JP4601367B2 - カラーフィルタの製造方法 - Google Patents
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以下、本発明のカラーフィルタの製造方法の各工程ごとに説明する。
本発明における第1エネルギー照射工程は、基材と、上記基材上に形成された遮光部と、上記遮光部を覆うように形成され、半導体光触媒およびオルガノポリシロキサンを含有する半導体光触媒含有層とを有するカラーフィルタ用基板に、上記基材側からエネルギーを照射し、上記半導体光触媒含有層の液体との接触角が低下した第1濡れ性変化パターンを形成する工程である。
以下、本工程に用いられるカラーフィルタ用基板、およびエネルギーの照射方法について説明する。
まず、本発明のカラーフィルタ用基板について説明する。本発明のカラーフィルタ用基板は、基材と、上記基材上に形成された遮光部と、上記遮光部を覆うように形成され、半導体光触媒およびオルガノポリシロキサンを含有する半導体光触媒含有層とを有するものであれば、特に限定されるものではなく、必要に応じて、例えば基材と遮光部との間にアンカー層等が設けられていてもよく、また例えば遮光部と半導体光触媒含有層との間にプライマー層等が設けられていてもよい。以下、本発明に用いられるカラーフィルタ用基板の各構成ごとに詳しく説明する。
本発明に用いられる半導体光触媒含有層は、少なくとも半導体光触媒およびオルガノポリシロキサンを含有する層であり、エネルギー照射に伴う半導体光触媒の作用により、液体との接触角が低下する半導体光触媒含有層であれば、特に限定されるものではない。
まず、本発明に用いられる半導体光触媒について説明する。本発明に用いられる半導体光触媒としては、光半導体として知られる例えば二酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、酸化タングステン(WO3)、酸化ビスマス(Bi2O3)、および酸化鉄(Fe2O3)を挙げることができ、これらから選択して1種または2種以上を混合して用いることができる。
次に、本発明に用いられるオルガノポリシロキサンについて説明する。本発明に用いられるオルガノポリシロキサンは、エネルギー照射に伴う半導体光触媒の作用により、半導体光触媒含有層表面の液体との接触角を低下させることが可能なものであれば、特に限定されるものではなく、特に主骨格が上記の半導体光触媒の光励起により分解されないような高い結合エネルギーを有するものであって、半導体光触媒の作用により分解されるような有機置換基を有するものが好ましい。具体的には、(1)ゾルゲル反応等によりクロロまたはアルコキシシラン等を加水分解、重縮合して大きな強度を発揮するオルガノポリシロキサン、(2)撥水牲や撥油性に優れた反応性シリコーンを架橋したオルガノポリシロキサン等を挙げることができる。
YnSiX(4−n)
(ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基、クロロアルキル基、イソシアネート基、もしくはエポキシ基、またはこれらを含む有機基であり、Xはアルコキシル基、アセチル基またはハロゲンを示す。nは0〜3までの整数である。)
で示される珪素化合物の1種または2種以上の加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンであることが好ましい。なお、ここでXで示されるアルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基であることが好ましい。また、Yで示される有機基全体の炭素数は1〜20の範囲内、中でも5〜10の範囲内であることが好ましい。
また、本発明に用いられる半導体光触媒含有層中には、上記のオルガノポリシロキサンとともに、ジメチルポリシロキサンのような架橋反応をしない安定なオルガノシリコン化合物をバインダに混合してもよい。またさらに、バインダとして、主骨格が上記半導体光触媒の光励起により分解されないような高い結合エネルギーを有する、有機置換基を有しない、もしくは有機置換基を有するポリシロキサンを挙げることができ、具体的にはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等を加水分解、重縮合したものを含有させてもよい。
また、本発明においては、半導体光触媒含有層がフッ素を含有し、さらにこの半導体光触媒含有層表面のフッ素含有量が、半導体光触媒含有層に対しエネルギーを照射した際に、上記半導体光触媒の作用によりエネルギー照射前に比較して低下するように上記半導体光触媒含有層が形成されていることが好ましい。これにより、エネルギーを照射することにより、後述するように容易にフッ素の含有量の少ない部分からなるパターンを形成することができる。ここで、フッ素は極めて低い表面エネルギーを有するものであり、このためフッ素を多く含有する物質の表面は、臨界表面張力がより小さくなる。したがって、フッ素の含有量の多い部分の表面の臨界表面張力に比較してフッ素の含有量の少ない部分の臨界表面張力は大きくなる。これはすなわち、フッ素含有量の少ない部分はフッ素含有量の多い部分に比較して親液性領域となっていることを意味する。よって、周囲の表面に比較してフッ素含有量の少ない部分からなるパターンを形成することは、撥液性域内に親液性領域のパターンを形成することとなる。
上述したような半導体光触媒含有層の形成方法としては、上記半導体光触媒とオルガノポリシロキサンとを必要に応じて他の添加剤とともに溶剤中に分散して塗布液を調製し、この塗布液を上記遮光部が形成された基材上に塗布することにより形成することができる。使用する溶剤としては、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系の有機溶剤が好ましい。塗布はスピンコート、スプレーコート、ディップコート、ロールコート、ビードコート等の公知の塗布方法により行うことができる。バインダとして紫外線硬化型の成分を含有している場合、紫外線を照射して硬化処理を行うことにより、半導体光触媒含有層を形成することができる。なお、上記いずれのコート法を用いた場合であっても、コーティング後の乾燥は、風乾によるものではなく、自然乾燥を行った後、残りの溶媒を赤外線等のヒート乾燥で形成することが好ましい。これにより、感度の安定性や感度自体を向上させることができる、という利点を有するからである。
次に、本発明に用いられる遮光部について説明する。本発明に用いられる遮光部としては、本工程において照射される上記エネルギーを遮蔽するものが用いられる。このような遮光部の形成方法は、必要とするエネルギーに対する遮蔽性等に応じて適宜選択されて用いられる。また遮光部のパターン等も、カラーフィルタの種類等に合わせて適宜選択される。
次に、本発明に用いられる基材について説明する。本発明に用いられる基材は、上記遮光部および半導体光触媒含有層が形成可能なものであり、かつ上記エネルギーが基材側から照射されることから、エネルギーに対して透過性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、カラーフィルタの種類や用途等に合わせて適宜選択され、従来よりカラーフィルタに用いられているもの等を用いることができる。
本工程においては、上記カラーフィルタ用基板の基材側からエネルギーを照射し、上記遮光部の開口部上に形成されている半導体光触媒含有層の液体との接触角を低下させて、第1濡れ性変化パターンを形成する。本工程においては、カラーフィルタ用基板に上記遮光部が形成されていることから、基材側からエネルギーを全面に照射することによって、遮光部の開口部上に形成された半導体光触媒含有層のみ液体との接触角が低下した第1濡れ性変化パターンを形成することができるのである。上記エネルギー照射(露光)とは、半導体光触媒含有層表面の液体との接触角を低下させることが可能ないかなるエネルギー線の照射をも含む概念であり、可視光の照射に限定されるものではない。
次に、本発明のカラーフィルタの製造方法の第2エネルギー照射工程について説明する。本発明のカラーフィルタの製造方法の第2エネルギー照射工程は、上記第1エネルギー照射工程終了後、上記カラーフィルタ用基板の、上記半導体光触媒含有層側からエネルギーを照射し、上記半導体光触媒含有層の液体との接触角が低下した第2濡れ性変化パターンを形成する工程である。
次に、本発明における着色層形成工程について説明する。本発明における着色層形成工程は、上記第1濡れ性変化パターンおよび上記第2濡れ性変化パターンに沿って着色層を形成する工程である。このような着色層は、通常、赤(R)、緑(G)、および青(B)の3色で形成される。
<カラーフィルタ用基板の作製>
フルオロアルキルシラン(TSL8233 GE東芝シリコーン製)5gと、テトラメトキシシラン(TSL8114 GE東芝シリコーン製)1.5g、及び0.05N塩酸2.5gを混合し、15時間攪拌した。これをイソプロピルアルコールにより10倍に希釈した後、その希釈液1.5gとアルキルシラン半導体光触媒無機コーティング剤であるST−K03(石原産業(株)製)5gとを混合し、イソプロパノールで10倍に希釈して10分間攪拌した。これを半導体光触媒含有層用組成物とした。
続いて、上記半導体光触媒含有層用組成物を、遮光部(厚み1μm)が形成された370mm×470mm×0.7mmtガラス基板上にスピンコータにより塗布し、150℃で10分間の乾燥処理を行い、透明な半導体光触媒含有層(膜厚0.15μm)を形成し、カラーフィルタ用基板とした。上記遮光部のパターンとしては、例えば図2に示すような線状遮光部21と連結遮光部22とからなるパターンであり、線状遮光部21の線幅が20μm、隣接する線状遮光部21間の幅aが280μmであった。また、上記連結遮光部22の太さは、20μmであった。
光沢のない黒色の金属プレート上に、上記カラーフィルタ用基板の上記半導体光触媒含有層がプレート側となるように載せ、超高圧水銀ランプにて紫外エネルギー(照度:30mW/cm2、365nm)を50秒間照射した。これにより、上記遮光部の開口部上の半導体光触媒含有層の液体との接触角が低下した第1濡れ性変化パターンを形成した。この際、エネルギー照射前の上記開口部の中心部における半導体光触媒含有層の純水との接触角が100°であったのに対し、エネルギー照射後の上記開口部の中心部における半導体光触媒含有層の純水との接触角は10°以下であった。上記液体との接触角は、上記開口部の中心部の50μm四方の領域に、直径20μmの純水を滴下し、極小接触角計(協和界面科学(株)社製 極小接触角計MCA−1)で測定した値である。
上記第1エネルギー照射工程後、遮光部が10μm、透過部が290μmのストライプ状のパターンを有するフォトマスクと、上記カラーフィルタ用基板の半導体光触媒含有層とのギャップが100μmとなるように上記フォトマスクを配置し、上記超高圧水銀ランプにてアライメント露光を行った。この際、上記線状遮光部の端部から5μm内側の部分まで、および上記連結遮光部上に上記エネルギーが照射されるように露光を行い、その部分の半導体光触媒含有層の液体との接触角が低下した第2濡れ性変化パターンを形成した。上記遮光部と開口部との境界を少なくとも1つの端辺とする、50μm四方の開口部上の領域においては、上記エネルギー照射前は純水との接触角が50°であったのに対し、上記エネルギー照射後は、10°以下となった。上記純水との接触角の測定は、上述した方法と同様に行った。
上記カラーフィルタ用基板の上記第1濡れ性変化パターンおよび第2濡れ性変化パターンに対して、ピエゾ駆動式インクジェット装置にて赤色の熱硬化型インク(粘度:5cp)を吐出したところ、上記半導体光触媒含有層の液体との接触角が低下したパターン状に、上記熱硬化型インクが良好に濡れ広がった。なお、上記粘度は、粘度測定器 VIBROVISCOMETER CJV5000(A&D社製)を用いて温度20℃で測定した際の値である。その後、加熱処理を行い、赤色の着色層とした。上記着色層は、上記線状遮光部の端部から5μm内側の部分まで形成されていた。また上記連結遮光部上においても上記熱硬化型インクがはじかれることなく、良好に濡れ広がっていたため、この部分においても着色層の白抜けが生じていなかった。したがって、全体としてくびれのない、ストライプ形状の着色層が形成されていた。続いて同様に、青色および緑色の着色層を形成し、カラーフィルタとした。青色および緑色の着色層についても赤色と同様、白抜けは生じていなかった。
第2エネルギー照射工程を行わなかった以外は、実施例と同様にカラーフィルタを形成した。この場合、着色層形成工程において、上記線状遮光部の内側まで熱硬化型インクが濡れ広がらず、また連結遮光部上で熱硬化型インクがはじかれたため、連結遮光部近傍でくびれが生じた着色層が形成されていた。
2 …遮光部
3 …半導体光触媒含有層
4 …着色層
6 …エネルギー
7 …第1濡れ性変化パターン
8 …第2濡れ性変化パターン
Claims (1)
- 基材と、前記基材上に形成された遮光部と、前記遮光部を覆うように形成され、半導体光触媒およびオルガノポリシロキサンを含有する半導体光触媒含有層とを有するカラーフィルタ用基板に、前記基材側からエネルギーを照射し、前記半導体光触媒含有層の液体との接触角が低下した第1濡れ性変化パターンを形成する第1エネルギー照射工程と、
前記第1エネルギー照射工程終了後、前記カラーフィルタ用基板の、前記半導体光触媒含有層側からエネルギーを照射し、前記半導体光触媒含有層の液体との接触角が低下した第2濡れ性変化パターンを形成する第2エネルギー照射工程と、
前記第1濡れ性変化パターンおよび前記第2濡れ性変化パターンに沿って着色層を形成する着色層形成工程と
を有するカラーフィルタの製造方法であって、
前記遮光部が、所定の間隔をおいて複数本が等間隔に形成された線状遮光部と、隣接する2本の前記線状遮光部間を所定の間隔をおいて連結する連結遮光部とからなるものであり、
前記第2エネルギー照射工程が、少なくとも前記連結遮光部上に形成された前記半導体光触媒含有層および、前記線状遮光部の端部上に形成された前記半導体光触媒含有層にエネルギーを照射し、前記半導体光触媒含有層の液体との接触角が低下した第2濡れ性変化パターンを形成する工程であり、
前記着色層形成工程が、隣接する2本の前記線状遮光部間に前記連結遮光部を覆うように着色層を形成する工程であることを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
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