JP3929486B2 - 脱硫酸化多糖の製造法及び脱硫酸化ヘパリン - Google Patents

脱硫酸化多糖の製造法及び脱硫酸化ヘパリン Download PDF

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Description

技術分野
本発明は、硫酸化多糖の第1級水酸基に結合している硫酸基を選択的に脱硫酸した脱硫酸化多糖の製造法及びこの製造法により得られた脱硫酸化されたヘパリンに関する。
背景技術
生物活性を有する硫酸化多糖を提供するために、硫酸化多糖の様々な脱硫酸化方法が研究されている。硫酸化多糖の脱硫酸化方法としては、塩化水素/メタノール中で酸触媒により脱硫酸化する方法が知られている(Kantor T.G. and Schubert M., J. Amer. Chem. Soc. Vol.79, p.152 (1957))。しかし、この方法では特定の硫酸基のみを脱硫酸化することはできず、またグリコシド結合のメタノリシスによる糖鎖の切断が起こるため低分子量化し、もとの鎖長を有する反応生成物の収量は低下する。
収量よく脱硫酸化を行う方法として、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)又はピリジン等の非プロトン性溶媒中(Usov A. et a1. Carbohydr. Res., Vol. 18, p.336 (1971))又は少量の水又はメタノールを含むDMSO中(Nagasawa K. et a1. Carbohydr. Res., Vol. 58, p. 47 (1977), Nagasawa K. et al. J. Biochem., Vol. 86, p. 1323 (1979))で行うソルボリシスがある。ソルボリシスの反応機構は、非プロトン性の溶媒中で三酸化硫黄とアミンの複合体を用いて行う硫酸化反応の逆反応であることが知られている。この反応は、反応条件をコントロールすることによりN−硫酸基の選択的脱硫酸方法として用いることができる。しかし、第1級又は第2級水酸基に結合しているO−硫酸基を脱離させることはできなかった。さらに、この方法をオリゴ糖又は多糖に適用した場合、DMSO等の溶媒を反応後に除去する操作が煩雑であること、完全に脱硫酸化するには反応温度を上昇させる必要があり、このような反応条件ではグリコシド結合の切断が起こること、などの問題点があった。
他方、糖類の第1級水酸基に結合した硫酸基を特異的に脱硫酸化する方法として、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(BTSA)を用いる方法がある(Matsuo, M. et al., Carbohydr. Res., Vol. 241, pp. 209-215 (1993))。この方法をヘパリンに適用した場合、グルコサミンの6位の硫酸基は比較的特異的に除去される。しかし、酵素消化法によってその微細構造を調べた結果では、第1級水酸基に結合した硫酸基が脱離すると同時に少量のN−硫酸基の離脱が起こることが分かった。このため、より選択性の高い第1級水酸基結合硫酸基の除去法が求められていた。
第1級水酸基に結合している硫酸基の特異的脱離法の開発は、ヒトに対し好ましい生物活性を有する医薬品の創造を目的とした硫酸化多糖を提供するために非常に重要である。例えば、硫酸化多糖であるデキストラン硫酸、キシラン硫酸、コンドロイチン硫酸、ヘパリンなどは、脂質代謝改善剤、抗血栓剤として使用されているが、人工的に硫酸基を導入したものは、導入した硫酸基の位置が特定できず、多量に硫酸基を導入するに従い組織からの出血傾向が強まる副作用が生ずることも知られている。また、天然由来の硫酸化多糖は、起源の違いにより硫酸基の位置、量がそれぞれ異なり、各硫酸化多糖の生理活性も微妙に異なる。
いろいろな生理活性蛋白質との特異的な結合能をもつヘパリンの脱硫酸化はとりわけ重要と考えられる。例えば、塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF)と相互作用し、その安定化と細胞増殖に対する活性を促進するヘパリンの構造は、N−硫酸基とイズロン酸の2位硫酸基を豊富に含んでおり、6位硫酸基を必要としない(Ishihara, M. et al., Glycobiology,Vol. 4, pp.451-458 (1994))。一方、酸性繊維芽細胞増殖因子(aFGF)やFGF−4(カポシ肉腫FGF)との活性促進には豊富な6位硫酸基も必要である(Ishihara, M., Glycobiology, Vol. 4, pp. 817-824 (1994))。従って、ヘパリンからグルコサミンの第1級水酸基(6位水酸基)の硫酸基を除去することにより得られた選択的6位脱硫酸化ヘパリンは、脱硫酸化を行う前のヘパリンと比べて抗凝固活性は低下するが、特異的にbFGF活性を促進する効果を維持し、且つ、他の多くの生体内生理活性分子との相互作用から生じる望ましくない生理活性を低く抑える効果が期待できる。
繊維芽細胞増殖因子(FGF)と多糖類を使用した組成物としては、例えば、USP5288704号(特開平6−80583号)に記載された、FGFと、抗ウィルス活性を有する硫酸化多糖及び賦形剤から成る医薬組成物、EP公開509517号に記載された、FGFと、L−イズロン酸2硫酸及びN−スルホ−D−グルコサミンから成り、かつ8−18糖で構成されるFGFと結合性を有するオリゴ糖の少なくとも1種を含有する組成物、及び特開平2−40399号に記載された、FGFムテインとグリコサミノグリカンとの複合体或いはこれらを配合した組成物が提案されている。このうち、USP5288704号に記載の医薬組成物において使用されている硫酸化多糖としては、脱硫酸化されたものは記載されておらず、医薬組成物は抗ウィルス活性の共働作用による増強を目的としている。また、EP公開509517号に記載された組成物は、脱硫酸化されていない特定のオリゴ糖を使用しており、特開平2−40399号に記載された組成物は、天然のグリコサミノグリカンを使用しており、脱硫酸化処理が施されたものではない。
本発明者は、硫酸化多糖の第1級の水酸基に結合している硫酸基のみを脱硫酸化することにより、出血作用などの副作用が少なく、かつその硫酸化多糖本来の生物活性をより特異的に発現させることを目的として、位置選択性が高く、グリコシド結合の切断、N−硫酸基の脱離等の副反応のない脱硫酸化法を鋭意検討し、本発明に到達した。
発明の開示
本発明は、第1級水酸基が硫酸エステル化された糖を構成糖として含有する硫酸化多糖に、下記式(I)
Figure 0003929486
式中、R1は同一又は異なり水素原子又はハロゲン原子を示し、R2は低級アルキル基を示し、R3は同一又は異なり低級アルキル基、アリール基又はハロゲン原子を示す、
で表されるシリル化剤を反応させることにより、第1級水酸基に結合している硫酸基を選択的に脱硫酸化することを特徴とする脱硫酸化多糖の製造法である。
上記方法において、硫酸化多糖を有機塩基塩などの有機溶媒可溶性塩とし、反応を有機溶媒中で行うことが好ましい。
また、脱硫酸化反応後、更にシリル化された水酸基のシリル基を除去する処理を行うことが好ましい。
本発明は、また、下記の特性:
(1)酵素分解および高速液体クロマトグラフィーを用いる測定によって測定した不飽和二糖組成のうち、第2図に示すΔDiHS−tri(U,6,N)S含量が10〜40%、ΔDiHS−di(U,N)S含量が30〜60%、
(2)N−置換硫酸基を含む二糖含量が75〜95%、
(3)重量平均分子量(Mw)が4,000〜30,000ダルトン、
(4)抗トロンビン活性が20U/mg〜150U/mg、及び
(5)塩基性繊維芽細胞増殖因子の細胞増殖に対する活性促進効果が脱硫酸化を行なっていないヘパリンに対して80%以上を維持する
を有することを特徴とする選択的に脱硫酸化されたヘパリンを提供する。
本発明は、更に、上記の製造法によりヘパリンを脱硫酸化して得られた脱硫酸化ヘパリンであって、前記(1)〜(5)の特性を有することを特徴とする選択的に脱硫酸化されたヘパリンを提供する。
本発明は、更に、上記脱硫酸化ヘパリンを有効成分として含有する塩基性繊維芽細胞増殖因子活性促進剤、並びに上記脱硫酸化ヘパリン及び塩基性繊維芽細胞増殖因子を含有する塩基性繊維芽細胞増殖因子の細胞増殖に対する活性が促進された組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
第1図は、MTSTFA量変化に伴うメチル−α−ガラクトピラノシド−6硫酸の脱硫酸化率を示したグラフである。
第2図は、グリコサミノグリカンを酵素消化することによって生成する各種不飽和二糖異性体の構造と略称の関係を示すものである。図中、Acはアセチル基を示す。
発明を実施するための最良の形態
本発明の製造法によれば、硫酸化多糖の第1級水酸基(構成糖単位が五炭糖(ペントース)又は六炭糖類(ヘキソース)からなる場合は、それぞれ5位又は6位の水酸基を表す)に結合している硫酸基の完全な脱硫酸化を、又は反応条件を制御することによって部分的な脱硫酸化を、位置選択的に行うことができる。
本発明の方法が適用される硫酸化多糖は、第1級水酸基が硫酸エステル化された糖を構成糖として有する多糖(本発明においては、「多糖」をオリゴ糖及び複合多糖を包含する用語として使用する)であれば特に制限されない。このような硫酸化多糖は天然物から抽出単離されたものであっても、合成されたものであってもよい。このような硫酸化多糖としては、N−置換グリコサミンを構成糖として有するものが挙げられ、特に従来の脱硫酸化法では脱硫酸化されやすいN−硫酸基を有するN−硫酸化グリコサミンを構成糖とするものが好ましい。
本発明において使用される硫酸化多糖として、具体的には、第1級水酸基が硫酸エステル化されたN−置換グリコサミンを構成糖として有するもの等が挙げられる。N−置換グリコサミンを構成糖として有するものとしては、N−硫酸化もしくはN−アセチル化されたグルコサミンもしくはガラクトサミンを構成糖として有するグリコサミノグリカン、例えば、ヘパリン、ヘパラン硫酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸等;D−ガラクトース−6硫酸を構成糖として有するフノラン;及びL−ガラクトース−6硫酸を構成糖として有するポルフィラン等が例示される。
本発明では通常脱硫酸化反応を有機溶媒中で行うので、硫酸化多糖は有機溶媒に可溶性の塩として反応に供される。この様な有機溶媒可溶性塩としては、硫酸化多糖の有機塩基塩が挙げられ、有機塩基としては、ピリジン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン等の芳香族アミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、トリオクチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,8−ナフタレンジアミン等の3級アミン;N−メチルピリミジン、N−エチルピリミジン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等のN−アルキル複素環アミン等が挙げられる。硫酸化多糖の有機塩基塩は、遊離の硫酸化多糖を有機塩基と反応させることによって容易に得ることができる。
脱硫酸化反応は、通常無水の有機溶媒中、硫酸化多糖に前記式(I)で示されるシリル化剤を作用させることによって達成される。この反応によって、硫酸エステル化された水酸基から硫酸基が脱離するとともに、水酸基のシリル化が起こる。
反応に使用する有機溶媒は、硫酸化多糖の塩の形成に使用した前記の有機塩基(ピリジン等)が好ましいが、有機塩基の代わりに、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン等の非プロトン性溶媒を使用してもよい。
シリル化剤である式(I)で表される化合物において、R1は同一又は異なり水素原子又はフッ素等のハロゲン原子を示し、R2はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル等の炭素数1〜6の低級アルキル基を示し、R3は同一又は異なり前記と同様の低級アルキル基、フェニル等のアリール基又は塩素、フッ素等のハロゲン原子を示す。式(I)における(R33Siとしては、トリメチルシリル、トリエチルシリル、ジメチルイソプロピルシリル、イソプロピルジメチルシリル、メチルジ−t−ブチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジフェニルシリル、トリイソプロピルシリル基等が例示される。式(I)で表されるシリル化剤として最も好ましいものは、N−メチル−N−トリメチルシリルアセトアミド(MTMSA)又はN−メチル−N−トリメチルシリルトリフルオロアセトアミド(MTSTFA)である。
反応は、室温〜100℃において数分〜数十時間で終了する。室温より低い温度では反応が十分に進行せず、100℃以上の温度では硫酸化多糖のグリコシド結合が開裂するおそれがある。反応条件、特に反応温度を変化させることによって脱硫酸化の程度を制御することができる。例えば、30〜100℃、30分〜3時間程度、好ましくは65〜90℃、30分〜2時間の反応では、存在する硫酸基の部分的な脱硫酸化を行うことができ、90〜100℃、2〜6時間程度の反応ではより完全な脱硫酸化を行うことができる。
シリル化剤の使用量は、硫酸化多糖の全水酸基(非置換及び置換水酸基の全て)1モルに対して3〜100倍モル程度であり、好ましくは3〜30倍モル程度である。シリル化剤の使用量を変化させることによっても脱硫酸化の程度を制御することができる。
かくして、硫酸化多糖の第1級水酸基に結合している硫酸基が部分的に又は完全に除去された脱硫酸化多糖を得ることができる。なお、脱硫酸化反応後、未反応のシリル化剤を非反応性とするため、また脱硫酸化多糖の水酸基に結合したシリル基を除去するためには、例えば反応液に水を加え及び/又は反応液を水に対して透析することにより目的を達成することができる。さらに、必要に応じて常法に従ってシリル基の除去反応を行うこともできる。この反応は、例えば上記の処理を行った溶液を、pH9〜9.5程度のアルカリ条件下又は加熱条件下に置くことによって行われる。
脱硫酸化多糖にアニオン性の官能基が存在する場合、それに対する対イオンを溶液中に存在させて塩を形成させることができる。例えば、シリル基除去反応後の脱硫酸化多糖の水溶液に水酸化アルカリ金属(水酸化ナトリウム等)を添加し、必要に応じて透析した後、凍結乾燥等の非加熱条件下における脱水工程に付すことによって、脱硫酸化多糖のアルカリ金属塩を得ることができる。具体的には、これらに残存する硫酸基をNa塩とするために、水酸化ナトリウムを加えてpH9前後に調整し、透析した後、凍結乾燥して脱硫酸化多糖のナトリウム塩を得ることができる。
本発明の製造法により得られる選択的に脱硫酸化された脱硫酸化多糖の中で、特にヘパリンが好ましく、この選択的に脱硫酸化されたヘパリンは、下記の特性を有するものである。
(1)酵素分解および高速液体クロマトグラフィーを用いる測定によって測定した不飽和二糖組成のうち、ΔDiHS−tri(U,6,N)S含量が10〜40%、ΔDiHS−di(U,N)S含量が30〜60%であり、
(2)N−置換硫酸基を含む二糖含量が75〜95%であり、
(3)重量平均分子量Mwが4,000〜30,000ダルトンであり、
(4)抗トロンビン活性が、20U/mg〜150U/mgの値を示し、
(5)塩基性繊維芽細胞増殖因子の細胞増殖に対する活性促進効果が、脱硫酸化を行なっていないヘパリンに対して、その80%以上を維持するものである。
ここで、(1)のΔDiHS−tri(U,6,N)S含量とは、後述する試験法「酵素消化による二糖分析」によって得られる値であり、ヘパリンをヘパリン分解酵素で分解した結果生ずる各種の不飽和二糖(第2図参照)のうち、ウロン酸の2位、グルコサミンのアミノ基及び6位が硫酸化されたものの含量を意味し、ΔDiHS−di(U,N)S含量とは、同様にウロン酸の2位及びグルコサミンのアミノ基が硫酸化されたものの含量を意味する。好ましくは、ΔDiHS−tri(U,6,N)S含量が10〜20%であり、ΔDiHS−di(U,N)S含量が50〜60%である。
(2)のN−置換硫酸基を含む二糖含量は、脱硫酸化を行なったヘパリン中の全構成糖単位に対するN−置換硫酸基を含む二糖の含量(モル%)である。
(3)の重量平均分子量は、高速ゲルろ過クロマトグラフィーにより、コンドロイチン硫酸の分子量標準品を対照にして求めた重量平均分子量(Mw)の値であり、好ましくは10,000〜20,000ダルトンである。
なお、ゲルろ過クロマトグラフィーにより測定した場合、脱硫酸化される前のヘパリンの重量平均分子量は、通常、4,000〜30,000ダルトンの範囲であるが、本発明の方法で脱硫酸化されたヘパリンの重量平均分子量には殆ど変化がない。
尚、実施例において脱硫酸化前後の分子量は以下の条件で測定した。
ゲルろ過(GPC)HPLC
カラム:TSKgel G-4000+G-3000+G-2500(東ソー(株)製)
溶媒 :0.2M NaCl,1.0ml/min
検出器:示差屈折計(RI)、紫外吸収(UV230nm)
注入量:5μl(10mg/ml)
(4)の抗トロンビン活性は、後記実施例記載の方法で測定した値である。脱硫酸されていないヘパリンの抗トロンビン活性を、該方法によって測定した場合、その値は1,200U/mg〜1,600U/mgを示すが、本発明の脱硫酸化ヘパリンの抗トロンビン活性は20U/mg〜150U/mg、好ましくは30U/mg〜100U/mgの範囲であり、出血作用が低減されている。
(5)の塩基性繊維芽細胞増殖因子の細胞増殖に対する活性促進効果とは、後述の試験法「bFGFとaFGF活性促進効果の測定」によって細胞増殖を測定したときの、脱硫酸化剤処理前のヘパリンによるbFGF活性維持効果に対し、本発明の脱硫酸化ヘパリンのbFGF活性維持効果を百分率で表わしたものであり、本発明の脱硫酸化ヘパリンは、脱硫酸化を行っていないヘパリンが有する活性促進効果を、脱硫酸化後においても、80%〜ほぼ100%を維持しているものである。
本発明の製造法により得られる選択的に脱硫酸化されたヘパリンは、これを有効成分として含有する塩基性繊維芽細胞増殖因子活性促進剤を提供すると共に、塩基性繊維芽細胞増殖因子と混合することにより、塩基性繊維芽細胞増殖因子の細胞増殖に対する活性が促進された組成物を提供することができる。
本発明の脱硫酸化されたヘパリンは、生体内外に投与することにより、bFGFの活性を安定化し、例えば、床ずれ等の創傷治癒の治療又は予防に有用である。糖尿病患者はヘパラン硫酸或いはヘパリンが少なくなっている可能性があり、創傷治癒に用いられるbFGFはヘパラン硫酸またはヘパリンがないと活性を十分に発現しないと考えられるので、本発明の上記組成物は特に糖尿病患者の床ずれの治療及び予防に有用である。また、内因性のbFGFが十分に産出されている患者及び投与部位を治療する場合、必ずしも外部からbFGFを投与する必要はなく、本発明の脱硫酸化ヘパリンのみでも十分に目的を達成できるので、上記bFGF活性促進剤を創傷治癒等の目的に使用することができる。本発明のbFGF活性促進剤又は上記の組成物を生体内外に投与する際の剤型及び投与経路としては、それらをそのまま、又は他の薬理学的に許容され得る担体、賦形剤、希釈剤等と共に医薬組成物(例えば、注射剤、錠剤、カプセル剤、液剤、軟膏等)として、温血動物(例えば、ヒト、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、犬、ネコ等)に対し、非経口的又は経口的に安全に投与することができる。
また、本発明のbFGF活性促進剤及び上記組成物は、出血作用等の副作用が低減されており、医薬品としての安全性が高い。
実施例
以下、実施例及び試験例により本発明を更に詳細に説明するが、これらは本発明の範囲を何ら制限するものではない。
硫酸化多糖の同定は以下の方法に基づいて行った。
試験法
1)酵素消化による二糖分析
グリコサミノグリカンの脱硫酸化後の硫酸基の位置の分析は、次のようにして行うことができる。すなわち、脱硫酸化反応の処理前後のグリコサミノグリカンを酵素で消化し、生成した不飽和二糖を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析した。(新生化学実験講座3,糖質II(1991) p49〜62に記載の「2・8グリコサミノグリカン分解酵素とHPLCを組合せた構造解析」参照)。
ヘパリン分解酵素による消化
新生化学実験講座3、糖質II p 54-59(東京化学同人刊、1991)の方法により、ヘパリン0.1mgを2mM酢酸カルシウムを含む20mM酢酸ナトリウム(pH7.0)220μlに溶解して、20mUのヘパリナーゼ、20mUのヘパリチナーゼI及びIIを加えて、37℃で2時間反応させた。なお、脱硫酸化処理によってアミノ基に結合した硫酸基が脱離した場合、このような脱硫酸化ヘパリンにはヘパリン分解酵素類が作用しなくなるので、酵素反応に先立って予めアミノ基をアセチル化する必要がある。N−アセチル化は炭酸ナトリウムまたはダウエックス(Dowex-1 (HCO3)型)イオン交換樹脂を含む水溶液中、無水酢酸によって定量的に進行する(「糖鎖工学」、(株)産業調査会、バイオテクノロジー情報センター発行、324頁参照)。
HPLCによる分析
ヘパリン分解酵素消化を行った後の溶液50μlを、HPLC(医理化、モデル 852型)を用いて分析した。イオン交換カラム(Dionex社、CarboPac PA-1 カラム4.0mm×250mm)を使用し、232nmでの吸光度を測定した。流速1ml/分で、塩化リチウムを用いたグラジエント系(50mM→2.5M)を用いる方法に準拠した(Kariya, et al. Comp. Biochem. Physiol. Vol. 103B, pp. 473-479(1992))。
2)ゲルろ過
硫酸化多糖の3%溶液10μlをHPLCによるゲルろ過で分析した。カラムはTSKgel-(G4000+G3000+G2500)PWXL(東ソー、7.8mm×30cm)を用い、溶離液に0.2M塩化ナトリウムを使用して、1.0ml/分の流速で展開した。硫酸化多糖の検出には示差屈折計(島津,AID-2A)を用いた。
3)bFGFとaFGF活性促進効果の測定
10%の牛血清を含んだDMEM培地(Life Technologies社製)で継代維持されたA31細胞(BALB/c 3T3)を、1μl/mlのテストサンプルを含む100μlのITS+(Collaborative Research社製)、20mMNaClO3、2ng/mlヒト組換bFGF(hrbFGF)(生化学工業(株)製)或いは5ng/mlヒト組換bFGF(hrbFGF)(生化学工業(株)製)を含んだSO4 2-フリーDMEMと共に96−マルチウェルカルチャープレートにプレートした。3日間の培養後、20μlのセルタイター96AQノンラジオアクティブ細胞増殖アッセイ溶液(生化学工業(株)製)を各ウェルに添加し、37℃で2時間培養後、OD490を測定することにより、それぞれのウェルの細胞増殖を定量した。表2において、bFGFとaFGFのそれぞれにおいて、1μl/mlの脱硫酸化していないヘパリンを加えた時の細胞増殖を100とし、加えない時を0とした。
4)抗トロンビン活性の測定
150mM食塩、10mM塩化カルシウム及び0.1%牛血清アルブミンを含む20mMトリス緩衝液(pH7.4)350μlと牛アンチトロンビンIII溶液(1U/ml同緩衝液)100μl並びにヘパリン試料の倍数希釈水溶液100μlの3液を冷却した状態で混合し、37℃で2分間保温した。この溶液に牛トロンビン溶液(50mU/ml蒸留水)50μlを加え、37℃で5分間保温後、基質溶液(Boc-Val-Pro-Arg-MCA、70μM水溶液)100μlを加えて撹拌し、37℃で3分間インキュベートし、30%酢酸300μlを加えて反応を停止した。反応液の蛍光強度を励起波長350nm、蛍光波長444nmにて測定した。上記反応液組成の試料の代わりに蒸留水を用いて測定したブランク1と、基質と緩衝液のみの反応混液のプランク2を同様に処理し、蛍光度を求めた。
トロンビン活性阻害率を次式から求め、試料濃度に対するそれぞれの阻害率を片対数グラフにプロットし、50%阻害率(IC50)を求めた。その結果を表2に示す。
トロンビン活性阻害率(%)=100−(ΔFs/ΔFb)x100
ただし、ΔFs:試料の蛍光強度−ブランク1の蛍光強度
ΔFb:ブランク2の蛍光強度−ブランク1の蛍光強度
試験例
メチル−α−ガラクトピラノシド−6硫酸アンモニウム塩約2mg/3mlの水溶液に、アンバーライトIR-120(H+)型樹脂5mlを加えて、遊離の硫酸エステル型に変換させた。樹脂を除去した後、ピリジン2mlを加え、ピリジニウム塩を形成させた。残余のピリジンを減圧下で留去し、残渣を凍結乾燥することにより、乾燥メチル−α−ガラクトピラノシド−6硫酸ピリジニウム塩を調製した。この試料を各0.2mgづつ小分けし、これに乾燥ピリジン約0.05mlと内部標準としてメチル−α−グルコシドを加えて、メチル−α−ガラクトピラノシド−6硫酸ピリジニウム塩の全水酸基モル量([-OH]+[-O-SO3 -])に対するMTSTFAのモル量が0〜20倍量までの異なる反応系を用意した。各系にMTSTFAを加えた後、80℃で約2時間加熱反応させた。完全にO−トリメチルシリル化してガスクロマトグラフィー分析を行うために、トリメチルシリルイミダゾールを反応液に加えて、80℃で20分間加熱した。各系の反応混合物中のトリメチルシリル化メチル−α−ガラクトピラノシドを直接ガスクロマトグラフィ−で測定することにより、脱硫酸量を算出して第1図に示した。第1図から、硫酸化単糖の場合は、上記反応条件においてMTSTFAを糖の全水酸基モル量に対し、約13倍モル量以上使用すれば、第1級水酸基の硫酸エステルをほぼ完全に脱硫酸化できることが分かる。
実施例
ヘパリンのナトリウム塩(重量平均分子量:12,200ダルトン)200mgをアンバーライトIR-120(H+型)カラム(1×10cm)にかけ、溶出液に過剰のピリジンを加えてpH8に中和し、凍結乾燥してヘパリンのピリジニウム塩を調製した。このヘパリンのピリジニウム塩を脱水したピリジン20mlに溶解して反応試料とした。ヘパリンの糖骨格の20倍モル量(約4ml)のMTSTFAを加え、65、75、85、90及び95℃で2時間攪拌した。反応終了後、20mlの水を加えて未反応のMTSTFAを加水非反応性とすることにより反応を停止させ、ミリポア限外ろ過膜を用いて透析してトリメチルシリル化したヘパリンの脱硫酸化処理物溶液を得た。
次にトリメチルシリル基を加水分解除去するため、透析内液を100℃で30分から1時間(溶液が透明になるまで)加熱沸騰させた。水酸化ナトリウムを加えてpH9〜9.5に調整した後、透析した。透析内液を凍結乾燥して、ヘパリンの脱硫酸化処理物130mg相当のナトリウム塩を得た。
比較例
対照実験として、実施例に準じ、MTSTFAの代わりにN,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(BTSA)を用いて90℃で反応させた。
ヘパリンの上記シリル化剤処理前後の酵素消化による二糖分析値を表1に示す。
上記のヘパリンの各脱硫酸化処理物を炭酸ナトリウム水溶液(pH6.5)中、4℃において無水酢酸とメタノールを用いて2時間反応させ、アセチル化した。この試料を上記試験法記載の分析方法に従ってヘパリン分解酵素を用いて分解し、生成した不飽和二糖の各種異性体(第2図)をHPLCで分画し、その組成比を分析した結果を表1に示す。
Figure 0003929486
表1は、BTSA及びMTSTFAのいずれの処理によっても、6位硫酸基の脱離によってヘパリンの主構成成分二糖由来のΔDiHS−Tri(U,6,N)が著しく低下し、ΔDiHS−di(U,N)Sが増加したことを示している。しかし、BTSA処理では、さらにN−硫酸基の脱離が生じたため、ΔDiHS−di(U,N)SとΔDiHS−Tri(U,6,N)Sとの合計量の減少とΔDiHS−USの増加を引き起こした。すなわち、MTSTFA処理ではヘパリンの第1級水酸基の硫酸基をBTSA処理と同程度除去することが可能であり、さらにBTSA処理によりN−硫酸基の減少を抑制して6位硫酸基に、より選択的に作用したことが分かる。
さらに、MTSTFA処理前後のヘパリンについて、ゲルろ過により分子量の変化を調べた結果、分子量の変化は殆んど認められなかった。
以上のことから、MTSTFAによる脱硫酸化反応は、第1級水酸基に結合している硫酸基に特異的に働き、他の位置の硫酸基及びグリコシド結合には影響を与えないことが明らかである。
また、MTSTFAを用いて、6位硫酸基を65℃、75℃、85℃、90℃及び95℃で、2時間の反応により段階的に脱硫酸化した…(中略)…活性促進効果を調べた。その結果を表2に示す。
Figure 0003929486
表2に示したように、トロンビン阻害活性は、65℃での部分的6位脱硫酸化で急激な減少を示すのに対し、bFGF活性促進効果は90℃での脱硫酸化まで維持されている。一方、aFGF活性促進効果は6位硫酸基の脱硫酸化と共にゆるやかな減少を示した。特に、85〜90℃の反応温度で6位硫酸基の脱硫酸化を行なうことにより、抗凝固活性やaFGFG活性促進効果等を抑えた特異的なbFGF活性促進効果を維持する選択的6位脱硫酸化ヘパリンが得られた。
尚、重量平均分子量4,000〜30,000の範囲のヘパリンを前記と同様に、本発明の方法で脱硫酸化した場合、表1と同様に6位が特異的に脱硫酸化され、生物学的活性も表2と同様の傾向を示し、脱硫酸化処理前後での分子量の変化もほとんどない。
産業上の利用可能性
本発明によれば、硫酸化多糖の糖骨格に結合している性質の異なる硫酸基を、第1級水酸基の硫酸基と第2級水酸基の硫酸基及びN−硫酸基との違いを認識して、第1級水酸基の硫酸基のみを特異的に脱硫酸化することにより、従来知られていない位置特定硫酸エステルを有する硫酸化多糖を製造することができる。
特に、ヘパリンを本発明方法によって脱硫酸化して得られる脱硫酸化処理物はヘパリンの非特異的な蛋白質への結合が抑制され、塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF)との相互作用による特異的生理活性を示すヘパリンである。更に、bFGFとの併用、或いは単独で、出血傾向等の副作用が少ない医薬、例えば、創傷、火傷、皮膚潰瘍治療薬、骨粗しょう症治療薬、骨折治療薬、消化器潰瘍治療薬、心筋梗塞予後改善薬等幅広い医薬品への応用が可能である。
また、本発明の脱硫酸化法は、bFGF以外の他の生理活性分子に対しても、幅広い応用が期待できる。

Claims (15)

  1. 第1級水酸基が硫酸エステル化された糖を構成糖として有する硫酸化多糖に、下記式(I)
    Figure 0003929486
    式中、R1は同一又は異なり水素原子又はハロゲン原子を示し、R2は低級アルキル基を示し、R3は同一又は異なり低級アルキル基、アリール基又はハロゲン原子を示す、
    で表されるシリル化剤を反応させることにより、第1級水酸基に結合している硫酸基を選択的に脱硫酸化することを特徴とする脱硫酸化多糖の製造法。
  2. 硫酸化多糖が、N−置換グリコサミン、D−ガラクトース−6硫酸及びL−ガラクトース−6硫酸から成る群より選択される少なくとも1種を構成糖として有するものである請求の範囲第1項記載の脱硫酸化多糖の製造法。
  3. 硫酸化多糖が、N−硫酸化グリコサミン又はN−アセチル化グリコサミンを構成糖として有するものである請求の範囲第1項記載の脱硫酸化多糖の製造法。
  4. 硫酸化多糖が、ヘパリン、ヘパラン硫酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸フノラン又はポルフィランである請求の範囲第1項記載の脱硫酸化多糖の製造法。
  5. 硫酸化多糖が、N−置換グリコサミンを構成糖として有するものである請求の範囲第1項記載の脱硫酸化多糖の製造法。
  6. 硫酸化多糖が、N−硫酸化グリコサミンを構成糖として有するものである請求の範囲第5項記載の脱硫酸化多糖の製造法。
  7. 硫酸化多糖が、ヘパリン又はヘパラン硫酸である請求の範囲第6項記載の脱硫酸化多糖の製造法。
  8. 硫酸化多糖を有機溶媒可溶性塩とし、反応を有機溶媒中で行う請求の範囲第1〜7項のいずれかに記載の脱硫酸化多糖の製造法。
  9. 硫酸化多糖の有機溶媒可溶性塩が、硫酸化多糖の有機塩基塩である請求の範囲第8項記載の脱硫酸化多糖の製造法。
  10. 脱硫酸化反応後、更にシリル化された水酸基のシリル基を除去する請求の範囲第1〜9項のいずれかに記載の脱硫酸化多糖の製造法。
  11. 下記の特性:
    (1)酵素分解および高速液体クロマトグラフィーを用いて測定した不飽和二糖組成のうち、ΔDiHS−tri(U,6,N)S含量が10〜40%、ΔDiHS−di(U,N)S含量が30〜60%、
    (2)N−置換硫酸基を含む二糖含量が75〜95%、及び
    (3)重量平均分子量が4,000〜30,000ダルトン、を有することを特徴とする、第1級水酸基に結合している硫酸基が選択的に除去された脱硫酸化ヘパリン。
  12. 脱硫酸化ヘパリンが請求の範囲第1〜10項のいずれかに記載の方法によって得られるものである請求の範囲第11項記載の脱硫酸化されたヘパリン。
  13. 請求の範囲第11項または第12項に記載の脱硫酸化ヘパリンを有効成分として含有することを特徴とする塩基性繊維芽細胞増殖因子活性促進剤。
  14. 請求の範囲第11項または第12項に記載の脱硫酸化ヘパリン及び塩基性繊維芽細胞増殖因子を含有することを特徴とする塩基性繊維芽細胞増殖因子の細胞増殖に対する活性が促進された組成物。
  15. 請求の範囲第11項または第12項に記載の脱硫酸化ヘパリンを有効成分として含有することを特徴とする創傷治療、潰瘍治療、骨粗鬆症治療または骨折治療のための薬剤。
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