JP4245329B2 - 機能性素子の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラーフィルタやマイクロレンズをはじめとする機能性部の形状が制御可能な機能性素子の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年のパーソナルコンピューターの発達や携帯電話の普及に伴い、より高精細でかつ薄層軽量なディスプレイの製造競争が激化している。その中で、有機エレクトロルミネッセント(以下、エレクトロルミネッセントをELと略す場合がある。)素子、カラーフィルタ(以下、カラーフィルタをCFと略す場合がある。)、色変換フィルター等は、そのような要求を満足し、次世代のディスプレイを担うものとして注目されている。
【0003】
これら有機EL素子、CF、色変換フィルターを構成する複数の機能層の中には、微細なパターニングを必要とするものが多く、そのような微細なパターニングを行う方法として吐出法が用いられている。吐出法は、パターニング精度に優れ、かつ製造効率に優れている等利点の多い方法である。
【0004】
さらに、吐出法は、吐出装置本体のノズル口から、粒状または霧状の塗工液を吐出し、目的箇所に着弾させ塗布する方法であるため、その塗工液としては、ノズル口から容易に吐出させることが可能な粘度、すなわち比較的希薄な濃度の塗工液であることが要求される。しかし、希薄な濃度の塗工液は粘度が低いため塗布後、過剰な濡れ広がりによりパターニング精度を低下させるおそれがある。このような塗工液の過剰な濡れ広がりを防止する手段として、隔壁等の設置や塗布する対象物に予め濡れ性の差を設けるなどの方法により、パターンの精度を向上させる方法が提案されている。
【0005】
上述のような方法を講じて形成された機能層の形状は、図10に示すような凸形状、または図11に示すような、凹形状の形状となることが多い。このような形状の機能層は、中心部と端部とで膜厚に差があり、この差が大きい場合は、機能性素子の種類によっては、この差を原因として不都合が生じる可能性がある。例えば、凸形状または凹形状の形状の機能層が有機EL素子の発光層、CFの着色層または色変換フィルターの色変換層等の用途に用いられた場合、中心部と端部との膜厚の差から色調ムラが生じ高精細な発色を妨げ、素子寿命を低下させるといった影響を及ぼす。
【0006】
また、機能性素子の種類によっては、図10または図11に示すように中心部と端部とで膜厚が異なることが好ましい場合があるが、この際中心部と端部との膜厚の制御が困難であるという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のことから、高精細に機能性部を形成することが可能であり、かつ目的とする形状の膜厚の制御が容易である機能性素子の製造方法の提供が望まれている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は請求項1に記載するように、撥液性領域と、上記撥液性領域内に機能性層を形成するパターンの外周に沿って形成され、かつ親液性を有する機能性凸部形成用親液性領域とを有するパターン形成体用基板の、上記機能性凸部形成用親液性領域上に機能性層形成用塗工液を塗布し、機能性凸部を形成する機能性凸部形成工程と、
上記機能性凸部を、後に塗布される上記機能性層形成用塗工液と一体化しない程度に硬化させる機能性凸部硬化工程と、
上記機能性凸部で囲われた機能性内側領域に、上記機能性層形成用塗工液を吐出法により塗布し、機能性内側部を形成する機能性内側部形成工程と、
上記機能性凸部と上記機能性内側部とからなる機能性層を硬化する機能性層硬化工程と
を有することを特徴とする機能性素子の製造方法を提供する。
【0009】
本発明においては、機能性層を形成するパターンの外周に沿って、まず機能性凸部を形成する。これにより、この機能性凸部に囲われた機能性内側領域に機能性層形成用塗工液を塗布した際、機能性層形成用塗工液は、機能性凸部により機能性内側領域に留められ、この機能性内側領域に塗布される機能性層形成用塗工液の量等により、機能性凸部および機能性内側部からなる機能性層の形状を調整することが可能となり、機能性層を平坦な層や、凹状の層とすることが可能となるのである。
【0010】
また、本発明においては、機能性層が形成される上記パターン形成体用基板が、撥液性領域内に、機能性凸部を形成するパターン状に形成された機能性凸部形成用親液性領域を有することによって、濡れ性の差を利用して機能性層形成用塗工液を塗布し、高精細な機能性凸部を形成することが可能となる。さらにこの機能性凸部を利用して機能性層を形成することから、機能性層を高精細に形成することが可能となるのである。
【0011】
また、上記請求項1に記載された発明においては、請求項2に記載するように、上記パターン形成体用基板の前記撥液性領域における前記機能性層形成用塗工液との接触角と、前記機能性凸部形成用親液性領域における上記機能性層形成用塗工液との接触角との差が、20°以上であることが好ましい。上記パターン形成体用基板上の撥液性領域と親液性領域との、上記機能性層形成用塗工液との接触角差が上記範囲より低い場合には、機能性層形成用塗工液を塗布した際に、撥液性領域にも機能性層形成用塗工液が付着してしまう可能性があり、高精細に機能性凸部を形成することが困難となるからである。
【0012】
また、上記請求項1または請求項2に記載の発明においては、請求項3に記載するように、上記パターン形成体用基板が、外部刺激により液体に対する接触角が低下する濡れ性変化層を有し、上記濡れ性変化層上にパターン状に外部刺激を与えることにより、上記機能性凸部形成用親液性領域が形成されたものであることが好ましい。これにより、上記パターン形成体用基板上に、目的とする上記機能性凸部形成用親液性領域を容易に形成することが可能となり、製造効率等の面からも好ましいからである。
【0013】
上記請求項3に記載の発明においては、請求項4に記載するように、上記機能性凸部硬化工程後、上記機能性内側領域に外部刺激を与え、機能性内側部形成用親液性領域を形成する機能性内側部形成用親液性領域形成工程を有していてもよい。上記機能性内側部を形成する際に、機能性内側領域が撥液性であっても、機能性層形成用塗工液は機能性凸部に囲まれた機能性内側領域に留められることから、機能性内側部とすることが可能であるが、機能性内側領域を親液性領域とすることにより、機能性層形成用塗工液が機能性内側領域に密着し、形成された機能性層を強度の高いものとすることが可能となるからである。
【0014】
上記請求項3または請求項4に記載の発明においては、請求項5に記載するように、上記パターン形成体用基板が、基材と、上記基材上に形成された濡れ性変化層とを有していても良い。上記濡れ性変化層が自己支持性を有する場合には、上記濡れ性変化層は基材上に形成されていなくてもよいが、上記濡れ性変化層に自己支持性がない場合や、上記濡れ性変化層に強度が必要な場合等には、上記濡れ性変化層が基材上に形成されていてもよいからである。
【0015】
上記請求項3から請求項5までのいずれかの請求項に記載の発明においては、請求項6に記載するように、上記外部刺激がエネルギー照射であり、かつ上記濡れ性変化層が少なくとも光触媒およびバインダを含有し、かつエネルギー照射に伴う光触媒の作用により液体との接触角が低下する光触媒含有層であってもよい。
【0016】
上記濡れ性変化層が、上記光触媒含有層であることにより、エネルギー照射に伴い、上記光触媒含有層自体の光触媒の作用により、液体との接触角が低下した親液性領域を形成することが可能となるからである。
【0017】
上記請求項6に記載の発明においては、請求項7に記載するように、上記バインダが、オルガノポリシロキサンを含有する層であることが好ましい。本発明において、光触媒含有層に要求される特性としては、エネルギーが照射されていない場合は撥液性であり、エネルギーが照射された場合は光触媒含有層中の光触媒の作用により親液性となるといった特性である。このような特性を光触媒含有層に付与する材料として、オルガノポリシロキサンを用いることが好ましいからである。
【0018】
上記請求項7に記載の発明においては、請求項8に記載するように、上記オルガノポリシロキサンが、フルオロアルキル基を含有するポリシロキサンであることが好ましい。上記オルガノポリシロキサンが、フルオロアルキル基を含有するポリシロキサンであることが好ましい。このようにフルオロアルキル基を含有するものであれば、エネルギー照射部分と未照射部分との濡れ性の差を大きくすることが可能となるからである。
【0019】
上記請求項7または請求項8に記載の発明においては、請求項9に記載するように、上記オルガノポリシロキサンが、YSiX(4−n)(ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基またはエポキシ基を示し、Xはアルコキシル基またはハロゲンを示す。nは0〜3までの整数である。)で示される珪素化合物の1種または2種以上の加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンであることが好ましい。このようなオルガノポリシロキサンを用いることにより、上述したような濡れ性の変化に対する特性を発揮することができるからである。
【0020】
上記請求項3から請求項5までのいずれかの請求項に記載の発明においては、請求項10に記載するように、上記外部刺激がエネルギー照射であり、かつ上記濡れ性変化層が、少なくとも光触媒を含有する光触媒処理層と、上記光触媒処理層上に形成されたエネルギー照射に伴う光触媒の作用により、表面の液体との接触角が低下する層である表面変化型濡れ性変化層とからなる層であってもよい。上記濡れ性変化層が、上記光触媒処理層および上記表面変化型濡れ性変化層とからなることにより、エネルギー照射に伴い、上記光触媒処理層中の光触媒の作用により上記表面変化型濡れ性変化層の表面に親液性領域を形成することが可能となるからである。また、上記光触媒処理層と、形成される機能性部とが接触しないことから、上記機能性部が光触媒の影響を経時的に受ける可能性が少なく、高品質な機能性素子とすることが可能となるからである。
【0021】
上記請求項3から請求項5までのいずれかの請求項に記載の発明においては、請求項11に記載するように、上記外部刺激がエネルギー照射であり、かつ上記濡れ性変化層が、光触媒を含有する光触媒処理層および基体を有する光触媒処理層側基板を、上記濡れ性変化層と上記光触媒処理層とが200μm以下となるように間隙をおいて配置された後、所定の方向からエネルギー照射されることにより、表面の液体との接触角が低下するように濡れ性が変化する表面変化型濡れ性変化層であってもよい。上記濡れ性変化層が、上記表面変化型濡れ性変化層であることにより、エネルギー照射に伴い、上記光触媒処理層側基板中の光触媒の作用により表面の液体との接触角が低下し、親液性領域を形成することが可能となるからである。
【0022】
上記請求項10または請求項11に記載の発明においては、請求項12に記載するように、上記表面変化型濡れ性変化層が、オルガノポリシロキサンを含有する層であることが好ましい。本発明において、表面変化型濡れ性変化層に要求される特性としては、エネルギーが照射されていない場合は撥液性であり、エネルギーが照射された場合は光触媒処理層中の光触媒の作用により親液性となるといった特性である。このような特性を表面変化型濡れ性変化層に付与する材料として、オルガノポリシロキサンを用いることが好ましいからである。
【0023】
上記請求項12に記載の発明においては、請求項13に記載するように、上記オルガノポリシロキサンが、フルオロアルキル基を含有するポリシロキサンであることが好ましい。上記オルガノポリシロキサンが、フルオロアルキル基を含有するポリシロキサンであることが好ましい。このようにフルオロアルキル基を含有するものであれば、エネルギー照射部分と未照射部分との濡れ性の差を大きくすることが可能となるからである。
【0024】
上記請求項13に記載の発明においては、請求項14に記載するように、上記オルガノポリシロキサンが、YSiX(4−n)(ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基またはエポキシ基を示し、Xはアルコキシル基またはハロゲンを示す。nは0〜3までの整数である。)で示される珪素化合物の1種または2種以上の加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンであることが好ましい。このようなオルガノポリシロキサンを用いることにより、上述したような濡れ性の変化に対する特性を発揮することができるからである。
【0025】
上記請求項3から請求項5までのいずれかの請求項に記載の発明においては、請求項15に記載するように、上記外部刺激がエネルギー照射であり、かつ上記濡れ性変化層が、少なくとも光触媒を含有する光触媒処理層と、上記光触媒処理層上に形成されたエネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解除去される分解除去型濡れ性変化層であり、かつ上記分解除去型濡れ性変化層に対する液体の接触角と、上記分解除去型濡れ性変化層が分解除去されて露出した前記光触媒処理層に対する液体の接触角とが異なる層とからなる層であってもよい。上記濡れ性変化層が、上記光触媒処理層と、その上に形成された上記分解除去型濡れ性変化層とからなることにより、エネルギー照射に伴い、上記光触媒処理層中の光触媒の作用により、例えば上記分解除去型濡れ性変化層が分解除去されて露出した光触媒処理層を親液性領域、上記分解除去型濡れ性変化層を撥液性領域とすることが可能となり、親液性領域と撥液性領域とからなるパターンを形成することが可能となるからである。
【0026】
上記請求項3から請求項5までのいずれかの請求項に記載の発明においては、請求項16に記載するように、上記外部刺激がエネルギー照射であり、かつ上記濡れ性変化層が、光触媒を含有する光触媒処理層および基体を有する光触媒処理層側基板を、上記濡れ性変化層と上記光触媒処理層とが200μm以下となるように間隙をおいて配置された後、所定の方向からエネルギー照射されることにより、分解除去される分解除去型濡れ性変化層であり、上記分解除去型濡れ性変化層に対する液体の接触角と、上記分解除去型濡れ性変化層が分解除去されて露出した基材に対する液体の接触角とが異なる層であってもよい。
【0027】
上記濡れ性変化層が、上記分解除去型濡れ性変化層であることにより、エネルギー照射に伴い、上記光触媒処理層側基板における上記光触媒処理層中の光触媒の作用により、上記分解除去型濡れ性変化層を分解除去することが可能となり、例えば上記分解除去型濡れ性変化層が分解除去されて露出した基材を親液性領域、上記分解除去型濡れ性変化層を撥液性領域とする、親液性領域と撥液性領域とからなるパターンを形成することが可能となるからである。
【0028】
上記請求項15または請求項16に記載の発明においては、請求項17に記載するように、上記分解除去型濡れ性変化層が、自己組織化単分子膜、ラングミュア−ブロジェット膜、もしくは交互吸着膜のいずれかであることが好ましい。上記分解除去型濡れ性変化層が、上記の膜であることにより、比較的強度の高い欠陥のない膜を形成することが可能となるからである。
【0029】
上記請求項6から請求項17までのいずれかの請求項に記載の発明においては、請求項18に記載するように、上記光触媒が、上記光触媒が、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化タングステン(WO)、酸化ビスマス(Bi)、および酸化鉄(Fe)から選択される1種または2種以上の物質であることが好ましく、中でも請求項19に記載するように、上記光触媒が酸化チタン(TiO)であることが好ましい。これは、二酸化チタンのバンドギャップエネルギーが高いため光触媒として有効であり、かつ化学的にも安定で毒性もなく、入手も容易だからである。
【0030】
上記請求項1から請求項19までのいずれかの請求項に記載の発明においては、請求項20に記載するように、上記機能性内側部形成工程における吐出法が、インクジェット法であることが好ましい。上記吐出法が、インクジェット法であることにより、製造効率やコストの面から好ましいからである。
【0031】
また、本発明は請求項21に記載するように、請求項1から請求項20までのいずれかの請求項に記載の機能性素子の製造方法により製造されたカラーフィルタを提供する。
【0032】
本発明によれば、上記機能性層が画素部であることにより、高精細な画素部を有するカラーフィルタとすることができ、また、画素部の形状や膜厚等を調整することが可能となることから、様々な用途に使用可能なカラーフィルタとすることができる。
【0033】
また、本発明は請求項22に記載するように、請求項1から請求項20までのいずれかの請求項に記載の機能性素子の製造方法により製造されたマイクロレンズを提供する。
【0034】
本発明によれば、上記機能性層がレンズであることにより、高精細なレンズを有するマイクロレンズとすることができ、また、レンズの形状や膜厚等を調整することが可能となることから、様々な用途に使用可能なマイクロレンズとすることができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
本発明は、機能性素子の製造方法に関するものである。以下、本発明の機能性素子の製造方法について詳しく説明する。
【0036】
本発明の機能性素子の製造方法は、
撥液性領域と、上記撥液性領域内に機能性層を形成するパターンの外周に沿って形成され、かつ親液性を有する機能性凸部形成用親液性領域とを有するパターン形成体用基板の、上記機能性凸部形成用親液性領域上に機能性層形成用塗工液を塗布し、機能性凸部を形成する機能性凸部形成工程と、
上記機能性凸部を、後に塗布される上記機能性層形成用塗工液と一体化しない程度に硬化させる機能性凸部硬化工程と、
上記機能性凸部で囲われた機能性内側領域に、上記機能性層形成用塗工液を吐出法により塗布し、機能性内側部を形成する機能性内側部形成工程と、
上記機能性凸部と上記機能性内側部とからなる機能性層を硬化する機能性層硬化工程と
を有することを特徴とするものである。
【0037】
本発明の機能性素子の製造方法の一例を、図を用いて説明する。本発明の機能性素子の製造方法は、例えば図1の平面図で示すように、まずパターン形成体用基板1として、撥水性領域2と、その撥液性領域2内に、機能性層を形成するパターンの外周に沿って形成され、かつ親液性を有する機能性凸部形成用親液性領域3とを有するものを用意する。ここで、最終的に機能性層が形成される領域は、機能性凸部形成用親液性領域3とその内側の撥液性領域である機能性内側領域4とを合わせた領域である。このパターン形成体用基板1の概略断面図を図2(a)に示す。
【0038】
次に、上記機能性凸部形成用親液性領域3上に機能性層形成用塗工液を塗布し、機能性凸部5を形成する機能性凸部形成工程を行う(図2(b))。この際、上記パターン形成体1上の撥液性領域2内に、上記機能性凸部形成用親液性領域3が形成されていることにより、機能性層形成用塗工液は撥液性領域2および機能性内側領域4には付着せず、機能性凸部形成用親液性領域3上のみに付着する。これにより、機能性凸部5を目的とするパターン状に高精細に形成することが可能となるのである。
【0039】
次に、上記機能性凸部形成工程で形成された機能性凸部5を、後に塗布される機能性層形成用塗工液と一体化しない程度に硬化させる機能性凸部硬化工程を行う。これにより、後に機能性内側領域4に機能性層形成用塗工液が塗布された際にも、機能性凸部5の外側に機能性層形成用塗工液が流出するのを防止することが可能となるからである。
【0040】
次に、上記機能性凸部で囲われた機能性内側領域4に、例えばインクジェット装置6等により、上記機能性凸部を形成したものと同様の機能性層形成用塗工液7を塗布し(図2(c))、機能性内側部8を形成する(図2(d))。上述したように、機能性層形成用塗工液7は、機能性凸部5により機能性内側領域4に留められることから、この機能性層形成用塗工液7の塗布する量により、形成される機能性内側領域8の膜厚等を調整することが可能となるのである。
【0041】
次に、上記機能性凸部5と機能性内側部8とからなる機能性層9を硬化する機能性層硬化工程を行う(図2(e))。上記機能性凸部5と機能性内側部8とが一体となり、機能性層9を形成することが可能となるのである。
【0042】
本発明によれば、上記機能性凸部を形成することにより、機能性素子を高精細に形成することが可能となるのである。さらに、上記機能性凸部の内側に形成する機能性内側部の膜厚を調整することにより、機能性層の凹凸の制御等をすることが可能となるのである。
【0043】
以下、上述した本発明の機能性素子の製造方法について、各工程ごとに説明する。
【0044】
1.機能性凸部形成工程
まず、本発明の機能性素子の製造方法における機能性凸部形成工程について説明する。本発明の機能性凸部形成工程は、撥液性領域と、上記撥液性領域内に機能性層を形成するパターンの外周に沿って形成され、かつ親液性を有する機能性凸部形成用親液性領域とを有するパターン形成体用基板の、上記機能性凸部形成用親液性領域上に機能性層形成用塗工液を塗布し、機能性凸部を形成する工程である。以下、各構成について説明する。
【0045】
(パターン形成体用基板)
まず、本発明に用いられるパターン形成体用基板について説明する。本発明に用いられるパターン形成体用基板は、撥液性領域と、その撥液性領域内に機能性層を形成するパターンの外周に沿って形成され、かつ親液性を有する機能性凸部形成用親液性領域とを有するものである。本発明においては、このようなパターン形成体用基板を用いることにより、撥液性領域および親液性領域である機能性凸部形成用親液性領域の濡れ性の差を利用して、例えばインクジェット法等により機能性層形成用塗工液を親液性領域にのみ塗布することが可能となり、容易に高精細な機能性凸部を形成することが可能となるのである。
【0046】
本発明に用いられるパターン形成体用基板は、中でも撥液性領域における機能性層形成用塗工液との接触角と、親液性領域における機能性層形成用塗工液との接触角との差が、20゜以上、なかでも30゜以上であることが好ましい。また、撥液性領域における40mN/mの液体との接触角が、30゜以上、中でも40°以上であることが好ましく、また親液性領域における40mN/mの液体との接触角が、10°以下、中でも5゜以下であることが好ましい。
【0047】
これは、撥液性領域が、上記機能性層形成用塗工液または上記液体との接触角が小さい場合は、撥液性が十分ではなく、例えば後述する機能性凸部を形成する機能性層形成用塗工液をインクジェット方式等により塗布し、硬化させて形成する場合等に、撥液性領域にも機能性層形成用塗工液が付着する可能性があることから、高精細に機能性凸部を形成することが困難となるからである。また、エネルギー照射された部分、すなわち親液性領域における液体との接触角が高い場合は、例えば機能性凸部を形成する機能性層形成用塗工液を、親液性領域においてもはじいてしまう可能性があり、例えばインクジェット法により機能性層形成用塗工液が充分に濡れ広がらず、機能性凸部を形成することが難しくなる可能性があるからである。
【0048】
なお、ここでいう液体との接触角は、種々の表面張力を有する液体との接触角を接触角測定器(協和界面科学(株)製CA−Z型)を用いて測定(マイクロシリンジから液滴を滴下して30秒後)し、その結果から、もしくはその結果をグラフにして得たものである。また、この測定に際して、種々の表面張力を有する液体としては、純正化学株式会社製のぬれ指数標準液を用いた。
【0049】
ここで、本発明のパターン形成体用基板上に形成される機能性層を形成するパターンとは、その目的とする機能性素子により決定されるものであり、本発明のパターン形成体用基板は、その機能性素子のパターンの外周に沿って、親液性を有する機能性凸部形成用親液性領域が形成される。ここで、本発明でいう機能性素子のパターンの外周に沿ってとは、機能性素子のパターンの外周すべてに形成されており、さらに内側に後述する機能性内側領域として撥液性領域が残るように形成されることをいう。
【0050】
例えば機能性素子のパターンが方形である場合には、図1に示すように、撥液性領域2の中に、機能性層を形成する領域の外周に沿って機能性凸部形成用親液性領域3が、その内側に機能性内側領域4として、撥液性領域が残るように形成される。この際、機能性層を形成する領域とは機能性凸部形成用親液性領域3および機能性内側領域4上である。
【0051】
また、ストライプ状のパターンを形成する場合には、例えば図3に示すように、機能性層が形成される線の外周に沿って、機能性凸部形成用親液性領域3が、その内側に機能性内側領域4が残るように形成される。また、機能性層のパターンが円形である場合には、図4に示すように、機能性凸部形成用親液性領域3が、その内側に機能性内側領域4が残るように形成される。この際、機能性凸部形成用親液性領域の幅は、機能性凸部の形成される高さ等により適宜選択されるものである。
【0052】
ここで、上記機能性凸部形成用親液性領域の形成方法等は、特に限定されるものではなく、撥液性の基板に、親液性の材料を塗布する等の方法であってもよいが、本発明においては、パターン形成体用基板が、外部刺激により液体に対する接触角が低下する濡れ性変化層を有しており、その濡れ性変化層に外部刺激を与えることにより、機能性凸部形成用親液性領域が形成されたものであることが好ましい。これにより、撥液性領域中に、目的とするパターン状に外部刺激を与えることにより、容易に機能性凸部形成用親液性領域を形成することが可能となり、製造効率やコストの面からも好ましいからである。この外部刺激により液体に対する接触角が低下する濡れ性変化層を有するパターン形成体用基板については、後に詳しく説明する。
【0053】
(機能性層形成用塗工液)
次に、本発明に用いられる機能性層形成用塗工液について説明する。本発明に用いられる機能性層形成用塗工液とは、本発明により最終的に得られる機能性素子の機能性層を形成するための塗工液であり、上述したパターン形成体用基上に形成された機能性凸部形成用親液性領域上、および後述する機能性内側領域に塗布し、硬化することにより、機能性層を形成するものである。
【0054】
本発明に用いられる機能性用塗工液は、最終的に形成される機能性層の種類に応じてその材料等は選択されるものである。
【0055】
ここで機能性とは、光学的(光選択吸収、反射性、偏光性、光選択透過性、非線形光学性、蛍光あるいはリン光等のルミネッセンス、フォトクロミック性等)、磁気的(硬磁性、軟磁性、非磁性、透磁性等)、電気・電子的(導電性、絶縁性、圧電性、焦電性、誘電性等)、化学的(吸着性、脱着性、触媒性、吸水性、イオン伝導性、酸化還元性、電気化学特性、エレクトロクロミック性等)、機械的(耐摩耗性等)、熱的(伝熱性、断熱性、赤外線放射性等)、生体機能的(生体適合性、抗血栓性等)のような各種の機能を意味するものである。
【0056】
本発明においては、最終的に得られる機能性素子がカラーフィルタまたは、マイクロレンズであることが好ましく、例えば機能性素子がカラーフィルタである場合には、上記機能性層形成用塗工液は、一般的に画素部を形成する材料等を用いることが可能である。
【0057】
また、上記機能性用塗工液は、熱硬化型であってもよく、紫外線硬化型であってもよく、その硬化方法等は特に限定されるものではない。
【0058】
(機能性凸部の形成)
次に、機能性凸部の形成について説明する。本発明の機能性部形成工程においては、上述したパターン形成体用基板上の機能性凸部形成用親液性領域に上述した機能性層形成用塗工液を塗布することにより、機能性凸部が形成される。
【0059】
この機能性凸部の形成方法としては、上記機能性凸部形成用親液性領域上に上記機能性層形成用塗工液を塗布することが可能であれば、特に限定されるものではなく、本発明においては、例えば機能性素子を形成する機能性部形成用組成物等を、ディップコート、ロールコート、ブレードコート、スピンコート等の塗布手段、インクジェット等を含むノズル吐出手段等が挙げられる。本発明においては、上記の方法の中でもノズル吐出法がコスト等の面から好ましい。
【0060】
本発明においては、上述したパターン形成体用基板上の撥液性領域中に上記機能性凸部形成用親液性領域が形成されていることから、この濡れ性の差を利用して、機能性凸部を形成しない撥液性領域上には、機能性層形成用塗工液が付着することなく、親液性領域である機能性凸部形成用親液性領域上のみに、高精細に機能性層を形成することが可能となるのである。
【0061】
本発明においては、機能性凸部の厚さは、機能性素子の種類により決定されるものであるが、一般的には、硬化後の機能性凸部の厚さが1μm〜200μmの範囲内であることが好ましい。
【0062】
2.機能性凸部硬化工程
次に、上記機能性凸部形成工程後、機能性凸部硬化工程を行う。本発明の機能性凸部硬化工程は、上記機能性凸部形成工程により形成された機能性凸部を、後に塗布される上記機能性層形成用塗工液と一体化しない程度に硬化させる工程であり、その硬化方法は、上記機能性用塗工液の種類により適宜選択されるものであるが、一般的には、熱、紫外線、EB、風、減圧、化学的に硬化反応を引き起こす材料の添加等の手法を用いて、目的とする状態まで機能性凸部を硬化させる工程である。
本工程においては、上記機能性凸部は、完全に硬化させる必要はなく、少なくとも後述する機能性内側部形成工程により塗布される機能性層形成用塗工液と一体化しない程度まで硬化させればよい。
【0063】
なお、本発明でいう上記機能性層形成用塗工液と一体化しない程度に硬化とは、少なくとも機能性凸部の形状を保つ程度まで硬化させることをいい、後述する機能性内側領域に、機能性層形成用塗工液が塗布された場合に少なくとも形状が変化しない程度まで硬化させることをいう。例えば、表面のみ乾燥、硬化し、内部までは完全に硬化していない皮膜の張った状態が、これに該当する。
【0064】
また、この機能性凸部の硬化の程度は、目的とする機能性素子の機能性層の形状によっても、適宜選択されるものである。例えば、上記機能性層形成用塗工液が、硬化により体積収縮が起きるものであり、目的とする機能性素子の機能性層が平坦な層である場合には、上記機能性凸部形成工程において形成された機能性凸部の高さを1とすると、本工程により硬化された後の機能性凸部の高さが0.8以上となるようにすることが好ましい。これは、後述する機能性内側部形成工程において、塗布される機能性層形成用塗工液の量は、この機能性凸部の高さに左右されるものであるからである。例えば、図5に示すように、機能性内側部8を形成する機能性層形成用塗工液は、最大限機能性凸部5の高さまでしか塗布されない(図5(a))。この後、機能性内側部8および機能性凸部5が硬化し、機能性層9となる。この際、機能性凸部5および機能性内側部8の収縮率は同じであることから、すでに収縮している機能性凸部5と、全く収縮していない機能性内側部8が完全に硬化した場合には、機能性内側部8の高さが低くなり、平坦な機能性層9とすることが困難となるのである(図5(b))。
【0065】
一方、本工程により硬化された機能性凸部の高さが、上記値以上である場合には、機能性凸部および機能性内側部の硬化により高さが大きく異ならないものとすることができ、最終的に得られる機能性層を平坦な層とすることが可能となるのである。
【0066】
また、目的とする機能性層の中心部と端部とで膜厚が異なる場合には、適宜本工程における機能性凸部の硬化の程度を調整することにより、目的とする機能性層を形成することが可能となるのである。
【0067】
3.機能性内側部形成工程
次に、機能性内側部形成工程を行う。本発明における機能性内側部形成工程は、上記機能性凸部で囲われた機能性内側領域に、上記機能性層形成用塗工液を吐出法により塗布し、機能性内側部を形成する工程である。
【0068】
本工程は、上述した機能性塗工液を吐出法により上記機能性凸部で囲われた機能性内側領域に塗布することにより、上記機能性層形成用塗工液は、上記機能性凸部内に留められる。これにより、目的とする機能性層を形成する領域以外には、機能性層形成用塗工液が塗布されることがなく、機能性部を高精細に形成することが可能となるのである。また、機能性内側領域に塗布する機能性層形成用塗工液の量を調整することにより、膜厚や、機能性凸部との凹凸等、目的とする形状の機能性層を形成することが可能となるのである。
【0069】
ここで、本発明に用いられる吐出法は、ディスペンサーを用いる方法や、インクジェット法、電解ジェット法等を挙げることができ、本発明においては、中でもインクジェット法であることが、コスト等の面から好ましい。
【0070】
なお、後で詳しく説明するパターン形成体用基板が、外部刺激を与えることにより、液体との接触角が低下する濡れ性変化層を有する場合には、本工程を行う前に、機能性内側領域に外部刺激を与え、親液性領域としてもよい。これにより、本工程により塗布される機能性層形成用塗工液と機能性内側領域との密着性を向上させることが可能となり、機能性層とした際に、強度の高いものとすることが可能となるからである。
【0071】
4.機能性層硬化工程
最後に、上記機能性内側部形成工程後、機能性層硬化工程を行う。本発明の機能性層硬化工程は、上記機能性凸部と上記機能性内側部とからなる機能性層を硬化する工程である。
【0072】
本工程により機能性凸部と機能性内側部とを完全に硬化させ、機能性凸部と機能性内側部とが一体となった、機能性層とすることができるのである。本工程の硬化は、上述した機能性凸部硬化工程と同様に、塗布された機能性層形成用工程で述べたような硬化方法を用いることが可能である。
【0073】
5.その他
ここで、上記パターン形成体用基板が、外部刺激により液体に対する接触角が低下する濡れ性変化層を有する場合の、パターン形成体用基板について説明する。
【0074】
本発明においては、上記濡れ性変化層を有するパターン形成体用基板を用いることにより、容易にパターン形成体用基板上の撥液性領域中に、親液性領域からなる機能性凸部形成用親液性領域を形成することが可能となるのである。また、上述した機能性凸部硬化工程後、パターン形成体用基板上に機能性内側部を形成する機能性内側領域に外部刺激を与え、この機能性内側部を親液性領域とする機能性内側内側部形成用親液性領域形成工程を行ってもよい。これにより、機能性層形成用塗工液を塗布して機能性内側部を形成した際に、機能性内側部とパターン形成体用基板との密着性を高めることが可能となり、これにより強度の高い機能性層を形成することが可能となるのである。
【0075】
ここで、上記濡れ性変化層は、基材上に形成されていてもよく、またパターン形成体上に遮光部等が形成されていてもよい。以下、このパターン形成体用基板が上記濡れ性変化層を有する場合の、パターン形成体用基板を構成する各構成について説明する。
【0076】
(1)濡れ性変化層
まず、本発明に用いられる濡れ性変化層について説明する。本発明に用いられる濡れ性変化層は、外部刺激、例えば物理的刺激、化学的刺激等により液体に対する接触角が低下するものであれば、特に限定されるものではないが、本発明においては、製造効率やコストの面から、上記外部刺激が紫外光等のエネルギー照射により液体との接触角が低下するものであることが好ましい。これにより、光触媒等を用いて、大規模な装置や特別な材料を必要とすることなく、効率よく親液性領域と撥液性領域からなるパターンを形成することが可能となるからである。
【0077】
このような特性を有する濡れ性変化層としては、少なくとも光触媒およびバインダを含有し、かつエネルギー照射に伴う光触媒の作用により液体との接触角が低下する光触媒含有層である場合(以下、第一実施態様とする)、少なくとも光触媒を含有する光触媒処理層と、上記光触媒処理層上に形成されたエネルギー照射に伴う光触媒の作用により、表面の液体との接触角が低下する層である表面変化型濡れ性変化層とからなる層である場合(以下、第二実施態様とする)、光触媒を含有する光触媒処理層および基体を有する光触媒処理層側基板を、上記濡れ性変化層と上記光触媒処理層とが200μm以下となるように間隙をおいて配置された後、所定の方向からエネルギー照射されることにより、表面の液体との接触角が低下するように濡れ性が変化する表面変化型濡れ性変化層である場合(以下、第三実施態様とする)、上記濡れ性変化層が、少なくとも光触媒を含有する光触媒処理層と、上記光触媒処理層上に形成されたエネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解除去される分解除去型濡れ性変化層であり、かつ上記分解除去型濡れ性変化層に対する液体の接触角と、上記分解除去型濡れ性変化層が分解除去されて露出した前記光触媒処理層に対する液体の接触角とが異なる層とからなる層である場合(以下、第四実施態様とする)、または上記濡れ性変化層が、光触媒を含有する光触媒処理層および基体を有する光触媒処理層側基板を、上記濡れ性変化層と上記光触媒処理層とが200μm以下となるように間隙をおいて配置された後、所定の方向からエネルギー照射されることにより、分解除去される分解除去型濡れ性変化層であり、上記分解除去型濡れ性変化層に対する液体の接触角と、上記分解除去型濡れ性変化層が分解除去されて露出した基材に対する液体の接触角とが異なる層である場合(以下、第五実施態様とする)が好ましい。以下、各実施態様ごとに説明する。
【0078】
a.第一実施態様
まず、上記濡れ性変化層の第一実施態様について説明する。上記濡れ性変化層の第一実施態様は、上記濡れ性変化層が、少なくとも光触媒およびバインダを含有し、かつエネルギー照射に伴う光触媒の作用により液体との接触角が低下する光触媒含有層である場合である。
【0079】
本実施態様に用いられる光触媒含有層は、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により、液体との接触角が低下する層であり、かつ少なくとも光触媒およびバインダを含有する層であれば特に限定されるものではなく、これにより、エネルギー照射された部分を親液性領域、エネルギー照射されていない部分を撥液性領域とすることが可能となる。
【0080】
ここで、光触媒含有層のエネルギー照射されていない撥液性領域と機能性層形成用塗工液との接触角、および光触媒含有層のエネルギー照射された親液性領域と機能性層形成用塗工液との接触角は、上述したパターン形成体用基板の項で述べたものと同様の値であることが好ましい。
【0081】
本実施態様に用いられる光触媒含有層は、この光触媒含有層中にフッ素が含有され、さらにこの光触媒含有層表面のフッ素含有量が、光触媒含有層に対しエネルギーを照射した際に、上記光触媒の作用によりエネルギー照射前に比較して低下するように上記光触媒含有層が形成されていてもよく、またエネルギー照射による光触媒の作用により分解され、これにより光触媒含有層上の濡れ性を変化させることができる分解物質を含むように形成されていてもよい。
【0082】
上述したような光触媒含有層における、後述するような二酸化チタンに代表される光触媒の作用機構は、必ずしも明確なものではないが、光の照射によって生成したキャリアが、近傍の化合物との直接反応、あるいは、酸素、水の存在下で生じた活性酸素種によって、有機物の化学構造に変化を及ぼすものと考えられている。本実施態様においては、このキャリアが光触媒含有層内のバインダ化合物に作用を及ぼし、その表面の濡れ性を変化させるものであると考えられる。
【0083】
以下、このような光触媒含有層を構成する、光触媒、バインダ、およびその他の成分について説明する。
【0084】
(i)光触媒
まず、本実施態様に用いられる光触媒について説明する。本実施態様に用いられる光触媒としては、光半導体として知られる例えば二酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化タングステン(WO)、酸化ビスマス(Bi)、および酸化鉄(Fe)を挙げることができ、これらから選択して1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0085】
本実施態様においては、特に二酸化チタンが、バンドギャップエネルギーが高く、化学的に安定で毒性もなく、入手も容易であることから好適に使用される。二酸化チタンには、アナターゼ型とルチル型があり本実施態様ではいずれも使用することができるが、アナターゼ型の二酸化チタンが好ましい。アナターゼ型二酸化チタンは励起波長が380nm以下にある。
【0086】
このようなアナターゼ型二酸化チタンとしては、例えば、塩酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(石原産業(株)製STS−02(平均粒径7nm)、石原産業(株)製ST−K01)、硝酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(日産化学(株)製TA−15(平均粒径12nm))等を挙げることができる。
【0087】
光触媒の粒径は小さいほど光触媒反応が効果的に起こるので好ましく、平均粒径か50nm以下が好ましく、20nm以下の光触媒を使用するのが特に好ましい。
【0088】
本実施態様に用いられる光触媒含有層中の光触媒の含有量は、5〜60重量%、好ましくは20〜40重量%の範囲で設定することができる。また、光触媒含有層の厚みは、0.05〜10μmの範囲内が好ましい。
【0089】
(ii)バインダ
次に、本実施態様に用いられるバインダについて説明する。本実施態様においては、光触媒含有層上の濡れ性の変化をバインダ自体に光触媒が作用することにより行う場合(第1の形態)と、エネルギー照射による光触媒の作用により分解され、これにより光触媒含有層上の濡れ性を変化させることができる分解物質を光触媒含有層に含有させることにより変化させる場合(第2の形態)と、これらを組み合わせることにより行う場合(第3の形態)の三つ形態に分けることができる。上記第1の形態および第3の形態において用いられるバインダは、光触媒の作用により光触媒含有層上の濡れ性を変化させることができる機能を有する必要があり、上記第2の形態では、このような機能は特に必要ない。
【0090】
以下、まず第2の形態に用いられるバインダ、すなわち光触媒の作用により光触媒含有層上の濡れ性を変化させる機能を特に必要としないバインダについて説明し、次に第1の形態および第3の形態に用いられるバインダ、すなわち光触媒の作用により光触媒含有層上の濡れ性を変化させる機能を有するバインダについて説明する。
【0091】
上記第2の形態に用いられる、光触媒の作用により光触媒含有層上の濡れ性を変化させる機能を特に必要としないバインダとしては、主骨格が上記光触媒の光励起により分解されないような高い結合エネルギーを有するものであれば特に限定されるものではない。具体的には、有機置換基を有しない、もしくは多少有機置換基を有するポリシロキサンを挙げることができ、これらはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等を加水分解、重縮合することにより得ることができる。
【0092】
このようなバインダを用いた場合は、添加剤としてエネルギー照射による光触媒の作用により分解され、これにより光触媒含有層上の濡れ性を変化させることができる分解物質を光触媒含有層中に含有させることが必須となる。
【0093】
次に、上記第1の形態および第3の形態に用いられる、光触媒の作用により光触媒含有層上の濡れ性を変化させる機能を必要とするバインダについて説明する。このようなバインダとしては、主骨格が上記の光触媒の光励起により分解されないような高い結合エネルギーを有するものであって、光触媒の作用により分解されるような有機置換基を有するものが好ましく、例えば、(1)ゾルゲル反応等によりクロロまたはアルコキシシラン等を加水分解、重縮合して大きな強度を発揮するオルガノポリシロキサン、(2)撥水牲や撥油性に優れた反応性シリコーンを架橋したオルガノポリシロキサン等を挙げることができる。
【0094】
上記の(1)の場合、一般式:
SiX(4−n)
(ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基またはエポキシ基を示し、Xはアルコキシル基、アセチル基またはハロゲンを示す。nは0〜3までの整数である。)
で示される珪素化合物の1種または2種以上の加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンであることが好ましい。なお、ここでYで示される基の炭素数は1〜20の範囲内であることが好ましく、また、Xで示されるアルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基であることが好ましい。
【0095】
また、バインダとして、特にフルオロアルキル基を含有するポリシロキサンが好ましく用いることができ、具体的には、下記のフルオロアルキルシランの1種または2種以上の加水分解縮合物、共加水分解縮合物が挙げられ、一般にフッ素系シランカップリング剤として知られたものを使用することができる。
CF(CFCHCHSi(OCH
CF(CFCHCHSi(OCH
CF(CFCHCHSi(OCH
CF(CFCHCHSi(OCH
(CFCF(CFCHCHSi(OCH
(CFCF(CFCHCHSi(OCH
(CFCF(CFCHCHSi(OCH
CF(C)CSi(OCH
CF(CF(C)CSi(OCH
CF(CF(C)CSi(OCH
CF(CF(C)CSi(OCH
CF(CFCHCHSiCH(OCH
CF(CFCHCHSiCH(OCH
CF(CFCHCHSiCH(OCH
CF(CFCHCHSiCH(OCH
(CFCF(CFCHCHSiCH(OCH
(CFCF(CFCHCHSi CH(OCH
(CFCF(CFCHCHSi CH(OCH
CF(C)CSiCH(OCH
CF(CF(C)CSiCH(OCH
CF(CF(C)CSiCH(OCH
CF(CF(C)CSiCH(OCH
CF(CFCHCHSi(OCHCH
CF(CFCHCHSi(OCHCH
CF(CFCHCHSi(OCHCH
CF(CFCHCHSi(OCHCH
CF(CFSON(C)CCHSi(OCH
上記のようなフルオロアルキル基を含有するポリシロキサンをバインダとして用いることにより、光触媒含有層のエネルギー未照射部の撥液性が大きく向上し、機能性部を形成する機能性層形成用塗工液の付着を妨げる機能を発現する。
【0096】
また、上記の(2)の反応性シリコーンとしては、下記一般式で表される骨格をもつ化合物を挙げることができる。
【0097】
【化1】
Figure 0004245329
【0098】
ただし、nは2以上の整数であり、R,Rはそれぞれ炭素数1〜10の置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、アリールあるいはシアノアルキル基であり、モル比で全体の40%以下がビニル、フェニル、ハロゲン化フェニルである。また、R、Rがメチル基のものが表面エネルギーが最も小さくなるので好ましく、モル比でメチル基が60%以上であることが好ましい。また、鎖末端もしくは側鎖には、分子鎖中に少なくとも1個以上の水酸基等の反応性基を有する。
【0099】
また、上記のオルガノポリシロキサンとともに、ジメチルポリシロキサンのような架橋反応をしない安定なオルガノシリコン化合物をバインダに混合してもよい。
【0100】
(iii)分解物質
上記第2の形態および第3の形態においては、さらにエネルギー照射による光触媒の作用により分解され、これにより光触媒含有層上の濡れ性を変化させることができる分解物質を光触媒含有層に含有させる必要がある。すなわち、バインダ自体に光触媒含有層上の濡れ性を変化させる機能が無い場合、およびそのような機能が不足している場合に、上述したような分解物質を添加して、上記光触媒含有層上の濡れ性の変化を起こさせる、もしくはそのような変化を補助させるようにするのである。
【0101】
このような分解物質としては、光触媒の作用により分解し、かつ分解されることにより光触媒含有層表面の濡れ性を変化させる機能を有する界面活性剤を挙げることができる。具体的には、日光ケミカルズ(株)製NIKKOL BL、BC、BO、BBの各シリーズ等の炭化水素系、デュポン社製ZONYL FSN、FSO、旭硝子(株)製サーフロンS−141、145、大日本インキ化学工業(株)製メガファックF−141、144、ネオス(株)製フタージェントF−200、F251、ダイキン工業(株)製ユニダインDS−401、402、スリーエム(株)製フロラードFC−170、176等のフッ素系あるいはシリコーン系の非イオン界面活性剤を挙げることができ、また、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤を用いることもできる。
【0102】
また、界面活性剤の他にも、ポリビニルアルコール、不飽和ポリエステル、アクリル樹脂、ポリエチレン、ジアリルフタレート、エチレンプロピレンジエンモノマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ナイロン、ポリエステル、ポリブタジエン、ポリベンズイミダゾール、ポリアクリルニトリル、エピクロルヒドリン、ポリサルファイド、ポリイソプレン等のオリゴマー、ポリマー等を挙げることができる。
【0103】
(iv)フッ素の含有
また、本実施態様においては、光触媒含有層がフッ素を含有し、さらにこの光触媒含有層表面のフッ素含有量が、光触媒含有層に対しエネルギーを照射した際に、上記光触媒の作用によりエネルギー照射前に比較して低下するように上記光触媒含有層が形成されていることが好ましい。
【0104】
このような特徴を有する光触媒含有層であれば、エネルギーをパターン照射することにより、後述するように容易にフッ素の含有量の少ない部分からなるパターンを形成することができる。ここで、フッ素は極めて低い表面エネルギーを有するものであり、このためフッ素を多く含有する物質の表面は、臨界表面張力がより小さくなる。したがって、フッ素の含有量の多い部分の表面の臨界表面張力に比較してフッ素の含有量の少ない部分の臨界表面張力は大きくなる。これはすなわち、フッ素含有量の少ない部分はフッ素含有量の多い部分に比較して親液性領域となっていることを意味する。よって、周囲の表面に比較してフッ素含有量の少ない部分からなるパターンを形成することは、撥液性域内に親液性領域のパターンを形成することとなる。
【0105】
したがって、このような光触媒含有層を用いた場合は、エネルギーをパターン照射することにより、撥液性領域内に親液性領域のパターンを容易に形成することができるので、例えばインクジェット法等により、機能性層形成用塗工液を塗布した場合に、高精細な機能性部を形成することが可能となるからである。
【0106】
上述したような、フッ素を含む光触媒含有層中に含まれるフッ素の含有量としては、エネルギーが照射されて形成されたフッ素含有量が低い親液性領域におけるフッ素含有量が、エネルギー照射されていない部分のフッ素含有量を100とした場合に10以下、好ましくは5以下、特に好ましくは1以下である。
【0107】
このような範囲内とすることにより、エネルギー照射部分と未照射部分との親液性に大きな違いを生じさせることができる。したがって、このような光触媒含有層に、例えば機能性層形成用塗工液を付着させることにより、フッ素含有量が低下した親液性領域のみに正確に機能性部を形成することが可能となり、精度の良い機能性素子を得ることができるからである。なお、この低下率は重量を基準としたものである。
【0108】
このような光触媒含有層中のフッ素含有量の測定は、一般的に行われている種々の方法を用いることが可能であり、例えばX線光電子分光法(X-ray Photoelectron Spectroscopy, ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)とも称される。)、蛍光X線分析法、質量分析法等の定量的に表面のフッ素の量を測定できる方法であれば特に限定されるものではない。
【0109】
また、本実施態様においては、光触媒として上述したように二酸化チタンが好適に用いられるが、このように二酸化チタンを用いた場合の、光触媒含有層中に含まれるフッ素の含有量としては、X線光電子分光法で分析して定量化すると、チタン(Ti)元素を100とした場合に、フッ素(F)元素が500以上、このましくは800以上、特に好ましくは1200以上となる比率でフッ素(F)元素が光触媒含有層表面に含まれていることが好ましい。
【0110】
フッ素(F)が光触媒含有層にこの程度含まれることにより、光触媒含有層上における臨界表面張力を十分低くすることが可能となることから表面における撥液性を確保でき、これによりエネルギーをパターン照射してフッ素含有量を減少させたパターン部分における表面の親液性領域との濡れ性の差異を大きくすることができ、最終的に得られる機能性素子の精度を向上させることができるからである。
【0111】
さらに、このような機能性素子においては、エネルギーをパターン照射して形成される親インク領域におけるフッ素含有量が、チタン(Ti)元素を100とした場合にフッ素(F)元素が50以下、好ましくは20以下、特に好ましくは10以下となる比率で含まれていることが好ましい。
【0112】
光触媒含有層中のフッ素の含有率をこの程度低減することができれば、機能性素子を形成するためには十分な親液性を得ることができ、上記エネルギーが未照射である部分の撥液性との濡れ性の差異により、機能性素子を精度良く形成することが可能となり、利用価値の高い機能性素子を得ることができる。
【0113】
(v)光触媒含有層の製造方法
上述したようにオルガノポリシロキサンをバインダとして用いた場合は、上記光触媒含有層は、光触媒とバインダであるオルガノポリシロキサンとを必要に応じて他の添加剤とともに溶剤中に分散して塗布液を調製し、この塗布液を基材上に塗布することにより形成することができる。使用する溶剤としては、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系の有機溶剤が好ましい。塗布はスピンコート、スプレーコート、ディッブコート、ロールコート、ビードコート等の公知の塗布方法により行うことができる。バインダとして紫外線硬化型の成分を含有している場合、紫外線を照射して硬化処理を行うことにより、光触媒含有層を形成することができる。
【0114】
b.第二実施態様
次に、上記濡れ性変化層における第二実施態様について説明する。上記濡れ性変化層における第二実施態様は、少なくとも光触媒を含有する光触媒処理層と、上記光触媒処理層上に形成されたエネルギー照射に伴う光触媒の作用により、表面の液体との接触角が低下する層である表面変化型濡れ性変化層とからなる層である場合である。
【0115】
本実施態様においては、光触媒処理層上にエネルギー照射に伴う光触媒の作用により液体との接触角が低下する表面変化型濡れ性変化層が形成されていることから、エネルギー照射によって、光触媒処理層中の光触媒が表面変化型濡れ性変化層に作用し、表面変化型濡れ性変化層上のエネルギー照射された部分を、液体との接触角が低下するように変化させることが可能となるのである。
【0116】
ここで、表面変化型濡れ性変化層のエネルギー照射されていない撥液性領域と機能性層形成用塗工液との接触角、および表面変化型濡れ性変化層のエネルギー照射された親液性領域と機能性層形成用塗工液との接触角は、上述したパターン形成体用基板の項で述べたものと同様の値であることが好ましい。以下、上記光触媒処理層および表面変化型濡れ性変化層について説明する。
【0117】
(i)光触媒処理層
本実施態様に用いられる光触媒処理層は、少なくとも光触媒を含有するものであり、光触媒処理層がバインダを有する場合は、上記第一実施態様で説明した光触媒含有層と同様であるので、ここでの説明は省略する。ただし、本実施態様においては、光触媒処理層上の濡れ性は特に変化する必要がないことから、バインダ自体に光触媒が作用することによる濡れ性の変化が生じない場合であっても、第一実施態様のように分解物質を光触媒処理層に含有させる必要がない。また、バインダを有する場合の光触媒処理層の製造方法は、上述した第一実施態様と同様であるので、これについての説明も省略する。
【0118】
一方、バインダを有さない場合の光触媒処理層の形成方法としては、例えば、スパッタリング法、CVD法、真空蒸着法等の真空製膜法を用いる方法を挙げることができる。真空製膜法により光触媒処理層を形成することにより、均一な膜でかつ光触媒のみを含有する光触媒処理層とすることが可能であり、これにより表面変化型濡れ性変化層上の濡れ性を均一に変化させることが可能であり、かつ光触媒のみからなることから、バインダを用いる場合と比較して効率的に表面変化型濡れ性変化層上の濡れ性を変化させることが可能となる。
【0119】
また、光触媒のみからなる光触媒処理層の他の形成方法としては、例えば光触媒が二酸化チタンの場合は、基材上に無定形チタニアを形成し、次いで焼成により結晶性チタニアに相変化させる方法等が挙げられる。ここで用いられる無定形チタニアとしては、例えば四塩化チタン、硫酸チタン等のチタンの無機塩の加水分解、脱水縮合、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラメトキシチタン等の有機チタン化合物を酸存在下において加水分解、脱水縮合によって得ることができる。次いで、400℃〜500℃における焼成によってアナターゼ型チタニアに変性し、600℃〜700℃の焼成によってルチル型チタニアに変性することができる。
【0120】
(ii)表面変化型濡れ性変化層
次に、本実施態様に用いられる表面変化型濡れ性変化層について説明する。
【0121】
本実施態様に用いられる表面変化型濡れ性変化層は、上記光触媒処理層の作用により濡れ性が変化する層であれば特に限定されるものではないが、上述した第一実施態様の光触媒含有層中のバインダと同様の材料で形成することが好ましい。なお、このように上記第一実施態様の光触媒含有層中のバインダと同様の材料で形成した場合の表面変化型濡れ性変化層の材料および形成方法に関しては、上記第一実施態様と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0122】
本実施態様において、この表面変化型濡れ性変化層の厚みは、光触媒による濡れ性の変化速度等の関係より、0.001μmから1μmであることが好ましく、特に好ましくは0.01〜0.1μmの範囲内である。
【0123】
本実施態様において上述した成分の表面変化型濡れ性変化層を用いることにより、隣接する光触媒処理層中の光触媒の作用により、上記成分の一部である有機基や添加剤の酸化、分解等の作用を用いて、エネルギー照射部分の濡れ性を変化させて親液性とし、エネルギー未照射部との濡れ性に大きな差を生じさせることができる。
【0124】
なお、この表面変化型濡れ性変化層には、上記第一実施態様における光触媒含有層の説明中「フッ素の含有」の項で記載したものと同様にして同様のフッ素を含有させることができる。
【0125】
また、本実施態様においては、表面変化型濡れ性変化層中に光触媒を含有する必要がなく、この場合には、経時的に機能性部が光触媒の影響を受ける可能性を少なくすることが可能である。
【0126】
c.第三実施態様
次に、上記濡れ性変化層の第三実施態様について説明する。上記濡れ性変化層における第三実施態様は、光触媒を含有する光触媒処理層および基体を有する光触媒処理層側基板を、上記濡れ性変化層と上記光触媒処理層とが200μm以下となるように間隙をおいて配置された後、所定の方向からエネルギー照射されることにより、表面の液体との接触角が低下するように濡れ性が変化する表面変化型濡れ性変化層である場合である。
【0127】
本実施態様における表面変化型濡れ性変化層は、例えば図6に示すように、表面変化型濡れ性変化層21と、光触媒を含有する光触媒処理層10および基体11とを有する光触媒処理層側基板12を準備する。次に、上記表面変化型濡れ性変化層21と光触媒処理層10とが、所定の間隙となるように配置された後、フォトマスク13等を用いて、所定の方向からエネルギー15を照射されることにより、表面変化型濡れ性変化層21上におけるエネルギー照射された部分の液体との接触角が低下するように濡れ性が変化するものである。
【0128】
なお、上記光触媒処理層側基板は、エネルギー照射の間のみ、上記位置に配置されていればよい。
【0129】
本実施態様に用いられる表面変化型濡れ性変化層については、第二実施態様で説明した表面変化型濡れ性変化層と同様であるので、ここでの説明は省略し、光触媒処理層側基板のみについて説明する。
【0130】
本実施態様に用いられる光触媒処理層側基板は、少なくとも光触媒処理層と基体とを有するものであり、通常は基体上に所定の方法で形成された薄膜状の光触媒処理層が形成されてなるものである。また、この光触媒処理層側基板には、パターン状に形成された光触媒処理層側遮光部やプライマー層が形成されたものも用いることができる。
【0131】
本実施態様においては、エネルギーを照射する際に、上記表面変化型濡れ性変化層と、上記光触媒処理層側基板における光触媒処理層とを所定の間隙をおいて対向させ、光触媒処理層側基板の光触媒処理層の作用により、表面変化型濡れ性変化層の濡れ性を変化させ、エネルギー照射後、光触媒処理層側基板を取り外すことにより濡れ性パターンが形成されるのである。以下、この光触媒処理層側基板の各構成について説明する。
【0132】
(i)光触媒処理層
本実施態様に用いられる光触媒処理層は、少なくとも光触媒を含有するものであり、バインダを有していても、有していなくてもよく、上述した第二実施態様の光触媒処理層と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0133】
ここで、本実施態様において用いられる光触媒処理層は、例えば図6に示すように、基体11上に全面に形成されたものであってもよいが、例えば図7に示すように、基体11上に光触媒処理層10がパターン状に形成されたものであってもよい。
【0134】
このように光触媒処理層をパターン状に形成することにより、エネルギーを照射する際に、フォトマスク等を用いてパターン照射をする必要がなく、全面に照射することにより、表面変化型濡れ性変化層上に親液性領域と撥液性領域とからなる濡れ性パターンを形成することができる。
【0135】
この光触媒処理層のパターニング方法は、特に限定されるものではないが、例えばフォトリソグラフィー法等により行うことが可能である。
【0136】
また、光触媒処理層と表面変化型濡れ性変化層とを例えば密着させてエネルギー照射を行う場合には、実際に光触媒処理層の形成された部分のみの濡れ性が変化するものであるので、エネルギーの照射方向は上記光触媒処理層と表面変化型濡れ性変化層とが対向する部分にエネルギーが照射されるものであれば、いかなる方向から照射されてもよく、さらには、照射されるエネルギーも特に平行光等の平行なものに限定されないという利点を有するものとなる。
【0137】
(ii)基体
本実施態様においては、図6に示すように、光触媒処理層側基板は、少なくとも基体11とこの基体11上に形成された光触媒処理層10とを有するものである。この際、用いられる基体を構成する材料は、後述するエネルギーの照射方向や、得られる機能性素子が透明性を必要とするか等により適宜選択される。
【0138】
また本実施態様に用いられる基体は、可撓性を有するもの、例えば樹脂製フィルム等であってもよいし、可撓性を有さないもの、例えばガラス基板等であってもよい。これは、エネルギー照射方法により適宜選択されるものである。
【0139】
なお、基体表面と光触媒処理層との密着性を向上させるために、基体上にアンカー層を形成するようにしてもよい。このようなアンカー層としては、例えば、シラン系、チタン系のカップリング剤等を挙げることができる。
【0140】
(iii)光触媒処理層側遮光部
本実施態様に用いられる光触媒処理層側基板には、パターン状に形成された光触媒処理層側遮光部が形成されたものを用いても良い。このように光触媒処理層側遮光部を有する光触媒処理層側基板を用いることにより、エネルギー照射に際して、フォトマスクを用いたり、レーザ光による描画照射を行う必要がない。したがって、光触媒処理層側基板とフォトマスクとの位置合わせが不要であることから、簡便な工程とすることが可能であり、また描画照射に必要な高価な装置も不必要であることから、コスト的に有利となるという利点を有する。
【0141】
このような光触媒処理層側遮光部を有する光触媒処理層側基板は、光触媒処理層側遮光部の形成位置により、下記の二つの態様とすることができる。
【0142】
一つが、例えば図8に示すように、基体11上に光触媒処理層側遮光部14を形成し、この光触媒処理層側遮光部14上に光触媒処理層10を形成して、光触媒処理層側基板とする態様である。もう一つは、例えば図9に示すように、基体11上に光触媒処理層10を形成し、その上に光触媒処理層側遮光部14を形成して光触媒処理層側基板とする態様である。
【0143】
いずれの態様においても、フォトマスクを用いる場合と比較すると、光触媒処理層側遮光部が、上記光触媒処理層と表面変化型濡れ性変化層との配置部分の近傍に配置されることになるので、基体内等におけるエネルギーの散乱の影響を少なくすることができることから、エネルギーのパターン照射を極めて正確に行うことが可能となる。
【0144】
さらに、上記光触媒処理層上に光触媒処理層側遮光部を形成する態様においては、光触媒処理層と表面変化型濡れ性変化層とを所定の位置に配置する際に、この光触媒処理層側遮光部の膜厚をこの間隙の幅と一致させておくことにより、上記光触媒処理層側遮光部を上記間隙を一定のものとするためのスペーサとしても用いることができるという利点を有する。
【0145】
すなわち、所定の間隙をおいて上記光触媒処理層と表面変化型濡れ性変化層とを対向させた状態で配置する際に、上記光触媒処理層側遮光部と表面変化型濡れ性変化層とを密着させた状態で配置することにより、上記所定の間隙を正確とすることが可能となり、そしてこの状態で光触媒処理層側基板からエネルギーを照射することにより、表面変化型濡れ性変化層上に濡れ性変化パターンを精度良く形成することが可能となるのである。
【0146】
このような光触媒処理層側遮光部の形成方法は、特に限定されるものではなく、光触媒処理層側遮光部の形成面の特性や、必要とするエネルギーに対する遮蔽性等に応じて適宜選択されて用いられる。
【0147】
例えば、スパッタリング法、真空蒸着法等により厚み1000〜2000Å程度のクロム等の金属薄膜を形成し、この薄膜をパターニングすることにより形成されてもよい。このパターニングの方法としては、スパッタ等の通常のパターニング方法を用いることができる。
【0148】
また、樹脂バインダ中にカーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等の遮光性粒子を含有させた層をパターン状に形成する方法であってもよい。用いられる樹脂バインダとしては、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ゼラチン、カゼイン、セルロース等の樹脂を1種または2種以上混合したものや、感光性樹脂、さらにはO/Wエマルジョン型の樹脂組成物、例えば、反応性シリコーンをエマルジョン化したもの等を用いることができる。このような樹脂製遮光部の厚みとしては、0.5〜10μmの範囲内で設定することができる。このよう樹脂製遮光部のパターニングの方法は、フォトリソ法、印刷法等一般的に用いられている方法を用いることができる。
【0149】
なお、上記説明においては、光触媒処理層側遮光部の形成位置として、基体と光触媒処理層との間、および光触媒処理層表面の二つの場合について説明したが、その他、基体の光触媒処理層が形成されていない側の表面に光触媒処理層側遮光部を形成する態様も採ることが可能である。この態様においては、例えばフォトマスクをこの表面に着脱可能な程度に密着させる場合等が考えられ、濡れ性変化パターンを小ロットで変更するような場合に好適に用いることができる。
【0150】
(iv)プライマー層
次に、本実施態様の光触媒処理層側基板に用いられるプライマー層について説明する。本実施態様において、上述したように基体上に光触媒処理層側遮光部をパターン状に形成して、その上に光触媒処理層を形成して光触媒処理層側基板とする場合においては、上記光触媒処理層側遮光部と光触媒処理層との間にプライマー層を形成してもよい。
【0151】
このプライマー層の作用・機能は必ずしも明確なものではないが、光触媒処理層側遮光部と光触媒処理層との間にプライマー層を形成することにより、プライマー層は光触媒の作用による表面変化型濡れ性変化層の濡れ性変化を阻害する要因となる光触媒処理層側遮光部および光触媒処理層側遮光部間に存在する開口部からの不純物、特に、光触媒処理層側遮光部をパターニングする際に生じる残渣や、金属、金属イオン等の不純物の拡散を防止する機能を示すものと考えられる。したがって、プライマー層を形成することにより、高感度で濡れ性変化の処理が進行し、その結果、高解像度のパターンを得ることが可能となるのである。
【0152】
なお、本実施態様においてプライマー層は、光触媒処理層側遮光部のみならず光触媒処理層側遮光部間に形成された開口部に存在する不純物が光触媒の作用に影響することを防止するものであるので、プライマー層は開口部を含めた光触媒処理層側遮光部全面にわたって形成されていることが好ましい。
【0153】
本実施態様におけるプライマー層は、光触媒処理層側基板の光触媒処理層側遮光部と光触媒処理層とが接触しないようにプライマー層が形成された構造であれば特に限定されるものではない。
【0154】
このプライマー層を構成する材料としては、特に限定されるものではないが、光触媒の作用により分解されにくい無機材料が好ましい。具体的には無定形シリカを挙げることができる。このような無定形シリカを用いる場合には、この無定形シリカの前駆体は、一般式SiXで示され、Xはハロゲン、メトキシ基、エトキシ基、またはアセチル基等であるケイ素化合物であり、それらの加水分解物であるシラノール、または平均分子量3000以下のポリシロキサンが好ましい。
【0155】
また、プライマー層の膜厚は、0.001μmから1μmの範囲内であることが好ましく、特に0.001μmから0.1μmの範囲内であることが好ましい。
【0156】
d.第四実施態様
次に、上記濡れ性変化層の第四実施態様について説明する。上記濡れ性変化層の第四実施態様は、少なくとも光触媒を含有する光触媒処理層と、上記光触媒処理層上に形成されたエネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解除去される分解除去型濡れ性変化層であり、かつ上記分解除去型濡れ性変化層に対する液体の接触角と、上記分解除去型濡れ性変化層が分解除去されて露出した前記光触媒処理層に対する液体の接触角とが異なる層とからなる層である場合である。
【0157】
本実施態様においては、上記光触媒処理層上にエネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解除去される分解除去型濡れ性変化層が形成されていることから、エネルギー照射によって、光触媒処理層中の光触媒が分解除去型濡れ性変化層に作用し、分解除去型濡れ性変化層上のエネルギー照射された部分を、分解除去することが可能となるのである。
【0158】
また、上記光触媒処理層については、上述した第二実施態様に用いられる光触媒処理層と同様であるので、ここでの説明は省略し、本実施態様に用いられる分解除去型濡れ性変化層について、以下詳しく説明する。
【0159】
本実施態様に用いられる分解除去型濡れ性変化層は、エネルギー照射された際に光触媒処理層中の光触媒の作用により、エネルギー照射された部分の分解除去型濡れ性変化層が分解除去される層であり、かつこの分解除去型濡れ性変化層が、上記露出した光触媒処理層と比較して、液体との接触角が異なるものであれば、特に限定されるものではない。
【0160】
このように分解除去型濡れ性変化層は、エネルギー照射した部分が光触媒の作用により分解除去されることから、現像工程や洗浄工程を行うことなく分解除去型濡れ性変化層のある部分と無い部分からなるパターン、すなわち凹凸を有するパターンを形成することができる。
【0161】
なお、この分解除去型濡れ性変化層は、エネルギー照射による光触媒の作用により酸化分解され、気化等されることから、現像・洗浄工程等の特別な後処理なしに除去されるものであるが、分解除去型濡れ性変化層の材質によっては、洗浄工程等を行ってもよい。
【0162】
また、本実施態様に用いられる分解除去型濡れ性変化層は、凹凸を形成するのみならず、分解除去型濡れ性変化層と、この分解除去型濡れ性変化層が分解除去されて露出した光触媒処理層との液体との接触角が異なることから、パターン形成体用基板上に撥液性領域と、親液性領域を形成することが可能となるのである。
【0163】
ここで、本実施態様に用いられる分解除去型濡れ性変化層は、上記の中でも、分解除去型濡れ性変化層が、上記露出した光触媒処理層と比較して、液体との接触角が高いことが好ましい。これにより、分解除去型濡れ性変化層が分解除去された領域を親液性領域、上記分解除去型濡れ性変化層が残存する領域を撥液性領域とすることが可能となり、後述する機能性凸部形成工程後、機能性内側領域に、エネルギー照射することにより、機能性内側領域を親液性領域とすることが可能となるからである。これにより、機能性層形成用塗工液と機能性内側領域との密着性を高めることが可能となり、強度の高い機能性層を形成することが可能となるからである。
【0164】
ここで、分解除去型濡れ性変化層、すなわち撥液性領域と機能性層形成用塗工液との接触角、および光触媒処理層、すなわち親液性領域と機能性層形成用塗工液との接触角は、上述したパターン形成体用基板の項で述べたものと同様の値であることが好ましい。
【0165】
本実施態様の分解除去型濡れ性変化層に用いることができる膜としては、具体的にはフッ素系や炭化水素系の撥液性を有する樹脂等による膜を挙げることができる。これらのフッ素系や炭化水素系の樹脂は、撥液性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、これらの樹脂を溶媒に溶解させ、例としてスピンコート法等の一般的な成膜方法により形成することが可能である。
【0166】
また、本実施態様においては、機能性薄膜、すなわち、自己組織化単分子膜、ラングミュア−ブロケット膜、および交互吸着膜等を用いることにより、欠陥のない膜を形成することが可能であることから、このような成膜方法を用いることがより好ましいといえる。
【0167】
ここで、本実施態様に用いられる自己組織化単分子膜、ラングミュア−ブロケット膜、および交互吸着膜について具体的に説明する。
【0168】
(i)自己組織化単分子膜
自己組織化単分子膜(Self-Assembled Monolayer)の公式な定義の存在を発明者らは知らないが、一般的に自己組織化膜として認識されているものの解説文としては、例えばAbraham Ulmanによる総説“Formation and Structure of Self-Assembled Monolayers”, Chemical Review, 96, 1533-1554 (1996)が優れている。本総説を参考にすれば、自己組織化単分子膜とは、適当な分子が適当な基材表面に吸着・結合(自己組織化)した結果生じた単分子層のことと言える。自己組織化膜形成能のある材料としては、例えば、脂肪酸などの界面活性剤分子、アルキルトリクロロシラン類やアルキルアルコキシド類などの有機ケイ素分子、アルカンチオール類などの有機イオウ分子、アルキルフォスフェート類などの有機リン酸分子などが挙げられる。分子構造の一般的な共通性は、比較的長いアルキル鎖を有し、片方の分子末端に基材表面と相互作用する官能基が存在することである。アルキル鎖の部分は分子同士が2次元的にパッキングする際の分子間力の源である。もっとも、ここに示した例は最も単純な構造であり、分子のもう一方の末端にアミノ基やカルボキシル基などの官能基を有するもの、アルキレン鎖の部分がオキシエチレン鎖のもの、フルオロカーボン鎖のもの、これらが複合したタイプの鎖のものなど様々な分子から成る自己組織化単分子膜が報告されている。また、複数の分子種から成る複合タイプの自己組織化単分子膜もある。また、最近では、デンドリマーに代表されるような粒子状で複数の官能基(官能基が一つの場合もある)を有する高分子や直鎖状(分岐構造のある場合もある)の高分子が一層基材表面に形成されたもの(後者はポリマーブラシと総称される)も自己組織化単分子膜と考えられる場合もあるようである。本実施態様は、これらも自己組織化単分子膜に含める。
【0169】
(ii)ラングミュア−ブロジェット膜
本実施態様に用いられるラングミュア−ブロジェット膜(Langmuir-Blodgett Film)は、基材上に形成されてしまえば形態上は上述した自己組織化単分子膜との大きな相違はない。ラングミュア−ブロジェット膜の特徴はその形成方法とそれに起因する高度な2次元分子パッキング性(高配向性、高秩序性)にあると言える。すなわち、一般にラングミュア−ブロジェット膜形成分子は気液界面上に先ず展開され、その展開膜がトラフによって凝縮されて高度にパッキングした凝縮膜に変化する。実際は、これを適当な基材に移しとって用いる。ここに概略を示した手法により単分子膜から任意の分子層の多層膜まで形成することが可能である。また、低分子のみならず、高分子、コロイド粒子なども膜材料とすることができる。様々な材料を適用した最近の事例に関しては宮下徳治らの総説“ソフト系ナノデバイス創製のナノテクノロジーへの展望” 高分子 50巻 9月号 644-647 (2001)に詳しく述べられている。
【0170】
(iii)交互吸着膜
交互吸着膜(Layer-by-Layer Self-Assembled Film)は、一般的には、最低2個の正または負の電荷を有する官能基を有する材料を逐次的に基材上に吸着・結合させて積層することにより形成される膜である。多数の官能基を有する材料の方が膜の強度や耐久性が増すなど利点が多いので、最近ではイオン性高分子(高分子電解質)を材料として用いることが多い。また、タンパク質や金属や酸化物などの表面電荷を有する粒子、いわゆる“コロイド粒子”も膜形成物質として多用される。さらに最近では、水素結合、配位結合、疎水性相互作用などのイオン結合よりも弱い相互作用を積極的に利用した膜も報告されている。比較的最近の交互吸着膜の事例については、静電的相互作用を駆動力にした材料系に少々偏っているがPaula T. Hammondによる総説“Recent Explorations in Electrostatic Multilayer Thin Film Assembly”Current Opinion in Colloid & Interface Science, 4, 430-442 (2000)に詳しい。交互吸着膜は、最も単純なプロセスを例として説明すれば、正(負)電荷を有する材料の吸着−洗浄−負(正)電荷を有する材料の吸着−洗浄のサイクルを所定の回数繰り返すことにより形成される膜である。ラングミュア−ブロジェット膜のように展開−凝縮−移し取りの操作は全く必要ない。また、これら製法の違いより明らかなように、交互吸着膜はラングミュア−ブロジェット膜のような2次元的な高配向性・高秩序性は一般に有さない。しかし、交互吸着膜及びその作製法は、欠陥のない緻密な膜を容易に形成できること、微細な凹凸面やチューブ内面や球面などにも均一に成膜できることなど、従来の成膜法にない利点を数多く有している。
【0171】
また、分解除去型濡れ性変化層の膜厚としては、後述するエネルギー照射工程において照射されるエネルギーにより分解除去される程度の膜厚であれば特に限定されるものではない。具体的な膜厚としては、照射されるエネルギーの種類や分解除去型濡れ性変化層の材料等により大きく異なるものではあるが、一般的には、0.001μm〜1μmの範囲内、特に0.01μm〜0.1μmの範囲内とすることが好ましい。
【0172】
e.第五実施態様
次に、上記濡れ性変化層の第五実施態様について説明する。上記濡れ性変化層の第五実施態様は、光触媒を含有する光触媒処理層および基体を有する光触媒処理層側基板を、上記濡れ性変化層と上記光触媒処理層とが200μm以下となるように間隙をおいて配置された後、所定の方向からエネルギー照射されることにより、分解除去される分解除去型濡れ性変化層であり、上記分解除去型濡れ性変化層に対する液体の接触角と、上記分解除去型濡れ性変化層が分解除去されて露出した基材に対する液体の接触角とが異なる層である場合である。
【0173】
本実施態様においては、上述した第三実施態様と同様に、エネルギーを照射する際に、光触媒を含有する光触媒処理層を有する光触媒処理層側基板を用いて、上記分解除去型濡れ性変化層と、上記光触媒処理層とを所定の間隙をおいて対向させ、光触媒処理層側基板の光触媒処理層の作用により、分解除去型濡れ性変化層をパターン状に分解除去した後、光触媒処理層側基板を取り外すことにより、分解除去型濡れ性変化層が分解されたパターンが形成されるのである。この際、分解除去型濡れ性変化層が分解除去されて露出するのは後述する基材となる。
【0174】
ここで、分解除去型濡れ性変化層、すなわち撥液性領域と機能性層形成用塗工液との接触角、および基材、すなわち親液性領域と機能性層形成用塗工液との接触角は、上述したパターン形成体用基板の項で述べたものと同様の値であることが好ましい。
この際、後述する基材は、表面を親液性となるように、表面処理したものであってもよい。材料の表面を親液性となるように表面処理した例としては、アルゴンや水などを利用したプラズマ処理による親液性表面処理が挙げられ、基体上に形成する親液性の層としては、例えばテトラエトキシシランのゾルゲル法によるシリカ膜等を挙げることができる。
【0175】
本実施態様に用いられる分解除去型濡れ性変化層については、上述した第四実施態様と同様であり、また光触媒処理層側基板については、上述した第三実施態様で説明した光触媒処理層側基板と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0176】
(2)基材
次に、本発明のパターン形成体用基板に用いられる基材について説明する。本発明においては、上記濡れ性変化層が自己支持性を有しない場合、また機能性素子に強度が必要な場合、または上述した濡れ性変化層の第五実施態様である場合等に、基材上に上記濡れ性変化層が形成される。
【0177】
本発明に用いられる基材は、可撓性を有するもの、例えば樹脂製フィルム等であってもよいし、可撓性を有さないもの、例えばガラス基板等であってもよい。
【0178】
また、本発明においては、上記濡れ性変化層の濡れ性が変化したパターンの形成に際してエネルギーを照射する必要性があるが、このエネルギーの照射において、基材側からエネルギーが照射される場合には、基材に透明性が必要とされる。
【0179】
なお、基材表面と濡れ性変化層との密着性を向上させるために、基材上にアンカー層を形成するようにしてもよい。このようなアンカー層としては、例えば、シラン系、チタン系のカップリング剤等を挙げることができる。
【0180】
(3)その他
本発明においては、機能性素子の種類によって、パターン形成体用基板中に遮光部が形成されていても良い。このように遮光部を有する場合は、エネルギー照射によるパターン形成に際して、フォトマスクを用いたり、レーザ光による描画照射を行う必要がない。したがって、簡便な工程とすることが可能となり、また描画照射に必要な高価な装置も不必要であることから、コスト的に有利となるという利点を有する。
【0181】
このような遮光部の形成位置としては、基材上に形成し、その上から濡れ性変化層を形成する場合、すなわち基材と濡れ性変化層との間に形成する場合と、機能性部を形成する面と反対側の、濡れ性変化層またはパターン形成体用基板が上記基材を有する場合には基材の表面にパターン状に形成する場合とがある。
【0182】
いずれの場合も、エネルギーの照射は、パターン形成体用基板側からとなるが、全面に照射することにより、濡れ性変化層面にパターン状に濡れ性変化パターンを形成することができる。
【0183】
このような遮光部の形成方法は、特に限定されるものではなく、遮光部の形成面の特性や、必要とするエネルギーに対する遮蔽性等に応じて適宜選択されて用いられる。この遮光部の形成方法については、上述した濡れ性変化層の第三実施態様における光触媒処理層側基板における光触媒処理層側遮光部の項において説明したものと同様のものを用いることが可能であるので、ここでの説明は省略する。
【0184】
(4)機能性凸部形成用親液性領域の形成
次に、上記濡れ性変化層への、機能性凸部形成用親液性領域の形成について説明する。本発明においては、所定の方向からエネルギーをパターン照射することにより、上記濡れ性変化層表面に濡れ性変化パターンが形成され、このパターンに沿って、後述する機能性部が形成されるのである。
【0185】
なお、本発明でいうエネルギー照射(露光)とは、上記濡れ性変化層の濡れ性を変化させることが可能ないかなるエネルギー線の照射をも含む概念であり、可視光の照射に限定されるものではない。
【0186】
通常このようなエネルギー照射に用いる光の波長は、400nm以下の範囲、好ましくは380nm以下の範囲から設定される。これは、上述したように光触媒に二酸化チタンが好ましく用いられ、この二酸化チタンにより光触媒作用を活性化させるエネルギーとして、上述した波長の光が好ましいからである。
【0187】
このようなエネルギー照射に用いることができる光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、エキシマランプ、その他種々の光源を挙げることができる。
【0188】
上述したような光源を用い、フォトマスクを介したパターン照射により行う方法の他、エキシマ、YAG等のレーザを用いてパターン状に描画照射する方法を用いることも可能である。
【0189】
また、エネルギー照射に際してのエネルギーの照射量は、濡れ性変化層が光触媒の作用により濡れ性が変化するのに必要な照射量とする。
【0190】
この際、光触媒含有層または光触媒処理層を加熱しながらエネルギー照射することにより、感度を上昇させことが可能となり、効率的な濡れ性の変化を行うことができる点で好ましい。具体的には30℃〜80℃の範囲内で加熱することが好ましい。
【0191】
ここで、上述したように、濡れ性変化層中に、光触媒含有層または光触媒処理層を有しない態様の場合には、上述した光触媒処理層側基板を、濡れ性変化層と所定の間隔をおいて配置し、所定の方向からエネルギー照射を行うことが必要である。
【0192】
上記の配置とは、実質的に光触媒の作用が濡れ性変化層表面に及ぶような状態で配置された状態をいうこととし、実際に物理的に接触している状態の他、所定の間隔を隔てて上記光触媒処理層と濡れ性変化層とが配置された状態とする。この間隙は、200μm以下であることが好ましい。
【0193】
本発明において上記間隙は、パターン精度が極めて良好であり、光触媒の感度も高く、したがって濡れ性変化層の濡れ性変化の効率が良好である点を考慮すると特に0.2μm〜10μmの範囲内、好ましくは1μm〜5μmの範囲内とすることが好ましい。このような間隙の範囲は、特に間隙を高い精度で制御することが可能である小面積の濡れ性変化層に対して特に有効である。
【0194】
一方、例えば300mm×300mmといった大面積の濡れ性変化層に対して処理を行う場合は、接触することなく、かつ上述したような微細な間隙を光触媒処理層側基板と濡れ性変化層との間に形成することは極めて困難である。したがって、濡れ性変化層が比較的大面積である場合は、上記間隙は、10〜100μmの範囲内、特に50〜75μmの範囲内とすることが好ましい。間隙をこのような範囲内とすることにより、パターンがぼやける等のパターン精度の低下の問題や、光触媒の感度が悪化して濡れ性変化の効率が悪化する等の問題が生じることなく、さらに濡れ性変化層上の濡れ性変化にムラが発生しないといった効果を有するからである。
【0195】
このように比較的大面積の濡れ性変化層をエネルギー照射する際には、エネルギー照射装置内の光触媒処理層側基板と濡れ性変化層との位置決め装置における間隙の設定を、10μm〜200μmの範囲内、特に25μm〜75μmの範囲内に設定することが好ましい。設定値をこのような範囲内とすることにより、パターン精度の大幅な低下や光触媒の感度の大幅な悪化を招くことなく、かつ光触媒処理層側基板と濡れ性変化層とが接触することなく配置することが可能となるからである。
【0196】
このように光触媒処理層と濡れ性変化層表面とを所定の間隔で離して配置することにより、酸素と水および光触媒作用により生じた活性酸素種が脱着しやすくなる。すなわち、上記範囲より光触媒処理層と濡れ性変化層との間隔を狭くした場合は、上記活性酸素種の脱着がしにくくなり、結果的に濡れ性変化速度を遅くしてしまう可能性があることから好ましくない。また、上記範囲より間隔を離して配置した場合は、生じた活性酸素種が濡れ性変化層に届き難くなり、この場合も濡れ性変化の速度を遅くしてしまう可能性があることから好ましくない。
【0197】
本発明においては、このような配置状態は、少なくともエネルギー照射の間だけ維持されればよい。
【0198】
このような極めて狭い間隙を均一に形成して光触媒処理層と濡れ性変化層とを配置する方法としては、例えばスペーサを用いる方法を挙げることができる。そして、このようにスペーサを用いることにより、均一な間隙を形成することができると共に、このスペーサが接触する部分は、光触媒の作用が濡れ性変化層表面に及ばないことから、このスペーサを上述した濡れ性変化パターンと同様のパターンを有するものとすることにより、濡れ性変化層上に所定の濡れ性変化パターンを形成することが可能となる。
【0199】
本発明においては、このような配置状態は、少なくともエネルギー照射の間だけ維持されればよい。
【0200】
(5)機能性内側部形成用親液性領域形成工程
本発明の機能性素子の製造方法においては、上記機能性凸部硬化工程後、パターン形成体用基板が、上述した外部刺激により液体に対する接触角が低下する濡れ性変化層を有する場合には、機能性内側領域に外部刺激を与え、機能性内側部形成用親液性領域を形成する機能性内側部形成用親液性領域形成工程を有していてもよい。
【0201】
本工程により、上記内側領域が親液性領域である機能性内側部形成用親液性領域とされることにより、機能性内側部を形成する機能性層形成用塗工液との密着性を高めることが可能となり、機能性層の強度を高くすることが可能となるからである。
【0202】
本工程における、外部刺激や、外部刺激を与える方法等は、上記濡れ性変化層を有するパターン形成体用基板の項で説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0203】
B.カラーフィルタ
次に、本発明のカラーフィルタについて説明する。本発明のカラーフィルタは、上述した機能性素子の製造方法により形成されたカラーフィルタである。
【0204】
カラーフィルタにおける画素部の形状は、通常、マトリックス状やストライプ状であり、本発明においても同様である。本発明においては、このマトリックス上やストライプ状の外周に沿って、画素部を形成する画素部形成用インキ等により、機能性凸部を形成し、その機能性凸部を利用して、内側に画素部形成用インキを塗布することにより、高精細なパターンを有する画素部を形成することが可能であり、また画素部の形状や膜厚等を調整することが可能となる。これにより、様々な用途に用いることが可能なカラーフィルタとすることが可能となるのである。
【0205】
ここで、本発明のカラーフィルタは、上述した機能性素子の製造方法により製造することが可能であり、また一般的なカラーフィルタの製造に用いられる材料を用いることが可能である。
【0206】
C.マイクロレンズ
次に、本発明のマイクロレンズについて説明する。本発明のマイクロレンズは、上述した機能性素子の製造方法により形成されたマイクロレンズである。
【0207】
マイクロレンズの形状は、通常、円形であり、本発明においても同様である。本発明においては、この円形の外周に沿って、レンズを形成する塗工液等を塗布することにより、機能性凸部を形成し、その機能性凸部を利用して、内側に塗工液を塗布することにより、目的とする形状のレンズを有するマイクロレンズを容易に形成することが可能である。
【0208】
ここで、本発明のマイクロレンズは、上述した機能性素子の製造方法により製造することが可能であり、また一般的なマイクロレンズの製造に用いられる材料を用いることが可能である。
【0209】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本実施態様の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本実施態様の技術的範囲に包含される。
【0210】
例えば、本発明においては、上記機能性層を形成するパターンの外周に沿って機能性凸部形成用親液性領域を有するパターン形成体用基板についてのみ説明したが、上記機能性層を形成するパターンの外周のみではなく、さらに機能性内側領域中に親液性領域を有しており、機能性凸部用親液性領域に機能性凸部を形成することも可能である。これにより、機能性層の凹凸の形状や膜厚等をより細かく調整することが可能となり、より高精細な機能性素子を形成することが可能となるのである。
【0211】
【実施例】
以下、本実施態様について、実施例を通じてさらに詳述する。
【0212】
(光触媒含有層側基板の形成)
フォトマスク表面に、テイカ(株)製の光触媒用酸化チタンコーティング剤TKC301をコーティングし、350℃で3時間乾燥させ、光触媒含有層側基板を調整した。フォトマスクは、膜厚1μmのブラックマトリクスが表面に形成されたものを使用し、ブラックマトリクスは、カーボンブラックと樹脂の分散体にて形成されたものを使用した。
【0213】
光触媒含有層側基板は、機能性凸部用パターン形成用(以下光触媒含有層側基板A)と、機能性内側部形成用(以下光触媒含有層側基板B)の2種類を作製した。
【0214】
(濡れ性変化層の形成)
次にフルオロアルキルシランが主成分であるMF-160E(商品名、トーケムプロダクツ(株)製)0.4gに0.1N塩酸水3gを添加し1時間室温にて攪拌した溶液を、厚さ0.7mmの、ブラックマトリクス付き石製ガラス基板上にスピンコーティングし、150℃で10分間乾燥させた。これにより、基板上に撥液性を有する膜厚1μmの特性変化層が形成された。このとき濡れ性変化層の臨界表面張力は20mN/mであった。このとき、基板上のブラックマトリクスは膜厚0.1μmのクロム製であり、20μm幅のラインにて、横100μmピッチ、縦300μmピッチの格子状に形成されたものを使用した。
【0215】
(機能性凸部形成用パターン形成)
この濡れ性変化層表面に、光触媒含有層側基板(A)を50μmのギャップをあけて配置し、光触媒含有層側基板側(A)から超高圧水銀ランプにて露光した。露光量は365nmにて2000mJであった。濡れ性変化層表面の露光された部分のみ親液性領域となった。光触媒含有層側基板(A)のブラックマトリクスは、横90μm、縦290μmの開口部が、横100μmピッチ、縦300μmピッチにて配置されるよう形成した。またこの開口部の中央には横50μm、縦160μmの遮光部が配置されるよう形成した。露光時の位置合わせに際しては、横90μm、縦290μmの開口部の中心が、上記濡れ性変化層を形成した基板上のブラックマトリクス開口部の中心に合うようアライメントをとった。
【0216】
(機能性凸部形成)
上記親液性となった機能性内側部形成用パターンをめがけ、インクジェットヘッドより固形分80%の通常用いられる熱硬化型RGB着色インキを吐出した。着弾したインキは親液性領域、すなわち横90μm、縦290μmの領域のみに濡れ広がった。このとき撥液性部分、すなわち親液性領域内に存在する横50μm、縦160μmの撥液性領域、および親液性領域周辺に存在する撥液性領域にまで塗れ広がることは無かった。次にクリーンオーブンで80℃にて15分間乾燥させ、表面に皮膜を形成することにより、膜厚2.0μmの機能性凸部を形成した。このときインキ色配列は、横に赤、青、緑の順にて繰り返すように配置し、縦は同一の色となるよう配置した。また、インキの撥液性部分に対する接触角は56゜、露光部に対する接触角は10゜であった。
【0217】
(機能性内側部形成用パターン形成)
次に、上記機能性凸部が形成された濡れ性変化層表面に、光触媒含有層側基板(B)を50μmのギャップをあけて配置し、光触媒含有層側基板側(B)から超高圧水銀ランプにて露光した。露光量は365nmにて2000mJであった。光触媒含有層側基板(B)のブラックマトリクスは、横90μm、縦290μmの開口部が、横100μmピッチ、縦300μmピッチにて配置されるよう形成した。露光時の位置合わせに際しては、横90μm、縦290μmの開口部の中心が、上記濡れ性変化層を形成した基板上のブラックマトリクス開口部の中心に合うようアライメントをとった。これにより、濡れ性変化層表面が露出している領域、すなわち上記機能性凸部に囲まれた横50μm、縦160μmの領域のみ親液性領域となった。
【0218】
(機能性内側部形成)
次に、上記親液性となった機能性内側部形成用パターンをめがけ、機能性凸部形成に使用したものと同様の着色層用インキ(赤、青、緑)をインクジェットヘッドより吐出した。着弾したインキは親液性領域に濡れ広がり、機能性凸部に囲まれた領域内に厚み2.2μmまで溜まった。この際、機能性凸部領域を超えて塗れ広がることは無かった。このときインキ色配列は、機能性凸部と同一の色となるよう配置した。これをクリーンオーブンで150℃にて30分間乾燥、硬化させることにより、機能性凸部および機能性内側部が目視上にて同一化した、横90μm、縦290μm、膜厚1.8μmのフラットな画素が、横100μm、縦300μmのピッチにて配置されたカラーフィルタを作製した。
【0219】
【発明の効果】
本発明によれば、機能性層を形成するパターンの外周に沿って、機能性凸部を形成することにより、この機能性凸部に囲われた機能性内側領域に機能性層形成用塗工液を塗布した際、機能性凸部が機能性層形成用塗工液を機能性内側領域に留める。この機能性内側領域に塗布される機能性層形成用塗工液の量等により、機能性凸部および機能性内側部からなる機能性層の形状を調整することが可能となり、機能性層を平坦な層や、凹状の層とすることが可能となるのである。
【0220】
また、上記パターン形成体用基板が、撥液性領域内に、上記機能性凸部形成用親液性領域を有することによって、この濡れ性の差を利用して機能性層形成用塗工液を塗布し、高精細な機能性凸部を形成することが可能となる。さらにこの機能性凸部を利用して機能性層を形成することから、機能性層を高精細に形成することが可能となるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いられるパターン形成体用基板の一例を示す平面図である。
【図2】本発明の機能性素子の製造方法の一例を示す工程図である。
【図3】本発明に用いられるパターン形成体用基板の他の例を示す平面図である。
【図4】本発明に用いられるパターン形成体用基板の他の例を示す平面図である。
【図5】本発明に用いられる機能性凸部硬化工程の一例を説明する説明図である。
【図6】本発明に用いられる濡れ性変化層の一例を示す概略断面図である。
【図7】本発明に用いられる光触媒処理層側基板の一例を示す概略断面図である。
【図8】本発明に用いられる光触媒処理層側基板の他の例を示す概略断面図である。
【図9】本発明に用いられる光触媒処理層側基板の他の例を示す概略断面図である。
【図10】従来技術の一例を示す概略断面図である。
【図11】従来技術の他の例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 … パターン形成体用基板
2 … 撥液性領域
3 … 機能性凸部形成用親液性領域
4 … 機能性内側領域
5 … 機能性凸部
6 … インクジェット装置
7 … 機能性層形成用塗工液
8 … 機能性内側部
9 … 機能性層
10… 光触媒処理層
11… 基体
12… 光触媒処理層側基板
13… フォトマスク
14… 光触媒処理層側遮光部
15… エネルギー
21… 表面変化型濡れ性変化層

Claims (22)

  1. 撥液性領域と、前記撥液性領域内に機能性層を形成するパターンの外周に沿って形成され、かつ親液性を有する機能性凸部形成用親液性領域とを有するパターン形成体用基板の、前記機能性凸部形成用親液性領域上に機能性層形成用塗工液を塗布し、機能性凸部を形成する機能性凸部形成工程と、
    前記機能性凸部を、後に塗布される前記機能性層形成用塗工液と一体化しない程度に硬化させる機能性凸部硬化工程と、
    前記機能性凸部で囲われた機能性内側領域に、前記機能性層形成用塗工液を吐出法により塗布し、機能性内側部を形成する機能性内側部形成工程と、
    前記機能性凸部と前記機能性内側部とからなる機能性層を硬化する機能性層硬化工程と
    を有することを特徴とする機能性素子の製造方法。
  2. 前記パターン形成体用基板の前記撥液性領域における前記機能性層形成用塗工液との接触角と、前記機能性凸部形成用親液性領域における前記機能性層形成用塗工液との接触角との差が、20゜以上であることを特徴とする請求項1に記載の機能性素子の製造方法。
  3. 前記パターン形成体用基板が、外部刺激により液体に対する接触角が低下する濡れ性変化層を有し、前記濡れ性変化層上にパターン状に外部刺激を与えることにより、前記機能性凸部形成用親液性領域が形成されたものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の機能性素子の製造方法。
  4. 前記機能性凸部硬化工程後、前記機能性内側領域に外部刺激を与え、機能性内側部形成用親液性領域を形成する機能性内側部形成用親液性領域形成工程を有することを特徴とする請求項3に記載の機能性素子の製造方法。
  5. 前記パターン形成体用基板が、基材と、前記基材上に形成された濡れ性変化層とを有することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の機能性素子の製造方法。
  6. 前記外部刺激がエネルギー照射であり、かつ前記濡れ性変化層が少なくとも光触媒およびバインダを含有し、かつエネルギー照射に伴う光触媒の作用により液体との接触角が低下する光触媒含有層であることを特徴とする請求項3から請求項5までのいずれかの請求項に記載の機能性素子の製造方法。
  7. 前記バインダが、オルガノポリシロキサンを含有する層であることを特徴とする請求項6に記載の機能性素子の製造方法。
  8. 前記オルガノポリシロキサンが、フルオロアルキル基を含有するポリシロキサンであることを特徴とする請求項7に記載の機能性素子の製造方法。
  9. 前記オルガノポリシロキサンが、YSiX(4−n)(ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基またはエポキシ基を示し、Xはアルコキシル基またはハロゲンを示す。nは0〜3までの整数である。)で示される珪素化合物の1種または2種以上の加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンであることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の機能性素子の製造方法。
  10. 前記外部刺激がエネルギー照射であり、かつ前記濡れ性変化層が、少なくとも光触媒を含有する光触媒処理層と、前記光触媒処理層上に形成されたエネルギー照射に伴う光触媒の作用により、表面の液体との接触角が低下する層である表面変化型濡れ性変化層とからなる層であることを特徴とする請求項3から請求項5までのいずれかの請求項に記載の機能性素子の製造方法。
  11. 前記外部刺激がエネルギー照射であり、かつ前記濡れ性変化層が、光触媒を含有する光触媒処理層および基体を有する光触媒処理層側基板を、前記濡れ性変化層と前記光触媒処理層とが200μm以下となるように間隙をおいて配置された後、所定の方向からエネルギー照射されることにより、表面の液体との接触角が低下するように濡れ性が変化する表面変化型濡れ性変化層であることを特徴とする請求項3から請求項5までのいずれかの請求項に記載の機能性素子の製造方法。
  12. 前記表面変化型濡れ性変化層が、オルガノポリシロキサンを含有する層であることを特徴とする請求項10または請求項11に記載の機能性素子の製造方法。
  13. 前記オルガノポリシロキサンが、フルオロアルキル基を含有するポリシロキサンであることを特徴とする請求項12記載の機能性素子の製造方法。
  14. 前記オルガノポリシロキサンが、YSiX(4−n)(ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基またはエポキシ基を示し、Xはアルコキシル基またはハロゲンを示す。nは0〜3までの整数である。)で示される珪素化合物の1種または2種以上の加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンであることを特徴とする請求項12または請求項13に記載の機能性素子の製造方法。
  15. 前記外部刺激がエネルギー照射であり、かつ前記濡れ性変化層が、少なくとも光触媒を含有する光触媒処理層と、前記光触媒処理層上に形成されたエネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解除去される分解除去型濡れ性変化層であり、かつ前記分解除去型濡れ性変化層に対する液体の接触角と、前記分解除去型濡れ性変化層が分解除去されて露出した前記光触媒処理層に対する液体の接触角とが異なる層とからなる層であることを特徴とする請求項3から請求項5までのいずれかの請求項に記載の機能性素子の製造方法。
  16. 前記外部刺激がエネルギー照射であり、かつ前記濡れ性変化層が、光触媒を含有する光触媒処理層および基体を有する光触媒処理層側基板を、前記濡れ性変化層と前記光触媒処理層とが200μm以下となるように間隙をおいて配置された後、所定の方向からエネルギー照射されることにより、分解除去される分解除去型濡れ性変化層であり、前記分解除去型濡れ性変化層に対する液体の接触角と、前記分解除去型濡れ性変化層が分解除去されて露出した基材に対する液体の接触角とが異なる層であることを特徴とする請求項3から請求項5までのいずれかの請求項に記載の機能性素子の製造方法。
  17. 前記分解除去型濡れ性変化層が、自己組織化単分子膜、ラングミュア−ブロジェット膜、もしくは交互吸着膜のいずれかであることを特徴とする請求項15または請求項16に記載の機能性素子の製造方法。
  18. 前記光触媒が、前記光触媒が、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化タングステン(WO)、酸化ビスマス(Bi)、および酸化鉄(Fe)から選択される1種または2種以上の物質であることを特徴とする請求項6から請求項17までのいずれかの請求項に記載の機能性素子の製造方法。
  19. 前記光触媒が酸化チタン(TiO)であることを特徴とする請求項18に記載の機能性素子の製造方法。
  20. 前記機能性内側部形成工程における吐出法が、インクジェット法であることを特徴とする請求項1から請求項19までのいずれかの請求項に記載の機能性素子の製造方法。
  21. 請求項1から請求項20までのいずれかの請求項に記載の機能性素子の製造方法により製造されたことを特徴とするカラーフィルタ。
  22. 請求項1から請求項20までのいずれかの請求項に記載の機能性素子の製造方法により製造されたことを特徴とするマイクロレンズ。
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