵、放出、安定性等に関して重要であ
ることが知られている。GFの一種である血管内皮細胞
増殖因子(以下、VEGFと言うこともある。)は、血
管内皮細胞に特異的に作用するヘパリン結合性増殖因子
であり、また、VEGFのPre-mRNAには8つのエクソン
があり、それらのスプライシングの違いによって、分子
サイズの異なるアイソフォームが少なくとも4種類(V
EGF121、VEGF165、VEGF189、VEGF206
あることが現在知られている。VEGF121はエクソン
1〜5と8からなり、主に胎盤で産生されるが、他のア
イソフォームと異なり、ヘパリン/ヘパラン硫酸との結
合性を有しないことが知られている(Cohen et al.,J.B
iol.Chem.,270,11322-11326 (1995))。生体内で主に検
出されるVEGF165は、エクソン1〜5と7と8から
なり、内皮細胞を用いたin vitro実験において、VEG
165がVEGFレセプターに効果的に結合するために
ヘパリン/ヘパラン硫酸を必要とすることが知られてい
る(Soker etal.,Biochem.Biophys.Res.Comm.,203,1339
-1347(1994))。また、野村らによると、定量的RT−
PCR(reverse transcriptionpolymerase chain reac
tion)を施行し、内皮細胞と周皮細胞を正常酸素濃度よ
り徐々に低酸素状態にしていくと、両細胞VEG
121、VEGF165のmRNAが増加することが報告さ
れている(Nomura,M.et.al.:J.Biol.Chem.,270:28316-2
8324,1995)。一方、VEGF189とVEGF206は、ネ
ガティブチャージを持った物質と非特異的な作用を示す
塩基性アミノ酸に富む部分を含むエクソン6をはじめ全
てのエクソンを含んでいる為、ヘパリン/ヘパラン硫酸
への親和性はVEGF165より高い親和性を持ってい
る。従って、一旦細胞外に分泌された後、細胞表面ある
いは細胞間質のヘパリン様物質と結合した型で存在する
ことが知られている。
【0003】VEGFは、様々な疾患や生理環境下に於
いて起こる血管新生を誘導する重要な調節因子である血
管形成誘導因子の一種である。この血管形成誘導因子に
は、他に繊維芽細胞増殖因子(FGF)、トランスフォ
ーミング成長因子β(TGFβ)等が知られており、血
管新生は、様々なサイトカイン等による複雑な時間軸を
持った一連の複合反応であると考えられているが、現
在、最も疾病の原因と密接に関連していると疑われてい
るのはVEGFである。血管新生は、正常な生体では胎
生期の血管形成や組織の構築、黄体形成や子宮内膜の増
殖期及び創傷治癒過程等に関与しているが、臨床的には
組織が低酸素状態になると誘導されることが良く知られ
ており、血管新生の多くは、何らかの病的状態と関係し
ていると考えられている。病的状態としては、炎症、糖
尿病性網膜症、慢性関節リウマチ、乾セン、固形腫瘍の
増殖、心筋梗塞、卵巣過剰刺激症候群等の発症、増悪に
おいて重要な役割を果たす事が知られている。例えば、
腫瘍における血管新生は固形腫瘍の増大や転移に重要な
役割を果たしており、VEGFを生産するガン細胞は悪
性度が高いことが知られている。Kimらは、VEGF特異的
モノクローナル抗体によってヌードマウスに移植した平
滑筋肉腫などの腫瘍細胞の増大が部分的に抑制されるこ
とや、腫瘍血管密度が減少させられることを報告してい
る(Kim K.J. et al. Nature, 362, 841 (1993))。
【0004】増殖性網膜症、例えば糖尿病性網膜症、網
膜静脈閉塞症、高安症などの網膜の虚血により発症する
疾病に対しVEGFが関与することも知られている。これら
の疾患では、網膜毛細血管に微小血栓が形成され、さら
に血管壁構成細胞が変性して基底膜が残り、内腔にグリ
ア細胞が増生、侵入し、血管閉塞が生じ、その結果、閉
塞した虚血領域の周辺の網膜血管より内皮細胞が遊走、
増殖し、新生血管を形成することが知られている。ま
た、網膜の色素上皮細胞、血管周辺細胞、虹彩によりVE
GFが産生され、網膜症の患者の眼房水や硝子体液中には
VEGFが増加していることが知られている。Hataら、更に
はIshiharaらは、低酸素条件下、グリア細胞と内皮細胞
を同一培地内で培養したとき、グリア細胞によって産生
された血管新生因子が内皮細胞を増殖させ、さらに内皮
細胞の管腔形成を促進すること、及びこれらの現象が抗
VEGF中和抗体によってほとんど抑制されることを報告し
ている(Hata Y. et al. Virchows Arch., 426, 279(19
95)、Ishihara T. et al.日本血栓止血学会誌, 7(2), 1
23(1996))。
【0005】異常な血管新生を制御することが可能にな
れば、それによって引き起こされる種々の疾病の治療に
つながるとの認識の下に、既に、内因性、外因性を問わ
ず様々な分子種の血管新生抑制活性物質が近年報告され
ている。具体的には、例えば、ヘパリン結合性増殖因子
の作用を直接的または間接的に抑制する物質として、抗
VEGF抗体、シグナルトランスダクション能を消失した部
分変異VEGF、可溶化VEGFレセプターや、硫酸化カルボキ
シメチルキチン、スラミン、多硫酸化ペントサン、テコ
ガラン、硫酸化マルトオリゴ糖等の多硫酸化物や、イン
ターフェロンなどが知られている。しかしながら、これ
らの物質の中には、副作用を有するものや、安定性の点
で問題があるものもあり、すぐに医薬品として使用出来
るものは未だに提供されていない。
【0006】ところで、抗血液凝固剤として広く使用さ
れているヘパリンは、血液凝固段階に関与する酵素やヘ
パリン結合性増殖因子、例えば、繊維芽細胞増殖因子(F
GF)、肝細胞増殖因子(HGF)、VEGFやミドカインなどの
機能に直接的又は間接的に作用していることが知られて
おり、その為、血管新生抑制剤や、血管新生療法への応
用検討も行われている。しかしながら、ヘパリンには強
い抗血液凝固活性や、出血活性があり、抗血液凝固剤以
外の医薬品としての適応において、これが投与制限因子
(dose limiting factor)になっている。
【0007】各種増殖因子と選択的脱硫酸化処理された
ヘパリン類との相互作用を評価することによって、各種
増殖因子との特異的相互作用を示すヘパリンのドメイン
構造が明らかにされつつある。
【0008】VEGFとヘパリンの結合に関しては、ヘパリ
ンの硫酸化の程度及び硫酸基の位置が重要で、全硫酸含
量を1%にまで脱硫酸化したヘパリンでは活性が無く、
O-過硫酸化ヘパリンはヘパリンよりも活性が強いこと
が報告されている(TesslerS. et al., J.Biol. Chem.,
269,12456(1994))。また、VEGFとそのレセプターとの
結合に関与するヘパリンの効果については、16〜18
糖に相当するヘパリンフラグメントでは阻害的に作用
し、22個以上の糖に相当するヘパリンフラグメントでは
増強的に作用することが、更にほぼ完全にO-脱硫酸化
したヘパリンや、N-脱硫酸化したヘパリンの効果は天然
ヘパリンより弱いことも報告されている(Soker S. et
al., Biochem.Biophys.Res.Commun., 203, 1339(199
4))。また、NIH-3T3細胞に発現されたflk-1/fmsキメラ
レセプターがVEGFによって自己リン酸化されることと、
ヘパリンによってこの自己リン酸化が阻害されることも
知られている(Shoshana T. et al., J. Biol. Chem.,
269,12456(1994))。しかしながら、これらの報告で用
いられたヘパリン誘導体は非特異的な過硫酸化や脱硫酸
化処理によって得られたものばかりであるので、VEGFと
特異的相互作用を示すヘパリンのドメイン構造について
は未だ解明されておらず、また、VEGF誘導性細胞増殖を
抑制する作用に関しては何ら報告されていない。
【0009】一方、ヘパリンを抗血液凝固剤以外に適用
するために化学的方法で修飾された種々の非凝固性ヘパ
リンが報告されており、特開昭63−278901に
は、非硫酸化ウロン酸−N硫酸塩グルコサミン型の二糖
のないフラグメントから基本的に成る修飾ヘパリンを血
管形成の間に平滑筋細胞の増殖を防止する為や、ある種
の転移の進行を防止する為に用いる事が出来るとの記載
があり、WO92/17187には非凝固性ヘパリンに平滑筋増
殖抑制作用があることが記載されているが、VEGF活性制
御との関係については何ら記載されていない。また、US
P5,296,471号においては、選択的且つ段階的に2−O
−,3−O−脱硫酸化ヘパリンを製造する方法およびそ
の組成物について言及され、当該組成物は実質的に抗血
液凝固活性が消失しており、抗癌活性、血小板凝集阻害
活性、ヘパラナーゼ阻害活性や血管新生阻害活性を有し
ていることが記載されているが、VEGF活性制御との関係
については何ら示されていない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、VEGF作
用の抑制剤の提供、及び、血管新生抑制剤の提供、更に
VEGF等の関与が示唆されている血管新生が関与している
と考えられている悪性腫瘍の増大や転移、増殖性網膜
症、関節リウマチ、卵巣過剰刺激症候群等に対する治療
に用いることが可能で、人体に適用するに際し、安全で
副作用などの問題がほとんど無い薬剤を提供することを
目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を達成するために鋭意研究を重ねた結果、グルコサミン
とヘキスロン酸の二糖単位の繰り返し構造を基本骨格と
する硫酸化グリコサミノグリカンにおいて、構成グルコ
サミンの6位及びN位の硫酸基の割合が、VEGFと血
管内皮細胞に存在するヘパラン硫酸又はヘパリンとの結
合に拮抗する作用、VEGF誘導性細胞増殖抑制作用及
び血管新生抑制作用に重要であることを見出した。ま
た、当該硫酸化グリコサミノグリカンに於けるヘキスロ
ン酸の2位の硫酸基を選択的に除去した物質や、一部の
構成ヘキスロン酸の環構造を特異的に開環する処理と選
択的に2位の硫酸基を除去する処理を行った物質は、上
記の作用に加え、出血等の副作用がほとんど無いことを
見出した。これらの知見に基づき、これらの硫酸化グリ
コサミノグリカンが、VEGFが関与していると考えら
れている血管新生を伴う疾病等の為の医薬として有用で
あることを知得し、本発明を完成するに到った。
【0012】即ち、本発明の要旨は、グルコサミンとヘ
キスロン酸から成る二糖単位の繰り返し構造を基本骨格
とする硫酸化グリコサミノグリカンであって、グリコサ
ミノグリカン分解酵素による分解と高速液体クロマトグ
ラフィーによる分析を組み合わせた二糖組成分析におい
て下記構造式(1)で表される△DiHS-di(6,
N)Sの組成(モル%)が40%以上である硫酸化グリ
コサミノグリカン及びその塩から成るVEGF作用抑制
剤及び当該硫酸化グリコサミノグリカン及びその塩から
なる血管新生抑制剤に存する。但し、式中において、R
1、R2はSO3 -で、R3はHであることを意味する。
【0013】
【化2】
【0014】
【発明の実施の形態】以下に本発明を更に詳細に説明す
る。本発明のVEGF作用抑制剤及び血管新生抑制剤を
なす物質(以下、本発明物質という)は、後述の試験法
1に記載のグリコサミノグリカン分解酵素による分解と
高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLCともい
う)による分析を組み合わせた二糖組成分析において不
飽和二糖体組成である上記構造式(1)で表される△D
iHS-di(6,N)Sの組成(モル%)が40%以上
である、グルコサミンとヘキスロン酸からなる二糖単位
の繰り返し構造を基本骨格とする硫酸化グリコサミノグ
リカン及びその塩である。
【0015】本発明物質は、グルコサミンとヘキスロン
酸が結合した二糖単位の繰り返し構造を持ち、所望量の
硫酸基を有する多糖または、オリゴ糖であれば特に限定
されないが、通常ヘパリン又はヘパラン硫酸を化学的に
修飾して得られるものである。すなわち、本発明物質は
スルホアミノ基(N-硫酸基)及び6−O−硫酸基を有
するグルコサミンが構造中に多く含まれ、二糖組成分析
において、上記組成を示す。なお、本発明物質を構成す
るグルコサミンは、通常D-グルコサミンであり、2位
がスルホアミノ基で無い場合、通常、アセチルアミノ基
である。ヘキスロン酸としては、例えば、D-グルクロ
ン酸、L-イズロン酸が挙げられ、2位が硫酸エステル
化されていない場合は、ヒドロキシ基である。ヘキスロ
ン酸の2位の硫酸化率は低い方が好ましく、上記二糖組
成分析で分析した場合、全構成ヘキスロン酸のうち30
%以下であるとより好ましい。また、グルコサミンの6
位、N位の硫酸化率は高い方が好ましい。本発明物質の
重量平均分子量は、VEGF作用抑制効果及び血管新生
抑制効果を示す限り、特に限定されないが、5,000
〜25,000Daが好ましく、より好ましくは、7,0
00〜20,000Daであり、10,000〜14,0
00Daであると更に好ましい。更に本発明物質は、そ
の塩の形で使用することが可能であり、塩としては、例
えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、
マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属
塩、アンモニウム塩、トリブチルアミン塩等が挙げられ
るが、アルカリ金属塩が好ましく、特にナトリウム塩が
好ましい。
【0016】二糖組成分析における不飽和二糖体組成と
は、グリコサミノグリカン分解酵素によって分解され、
かつHPLCで特定可能な前記一般式(1)で示される
不飽和二糖体の総量を100%とし、特定の構造を持つ各不
飽和二糖体の割合を示し、その数値は酵素消化前の硫酸
化グリコサミノグリカンの硫酸基の位置及び数を反映す
るもので、一般式(1)中の各置換基が下表の通りであ
るものを、通常下記の略で表す。
【0017】
【表1】
【0018】また、上記略号の示す構造は以下の通り表
記されることもある。 ΔDiHS-0S:ΔHexA1→4GlcNAc、ΔDiHS-6S:ΔHexA1→4
GlcNAc(6S)、ΔDiHS-NS:ΔHexA1→4GlcNS、ΔDiHS-U
S:ΔHexA(2S)1→4GlcNAc、ΔDiHS-di(6,N)S:ΔHexA1
→4GlcNS(6S)、ΔDiHS-di(U,N)S:ΔHexA(2S)1→4GlcN
S、ΔDiHS-di(U,6)S:ΔHexA(2S)1→4GlcNAc(6S)、ΔDi
HS-tri(U,6,N)S:ΔHexA(2S)1→4GlcNS(6S)。 上記式中、ΔHexAは不飽和ヘキスロン酸、GlcNAcはN−
アセチルグルコサミン、GlcNSはN−硫酸化グルコサミ
ン、カッコ内は硫酸基の結合位置を示す。
【0019】本発明物質の好ましい例として、構成ヘキ
スロン酸残基の2−O−硫酸基を選択的に除去する脱硫
酸化処理を行って得られる△DiHS-di(6,N)S
が40%以上である硫酸化グリコサミノグリカン(以
下、本発明物質1という)や、2−O−硫酸基を有しな
いヘキスロン酸の少なくとも一部を酸化・還元処理、例
えば、過ヨウ素酸塩等の酸化剤による酸化反応でヘキス
ロン酸の2−3位の炭素原子間を開環し、開環により生
じたアルデヒド基を還元処理した後、開環していない他
のヘキスロン酸残基の2−O−硫酸基を選択的に除去し
て得られる△DiHS-di(6,N)Sが80%以上で
ある硫酸化グリコサミノグリカン(以下、本発明物質2
という)が挙げられる。
【0020】本発明物質1及び本発明物質2は、その2
−O−硫酸基を持つヘキスロン酸残基の含有量が全構成
ヘキスロン酸残基(本発明物質2に関しては、開環して
いるヘキスロン酸残基及び開環していないヘキスロン酸
残基を合わせたものとする)に対し30(モル)%以下
であることが好ましく、特に本発明物質1に関しては、
20%〜25%がより好ましく、本発明物質2に関して
は、10%〜20%がより好ましく、更に0〜10%で
あるとより好ましい。また、本発明物質1及び2は、上
述の様に、ΔDiHS-di(6,N)Sのモル%が4
0%以上であり、特に本発明物質1に関しては、△Di
HS-di(6,N)Sのモル%が、40%〜45%がよ
り好ましく、本発明物質2に関しては、50%以上が好
ましく、より好ましくは80%以上であり、85%〜9
0%であると更に好ましい。
【0021】本発明物質1は、ブタ、ウシ等の哺乳動物
の臓器(腸、肺、肝、腎、血管等)から抽出、精製され
たヘパリン、ヘパラン硫酸等の硫酸化グリコサミノグリ
カンを原料とし、その構成ヘキスロン酸残基の2−O−
硫酸基を選択的に除去する脱硫酸化処理を行って得るこ
とができるが、脱硫酸化処理方法は、当該2−O−硫酸
基を選択的に脱硫酸化することが出来る処理であれば、
特に制限されない。例えばJasejaらの方法(Jaseja et
al.,Can. J. Chem.,67,1449(1989))など、それ自体公
知の方法に準拠して行うことができ、具体的には、硫酸
化グリコサミノグリカンのアルカリ性水溶液を調製し、
凍結乾燥する方法が挙げられる。更に、脱硫酸化処理
後、適当な溶媒を用いた溶媒沈殿、限外ろ過、カラムク
ロマトグラフィー、透析、凍結乾燥等、又は、これらの
組み合わせによって容易に濃縮・精製することが出来
る。具体的には、前記脱硫酸化処理により得られた凍結
乾燥パウダーを、蒸留水に溶解し、pH7に調整し、透析
処理、凍結乾燥処理に順次付する方法が挙げられる。な
お、本発明物質1の製造法は上記方法に限定されるもの
ではなく、例えば、通常のヘパリン、ヘパラン硫酸か
ら、△DiHS-di(6,N)Sが40%以上で、2−
O−硫酸基含量の低いものを選択してもよく、2−O−
硫酸基を有するヘキスロン酸残基の含有量が、全構成ヘ
キスロン酸残基に対し30(モル)%以下であると好ま
しい。
【0022】本発明物質2は、原料の硫酸化グリコサミ
ノグリカンを、先ず酸化・還元処理することによって、
2−O−硫酸基を有しないヘキスロン酸の少なくとも一
部において2−3位の炭素原子間で開環させ、開環によ
り生じたアルデヒド基を還元する。次いで、開環してい
ない他のヘキスロン酸残基の2-O-硫酸基を選択的に除
去することにより製造することができる。硫酸化グリコ
サミノグリカンの酸化・還元処理は、ヘキスロン酸の2
−3位の炭素原子間のみを選択的に開裂する処理法であ
れば、特に制限されず、例えば、Casuらの方法(Casu
B.et al.,Arzneim Forsch/Drug Res.,36,6337(1986))
に準じて行うことができる。具体的には、過ヨウ素酸ナ
トリウムなどの酸化剤により硫酸化グリコサミノグリカ
ンの2−O−硫酸基を有しないヘキスロン酸の2−3位
の炭素原子間を酸化的に開裂し、開裂により生成したア
ルデヒド基をホウ素化水素ナトリウムなどの還元剤で還
元処理する方法が挙げられる。次いで、硫酸化グリコサ
ミノグリカンの酸化・還元処理生成物を、脱硫酸化処理
するが、該処理生成物を構成する2−O−硫酸基を有す
るヘキスロン酸の当該硫酸基を選択的に脱硫酸化処理す
る方法であれば特に制限されない。具体的には本発明物
質1の製造における脱硫酸化方法を採用することが出来
る。前記脱硫酸化処理後の濃縮・精製方法に関しては、
適当な溶媒を用いた溶媒沈殿、限外ろ過、カラムクロマ
トグラフィー、透析、凍結乾燥等、又は、これらの組み
合わせによる方法が可能であり、具体的には本発明物質
1と同様な方法が挙げられる。
【0023】本発明物質1及び本発明物質2を製造する
ための出発原料としての硫酸化グリコサミノグリカン
は、グルコサミンとヘキスロン酸が交互に結合した二糖
の繰り返し構造を持ち、硫酸化されているグリコサミノ
グリカンであれば特に限定されない。具体的には、前記
のヘパリン、ヘパラン硫酸が挙げられる。構造中のグル
コサミンのN-硫酸基及び6-硫酸基の割合の高いものが
好ましいが、△DiHS-di(6,N)Sが40%以上
である本発明物質1及び本発明物質2が得られる限り、
これに限定されない。原料として使用するグリコサミノ
グリカンの硫酸化率が低い場合には、硫酸化処理を行う
ことにより、硫酸化率を高めた硫酸化グリコサミノグリ
カンでも構わない。
【0024】本発明物質1及び本発明物質2のAPTT
活性は、後述する標準ヘパリンに比べて20%以下であ
ることが好ましく、本発明物質2に関しては、特に5%
以下であることがさらに好ましい。また、本発明物質1
及び本発明物質2のTT活性は、標準ヘパリンに比べて
5%以下が好ましく、3%以下であることが更に好まし
い。
【0025】本発明者らは、VEGFとグリコサミノグ
リカンとの結合に係わる構造的特性を検討するために、
ヘパリン固定化ビーズを用いたイムノアッセイ(ELI
SA)によって、各種グリコサミノグリカンがヘパリン
とVEGFとの結合を阻害する度合いを測定した。コン
ドロイチン硫酸A(CS-A)、コンドロイチン硫酸C
(CS-C)、デルマタン硫酸(DS)、ヒアルロン酸
(HA)及びヘパリンに関して前記のELISAを行っ
たところ、CS-A、CS-C、DS、HAは、400μ
g/mlの高濃度を添加しても、VEGFとビーズに固
定化されているヘパリンとの結合を阻害しなかったが、
ヘパリンはほぼ完全に阻害した。これによって、VEG
Fは、グリコサミノグリカンのうち、ヘパリンとのみ特
異的に結合する事が確認された。
【0026】更に、ヘパリンに於ける硫酸基の位置や含
有量の違いにより各種増殖因子との結合に変化が生じる
という報告(Ishihara and Ono, 1998)を考慮し、ヘパ
リンがVEGFと結合する為に必須となる構造的特徴
を、本発明物質1、本発明物質2、ヘパリンの構成糖で
あるグルコサミンの6-O-硫酸基を選択的に除去したヘ
パリン(以下、6−O−脱硫酸化ヘパリンと称する)、
ヘパリンの構成糖であるグルコサミンのN-硫酸基を選
択的に除去後、同部位をアセチル化したヘパリン(以
下、N−脱硫酸・N−Ac化ヘパリンと称する)、及び
市販のヘパリンを用いて、前記同様にヘパリン固定化ビ
ーズを使用したELISAを行い、各物質がVEGFと
ビーズに固定化されているヘパリンとの結合を阻害する
度合いを調べた。
【0027】その結果、ヘパリンは、50μg/ml以
上では、ビーズに固定化されたヘパリンとVEGFとの
結合に対し、ヘパリン等を何も加え無い場合に比べて、
50%以上の結合阻害を示し、400μg/mlではほ
ぼ完全に結合を阻害し、本発明物質1及び本発明物質2
に関しては、ヘパリンと比較すると結合阻害の度合いは
やや弱まるが、依然として阻害活性を保持しており、ま
た、本発明物質2は、本発明物質1よりも阻害活性がよ
り保持されていた。しかし、N−脱硫酸・N−Ac化ヘ
パリン及び6−O−脱硫酸化ヘパリンは、高濃度であっ
ても20%程度迄しか結合阻害を示さなかった。これに
より、ヘパリンとVEGFとの結合には、ヘパリンにお
けるグルコサミンのN-硫酸基及びグルコサミンの6-O
-硫酸基の含量が影響しており、ヘパリンがVEGFと
結合する為には、N−硫酸基、6−O−硫酸基を高含量
含んでいる事が重要であると推測される。
【0028】また、生体内増殖因子の一種であるFGF
に関しては、ヘパリンのN-硫酸基と2−O−硫酸基が
結合に重要であり、HGFに関しては、N−硫酸基、2
−O−硫酸基及び6−O−硫酸基を要することが既に知
られている(Ashikari S.et.al. J.Biol.Chem.,270, 29
586 (1995))。従って、上記測定結果と対比すると、各
増殖因子(GF)の種類により、結合に必要とされるグ
リコサミノグリカンの構造的特徴が異なることは明らか
である。
【0029】また、生体内増殖因子により誘導される細
胞増殖に関して、副腎皮質由来内皮細胞(AEC)のb
FGF誘導性細胞増殖に、構成ヘキスロン酸の2位の硫
酸基を除去したヘパリンは、影響を示さなかったことが
既に報告されている(Ishihara M.et al.,Glycobiolog
y,Vol.4,451-458,1994)。そこで、本発明者等はVEG
Fとビーズに固定化されたヘパリンとの結合阻害活性を
示した本発明物質1、本発明物質2及びヘパリンに関
し、ヒト由来臍帯静脈血管内皮細胞(以下、HUVE細
胞という)のVEGF誘導性細胞増殖への影響について
調べた。その結果、ヘパリン、本発明物質1及び本発明
物質2のいずれも、約50μg/ml以上の濃度におい
て濃度依存的にHUVE細胞のVEGF誘導性細胞増殖
を抑制し、約200μg/ml以上では、ほぼ横ばいの
抑制活性を示した。同様の実験を6−O−脱硫酸化ヘパ
リン及びN−脱硫酸・N−Ac化ヘパリンについても行
ったところ、HUVE細胞のVEGF誘導性細胞増殖に
対し影響を示さなかった。また、生体内増殖因子により
誘導される細胞増殖に関して、副腎皮質由来内皮細胞
(AEC)のbFGF誘導性細胞増殖に、構成ヘキスロ
ン酸の2位の硫酸基を除去したヘパリンは、影響を示さ
なかったことが既に報告されている(Ishihara M.et a
l.,Glycobiology,Vol.4,451-458,1994)。
【0030】上記の結果より、前述のVEGFとビーズ
に固定化されたヘパリンとの結合阻害活性と同様に、H
UVE細胞のVEGF誘導性細胞増殖を抑制するために
はグリコサミノグリカンは、6−O−硫酸基及びN−硫
酸基を多く含む事が必要であることが推測される。ま
た、本発明物質1及び本発明物質2は、特異的にVEG
Fに作用しているように推測され、ELISAにおける
VEGFとグリコサミノグリカンとの結合と、HUVE
細胞のVEGF誘導性細胞増殖との間にも明らかな相関
関係があると推測される。
【0031】前述のようにVEGFは、血管新生に深く
係わりがあることが最近注目され研究されているので、
更に、本発明者らは、VEGF作用抑制効果を示した本
発明物質1及び本発明物質2に関し、鶏有精卵を用い
て、血管新生に対する効果について調べた。その結果、
本発明物質1及び本発明物質2共に、血管新生の抑制作
用を示し、本発明物質2に関しては、本発明物質1より
も抑制作用が強いことが判明し、更に、用量依存性があ
ると推測される結果を得た。この血管新生抑制作用の結
果と、上記に記載したVEGFとビーズに固定化された
ヘパリンとの結合を阻害する作用の結果において両結果
とも、本発明物質2が本発明物質1よりも強い作用を示
していることは、VEGFが血管新生における重要な因
子の一つであることの裏付けであると考えられる。
【0032】本発明物質1及び本発明物質2は、前述の
様に抗血液凝固活性の指標となるTT活性とAPTT活性が低
く、またAPTT活性よりTT活性の方がより低い特性
を呈する。これより、標準ヘパリンより抗血液凝固活性
が低いと考えられるが、更に、APTT活性と比較して
TT活性が低い物質は、医薬品として投与した際に抗血
液凝固活性が低く、安全性が高いことが知られており、
本発明物質1及び本発明物質2を医薬品組成物に用いた
場合、出血活性が低く、有用な医薬となる可能性が高
い。
【0033】本発明物質1又は本発明物質2は、ヘパリ
ンと同様にVEGFによって起こる好ましくない生理作
用を抑制する作用を有し、更に血管新生を抑制する作用
も有することが判明した。しかもヘパリンとは異なって
出血活性等の副作用が極めて低いので、本発明物質1又
は本発明物質2を有効成分とする医薬(以下、本発明医
薬ともいう)を調製することにより、VEGFが関与し
ていると考えられている疾病の治療、予防、緩和に用い
ることが出来、また、血管新生が重要な役割を担ってい
ると考えられている腫瘍の増大や転移等の疾病に関し
て、血管新生を抑制することによる癌等悪性腫瘍の転移
抑制剤や、増殖性網膜症治療剤等の医薬の提供を可能に
する。更に、この医薬は、関節リウマチ、卵巣過剰刺激
症候群等の他の適応疾患に対する治療や予防にも有用で
ある。
【0034】本発明物質を有効成分として含有するVE
GF作用抑制剤及び血管新生抑制剤を生体に投与する際
の剤型および投与経路としては、対象となる疾患の性質
や重篤度に応じて適宜選択することができる。例えば、
それらをそのまま、または他の薬理学的に許容され得る
担体、賦形剤、希釈剤等と共に製剤化し(例えば、注射
剤、錠剤、カプセル剤、液剤、軟膏、ゲル剤、スプレー
剤等)、温血動物(例えば、ヒト、マウス、ラット、ハ
ムスター、ウサギ、イヌ、ネコ、ウマ等)に対して、経
口的または非経口的に安全に投与することができる。
【0035】本発明医薬における本発明物質の配合量並
びに投与量は、その製剤の投与方法、投与形態、使用目
的、患者の具体的症状、患者の体重などに応じて個別に
決定されるべき事項であり、特に限定されないが、臨床
投与量として、1日当たり概ね100μg/Kg〜100 mg/Kg程
度を例示することができる。また、上記製剤の投与間隔
は1日1回程度でも可能であり、1日2〜4回、またはそれ
以上の回数に分けて投与することもできる。また、例え
ば点滴などにより連続的に投与することも可能である。
【0036】なお、本発明医薬の有効成分である本発明
物質1及び2は、後述する実施例において細胞に対する
毒性は見られなかった。ヘパリンのマウス(雄、雌)に
おける急性毒性試験によるLD50値は、経口投与で5000mg
/Kg以上、皮下または腹腔内投与で2500mg/Kg以上、静注
で1000mg/Kg程度であることが知られている。本発明物
質は、TT活性が標準ヘパリンと比較して極めて低いため
(5%未満)、安全性は高い。
【0037】
【実施例】本発明を実施例により更に具体的に説明する
が、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に限
定されるものではない。なお、本実施例における試験法
は以下の通りである。 試験法1 [酵素消化による二糖分析]硫酸化グリコサミノグリカン
(本発明物質1、本発明物質2及び標準ヘパリン)にお
ける硫酸基の置換位置を分析する方法は、次のようにし
て行った。すなわち、対象とする各硫酸化グリコサミノ
グリカンを酵素消化し、生成した不飽和二糖体(一般式
(1))を高速液体クロマトグラフィ(HPLC)で分析し
た[新生化学実験講座3、糖質II(東京化学同人刊、1991
年)p49−62参照]。各不飽和二糖のピーク面積を計算
して、全面積に対するピーク面積をパーセントとして表
した。 (1) 標準ヘパリン、本発明物質1及び本発明物質2の分
解酵素による消化 新生化学実験講座3、糖質II(東京化学同人刊、1991
年)p49−62に記載の方法により、2mM酢酸カルシ
ウムを含む20mM酢酸ナトリウム(pH7.0)220μlに、標
準ヘパリン、本発明物質1及び本発明物質2各1.0mgを
溶解して、20mUのヘパリナーゼ、20mUのヘパリチナーゼ
IおよびIIを加えて、37℃、2時間反応させた。
【0038】(2) HPLCによる分析 標準ヘパリン、本発明物質1及び本発明物質2を上記
(1)に従い分解酵素により消化を行った後の溶液50μl
を、HPLC(医理化、モデル852型)を用いて分析した。
イオン交換樹脂カラム(ダイオネックス社、CarboPac P
A-1カラム4.0mm ×250mm)を使用し、232nmでの吸光度
を測定した。不飽和二糖(4〜12糖)スタンダードを基
準とし(Yamada, et al., J.Biol.Chem.,270,8696-870
6,(1995))、流速1ml/分で、塩化リチウムを用いたグラ
ジエント系(50mM→2.5M)を用いる方法に準拠した(Ka
riya, et al., Comp.Biochem.Physiol., 103B, 473, (1
992))。
【0039】6種の不飽和二糖標品(8nmol each/sho
t)の溶出順は、ΔDiHS-0S(保持時間2.6min)、ΔDiHS
-NS(保持時間 10.9min)、ΔDiHS-6S(保持時間 12.0m
in)、ΔDiHS-di(6,N)S(保持時間 15.2min)、ΔDiHS-
di(U,N)S(保持時間 16.3min)、ΔDiHS-tri(U,6,N)S
(保持時間21.9min)である。
【0040】試験法2 [分子量測定]標準ヘパリン、本発明物質1及び本発明物
質2の3%溶液10μlをHPLCによるゲルろ過で分析した。
使用カラムはTSKgel-( G4000 + G3000 + G2500 )PWXL
(東ソー、7.8mm × 300mm)を用い、溶出液に0.2M塩化
ナトリウムを使用して、1.0ml/分の流速で展開した。標
準ヘパリン、本発明物質1及び本発明物質2の検出には
示差屈折計(島津製作所、AID-2A)を用いた。本発明に
おける重量平均分子量(Mw)はヘパリンの分子量標準品
を対照にして求めた(Kaneda, et al.,Biochem.Biophy
s.Res.Com.,220,108-112(1996))。その計算式は、MW
=10(10.17-0. 19×RT)、[RT:ピークトップのリテン
ションタイム(分)]である。標準ヘパリンの分子量は
光散乱法を用いて行った(Nagasawa, et al.,J.Bioche
m.,81,989-993(1977))。
【0041】試験法3 [活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)活性の測
定]APTTの測定のため、ラット(SD系雄性ラット(194〜
224g)、チャールスリバ)の下大動脈より3.2%クエン酸
1/10容量で採血し、血液を1000×g、10分間遠心分離し
て得た血漿100μlと、様々な濃度の各被検サンプル100
μlとを測定用カップに入れ、37℃、1分間保温した。そ
の後、あらかじめ37℃に保温しておいたアクチン(商品
名:吉富製薬(株))100μlを添加し、さらに2分間保
温した。次いで、37℃の保温しておいた0.02M CaCl2
液100μlを添加し、この時より凝固が起こるまでの時間
を血液凝固自動測定装置(KC-10A:アメルング社)で測
定した。なお、APTTにおける測定時間の上限は100秒ま
でとした。標準ヘパリンのAPTT活性を100としたとき、
各被検サンプルのAPTT活性をその相対値で表−2に示し
た。
【0042】試験法4 [トロンビン時間(TT)の測定]上記試験法3で得た血漿
100μlと、様々な濃度の各被検サンプル100μlとを測定
用カップに入れ、37℃、1分間保温した。その後、5分前
より37℃に保温しておいたトロンビン(商品名:吉富製
薬(株)、10U/ml)100μlを添加し、この時より凝固が
起こるまでの時間を血液凝固自動測定装置(KC-10A:ア
メルング社)で測定した。なお、TTにおける測定時間の
上限は100秒までとした。標準ヘパリンのTT活性を100と
したとき、各被検サンプルのTT活性をその相対値で表−
2に示した。
【0043】試験法5 [ヘパリンビースと増殖因子との結合に対する阻害活性
の測定] (1) 試薬の調製 増殖因子溶液は、VEGF165、FGF-2およびHGFを各40ng/ml
になるように、1%牛血清アルブミンを含んだ生理食塩含
有リン酸バッファー(BSA-PBS)で溶解し調製した。ヘ
パリンビーズ懸濁液は、ヘパリンアガロースビーズ(タ
イプI、ブタ腸粘膜由来ヘパリン使用、Sigma社)と、ポ
リアクリルアミドゲル(Bio-Gel P-30,Fine、Bio-Rad
社)を1:1になるように混合して調製した。抗VEGF16
5抗体、抗FGF-2抗体および抗HGF抗体はBSA-PBSで1:5
00に希釈したものを用いた。HRP(ホースラディシュ
由来ペルオキシダーゼ)で標識した抗IgG抗体(標識二
次抗体、Bio-Rad社)はBSA-PBSで1:1000に希釈し
たものを用いた。
【0044】(2) ELISA法による結合阻害活性測定 様々な重量の被検サンプル(5〜40μg)を100μlの各種
増殖因子溶液に溶解し、室温で3分間混合させた(0.25m
l-マイクロチューブ使用)。続いて、各マイクロチュー
ブに50μlのヘパリンビーズ懸濁液を添加し、さらに、
室温で30分間混合させた。ヘパリンビーズは試験に使
用する各被検サンプルを同濃度含んだBSA-PBSで4回洗
浄した後、0.02%Tween20を含んだPBS(PBST)で4回洗
浄した。それぞれのチューブに100μlの各種増殖因子抗
体を加え、室温で60分間混合させた後、ヘパリンビー
ズをBSA-PBSとPBSTで各4回ずつ洗浄した。続いて、100
μlの抗Ig-G抗体を加え、室温で60分間混合させた
後、ヘパリンビーズをBSA-PBSとPBSTで各4回ずつ洗浄
した。洗浄したヘパリンビーズに100μlのペルオキシダ
ーゼ基質(ABTS:Bio-Rad社カタログNo.172-1064)を加
え、室温で30分間反応させた。遠心分離法で得られた
上清液の414nmの吸収からヘパリンビーズに結合した各
種増殖因子の量を求め、各被検サンプルによる増殖因子
とビーズに固定化されたヘパリンとの結合を阻害する活
性を算出した。
【0045】試験法6 [VEGF依存性細胞増殖制御活性の測定] (1)ヒト臍帯血管内皮細胞(HUVEC)の培養 HUVEC(Clonetics社)は10%(v/v)ウシ胎仔血清(FBS;
非働化したもの)と抗生物質(ストレプトマイシン;10
0μg/ml、ペニシリンG;100U/ml)を含んだ199培地(Li
feTechnologies社)で継代維持され(4〜6代目を使
用)、ほぼ集密期に達したとき、0.05%トリプシンと0.0
2% EDTA を含有したPBS溶液でプレートから遊離させ
た。この細胞を遠心分離法で回収し、5%(v/v)FBSを含む
PBS溶液で6×10 5cell/mlになるように懸濁し、本測定に
供した。
【0046】(2)本発明物質1、本発明物質2及び標準
ヘパリンによるVEGF依存性細胞増殖抑制活性の測定 96-マルチウエル組織培養プレートのそれぞれのウエル
に100μlの10%(v/v)FBS(非働化したもの)、抗生物質
(ストレプトマイシン;100μg/ml、ペニシリンG;100U
/ml)とhr-VEGF165(2.5ng/ml:ヒューマンリコンヒ゛ナントVEGF
165 )を含んだ199培地を加え、様々な濃度に調整した
被検サンプル(0〜512μg/ml)を添加した。(1)で作
成したHUVEC懸濁液を3000 cells/wellになるように接種
し、3日間培養した。培養終了後、10μlのWST-1試薬
(ノンラジオアクティブ細胞増殖アッセイ溶液、同仁
社)をそれぞれのウエルに添加し、37℃、2時間反応さ
せた。450nmの吸光度を測定することにより、それぞれ
のウエルの細胞増殖量を定量した。被検サンプルを添加
しない場合の細胞増殖量と、各被検サンプルを添加した
場合の細胞増殖量とを比較し、被検サンプル添加による
細胞増殖減少量を、細胞増殖抑制量とした。256μg/ml
の標準ヘパリン添加した場合の細胞増殖抑制量を100%
の細胞増殖抑制活性とし、256μg/mlの各被検サンプル
を添加した場合の細胞増殖抑制活性を百分率で算出し
た。
【0047】[本明細書における標準ヘパリン]以下に
示す物性を有するブタ小腸由来ヘパリンのナトリウム塩
(サイエンティフィックプロテインラボラトリー社製Lo
tNo.40210910)を標準ヘパリンとして用いた。 (1) 上記試験法1に記載の二糖組成分析法による測定値
から算出した不飽和二糖体組成はΔDiHS-0S:3.7%、Δ
DiHS-NS:3.2%、ΔDiHS-6S:4.7%、ΔDiHS-US:1.5
%、ΔDiHS-di(6,N)S:14.7%、ΔDiHS-di(U,N)S:6.8
%、ΔDiHS-di(U,6)S:0.0%、ΔDiHS-tri(U,6,N)S:6
1.3%であり、未同定ピーク:4.1%である。(%は全て
モル%比を表す)。 (2) 抗血液凝固活性が170〜190IU/mgである。(SPL社規
格) (3) 重量平均分子量が11,000〜14,000 Daである。
【0048】実施例1 製造例 [本発明物質1の合成]標準ヘパリンを原料とし、その2-
O-脱硫酸化反応をJasejaらの方法(Jaseja etal.,Can.
J. Chem.,67,1449(1989))を部分的に改変した方法によ
り実施した。すなわち、200mgのヘパリンナトリウム塩
を20mlの0.4N 水酸化ナトリウム(NaOH)に溶解し、直
ちに凍結乾燥処理を行った。得られた凍結乾燥パウダー
を20mlの蒸留水に溶解した後、1N 酢酸を添加すること
によりpH 7に調整した。次いで、この溶液を透析処理、
凍結乾燥処理に順次付した。その結果、165mgの2−O−
脱硫酸化ヘパリンをナトリウム塩として得た。
【0049】[本発明物質2の合成] (1)ヘパリンの酸化・還元処理 ヘパリンの酸化・還元処理反応は、Casuらの方法(Casu
B.et al.,Arzneim Forsch/Drug Res.,36,6337(1986))
に従って行った。即ち、1.3gの標準ヘパリンに対し、50
mlの0.05N過ヨウ素酸ナトリウムを添加し、4℃にて撹拌
下、3日間放置して酸化的開裂反応を進行させた。反応
を終了させるために3mlのグリセロールを反応混液に添
加し、得られた反応混液を透析チューブに移し、蒸留水
に対し2日間透析した。次いで、透析内液を凍結乾燥処
理に付して1.2gの凍結乾燥パウダーを得た。得られた生
成物(1.2g)に対し、30mlの0.2Nホウ素化水素ナトリウ
ム(NaBH4)と0.25N炭酸水素ナトリウムを添加し、4℃
にて撹拌下3時間放置してアルデヒド基を還元した。適
量の氷酢酸を用いて反応混液のpHを5に調整し、過剰のN
aBH4を分解させた。次いで、5N NaOHを用いて反応混液
のpHを9〜10に調整し、反応混液を透析チューブに移
し、蒸留水に対し2日間透析した。透析内液を凍結乾燥
することにより1.1gの酸化・還元処理ヘパリンをナトリ
ウム塩として得た。
【0050】(2) 酸化・還元処理ヘパリンの2−O−脱
硫酸化処理 上記(1)で得られた酸化・還元処理ヘパリン200mgを 20m
lの0.4N NaOHに溶解し、直ちに凍結乾燥処理を行った。
得られた凍結乾燥パウダーを20mlの蒸留水に溶解した
後、1N 酢酸を添加することによりpH 7に調整した。次
いで、この溶液を透析処理、凍結乾燥処理に順次付し
た。その結果、150mgの酸化・還元ヘパリンの2−O−脱
硫酸化物をナトリウム塩として得た。
【0051】実施例 2 [ゲル濾過HPLCおよび光散乱法による分子量測定] (1)ゲル濾過HPLC分析 各50μg/5μlの標準ヘパリン,本発明物質1及び本発明
物質2を、0.2N NaClで平衡化した4,000、3,000および
2,500Gタイプの TSKgel-PWXL カラム(東ソー、7.8mm
× 300mm)を上流から順に各一本ずつ連結した東ソー社
製 CCPM型HPLCに付し、溶出液に0.2M塩化ナトリウム
(NaCl)を使用して、1.0ml/分の流速で展開し、ゲ
ル濾過(GPC-)HPLC 分析を行った。なお、被検物質の
検出には示差屈折計(島津製作所、AID-2A)を用い、カ
ラムオーヴン 40℃、0.6ml/ml の定流速下で、示差屈折
(RI)を指標とした。その結果、標準ヘパリン,本発明
物質1及び本発明物質2の保持時間は、それぞれ 33.5
0,33.60および 34.10分であった。得られた結果を基に
算出した分子量を表−1に示した。
【0052】(2)光散乱法 各100mg の標準ヘパリンおよび本発明物質2を、10mlの
0.2N NaClに溶解した後、1.25倍、2.5倍、5倍および10
倍希釈の溶液を調製して、大塚電子製ダイナミック光散
乱光度計を用いて、設定温度 20℃の下、測定波長 633n
m(He-Neレーザー)により分子量測定を行った。その結
果、標準ヘパリンおよび本発明物質2の分子量は、それ
ぞれ 1.37×104Daおよび1.11×104Daと算出され、ゲル
濾過HPLC分析と同等の結果を得た。
【0053】実施例 3 [二糖組成分析]二糖組成分析は、試験法1に記載の方
法に従って実施した。標準ヘパリン,本発明物質1およ
び本発明物質2の不飽和二糖組成について、表−1に示
した。本発明物質1の不飽和二糖は、主として約6%のΔ
DiHS-0S、約20%のΔDiHS-NS、約43%のΔDiHS-di(6,N)
S、約6%のΔDiHS-di(U,N)S および約14%のΔDiHS-tri
(U,6,N)S から成っており他の成分は微量であることが
判明した。一方、本発明物質2の不飽和二糖は、約12%
のΔDiHS-NS および約87%のΔDiHS-di(6,N)S から成っ
ていることが判明した。
【0054】実施例4 [血液凝固系に対する標準ヘパリン、本発明物質1及び
本発明物質2の影響]血液凝固系に対する標準ヘパリ
ン、本発明物質1及び本発明物質2の影響を前記試験法
3及び4にしたがって分析した。ヘパリン等何も添加し
ない状態で測定したAPTTおよびTTの値(以下、正常値と
言う)の2倍の凝固時間を示す標準ヘパリンの濃度はそ
れぞれ、0.54μg/mlと0.13μg/mlであった。同様に、正
常値を2倍に延長させる本発明物質1及び本発明物質2
の濃度を求め、標準ヘパリンのAPTT活性及びTT活性それ
ぞれを100とし、本発明物質1及び本発明物質2のAPTT
活性及びTT活性それぞれをその相対値で示した。(表−
2)
【0055】実施例5 [VEGF165、FGF2、HGFに対する標準ヘパリン、本発明物
質1及び本発明物質2の結合活性]各増殖因子(VEGF
165、FGF2及びHGF)それぞれと標準ヘパリン、本発明物
質1又は本発明物質2との結合活性は、試験法5に従っ
て、ヘパリンビーズと各増殖因子との結合を被検物質が
50%阻害する能力(IC50値)を測定することで評価し
た。VEGF165に対する分析結果として、図1に結合阻害
曲線を示した。本発明物質1および本発明物質2は標準
ヘパリンに比べて結合阻害が弱いものの阻害活性を保持
していた。一方、FGF2や、HGFに対しては、ほと
んど作用を示さなかった。(表−2)
【0056】実施例6 [増殖因子依存性細胞増殖に対する標準ヘパリン、本発
明物質1及び本発明物質2の制御活性]VEGF依存性細胞
増殖に対する標準ヘパリン、本発明物質1及び本発明物
質2の制御活性評価は試験法6に示した方法に従って実
施した。被検物質の細胞増殖抑制効果について測定し、
その結果を表−2に示した。本発明物質1および本発明
物質2は、その適用濃度に応じてVEGF依存性細胞増殖を
抑制する特性を有しており、VEGF2.5ng/mlに対して本発
明物質64〜512μg/mlの濃度で、標準ヘパリンより当該
増殖因子依存性細胞増殖を抑制する活性を有していた。
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】
【0059】実施例7 [鶏有精卵を用いたin vivo 血管新生アッセイ] (1)試料の調製 本発明物質1及び本発明物質2をそれぞれ100μg計
量し、10μlの1%メチルセルロース−生理食塩水に
溶解した。また、陽性対照として標準ヘパリンを用い、
同様に調製した。用量依存性を確認する為、本発明物質
2を500μg計量し、同様に調製した。 (2)アッセイ手順 4日齢の胚の漿尿膜(直径:2〜3mm)に(1)で調製し
た試料をそれぞれ添加したもの、及び、何も投与しない
4日齢の胚の漿尿膜(直径:2〜3mm)を用い、38℃
で約42〜46時間インキュベートした。形成された毛
細血管を視覚化するために漿尿膜にイントラリピッドを
注入した後、写真撮影を行った。血管の面積比を算出す
ることによって評価した。試験は、各試料について5例
ずつ実施した。 (3)評価法及び結果 胚と血管の面積を、画像解析ソフト(Image-Pro Plus,M
wdia Cybernetics 社)を用いて、写真プリント上から
計測し、胚の面積を100として血管面積の割合をパー
セントで表した。結果を図2に示す。本発明物質2は、
陽性対照として用いたヘパリンと同等以上の血管新生抑
制作用を示し、何も投与しない場合における血管新生
を、約70%抑制した。また、本発明物質1について
も、何も投与しない場合における血管新生を、約40%
抑制することが分かった。本発明物質については、10
0μgより高用量である500μg用いた方が、より血管
新生抑制作用を示し、用量依存性があるのではないかと
推測される。
【0060】実施例8 製剤例 (1) 注射剤 実施例1で調製した本発明物質1または本発明物質2を
終濃度5mg/mlとなるように5%マンニトール水溶液に溶解
し、これを無菌ろ過後、2mlずつ分注して2種類の注射
剤を製造した。 (2) 錠剤 実施例1で調製した本発明物質1または本発明物質2を
100mgずつ秤量し、それぞれに乳糖670mg、馬鈴薯デンプ
ン150mg、結晶セルロース60mg、及び軽質無水ケイ酸50m
gを混合し、これにヒドロキシプロピルセルロース30mg
をメタノールに溶解した溶液(10%w/w)を添加して練合
造粒した。次に、これを径0.8mmのスクリーンで押し出
して顆粒状にし、乾燥した後、ステアリン酸マグネシウ
ム15mgを添加して圧縮成型し、2種類の200mgの錠剤を
製造した。
【0061】(3) カプセル剤 実施例1で調製した本発明物質1または本発明物質2を
100mgずつ秤量し、それぞれに乳糖765mg、馬鈴薯デンプ
ン150mg、ステアリン酸マグネシウム10mg及び軽質無水
ケイ酸50mgを均一に混合し、これを200mgずつ硬カプセ
ルに充填し、2種類のカプセル剤を製造した。 (4) 軟膏剤 実施例1で調製した本発明物質1または本発明物質2を
100mgずつ秤量し、それぞれに鉱油4g、石油ゼリー8g、
混合メチル/プロピルパラバン60mg、非イオン性界面活
性剤1gおよび精製水30gを均一に混合し、これを容器に
充填し、2種類の軟膏剤を製造した。
【0062】
【発明の効果】本発明は、硫酸化グリコサミノグリカン
の構成グルコサミンにおけるN-硫酸基及び6−硫酸基
が、VEGFとの結合に必須であること、更に、N−硫
酸基及び6−硫酸基を多く含有する硫酸化グリコサミノ
グリカンは、VEGF作用抑制剤として、また、VEG
Fとの関係が指摘されている血管新生に対する抑制剤と
して有効であることを見出したものであり、この様な物
質は、ヘパリンからVEGFとの作用を指標に選択する
事が可能である。更に、該硫酸化グリコサミノグリカン
の構成ヘキスロン酸残基の2−O−硫酸基を選択的に脱
硫酸化処理すること、或いは該硫酸化グリコサミノグリ
カンの2−O−硫酸基を有しないヘキスロン酸の一部を
酸化・還元処理などの方法により開環した後、残りのヘ
キスロン酸残基が有する2−O−硫酸基を選択的に除去
することにより得る事ができる該物質は、VEGFとヘパリ
ンとの結合に拮抗する作用、VEGF誘導性細胞増殖を抑制
する作用、及び血管新生を抑制する作用を有し、しかも
抗血液凝固活性が極めて低いので、該物質を有効成分と
する医薬は、VEGFが関与していると考えられている疾病
の治療、予防、緩和に用いることが出来、また、VEG
F等が生起因子として示唆されている血管新生が重大な
役割を果たしていると考えられている癌等悪性腫瘍の転
移を抑制する薬剤や増殖性網膜症に対する治療剤等の医
薬、他にも、関節リウマチ、卵巣過剰刺激症候群等の他
の適応疾患に対する治療や予防に有用な医薬組成物を提
供可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ELISA法によるVEGF165に対するヘパリン及び本
発明物質1及び本発明物質2の結合阻害曲線を示す。
【図2】鶏有精卵を用いたin vivo 血管新生アッセイに
おける、ヘパリン及び本発明物質1及び本発明物質2の
血管新生抑制を示す。縦軸は、画像解析の結果、胚の面
積を100とした血管面積の割合をパーセントで表した
もの。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C12Q 1/02 C12Q 1/02 (C12Q 1/02 C12R 1:91) Fターム(参考) 4B063 QA01 QA07 QA19 QQ08 QR43 QR48 QR66 QR77 QS36 QX01 4C086 AA01 AA02 EA26 MA01 MA04 NA14 ZA33 ZB21 ZB26 4C090 AA05 BA68 BB02 BB11 BB17 BB33 BB55 BB62 BB63 BC27 CA13 CA14 CA16 CA18 CA19 DA23

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】グリコサミノグリカン分解酵素による分解
    と高速液体クロマトグラフィーによる分析を組み合わせ
    た二糖組成分析において、下記構造式(1)で表される
    △DiHS-di(6,N)Sの組成(モル%)が40%
    以上である、グルコサミンとヘキスロン酸からなる二糖
    単位の繰り返し構造を基本骨格とする硫酸化グリコサミ
    ノグリカン及びその塩からなる血管内皮細胞増殖因子作
    用の抑制剤。 【化1】 (但し、式中において、R1、R2はSO3 を、R3はH
    をそれぞれ示す。)
  2. 【請求項2】△DiHS-di(6,N)Sの組成(モル
    %)が80%以上である硫酸化グリコサミノグリカン及
    びその塩からなる請求項1記載の血管内皮細胞増殖因子
    作用の抑制剤。
  3. 【請求項3】グルコサミンとヘキスロン酸からなる二糖
    単位の繰り返し構造を基本骨格とする硫酸化グリコサミ
    ノグリカンにおいて、該ヘキスロン酸残基の2位の硫酸
    基の少なくとも一部が脱硫酸化された硫酸化グリコサミ
    ノグリカン及びその塩から成る血管内皮細胞増殖因子作
    用の抑制剤。
  4. 【請求項4】硫酸化グリコサミノグリカンが、グリコサ
    ミノグリカン分解酵素による分解と高速液体クロマトグ
    ラフィーによる分析を組み合わせた二糖組成分析におい
    て、上記構造式(1)で表される△DiHS-di(6,
    N)Sの組成(モル%)が40%以上のものである請求
    項3記載の血管内皮細胞増殖因子作用の抑制剤。
  5. 【請求項5】構成ヘキスロン酸の2位と3位の炭素原子
    間で開環された開環ヘキスロン酸を構造中に少なくとも
    1箇所以上含む硫酸化グリコサミノグリカン及びその塩
    から成る請求項3記載の血管内皮細胞増殖因子作用の抑
    制剤。
  6. 【請求項6】硫酸化グリコサミノグリカンが、グリコサ
    ミノグリカン分解酵素による分解と高速液体クロマトグ
    ラフィーによる分析を組み合わせた二糖組成分析におい
    て、上記構造式(1)で表される△DiHS-di(6,
    N)Sの組成(モル%)が80%以上のものである請求
    項5記載の血管内皮細胞増殖因子作用の抑制剤。
  7. 【請求項7】トロンビン時間(TT)が、標準ヘパリン
    に比べて5%以下である請求項1〜6のいずれか一項に
    記載の硫酸化グリコサミノグリカン及びその塩から成る
    血管内皮細胞増殖因子作用の抑制剤。
  8. 【請求項8】請求項1〜7のいずれか一項に記載の血管
    内皮細胞増殖因子作用の抑制剤を有効成分として含有す
    る血管新生抑制剤。
  9. 【請求項9】グリコサミノグリカン分解酵素による分解
    と高速液体クロマトグラフィーによる分析を組み合わせ
    た二糖組成分析において、上記構造式(1)で表される
    △DiHS-di(6,N)Sの組成(モル%)が40%
    以上である、グルコサミンとヘキスロン酸からなる二糖
    単位の繰り返し構造を基本骨格とする硫酸化グリコサミ
    ノグリカン及びその塩を有効成分として含有する血管新
    生抑制剤。
  10. 【請求項10】△DiHS-di(6,N)Sの組成(モ
    ル%)が80%以上である硫酸化グリコサミノグリカン
    及びその塩である請求項9記載の血管新生抑制剤。
  11. 【請求項11】グルコサミンとヘキスロン酸からなる二
    糖単位の繰り返し構造を基本骨格とする硫酸化グリコサ
    ミノグリカンにおいて、該ヘキスロン酸残基の2位の硫
    酸基の少なくとも一部が脱硫酸化された硫酸化グリコサ
    ミノグリカン及びその塩を有効成分として含有する血管
    新生抑制剤。
  12. 【請求項12】グリコサミノグリカン分解酵素による分
    解と高速液体クロマトグラフィーによる分析を組み合わ
    せた二糖組成分析において、上記構造式(1)で表され
    る△DiHS-di(6,N)Sの組成(モル%)が40
    %以上である請求項11記載の血管新生抑制剤。
  13. 【請求項13】グルコサミンとヘキスロン酸からなる二
    糖単位の繰り返し構造を基本骨格とする硫酸化グリコサ
    ミノグリカンにおいて、該ヘキスロン酸残基の2位に硫
    酸基を有するヘキスロン酸の割合が全構成ヘキスロン酸
    のうちの30(モル)%以下である請求項9〜12記載
    の血管新生抑制剤。
  14. 【請求項14】グルコサミンとヘキスロン酸からなる二
    糖単位の繰り返し構造を基本骨格とする硫酸化グリコサ
    ミノグリカンにおいて、構成ヘキスロン酸の2位と3位
    の炭素原子間で開環された開環ヘキスロン酸を構造中に
    少なくとも1カ所以上含む請求項9〜13記載の血管新
    生抑制剤。
  15. 【請求項15】グルコサミンとヘキスロン酸からなる二
    糖単位の繰り返し構造を基本骨格とする硫酸化グリコサ
    ミノグリカンにおいて、ヘキスロン酸残基における2位
    に硫酸基を有するヘキスロン酸の割合が、全構成ヘキス
    ロン酸のうちの20(モル)%以下である請求項14記
    載の血管新生抑制剤。
  16. 【請求項16】トロンビン時間(TT)が、標準ヘパリ
    ンに比べて5%以下である請求項9〜15のいずれか一
    項に記載の硫酸化グリコサミノグリカン及びその塩を有
    効成分として含有する血管新生抑制剤。
JP2000099433A 1999-03-31 2000-03-31 血管内皮細胞増殖因子依存性血管内皮細胞増殖の抑制剤 Expired - Fee Related JP4633223B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000099433A JP4633223B2 (ja) 1999-03-31 2000-03-31 血管内皮細胞増殖因子依存性血管内皮細胞増殖の抑制剤

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11-93472 1999-03-31
JP9347299 1999-03-31
JP2000099433A JP4633223B2 (ja) 1999-03-31 2000-03-31 血管内皮細胞増殖因子依存性血管内皮細胞増殖の抑制剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000344674A true JP2000344674A (ja) 2000-12-12
JP4633223B2 JP4633223B2 (ja) 2011-02-16

Family

ID=26434829

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000099433A Expired - Fee Related JP4633223B2 (ja) 1999-03-31 2000-03-31 血管内皮細胞増殖因子依存性血管内皮細胞増殖の抑制剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4633223B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002003384A (ja) * 2000-06-22 2002-01-09 Seikagaku Kogyo Co Ltd 成長因子誘導剤
JP2002020293A (ja) * 2000-06-29 2002-01-23 Seikagaku Kogyo Co Ltd クラミジア感染症処置剤
KR100465229B1 (ko) * 2001-04-09 2005-01-13 주식회사 안지오랩 2-아미노-2-데옥시-d-글루코피라노오즈 또는 그의약학적으로 허용가능한 염을 유효성분으로 하는 혈관신생억제용 약학적 조성물
JP2006062983A (ja) * 2004-08-24 2006-03-09 Kyoto Sangyo Univ 組成物及びそれを含有する抗腫瘍剤
JP4633223B2 (ja) * 1999-03-31 2011-02-16 生化学工業株式会社 血管内皮細胞増殖因子依存性血管内皮細胞増殖の抑制剤

Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63119500A (ja) * 1986-05-23 1988-05-24 Dai Ichi Seiyaku Co Ltd 硫酸化多糖体ds4152を含有する血管新生抑制剤及び抗腫瘍剤
JPS63278901A (ja) * 1987-04-16 1988-11-16 サノフィ 通常の構造の低分子量のヘパリンとその製法並びに生物学的な応用
JPH06506685A (ja) * 1991-03-29 1994-07-28 グライコメッド インコーポレイテッド 新規な非抗凝固剤ヘパリン誘導体
WO1996006867A1 (en) * 1994-09-01 1996-03-07 Glycomed Incorporated Method for controlling o-desulfation of heparin and compositions produced thereby
JPH10218902A (ja) * 1997-01-31 1998-08-18 Seikagaku Kogyo Co Ltd 低分子化硫酸化多糖、その製造法及び医薬組成物
JPH1135603A (ja) * 1997-07-24 1999-02-09 Seikagaku Kogyo Co Ltd 新規ヘパリン、ヘパリン結合担体及びフルクトース−1,6−ビスリン酸アルドラーゼの分離方法
JP2001151680A (ja) * 1999-11-24 2001-06-05 Seikagaku Kogyo Co Ltd 鎮痒剤
JP2001187740A (ja) * 2000-01-05 2001-07-10 Seikagaku Kogyo Co Ltd 創傷治療剤
JP2002003384A (ja) * 2000-06-22 2002-01-09 Seikagaku Kogyo Co Ltd 成長因子誘導剤
JP2002020293A (ja) * 2000-06-29 2002-01-23 Seikagaku Kogyo Co Ltd クラミジア感染症処置剤

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4633223B2 (ja) * 1999-03-31 2011-02-16 生化学工業株式会社 血管内皮細胞増殖因子依存性血管内皮細胞増殖の抑制剤

Patent Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63119500A (ja) * 1986-05-23 1988-05-24 Dai Ichi Seiyaku Co Ltd 硫酸化多糖体ds4152を含有する血管新生抑制剤及び抗腫瘍剤
JPS63278901A (ja) * 1987-04-16 1988-11-16 サノフィ 通常の構造の低分子量のヘパリンとその製法並びに生物学的な応用
JPH06506685A (ja) * 1991-03-29 1994-07-28 グライコメッド インコーポレイテッド 新規な非抗凝固剤ヘパリン誘導体
WO1996006867A1 (en) * 1994-09-01 1996-03-07 Glycomed Incorporated Method for controlling o-desulfation of heparin and compositions produced thereby
JPH10218902A (ja) * 1997-01-31 1998-08-18 Seikagaku Kogyo Co Ltd 低分子化硫酸化多糖、その製造法及び医薬組成物
JPH1135603A (ja) * 1997-07-24 1999-02-09 Seikagaku Kogyo Co Ltd 新規ヘパリン、ヘパリン結合担体及びフルクトース−1,6−ビスリン酸アルドラーゼの分離方法
JP2001151680A (ja) * 1999-11-24 2001-06-05 Seikagaku Kogyo Co Ltd 鎮痒剤
JP2001187740A (ja) * 2000-01-05 2001-07-10 Seikagaku Kogyo Co Ltd 創傷治療剤
JP2002003384A (ja) * 2000-06-22 2002-01-09 Seikagaku Kogyo Co Ltd 成長因子誘導剤
JP2002020293A (ja) * 2000-06-29 2002-01-23 Seikagaku Kogyo Co Ltd クラミジア感染症処置剤

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4633223B2 (ja) * 1999-03-31 2011-02-16 生化学工業株式会社 血管内皮細胞増殖因子依存性血管内皮細胞増殖の抑制剤
JP2002003384A (ja) * 2000-06-22 2002-01-09 Seikagaku Kogyo Co Ltd 成長因子誘導剤
JP4633232B2 (ja) * 2000-06-22 2011-02-16 生化学工業株式会社 成長因子誘導剤
JP2002020293A (ja) * 2000-06-29 2002-01-23 Seikagaku Kogyo Co Ltd クラミジア感染症処置剤
JP4633233B2 (ja) * 2000-06-29 2011-02-16 生化学工業株式会社 クラミジア感染症処置剤
KR100465229B1 (ko) * 2001-04-09 2005-01-13 주식회사 안지오랩 2-아미노-2-데옥시-d-글루코피라노오즈 또는 그의약학적으로 허용가능한 염을 유효성분으로 하는 혈관신생억제용 약학적 조성물
JP2006062983A (ja) * 2004-08-24 2006-03-09 Kyoto Sangyo Univ 組成物及びそれを含有する抗腫瘍剤

Also Published As

Publication number Publication date
JP4633223B2 (ja) 2011-02-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Qiu et al. Pharmacological and clinical application of heparin progress: An essential drug for modern medicine
US5696100A (en) Method for controlling O-desulfation of heparin and compositions produced thereby
US5296471A (en) Method for controlling o-desulfation of heparin and compositions produced thereby
US5250519A (en) Non-anticoagulant heparin derivatives
US8609632B2 (en) Low molecular weight heparin composition and uses thereof
US5795875A (en) Therapeutic methods of using O-desulfated heparin derivatives
US8071569B2 (en) Oxidized heparin fractions and their use in inhibiting angiogenesis
US20100081630A1 (en) Heparin Compositions and Selectin Inhibition
JP2008518090A (ja) ヘパリン起因性血小板減少症(hit)症候群の硫酸化多糖類治療のための方法および医薬
PT837683E (pt) PREPARAÆO E USO DE OLIGOSSACáRIDOS SULFATADOS
WO1996006867A9 (en) Method for controlling o-desulfation of heparin and compositions produced thereby
EP0577756A1 (en) New non-anticoagulant heparin derivatives
ITRM20000041A1 (it) Derivati glicosamminoglicani parzialmente desolfatati non anticoagulanti ad attivita' antiangiogenica.
JP2010534672A (ja) 終末糖化産物受容体(rage)の連結を阻止するための方法
JPS6218401A (ja) 結合組織病理において有効な医薬の製造に使用する多糖およびオリゴ糖
JP2018513217A (ja) アンチトロンビン−ヘパリンの組成物および方法
Spadarella et al. From unfractionated heparin to pentasaccharide: Paradigm of rigorous science growing in the understanding of the in vivo thrombin generation
JPH08508540A (ja) 循環血液量減少性ショックおよび関連ショック症候群の治療のための非抗凝血性の化学修飾したヘパリン様物質
WO2009013162A1 (en) Process for the preparation of heparanase-inhibiting sulfated hyaluronates and products obtained thereby
JP4051099B2 (ja) 低分子化ヘパリン、その製造法及び医薬組成物
JP4633223B2 (ja) 血管内皮細胞増殖因子依存性血管内皮細胞増殖の抑制剤
JP2018524067A (ja) アンチトロンビン−ヘパリン組成物を利用する医療機器、システムおよび方法
US20080227752A1 (en) Methods to Inhibit Histone Acetyltransferase Using Glycosaminoglycans
Green The heparins: Basic and clinical aspects
RU2451515C2 (ru) Композиции гепарина низкой молекулярной массы и их применение

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070315

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20070315

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100831

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101025

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20101116

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20101117

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131126

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees