JPH10218902A - 低分子化硫酸化多糖、その製造法及び医薬組成物 - Google Patents

低分子化硫酸化多糖、その製造法及び医薬組成物

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JPH10218902A
JPH10218902A JP3148997A JP3148997A JPH10218902A JP H10218902 A JPH10218902 A JP H10218902A JP 3148997 A JP3148997 A JP 3148997A JP 3148997 A JP3148997 A JP 3148997A JP H10218902 A JPH10218902 A JP H10218902A
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雅之 石原
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 抗血液凝固活性の低い特定の分子量、構造、
生理活性を持つ硫酸化多糖を提供する。 【解決手段】 bFGFを抑制する活性、或いは促進と
抑制する活性を共に発現するところの、二糖分析により
得られる下記構造式で表される二糖体組成が(A)を充
たし、且つ(B)及び(C)の物性を有するヘキソサミ
ンとウロン酸の繰り返し構造を基本骨格とする低分子化
硫酸化多糖。 (A)ΔDi−tri(U,6,N)Sのモル%が65
%以上、(但し、ΔDi−tri(U,6,N)Sは、
式中、R1、R2、R3=SO3 -である。) (B)APTT活性及び抗トロンビン活性の少なくとも
一方が標準ヘパリンに比して2%以下 (C)平均分子量が1,000〜8,000Da(ダル
トン)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗血液凝固活性は
ほとんど有さず、特定の生物活性を有する低分子化硫酸
化多糖、その製造法並びに当該低分子化硫酸化多糖を有
効成分とする医薬組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】特異的生物活性を有する硫酸化多糖を提
供するために、従来より様々な研究がなされて来てお
り、その一例に硫酸化多糖を選択的に脱硫酸化する方法
がある。従来、ヘパリンから選択的に脱硫酸化を行う方
法としては、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,
N−ジメチルホルムアルデヒド(DMF)またはピリジ
ン等の非プロトン性溶媒中(USOV A.et al.Carbohydr.R
es.,18, 336(1971))、または少量の水あるいはメタノ
ールを含むDMSO中(Nagasawa K.etal.Carbohydr.Re
s.,58, 47(1977), Nagasawa K.et al.J.Biochem.,86,13
23,(1979))で行うソルボリシスがあり、このソルボリ
シスの反応機構は、非プロトン性溶媒中での三酸化硫黄
とアミンの複合体による硫酸化反応の逆反応であること
が知られている。このソルボリシス反応は、その反応条
件をコントロールすることにより、ヘパリンのN−硫酸
基を選択的に脱硫酸化することはできるが、第1級水酸
基(グルコサミン残基の6位水酸基)又は第2級水酸基
(ウロン酸残基の2位水酸基)に結合しているO−硫酸
基を脱離させることはできなかった。
【0003】一方、ヘパリンの第1級水酸基に結合した
硫酸基を特異的に脱硫酸化する方法として、N−メチル
トリメチルシリル−トリフルオロアセトアミド(MTS
TFA)を用いる方法がある(Ishihara, M.et al.J.Bi
ochem.,118,1255(1995))。また、第2級水酸基に結合し
た硫酸基を特異的に脱硫酸化する方法として、ヘパリン
をアルカリで処理し凍結乾燥させることにより、ヘパリ
ンのウロン酸残基の2位の水酸基を脱硫酸化することが
提案され(Jaseja,M.et al.Can.J.Chem.,67,1449,(198
9))、米国特許第5,296,471号には、この方法
によってウロン酸残基の2位の水酸基を99%脱硫酸化
するとともに、グルコサミン残基の3位の硫酸基の75
%に脱硫酸化が起こること、さらに、2価のカルシウム
イオンや銅イオンの存在下で、この脱硫酸化は制御でき
ることが示されている。しかしながら上記の選択的脱硫
酸化法は、いずれも糖鎖の低分子化は引き起こさないこ
とを明記している。
【0004】特異的生物活性を有する硫酸化多糖を提供
するための方法として、硫酸化多糖の低分子化も行われ
ている。その一つとして、ヘパリンに過ヨウ素酸ナトリ
ウムを作用させ、非硫酸化ウロン酸の2位と3位(C2
−C3)の炭素原子間での切断を行うことにより、ヘパ
リンの血液に対する抗凝固活性を変性し得ることが知ら
れている。また、ヘパリンのリポタンパク質リパーゼ遊
離活性における過ヨウ素酸酸化の効果についての報告
(Casu,B.et al.,Arzneim Forsch/Drug Res.,36637-64
2,(1986))があり、この方法では、ヘパリンは過ヨウ素
酸で酸化開裂され、次いで水素化ホウ素で低分子化され
ることなく還元されている。この方法により得られた生
成物は、アンチトロンビンIII(AT III)との結合能
力は消失しているが、リポタンパク質リパーゼの遊離活
性は変化していない。
【0005】また、ヘパリンはpH5.3、4℃で24
時間、過ヨウ素酸塩による酸化処理を施すことにより、
全ての非硫酸化ウロン酸でそのC2−C3炭素原子間で
の切断が起こり開裂する。そしてさらに、弱酸又は弱ア
ルカリで加水分解処理することによって鎖が切断され、
著しく低分子化されることも知られている(Fransson,
L.A.et al.,Carbohydr.Res.,80,131-145,(1980))。同
様に特表平6−506685号公報には、過ヨウ素酸酸
化、還元処理したヘパリンの有する血管平滑筋細胞増殖
抑制活性を利用した医薬品への応用が記載されている。
【0006】更に、特開昭63−278901号公報に
は、ヘパリンに過ヨウ素酸ナトリウムを作用させ、アル
カリで低分子化した後、生じたアルデヒド基を還元する
各操作条件が記載され、この方法により得られる物質
は、分子量4,800−9,000に相当する下記二糖
単位の繰り返し構造をもつ14−30糖鎖を含んでいる
ことが示されている。 IdoA−2S(GlcA−2S)−GlcNS又は、 IdoA−2S(GlcA−2S)−GlcNAc (ただし、IdoA:イズロン酸、GlcA:グルクロ
ン酸、GlcNS:N−硫酸化グルコサミン、GlcN
Ac:N−アセチル化グルコサミンである。GlcNS
あるいはGlcNAcの6位は硫酸化されている場合も
多い。)
【0007】そして、ヘパリンを低分子化することによ
り得られたこれらの硫酸化多糖は、AT IIIとの結合能
力を失い、抗血液凝固活性は消失しているが、平滑筋細
胞増殖抑制、組織修復促進、動脈硬化予防、ショック状
態の改善、癌転移予防等の生理活性は保持されているこ
とが記載されている。
【0008】任意の構造と分子量を有する硫酸化多糖の
開発は、好ましい生理活性を有する医薬品の創造に際し
重要である。特に、ヘパリンは様々な生理活性物質と特
異的な分子量と構造をもつドメインを介して相互作用す
ることが知られており、例えば、塩基性繊維芽細胞増殖
因子(以下bFGFと略記する)と相互作用し、その安
定化と細胞増殖活性を促進するところのヘパリンの低分
子化により生じる硫酸化多糖は、N−硫酸化されたグル
コサミンと2位が硫酸化(2−O−硫酸化)されたイズ
ロン酸の二糖体構造に富んだ10−12糖以上(分子量
3,500−4,000ダルトン以上)の糖鎖である
(Ishihara M.et al.Glycobiology, 4, 451(1994))。
【0009】一方、酸性繊維芽細胞増殖因子(以下aF
GFと略記する)やFGF−4(カポシ肉腫FGF)の
活性維持・促進には、bFGFの場合に適した物性に加
えてより多くのN−硫酸化グルコサミンの6位が硫酸化
されている必要がある(Ishihara M. Glycobiology, 4,
817,(1994))。しかしながら、8糖以下のサイズのオリ
ゴ糖鎖は繊維芽細胞増殖因子(以下FGFと略記する)
の活性を促進する活性は持たず、むしろ抑制活性を持
つ。したがって、特異的構造を有する任意の分子量の硫
酸化多糖は、特異的な生理活性を維持し、且つ、他の多
くの生理活性物質との相互作用から生じる望ましくない
生理活性を抑制することが期待される。
【0010】FGFと多糖類を使用した組成物として
は、例えば、FGFと抗ウィルス活性を有する硫酸化多
糖及び賦形剤からなる医薬品組成物(特開平6−805
83号公報)、FGFとL−イズロン酸2硫酸及びN−
スルホ−D−グルコサミンからなり、8−18糖で構成
されるFGFと結合性を有するオリゴ糖を含有する組成
物(特開平5−148305号公報)、FGFムテイン
とグリコサミノグリカンとの複合体あるいはこれらを配
合した組成物(特開平2−40399号公報)及びFG
Fと選択的に6位の硫酸基(6−O−硫酸)が脱硫酸化
された選択的6−O−脱硫酸化ヘパリンを配合した組成
物(WO96/01278)等があげられる。これらの
うち、特開平6−80583号公報に記載の医薬組成物
において、医薬組成物として使用されている硫酸化多糖
としては、カラーギナン、ヘパリン、デキストラン硫
酸、アガロース型硫酸化多糖等があげられているが、低
分子化や脱硫酸化されたものは記載されておらず、その
医薬組成物は抗ウィルス活性の共働作用による増強を目
的としている。
【0011】また、特開平5−148305号公報の組
成物では、脱硫酸化されていない特定構造のオリゴ糖が
使用され、特開平2−40399号公報の組成物では天
然のグリコサミノグリカンを使用しており、いずれも低
分子化や脱硫酸化処理が施されたものではない。さら
に、従来の低分子化方法により得られた硫酸化多糖は分
子量が一定ではなく、低分子から高分子にかけて幅広い
分子量分布を持ち、様々な分子量を持つ硫酸化多糖の混
合物であるので、当該混合物から目的分子量の硫酸化多
糖を得るためには複雑なカラムによる分画が必要であっ
た(Ishihara M.et al.J.Biol.Chem.,268,4675-4683,(1
993))。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】所望の生理活性に優れ
た医薬品開発のためには、生体内での様々な活性を制御
するのに有用な、抗血液凝固活性がより低く、しかも生
体物質との親和性が失われていない任意の分子量をもっ
た硫酸化多糖が求められているが、この様な特性を持つ
任意の分子量の硫酸化多糖を簡単な操作により得る方法
は知られておらず、従来の複雑なカラムワークが必要と
される精製法は実用性がなく工業的に実施することは極
めて困難であり、更に得られた硫酸化多糖の分子量分布
幅は広かった。本発明は、上記特性を持つ任意の分子量
の硫酸化多糖及び該硫酸化多糖を簡便に製造する方法を
提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、出血活性
などの副作用が少なく、かつ硫酸化多糖本来の生物活性
をより特異的に発現させることを目的とし、硫酸化多糖
の構造特異性と分子量選択性に優れた調製法を鋭意検討
した結果、硫酸化多糖の構成ウロン酸の2位の硫酸基を
脱硫酸化(2−O−脱硫酸化)し、次いで酸化剤により
ウロン酸の2位と3位の炭素原子間で開裂後、当該開裂
部位において糖鎖を切断する処理を行うことよりなる低
分子化方法において、該脱硫酸化を調整することにより
特異的構造を有し、任意の分子量を有する低分子化され
た硫酸化多糖を選択的に調製し得ること、並びにこの方
法で得られた硫酸化多糖は上記所望の特性を満たす事を
見い出し本発明を完成するに至った。
【0014】すなわち本発明の要旨は、グリコサミノグ
リカン分解酵素による分解と高速液体クロマトグラフィ
ーによる分析を組み合わせた二糖分析により得られる請
求項1に記載の構造式で表される二糖体組成において
(A)の規定を充たし、且つ(B)及び(C)に規定す
る物性を有することよりなるヘキソサミンとウロン酸の
繰り返し構造を基本骨格とする低分子化硫酸化多糖 (A)ΔDi−tri(U,6,N)Sのモル%が65
%以上(但し、ΔDi−tri(U,6,N)Sは、式
中において、R1、R2、R3がSO3 -であることを意味
する。) (B)APTT活性及び抗トロンビン活性の少なくとも
一方が標準ヘパリンに比して2%以下 (C)平均分子量が1,000〜8,000Da(ダル
トン) に存し、この低分子化硫酸化多糖はbFGFの働きを抑
制する活性、あるいは促進する活性と抑制する活性を共
に発現することが出来る。なお、本願明細書において標
準ヘパリンは、後述する物性により定義された標準ヘパ
リンを意味する。
【0015】本発明の他の要旨は、下記工程: (a)ヘキソサミンとウロン酸の繰り返し構造を基本骨格
とする硫酸化多糖の構成ウロン酸の2位の硫酸基を2〜
85%部分的脱硫酸化し、(b)次いで酸化剤により2位
に硫酸基を有しないウロン酸を2位と3位の炭素原子間
で開裂した後、(c)上記開裂された糖残基において、硫
酸化多糖の切断処理を行うことよりなる低分子化された
ヘキソサミンとウロン酸の繰り返し構造を基本骨格とす
る硫酸化多糖を製造する方法に存し、また、本発明の更
なる要旨は、当該低分子化硫酸化多糖を有効成分として
含有する医薬組成物に存する。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態につい
て説明する。本発明の低分子化硫酸化多糖は、グリコサ
ミノグリカン分解酵素による分解と高速液体クロマトグ
ラフィーによる分析を組み合わせた後述の二糖分析によ
り得られる下記構造式で表される二糖体組成において
(A)の規定を充たし、且つ(B)及び(C)に規定す
る物性を有するヘキソサミンとウロン酸の繰り返し構造
を基本骨格とすることよりなる。 (A)ΔDi−tri(U,6,N)Sのモル%が65
%以上、(但し、ΔDi−tri(U,6,N)Sは、
式中において、R1、R2、R3がSO3 -であることを意
味する。) (B)APTT活性及び抗トロンビン活性の少なくとも
一方が標準ヘパリンに比して2%以下 (C)平均分子量が1,000〜8,000Da(ダル
トン)
【0017】
【化1】
【0018】本発明における上記硫酸化多糖の二糖体組
成は、後述する実施例に記載の二糖分析法による測定値
から算出したものであり、また分子量は実施例に記載の
分子量測定法による測定値である。更にAPTT活性及
び抗トロンビン活性は実施例に記載のAPTT及び抗ト
ロンビン活性の測定法による測定値である。そして、二
糖体組成は試験法1に記載の酵素消化による二糖分析に
より得られる特定が可能な構造を持つ不飽和二糖の量
(ΔDi−0S、ΔDi−NS、ΔDi−6S、ΔDi
−US、ΔDi−di(6、N)S、ΔDi−di
(U、N)S、ΔDi−di(U、6)S、ΔDi−t
ri(U、6、N)Sのモル%の合計)を100%とし
て、上記特定の構造を持つ二糖の割合を示したものであ
り、当該数値は酵素消化前の硫酸化多糖の硫酸化を反映
するものである。
【0019】なお、本願明細書中において、二糖体組成
の表記は、下記を意味する。
【表1】 表−1 二糖体組成 構造式の置換基 R123 ΔDi−0S H COCH3 H ΔDi−6S SO3 - COCH3 H ΔDi−NS H SO3 - H ΔDi−US H COCH3 SO3 - ΔDi−di(6,N)S SO3 - SO3 - H ΔDi−di(U,N)S H SO3 - SO3 - ΔDi−di(U,6)S SO3 - COCH3 SO3 - ΔDi−tri(U,6,N)S SO3 - SO3 - SO3 -
【0020】また、上記略号の示す構造は以下のとおり
表記されることもある。 ΔDi−0S:ΔHexA1→4HexNAc、ΔDi
−6S:ΔHexA1→4HexNAc(6S)、ΔD
i−NS:ΔHexA1→4HexNS、ΔDi−U
S:ΔHexA(2S)1→HexNAc、ΔDi−di
(6,N)S:ΔHexA1→4HexNS(6S)、
ΔDi−di(U,N)S:ΔHexA(2S)1→4H
exNS、ΔDi−di(U,6)S:ΔHexA(2
S)1→4HexNAc(6S)、ΔDi−tri(U,
6,N)S:ΔHexA(2S)1→4HexNS(6
S)。 上記式中、ΔHexAは不飽和ウロン酸、HexNAc
はN−アセチルヘキソサミン、HexNSはN−硫酸化
ヘキソサミン、カッコ内は硫酸基の結合位置を示す。
【0021】本発明の上記低分子化硫酸化多糖はヘキソ
サミンとウロン酸の繰り返し構造を基本骨格とする多糖
であり、該ヘキソサミンとしてはD−グルコサミン、D
−ガラクトサミン、D−マンノサミンなどが挙げられる
が、D−グルコサミンが好ましい。ヘキソサミンはN−
硫酸化又は6−O−硫酸化のうちの一方あるいは両方が
なされていることが好ましいが、これに限定はされな
い。ウロン酸としてはD−グルクロン酸、L−イズロン
酸などが挙げられるが特に限定はされない。ウロン酸は
2−O−硫酸化されていることが好ましいが、これに限
定はされない。
【0022】本発明の低分子化硫酸化多糖は、ヘキソサ
ミンとウロン酸の繰り返し構造を基本骨格とする硫酸化
多糖の構成ウロン酸の2位の硫酸基を部分的脱硫酸化す
る工程、次いで酸化剤により2位が硫酸化されていない
ウロン酸を2位と3位の炭素原子間で開裂する工程、当
該開裂部位において糖鎖の切断処理する工程からなる方
法により取得されるので、以下その製造工程に従って説
明する。
【0023】本発明において出発原料となるヘキソサミ
ンとウロン酸の繰り返し構造を基本骨格とする硫酸化多
糖は、ヘキソサミンとウロン酸が結合した2糖の繰り返
し構造を持ち、硫酸化されている糖であれば特に限定は
されない。ヘキソサミンとしては例えばD−グルコサミ
ン、D−ガラクトサミン、D−マンノサミンがあげられ
るが特に限定はされない。また、ウロン酸としては例え
ばグルクロン酸、イズロン酸、ガラクツロン酸等があげ
られるが、グルクロン酸あるいはイズロン酸が好まし
い。上記ヘキソサミンとウロン酸の繰り返し構造を基本
骨格とする硫酸化多糖としては、具体的にヘパリン、ヘ
パラン硫酸、デルマタン硫酸などが挙げられるが、硫酸
化率が高いことからヘパリンが好ましい。
【0024】本発明における原料硫酸化多糖の部分的脱
硫酸化反応は、硫酸化多糖を構成する硫酸化ウロン酸の
うち、2位の硫酸基を脱硫酸化する方法であれば特に限
定されず実施されるが、より低分子化された硫酸化多糖
を目的とする場合にはアルカリを使用する方法、特に、
ヘパリン等の原料硫酸化多糖をアルカリ溶液に溶解した
後、直ちに凍結して凍結乾燥を行う部分的脱硫酸化法が
好ましい。アルカリ溶液への溶解は、好ましくは氷冷
(0℃)〜室温(24℃)で行われるが、特に限定され
るものではない。アルカリによる部分的脱硫酸化を行う
場合は、その凍結乾燥処理した後、1〜2.5M、好ま
しくは2Mとなるようにアルカリに再溶解し、その後、
酸好ましくは弱酸、さらに好ましくは酢酸によって、p
Hを8〜10に調整した後、直ちに蒸留水に対して1日
以上、好ましくは2日間透析を行い、凍結乾燥あるいは
エタノール沈殿法によって部分的に脱硫酸化することが
好ましい。当該脱硫酸化に使用するアルカリは特に限定
はされないが、好ましくは例えば水酸化ナトリウム、水
酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、水酸化マグ
ネシウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属水
酸化物、その中でも水酸化ナトリウムを使用することが
特に好ましい。原料硫酸化多糖の脱硫酸化の程度は、目
的とする低分子化多糖の物性により異なるが、通常構成
ウロン酸の2−O−硫酸基の2%〜85%、好ましくは
5〜50%、更に好ましくは7〜45%が部分的に脱硫
酸化処理される。
【0025】本発明においては、アルカリによる硫酸化
多糖の部分的脱硫酸化の際、そのアルカリ濃度を調整す
ることによって脱硫酸化の割合を制御し、その結果硫酸
化多糖の開裂処理後の低分子化された硫酸化多糖の分子
量を任意の範囲に維持することが出来る。当該脱硫酸化
処理におけるアルカリの濃度は原料硫酸化多糖の種類、
目的とする分子量及び脱硫酸化に使用するアルカリの種
類によって異なり、画一的に決められないが、比較的高
濃度のアルカリを使用すればより低分子化された硫酸化
多糖を取得することができる。例えば部分的脱硫酸化に
使用するアルカリとして最も好ましい形態である水酸化
ナトリウムを使用した場合、0.2N以上の濃度で1,
000Da未満、0.1Nで約1,200Da、0.0
5Nで約2,500Da、0.025Nで約4,500
Da、0.0125Nで約5,000Daの平均分子量
の硫酸化多糖を製造することが可能である。しかしなが
ら、アルカリが高濃度過ぎると必要以上に低分子化さ
れ、望ましくない副反応を併起する恐れがあり、他方低
濃度過ぎると目的とする程度の低分子化が生じないので
好ましくない。通常、アルカリは、0.01〜0.5
N、好ましくは0.01〜0.2Nの濃度で使用され、
温度等他の反応条件等を考慮しこの濃度範囲で適宜選定
される。
【0026】本発明においては、部分的脱硫酸化した
後、次いで酸化剤によるウロン酸残基の開裂処理を行う
(工程:b)が、酸化剤によるウロン酸残基の開裂は、
2位が硫酸化されていないウロン酸残基の2位と3位の
炭素原子間の結合を切断して開裂する方法であれば特に
限定されない。当該方法における酸化剤としては、過ヨ
ウ素酸化合物や過酸化水素などがあげられるが、過ヨウ
素酸酸化物、その中でも特に過ヨウ素酸ナトリウムが好
ましい。過ヨウ素酸ナトリウムを酸化による開裂処理に
使用する際は、0.01〜0.3M、好ましくは0.0
5〜0.2Mの濃度で、部分的に脱硫酸化処理を施した
硫酸化多糖濃度0.5%〜10%、好ましくは1〜7
%、pHは3〜7、好ましくは4〜5、温度は0〜37
℃、好ましくは0〜10℃、さらに好ましくは4℃の条
件下で1日以上、好ましくは3日間処理を施す。処理
後、過剰の過ヨウ素酸ナトリウムを、100〜500m
Mのエチレングリコールあるいはグリセリンなどを添加
することによって分解する。その後、必要に応じて、蒸
留水による透析を行ったり、さらに凍結乾燥あるいはエ
タノール沈殿法などの方法を用いて部分的にウロン酸の
2位が脱硫酸化された硫酸化多糖の過ヨウ素酸酸化生成
物を得ることも可能である。
【0027】また、過ヨウ素酸化合物を酸化剤として使
用した場合は、過ヨウ素酸酸化によって該開裂硫酸化多
糖の末端に生じたアルデヒド基は還元処理を施すことが
好ましい。例えば0.1〜0.5M、好ましくは0.2
Mの水素化ホウ素ナトリウムを含むpH8.5〜9.5
の1〜20%、好ましくは5〜10%の過ヨウ素酸酸化
生成物(W/V)溶液を4℃、3時間反応させることに
よって還元することが好ましい。さらには過剰の水素化
ホウ素ナトリウムを反応液のpHを4〜5に調節するこ
とによって分解し、1〜2.5M、好ましくは2Mのア
ルカリに再溶解してpH9〜10に調整し、蒸留水によ
る透析によって過ヨウ素酸酸化還元生成物のナトリウム
塩を得ることが好ましい。
【0028】本発明においては、上記酸化的開裂処理、
次いで必要に応じ還元処理が施された硫酸化多糖は、開
裂された糖残基において切断処理が施される(工程:
c)。上記硫酸化多糖の切断処理は、開裂したウロン酸
残基部で特異的に切断を行う方法であれば限定はされな
いが、例えば酸又はアルカリによる処理が好ましい。例
えば、酸としては硝酸、硫酸、塩酸等の無機酸、アルカ
リとしては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化
マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属及び
アルカリ土類金属の水酸化物が好ましいが、希硫酸を用
いる方法が最も好ましい。希硫酸を用いる場合、前記酸
化剤による開裂の過程で生成したウロン酸残基が開裂さ
れた多糖を、希硫酸によってpHを1〜3、好ましくは
pH2に調整し、40〜80℃、好ましくは50〜70
℃で2時間以上加熱する。
【0029】この処理方法によって生成した低分子化さ
れた硫酸化多糖を回収する方法としては、例えば、上記
のように切断処理後、反応物を水酸化ナトリウムによっ
てpH9〜10に調整し、蒸留水に対して透析を行った
後、凍結乾燥あるいはエタノール沈殿法などによってそ
のナトリウム塩を得ることができる。この様な回収方法
により、分子量分布幅が狭く、所望の分子量に制御され
た硫酸化多糖を得ることが可能であるが、さらに必要な
らばクロマトグラフィーや限外濾過などの分画処理を行
い、より狭い分子量分布幅の画分を得ることも可能であ
る。
【0030】本発明方法で得られる低分子化硫酸化多糖
の分子量は8,000Da以下、通常1,000〜8,
000Daであるが、反応処理条件、分画操作を適宜組
み合わせることにより、その使用目的に応じた所定の分
子量を有する低分子化硫酸化多糖を取得することが可能
である。例えば、硫酸化多糖のbFGF活性を促進或い
は抑制する活性を利用するための当該硫酸化多糖は、そ
の平均分子量としては3,500〜6,000Daが好
ましく、4,000〜4,500Daであることがより
好ましい。当該低分子化硫酸化多糖は安全性の面から、
APTT活性及び抗トロンビン活性の少なくともどちら
か一方が標準ヘパリンに比して2%以下であることが好
ましい。さらにbFGF活性を促進する活性が後記実施
例に記載のbFGF活性促進及び抑制効果の測定法で測
定した際に標準ヘパリンに比して50%以上であること
が好ましく、60%以上であることがさらに好ましい。
【0031】又、硫酸化多糖のbFGF活性を抑制する
活性を利用するための当該硫酸化多糖は、その平均分子
量としては1,000〜3,500Daであることが好
ましいが、2,000〜3,000であることがより好
ましい。当該低分子化硫酸化多糖は安全性の面から、A
PTT活性及び抗トロンビン活性の少なくともどちらか
一方が標準ヘパリンに比して2%以下であることが好ま
しく、APTT活性と抗トロンビン活性の双方が1%以
下であることがより好ましい。さらにbFGF活性を促
進する活性及び抑制する活性が後記実施例に記載のbF
GF活性促進及び抑制効果の測定法で測定した際に標準
ヘパリンに比してそれぞれ50%以上であることが好ま
しく、それぞれ60%以上であることがさらに好まし
い。
【0032】更に、本発明においては、切断処理後の反
応生成物を分画処理することにより、目的とする用途に
適合した特定範囲の分子量を有する硫酸化多糖を所定量
含有する画分を取得することも出来る。即ち、硫酸化多
糖のbFGF活性を促進或いは抑制する活性を利用する
ためには、硫酸化多糖画分として平均分子量3,500
〜6,000Daの硫酸化多糖を含有し、且つその硫酸
化多糖を、重量換算で50%(重量%)以上含有するこ
とが好ましく、60%(重量%)以上含有することがさ
らに好ましい。また、当該画分としての平均分子量は
3,500〜5,500Daが好ましく、4,000〜
5,000Daであることが更に好ましい。
【0033】また、硫酸化多糖のbFGF活性を抑制す
る活性を利用するための硫酸化多糖画分としては、平均
分子量1,000〜3,500Daの硫酸化多糖を50
%(重量%)以上含有することが好ましく、60%(重
量%)以上含有することがさらに好ましい。また、当該
画分の平均分子量は1,500〜3,000Daが好ま
しく、2,000〜3,000Daであることがさらに
好ましい。
【0034】本発明が提供する低分子化硫酸化多糖は、
標準ヘパリンと比較して抗血液凝固活性が低く、特に、
抗血液凝固活性を表す抗トロンビン活性とAPTT活性
が低い特性を呈するものである。特に好ましい硫酸化多
糖は、後記実施例に記載の抗トロンビン活性測定法によ
る測定値と、APTT活性測定法による測定値の少なく
とも一方が、標準ヘパリンと比較して2%以下である。
さらにより好ましいものは、抗トロンビン活性、APT
T活性が共に標準ヘパリンと比較して1%以下であり、
両活性が0≦抗トロンビン活性/APTT活性≦0.5
であるところの抗トロンビン活性が低いものは、医薬組
成物に用いた場合出血活性が低いことが期待され有用で
ある。
【0035】本発明の低分子化硫酸化多糖は、その分子
量或いは適用濃度に応じてbFGF活性を促進したり抑
制したりする特性を有している。即ち、上記平均分子量
3,500Da〜6,000Da及び1,000〜3,
500Daの低分子化硫酸化多糖とこれらの硫酸化多糖
を含有する上記画分は、bFGF活性を抑制する活性に
優れ、実施例中の試験法に記載のbFGF活性測定方法
による抑制効果を測定した結果、bFGF2ng/ml
に対して当該硫酸化多糖50〜100μg/mlの濃度
では、標準ヘパリンと比較して40%以上、好ましくは
50%以上当該増殖因子活性を抑制する活性を保持して
いる。特に、上記平均分子量3,500〜6,000D
aの硫酸化多糖及び当該硫酸化多糖を含有し且つ平均分
子量4,000〜4,500Daの画分は、上記当該増
殖因子活性を抑制する活性を、上記濃度条件下において
60%以上保持しており、さらに優れている。
【0036】また、平均分子量3,500〜6,000
Daの硫酸化多糖及び該硫酸化多糖を含有する平均分子
量4,000〜4,500Daの画分は、bFGF活性
測定方法による活性促進効果を測定した結果、bFGF
2ng/mlに対して当該硫酸化多糖0.5〜5μg/
mlの濃度において、促進効果を保持しており、当該促
進効果は標準ヘパリンと比較して50%以上、好ましく
は60%以上保持している。
【0037】本発明は、上記低分子化硫酸化多糖の有す
るbFGF活性を促進或いは抑制する性質を利用し、該
硫酸化多糖を有効成分として含有するbFGF活性促進
剤及び活性抑制剤を提供するとともに、bFGF活性促
進剤をbFGFと混合して医薬組成物とすることによ
り、bFGFの細胞増殖活性がより促進された医薬を提
供する。即ち、本発明の医薬組成物は、本発明の低分子
化硫酸化多糖或いは該硫酸化多糖を含有する画分を有効
成分として含有するものである。
【0038】本発明のbFGF活性維持促進効果を有す
る硫酸化多糖は、生体に投与することにより、bFGF
の活性を安定化し、例えば、創傷治癒促進などに有用で
ある。bFGFを含有する本発明医薬組成物により当該
因子活性を促進することによって、例えば糖尿病患者で
多発する床ずれ等の治療及び予防に有用である。また、
内因性のbFGFが十分に産出されている患者や部位を
治療する場合、必ずしも外部からbFGFを投与する必
要はなく、有効成分として本発明の硫酸化多糖のみを含
有する医薬組成物でも十分に目的を達成できる。また本
発明のbFGF活性抑制効果を有する硫酸化多糖は、腫
瘍、血管狭窄、炎症、ケロイド等の治療や予防に有用で
ある。
【0039】本発明の低分子化硫酸化多糖からなるbF
GF活性維持促進剤及びbFGF活性抑制剤、又は上記
のbFGFを含有するbFGF活性維持促進組成物を生
体内外に投与する際の剤型及び投与経路としては、対照
となる疾患の性質や重篤度に応じて適宜選択することが
できる。例えば、それらをそのまま、又は他の薬理的に
許容され得る担体、賦形剤、希釈剤等と共に医薬組成品
(例えば、注射剤、錠剤、カプセル剤、液剤、軟膏等、
ゲル剤)として、温血動物(例えば、ヒト、マウス、ラ
ット、ハムスター、ウサギ、犬、ネコ、ウマ等)に対し
て、非経口的又は経口的に安全に投与することができ
る。
【0040】本発明の医薬組成物の有効成分である低分
子化硫酸化多糖の配合量並びに投与量は、その製剤の投
与方法、投与形態、使用目的、患者の具体的症状、患者
の体重などに応じて個別的に決定されるべき事項であ
り、特に限定はされないが、低分子化硫酸化多糖の臨床
投与量として1日当たり概ね100μg/kg〜100
mg/kg程度を例示することができる。また、上記製
剤の投与間隔は1日1回程度でも可能であり、1日2〜
4回、又はそれ以上の回数に分けて投与することもでき
る。また、例えば点滴などにより連続的に投与すること
も可能である。
【0041】なお、本発明の医薬組成物の有効成分であ
る低分子化硫酸化多糖は、後述する実施例において細胞
に対する毒性は見られなかった。ヘパリンのマウス
(雄、雌)における急性毒性試験によるLD50は、経
口投与で5,000mg/kg以上、皮下又は腹腔内投
与で2,500mg/kg以上、静注で1,000mg
/kg程度であることが知られている。本発明の医薬組
成物の有効成分である低分子化硫酸化多糖は、APTT
活性、抗トロンビン活性が標準ヘパリンと比較して共に
2%未満と極めて低いため、このことからも本発明の医
薬組成物の有効成分である硫酸化多糖の安全性は高い。
【0042】
【実施例】本発明を以下に実施例により具体的に説明す
るが、本発明はその要旨を超えない限りこれらに限定さ
れるものではない。なお、本発明のそれぞれの硫酸化多
糖の同定及び活性評価は以下の方法に基づいて行った。
【0043】試験法1 [酵素消化による二糖分析]硫酸化多糖の硫酸基の位置
の分析は、次のようにして行った。すなわち、それぞれ
の硫酸化多糖を酵素消化し、生成した不飽和二糖(前記
構造式:化1)を高速液体クロマトグラフィー(HPL
C)で分析した[新生化学実験講座3、糖質II(東京
化学同人刊、1991)p49−62に記載の「2・8
グリコサミノグリカン分解酵素とHPLCを組み合わせ
た構造解析」参照]。各不飽和二糖のピーク面積を計算
して、全面積に対するピーク面積をパーセントとして表
した。
【0044】(1) 硫酸化多糖及び硫酸化多糖の切断処
理により生成した低分子化硫酸化多糖の分解酵素による
消化 新生化学実験講座3、糖質II p54−59に記載の
方法により、硫酸化多糖あるいは低分子化硫酸化多糖
1.0mgを2mM酢酸カルシウムを含む20mM酢酸
ナトリウム(pH7.0)220μlに溶解して、20
mUのヘパリナーゼ、20mUのヘパリチナーゼI及び
IIを加えて、37℃2時間反応させた。
【0045】(2) HPLCによる分析 硫酸化多糖又は低分子化硫酸化多糖の分解酵素による消
化を行った後の溶液50μlを、HPLC(医理化、モ
デル852型)を用いて分析した。イオン交換カラム
(Dionex社、CarboPac PA−1カラム
4.0mm×250mm)を使用し、232nmでの吸
光度を測定した。4〜12糖スタンダードを基準とし
(Yamada, et al., J.Biol.Chem.,270 , 8696-8706,(19
95))、 流速1ml/分で、塩化リチウムを用いたグラ
ジエント系(50mM→2.5M)を用いる方法に準拠
した(Kariya, et al.Comp.Biochem.Physiol.,103B,47
3,(1992))。
【0046】試験法2 [分子量測定]硫酸化多糖の切断処理により生成した低
分子化硫酸化多糖の3%溶液10μlをHPLCによる
ゲルろ過で分析した。カラムはTSKgel−(G40
00+G3000+G2500)PWX(東ソー、7.
8mm×30 cm)を用い、溶離液に0.2M塩化ナトリ
ウムを使用して、1.0ml/分の流速で展開した。低
分子化硫酸化多糖の検出には示差屈折計(島津製作所、
AID−2A)を用いた。表−2における重量平均分子
量はヘパリンの分子量標準品を対照にして求めた(Kane
da et al.Biochem. Biophys. Res. Comm.,220 PP.108-1
12(1996))。標準ヘパリンの分子量の測定は光散乱法を
用いて行った(Nagasawa et al., J.Biochem.81,989-99
3,(1977))。
【0047】試験法3 [bFGF活性維持促進効果と活性抑制効果の測定]b
FGF活性促進効果測定のため、10%の牛血清を含ん
だDMEM培地(LifeTechnologies社製)で継代維持さ
れたA31細胞(BALB/c 3T3)を、1μg/
mlのテストサンプルを含む100μlのITS+(Co
llaborativeResearch社製)、20mM NaClO3
2ng/mlヒト組み換えbFGF(hrbFGF)
(生化学工業(株)製)を含んだSO4 2-フリーDME
Mと共に96−マルチウェルカルチャープレートにプレ
ートした。3日間の培養後、20μlのセルタイター9
6AQノンラジオアクティブ細胞増殖アッセイ溶液(生
化学工業(株)製)を各ウェルに添加し、37℃で2時
間培養後、490nmでの吸光度を測定することによ
り、それぞれのウェルの細胞増殖を定量した。表−3に
おいて、1μl/mlの標準ヘパリンを加えた時の細胞
増殖促進を100とし、加えない時を0とした。
【0048】またbFGF活性抑制効果測定のために
は、上記細胞を80μg/mlのテストサンプルを含む
100μlのITS+、2ng/mlのhrbFGFを
含んだDMEMとともに96−マルチウェルカルチャー
プレートにプレートし、3日間の培養後、同様にそれぞ
れのウェルの細胞増殖を定量した。表−3において、8
0μg/mlの標準ヘパリンを加えた時の細胞増殖抑制
を100とし、加えない時を0とした。
【0049】試験法4 [APTT及び抗トロンビン活性の測定]APTTの測
定のため、ラットの下大動脈より3.2%クエン酸1/
10容量で採血し、血液を1,000×g、10分間遠
心分離し得た血奬100μlと様々な濃度の各サンプル
100μlとを測定用カップに入れ、37℃で1分間保
温した。その後、あらかじめ37℃に保温しておいたア
クチン(商品名:(株)ミドリ十字)100μlを添加
し、さらに2分間保温した。次いで、37℃に保温して
おいた0.02M CaCl2溶液100μlを添加
し、この時より凝固がおこるまでの時間を血液凝固自動
測定装置(KC−10A:アメルング社製)で測定し
た。表−3において、標準ヘパリンのAPTT活性を1
00とした時の低分子化硫酸化多糖のAPTT活性を示
した。
【0050】抗トロンビン活性の測定のため、上記当該
ラット血奬100μlと様々な濃度の各サンプル100
μlとを測定用カップに入れ、37℃で1分間保温し
た。その後、37℃に保温したトロンビン(10U/m
l)100μlを添加し、この時より凝固が起こるまで
の時間を上記血液凝固自動測定装置で測定した。表−3
において、標準ヘパリンの抗トロンビン活性を100と
した時の抗トロンビン活性を示した。
【0051】本明細書における標準ヘパリン 標準ヘパリンは、牛小腸由来のヘパリンが好ましく、以
下に示す物性のヘパリンを標準ヘパリンとする。 (1) 上記試験法1に記載の二糖分析法による測定値か
ら算出した二糖体組成が表−1に記載の標準ヘパリンの
数値、即ち、ΔDi−0S:4.3%、ΔDi−NS:
2.3%、ΔDi−6S:0.5%、ΔDi−US:
1.4%、ΔDi−di(6,N)S:6.9%、ΔD
i−di(U,N)S:27.5%、ΔDi−di(U,
6)S:0%、ΔDi−tri(U,6,N)S:57.
1%であり、ウロン酸2位脱硫酸化率0%を示す(%は
すべてモル%比を表す)。 (2) 抗血液凝固活性が160IU/mgである。 (3) 平均分子量が12,000〜13,000Daで
ある。
【0052】実施例1(製造例) 1.硫酸化多糖の部分的脱硫酸化 ヘパリンナトリウム塩(重量平均分子量:12,200
Da、Syntex社製:以下当該ヘパリンを標準ヘパ
リンとした)500mgを、0.4、0.2、0.1、
0.05、0.025及び0.0125Nの水酸化ナト
リウム水溶液並びに蒸留水各10mlで溶解し、凍結乾
燥した。その生成物は続いて、10mlの1M水酸化ナ
トリウム溶液で溶解し、20%酢酸溶液でpH9に調節
した後、蒸留水に対して2日間透析し、再び凍結乾燥す
ることにより部分的に2位の硫酸基を脱硫酸化したヘパ
リン(部分的2−O−脱硫酸化ヘパリン)のナトリウム
塩が得られた。ヘパリンの上記部分的2−O−脱硫酸化
処理前と処理後の酵素消化による二糖分析値から算出し
た二糖体組成及び2−O−脱硫酸化率を表−2に示す。
【0053】
【表2】
【0054】2.部分的脱硫酸化ヘパリンの酸化開裂 得られた部分的2−O−脱硫酸化ヘパリンのそれぞれ
を、過ヨウ素酸ナトリウムの存在下で酸化した。この反
応は、それぞれの部分的2−O−脱硫酸化ヘパリン5
%、0.1Mの過ヨウ素酸化ナトリウム、50mMの酢
酸ナトリウムを含んだpH5の溶液中で、4℃、3日間
酸化処理して行った。酸化処理後、過剰の過ヨウ素酸を
最終濃度250mMのグリセリンを加えることで還元
し、蒸留水に対して透析し、部分的に2−O−脱硫酸化
したヘパリンの過ヨウ素酸酸化生成物を得た。この酸化
反応処理時に生成したアルデヒド基は、0.2Mの水素
化ホウ素ナトリウムを含んだpH9の該酸化ヘパリン
(W/V)10%溶液を4℃、3時間反応させることで
還元した。過剰な水素化ホウ素ナトリウムは、反応液の
pHを希塩酸で5に調節し、30分間室温で放置するこ
とで分解し、再び水酸化ナトリウムでpHを9に調節し
た後、蒸留水への透析と凍結乾燥により、過ヨウ素酸酸
化・還元生成物のナトリウム塩を得た。
【0055】3.ウロン酸残基の開裂による低分子化 次いで、それぞれの過ヨウ素酸酸化・還元生成物のナト
リウム塩を希硫酸でpH2に調節し、60℃で3時間加
熱することにより、酸化還元反応を受けたウロン酸残基
の定量的解重合によるヘパリンの段階的低分子化を達成
した。それぞれ得られた低分子化硫酸化多糖は、水酸化
ナトリウムでpH9に調節した後、1,000MW c
utoffの透析チューブ(Spectrum社製)を
用いて、蒸留水に対する透析と凍結乾燥により、それぞ
れ低分子化硫酸化多糖のナトリウム塩を得た。上記試験
法に従い、ゲル浸透クロマトグラフィーにより各々の硫
酸化多糖の平均分子量を測定しその結果を表−3に記載
した。
【0056】4.bFGF活性促進、抑制効果及びAP
TT、抗トロンビン活性の測定 表−2に記載の標準ヘパリン及び当該標準ヘパリンから
得られた低分子化硫酸化多糖のそれぞれについて、上記
試験法によりそのbFGF活性促進効果及び活性抑制効
果並びにAPTT及び抗トロンビン活性を調べた。その
結果を表−3に記載した。
【0057】
【表3】
【0058】また、得られた低分子化硫酸化多糖につい
て、上記試験法による二糖分析の測定値から二糖体組成
を算出し、その結果を表−4に記載した。
【0059】
【表4】
【0060】実施例2(製剤例) (1)注射剤 前記製造例において製造した低分子化硫酸化多糖か
らHPLCにより調製した平均分子量4,500Da及
び2,500Daの低分子化硫酸化多糖(30mg/m
l)を、終濃度5mg/mlとなるように5%マンニト
ール水溶液に溶解し、これを無菌濾過した後、2mlず
つアンプルに分注して2種類の注射剤を製造した。 前記の平均分子量4,500Daの低分子化硫酸化多
糖(30mg/ml)を、終濃度100μg/mlとな
るように5%マンニトール水溶液に溶解し、これを無菌
濾過した後、2mlずつアンプルに分注して注射剤を製
造した。
【0061】前記の平均分子量4,500Daの低分
子化硫酸化多糖(30mg/ml)を、bFGFと共に
終濃度100μg/ml、bFGFが1μg/mlとな
るように5%マンニトール水溶液に溶解し、これを無菌
濾過した後、2mlずつアンプルに分注して注射剤を製
造した。
【0062】(2)錠剤 前記の平均分子量4,500Da及び2,500Da
の低分子化硫酸化多糖の凍結乾燥物100mg、乳糖6
70mg、バレイショデンプン150mg、結晶セルロ
ース60mg及び軽質無水ケイ酸50mgを混合し、こ
れにヒドロキシプロピルセルロース30mgをメタノー
ルに溶解した溶液(ヒドロキシプロピルセルロース10
重量%)を添加して練合造粒した。次にこれを径0.8
mmのスクリーンで押し出して顆粒状にし、乾燥した
後、ステアリン酸マグネシウム15mgを添加して圧縮
成型し、2種類の200mgの錠剤を製造した。
【0063】前記の平均分子量4,500Daの低分
子化硫酸化多糖の凍結乾燥物5mg、乳糖700mg、
バレイショデンプン150mg、結晶セルロース60m
g及び軽質無水ケイ酸50mgを混合し、これにヒドロ
キシプロピルセルロース30mgをメタノールに溶解し
た溶液(ヒドロキシプロピルセルロース10重量%)を
添加して練合造粒した。次にこれを径0.8mmのスク
リーンで押し出して顆粒状にし、乾燥した後、ステアリ
ン酸マグネシウム15mgを添加して圧縮成型し、20
0mgの錠剤を製造した。
【0064】前記の平均分子量4,500Daの硫酸
化多糖画分の凍結乾燥物5mg、bFGF2μg、乳糖
700mg、バレイショデンプン150mg、結晶セル
ロース60mg及び軽質無水ケイ酸50mgを混合し、
これにヒドロキシプロピルセルロース30mgをメタノ
ールに溶解した溶液(ヒドロキシプロピルセルロース1
0重量%)を添加して練合造粒した。次にこれを径0.
8mmのスクリーンで押し出して顆粒状にし、乾燥した
後、ステアリン酸マグネシウム15mgを添加して圧縮
成型し、200mgの錠剤を製造した。
【0065】(3)カプセル剤 前記の平均分子量4,500Da及び2,500Da
の低分子化硫酸化多糖の凍結乾燥物100mg、バレイ
ショデンプン150mg、軽質無水ケイ酸50mg、ス
テアリン酸マグネシウム10mg及び乳糖765mgを
均一に混合し、この混合物を200mgずつ分取して硬
カプセルに充填して、2種類のカプセル剤を製造した。 前記の平均分子量4,500Daの低分子化硫酸化多
糖の凍結乾燥物5mg、バレイショデンプン150m
g、軽質無水ケイ酸50mg、ステアリン酸マグネシウ
ム10mg及び乳糖860mgを均一に混合し、この混
合物を200mgずつ分取して硬カプセルに充填してカ
プセル剤を製造した。 前記の平均分子量4,500Daの低分子化硫酸化多
糖の凍結乾燥物5mg、bFGF2μg、バレイショデ
ンプン150mg、軽質無水ケイ酸50mg、ステアリ
ン酸マグネシウム10mg及び乳糖860mgを均一に
混合し、この混合物を200mgずつ分取して硬カプセ
ルに充填してカプセル剤を製造した。
【0066】(4)軟膏剤 前記の平均分子量4,500Da及び2,500Da
の低分子化硫酸化多糖の凍結乾燥物100mg、鉱油4
g、石油ゼリー8g、混合メチル/プロピルパラバン6
0mg、非イオン性界面活性剤1g及び精製水30gを
均一に混合し、この混合物を容器に充填して2種類の軟
膏剤を製造した。 前記の平均分子量4,500Daの低分子化硫酸化多
糖の凍結乾燥物5mg、鉱油4g、石油ゼリー8g、混
合メチル/プロピルパラバン60mg、非イオン性界面
活性剤1g及び精製水30gを均一に混合し、この混合
物を容器に充填して軟膏剤を製造した。 前記の平均分子量4,500Daの低分子化硫酸化多
糖の凍結乾燥物5mg、bFGF2μg、鉱油4g、石
油ゼリー8g、混合メチル/プロピルパラバン60m
g、非イオン性界面活性剤1g及び精製水30gを均一
に混合し、この混合物を容器に充填して軟膏剤を製造し
た。
【0067】
【発明の効果】本発明によれば、任意の分子量を持ち一
定構造で特定の生物活性を有するヘキソサミンとウロン
酸の繰り返し構造を基本骨格とする低分子化硫酸化多糖
を提供することができ、該低分子化硫酸化多糖は、それ
を構成する所定割合の二糖体組成割合からなり、且つ所
定範囲の平均分子量を有することで特徴付けられるが、
これらは、標準ヘパリンに比し低い抗血液凝固活性を呈
し、また、bFGF活性を促進或いは抑制する活性も保
持しているので、該硫酸化多糖はbFGF活性を制御
し、抗血液凝固活性が低い医薬品組成物として利用する
ことが可能である。更に、本発明では、硫酸化多糖の2
−O−脱硫酸化されるウロン酸量の制御、つまりその脱
硫酸化処理条件を制御するという簡単な方法によりこの
任意の分子量を有する低分子化硫酸化多糖の製造を可能
とするものであり、工業的製造法として利するところが
大である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08B 37/10 C08B 37/10

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】グリコサミノグリカン分解酵素による分解
    と高速液体クロマトグラフィーによる分析を組み合わせ
    た二糖分析により得られる下記構造式で表される二糖体
    組成において(A)の規定を充たし、且つ(B)及び
    (C)に規定する物性を有することを特徴とするヘキソ
    サミンとウロン酸の繰り返し構造を基本骨格とする低分
    子化硫酸化多糖。 (A)ΔDi−tri(U,6,N)Sのモル%が65
    %以上(但し、ΔDi−tri(U,6,N)Sは、式
    中において、R1、R2、R3がSO3 -であることを意味
    する。)。 (B)APTT活性及び抗トロンビン活性の少なくとも
    一方が標準ヘパリンに比して2%以下 (C)平均分子量が1,000〜8,000Da(ダル
    トン) 【化1】
  2. 【請求項2】請求項1に記載の二糖体組成において、Δ
    Di−USを実質的に含有しないことを特徴とする請求
    項1に記載の低分子化硫酸化多糖(但し、ΔDi−US
    は、上記構造式中においてR1がH、R2が−COC
    3、R3がSO3 -であることを意味する。)。
  3. 【請求項3】平均分子量が3,500〜6,000Da
    であることを特徴とする請求項1又は2のいずれか一項
    に記載の低分子化硫酸化多糖。
  4. 【請求項4】平均分子量が1,000〜3,500Da
    であることを特徴とする請求項1又は2のいずれか一項
    に記載の低分子化硫酸化多糖。
  5. 【請求項5】塩基性繊維芽細胞増殖因子の細胞増殖活性
    に対する促進効果及び抑制効果の少なくともいずれかの
    効果が、標準ヘパリンに比して50%以上であることを
    特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の低分子
    化硫酸化多糖。
  6. 【請求項6】標準ヘパリンに対する抗トロンビン活性及
    びAPTT活性が、0≦抗トロンビン活性/APTT活
    性≦0.5であることを特徴とする請求項1〜5のいず
    れか一項に記載の低分子化硫酸化多糖。
  7. 【請求項7】塩基性繊維芽細胞増殖因子の細胞増殖活性
    に対する促進効果が標準ヘパリンに比して実質的に0%
    であり、かつ抑制効果が60%以上であることを特徴と
    する請求項1、2又は4〜6のいずれか一項に記載の低
    分子化硫酸化多糖。
  8. 【請求項8】抗トロンビン活性及びAPTT活性が標準
    ヘパリンに比して、1%以下であることを特徴とする請
    求項1、2又は4〜7のいずれか一項に記載の低分子化
    硫酸化多糖。
  9. 【請求項9】下記の工程を含む方法により得られる請求
    項1〜8に記載の低分子化硫酸化多糖。 (a)ヘキソサミンとウロン酸の繰り返し構造を基本骨格
    とする硫酸化多糖の構成ウロン酸の2位の硫酸基を部分
    的脱硫酸化し、 (b)次いで酸化剤により2位の硫酸基を有しないウロン
    酸を2位と3位の炭素原子間で開裂した後、 (c)上記開裂された糖残基において硫酸化多糖の切断処
    理を行うこと。
  10. 【請求項10】ヘキソサミンとウロン酸の繰り返し構造
    を基本骨格とする硫酸化多糖がヘパリンであることを特
    徴とする請求項9に記載の低分子化硫酸化多糖。
  11. 【請求項11】構成ヘキソサミンがD−グルコサミンで
    あることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に
    記載の低分子化硫酸化多糖。
  12. 【請求項12】構成ウロン酸がD−グルクロン酸又はL
    −イズロン酸であることを特徴とする請求項1〜11の
    いずれか一項に記載の低分子化硫酸化多糖。
  13. 【請求項13】下記工程を含むことよりなるヘキソサミ
    ンとウロン酸の繰り返し構造を基本骨格とする低分子化
    硫酸化多糖の製造法。 工程: (a)ヘキソサミンとウロン酸の繰り返し構造を基本骨格
    とする硫酸化多糖の構成ウロン酸の2位の硫酸基を2〜
    85%部分的脱硫酸化し、 (b)次いで酸化剤により2位に硫酸基を有しないウロン
    酸を2位と3位の炭素原子間で開裂した後、 (c)上記開裂された糖残基において、硫酸化多糖の切断
    処理を行うこと。
  14. 【請求項14】ヘキソサミンとウロン酸の繰り返し構造
    を基本骨格とする硫酸化多糖がヘパリンである請求項1
    3に記載の低分子化硫酸化多糖の製造法。
  15. 【請求項15】請求項13に記載の製造法において、工
    程(a)の部分的脱硫酸化反応はアルカリの存在下行わ
    れ、該アルカリ濃度を調整することにより硫酸化多糖の
    分子量を制御することを特徴とする請求項13又は14
    に記載の低分子化硫酸化多糖の製造法。
  16. 【請求項16】部分的脱硫酸化反応はアルカリ存在下、
    凍結乾燥処理によって行われ、該アルカリ濃度が0.0
    1〜0.2Nであることを特徴とする請求項15に記載
    の低分子化硫酸化多糖の製造法。
  17. 【請求項17】請求項1〜12のいずれか一項に記載の
    低分子化硫酸化多糖を有効成分として含有することを特
    徴とする医薬組成物。
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