JP2006181508A - 木材破砕機 - Google Patents

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Abstract

【課題】固定刃に過負荷が掛かっても固定刃を固定するボルトのせん断を防止することができる木材破砕機を提供する。
【解決手段】外周部に破砕ビット35を配設し、回転自在に支持された破砕ロータ32と、この破砕ロータ32の外周側に設けた支持部材43と、この支持部材43にボルト53により交換可能に設けられ、破砕ビット35の回転軌跡の近傍に配設されたアンビル33と、支持部材43に固定され、アンビル33の破砕ロータ径方向外向きへの動きを規制する係止部材52とを備える。
【選択図】 図9

Description

本発明は、剪定枝材・間伐材、枝木材、廃木材等を破砕対象とする木材破砕機に関し、例えば破砕ロータを回転させて被破砕木材を破砕する木材破砕機に関するものである。
例えば、森林で伐採された木材を枝払いするときに発生する剪定枝材・間伐材や、造成・緑地維持管理等で発生する枝木材、あるいは木造家屋に使用された廃木材は、通常、最終的に産業廃棄物として処理される。木材破砕機は、廃棄物処理過程における廃棄物の減容を図ったり、粉砕した後の粉砕物を発酵処理し有機肥料として再利用することを目的に、それら枝材・枝木材等を、運搬する前にその作業現場で所定の大きさに破砕するものである。
この種の木材破砕機として、外周部に破砕ビットを配設し、回転自在に支持された破砕ロータと、この破砕ロータの外周側に設けた支持部材と、この支持部材にボルトにより固定され、破砕ビットの回転軌跡の近傍位置となるように配設された複数の固定刃とを備えたものがある。この木材破砕機では、被破砕物に対し破砕ロータの破砕ビットを衝突させてまず破砕(一次破砕)した後、その破砕片をさらに破砕ロータ外周側の回転方向下流側に位置する複数の固定刃に順次衝突させてさらなる破砕(二次破砕)を行う。そして、被破砕木材が破砕ロータの外周側に設けた篩部材の複数の開口部の開口面積以下にまで細かく破砕されたら、その開口部より外部に導出し、搬出コンベアによって搬出する。
特開2002−346415号公報
上記従来技術において、固定刃は支持部材にボルトにより固定されている。このような構造では、例えば被破砕木材中に混入した金属や石などの破砕不可能な異物が破砕ビットと固定刃との間に噛み込んだ場合等、固定刃に過負荷が掛かると、固定刃を支持部材に固定するボルトにせん断力が作用して、ボルトがせん断される恐れがあった。
本発明は、上記従来技術の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、固定刃に過負荷が掛かっても固定刃を固定するボルトのせん断を防止することができる木材破砕機を提供することにある。
(1)上記目的を達成するために、本発明の木材破砕機は、外周部に破砕ビットを配設し、回転自在に支持された破砕ロータと、この破砕ロータの外周側に設けた支持部材と、この支持部材にボルトにより交換可能に設けられ、前記破砕ビットの回転軌跡の近傍に配設された固定刃と、前記支持部材に固定され、前記固定刃の前記破砕ロータ径方向外向きへの動きを規制する係止部材とを備えるものとする。
本発明においては、固定刃はボルトにより支持部材に対して交換可能に設けられる。
ここで、例えば被破砕木材中に混入した金属や石などの破砕不可能な異物が破砕ビットと固定刃との間に噛み込んだ場合等、固定刃に過負荷が掛かると、固定刃をボルトによってのみ支持部材に固定していた前述の従来技術のような構造では、ボルトにせん断力が作用してボルトがせん断される恐れがあった。また、万一ボルトがせん断されると、固定刃が支持部材から脱落して破砕ロータに衝突し、破砕ロータが破損する恐れがあった。
これに対し、本発明においては、支持部材に固定された係止部材により固定刃の破砕ロータ径方向外向きへの動きを規制する。これにより、固定刃に過負荷が作用した場合であっても固定刃が破砕ロータ径方向外向きに動くのを防止でき、上記従来技術のようにボルトにせん断力が作用してせん断されるのを防止することができる。また、その結果、固定刃が支持部材から脱落し、破砕ロータに衝突して破砕ロータが破損するといった事態を防止することができる。
(2)上記目的を達成するために、また本発明は、外周部に破砕ビットを配設し、回転自在に支持された破砕ロータと、この破砕ロータの外周側に設けた支持部材と、この支持部材にボルトにより交換可能に設けられ、前記破砕ビットの回転軌跡の近傍に配設された固定刃と、この固定刃と嵌合し、前記支持部材の前記破砕ロータ側の先端部を覆うように設けた保護部材と、前記支持部材に固定され、前記保護部材の前記破砕ロータ径方向外向きへの動きを規制する係止部材とを備えるものとする。
本発明においては、係止部材により破砕ロータ径方向外向きへの動きを規制された保護部材と固定刃とが嵌合されているため、結果として固定刃の破砕ロータ径方向外向きへの動きが規制される。これにより、固定刃に過負荷が作用した場合であっても、上記従来技術のようにボルトにせん断力が作用してせん断されるのを防止することができる。さらに本発明によれば、固定刃を支持する支持部材の破砕ロータ側の先端部を覆うように保護部材を設けるため、支持部材が破砕中の被破砕木材等との摩擦により摩耗するのを防止することができる。
(3)上記(1)又は(2)において、好ましくは、前記係止部材は、前記固定刃又は保護部材の前記破砕ロータ径方向外側の角部にひっかける係止部を有するものとする。
このような構造とすることにより、固定刃又は保護部材の破砕ロータ径方向外向きへの動きを確実に規制することができる。
(4)上記(2)又は(3)において、また好ましくは、前記固定刃はその長手方向に形成された溝部を有し、前記保護部材はその長手方向に形成され前記固定刃の溝部に嵌合可能な突部を有しており、前記固定刃と前記保護部材とは前記突部が前記溝部に嵌まり込むことにより嵌合するものとする。
このような構造とすることにより、固定刃の破砕ロータ径方向の動きを確実に規制することができる。
(5)上記(2)乃至(4)のいずれか1つにおいて、また好ましくは、前記保護部材は、前記ボルトにより前記支持部材に対し交換可能に取り付けられているものとする。
これにより、保護部材が破砕中の被破砕木材等との摩擦により摩耗した場合には交換することができる。
請求項1記載の発明によれば、係止部材を設けることにより固定刃の破砕ロータ径方向外向きへの動きを規制するので、固定刃に過負荷が掛かっても固定刃を固定するボルトのせん断を防止することができる。
請求項2記載の発明によれば、係止部材により破砕ロータ径方向外向きへの動きを規制された保護部材と固定刃とを嵌合させることにより、固定刃の破砕ロータ径方向外向きへの動きを規制するので、固定刃に過負荷が掛かっても固定刃を固定するボルトのせん断を防止することができる。
以下、本発明の木材破砕機の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の木材破砕機の一実施の形態である自走式木材破砕機の全体構造を表す側面図、図2は図1に示した自走式木材破砕機の上面図、図3は後述する破砕装置12近傍の側面カバー19内部の詳細構造を表す側面図である。なお、以下において、図1中の左・右に対応する方向を木材破砕機の後・前、又は一方・他方とする。
これら図1乃至図3において、1は自力走行を可能にする走行体、2はこの走行体1上に設けられ受け入れた被破砕木材を破砕する破砕機能構成部、3はこの破砕機能構成部2で破砕された破砕物を搬送し機外に排出する排出コンベア、4は搭載した各機器の動力源(エンジン)等を備えた動力装置(パワーユニット)で、本例の自走式木材破砕機は、これら走行体1、破砕機能構成部2、排出コンベア3、動力装置4等によって概略構成されている。
上記走行体1は、トラックフレーム5と、このトラックフレーム5の前後両端部に設けた駆動輪6及び従動輪7と、出力軸を駆動輪6の軸に連結した駆動装置(走行用油圧モータ)8と、駆動輪6及び従動輪7に掛け回した履帯(無限軌道履帯)9とで構成されている。また、30は上記トラックフレーム5上に設けた本体フレームで、この本体フレーム30によって、上記破砕機能構成部2や排出コンベア3、動力装置4等が支持されている。
上記破砕機能構成部2は、投入される被破砕木材を受け入れるホッパ10と、このホッパ10内に収容配置された被破砕木材の搬送手段としての送りコンベア11(図2参照)と、この送りコンベア11によって導入された被破砕木材を破砕する破砕装置12(図3参照)と、この破砕装置12の手前で破砕装置12に導入される被破砕木材を送りコンベア11に押し付ける押圧コンベア装置13(図3参照)とを備えている。
送りコンベア11は、破砕ロータ32(後述)側に設けられたスプロケット状の駆動輪15と、その反対側(木材破砕機後方側)に設けた図示しない従動輪と、これら搬送方向両端部に設けた駆動輪15及び従動輪の間に巻回され、幅方向に複数列(この例では4列、図2参照)列設された搬送体(搬送ベルト、チェーンベルト)16とを備えている。
従動輪は、ホッパ10の側壁体17(図1参照)後部に設けた軸受18(図1参照)によって支持され、駆動輪15は、側壁体17の前方側に設けた破砕装置12の側面カバー19(図3参照)に設けた軸受(図示せず)によって支持されている。これにより、送りコンベア11は、上記ホッパ10内の下部、すなわちホッパ10の側壁体17の内側から破砕ロータ32(後述)近傍にかけ、ほぼ水平に延設されホッパ10及び破砕装置12の側面カバー19内に収納配置されている。
送りコンベア11の駆動輪15の回転軸20は、軸受よりも幅方向外側に設けた駆動装置(送りコンベア用油圧モータ、図示せず)の出力軸にカップリング等を介して連結している。送りコンベア11は、その図示しない駆動装置を回転駆動させることにより、駆動輪15及び従動輪の間で搬送体16を循環駆動させるようになっている。
前述の押圧コンベア装置13は、破砕ロータ32(後述)の後方側に近接するように、被破砕木材を搬送する送りコンベア11の搬送面に対向して設けられている。この押圧コンベア装置13は、破砕機側面カバー19に軸受21によってその回動軸22が軸支され、これにより鉛直面内を回動自在に(上下方向に揺動自在に)支持された支持部材23と、この支持部材23に対し回転自在に設けられた押えローラ24とを備えている。
支持部材23は、回動軸22を備えたアーム部25と、このアーム部25の先端側に設けられ、押えローラ24を支持しているブラケット部26とを備えている。アーム部25の下部側の端面は円弧状に湾曲して形成されており、この湾曲部には、後述する破砕室31の一部を構成する湾曲板27が取付けられている。一方、ブラケット部26における押えローラ24の取付け部分は、押えローラ24よりも小径の円弧状に形成されており、押えローラ24の外周面がブラケット部26から突出した構成となっている。押えローラ24の幅方向(図3中の紙面直交方向)の寸法は、送りコンベア11の搬送面の幅と同等かそれよりも大きく設定されている。
特に図示していないが、押えローラ24は、その胴部内に駆動装置(押えローラ用油圧モータ)を内蔵しており、この図示しない駆動装置によって、送りコンベア11の搬送面に転動する方向に被破砕木材の搬送速度とほぼ同じ周速度で回転し、押え込んだ送りコンベア11上の被破砕木材を送りコンベア11と協動して破砕装置12に導入するようになっている。
破砕装置12は、本体フレーム30(図1参照)の長手方向ほぼ中央部上に搭載されており、図3に示すように、破砕室31内で高速回転する破砕ロータ32と、この破砕ロータ32の回転方向(正転方向、図3中時計回り方向)に対向するように配置したアンビル(固定刃)33を備えている。詳細は後述するが、アンビル33は、例えば過度な衝撃が加わった場合等には、破砕ロータ32の正転方向に倣う方向に退避するように回動可能な構成となっている(図6参照)。
破砕ロータ32は、例えば破砕装置12の側面カバー19(又は本体フレーム30上に別途設けた図示しない支持部材)等に設けた軸受(図示せず)によって回転自在に軸支されており、その外周部には、複数の支持部材34と、これら支持部材34にそれぞれ取り付けられた破砕ビット(衝突板、或いは破砕刃等)35とが設けられている。破砕ビット35は、破砕ロータ32が正転方向に回転する際にその刃面が支持部材34に先行するように配置されている。また、各破砕ビット35は、ボルト36等によって支持部材34に固定され、摩耗した場合にも容易に交換可能な構成となっている。なお、特に図示はしないが、破砕ロータ32を回転駆動させる駆動装置(破砕ロータ用油圧モータ)の出力軸と破砕ロータ32の回転軸とは、Vベルト等を介して連結されている。
前述した破砕室31は、破砕ロータ32に対し、上方側に設けた前述の湾曲板27や、前方側及び下方側にそれぞれ設けられ、破砕木材(木材チップ)の粒度を設定する口径で開口した多数の孔を有する第1スクリーン39及び第2スクリーン40等によって概ね画定され、その後方側は被破砕木材導入部として解放されている。湾曲板27は、前述したように押えコンベア装置13のアーム部25の湾曲部に取付けられており、押えコンベア装置13の上下の揺動動作に伴って可動する構成となっている。この湾曲板27と同様、第1及び第2スクリーン39,40は、破砕作業時、破砕ビット35との間にそれぞれ所定の間隙を介して破砕ロータ32の回転軌跡にほぼ沿うように曲面状に形成され、着脱可能(交換可能)に配設される(詳細は後述)。
図4及び図5はアンビル33及び第1スクリーン39付近の構成を抽出しそれらの可動機構の詳細を一部断面で表す側面図で、これらの図において、先の各図と同様の部分には同符号を付し説明を省略する。
図4及び図5において、41は幅方向(図4及び図5中の紙面に垂直な方向)に一対設けられたアームで、これらアーム41,41は、回動軸42、支持部材43、スクリーン支持部材44、ガイド部材45、及び連結部材46等よって連結されており、破砕機側面カバー19の外壁面に設けた軸受47によって回動軸42が支持されることにより、回動軸42を支点に回動可能な構成となっている。なお、回動軸42の向きは、破砕ロータ32の回転軸とほぼ平行である。
アーム41は、その前端部が破砕機側面カバー19に固定した支持部材48(図3参照)にシアピン49(図3参照)を介して連結されることにより、破砕作業時(例えば図3の状態のとき)には、アンビル33が破砕ロータ32の破砕ビット35の回転軌跡(図示せず)近傍に配置されるような姿勢で固定、保持されている。そして、アンビル33に、シアピン49の許容を超えた衝撃荷重がかかった場合等は、シアピン49が破断してアーム41の拘束が解かれ、アーム41が回動軸42を支点に回動して破砕室31から退避するようになっており、各部の損傷が防止される。このときの状態を図3に対応させて図6に示す。なお、50は上記支持部材48に対して固定されたストッパであり、この図6に示すように、このストッパ50によりアンビル33の退避方向へのアーム41の回動範囲が制限され、アーム41と他の構成部材との干渉を防止するようになっている。
なお、このときのアーム41の回動動作は図示しないリミットスイッチ等により検出されるようになっており、検出時には図示しないコントローラによって破砕ロータ32の駆動装置を停止させる指令信号が出力されるようになっている。
図4及び図5に戻り、アーム41,41間の後方側には上記の支持部材43が設けられており、この支持部材43にアンビル33が保護部材51及び係止部材52を介してボルト53(後述の図9参照)によって交換可能に設けられている(詳細は後述)。またアーム41,41間の下方側には上記の枠型のスクリーン支持部材(スクリーンホルダ)44が設けられており、このスクリーン支持部材44上に第1スクリーン39が交換可能に載置される。
55は第1スクリーン39に当接する当接部材、56はロッド側端部を当接部材55にピン57を介して回動可能に連結され、ボトム側端部を連結部材46に設けたブラケット58にピン59を介して回動可能に連結された油圧シリンダであり、これら当接部材55及び油圧シリンダ56は幅方向(図4及び図5中の紙面に垂直な方向)に例えば一対設けられている(さらに多数設置してもよい)。当接部材55は、油圧シリンダ56により第1スクリーン39に対して前記のガイド部材45によってガイドされる方向に沿って進退するように移動される。
上記構成により、破砕作業時には、図4に示すように油圧シリンダ56を伸長させて当接部材55を第1スクリーン39とガイド部材45との間に楔状に押し込み、第1スクリーン39を固定する。一方、スクリーン交換時には、図5に示すように油圧シリンダ56を縮短させて当接部材55を第1スクリーン39から離間させる。その結果、第1スクリーン39は破砕ロータ32の軸線方向に引き抜き可能となり、第1スクリーン39を容易に交換できる構成となっている。
このとき、アーム41にはこの第1スクリーン39の交換作業に配慮して第1スクリーン39の引き出し、挿入用の開口部61(図3参照)が形成されており、さらに、破砕機側面カバー19にも同様に第1スクリーン39の交換作業に配慮して設けた開口部62(図3参照)が形成されている。作業者は、これら開口部61,62を介して第1スクリーン39を破砕ロータ32の軸線方向に引き出し、又は挿入できるようになっている。なお、特に図示していないが、破砕機側面カバー19の開口部62には、例えばボルト着脱式のカバー等が取付けられる。
なお、図示しないリミットスイッチ等により当接部材55の位置状態(油圧シリンダ56の伸縮状態)を検出し、離間を検出した際には図示しないコントローラによって破砕ロータ32の駆動装置の駆動を許可しない指令信号が出力されるように構成してもよい。
図3に戻り、63は前記の第2スクリーン40を破砕ロータ32の外周側位置に保持する枠型のスクリーン支持部材(スクリーンホルダ)である。このスクリーン支持部材63は、その周方向(破砕ロータ32の周方向)一方側(図3では左側)端部に設けた回動軸64が破砕機側面カバー19(又は本体フレーム30上に別途設けた図示しない支持部材)に固定した軸受65によって支持され、上下方向に回動する(破砕ロータ32に対して進退する)構成となっている。
66はボトム側端部を本体カバー19側に固定されたブラケット67にピン68を介して回動可能に連結された油圧シリンダ、69はこの油圧シリンダ66の伸縮動作をスクリーン支持部材63の破砕ロータ32に対する進退動作に変換するリンク機構である。リンク機構69は、油圧シリンダ66のロッド側端部に設けられ、油圧シリンダ66の伸縮方向に沿って移動するスライドリンク70と、一方側端部(図3中上側端部)を上記スクリーン支持部材63の周方向他方側端部(図3中右側端部)に回動可能に連結され、他方側端部(図3中下側端部)をピン71を介してスライドリンク70と回動自在に連結された保持リンク72とを備えている。また、73は上記スライドリンク70の移動方向をガイドすると共に、スライドリンク70が保持リンク72から受ける縦荷重を支持するガイド部材である。
図7は、前述した第1スクリーン39及び第2スクリーン40付近の構成を抽出しその可動機構の詳細を一部断面で表す側面図で、この図において、先の各図と同様の部分には同符号を付し説明を省略する。
図7に示すように、破砕作業時には、油圧シリンダ66が伸長してリンク機構69のスライドリンク70と保持リンク72とがほぼ直角に折れ曲がった状態となり、スクリーン支持部材63が破砕ロータ32に最も近づいた位置に位置する状態となる。この状態から油圧シリンダ66が縮短するにつれてスライドリンク70と保持リンク72とが回動して徐々に開き、スクリーン支持部材63が徐々に破砕ロータ32から離間する方向に移動する(下降する)。そして、油圧シリンダ66が最も縮短した状態になると、スライドリンク70と保持リンク72とがほぼ伸びきった状態となり、スクリーン支持部材63が破砕ロータ32から最も遠い位置に位置する状態となる。この状態を図7に対応して図8に示す。これにより、第2スクリーン40は破砕ロータ32の軸線方向に引き抜き可能となり、第2スクリーン40を容易に交換できる構成となっている。
このとき、破砕機側面カバー19には第2スクリーン40の交換作業に配慮して設けた切り欠き部74(図3参照)が形成されている。作業者は、この切り欠き部74を介して第2スクリーン40を破砕ロータ32の軸線方向に引き出し、又は挿入できるようになっている。なお、特に図示していないが、この切り欠き部74には、例えばボルト着脱式のカバー等が取付けられる。
また、図示しないリミットスイッチ等によりスクリーン支持部材63の位置状態(油圧シリンダ66の伸縮状態)を検出し、破砕ロータ32からの離間を検出した際には図示しないコントローラによって破砕ロータ32の駆動装置の駆動を許可しない指令信号が出力されるように構成してもよい。
図1及び図2に戻り、排出コンベア3は、排出側(前方側、図1及び図2中右側)部分が、動力装置4から突出して設けた支持部材75によって吊り下げ支持されている。また、その反対側(後方側、図1及び図2中左側)部分は、支持部材76を介して本体フレーム30から吊り下げ支持されている。これにより、排出コンベア3は、破砕装置12の下方から動力装置4の下方を通され、自走式木材破砕機前方側外方へ上り傾斜で配置されている。77はこの排出コンベア3のフレーム、78はこのフレーム77の長手方向両端に設けた駆動輪(図示せず)と従動輪(図示せず)との間に巻回したコンベアベルト(図示せず)上に設けたコンベアカバーである。79は駆動輪を回転駆動させる駆動装置(排出コンベア用油圧モータ)で、この駆動装置79を回転駆動させることにより、駆動輪及び従動輪の間でコンベアベルトを循環駆動させるようになっている。
また、上記の動力装置4は、本体フレーム30の長手方向他方側(図1及び図2中右側)端部上に、支持部材80を介して搭載されている。この動力装置4の後方側でかつ幅方向一方側(図2中下側)の区画には、運転席81が設けられている。82はこの運転席81に設けた走行操作用の操作レバー、83はその他の操作や設定、モニタリング等を行うための操作盤である。操作盤83は、本例では地上から作業者が操作し易いよう機体の側部に設けられているが、運転席81に設けても構わない。
以上のような基本構成である自走式木材破砕機において、本実施形態のもっとも大きな特徴は、アンビル33に過負荷が作用してもボルト53がせん断されないようにしたことにある。以下、この詳細構造について説明する。
図9は、アンビル33のボルト固定部における固定構造を表す図4中IXに示す範囲の側断面図である。
この図9において、33は前記したアンビル、51はアンビル33と嵌合し、支持部材43の破砕ロータ32側の先端部を覆うように設けた前記保護部材、52は支持部材43に例えば溶接により固定され、保護部材51と支持部材43との間に介在し、保護部材51の破砕ロータ径方向外向きへの動きを規制する前記係止部材、53はこれらアンビル33、保護部材51、係止部材52及び支持部材43を貫通してナット84と螺合することによりアンビル33及び保護部材51を支持部材43に交換可能に固定する前記ボルトである。
保護部材51は、アンビル33と嵌合する嵌合部51aと、支持部材43の破砕ロータ32側の先端部を覆う保護部51bとにより構成されており、これら嵌合部51a及び保護部51bは溶接等により一体的に接合されている。このように構成される保護部材51は、図9に示すように側断面形状が略L字型となっており、これにより支持部材43や係止部材52の破砕ロータ32側先端部、及びボルト53とナット84との螺合部等を破砕室31と隔絶して保護し、それらが破砕ロータ32により破砕される被破砕木材等との摩擦により摩耗するのを防止するようになっている。
アンビル33の裏側(破砕ロータ32の回転方向下流側。図9中右側)にはその長手方向(図9中紙面に垂直な方向)に沿って溝部33aが形成され、また保護部材51の嵌合部51aにはその長手方向(図9中紙面に垂直な方向)に沿って上記アンビル33の溝部33aに嵌合可能なレール状の突部51a1が形成されており、アンビル33と保護部材51の嵌合部51aとは突部51a1が上記溝部33aに嵌まり込むことにより嵌合するようになっている。なお、ここでは溝状の溝部33aにレール状の突部51a1を嵌合させるようにしたが、例えば円柱状の凸部を円柱状の凹部に嵌合させるようにしてもよい。
係止部材52は、上記したように支持部材43に例えば溶接により固定されており、その破砕ロータ径方向外側(図9中上側)に係止部52aを有している。係止部材52は、この係止部52aにより保護部材51(嵌合部51a)の破砕ロータ径方向外側の角部をひっかけ、保護部材51の破砕ロータ径方向外向きへの動きを規制するようになっている。なお、ここでは係止部材52と支持部材43とを別部材として設けているが、例えば支持部材43から直接係止部52aが突き出るような一体的な構成としてもよい。
次に、上記構成の本発明の木材破砕機の一実施の形態の動作を以下に説明する。
例えば油圧ショベルのグラップル等、適宜の作業具によりホッパ10内に被破砕木材を投入すると、被破砕木材は送りコンベア11の搬送体16上に載置され、ホッパ10の側壁体17によって案内されつつ循環駆動する搬送体16によって木材破砕機前方側に向かってほぼ水平方向に搬送される。
送りコンベア11上の被破砕木材は、押圧コンベア装置13付近まで搬送されると、押圧コンベア装置13の押えローラ24の下部に入り込み押圧コンベア装置13を押し上げる。これにより、送りコンベア11上の被破砕木材は、押圧コンベア装置13の自重の作用により送りコンベア11との間に押圧把持された状態で、破砕室31内へと導入される。これにより、破砕時には、被破砕木材は、押えローラ24と送りコンベア11とに挟持された部分を支点に片持ち梁状に破砕室31内に突出し、この突出部分が、回転する破砕ロータ32の破砕ビット35が衝突することで比較的大雑把に1次破砕される。1次破砕された被破砕木材の木材片は、破砕ロータ32の外周側の破砕室31内の空間を破砕ロータ32の回転方向に周回し、アンビル33に衝突し、その衝撃力によってさらに細かく2次破砕される。
以上のようにして破砕された破砕途中の木材片のうち第1及び第2スクリーン39,40に多数設けた孔よりも大きなものは継続して破砕室31内を周回し、破砕ビット35やアンビル33に再度衝突することにより、さらに破砕されていく。このようにして、第1及び第2スクリーン39,40の孔を通過する粒度にまで粉砕されると、破砕木材(木材チップ)が第1又は第2スクリーン39,40の孔を通過して、破砕装置12から排出される。
破砕装置12から排出された破砕木材(木材チップ)は、シュート(図示せず)を介し循環駆動する排出コンベア3のコンベアベルト上に落下し、前方側(図1及び図2中右側)へと搬送され、リサイクル品として排出される。
以上のようにして破砕作業が行われる本発明の木材破砕機の一実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
本実施形態においては、アンビル33はボルト53により支持部材43に対して交換可能に設けられる。
ここで、例えば被破砕木材中に混入した金属や石などの破砕不可能な異物が破砕ロータ32の破砕ビット35とアンビル33との間に噛み込んだ場合等、アンビル33に過負荷が掛かると、アンビル33をボルト53によってのみ支持部材43に固定していた前述の従来技術のような構造では、シアピン49が破断してアーム41が回動し、アンビル33が破砕室31から退避する前に、ボルト53にせん断力が作用してせん断される恐れがあった。また、万一このようにボルト53がせん断されると、アンビル33が支持部材43から脱落して破砕ロータ32に衝突し、破砕ロータ32が破損する恐れがあった。
これに対し、本実施形態においては、係止部材52により保護部材51の破砕ロータ径方向外向きへの動きを規制し、さらに保護部材51とアンビル33とが嵌合されているため、結果としてアンビル33の破砕ロータ径方向外向きへの動きが規制される。これにより、アンビル33に過負荷が作用した場合であっても、上記従来技術のようにボルト53にせん断力が作用してせん断されるのを防止することができる。また、その結果、アンビル33が支持部材43から脱落し、破砕ロータ32に衝突して破砕ロータ32が破損するといった事態を防止することができる。
また、このようにアンビル33の破砕ロータ径方向外向きへの動きを規制することにより、例えばメンテナンス不良等により万一ボルト53に若干の緩みが生じたような場合であっても、アンビル33のずれを防止しガタツキ等をなくすことができる。
さらに本実施形態によれば、アンビル33を支持する支持部材43や係止部材52の破砕ロータ32側の先端部、及びボルト53とナット84との螺合部を覆うように保護部材51を設けるため、支持部材43及び係止部材52の破砕ロータ32側先端部やナット84等が破砕中の被破砕木材等との摩擦により摩耗するのを防止することができる。
なお、以上においては、保護部材51の嵌合部51aにレール状の突部51a1を設け、この突部51a1を固定刃33の溝状の溝部33aに嵌め込むことにより、固定刃33を保護部材51に嵌合させるようにしたが、これに限らず、例えば保護部材51の嵌合部51a及び係止部材52を省略し、支持部材43に突部を形成して、この突部を固定刃33の溝部33aに嵌め込むことにより、固定刃33を支持部材43に直接嵌合させるようにしてもよい。この場合、保護部材51の保護部51bについては、支持部材43の先端部等にボルト等により取り付ければ足りる。
また、以上は、被破砕木材の押圧導入手段として、前述した押えコンベア装置13を採用したが、これに限られず、例えば、駆動ローラ及び従動ローラの間に無端状の部材(ベルトやチェーン等)を巻き回したものを用いてもよい。また、その押圧時の動作も、回動動作でなく上下動する構成として構わない。この場合も同様の効果を得る。
さらに、破砕装置として破砕ロータ32の外周部に刃物(破砕ビット35)を取り付けたいわゆるインパクトクラッシャを備えた木材破砕機を例にとって説明したが、これに限られず、他の破砕装置、例えば、平行に配置された軸にカッタを備え、互いに逆回転させることにより被破砕物をせん断する破砕装置(いわゆるシュレッダを含む2軸せん断機等)や、ロール状の回転体(ロータ)に破砕用の刃物を取り付けたものを一対としてそれら一対を互いに逆方向へ回転させ、それら回転体の間に被破砕物を挟み込んで破砕を行う回転式の破砕装置(いわゆるロールクラッシャを含む6軸破砕機等)や、被破砕物をチップ状にするいわゆる木材チッパーを備えた木材破砕機にも適用可能である。これらの場合も、上記と同様の効果を得る。
またさらに、本発明を自力走行可能な木材破砕機に適用した場合を例にとって説明したが、これに限られず、牽引して走行可能な移動式木材破砕機、若しくは例えばクレーン等により吊り上げて運搬可能な可搬式木材破砕機、さらにはプラント等において固定機械として配置される定置式木材破砕機に適用しても良いことは言うまでもなく、これらの場合も上記と同様の効果を得る。
本発明の木材破砕機の一実施の形態の全体構造を表す側面図である。 本発明の木材破砕機の一実施の形態の全体構造を表す平面図である。 本発明の木材破砕機の一実施の形態に備えられた破砕装置近傍の側面カバー内部の詳細構造を表す側面図である。 本発明の木材破砕機の一実施の形態に備えられたアンビル及び第1スクリーン付近の構成を抽出しそれらの破砕時における可動機構の詳細を一部断面で表す側面図である。 本発明の木材破砕機の一実施の形態に備えられたアンビル及び第1スクリーン付近の構成を抽出しそれらのスクリーン交換時における可動機構の詳細を一部断面で表す側面図である。 本発明の木材破砕機の一実施の形態に備えられた破砕装置近傍の側面カバー内部におけるアンビルが退避した状態の詳細構造を表す側面図である。 本発明の木材破砕機の一実施の形態に備えられた第1スクリーン及び第2スクリーン付近の構成を抽出しそれらの破砕時における可動機構の詳細を一部断面で表す側面図である。 本発明の木材破砕機の一実施の形態に備えられた第1スクリーン及び第2スクリーン付近の構成を抽出しそれらのスクリーン交換時における可動機構の詳細を一部断面で表す側面図である。 本発明の木材破砕機の一実施の形態に備えられたアンビルのボルト固定部における固定構造を表す図4中IXに示す範囲の側断面図である。
符号の説明
32 破砕ロータ
33 アンビル(固定刃)
33a 溝部
35 破砕ビット
43 支持部材
51 保護部材
51a1 突部
52 係止部材
52a 係止部
53 ボルト

Claims (5)

  1. 外周部に破砕ビットを配設し、回転自在に支持された破砕ロータと、
    この破砕ロータの外周側に設けた支持部材と、
    この支持部材にボルトにより交換可能に設けられ、前記破砕ビットの回転軌跡の近傍に配設された固定刃と、
    前記支持部材に固定され、前記固定刃の前記破砕ロータ径方向外向きへの動きを規制する係止部材と
    を備えたことを特徴とする木材破砕機。
  2. 外周部に破砕ビットを配設し、回転自在に支持された破砕ロータと、
    この破砕ロータの外周側に設けた支持部材と、
    この支持部材にボルトにより交換可能に設けられ、前記破砕ビットの回転軌跡の近傍に配設された固定刃と、
    この固定刃と嵌合し、前記支持部材の前記破砕ロータ側の先端部を覆うように設けた保護部材と、
    前記支持部材に固定され、前記保護部材の前記破砕ロータ径方向外向きへの動きを規制する係止部材と
    を備えたことを特徴とする木材破砕機。
  3. 前記係止部材は、前記固定刃又は保護部材の前記破砕ロータ径方向外側の角部にひっかける係止部を有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の木材破砕機。
  4. 前記固定刃はその長手方向に形成された溝部を有し、前記保護部材はその長手方向に形成され前記固定刃の溝部に嵌合可能な突部を有しており、前記固定刃と前記保護部材とは前記突部が前記溝部に嵌まり込むことにより嵌合することを特徴とする請求項2又は請求項3記載の木材破砕機。
  5. 前記保護部材は、前記ボルトにより前記支持部材に対し交換可能に取り付けられていることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の木材破砕機。
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