JP2001074929A - カラーフィルタおよびその製造法 - Google Patents

カラーフィルタおよびその製造法

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JP2001074929A JP28152099A JP28152099A JP2001074929A JP 2001074929 A JP2001074929 A JP 2001074929A JP 28152099 A JP28152099 A JP 28152099A JP 28152099 A JP28152099 A JP 28152099A JP 2001074929 A JP2001074929 A JP 2001074929A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 遮光部が設けられていないカラーフィルタに
おいて、インクジェット方式で画素部を形成するにあた
り問題となる基板の濡れ性に関して、単一の層で濡れ性
の良い部分と悪い部分とを形成することが可能であり、
かつこの濡れ性の良い部分と悪い部分とのパターンを少
ない工程で容易に形成することができ、さらにインクの
吸収層が不要である、品質が良好でかつ低コストで製造
することができるカラーフィルタおよびその製造法を提
供することを主目的とするものである。 【解決手段】 透明基板と、この透明基板上にインクジ
ェット方式により複数色を所定のパターンで設けた画素
部と、上記画素部を形成するために設けられた、濡れ性
を変化させることができる濡れ性可変層とを有すること
を特徴とするカラーフィルタにより上記目的を達成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、画素部をインクジ
ェット方式で着色することにより得られる、カラー液晶
ディスプレイに好適なカラーフィルタおよびその製造法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、パーソナルコンピューターの発
達、特に携帯用パーソナルコンピューターの発達に伴
い、液晶ディスプレイ、とりわけカラー液晶ディスプレ
イの需要が増加する傾向にある。しかしながら、このカ
ラー液晶ディスプレイが高価であることから、コストダ
ウンの要求が高まっており、特にコスト的に比重の高い
カラーフィルタに対するコストダウンの要求が高い。
【0003】このようなカラーフィルタにおいては、通
常赤(R)、緑(G)、および青(B)の3原色の着色
パターンを備え、R、G、およびBのそれぞれの画素に
対応する電極をON、OFFさせることで液晶がシャッ
タとして作動し、R、G、およびBのそれぞれの画素を
光が通過してカラー表示が行われるものである。
【0004】従来より行われているカラーフィルタの製
造方法としては、例えば染色法が挙げられる。この染色
法は、まずガラス基板上に染色用の材料である水溶性の
高分子材料を形成し、これをフォトリソグラフィー工程
により所望の形状にパターニングした後、得られたパタ
ーンを染色浴に浸漬して着色されたパターンを得る。こ
れを3回繰り返すことによりR、G、およびBのカラー
フィルタ層を形成する。
【0005】また、他の方法としては顔料分散法があ
る。この方法は、まず基板上に顔料を分散した感光性樹
脂層を形成し、これをパターニングすることにより単色
のパターンを得る。さらにこの工程を3回繰り返すこと
により、R、G、およびBのカラーフィルタ層を形成す
る。
【0006】さらに他の方法としては、電着法や、熱硬
化樹脂に顔料を分散させてR、G、およびBの3回印刷
を行った後、樹脂を熱硬化させる方法等を挙げることが
できる。しかしながら、いずれの方法も、R、G、およ
びBの3色を着色するために、同一の工程を3回繰り返
す必要があり、コスト高になるという問題や、工程を繰
り返すため歩留まりが低下するという問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】これらの問題を解決し
たカラーフィルタの製造法として、インクジェット方式
で着色インクを吹き付けして着色層(画素部)を形成す
る方法が提案されている(特開昭59−75205号公
報)。この方法では、ガラス基板に対し濡れ性の良いイ
ンクを用いる場合には、インクに対して濡れ性の悪い物
質で予め境界となる凸部を印刷しておく方法や、ガラス
に対して濡れ性の悪いインクを使う場合には、インクと
の濡れ性の良い材料で予めパターンを形成しておき、イ
ンクが定着するのを助ける方法が開示されている。しか
しながら、具体的にどのようにして濡れ性の良い材料お
よび濡れ性の悪い材料を塗り分けるかに関しては一切記
載されていない。
【0008】一方、インクジェット方式で着色インクを
吹き付けて着色層(画素部)を形成し、カラーフィルタ
を製造する別の方法としては、特開平9−203803
号公報に凹部を親インク処理剤で処理する方法が開示さ
れている。この方法では、予め基板上に凸部を形成し、
この凸部を撥インク性とした後に、基板全体を親インク
処理剤により表面処理するものである。しかしながら、
この方法では、親インク処理を行うに際して予め凸部を
撥インク性とする必要があることから、撥インク処理お
よび親インク処理の2回の処理を行う必要があるという
問題点がある。
【0009】また、同じくインクジェット方式で着色層
を形成し、カラーフィルタを製造する方法としては、特
開平8−230314号公報、および特開平8−227
012号公報に、基板上にインクの吸収層を設け、この
吸収層のインク吸収性を露光部と非露光部とで変化させ
ることにより、着色層(画素部)を形成する方法が記載
されている。しかしながら、この方法では、吸収層を形
成しインクをこの吸収層に吸収させて着色層を形成する
ものであるため、インクのドットの中心部と周囲部とで
着色に差があり、色むらが生じてしまうという問題があ
る。また、この吸収層はインクを吸収するというその機
能上、必ず所定の厚みが必要であるという問題点もあ
る。
【0010】一方、カラーフィルタには、通常画素部の
境界部分に相当する部分にブラックマトリックスと称さ
れる遮光部が形成されている。この遮光部は通常カラー
フィルタ側に形成されているが、液晶パネルとして用い
られた場合にこのカラーフィルタに対向するように配置
される基板側に設けられる場合もある。このように対向
する基板側に遮光部が形成された場合は、遮光部が設け
られていないカラーフィルタが製造される。上述した問
題点は、遮光部が形成されたカラーフィルタのみならず
このような遮光部が設けられていないカラーフィルタに
おいても大きな問題点となっている。
【0011】本発明は、上記問題点に鑑みてなされたも
ので、遮光部が設けられていないカラーフィルタにおい
て、インクジェット方式で画素部を形成するにあたり問
題となる基板の濡れ性に関して、単一の層で濡れ性の良
い部分と悪い部分とを形成することが可能であり、かつ
この濡れ性の良い部分と悪い部分とのパターンを少ない
工程で容易に形成することができ、さらにインクの吸収
層が不要である、品質が良好でかつ低コストで製造する
ことができるカラーフィルタおよびその製造法を提供す
ることを主目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は請求項1において、透明基板と、この透明
基板上にインクジェット方式により複数色を所定のパタ
ーンで設けた画素部と、上記画素部を形成するために設
けられた、濡れ性を変化させることができる濡れ性可変
層とを有することを特徴とするカラーフィルタを提供す
る。
【0013】このように、本発明は、画素部を形成する
ための濡れ性可変層を有するので、この濡れ性可変層上
の濡れ性を変化させることにより、画素部を精度良く位
置決めして形成することができ、色抜けや色むら等の問
題点の無い高品質のカラーフィルタを提供することがで
きる。
【0014】この場合、請求項2に記載するように、上
記透明基板上に上記濡れ性可変層が形成されており、こ
の濡れ性可変層上に上記画素部が設けられているような
構成としてもよい。このような構成とすることにより、
予め画素部を設ける部分の濡れ性可変層の濡れ性を液体
との接触角が小さい親インク性領域とし、他の部分の濡
れ性可変層を液体との接触角が大きい撥インク性領域と
することができる。この画素部を設ける親インク性領域
の部分にインクジェット方式で着色することにより、液
体との接触角の小さい親インク性領域にのみインクが付
着するため、画素部全体にインクが均一に行き渡り、画
素部においてインクの無い領域や、色むら等が生じるこ
とがなく、他の撥インク性領域にインクが付着すること
がない。
【0015】さらに、請求項3に記載するように、上記
画素部間の距離が2μm以下であることが好ましい。本
発明のカラーフィルタは、ブラックマトリックス(遮光
部)が形成されていないタイプのものであるので、実際
に液晶フィルタとして用いるためには、バックライト側
の基板に設けられたブラックマトリックスと併用する必
要がある。この際、画素部間の距離が大きい場合は、ブ
ラックマトリックスが形成されたバックライト側の基板
との位置精度を高く保たなければ、バックライトが画素
部間を透過し、いわゆる色抜けが生じる可能性がある。
したがって、画素部間の距離は、なるべく小さい方が好
ましく、具体的には、2μm以下であることが好ましい
のである。また、このように画素部間の距離を小さくす
ることにより、画素部からなる着色層の平滑性を得るこ
とができる。
【0016】また、請求項4に記載するように、上記画
素部の境界部分の上記濡れ性可変層上に撥インク性凸部
が形成されていてもよい。このように、撥インク性凸部
を形成することにより、インクジェット方式でインクを
付着させ画素部を形成する際に、画素部の境界部分に撥
インク性凸部が形成されているため、着色に際してイン
クが混ざる等の不具合が生じることがなく好ましいから
である。
【0017】一方、本発明においては、請求項5に記載
するように、上記透明基板上に画素部が形成されてお
り、この画素部の境界部分に上記濡れ性可変層が設けら
れていてもよい。
【0018】この場合、画素部の境界部分の濡れ性可変
層上の濡れ性を、液体との接触角が画素部が形成される
透明基板上の画素部形成部よりも大きい撥インク性領域
としておくことにより、画素部を設ける部分(画素部形
成部)にインクジェット方式で着色した際、撥インク性
を有する画素部の境界部分を超えてインクが移動するこ
とは困難であることから、インクの混色等の不具合のな
いカラーフィルタを提供することができる。またその
後、画素部の境界部分の濡れ性可変層を液体との接触角
の小さい親インク性領域とすることにより、全体に保護
層を被覆する際に問題となることがなく、品質の高いカ
ラーフィルタを得ることができるからである。
【0019】この際、請求項6に記載するように、上記
透明基板上の濡れ性が、表面張力40mN/mの液体と
の接触角として10度未満であることが好ましい。透明
基板上の画素部形成部にインクジェット方式でインクを
付着させる際に、インクが画素部形成部内に均一に行き
渡り、色むら等の不具合が生じる可能性を抑えることが
できるからである。
【0020】本発明においては、請求項7に記載するよ
うに、上記濡れ性可変層が、少なくとも光触媒とバイン
ダとからなる光触媒含有層であり、かつエネルギーの照
射により液体との接触角が低下するように濡れ性が変化
する層であることが好ましい。
【0021】このように、エネルギー照射により液体と
の接触角が低下するように濡れ性の変化する光触媒含有
層が形成されれば、エネルギーのパターン照射等を行う
ことにより容易にこの層の濡れ性を変化させ、液体との
接触角の小さい親インク性領域を形成とすることがで
き、例えば画素部が形成される部分のみ容易に親インク
性領域とすることが可能となる。したがって、画素部の
間に遮光部が設けられていない場合でも、画素部を容易
に形成することができ、画素部の無いカラーフィルタを
容易に製造することができる。
【0022】上記請求項7に記載されたカラーフィルタ
においては、請求項8に記載されているように、上記光
触媒含有層がフッ素を含み、上記光触媒含有層に対しエ
ネルギーを照射した際に、上記光触媒の作用により上記
光触媒含有層表面のフッ素含有量がエネルギー照射前に
比較して低下するように上記光触媒含有層が形成されて
いることが好ましい。
【0023】このように、本発明のカラーフィルタは、
透明基板上に形成された光触媒含有層上のエネルギー照
射部分のフッ素含有量が低下するように構成されている
ので、エネルギーをパターン照射することにより、フッ
素含有量の低下した部分からなるパターンを形成するこ
とができる。フッ素含有量が低下するとその部分は、他
の部分と比較して親インク性の高い領域となるので、画
素部等が形成される部分のみ容易に親インク性領域とす
ることが可能となり、容易にカラーフィルタを製造する
ことができる。
【0024】さらに、請求項8に記載するカラーフィル
タにおいては、請求項9に記載するように、上記光触媒
含有層上へのエネルギー照射を行い、フッ素含有量を低
下させた部位におけるフッ素含有量が、エネルギー照射
されていない部分のフッ素含有量を100とした場合に
10以下であることが好ましい。
【0025】このように、上記光触媒含有層上へのエネ
ルギー照射により形成されたフッ素含有量が低い部位に
おけるフッ素含有量が、エネルギー照射されていない部
分のフッ素含有量を100とした場合、重量基準で10
以下であると、エネルギー照射部分と未照射部分との親
インク性に大きな違いを生じさせることができる。した
がって、このようなパターンが形成された光触媒含有層
に画素部等を形成することにより、フッ素含有量が低下
した親インク性領域のみに正確に画素部等を形成するこ
とが可能となり、精度良くカラーフィルタを製造するこ
とができる。
【0026】上記光触媒含有層に含有される光触媒とし
ては、請求項10に記載するように酸化チタン(TiO
2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)、チタ
ン酸ストロンチウム(SrTiO3)、酸化タングステ
ン(WO3)、酸化ビスマス(Bi23)、および酸化
鉄(Fe23)から選択される1種または2種以上の物
質であることが好ましい。中でも請求項11に記載する
ように酸化チタン(TiO2)であることが好ましい。
これは、酸化チタンのバンドギャップエネルギーが高い
ため光触媒として有効であり、かつ化学的にも安定で毒
性もなく、入手も容易だからである。
【0027】上記請求項11に記載された光触媒が酸化
チタンであるカラーフィルタの場合は、請求項12に記
載するように、上記光触媒含有層表面のフッ素の含有量
を、X線光電子分光法で分析して定量化すると、チタン
元素を100とした場合に、フッ素元素が500以上と
なる比率でフッ素元素が光触媒含有層表面に含まれてい
る光触媒含有層を有することが好ましい。
【0028】この程度の量のフッ素(F)元素が含まれ
ていれば、エネルギー未照射部分の撥インク性が十分で
あり、エネルギーを照射してフッ素(F)元素含有量が
低下した部分のパターンを形成し、ここに画素部等を形
成する場合に画素部が形成される部分以外の部分にイン
ク等がはみ出すことがなく、より正確にカラーフィルタ
を製造することができるからである。
【0029】一方、請求項7から請求項12までのいず
れかの請求項に記載されたカラーフィルタにおいて、光
触媒含有層を構成する他の成分であるバインダは、請求
項13に記載するように、フルオロアルキル基を有する
オルガノポリシロキサンであることが好ましい。
【0030】本発明のカラーフィルタにおいて、光触媒
含有層中にフッ素元素を含有させる方法には種々の方法
を挙げることができるが、バインダとしてフルオロアル
キル基を有するオルガノポリシロキサンとすることによ
り、容易に光触媒含有層中にフッ素元素を含有させるこ
とができ、かつエネルギーの照射により、その含有量を
容易に低下させることができるからである。
【0031】また、同様に請求項7から請求項12のい
ずれかの請求項に記載されたカラーフィルタにおいて、
光触媒含有層を構成する他の成分であるバインダは、請
求項14に記載するように、YnSiX(4-n)(ここで、
Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミ
ノ基、フェニル基またはエポキシ基を示し、Xはアルコ
キシル基またはハロゲンを示す。nは0〜3までの整数
である。)で示される珪素化合物の1種または2種以上
の加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合物であるオル
ガノポリシロキサンであることが好ましい。
【0032】上記請求項14に記載されたカラーフィル
タにおいては、請求項15に記載されるように、上記オ
ルガノポリシロキサンを構成する前記珪素化合物の内、
フルオロアルキル基を含む珪素化合物が0.01モル%
以上含まれていることが好ましい。
【0033】このように、フルオロアルキル基を含む珪
素化合物が、0.01モル%以上含まれていれば、光触
媒含有層表面に十分にフッ素元素が含有されることにな
り、エネルギーが照射されフッ素元素の含有量が低下し
た光触媒含有層上の親インク性領域と、エネルギーが未
照射の光触媒含有層表面における撥インク性領域との濡
れ性の差異を大きくすることができることから、親イン
ク性領域に画素部等を形成するに際して、インク等が撥
インク性領域にはみ出すことなく正確に付着させること
ができ、品質の良好なカラーフィルタを製造することが
できるからである。
【0034】本発明においては、上記光触媒含有層上に
おける表面張力40mN/mの液体との接触角が、エネ
ルギーが照射されていない部分において10度以上であ
り、エネルギーが照射された部分において10度未満で
あることが好ましい(請求項16および請求項24)。
エネルギーが照射されていない部分は、撥インク性が要
求される部分であることから、表面張力40mN/mの
液体との接触角が10度未満である場合は、撥インク性
が十分でなく、インク等が残存する可能性が生じるため
好ましくない。また、エネルギーが照射された部分の表
面張力40mN/mの液体との接触角が10度以上であ
る場合は、この部分でのインク等の広がりが劣る可能性
があり、画素部での色抜け等が生じる可能性があるから
である。
【0035】さらに、本発明においては、上記インクジ
ェット方式により着色された画素部が、UV硬化性イン
クを用いたインクジェット方式により着色された画素部
であることが好ましい(請求項17および請求項2
5)。UV硬化性インクを用いることにより、インクジ
ェット方式により着色して画素部を形成後、UVを照射
することにより、素早くインクを硬化させることがで
き、すぐに次の工程に送ることができ、効率面で好まし
いからである。
【0036】上述したようなカラーフィルタと、これに
対向し、かつ遮光部が設けられた基板とを有し、両基板
間に液晶化合物を封入することにより得られる液晶パネ
ルは、上述したようなカラーフィルタの利点、すなわち
画素部の色抜けや色むらがなく、かつコスト的に有利で
あるという利点を有するものである(請求項26)。
【0037】さらに本発明は、上記目的を達成するため
に請求項18に記載するように、(1)透明基板上にエ
ネルギー照射により照射部分の濡れ性が液体との接触角
が低下する方向に変化する光触媒含有層を設ける工程
と、(2)前記透明基板上に設けられた光触媒含有層上
の画素部を形成する部位である画素部形成部に、エネル
ギーをパターン照射して画素部用露光部を形成する工程
と、(3)この画素部用露光部にインクジェット方式で
着色し、画素部を形成する工程とを含むことを特徴とす
るカラーフィルタの製造法を提供する。
【0038】このように、本発明のカラーフィルタの製
造法においては、透明基板上に光触媒含有層を設け、こ
の光触媒含有層にエネルギーを照射することにより、エ
ネルギー照射部分の液体との接触角を低下させた画素部
用露光部を形成することができる。この画素部用露光部
にインクジェット方式で着色することにより容易に画素
部を形成することができる。したがって、遮光部が設け
られていない透明基板上であっても、インクジェット方
式で低コストで画素部を設けることが可能となる。
【0039】さらに、本発明は、請求項19に記載する
ように、上記画素部用露光部を形成した後、そこにイン
クジェット方式で着色して画素部を形成する工程が、
(a)上記光触媒含有層上の画素部を形成する部位であ
る画素部形成部の一部にエネルギーをパターン照射して
第1画素部用露光部を形成する工程と、(b)この第1
画素部用露光部にインクジェット方式で着色し、第1画
素部を形成する工程と、(c)上記光触媒含有層上の残
りの画素部を形成する部位である画素部形成部に露光し
て第2画素部用露光部を形成する工程と、(d)この第
2画素部用露光部にインクジェット方式で着色し、第2
画素部を形成する工程を含む工程であってもよい。
【0040】透明基板上に遮光部が形成されていない状
態で画素部を形成する場合は、遮光部を画素部に着色す
る際の仕切として用いることができない。したがって、
エネルギー照射により親インク性領域とした画素部用露
光部をインクジェット方式で着色して画素部を形成する
場合、この画素部用露光部間の間隔が狭い場合、すなわ
ち露光されていない撥インク性領域の幅が狭い場合は、
画素部形成に際してこの撥インク性領域を越えて隣り合
う画素部のインクが混合する可能性が生じる。したがっ
て、画素部形成に際して、画素部同士がなるべく離れた
状態で形成することが望ましい。上述したように、ま
ず、第1画素部を形成した後、第2画素部を形成する方
法をとれば、例えば、第1画素部を形成する際に、画素
部を一つおきに形成するようにエネルギーをパターン照
射することが可能であり、一回目の画素部の形成に際し
て隣り合う画素部同士を離れた状態とすることが可能と
なる。このように、着色する領域の間に比較的広い撥イ
ンク性領域を有する状態で第1画素部用露光部を形成し
て、ここにインクジェット方式で着色することにより、
隣り合う画素部のインクが混じり合うという不都合が生
じる可能性がなくなる。このようにして設けた第1画素
部間に再度露光して、第2画素部用露光部を形成し、こ
こにインクジェット方式で着色することにより、インク
が混合する等の不具合の無いカラーフィルタを形成する
ことができる。また、遮光部が設けられていないカラー
フィルタにおいては、画素部間に間隙の無いものが要求
される場合がある。このような場合は、必然的に上述し
た画素部の形成を2回に分けて行う方法を用いる必要が
ある。
【0041】さらに、本発明においては、請求項20に
記載するように、上記画素部用露光部を形成する前に、
撥インク性凸部を形成するための凸部用露光部を形成
し、この凸部用露光部に樹脂組成物を用いて撥インク性
凸部を形成するようにしてもよい。このように、撥イン
ク性凸部を形成することにより、例えばこの撥インク性
凸部を画素部が形成される領域の周囲に形成した場合
は、カラーフィルタの周囲部分でインクが流れ出てしま
い正確に画素部を形成することができないといった不具
合を防止することが可能となる。本発明においては、特
に、請求項21に記載するように上記撥インク性凸部
を、上記画素部の間に形成することが好ましい。このよ
うにすることにより、上述した問題点、すなわち隣り合
う画素部のインクが混合してしまうといった問題点が生
じにくくなるからである。
【0042】さらに、本発明においては、請求項22に
記載するように、(1)透明基板上にエネルギー照射に
より照射部分の濡れ性が液体との接触角が低下する方向
に変化する光触媒含有層を、画素部が形成される部位で
ある画素部形成部の境界部分に設ける工程と、(2)上
記透明基板上の画素部形成部に画素部を形成する工程と
を含むことを特徴とするカラーフィルタの製造法を提供
する。
【0043】この方法によれば、まず、光触媒含有層
を、透明基板上の画素部形成部の境界部分に設ける。こ
の光触媒含有層に、エネルギーの照射前の状態で透明基
板表面より液体との接触角が高い材料を用いた場合は、
この光触媒含有層が形成された境界部分より、その間の
画素部形成部の方が、液体との接触角の小さい親インク
性領域となり、画素部形成部との境界部分は撥インク性
領域となる。したがって、その次の工程である、インク
ジェット方式でインクを親インク性領域である画素部形
成部に付着させる際、付着したインクが撥インク性領域
である境界部分を越えて移動することはない。よって、
カラーフィルタの製造に際して、インクの混色といった
問題が生じにくい。
【0044】さらに、この場合、請求項23に記載する
ように、上記透明基板上の濡れ性が、表面張力40mN
/mの液体との接触角として10度未満であることが好
ましい。このように、透明基板上の濡れ性を親インク性
とすることにより、透明基板上にインクジェット方式で
インクを付着させた際に、インクが均一にかつ満遍なく
行き渡るので、色むらや色抜け等が生じず、品質の高い
カラーフィルタを提供することができるからである。
【0045】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
するが、まずカラーフィルタについて説明した後、カラ
ーフィルタの製造法について説明する。
【0046】A.カラーフィルタについて まず、本発明のカラーフィルタについて詳細に説明す
る。本発明のカラーフィルタは、透明基板と、この透明
基板上にインクジェット方式により複数色を所定のパタ
ーンで設けた画素部と、上記画素部を形成するために設
けられた、濡れ性を変化させることができる濡れ性可変
層とを有することを特徴とするものである。
【0047】本発明は、このように画素部を形成するた
めに設けられた濡れ性可変層を具備するところに特徴を
有するものである。したがって、濡れ性可変層の濡れ性
を変化させることにより画素部を容易に形成することが
できるので、高品質なカラーフィルタを低コストで得る
ことができる。ここで、画素部を形成するためとは、画
素部を透明基板上で位置決めするとの意味を含むもので
ある。
【0048】以下、このような濡れ性可変層を有する本
発明のカラーフィルタについて、実施態様を用いて詳細
に説明する。
【0049】1.第1実施態様について 本発明の第1実施態様は、上記透明基板上に上記濡れ性
可変層が形成されており、この濡れ性可変層上の所定の
部位に上記画素部が設けられているカラーフィルタであ
り、濡れ性可変層により、画素部が位置決めされて形成
されたカラーフィルタの一例である。
【0050】このように、本実施態様においては、遮光
部が設けられていないカラーフィルタにおいて、画素部
が濡れ性を変化させることができる濡れ性可変層上に設
けられている。したがって、予め画素部を設ける部分の
濡れ性を液体との接触角が小さい親インク性領域とし、
他の部分を液体との接触角が大きい撥インク性領域とす
ることができる。この画素部を設ける画素部形成部にイ
ンクジェット方式で着色することにより、液体との接触
角の小さい親インク性領域にのみインクが付着するた
め、遮光部が形成されていない透明基板上であっても、
画素部全体にインクが均一に行き渡り、画素部において
インクの無い領域や、色むら等が生じることがなく、他
の撥インク性領域にインクが付着することがない。
【0051】このような第1実施態様のカラーフィルタ
の一例を図面を用いて説明する。
【0052】図1は、本実施態様のカラーフィルタの一
例を示すものであり、このカラーフィルタ1は、透明基
板2上に設けられた濡れ性可変層3、さらにこの濡れ性
可変層3上に形成された赤(R)、緑(G)、および青
(B)の三色の画素部4からなるものである。本実施態
様のカラーフィルタにおいては、必要に応じてこの画素
部4上に保護層を設けてもよい。
【0053】本実施態様のカラーフィルタにおいては、
上記画素部4の間の距離が少ないものが好ましい。これ
は、本発明のカラーフィルタがブラックマトリックス
(遮光部)が形成されていないタイプのものであるの
で、実際に液晶フィルタとして用いるためには、バック
ライト側の基板に設けられたブラックマトリックスと併
用する必要がある。この際、画素部間の距離が大きい場
合は、ブラックマトリックスが形成されたバックライト
側の基板との位置精度を高く保たなければ、バックライ
トが画素部間を透過し、いわゆる色抜けが生じる可能性
があり、好ましくないからである。
【0054】また、このように画素部間の距離を小さく
することにより、画素部からなる着色層の平滑性を得る
ことができるという利点もある。本実施態様において
は、具体的には画素部間の距離が2μm以下であること
が好ましく、特に好ましくは1μm以下とすることであ
り、必要であれば画素部間に隙間のないものであっても
よい。
【0055】図2は、本実施態様のカラーフィルタの他
の例を示すものであり、図1に示す例と同様に、透明基
板2上に設けられた濡れ性可変層3、さらにこの濡れ性
可変層上に形成された画素部4とからなり、この画素部
4の間には、撥インク性を有する撥インク性凸部5が形
成されている。このように、この例のカラーフィルタ1
には、撥インク性凸部5が形成されているので、画素部
形成部にインクジェット方式でインクを付着させる際
に、この撥インク凸部を越えてインクが流れ出ることが
無いことから、他の色のインクとの混色することのない
画素部を有するカラーフィルタとすることができる。
【0056】以下、本実施態様のカラーフィルタを構成
する各部分についてそれぞれ説明する。
【0057】(濡れ性可変層)上記濡れ性可変層3は、
その表面の濡れ性を、外からの刺激、例えば物理的刺
激、化学的刺激等により変化させることができる層であ
れば特に限定されるものではない。例えば、酸またはア
ルカリ等により表面の粗さの状態が変化し、濡れ性が変
化する層等であってもよいし、また紫外線や可視光等に
より濡れ性可変層内の物質が変化して濡れ性が変化する
層等であってもよい。
【0058】また濡れ性の変化に関しては、刺激が加え
られる前が液体との接触角が大きく、刺激が加えられた
後に液体との接触角が小さく変化するような濡れ性可変
層であってもよいし、また逆に刺激が加えられる前が液
体との接触角が小さく、刺激が加えられた後に液体との
接触角が大きく変化するような濡れ性可変層であっても
よい。
【0059】(光触媒含有層)本発明においては、この
濡れ性可変層が、エネルギーの照射により液体との接触
角が低下するように濡れ性が変化する光触媒含有層であ
ることが好ましい。このように、露光(本発明において
は、光が照射されたことのみならず、エネルギーが照射
されたことをも意味するものとする。)により液体との
接触角が低下するように濡れ性が変化する光触媒含有層
を設けることにより、エネルギーのパターン照射等を行
うことにより容易に濡れ性を変化させ、液体との接触角
の小さい親インク性領域のパターンを形成することがで
き、例えば画素部が形成される部分のみ容易に親インク
性領域とすることが可能となる。したがって、効率的に
カラーフィルタが製造でき、コスト的に有利となるから
である。なお、この場合のエネルギーとしては、通常紫
外光を含む光が用いられる。
【0060】ここで、親インク性領域とは、液体との接
触角が小さい領域であり、インクジェット用インク等に
対する濡れ性の良好な領域をいうこととする。また、撥
インク性領域とは、液体との接触角が大きい領域領域で
あり、インクジェット用インク等に対する濡れ性が悪い
領域をいうこととする。
【0061】上記光触媒含有層は、露光していない部分
においては、表面張力40mN/mの液体との接触角が
10度以上、好ましくは表面張力30mN/mの液体と
の接触角が10度以上、特に表面張力20mN/mの液
体との接触角が10度以上であることが好ましい。これ
は、露光していない部分は、本発明においては撥インク
性が要求される部分であることから、液体との接触角が
小さい場合は、撥インク性が十分でなく、インクが残存
する可能性が生じるため好ましくないからである。
【0062】また、上記光触媒含有層は、露光すると液
体との接触角が低下して、表面張力40mN/mの液体
との接触角が10度未満、好ましくは表面張力50mN
/mの液体との接触角が10度以下、特に表面張力60
mN/mの液体との接触角が10度以下となるような層
であることが好ましい。露光した部分の液体との接触角
が高いと、この部分でのインクの広がりが劣る可能性が
あり、画素部での色抜け等が生じる可能性があるからで
ある。
【0063】なお、ここでいう液体との接触角は、種々
の表面張力を有する液体との接触角を接触角測定器(協
和界面科学(株)製CA−Z型)を用いて測定(マイク
ロシリンジから液滴を滴下して30秒後)し、その結果
から、もしくはその結果をグラフにして得たものであ
る。また、この測定に際して、種々の表面張力を有する
液体としては、純正化学株式会社製のぬれ指数標準液を
用いた。
【0064】本発明の光触媒含有層は、少なくとも光触
媒とバインダとから構成されていることが好ましい。こ
のような層とすることにより、光照射によって光触媒の
作用で臨界表面張力を高くすることが可能となり、液体
との接触角を低くすることができる。
【0065】このような光触媒含有層における、後述す
るような酸化チタンに代表される光触媒の作用機構は、
必ずしも明確なものではないが、光の照射によって生成
したキャリアが、近傍の化合物との直接反応、あるい
は、酸素、水の存在下で生じた活性酸素種によって、有
機物の化学構造に変化を及ぼすものと考えられている。
【0066】このような光触媒の作用を用いて、油性汚
れを光照射によって分解し親水化して水により洗浄可能
なものとしたり、ガラス等の表面に親水性膜を形成して
防曇性を付与したり、あるいは、タイル等の表面に光触
媒の含有層を形成して空気中の浮遊菌の数を減少させる
いわゆる抗菌タイル等が提案されている。
【0067】本発明において濡れ性可変層として光触媒
含有層を用いた場合、光触媒により、バインダの一部で
ある有機基や添加剤の酸化、分解等の作用を用いて、露
光部の濡れ性を変化させて親インク性とし、非露光部と
の濡れ性に大きな差を生じさせることができる。よっ
て、インクジェット方式のインクとの受容性(親インク
性)および反撥性(撥インク性)を高めることによっ
て、品質の良好でかつコスト的にも有利なカラーフィル
タを得ることができる。
【0068】また、本発明においてこのような光触媒含
有層を用いた場合、この光触媒含有層が少なくとも光触
媒とフッ素とを含有し、さらにこの光触媒含有層表面の
フッ素含有量が、光触媒含有層に対しエネルギーを照射
した際に、上記光触媒の作用によりエネルギー照射前に
比較して低下するように上記光触媒含有層が形成されて
いてもよい。
【0069】このような特徴を有するカラーフィルタに
おいては、エネルギーをパターン照射することにより、
容易にフッ素の含有量の少ない部分からなるパターンを
形成することができる。ここで、フッ素は極めて低い表
面エネルギーを有するものであり、このためフッ素を多
く含有する物質の表面は、臨界表面張力がより小さくな
る。したがって、フッ素の含有量の多い部分の表面の臨
界表面張力に比較してフッ素の含有量の少ない部分の臨
界表面張力は大きくなる。これはすなわち、フッ素含有
量の少ない部分はフッ素含有量の多い部分に比較して親
インク性領域となっていることを意味する。よって、周
囲の表面に比較してフッ素含有量の少ない部分からなる
パターンを形成することは、撥インク性域内に親インク
性領域のパターンを形成することとなる。
【0070】したがって、このような光触媒含有層を用
いた場合は、エネルギーをパターン照射することによ
り、撥インク性領域内に親インク性領域のパターンを容
易に形成することができるので、この親インク性領域の
みに画素部等を形成することが容易に可能となり、品質
の良好なカラーフィルタとすることができる。
【0071】上述したような、フッ素を含む光触媒含有
層中に含まれるフッ素の含有量は、エネルギーが照射さ
れて形成されたフッ素含有量が低い親インク性領域にお
けるフッ素含有量が、エネルギー照射されていない部分
のフッ素含有量を100とした場合に10以下、好まし
くは5以下、特に好ましくは1以下であることが好まし
い。
【0072】このような範囲内とすることにより、エネ
ルギー照射部分と未照射部分との親インク性に大きな違
いを生じさせることができる。したがって、このような
光触媒含有層に画素部等を形成することにより、フッ素
含有量が低下した親インク性領域のみに正確に画素部等
を形成することが可能となり、精度良くカラーフィルタ
を得ることができるからである。なお、この低下率は重
量を基準としたものである。
【0073】このような光触媒含有層中のフッ素含有量
の測定は、一般的に行われている種々の方法を用いるこ
とが可能であり、例えばX線光電子分光法(X-ray Phot
oelectron Spectroscopy, ESCA(Electron Spectroscop
y for Chemical Analysis)とも称される。)、蛍光X線
分析法、質量分析法等の定量的に表面のフッ素の量を測
定できる方法であれば特に限定されるものではない。
【0074】本発明で使用する光触媒としては、光半導
体として知られる例えば酸化チタン(TiO2)、酸化
亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)、チタン酸スト
ロンチウム(SrTiO3)、酸化タングステン(W
3)、酸化ビスマス(Bi23)、および酸化鉄(F
23)を挙げることができ、これらから選択して1種
または2種以上を混合して用いることができる。
【0075】本発明においては、特に酸化チタンが、バ
ンドギャップエネルギーが高く、化学的に安定で毒性も
なく、入手も容易であることから好適に使用される。酸
化チタンには、アナターゼ型とルチル型があり本発明で
はいずれも使用することができるが、アナターゼ型の酸
化チタンが好ましい。アナターゼ型酸化チタンは励起波
長が380nm以下にある。
【0076】このようなアナターゼ型酸化チタンとして
は、例えば、塩酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル
(石原産業(株)製STS−02(平均粒径7nm)、
石原産業(株)製ST−K01)、硝酸解膠型のアナタ
ーゼ型チタニアゾル(日産化学(株)製TA−15(平
均粒径12nm))等を挙げることができる。
【0077】光触媒の粒径は小さいほど光触媒反応が効
果的に起こるので好ましく、平均粒径か50nm以下が
好ましく、20nm以下の光触媒を使用するのが特に好
ましい。また、光触媒の粒径が小さいほど、形成された
光触媒含有層の表面粗さが小さくなるので好ましく、光
触媒の粒径が100nmを越えると光触媒含有層の中心
線平均表面粗さが粗くなり、光触媒含有層の非露光部の
撥インク性が低下し、また露光部の親インク性の発現が
不十分となるため好ましくない。
【0078】本発明のカラーフィルタは、上述したよう
に光触媒含有層表面にフッ素を含有させ、この光触媒含
有層表面にエネルギーをパターン照射することにより光
触媒含有層表面のフッ素含有量を低下させ、これにより
撥インク性領域中に親インク性領域のパターンを形成
し、ここに画素部等を形成して得られるカラーフィルタ
であってもよい。この場合であっても、光触媒として上
述したような二酸化チタンを用いることが好ましいが、
このように二酸化チタンを用いた場合の、光触媒含有層
中に含まれるフッ素の含有量としては、X線光電子分光
法で分析して定量化すると、チタン(Ti)元素を10
0とした場合に、フッ素(F)元素が500以上、この
ましくは800以上、特に好ましくは1200以上とな
る比率でフッ素(F)元素が光触媒含有層表面に含まれ
ていることが好ましい。
【0079】フッ素(F)が光触媒含有層にこの程度含
まれることにより、光触媒含有層上における臨界表面張
力を十分低くすることが可能となることから表面におけ
る撥インク性を確保でき、これによりエネルギーをパタ
ーン照射してフッ素含有量を減少させたパターン部分に
おける表面の親インク性領域との濡れ性の差異を大きく
することができ、最終的に得られるカラーフィルタの品
質を向上させることができるからである。
【0080】さらに、このようなカラーフィルタにおい
ては、エネルギーをパターン照射して形成される親イン
ク領域におけるフッ素含有量が、チタン(Ti)元素を
100とした場合にフッ素(F)元素が50以下、好ま
しくは20以下、特に好ましくは10以下となる比率で
含まれていることが好ましい。
【0081】光触媒含有層中のフッ素の含有率をこの程
度低減することができれば、画素部等を形成するために
は十分な親インク性を得ることができ、上記エネルギー
が未照射である部分の撥インク性との濡れ性の差異によ
り、画素部等を精度良く形成することが可能となり、品
質の良好なカラーフィルタを得ることができる。
【0082】本発明において、光触媒含有層に使用する
バインダは、主骨格が上記の光触媒の光励起により分解
されないような高い結合エネルギーを有するものが好ま
しく、例えば、(1)ゾルゲル反応等によりクロロまた
はアルコキシシラン等を加水分解、重縮合して大きな強
度を発揮するオルガノポリシロキサン、(2)撥水牲や
撥油性に優れた反応性シリコーンを架橋したオルガノポ
リシロキサン等を挙げることができる。
【0083】上記の(1)の場合、一般式: YnSiX(4-n) (ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニ
ル基、アミノ基、フェニル基またはエポキシ基を示し、
Xはアルコキシル基、アセチル基またはハロゲンを示
す。nは0〜3までの整数である。)で示される珪素化
合物の1種または2種以上の加水分解縮合物もしくは共
加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンであるこ
とが好ましい。なお、ここでYで示される基の炭素数は
1〜20の範囲内であることが好ましく、また、Xで示
されるアルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、プロ
ポキシ基、ブトキシ基であることが好ましい。
【0084】具体的には、メチルトリクロルシラン、メ
チルトリブロムシラン、メチルトリメトキシシラン、メ
チルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシ
ラン、メチルトリt−ブトキシシラン;エチルトリクロ
ルシラン、エチルトリブロムシラン、エチルトリメトキ
シシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソ
プロポキシシラン、エチルトリt−ブトキシシラン;n
−プロピルトリクロルシラン、n−プロピルトリブロム
シラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピ
ルトリエトキシシラン、n−プロピルトリイソプロポキ
シシラン、n−プロピルトリt−ブトキシシラン;n−
ヘキシルトリクロルシラン、n−へキシルトリブロムシ
ラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシル
トリエトキシシラン、n−へキシルトリイソプロポキシ
シラン、n−へキシルトリt−ブトキシシラン;n−デ
シルトリクロルシラン、n−デシルトリブロムシラン、
n−デシルトリメトキシシラン、n−デシルトリエトキ
シシラン、n−デシルトリイソプロポキシシラン、n−
デシルトリt−ブトキシシラン;n−オクタデシルトリ
クロルシラン、n−オクタデシルトリブロムシラン、n
−オクタデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシル
トリエトキシシラン、n−オクタデシルトリイソプロポ
キシシラン、n−オクタデシルトリt−ブトキシシラ
ン;フェニルトリクロルシラン、フェニルトリブロムシ
ラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエト
キシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、フェ
ニルトリt−ブトキシシラン;テトラクロルシラン、テ
トラブロムシラン、テトラメトキシシラン、テトラエト
キシシラン、テトラブトキシシラン、ジメトキシジエト
キシシラン;ジメチルジクロルシラン、ジメチルジブロ
ムシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエト
キシシラン;ジフェニルジクロルシラン、ジフェニルジ
ブロムシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニ
ルジエトキシシラン;フェニルメチルジクロルシラン、
フェニルメチルジブロムシラン、フェニルメチルジメト
キシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン;トリク
ロルヒドロシラン、トリブロムヒドロシラン、トリメト
キシヒドロシラン、トリエトキシヒドロシラン、トリイ
ソプロポキシヒドロシラン、トリt−ブトキシヒドロシ
ラン;ビニルトリクロルシラン、ビニルトリブロムシラ
ン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシ
ラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリt
−ブトキシシラン;トリフルオロプロピルトリクロルシ
ラン、トリフルオロプロピルトリブロムシラン、トリフ
ルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロ
ピルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリイ
ソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリt−ブ
トキシシラン;γ−グリシドキシプロピルメチルジメト
キシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ
−グリシドキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ
−グリシドキシプロピルトリt−ブトキシシラン;γ−
メタアクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ
−メタアクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、
γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ
−メタアクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−
メタアクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラン、
γ−メタアクリロキシプロピルトリt−ブトキシシラ
ン;γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−
アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプ
ロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエ
トキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキシ
シラン、γ−アミノプロピルトリt−ブトキシシラン;
γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−
メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メル
カプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプ
ロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルト
リイソプロポキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリ
t−ブトキシシラン;β−(3,4−エポキシシクロヘ
キシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エ
ポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン;お
よび、それらの部分加水分解物;および、それらの混合
物を使用することができる。
【0085】また、バインダとして、特にフルオロアル
キル基を含有するポリシロキサンが好ましく用いること
ができ、具体的には、下記のフルオロアルキルシランの
1種または2種以上の加水分解縮合物、共加水分解縮合
物が挙げられ、一般にフッ素系シランカップリング剤と
して知られたものを使用することができる。
【0086】CF3(CF23CH2CH2Si(OC
33;CF3(CF25CH2CH2Si(OC
33;CF3(CF27CH2CH2Si(OC
33;CF3(CF29CH2CH2Si(OC
33;(CF32CF(CF24CH2CH2Si(O
CH33;(CF32CF(CF26CH2CH2Si
(OCH33;(CF32CF(CF28CH2CH2
i(OCH33;CF3(C64)C24Si(OC
33;CF3(CF23(C64)C24Si(OC
33;CF3(CF25(C64)C24Si(OC
33;CF3(CF27(C64)C24Si(OC
33;CF3(CF23CH2CH2SiCH3(OCH
32;CF3(CF25CH2CH2SiCH3(OC
32;CF3(CF27CH2CH2SiCH3(OCH
32;CF3(CF29CH2CH2SiCH3(OC
32;(CF32CF(CF24CH2CH2SiCH
3(OCH32;(CF32CF(CF26CH2CH2
SiCH3(OCH32;(CF32CF(CF28
2CH2SiCH3(OCH32;CF3(C64)C2
4SiCH3(OCH32;CF3(CF23(C
64)C24SiCH3(OCH32;CF3(CF25
(C64)C24SiCH3(OCH32;CF3(CF
27(C64)C24SiCH3(OCH32;CF
3(CF23CH2CH2Si(OCH2CH33;CF3
(CF25CH2CH2Si(OCH2CH33;CF
3(CF27CH2CH2Si(OCH2CH33;CF3
(CF29CH2CH2Si(OCH2CH33;および
CF3(CF27SO2N(C25)C24CH2Si
(OCH33
【0087】上記のようなフルオロアルキル基を含有す
るポリシロキサンをバインダとして用いることにより、
光触媒含有層の非露光部の撥インク性が大きく向上し、
インクジェット方式用インクの付着を妨げる機能を発現
する。
【0088】また、上記の(2)の反応性シリコーンと
しては、下記一般式で表される骨格をもつ化合物を挙げ
ることができる。
【0089】
【化1】
【0090】ただし、nは2以上の整数であり、R1
2はそれぞれ炭素数1〜10の置換もしくは非置換の
アルキル、アルケニル、アリールあるいはシアノアルキ
ル基であり、モル比で全体の40%以下がビニル、フェ
ニル、ハロゲン化フェニルである。また、R1、R2がメ
チル基のものが表面エネルギーが最も小さくなるので好
ましく、モル比でメチル基が60%以上であることが好
ましい。また、鎖末端もしくは側鎖には、分子鎖中に少
なくとも1個以上の水酸基等の反応性基を有する。
【0091】また、上記のオルガノポリシロキサンとと
もに、ジメチルポリシロキサンのような架橋反応をしな
い安定なオルガノシリコン化合物をバインダに混合して
もよい。
【0092】本発明のカラーフィルタにおいては、この
ようにオルガノポリシロキサン等の種々のバインダを光
触媒含有層に用いることができる。本発明においては、
上述したように、このようなバインダおよび光触媒を含
む光触媒含有層にフッ素を含有させ、エネルギーをパタ
ーン照射することにより光触媒含有層表面のフッ素を低
減させ、これにより撥インク性領域内に親インク性領域
を形成するようにしてもよい。この際、光触媒含有層中
にフッ素を含有させる必要があるが、このようなバイン
ダを含む光触媒含有層にフッ素を含有させる方法として
は、通常高い結合エネルギーを有するバインダに対し、
フッ素化合物を比較的弱い結合エネルギーで結合させる
方法、比較的弱い結合エネルギーで結合されたフッ素化
合物を光触媒含有層に混入させる方法等を挙げることが
できる。このような方法でフッ素を導入することによ
り、エネルギーが照射された場合に、まず結合エネルギ
ーが比較的小さいフッ素結合部位が分解され、これによ
りフッ素を光触媒含有層中から除去することができるか
らである。
【0093】上記第1の方法、すなわち、高い結合エネ
ルギーを有するバインダに対し、フッ素化合物を比較的
弱い結合エネルギーで結合させる方法としては、上記オ
ルガノポリシロキサンにフルオロアルキル基を置換基と
して導入する方法等を挙げることができる。
【0094】例えば、オルガノポリシロキサンを得る方
法として、上記(1)として記載したように、ゾルゲル
反応等によりクロロまたはアルコキシシラン等を加水分
解、重縮合して大きな強度を発揮するオルガノポリシロ
キサンを得ることができる。ここで、この方法において
は、上述したように上記一般式: YnSiX(4-n) (ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニ
ル基、アミノ基、フェニル基またはエポキシ基を示し、
Xはアルコキシル基、アセチル基またはハロゲンを示
す。nは0〜3までの整数である。)で示される珪素化
合物の1種または2種以上を、加水分解縮合物もしくは
共加水分解縮合することによりオルガノポリシロキサン
を得るのであるが、この一般式において、置換基Yとし
てフルオロアルキル基を有する珪素化合物を用いて合成
することにより、フルオロアルキル基を置換基として有
するオルガノポリシロキサンを得ることができる。この
ようなフルオロアルキル基を置換基として有するオルガ
ノポリシロキサンをバインダとして用いた場合は、エネ
ルギーが照射された際、光触媒含有層中の光触媒の作用
により、フルオロアルキル基の炭素結合の部分が分解さ
れることから、光触媒含有層表面にエネルギーを照射し
た部分のフッ素含有量を低減させることができる。
【0095】この際用いられるフルオロアルキル基を有
する珪素化合物としては、フルオロアルキル基を有する
ものであれば特に限定されるものではないが、少なくと
も1個のフルオロアルキル基を有し、このフルオロアル
キル基の炭素数が4から30、好ましくは6から20、
特に好ましくは6から16である珪素化合物が好適に用
いられる。このような珪素化合物の具体例は上述した通
りであるが、中でも炭素数が6から8であるフルオロア
ルキル基を有する上記珪素化合物、すなわちフルオロア
ルキルシランが好ましい。
【0096】本発明においては、このようなフルオロア
ルキル基を有する珪素化合物を上述したフルオロアルキ
ル基を有さない珪素化合物と混合して用い、これらの共
加水分解縮合物を上記オルガノポリシロキサンとして用
いてもよいし、このようなフルオロアルキル基を有する
珪素化合物を1種または2種以上用い、これらの加水分
解縮合物、共加水分解縮合物を上記オルガノポリシロキ
サンとして用いてもよい。
【0097】このようにして得られるフルオロアルキル
基を有するオルガノポリシロキサンにおいては、このオ
ルガノポリシロキサンを構成する珪素化合物の内、上記
フルオロアルキル基を有する珪素化合物が0.01モル
%以上、好ましくは0.1モル%以上含まれていること
が好ましい。
【0098】フルオロアルキル基がこの程度含まれるこ
とにより、光触媒含有層上の撥インク性を高くすること
ができ、エネルギーを照射して親インク性領域とした部
分との濡れ性の差異を大きくすることができるからであ
る。
【0099】また、上記(2)に示す方法では、撥水牲
や撥油性に優れた反応性シリコーンを架橋することによ
りオルガノポリシロキサンを得るのであるが、この場合
も同様に、上述した一般式中のR1,R2のいずれかもし
くは両方をフルオロアルキル基等のフッ素を含有する置
換基とすることにより、光触媒含有層中にフッ素を含ま
せることが可能であり、またエネルギーが照射された場
合に、シロキサン結合より結合エネルギーの小さいフル
オロアルキル基の部分が分解されるため、エネルギー照
射により光触媒含有層表面におけるフッ素の含有量を低
下させることができる。
【0100】一方、後者の例、すなわち、バインダの結
合エネルギーより弱いエネルギーで結合したフッ素化合
物を導入させる方法としては、例えば、低分子量のフッ
素化合物を導入させる場合は、例えばフッ素系の界面活
性剤を混入する方法等を挙げることができ、また高分子
量のフッ素化合物を導入させる方法としては、バインダ
樹脂との相溶性の高いフッ素樹脂を混合する等の方法を
挙げることができる。
【0101】本発明において光触媒含有層には上記の光
触媒、バインダの他に、界面活性剤を含有させることが
できる。具体的には、日光ケミカルズ(株)製NIKK
OLBL、BC、BO、BBの各シリーズ等の炭化水素
系、デュポン社製ZONYL FSN、FSO、旭硝子
(株)製サーフロンS−141、145、大日本インキ
化学工業(株)製メガファックF−141、144、ネ
オス(株)製フタージェントF−200、F251、ダ
イキン工業(株)製ユニダインDS−401、402、
スリーエム(株)製フロラードFC−170、176等
のフッ素系あるいはシリコーン系の非イオン界面活性剤
を挙げることかでき、また、カチオン系界面活性剤、ア
ニオン系界面活性剤、両性界面活性剤を用いることもで
きる。
【0102】また、光触媒含有層には上記の界面活性剤
の他にも、ポリビニルアルコール、不飽和ポリエステ
ル、アクリル樹脂、ポリエチレン、ジアリルフタレー
ト、エチレンプロピレンジエンモノマー、エポキシ樹
脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、ポ
リカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイ
ミド、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポ
リプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、ポリ酢酸
ビニル、ポリエステル、ポリブタジエン、ポリベンズイ
ミダゾール、ポリアクリルニトリル、エピクロルヒドリ
ン、ポリサルファイド、ポリイソプレン等のオリゴマ
ー、ポリマー等を含有させることができる。
【0103】光触媒含有層中の光触媒の含有量は、5〜
60重量%、好ましくは20〜40重量%の範囲で設定
することができる。また、光触媒含有層の厚みは、0.
05〜10μmの範囲内が好ましく、特に好ましくは、
0.1〜0.2μmである。
【0104】上記光触媒含有層は、光触媒とバインダを
必要に応じて他の添加剤とともに溶剤中に分散して塗布
液を調製し、この塗布液を塗布することにより形成する
ことができる。使用する溶剤としては、エタノール、イ
ソプロパノール等のアルコール系の有機溶剤が好まし
い。塗布はスピンコート、スプレーコート、ディッブコ
ート、ロールコート、ビードコート等の公知の塗布方法
により行うことができる。バインダとして紫外線硬化型
の成分を含有している場合、紫外線を照射して硬化処理
を行うことにより光触媒含有層を形成することかでき
る。
【0105】(画素部)本発明においては、図1および
図2に示すように濡れ性可変層3、中でも上述した光触
媒含有層上に画素部4が設けられたところに特徴を有す
るものである。本発明では、上記光触媒含有層において
露光され、液体との接触角が低い親インク性領域に、イ
ンクジェット方式により複数色のインクにより所定のパ
ターンで画素部が形成される。通常画素部は、赤
(R)、緑(G)、および青(B)の3色で形成され
る。この画素部における着色パターン、着色面積は任意
に設定することができる。本発明のカラーフィルタにお
いては、画素部間に遮光部(ブラックマトリックス)が
存在しない。したがって、この画素部間には間隙が存在
する場合と画素部が連続して設けられる場合とが考えら
れるが、本実施態様においては、いずれのタイプでもよ
い。また、図2に示すように撥インク性凸部が設けられ
たものであってもよい。
【0106】このような画素部を形成するインクジェッ
ト方式のインクとしては、大きく水性、油性に分類され
るが、本発明においてはいずれのインクであっても用い
ることができるが、表面張力の関係から水をベースとし
た水性のインクが好ましい。
【0107】本発明で用いられる水性インクには、溶媒
として、水単独または水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒
を用いることがきる。一方、油性インクにはへッドのつ
まり等を防ぐために高沸点の溶媒をベースとしたものが
好ましく用いられる。このようなインクジェット方式の
インクに用いられる着色剤は、公知の顔料、染料が広く
用いられる。また、分散性、定着性向上のために溶媒に
可溶・不溶の樹脂類を含有させることもできる。その
他、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界
面活性剤などの界面活性剤;防腐剤;防黴剤;pH調整
剤;消泡剤;紫外線吸収剤;粘度調整剤:表面張力調整
剤などを必要に応じて添加しても良い。
【0108】また、通常のインクジェット用インクは適
性粘度が低いためバインダ樹脂を多く含有できないが、
インク中の着色剤粒子を樹脂で包むかたちで造粒させる
ことで着色剤自身に定着能を持たせることができる。こ
のようなインクも本発明においては用いることができ
る。さらに、所謂ホットメルトインクやUV硬化性イン
クを用いることもできる。
【0109】本発明においては、中でもUV硬化性イン
クを用いることが好ましい。UV硬化性インクを用いる
ことにより、インクジェット方式により着色して画素部
を形成後、UVを照射することにより、素早くインクを
硬化させることができ、すぐに次の工程に送ることがで
きる。したがって、効率よくカラーフィルタを製造する
ことができるからである。
【0110】このようなUV硬化性インクは、プレポリ
マー、モノマー、光重合開始剤及び着色剤を主成分とす
るものである。プレポリマーとしては、ポリエステルア
クリレート、ポリウレタンアクリレート、エポキシアク
リレート、ポリエーテルアクリレート、オリゴアクリレ
ート、アルキドアクリレート、ポリオールアクリレー
ト、シリコンアクリレート等のプレポリマーのいずれか
を特に限定することなく用いることができる。
【0111】モノマーとしては、スチレン、酢酸ビニル
等のビニルモノマー;n−ヘキシルアクリレート、フェ
ノキシエチルアクリレート等の単官能アクリルモノマ
ー;ジエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘ
キサンジオールジアクリレート、ヒドロキシピペリン酸
エステルネオペンチルグリコールジアクリレート、トリ
メチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリス
トールヘキサアクリレート等の多官能アクリルモノマー
を用いることができる。上記プレポリマー及びモノマー
は単独で用いても良いし、2種以上混含して用いても良
い。
【0112】光重合開始剤は、イソブチルベンゾインエ
ーテル、イソプロピルベンゾインエーテル、ベンゾイン
エチルエーテル、ベンゾインメチルエーテル、1−フェ
ニル−l,2−プロパジオン−2−オキシム、2,2−
ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、ベンジル、
ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ジエトキシ
アセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フ
ェニルプロパン−1−オン、ベンゾフェノン、クロロチ
オキサントン、2−クロロチオキサントン、イソプロピ
ルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、塩素置
換ベンゾフェノン、ハロゲン置換アルキル−アリルケト
ン等の中から所望の硬化特性、記録特性が得られるもの
を選択して用いることができる。その他必要に応じて脂
肪族アミン、芳香族アミン等の光開始助剤;チオキサン
ソン等の光鋭感剤等を添加しても良い。なお、着色剤に
関しては、上述したように公知の顔料・染料が広く用い
られる。
【0113】(透明基板)本発明の第1実施態様におい
ては、図1および図2に示すように、透明基板2上に濡
れ性可変層3、中でも上述した光触媒含有層が設けられ
る。
【0114】この透明基板としては、従来よりカラーフ
ィルタに用いられているものであれば特に限定されるも
のではないが、例えば石英ガラス、パイレックスガラ
ス、合成石英板等の可とう性のない透明なリジット材、
あるいは透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可とう性
を有する透明なフレキシブル材を用いることができる。
この中で特にコーニング社製7059ガラスは、熱膨脹
率の小さい素材であり寸法安定性および高温加熱処理に
おける作業性に優れ、また、ガラス中にアルカリ成分を
含まない無アルカリガラスであるため、アクティブマト
リックス方式によるカラー液晶表示装置用のカラーフィ
ルタに適している。本発明において、透明基板は通常透
明なものを用いるが、反射性の基板や白色に着色した基
板でも用いることは可能である。また、透明基板は、必
要に応じてアルカリ溶出防止用やガスバリア性付与その
他の目的の表面処理を施したものを用いてもよい。
【0115】(撥インク性凸部)本発明の第1実施態様
においては、図2に示すように、画素部4の間に撥イン
ク性凸部5を形成してもよい。このような撥インク性凸
部の組成は、撥インク性を有する樹脂組成物であれば、
特に限定されるものではない。また、特に透明である必
要はなく、着色されたものであってもよい。例えば、ブ
ラックマトリックス(遮光部)に用いられる樹脂材料で
あって、黒色の材料を混入しない材料等を用いることが
できる。具体的には、ポリアクリルアミド、ポリビニル
アルコール、ゼラチン、カゼイン、セルロース等の水性
樹脂を1種または2種以上混合した組成物や、O/Wエ
マルジョン型の樹脂組成物、例えば、反応性シリコーン
をエマルジョン化したもの等を挙げることができる。本
発明においては、取扱性および硬化が容易である点等の
理由から、光硬化性樹脂が好適に用いられる。また、こ
の撥インク性凸部は、撥インク性が強いほど好ましいの
で、その表面をシリコーン化合物や含フッ素化合物等の
撥インク処理剤で処理したものでもよい。
【0116】上記第1実施態様における撥インク性凸部
の高さは、上述したようにインクジェット法により着色
する際に、インクの混色防止等のために設けられるもの
であることからある程度高いことが好ましいが、カラー
フィルタとした場合の全体の平坦性を考慮すると、画素
部の厚さに近い厚さであることが好ましい。具体的に
は、吹き付けるインクの堆積量によっても異なるが、通
常は0.1〜2μmの範囲内であることが好ましい。
【0117】(保護層)図1および図2においては図示
されていないが、カラーフィルタ1の表面に必要に応じ
て保護層を形成してもよい。この保護層は、カラーフィ
ルタを平坦化するとともに、画素部、あるいは、画素部
と光触媒含有層に含有される成分の液晶層への溶出を防
止するために設けられるものである。
【0118】保護層の厚みは、使用される材料の光透過
率、カラーフィルタの表面状態等を考慮して設定するこ
とができ、例えば、0.1〜2.0μmの範囲で設定す
ることができる。保護層は、例えば、公知の透明感光性
樹脂、二液硬化型透明樹脂等の中から、透明保護層とし
て要求される光透過率等を有するものを用いて形成する
ことができる。
【0119】2.第2実施態様について 本発明の第2実施態様は、透明基板上に画素部が形成さ
れており、この画素部の境界部分に濡れ性可変層が設け
られているカラーフィルタであり、濡れ性可変層によ
り、画素部が位置決めされて形成されたカラーフィルタ
の他の例である。
【0120】図3は、第2実施態様の一例を示すもので
ある。このカラーフィルタ1は、透明基板2と、この透
明基板2上に設けられた画素部4と、この画素部4の間
に設けられた濡れ性可変層3とを有するものであり、必
要に応じて図示略の保護層を画素部4および濡れ性可変
層3上に形成してもよい。
【0121】この実施態様の特徴は、透明基板2上に形
成された画素部4の境界部分にのみ濡れ性可変層3が形
成されており、画素部4が直に透明板2上に形成されて
いる点にある。このように、第2実施態様においては、
画素部4の境界部分にのみ濡れ性可変層3が形成されて
いるので、濡れ性可変層3に刺激を加えて濡れ性を変化
させる際に、その刺激を全面にわたって加えればよく、
パターン状に刺激を加える必要性がない。したがって、
濡れ性可変層形成後の工程を簡略化することができる等
の効果を有するものである。
【0122】この実施態様においては、上述したように
透明基板2上に直に画素部4が形成されているので、透
明基板2上は親インク性であることが好ましい。特に濡
れ性可変層3をパターン状に形成した後、その間の画素
部形成部に画素部4を形成する場合は、濡れ性が変化す
る前の撥インク性領域である濡れ性可変層3に対して透
明基板2上は親インク性領域としておくことが、画素部
4の形成上好ましい。したがって、第2実施態様におい
ては、透明基板2上の濡れ性が、表面張力40mN/m
の液体との接触角として10度未満であることが好まし
く、さらに好ましくは5度以下、特に好ましくは1度以
下であることである。
【0123】このように、表面が親インク性領域である
透明基板としては、親インク性の材料で形成したもの、
材料の表面を親インク性となるように表面処理したも
の、透明基板上に親インク性の層を形成したもの等があ
るが、本実施態様においては特に限定されるものではな
い。
【0124】材料の表面を親インク性となるように表面
処理した例としては、アルゴンや水などを利用したプラ
ズマ処理による親インク性表面処理が挙げられ、透明基
板上に設ける親インク性の層としては、例えばテトラエ
トキシシランのゾルゲル法によるシリカ膜等を挙げるこ
とができる。
【0125】この実施態様で用いられる透明基板2以外
の材料、すなわち濡れ性可変層3、画素部4、および保
護層の材料等に関しては、上記第1実施態様のものと同
様であるので、ここでの説明を省略する。
【0126】B.カラーフィルタの製造法について 次に、本発明のカラーフィルタの製造法について、以下
の実施態様を用いて説明する。
【0127】1.第3実施態様について 本発明の第3実施態様は、上記本発明における第1実施
態様であるカラーフィルタを製造するための製造法であ
り、(1)透明基板上にエネルギー照射により照射部分
の濡れ性が液体との接触角が低下する方向に変化する光
触媒含有層を設ける工程と、(2)前記透明基板上に設
けられた光触媒含有層上の画素部を形成する部位である
画素部形成部に、エネルギーをパターン照射して画素部
用露光部を形成する工程と、(3)この画素部用露光部
にインクジェット方式で着色し、画素部を形成する工程
とを有するものである。
【0128】(各工程の説明)図4は、本発明の第3実
施態様を説明するためのものである。この例において
は、図4(A)に示すように、まず、透明基板2上に光
触媒含有層6を形成する。この光触媒含有層6の形成
は、上述したような光触媒とバインダとを必要に応じて
他の添加剤とともに溶剤中に分散して塗布液を調製し、
この塗布液を塗布した後、加水分解、重縮合反応を進行
させてバインダ中に光触媒を強固に固定することにより
形成される。使用する溶剤としては、エタノール、イソ
プロルパノール等のアルコール系の有機溶剤が好まし
く、塗布はスピンコート、スプレーコート、ディップコ
ート、ロールコート、ビードコート等の公知の塗布方法
により行うことかできる。
【0129】次に、光触媒含有層6上の画素部形成部に
フォトマスク7を用いてエネルギーをパターン照射し、
画素部用露光部8を形成する。この画素部用露光部8
は、光触媒含有層6内の光触媒の作用により液体との接
触角を低くした部位であり、親インク性領域を形成する
ものである(図4(B))。
【0130】そして、インクジェット装置9により、露
光により親インク性領域となった画素部用露光部8内に
インク10を噴射して、それぞれ赤、緑、および青に着
色する(図4(C))。この場合、画素部用露光部8内
は上述したように露光により液体との接触角の小さい親
インク性領域となっているため、インクジェット装置9
から噴出されたインク10は、画素部用露光部8内に均
一に広がる。
【0131】本発明に用いられるインクジェット装置と
しては、特に限定されるものではないが、帯電したイン
クを連続的に噴射し磁場によって制御する方法、圧電素
子を用いて間欠的にインクを噴射する方法、インクを加
熱しその発泡を利用して間欠的に噴射する方法等の各種
の方法を用いたインクジェット装置を用いることができ
る。
【0132】このようにして画素部用露光部8内に付着
したインクを固化させることにより画素部4が形成され
る(図4(D))。本発明において、インクの固化は用
いるインクの種類により種々の方法により行われる。例
えば、水溶性のインクであれば加熱等することにより水
を除去して固化が行われる。
【0133】このインクの固化工程を考慮すると、本発
明に用いられるインクの種類としては、インクがUV硬
化性インクであることが好ましい。これは、UV硬化性
インクであればUVを照射することにより、素早くイン
クを固化することができるので、カラーフィルタの製造
時間を短縮することができるからである。
【0134】上述したように、画素部用露光部8内のイ
ンクは均一に広がっているため、このようなインクを固
化して画素部4を形成した場合、色抜けや色むらのない
カラーフィルタを形成することができる。
【0135】(画素部形成方法の他の例について)上述
した例においては、画素部4を一回のエネルギーの照射
と露光部へのインクの付着で形成してもよいが、上記第
3実施態様では、インクの付着に際してエネルギーが照
射された親インク性領域である画素部用露光部間の距離
が短い。したがって、画素部の形成に際してインクが混
ざる等の問題が生じる可能性がある。このような問題を
回避する方法として、以下の図5に示すようなエネルギ
ー照射および画素部の形成を少なくとも2回に分けて行
う方法を挙げることができる。
【0136】この方法においては、まず、上記第3実施
態様と同様に透明基板2上に光触媒含有層6を形成する
(図5(A))。次いで、同様にフォトマスクを用いて
エネルギーを照射するのであるが、上述した例では全て
の画素部に対応する画素部用露光部を形成するようにフ
ォトマスクが設計されるが、この例においては、画素部
が一つおきに形成されるようにフォトマスク7’が設計
され、このフォトマスク7’を用いて光触媒含有層6に
第1画素部用露光部11を形成する(図5(B))。そ
して、インクジェット装置9により、エネルギー照射に
より親インク性領域となった第1画素部用露光部11内
にインク10を噴射して着色し、これを硬化させて第1
画素部12とする(図5(C))。このエネルギー照射
およびインクジェット装置を用いた画素部への着色は、
フォトマスク7’の形状を除いて第1の例と同様にして
行われる。
【0137】なお、ここで形成された第1画素部12
は、この画素部上に2回目のインクジェット装置による
インクの着色を防止するため、画素部自体が撥インク性
であることが好ましく、またその表面をシリコーン化合
物や含フッ素化合物等の撥インク処理剤で処理するよう
にしてもよい。
【0138】この第1画素部12が形成された透明基板
2を図6(A)に示す。例えば、赤(R)、緑(G)、
および青(B)の3色の画素部を形成する場合、図6
(A)に示すように、左から1番目の赤の画素部(R
1)が形成され、次に1番目の緑の画素部(G1)をと
ばして1番目の青の画素部(B1)が形成され、次に2
番目の赤の画素部(R2)をとばして2番目の緑の画素
部(G2)が形成されている。このように一つおきにま
ず第1画素部12が形成される。この際用いるフォトマ
スク7の例を図7(A−1)もしくは(B−1)に示
す。
【0139】次いで、この第1画素部12が形成された
光触媒含有層6上に、全面にわたってエネルギーを再度
照射する。なお、このようにエネルギーを全面にわたっ
て照射してもよいし、再度フォトマスクを用いてエネル
ギーをパターン照射してもよい。このような2回目のエ
ネルギーのパターン照射のためのフォトマスクは、上記
第1画素部12の間に第2画素部用露光部13を形成す
るように設計されており、例えば図7(A−2)もしく
は(B−2)に示すようなフォトマスクが用いられる。
【0140】このように全面にわたってエネルギー照射
をすることにより第1画素部用露光部11以外の部分も
エネルギー照射され、親インク性領域となる(図5
(D))。
【0141】そして、インクジェット装置9により、こ
の親インク性領域にインク10を噴射して着色し、これ
を硬化させて第2画素部14とする。この第2画素部1
4は、図面では第1画素部と距離をおいて形成されてい
るように描かれているが、実際には第1画素部12の間
を埋めるように形成される。この露光およびインクジェ
ット装置を用いた画素部への着色も、上述した例と同様
にして行われる。
【0142】このようにして第2画素部も形成された状
態を図6(B)に示す。第1画素部12の間を埋めるよ
うに第2画素部14を形成することにより、左から赤
(R)、緑(G)、青(B)順に並んだ3色の画素部が
形成される。
【0143】そして、最後にこの画素部上に保護層を形
成することによりカラーフィルタが形成される。このよ
うに画素部の形成を2回に分けて行うのは、以下の理由
により好ましいといえる。
【0144】上述した例のように、透明基板上に遮光部
が形成されていない状態で画素部を形成する場合は、遮
光部を仕切として用いることができない。したがって、
エネルギー照射により親インク性領域とした画素部用露
光部をインクジェット方式で着色して画素部を形成する
場合、この画素部用露光部間の間隔が狭い場合、すなわ
ちエネルギー照射されていない撥インク性領域の幅が狭
い場合は、画素部形成に際してこの撥インク性領域を越
えて隣り合う画素部のインクが混合する可能性が生じ
る。したがって、画素部形成に際して、画素部同士がな
るべく離れた状態で形成することが望ましい。上述した
画素部の形成方法においては、第1画素部12を形成す
る際に、画素部を一つおきに形成するようにエネルギー
のパターン照射を行っているため、一回目に形成する隣
り合う画素部同士を離れた状態とすることができる。こ
のように、間に比較的広い撥インク性領域を有する状態
で第1画素部用露光部11を形成することが可能である
ので、インクジェット装置9で着色する際に、隣り合う
画素部のインク10が混じり合うという不都合が生じる
可能性がなくなる。次いで、第1画素部12間に再度エ
ネルギーを全面照射もしくはパターン照射して、その間
を親インク性領域とし、ここにインクジェット装置9に
より着色することにより、インク10が混じりあうこと
がなく、色むら等の不具合の無いカラーフィルタを形成
することができるのである。
【0145】さらに、この方法によれば、各画素部間の
距離を少なくするもしくは無くすことも可能であるの
で、平滑性に優れた着色層(画素部の集合体)を形成す
ることができる。なお、画素部を連続して設ける必要が
ある場合は、このような方法を用いる必要がある。
【0146】上記画素部の形成方法において、2回目の
エネルギー照射をパターン照射とする場合に用いられる
フォトマスクは、図7(B−2)に示すように、第1画
素部が形成された領域全体を露光して第1画素部12間
の全ての撥インク性領域を親インク性領域とするもので
あってもよいし、図7(A−2)に示すような、第1画
素部の所定の部位を露光して第2画素部とするものであ
ってもよい。
【0147】2回目のエネルギー照射に際して、全面に
照射するか、図7(B−2)に示すようなフォトマスク
を用いて照射した場合、得られる画素部は、図6(B)
に示すように、各画素部間に空隙が無く連続して形成さ
れたものとなる。また図7(A−2)に示すようなフォ
トマスクを用いた場合は、画素部間に撥インク性領域を
残すことも可能であるので、図5(E)に示すような画
素部間に空隙があるカラーフィルタを形成することがで
きる。本発明においては、いずれの方法であってもよ
く、また得られるカラーフィルタはいずれのタイプであ
ってもよい。
【0148】なお、上述した方法では、一回目で形成す
る画素部6は一つおきとしたが、本発明はこれに限定さ
れるものではなく、最初に形成される画素部が隣接しな
いようにするのであれば、例えば千鳥状等、カラーフィ
ルタの画素部の形状によって変更してもよい。また、上
述した説明では、2回に分けて画素部を形成するように
したが、必要であれば、3回もしくはそれ以上の回数で
画素部を形成するようにしてもよい。
【0149】(撥インク性凸部の形成方法について)本
発明においては、画素部を形成する前に、撥インク性凸
部を形成してもよい。これは、例えばこの撥インク性凸
部を画素部が形成される画素部領域の周囲に形成した場
合は、カラーフィルタの周囲部分でインクが流れ出てし
まい正確に画素部を形成することができないといった不
具合を防止することが可能となるからである。
【0150】このような撥インク性凸部は、上記画素部
用露光部を形成する前に、撥インク性凸部を形成するた
めの凸部用露光部を形成し、この凸部用露光部に樹脂組
成物を用いて撥インク性凸部を形成することにより形成
される。このような凸部用露光部を形成するためのフォ
トマスクとしては、例えば図7(C−1)や(D−1)
に示すようなものを挙げることができる。これらのフォ
トマスクを用いて、光触媒含有層上を露光することによ
り、まず凸部用露光部を形成する。この凸部用露光部
は、上述した図7(C−1)のフォトマスクを用いた場
合は、画素部が形成される領域の上端辺と下端辺部分に
凸部用露光部が形成され、(D−1)に示されるフォト
マスクを用いた場合は画素部が形成される領域を囲うよ
うに凸部用露光部が形成される。次いで、この凸部用露
光部に、樹脂組成物を付着させ硬化させることにより、
撥インク性凸部を形成することができる。
【0151】このような撥インク性凸部を形成した後、
上述した画素部の形成方法(例えば図7(C−2もしく
はD−2)に示すフォトマスクを用いて第1画素部を形
成し、次いで(A−2)もしくは(B−2)に示すフォ
トマスクにより、もしくは全面へのエネルギー照射によ
り第2画素部を形成する。)により、画素部を形成し、
カラーフィルタを形成する。
【0152】本発明において、上記撥インク性凸部が設
けられる領域は、上述した画素部領域上下端辺部や画素
部領域周囲に形成されてもよいが、上記撥インク性凸部
を、上記画素部の間に形成するようにしてもよい。
【0153】このような撥インク性凸部を形成する工程
について、図8を用いて説明する。上述した図4に示す
第3実施態様と同様にして、透明基板2を覆うように光
触媒含有層6が形成された部材を調製し(図8
(A))、撥インク性凸部用マスク15を介してエネル
ギーを照射する。このように、撥インク性凸部用マスク
を介してエネルギーをパターン照射することにより、画
素部の境界部分上の光触媒含有層6に撥インク性凸部用
露光部16が形成される(図8(B))。
【0154】この撥インク性凸部用露光部16に、イン
クジェット装置9によりUV硬化性樹脂モノマー等の撥
インク性凸部用インク17を付着させる(図8
(C))。なお、この撥インク性凸部用インクの塗布方
法は、インクジェット装置による方法に限られるもので
なく、例えばディップコート等他の方法を用いることも
できる。
【0155】そして、UV照射等により撥インク性凸部
用インク17を硬化させることにより、光触媒含有層6
表面に撥インク性凸部5が形成される(図8(C))。
【0156】このようにして光触媒含有層6上に撥イン
ク性凸部5が形成された部材に、光触媒含有層6側から
エネルギーを全面に照射、もしくはパターン照射するこ
とにより、撥インク性凸部5が形成された部位以外の全
ての部分、もしくは画素部形成部のみが露光されて、画
素部用露光部となり(図8(D))、その後は上述した
方法と同様にして、この部分にインクジェット装置9を
用いてインク10を付着させ、硬化させることにより画
素部4が形成され、撥インク性凸部5が設けられたカラ
ーフィルタ1を製造することができる(図8(E))。
【0157】この方法では、画素部形成部間の光触媒含
有層にエネルギーをパターン照射して撥インク性凸部用
露光を設けるので、任意の幅で撥インク性凸部を形成す
ることができる。したがって、ここに撥インク性凸部用
インクを塗布することにより、任意の幅の撥インク性凸
部を形成することができる。よって、撥インク性凸部用
マスク15の幅を調整することにより、画素部間の幅を
調整することが可能である。
【0158】なお、本実施態様では、撥インク性凸部を
光触媒含有層の濡れ性の変化により形成しているが、本
発明においてはこれに限定されるものではなく、例えば
フォトリソ法等により撥インク性凸部を設けたものであ
ってもよい。
【0159】(照射するエネルギーについて)本発明に
おいては、光触媒含有層に照射するエネルギーとして
は、紫外光を含む光を用いることができる。このような
紫外光を含む光源としては、例えば、水銀ランプ、メタ
ルハライドランプ、キセノンランプ等を挙げることがで
きる。この露光に用いる光の波長は400nm以下の範
囲、好ましくは380nm以下の範囲から設定すること
ができ、また、露光に際しての光の照射量は、露光され
た部位が光触媒の作用により親インク性を発現するのに
必要な照射量とすることができる。
【0160】エネルギーの照射際してパターン照射が必
要な場合は、上述したような光源を用い、フォトマスク
を介したパターン照射により行うことができるが、他の
方法として、エキシマ、YAG等のレーザーを用いてパ
ターン状に描画照射する方法を用いることも可能であ
る。しかしながら、このような方法は、装置が高価、取
り扱いが困難、さらには連続出力ができない等の問題を
有する場合がある。
【0161】したがって、本発明においては、光触媒含
有層に対し、光触媒反応開始エネルギーを加え、この光
触媒反応開始エネルギーが加えられた領域内に反応速度
増加エネルギーをパターン状に加えることにより親イン
ク性領域のパターンを形成するようにしてもよい。この
ようなエネルギーの照射方法を用いてパターンを形成す
ることにより、パターン形成に際して、赤外線レーザ等
の比較的安価で取り扱いが容易である反応速度増加エネ
ルギーを用いることができ、これにより上述したような
問題が生じないからである。
【0162】このようなエネルギーを加えることにより
濡れ性の変化した親インク性領域のパターンが形成でき
るのは、以下の理由による。すなわち、まずパターンを
形成する領域に対して光触媒反応開始エネルギーを加え
ることにより、光触媒含有層に対する光触媒の触媒反応
を開始させる。そして、この光触媒反応開始エネルギー
が加えられた領域内に、反応速度増加エネルギーを加え
る。このように反応速度増加エネルギーを加えることに
より、既に光触媒反応開始エネルギーが加えられ、光触
媒の触媒作用により反応が開始されている光触媒含有層
内の反応が、急激に促進される。そして所定の時間、反
応速度増加エネルギーを加えることにより、特性変化層
内の特性の変化を所望の範囲まで変化させ、反応速度増
加エネルギーが加えられたパターンを濡れ性の変化した
親インク性領域のパターンとすることができるのであ
る。
【0163】a.光触媒反応開始エネルギーについて このエネルギー照射方法に用いられる光触媒反応開始エ
ネルギーとは、光触媒が光触媒含有層中の化合物に対し
て、その特性を変化させるための触媒反応を開始させる
エネルギーをいう。
【0164】ここで加える光触媒反応開始エネルギーの
量は、光触媒含有層中の濡れ性の変化を急激に生じない
程度の量である。加えられる光触媒反応開始エネルギー
の量が少ない場合は、反応速度増加エネルギーを加えて
パターンを形成する際の感度が低下するため好ましくな
く、またこの量が多すぎると、光触媒反応開始エネルギ
ーを加えた光触媒含有層の特性の変化の度合いが大きく
なりすぎて、反応速度増加エネルギーを加えた領域との
差異が不明確となってしまうため好ましくない。この加
えるエネルギーの量に関しては、予めエネルギーを加え
る量と光触媒含有層中の濡れ性の変化量との予備実験等
を行うことにより決定される。
【0165】この方法における光触媒反応開始エネルギ
ーとしては、光触媒反応を開始させることができるエネ
ルギーであれば特に限定されるものではないが、中でも
光であることが好ましい。
【0166】本発明において用いられる光触媒は、その
バンドギャップによって触媒反応を開始する光の波長が
異なる。例えば、硫化カドニウムであれば496nm、
また酸化鉄であれば539nmの可視光であり、二酸化
チタンであれば388nmの紫外光である。したがっ
て、光であれば可視光であれ紫外光であれ本発明で用い
ることができる。しかしながら、上述したようにバンド
ギャップエネルギーが高いため光触媒として有効であ
り、かつ化学的にも安定で毒性もなく、入手も容易とい
った理由から光触媒としては二酸化チタンが好適に用い
られる関係上、この二酸化チタンの触媒反応を開始させ
る紫外光を含む光であることが好ましい。具体的には、
400nm以下の範囲、好ましくは380nm以下の範
囲の紫外光が含まれることが好ましい。
【0167】このような紫外光を含む光の光源として
は、水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンラン
プ、エキシマランプ等の種々の紫外線光源を挙げること
ができる。
【0168】本発明においては、この光触媒反応開始エ
ネルギーが加えられる範囲は、光触媒含有層の一部分で
あってもよく、例えばこの光触媒反応開始エネルギーを
パターン状に加え、さらに後述する反応速度増加エネル
ギーもパターン状に加えることにより、濡れ性が変化し
た親インク性領域のパターンを形成することも可能であ
るが、工程の簡略化、単純化等の理由から、この光触媒
反応開始エネルギーをパターンを形成する領域全面にわ
たって加えることが好ましく、このように全面にわたっ
て光触媒反応開始エネルギーが加えられた領域に反応速
度増加エネルギーをパターン状に加えることにより、光
触媒含有層上に親インク性領域のパターンを形成するよ
うにすることが好ましい。
【0169】b.反応速度増加エネルギーについて 次に、この方法に用いられる反応速度増加エネルギーに
ついて説明する。この方法に用いられる反応速度増加エ
ネルギーとは、上記光触媒反応開始エネルギーによって
開始された光触媒含有層の濡れ性を変化させる反応の反
応速度を増加させるためのエネルギーをいう。本発明に
おいては、このような作用を有するエネルギーであれば
いかなるエネルギーであっても用いることができるが、
中でも熱エネルギーを用いることが好ましい。
【0170】このような熱エネルギーをパターン状に光
触媒含有層に加える方法としては、光触媒含有層上に熱
によるパターンが形成できる方法であれば特に限定され
るものではないが、赤外線レーザによる方法や感熱ヘッ
ドによる方法等を挙げることができる。このような赤外
線レーザとしては、例えば指向性が強く、照射距離が長
いという利点を有する赤外線YAGレーザ(1064n
m)や、比較的安価であるという利点を有するダイオー
ドレーザ(LED;830nm、1064nm、110
0nm)等の他、半導体レーザ、He−Neレーザ、炭
酸ガスレーザ等を挙げることができる。
【0171】この方法においては、上述した光触媒反応
開始エネルギーを加えることにより、光触媒を活性化さ
せて光触媒含有層内の触媒反応による濡れ性の変化を開
始させ、この濡れ性の変化が生じた部分に反応速度増加
エネルギーを加えてその部分の触媒反応を促進させるこ
とにより、反応速度増加エネルギーが加えられた領域
と、加えられなかった領域との反応速度の差により、親
インク性領域のパターンを形成することができる。
【0172】2.第4実施態様について 本発明の第4実施態様は、上記本発明における第2実施
態様であるカラーフィルタを製造するための製造法であ
り、(1)透明基板上にエネルギー照射により照射部分
の濡れ性が液体との接触角が低下する方向に変化する光
触媒含有層を、画素部が形成される部位である画素部形
成部の境界部分に設ける工程と、(2)前記透明基板上
の画素部形成部に画素部を形成する工程とを含むことを
特徴とするカラーフィルタの製造法。を有するものであ
る。
【0173】この方法について、図9を用いて説明す
る。まず、透明基板2上の画素部が形成される画素部形
成部の境界部分のみに光触媒含有層6がパターン状に形
成される(図9(A))。このように光触媒含有層をパ
ターン状に形成する方法としては、例えば感光性のゾル
ゲル溶液を用いて、フォトリソ法により形成する方法
や、印刷による方法等を挙げることができる。
【0174】このようにして形成した光触媒含有層6が
形成された透明基板2の、光触媒含有層6が形成されて
いない部分(画素部形成部)に、インクジェット装置9
を用いてインク10を付着させる(図9(B))。この
際、透明基板2の表面の濡れ性は、光触媒含有層6表面
の濡れ性に比較して、親インク性とされている。したが
って、画素部6を形成する際に、撥インク性を示す光触
媒含有層上にインク10は付着せずに、透明基板2上の
画素部形成部にのみ付着して画素部が形成される。そし
て、付着させたインクを硬化させることにより、画素部
4が光触媒含有層6間に形成される(図9(C))。
【0175】このように、画素部4が形成された後、画
素部4が形成された側にエネルギーを照射することによ
り(図13(D))、光触媒含有層6が親インク性とな
ることから、必要に応じて設けられる図示略の保護層の
形成が容易となる。
【0176】本実施態様においては、インク10が直接
透明基板2上に付着するので、上述したように透明基板
2上は親インク性領域であることが好ましく、具体的に
は、表面張力40mN/mの液体との接触角として10
度未満であることが好ましく、さらに好ましくは、表面
張力40mN/mの液体との接触角として5度以下、特
に好ましくは1度以下であることである。このように、
透明基板2上を親インク性領域とすることにより、イン
ク14が透明基板上に均一に行き渡り、色むら等の不具
合が生じないからである。
【0177】この実施態様において、照射されるエネル
ギーや、インクジェット装置、各種インクに関しては、
先に説明した第3実施態様と同様であるので、ここでは
説明を省略する。
【0178】C.カラー液晶パネルについて このようにして得られたカラーフィルタと、このカラー
フィルタに対向し、かつブラックマトリックス(遮光
部)を有する対向基板とを組み合わせ、この間に液晶化
合物を封入することによりカラー液晶パネルが形成され
る。このようにして得られるカラー液晶パネルは、本発
明のカラーフィルタが有する利点、すなわち、色抜けや
色落ちが無く、コスト的に有利であるという利点を有す
るものである。
【0179】なお、本発明は、上記実施形態に限定され
るものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明
の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同
一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いか
なるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0180】
【実施例】以下、本発明について、実施例を通じてさら
に詳述する。
【0181】[実施例1] 1.光触媒含有層の形成 イソプロピルアルコール30gとフルオロアルキルシラ
ンが主成分であるMF−160E(トーケムプロダクツ
(株)製)0.4gとトリメトキシメチルシラン(東芝
シリコーン(株)製、TSL8113)3gと、光触媒
である酸化チタン水分散体であるST−K01(石原産
業(株)製)20gとを混合し、100℃で20分間撹
拌した。これをイソプロピルアルコールにより3倍に希
釈し光触媒含有層用組成物とした。
【0182】上記組成物をソーダガラス製の透明基板上
にスピンコーターにより塗布し、150℃で10分間の
乾燥処理を行うことにより、透明な光触媒含有層(厚み
0.2μm)を形成した。
【0183】2.露光による親インク性領域の形成の確
認 この光触媒含有層にマスクを介して水銀灯(波長365
nm)により70mW/cm2の照度で50秒間パター
ン露光を行い、露光部を形成し、非露光部及び露光部と
液体との接触角を測定した。非露光部においては、表面
張力30mN/mの液体(純正化学株式会社製、エチレ
ングリコールモノエチルエーテル)との接触角を接触角
測定器(協和界面科学(株)製CA−Z型)を用いて測
定(マイクロシリンジから液滴を滴下して30秒後)し
た結果、30度であった。また露光部では、表面張力5
0mN/mの液体(純正化学株式会社製、ぬれ指数標準
液No.50)との接触角を同様にして測定した結果、
7度であった。このように、露光部が親インク性領域と
なり、露光部と非露光部との濡れ性の相違によるパター
ン形成が可能なことが確認された。
【0184】3.第1画素部の形成 次に、上記と同様にして同様の透明基板上に光触媒含有
層を形成した。(図5(A)に相当)この光触媒含有層
を、図7(B−1)に示す開ロパターンを設けたフォト
マスクを介して水銀灯(波長365nm)により露光
(70mW/cm 2の照度で50秒間)して、第1画素
部用露光部を親インク性領域(表面張力50mN/mの
液体との接触角に換算して7度以下)とした(図5
(B)に相当)。
【0185】この第1画素部に対して、インクジェット
装置を用いて、顔料5重量部、溶剤20重量部、重合開
始剤5重量部、UV硬化樹脂70重量部を含むRGB各
色のUV硬化型多官能アクリレートモノマーインクを用
いて、対応する色に着色し、これにUV処理を行い硬化
させ、第1画素部を形成した(図5(C)、図6
(A))。ここで、赤色、緑色、および青色の各インク
について、溶剤としてはポリエチレングリコールモノメ
チルエチルアセテート、重合開始剤としてはイルガキュ
ア369(商品名、チバ・スペシャルティー・ケミカル
ズ(株)製)、UV硬化樹脂としてはDPHA(ジペン
タエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)
製)を用いた。また、顔料としては、赤色インクについ
てはC. I. Pigment Red 177、緑色インクについてはC.
I. Pigment Green 36、青色インクについてはC. I. Pig
ment Blue 15 + C. I. Pigment Violet 23をそれぞれ用
いた。
【0186】4.第2画素部の形成 次いで、図7(B−2)に示す開ロパターンを設けたフ
ォトマスクを介して水銀灯(波長365nm)により露
光(70mW/cm2の照度で50秒間)して、第2画
素部用露光部を親インク性領域(表面張力50mN/m
の液体との接触角に換算して7度以下)とした(図5
(D)に相当)。そして、第1画素部の形成と同様にし
て、第1画素部の間に第2画素部を形成した(図5
(E)、図6(B))。
【0187】5.保護層の形成 保護層として、2液混合型熱硬化剤(日本合成ゴム
(株)製SS7265)をスピンコーターにより塗布
し、200℃、30分間の硬化処理を施し保護層を形成
し、カラーフィルタを得た。得られたカラーフィルタ
は、遮光部が無いにもかかわらず画素部の色ぬけや色む
らのない高品質のものであった。
【0188】[実施例2]実施例1と同様にして光触媒
含有層を形成した。次いで、この光触媒含有層上に撥イ
ンク性凸部を以下のようにして形成した。
【0189】まず、UV硬化樹脂(エステルアクリレー
ト樹脂:荒川化学工業社製、商品名:AQ−11)10
g、硬化開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ社
製、商品名:イルガキュア184)0.5g、および蒸
留水1.25gを3分間撹拌混合し、撥インク性凸部用
樹脂組成物を得た。
【0190】次に、形成された光触媒含有層上に図7
(C−1)に示す開口パターンを設けたフォトマスクを
介して実施例1と同様にして露光し、濡れ性を変化させ
て凸部用露光部を得た。そして、この凸部用露光部に上
記撥インク性凸部用樹脂組成物をディップコーターによ
り5cm/sec.の速度で塗布した後、UV露光し、
厚さ1.7μmの撥インク性凸部を形成した。
【0191】このように撥インク性凸部が形成された光
触媒含有層上に、図7(C−2)に示す開口パターンを
設けたフォトマスクを用いる以外は実施例1と同様にし
て第1画素部を形成した。
【0192】次いで、図7(A−2)に示すような第1
画素部の間を露光する開口パターンを有するフォトマス
クを用いる以外は実施例1と同様にして第2画素部を形
成し、さらに実施例1と同様にして保護層を形成した。
【0193】このようにして得られたカラーフィルタ
は、撥インク性凸部を有するので、カラーフィルタの周
囲部分でインクが流れ出てしまい正確に画素部を形成す
ることができないといった不具合がなく、かつ実施例1
同様に画素部の色ぬけや色むらのない高品質のものであ
った。
【0194】[実施例3] 1.光触媒含有層の形成 イソプロピルアルコール3g、フルオロアルキルシラン
(トーケムプロダクツ(株)製;MF−160E(商品
名)、N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−N
−エチルパーフルオロオクタンスルホンアミドのイソプ
ロピルエーテル50重量%溶液)0.014g、酸化チ
タンゾル(石原産業(株)製;STS−01(商品
名))2g、シリカゾル(日本合成ゴム(株)製;グラ
スカHPC7002(商品名))0.6g、およびアル
キルアルコキシシラン(日本合成ゴム(株)製;HPC
402II(商品名))0.2gを混合し、100℃で2
0分間撹拌した。この溶液を厚さ0.7mmの無アルカ
リガラス基板上にスピンコーティング法によりコート
し、厚さ0.15μmの光触媒含有層を得た。
【0195】2.露光による親インク性領域の形成およ
びフッ素量の低減の確認 この光触媒含有層表面に格子状のフォトマスクを介して
超高圧水銀ランプにより70mW/cm2(365n
m)の照度で2分間紫外線照射を行い、n−オクタン
(表面張力21mN/m)に対する接触角を接触角測定
器(協和界面科学製CA−Z型)により測定した結果、
未露光部は52度であったのに対し、露光部は0度であ
った。
【0196】未露光部および露光部をX線光電子分光装
置(V.G.Sientific社ESCALAB220-I-XL)により元素分析
を行った。シャリーのバッククラウンド補正、スコフィ
ールドの相対感度係数補正により定量計算を行い得られ
た結果をチタン(Ti)を100とした場合の重量によ
る相対値で示すと、未露光部はチタン(Ti)100に
対しフッ素(F)1279であるのに対し、露光部では
チタン(Ti)100に対しフッ素(F)6であった。
【0197】これらの結果から、光触媒含有層を露光す
ることにより、光触媒含有層表面のフッ素の割合が減少
し、これにより表面が撥インク性から親インク性に変化
していることがわかった。
【0198】
【発明の効果】本発明は、透明基板と、この透明基板上
にインクジェット方式により複数色を所定のパターンで
設けた画素部と、上記画素部を形成するために設けられ
た、濡れ性を変化させることができる濡れ性可変層とを
有するカラーフィルタである。したがって、この濡れ性
可変層上の濡れ性を変化させることにより、画素部を精
度良く位置決めして形成することができ、色抜けや色む
ら等の問題点の無い高品質のカラーフィルタを提供する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施態様のカラーフィルタの一例
を示す概略断面図である。
【図2】本発明の第1実施態様のカラーフィルタの他の
例を示す概略断面図である。
【図3】本発明の第2実施態様のカラーフィルタの一例
を示す概略断面図である。
【図4】本発明の第3実施態様のカラーフィルタの製造
法を説明するための工程図である。
【図5】本発明の第3実施態様のカラーフィルタの製造
法の他の例を説明するための工程図である。
【図6】図5に示す製造法において、第1画素部および
第2画素部を示す概略平面図である。
【図7】本発明のカラーフィルタの製造法に用いられる
フォトマスクの例を示す概略平面図である。
【図8】本発明の第3実施態様のカラーフィルタの製造
法の他の例を説明するための工程図である。
【図9】本発明の第4実施態様のカラーフィルタの製造
法を説明するための工程図である。
【符号の説明】
1…カラーフィルタ 2…透明基板 3…濡れ性可変層 4…画素部 5…撥インク性凸部 6…光触媒含有層
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年9月21日(2000.9.2
1)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【請求項】 前記光触媒含有層がフッ素を含み、前記
光触媒含有層に対しエネルギーを照射した際に、前記光
触媒の作用により前記光触媒含有層表面のフッ素含有量
がエネルギー照射前に比較して低下するように前記光触
媒含有層が形成されていることを特徴とする請求項1か
ら請求項6までのいずれかの請求項に記載のカラーフィ
ルタ。
【請求項】 前記光触媒含有層上へのエネルギー照射
を行い、フッ素含有量を低下させた部位におけるフッ素
含有量が、エネルギー照射されていない部分のフッ素含
有量を100とした場合に10以下であることを特徴と
する請求項記載のカラーフィルタ。
【請求項】 前記光触媒が、酸化チタン(Ti
2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)、チ
タン酸ストロンチウム(SrTiO3)、酸化タングス
テン(WO3)、酸化ビスマス(Bi23)、および酸
化鉄(Fe23)から選択される1種または2種以上の
物質であることを特徴とする請求項1から請求項8まで
のいずれかの請求項に記載のカラーフィルタ。
【請求項10】 前記光触媒が酸化チタン(TiO2
であることを特徴とする請求項記載のカラーフィル
タ。
【請求項11】 前記光触媒含有層表面におけるエネル
ギー照射前の部分のフッ素の含有量を、X線光電子分光
法で分析して定量化すると、Ti元素を100とした場
合に、フッ素元素が500以上となる比率でフッ素元素
が光触媒含有層表面に含まれている光触媒含有層を有す
ることを特徴とする請求項10記載のカラーフィルタ。
【請求項12】 前記バインダがフルオロアルキル基を
有するオルガノポリシロキサンであることを特徴とする
請求項1から請求項11までのいずれかの請求項に記載
のカラーフィルタ。
【請求項13】 前記バインダが、YnSiX(4-n)(こ
こで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル
基、アミノ基、フェニル基またはエポキシ基を示し、X
はアルコキシル基またはハロゲンを示す。nは0〜3ま
での整数である。)で示される珪素化合物の1種または
2種以上の加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合物で
あるオルガノポリシロキサンであることを特徴とする
求項1から請求項11までのいずれかの請求項に記載の
カラーフィルタ。
【請求項14】 前記オルガノポリシロキサンを構成す
る前記珪素化合物の内、フルオロアルキル基を含む珪素
化合物が、0.01モル%以上含まれていることを特徴
とする請求項13記載のカラーフィルタ。
【請求項15】 前記光触媒含有層上における表面張力
40mN/mの液体との接触角が、エネルギーが照射さ
れていない部分において10度以上であり、エネルギー
が照射された部分において10度未満であることを特徴
とする請求項1から請求項14までのいずれかの請求項
に記載のカラーフィルタ。
【請求項18】 前記インクジェット方式により着色さ
れた画素部が、UV硬化性インクを用いたインクジェッ
ト方式により着色された画素部であることを特徴とする
請求項16または請求項17に記載のカラーフィルタ。
【請求項19】 (1)透明基板上にエネルギー照射に
より照射部分の濡れ性が液体との接触角が低下する方向
に変化する光触媒含有層を設ける工程と、(2)前記透
明基板上に設けられた光触媒含有層上の画素部を形成す
る部位である画素部形成部に、エネルギーをパターン照
射して画素部用露光部を形成する工程と、(3)この画
素部用露光部にインクジェット方式で着色し、画素部を
形成する工程とを含むことを特徴とするカラーフィルタ
の製造法。
【請求項20】 前記画素部用露光部を形成した後、そ
こにインクジェット方式で着色して画素部を形成する工
程が、 (a)前記光触媒含有層上の画素部を形成する部位であ
る画素部形成部の一部にエネルギーをパターン照射して
第1画素部用露光部を形成する工程と、 (b)この第1画素部用露光部にインクジェット方式で
着色し、第1画素部を形成する工程と、 (c)前記光触媒含有層上の残りの画素部を形成する部
位である画素部形成部に露光して第2画素部用露光部を
形成する工程と、 (d)この第2画素部用露光部にインクジェット方式で
着色し、第2画素部を形成する工程と を含むことを特徴とする請求項19に記載のカラーフィ
ルタの製造法。
【請求項21】 前記画素部用露光部を形成する前に、
撥インク性凸部を形成するための凸部用露光部を形成
し、この凸部用露光部に樹脂組成物を用いて撥インク性
凸部を形成することを特徴とする請求項19または請求
項20に記載のカラーフィルタの製造法。
【請求項22】 前記撥インク性凸部を、前記画素部の
間に形成することを特徴とする請求項21記載のカラー
フィルタの製造法。
【請求項23】 (1)透明基板上にエネルギー照射に
より照射部分の濡れ性が液体との接触角が低下する方向
に変化する光触媒含有層を、画素部が形成される部位で
ある画素部形成部の境界部分に設ける工程と、(2)前
記透明基板上の画素部形成部に画素部を形成する工程と
を含むことを特徴とするカラーフィルタの製造法。
【請求項24】 前記透明基板上の濡れ性が、表面張力
40mN/mの液体との接触角として10度未満である
ことを特徴とする請求項23記載のカラーフィルタの製
造法。
【請求項29】 前記光触媒含有層上における表面張力
40mN/mの液体との接触角が、エネルギーが照射さ
れていない部分において10度以上であり、エネルギー
が照射された部分において10度未満であることを特徴
とする請求項19から請求項28までのいずれかの請求
項に記載のカラーフィルタの製造法。
【請求項32】 前記画素部用露光部へのインクジェッ
ト方式での着色が、UV硬化性インクを用いたインクジ
ェット方式による着色であることを特徴とする請求項3
0または請求項31に記載のカラーフィルタの製造法。
【請求項33】 請求項1から請求項18までのいずれ
かの請求項に記載のカラーフィルタと、これに対向し、
かつ遮光部が設けられた基板とを有し、両基板間に液晶
化合物を封入してなることを特徴とする液晶パネル。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 学 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内 Fターム(参考) 2H048 BA64 BB02 BB14 BB23 BB37 BB42 2H091 FA02Y FB12 FB13 FC23 FC25 FD03 GA03 LA12

Claims (26)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明基板と、この透明基板上にインクジ
    ェット方式により複数色を所定のパターンで設けた画素
    部と、前記画素部を形成するために設けられた、濡れ性
    を変化させることができる濡れ性可変層とを有すること
    を特徴とするカラーフィルタ。
  2. 【請求項2】 前記透明基板上に前記濡れ性可変層が形
    成されており、この濡れ性可変層上に前記画素部が設け
    られていることを特徴とする請求項1記載のカラーフィ
    ルタ。
  3. 【請求項3】 前記画素部間の距離が2μm以下である
    ことを特徴とする請求項2記載のカラーフィルタ。
  4. 【請求項4】 前記画素部の境界部分の前記濡れ性可変
    層上に撥インク性凸部が形成されていることを特徴とす
    る請求項2記載のカラーフィルタ。
  5. 【請求項5】 前記透明基板上に画素部が形成されてお
    り、この画素部の境界部分に前記濡れ性可変層が設けら
    れていることを特徴とする請求項1記載のカラーフィル
    タ。
  6. 【請求項6】 前記透明基板上の濡れ性が、表面張力4
    0mN/mの液体との接触角として10度未満であるこ
    とを特徴とする請求項5記載のカラーフィルタ。
  7. 【請求項7】 前記濡れ性可変層が、少なくとも光触媒
    とバインダとからなる光触媒含有層であり、かつエネル
    ギーの照射により液体との接触角が低下するように濡れ
    性が変化する層であることを特徴とする請求項1から請
    求項6までのいずれかの請求項に記載のカラーフィル
    タ。
  8. 【請求項8】 前記光触媒含有層がフッ素を含み、前記
    光触媒含有層に対しエネルギーを照射した際に、前記光
    触媒の作用により前記光触媒含有層表面のフッ素含有量
    がエネルギー照射前に比較して低下するように前記光触
    媒含有層が形成されていることを特徴とする請求項7記
    載のカラーフィルタ。
  9. 【請求項9】 前記光触媒含有層上へのエネルギー照射
    を行い、フッ素含有量を低下させた部位におけるフッ素
    含有量が、エネルギー照射されていない部分のフッ素含
    有量を100とした場合に10以下であることを特徴と
    する請求項8記載のカラーフィルタ。
  10. 【請求項10】 前記光触媒が、酸化チタン(Ti
    2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)、チ
    タン酸ストロンチウム(SrTiO3)、酸化タングス
    テン(WO3)、酸化ビスマス(Bi23)、および酸
    化鉄(Fe23)から選択される1種または2種以上の
    物質であることを特徴とする請求項7から請求項9まで
    のいずれかの請求項に記載のカラーフィルタ。
  11. 【請求項11】 前記光触媒が酸化チタン(TiO2
    であることを特徴とする請求項10記載のカラーフィル
    タ。
  12. 【請求項12】 前記光触媒含有層表面のフッ素の含有
    量を、X線光電子分光法で分析して定量化すると、Ti
    元素を100とした場合に、フッ素元素が500以上と
    なる比率でフッ素元素が光触媒含有層表面に含まれてい
    る光触媒含有層を有することを特徴とする請求項11記
    載のカラーフィルタ。
  13. 【請求項13】 前記バインダがフルオロアルキル基を
    有するオルガノポリシロキサンであることを特徴とする
    請求項7から請求項12までのいずれかの請求項に記載
    のカラーフィルタ。
  14. 【請求項14】 前記バインダが、YnSiX(4-n)(こ
    こで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル
    基、アミノ基、フェニル基またはエポキシ基を示し、X
    はアルコキシル基またはハロゲンを示す。nは0〜3ま
    での整数である。)で示される珪素化合物の1種または
    2種以上の加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合物で
    あるオルガノポリシロキサンであることを特徴とする請
    求項7から請求項12までのいずれかの請求項に記載の
    カラーフィルタ。
  15. 【請求項15】 前記オルガノポリシロキサンを構成す
    る前記珪素化合物の内、フルオロアルキル基を含む珪素
    化合物が、0.01モル%以上含まれていることを特徴
    とする請求項14記載のカラーフィルタ。
  16. 【請求項16】 前記光触媒含有層上における表面張力
    40mN/mの液体との接触角が、エネルギーが照射さ
    れていない部分において10度以上であり、エネルギー
    が照射された部分において10度未満であることを特徴
    とする請求項7から請求項15までのいずれかの請求項
    に記載のカラーフィルタ。
  17. 【請求項17】 前記インクジェット方式により着色さ
    れた画素部が、UV硬化性インクを用いたインクジェッ
    ト方式により着色された画素部であることを特徴とする
    請求項1から請求項16までのいずれかの請求項に記載
    のカラーフィルタ。
  18. 【請求項18】 (1)透明基板上にエネルギー照射に
    より照射部分の濡れ性が液体との接触角が低下する方向
    に変化する光触媒含有層を設ける工程と、(2)前記透
    明基板上に設けられた光触媒含有層上の画素部を形成す
    る部位である画素部形成部に、エネルギーをパターン照
    射して画素部用露光部を形成する工程と、(3)この画
    素部用露光部にインクジェット方式で着色し、画素部を
    形成する工程とを含むことを特徴とするカラーフィルタ
    の製造法。
  19. 【請求項19】 前記画素部用露光部を形成した後、そ
    こにインクジェット方式で着色して画素部を形成する工
    程が、 (a)前記光触媒含有層上の画素部を形成する部位であ
    る画素部形成部の一部にエネルギーをパターン照射して
    第1画素部用露光部を形成する工程と、 (b)この第1画素部用露光部にインクジェット方式で
    着色し、第1画素部を形成する工程と、 (c)前記光触媒含有層上の残りの画素部を形成する部
    位である画素部形成部に露光して第2画素部用露光部を
    形成する工程と、 (d)この第2画素部用露光部にインクジェット方式で
    着色し、第2画素部を形成する工程と を含むことを特徴とする請求項18に記載のカラーフィ
    ルタの製造法。
  20. 【請求項20】 前記画素部用露光部を形成する前に、
    撥インク性凸部を形成するための凸部用露光部を形成
    し、この凸部用露光部に樹脂組成物を用いて撥インク性
    凸部を形成することを特徴とする請求項18または請求
    項19に記載のカラーフィルタの製造法。
  21. 【請求項21】 前記撥インク性凸部を、前記画素部の
    間に形成することを特徴とする請求項20記載のカラー
    フィルタの製造法。
  22. 【請求項22】 (1)透明基板上にエネルギー照射に
    より照射部分の濡れ性が液体との接触角が低下する方向
    に変化する光触媒含有層を、画素部が形成される部位で
    ある画素部形成部の境界部分に設ける工程と、(2)前
    記透明基板上の画素部形成部に画素部を形成する工程と
    を含むことを特徴とするカラーフィルタの製造法。
  23. 【請求項23】 前記透明基板上の濡れ性が、表面張力
    40mN/mの液体との接触角として10度未満である
    ことを特徴とする請求項22記載のカラーフィルタの製
    造法。
  24. 【請求項24】 前記光触媒含有層上における表面張力
    40mN/mの液体との接触角が、エネルギーが照射さ
    れていない部分において10度以上であり、エネルギー
    が照射された部分において10度未満であることを特徴
    とする請求項18から請求項23までのいずれかの請求
    項に記載のカラーフィルタの製造法。
  25. 【請求項25】 前記画素部用露光部へのインクジェッ
    ト方式での着色が、UV硬化性インクを用いたインクジ
    ェット方式による着色であることを特徴とする請求項1
    8から請求項24までのいずれかの請求項に記載のカラ
    ーフィルタの製造法。
  26. 【請求項26】 請求項1から請求項17までのいずれ
    かの請求項に記載のカラーフィルタと、これに対向し、
    かつ遮光部が設けられた基板とを有し、両基板間に液晶
    化合物を封入してなることを特徴とする液晶パネル。
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