JP4632339B2 - 半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半透過型液晶表示装置に用いられる半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半透過型液晶表示装置は、外光を利用して表示を行う従来の反射型カラー液晶表示装置に、バックライトを兼ね備え、周囲が暗い場合でもバックライトによる表示(透過表示)が行えるようにした液晶表示装置である。
【0003】
半透過型液晶表示装置に、通常のカラーフィルタを用いた場合、外光による表示時においては、外光が二回カラーフィルタを通過する。また、バックライトによる表示時においては、バックライトが一回カラーフィルタを通過する。これにより、反射表示時と透過表示時との色特性が異なるという欠点を有していた。
【0004】
そこで従来は、反射表示と透過表示との色特性を合わせるために、バックライトが透過する部分と、外光が反射する部分と、それぞれの別の色特性を有するカラーフィルタを形成する構成や、外光が反射する部分にピンホールを形成する構成がとられていた。
【0005】
しかし、バックライトが透過する部分と外光が反射する部分と、別の色特性を有するカラーフィルタを形成する構成においては、工程数が2倍必要となり、また外光反射部分にピンホールを形成する構成においては、パターニングが困難である等の問題があった。
【0006】
そこで、例えば図11に示すように、透明基材21上の、外光22が反射する部分23に樹脂層24等を設け、その上に着色層25を設けることにより、外光22が反射する部分23の着色層25の膜厚を、バックライト26が透過する部分27に対して2分の1にする構成等が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
しかしながら、この方法においては、着色層の形成はレジスト法等により行なわれており、例えば図12に示すように、透明基材21上に形成された着色層25の膜厚が薄い場合には、樹脂層24が設けられた外光が反射する部分23の膜厚と、バックライトが透過する部分27の膜厚とを、一定にすることが困難であった。このため、半透過型液晶表示装置を構成した際に、理想とする色特性を再現することが難しく、またカラーフィルタ上に形成したITO等の透明電極が断線してしまうことや、ギャップが一定とならないこと等の問題があった。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−298271号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記のことから、半透過型液晶表示装置に用いることが可能であり、かつ容易な工程で、着色層の膜厚が薄い場合にも、外光が反射する部分と、バックライトが透過する部分との膜厚が、均一になる半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法の提供が望まれている。
【0010】
【課題が解決するための手段】
本発明は、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により液体との接触角が低下するように濡れ性が変化する濡れ性変化層と、上記濡れ性変化層上の反射光が透過する領域に形成され、透明もしくは着色層より薄く着色された反射光用層と、上記反射光用層を覆うように形成された着色層とを有する半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法であって、上記濡れ性変化層と、光触媒を含有する光触媒含有層および基体を有する光触媒含有層側基板とを、上記濡れ性変化層、パターン状に形成された光触媒含有層側遮光部および上記光触媒含有層が200μm以下となるように間隙をおいて配置した後、エネルギーを照射し、反射光用層パターンを形成する反射光用層パターン形成工程と、上記反射光用層パターンに上記反射光用層を形成する反射光用層形成工程と、上記反射光用層が形成された上記濡れ性変化層と上記光触媒含有層側基板とを、上記濡れ性変化層および上記光触媒含有層が200μm以下となるように間隙をおいて配置した後、エネルギーを照射し、着色層パターンを形成する着色層パターン形成工程と、上記反射光用層を覆うように、上記着色層パターンに沿って上記着色層を形成する着色層形成工程とを有することを特徴とする半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法を提供する。
【0011】
本発明によれば、着色層を形成する際に、着色層パターン以外のエネルギー照射されていない濡れ性変化層上は撥液性であることから、着色層を形成する着色層形成物は付着せず、着色層パターン上のみに着色層形成物が留められる。これにより、着色層パターン上に所定の量の上記着色層形成物を塗布した際、着色層パターン内に上記反射光用層を有していても、着色層形成物全体の膜厚を均一に形成することが可能となるのである。また、上記反射光用層と、その反射光用層を覆うように形成された着色層を有することにより、反射光用層上に形成された着色層の膜厚を調整することが可能となり、半透過型液晶表示装置として用いた際に、外光の反射表示と、バックライトによる透過表示との色特性を合わせることが可能となるのである。
【0012】
さらに、本発明によれば、上記濡れ性変化層を有することから、反射光用層または着色層を形成する際に、反射光用層または着色層を形成するパターン状に濡れ性を変化させ、この濡れ性の差を利用して、例えばインクジェット法等により反射光用層組成物や着色層形成物等を塗布することにより、高精細に反射光用層および着色層を形成することができる。
【0013】
上記発明においては、上記濡れ性変化層が、透明基材上に形成されていてもよい。上記濡れ性変化層に自己支持性がある場合には、透明基材上に形成されていなくてもよいが、上記濡れ性変化層に自己支持性がない場合や、半透過型液晶表示装置用カラーフィルタに強度が必要な場合には、透明基材上に形成されていてもよい。
【0014】
また、本発明はエネルギー照射に伴う光触媒の作用により液体との接触角が低下するように濡れ性が変化し、かつ反射光が透過する領域に形成された凸状の反射光用凸部を有する濡れ性変化用基板と、上記反射光用凸部を覆うように形成された着色層とを有する半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法であって、上記濡れ性変化用基板と、光触媒を含有する光触媒含有層、パターン状に形成された光触媒含有層側遮光部および基体を有する光触媒含有層側基板とを、上記濡れ性変化用基板および上記光触媒含有層が200μm以下となるように間隙をおいて配置した後、エネルギー照射し、着色層パターンを形成する着色層パターン形成工程と、上記反射光用凸部を覆うように、上記着色層パターンに沿って上記着色層を形成する着色層形成工程とを有することを特徴とする半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法を提供する。
【0015】
本発明によれば、着色層を形成する際に、着色層パターン以外のエネルギー照射されていない濡れ性変化用基板上は撥液性であることから、着色層を形成する着色層形成物は付着せず、着色層パターン上のみに着色層形成物が留められる。これにより、着色層パターン上に所定の量の上記着色層形成物を塗布した際、着色層パターン内に上記反射光用凸部を有していても、着色層形成物全体の膜厚を均一に形成することが可能となるのである。また、上記着色層パターン形成工程において、上記凸状の反射光用凸部と、その反射光用凸部を覆うように形成された上記着色層を有することにより、反射光用凸部上に形成された着色層の膜厚を調整することが可能となり、半透過型液晶表示装置として用いた際に、外光の反射表示と、バックライトによる透過表示との色特性を合わせることが可能となるのである。
【0016】
さらに、本発明によれば、上記濡れ性変化用基板を有することから、着色層を形成する際に、着色層を形成するパターン状に濡れ性を変化させ、この濡れ性の差を利用して、例えばインクジェット法等により着色層形成物等を塗布することにより、高精細に着色層を形成することができる。
【0017】
上記発明においては、上記光触媒含有層が、光触媒からなる層とすることができる。上記光触媒含有層が、光触媒のみからなる層であることにより、上記濡れ性変化層または上記濡れ性変化用基板の濡れ性の変化を効率よく行うことが可能となるからである。
【0018】
上記発明においては、上記光触媒含有層が、光触媒を真空成膜法により基体上に成膜してなる層とすることができる。表面の凹凸が少なく均一な膜厚の均質な光触媒含有層とすることが可能であり、濡れ性変化層または濡れ性変化用基板の濡れ性を均一にかつ高効率で変化させることができるからである。
【0019】
上記発明においては、上記光触媒含有層が、光触媒とバインダとを有する層であってもよい。このようにバインダを用いることにより、比較的容易に光触媒含有層を形成することが可能となり、結果的に低コストで半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの製造が可能となるからである。
【0020】
上記発明においては、上記光触媒が、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、酸化タングステン(WO3)、酸化ビスマス(Bi2O3)、および酸化鉄(Fe2O3)から選択される1種または2種以上の物質であってもよく、中でも請求項8に記載するように、上記光触媒が酸化チタン(TiO2)であることが好ましい。これは、二酸化チタンのバンドギャップエネルギーが高いため光触媒として有効であり、かつ化学的にも安定で毒性もなく、入手も容易だからである。
【0021】
上記発明においては、上記濡れ性変化層または上記濡れ性変化用基板が、光触媒を含まない層であることが好ましい。これにより、半透過型液晶表示装置用カラーフィルタを、経時的に光触媒の影響を受ける可能性のないものとすることが可能となるからである。
【0022】
上記発明においては、上記濡れ性変化層または上記濡れ性変化用基板が、上記光触媒含有層中の光触媒の作用により、エネルギー照射された際に上記濡れ性変化層表面の液体との接触角が低下するように濡れ性が変化する表面変化型濡れ性変化層とすることができる。これにより、エネルギー照射された表面変化型濡れ性変化層の表面を親液性領域、エネルギー照射されていない表面変化型濡れ性変化層の表面を撥液性領域とすることが可能となることから、上記反射光用層または上記着色層を、表面の濡れ性の差を利用して、例えばインクジェット法等により容易に形成することが可能となるからである。
【0023】
上記発明においては、上記表面変化型濡れ性変化層上における表面張力40mN/mの液体との接触角が、エネルギー照射されていない部分において10゜以上であり、エネルギー照射された部分において9゜以下であることが好ましい。上記濡れ性変化層上におけるエネルギーが照射されていない部分である撥液性領域と、照射された部分である親液性領域との濡れ性が、上述したような範囲であることにより、親液性領域のみに、反射光用層形成物または着色層形成物を付着させることが可能となるからである。
【0024】
上記発明においては、上記表面変化型濡れ性変化層が、オルガノポリシロキサンを含有する層であることが好ましい。本発明において、表面変化型濡れ性変化層に要求される特性としては、エネルギーが照射されていない場合は撥液性であり、エネルギーが照射された場合は対向する光触媒含有層中の光触媒の作用により親液性となるといった特性である。このような特性を表面変化型濡れ性変化層に付与する材料として、オルガノポリシロキサンを用いることが好ましいからである。
【0025】
上記発明においては、上記オルガノポリシロキサンが、フルオロアルキル基を含有するポリシロキサンであることが好ましい。このようにフルオロアルキル基を含有するものであれば、エネルギー照射部分と未照射部分との濡れ性の差を大きくすることが可能となるからである。
【0026】
上記発明においては、上記オルガノポリシロキサンが、YnSiX(4−n)(ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基またはエポキシ基を示し、Xはアルコキシル基またはハロゲンを示す。nは0〜3までの整数である。)で示される珪素化合物の1種または2種以上の加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンであることが好ましい。このようなオルガノポリシロキサンを用いることにより、上述したような濡れ性の変化に対する特性を発揮することができるからである。
【0027】
上記発明においては、上記表面変化型濡れ性変化層が自己支持性を有していてもよい。これにより、市販の樹脂板等を用いて、濡れ性の変化したパターンを形成することが可能となり、製造効率やコストの面からも好ましいからである。
【0028】
上記発明においては、上記濡れ性変化層または上記濡れ性変化用基板が、上記光触媒含有層中の光触媒の作用により、エネルギー照射された際に分解除去される分解除去型濡れ性変化層であり、かつ上記分解除去型濡れ性変化層に対する液体の接触角と、上記分解除去型濡れ性変化層が分解除去された際に露出する透明基材に対する液体の接触角とが異なるものであってもよい。上記濡れ性変化層または上記濡れ性変化用基板が、上記分解除去型濡れ性変化層であることにより、上記反射光用層または上記着色層を、表面の凹凸および濡れ性の差の両方の特性を利用して、例えばインクジェット法等により容易に形成することが可能となるからである。
【0029】
上記発明においては、上記分解除去型濡れ性変化層が、自己組織化単分子膜、ラングミュア−ブロジェット膜、もしくは交互吸着膜のいずれかであることが好ましい。上記分解除去型濡れ性変化層が、上記の膜であることにより、比較的高い強度を有する欠陥のない膜を容易に形成することが可能となるからである。
【0030】
上記発明においては、上記分解除去型濡れ性変化層が分解除去されて露出した透明基材上の濡れ性が、表面張力40mN/mの液体との接触角として9゜以下であり、かつ上記分解除去型濡れ性変化層上において10゜以上であることが好ましい。本発明においては、エネルギーが照射されていない部分である分解除去型濡れ性変化層が残存する領域を撥液性領域、エネルギーが照射された部分である透明基材が露出した領域を親液性領域である分解除去型濡れ性変化層であることが好ましく、上記撥液性領域および親液性領域の濡れ性が、上述したような範囲であることにより、親液性領域のみに、反射光用層形成物または着色層形成物を付着させることが可能となるからである。
【0031】
上記発明においては、上記反射光用層または上記反射光用凸部の膜厚を1とした場合に、上記着色層の膜厚が1〜5の範囲内であることが好ましい。上記着色層の膜厚が、上記範囲内より薄い場合には、上記着色層全体の膜厚を一定に保つことが困難となることから好ましくない。また、上記カラーフィルタの膜厚が、上記範囲内より厚い場合には、上記濡れ性変化層または上記濡れ性変化用基板上に形成されている上記着色層の膜厚が厚くなり、製造効率やコストの面から好ましくないからである。
【0045】
【発明の実施の形態】
本発明は、半透過型液晶表示装置に用いられる半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法および半透過型液晶表示装置用カラーフィルタに関するものである。以下、それぞれわけて説明する。
【0046】
A.半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法
本発明の半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法は、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する部材を用いる方法である。本発明においては、上記濡れ性が変化する部材を用いることにより、着色層を形成する際に、着色層が形成される着色層パターン以外のエネルギー照射されていない濡れ性変化層上を撥液性領域、着色層パターンを親液性領域とすることが可能となり、撥液性領域には着色層形成物は付着せず、親液性領域である着色層パターン上のみに着色層形成物が留められる。これにより、着色層パターン上に所定の量の上記着色層形成物を塗布した際、着色層パターン内に上記反射光用層を有している場合であっても、着色層形成物全体の膜厚を均一に形成することが可能となるのである。
【0047】
本発明の半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法は、二つの実施態様がある。以下、それぞれの実施態様にわけて説明する。
【0048】
1.第一実施態様
まず、本発明の半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法における第一実施態様について説明する。本発明の半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法における第一実施態様は、
エネルギー照射に伴う光触媒の作用により液体との接触角が低下するように濡れ性が変化する濡れ性変化層と、上記濡れ性変化層上の反射光が透過する領域に形成され、透明もしくは着色層より薄く着色された反射光用層と、上記反射光用層を覆うように形成された着色層とを有する半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法であって、
上記濡れ性変化層と、光触媒を含有する光触媒含有層および基体を有する光触媒含有層側基板とを、上記濡れ性変化層および上記光触媒含有層が200μm以下となるように間隙をおいて配置した後、エネルギーを照射し、反射光用層パターンを形成する反射光用層パターン形成工程と、
上記反射光用層パターンに上記反射光用層を形成する反射光用層形成工程と、
上記反射光用層が形成された上記濡れ性変化層と上記光触媒含有層側基板とを、上記濡れ性変化層および上記光触媒含有層が200μm以下となるように間隙をおいて配置した後、エネルギーを照射し、着色層パターンを形成する着色層パターン形成工程と、
上記反射光用層を覆うように、上記着色層パターンに沿って上記着色層を形成する着色層形成工程と
を有することを特徴とする方法である。
【0049】
本実施態様におけるカラーフィルタの製造方法は、上記反射光用層を形成することにより、この反射光用層上を覆うように形成される着色層の膜厚を調整することが可能となり、半透過型液晶表示装置として用いた際に、外光の反射表示と、バックライトによる透過表示との色特性を合わせることが可能となるのである。
【0050】
本実施態様の半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法としては、例えば図1に示すように、透明基材1上に形成された濡れ性変化層2と、基体3および基体3上に形成された光触媒含有層4を有する光触媒含有層側基板5とを、濡れ性変化層2と光触媒含有層4とが所定の間隙となるように配置した後、例えばフォトマスク6等を用いて、所定の方向からエネルギー7を照射し(図1(a))、濡れ性変化層2上の濡れ性がパターン状に変化した反射光用層パターン8を形成する(図1(b))反射光用層パターン形成工程を行う。
【0051】
次に、反射光用層パターン8上に、例えばインクジェット法等により、反射光用層9を形成する反射光用層形成工程を行う(図1(c))。上記反射光用層パターン8は、濡れ性変化層2の濡れ性が変化していることから、この濡れ性の差を利用して、高精細な反射光用層9を形成することが可能となるのである。
【0052】
次に、反射光用層9が形成された濡れ性変化層2と、上記光触媒含有層側基板5とを、上記と同様に濡れ性変化層2と、光触媒含有層4とが所定の間隔となるように配置した後、フォトマスク6等を用いてパターン状にエネルギー7を、反射光用層9の周囲に照射し(図1(d))、反射光用層9の周囲に濡れ性変化層2の濡れ性が変化した着色層パターン10を形成する着色層パターン形成工程を行う(図1(e))。
【0053】
最後に、着色層パターン10上に、例えばインクジェット法等により、着色層11を形成する着色層形成工程を行う(図1(f))。上記着色層10の濡れ性が変化していることから、この濡れ性の差を利用して、高精細に着色層11を形成することが可能となるのである。またこの際、エネルギー照射されていない濡れ性変化層2には、例えばインクジェット法等により着色層11を形成する着色層形成物等を塗布した際に、着色層形成物等が付着しない。これにより、着色層形成物は、着色層パターン10上にのみ留められ、例えば反射光用層9上の着色層11が盛り上がること等がなく、着色層11の膜厚を均一に形成することが可能となるのである。
【0054】
以下、上述した半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法の各工程について説明する。
【0055】
(1)反射光用層パターン形成工程
まず、本実施態様における反射光用層パターン形成工程について説明する。本実施態様における反射光用層パターン形成工程は、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する濡れ性変化層と、光触媒を含有する光触媒含有層および基体を有する光触媒含有層側基板とを、上記濡れ性変化層および上記光触媒含有層が200μm以下となるように間隙をおいて配置した後、パターン状にエネルギーを照射し、反射光用層パターンを形成する工程である。
【0056】
本工程により、上記濡れ性変化層の濡れ性をパターン状に変化させ、後述する反射光用層形成工程において、反射光用層の形成を容易に高精細に行うことを可能とするのである。以下、本工程の各構成について説明する。
【0057】
(濡れ性変化層)
まず、本実施態様に用いられる濡れ性変化層について説明する。本実施態様に用いられる濡れ性変化層は、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により、液体との接触角が低下するように濡れ性が変化する層であり、後述する反射光用層および着色層を形成することが可能な層であれば、特に限定されるものではない。本実施態様においては、上記濡れ性変化層の中でも、濡れ性変化層表面の液体との接触角が低下するように濡れ性が変化する表面変化型濡れ性変化層、またはエネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解除去される分解除去型濡れ性変化層であり、かつその分解除去型濡れ性変化層に対する液体の接触角と、その分解除去型濡れ性変化層が分解除去された際に露出する透明基材に対する液体の接触角とが異なる分解除去型濡れ性変化層であることが好ましい。以下、これらの表面変化型濡れ性変化層および分解除去型濡れ性変化層について説明する。
【0058】
a.表面変化型濡れ性変化層
まず、本実施態様に用いられる表面変化型濡れ性変化層について説明する。本実施態様に用いられる表面変化型濡れ性変化層は、エネルギーの照射に伴う光触媒の作用により、その表面変化型濡れ性変化層の表面における液体との接触角が低下するように濡れ性が変化する層である。
【0059】
このように、エネルギー照射により表面の液体との接触角が低下するように濡れ性が変化する表面変化型濡れ性変化層とすることにより、エネルギーが照射された部分を親液性領域とし、エネルギーが照射されていない部分を撥液性領域とすることが可能となり、この濡れ性の差を利用して、後述する反射光用層または着色層を容易に形成することが可能となるのである。
【0060】
ここで、親液性領域とは、液体との接触角が小さい領域であり、後述する反射光用層または着色層を形成する反射光用層形成物または着色層形成物に対する濡れ性の良好な領域をいうこととする。また、撥液性領域とは、液体との接触角が大きい領域であり、反射光用層形成物または着色層形成物に対する濡れ性が悪い領域をいうこととする。
【0061】
上記表面変化型濡れ性変化層は、エネルギー照射していない部分、すなわち撥液性領域においては、40mN/mの液体との接触角が、10゜以上、好ましくは表面張力30mN/mの液体との接触角が10゜以上、特に表面張力20mN/mの液体との接触角が10゜以上であることが好ましい。これは、エネルギー照射していない部分は、本実施態様においては撥液性が要求される部分であることから、液体との接触角が小さい場合は、撥液性が十分でなく、反射光用層または着色層を形成しない領域にまで反射光用層形成物または着色層形成物が付着する可能性が生じるため好ましくないからである。
【0062】
また、上記表面変化型濡れ性変化層は、エネルギー照射すると液体との接触角が低下して、表面張力40mN/mの液体との接触角が9゜以下、好ましくは表面張力50mN/mの液体との接触角が10゜以下、特に表面張力60mN/mの液体との接触角が10゜以下となるような層であることが好ましい。エネルギー照射された部分、すなわち親液性領域における液体との接触角が高い場合は、後述する反射光用層形成物または着色層形成物の塗布に際して、親液性領域においても反射光用層形成物または着色層形成物をはじいてしまう可能性があり、親液性領域上に反射光用層または着色層をパターニングすることが難しくなる可能性があるからである。
【0063】
なお、ここでいう液体との接触角は、種々の表面張力を有する液体との接触角を接触角測定器(協和界面科学(株)製CA−Z型)を用いて測定(マイクロシリンジから液滴を滴下して30秒後)し、その結果から、もしくはその結果をグラフにして得たものである。また、この測定に際して、種々の表面張力を有する液体としては、純正化学株式会社製のぬれ指数標準液を用いた。
【0064】
また、本実施態様において上述したような表面変化型濡れ性変化層を用いた場合、この表面変化型濡れ性変化層中にフッ素が含有され、さらにこの表面変化型濡れ性変化層表面のフッ素含有量が、表面変化型濡れ性変化層に対しエネルギーを照射した際に、上記光触媒の作用によりエネルギー照射前に比較して低下するように上記表面変化型濡れ性変化層が形成されていてもよい。
【0065】
このような特徴を有する表面変化型濡れ性変化層であれば、エネルギーをパターン照射することにより、容易にフッ素の含有量の少ない部分からなるパターンを形成することができる。ここで、フッ素は極めて低い表面エネルギーを有するものであり、このためフッ素を多く含有する物質の表面は、臨界表面張力がより小さくなる。したがって、フッ素の含有量の多い部分の表面の臨界表面張力に比較してフッ素の含有量の少ない部分の臨界表面張力は大きくなる。これはすなわち、フッ素含有量の少ない部分はフッ素含有量の多い部分に比較して親液性領域となっていることを意味する。よって、周囲の表面に比較してフッ素含有量の少ない部分からなるパターンを形成することは、撥液性領域内に親液性領域のパターンを形成することとなる。
【0066】
したがって、このような表面変化型濡れ性変化層を用いた場合は、エネルギーをパターン照射することにより、撥液性領域内に親液性領域のパターンを容易に形成することができるので、この親液性領域のみに反射光用層形成物または着色層形成物を付着させ、反射光用層または着色層を形成することが容易に可能となり、低コストで高精細な半透過型液晶表示装置用カラーフィルタを形成することができる。
【0067】
上述したような、フッ素を含む表面変化型濡れ性変化層中に含まれるフッ素の含有量としては、エネルギーが照射されて形成されたフッ素含有量が低い親液性領域におけるフッ素含有量が、エネルギー照射されていない部分のフッ素含有量を100とした場合に10以下、好ましくは5以下、特に好ましくは1以下であることが好ましい。
【0068】
このような範囲内とすることにより、エネルギー照射部分と未照射部分との濡れ性に大きな違いを生じさせることができる。したがって、このような表面変化型濡れ性変化層に反射光用層または着色層を形成することにより、フッ素含有量が低下した親液性領域のみに正確に反射光用層または着色層を形成することが可能となり、精度良く半透過型液晶表示装置用カラーフィルタを得ることができるからである。なお、この低下率は重量を基準としたものである。
【0069】
このような表面変化型濡れ性変化層中のフッ素含有量の測定は、一般的に行われている種々の方法を用いることが可能であり、例えばX線光電子分光法(X-ray Photoelectron Spectroscopy, ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)とも称される。)、蛍光X線分析法、質量分析法等の定量的に表面のフッ素の量を測定できる方法であれば特に限定されるものではない。
【0070】
このような表面変化型濡れ性変化層に用いられる材料としては、上述した表面変化型濡れ性変化層の特性、すなわちエネルギー照射により対向する光触媒含有層中の光触媒により濡れ性が変化する材料で、かつ光触媒の作用により劣化、分解しにくい主鎖を有するものであれば特に限定されるものではなく、具体的にはオルガノポリシロキサン等を挙げることができる。本実施態様においては、中でも上記オルガノポリシロキサンが、フルオロアルキル基を含有するオルガノポリシロキサンであることが好ましい。
【0071】
このようなオルガノポリシロキサンとしては、例えば、(1)ゾルゲル反応等によりクロロまたはアルコキシシラン等を加水分解、重縮合して大きな強度を発揮するオルガノポリシロキサン、(2)撥水牲や撥油性に優れた反応性シリコーンを架橋したオルガノポリシロキサン等のオルガノポリシロキサンを挙げることができる。
【0072】
上記の(1)の場合、一般式:
YnSiX(4−n)
(ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基またはエポキシ基を示し、Xはアルコキシル基、アセチル基またはハロゲンを示す。nは0〜3までの整数である。)
で示される珪素化合物の1種または2種以上の加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンであることが好ましい。なお、ここでYで示される基の炭素数は1〜20の範囲内であることが好ましく、また、Xで示されるアルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基であることが好ましい。
【0073】
また、特にフルオロアルキル基を含有するオルガノポリシロキサンが好ましく用いることができ、具体的には、下記のフルオロアルキルシランの1種または2種以上の加水分解縮合物、共加水分解縮合物が挙げられ、一般にフッ素系シランカップリング剤として知られたものを使用することができる。
【0074】
CF3(CF2)3CH2CH2Si(OCH3)3;
CF3(CF2)5CH2CH2Si(OCH3)3;
CF3(CF2)7CH2CH2Si(OCH3)3;
CF3(CF2)9CH2CH2Si(OCH3)3;
(CF3)2CF(CF2)4CH2CH2Si(OCH3)3;
(CF3)2CF(CF2)6CH2CH2Si(OCH3)3;
(CF3)2CF(CF2)8CH2CH2Si(OCH3)3;
CF3(C6H4)C2H4Si(OCH3)3;
CF3(CF2)3(C6H4)C2H4Si(OCH3)3;
CF3(CF2)5(C6H4)C2H4Si(OCH3)3;
CF3(CF2)7(C6H4)C2H4Si(OCH3)3;
CF3(CF2)3CH2CH2SiCH3(OCH3)2;
CF3(CF2)5CH2CH2SiCH3(OCH3)2;
CF3(CF2)7CH2CH2SiCH3(OCH3)2;
CF3(CF2)9CH2CH2SiCH3(OCH3)2;
(CF3)2CF(CF2)4CH2CH2SiCH3(OCH3)2;
(CF3)2CF(CF2)6CH2CH2Si CH3(OCH3)2;
(CF3)2CF(CF2)8CH2CH2Si CH3(OCH3)2;
CF3(C6H4)C2H4SiCH3(OCH3)2;
CF3(CF2)3(C6H4)C2H4SiCH3(OCH3)2;
CF3(CF2)5(C6H4)C2H4SiCH3(OCH3)2;
CF3(CF2)7(C6H4)C2H4SiCH3(OCH3)2;
CF3(CF2)3CH2CH2Si(OCH2CH3)3;
CF3(CF2)5CH2CH2Si(OCH2CH3)3;
CF3(CF2)7CH2CH2Si(OCH2CH3)3;
CF3(CF2)9CH2CH2Si(OCH2CH3)3;および
CF3(CF2)7SO2N(C2H5)C2H4CH2Si(OCH3)3。
【0075】
上記のようなフルオロアルキル基を含有するポリシロキサンをバインダとして用いることにより、表面変化型濡れ性変化層のエネルギー未照射部の撥液性が大きく向上し、反射光用層形成物または着色層形成物を全面塗布した場合に、この反射光用層形成物または着色層形成物の付着を妨げることが可能となり、エネルギー照射部である親液性領域のみに反射光用層形成物または着色層形成物を付着させることが可能となる。
【0076】
また、上記の(2)の反応性シリコーンとしては、下記一般式で表される骨格をもつ化合物を挙げることができる。
【0077】
【化1】
【0078】
ただし、nは2以上の整数であり、R1,R2はそれぞれ炭素数1〜10の置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、アリールあるいはシアノアルキル基であり、モル比で全体の40%以下がビニル、フェニル、ハロゲン化フェニルである。また、R1、R2がメチル基のものが表面エネルギーが最も小さくなるので好ましく、モル比でメチル基が60%以上であることが好ましい。また、鎖末端もしくは側鎖には、分子鎖中に少なくとも1個以上の水酸基等の反応性基を有する。
【0079】
また、上記のオルガノポリシロキサンとともに、ジメチルポリシロキサンのような架橋反応をしない安定なオルガノシリコーン化合物を混合してもよい。
【0080】
本実施態様においては、このようにオルガノポリシロキサン等の種々の材料を表面変化型濡れ性変化層に用いることができるのであるが、上述したように、表面変化型濡れ性変化層にフッ素を含有させることが、濡れ性のパターン形成に効果的である。したがって、光触媒の作用により劣化・分解しにくい材料にフッ素を含有させる、具体的にはオルガノポリシロキサン材料にフッ素を含有させて表面変化型濡れ性変化層とすることが好ましいといえる。
【0081】
本実施態様における表面変化型濡れ性変化層には、さらに界面活性剤を含有させることができる。具体的には、日光ケミカルズ(株)製NIKKOL BL、BC、BO、BBの各シリーズ等の炭化水素系、デュポン社製ZONYL FSN、FSO、旭硝子(株)製サーフロンS−141、145、大日本インキ化学工業(株)製メガファックF−141、144、ネオス(株)製フタージェントF−200、F251、ダイキン工業(株)製ユニダインDS−401、402、スリーエム(株)製フロラードFC−170、176等のフッ素系あるいはシリコーン系の非イオン界面活性剤を挙げることができ、また、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤を用いることもできる。
【0082】
また、表面変化型濡れ性変化層には上記の界面活性剤の他にも、ポリビニルアルコール、不飽和ポリエステル、アクリル樹脂、ポリエチレン、ジアリルフタレート、エチレンプロピレンジエンモノマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリブタジエン、ポリベンズイミダゾール、ポリアクリルニトリル、エピクロルヒドリン、ポリサルファイド、ポリイソプレン等のオリゴマー、ポリマー等を含有させることができる。
【0083】
このような表面変化型濡れ性変化層は、上述した成分を必要に応じて他の添加剤とともに溶剤中に分散して塗布液を調製し、この塗布液を透明基材上に塗布することにより形成することができる。使用する溶剤としては、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系の有機溶剤が好ましい。塗布はスピンコート、スプレーコート、ディップコート、ロールコート、ビードコート等の公知の塗布方法により行うことができる。また、紫外線硬化型の成分を含有している場合、紫外線を照射して硬化処理を行うことにより表面変化型濡れ性変化層を形成することができる。
【0084】
また、本実施態様に用いられる表面変化型濡れ性変化層は、表面の濡れ性が光触媒の作用により変化し得る材料で形成されたものであれば、自己支持性を有する材料であってもよく、また自己支持性を有さない材料であってもよい。なお、本実施態様でいう自己支持性を有するとは、他の支持材無しで有形な状態で存在し得ることをいうこととする。
【0085】
表面変化型濡れ性変化層が自己支持性を有する材料である場合には、例えば表面変化型濡れ性変化層となり得る材料からなる市販の樹脂製フィルムを用いることが可能であり、コスト面で有利であるといえる。このような材料としては、上述した材料を製膜したものが自己支持性を有するのであれば、これを用いることも可能であるが、例えば、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリビニルフロライド、アセタール樹脂、ナイロン、ABS、PTFE、メタクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリ弗化ビニリデン、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、シリコーン等を挙げることができる。
【0086】
本実施態様においては、自己支持性のない表面変化型濡れ性変化層であることが好ましい。上述した特性が大幅に変化する材料で形成される表面変化型濡れ性変化層は、通常自己支持性のある材料が少ないからである。
【0087】
本実施態様において上述した成分の表面変化型濡れ性変化層を用いることにより、光触媒含有層中の光触媒の作用により、上記成分の一部である有機基の酸化、分解等の作用を用いて、エネルギー照射部の濡れ性を変化させて親液性とし、エネルギー未照射部との濡れ性に大きな差を生じさせることができる。よって、後述する反射光用層形成物または着色層形成物を塗布した場合においても、比較的容易にエネルギー照射部である親液性領域内のみに反射光用層形成物または着色層形成物を付着させることが可能であり、高精細な半透過型液晶表示装置用カラーフィルタを低コストで製造することが可能となる。
【0088】
なお、本実施態様に用いられる表面変化型濡れ性変化層は、上述したように光触媒の作用により濡れ性の変化する層であれば特に限定されるものではないが、特に、光触媒を含まない層であることが好ましい。このように表面変化型濡れ性変化層内に光触媒が含まれなければ、その後半透過型液晶表示装置用カラーフィルタとして用いた場合に、経時的に影響を受ける心配をする必要がなく、長期間に渡り問題なく使用することが可能だからである。
【0089】
b.分解除去型濡れ性変化層
次に、本実施態様に用いられる分解除去型濡れ性変化層について説明する。本実施態様に用いられる分解除去型濡れ性変化層は、エネルギー照射された際に分解除去される分解除去型濡れ性変化層であり、かつ上記分解除去型濡れ性変化層に対する液体の接触角と、上記分解除去型濡れ性変化層が分解除去された際に露出する透明基材に対する液体の接触角とが異なるものである。このように、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解され、また上記分解除去型濡れ性変化層の液体に対する接触角と、その分解除去されて露出した透明基材に対する液体の接触角とが異なることにより、表面の凹凸および濡れ性の差の両方の特性を活かして、後述する工程において、例えばインクジェット法等により、反射光用層および着色層の形成を行うことが可能となるのである。
【0090】
また、本実施態様における分解除去型濡れ性変化層については、上述した中でも、分解除去型濡れ性変化層が分解除去されて露出した透明基材の液体との接触角と比較して、分解除去型濡れ性変化層の液体との接触角が高いことが好ましい。これにより、透明基材が露出した領域を親液性領域、分解除去型濡れ性変化層が残存する領域を撥液性領域とすることが可能となるからである。
【0091】
ここで、親液性領域とは、液体との接触角が小さい領域であり、後述する反射光用層形成物または着色層形成物に対する濡れ性の良好な領域をいうこととする。また、撥液性領域とは、液体との接触角が大きい領域であり、反射光用層形成物または着色層形成物に対する濡れ性が悪い領域をいうこととする。
領域をいうこととする。
【0092】
上記分解除去型濡れ性変化層、すなわち撥液性領域においては、40mN/mの液体との接触角が、10゜以上、好ましくは表面張力30mN/mの液体との接触角が10゜以上、特に表面張力20mN/mの液体との接触角が10゜以上であることが好ましい。これは、分解除去型濡れ性変化層が、本実施態様においては撥液性が要求される部分であることから、液体との接触角が小さい場合は、撥液性が十分でなく、反射光用層または着色層を形成しない領域にまで反射光用層形成物または着色層形成物が付着する可能性が生じるため好ましくないからである。
【0093】
また、上記分解除去型濡れ性変化層が、エネルギー照射により分解除去されて露出した透明基材は、表面張力40mN/mの液体との接触角が9゜以下、好ましくは表面張力50mN/mの液体との接触角が10゜以下、特に表面張力60mN/mの液体との接触角が10゜以下となるような層であることが好ましい。本実施態様においては透明基材が、親液性が要求される部分であることから、後述する反射光用層形成物または着色層形成物の形成に際して、親液性領域においても反射光用層形成物または着色層形成物をはじいてしまう可能性があり、親液性領域上に反射光用層形成物または着色層形成物をパターニングすることが難しくなる可能性があるからである。ここで、液体との接触角は、上述した方法により測定した値である。
【0094】
この場合、透明基材は表面を親液性となるように、表面処理したものであってもよい。材料の表面を親液性となるように表面処理した例としては、アルゴンや水などを利用したプラズマ処理による親液性表面処理が挙げられ、透明基材上に形成する親液性の層としては、例えばテトラエトキシシランのゾルゲル法によるシリカ膜等を挙げることができる。
【0095】
上記のような分解除去型濡れ性変化層に用いることができる膜としては、具体的にはフッ素系や炭化水素系の撥液性を有する樹脂等による膜を挙げることができる。これらのフッ素系や炭化水素系の樹脂は、撥液性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、これらの樹脂を溶媒に溶解させ、例としてスピンコート法等の一般的な成膜方法により形成することが可能である。
【0096】
また、本実施態様においては、機能性薄膜、すなわち、自己組織化単分子膜、ラングミュア−ブロケット膜、および交互吸着膜等を用いることにより、欠陥のない膜を形成することが可能であることから、このような成膜方法を用いることがより好ましいといえる。
【0097】
ここで、本実施態様に用いられる自己組織化単分子膜、ラングミュア−ブロケット膜、および交互吸着膜について具体的に説明する。
【0098】
▲1▼自己組織化単分子膜
自己組織化単分子膜(Self-Assembled Monolayer)の公式な定義の存在を発明者らは知らないが、一般的に自己組織化膜として認識されているものの解説文としては、例えばAbraham Ulmanによる総説“Formation and Structure of Self-Assembled Monolayers”, Chemical Review, 96, 1533-1554 (1996)が優れている。本総説を参考にすれば、自己組織化単分子膜とは、適当な分子が適当な基板表面に吸着・結合(自己組織化)した結果生じた単分子層のことと言える。自己組織化膜形成能のある材料としては、例えば、脂肪酸などの界面活性剤分子、アルキルトリクロロシラン類やアルキルアルコキシド類などの有機ケイ素分子、アルカンチオール類などの有機イオウ分子、アルキルフォスフェート類などの有機リン酸分子などが挙げられる。分子構造の一般的な共通性は、比較的長いアルキル鎖を有し、片方の分子末端に基板表面と相互作用する官能基が存在することである。アルキル鎖の部分は分子同士が2次元的にパッキングする際の分子間力の源である。もっとも、ここに示した例は最も単純な構造であり、分子のもう一方の末端にアミノ基やカルボキシル基などの官能基を有するもの、アルキレン鎖の部分がオキシエチレン鎖のもの、フルオロカーボン鎖のもの、これらが複合したタイプの鎖のものなど様々な分子から成る自己組織化単分子膜が報告されている。また、複数の分子種から成る複合タイプの自己組織化単分子膜もある。また、最近では、デンドリマーに代表されるような粒子状で複数の官能基(官能基が一つの場合もある)を有する高分子や直鎖状(分岐構造のある場合もある)の高分子が一層基板表面に形成されたもの(後者はポリマーブラシと総称される)も自己組織化単分子膜と考えられる場合もあるようである。本実施態様は、これらも自己組織化単分子膜に含める。
【0099】
▲2▼ラングミュア−ブロジェット膜
本実施態様に用いられるラングミュア−ブロジェット膜(Langmuir-Blodgett Film)は、基板上に形成されてしまえば形態上は上述した自己組織化単分子膜との大きな相違はない。ラングミュア−ブロジェット膜の特徴はその形成方法とそれに起因する高度な2次元分子パッキング性(高配向性、高秩序性)にあると言える。すなわち、一般にラングミュア−ブロジェット膜形成分子は気液界面上に先ず展開され、その展開膜がトラフによって凝縮されて高度にパッキングした凝縮膜に変化する。実際は、これを適当な基板に移しとって用いる。ここに概略を示した手法により単分子膜から任意の分子層の多層膜まで形成することが可能である。また、低分子のみならず、高分子、コロイド粒子なども膜材料とすることができる。様々な材料を適用した最近の事例に関しては宮下徳治らの総説“ソフト系ナノデバイス創製のナノテクノロジーへの展望” 高分子 50巻 9月号 644-647 (2001)に詳しく述べられている。
【0100】
▲3▼交互吸着膜
交互吸着膜(Layer-by-Layer Self-Assembled Film)は、一般的には、最低2個の正または負の電荷を有する官能基を有する材料を逐次的に基板上に吸着・結合させて積層することにより形成される膜である。多数の官能基を有する材料の方が膜の強度や耐久性が増すなど利点が多いので、最近ではイオン性高分子(高分子電解質)を材料として用いることが多い。また、タンパク質や金属や酸化物などの表面電荷を有する粒子、いわゆる“コロイド粒子”も膜形成物質として多用される。さらに最近では、水素結合、配位結合、疎水性相互作用などのイオン結合よりも弱い相互作用を積極的に利用した膜も報告されている。比較的最近の交互吸着膜の事例については、静電的相互作用を駆動力にした材料系に少々偏っているがPaula T. Hammondによる総説“Recent Explorations in Electrostatic Multilayer Thin Film Assembly”Current Opinion in Colloid & Interface Science, 4, 430-442 (2000)に詳しい。交互吸着膜は、最も単純なプロセスを例として説明すれば、正(負)電荷を有する材料の吸着−洗浄−負(正)電荷を有する材料の吸着−洗浄のサイクルを所定の回数繰り返すことにより形成される膜である。ラングミュア−ブロジェット膜のように展開−凝縮−移し取りの操作は全く必要ない。また、これら製法の違いより明らかなように、交互吸着膜はラングミュア−ブロジェット膜のような2次元的な高配向性・高秩序性は一般に有さない。しかし、交互吸着膜及びその作製法は、欠陥のない緻密な膜を容易に形成できること、微細な凹凸面やチューブ内面や球面などにも均一に成膜できることなど、従来の成膜法にない利点を数多く有している。
【0101】
また、分解除去型濡れ性変化層の膜厚としては、後述する照射されるエネルギーにより分解除去される程度の膜厚であれば特に限定されるものではない。具体的な膜厚としては、照射されるエネルギーの種類や分解除去型濡れ性変化層の材料等により大きく異なるものではあるが、一般的には、0.001μm〜1μmの範囲内、特に0.01μm〜0.1μmの範囲内とすることが好ましい。
【0102】
c.透明基材
次に、本実施態様においては、上記濡れ性変化層は透明基材上に形成されていてもよく、この場合に用いられる透明基材について説明する。本実施態様においては、例えば上述した濡れ性変化層が自己支持性のない場合や、分解除去型濡れ性変化層である場合等に透明基材が用いられ、例として図1(a)に示すように、透明基材1上に濡れ性変化層2が設けられる。
【0103】
このような透明基材としては、最終的に得られる半透過型液晶表示装置用カラーフィルタに応じて適宜選択されるものであり、この透明基材としては、従来よりカラーフィルタに用いられているものであれば特に限定されるものではないが、例えば石英ガラス、パイレックス(登録商標)、合成石英板等の可撓性のない透明なリジット材、あるいは透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材を用いることができる。この中で特にコーニング社製7059ガラスは、熱膨脹率の小さい素材であり寸法安定性および高温加熱処理における作業性に優れ、また、ガラス中にアルカリ成分を含まない無アルカリガラスであるため、アクティブマトリックス方式によるカラー液晶表示装置用のカラーフィルタに適している。本実施態様において、透明基材は通常透明なものを用いるが、反射性の透明基材や白色に着色した透明基材でも用いることは可能である。また、透明基材は、必要に応じてアルカリ溶出防止用やガスバリア性付与その他の目的の表面処理を施したものを用いてもよい。
【0104】
d.その他
また、本実施態様において、上記濡れ性変化層上または上記透明基材上に、必要に応じて遮光部(ブラックマトリックス)が形成されたものであってもよい。この遮光部の形成方法や種類等は特に限定されるものではなく、例えばスパッタリング法、真空蒸着法等により、厚み1000〜2000Å程度のクロム等の金属薄膜を形成し、この薄膜をパターニングすることにより形成する方法等を挙げることができる。
【0105】
また、上記遮光部としては、樹脂バインダ中にカーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等の遮光性粒子を含有させた層であってもよく、本実施態様においては、樹脂性遮光部であってもよい。このような樹脂性遮光部の厚みとしては、0.5〜10μmの範囲内で設定することができ、一般的に金属薄膜を用いた場合より、厚さを高くすることが可能である。
【0106】
また、用いられる樹脂バインダとしては、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ゼラチン、カゼイン、セルロース等の樹脂を1種または2種以上混合したものや、感光性樹脂、さらにはO/Wエマルジョン型の樹脂組成物、例えば、反応性シリコーンをエマルジョン化したもの等を用いることができる。このような樹脂性遮光部のパターニングの方法は、フォトリソ法、印刷法等一般的に用いられている方法を用いることができる。
【0107】
本実施態様においては、樹脂性遮光部が、湿式法により容易に形成することができることから好ましいといえる。
【0108】
(光触媒含有層側基板)
次に、本実施態様に用いられる光触媒含有層側基板について説明する。本実施態様に用いられる光触媒含有層側基板は、少なくとも光触媒含有層と基体とを有するものであり、通常は基体上に所定の方法で形成された薄膜状の光触媒含有層が形成されてなるものである。また、この光触媒含有層側基板には、パターン状に形成された光触媒含有層側遮光部やプライマー層が形成されたものも用いることができる。以下、この光触媒含有層側基板の各構成について説明する。
【0109】
a.光触媒含有層
本実施態様に用いられる光触媒含有層は、光触媒含有層中の光触媒が、濡れ性変化層の濡れ性を変化させるような構成であれば、特に限定されるものではなく、光触媒とバインダとから構成されているものであってもよいし、光触媒単体で製膜されたものであってもよい。また、その表面の特性は、特に親液性であっても撥液性であってもよい。
【0110】
本実施態様において用いられる光触媒含有層は、例えば上記図1(a)等に示すように、基体3上に全面に形成されたものであってもよいが、例えば図2に示すように、基体3上に光触媒含有層4がパターン状に形成されたものであってもよい。
【0111】
このように光触媒含有層をパターン状に形成することにより、後述する反射光用層パターンの項において説明するように、光触媒含有層を濡れ性変化層にエネルギーを照射する際に、フォトマスク等を用いるパターン照射をする必要がなく、全面に照射することにより、濡れ性変化層上に特性変化領域と特性未変化領域とからなる反射光用層パターンを形成することができる。
【0112】
この光触媒処理層のパターニング方法は、特に限定されるものではないが、例えばフォトリソグラフィー法等により行うことが可能である。
【0113】
また、光触媒含有層と濡れ性変化層とを例えば密着させてエネルギー照射を行う場合には、実際に光触媒含有層の形成された部分のみの特性が変化するものであるので、エネルギーの照射方向は上記光触媒含有層と濡れ性変化層とが対向する部分にエネルギーが照射されるものであれば、いかなる方向から照射されてもよく、さらには、照射されるエネルギーも特に平行光等の平行なものに限定されないという利点を有するものとなる。
【0114】
このような光触媒含有層における、後述するような二酸化チタンに代表される光触媒の作用機構は、必ずしも明確なものではないが、光の照射によって生成したキャリアが、近傍の化合物との直接反応、あるいは、酸素、水の存在下で生じた活性酸素種によって、有機物の化学構造に変化を及ぼすものと考えられている。本実施態様においては、このキャリアが光触媒含有層上で濡れ性変化層中の化合物に作用を及ぼすものであると思われる。
【0115】
本実施態様で使用する光触媒としては、光半導体として知られる例えば二酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、酸化タングステン(WO3)、酸化ビスマス(Bi2O3)、および酸化鉄(Fe2O3)を挙げることができ、これらから選択して1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0116】
本実施態様においては、特に二酸化チタンが、バンドギャップエネルギーが高く、化学的に安定で毒性もなく、入手も容易であることから好適に使用される。二酸化チタンには、アナターゼ型とルチル型があり本実施態様ではいずれも使用することができるが、アナターゼ型の二酸化チタンが好ましい。アナターゼ型二酸化チタンは励起波長が380nm以下にある。
【0117】
このようなアナターゼ型二酸化チタンとしては、例えば、塩酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(石原産業(株)製STS−02(平均粒径7nm)、石原産業(株)製ST−K01)、硝酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(日産化学(株)製TA−15(平均粒径12nm))等を挙げることができる。
【0118】
光触媒の粒径は小さいほど光触媒反応が効果的に起こるので好ましく、平均粒径が50nm以下が好ましく、20nm以下の光触媒を使用するのが特に好ましい。
【0119】
本実施態様における光触媒含有層は、上述したように光触媒単独で形成されたものであってもよく、またバインダと混合して形成されたものであってもよい。光触媒のみからなる光触媒含有層の場合は、濡れ性変化層上の濡れ性の変化に対する効率が向上し、処理時間の短縮化等のコスト面で有利である。一方、光触媒とバインダとからなる光触媒含有層の場合は、光触媒含有層の形成が容易であるという利点を有する。
【0120】
光触媒のみからなる光触媒含有層の形成方法としては、例えば、スパッタリング法、CVD法、真空蒸着法等の真空製膜法を用いる方法を挙げることができる。真空製膜法により光触媒含有層を形成することにより、均一な膜でかつ光触媒のみを含有する光触媒含有層とすることが可能であり、これにより濡れ性変化層上の濡れ性を均一に変化させることが可能であり、かつ光触媒のみからなることから、バインダを用いる場合と比較して効率的に濡れ性変化層上の濡れ性を変化させることが可能となる。
【0121】
また、光触媒のみからなる光触媒含有層の他の形成方法としては、例えば光触媒が二酸化チタンの場合は、基体上に無定形チタニアを形成し、次いで焼成により結晶性チタニアに相変化させる方法等が挙げられる。ここで用いられる無定形チタニアとしては、例えば四塩化チタン、硫酸チタン等のチタンの無機塩の加水分解、脱水縮合、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラメトキシチタン等の有機チタン化合物を酸存在下において加水分解、脱水縮合によって得ることができる。次いで、400℃〜500℃における焼成によってアナターゼ型チタニアに変性し、600℃〜700℃の焼成によってルチル型チタニアに変性することができる。
【0122】
また、バインダを用いる場合は、バインダの主骨格が上記の光触媒の光励起により分解されないような高い結合エネルギーを有するものが好ましく、例えば上述した濡れ性変化層の表面変化型濡れ性変化層の欄で説明したオルガノポリシロキサン等を挙げることができる。
【0123】
このようにオルガノポリシロキサンをバインダとして用いた場合は、上記光触媒含有層は、光触媒とバインダであるオルガノポリシロキサンとを必要に応じて他の添加剤とともに溶剤中に分散して塗布液を調製し、この塗布液を基体上に塗布することにより形成することができる。使用する溶剤としては、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系の有機溶剤が好ましい。塗布はスピンコート、スプレーコート、ディッブコート、ロールコート、ビードコート等の公知の塗布方法により行うことができる。バインダとして紫外線硬化型の成分を含有している場合、紫外線を照射して硬化処理を行うことにより光触媒含有層を形成することかできる。
【0124】
また、バインダとして無定形シリカ前駆体を用いることができる。この無定形シリカ前駆体は、一般式SiX4で表され、Xはハロゲン、メトキシ基、エトキシ基、またはアセチル基等であるケイ素化合物、それらの加水分解物であるシラノール、または平均分子量3000以下のポリシロキサンが好ましい。
【0125】
具体的には、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラメトキシシラン等が挙げられる。また、この場合には、無定形シリカの前駆体と光触媒の粒子とを非水性溶媒中に均一に分散させ、基体上に空気中の水分により加水分解させてシラノールを形成させた後、常温で脱水縮重合することにより光触媒含有層を形成できる。シラノールの脱水縮重合を100℃以上で行えば、シラノールの重合度が増し、膜表面の強度を向上できる。また、これらの結着剤は、単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。
【0126】
バインダを用いた場合の光触媒含有層中の光触媒の含有量は、5〜60重量%、好ましくは20〜40重量%の範囲で設定することができる。また、光触媒含有層の厚みは、0.05〜10μmの範囲内が好ましい。
【0127】
また、光触媒含有層には上記の光触媒、バインダの他に、界面活性剤を含有させることができる。具体的には、日光ケミカルズ(株)製NIKKOL BL、BC、BO、BBの各シリーズ等の炭化水素系、デュポン社製ZONYL FSN、FSO、旭硝子(株)製サーフロンS−141、145、大日本インキ化学工業(株)製メガファックF−141、144、ネオス(株)製フタージェントF−200、F251、ダイキン工業(株)製ユニダインDS−401、402、スリーエム(株)製フロラードFC−170、176等のフッ素系あるいはシリコーン系の非イオン界面活性剤を挙げることができ、また、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤を用いることもできる。
【0128】
さらに、光触媒含有層には上記の界面活性剤の他にも、ポリビニルアルコール、不飽和ポリエステル、アクリル樹脂、ポリエチレン、ジアリルフタレート、エチレンプロピレンジエンモノマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリブタジエン、ポリベンズイミダゾール、ポリアクリルニトリル、エピクロルヒドリン、ポリサルファイド、ポリイソプレン等のオリゴマー、ポリマー等を含有させることができる。
【0129】
b.基体
本実施態様においては、例えば図1に示すように、光触媒含有層側基板5は、少なくとも基体3とこの基体3上に形成された光触媒含有層4とを有するものである。
【0130】
この際、用いられる基体を構成する材料は、後述する反射光用層パターンの形成の項におけるエネルギーの照射方向等により適宜選択される。
【0131】
後述するように光触媒含有層側基板に光触媒含有層側遮光部を予め所定のパターンで形成しておき、この光触媒含有層側遮光部を用いて反射光用層パターンを形成する場合においては、光触媒含有層側基板側からエネルギーを照射する必要がある。このような場合、基体は透明性を有するものであることが必要となる。
【0132】
一方、半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの濡れ性変化層の構造によっては、濡れ性変化層側にフォトマスクを配置してエネルギーを照射することも可能である。また、上述したように、半透過型液晶表示装置用カラーフィルタ内に遮光部(ブラックマトリックス)が形成されている等、その半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの種類によっては、濡れ性変化層側からエネルギーを照射する必要がある。このような場合においては、基体の透明性は特に必要とされない。
【0133】
また本実施態様に用いられる基体は、可撓性を有するもの、例えば樹脂製フィルム等であってもよいし、可撓性を有さないもの、例えばガラス基板等であってもよい。これは、後述する反射光用層パターンの形成の項におけるエネルギー照射方法により適宜選択されるものである。
【0134】
このように、本実施態様における光触媒含有層側基板に用いられる基体は特にその材料を限定されるものではないが、本実施態様においては、この光触媒含有層側基板は、繰り返し用いられるものであることから、所定の強度を有し、かつその表面が光触媒含有層との密着性が良好である材料が好適に用いられる。
【0135】
具体的には、ガラス、セラミック、金属、プラスチック等を挙げることができる。
【0136】
なお、基体表面と光触媒含有層との密着性を向上させるために、基体上にアンカー層を形成するようにしてもよい。このようなアンカー層としては、例えば、シラン系、チタン系のカップリング剤等を挙げることができる。
【0137】
c.光触媒含有層側遮光部
本実施態様に用いられる光触媒含有層側基板には、パターン状に形成された光触媒含有層側遮光部が形成されたものを用いても良い。このように光触媒含有層側遮光部を有する光触媒含有層側基板を用いることにより、エネルギー照射に際して、フォトマスクを用いたり、レーザ光による描画照射を行う必要がない。したがって、光触媒含有層側基板とフォトマスクとの位置合わせが不要であることから、簡便な工程とすることが可能であり、また描画照射に必要な高価な装置も不必要であることから、コスト的に有利となるという利点を有する。
【0138】
このような光触媒含有層側遮光部を有する光触媒含有層側基板は、光触媒含有層側遮光部の形成位置により、下記の二つの態様とすることができる。
【0139】
一つが、例えば図3に示すように、基体3上に光触媒含有層側遮光部12を形成し、この光触媒含有層側遮光部12上に光触媒含有層4を形成して、光触媒含有層側基板とする態様である。もう一つは、例えば図4に示すように、基体3上に光触媒含有層4を形成し、その上に光触媒含有層側遮光部12を形成して光触媒含有層側基板とする態様である。
【0140】
いずれの態様においても、フォトマスクを用いる場合と比較すると、光触媒含有層側遮光部が、上記光触媒含有層と濡れ性変化層との配置部分の近傍に配置されることになるので、基体内等におけるエネルギーの散乱の影響を少なくすることができることから、エネルギーのパターン照射を極めて正確に行うことが可能となる。
【0141】
さらに、上記光触媒含有層上に光触媒含有層側遮光部を形成する態様においては、光触媒含有層と濡れ性変化層とを所定の位置に配置する際に、この光触媒含有層側遮光部の膜厚をこの間隙の幅と一致させておくことにより、上記光触媒含有層側遮光部を上記間隙を一定のものとするためのスペーサとしても用いることができるという利点を有する。
【0142】
すなわち、所定の間隙をおいて上記光触媒含有層と濡れ性変化層とを対向させた状態で配置する際に、上記光触媒含有層側遮光部と濡れ性変化層とを密着させた状態で配置することにより、上記所定の間隙を正確とすることが可能となり、そしてこの状態で光触媒含有層側基板からエネルギーを照射することにより、濡れ性変化層上に反射光用層パターンを精度良く形成することが可能となるのである。
【0143】
このよう光触媒含有層側遮光部の形成方法は、特に限定されるものではなく、光触媒含有層側遮光部の形成面の特性や、必要とするエネルギーに対する遮蔽性等に応じて適宜選択されて用いられる。
【0144】
例えば、スパッタリング法、真空蒸着法等により厚み1000〜2000Å程度のクロム等の金属薄膜を形成し、この薄膜をパターニングすることにより形成されてもよい。このパターニングの方法としては、スパッタ等の通常のパターニング方法を用いることができる。
【0145】
また、樹脂バインダ中にカーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等の遮光性粒子を含有させた層をパターン状に形成する方法であってもよい。用いられる樹脂バインダとしては、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ゼラチン、カゼイン、セルロース等の樹脂を1種または2種以上混合したものや、感光性樹脂、さらにはO/Wエマルジョン型の樹脂組成物、例えば、反応性シリコーンをエマルジョン化したもの等を用いることができる。このような樹脂製遮光部の厚みとしては、0.5〜10μmの範囲内で設定することができる。このよう樹脂製遮光部のパターニングの方法は、フォトリソ法、印刷法等一般的に用いられている方法を用いることができる。
【0146】
なお、上記説明においては、光触媒含有層側遮光部の形成位置として、基体と光触媒含有層との間、および光触媒含有層表面の二つの場合について説明したが、その他、基体の光触媒含有層が形成されていない側の表面に光触媒含有層側遮光部を形成する態様も採ることが可能である。この態様においては、例えばフォトマスクをこの表面に着脱可能な程度に密着させる場合等が考えられ、反射光用層パターンを小ロットで変更するような場合に好適に用いることができる。
【0147】
d.プライマー層
次に、本実施態様の光触媒含有層側基板に用いられるプライマー層について説明する。本実施態様において、上述したように基体上に光触媒含有層側遮光部をパターン状に形成して、その上に光触媒含有層を形成して光触媒含有層側基板とする場合においては、上記光触媒含有層側遮光部と光触媒含有層との間にプライマー層を形成してもよい。
【0148】
このプライマー層の作用・機能は必ずしも明確なものではないが、光触媒含有層側遮光部と光触媒含有層との間にプライマー層を形成することにより、プライマー層は光触媒の作用による濡れ性変化層の濡れ性変化を阻害する要因となる光触媒含有層側遮光部および光触媒含有層側遮光部間に存在する開口部からの不純物、特に、光触媒含有層側遮光部をパターニングする際に生じる残渣や、金属、金属イオン等の不純物の拡散を防止する機能を示すものと考えられる。したがって、プライマー層を形成することにより、高感度で特性変化の処理が進行し、その結果、高解像度のパターンを得ることが可能となるのである。
【0149】
なお、本実施態様においてプライマー層は、光触媒含有層側遮光部のみならず光触媒含有層側遮光部間に形成された開口部に存在する不純物が光触媒の作用に影響することを防止するものであるので、プライマー層は開口部を含めた光触媒含有層側遮光部全面にわたって形成されていることが好ましい。
【0150】
図5はこのようなプライマー層を形成した光触媒含有層側基板の一例を示すものである。光触媒含有層側基板3の光触媒含有層側遮光部12が形成された基体3の光触媒含有層側遮光部12が形成されている側の表面にプライマー層13が形成されており、このプライマー層13の表面に光触媒含有層4が形成されている。
【0151】
本実施態様におけるプライマー層は、光触媒含有層側基板の光触媒含有層側遮光部と光触媒含有層とが接触しないようにプライマー層が形成された構造であれば特に限定されるものではない。
【0152】
このプライマー層を構成する材料としては、特に限定されるものではないが、光触媒の作用により分解されにくい無機材料が好ましい。具体的には無定形シリカを挙げることができる。このような無定形シリカを用いる場合には、この無定形シリカの前駆体は、一般式SiX4で示され、Xはハロゲン、メトキシ基、エトキシ基、またはアセチル基等であるケイ素化合物であり、それらの加水分解物であるシラノール、または平均分子量3000以下のポリシロキサンが好ましい。
【0153】
また、プライマー層の膜厚は、0.001μmから1μmの範囲内であることが好ましく、特に0.001μmから0.1μmの範囲内であることが好ましい。
【0154】
(反射光用層パターンの形成)
次に、反射光用層パターンの形成について説明する。本実施態様の反射光用層パターン形成工程においては、上記光触媒含有層および上記濡れ性変化層を所定の位置に配置した後、所定の方向からエネルギーを照射することにより、上記濡れ性変化層表面に反射光用層パターンを形成する工程が行われる。以下、この反射光用層パターンの形成について説明する。
【0155】
a.光触媒含有層および濡れ性変化層の配置
本実施態様の反射光用層パターン形成工程においては、まずエネルギー照射時に光触媒含有層と濡れ性変化層とを光触媒の作用が及ぶように所定の間隔をおいて配置する必要があり、本実施態様においては、上述した光触媒含有層および濡れ性変化層を200μm以下の間隙をおいて配置した後、所定の方向からエネルギーを照射する。この際、光触媒含有層および濡れ性変化層を密着させてもよい。
【0156】
本実施態様において上記間隙は、パターン精度が極めて良好であり、光触媒の感度も高く、したがって濡れ性変化層の特性変化の効率が良好である点を考慮すると特に0.2μm〜10μmの範囲内、好ましくは1μm〜5μmの範囲内とすることが好ましい。このような間隙の範囲は、特に間隙を高い精度で制御することが可能である小面積の濡れ性変化層に対して特に有効である。
【0157】
一方、例えば300mm×300mmといった大面積の濡れ性変化層に対して処理を行う場合は、接触することなく、かつ上述したような微細な間隙を光触媒含有層側基板濡れ性変化層との間に形成することは極めて困難である。したがって、濡れ性変化層が比較的大面積である場合は、上記間隙は、10〜100μmの範囲内、特に50〜75μmの範囲内とすることが好ましい。間隙をこのような範囲内とすることにより、パターンがぼやける等のパターン精度の低下の問題や、光触媒の感度が悪化して特性変化の効率が悪化する等の問題が生じることなく、さらに濡れ性変化層上の特性変化にムラが発生しないといった効果を有するからである。
【0158】
このように比較的大面積の濡れ性変化層をエネルギー照射する際には、エネルギー照射装置内の光触媒含有層側基板と濡れ性変化層との位置決め装置における間隙の設定を、10μm〜200μmの範囲内、特に25μm〜75μmの範囲内に設定することが好ましい。設定値をこのような範囲内とすることにより、パターン精度の大幅な低下や光触媒の感度の大幅な悪化を招くことなく、かつ光触媒含有層側基板と濡れ性変化層とが接触することなく配置することが可能となるからである。
【0159】
このように光触媒含有層と濡れ性変化層表面とを所定の間隔で離して配置することにより、酸素と水および光触媒作用により生じた活性酸素種が脱着しやすくなる。すなわち、上記範囲より光触媒含有層と濡れ性変化層との間隔を狭くした場合は、上記活性酸素種の脱着がしにくくなり、結果的に濡れ性変化速度を遅くしてしまう可能性があることから好ましくない。また、上記範囲より間隔を離して配置した場合は、生じた活性酸素種が濡れ性変化層に届き難くなり、この場合も濡れ性変化の速度を遅くしてしまう可能性があることから好ましくない。
【0160】
本実施態様においては、このような配置状態は、少なくともエネルギー照射の間だけ維持されればよい。
【0161】
このような極めて狭い間隙を均一に形成して光触媒含有層と濡れ性変化層とを配置する方法としては、例えばスペーサを用いる方法を挙げることができる。そして、このようにスペーサを用いることにより、均一な間隙を形成することができると共に、このスペーサが接触する部分は、光触媒の作用が濡れ性変化層表面に及ばないことから、このスペーサを上述した反射光用層パターンと同様のパターンを有するものとすることにより、濡れ性変化層上に所定の反射光用層パターンを形成することが可能となる。
【0162】
本実施態様においては、このようなスペーサを一つの部材として形成してもよいが、工程の簡略化等のため、上記光触媒含有層側基板の欄で説明したように、光触媒含有層側基板の光触媒含有層表面に形成することが好ましい。なお、上記光触媒含有層側基板における説明においては、光触媒含有層側遮光部として説明したが、本実施態様においては、このようなスペーサは濡れ性変化層表面に光触媒の作用が及ばないように表面を保護する作用を有すればよいものであることから、特に照射されるエネルギーを遮蔽する機能を有さない材料で形成されたものであってもよい。
【0163】
b.エネルギー照射
次に、上述したような配置を維持した状態で、対向する部分へのエネルギー照射が行われる。なお、本実施態様でいうエネルギー照射(露光)とは、光触媒含有層による濡れ性変化層表面の特性を変化させることが可能ないかなるエネルギー線の照射をも含む概念であり、可視光の照射に限定されるものではない。
【0164】
通常このようなエネルギー照射に用いる光の波長は、400nm以下の範囲、好ましくは380nm以下の範囲から設定される。これは、上述したように光触媒含有層に用いられる好ましい光触媒が二酸化チタンであり、この二酸化チタンにより光触媒作用を活性化させるエネルギーとして、上述した波長の光が好ましいからである。
【0165】
このようなエネルギー照射に用いることができる光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、エキシマランプ、その他種々の光源を挙げることができる。
【0166】
上述したような光源を用い、フォトマスクを介したパターン照射により行う方法の他、エキシマ、YAG等のレーザを用いてパターン状に描画照射する方法を用いることも可能である。
【0167】
また、エネルギー照射に際してのエネルギーの照射量は、濡れ性変化層表面が光触媒含有層中の光触媒の作用により濡れ性変化層表面の濡れ性の変化が行われるのに必要な照射量とする。
【0168】
この際、光触媒含有層を加熱しながらエネルギー照射することにより、感度を上昇させることが可能となり、効率的な特性の変化を行うことができる点で好ましい。具体的には30℃〜80℃の範囲内で加熱することが好ましい。
【0169】
本実施態様におけるエネルギー照射方向は、光触媒含有層側遮光部もしくは濡れ性変化層側に遮光部が形成されているか否か等の反射光用層パターンの形成方法等により決定される。
【0170】
すなわち、光触媒含有層側遮光部が形成されている場合は、光触媒含有層側基板側からエネルギー照射が行なわれる必要があり、かつこの場合は光触媒含有層側基板が照射されるエネルギーに対して透明である必要がある。なお、この場合、光触媒含有層上に光触媒含有層側遮光部が形成され、かつこの光触媒含有層側遮光部を上述したようなスペーサとしての機能を有するように用いた場合においては、エネルギー照射方向は光触媒含有層側基板側からでも濡れ性変化層側からであってもよい。
【0171】
一方、濡れ性変化層側に遮光部(ブラックマトリックス)が形成されている場合は、濡れ性変化層側からエネルギー照射が行われる必要があり、かつこの場合は、濡れ性変化層が照射されるエネルギーに対して透明である必要がある。なお、この場合も、濡れ性変化層上に遮光部が形成され、この遮光部が上述したようなスペーサとしての機能を有するように用いられた場合、エネルギー照射方向は光触媒含有層側基板側からでも濡れ性変化層側からであってもよい。
【0172】
また、光触媒含有層がパターン状に形成されている場合におけるエネルギー照射方向は、上述したように、光触媒含有層と濡れ性変化層とが対向する部分にエネルギーが照射されるのであればいかなる方向から照射されてもよい。
【0173】
同様に、上述したスペーサを用いる場合も、対向する部分にエネルギーが照射されるのであればいかなる方向から照射されてもよい。
【0174】
フォトマスクを用いる場合は、フォトマスクが配置された側からエネルギーが照射される。この場合は、フォトマスクが配置された側の基板、すなわち光触媒含有層側基板もしくは濡れ性変化層のいずれかが透明である必要がある。
【0175】
c.光触媒含有層側基板の取り外し
上述したようなエネルギー照射が終了すると、光触媒含有層側基板が濡れ性変化層との配置位置から離され、これにより図1(b)に示すように濡れ性変化層2の特性が変化した反射光用層8が形成される。
【0176】
(2)反射光用層形成工程
次に、本実施態様における反射光用層形成工程について説明する。本実施態様における反射光用層形成工程とは、上記反射光用層パターン形成工程で形成された、反射光用層形成パターン上に、反射光用層を形成する工程である。
【0177】
本実施態様において、上記反射光用層形成パターンは、濡れ性変化層上の濡れ性が変化した部分であることから、容易な工程でこの特性の差を利用して、高精細に反射光用層を形成することが可能となるのである。
【0178】
本実施態様における反射光用層とは、製造された半透過型液晶表示装置用カラーフィルタを、半透過型液晶表示装置に用いた際に、外光による反射表示と、バックライトによる透過表示との色特性を合わせるために形成される部位である。例えば図1(f)に示すように、反射光用層9は、着色層11に覆われるように、かつ反射光が通過する領域に形成される。これにより、反射光が通過する着色層11の膜厚や色を調整することが可能となり、着色層11のみを透過するバックライトによる表示時の色特性と、外光が反射光用層9上の着色層11および反射光用層9を2回通過した際の、反射表示時の色特性を合わせることが可能となるのである。
【0179】
本実施態様における反射光用層は、透明であってもよいが、後述する着色層より薄く着色された層であってもよい。反射光用層は、後述する着色層に用いられる顔料と同様の顔料等を用いて、着色することが可能であり、この際、反射光用層の色を後述する着色層より薄い色することにより、反射光用層を通過した着色層のみを透過するバックライトによる表示時の色特性と、外光が反射光用層上の着色層および反射光用層を2回通過した際の、反射表示時の色特性を合わせることが可能となるのである。
【0180】
上記反射光用層形成物としては、一般的なカラーフィルタの着色層に用いられるバインダ、保護膜やスペーサとして用いられる材料を使用することが可能である。また、これらの材料に顔料が含有されていてもよい。
【0181】
このような反射光用層形成物の具体的な材料としては、紫外線硬化型材料、熱硬化型材料が挙げられる。
【0182】
紫外線硬化型材料は、紫外線硬化型モノマーまたはオリゴマー、重合開始剤、溶媒、その他添加剤から構成される。紫外線硬化型モノマーまたはオリゴマーとしては、特に限定されるものではないが、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、シリコンアクリレート等のアクリル系、および不飽和ポリエステル/スチレン系、ポリエン/チオール系等の非アクリル系が挙げられる。硬化速度、物性選択の幅の広さからアクリル型が好ましい。アクリル型の代表例としては、単官能基のものとして、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルEO付加物アクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレートのカプロラクトン付加物、2−フェノキシエチルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、ノニルフェノールEO付加物アクリレート、ノニルフェノールEO付加物にカプロラクトン付加したアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フルフリルアルコールのカプロラクトン付加物アクリレート、アクリロイルモルホリン、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、4,4−ジメチル−1,3−ジオキソランのカプロラクトン付加物のアクリレート、3−メチル−5,5−ジメチル−1,3−ジオキソランのカプロラクトン付加物のアクリレート等が挙げられ、また多官能基のものとしてヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルのカプロラクトン付加物ジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテルのアクリル酸付加物、ヒドロキシピバルアルデヒドとトリメチロールプロパンのアセタール化合物のジアクリレート、2,2−ビス[4−(アクリロイロキシジエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロイロキシジエトキシ)フェニル]メタン、水添ビスフェノールエチレンオキサイド付加物のジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド付加物トリアクリレート、グリセリンプロピレンオキサイド付加物トリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートペンタアクリレート混合物、ジペンタエリスリトールのカプロラクトン付加物アクリレート、トリス(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、2−アクリロイロキシエチルオスフェート等が挙げられる。
【0183】
また、重合開始剤としては、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、ミヒラーケトン系、ベンジル系、ベンゾイン系、ベンゾインエーテル系、ベンジルジメチルケタール、ベンゾインベンゾエート系、α−アシロキシムエステル等のカルボニル化合物、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサントン類等のイオウ化合物、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィノキシド等のリン化合物等が挙げられる。
【0184】
熱硬化型材料は、紫外線硬化型樹脂、溶媒、その他添加剤から構成される。熱硬化型の樹脂としては、特に限定されるものではないが、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、メチルフタレート単独重合体または共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ジエチルグリコールビスアリルカーボネート、アクリロニトリル/スチレン共重合体、ポリ(−4−メチルペンテン−1)等が挙げられる。
【0185】
また、上記反射光用層の形成方法としては、上記反射光用層パターンに、上記反射光用層形成物を付着させることが可能な方法であれば、特に限定されるものではなく、上述した濡れ性変化層の特性により適宜選択されるものであり、具体的には、ディップコート、ロールコート、ビードコート、スピンコート、エアドクターコート、ブレードコート、ナイフコート、ロッドコート、グラビアコート、ロータリースクリーンコート、キスコート、スロットオリフィスコート、スプレーコート、キャストコート、押し出しコート等の塗布手段、インクジェット、ディスペンサー等を含むノズル吐出手段等を挙げることが可能である。
【0186】
また、本実施態様における反射光用層の膜厚は、目的とする半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの色特性により左右されるものではあるが、通常0.1μm〜1.0μmの範囲内であることが好ましい。
【0187】
また、本実施態様においては、後述する着色層形成工程において、上記反射光用層を覆うように着色層が形成されることから、上記反射光用層が親液性であることが好ましい。また、上記反射光用層を形成後、その表面を親液性とするように親液性処理を施してもよい。これにより、着色層を反射光用層上に均一に形成することが可能となるからである。
【0188】
(3)着色層パターン形成工程
次に、本実施態様における着色層パターン形成工程について説明する。本実施態様における着色層パターン形成工程は、上記反射光用層が形成された上記濡れ性変化層と上記光触媒含有層側基板とを、上記濡れ性変化層および上記光触媒含有層が200μm以下となるように間隙をおいて配置した後、上記濡れ性変化層にエネルギー照射し、着色層パターンを形成する工程である。
【0189】
本工程を行うことにより、着色層を形成するパターン状に濡れ性変化層の濡れ性を変化させることが可能となり、後述する着色層形成工程において、その特性の差を利用して、高精細に着色層を形成することが可能となるのである。
【0190】
なお、本実施態様に用いられる光触媒含有層側基板や、エネルギー照射の方法については、上述した反射光用層パターン形成工程において、説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0191】
(4)着色層形成工程
次に、本実施態様における着色層形成工程について説明する。本実施態様における着色層形成工程は、上記反射光用層を覆うように、着色層パターンに沿って着色層を形成する工程である。
【0192】
本工程においては、上記着色層パターン形成工程により、濡れ性変化層上の上記反射光用層の濡れ性が変化した着色層パターンが形成されていることにより、この濡れ性の差を利用して、容易に高精細に着色層を形成することが可能となるのである。また、上記着色層パターン以外の部分には、着色層を形成する着色層形成物が付着しないことから、着色層形成物は上記着色層パターン状に留まる。これにより着色層を、例えば反射光用層上の着色層に段差が形成されること等のない、均一な膜厚で形成することが可能となるのである。
【0193】
また、通常カラーフィルタにおける着色層は、赤(R)、緑(G)、および青(B)の3色で構成され、種々のパターン、例えばモザイク状、トライアングル状、ストライプ状等のパターンで形成されるものである。本実施態様の着色層においても、同様であり、このような着色層における着色パターン、着色面積は任意に設定することができる。
【0194】
また、本実施態様に用いられる着色層の材料としては、一般的にカラーフィルタの着色層として用いられる材料であれば、特に限定されるものではなく、一般的な着色層の材料として、顔料とバインダとその添加剤等により構成される。上記バインダの種類は、着色層の製造方法により変化するものであるが、一般的に着色層は顔料分散法により形成されることから、顔料分散法に必要とされる材料が好適に用いられる。
【0195】
また、本実施態様の着色層の形成は、上述した反射光用層形成工程において、説明したものと同様の方法を用いることが可能であるが、本工程においては、中でも上記反射光用層を覆うように形成するということから、目的とする場所にのみ着色層形成物を塗布する、インクジェット法等を含むノズル吐出法であることが好ましく、中でもコスト等の面からインクジェット法であることが好ましい。これにより、高精細に着色層を形成することが可能となるからである。
【0196】
ここで、本実施態様においては、上述した反射光用層の膜厚を1とした場合に、着色層の膜厚が1〜5、中でも1〜3の範囲内となるように着色層が形成されることが好ましい。ここで、着色層の膜厚とは、上記濡れ性変化層上に形成された着色層の膜厚をいうこととする。
【0197】
この際、上記範囲内より着色層の膜厚が低い場合には、上記反射光用層が形成された上に形成される着色層全体の膜厚を均一に形成することが困難だからである。また、上記着色層の膜厚が、上記範囲内より厚い場合には、着色層の膜厚が厚く、製造効率やコストの面から好ましくないからである。
【0198】
2.第二実施態様
次に、本実施態様の半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法における第二実施態様について説明する。本実施態様における半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法は、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により液体との接触角が低下するように濡れ性が変化し、かつ反射光が透過する領域に形成された凸状の反射光用凸部を有する濡れ性変化用基板と、上記反射光用凸部を覆うように形成された着色層とを有する半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法であって、
上記濡れ性変化用基板と、光触媒を含有する光触媒含有層および基体を有する光触媒含有層側基板とを、上記濡れ性変化用基板および上記光触媒含有層が200μm以下となるように間隙をおいて配置した後、エネルギー照射し、着色層パターンを形成する着色層パターン形成工程と、
上記反射光用凸部を覆うように、上記着色層パターンに沿って上記着色層を形成する着色層形成工程と
を有することを特徴とするものである。
【0199】
本実施態様によれば、上記濡れ性変化用基板が、上記反射光用凸部を有することにより、この反射光用凸部を覆うように形成される着色層の膜厚を調整することが可能となり、これにより半透過型液晶表示装置とした際に、外光による反射表示と、バックライトによる透過表示の色特性を合わせることが可能となるのである。
【0200】
本実施態様の半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法は、例えば図6に示すように、表面に凸状の反射光用凸部14が形成されている透明基材1およびその透明基材1上に形成された濡れ性変化層2を有する濡れ性変化用基板15と、基体3およびその基体3上に形成された光触媒含有層4とを有する光触媒含有層側基板5とを、濡れ性変化層2と光触媒含有層4とが、所定の間隙となるように配置した後、例えばフォトマスク6等を用いて、着色層を形成するパターン状にエネルギー7を照射する着色層パターン形成工程を行う(図6(a))。これにより、上記反射光用凸部14の周囲に濡れ性の変化した着色層パターン10が形成される。
【0201】
次に、この着色層パターン10の濡れ性の差を利用して、例えばインクジェット法等により、高精細に着色層11を反射光用凸部14を覆うように形成することが可能となるのである。また、上記着色層パターン10上に着色層形成物を例えばインクジェット法等により塗布した際に、着色層パターン10以外の濡れ性変化層2には、着色層形成物が付着せず、着色層パターン10上にのみ着色層形成物が留められる。これにより、例えば反射光用凸部14上の着色層11が盛り上がること等がなく、着色層11の膜厚を均一に形成することが可能となるのである。
【0202】
以下、上述した半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法の各工程について説明する。
【0203】
(1)着色層パターン形成工程
本実施態様における着色層パターン形成工程は、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により、液体との接触角が低下するように濡れ性が変化し、かつ反射光が透過する領域に形成された凸状の反射光用凸部を有する濡れ性変化用基板と、光触媒を含有する光触媒含有層および基体を有する光触媒含有層側基板とを、上記濡れ性変化用基板および上記光触媒含有層が200μm以下となるように間隙をおいて配置した後、着色層を形成するパターン状に、上記濡れ性変化用基板にエネルギー照射し、着色層パターンを形成する工程である。これにより、後述する着色層形成工程において、着色層の形成を容易に高精細に行うことを可能とするのである。以下、本工程に用いられる濡れ性変化用基板について説明する。
【0204】
なお、上記光触媒含有層側基板、エネルギー照射の方法等については、上述した第一実施態様の反射光用層パターン形成工程において、説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0205】
(濡れ性変化用基板)
本実施態様に用いられる濡れ性変化用基板について説明する。本実施態様に用いられる濡れ性変化用基板は、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により、液体との接触角が低下するように濡れ性が変化し、かつ反射光が透過する領域に形成された凸状の反射光用凸部を有するものである。
【0206】
本実施態様においては、上記濡れ性変化用基板の反射光が透過する領域に凸状の反射光用凸部が形成されていることにより、この反射光用凸部を覆うように形成される着色層の膜厚を調整することが可能となる。これにより半透過型液晶表示装置とした際に、反射光用凸部上の着色層を外光が2回通過した反射表示と、反射光用凸部が形成されていない部分の着色層を通過したバックライトによる透過表示との色特性を合わせることが可能となるのである。
【0207】
また、本実施態様における反射光用凸部の高さは、目的とする半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの色特性により左右されるものではあるが、通常0.1μm〜1.0μmの範囲内であることが好ましい。
【0208】
本実施態様における上記濡れ性変化用基板については、例えば図6に示すように、表面に凸状の反射光用凸部14が形成されている透明基材1と、その透明基材1上に形成された濡れ性変化層2を有する構造であってもよく(以下、第一の形態とする)、また例えば図7に示すように、濡れ性変化層2自体が、反射光用凸部14を有している構造(以下、第二の形態とする)であってもよい。
【0209】
以下、それぞれの形態にわけて説明する。
【0210】
a.第一の形態
まず本実施態様における濡れ性変化用基板の第一の形態について説明する。本実施態様における濡れ性変化用基板の第一の形態は、表面に凸状の反射光用凸部が形成されている透明基材と、その透明基材上に形成された濡れ性変化層を有する構造である。以下、各構成について説明する。
【0211】
(i)透明基材
まず、本形態に用いられる透明基材について説明する。本形態に用いられる透明基材は、表面に凸状の反射光用凸部が形成が可能なものであれば、一般的にカラーフィルタに用いられる透明基材を用いることが可能である。
【0212】
具体的に用いられる材料としては、最終的に得られる半透過型液晶表示装置に応じて適宜選択されるものであり、例えば石英ガラス、パイレックス(登録商標)、合成石英板等の可撓性のない透明なリジット材、あるいは透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材等を挙げることができる。
【0213】
また、上記反射光用凸部の形成方法としては、上記反射光用凸部を形成することが可能な方法であれば、例えばエッチング法等を用いることが可能であり、特に限定されるものではない。
【0214】
また、本形態において、透明基材は通常透明なものを用いるが、反射性の透明基材や白色に着色した透明基材でも用いることは可能である。また、透明基材は、必要に応じてアルカリ溶出防止用やガスバリア性付与その他の目的の表面処理を施したものを用いてもよい。
【0215】
(ii)濡れ性変化層
次に、本形態に用いられる濡れ性変化層について説明する。本形態に用いられる濡れ性変化層は、上記透明基材上に形成される層であり、かつエネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する層である。この濡れ性変化層が、上記透明基材上に形成されていることにより、後述する着色層形成工程において、濡れ性変化層上の濡れ性の差を利用して、高精細に着色層を形成することが可能となるのである。
【0216】
本形態に用いられる濡れ性変化層は、上述した第一実施態様において説明した濡れ性変化層と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0217】
b.第二の形態
次に、本実施態様における濡れ性変化用基板の第二の形態について説明する。本実施態様における濡れ性変化用基板の第二の形態は、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する濡れ性変化層自体が、その表面に凸状の反射光用凸部を有しているものである。
【0218】
本形態に用いられる濡れ性変化層は、上述した第一実施態様における表面変化型濡れ性変化層の自己支持性を有するものの中で、上記反射光用凸部を形成することが可能なものであれば用いることが可能であるので、ここでの説明は省略する。
【0219】
また、上記反射光用凸部の形成方法としては、上記反射光用凸部を形成することが可能な方法であれば、例えばエッチング法等を用いることが可能であり、特に限定されるものではない。
【0220】
また、本形態の濡れ性変化層用を用いる場合であっても、例えば半透過型液晶表示装置用カラーフィルタに強度が必要な場合等は、上記濡れ性変化層が透明基材上に形成されるものであってもよい。
【0221】
c.その他
また、本実施態様における濡れ性変化用基板には、上記濡れ性変化層上、または上記透明基材上に遮光部(ブラックマトリックス)が形成されていてもよい。本実施態様に用いられる遮光部は、上述した第一実施態様の濡れ性変化層の項における遮光部で説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0222】
(2)着色層形成工程
次に、本実施態様における着色層形成工程について説明する。本実施態様における着色層形成工程は、上述した着色層パターン形成工程により、形成された着色層パターンに、上述した反射光用凸部を覆うように、着色層を形成する工程である。
【0223】
本実施態様においては、上記着色層パターン形成工程により、上記濡れ性変化用基板上の濡れ性が変化した着色層パターンが形成されていることにより、この濡れ性の差を利用して、例えばインクジェット法等により高精細に着色層を形成することが可能となるのである。
【0224】
ここで、本実施態様における着色層形成工程については、上述した第一実施態様における着色層形成工程と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0225】
B.半透過型液晶表示装置用カラーフィルタ
次に、本発明における半透過型液晶表示装置用カラーフィルタについて説明する。本発明における半透過型液晶表示装置用カラーフィルタは、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する部材を用いたものであり、これにより、着色層を高精細に、かつ膜厚を均一に形成することが可能となるのである。本発明の半透過型液晶表示装置用カラーフィルタには、二つの実施態様がある。以下、それぞれの実施態様にわけて説明する。
【0226】
1.第一実施態様
まず、本発明における半透過型液晶表示装置用カラーフィルタにおける第一実施態様について説明する。本実施態様における半透過型液晶表示装置用カラーフィルタは、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により、液体との接触角が低下するように濡れ性が変化する濡れ性変化層と、上記濡れ性変化層上の反射光が透過する領域に形成され、透明もしくは着色層より薄く着色された反射光用層と、上記反射光用層を覆うように形成された着色層とを有することを特徴とするものである。
【0227】
本実施態様における半透過型液晶表示装置用カラーフィルタは、例えば図8に示すように、濡れ性変化層2と、その濡れ性変化層2上に反射光が透過する領域に形成された反射光用層9と、その反射光用層9を覆うように形成された着色層11とを有するものである。
【0228】
本実施態様によれば、上記反射光用層を有することにより、その反射光用層上に形成された着色層の膜厚を調整することが可能となり、半透過型液晶表示装置とした際に、外光が反射する反射光表示と、バックライトが透過するバックライト光表示との色特性を合わせることが可能となるのである。
【0229】
また、本実施態様における半透過型液晶表示装置用カラーフィルタは、上記濡れ性変化層を有することにより、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により変化した濡れ性変化層上の濡れ性の差を利用して、高精細に上記反射光用層および上記着色層を形成することが可能となるのである。
【0230】
また、着色層形成時に、エネルギー照射されていない部分には、着色層を形成する着色層形成物が付着せず、例えばインクジェット法等により着色層形成物を塗布した際に、濡れ性の変化した領域のみに留まる。これにより、反射光用層上に段差等ができることなく、着色層の膜厚を一定とすることが可能となるのである。
【0231】
本実施態様における半透過型液晶表示装置の各構成について説明する。
【0232】
(濡れ性変化層)
まず、本実施態様に用いられる濡れ性変化層について説明する。本実施態様に用いられる濡れ性変化層は、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により、液体との接触角が低下するように濡れ性が変化する層であり、後述する反射光用層および着色層を形成することが可能な層であれば、特に限定されるものではない。本実施態様においては、上記濡れ性変化層の中でも、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により表面の濡れ性が低下するように濡れ性が変化する表面変化型濡れ性変化層、またはエネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解除去される分解除去型濡れ性変化層であり、かつその分解除去型濡れ性変化層に対する液体の接触角と、その分解除去型濡れ性変化層が分解除去された際に露出する透明基材に対する液体の接触角とが異なるものであることを特徴とする分解除去型濡れ性変化層であることが好ましい。
【0233】
また、本実施態様に用いられる濡れ性変化層は、自己支持性がない場合や、濡れ性変化層が分解除去型濡れ性変化層である場合には、透明基材上に形成されていてもよい。
【0234】
本実施態様に用いられる濡れ性変化層および透明基材等については、上述した「A.半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法」の反射光用層パターン形成工程の濡れ性変化層の項で説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0235】
(反射光用層)
次に、本実施態様に用いられる反射光用層について説明する。本実施態様に用いられる反射光用層は、上記濡れ性変化層上に形成された層であり、半透過型液晶表示装置用カラーフィルタを、半透過型液晶表示装置に用いた際に、外光による反射表示と、バックライトによる透過表示との色特性を合わせるために形成される部位である。
【0236】
本実施態様に用いられる反射光用層は、上述した「A.半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法」の反射光用層形成工程の項で説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0237】
(着色層)
次に、本実施態様に用いられる着色層について説明する。本実施態様に用いられる着色層は、上記反射光用層を覆うように形成されている層であり、 また、通常着色層は、赤(R)、緑(G)、および青(B)の3色で形成されるものであり、種々のパターン、例えばモザイク状、トライアングル状、ストライプ状等のパターンで形成されるものである。本実施態様の着色層においても、同様であり、またこのような着色層における着色パターン、着色面積は任意に設定することができる。
【0238】
ここで、上述した反射光用層の膜厚を1とした場合に、着色層の膜厚が1〜5、中でも1〜3の範囲内となるように、着色層が形成されることが好ましい。ここで、着色層の膜厚とは、上記濡れ性変化層上に形成された部分の着色層の膜厚をいうこととする。上記範囲内より着色層の膜厚が低い場合には、上記反射光用層が形成された上に形成される着色層全体の膜厚を均一に形成することが困難である。また、上記範囲内より着色層の膜厚が厚い場合には、カラーフィルタとしての光学特性面、製造効率およびコストの面から好ましくないからである。
【0239】
本実施態様に用いられる着色層は、上述した「A.半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法」の着色層形成工程の項で説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0240】
(半透過型液晶表示装置用カラーフィルタ)
次に、本実施態様における半透過型液晶表示装置用カラーフィルタについて説明する。本実施態様における半透過型液晶表示装置用カラーフィルタは、上述した濡れ性変化層上にパターン状に形成された反射光用層と、その反射光用層を覆うように形成された着色層とを有するものであれば、特に限定されるものではなく、上述した濡れ性変化層上に着色層だけでなく、ブラックマトリックス、保護層、透明電極、または配向層等を有するものも含まれる。
【0241】
2.第二実施態様
次に、本発明の半透過型液晶表示装置用カラーフィルタにおける第二実施態様について説明する。本実施態様における半透過型液晶表示装置用カラーフィルタは、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により液体との接触角が低下するように濡れ性が変化し、かつ反射光が透過する領域に形成された凸上の反射光用凸部を有する濡れ性変化用基板と上記反射光用凸部を覆うように形成された着色層とを有することを特徴とするものである。
【0242】
本実施態様における半透過型液晶表示装置用カラーフィルタは、例えば図9に示すように、表面に凸状の反射光用凸部14が形成されている透明基材1およびその透明基材1上に形成された濡れ性変化層2からなる濡れ性変化用基板15と、上記反射光用凸部14を覆うように着色層11が形成されたものである。
【0243】
本実施態様によれば、あらかじめ濡れ性変化用基板上に形成された反射光用凸部を有することにより、その反射光用凸部上に形成された着色層の膜厚を調整することが可能となり、半透過型液晶表示装置とした際に、外光が反射する反射光表示と、バックライトが透過するバックライト光表示との色特性を合わせることが可能となるのである。
【0244】
また、上記濡れ性変化用基板を有することにより、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により変化した濡れ性変化用基板上の濡れ性の差を利用して、高精細に上記着色層を形成することが可能となるのである。
【0245】
また、着色層形成時に、エネルギー照射されていない部分には、着色層を形成する着色層形成物が付着せず、濡れ性の変化した領域のみに留まることから、例えば反射光用凸部上に段差が形成されること等を防ぐことが可能となり、着色層の膜厚を一定とすることが可能となるのである。以下、各構成にわけて説明する。
【0246】
(濡れ性変化用基板)
本実施態様における半透過型液晶表示装置用カラーフィルタにおける濡れ性変化用基板は、例えば図9に示すように、表面に凸状の反射光用凸部14が形成されている透明基材1と、その透明基材1上に形成された濡れ性変化層2を有する構造であってもよく、また例えば図10に示すように、濡れ性変化層2自体が、反射光用凸部14を有している構造であってもよい。
【0247】
本実施態様に用いられる濡れ性変化用基板については、上述した「A.半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法」における第二実施態様の着色層パターン形成工程で説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0248】
(着色層)
次に、本実施態様に用いられる着色層について説明する。本実施態様に用いられる着色層は、上述した濡れ性変化用基板上に、反射光用凸部を覆うように形成される層である。
【0249】
本実施態様における着色層については、上述した第一実施態様と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0250】
(半透過型液晶表示装置用カラーフィルタ)
次に、本実施態様における半透過型液晶表示装置用カラーフィルタについて説明する。本実施態様における半透過型液晶表示装置用カラーフィルタは、上述した反射光用凸部を有する濡れ性変化用基板上に、反射光用凸部を覆うように形成された上述した着色層とを有するものであれば、特に限定されるものではなく、上述した濡れ性変化用基板上に着色層だけでなく、ブラックマトリックス、保護層、透明電極、または配向層等を有するものも含まれる。
【0251】
C.半透過型液晶表示装置
次に、本発明における半透過型液晶表示装置について説明する。本発明における半透過型液晶表示装置は、上述した半透過型液晶表示装置用カラーフィルタを有する液晶表示装置であれば、特に限定されるものではなく、例えば、上記半透過型液晶表示装置用カラーフィルタと、このカラーフィルタに対向するアレイ基板と、上記半透過型液晶表示装置用カラーフィルタと上記アレイ基板との間に封入された液晶層と、上記アレイ基板上には、画素内にアルミニウム膜や銀膜等からなる反射膜が配置されている部分と配置されていない部分とを形成したもの等とすることができる。
【0252】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0253】
【実施例】
以下に実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。
【0254】
(光触媒含有層側基板の形成)
フォトマスク表面に、テイカ(株)製の光触媒用酸化チタンコーティング剤TKC301をコーティングし、350℃で3時間乾燥させ、光触媒含有層側基板を調整した。フォトマスクは、カーボンブラックと樹脂の分散体にて形成された膜厚1μmのブラックマトリックスが表面に形成されたものを使用した。
【0255】
光触媒含有層側基板は、反射光用層パターン形成用(以下、光触媒含有層側基板Aとする)と、着色層パターン形成用(以下、光触媒含有層側基板Bとする)の2種類を作製した。
【0256】
(濡れ性変化層の形成)
次にフルオロアルキルシランが主成分であるMF−160E(商品名、トーケムプロダクツ(株)製)0.4gに0.1N塩酸水3gを添加し、1時間室温にて攪拌した溶液を、膜厚0.7mmのブラックマトリクス付き石英ガラス基板上にスピンコーティングし、150℃で10分間乾燥させた。これにより、基板上に臨界表面張力が20mN/mである膜厚0.1μmの撥液性の濡れ性変化層が形成された。上記石英ガラス基板上に形成されたブラックマトリクスは、膜厚0.1μmのクロム製であり、14μmの幅のラインにて、横100μmピッチ、縦300μmピッチの格子状に形成されたものを使用した。
【0257】
(反射光用層パターン形成)
次に、上記濡れ性変化層表面に、光触媒含有層側基板Aを50μmのギャップをあけて配置し、光触媒含有層側基板A側から超高圧水銀ランプにて露光した。露光量は365nmにて2000mJであった。これにより、濡れ性変化層表面の露光された部分のみ親液性領域となった。ここで、光触媒含有層側基板Aのブラックマトリクスは20μm×20μmの開口部が、横100μmピッチ、縦300μmピッチにて配置されるように形成した。また、露光時の位置合わせに際しては、20μm×20μmの開口部が、上記濡れ性変化層を形成した基板上のブラックマトリクス開口部の中央にくるようにアライメントをとった。
【0258】
(反射光用層形成)
上記反射光用層パターンの親液性領域に対し、インクジェットヘッドより反射光用層形成用インキを吐出した。着弾した反射光用層形成用インキは、親液性領域すなわち20μm×20μmの領域のみに濡れ広がり、撥液性部分にまで濡れ広がることはなかった。次に、クリーンオーブンで150℃にて30分間乾燥させ、硬化させることにより、膜厚0.5μmの反射光用層を形成した。このとき使用した反射光用層形成用インキは、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート中にエポキシ基を含有したアクリル系熱硬化型樹脂を溶解させた系にて構成されており、上記濡れ性変化層上の撥液性部分に対する接触角は56゜、露光部である親液性領域に対する接触角は10゜であった。
【0259】
(着色層用パターンの形成)
次に、上記反射光用層が形成された濡れ性変化層表面に、光触媒含有層側基板Bを50μmのギャップをあけて配置し、光触媒含有層側基板B側から超高圧水銀ランプにて露光した。露光量は365nmにて2000mJであった。これにより、濡れ性変化層表面の露光された部分のみ親液性領域となった。ここで、光触媒含有層側基板Bのブラックマトリクスは90μm×290μmの開口部が、横100μmピッチ、縦300μmピッチにて配置されるように形成した。また、露光時の位置合わせに際しては、上記光触媒含有層側基板Bのブラックマトリクス遮光部が、上記濡れ性変化層を形成した基板上のブラックマトリクスのラインの中央に配置されるように、位置合わせを行った。
【0260】
(着色層の形成)
次に、上記着色層用パターンの親液性領域に対し、通常用いられる着色層用インキ(赤、青、緑)をインクジェットヘッドより吐出した。着弾したインキは、親液性領域の中央にある反射光用層を覆うように濡れ広がり、撥液性領域にまで濡れ広がることはなかった。このときインキ色配列は、横に赤、青、緑の順にて繰り返すように配置し、縦は同一の色となるように配置した。これをクリーンオーブンで150℃にて30分間乾燥、硬化させることにより、反射光用層が中央に形成され、その反射光用層を覆うように形成された膜厚1.0μmの赤、青、緑色の着色層を形成した。このとき、着色層の表面は、反射光用層の膜厚に左右されることなく、1.0μmにて一定の膜厚であった。
【0261】
(半透過型液晶表示装置用カラーフィルタ)
上記の手法により、90μm×290μmの赤、青、緑各色の画素部の中心部分に、20μm×20μmの光学濃度が1/2となるエリアを有し、かつ各画素の膜厚は1μmにて均一である半透過型液晶表示装置用カラーフィルタを形成することができた。
【0262】
【発明の効果】
本発明によれば、着色層を形成する際に、着色層パターン以外のエネルギー照射されていない濡れ性変化層上は撥液性であり、着色層を形成する着色層形成物は付着せず、着色層パターン上のみに着色層形成物が留められる。これにより、着色層パターン上に所定の量の上記着色層形成物を塗布した際、着色層パターン内に上記反射光用層を有している場合であっても、着色層形成物全体の膜厚を均一に形成することが可能となるのである。また、上記反射光用層と、その反射光用層を覆うように形成された着色層を有することにより、反射光用層上に形成された着色層の膜厚を調整することが可能となり、半透過型液晶表示装置として用いた際に、外光の反射表示と、バックライトによる透過表示との色特性を合わせることが可能となるのである。
【0263】
さらに、本発明によれば、上記濡れ性変化層を有することから、反射光用層または着色層を形成する際に、反射光用層または着色層を形成するパターン状に濡れ性を変化させ、この濡れ性の差を利用して、例えばインクジェット法等により反射光用層組成物や着色層形成物等を塗布することにより、高精細に反射光用層および着色層を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法の一例を示す工程図である。
【図2】本発明に用いられる光触媒含有層側基板の一例を示す概略断面図である。
【図3】本発明に用いられる光触媒含有層側基板の他の例を示す概略断面図である。
【図4】本発明に用いられる光触媒含有層側基板の他の例を示す概略断面図である。
【図5】本発明に用いられる光触媒含有層側基板の他の例を示す概略断面図である。
【図6】本発明の半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法の他の例を示す工程図である。
【図7】本発明に用いられる濡れ性変化用基板の一例を示す概略断面図である。
【図8】本発明の半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの一例を示す概略断面図である。
【図9】本発明の半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの他の例を示す概略断面図である。
【図10】本発明の半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの他の例を示す概略断面図である。
【図11】半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの従来技術を説明するための説明図である。
【図12】半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの従来技術の一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 … 透明基材
2 … 濡れ性変化層
3 … 基体
4 … 光触媒含有層
5 … 光触媒含有層側基板
8 … 反射光用層パターン
9 … 反射光用層
10… 着色層パターン
11… 着色層
12… 光触媒含有層側遮光部
13… プライマー層
14… 反射光用凸部
15… 濡れ性変化用基板
Claims (19)
- エネルギー照射に伴う光触媒の作用により液体との接触角が低下するように濡れ性が変化し、かつ光触媒を含まない層である濡れ性変化層と、前記濡れ性変化層上の反射光が透過する領域に形成され、透明もしくは着色層より薄く着色された反射光用層と、前記反射光用層を覆うように形成された着色層とを有する半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法であって、
前記濡れ性変化層と、光触媒を含有する光触媒含有層、パターン状に形成された光触媒含有層側遮光部および基体を有する光触媒含有層側基板とを、前記濡れ性変化層および前記光触媒含有層が200μm以下となるように間隙をおいて配置した後、エネルギーを照射し、反射光用層パターンを形成する反射光用層パターン形成工程と、
前記反射光用層パターンに前記反射光用層を形成する反射光用層形成工程と、
前記反射光用層が形成された前記濡れ性変化層と前記光触媒含有層側基板とを、前記濡れ性変化層および前記光触媒含有層が200μm以下となるように間隙をおいて配置した後、エネルギーを照射し、反射光用層の周囲に着色層パターンを形成する着色層パターン形成工程と、
前記反射光用層を覆うように、前記着色層パターンに沿ってインクジェット法により前記着色層を形成する着色層形成工程と
を有することを特徴とする半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法。 - 前記濡れ性変化層が、透明基材上に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法。
- 前記光触媒含有層が、光触媒からなる層であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法。
- 前記光触媒含有層が、光触媒を真空成膜法により基体上に成膜してなる層であることを特徴とする請求項3に記載の半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法。
- 前記光触媒含有層が、光触媒とバインダとを有する層であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載の半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法。
- 前記光触媒が、酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、酸化タングステン(WO3)、酸化ビスマス(Bi2O3)、および酸化鉄(Fe2O3)から選択される1種または2種以上の物質であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載の半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法。
- 前記光触媒が、酸化チタン(TiO2)であることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれかの請求項に記載の半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法。
- 前記濡れ性変化層が、前記光触媒含有層中の光触媒の作用により、エネルギー照射された際に前記濡れ性変化層表面の液体との接触角が低下するように濡れ性が変化する表面変化型濡れ性変化層であることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれかの請求項に記載の半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法。
- 前記表面変化型濡れ性変化層上における表面張力40mN/mの液体との接触角が、エネルギー照射されていない部分において10°以上であり、エネルギー照射された部分において9゜以下であることを特徴とする請求項8に記載の半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法。
- 前記表面変化型濡れ性変化層が、オルガノポリシロキサンを含有する層であることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法。
- 前記オルガノポリシロキサンが、フルオロアルキル基を含有するポリシロキサンであることを特徴とする請求項10記載の半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法。
- 前記オルガノポリシロキサンが、YnSiX(4−n)(ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基またはエポキシ基を示し、Xはアルコキシル基またはハロゲンを示す。nは0〜3までの整数である。)で示される珪素化合物の1種または2種以上の加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンであることを特徴とする請求項10または請求項11に記載の半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法。
- 前記表面変化型濡れ性変化層が自己支持性を有することを特徴とする請求項8から請求項12までのいずれかの請求項に記載の半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法。
- 前記濡れ性変化層が、前記光触媒含有層中の光触媒の作用により、エネルギー照射された際に分解除去される分解除去型濡れ性変化層であり、かつ前記分解除去型濡れ性変化層に対する液体の接触角と、前記分解除去型濡れ性変化層が分解除去された際に露出する透明基材に対する液体の接触角とが異なるものであることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれかの請求項に記載の半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法。
- 前記分解除去型濡れ性変化層が、自己組織化単分子膜、ラングミュア−ブロジェット膜、もしくは交互吸着膜のいずれかであることを特徴とする請求項14に記載の半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法。
- 前記分解除去型濡れ性変化層が分解除去されて露出した透明基材上の濡れ性が、表面張力40mN/mの液体との接触角として9°以下であり、かつ前記分解除去型濡れ性変化層上において10°以上であることを特徴とする請求項14または請求項15に記載の半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法。
- 前記反射光用層の膜厚を1とした場合に、前記着色層の膜厚が1〜5の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項16までのいずれかの請求項に記載の半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法。
- 前記光触媒含有層側遮光部が前記基体上に形成され、前記光触媒含有層は前記光触媒含有層側遮光部を覆うように形成されていることを特徴とする請求項1から請求項17までのいずれかの請求項に記載の半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法。
- 前記光触媒含有層側遮光部上には、全面にわたってプライマー層が形成され、前記光触媒含有層は前記プライマー層を覆うように形成されていることを特徴とする請求項18に記載の半透過型液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法。
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