JP4289924B2 - パターン形成体 - Google Patents

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    • G02B5/00Optical elements other than lenses
    • G02B5/20Filters
    • G02B5/201Filters in the form of arrays
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B82NANOTECHNOLOGY
    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
    • B82Y30/00Nanotechnology for materials or surface science, e.g. nanocomposites

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラー液晶ディスプレイに用いられるカラーフィルタ等に用いることが可能なパターン形成体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、パーソナルコンピューターの発達、特に携帯用パーソナルコンピューターの発達に伴い、液晶ディスプレイ、とりわけカラー液晶ディスプレイの需要が増加する傾向にある。しかしながら、このカラー液晶ディスプレイが高価であることから、コストダウンの要求が高まっており、特にコスト的に比重の高いカラーフィルタに対するコストダウンの要求が高い。
【0003】
このようなカラーフィルタにおいては、通常赤(R)、緑(G)、および青(B)の3原色の着色パターンを備え、R、G、およびBのそれぞれの画素に対応する電極をON、OFFさせることで液晶がシャッタとして作動し、R、G、およびBのそれぞれの画素を光が通過してカラー表示が行われるものである。
【0004】
従来から行われているカラーフィルタの製造方法としては、例えば染色法が挙げられる。この染色法は、まずガラス基板上に染色用の材料である水溶性の高分子材料を形成し、これをフォトリソグラフィー工程により所望の形状にパターニングした後、得られたパターンを染色浴に浸漬して着色されたパターンを得る。これを3回繰り返すことによりR、G、およびBの着色層を形成する。
【0005】
また、他の方法としては顔料分散法がある。この方法は、まず基板上に顔料を分散した感光性樹脂層を形成し、これをパターニングすることにより単色のパターンを得る。さらにこの工程を3回繰り返すことにより、R、G、およびBの着色層を形成する。
【0006】
さらに他の方法としては、電着法や、熱硬化樹脂に顔料を分散させてR、G、およびBの3回印刷を行った後、樹脂を熱硬化させる方法等を挙げることができる。
【0007】
しかしながら、いずれの方法においても、R、G、およびBの3色を着色するために、同一の工程を3回繰り返す必要があり、コスト高になるという問題や、工程を繰り返すため歩留まりが低下するという問題があった。
【0008】
これらの問題を解決するカラーフィルタの製造方法として、インクジェット方式で着色インクを吹き付けして着色層を形成する方法が提案されている(特許文献1参照)。ここでは、ガラス基板に対し濡れ性の良いインクを用いる場合には、インクに対して濡れ性の悪い物質で予め境界となる凸部を印刷しておく方法や、ガラスに対して濡れ性の悪いインクを使う場合には、インクとの濡れ性の良い材料で予めパターンを形成しておき、インクが定着するのを助ける方法が開示されている。
【0009】
また、インクジェット方式で着色インクを吐出して着色層を形成し、カラーフィルタを製造する別の方法として、凹部を親液処理剤で処理する方法も報告されている(特許文献2参照)。この方法は、予め基板上に凸部を形成し、この凸部を撥液性とした後に、基板全体を親液処理剤により表面処理するものである。
【0010】
さらに、インクジェット方式で着色インクを吐出して着色層を形成し、カラーフィルタを製造する別の方法としては、本発明者等により、光触媒反応を利用した濡れ性変化層を用いる方法が提案されている(特許文献3参照)。この方法は、遮光部が形成された透明基材上に、光触媒を含有する光触媒含有層を形成し、その光触媒含有層上に、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により特性が変化する特性変化層を形成する。続いてこの特性変化層を露光することにより特性変化パターンを形成し、着色層を特性の変化した部位に付与するものである。この方法によれば、上記濡れ性変化層の特性を利用して、容易に着色層を形成することを可能とすることができる。
【0011】
しかしながら、この方法においては、上記光触媒含有層が、上記遮光部上に形成されることから、光触媒含有層を形成する際に、熱膨張率の差から、光触媒含有層にクラックが入る場合があるとの問題があった。また、特性変化層の膜厚が薄いことから、上記カラーフィルタ上に電極層を設けた際に、上記光触媒含有層の導電性により、液晶の配向に影響を及ぼす場合がある等の問題もあった。
【0012】
【特許文献1】
特開昭59−75205号公報
【特許文献2】
特開平9−203803号公報
【特許文献3】
特許3381146号
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
以上のことから、カラーフィルタを簡易な工程で、効率よく製造でき、かつクラックや液晶の配向に影響等のない、パターン形成体や、カラーフィルタの提供が望まれている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、基材と、上記基材上に形成された少なくとも光触媒を含有する光触媒含有層と、上記光触媒含有層上に形成された保護部と、上記光触媒含有層および上記保護部とを覆うように形成され、かつエネルギー照射に伴う光触媒の作用により表面の特性が変化する特性変化層と、上記特性変化層の特性が変化した特性変化パターンとを有することを特徴とするパターン形成体を提供する。
【0015】
本発明によれば、上記特性変化層を有することから、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により特性の変化した特性変化パターンに沿って、例えばカラーフィルタの画素部等を容易に形成可能なパターン形成体とすることができる。また、上記特性変化層と上記光触媒含有層との間に保護部が形成されていることから、特性変化層側、または基材が透明である場合には基材側から特性変化層の全面にエネルギーを照射した場合であっても、上記保護部が形成された位置においては、光触媒含有層中の光触媒の作用が発現せず、上記特性変化層の特性が変化しない。これにより、上記保護部が形成されていない位置の特性変化層の特性のみが変化した特性変化パターンを容易に形成することが可能となるのである。
【0016】
また、本発明は、上記パターン形成体の、上記基材が透明基材であり、かつ上記保護部が遮光部であり、さらに上記特性変化パターンに沿って画素部が形成されていることを特徴とするカラーフィルタを提供する。
【0017】
本発明によれば、上記画素部を上記特性変化パターンの特性の差を利用して、容易に形成されたものとすることができる。これにより、高精細な画素部を有し、かつ製造効率やコストの面からも好ましいカラーフィルタとすることができるのである。また、上記画素部上に電極層を形成する場合、上記電極層と光触媒含有層との間には、遮光部および画素部が形成されており、光触媒含有層が液晶の配向に影響を及ぼすことのない、高品質なカラーフィルタとすることができるのである。
【0018】
また、本発明においては、上記特性変化層が、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により、液体との接触角が低下する濡れ性変化層であってもよい。これにより、上記特性変化パターンを他の領域より濡れ性の高い領域とすることができ、この濡れ性を利用して、例えばインクジェット法等により容易に形成することが可能となるからである。
【0019】
この際、上記濡れ性変化層がオルガノポリシロキサンを含有する層であってもよい。これにより、上述したように濡れ性を変化させることが可能となるからである。
【0020】
また、本発明においては、上記オルガノポリシロキサンが、YSiX(4−n)(ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基もしくはエポキシ基、またはこれらを含む有機基であり、Xはアルコキシル基またはハロゲンを示す。nは0〜3までの整数である。)で示される珪素化合物の1種または2種以上の加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンであることが好ましい。このようなオルガノポリシロキサンを用いることにより、上述したような濡れ性の変化に対する特性をより発揮することができるからである。
【0021】
またさらに、上記オルガノポリシロキサンを構成するYの炭素数が1〜20の範囲内であることが好ましい。これにより、上記Yによりエネルギー照射前のオルガノポリシロキサンを撥液性とすることができ、またエネルギー照射による光触媒の作用によって、上記Yが分解除去等されることにより、親液性とすることができるからである。
【0022】
また、本発明においては、上記濡れ性変化層が単分子膜であってもよい。これにより、上記濡れ性変化層を緻密で均一な膜とすることができ、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化した特性変化パターンに、高精細かつ均一な画素部を形成することが可能となるからである。
【0023】
この際、上記単分子膜が、有機鎖を有するシラン化合物からなることが好ましい。このようなシラン化合物を用いることにより、容易に上記単分子膜を形成することができるからである。
【0024】
またさらに、上記有機鎖を構成する炭素の数が、1〜20の範囲内であることが好ましい。上記有機鎖によりエネルギー照射前の単分子膜を撥液性とすることができ、またエネルギー照射に伴う光触媒の作用により上記有機鎖が分解等されて、親液性とすることが可能となるからである。
【0025】
本発明においては、上記シラン化合物がフルオロアルキルシランであることが好ましい。これにより、エネルギー未照射部の撥液性を高いものとすることができることから、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により親液性領域とされた特性変化パターンとの濡れ性の差を高いものとすることができるからである。
【0026】
また、本発明においては、上記特性変化層が、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解除去される分解除去層であってもよい。これにより、特性変化層表面に特性変化パターンとして凹部を形成することができ、表面の凹凸を利用して、容易に例えばインクジェット法等により画素部を形成することが可能となるからである。
【0027】
この際、上記分解除去層の表面張力40mN/mの液体との接触角が50°以上であり、上記光触媒含有層の表面張力40mN/mの液体との接触角が、49°以下であることが好ましい。これにより、分解除去層が分解除去されて露出した領域を親液性領域、分解除去層上を撥液性領域とすることが可能となることから、表面の凹凸だけでなく、濡れ性の差も利用して画素部を形成することが可能となり、さらに高精細な画素部を有するカラーフィルタとすることができるからである。
【0028】
ここで、上記分解除去層が単分子膜であることが好ましい。これにより、上記分解除去層を緻密で均一な層とすることができ、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により、分解除去層を効率よく、かつ均一に分解除去することが可能となるからである。
【0029】
本発明においては、上記画素部がインクジェット方式により形成されたことが好ましい。これにより、目的とする領域にのみ画素部を形成することができることから、容易な工程で高精細に形成されたものとすることができるからである。
【0030】
また、上記インクジェット方式により形成された画素部が、硬化型インクを用いたものであることが好ましい。これにより、容易に画素部を形成することが可能となるからである。
【0031】
またこの際、上記硬化型インクは、UV硬化性インクであってもよく、また熱硬化性インクであってもよい。どちらの上記硬化型インクを用いた場合であっても、高精細な画素部を形成することが可能となるからである。
【0032】
またさらに、上記遮光部が、熱転写法により形成されたものであってもよい。これにより、簡易な工程で高精細な遮光部を形成することが可能となり、また遮光部の膜厚を厚いものとすることができるからである。
【0033】
上記発明においては、上記光触媒含有層上に、密着性向上層が形成されていることが好ましい。これにより、熱転写法により形成された上記遮光部と光触媒含有層との密着性を高いものとすることができるからである。
【0034】
また、本発明においては、上記画素部上に電極層が形成されていてもよい。本発明によれば、上記光触媒含有層の導電性の影響を受けることのないカラーフィルタとすることができるのである。
【0035】
本発明は、透明基材上に、少なくとも光触媒を含有する光触媒含有層を形成する光触媒含有層形成工程と、
上記光触媒含有上に遮光部を形成する遮光部形成工程と、
上記光触媒含有および上記遮光部を覆うように、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により特性が変化する特性変化層を形成する特性変化層形成工程と、
上記特性変化層にエネルギーを照射することにより、上記特性変化層の特性が変化した特性変化パターンを形成する特性変化パターン形成工程と、
上記特性変化パターン上に画素部を形成する画素部形成工程と
を有することを特徴とするカラーフィルタの製造方法を提供する。
【0036】
本発明によれば、上記特性変化層形成工程により形成された特性変化層を、上記特性変化パターン形成工程において、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により表面の特性を変化させることができる。これにより、この特性変化層の特性の変化した特性変化パターンに沿って、容易に画素部を形成することが可能となるのである。また、上記光触媒含有層形成工程後に、上記遮光部形成工程を行うことから、光触媒含有層に遮光部の厚みによって、クラックが入ることがなく、高品質なカラーフィルタとすることができるのである。
【0037】
ここで、本発明においては、上記エネルギーの照射が、上記特性変化層側から全面に行われてもよく、また上記エネルギーの照射が、上記透明基材側から全面に行われてもよい。本発明においては、上記光触媒含有層および上記特性変化層との間に遮光部が形成されており、この遮光部が形成された領域においては、エネルギー照射に伴う光触媒の作用が発現しないことから特性変化層の特性が変化せず、遮光部が形成されていない領域の特性変化層の特性のみを変化させることが可能となるからである。
【0038】
また、本発明においては、上記エネルギーの照射が、フォトマスクを介して行われるものであってもよい。これにより、上記遮光部が形成されていない領域の形状と、目的とする特性変化パターンの形状とが異なる場合にも、特性変化パターンを形成することが可能となるからである。
【0039】
ここで、本発明においては、上記特性変化層が、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により、液体との接触角が低下する濡れ性変化層であってもよい。これにより、上記画素部形成工程において、上記特性変化パターンの濡れ性を利用して、容易に画素部を形成することが可能となるからである。
【0040】
また、本発明においては、上記特性変化層がエネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解除去される分解除去層であってもよい。これにより、上記画素部形成工程において、上記分解除去層の表面に形成された凹凸を利用して、容易に画素部を形成することが可能となるからである。
【0041】
また、本発明においては、上記画素部を、硬化性インクを用いたインクジェット法により形成することが好ましい。これにより、容易な工程で高精細な画素部を形成することが可能となるからである。
【0042】
本発明においては、上記遮光部形成工程が、フォトリソグラフィー法により行われるものであってもよい。これにより、形成された遮光部を高精細なものとすることが可能となるからである。
【0043】
また本発明においては、上記遮光部形成工程が、熱転写法により行われるものであってよい。これにより、簡易な工程で高精細な遮光部を形成することが可能となり、また遮光部の膜厚を厚いものとすることができるからである。
【0044】
本発明においてはこの際、上記光触媒含有層形成工程後、密着性向上層を形成する密着性向上層形成工程を有するものであってもよい。これにより、上記熱転写法により形成された遮光部と光触媒含有層との密着性を高いものとすることができるからである。
【0045】
この際、上記光触媒含有層形成工程により形成される光触媒含有層にオルガノポリシロキサンが含有されていてもよい。また上記光触媒含有層形成工程により形成される光触媒含有層にシランカップリング剤が含有されており、上記シランカップリング剤が、YSiX(4−n)(ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基もしくはエポキシ基、またはこれらを含む有機基であり、Xはアルコキシル基またはハロゲンを示す。nは0〜3までの整数である。)で示される珪素化合物の1種または2種以上の単体、加水分解縮合物、もしくは共加水分解縮合物であってもよい。これにより、上記熱転写法により形成される遮光部と透明基材との接着性を高いものとすることができるからである。
【0046】
またさらにこの場合、上記遮光部形成工程後、上記光触媒含有層にエネルギーを照射するエネルギー照射工程を有することが好ましい。これにより、光触媒含有層表面に存在する有機基を、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により、分解除去等することができ、光触媒含有層上に形成される特性変化層と光触媒含有層との密着性を高いものとすることができるからである。
【0047】
【発明の実施の形態】
本発明は、カラー液晶ディスプレイのカラーフィルタ等に用いることが可能なパターン形成体と、そのパターン形成体を用いたカラーフィルタ、およびカラーフィルタの製造方法に関するものである。以下、それぞれについて詳しく説明する。
【0048】
A.パターン形成体
まず、本発明のパターン形成体について説明する。本発明のパターン形成体は、基材と、上記基材上に形成された少なくとも光触媒を含有する光触媒含有層と、上記光触媒含有層上に形成された保護部と、上記光触媒含有層および上記保護部とを覆うように形成され、かつエネルギー照射に伴う光触媒の作用により表面の特性が変化する特性変化層と、上記特性変化層の特性が変化した特性変化パターンとを有するものである。
【0049】
本発明のパターン形成体は、例えば図1に示すように、基材1と、その基材1上に形成された光触媒含有層2と、その光触媒含有層2上に形成された保護部3と、その保護部3と上記光触媒含有層2とを覆うように形成された特性変化層4と、その特性変化層4の特性が変化した特性変化パターン5とを有するものである。
【0050】
本発明によれば、上記特性変化層を有することから、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により、特性変化層の特性が変化した特性変化パターンを形成することができ、この特性変化パターンの特性を利用して、容易に例えばカラーフィルタの画素部等を形成することが可能なパターン形成体とすることができる。
【0051】
ここで、上記特性変化層は、エネルギー照射により励起された光触媒が、雰囲気中の酸素や水等と反応して生じさせた活性酸素種によって、アルキル基等が分解等されることにより、特性が変化すると考えられる。従って、本発明においては、上記特性変化層と上記光触媒含有層との間に上記保護部が形成されている領域においては、この活性酸素種が発生せず、この領域の特性変化層の特性が変化しない。これにより、全面にエネルギーを照射した場合であっても、上記保護部が形成されていない位置の特性変化層の特性のみが変化したパターン形成体とすることができるのである。
【0052】
ここで、上記保護部は、上記特性変化層と光触媒含有層とが接触しないように形成されたものであれば、特に限定されるものではなく、エネルギーを遮蔽するものであってもよく、また透明性を有するものであってもよい。
【0053】
また、上記基材は、上記光触媒含有層を形成することが可能であれば、その種類等は特に限定されるものではなく、パターン形成体の用途に応じて適宜選択されるものであり、また透明なものであってもよく、また不透明なものであってもよい。
【0054】
このような本発明のパターン形成体は、例えばカラー液晶表示装置のカラーフィルタや、マイクロレンズ等に用いることが可能であるが、中でも上記保護部が遮光部とされ、かつ上記特性変化パターン上に画素部が形成されたカラーフィルタに用いることが特に好ましい。
【0055】
なお、本発明のパターン形成体における上記部材以外の各構成については、後述するカラーフィルタの項で説明するものと同様のものを用いることが可能であるので、ここでの説明は省略する。
【0056】
B.カラーフィルタ
次に、本発明のカラーフィルタについて説明する。
【0057】
本発明のカラーフィルタは、上述したパターン形成体の、基材が透明基材であり、かつ保護部が遮光部であり、さらに上記特性変化パターンに沿って画素部が形成されたものである。本発明のカラーフィルタは、例えば図2に示すように、透明基材1と、その透明基材1上に形成された光触媒含有層2と、その光触媒含有層2上に形成された遮光部6と、その遮光部6と光触媒含有層2とを覆うように形成された特性変化層4と、その特性変化層4の特性が変化したパターン5と、その特性変化パターン5上に形成された赤(R)、緑(G)、および青(B)の画素部7R、7G、および7Bとから構成されるものである。
【0058】
本発明によれば、上記特性変化パターンに沿って画素部が形成されることから、その特性の差を利用して、画素部を高精細に、かつ容易に形成されたものとすることができる。またここで、本発明においては、上記遮光部が形成されていることから、例えば特性変化層形成後、その特性変化層全面にエネルギーを照射することにより、遮光部が形成されていない領域の特性変化層の特性のみを変化させることが可能となり、容易に画素部を形成する領域に上記特性変化パターンを形成することが可能となるのである。また、上述したように、上記光触媒含有層上に上記遮光部が形成されることから、例えば遮光部上に光触媒含有層を形成する際に生じるクラック等のない、高品質なカラーフィルタとすることができるのである。
【0059】
またさらに、本発明のカラーフィルタは、上記画素部上に電極層が形成されたものであってもよい。本発明においては、形成された電極層と光触媒含有層との間に、遮光部および画素部が形成されていることから、光触媒含有層が電極層上に設けられる液晶の配向に影響を及ぼすことを防ぐことが可能となるのである。
【0060】
以下、このようなカラーフィルタの各構成について説明する。
【0061】
1.特性変化層
まず、本発明のカラーフィルタに用いられる特性変化層について説明する。本発明のカラーフィルタに用いられる特性変化層は、後述する光触媒含有層および遮光部を覆うように形成され、かつエネルギー照射に伴う光触媒の作用により特性が変化する層であれば、その特性の変化の種類等は特に限定されるものではない。
【0062】
本発明においては中でも特性変化層が光触媒の作用により液体との接触角が低下するように濡れ性が変化する濡れ性変化層である場合、および特性変化層が光触媒の作用により分解除去される分解除去層である場合の二つの場合が、特に特性変化パターン上に画素部を形成することが容易となる点から好ましい。以下、これらの濡れ性変化層および分解除去層について説明する。
【0063】
a.濡れ性変化層
まず、本発明に用いられる濡れ性変化層について説明する。本発明に用いられる濡れ性変化層は、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により液体との接触角が低下するように濡れ性が変化する層である。このように、エネルギー照射により液体との接触角が低下するように濡れ性が変化する濡れ性変化層を用いることにより、濡れ性変化層表面に、エネルギー照射された領域を親液性領域、エネルギー未照射の領域を撥液性領域とすることができる。これにより、例えば図2に示すように、例えばインクジェット法等により、濡れ性変化層4における濡れ性が低下した特性変化パターン5上にのみ画素部7を形成する画素部形成用塗布液が濡れ広がり、撥液性領域であるエネルギー未照射部には、画素部形成用塗布液が塗れ広がらない。従って、容易に特性変化パターン上にのみ画素部を形成することが可能となり、混色等のない高品質なカラーフィルタとすることが可能となるのである。
【0064】
ここで、親液性領域とは、液体との接触角が小さい領域であり、画素部を形成する画素部形成用塗布液に対する濡れ性の良好な領域をいうこととする。また、撥液性領域とは、液体との接触角が大きい領域であり、上記画素部形成用塗布液に対する濡れ性が悪い領域をいうこととする。
【0065】
上記濡れ性変化層は、エネルギー照射していない部分、すなわち撥液性領域においては、40mN/mの液体との接触角が、50°以上、中でも90°以上であることが好ましい。これは、エネルギー照射していない領域は、本発明においては撥液性が要求される領域であることから、液体との接触角が小さい場合は、撥液性が十分でなく、例えば上記画素部形成用塗布液を塗布した際に、撥液性領域上にも画素部形成用塗布液が残存する可能性があり、好ましくないからである。
【0066】
また、上記濡れ性変化層は、エネルギー照射された部分、すなわち親液性領域においては、40mN/mの液体との接触角が、49°以下、好ましくは10°以下であることが好ましい。エネルギー照射された部分、すなわち親液性領域における液体との接触角が高い場合は、例えば、上記画素部形成用塗布液を塗布した際に、親液性領域においても画素部形成用塗布液をはじいてしまう可能性があり、親液性領域上に機能性部パターニングすることが難しくなる可能性があるからである。
【0067】
なお、ここでいう液体との接触角は、種々の表面張力を有する液体との接触角を接触角測定器(協和界面科学(株)製CA−Z型)を用いて測定(マイクロシリンジから液滴を滴下して30秒後)し、その結果から、もしくはその結果をグラフにして得たものである。また、この測定に際して、種々の表面張力を有する液体としては、純正化学株式会社製のぬれ指数標準液を用いた。
【0068】
また、特性変化層として濡れ性変化層を用いた場合には、上述したように濡れ性変化層上に画素部が形成されるため、画素部が直接光触媒含有層、すなわち光触媒に接触しない。したがって、画素部が直接光触媒含有層に接触する場合に起こる可能性がある問題点、例えば画素部中の有機基が酸化、分解することにより、画素部が変質するといった問題点を未然に防止することができる。
【0069】
本発明に用いられる濡れ性変化層は、上述したような特性を有し、かつ光触媒の作用により劣化、分解しにくい主鎖を有するものであれば、特に限定されるものではないが、本発明においては、中でも(1)上記濡れ性変化層中にオルガノポリシロキサンが含有される場合、および(2)上記濡れ性変化層が単分子膜である場合が好ましい。以下、これらの2つの場合についてそれぞれ説明する。
【0070】
(1)オルガノポリシロキサンが含有される場合
まず、上記濡れ性変化層中にオルガノポリシロキサンが含有される場合について説明する。本発明においては、上記濡れ性変化層中にオルガノポリシロキサンが含有されることにより、上述したように、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が低下するものとすることができる。
【0071】
本発明に含有されるオルガノポリシロキサンとしては、例えば、(a)ゾルゲル反応等によりクロロまたはアルコキシシラン等を加水分解、重縮合して大きな強度を発揮するオルガノポリシロキサン、(b)撥水牲や撥油性に優れた反応性シリコーンを架橋したオルガノポリシロキサン等のオルガノポリシロキサンを挙げることができる。
【0072】
上記の(a)の場合、一般式:
SiX( 4−n )
(ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基もしくはエポキシ基、またはこれらを含む有機基であり、Xはアルコキシル基、アセチル基またはハロゲンを示す。nは0〜3までの整数である。)
で示される珪素化合物の1種または2種以上の加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンであることが好ましい。なお、ここでXで示されるアルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基であることが好ましい。また、Yで示される有機基全体の炭素数は1〜20の範囲内、中でも5〜10の範囲内であることが好ましい。
【0073】
これにより、上記濡れ性変化層を形成した際に、オルガノポリシロキサンを構成するYにより表面を撥液性とすることができ、またエネルギー照射に伴う光触媒の作用により、そのYが分解等されることによって、親液性とすることが可能となるからである。
【0074】
また、特に上記オルガノポリシロキサンを構成するYがフルオロアルキル基であるオルガノポリシロキサンを用いた場合には、エネルギー照射前の濡れ性変化層を、特に撥液性の高いものとすることができることから、高い撥液性が要求される場合等には、これらのフルオロアルキル基を有するオルガノポリシロキサンを用いることが好ましい。このようなオルガノポリシロキサンとして、具体的には、下記のフルオロアルキルシランの1種または2種以上の加水分解縮合物、共加水分解縮合物が挙げられ、一般にフッ素系シランカップリング剤として知られたものを使用することができる。
【0075】
CF3(CF23CH2CH2Si(OCH33
CF3(CF25CH2CH2Si(OCH33
CF3(CF27CH2CH2Si(OCH33
CF3(CF29CH2CH2Si(OCH33
(CF32CF(CF24CH2CH2Si(OCH33
(CF32CF(CF26CH2CH2Si(OCH33
(CF32CF(CF28CH2CH2Si(OCH33
CF3(C64)C24Si(OCH33
CF3(CF23(C64)C24Si(OCH33
CF3(CF25(C64)C24Si(OCH33
CF3(CF27(C64)C24Si(OCH33
CF3(CF23CH2CH2SiCH3(OCH32
CF3(CF25CH2CH2SiCH3(OCH32
CF3(CF27CH2CH2SiCH3(OCH32
CF3(CF29CH2CH2SiCH3(OCH32
(CF32CF(CF24CH2CH2SiCH3(OCH32
(CF32CF(CF26CH2CH2Si CH3(OCH32
(CF32CF(CF28CH2CH2Si CH3(OCH32
CF3(C64)C24SiCH3(OCH32
CF3(CF23(C64)C24SiCH3(OCH32
CF3(CF25(C64)C24SiCH3(OCH32
CF3(CF27(C64)C24SiCH3(OCH32
CF3(CF23CH2CH2Si(OCH2CH33
CF3(CF25CH2CH2Si(OCH2CH33
CF3(CF27CH2CH2Si(OCH2CH33
CF3(CF29CH2CH2Si(OCH2CH33;および
CF3(CF27SO2N(C25)C24CH2Si(OCH33
【0076】
また、上記の(b)の反応性シリコーンとしては、下記一般式で表される骨格をもつ化合物を挙げることができる。
【0077】
【化1】
Figure 0004289924
【0078】
ただし、nは2以上の整数であり、R1,R2はそれぞれ炭素数1〜10の置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、アリールあるいはシアノアルキル基であり、モル比で全体の40%以下がビニル、フェニル、ハロゲン化フェニルである。また、R1、R2がメチル基のものが表面エネルギーが最も小さくなるので好ましく、モル比でメチル基が60%以上であることが好ましい。また、鎖末端もしくは側鎖には、分子鎖中に少なくとも1個以上の水酸基等の反応性基を有する。
【0079】
また、上記のオルガノポリシロキサンとともに、ジメチルポリシロキサンのような架橋反応をしない安定なオルガノシリコン化合物を混合してもよい。
【0080】
本発明における濡れ性変化層には、さらに界面活性剤を含有させることができる。具体的には、日光ケミカルズ(株)製NIKKOL BL、BC、BO、BBの各シリーズ等の炭化水素系、デュポン社製ZONYL FSN、FSO、旭硝子(株)製サーフロンS−141、145、大日本インキ化学工業(株)製メガファックF−141、144、ネオス(株)製フタージェントF−200、F251、ダイキン工業(株)製ユニダインDS−401、402、スリーエム(株)製フロラードFC−170、176等のフッ素系あるいはシリコーン系の非イオン界面活性剤を挙げることかでき、また、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤を用いることもできる。
【0081】
また、濡れ性変化層には上記の界面活性剤の他にも、ポリビニルアルコール、不飽和ポリエステル、アクリル樹脂、ポリエチレン、ジアリルフタレート、エチレンプロピレンジエンモノマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリブタジエン、ポリベンズイミダゾール、ポリアクリルニトリル、エピクロルヒドリン、ポリサルファイド、ポリイソプレン等のオリゴマー、ポリマー等を含有させることができる。
【0082】
このような濡れ性変化層は、上述した成分を必要に応じて他の添加剤とともに溶剤中に分散して塗布液を調製し、この塗布液を後述する光触媒含有層上に塗布することにより形成することができる。使用する溶剤としては、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系の有機溶剤が好ましい。塗布はスピンコート、スプレーコート、ディップコート、ロールコート、ビードコート等の公知の塗布方法により行うことができる。また、紫外線硬化型の成分を含有している場合、紫外線を照射して硬化処理を行うことにより濡れ性変化層を形成することができる。
【0083】
本発明において、上述した濡れ性変化層の厚みは、光触媒による濡れ性の変化速度等の関係より、0.001μmから1μmであることが好ましく、特に好ましくは0.01〜0.1μmの範囲内である。
【0084】
(2)単分子膜である場合
次に、上記濡れ性変化層が単分子膜である場合について説明する。上記濡れ性変化層が単分子膜であることにより、上記濡れ性変化層を均一かつ緻密な層とすることができ、後述する画素部を均一かつ高精細に形成することが可能となるのである。このような単分子膜としては、例えば自己組織化単分子膜が挙げられる。
【0085】
ここで、自己組織化単分子膜とは、固体/液体もしくは固体/気体界面で、有機分子同士が自発的に集合し、会合体を形成しながら自発的に単分子膜を形作っていく有機薄膜である。例として、ある特定の材料でできた基板を、その基板材料と化学的親和性の高い有機分子の溶液または蒸気にさらすと、有機分子は基板表面で化学反応し吸着する。その有機分子が、化学的親和性の高い官能基と、基板との化学反応を全く起こさない有機鎖との2つのパートからなり、親和性の高い官能基がその末端にある場合、分子は反応性末端が基板側を向き、有機鎖が外側を向いて吸着する。有機鎖同士が集合すると、全体として安定になるため、化学吸着の過程で有機分子同士は自発的に集合する。分子の吸着には、基板と末端官能基との間で化学反応が起こることが必要であることから、いったん基板表面が有機分子でおおわれ単分子膜ができあがると、それ以降は分子の吸着は起こらない。その結果、分子が密に集合し、配向性のそろった有機単分子膜ができるものである。
【0086】
本発明においては、上記濡れ性変化層が上記自己組織化単分子膜である場合、エネルギー照射に伴う光触媒の作用によって、濡れ性変化層表面に存在する撥水性を有する有機鎖が、エネルギー照射に伴う光触媒の作用によって除去されることにより、容易に表面を親水性とすることが可能であり、効率的に特性変化パターンの形成を行うことが可能となるのである。
【0087】
このような上記濡れ性変化層として用いられる単分子膜を構成する材料としては、上述した特性を有するものであれば、特に限定されるものではないが、本発明においては、有機鎖を有するシラン化合物であることが好ましい。これにより、単分子膜の形成が容易であり、かつ上述した特性を発揮することが可能となるからである。ここで、上記有機鎖を構成する炭素の数は、1〜20の範囲内、中でも5〜10の範囲内であることが好ましい。これにより、エネルギー照射前の濡れ性変化層を撥液性とすることができ、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により上記有機鎖が分解等され、親液性とすることが可能となるのである。
【0088】
上記有機鎖を有するシラン化合物として、具体的には、上述したオルガノポリシロキサンの項で説明した材料等を用いることができ、中でもフルオロアルキルシランであることが好ましい。
【0089】
このような単分子膜からなる濡れ性変化層は、熱CVD法やディップコート法、等により形成することができるが、本発明においては、熱CVD法であることが製造効率等の面から好ましい。熱CVD法の好ましい成膜条件としては、後述する透明基材等の耐熱温度以下であれば、原料となる物質の気化温度以上であり、かつ分解温度以下であれば特に限定されるものではないが、通常50℃〜200℃の範囲内であることが好ましい。
【0090】
また、本発明においては、公知である減圧熱CVD法を用いてもよい。この減圧熱CVD処理時における真空度として、十分な材料の蒸気圧が得られるように設定することができる。この蒸気圧は材料の種類により適宜選択されるものであるが、通常0.01Torr〜10Torr、中でも5Torr以下とすることができる。またこの際、基板表面との反応を促進するために、基板を加熱しながら減圧CVD法を行い、濡れ性変化層を形成することが好ましい。この場合の加熱温度は、基板および濡れ性変化層の材料によって適宜選択されるものではあるが、通常40℃〜100℃の範囲内、中でも80℃以下とされる。
【0091】
本発明において形成される濡れ性変化層の膜厚としては、その単分子膜の種類にもより決定されるものであるが、通常1nm〜50nmの範囲とされる。
【0092】
b.分解除去層
次に、本発明に用いられる特性変化層が分解除去層である場合について説明する。本発明に用いられる分解除去層が単分子膜である場合には、エネルギー照射された際に光触媒含有層中の光触媒の作用により、エネルギー照射された部分の分解除去層が分解除去される層である。このように分解除去層は、エネルギー照射された部分が光触媒の作用により分解除去されることから、現像工程や洗浄工程を行うことなく分解除去層のある部分と無い部分とからなるパターン、すなわち凹凸を有するパターンを形成することができる。本発明においては、上記特性変化層がこのような分解除去層である場合、例えば図4に示すように、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解除去層4が分解除去されて形成された特性変化パターン5上に、画素部7が形成される。
【0093】
なお、この分解除去層は、エネルギー照射による光触媒の作用により酸化分解され、気化等されることから、現像・洗浄工程等の特別な後処理なしに除去されるものであるが、分解除去層の材質によっては、洗浄工程等を行ってもよい。
【0094】
また、本発明に用いられる分解除去層は、凹凸を形成するのみならず、この分解除去層が、後述する光触媒含有層と比較して、液体との接触角が高いことが好ましい。これにより、分解除去層が分解除去され、光触媒含有層が露出した領域を親液性領域、上記分解除去層が残存する領域を撥液性領域とすることが可能となり、表面の凹凸だけでなく、濡れ性の差も利用して、画素部を形成することが可能となるからである。
【0095】
ここで、親液性領域とは、液体との接触角が小さい領域であり、画素部を形成する画素部形成用塗布液に対する濡れ性の良好な領域をいうこととする。また、撥液性領域とは、液体との接触角が大きい領域であり、画素部形成用塗布液に対する濡れ性が悪い領域をいうこととする。
【0096】
また、上記分解除去層は、40mN/mの液体との接触角が、50°以上、中でも90°以上であることが好ましい。これは、本発明は、残存する特性変化層が、撥液性が要求される部分であることから、液体との接触角が小さい場合は、撥液性が十分でなく、画素部を形成しない撥液性領域にまで画素部形成用塗布液が残存する可能性が生じるため好ましくないからである。
【0097】
また、本発明において、後述する光触媒含有層は、40mN/mの液体との接触角が、エネルギーが照射されていない部分において49°以下、中でも10°以下であることが好ましい。本発明においては光触媒含有層が、親液性が要求される部分であることから、画素部形成用塗布液の塗布に際して、親液性領域においても画素部形成用塗布液をはじいてしまう可能性があり、親液性領域上に画素部をパターニングすることが難しくなる可能性があるからである。ここで、液体との接触角は、上述した方法により測定した値である。
【0098】
この場合、後述する光触媒含有層は表面を親液性となるように、表面処理したものであってもよい。材料の表面を親液性となるように表面処理した例としては、アルゴンや水などを利用したプラズマ処理による親液性表面処理が挙げられ、光触媒含有層上に形成する親液性の層としては、例えばテトラエトキシシランのゾルゲル法によるシリカ膜等を挙げることができる。
【0099】
上記のような分解除去層に用いることができる膜としては、具体的にはフッ素系や炭化水素系の撥液性を有する樹脂等による膜を挙げることができる。これらのフッ素系や炭化水素系の樹脂は、撥液性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、これらの樹脂を溶媒に溶解させ、例としてスピンコート法等の一般的な成膜方法により形成することが可能である。
【0100】
また、本発明においては、機能性薄膜、すなわち、自己組織化単分子膜、ラングミュア−ブロケット膜、および交互吸着膜等を用いることにより、欠陥のない膜を形成することが可能であることから、このような成膜方法を用いることがより好ましいといえる。
【0101】
ここで、本発明に用いられる自己組織化単分子膜、ラングミュア−ブロケット膜、および交互吸着膜について具体的に説明する。
【0102】
(1)自己組織化単分子膜
本発明に用いられる自己組織化膜形成能のある材料としては、例えば、脂肪酸などの界面活性剤分子、アルキルトリクロロシラン類やアルキルアルコキシド類などの有機ケイ素分子、アルカンチオール類などの有機イオウ分子、アルキルフォスフェート類などの有機リン酸分子などが挙げられる。分子構造の一般的な共通性は、比較的長いアルキル鎖を有し、片方の分子末端に基板表面と相互作用する官能基が存在することである。アルキル鎖の部分は分子同士が2次元的にパッキングする際の分子間力の源である。もっとも、ここに示した例は最も単純な構造であり、分子のもう一方の末端にアミノ基やカルボキシル基などの官能基を有するもの、アルキレン鎖の部分がオキシエチレン鎖のもの、フルオロカーボン鎖のもの、これらが複合したタイプの鎖のものなど様々な分子から成る自己組織化単分子膜が報告されている。また、複数の分子種から成る複合タイプの自己組織化単分子膜もある。また、最近では、デンドリマーに代表されるような粒子状で複数の官能基(官能基が一つの場合もある)を有する高分子や直鎖状(分岐構造のある場合もある)の高分子が一層基板表面に形成されたもの(後者はポリマーブラシと総称される)も自己組織化単分子膜と考えられる場合もあるようである。本発明は、これらも自己組織化単分子膜に含める。
【0103】
(2)ラングミュア−ブロジェット膜
本発明に用いられるラングミュア−ブロジェット膜(Langmuir-Blodgett Film)は、基板上に形成されてしまえば形態上は上述した自己組織化単分子膜との大きな相違はない。ラングミュア−ブロジェット膜の特徴はその形成方法とそれに起因する高度な2次元分子パッキング性(高配向性、高秩序性)にあると言える。すなわち、一般にラングミュア−ブロジェット膜形成分子は気液界面上に先ず展開され、その展開膜がトラフによって凝縮されて高度にパッキングした凝縮膜に変化する。実際は、これを適当な基板に移しとって用いる。ここに概略を示した手法により単分子膜から任意の分子層の多層膜まで形成することが可能である。また、低分子のみならず、高分子、コロイド粒子なども膜材料とすることができる。様々な材料を適用した最近の事例に関しては宮下徳治らの総説“ソフト系ナノデバイス創製のナノテクノロジーへの展望” 高分子 50巻 9月号 644-647
(2001)に詳しく述べられている。
【0104】
(3)交互吸着膜
交互吸着膜(Layer-by-Layer Self-Assembled Film)は、一般的には、最低2個の正または負の電荷を有する官能基を有する材料を逐次的に基板上に吸着・結合させて積層することにより形成される膜である。多数の官能基を有する材料の方が膜の強度や耐久性が増すなど利点が多いので、最近ではイオン性高分子(高分子電解質)を材料として用いることが多い。また、タンパク質や金属や酸化物などの表面電荷を有する粒子、いわゆる“コロイド粒子”も膜形成物質として多用される。さらに最近では、水素結合、配位結合、疎水性相互作用などのイオン結合よりも弱い相互作用を積極的に利用した膜も報告されている。比較的最近の交互吸着膜の事例については、静電的相互作用を駆動力にした材料系に少々偏っているがPaula T. Hammondによる総説“Recent Explorations in Electrostatic Multilayer Thin Film Assembly”Current Opinion in Colloid & Interface Science, 4, 430-442 (2000)に詳しい。交互吸着膜は、最も単純なプロセスを例として説明すれば、正(負)電荷を有する材料の吸着−洗浄−負(正)電荷を有する材料の吸着−洗浄のサイクルを所定の回数繰り返すことにより形成される膜である。ラングミュア−ブロジェット膜のように展開−凝縮−移し取りの操作は全く必要ない。また、これら製法の違いより明らかなように、交互吸着膜はラングミュア−ブロジェット膜のような2次元的な高配向性・高秩序性は一般に有さない。しかし、交互吸着膜及びその作製法は、欠陥のない緻密な膜を容易に形成できること、微細な凹凸面やチューブ内面や球面などにも均一に成膜できることなど、従来の成膜法にない利点を数多く有している。
【0105】
また、分解除去層の膜厚としては、エネルギーに伴う光触媒の作用により分解除去される程度の膜厚であれば特に限定されるものではない。具体的な膜厚としては、照射されるエネルギーの種類や分解除去層の材料等により大きく異なるものではあるが、一般的には、0.001μm〜1μmの範囲内、特に0.01μm〜0.1μmの範囲内とすることが好ましい。
【0106】
2.光触媒含有層
次に、本発明に用いられる光触媒含有層について説明する。本発明に用いられる光触媒含有層は、光触媒含有層中の光触媒がその上に形成された特性変化層の特性を変化させるような構成であれば、特に限定されるものではなく、光触媒とバインダとから構成されているものであってもよいし、光触媒単体で製膜されたものであってもよい。また、その表面の特性は特に親液性であっても撥液性であってもよいが、この光触媒含有層上に、特性変化層等を形成する都合上、親液性であることが好ましい。
【0107】
この光触媒含有層における、後述するような酸化チタンに代表される光触媒の作用機構は、必ずしも明確なものではないが、光の照射によって生成したキャリアが、近傍の化合物との直接反応、あるいは、酸素、水の存在下で生じた活性酸素種によって、有機物の化学構造に変化を及ぼすものと考えられている。本発明においては、このキャリアが光触媒含有層上に形成された特性変化層中の化合物に作用を及ぼすものであると思われる。
【0108】
本発明で使用する光触媒としては、光半導体として知られる例えば酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、酸化タングステン(WO3)、酸化ビスマス(Bi23)、および酸化鉄(Fe23)を挙げることができ、これらから選択して1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0109】
本発明においては、特に酸化チタンが、バンドギャップエネルギーが高く、化学的に安定で毒性もなく、入手も容易であることから好適に使用される。酸化チタンには、アナターゼ型とルチル型があり本発明ではいずれも使用することができるが、アナターゼ型の酸化チタンが好ましい。アナターゼ型酸化チタンは励起波長が380nm以下にある。
【0110】
このようなアナターゼ型酸化チタンとしては、例えば、塩酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(石原産業(株)製STS−02(平均粒径7nm)、石原産業(株)製ST−K01)、硝酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(日産化学(株)製TA−15(平均粒径12nm))等を挙げることができる。
【0111】
光触媒の粒径は小さいほど光触媒反応が効果的に起こるので好ましく、平均粒径か50nm以下が好ましく、20nm以下の光触媒を使用するのが特に好ましい。また、光触媒の粒径が小さいほど、形成された光触媒含有層の表面粗さが小さくなるので好ましく、光触媒の粒径が100nmを越えると光触媒含有層の中心線平均表面粗さが粗くなり、光触媒含有層の非露光部の特性が変化し、また露光部の特性の変化が不十分となるため好ましくない。
【0112】
本発明における光触媒含有層は、上述したように光触媒単独で形成されたものであってもよく、またバインダと混合して形成されたものであってもよい。
【0113】
光触媒のみからなる光触媒含有層の場合は、特性変化層の特性の変化に対する効率が向上し、処理時間の短縮化等のコスト面で有利である。一方、光触媒とバインダとからなる光触媒含有層の場合は、光触媒含有層の形成が容易であるという利点を有する。
【0114】
また、本発明においては、後述する遮光部が熱転写法により形成される場合、遮光部として有機材料が用いられる。このような有機材料は通常、例えば酸化チタン等の無機材料のみからなる物質とは密着性が悪く、上記酸化チタンのみからなる光触媒含有層上に形成することが困難な場合がある。したがって、遮光部が熱転写法により形成される場合には、光触媒含有層がバインダを含有することが好ましい。これにより光触媒含有層表面に、例えばアルキル基等の有機基を存在させることができ、遮光部と光触媒含有層との密着性を良好なものとすることができるのである。また、光触媒含有層中が、上記バインダを含有する層とすることにより、後述する透明基材が無機材料である場合、光触媒含有層自体が、透明基材と遮光部との密着性を向上させる部材としての役割を果たすものとすることができる。
【0115】
ここで、後述する遮光部が熱転写法により形成される場合、光触媒含有層上には、後述する密着性向上層が形成されることが好ましい。これにより、例えば光触媒含有層が酸化チタン等の無機材料のみからなる場合であっても、光触媒含有層と遮光部とを密着性が良好に形成することができ、光触媒含有層が光触媒のみからなるものであってもよく、また光触媒含有層がバインダを有するものであってもよいものとすることができるからである。
【0116】
光触媒のみからなる光触媒含有層の形成方法としては、例えば、スパッタリング法、CVD法、真空蒸着法等の真空製膜法を用いる方法を挙げることができる。真空製膜法により光触媒含有層を形成することにより、均一な膜でかつ光触媒のみを含有する光触媒含有層とすることが可能であり、これにより特性変化層の特性を均一に変化させることが可能であり、かつ光触媒のみからなることから、バインダを用いる場合と比較して効率的に特性変化層の特性を変化させることが可能となる。
【0117】
また、光触媒のみからなる光触媒含有層の形成方法の他の例としては、例えば光触媒が二酸化チタンの場合は、基材上に無定形チタニアを形成し、次いで焼成により結晶性チタニアに相変化させる方法等が挙げられる。ここで用いられる無定形チタニアとしては、例えば四塩化チタン、硫酸チタン等のチタンの無機塩の加水分解、脱水縮合、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラメトキシチタン等の有機チタン化合物を酸存在下において加水分解、脱水縮合によって得ることができる。次いで、400℃〜500℃における焼成によってアナターゼ型チタニアに変性し、600℃〜700℃の焼成によってルチル型チタニアに変性することができる。
【0118】
またバインダを用いる場合は、バインダの主骨格が上記の光触媒の光励起により分解されないような高い結合エネルギーを有するものが好ましく、このようなバインダとしては例えば、上述した特性変化層の項で説明したオルガノポリシロキサン等を挙げることができる。
【0119】
このようにオルガノポリシロキサンをバインダとして用いた場合は、上記光触媒含有層は、光触媒とバインダであるオルガノポリシロキサンを必要に応じて他の添加剤とともに溶剤中に分散して塗布液を調製し、この塗布液を透明基材上に塗布することにより形成することができる。使用する溶剤としては、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系の有機溶剤が好ましい。塗布はスピンコート、スプレーコート、ディップコート、ロールコート、ビードコート等の公知の塗布方法により行うことができる。バインダとして紫外線硬化型の成分を含有している場合、紫外線を照射して硬化処理を行うことにより光触媒含有層を形成することかできる。
【0120】
また、バインダとして無定形シリカ前駆体を用いることができる。この無定形シリカ前駆体は、一般式SiZ4で表され、Zはハロゲン、メトキシ基、エトキシ基、またはアセチル基等であるケイ素化合物、それらの加水分解物であるシラノール、または平均分子量3000以下のポリシロキサンが好ましい。
【0121】
具体的には、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラメトキシシラン等が挙げられる。また、この場合には、無定形シリカの前駆体と光触媒の粒子とを非水性溶媒中に均一に分散させ、透明基材上に空気中の水分により加水分解させてシラノールを形成させた後、常温で脱水縮重合することにより光触媒含有層を形成できる。シラノールの脱水縮重合を100℃以上で行えば、シラノールの重合度が増し、膜表面の強度を向上できる。また、これらの結着剤は、単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。
【0122】
光触媒含有層中の光触媒の含有量は、5〜60重量%、好ましくは20〜40重量%の範囲で設定することができる。また、光触媒含有層の厚みは、0.05〜10μmの範囲内が好ましい。
【0123】
また上述したように、後述する遮光部が熱転写法により形成される場合、上記バインダとして、上記のオルガノポリシロキサン、または通常シランカップリング剤として用いられる材料が用いられることが好ましい。これにより、光触媒含有層表面に有機基を存在させることができ、遮光部と透明基材との密着性を高いものとすることができるからである。またさらに、熱転写法により遮光部を形成した後、光触媒含有層にエネルギー照射することにより、表面の有機基を容易に分解除去等することが可能となるという利点も有する。これは、上記光触媒含有層表面に有機基を有することにより、透明基材と遮光部との密着性を向上させることが可能となる一方で、後述する特性変化層を光触媒含有層および遮光部を覆うように形成する場合には、光触媒含有層表面に有機基等を有しないほうが、光触媒含有層と特性変化層との密着性を高いものとすることができることによるものである。
【0124】
このようなバインダとして用いられる上記シランカップリング剤としては、例えば、YSiX(4−n)(ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基もしくはエポキシ基、またはこれらを含む有機基であり、Xはアルコキシル基またはハロゲンを示す。nは0〜3までの整数である。)で示される珪素化合物の1種または2種以上の単体、加水分解縮合物、もしくは共加水分解縮合物等を用いることができる。本発明においては、上記の中でも特に、Yがビニル基、アミノ基、またはエポキシ基であることが好ましい。また、ここでXで示されるアルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基であることが好ましい。また、Yで示される有機基全体の炭素数は1〜20の範囲内、中でも5〜10の範囲内であることが好ましい。
【0125】
またこの場合、光触媒の含有量は、上述した値と同様の範囲内の量用いることができる。
【0126】
また、光触媒含有層には上記の光触媒、バインダの他に、界面活性剤を含有させることができる。具体的には、日光ケミカルズ(株)製NIKKOL BL、BC、BO、BBの各シリーズ等の炭化水素系、デュポン社製ZONYL FSN、FSO、旭硝子(株)製サーフロンS−141、145、大日本インキ化学工業(株)製メガファックF−141、144、ネオス(株)製フタージェントF−200、F251、ダイキン工業(株)製ユニダインDS−401、402、スリーエム(株)製フロラードFC−170、176等のフッ素系あるいはシリコーン系の非イオン界面活性剤を挙げることができ、また、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤を用いることもできる。
【0127】
さらに、光触媒含有層には上記の界面活性剤の他にも、ポリビニルアルコール、不飽和ポリエステル、アクリル樹脂、ポリエチレン、ジアリルフタレート、エチレンプロピレンジエンモノマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリブタジエン、ポリベンズイミダゾール、ポリアクリルニトリル、エピクロルヒドリン、ポリサルファイド、ポリイソプレン等のオリゴマー、ポリマー等を含有させることができる。
【0128】
3.遮光部
次に、本発明に用いられる遮光部について説明する。本発明に用いられる遮光部は、上述した光触媒含有層上に形成されるものであり、本発明のカラーフィルタにおいては、ブラックマトリクスとしての機能を果たすものである。また本発明においては、この遮光部が光触媒含有層と特性変化層との間に形成されていることから、遮光部が形成されている領域上の特性変化層の特性が変化しないものとすることができるのである。
【0129】
このような本発明における遮光部は、光触媒含有層の作用を遮蔽し、かつカラーフィルタにおけるブラックマトリクスとして用いることが可能なものであれば、特に限定されるものではなく、例えば樹脂バインダ中にカーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等を含有した層とすることができる。またこの際、厚みは0.5〜10μmの範囲内で設定することができる。樹脂バインダとしては、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ゼラチン、カゼイン、セルロース等の水性樹脂を1種または2種以上混合した組成物を用いることができる。また、樹脂バインダとして、O/Wエマルジョン型の樹脂組成物、例えば、反応性シリコーンをエマルジョン化したもの等も用いることができる。
【0130】
また、このような遮光部は、スパッタリング法、真空蒸着法等により厚み1000〜2000Å程度のクロム等の金属薄膜を形成し、この薄膜をフォトリソグラフィー法によりパターニングすることにより形成することができる。さらに、カーボン微粒子等の遮光性粒子を含有させたポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂層を形成し、この樹脂層をパターニングして形成したもの、カーボン微粒子、金属酸化物等の遮光性粒子を含有させた感光性樹脂層を形成し、この感光性樹脂層をパタ一ニングして形成したもの等、いずれであっても用いることができる。
【0131】
またさらに、上記樹脂層をフィルム上に形成して上記光触媒含有層上に配置し、遮光部を形成する領域にのみ、熱を加えることにより、光触媒含有層上に転写する熱転写方式により形成したものであってもよい。ここで、上記フォトリソグラフィー法で遮光部を形成する際には、感光性樹脂等を用いてエネルギーを照射することにより硬化させる必要があり、遮光部の膜厚を高いものとした場合には、感光性樹脂を内部まで完全に硬化させることが困難となる場合があるが、上記遮光部を熱転写法により形成する場合には、遮光部をエネルギー照射により硬化させる必要がないことから、膜厚の高いものとすることができ、後述する画素部の混色等を容易に防ぐことが可能な遮光部を形成することができるという利点を有する。
【0132】
上記熱転写法により形成される遮光部として、具体的には上記カーボン微粒子等の遮光性粒子を含有エポキシ樹脂等の樹脂層等により形成することができる。
【0133】
本発明においては、上記遮光部を熱転写法により形成した場合の遮光部の膜厚としては、目的とするカラーフィルタの種類等にもよるが、通常1μm〜10μm程度、特に1.5μm〜3μm程度とすることができる。なお、上記遮光部の材料、形成方法等については、後述する「C.パターン形成体の製造方法」における遮光部形成工程の項で詳しく説明するので、ここでの説明は省略する。
【0134】
4.特性変化パターン
次に、本発明の特性変化パターンについて説明する。本発明の特性変化パターンは、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により、特性変化層の特性が変化したパターンである。
【0135】
本発明においては、この特性変化パターンは、後述する画素部を形成するパターン状に形成されるものである。本発明においては、上記遮光部が特性変化層と光触媒含有層との間に形成されていることから、全面にエネルギーを照射した場合であっても、上記遮光部上の特性変化層の特性は変化せず、遮光部の形成されていない領域の特性変化層の特性のみ変化させることが可能となることから、例えば特性変化層側または透明基材側から全面にエネルギーを照射すること等により、特性変化パターンを形成することができる。
【0136】
ここで本発明において、照射されるエネルギーは上記特性変化層の特性を変化させることが可能なものであれば、特に限定されず、通常400nm以下の範囲、好ましくは380nm以下の範囲から設定される。
【0137】
5.画素部
次に、本発明に用いられる画素部について説明する。本発明に用いられる画素部は、上述した特性変化層の特性が変化した特性変化パターンに沿って形成されるものである。このような画素部は、通常、赤(R)、緑(G)、および青(B)の3色で形成される。この画素部における着色パターン形状は、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型、4画素配置型等の公知の配列とすることができ、着色面積は任意に設定することができる。
【0138】
本発明において、この画素部を形成する材料は、画素部を着色する方法によって異なる。この画素部を着色する方法としては、例えば、公知の塗料をスプレーコート、ディップコート、ロールコート、ビードコート等の公知の方法で塗布する塗布方式や、真空薄膜形式等を挙げることができるが、本発明においては、インクジェット方式により着色されることが好ましい。
【0139】
これは、上述したような着色方式は、いずれも赤(R)、緑(G)、および青(B)の3色を着色するために、同一の工程を3回繰り返す必要があり、コスト高になるという問題や、工程を繰り返すため歩留まりが低下するという問題がある。インクジェット法により画素部を着色することにより、一回で全ての色を着色することが可能であり、このような問題が生じないためである。
【0140】
このような画素部を形成するインクジェット方式のインクとしては、大きく水性、油性に分類されるが、本発明においてはいずれのインクであっても用いることができるが、表面張力の関係から水をベースとした水性のインクが好ましい。
【0141】
本発明で用いられる水性インクには、溶媒として、水単独または水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒を用いることがきる。一方、油性インクにはヘッドのつまり等を防ぐために高沸点の溶媒をベースとしたものが好ましく用いられる。このようなインクジェット方式のインクに用いられる着色剤は、公知の顔料、染料が広く用いられる。また、分散性、定着性向上のために溶媒に可溶・不溶の樹脂類を含有させることもできる。その他、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤などの界面活性剤;防腐剤;防黴剤;pH調整剤;消泡剤;紫外線吸収剤;粘度調整剤:表面張力調整剤などを必要に応じて添加しても良い。
【0142】
また、通常のインクジェットインクは適性粘度が低いためバインダ樹脂を多く含有できないが、インク中の着色剤粒子を樹脂で包むかたちで造粒させることで着色剤自身に定着能を持たせることができる。このようなインクも本発明においては用いることができる。さらに、所謂ホットメルトインクやUV硬化性インクを用いることもできる。
【0143】
本発明においては、中でも硬化型インクを用いることが好ましく、特にUV硬化性インク、または熱硬化性インクを用いることが好ましい。
【0144】
UV硬化性インクを用いることにより、インクジェット方式により着色して画素部を形成後、UVを照射することにより、素早くインクを硬化させることができ、すぐに次の工程に送ることができる。したがって、効率よくカラーフィルタを製造することができる。
【0145】
このようなUV硬化性インクは、プレポリマー、モノマー、光開始剤及び着色剤を主成分とするものである。プレポリマーとしては、ポリエステルアクリレート、ポリウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレート、オリゴアクリレート、アルキドアクリレート、ポリオールアクリレート、シリコンアクリレート等のプレポリマーのいずれかを特に限定することなく用いることができる。
【0146】
モノマーとしては、スチレン、酢酸ビニル等のビニルモノマー;n−ヘキシルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート等の単官能アクリルモノマー;ジエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ヒドロキシピペリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリストールヘキサアクリレート等の多官能アクリルモノマーを用いることができる。上記プレポリマー及びモノマーは単独で用いても良いし、2種以上混含しても良い。
【0147】
光重合開始剤は、イソブチルベンゾインエーテル、イソプロピルベンゾインエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインメチルエーテル、1−フェニル−l,2−プロパジオン−2−オキシム、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、ベンジル、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンゾフェノン、クロロチオキサントン、2−クロロチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、塩素置換ベンゾフェノン、ハロゲン置換アルキル−アリルケトン等の中から所望の硬化特性が得られるものを選択して用いることができる。その他必要に応じて脂肪族アミン、芳香族アミン等の光開始助剤;チオキサンソン等の光鋭感剤等を添加しても良い。
【0148】
また、熱硬化性インクとしては、バインダ、及び、2官能または3官能のエポキシ基含有モノマーを少なくとも含有することを特徴とするものである。また、本発明に用いられる熱硬化性インクには、必要に応じて、着色剤、分散剤、硬化促進剤、或いは、その他の添加剤を含有するものであってもよい。ここで、上記熱硬化性インキ組成物に、インクジェット方式に適用するための適切な流動性、吐出性を付与するために、上記の各成分を溶剤(希釈剤)に溶解又は分散させてもよい。また、本発明に用いられる熱硬化性インクは、さらに上記熱硬化性インキ組成物に、上記2官能または3官能のエポキシ基含有モノマーと共に、4官能以上のエポキシ基含有樹脂を組み合わせたものであってもよい。
【0149】
上記バインダとしては、それ自体は重合反応性のない樹脂、及び、それ自体が重合反応性を有する樹脂のいずれを用いてもよく、また、2種以上のバインダ
を組み合わせて用いても良い。
【0150】
例えば重合反応性のない樹脂をバインダとして用いる場合には、熱硬化性インキ組成物中の2官能または3官能のエポキシ基含有モノマー、その他の熱硬化性成分等が、加熱により重合して硬化する。このような非重合性バインダとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、スチレン、ポリスチレンマクロモノマー、及びポリメチルメタクリレートマクロモノマーの2種以上からなる共重合体等を用いることができる。
【0151】
より具体的には、アクリル酸/ベンジルアクリレート共重合体、アクリル酸/メチルアクリレート/スチレン共重合体、アクリル酸/ベンジルアクリレート/スチレン共重合体、アクリル酸/メチルアクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、アクリル酸/メチルアクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、アクリル酸/ベンジルアクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、アクリル酸/ベンジルアクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、アクリル酸/2−ヒドロキシエチルアクリレート/ベンジルアクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、アクリル酸/2−ヒドロキシエチルアクリレート/ベンジルアクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、アクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、アクリル酸/メチルメタクリレート/スチレン共重合体、アクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、アクリル酸/メチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、アクリル酸/メチルメタクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、アクリル酸/ベンジルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、アクリル酸/ベンジルメタクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、アクリル酸/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ベンジルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、アクリル酸/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ベンジルメタクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体等のアクリル酸共重合体類を用いることができる。
【0152】
またさらに、メタクリル酸/ベンジルアクリレート共重合体、メタクリル酸/メチルアクリレート/スチレン共重合体、メタクリル酸/ベンジルアクリレート/スチレン共重合体、メタクリル酸/メチルアクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、メタクリル酸/メチルアクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、メタクリル酸/ベンジルアクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、メタクリル酸/ベンジルアクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、メタクリル酸/2−ヒドロキシエチルアクリレート/ベンジルアクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、メタクリル酸/2−ヒドロキシエチルアクリレート/ベンジルアクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/メチルメタクリレート/スチレン共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、メタクリル酸/メチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、メタクリル酸/メチルメタクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体、メタクリル酸/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ベンジルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー共重合体、メタクリル酸/2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ベンジルメタクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー共重合体等のメタクリル酸共重合体類等を挙げることができる。
【0153】
上記の非重合性バインダの中でも、特に、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、ベンジルメタクリレートマクロモノマー/スチレン共重合体、ベンジルメタクリレート/スチレンマクロモノマー共重合体などが好ましい。
【0154】
一方、それ自体が重合性を有するバインダとしては、非重合性バインダの分子に、エポキシ基のような熱重合性の官能基を導入してなるオリゴマー又はオリゴマーよりも大分子量のポリマーを用いることができる。重合性バインダの分子は、バインダ同士で重合すると共に、2官能または3官能の多官能モノマー、及びその他の重合性モノマーとも重合して熱硬化する。
【0155】
熱重合性のバインダとしては、例えば、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、α−n−ブチルアクリル酸グリシジル、アクリル酸−3,4−エポキシブチル、メタクリル酸−3,4−エポキシブチル、メタクリル酸−4,5−エポキシペンチル、アクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、メタクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、α−エチルアクリル酸−6,7−エポキシヘプチルなどの(メタ)アクリレート類;o−ビニルフェニルグリシジルエーテル、m−ビニルフェニルグリシジルエーテル、p−ビニルフェニルグリシジルエーテル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテルなどのビニルグリシジルエーテル類;2,3−ジグリシジルオキシスチレン、3,4−ジグリシジルオキシスチレン、2,4−ジグリシジルオキシスチレン、3,5−ジグリシジルオキシスチレン、2,6−ジグリシジルオキシスチレン、5−ビニルピロガロールトリグリシジルエーテル、4−ビニルピロガロールトリグリシジルエーテル、ビニルフロログリシノールトリグリシジルエーテル、2,3−ジヒドロキシメチルスチレンジグリシジルエーテル、3,4−ジヒドロキシメチルスチレンジグリシジルエーテル、2,4−ジヒドロキシメチルスチレンジグリシジルエーテル、3,5−ジヒドロキシメチルスチレンジグリシジルエーテル、2,6−ジヒドロキシメチルスチレンジグリシジルエーテル、2,3,4−トリヒドロキシメチルスチレントリグリシジルエーテル、及び、1,3,5−トリヒドロキシメチルスチレントリグリシジルエーテル等のエチレン性不飽和結合とエポキシ基を含有するモノマーの1種または2種以上を重合させた単独重合体または共重合体を用いることができる。
【0156】
また、上記のようなエチレン性不飽和結合とエポキシ基を含有するモノマーの1種または2種以上と、下記のようなエポキシ基を含有しないモノマーを重合させた共重合体も、熱重合性のバインダとして用いることができる。エポキシ基を含有しないモノマーとしては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、スチレン、ポリスチレンマクロモノマー、及びポリメチルメタクリレートマクロモノマー等が挙げられる。
【0157】
また、バインダは、熱硬化性インキ組成物の固形分全量に対して、通常、1〜50重量%の割合で配合する。ここで、配合割合を特定するための熱硬化性インキ組成物の固形分とは、溶剤を除く全ての成分を含み、液状の重合性モノマーも固形分に含まれるものとする。
【0158】
ここで、図2等に示す本発明のカラーフィルタの例は、赤(R)、緑(G)、および青(B)の画素部を全て一層の特性変化層および光触媒含有層上に形成した例を示したものであるが、本発明はこれに限定されるものでなく、例えば、赤色画素部用の特性変化層および光触媒含有層、緑色画素部用の特性変化層および光触媒含有層、青色画素部用の特性変化層および光触媒含有層といったように複数層の特性変化層および光触媒含有層上に画素部が形成されたものをも含むものである。
【0159】
6.透明基材
次に、本発明に用いられる透明基材について説明する。本発明においては、例えば図2に示すように、透明基材1上に、上述した特性変化層が形成されるものである。
【0160】
このような透明基材としては、従来よりカラーフィルタに用いられているものであれば特に限定されるものではないが、例えば石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の可撓性のない透明なリジット材、あるいは透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材を用いることができる。この中で特にコーニング社製7059ガラスは、熱膨脹率の小さい素材であり寸法安定性および高温加熱処理における作業性に優れ、また、ガラス中にアルカリ成分を含まない無アルカリガラスであるため、アクティブマトリックス方式によるカラー液晶表示装置用のカラーフィルタに適している。
【0161】
本発明において、透明基材は通常透明なものを用いるが、反射性の基板や白色に着色した基板でも用いることは可能である。また、透明基材は、必要に応じてアルカリ溶出防止用やガスバリア性付与その他の目的の表面処理を施したものを用いてもよい。
【0162】
また、本発明においては、上述した遮光部が熱転写法により形成され、かつ光触媒含有層が例えばシランカップリング剤等のバインダを含有している場合には、透明基材は上記の中でも、例えば石英ガラス等の無機材料からなるものであることが好ましい。これは、上記光触媒含有層中に含有されるバインダが、上記遮光部と透明基材との密着性を向上させる機能を果たすという、本発明の利点を発揮することが可能となるからである。
【0163】
7.カラーフィルタ
次に、本発明のカラーフィルタについて説明する。本発明のカラーフィルタは、上記透明基材と、その透明基材上に形成された上記光触媒含有層と、その光触媒含有層上に形成された遮光部と、上記光触媒含有層および上記遮光部とを覆うように形成された特性変化層と、その特性変化層の特性が変化した特性変化パターンに沿って画素部が形成されたものであれば、特に限定されるものではない。
【0164】
ここで、本発明においては、上記画素部上に電極層を有するものであってもよい。本発明によれば、上記画素部上に電極層が形成されたものであっても、電極層と光触媒含有層との間に、画素部および遮光部が形成されていることから、電極層が光触媒含有層の導電性の影響を受けることのない、高品質なカラーフィルタとすることができるのである。
【0165】
また、本発明のカラーフィルタは例えば図3に示すように、透明基材1と、その透明基材1上に形成された光触媒含有層2と、その光触媒含有層2上に形成された遮光部6と、その遮光部6と光触媒含有層2とを覆うように形成された特性変化層4と、その特性変化層4の特性が変化したパターン5と、その特性変化パターン5上に形成された赤(R)、緑(G)、および青(B)の画素部7R、7G、および7Bと、その画素部7上に形成された保護層8と、その保護層8上に形成された電極層9とを有するものであってもよい。上記保護層により、表面の凹凸を平坦化することができ、この保護層上に形成された電極層が断線等することのない、高品質なカラーフィルタとすることができるからである。
【0166】
またさらに、本発明においては、必要に応じて例えば、配向層等が形成されたものであってもよい。このような電極層や保護層、配向層等は、通常カラーフィルタに用いることが可能な材料を用いることが可能である。
【0167】
8.その他
本発明のカラーフィルタは、上述した部材以外に、上記光触媒含有層上に密着性向上層を有するものであってもよい。本発明においては上述したように、遮光部が熱転写法により形成されるものであってもよく、この場合、光触媒含有層が例えば酸化チタン等の無機材料のみから形成される場合には、有機材料からなる遮光部と光触媒含有層との密着性が悪い場合があるからである。
【0168】
本発明において、このような密着性向上層としては、上記光触媒含有層の項で説明したバインダ等を用いることができ、上記の中でもシランカップリング剤を用いることが好ましい。これにより、光触媒含有層と熱転写法により形成された遮光部との密着性を良好なものとすることができるからである。
【0169】
C.カラーフィルタの製造方法
次に、本発明のカラーフィルタの製造方法について説明する。本発明のカラーフィルタの製造方法は、透明基材上に、少なくとも光触媒を含有する光触媒含有層を形成する光触媒含有層形成工程と、上記光触媒含有上に遮光部を形成する遮光部形成工程と、上記光触媒含有および上記遮光部を覆うように、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により特性が変化する特性変化層を形成する特性変化層形成工程と、上記特性変化層にエネルギーを照射することにより、上記特性変化層の特性が変化した特性変化パターンを形成する特性変化パターン形成工程と、上記特性変化パターン上に画素部を形成する画素部形成工程とを有するものである。
【0170】
本発明のカラーフィルタの製造方法は、例えば図5に示すように、まず、透明基材1上に光触媒含有層2を形成する光触媒含有層形成工程(図5(a))を行い、その後、光触媒含有層2上に遮光部6を形成する遮光部形成工程を行う(図5(b))。光触媒含有層が遮光部上に形成される場合には、その遮光部の厚みにより光触媒含有層にクラック等が発生する可能性があるが、本発明においては、上記光触媒含有層2上に遮光部6が形成されることから、クラック等が発生することを防止することができるのである。
【0171】
次に、上記遮光部6と上記光触媒含有層2とを覆うように、特性変化層4を形成する特性変化層形成工程を行い(図5(c))、その特性変化層4にエネルギー10を照射する(図5(d))。このエネルギー10の照射に伴う光触媒含有層2中に含有される光触媒の作用により特性変化層4の特性が変化した特性変化パターン5が形成される。この際、上記遮光部6が形成されている領域においては、光触媒含有層2が遮光部6により覆われていることから、光触媒の作用が特性変化層4に作用せず、特性が変化しないものとすることができるのである。
【0172】
次に、上記特性変化層4の特性が変化した特性変化パターン5の特性を利用して、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の画素部7を形成する画素部形成工程を行う(図5(f))。本発明によれば、上記特性変化パターン5において、上記特性変化層4の特性が変化していることから、容易に高精細な画素部7を形成することが可能となるのである。
【0173】
また、本発明によれば、上記画素部上に透明電極層を形成した場合であっても、電極層と光触媒含有層との間に、画素部および遮光部が形成されていることから、電極層が光触媒含有層の導電性の影響を受けることのない、高品質なカラーフィルタとすることができるのである。
【0174】
以下、上述したような各工程についてそれぞれ説明する。
【0175】
1.光触媒含有層形成工程
まず、本発明の光触媒含有層形成工程について説明する。本発明の光触媒含有層形成工程は、透明基材上に光触媒含有層を形成する工程である。本工程で形成される光触媒含有層は、光触媒のみからなるものであってもよく、またバインダと混合して形成されるものであってもよい。
【0176】
光触媒のみからなる光触媒含有層の形成方法としては、例えば、スパッタリング法、CVD法、真空蒸着法等の真空製膜法や、例えば光触媒が二酸化チタンの場合は、基材上に無定形チタニアを形成し、次いで焼成により結晶性チタニアに相変化させる方法等が挙げられる。真空製膜法により光触媒含有層を形成することにより、均一な膜でかつ光触媒のみを含有する光触媒含有層とすることが可能であり、これにより特性変化層上の特性を均一に変化させることが可能であり、かつ光触媒のみからなることから、バインダを用いる場合と比較して効率的に特性変化層上の特性を変化させることが可能となる。
【0177】
また、光触媒含有層が、光触媒とバインダとを混合させたものである場合には、光触媒とバインダとを、必要に応じて他の添加剤とともに溶剤中に分散して塗布液を調製し、この塗布液を透明基材上に塗布することにより形成することができる。この場合、光触媒含有層の形成が容易であるという利点を有する。また、本発明においては、光触媒含有層形成工程後、後述する遮光部形成工程が行われる。この遮光部形成工程は、後述するように熱転写法を用いて行われてもよく、この場合、遮光部として有機材料が用いられる。有機材料は通常、例えばガラスや酸化チタン等の無機材料のみからなる物質とは密着性が悪く、上記酸化チタンのみからなる光触媒含有層上に形成することが困難な場合がある。したがって、後述する遮光部が熱転写法により形成される場合には、光触媒含有層にバインダとして、オルガノポリシロキサンや、シランカップリング剤を用いることにより、光触媒含有層と遮光部との密着性を良好なものとすることができるという利点も有する。また、光触媒含有層中が、上記バインダを含有する層とすることにより、後述する透明基材が無機材料である場合、光触媒含有層自体が、透明基材と遮光部との密着性を向上させる部材としての役割を果たすものとすることができるのである。
【0178】
この場合、後述する遮光部形成工程後、遮光部が形成された光触媒含有層に、エネルギーを照射するエネルギー照射工程を行うことが好ましい。これは、光触媒含有層表面に有機基が存在する場合には、光触媒含有層と特性変化層との密着性が阻害される場合があるからであり、光触媒含有層表面に存在する有機基を、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解除去等することによって、光触媒含有層と特性変化層との密着性を高いものとすることができるからである。
【0179】
このような光触媒含有層の形成に使用される溶剤としては、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系の有機溶剤が好ましい。塗布はスピンコート、スプレーコート、ディップコート、ロールコート、ビードコート等の公知の塗布方法により行うことができる。バインダとして紫外線硬化型の成分を含有している場合、紫外線を照射して硬化処理を行うことにより光触媒含有層を形成することができる。
【0180】
なお、本工程に用いられる光触媒含有層の材料等は、上述した「B.カラーフィルタ」の光触媒含有層の項で説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0181】
2.遮光部形成工程
次に、本発明のカラーフィルタの製造方法における遮光部形成工程について説明する。本発明における遮光部形成工程は、上記光触媒含有層形成工程で形成された光触媒含有層上に遮光部を形成する工程である。本工程により形成される遮光部は、本発明のカラーフィルタにおいて、ブラックマトリクスとして用いられ、またエネルギー照射に伴う光触媒の作用を遮蔽する機能を果たすものである。
【0182】
本発明においては、このような遮光部を形成可能な方法であれば、その形成方法は特に限定されるものではなく、例えばスパッタリング法、真空蒸着法等により厚み1000〜2000Å程度のクロム等の金属薄膜を形成し、この薄膜をフォトリソグラフィー法によりパターニングを行うものであってもよい。また、カーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等の遮光性粒子を含有させたポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂層を形成し、この樹脂層をフォトリソグラフィー法等によりパターニングして形成したもの、カーボン微粒子、金属酸化物等の遮光性粒子を含有させた感光性樹脂層を形成し、この感光性樹脂層をフォトリソグラフィー法等によりパタ一ニングを行うものであってもよい。
【0183】
また、本発明においては、熱転写法により遮光部の形成を行うものであってもよい。熱転写法とは、例えば、上述したカーボン微粒子等を、上記樹脂に含有させて例えば樹脂フィルム等のフィルム上、または光熱変換層や剥離層等を介してフィルム上に形成する。そのフィルムの上記樹脂形成部を、上記光触媒含有層側となるように配置し、遮光部を形成する領域にのみ、フィルム側からレーザー等により光を照射することにより、光熱変換層や剥離層等の作用により、上記樹脂に含有されたカーボン微粒子層を、光触媒含有層上に転写する方法である。この方法によれば、あらかじめフィルムや光熱変換層等の上に上記遮光性を有する樹脂層を形成しておくことから、遮光部形成の際に、遮光部をエネルギー照射により硬化させる必要がなく、遮光部の膜厚を高いものとすることができ、後述する画素部の混色等を容易に防ぐことが可能な遮光部を形成することができる。
【0184】
またこの場合、熱転写法により形成された遮光部と光触媒含有層との密着性を向上させるために、遮光部形成工程を行う前に、後述する密着性向上層形成工程を行うことが好ましい。この密着性向上層形成工程によって密着性向上層を形成することにより、上記遮光部と光触媒含有層との密着性を良好なものとすることができるからである。またこの場合、上記遮光部を形成する遮光部形成工程後、後述するエネルギー照射工程を行うことが好ましい。これにより、光触媒含有層と特性変化層との密着性を良好なものとすることができるからである。
【0185】
ここで、本工程に用いられる遮光部の材料等については、上述した「B.カラーフィルタ」の遮光部の項で説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0186】
3.特性変化層形成工程
次に、本発明のカラーフィルタの製造方法における特性変化層形成工程について説明する。本発明における特性変化層形成工程は、上記工程により形成された遮光部および光触媒含有層を覆うように、特性変化層を形成する工程である。本工程において形成される特性変化層は、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により特性が変化する層である。本発明における特性変化層の形成方法は、このような層が形成可能であれば、特に限定されるものではなく、目的とする特性変化層の種類に応じて、適宜選択されるものである。
【0187】
ここで、本発明においては、特性変化層が濡れ性変化層または分解除去層であることが好ましく、このような濡れ性変化層または分解除去層を形成する方法としては、例えば、濡れ性変化層または分解除去層を構成する材料を、溶剤中に分散して塗布液を調製し、この塗布液を基材上に塗布することにより形成することができる。塗布はスピンコート、スプレーコート、ディップコート、ロールコート、ビードコート等の公知の塗布方法により行うことができる。また、上記濡れ性変化層が単分子膜である場合等には、熱CVD法等も用いることが可能である。
【0188】
ここで、濡れ性変化層および分解除去層や、形成方法等については、上述した「B.カラーフィルタ」の特性変化層の項で説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0189】
4.特性変化パターン形成工程
次に、本発明に用いられる特性変化パターン形成工程について説明する。上述した特性変化層形成工程後、上記特性変化層にエネルギーを照射することにより、特性変化層の特性が変化した特性変化パターンを形成する特性変化パターン形成工程が行われる。本工程により、画素部を形成するパターン状に、特性変化層の特性が変化した特性変化パターンを形成することによって、後述する画素部形成工程により、容易に画素部を形成することが可能となるのである。
【0190】
本発明においては、上記遮光部が光触媒含有層上に形成されていることから、エネルギー照射を全面に行った場合であっても、上記遮光部に覆われている領域においては、光触媒による作用が発現せず、上記遮光部上の特性変化層の特性が変化しないものとすることができる。従って、本発明においては、例えば図5(d)に示すように、エネルギー10の照射を、特性変化層側から行うものであってもよく、また例えば図6に示すように、エネルギー10の照射を、透明基材1側から行うものであってもよい。
【0191】
また、例えば上記遮光部が形成されていない領域のパターンと、目的とする特性変化パターンとが異なる場合には、例えば図7に示すように、エネルギー10の照射を、例えばフォトマスク11等のマスクを用いて行うものであってもよい。
【0192】
ここで、本発明でいうエネルギー照射(露光)とは、特性変化層表面の特性を変化させることが可能ないかなるエネルギー線の照射をも含む概念であり、可視光の照射に限定されるものではない。
【0193】
本発明においては、エネルギー照射に用いる光の波長は、通常400nm以下の範囲、好ましくは380nm以下の範囲から設定される。これは、上述したように光触媒含有層に用いられる好ましい光触媒が二酸化チタンであり、この二酸化チタンにより光触媒作用を活性化させるエネルギーとして、上述した波長の光が好ましいからである。
【0194】
このようなエネルギー照射に用いることができる光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、エキシマランプ、その他種々の光源を挙げることができる。
【0195】
ここで、エネルギー照射に際してのエネルギーの照射量は、特性変化層表面の特性の変化が行われるのに必要な照射量とする。
【0196】
またこの際、特性変化層を加熱しながらエネルギー照射することにより、感度を上昇させることが可能となり、効率的な特性の変化を行うことができる点で好ましい。具体的には30℃〜80℃の範囲内で加熱することが好ましい。
【0197】
5.画素部形成工程
次に、本発明のカラーフィルタの製造方法における画素部形成工程について説明する。本発明における画素部形成工程は、上記特性変化パターン形成工程により形成された特性変化層の特性が変化した特性変化パターン上に、画素部を形成する方法である。本発明においては、上記特性変化層の特性が変化した特性変化パターンが形成されていることから、例えば濡れ性や凹凸等の特性の差を利用して、容易に画素部を形成することが可能となるのである。また、本発明によれば、上記特性変化パターン上に画素部を形成することから、画素部を均一に形成することができ、色抜けや色むらのない画素部を形成することが可能となるのである。
【0198】
本工程における画素部の形成は、上記特性変化パターン上に画素部を形成することが可能であれば、特に限定されるものではなく、通常画素部を形成する方法を用いることができるが、本発明においては、インクジェット法を用いることが好ましい。これにより、赤(R)、緑(G)、および青(B)の3色を、一回の工程で容易に形成することができ、また混色等のない高精細な画素部とすることができるからである。この場合、用いるインクジェット装置としては、特に限定されるものではないが、帯電したインクを連続的に噴射し磁場によって制御する方法、圧電素子を用いて間欠的にインクを噴射する方法、インクを加熱しその発泡を利用して間欠的に噴射する方法等の各種の方法を用いたインクジェット装置を用いることができる。
【0199】
また、この際インクジェット法に用いられるインクの種類としては、UV硬化性インクまたは熱硬化性インク等の硬化型インクを用いることが好ましい。
【0200】
ここで、本工程において画素部の形成に用いられるインク等については、上述した「B.カラーフィルタ」の画素部の項で説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0201】
6.密着性向上層形成工程
また、本発明においては、上記光触媒含有層形成工程により形成される光触媒含有層上に、密着性向上層を形成する密着性向上層形成工程を行うことが好ましい。これにより、例えば上述した光触媒含有層形成工程により形成された光触媒含有層が、無機材料である光触媒のみからなる場合であっても、光触媒含有層上に形成される遮光部との密着性を良好なものとすることができる。したがって、光触媒含有層がバインダを含有しているものであってもよく、光触媒のみからなるものであってもよく、光触媒含有層の種類が限定されないものとすることができるのである。
【0202】
ここで、本工程において用いられる密着性変化層の材料としては、光触媒含有層と遮光部との密着性を向上させることが可能であれば特に限定されるものではなく、例えば上述した光触媒含有層形成工程において用いられるバインダ等を用いることができる。本発明においては、上記の中でも、シランカップリング剤を用いることが好ましい。
【0203】
本発明において、このような密着性向上層の形成は、上記材料を例えばスピンコート、スプレーコート、ディップコート、ロールコート、ビードコート等の公知の塗布方法により塗布することにより行うことができる。
【0204】
なお、本工程により密着性向上層が形成された場合には、上記遮光部形成工程終了後、特性変化層形成工程前に、後述するエネルギー照射工程を行うことが好ましい。これにより、光触媒含有層と特性変化層との密着性を良好なものとすることができるからである。
【0205】
7.エネルギー照射工程
ここで、本発明においては、上記遮光部形成工程が熱転写法により行われる場合、上述した遮光部形成工程後、光触媒含有層が上記バインダを含有する場合や、上記密着性向上層が形成された場合、光触媒含有層にエネルギーを照射するエネルギー照射工程が行われることが好ましい。
【0206】
上記遮光部形成工程が、熱転写法により行われる場合、上述したように、上記密着性向上層が形成されることや、上記光触媒含有層は、光触媒含有層がバインダとして、オルガノポリシロキサンや、シランカップリング剤を含有することが好ましい。これにより、光触媒含有層と遮光部との密着性を良好なものとすることができるからである。しかしながら、上記特性変化層形成工程により形成される特性変化層は、形成される表面に有機基等を存在する場合には、その光触媒含有層表面等の有機基の作用によって、光触媒含有層と特性変化層との密着性が阻害される場合がある。したがって、上記遮光部形成工程後、上記光触媒含有層にエネルギーを照射するエネルギー照射を行うことにより、光触媒含有層表面に存在する有機基を、光触媒含有層自体に含有される光触媒の作用によって、分解除去等することができ、光触媒含有層と特性変化層との密着性を良好なものとすることができるからである。
【0207】
このようなエネルギー照射は、光触媒含有層側から全面に行うものであってもよく、また透明基材側から全面に行うものであってもよい。
【0208】
ここで、照射されるエネルギーの波長や種類等は、上述した特性変化パターンに用いられるものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0209】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0210】
【実施例】
以下、本発明について、実施例を通じてさらに詳述する。
【0211】
[実施例1]
(光触媒含有層の形成)
光触媒である酸化チタン水分散体ST−K01(石原産業(株)製)をガラス基板(NHテクノガラス製NA35)上にスピンコーターにより塗布し、150℃で10分間乾燥処理し、透明な光触媒含有層(厚み0.15μm)を形成した。
【0212】
(遮光部の形成)
前記光触媒含有層が形成されたガラス基板上に、カーボンブラックを含有する黒色レジスト(新日鉄化学社製V−259BKレジスト)を塗布し、露光後、現像、ポストベーク処理を行って、膜厚1.2μm、幅20μm、開口部80μm×280μmの遮光部パターンを作製した。
【0213】
(濡れ性変化層の形成)
フルオロアルキルシラン(GE東芝シリコーン製TSL8233)を240℃で熱し、その蒸気を前記遮光部が形成されたガラス基板上に当て、光触媒含有層および遮光部を覆うように濡れ性変化層を形成した。形成された濡れ性変化層上の水との接触角は、110°であった。
【0214】
(露光)
前記濡れ性変化層が形成されたガラス基板に、濡れ性変化層側から高圧水銀ランプ(散乱光)を用いて、700mJ/cm(365nm)のエネルギーを全面照射した。その結果、開口部のみ濡れ性が変化して、水との接触角が10°以下となった。
【0215】
(画素部の形成)
次に、ピエゾ駆動タイプのインクジェット装置を用いて、顔料5重量部、溶剤20重量部、重合開始剤5重量部、UV硬化樹脂70重量部を含むRGB各色のUV硬化型多官能アクリレートモノマーインク(着色インク)を、開口部に付着させ着色し、これにUV処理を行い硬化させた。ここで、赤色、緑色、および青色の各インクについて溶剤としてはポリエチレングリコールモノメチルエチルアセテート、重合開始剤としてはイルガキュア369(商品名、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)、UV硬化樹脂としてはDPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製)を用いた。また顔料としては、赤色インクについては、C. I. Pigment Red 177、緑色インクについてはC. I. Pigment Green 36、青色インクについてはC. I. Pigment Blue 15+ C. I. Pigment Violet 23をそれぞれ用いた。
【0216】
[実施例2]
(光触媒含有層の形成)
光触媒である酸化チタン水分散体ST−K01(石原産業(株)製)をガラス基板(NHテクノガラス製NA35)上にスピンコーターにより塗布し、150℃で10分間乾燥処理し、透明な光触媒含有層(厚み0.15μm)を形成した。
【0217】
(遮光部の形成)
前記光触媒含有層が形成されたガラス基板上に、カーボンブラックを含有する黒色レジスト(新日鉄化学社製V−259BKレジスト)を塗布し、露光後、現像、ポストベーク処理を行って、膜厚1.2μm、幅20μm、開口部80μm×280μmの遮光部パターンを作製した。
【0218】
(濡れ性変化層の形成)
ポリカーボネートが主成分のユーピロンZ400(三菱ガス化学社製)2重量部をジクロロメタン30重量部と112トリクロロエタン70重量部とに溶解し、さらにフッ素系界面活性剤(3M製フロラードFC−4430)1重量部を添加して分解除去層用組成物とした。
【0219】
この分解除去層用組成物を、前記遮光部が形成されたガラス基板上にスピンコーターにより塗布し、光触媒含有層および遮光部を覆うように分解除去層(厚さ0.05μm)を形成した。形成された分解除去層上の水の接触角は87°であった。
【0220】
(露光)
前記濡れ性変化層が形成されたガラス基板に、濡れ性変化層側から高圧水銀ランプ(散乱光)を用いて、700mJ/cm(365nm)のエネルギーを全面照射した。その結果、開口部のみ分解除去層が分解除去されて、水との接触角が10°以下となった。
【0221】
(画素部の形成)
次に、ピエゾ駆動タイプのインクジェット装置を用いて、顔料5重量部、溶剤20重量部、バインダ75重量部を含むRGB各色の熱硬化型インク(着色インク)を、開口部に付着させ着色し、これにUV処理を行い硬化させた。
【0222】
[実施例3]
(オルガノポリシロキサン含有光触媒含有層の形成)
アミノ基含有シラン化合物であるS320(チッソ(株)製)を5gと、水2gとを混合後、8時間攪拌した。この溶液0.1gと光触媒である酸化チタン水分散体ST−K01(石原産業(株)製)5gとを混合しガラス基板(NHテクノガラス製NA35)上にスピンコーターにより塗布し、150℃で10分間乾燥処理し、透明なオルガノポリシロキサン含有光触媒含有層(厚み0.15μm)を形成した。
【0223】
(遮光部の形成)
前記光触媒含有層および密着性向上層が形成されたガラス基板上に、光熱変換層、カーボンブラックとエポキシ樹脂バインダーからなる転写層が形成された熱転写フィルムを密着させ、赤外線レーザーにより描画、転写層を転写後、ポストベーク処理を行って、膜厚2μm、幅20μm、開口部80μm×280μmの遮光部パターンを作製した。
【0224】
(有機基の分解)
前記遮光層が形成されたガラス基板上に1000mJ/cm(365nm)のエネルギーを全面照射し、開口部に存在するアミノ基含有有機基を分解除去した。
【0225】
(濡れ性変化層の形成)
フルオロアルキルシラン(GE東芝シリコーン製TSL8233)5g、テトラメトキシシラン2g、および1規定塩酸2gを8時間混合し、この溶液を前記遮光部が形成されたガラス基板上に塗布、150℃10分加熱することにより光触媒含有層および遮光部を覆うように濡れ性変化層(0.05μm)を形成した。形成された濡れ性変化層上の水との接触角は、112°であった。
【0226】
(露光)
前記濡れ性変化層が形成されたガラス基板に、濡れ性変化層側から高圧水銀ランプ(散乱光)を用いて、1200mJ/cm(365nm)のエネルギーを全面照射した。その結果、開口部のみ濡れ性が変化して、水との接触角が10°以下となった。
【0227】
(画素部の形成)
次に、ピエゾ駆動タイプのインクジェット装置を用いて、顔料5重量部、溶剤20重量部、重合開始剤5重量部、およびUV硬化樹脂70重量部を含むRGB各色のUV硬化型多官能アクリレートモノマーインク(着色インク)を、開口部に付着させ着色し、これにUV処理を行い硬化させた。ここで、赤色、緑色、および青色の各インクについて溶剤としてはポリエチレングリコールモノメチルエチルアセテート、重合開始剤としてはイルガキュア369(商品名、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)、UV硬化樹脂としてはDPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製)を用いた。また顔料としては、赤色インクについては、C. I. Pigment Red 177、緑色インクについてはC. I. Pigment Green 36、青色インクについてはC. I. Pigment Blue 15+ C. I. Pigment Violet 23をそれぞれ用いた。
【0228】
[実施例4]
(光触媒含有層の形成)
光触媒である酸化チタン水分散体ST−K01(石原産業(株)製)をガラス基板(NHテクノガラス製NA35)上にスピンコーターにより塗布し、150℃で10分間乾燥処理し、透明な光触媒含有層(厚み0.15μm)を形成した。
【0229】
(密着性向上層の形成)
アミノ基含有シラン化合物であるS320(チッソ(株)製)を5g、水2gを混合後、8時間攪拌した。その後、前記光触媒含有層が形成されたガラス基板上に、スピンコーターにより塗布し、150℃で10分間乾燥処理し、透明な密着性向上層(厚み0.1μm)を形成した。
【0230】
(遮光部の形成)
前記光触媒含有層および密着性向上層が形成されたガラス基板上に、光熱変換層、カーボンブラックとエポキシ樹脂バインダーからなる転写層が形成された熱転写フィルムを密着させ、赤外線レーザーにより描画、転写層を転写後、ポストベーク処理を行って、膜厚1.8μm、幅20μm、開口部80μm×280μmの遮光部パターンを作製した。
【0231】
(有機基の分解)
前記遮光層が形成されたガラス基板上に1000mJ/cm(365nm)のエネルギーを全面照射し、開口部に存在するアミノ基含有有機基を分解除去した。
【0232】
(濡れ性変化層の形成)
フルオロアルキルシラン(GE東芝シリコーン製TSL8233)を240℃で熱し、その蒸気を前記遮光部が形成されたガラス基板上に当て、密着性向上層、光触媒含有層および遮光部を覆うように濡れ性変化層を形成した。形成された濡れ性変化層上の水との接触角は、110°であった。
【0233】
(露光)
前記濡れ性変化層が形成されたガラス基板に、濡れ性変化層側から高圧水銀ランプ(散乱光)を用いて、800mJ/cm(365nm)のエネルギーを全面照射した。その結果、開口部のみ濡れ性が変化して、水との接触角が10°以下となった。
【0234】
(画素部の形成)
次に、ピエゾ駆動タイプのインクジェット装置を用いて、顔料5重量部、溶剤20重量部、重合開始剤5重量部、およびUV硬化樹脂70重量部を含むRGB各色のUV硬化型多官能アクリレートモノマーインク(着色インク)を、開口部に付着させ着色し、これにUV処理を行い硬化させた。ここで、赤色、緑色、および青色の各インクについて溶剤としてはポリエチレングリコールモノメチルエチルアセテート、重合開始剤としてはイルガキュア369(商品名、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製)、UV硬化樹脂としてはDPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製)を用いた。また顔料としては、赤色インクについては、C. I. Pigment Red 177、緑色インクについてはC. I. Pigment Green 36、青色インクについてはC. I. Pigment Blue 15+ C. I. Pigment Violet 23をそれぞれ用いた。
【0235】
【発明の効果】
本発明によれば、上記特性変化層を有することから、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により特性の変化した特性変化パターンに沿って、例えばカラーフィルタの画素部等を容易に形成可能なパターン形成体とすることができる。また、上記光触媒含有層上に上記保護部が形成されていることから、光触媒含有層の形成時にクラックが入ることなく、高品質なパターン形成体とすることができるのである。またさらに、上記特性変化層と上記光触媒含有層との間に保護部が形成されていることから、特性変化層側または透明基材側から特性変化層の全面にエネルギーを照射した場合であっても、上記保護部が形成された位置においては、光触媒含有層中の光触媒の作用が発現せず、上記特性変化層の特性が変化しない。これにより、上記保護部が形成されていない位置の特性変化層の特性のみが変化した特性変化パターンを容易に形成することが可能となるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のパターン形成体の一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明のカラーフィルタの一例を示す概略断面図である。
【図3】本発明のカラーフィルタの他の例を示す概略断面図である。
【図4】本発明のカラーフィルタの他の例を示す概略断面図である。
【図5】本発明のカラーフィルタの製造方法の一例を示す工程図である。
【図6】本発明のカラーフィルタの製造方法におけるエネルギー照射の一例を示す図である。
【図7】本発明のカラーフィルタの製造方法におけるエネルギー照射の他の例を示す図である。
【符号の説明】
1 … 基材
2 … 光触媒含有層
3 … 保護部
4 … 特性変化層
5 … 特性変化パターン
6 … 遮光部
7 … 画素部

Claims (33)

  1. 基材と、前記基材上に形成された少なくとも光触媒を含有する光触媒含有層と、前記光触媒含有層上に形成された保護部と、前記光触媒含有層および前記保護部とを覆うように形成され、かつエネルギー照射に伴う光触媒の作用により表面の特性が変化する特性変化層と、前記特性変化層の特性が変化した特性変化パターンとを有することを特徴とするパターン形成体。
  2. 請求項1に記載のパターン形成体の、前記基材が透明基材であり、かつ前記保護部が遮光部であり、さらに前記特性変化パターンに沿って画素部が形成されていることを特徴とするカラーフィルタ。
  3. 前記特性変化層が、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により、液体との接触角が低下する濡れ性変化層であることを特徴とする請求項2に記載のカラーフィルタ。
  4. 前記濡れ性変化層がオルガノポリシロキサンを含有する層であることを特徴とする請求項3に記載のカラーフィルタ。
  5. 前記オルガノポリシロキサンが、YSiX(4−n)(ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基もしくはエポキシ基、またはこれらを含む有機基であり、Xはアルコキシル基またはハロゲンを示す。nは0〜3までの整数である。)で示される珪素化合物の1種または2種以上の加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンであることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のカラーフィルタ。
  6. 前記オルガノポリシロキサンを構成するYの炭素数が1〜20の範囲内であることを特徴とする請求項5に記載のカラーフィルタ。
  7. 前記濡れ性変化層が単分子膜であることを特徴とする請求項3に記載のカラーフィルタ。
  8. 前記単分子膜が、有機鎖を有するシラン化合物からなることを特徴とする請求項7に記載のカラーフィルタ。
  9. 前記有機鎖を構成する炭素の数が、1〜20の範囲内であることを特徴とする請求項8に記載のカラーフィルタ。
  10. 前記シラン化合物がフルオロアルキルシランであることを特徴とする請求項8または請求項9に記載のカラーフィルタ。
  11. 前記特性変化層が、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解除去される分解除去層であることを特徴とする請求項2に記載のカラーフィルタ。
  12. 前記分解除去層の表面張力40mN/mの液体との接触角が50°以上であり、前記光触媒含有層の表面張力40mN/mの液体との接触角が、49°以下であることを特徴とする請求項11に記載のカラーフィルタ。
  13. 前記分解除去層が単分子膜であることを特徴とする請求項11または請求項12に記載のカラーフィルタ。
  14. 前記画素部がインクジェット方式により形成されたことを特徴とする請求項2から請求項13までのいずれかの請求項に記載のカラーフィルタ。
  15. 前記インクジェット方式により形成された画素部が、硬化型インクを用いたものであることを特徴とする請求項14に記載のカラーフィルタ。
  16. 前記硬化型インクが、UV硬化性インクであることを特徴とする請求項15に記載のカラーフィルタ。
  17. 前記硬化型インクが、熱硬化性インクであることを特徴とする請求項15に記載のカラーフィルタ。
  18. 前記遮光部が、熱転写法により形成されたものであることを特徴とする請求項2から請求項17までのいずれかの請求項に記載のカラーフィルタ。
  19. 前記光触媒含有層上に、密着性向上層が形成されていることを特徴とする請求項18に記載のカラーフィルタ。
  20. 前記画素部上に電極層を有することを特徴とする請求項2から請求項19までのいずれかの請求項に記載のカラーフィルタ。
  21. 透明基材上に、少なくとも光触媒を含有する光触媒含有層を形成する光触媒含有層形成工程と、
    前記光触媒含有層上に遮光部を形成する遮光部形成工程と、
    前記光触媒含有層および前記遮光部を覆うように、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により特性が変化する特性変化層を形成する特性変化層形成工程と、
    前記特性変化層にエネルギーを照射することにより、前記特性変化層の特性が変化した特性変化パターンを形成する特性変化パターン形成工程と、
    前記特性変化パターン上に画素部を形成する画素部形成工程と
    を有することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
  22. 前記エネルギーの照射が、前記特性変化層側から全面に行われることを特徴とする請求項21に記載のカラーフィルタの製造方法。
  23. 前記エネルギーの照射が、前記透明基材側から全面に行われることを特徴とする請求項21に記載のカラーフィルタの製造方法。
  24. 前記エネルギーの照射が、フォトマスクを介して行われることを特徴とする請求項21に記載のカラーフィルタの製造方法。
  25. 前記特性変化層が、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により、液体との接触角が低下する濡れ性変化層であることを特徴とする請求項21から請求項24までのいずれかの請求項に記載のカラーフィルタの製造方法。
  26. 前記特性変化層がエネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解除去される分解除去層であることを特徴とする請求項21から請求項24までのいずれかの請求項に記載のカラーフィルタの製造方法。
  27. 前記画素部を、硬化性インクを用いたインクジェット法により形成することを特徴とする請求項21から請求項26までのいずれかの請求項に記載のカラーフィルタの製造方法。
  28. 前記遮光部形成工程が、フォトリソグラフィー法により行われることを特徴とする請求項21から請求項27までのいずれかの請求項に記載のカラーフィルタの製造方法。
  29. 前記遮光部形成工程が、熱転写法により行われることを特徴とする請求項21から請求項27までのいずれかの請求項に記載のカラーフィルタの製造方法。
  30. 前記光触媒含有層形成工程後、密着性向上層を形成する密着性向上層形成工程を有することを特徴とする請求項29に記載のカラーフィルタの製造方法。
  31. 前記光触媒含有層形成工程により形成される光触媒含有層にオルガノポリシロキサンが含有されていることを特徴とする請求項29に記載のカラーフィルタの製造方法。
  32. 前記光触媒含有層形成工程により形成される光触媒含有層にシランカップリング剤が含有されており、前記シランカップリング剤が、YSiX(4−n)(ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基もしくはエポキシ基、またはこれらを含む有機基であり、Xはアルコキシル基またはハロゲンを示す。nは0〜3までの整数である。)で示される珪素化合物の1種または2種以上の単体、加水分解縮合物、もしくは共加水分解縮合物であることを特徴とする請求項29に記載のカラーフィルタの製造方法。
  33. 前記遮光部形成工程後、前記光触媒含有層にエネルギーを照射するエネルギー照射工程を有することを特徴とする請求項30から請求項32までのいずれかの請求項に記載のカラーフィルタの製造方法。
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