JP4632573B2 - 木材破砕機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、剪定枝材・間伐材、枝木材、廃木材等を破砕対象とする木材破砕機に関し、例えば破砕ロータを回転させて被破砕物を破砕する木材破砕機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、森林で伐採された木材を枝払いするときに発生する剪定枝材・間伐材や、造成・緑地維持管理等で発生する枝木材、あるいは木造家屋に使用された廃木材は、通常、最終的に産業廃棄物として処理される。木材破砕機は、廃棄物処理過程における廃棄物の減容を図ったり、粉砕した後の粉砕物を発酵処理し有機肥料として再利用することを目的に、それら枝材、枝木材等を、運搬する前にその作業現場で所定の大きさに破砕するものである。
【0003】
この種の木材破砕機として、例えば、特開平11−42439号公報に記載のように、外周部に破砕ビット(回転刃)を配設した破砕ロータ(回転ロータ)を有する回転式の破砕装置と、この破砕ロータの外周側に設けた篩い部材(排出スクリーン)とを備えたものがある。
【0004】
この従来技術では、破砕ロータの破砕ビットで被破砕物の破砕を行い、その破砕物は、破砕ロータ外周側の篩い部材の複数の開口部の開口面積以下にまで細かく破砕されたら、その開口部より外部に排出される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術には、以下のような課題が存在する。
【0006】
上記従来技術においては、前述のように、木材破砕物が篩い部材の開口面積以下にまで破砕されたときに外部に排出されることから、木材破砕物の粒度はその開口面積によってほぼ決定される。このため、木材破砕物の粒度範囲を調整しようとする場合には、開口部の開口面積が異なる複数種類の篩い部材を予め用意しておいて、それらを適宜交換する必要がある。
【0007】
しかしながら、上記従来技術においては、上記のような篩い部材の交換について特に配慮されず、篩い部材は固定構造となっているため、粒度調整のための篩い部材の交換が著しく困難であった。
【0008】
本発明は、上記の事柄に基づいてなされたものであり、その目的は、篩い部材を容易に交換可能な木材破砕機を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
(1)上記目的を達成するために、本発明の木材破砕機は、被破砕物を破砕する破砕ロータを有する破砕装置と、この破砕装置の外周側に設けた篩い部材保持手段と、この篩い部材保持手段の内周部に、前記破砕ロータの軸線方向に抜き差し可能に設けた篩い部材と、この篩い部材の前記抜き差しのために設けた開口部とを備える。
【0010】
本発明においては、例えば、破砕ロータを備えた回転式の破砕装置で被破砕物の破砕を行い、その破砕物は、破砕ロータ外周側の篩い部材の複数の開口部より外部に排出される。この場合、破砕物の粒度は篩い部材の開口面積によってほぼ決定されるため、破砕物粒度調整のためには、開口面積が異なる複数種類の篩い部材を適宜交換する必要がある。
【0011】
そこで、本発明においては、篩い部材を篩い部材保持手段の内周部に保持させるとともに、その篩い部材を軸線方向に抜き差し可能な構造とする。具体的には、例えば破砕ロータの軸受部と干渉しない位置に抜き差し用の開口部を設け、篩い部材保持手段に保持した篩い部材を開口部の近傍まで移動させる移動機構を設ける。これにより、破砕ロータの軸線方向両端部に位置する軸受部を避けつつ、上記開口部を介し破砕装置(破砕ロータ)の軸線方向から篩い部材を抜き差しして、篩い部材の交換を行うことができる。
【0012】
このとき、例えば篩い部材保持手段に保持された状態の篩い部材を、破砕ロータの外周に沿って上方側あるいは下方側へ抜き出そう(あるいは押し込もう)とすると、円弧状方向に力を加えて篩い部材を引っぱり出す(あるいは押し入れる)こととなるため、抵抗が大きく、作業員の労力が大きい。
また篩い部材保持手段の保持を解除して篩い部材を径方向に取り外そうとすると、通常篩い部材の径方向外周側には大量の破砕物の残骸が溜まっているためその清掃を別途行う必要があり、さらに篩い部材の自重を作業員が支えなければならなくなるため、非常に大きな労力を必要とする。
本発明においては、上記のように篩い部材保持手段に保持した状態のまま軸線方向から抜き差しして交換することにより、篩い部材を引っぱり出す(あるいは押し入れる)ときには直線方向に力を加えれば足り抵抗は比較的小さく、また篩い部材自重支持や清掃のための労力は不要である。したがって、上記の場合と異なり容易に篩い部材の交換を行うことができる。
【0014】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記開口部を、前記破砕ロータの軸受部と干渉しない位置に設ける。
【0015】
(3)上記(1)又は(2)において、また好ましくは、前記篩い部材保持手段に保持した篩い部材を、前記開口部の近傍まで移動させる移動機構を設ける。
【0016】
(4)上記(1)乃至(3)のいずれかにおいて、また好ましくは、前記開口部に、着脱又は開閉可能な扉を設ける。
【0017】
(5)上記(1)乃至(4)のいずれかにおいて、また好ましくは、前記篩い部材を、前記破砕装置の軸線方向に複数個に分割可能な構造とする。これにより、例えば軸線方向両側に開口部を設けることで、篩い部材の分割ピースをいずれか近い方の開口部から抜き差しするようにすることができ、さらに容易に交換可能となる。
【0018】
(6)上記(1)乃至(5)のいずれかにおいて、また好ましくは、前記篩い部材を、高張力鋼で構成する。これにより、強度を十分に確保しつつ篩い部材の厚みを薄くできるので、軽量化によってさらに容易に交換可能となるとともに、破砕物の通り抜け性を向上できることで生産性を向上できる。
【0019】
(7)上記目的を達成するために、また本発明は、本体フレームと、この本体フレームに設けた走行手段と、前記本体フレーム上に設けられ、外周部に破砕ビットを配設した破砕ロータを備えた回転式の破砕装置と、この破砕装置の外周側に設けた篩い部材保持手段と、この篩い部材保持手段の内周部に、前記破砕ロータの軸線方向に抜き差し可能に設けた篩い部材と、前記破砕装置に対する前記本体フレームの一方側に設けられ、前記破砕装置に被破砕木材を搬送する搬送手段と、この搬送手段上方に配設された押圧導入手段と、前記破砕装置下方位置から前記破砕装置に対する前記本体フレームの他方側外方に延在する搬出コンベアとを備える。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の木材破砕機の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の木材破砕機の一実施の形態の全体構造を表す側面図であり、図2は図1に示した本発明の木材破砕機の一実施の形態の上面図である。
これら図1及び図2において、この木材破砕機は、自走可能な自走式木材破砕機であり、1は、ホッパ2、送りコンベア(搬送手段)3、破砕ユニット4、及び押えコンベア(押圧導入手段)5を搭載した破砕機本体、6は前記破砕機本体1の下方に設けた走行体、7は搬出コンベア(排出コンベア)、8は磁選機、9は動力体としてのパワーユニットである。
【0021】
図3(a)は、図1中A方向から見た矢視前面図であり、図3(b)は、図1中B方向から見た矢視後面図である。これら図3(a)及び図3(b)において、前記の走行体6は、本体フレーム10と、その下部に設けた走行装置11とを備えている。本体フレーム10は、例えば略長方形の枠体によって形成され、前記破砕ユニット4、前記ホッパ2、及びパワーユニット9等を載置する破砕機取付け部10Aと、この破砕機取付け部10Aの下部に設けたトラックフレーム部10Bとから構成される。
【0022】
図1及び図2に戻り、前記走行装置11は、前記トラックフレーム部10Bに回転自在に支持された駆動輪12a及びアイドラ12bと、これらの間に掛け渡した走行手段としての無限軌道履帯13と、駆動輪12a側に設けた左・右走行用油圧モータ14とを備えている。
【0023】
前記の破砕ユニット4は、前記本体フレーム破砕機取付け部10Aの前後方向ほぼ中央部上に搭載されている。図4は、この破砕ユニット4付近の構造を表す図1中部分拡大側面図であり、図5は、図4に示した構造の一部透視側面図である。
これら図4及び図5において、15は、前記本体フレーム破砕機取付け部10Aに取り付けられるベース部であり、16は破砕装置である。
前記ベース部15は、その最下部に設けた底板15aと、底板15a上に左・右両側に立設した側板15bとを備えている。前記底板15aには、ボルト17を挿通させるための貫通孔(図示せず)が設けられており、この貫通孔に挿入したボルト17を用いて底板15aが前記本体フレーム破砕機取付け部10Aに締結固定される。
【0024】
前記側板15bは、後述の破砕ロータ23の軸受部と干渉しない位置に、後述の篩い部材29を前記破砕装置16の軸線方向に抜き差しを行うための開口部18を設けている(後述の図11参照)。この開口部18は、略長方形から自走式木材破砕機前方側(図11中左側)上部(前記破砕装置16側部分)を切り取った形状(後述の篩い部材29の上面に沿って切り取った形状)をしている。また、この開口部18により、後述の移動機構39により後述の篩い部材29を移動した際に、この篩い部材29を前記破砕装置16の軸線方向に抜き差しを行うための必要最小限かつ充分な開口スペースを形成している。
【0025】
19は前記開口部18を塞ぐためのカバーであり、上部カバー19aと下部カバー19b、及び固定用ボルト19cとから構成されており、着脱可能に固定されている。この上・下部カバー19a及び19bは、自走式木材破砕機前後方向両端に、それぞれ固定用ボルト19cを挿通するための貫通孔(図示せず)を設けている。すなわち、前記上・下部カバー19a及び19bは、貫通孔を挿通した固定用ボルト19cが前記側板15bに設置した座板20のネジ切り穴(図示せず)に締結されることにより、前記座板20に対し固定されている。
【0026】
前記破砕装置16は、回転式の一軸破砕装置(この例ではいわゆるインパクトクラッシャ)であり、刃物としての破砕ビット21(破砕外径Rを想像線で示す。打撃板でもよい)及びそれら破砕ビット21を固定する固定具22を外周部に取り付けたロータ(破砕ロータ)23を備えている。このとき、この破砕ビット21は、その刃面が前記破砕ロータ23の正転方向(図5中矢印ア方向)回転に対応するような向きに配置されている。なお、24は前記破砕装置16の外周側(詳細には破砕ロータ23の外周側)に固定されたアンビル(2次破砕板、反発板)であり、この例では24a,24b,24cの3つが設けられている。
【0027】
前記破砕ロータ23は、その回転軸23aの両端が、前記左・右の側板15b,15bに設けた軸受機構25,25によって回転自在に支持されている。これら軸受機構25は、各側板15bの自走式木材破砕機幅方向外方側に取り付けられると共に、前記ベース部底板15a上に設けた支持架台26上に、中間部材27を介して載置支持されている。またこれら軸受機構25の外周側には破砕装置用油圧モータ28,28をそれぞれ設けており(図1及び図2参照)、その駆動軸(図示せず)にカップリング(図示せず)を介し前記破砕ロータ23の回転軸23aが連結されている。
【0028】
また、破砕ロータ23の外周側には、破砕物の粒度を設定するための多数の開口部29b(後述の図6(b)参照)を備えた略部分円筒面形状の篩い部材(グレート)29が、支持部材30によりその内周側(内周部)に支持され、前記破砕ロータ23の周方向に適宜複数に分割(本実施例では2分割)されて配置されている。
図6(a)は、前記篩い部材29の1ピースを自走式木材破砕機幅方向側面から見た側面図であり、図6(b)は、図6(a)中C方向から見た前記篩い部材29の展開図である。図6(a)及び図6(b)において、前記篩い部材29は、例えば高張力鋼により構成された略部分円筒面形状の板部29aと、この板部29aに対し破砕ロータ23の径方向に貫通するように多数設けられた例えば円形状の板部29a開口部(貫通孔)29bと、後述の篩い部材29を前記破砕ロータ23の軸線方向に抜き差しする際に使用する取手部29cとから構成される。
【0029】
図7(a)は、前記支持部材30を鉛直上方(図5中D方向)から見た矢視平面図であり、図7(b)は、この支持部材30を図7(a)中E方向から見た矢視側面図である。図7(a)及び図7(b)において、前記支持部材30は、彎曲フレーム部30b1及び30b2と、真直フレーム部30aとから構成され、全体として略部分円筒面状の骨格を構成する部材である。
【0030】
前記の彎曲フレーム部30b1及び30b2は、前記破砕ロータ23の周方向に前記篩い部材29に沿って、前記破砕ロータ23の軸線方向の適宜数箇所(本実施例では5箇所)に曲設されている。これら彎曲フレーム部30b1及び30b2のうち、彎曲フレーム部30b2は、自走式木材破砕機前方側(図7(a)及び図7(b)中左側)端部に貫通孔30b2Aを設けたブラケット30b2Bを有し、自走式木材破砕機後方側(図7(a)及び図7(b)中右側)端部に、貫通孔30b2Cを設けたブラケット30b2Dが、略水平方向に例えば溶接により固定されているものである。30b1にはそれらブラケットは設けられていない。
【0031】
本実施例では、前記破砕ロータ23の軸線方向(図7(a)中上下方向または図7(b)中紙面に垂直方向)前記支持部材30両端及び中央の3箇所に彎曲フレーム部30b1を、さらにこの3箇所の彎曲フレーム部30b1のそれぞれの略中央部2箇所に彎曲フレーム部30b2を配置している。
【0032】
前記の30aは、前記彎曲フレーム部30b1及び30b2と略直交するように、前記破砕ロータ23の軸線方向(図7(a)中上下方向または図7(b)中紙面に垂直方向)において前記篩い部材29沿いに適宜数箇所(本実施例では3箇所)に延設されている。
【0033】
図5に戻り、前記本体フレームの破砕機取付け部10A上には、鋼材31を介して側壁32が立設している。この側壁32には、例えば溶接により固定されている取付け具33a,33aを介し、前記自走式木材破砕機幅方向両側一対のブラケット33,33が、前記自走式木材破砕機幅方向の前記彎曲フレーム部30b2,30b2に対応する位置に略水平方向に固定されている。すなわち、前記ブラケット33,33の貫通孔(図示せず)にピン34、34が挿通され結合されることにより、前記支持部材30は、このピン34を回転軸とし回動可能に支持されている(図7(a)も参照)。
【0034】
このとき、前記破砕ロータ23の自走式木材破砕機後方側には、前記側板15b,15b間に長手方向を略水平方向として中板15cが延設され、さらに中板15cにボルト15c1及びナット15c2を介して固定された架台35が設置されている。この架台35は、前記中板15cとボルト15c1及びナット15c2で固定されている側板部35a、側板部35aの上方に略水平方向に設置された上面部35b、この側板部35aと上面部35bに対して垂直に設置された補強板35cとから構成されている。
【0035】
前記架台上面部35b上には、自走式木材破砕機幅方向(図5中紙面に垂直方向)の前記ブラケット30b2D,30b2Dに対応した位置に、吊りボルト36,36が、支持機構37,37により自走式木材破砕機前後方向に首振り可能にそれぞれ吊り下げ支持されている。この支持機構37は、前記吊りボルト36を時計回り・反時計回りに回転可能に支持する支持具37aと、この支持具37aより自走式木材破砕機幅方向両側に突出したピン37b,37bと、これらピン37b,37bを前記架台上面部35bに対して軸支する例えばU字型の左・右架台37cより構成されている。
【0036】
このとき、38,38は、ネジ切り穴38a,38aをその軸方向に直交する方向に設けた円柱状の軸体であり、このネジ切り穴38a,38aが前記吊りボルト36,36と螺合している(図7(a)参照)。そして、この軸体38,38が前述した支持部材30のブラケット30b2D,30b2Dの貫通孔に挿通されることにより、この軸体38は、前記吊りボルト36と支持部材30とを互いの相対回動変位を許容しつつ結合している。
【0037】
以上のような構造により、前記支持部材30、ブラケット33、吊りボルト36、支持機構37、及び軸38は、前記篩い部材29を前記開口部18近傍まで移動させる移動機構39を構成するが、その詳細動作については後述する。
【0038】
図1及び図2に戻り、前記の送りコンベア3は、前記本体フレーム破砕機取付け部10A上に設けた中間フレーム40において破砕装置16よりも自走式木材破砕機前方側に載置されており、上記ホッパ2内の下部に略水平方向に延設されている。そしてこの送りコンベア3は、破砕装置16側(自走式木材破砕機後方側)端部に設けた例えばスプロケット状の駆動ローラ(以下適宜、送りローラという)41(図5も参照)と、その反対側(自走式木材破砕機前方側)に設けた従動ローラ42と、これら送りローラ41及び従動ローラ42の間に巻回して設けた搬送体(コンベアベルト)43とを備えている。なお、44は、送りコンベア3のほぼ全長にわたってその自走式木材破砕機幅方向両側に設けた被破砕物の漏れ防止用の送りコンベアカバーであり、前記中間フレーム40上にそれぞれ立設されている。
【0039】
図8は、図1中VIII−VIII面による一部破断断面図である。この図8及び前述の図5において、前記搬送体43は、自走式木材破砕機の幅方向の左・右両側に位置し、多数のリンク部材45をピン46を介した結合によって回動自在に関節結合してなる無端状(エンドレス)のリンク47と、それら無端状リンク47,47の間を自走式木材破砕機の幅方向に連結するように固定され被破砕木材の搬送方向に配列した複数の搬送板48とを備えている。また、49は、前記中間フレーム40に対して支持部材50を介し支持され、前記送りローラ41の回転軸41aの両端部を支持する軸受機構であり、51は、前記送りローラ回転軸41aの木材破砕機右側(図2中上側)に配置され前記軸受機構49よりもさらに幅方向外側で前記回転軸41aに連結された送りコンベア用油圧モータである。なおこのとき、前記従動ローラ42の回転軸(図示せず)を支持する軸受機構52(図1参照)が公知の張力調整機構53によって略水平方向に変位可能に構成され、これによって、上記搬送体43の張力を調整可能となっている。
【0040】
図1及び図2に戻り、前記の押えコンベア5は、前述した中間フレーム40の後方側端部の上方(言い換えれば前記送りコンベア3の上方)に設けられている。図9は、この押えコンベア5の詳細構造を表す、一部断面で示す図1中部分拡大図(但し構造明確化のため後述の駆動ローラ55、従動ローラ54、及びスライダ70の一部を図示省略)であり、図10は、図9中X−X断面による横断面図である。
【0041】
これら図9及び図10において、押えコンベア5は、送りコンベア3の上方かつ破砕装置16の近傍(詳細には破砕装置16側端部)に設けたスプロケット状の従動ローラ54(以下適宜、押えローラという)と、その反対側(木材破砕機前方側、被破砕物の導入側)に設けられ前記押えローラ54よりも大径のスプロケット状の駆動ローラ(以下適宜、導入ローラという)55と、これら導入ローラ55及び押えローラ54の間に巻回して設けた搬送体(コンベアベルト)56とを備えている。
【0042】
搬送体56は、上記送りコンベア3の搬送体43とほぼ同様の構造であり、自走式木材破砕機の幅方向の左・右両側に位置し、多数のリンク部材57をピン58を介した結合によって回動自在に関節結合してなる2つの無端状(エンドレス)のリンク59と、それら無端状リンク59,59の間を自走式木材破砕機の幅方向に連結するように固定され被破砕木材の搬送方向に配列された複数の搬送板60とを備えている。
【0043】
また、61は、前記導入ローラ55,55の径方向内周側にそれぞれ収納配置して設けた押えコンベア用油圧モータである。
【0044】
図11は、その右半分が図9中XIA−XIA断面による横断面図であり、その左半分がXIB−XIB断面による横断面図である。この図11及び前述の図10において、前記押えコンベア用油圧モータ61は、後述するスライダ70の挿入部70bに取り付けた支持部材62に設けたブラケット体63の側壁63aに固定されており、搬送体56の内周側でかつ略幅方向(導入ローラ55で見ればその軸方向、図9中上下方向、図10中左右方向)寸法以内となるように配置されている。この押えコンベア用油圧モータ61の太径の駆動力出力部61aは、略円筒状部61bよりも軸方向内側に位置している。
【0045】
このとき、前記スプロケット状の導入ローラ55は、前記押えコンベア用油圧モータ61の駆動力出力部61aに固定された略円環状の取付け部55aと、この取付け部55aより軸方向外側でかつ前記押えコンベア用油圧モータ略円筒状部49bの外周側に位置し、その最外周に前記無端状リンク47と係合する鋸歯状部55bAを備える略円盤状の外周部55bと、前記取付け部55aと前記外周部55bとを接続するように前記押えコンベア用油圧モータ略円筒状部61bの外周側に軸方向に延設された略円筒状の中間部55cとを備えている。
【0046】
また、前記スプロケット状の押えローラ54は、軸受64,64によって支持される回転軸54aの両端部に固定されており、軸受64,64は、前記スライダ挿入部70bの前記支持部材62と反対側に設けた接続部材65に円環状プレート66を介して固定されている。これら押えローラ54も、上記導入ローラ55同様、搬送体56の内周側でかつ略幅方向寸法以内となるように配置されている。
【0047】
ここで、上記押えコンベア5は、押えコンベア支持機構67によって上下方向にスライド可能に配設されている。前述の図8において、押えコンベア支持機構67は、略鉛直方向に延設され、前記中間フレーム40の破砕装置16側端部近傍に設けたブラケット68に一端(下端)が接続された左・右一対の油圧シリンダ69,69と、これら油圧シリンダ69,69の他端(上端)に接続されるブラケット部70aを左・右両側端部に備え、それら油圧シリンダ69,69を伸縮させつつ上下方向にスライド可能に配設されたスライダ70とを有している。
【0048】
前記スライダ70は、略水平方向に配設され前記搬送体56の内周側に挿入された略円筒形状の前記挿入部70bと、この挿入部70bの左・右両端にそれぞれ固定され略鉛直方向に延設された左・右一対の縦ビーム部70c,70cと、それら縦ビーム部70c,70cから自走式木材破砕機の幅方向外側に突出するように設けた前記ブラケット部70a,70aと、前記縦ビーム部70c,70cの上端部同士を接続するように、上記挿入部70bの上方に略水平方向に配設された水平ビーム部70dとを備えている。
【0049】
以上のような構造により、スライダ70及び押えコンベア5が一体となって上下方向にスライド移動(言い換えれば送りコンベア3に対し進退)可能に構成され、これによって、前記押えコンベア5による被破砕物の押さえ込み圧力や、送りコンベア3の搬送体43と押えコンベア5の搬送体56との間の間隙寸法を適宜設定可能となっている。
【0050】
図1及び図2に戻り、前記のホッパ2は、前記中間フレーム40に対し、支持部材71を介して略水平方向に取り付けられている。2aは、自走式木材破砕機前方側端部の側壁であり、2b,2bはそれぞれ自走式木材破砕機幅方向両側(左・右側)の側壁である。この幅方向両側の側壁2bは、自走式木材破砕機前方側(図1及び図2中左側)に位置し前記送りコンベア3のうち自走式木材破砕機前方側部分の上方側部に位置する被破砕物投入部2bAと、この被破砕物投入部2bAより自走式木材破砕機後方側(図1及び図2中右側)に位置し、前記送りコンベア3のうち自走式木材破砕機後方側部分の上方側部及び前記押えコンベア5の側部に位置する押えコンベアカバー部2bBとから構成されている。
【0051】
前記被破砕物投入部2bAの上部には、上方に向かって拡開形状の拡開部(あおり部)2cが設けられ、被破砕物投入時の便宜が図られている。
【0052】
前記押えコンベアカバー部2bBは、前記被破砕物投入部2bAから自走式木材破砕機後方側に略同一平面上となるように連設され前記押えコンベア5の押えローラ54の幅方向両端部にわずかな隙間を介し臨む押えローラ収納部72aと、この押えローラ収納部72aの自走式木材破砕機後方側において自走式木材破砕機幅方向に突出するように設けられ前記押えコンベア支持機構67のスライダ縦ビーム部70cにわずかな隙間を介し臨むスライダ収納部72bと、このスライダ収納部72bから自走式木材破砕機後方側に設けられ前記押えコンベア5の押えローラ54の幅方向両端部にわずかな隙間を介し臨む押えローラ収納部72cとから構成されている。そして、図2に示すように、前記被破砕物投入部2bA、前記押えローラ収納部72a、前記従動ローラ収納部72cはほぼ一直線上となるように配置されており、左・右被破砕物投入部2bA,2bA、左・右押えローラ収納部72a,72a、左・右従動ローラ収納部72b,72bどうしの距離はすべてほぼ等しくなっている。
【0053】
また、図8において、73は前記スライダ収納部72bの下端と前記送りコンベアカバー44の上端との接続部付近に斜めに設けた被破砕物ガイドであり、前述のように自走式木材破砕機幅方向寸法が若干大きくなるスライダ収納部72b内において、被破砕物が送りコンベア3の搬送体43の幅方向寸法より外側にはみ出し漏れ出すことのないようにするものである。
【0054】
図1及び図2に戻り、前記の搬出コンベア7は、排出側(自走式木材破砕機後方側、図1及び図2中右側)部分が、前記パワーユニット9から突出して設けたアーム部材74(但し図2では図示省略)に、支持部材75,76を介し吊り下げ支持されている。また、排出反対側(前方側、図1及び図2中左側)部分は、前記本体フレーム破砕機取付け部10Aよりも下方に位置し、支持部材77を介し本体フレーム破砕機取付け部10Aから吊り下げられるように支持されている。この結果、搬出コンベア7は、本体フレーム10の下方からパワーユニット9の下方を通って、破砕装置16に対する本体フレーム10の自走式木材破砕機後方側外方(破砕機本体5の外方)へ、上り傾斜で延在配置されている。
【0055】
また、78はフレームであり、79はこのフレーム78に支持される駆動輪、80は前記駆動輪79を駆動する搬出コンベア用油圧モータ(図2参照)、81は前記駆動輪79と従動輪(図示せず)との間に巻回して設けらたコンベアベルト、82及び83は前記コンベアベルト81の両側面及び搬送面をそれぞれ支持するガイドローラ及びローラである。なお、84は、従動輪の回転軸を支持する軸受機構(図示せず)を略水平方向に変位可能とする公知の張力調整機構であり、これによって上記コンベアベルト81の張力を調整可能となっている。
【0056】
前記の磁選機8は、支持部材85を介し前記アーム部材74より吊り下げ支持されており、前記コンベアベルト81の上方にこれと略直交するように配置した磁選機ベルト86と、図示しない磁力発生手段と、磁選機用油圧モータ87とを備えている。
【0057】
前記のパワーユニット9は、前記本体フレーム破砕機取付け部10Aの自走式木材破砕機後方側(図1、図2中右側)端部の上部に、パワーユニット積載部材88を介し搭載されており、その左前方側部分には運転席89が設けられている。
【0058】
ここで、上記送りコンベア3、破砕装置16、押えコンベア5、搬出コンベア7、磁選機8、走行装置11、及び押えコンベア支持機構67は、この自走式木材破砕機に備えられる油圧駆動装置によって駆動される被駆動部材を構成しており、これらは、上記送りコンベア用油圧モータ51、破砕装置用油圧モータ27、押えコンベア用油圧モータ61、搬出コンベア用油圧モータ80、磁選機用油圧モータ87、左・右走行用油圧モータ14、及びスライダ昇降用の油圧シリンダ69等の各種油圧アクチュエータや、前記パワーユニット9内に搭載されるエンジン(図示せず)、このエンジンにより駆動される少なくとも1つの油圧ポンプ(図示せず)、及び複数のコントロールバルブ(図示せず)等からなる油圧駆動装置によって駆動される。
【0059】
そして、上記油圧ポンプ及びエンジン(その上部カバー90のみ図2に図示)は、このエンジンの冷却水を冷却するラジエータを備えた熱交換器装置(図示せず)とともに、前記パワーユニット9内の自走式木材破砕機後方側(図2中右側)の領域において、自走式木材破砕機の幅方向(図2中上下方向、前記本体フレーム10の短手方向)に並設されている。一方、パワーユニット9の自走式木材破砕機前方側(図2中左側)の領域には、前記エンジンの燃料タンク(その給油口91のみを図2に図示)と、前記各油圧アクチュエータを駆動する圧油(作動油)を貯留する作動油タンク(その給油口92のみを図2に図示)と、上述の各コントロールバルブを備えた制御弁装置(図示せず)と、操作者が搭乗する区画である上記運転席89とが、この順序で自走式木材破砕機幅方向右側(図2中上側)から左側(図2中下側)へ向かって並設されている。
【0060】
なお、以上のパワーユニット9の各機器は、パワーユニット9の基礎下部構造をなすパワーユニットフレーム93(図1参照)上に配置されており、このパワーユニットフレーム93が、前記パワーユニット積載部材88(図1参照)を介し、前記本体フレーム破砕機取付け部10Aの後端部の上部に搭載されている。
【0061】
以上において、支持部材28は、特許請求の範囲各項記載の破砕装置の外周側に設けた篩い部材保持手段を構成し、篩い部材29は、篩い部材保持手段の内周部に破砕装置の軸線方向に抜き差し可能に設けた篩い部材を構成し、カバー19は、開口部に設けた着脱可能な扉を構成する。
【0062】
次に、上記本発明の木材破砕機の一実施の形態の動作及び作用を以下に説明する。
【0063】
(1)自走時
自走式木材破砕機を自走させる時には、操作者が、前記運転席89の左・右操作レバー94を操作することにより、その操作に応じて左・右走行用コントロールバルブ(図示せず)が切り換えられ、前記油圧ポンプからの圧油がそれら左・右走行用コントロールバルブ(図示せず)を介し左・右走行用油圧モータ14に供給され、これによって無限軌道履帯13が駆動されて走行装置11が前進・後進走行する。
【0064】
(2)破砕作業時
破砕作業時には、操作者が、例えば運転席89に設けた操作盤(図示せず)の磁選機起動スイッチ(図示せず)、搬出コンベア起動スイッチ(図示せず)、破砕装置起動スイッチ(図示せず)、押えコンベア用起動スイッチ(図示せず)、及び送りコンベア起動スイッチ(図示せず)を順次押すことにより、その操作信号が図示しないコントローラを介して駆動信号として出力される。それら駆動信号は、磁選機用コントロールバルブ(図示せず)、搬出コンベア用コントロールバルブ(図示せず)、破砕装置用コントロールバルブ(図示せず)、押えコンベア用コントロールバルブ(図示せず)、及び送りコンベア用コントロールバルブ(図示せず)に入力されてそれらコントロールバルブが切り換えられ、前記油圧ポンプからの圧油が各コントロールバルブを介し対応する油圧アクチュエータ87,80,28,61,51等に供給され、それらが駆動される。
【0065】
これにより、磁選機用油圧モータ87は磁選機ベルト86を磁力発生手段(図示せず)まわりに回転駆動し、搬出コンベア用油圧モータ80はコンベアベルト81を循環駆動し、破砕装置用油圧モータ28,28は破砕ロータ23の回転軸23aを駆動し破砕ロータ23を高速回転させ、押えコンベア用油圧モータ61は押えローラ54を介し搬送体56を循環駆動し、送りコンベア用油圧モータ51は送りローラ41を介し搬送体43を循環駆動する。
【0066】
以上のようにして磁選機8、搬出コンベア7、破砕装置16、押えコンベア5、及び送りコンベア3が起動する。この状態で、例えば適宜の作業具あるいは手作業(人力)によりホッパ2内に被破砕物(被破砕木材等)を投入すると、ホッパ2で受け入れた被破砕物が送りコンベア3の搬送体43の搬送板48上に載置され、ホッパ2の側壁2bによって案内されつつ搬送板48によって自走式木材破砕機後方側(図1、図2中右方側)へ略水平方向に搬送される。
【0067】
このように後方へと搬送されてきた被破砕物は、押えコンベア5の前端(図1、図2中左側端)付近まで来ると、その上部が押えコンベア5の搬送体56の下部に入り込むようにして押えコンベア5に取り込まれ、押えコンベア5の自重で上部を押さえつけられることにより押圧把持され、搬送体56の回転と共に送りコンベア3と協動して把持された状態のまま後方側(図1及び図2中右側)へと導出され、前記破砕装置16へと導入される。
なお、前述した押えコンベア支持機構67の油圧シリンダ69は、基本的にメンテナンス時にのみ伸縮させスライダ70を強制昇降させるためのものであり、破砕時には昇降用としては使用せず(但し急激な昇降を抑制するためのダンパ機能の役割は果たす)、押えコンベア5はその自重のみによって被破砕物を押圧把持する。
【0068】
被破砕物の破砕装置16への導入時には、押えコンベア5の破砕装置16側端部にある押えローラ54と送りコンベア3の破砕装置16側端部にある送りローラ41とで協動して被破砕物を上下から挟み込むようにして、この挟み込み部分を破砕時の破砕支点としつつ、それより破砕装置16側の被破砕物先端部を破砕ロータ23に向かって片持ち梁状に突出させる。そして、この突出した先端部に回転する破砕ロータ23の破砕ビット21を衝突させることで、比較的大雑把に被破砕物先端部を折るあるいは破砕する(1次破砕、予破砕)。折られた被破砕物先端部は、破砕ロータ23の外周側の空間を破砕ロータ23の回転方向に沿うように導かれ、アンビル24a,24b,24cに順次衝突しその衝撃力によってさらに細かく破砕される(2次破砕、本破砕)。このようにして破砕された木材破砕物は、篩い部材29の開口部を通過可能な粒度となるまで破砕ロータ23の外周側の空間を回りつつ、破砕ビット21やアンビル24a〜cによってさらに衝撃力を加えられ破砕されていく。篩い部材29の開口部を通過可能な粒度にまで小さくなると、開口部を通過して選別され、篩い部材29の外部へ排出される。
【0069】
このようにして、篩い部材29を通過し、排出された木材破砕物は、シュート95(図3(a)参照)を介し搬出コンベア7のコンベアベルト81上に落下する。搬出コンベア7は、循環駆動されるコンベアベルト81によって上記木材破砕物を後方側(図1及び図2中右側)へ運搬し、最終的に木材破砕物を破砕機本体1外(自走式木材破砕機の後部、図1中右端部)へリサイクル品として排出(搬出)する。
【0070】
このとき、搬出コンベア7の搬送途中の木材破砕物に対し、磁選機8が、回転駆動される磁選機ベルト86越しに磁力発生手段からの磁力を作用させて、コンベアベルト81上の磁性物を磁選機ベルト86に吸着させた後、コンベアベルト81と略直交する方向(自走式木材破砕機の幅方向)に運搬して、前記搬出コンベア7のフレーム78に設けたシュート(図示せず)を介しコンベアベルト81の側方に落下させ排出する。
【0071】
(3)篩い部材交換時
上記(2)のように破砕作業を行うとき、木材破砕物の粒度は篩い部材29の開口面積によってほぼ決定されるため、破砕物粒度を調整する場合には、篩い部材29を開口面積の異なるものに適宜交換する必要がある。以下、その交換手順を詳細に記述する。
【0072】
まず、カバー19の固定用ボルト19cをゆるめて上部カバー19a、下部カバー19bをそれぞれ取り外し、開口部18を露出させる(後述の図12参照)。なお、後述のように支持部材30を下降させた後に取り外しても構わない。その後、自走式木材破砕機幅方向2箇所に支持されている吊りボルト36,36を、反時計回りに好ましくは略同時に略同速度にて、例えばレンチ等により回転させる(図5参照)。この吊りボルト36は、前述したように支持具37aにより時計回り・反時計回り方向に回転可能に支持されているため、吊りボルト36を回転させてもこの支持具37aとの相対位置は変化しない。ただし、軸体38は、吊りボルト36を反時計回りに回転させることにより、吊りボルト36に対し相対的に位置が下降する。
【0073】
これにより、前述の彎曲フレーム部30b2は、自走式木材破砕機後方側(図5中右側)端部に固定した前述のブラケット30b2Dが軸体38の回動を許しながら軸体38と共に吊りボルト36に対し相対的に位置を下降させるため、他端(自走式木材破砕機前方側端部、または図5中左側端部)のブラケット30b2B及びピン34を介し、このピン34を回転軸としてブラケット33に対し図5で見て時計回りに回動する。すなわち、彎曲フレーム部30b2,30b2がピン34,34を回転軸として時計回りに回動することにより、支持部材30がピン34,34を回転軸として破砕ロータ23より遠ざかるように鉛直下方(図5及び図12中下方向)に移動する。
【0074】
上記のようにして、支持部材30の下端が破砕機取付け部底板15a上にほぼ達するまで、支持部材30を移動させる。図12はこのときの状態を示す図である。図12に示すように、この状態(支持部材30を下げきった状態)で、下がった篩い部材29がちょうど開口部18に側方から臨む状態となる。これにより、篩い部材29を支持部材30上から持ち上げ、開口部18を通して破砕装置16の軸線方向(図12中紙面と垂直手前方向)に抜き出す。
【0075】
なお、新しい篩い部材29は、上記と全く逆手順で取付ければ足りる。すなわち、開口部18を介して支持部材30上に位置決め載置した後、吊りボルト36を時計回りに回動させて支持部材30を上昇させて、破砕ロータ23の外周部に据え付ける。その後、上・下部カバー19a及び19bを固定用ボルト19cによって締結固定する。
【0076】
以上のように構成した上記本発明の木材破砕機の一実施の形態によれば、以下のような効果を得る。
【0077】
すなわち、上述したように本実施の形態においては、木材破砕物の粒度調整のため篩い部材29の交換を行うとき、移動機構39で篩い部材29を開口部18の近傍まで移動させることにより、破砕ロータ23の軸線方向両端部に位置する軸受部25を避けつつ、上記開口部18を介し破砕装置16(破砕ロータ23)の軸線方向から篩い部材29を抜き差しして、篩い部材29の交換を行うことができる。これにより作業員の労力を低減することができる。以下、このことを比較例を用いてさらに詳細に説明する。なお、説明の便宜上、以下の比較例において、上記本発明の一実施の形態と同等の部分には、同一の符号を付して説明する。
【0078】
まず、第一の比較例として、支持部材30が本体フレーム壁面15bに固定され、この固定構造の支持部材30に篩い部材29が着脱可能に設けられた場合を考える。この場合、篩い部材29の交換時には、破砕ロータ23の回転軸23aの両端部を略箱状の本体フレーム壁面15bに設けた軸受機構25にて軸支しているため、取り外した篩い部材29を破砕ロータ23の円弧状に沿って周方向上方側(あるいは下方側)に引き出すしかなくなる。しかし、この支持部材30に保持された状態の篩い部材29を、破砕ロータ23の外周に沿って上方側(あるいは下方側)へ抜き出そう(あるいは押し込もう)とすると、円弧状方向に力を加えて篩い部材29を引っ張り出す(あるいは押し入れる)こととなり、抵抗が大きく、交換作業に従事する作業員の労力が非常に大きくなる。
【0079】
次に、第二の比較例として、支持部材30が回動構造ではなく、例えば本体べース部15に対して着脱可能に設けられ、篩い部材29の交換時には支持部材30を取り外して篩い部材29を破砕ロータ23から径方向に取り外す場合を考える。この場合、篩い部材29をフリーに取り外せることから、上記第一の比較例のような大きな抵抗が生じることはない。しかしながら、この場合、作業員が破砕ロータ23の下部空間に入り込んで支持部材30及び篩い部材29の取り外しを行うこととなるが、通常篩い部材29の径方向外周側には大量の破砕物の残骸が溜まっているためその清掃を篩い部材29の交換のつど別途行う必要がある。また、取り外した篩い部材29の自重を入り込んだ作業員が支えなければならなくなり、これらの作業のため、非常に大きな労力が必要となる。
【0080】
これに対し、上記本発明の一実施の形態においては、上記のように篩い部材29を支持部材30に保持した状態のまま軸線方向から抜き差しして交換することにより、篩い部材29を引っぱり出す(あるいは押し入れる)ときには直線方向に力を加えれば足り抵抗は比較的小さく、また篩い部材29の自重支持や清掃のための労力は不要である。したがって、上記比較例の場合と異なり容易に篩い部材29の交換を行うことができる。
【0081】
なお、篩い部材29は、例えば高張力鋼製としてもよい。この場合、篩い部材29の強度を充分に確保しつつ厚みを薄くできるので、軽量化によってさらに篩い部材29が容易に交換可能となるとともに、破砕物の通り抜け性を向上できることで、破砕物の生産性を向上できる。
【0082】
また、上記本発明の木材破砕機の一実施の形態においては、開口部18を塞ぐためのカバー19は、固定用ボルト19cを座板20に締結することにより固定される着脱可能なカバーを例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、例えば、カバー19をヒンジを使用して開閉可能なカバーとしてもよい。この場合も、上記本発明の一実施形態と同様の効果を得る。
【0083】
また、上記本発明の木材破砕機の一実施の形態においては、篩い部材29は、破砕ロータ23の周方向にのみ分割されて配置されているが、これに限られない。すなわち、例えば、自走式木材破砕機幅方向(図5中紙面に垂直方向)についても適宜分割(例えば2分割)されてもよい。この場合、例えば開口部18を自走式木材破砕機幅方向両側に設け、自走式木材破砕機幅方向一方側の篩い部材29を対応する一方側の開口部18から出し入れし、他方側の篩い部材29を同じく他方側の開口部18から出し入れするようにしてもよい。この場合、抜き差しのための篩い部材29の自走式木材破砕機幅方向の出し入れ距離を短くすることができるので、さらに容易に交換可能となる。
【0084】
また、上記本発明の木材破砕機の一実施の形態においては、篩い部材29の取手部29cを、図6(a)及び図6(b)に示すように、篩い部材29の破砕ロータ23の径方向外方に取付けた形状としたが、これに限られない。すなわち、例えば、図13(a)に示すように、破砕ロータ23の軸線方向(図13(a)左右方向)外方側に取手部29Acを設けた篩い部材29Aとしてもよく、また、図13(b)に示すように、板部29Baに取手用の開口29Bcを設けた篩い部材29Bとしてもよい。この場合も、同様の効果を得る。
【0085】
また、上記本発明の木材破砕機の一実施の形態においては、篩い部材29の貫通孔29bは、板部29aに対し破砕ロータ23の径方向に貫通する形状としたが、これに限られない。すなわち、例えば、図14(a)に示すように、破砕ロータ23の正転方向(図14(a)中矢印Eで示す方向)の回転に対応した形状の貫通孔29Cbを設けた篩い部材29Cとしてもよい。この場合は、上記本発明の一実施形態と同様の効果に加えて、破砕ロータ23の正転方向の回転の際、上記本発明の一実施形態における篩い部材29と比較し木材破砕物の通り抜け性が向上し、破砕効率が向上する効果がある。
【0086】
さらに、図14(b)に示すように、破砕ロータ23の正・逆転方向(図14(b)中両矢印Fで示す方向)の回転に対応した形状の貫通孔29Dbを設けた篩い部材29Dとしてもよい。この場合は、上記本発明の一実施形態と同様の効果に加えて、破砕ロータ23の正・逆転方向のどちらの回転の際にも、上記本発明の一実施形態における篩い部材29と比較し木材破砕物の通り抜けやすさが向上する効果がある。
【0087】
また、上記本発明の木材破砕機の一実施の形態においては、篩い部材29は略部分円筒面形状としたが、これに限られない。すなわち、例えば、図14(c)に示すように、前記破砕外径Rの外方にて破砕外径Rと同心円状にジグザグを描いた形状の板部29Eaを備えた29Eとし、貫通孔29Ebは板部29Eaに略直交するように各々設けてもよい。この場合も、図14(b)に示す変形例と同様、各貫通孔29Ebが、破砕ロータ23の正・逆転方向(図14(c)中両矢印Gで示す方向)のどちらの回転の際にも、上記本発明の一実施形態における篩い部材29と比較し木材破砕物の通り抜け性が向上する効果がある。さらに、板部29Eaの突起部29Ea1,29Ea2による、木材破砕物の三次破砕効果も期待できる。
【0088】
またさらに、本発明の一実施形態においては、図6(b)に示したように、篩い部材29は、隣り合う篩い部材29と当接する部分には貫通孔29bを設けていないが、これに限られず、図15にその展開図(図6(b)に相当)を示すように、隣り合った篩い部材と当接する部分にも、板部29Faに貫通孔29Fbを設けた篩い部材29Fとしてもよい。この場合、上記本発明の一実施形態と同様の効果に加えて、上記本発明の一実施形態における篩い部材29と比較し開口面積が増す(木材破砕物の通過の障壁となる部分が減少する)ために、木材破砕物の通り抜け性が向上する効果がある。
【0089】
また、以上においては、破砕装置として破砕ロータ23の外周部に刃物(破砕ビット21)を取り付けたいわゆるインパクトクラッシャを備えた木材破砕機を例にとって説明したが、これに限られず、他の破砕装置、例えば、平行に配置された軸にカッタを備え、互いに逆回転させることにより被破砕物をせん断する破砕装置(いわゆるシュレッダを含む2軸せん断機等)や、ロール状の回転体(ロータ)に破砕用の刃物を取り付けたものを一対としてそれら一対を互いに逆方向へ回転させ、それら回転体の間に被破砕物を挟み込んで破砕を行う回転式の破砕装置(いわゆるロールクラッシャを含む6軸破砕機等)や、被破砕物をチップ状にするいわゆる木材チッパーを備えた木材破砕機にも適用可能である。これらの場合も、上記と同様の効果を得る。
【0090】
またさらに、以上においては、本発明を自走可能な自走式木材破砕機に適用した場合を例にとって説明したが、これに限られず、牽引して走行可能な移動式木材破砕機、若しくは例えばクレーン等により吊り上げて運搬可能な可搬式木材破砕機、さらにはプラント等において固定機械として配置される定置式木材破砕機に適用してもよいことは言うまでもなく、これらの場合も上記と同様の効果を得る。
【0091】
【発明の効果】
本発明によれば、篩い部材を、篩い部材保持手段に保持した状態のままで木材破砕機幅方向から抜き差し可能な構造とするので、その交換を容易に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の木材破砕機の一実施の形態の全体構造を表す側面図である。
【図2】本発明の木材破砕機の一実施の形態の全体構造を表す上面図である。
【図3】図1中A方向から見た矢視前面図、及び図1中B方向から見た矢視後面図である。
【図4】本発明の木材破砕機の一実施の形態を構成する破砕ユニット付近の構造を表す図1中部分拡大側面図である。
【図5】本発明の木材破砕機の一実施の形態を構成する破砕ユニット付近の構造を表す図4中一部透視側面図である。
【図6】本発明の木材破砕機の一実施の形態を構成する篩い部材の側面図、及び図6(a)中C方向から見た矢視展開図である。
【図7】図5中D方向から見た矢視平面図、及び図7(a)中E方向から見た矢視側面図である。
【図8】図1中VIII−VIII面による一部破断断面図である。
【図9】本発明の木材破砕機の一実施の形態を構成する押えコンベアの詳細構造を表す、一部断面で示す図1中部分拡大図である。
【図10】図9中X−X断面による横断面図である。
【図11】図9中XIA−XIA断面による縦断面図及びXIB−XIB断面による縦断面図である。
【図12】本発明の木材破砕機の一実施の形態を構成する支持部材が移動機構により下りきった状態を表す、図1中部分拡大側面図である。
【図13】本発明の木材破砕機の一実施の形態を構成する篩い部材の変形例を表す展開図である。
【図14】本発明の木材破砕機の一実施の形態を構成する篩い部材の変形例を表す断面図である。
【図15】本発明の木材破砕機の一実施の形態を構成する篩い部材の変形例を表す展開図である。
【符号の説明】
1 破砕機本体
3 送りコンベア(搬送手段)
5 押えコンベア(押圧導入手段)
7 搬出コンベア
10 本体フレーム
13 無限軌道履帯(走行手段)
16 破砕装置
18 開口部
19 カバー(扉)
21 破砕ビット
23 破砕ロータ
25 軸受機構(軸受部)
29 篩い部材
30 支持部材(篩い部材保持手段)
39 移動機構
Claims (7)
- 被破砕物を破砕する破砕ロータを有する破砕装置と、この破砕装置の外周側に設けた篩い部材保持手段と、この篩い部材保持手段の内周部に、前記破砕ロータの軸線方向に抜き差し可能に設けた篩い部材と、この篩い部材の前記抜き差しのために設けた開口部とを備えることを特徴とする木材破砕機。
- 請求項1記載の木材破砕機において、前記開口部を、前記破砕ロータの軸受部と干渉しない位置に設けたことを特徴とする木材破砕機。
- 請求項1又は2記載の木材破砕機において、前記篩い部材保持手段に保持した篩い部材を、前記開口部の近傍まで移動させる移動機構を設けたことを特徴とする木材破砕機。
- 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の木材破砕機において、前記開口部に、着脱又は開閉可能な扉を設けたことを特徴とする木材破砕機。
- 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の木材破砕機において、前記篩い部材を、前記破砕装置の軸線方向に複数個に分割可能な構造としたことを特徴とする木材破砕機。
- 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の木材破砕機において、前記篩い部材を、高張力鋼で構成したことを特徴とする木材破砕機。
- 本体フレームと、この本体フレームに設けた走行手段と、前記本体フレーム上に設けられ、外周部に破砕ビットを配設した破砕ロータを備えた回転式の破砕装置と、この破砕装置の外周側に設けた篩い部材保持手段と、この篩い部材保持手段の内周部に、前記破砕ロータの軸線方向に抜き差し可能に設けた篩い部材と、前記破砕装置に対する前記本体フレームの一方側に設けられ、前記破砕装置に被破砕木材を搬送する搬送手段と、この搬送手段上方に配設された押圧導入手段と、前記破砕装置下方位置から前記破砕装置に対する前記本体フレームの他方側外方に延在する搬出コンベアとを備えたことを特徴とする木材破砕機。
Priority Applications (1)
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