JP4844568B2 - パターン形成体の製造方法 - Google Patents

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本発明は、カラーフィルタをはじめとして各種の用途に使用可能な、表面に特性の異なるパターンを有するパターン形成体の製造方法に関するものである。
従来より、基材上に図案、画像、文字、回路等の種々のパターンを形成するパターン形成体の製造方法としては、各種のものが製造されている。
例えば、印刷を例に挙げて説明すると、印刷方法の一種である平版印刷に使用する平版印刷版は、インクを受容する親油性部位と、印刷インクを受容しない部位とからなるパターンを有する平版を製造し、この平版を用いて親油性部位に印刷すべきインクの画像を形成し、形成した画像を紙等に転写して印刷している。こうした印刷では、このように印刷版原版に、文字、図形等のパターンを形成してパターン形成体である印刷版を製造し、印刷機に装着して使用している。代表的な平版印刷版であるオフセット印刷用の印刷版原版には、数多くのものが提案されている。
オフセット印刷用の印刷版は、印刷版原版にパターンを描いたマスクを介して露光して現像する方法、あるいは電子写真方式によって直接に露光して印刷版原版上に直接に製版する方法等によって作製することができる。電子写真式のオフセット印刷版原版は、導電性基材上に酸化亜鉛等の光導電性粒子および結着樹脂を主成分とした光導電層を設け、これを感光体として電子写真方式によって露光し、感光体表面に親油性の高い画像を形成させ、続いて不感脂化液で処理し非画像部分を親水化することによってオフセット原版、すなわちパターン形成体を得る方法によって作製されている。親水性部分は水等によって浸漬して疎油性とされ、親油性の画像部分に印刷インクが受容されて紙等に転写される。しかしながら、パターン形成に当たっては不感脂化液での処理等の種々の露光後の処理が必要となる。
また、レーザーの照射によって、インクに対して受容性の高い部位と撥インク性の部位からなるパターンを形成することが可能なヒートモード記録材料を用いた平版印刷原版を作製する方法も提案されている。ヒートモード記録材料は、現像等の工程が不要で、単にレーザー光によって画像を形成するのみで印刷版を製造することができるという特徴を有しているが、レーザーの強度の調整、レーザーにより変質した固体状物質など残留物等の処理の問題、耐刷性などに課題があった。
また、高精細なパターンを形成する方法として、基材上に塗布したフォトレジスト層にパターン露光を行い、露光後、フォトレジストを現像し、さらにエッチングを行ったり、フォトレジストに機能性を有する物質を用いて、フォトレジストの露光によって目的とするパターンを直接形成する等のフォトリソグラフィーによるパターン形成体の製造方法が知られている。
フォトリソグラフィーによる高精細パターンの形成は、液晶表示装置等に用いられるカラーフィルタの着色パターンの形成、マイクロレンズの形成、精細な電気回路基板の製造、パターンの露光に使用するクロムマスクの製造等に用いられているが、これらの方法によっては、フォトレジストを用いると共に、露光後に液体現像液によって現像を行ったり、エッチングを行う必要があるので、廃液を処理する必要が生じる等の問題点があり、またフォトレジストとして機能性の物質を用いた場合には、現像の際に使用されるアルカリ液等によって劣化する等の問題点もあった。
カラーフィルタ等の高精細なパターンを印刷等によって形成することも行われているが、印刷で形成されるパターンには、位置精度等の問題があり、高精度なパターンの形成は困難であった。
一方、このような問題点を解決するために、光触媒の作用により濡れ性が変化する物質を用いてパターンを形成するパターン形成体の製造方法等が本発明者等において検討されてきた。しかしながら、これまでの光触媒の作用によるパターン形成体の製造方法は、製造されるパターン形成体自体に光触媒が含まれる構成となることから、パターン形成体の種類によっては、この光触媒による影響を受ける可能性があるという問題点を有する場合もあった。
さらに、このように光触媒の作用により濡れ性が変化する物質を用いてパターンを形成する場合は、パターン状に露光を行う必要があり、この際通常フォトマスクを介した露光が行われる。しかしながら、フォトマスクを介した露光は、フォトマスクを位置合わせする必要があり、特に高精細なパターンを形成する場合は位置合わせの精度が問題となる場合があった。また、フォトマスクを用いる場合は、実際にパターン照射を行う必要がある濡れ性が変化する層表面とフォトマスクとの間に、距離をおく必要があったり、他の層が介在する可能性がある等の場合があった。このような場合は、照射する光の散乱等により、高精細のパターンを形成するに際して不都合が生じる可能性があった。
以上のことから、パターン形成体の製造に際して、高精度にパターンを形成することが可能であり、露光後の後処理が不要で、かつ製造されたパターン形成体内に光触媒が含有されていないことから、パターン形成体自体の光触媒による影響の心配もないパターン形成体の製造方法を提供することが望まれている。
本発明は、光触媒を含有する光触媒含有層および基材を有する光触媒含有層側基板と、上記光触媒含有層中の光触媒の作用により特性が変化する特性変化層およびパターン状に形成された遮光部を有するパターン形成体用基板とを、上記
光触媒含有層および上記特性変化層が接触するように配置した後、パターン形成体用基板側から露光することにより、露光した部分の特性変化層の特性を変化させ、次いで光触媒含有層側基板を取り外すことにより、特性変化層上に特性の変化したパターンを有するパターン形成体を得ることを特徴とするパターン形成体の製造方法を提供する。
このように、本発明においては、光触媒含有層および特性変化層が接触するように配置した後、露光することにより、露光した部分の特性変化層の特性を変化させてパターンを形成するものであるので、特に露光後の後処理も必要無く、特性の変化した高精細なパターンを有するパターン形成体を製造することができる。また、露光後、パターン形成体から光触媒含有層側基板を取り外すので、パターン形成体自体には光触媒を含む必要がなく、したがってパターン形成体の光触媒の作用による経時的な影響を心配する必要がない。さらに、パターン形成体用基板には、予めパターン状に形成された遮光部を有するものであるので、特性変化層上にパターン露光を行うに際してフォトマスクを用いる必要がなく、単にパターン形成体用基板側から全面露光することにより、特性変化層上へのパターン露光を行うことができる。したがって、別途フォトマスクを形成する必要性もなく、フォトマスクとの位置合わせの必要もない。よって、簡便な工程でパターン形成体を製造することが可能となる。
また、本発明は、光触媒を含有する光触媒含有層および基材を有する光触媒含有層側基板と、上記光触媒含有層中の光触媒の作用により特性が変化する特性変化層およびパターン状に形成された遮光部を有するパターン形成体用基板とを、上記光触媒含有層および上記特性変化層が200μm以下となるように間隙をおいて配置した後、パターン形成体用基板側から露光することにより、露光した部分の特性変化層の特性を変化させ、次いで光触媒含有層側基板を取り外すことにより、特性変化層上に特性の変化したパターンを有するパターン形成体を得ることを特徴とするパターン形成体の製造方法を提供する。
本発明によれば、光触媒含有層と特性変化層とを所定の間隔で離して配置し、露光することにより、効率よく露光した部分の特性変化層の特性を変化させてパターンを形成し、特に露光後の後処理も必要無く、特性の変化した高精細なパターンを有するパターン形成体を製造することができる。
また、上記発明においては、上記パターン形成体用基板が、透明基板と、上記透明基板上に形成された特性変化層と、パターン状に形成された遮光部とを有することが好ましい。本発明においては、特性変化層が自己支持性を有しており、透明基板を必要としないものであってもよいが、特性変化の感度が良好な材料は通常、自己支持性を有しているものが少なく、基材上に塗布膜として形成する必要がある場合が多い。したがって、上述したように、透明基板上に形成された特性変化層とすることが好ましいのである。
上記発明においては、上記遮光部が、上記透明基板上にパターン状に形成されており、さらにその上に上記特性変化層が形成されていることが好ましい。遮光部の位置は特に限定されるものではないが、乱反射を防止して精度を向上させる観点からは、光触媒含有層と特性変化層とが接触する位置となるべく近い位置にパターン状の遮光部を形成することが好ましい。したがって、上述した位置にパターン状の遮光部を形成することが好ましいのである。
また、上記発明においては、上記光触媒含有層が、光触媒からなる層であることが好ましい。上記光触媒含有層が、光触媒のみからなる層であれば、特性変化層の特性を変化させる効率を向上させることが可能であり、効率的にパターン形成体を製造することができるからである。
上記発明においては、上記光触媒含有層が、光触媒を真空成膜法により基材上に成膜してなる層であることが好ましい。このように真空成膜法により光触媒含有層を形成することにより、表面の凹凸が少なく均一な膜厚の均質な光触媒含有層とすることが可能であり、特性変化層の特性が変化したパターンの形成を均一に、かつ高効率で行うことができるからである。
一方、上記発明においては、上記光触媒含有層が、光触媒とバインダとを有する層であってもよい。このようにバインダを用いることにより、比較的容易に光触媒含有層を形成することが可能となり、結果的に低コストでパターン形成体の製造を行うことができるからである。
上記発明においては、上記光触媒が、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化タングステン(WO)、酸化ビスマス(Bi)、および酸化鉄(Fe)から選択される1種または2種以上の物質であることが好ましく、中でも請求項9に記載するように、上記光触媒が酸化チタン(TiO)であることが好ましい。これは、二酸化チタンのバンドギャップエネルギーが高いため光触媒として有効であり、かつ化学的にも安定で毒性もなく、入手も容易だからである。
上記発明においては、上記露光が、光触媒含有層を加熱しながらなされることが好ましい。上記露光を、光触媒含有層を加熱しながら行うことによって、光触媒の効果を高めることが可能となり、短時間で効率的に露光を行うことが可能となるからである。
上記発明においては、上記特性変化層の表面に、上記光触媒含有層を配置して露光する際に、上記光触媒含有層と、上記特性変化層表面との間隔を、0.2μm〜10μmの範囲内とすることが好ましい。上記露光する際に、上述した程度の微細な間隔を開けた状態で露光することにより、特性変化層の特性をより効果的に変化させることが可能となるからである。
上記発明においては、上記特性変化層が、光触媒を含まない層であることが好ましい。上記特性変化層が、光触媒を含まない層であることにより、パターン形成体がどのようなパターンであっても、経時で光触媒の影響を受けることがないからである。
上記発明においては、上記特性変化層が、上記光触媒含有層中の光触媒の作用により、露光された際に液体との接触角が低下するように濡れ性が変化する濡れ性変化層であることが好ましい。上記特性変化層が、上記光触媒の作用により液体との接触角が低下する濡れ性変化層であることにより、未露光部の濡れ性と露光部の濡れ性との差を利用して、露光されたパターンに例としてインク等を付着させることが容易となり、機能性素子の形成が容易となるからである。
上記発明においては、上記濡れ性変化層上における表面張力40mN/mの液体との接触角が、露光されていない部分において10°以上であり、露光された部分において9°以下であることが好ましい。上記濡れ性変化層の露光されていない部分の液体との接触角が、10°以下である場合は、撥液性が不十分であり、露光された部分の液体との接触角が、10°以上である場合には、インク等の機能性部用組成物の広がりが劣る可能性があり、例えば機能性部がカラーフィルタの画素部である場合、色抜けが生じる等の不都合が生じる可能性があるからである。
上記発明においては、上記濡れ性変化層が、オルガノポリシロキサンを含有する層であることが好ましい。本発明において、濡れ性変化層に要求される特性としては、露光されていない場合は撥液性であり、露光された場合は接触する光触媒含有層中の光触媒の作用により親液性となるといった特性である。このような特性を濡れ性変化層に付与する材料として、オルガノポリシロキサンを用いることが好ましいからである。
上記発明においては、上記オルガノポリシロキサンが、フルオロアルキル基を含有するオルガノポリシロキサンであることが好ましい。このようにフルオロアルキル基を含有するものであれば、露光部分と未露
光部分との濡れ性の差を大きくすることが可能となるからである。
上記発明においては、上記オルガノポリシロキサンが、YSiX(4−n)(ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基またはエポキシ基を示し、Xはアルコキシル基またはハロゲンを示す。nは0〜3までの整数である。)で示される珪素化合物の1種または2種以上の加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンであることが好ましい。このようなオルガノポリシロキサンを用いることにより、上述したような濡れ性の変化に対する特性を発揮することができるからである。
上記発明においては、上記パターン形成体用基板が、自己支持性を有する濡れ性変化層と、その表面にパターン状に形成された遮光部とを有するものであってもよい。濡れ性変化層が自己支持性を有するものであれば、基材等を用いる必要がなく、例えば市販の樹脂製フィルムの一面に遮光部を形成したものを用いれば、容易にパターン形成体を製造することができるからである。
上記発明においては、上記特性変化層が、上記光触媒含有層中の光触媒の作用により、露光された際に分解除去される分解除去層であることが好ましい。上記特性変化層が、光触媒の作用により分解除去される分解除去層であることにより、凹凸を有するパターンを形成することが可能となるからである。
上記発明においては、上記分解除去層に対する液体の接触角が、上記分解除去層が分解除去された際に露出する透明基板に対する液体の接触角と異なるものであることが好ましい。上記分解除去層が、分解除去されて露出した透明基板と、液体に対する接触角が異なることにより、この濡れ性の差を利用して、パターンを形成することが可能となるからである。
上記発明においては、上記分解除去層が、自己組織化単分子膜、ラングミュア−ブロジェット膜、もしくは交互吸着膜のいずれかであることが好ましい。上記分解除去層が、上記の膜であることにより、比較的高い強度を有する欠陥のない膜を容易に形成することが可能となるからである。
上記発明においては、上記透明基板上の濡れ性が、表面張力40mN/mの液体との接触角として9°以下であり、かつ上記分解除去層上においては10°以上であることが好ましい。上記透明基板および分解除去層の濡れ性が上記範囲であることにより、分解除去層が分解除去されて透明基板が露出した領域を親液性領域、分解除去層が残存する領域を撥液性領域とすることが可能となり、機能性素子の形成等が容易となるからである。
本発明においては、光触媒含有層および特性変化層が接触するように配置した後、露光することにより、露光した部分の特性変化層の特性を変化させてパターンを形成するものであるので、特に露光後の後処理も必要無く、特性の変化した高精細なパターンを有するパターン形成体を製造することができる。また、露光後、パターン形成体から光触媒含有層側基板を取り外すので、パターン形成体自体には光触媒を含む必要がなく、したがってパターン形成体の光触媒の作用による経時的な影響を心配する必要がない。さらに、パターン形成体用基板には、予めパターン状に形成された遮光部を有するものであるので、特性変化層上にパターン露光を行うに際してフォトマスクを用いる必要がなく、単にパターン形成体用基板側から全面露光することにより、特性変化層上へのパターン露光を行うことができる。したがって、別途フォトマスクを形成する必要性もなく、フォトマスクとの位置合わせの必要もない。よって、簡便な工程でパターン形成体を製造することが可能となる。
本発明は、パターン形成体の製造方法およびパターン形成体に関するものである。以下、これらについてわけて説明する。
A.パターン形成体の製造方法
以下、本発明のパターン形成体の製造方法について詳細に説明する。本発明のパターン形成体の製造方法は、光触媒を含有する光触媒含有層および基材を有する光触媒含有層側基板と、上記光触媒含有層中の光触媒の作用により表面の特性が変化する特性変化層およびパターン状に形成された遮光部を有するパターン形成体用基板とを、上記光触媒含有層および上記特性変化層が接触するように、パターン形成体用基板側から露光することにより、露光した部分の特性変化層の特性を変化させ、次いで光触媒含有層側基板を取り外すことにより、特性変化層上に特性の変化したパターンを有するパターン形成体を得ることを特徴とするものである。
このように、本発明のパターン形成体の製造方法においては、光触媒含有層および特性変化層が接触するように、特性変化層側から全面に露光することにより、光触媒含有層中の光触媒の作用により露光した部分の特性変化層の特性が変化し、特性変化層上の露光された部分、すなわち特性の変化した部分によるパターンが形成される。したがって、パターン形成に際して露光後の現像・洗浄等の後処理が不要となるので、従来より少ない工程で、かつ安価に特性の異なるパターンを形成することができる。よって、形成された特性が変化したパターンに沿って機能性部を形成することにより容易に、かつ安価にカラーフィルタ等の機能性素子を形成することができる。
さらに、本発明においては、特性変化層上の特性を光触媒含有層中の光触媒の作用により変化させた後、光触媒含有層側基板を取り外してパターン形成体側基板をパターン形成体としたものであるので、得られるパターン形成体には必ずしも光触媒が含有されている必要がない。したがって、得られるパターン形成体に機能性部を形成して機能性素子とした場合に、機能性素子が光触媒の作用により経時的に影響を受けるといった不具合を防止することができる。
さらにまた、本発明においては、パターン形成体側基板にパターン状の遮光部が形成されているので、パターン形成体側基板側から全面に露光することにより、容易に特性変化層上に特性の異なるパターンを形成することができる。したがって、通常であればパターン露光に際して必要とされるフォトマスクが必要とされず、また光描画等を必要とされることもない。さらに、遮光部が形成される位置を光触媒含有層と特性変化層とが接触する位置に近接させることが可能であることから、露光された光等のエネルギーが散乱する等による精度の低下がなく、極めて高精度のパターンとすることが可能である。
このような本発明のパターン形成体の製造方法について、図面を用いて説明する。なお、本発明におけるパターンとは、図案、画像、回路、文字等の種々の模様を示すものであり、特に限定されるものではない。
図1は、本発明のパターン形成体の製造方法の一例を示すものである。この製造方法においては、まず基材1とこの基材1上に形成された光触媒含有層2とからなる光触媒含有層側基板3と、透明基板4、この透明基板4上にパターン状に形成された遮光部5、およびこの遮光部5上に形成された特性変化層6とからなるパターン形成体用基板7とを準備する(図1(a)参照)。
次に、この光触媒含有層側基板3の光触媒含有層2と、パターン形成体用基板7の特性変化層6とを接触するように配置する(図1(b)参照)。なお、この際の接触状態は、後述するように完全に密着した状態に限定されるものではなく、所定の間隙をおいて配置された状態であってもよい。
そして、このように光触媒含有層2と特性変化層6とを配置した状態で、エネルギー8をパターン形成体用基板7側から照射する。これにより、遮光部5が形成されていない部分の特性変化層6の特性が変化して、特性変化領域10が形成される(図1(c)参照)。
その後、光触媒含有層側基板3を取り外す(離す)ことにより、特性変化領域10が形成されたパターン形成体7’を得ることができる。
以下、上述した製造方法を例として、本発明のパターン形成体の製造方法について詳しく説明する。
1.光触媒含有層側基板
まず、本発明に用いられる光触媒含有層側基板について説明する。本発明のパターン形成体の製造方法に用いられる光触媒含有層側基板とは、少なくとも光触媒含有層と基材とを有するものであり、通常は基材上に所定の方法で形成された薄膜状の光触媒含有層が形成されてなるものである。これらについてわけて説明する。
(光触媒含有層)
本発明に用いられる光触媒含有層は、光触媒含有層中の光触媒が、接触する特性変化層の特性を変化させるような構成であれば、特に限定されるものではなく、光触媒とバインダとから構成されているものであってもよいし、光触媒単体で成膜されたものであってもよい。また、その表面の濡れ性は特に親液性であっても撥液性であってもよい。
この光触媒含有層における、後述するような二酸化チタンに代表される光触媒の作用機構は、必ずしも明確なものではないが、光の照射によって生成したキャリアが、近傍の化合物との直接反応、あるいは、酸素、水の存在下で生じた活性酸素種によって、有機物の化学構造に変化を及ぼすものと考えられている。本発明においては、このキャリアが光触媒含有層上で接触する特性変化層中の化合物に作用を及ぼすものであると思われる。
本発明で使用する光触媒としては、光半導体として知られる例えば二酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化タングステン(WO)、酸化ビスマス(Bi)、および酸化鉄(Fe)を挙げることができ、これらから選択して1種または2種以上を混合して用いることができる。
本発明においては、特に二酸化チタンが、バンドギャップエネルギーが高く、化学的に安定で毒性もなく、入手も容易であることから好適に使用される。二酸化チタンには、アナターゼ型とルチル型があり本発明ではいずれも使用することができるが、アナターゼ型の二酸化チタンが好ましい。アナターゼ型二酸化チタンは励起波長が380nm以下にある。
このようなアナターゼ型二酸化チタンとしては、例えば、塩酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(石原産業(株)製STS−02(平均粒径7nm)、石原産業(株)製ST−K01)、硝酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(日産化学(株)製TA−15(平均粒径12nm))等を挙げることができる。
光触媒の粒径は小さいほど光触媒反応が効果的に起こるので好ましく、平均粒径が50nm以下が好ましく、20nm以下の光触媒を使用するのが特に好ましい。
本発明における光触媒含有層は、上述したように光触媒単独で形成されたものであってもよく、またバインダと混合して形成されたものであってもよい。
光触媒のみからなる光触媒含有層の場合は、特性変化層上の特性の変化に対する効率が向上し、処理時間の短縮化等のコスト面で有利である。一方、光触媒とバインダとからなる光触媒含有層の場合は、光触媒含有層の形成が容易であるという利点を有する。
光触媒のみからなる光触媒含有層の形成方法としては、例えば、スパッタリング法、CVD法、真空蒸着法等の真空成膜法を用いる方法を挙げることができる。真空成膜法により光触媒含有層を形成することにより、均一な膜でかつ光触媒のみを含有する光触媒含有層とすることが可能であり、これにより特性変化層上の特性を均一に変化させることが可能であり、かつ光触媒のみからなることから、バインダを用いる場合と比較して効率的に特性変化層上の特性を変化させることが可能となる。
また、光触媒のみからなる光触媒含有層の形成方法としては、例えば光触媒が二酸化チタンの場合は、基材上に無定形チタニアを形成し、次いで焼成により結晶性チタニアに相変化させる方法等が挙げられる。ここで用いられる無定形チタニアとしては、例えば四塩化チタン、硫酸チタン等のチタンの無機塩の加水分解、脱水縮合、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラメトキシチタン等の有機チタン化合物を酸存在下において加水分解、脱水縮合によって得ることができる。次いで、400℃〜500℃における焼成によってアナターゼ型チタニアに変性し、600℃〜700℃の焼成によってルチル型チタニアに変性することができる。
また、バインダを用いる場合は、バインダの主骨格が上記の光触媒の光励起により分解されないような高い結合エネルギーを有するものが好ましく、例えば後述する特性変化層の説明の欄で詳しく説明するオルガノポリシロキサン等を挙げることができる。
このようにオルガノポリシロキサンをバインダとして用いた場合は、上記光触媒含有層は、光触媒とバインダであるオルガノポリシロキサンを必要に応じて他の添加剤とともに溶剤中に分散して塗布液を調製し、この塗布液を基材上に塗布することにより形成することができる。使用する溶剤としては、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系の有機溶剤が好ましい。塗布はスピンコート、スプレーコート、ディッブコート、ロールコート、ビードコート等の公知の塗布方法により行うことができる。バインダとして紫外線硬化型の成分を含有している場合、紫外線を照射して硬化処理を行うことにより光触媒含有層を形成することができる。
また、バインダとして無定形シリカ前駆体を用いることができる。この無定形シリカ前駆体は、一般式SiXで表され、Xはハロゲン、メトキシ基、エトキシ基、またはアセチル基等であるケイ素化合物、それらの加水分解物であるシラノール、または平均分子量3000以下のポリシロキサンが好ましい。
具体的には、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラメトキシシラン等が挙げられる。また、この場合には、無定形シリカの前駆体と光触媒の粒子とを非水性溶媒中に均一に分散させ、透明基板上に空気中の水分により加水分解させてシラノールを形成させた後、常温で脱水縮重合することにより光触媒含有層を形成できる。シラノールの脱水縮重合を100℃以上で行えば、シラノールの重合度が増し、膜表面の強度を向上できる。また、これらの結着剤は、単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。
バインダを用いた場合の光触媒含有層中の光触媒の含有量は、5〜60重量%、好ましくは20〜40重量%の範囲で設定することができる。また、光触媒含有層の厚みは、0.05〜10μmの範囲内が好ましい。
また、光触媒含有層には上記の光触媒、バインダの他に、界面活性剤を含有させることができる。具体的には、日光ケミカルズ(株)製NIKKOL BL、BC、BO、BBの各シリーズ等の炭化水素系、デュポン社製ZONYL FSN、FSO、旭硝子(株)製サーフロンS−141、145、大日本インキ化学工業(株)製メガファックF−141、144、ネオス(株)製フタージェントF−200、F251、ダイキン工業(株)製ユニダインDS−401、402、スリーエム(株)製フロラードFC−170、176等のフッ素系あるいはシリコーン系の非イオン界面活性剤を挙げることができ、また、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤を用いることもできる。
さらに、光触媒含有層には上記の界面活性剤の他にも、ポリビニルアルコール、不飽和ポリエステル、アクリル樹脂、ポリエチレン、ジアリルフタレート、エチレンプロピレンジエンモノマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリブタジエン、ポリベンズイミダゾール、ポリアクリルニトリル、エピクロルヒドリン、ポリサルファイド、ポリイソプレン等のオリゴマー、ポリマー等を含有させることができる。
(基材)
本発明においては、図1(a)に示すように、光触媒含有層側基板3は、少なくとも基材1とこの基材1上に形成された光触媒含有層2とを有するものである。
この基材は、図1(c)にも示すように、露光の際に光を透過させる必要性がないことから、その材料としては特に限定されるものではなく、必要に応じて種々の材料を用いることができる。しかしながら、本発明においては、この光触媒含有層側基板は、繰り返し用いられるものであることから、所定の強度を有し、かつその表面が光触媒含有層との密着性が良好である材料が好適に用いられる。
具体的には、ガラス、セラミック、金属、プラスチック等を挙げることができる。
なお、基材表面と光触媒含有層との密着性を向上させるために、基材上にプライマー層を形成するようにしてもよい。このようなプライマー層としては、例えば、シラン系、チタン系のカップリング剤等を挙げることができる。
2.パターン形成体用基板
次に、本発明に用いられるパターン形成体用基板について説明する。本発明に用いられるパターン形成体用基板は、少なくとも特性変化層とパターン状に形成された遮光部とを有するものであれば特に限定されるものではない。例として図1(a)に示すように、透明基板4上に遮光部5が形成され、その上に特性変化層6が形成されたパターン形成体用基板7であってもよく(以下第一実施態様とする)、また、特性変化層が自己支持性を有するものであれば、図2に示すように特性変化層6上に遮光部5が形成されたパターン形成体用基板7であってもよい(以下第二実施態様とする)。
以下、それぞれの態様についてわけて説明する。
(1)第一実施態様
本発明のパターン形成体用基板の第一実施態様は、特性変化層と遮光部と透明基板とを有するパターン形成体用基板に関するものである。以下、それぞれ説明する。
(特性変化層)
まず、本実施態様の特性変化層について説明する。本実施態様の特性変化層は、上述した光触媒含有層の作用により特性が変化する層であれば、特に限定されるものではない。例えば特性変化層中にスピロピラン等のフォトクロミック材料あるいは光触媒の作用により分解される有機色素等を特性変化層に混合し、特性変化層を光触媒の作用により着色する層としてもよい。
また、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンなどのポリマー材料等を用いることにより、露光した部分が光触媒の作用により、極性基が導入されたり、表面の状態が粗い状態となったりして種々の物質との接着性が向上するようにした層を特性変化層としてもよい。このように特性変化層を接着性が変化する接着性変化層とすることにより、パターン露光により接着性の良好なパターンを形成することが可能となる。このような接着性の良好な部位のパターンを有するパターン形成体は、例えば、このようなパターン形成体に金属成分を蒸着し、金属の薄膜を形成し、次いで接着性の違いを利用して金属薄膜を例えば粘着剤や薬剤等により剥離することにより、金属の薄膜のパターンを形成することが可能となる。この方法によれば、レジストのパターンを形成することなく金属薄膜のパターンを形成することが可能となり、印刷法によるものよりも高精細なパターンを有するプリント基板や電子回路素子等を形成することができる。
また、本実施態様においては、このような特性変化層が、乾式法、すなわち真空蒸着法等により形成されたものであってもよく、また湿式法、すなわちスピンコート法やディップコート法等の方法により形成されたものであってもよい。
このように、特性変化層は光触媒の作用により変化する種々の特性を有する層であれば特に限定されないのであるが、本実施態様においては中でも特性変化層が光触媒の作用により濡れ性が変化して濡れ性によるパターンが形成される濡れ性変化層である場合、および特性変化層が光触媒の作用により分解除去され凹凸によるパターンが形成される分解除去層である場合の二つの場合が、特に得られる機能性素子等の関係からより本実施態様の有効性を引き出すものであるので好ましい。
以下、この濡れ性変化層および分解除去層について説明する。
a.濡れ性変化層
本実施態様における濡れ性変化層は、上記光触媒の作用により表面の濡れ性が変化する層であれば特に限定されるものではないが、一般には露光に伴う光触媒の作用により、その濡れ性変化層表面における液体との接触角が低下するように濡れ性が変化する層であることが好ましい。
また、接触する光触媒含有層中の光触媒を活性化させるエネルギーを透過させる材料である必要がある。
このように、露光(本実施態様においては、光が照射されたことのみならず、エネルギーが照射されたことをも意味するものとする。)により液体との接触角が低下するように濡れ性が変化する濡れ性変化層とすることにより、上記遮光部を介した露光を行うことにより容易に濡れ性をパターン状に変化させ、液体との接触角の小さい親液性領域のパターンを形成することが可能となり、この親液性領域に機能性部用組成物を付着させることにより、容易に機能性素子を形成することができる。したがって、効率的に機能性素子が製造でき、コスト的に有利となるからである。
ここで、親液性領域とは、液体との接触角が小さい領域であり、機能性部用組成物、例えば機能性素子がカラーフィルタであれば、画素部(着色層)着色用のインク、また機能性素子がマイクロレンズであれば、マイクロレンズ形成用組成物等に対する濡れ性の良好な領域をいうこととする。また、撥液性領域とは、液体との接触角が大きい領域であり、上述した機能性部用組成物に対する濡れ性が悪い領域をいうこととする。
なお、本実施態様においては、隣接する領域の液体との接触角より、液体との接触角が1°以上低い場合には親液性領域、隣接する領域の液体との接触角より、液体との接触角が1°以上高い場合には撥液性領域とすることとする。
上記濡れ性変化層は、露光していない部分、すなわち撥水性領域においては、表面張力40mN/mの液体との接触角が10°以上、好ましくは表面張力30mN/mの液体との接触角が10°以上、特に表面張力20mN/mの液体との接触角が10°以上の濡れ性を示すことが好ましい。これは、露光していない部分は、本実施態様においては撥液性が要求される部分であることから、液体との接触角が小さい場合は、撥液性が十分でなく、上記機能性部形成用組成物が残存する可能性が生じるため好ましくないからである。
また、上記濡れ性変化層は、露光すると液体との接触角が低下して、表面張力40mN/mの液体との接触角が9°以下、好ましくは表面張力50mN/mの液体との接触角が10°以下、特に表面張力60mN/mの液体との接触角が10°以下となるような層であることが好ましい。露光した部分、すなわち親液性領域における液体との接触角が高いと、この部分での機能性部形成用組成物の広がりが劣る可能性があり、機能性部の欠け等の問題が生じる可能性があるからである。
なお、ここでいう液体との接触角は、種々の表面張力を有する液体との接触角を接触角測定器(協和界面科学(株)製CA−Z型)を用いて測定(マイクロシリンジから液滴を滴下して30秒後)し、その結果から、もしくはその結果をグラフにして得たものである。また、この測定に際して、種々の表面張力を有する液体としては、純正化学株式会社製のぬれ指数標準液を用いた。
また、本実施態様において上述したような濡れ性変化層を用いた場合、この濡れ性変化層中にフッ素が含有され、さらにこの濡れ性変化層表面のフッ素含有量が、濡れ性変化層に対し露光した際に、上記光触媒の作用により露光前に比較して低下するように上記濡れ性変化層が形成されていてもよい。
このような特徴を有する濡れ性変化層であれば、エネルギーをパターン照射することにより、容易にフッ素の含有量の少ない部分からなるパターンを形成することができる。ここで、フッ素は極めて低い表面エネルギーを有するものであり、このためフッ素を多く含有する物質の表面は、臨界表面張力がより小さくなる。したがって、フッ素の含有量の多い部分の表面の臨界表面張力に比較してフッ素の含有量の少ない部分の臨界表面張力は大きくなる。これはすなわち、フッ素含有量の少ない部分はフッ素含有量の多い部分に比較して親液性領域となっていることを意味する。よって、周囲の表面に比較してフッ素含有量の少ない部分からなるパターンを形成することは、撥液性域内に親液性領域のパターンを形成することとなる。
したがって、このような濡れ性変化層を用いた場合は、エネルギーをパターン照射することにより、撥液性領域内に親液性領域のパターンを容易に形成することができるので、この親液性領域のみに機能性部を形成することが容易に可能となり、低コストで品質の良好な機能性素子とすることができる。
上述したような、フッ素を含む濡れ性変化層中に含まれるフッ素の含有量としては、露光されて形成されたフッ素含有量が低い親液性領域におけるフッ素含有量が、露光されていない部分のフッ素含有量を100とした場合に10以下、好ましくは5以下、特に好ましくは1以下であることが好ましい。
このような範囲内とすることにより、露光部分と未露光部分との濡れ性に大きな違いを生じさせることができる。したがって、このような濡れ性変化層に機能性部を形成することにより、フッ素含有量が低下した親液性領域のみに正確に機能性部を形成することが可能となり、精度良く機能性素子を得ることができるからである。なお、この低下率は重量を基準としたものである。
このような濡れ性変化層中のフッ素含有量の測定は、一般的に行われている種々の方法を用いることが可能であり、例えばX線光電子分光法(X-ray Photoelectron Spectroscopy,ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)とも称される。)、蛍光X線分析法、質量分析法等の定量的に表面のフッ素の量を測定できる方法であれば特に限定されるものではない。
このような濡れ性変化層に用いられる材料としては、上述した濡れ性変化層の特性、すなわち露光により接触する光触媒含有層中の光触媒により濡れ性が変化する材料で、かつ光触媒の作用により劣化、分解しにくい主鎖を有するものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、(1)ゾルゲル反応等によりクロロまたはアルコキシシラン等を加水分解、重縮合して大きな強度を発揮するオルガノポリシロキサン、(2)撥水牲や撥油性に優れた反応性シリコーンを架橋したオルガノポリシロキサン等のオルガノポリシロキサンを挙げることができる。
上記の(1)の場合、一般式:
SiX(4−n)
(ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基またはエポキシ基を示し、Xはアルコキシル基、アセチル基またはハロゲンを示す。nは0〜3までの整数である。)
で示される珪素化合物の1種または2種以上の加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンであることが好ましい。なお、ここでYで示される基の炭素数は1〜20の範囲内であることが好ましく、また、Xで示されるアルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基であることが好ましい。
具体的には、メチルトリクロルシラン、メチルトリブロムシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリt−ブトキシシラン;エチルトリクロルシラン、エチルトリブロムシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリt−ブトキシシラン;n−プロピルトリクロルシラン、n−プロピルトリブロムシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリイソプロポキシシラン、n−プロピルトリt−ブトキシシラン;n−ヘキシルトリクロルシラン、n−へキシルトリブロムシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、n−へキシルトリイソプロポキシシラン、n−へキシルトリt−ブトキシシラン;n−デシルトリクロルシラン、n−デシルトリブロムシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン、n−デシルトリイソプロポキシシラン、n−デシルトリt−ブトキシシラン;n−オクタデシルトリクロルシラン、n−オクタデシルトリブロムシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキシシラン、n−オクタデシルトリイソプロポキシシラン、n−オクタデシルトリt−ブトキシシラン;フェニルトリクロルシラン、フェニルトリブロムシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリt−ブトキシシラン;テトラクロルシラン、テトラブロムシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン;ジメチルジクロルシラン、ジメチルジブロムシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン;ジフェニルジクロルシラン、ジフェニルジブロムシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン;フェニルメチルジクロルシラン、フェニルメチルジブロムシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン;トリクロルヒドロシラン、トリブロムヒドロシラン、トリメトキシヒドロシラン、トリエトキシヒドロシラン、トリイソプロポキシヒドロシラン、トリt−ブトキシヒドロシラン;ビニルトリクロルシラン、ビニルトリブロムシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリt−ブトキシシラン;トリフルオロプロピルトリクロルシラン、トリフルオロプロピルトリブロムシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリt−ブトキシシラン;γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリt−ブトキシシラン;γ−メタアクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリt−ブトキシシラン;γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−アミノプロピルトリt−ブトキシシラン;γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリt−ブトキシシラン;β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン;および、それらの部分加水分解物;および、それらの混合物を使用することができる。
また、特にフルオロアルキル基を含有するオルガノポリシロキサンが好ましく用いることができ、具体的には、下記のフルオロアルキルシランの1種または2種以上の加水分解縮合物、共加水分解縮合物が挙げられ、一般にフッ素系シランカップリング剤として知られたものを使用することができる。
CF(CFCHCHSi(OCH
CF(CFCHCHSi(OCH
CF(CFCHCHSi(OCH
CF(CFCHCHSi(OCH
(CFCF(CFCHCHSi(OCH
(CFCF(CFCHCHSi(OCH
(CFCF(CFCHCHSi(OCH
CF(C)CSi(OCH
CF(CF(C)CSi(OCH
CF(CF(C)CSi(OCH
CF(CF(C)CSi(OCH
CF(CFCHCHSiCH(OCH
CF(CFCHCHSiCH(OCH
CF(CFCHCHSiCH(OCH
CF(CFCHCHSiCH(OCH
(CFCF(CFCHCHSiCH(OCH
(CFCF(CFCHCHSi CH(OCH
(CFCF(CFCHCHSi CH(OCH
CF(C)CSiCH(OCH
CF(CF(C)CSiCH(OCH
CF(CF(C)CSiCH(OCH
CF(CF(C)CSiCH(OCH
CF(CFCHCHSi(OCHCH
CF(CFCHCHSi(OCHCH
CF(CFCHCHSi(OCHCH
CF(CFCHCHSi(OCHCH;および
CF(CFSON(C)CCHSi(OCH
上記のようなフルオロアルキル基を含有するポリシロキサンをバインダとして用いることにより、濡れ性変化層の非露光部の撥液性が大きく向上し、例えば機能性素子がカラーフィルタである場合における画素部着色用のインクといった機能性部用組成物の付着を妨げる機能を発現する。
また、上記の(2)の反応性シリコーンとしては、下記一般式で表される骨格をもつ化合物を挙げることができる。
Figure 0004844568
ただし、nは2以上の整数であり、R,Rはそれぞれ炭素数1〜10の置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、アリールあるいはシアノアルキル基であり、モル比で全体の40%以下がビニル、フェニル、ハロゲン化フェニルである。また、R、Rがメチル基のものが表面エネルギーが最も小さくなるので好ましく、モル比でメチル基が60%以上であることが好ましい。また、鎖末端もしくは側鎖には、分子鎖中に少なくとも1個以上の水酸基等の反応性基を有する。
また、上記のオルガノポリシロキサンとともに、ジメチルポリシロキサンのような架橋反応をしない安定なオルガノシリコーン化合物を混合してもよい。
本実施態様においては、このようにオルガノポリシロキサン等の種々の材料を濡れ性変化層に用いることができるのであるが、上述したように、濡れ性変化層にフッ素を含有させることが、濡れ性のパターン形成に効果的である。したがって、光触媒の作用により劣化・分解しにくい材料にフッ素を含有させる、具体的にはオルガノポリシロキサン材料にフッ素を含有させて濡れ性変化層とすることが好ましいといえる。
このように、オルガノポリシロキサン材料にフッ素を含有させる方法としては、通常高い結合エネルギーを有する主剤に対し、フッ素化合物を比較的弱い結合エネルギーで結合させる方法、比較的弱い結合エネルギーで結合されたフッ素化合物を濡れ性変化層に混入させる方法等を挙げることができる。このような方法でフッ素を導入することにより、露光された場合に、まず結合エネルギーが比較的小さいフッ素結合部位が分解され、これによりフッ素を濡れ性変化層中から除去することができるからである。
上記第1の方法、すなわち、高い結合エネルギーを有するバインダに対し、フッ素化合物を比較的弱い結合エネルギーで結合させる方法としては、上記オルガノポリシロキサンにフルオロアルキル基を置換基として導入する方法等を挙げることができる。
例えば、オルガノポリシロキサンを得る方法として、上記(1)として記載したように、ゾルゲル反応等によりクロロまたはアルコキシシラン等を加水分解、重縮合して大きな強度を発揮するオルガノポリシロキサンを得ることができる。ここで、この方法においては、上述したように上記一般式:
SiX(4−n)
(ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基またはエポキシ基を示し、Xはアルコキシル基、アセチル基またはハロゲンを示す。nは0〜3までの整数である。)
で示される珪素化合物の1種または2種以上を、加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合することによりオルガノポリシロキサンを得るのであるが、この一般式において、置換基Yとしてフルオロアルキル基を有する珪素化合物を用いて合成することにより、フルオロアルキル基を置換基として有するオルガノポリシロキサンを得ることができる。このようなフルオロアルキル基を置換基として有するオルガノポリシロキサンをバインダとして用いた場合は、露光された際、接触する光触媒含有層中の光触媒の作用により、フルオロアルキル基の炭素結合の部分が分解されることから、濡れ性変化層表面に露光した部分のフッ素含有量を低減させることができる。
この際用いられるフルオロアルキル基を有する珪素化合物としては、フルオロアルキル基を有するものであれば特に限定されるものではないが、少なくとも1個のフルオロアルキル基を有し、このフルオロアルキル基の炭素数が4から30、好ましくは6から20、特に好ましくは6から16である珪素化合物が好適に用いられる。このような珪素化合物の具体例は上述した通りであるが、中でも炭素数が6から8であるフルオロアルキル基を有する上記珪素化合物、すなわちフルオロアルキルシランが好ましい。
本実施態様においては、このようなフルオロアルキル基を有する珪素化合物を上述したフルオロアルキル基を有さない珪素化合物と混合して用い、これらの共加水分解縮合物を上記オルガノポリシロキサンとして用いてもよいし、このようなフルオロアルキル基を有する珪素化合物を1種または2種以上用い、これらの加水分解縮合物、共加水分解縮合物を上記オルガノポリシロキサンとして用いてもよい。
このようにして得られるフルオロアルキル基を有するオルガノポリシロキサンにおいては、このオルガノポリシロキサンを構成する珪素化合物の内、上記フルオロアルキル基を有する珪素化合物が0.01モル%以上、好ましくは0.1モル%以上含まれていることが好ましい。
フルオロアルキル基がこの程度含まれることにより、濡れ性変化層上の撥液性を高くすることができ、露光して親液性領域とした部分との濡れ性の差異を大きくすることができるからである。
また、上記(2)に示す方法では、撥液牲に優れた反応性シリコーンを架橋することによりオルガノポリシロキサンを得るのであるが、この場合も同様に、上述した一般式中のR,Rのいずれかもしくは両方をフルオロアルキル基等のフッ素を含有する置換基とすることにより、濡れ性変化層中にフッ素を含ませることが可能であり、また露光された場合に、シロキサン結合より結合エネルギーの小さいフルオロアルキル基の部分が分解されるため、露光により濡れ性変化層表面におけるフッ素の含有量を低下させることができる。
一方、後者の例、すなわち、バインダの結合エネルギーより弱いエネルギーで結合したフッ素化合物を導入させる方法としては、例えば、低分子量のフッ素化合物を導入させる場合は、例えばフッ素系の界面活性剤を混入する方法等を挙げることができ、また高分子量のフッ素化合物を導入させる方法としては、バインダ樹脂との相溶性の高いフッ素樹脂を混合する等の方法を挙げることができる。
本実施態様における濡れ性変化層には、さらに界面活性剤を含有させることができる。具体的には、日光ケミカルズ(株)製NIKKOL BL、BC、BO、BBの各シリーズ等の炭化水素系、デュポン社製ZONYL FSN、FSO、旭硝子(株)製サーフロンS−141、145、大日本インキ化学工業(株)製メガファックF−141、144、ネオス(株)製フタージェントF−200、F251、ダイキン工業(株)製ユニダインDS−401、402、スリーエム(株)製フロラードFC−170、176等のフッ素系あるいはシリコーン系の非イオン界面活性剤を挙げることかでき、また、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤を用いることもできる。
また、濡れ性変化層には上記の界面活性剤の他にも、ポリビニルアルコール、不飽和ポリエステル、アクリル樹脂、ポリエチレン、ジアリルフタレート、エチレンプロピレンジエンモノマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリブタジエン、ポリベンズイミダゾール、ポリアクリルニトリル、エピクロルヒドリン、ポリサルファイド、ポリイソプレン等のオリゴマー、ポリマー等を含有させることができる。
このような濡れ性変化層は、上述した成分を必要に応じて他の添加剤とともに溶剤中に分散して塗布液を調製し、この塗布液を基板上に塗布することにより形成することができる。使用する溶剤としては、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系の有機溶剤が好ましい。塗布はスピンコート、スプレーコート、ディッブコート、ロールコート、ビードコート等の公知の塗布方法により行うことができる。また、紫外線硬化型の成分を含有している場合、紫外線を照射して硬化処理を行うことにより濡れ性変化層を形成することができる。
本実施態様において、この濡れ性変化層の厚みは、光触媒による濡れ性の変化速度等の関係より、0.001μmから1μmであることが好ましく、特に好ましくは0.01〜0.1μmの範囲内である。
本実施態様において上述した成分の濡れ性変化層を用いることにより、接触する光触媒含有層中の光触媒の作用により、上記成分の一部である有機基や添加剤の酸化、分解等の作用を用いて、露光部の濡れ性を変化させて親液性とし、非露光部との濡れ性に大きな差を生じさせることができる。よって、機能性部用組成物、例えば画素部着色用のインク等との受容性(親液性)および反撥性(撥液性)を高めることによって、品質の良好でかつコスト的にも有利なカラーフィルタ等の機能性素子を得ることができる。
また、本実施態様に用いられる濡れ性変化層は、表面の濡れ性が光触媒の作用により変化し得る材料で形成されたものであれば、自己支持性を有する材料であってもよく、また自己支持性を有さない材料であってもよい。なお、本実施態様でいう自己支持性を有するとは、他の支持材無しで有形な状態で存在し得ることをいうこととする。
本実施態様においては、この自己支持性のない濡れ性変化層であることが好ましい。上述した特性が大幅に変化する材料で形成される濡れ性変化層は、通常自己支持性のある材料が少なく、透明基板上に形成することにより、強度等が増し、様々なパターン形成体として使用することが可能となるからである。
なお、本実施態様に用いられる濡れ性変化層は、上述したように光触媒の作用により濡れ性の変化する層であれば特に限定されるものではないが、特に、光触媒を含まない層であることが好ましい。このように濡れ性変化層内に光触媒が含まれなければ、その後機能性素子として用いた場合に、経時的な光触媒の影響を心配する必要がなく、長期間に渡り問題なく使用することが可能だからである。
(分解除去層)
次に分解除去層について説明する。本実施態様に用いられる分解除去層は、露光された際に光触媒含有層中の光触媒の作用により、露光された部分の分解除去層が分解除去される層であれば、特に限定されるものではない。
このように分解除去層は、露光した部分が光触媒の作用により分解除去されることから、現像工程や洗浄工程を行うことなく分解除去層のある部分と無い部分からなるパターン、すなわち凹凸を有するパターンを形成することができる。
なお、この分解除去層は、露光による光触媒の作用により酸化分解され、気化等されることから、現像・洗浄工程等の特別な後処理なしに除去されるものであるが、分解除去層の材質によっては、洗浄工程等を行ってもよい。
また、本実施態様に用いられる分解除去層は、凹凸を形成するのみならず、この分解除去層が、上記透明基板表面と比較して、液体との接触角が高いことが好ましい。これにより、分解除去層が分解除去され、透明基板が露出した領域を親液性領域、上記分解除去層が残存する領域を撥液性領域とすることが可能となり、種々のパターンを形成することが可能となるからである。
ここで、本実施態様の分解除去層表面の液体との接触角は、表面張力40mN/mの液体との接触角が10°以上、好ましくは表面張力30mN/mの液体との接触角が10°以上、特に表面張力20mN/mの液体との接触角が10°以上の値を示すことが好ましい。
また、本実施態様において、特性変化層が分解除去層である場合には、後述する透明基板が親液性であることが好ましく、具体的には、表面張力40mN/mの液体との接触角として9°以下であることが好ましく、さらに好ましくは、表面張力40mN/mの液体との接触角として5°以下、特に好ましくは1°以下であることである。
分解除去層および透明基板の濡れ性が、上記範囲内であることにより、透明基板が露出した領域を親液性領域、分解除去層が残存する領域を撥液性領域とすることが可能となり、高精細なパターンの形成が容易となるからである。ここで、液体との接触角は、上述した方法により測定した値である。
この場合、透明基板は表面を親液性となるように、表面処理したものであってもよい。材料の表面を親液性となるように表面処理した例としては、アルゴンや水などを利用したプラズマ処理による親液性表面処理が挙げられ、透明基板上に形成する親液性の層としては、例えばテトラエトキシシランのゾルゲル法によるシリカ膜等を挙げることができる。本実施態様においては、通常透明基板が露出した部分が親液性領域とされる。
上記のような分解除去層に用いることができる膜としては、具体的にはフッ素系や炭化水素系の撥液性を有する樹脂等による膜を挙げることができる。これらのフッ素系や炭化水素系の樹脂は、撥液性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、これらの樹脂を溶媒に溶解させ、例としてスピンコート法等の一般的な成膜方法により形成することが可能である。
また、本実施態様においては、機能性薄膜、すなわち、自己組織化単分子膜、ラングミュア−ブロケット膜、および交互吸着膜等を用いることにより、欠陥のない膜を形成することが可能であることから、このような成膜方法を用いることがより好ましいといえる。
ここで、本実施態様に用いられる自己組織化単分子膜、ラングミュア−ブロケット膜、および交互吸着膜について具体的に説明する。
(i)自己組織化単分子膜
自己組織化単分子膜(Self-Assembled Monolayer)の公式な定義の存在を発明者らは知らないが、一般的に自己組織化膜として認識されているものの解説文としては、例えばAbraham Ulmanによる総説“Formation and Structure of Self-Assembled Monolayers”, Chemical Review, 96, 1533-1554 (1996)が優れている。本総説を参考にすれば、自己組織化単分子膜とは、適当な分子が適当な基板表面に吸着・結合(自己組織化)した結果生じた単分子層のことと言える。自己組織化膜形成能のある材料としては、例えば、脂肪酸などの界面活性剤分子、アルキルトリクロロシラン類やアルキルアルコキシド類などの有機ケイ素分子、アルカンチオール類などの有機イオウ分子、アルキルフォスフェート類などの有機リン酸分子などが挙げられる。分子構造の一般的な共通性は、比較的長いアルキル鎖を有し、片方の分子末端に基板表面と相互作用する官能基が存在することである。アルキル鎖の部分は分子同士が2次元的にパッキングする際の分子間力の源である。もっとも、ここに示した例は最も単純な構造であり、分子のもう一方の末端にアミノ基やカルボキシル基などの官能基を有するもの、アルキレン鎖の部分がオキシエチレン鎖のもの、フルオロカーボン鎖のもの、これらが複合したタイプの鎖のものなど様々な分子から成る自己組織化単分子膜が報告されている。また、複数の分子種から成る複合タイプの自己組織化単分子膜もある。また、最近では、デンドリマーに代表されるような粒子状で複数の官能基(官能基が一つの場合もある)を有する高分子や直鎖状(分岐構造のある場合もある)の高分子が一層基板表面に形成されたもの(後者はポリマーブラシと総称される)も自己組織化単分子膜と考えられる場合もあるようである。本実施態様は、これらも自己組織化単分子膜に含める。
(ii)ラングミュア−ブロジェット膜
本実施態様に用いられるラングミュア−ブロジェット膜(Langmuir-Blodgett Film)は、基板上に形成されてしまえば形態上は上述した自己組織化単分子膜との大きな相違はない。ラングミュア−ブロジェット膜の特徴はその形成方法とそれに起因する高度な2次元分子パッキング性(高配向性、高秩序性)にあると言える。すなわち、一般にラングミュア−ブロジェット膜形成分子は気液界面上に先ず展開され、その展開膜がトラフによって凝縮されて高度にパッキングした凝縮膜に変化する。実際は、これを適当な基板に移しとって用いる。ここに概略を示した手法により単分子膜から任意の分子層の多層膜まで形成することが可能である。また、低分子のみならず、高分子、コロイド粒子なども膜材料とすることができる。様々な材料を適用した最近の事例に関しては宮下徳治らの総説“ソフト系ナノデバイス創製のナノテクノロジーへの展望” 高分子 50巻 9月号 644-647 (2001)に詳しく述べられている。
(iii)交互吸着膜
交互吸着膜(Layer-by-Layer Self-Assembled Film)は、一般的には、最低2個の正または負の電荷を有する官能基を有する材料を逐次的に基板上に吸着・結合させて積層することにより形成される膜である。多数の官能基を有する材料の方が膜の強度や耐久性が増すなど利点が多いので、最近ではイオン性高分子(高分子電解質)を材料として用いることが多い。また、タンパク質や金属や酸化物などの表面電荷を有する粒子、いわゆる“コロイド粒子”も膜形成物質として多用される。さらに最近では、水素結合、配位結合、疎水性相互作用などのイオン結合よりも弱い相互作用を積極的に利用した膜も報告されている。比較的最近の交互吸着膜の事例については、静電的相互作用を駆動力にした材料系に少々偏っているがPaula T. Hammondによる総説“Recent Explorations in Electrostatic Multilayer Thin Film Assembly”Current Opinion in Colloid & Interface Science, 4, 430-442 (2000)に詳しい。交互吸着膜は、最も単純なプロセスを例として説明すれば、正(負)電荷を有する材料の吸着−洗浄−負(正)電荷を有する材料の吸着−洗浄のサイクルを所定の回数繰り返すことにより形成される膜である。ラングミュア−ブロジェット膜のように展開−凝縮−移し取りの操作は全く必要ない。また、これら製法の違いより明らかなように、交互吸着膜はラングミュア−ブロジェット膜のような2次元的な高配向性・高秩序性は一般に有さない。しかし、交互吸着膜及びその作製法は、欠陥のない緻密な膜を容易に形成できること、微細な凹凸面やチューブ内面や球面などにも均一に成膜できることなど、従来の成膜法にない利点を数多く有している。
また、分解除去層の膜厚としては、後述する露光工程において照射されるエネルギーにより分解除去される程度の膜厚であれば特に限定されるものではない。具体的な膜厚としては、照射されるエネルギーの種類や分解除去層の材料等により大きく異なるものではあるが、一般的には、0.001μm〜1μmの範囲内、特に0.01μm〜0.1μmの範囲内とすることが好ましい。
(遮光部)
次に、遮光部について説明する。
本実施態様における遮光部は、例として図3および図4に示すように、遮光部5が透明基板4上の特性変化層6表面を未露光部とする位置に相当する部位に、パターン状に形成される。本実施態様においては、遮光部の形成位置は、例えば図3および図4に示すように、二つの形態を採ることが可能である。
図3は、上述した図1の説明において用いたパターン形成体用基板の形態であり、透明基板4上にパターン状に形成された遮光部5が形成されており、さらにその上に特性変化層6が形成されてなるものである。
一方、図4は透明基板4の一方の表面に特性変化層6が形成されており、他方の面にパターン状に形成された遮光部が形成されている形態である。
上記図3に示す形態は、遮光部が特性変化層の表面、すなわち本発明のパターン形成体の製造方法において、光触媒含有層と接触する部分に最も近接して形成されることになる。したがって、パターン形成体を製造するために透明基板側から露光する場合に、照射されたエネルギーが散乱等することなく、パターン状の遮光部で形成されたパターンに忠実に特性変化層表面に到達する。したがって、特性変化パターンを精度良く形成する上で極めて利点の多い形態であるといえる。
一方、図4に示す形態は、特性変化層と遮光部とがそれぞれ透明基板の異なる面に形成された形態である。この形態は、例えば露光してパターン形成体を製造した後、遮光部を除去したい場合や、特性変化層の表面の平滑性が重要である場合等に好適に用いられる形態であるといえる。
このような遮光部は、スパッタリング法、真空蒸着法等により厚み1000〜2000Å程度のクロム等の金属薄膜を形成し、この薄膜をパターニングすることにより形成されてもよい。このパターニングの方法としては、スパッタ等の通常のパターニング方法を用いることができる。
本実施態様における遮光部とは、露光時に光触媒を励起させるエネルギーを遮蔽するものであれば、その材料等は特に限定されるものではなく、具体的には、樹脂バインダ中にカーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等の遮光性粒子を含有させた層であってもよい。用いられる樹脂バインダとしては、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ゼラチン、カゼイン、セルロース等の樹脂を1種または2種以上混合したものや、感光性樹脂、さらにはO/Wエマルジョン型の樹脂組成物、例えば、反応性シリコーンをエマルジョン化したもの等を用いることができる。このような樹脂製遮光部の厚みとしては、0.5〜10μmの範囲内で設定することができる。このよう樹脂製遮光部のパターニングの方法は、フォトリソ法、印刷法等一般的に用いられている方法を用いることができる。
(透明基板)
次に、本実施態様における透明基板について説明する。本実施態様においては、図3および図4に示すように、透明基板4上に上記遮光部5や特性変化層6が設けられる。
この透明基板としては、露光に用いられるエネルギーの透過率の高いものであれば特に限定されるものでなく、具体的には、光触媒として好適に用いられる二酸化チタンを活性化するエネルギー、例えば紫外光の透過率の高いものであれば好適に用いることができる。また、この透明基板は、機能性素子の用途に応じて、可撓性を有するものであっても、可撓性を有さないものであってもよい。
具体的には、好ましい材質として、例えば石英ガラス、パイレックス(登録商標)、合成石英板等の可撓性のない透明なリジット材、あるいは透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する透明なフレキシブル材等を挙げることができる。
(2)第二実施態様
次に本発明のパターン形成体用基板の第二実施態様について説明する。本実施態様のパターン形成体用基板は、特性変化層が自己支持性を有するものであり、この特性変化層に遮光部がパターン状に形成されたものである。
図2は、本実施態様に用いられるパターン形成体用基板の一例を示すものであり、特性変化層6のいずれかの表面に遮光部5が形成されてパターン形成体用基板とするものである。
(特性変化層)
まず、本実施態様の特性変化層について説明する。本実施態様の特性変化層は、上述した光触媒含有層の作用により特性が変化する層であり、自己支持性を有する層であれば、特に限定されるものではなく、第一実施態様と同様に、光触媒の作用により例として着色する層や、極性が変化する層、接着性が向上する層等であってもよい。本実施態様においては、例えば特性変化層となり得る材料からなる市販の樹脂製フィルムを用いることが可能であり、コスト面で有利であるといえる。
本実施態様においては、上述した特性変化層の中でも、特に光触媒の作用により濡れ性が変化する濡れ性変化層であることが好ましい。また、濡れ性変化層として具体的には、上述した光触媒含有層をその表面に接触させて露光させることにより、その後塗布する機能性部用組成物が有する表面張力と同等の表面張力の液体に対する接触角が、少なくとも1°以上、好ましくは5°特に10°以上変化する材料であることが好ましい。
本実施態様の濡れ性変化層である自己支持性を有する材料としては、上述した材料を成膜したものが自己支持性を有するものであれば、これを用いることも可能であるが、例えば、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリビニルフロライド、アセタール樹脂、ナイロン、ABS、PTFE、メタクリル樹脂、フェノール樹脂、ポリ弗化ビニリデン、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、シリコーン等を挙げることができる。
なお、本実施態様に用いられる特性変化層においても、上述したように光触媒の作用により特性の変化する層であれば特に限定されるものではないが、特に、光触媒を含まない層であることが好ましい。このように特性変化層内に光触媒が含まれなければ、その後機能性素子として用いた場合に、経時的な影響を心配する必要がなく、長期間に渡り問題なく使用することが可能だからである。
(遮光部)
本実施態様に用いられる遮光部としては、上述した第一実施態様のものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
3.特性性変化層と光触媒含有層の配置
次に、特性変化層と光触媒含有層の配置について説明する。本実施態様においては、露光時に光触媒含有層と特性性変化層とが接触して配置される必要がある。
ここで、本実施態様における接触とは、実質的に光触媒の作用が特性変化層表面に及ぶような状態で配置された状態をいうこととし、実際に物理的に接触している状態の他、図5に示すように所定の間隔を隔てて光触媒含有層2と特性変化層6とが配置された状態をも含む概念とする。この間隙は、200μm以下であることが好ましい。
本実施態様において上記間隙は、パターン精度が極めて良好であり、光触媒の感度も高く、したがって特性変化層の特性変化の効率が良好である点を考慮すると特に0.2μm〜10μmの範囲内、好ましくは1μm〜5μmの範囲内とすることが好ましい。このような間隙の範囲は、特に間隙を高い精度で制御することが可能である小面積のパターン形成体に対して特に有効である。
一方、例えば300mm×300mmといった大面積のパターン形成体に対して処理を行う場合は、接触することなく、かつ上述したような微細な間隙を光触媒含有層側基板とパターン形成体との間に形成することは極めて困難である。したがって、パターン形成体が比較的大面積である場合は、上記間隙は、10〜100μmの範囲内、特に50〜75μmの範囲内とすることが好ましい。間隙をこのような範囲内とすることにより、パターンがぼやける等のパターン精度の低下の問題や、光触媒の感度が悪化して特性変化の効率が悪化する等の問題が生じることなく、さらに特性変化層上の特性変化にムラが発生しないといった効果を有するからである。
このように比較的大面積のパターン形成体を露光する際には、露光装置内の光触媒含有層側基板とパターン形成体との位置決め装置における間隙の設定を、10μm〜200μmの範囲内、特に25μm〜75μmの範囲内に設定することが好ましい。設定値をこのような範囲内とすることにより、パターン精度の大幅な低下や光触媒の感度の大幅な悪化を招くことなく、かつ光触媒含有層側基板とパターン形成体とが接触することなく配置することが可能となるからである。
このように光触媒含有層と特性変化層表面とを所定の間隔で離して配置することにより、酸素と水および光触媒作用により生じた活性酸素種が脱着しやすくなる。すなわち、上記範囲より光触媒含有層と特性変化層との間隔を狭くした場合は、上記活性酸素種の脱着がしにくくなり、結果的に特性変化速度を遅くしてしまう可能性があることから好ましくない。また、上記範囲より間隔を離して配置した場合は、生じた活性酸素種が特性変化層に届き難くなり、この場合も特性変化の速度を遅くしてしまう可能性があることから好ましくない。
本実施態様においては、このような接触状態は、少なくとも露光の間だけ維持されればよい。
4.接触する部分への露光
本発明においては、上述したような接触状態を維持した状態で、接触する部分への露光が行われる。なお、本発明でいう露光とは、光触媒含有層による特性変化層表面の特性を変化させることが可能ないかなるエネルギー線の照射をも含む概念であり、可視光の照射に限定されるものではない。
通常このような露光に用いる光の波長は、400nm以下の範囲、好ましくは380nm以下の範囲から設定される。これは、上述したように光触媒含有層に用いられる好ましい光触媒が二酸化チタンであり、この二酸化チタンにより光触媒作用を活性化させるエネルギーとして、上述した波長の光が好ましいからである。
このような露光に用いることができる光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、エキシマランプ、その他種々の光源を挙げることができる。
また、露光に際してのエネルギーの照射量は、特性変化層表面が光触媒含有層中の光触媒の作用により特性変化層表面の特性の変化が行われるのに必要な照射量とする。
この際、光触媒含有層を加熱しながら露光することにより、感度を上昇させることが可能となり、効率的な特性の変化を行うことができる点で好ましい。具体的には、30℃〜80℃の範囲内で加熱することが好ましい。
本発明における露光方向は、パターン形成体用基板側から行われ、特に必要がない限り、パターン形成体用基板の特性変化層が形成されていない面側全面に露光される。
5.光触媒含有層側基板の取り外し
上述したような露光が終了すると、光触媒含有層側基板が特性変化層との接触位置から離され、これにより図1(d)に示すようにパターン形成体7’が得られる。
このようにして得られたパターン形成体は、表面に特性変化層の特性が変化したパターンを有するものであり、この特性が変化した領域に機能性部用組成物を配置することにより機能性部をパターン状に形成することが可能であり、種々の機能性素子を製造することが可能となる。
B.パターン形成体
次に、本発明のパターン形成体について説明する。本発明のパターン形成体は、上記、「A.パターン形成体の製造方法」における「2.パターン形成体用基板」の項で説明したパターン形成体基板上に、特性変化層の特性が変化したパターンが形成されたものである。
本発明における特性変化層は、特に限定されるものではなく、例えば光触媒の作用により着色される層や、接着性が変化する層等であってもよいが、本発明においては、特性変化層が濡れ性変化層、または分解除去層であることが好ましい。
特性変化層が濡れ性変化層である場合は、上述したパターン形成体用基板の項で説明した濡れ性変化層の材料を用いることが可能であり、具体的に形成されるパターンは、親液性領域と撥液性領域との特性が、その後塗布する機能性部用組成物が有する表面張力と同等の表面張力の液体に対する接触角において、少なくとも1°以上、好ましくは5°以上、特に10°以上異なる親液性領域および撥液性領域から形成されたパターンである。
そして、本実施態様のパターン形成体における撥液性領域は、その特性が表面張力40mN/mの液体との接触角として10°以上であることが好ましく、特に表面張力30mN/mの液体との接触角が10°以上、中でも表面張力20mN/mの液体との接触角が10°以上であることが好ましい。
また、本実施態様のパターン形成体における親液性領域は、その特性が表面張力40mN/mの液体との接触角として、9°以下であることが好ましく、特に表面張力50mN/mの液体との接触角が10°以下、中でも表面張力60mN/mの液体との接触角が10°以下であることが好ましい。
また、特性変化層が分解除去層である場合には、上述したパターン形成体用基板の項で説明した分解除去層の材料を用いることができ、具体的に形成されるパターンとしては、パターン形成体において、分解除去層からなる領域と、分解除去層が除去されて透明基板が露出した領域とからなるパターンが形成されていることをいう。この分解除去層が分解除去されたパターン形成体においては、上記分解除去層からなる領域と、透明基板からなる領域の濡れ性が異なることが好ましく、中でも分解除去層からなる領域が撥液性領域、透明基板からなる領域が親液性であることが好ましい。
本実施態様の分解除去層からなる撥液性領域は、その特性が表面張力40mN/mの液体との接触角として10°以上であることが好ましく、特に表面張力30mN/mの液体との接触角が10°以上、中でも表面張力20mN/mの液体との接触角が10°以上であることが好ましい。
また、本実施態様の透明基板からなる親液性領域は、具体的には、表面張力40mN/mの液体との接触角として9°以下であることが好ましく、さらに好ましくは、表面張力40mN/mの液体との接触角として5°以下、特に好ましくは1°以下であることである。
本発明のパターン形成体は、その特性変化層の特性変化により形成されたパターンに沿って、機能性部形成用組成物を付着させることにより、種々の機能性素子を得ることができる。なお、本発明のパターン形成体は、パターン形成体自体が機能性素子として機能性を有するものであってもよい。
本発明のパターン形成体は、特に光触媒を有さない材料で形成されていることが好ましい。光触媒が含有されている材料でパターン形成体が製造されている場合は、使用の態様によっては経時的な影響を受ける可能性があり、好ましくないからである。
なお、本発明のパターン形成体のその他の構成に関しては、上述した「2.パターン形成体用基板」で説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
C.機能性素子
本発明の機能性素子は、上述したパターン形成体の特性が変化したパターン上に機能性部が形成されてなる点に特徴を有するものである。
ここで機能性とは、光学的(光選択吸収、反射性、偏光性、光選択透過性、非線形光学性、蛍光あるいはリン光等のルミネッセンス、フォトクロミック性等)、磁気的(硬磁性、軟磁性、非磁性、透磁性等)、電気・電子的(導電性、絶縁性、圧電性、焦電性、誘電性等)、化学的(吸着性、脱着性、触媒性、吸水性、イオン伝導性、酸化還元性、電気化学特性、エレクトロクロミック性等)、機械的(耐摩耗性等)、熱的(伝熱性、断熱性、赤外線放射性等)、生体機能的(生体適合性、抗血栓性等)のような各種の機能を意味するものである。
このような機能性部のパターン形成体のパターンに対応した部位への配置は、親液性領域および撥液性領域の濡れ性の差を利用した方法や、密着性の差を利用した方法等により行われる。
例えば、特性変化層上における特性パターンの密着性の差を利用する場合としては、特性変化層上に全面にわたって機能性部用組成物としての金属を蒸着させ、その後粘着剤等により引き剥がすことにより、密着性が良好な領域のみ機能性部としての金属のパターンが形成される。これにより容易にプリント基板等を形成することができる。
また、特性変化層上における特性パターンの濡れ性の差を利用する場合としては、機能性部用組成物をパターン形成体上に塗布することにより、濡れ性の良好な親液性領域のみ機能性部用組成物が付着することになり、容易にパターン形成体の親液性領域のパターン上にのみ機能性部を配置することができる。
本発明に用いられる機能性部用組成物としては、上述したように機能性素子の機能、機能性素子の形成方法等によって大きく異なるものであり、例えば上述した密着性の相違により金属のパターンを形成するような場合は、この機能性部用組成物は金属となり、また濡れ性の相違によりパターンを形成する場合には、紫外線硬化型モノマー等に代表される溶剤で希釈されていない組成物や、溶剤で希釈した液体状の組成物等を用いることができる。
溶剤で希釈した液体状組成物の場合は、溶剤が水、エチレングリコール等の高表面張力を示すものであることが好ましい。また、機能性部用組成物としては粘度が低いほど短時間にパターンが形成できることから特に好ましい。ただし、溶剤で希釈した液体状組成物の場合には、パターン形成時に溶剤の揮発による粘度の上昇、表面張力の変化が起こるため、溶剤が低揮発性であることが望ましい。
本発明に用いられる機能性部用組成物としては、パターン形成体に付着等させて配置されることにより機能性部となるものであってもよく、またパターン形成体上に配置された後、薬剤により処理され、もしくは紫外線、熱等により処理された後に機能性部となるものであってもよい。この場合、機能性部用組成物の結着剤として、紫外線、熱、電子線等で効果する成分を含有している場合には、硬化処理を行うことにより素早く機能性部が形成できることから好ましい。
このような機能性素子の形成方法を具体的に説明すると、例えば機能性部用組成物をディップコート、ロールコート、ブレードコート、スピンコート等の塗布手段、インクジェット等を含むノズル吐出手段等の手段を用いて塗布することにより、パターン形成体表面の親液性領域パターン上に機能性部を形成する。
さらに、無電解めっきによる金属膜形成方法に本発明のパターン形成体を用いることにより、機能性部として金属膜のパターンを有する機能性素子を得ることができる。具体的には、濡れ性の差を利用することにより、パターン形成体の特性変化層表面における親液性領域にのみ化学めっきの前処理液によって処理を行い、次いで処理したパターン形成体を化学めっき液に浸漬することにより、所望の金属パターンを特性変化層上に有する機能性素子を得ることができる。この方法によれば、レジストパターンを形成することなく、金属のパターンを形成することができるので、機能性素子として、プリント基板や電子回路素子を製造することができる。
また、上述したように全面に機能性部用組成物を配置した後、撥液性領域と親液性領域との濡れ性の差異を利用して不要な部分を取り除くことにより、パターンに沿って機能性部を形成するようにしてもよい。これは特性変化層上の親液性領域と撥液性領域との密着性の差を利用して、例えば、粘着テープを密着した後に引き剥がすことによる剥離、空気の吹き付け、溶剤による処理等の後処理により不要部分を除去して機能性部のパターンを得ることができる。
この場合は、本発明のパターン形成体の特性変化層表面に全面に機能性部用組成物を配置する必要があるが、この方法としては、例えばPVD、CVD等の真空成膜手段を挙げることができる。
このような機能性素子の製造方法の一例を図面を用いて説明する。以下の例においては、特性変化層として濡れ性変化層を用いたもので説明する。まず、図6(A)に示すようなCVD等の真空を利用した真空製膜手段21を用いることにより、親液性領域10および撥液性領域11のパターンを有する濡れ性変化層8が透明基板4上に設けられたパターン形成体7’上に、機能性部用組成物22を全面にわたって形成する。なお、透明基板4上には、遮光部5がパターン状に形成されている。
このように全面に形成された機能性部用組成物22の不要部分を取り除く方法としては、図6(B)に示すように、粘着テープ23の粘着面を密着した後に引き剥がすことにより、撥液性領域11上の機能性部用組成物22を除去して、機能性部24を形成する方法、あるいは図6(C)に示すように空気噴射ノズル25から空気を噴射することにより、不要部分の機能性部用組成物22を除去して、機能性部24を形成する方法等を挙げることができる。
さらに他の例としては、まず図7(A)に示すように、パターン形成体7’上、すなわち透明基板4上に形成された濡れ性変化層8表面に、シート26の片面に熱溶融性組成物層27が積層された熱転写体28を、熱溶融性組成物層27が濡れ性変化層8に接触するように密着させる。なお、この例においても、透明基板4上には遮光部5がパターン状に形成されている。
次いで、図7(B)に示すように熱転写体28のシート26側から加熱板29を押し当てて加熱する。そして図7(C)に示すように、冷却後熱転写体28を引き剥がすことにより、濡れ性変化層8上に形成された親液性領域10のパターンに沿うように機能性部24が形成された機能性素子を得ることができる(図7(D))。
このようにして得られる機能性素子として具体的には、カラーフィルタ、マイクロレンズ、プリント基板、電子回路素子等を挙げることができる。
なお、上記機能性素子の説明において用いられるパターン形成体については、上述したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
D.カラーフィルタ
上記カラーフィルタは、液晶表示装置等に用いられるものであり、赤、緑、青等の複数の画素部がガラス基板等上に高精細なパターンで形成されたものである。本発明のパターン形成体をこのカラーフィルタの製造に用いることにより、低コストで高精細なカラーフィルタとすることができる。
すなわち、上述したパターン形成体の親液性領域に、例えばインクジェット装置等によりインク(機能性部用組成物)を付着・硬化させることにより、容易に画素部(機能性部)を形成することができ、これにより少ない工程数で高精細なカラーフィルタを得ることができる。
また、本発明においては、上記パターン形成体の遮光部をそのままカラーフィルタにおけるブラックマトリックスとして用いることが可能である。したがって、上述した本発明のパターン形成体上に機能性部としての画素部(着色層)を形成すれば、別途ブラックマトリックスを形成すること無しに、カラーフィルタを得ることが可能である。
E.マイクロレンズ
機能性素子がマイクロレンズである場合は、例として濡れ性変化層上に濡れ性が変化した円形のパターンを有するパターン形成体を製造する。次いで、濡れ性が変化した部位上にレンズ形成用組成物(機能性部用組成物)を滴下すると、濡れ性が変化した親液性領域のみに広がり、さらに滴下することにより液滴の接触角を変化させることができる。このレンズ形成用組成物を硬化させることにより種々の形状あるいは焦点距離のものを得ることが可能となり、高精細なマイクロレンズを得ることができる。
このようなマイクロレンズの製造方法について図8を用いて説明すると、濡れ性変化層8上に親液性領域10の円形のパターンが形成されたパターン形成体7’を調製し、次いで、この円形の親液性領域10のパターンに向けて機能性部用組成物である紫外線硬化性樹脂組成物を吐出装置30により吐出する(図8(A))。この機能性部用組成物(紫外線硬化性樹脂組成物)22は、親液性領域10と撥液性領域11との間の濡れ性の相違により盛り上がる(図8(B))。これに樹脂硬化用紫外線31を用いて硬化させることによりマイクロレンズ32が形成される(図8(C))。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
例えば、上記パターン形成体の製造方法において、パターン形成体用基板中の遮光部は透明基板上に形成されている例のみ説明したが、特性変化層上に形成されているものであってもよい。この場合は、遮光部は特性変化層と光触媒含有層とを接触させて露光する際のスペーサとして機能するものである。
また、上記説明においては、機能性素子は全てパターン形成体上に設けられる例を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、例えば図9に示すように、まず上記説明と同様の方法により透明基板4上に濡れ性変化層8を形成し、この濡れ性変化層8の親水性領域のパターンに沿って機能性部24を形成する(図9(A))。次に、この機能性部24に接するように素子形成用基材33を密着する(図9(B))。そして、この素子形成用基材33に機能性部24を転写して機能性素子とする方法等である。このように、機能性素子は、パターン形成体上に形成されることに限定されるものではない。
以下、本発明について、実施例を通じてさらに詳述する。
[実施例1]
まず、厚さ0.2μmのクロムが幅20μm、100μmピッチでパターン状に形成された石英ガラス基板上に、フッ素系シリコーンを厚さ0.1μmで成膜して濡れ性変化層とすることによりパターン形成体用基板を用意した。
なお、上記フッ素系シリコーンは、フルオロアルキルシラン(GE東芝シリコーン製 TSL8233)5gに1規定塩酸を3g添加し24時間攪拌し、これをイソプロピルアルコールにて10倍希釈した塗布液を、スピンコート法により塗布し、乾燥させることにより成膜したものである。
次に、ソーダライムガラス基板上にST-K01(石原産業製)を塗布し、厚さ0.2μmの光触媒含有層を有する光触媒含有層側基板を用意した。これを上記濡れ性変化層と光触媒含有層をギャップ5μmで対向させて配置し、パターン形成体用基板側から水銀ランプ(254nm 40mW/cm2)により120秒間照射した。露光部位の濡れ性変化層表面の濡れ性は、水との接触角で20°であり、未露光部では110°であった。
次に、パターン形成体上の濡れ性の変化した部位にインクジェット法により
カラーフィルタ用塗料(赤、青、緑)を順次吐出し、カラーフィルタを得た。
[実施例2]
1.光触媒含有層側基板の形成
トリメトキシメチルシラン(GE東芝シリコーン(株)製、TSL8113)5gと0.5規定塩酸2.5gを混合し、8時間攪拌した。これをイソプロピルアルコールにより10倍に希釈しプライマー層用組成物とした。
上記プライマー層用組成物を、石英ガラス基板上にスピンコーターにより塗布し、150℃で10分間の乾燥処理を行うことにより、透明なプライマー層(厚み0.2μm)を形成した。
次に、イソプロピルアルコール30gとトリメトキシメチルシラン(GE東芝シリコーン(株)製、TSL8113)3gと光触媒無機コーティング剤であるST−K03(石原産業(株)製)20gとを混合し、100℃で20分間撹拌した。これをイソプロピルアルコールにより3倍に希釈し光触媒含有層用組成物とした。
上記光触媒含有層用組成物を、プライマー層が形成された石英ガラス基板上にスピンコーターにより塗布し、150℃で10分間の乾燥処理を行うことにより、透明な光触媒含有層(厚み0.15μm)を形成した。
2.露光による自己支持性を有する特性変化層のパターニング
光触媒含有層側基板と表面に遮光層が形成されたポリカーボネート基板とをアライメントをとり、100μmのギャップを設けて対向させて、ポリカーボネート基板側から超高圧水銀灯(波長365nm)により40mW/cm2の照度で1200秒間露光し、特性の変化したパターンを形成した。
このとき、未露光部及び露光部と表面張力40mN/mの濡れ指数標準液(純正化学株式会社製)との接触角を接触角測定器(協和界面科学(株)製CA−Z型)を用いて測定(マイクロシリンジから液滴を滴下して30秒後)した結果、それぞれ、49°と20°であった。
[実施例3]
1.光触媒含有層側基板の形成
トリメトキシメチルシラン(GE東芝シリコーン(株)製、TSL8113)5gと0.5規定塩酸2.5gを混合し、8時間攪拌した。これをイソプロピルアルコールにより10倍に希釈しプライマー層用組成物とした。
上記プライマー層用組成物を、石英ガラス基板上にスピンコーターにより塗布し、150℃で10分間の乾燥処理を行うことにより、透明なプライマー層(厚み0.2μm)を形成した。
次に、イソプロピルアルコール30gとトリメトキシメチルシラン(GE東芝シリコーン(株)製、TSL8113)3gと光触媒無機コーティング剤であるST−K03(石原産業(株)製)20gとを混合し、100℃で20分間撹拌した。これをイソプロピルアルコールにより3倍に希釈し光触媒含有層用組成物とした。
上記光触媒含有層用組成物を、プライマー層が形成された石英ガラス基板上にスピンコーターにより塗布し、150℃で10分間の乾燥処理を行うことにより、透明な光触媒含有層(厚み0.15μm)を形成した。
2.分解除去層の形成
カチオン性高分子であるポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(PDDA、平均分子量100,000-200,000、アルドリッチ)、アニオン性高分子であるポリスチレンスルホン酸ナトリウム塩(PSS、平均分子量70,000、アルドリッチ)を遮光層が形成されたガラス基材上に交互吸着させ厚さを約2nmとした。
3.露光による分解除去
光触媒含有層側基板と分解除去層とを、アライメントをとり50μmのギャップを設けて対向させて、分解除去層側から超高圧水銀灯(波長365nm)により40mW/cm2の照度で130秒間露光し、分解除去層を分解除去して露出したガラス基材からなる画素部形成部をパターン状に形成した。
このとき、未露光部及び画素部形成部と表面張力40mN/mの濡れ指数標準液(純正化学株式会社製)との接触角を接触角測定器(協和界面科学(株)製CA−Z型)を用いて測定(マイクロシリンジから液滴を滴下して30秒後)した結果、それぞれ、30°と6°であった。
本発明のパターン形成体の製造方法の一例を示す工程図である。 本発明のパターン形成体の製造方法に用いられるパターン形成体用基板の一例を示す概略断面図である。 本発明のパターン形成体の製造方法に用いられるパターン形成体用基板の他の例を示す概略断面図である。 本発明のパターン形成体の製造方法に用いられるパターン形成体用基板の他の例を示す概略断面図である。 本発明のパターン形成体の製造方法における接触状態の一例を示す概略断面図である。 (A)から(C)は、本発明の機能性素子を説明するための概略断面図である。 (A)から(D)は、本発明の機能性素子を説明するための概略断面図である。 (A)から(C)は、本発明によるマイクロレンズの製造方法の一例を示す概略断面図である。 (A)から(C)は、本発明の機能性素子を説明するための概略断面図である。
符号の説明
1 … 基材
2 … 光触媒含有層
3 … 光触媒含有層側基板
4 … 透明基板
5 … 遮光部
6 … 特性変化層
7 … パターン形成体用基板
7’ … パターン形成体
8 … 濡れ性変化層
10 … 親液性領域
11 … 撥液性領域
24 … 機能性部

Claims (18)

  1. 光触媒を含有する光触媒含有層および基材を有する光触媒含有層側基板と、前記光触媒含有層中の光触媒の作用により特性が変化する特性変化層および前記特性変化層上にパターン状に形成された遮光部を有するパターン形成体用基板とを、前記光触媒含有層および前記遮光部が接触するように配置した後、パターン形成体用基板側から露光することにより、露光した部分の特性変化層の特性を変化させ、次いで光触媒含有層側基板を取り外すことにより、前記特性変化層特性の変化したパターンを有するパターン形成体を得るパターン形成体の製造方法であって、
    得られた前記パターン形成体は、前記特性が変化したパターンに沿って機能性部を形成することにより機能性素子を形成することができるものであることを特徴とするパターン形成体の製造方法。
  2. 前記パターン形成体用基板が、透明基板と、前記透明基板上に形成された特性変化層と、前記特性変化層上に形成されたパターン状に形成された遮光部とを有することを特徴とする請求項1に記載のパターン形成体の製造方法。
  3. 前記光触媒含有層が、光触媒からなる層であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパターン形成体の製造方法。
  4. 前記光触媒含有層が、光触媒を真空成膜法により基材上に成膜してなる層であることを特徴とする請求項3に記載のパターン形成体の製造方法。
  5. 前記光触媒含有層が、光触媒とバインダとを有する層であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかの請求項に記載のパターン形成体の製造方法。
  6. 前記光触媒が、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化タングステン(WO)、酸化ビスマス(Bi)、および酸化鉄(Fe)から選択される1種または2種以上の物質であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかの請求項に記載のパターン形成体の製造方法。
  7. 前記光触媒が酸化チタン(TiO)であることを特徴とする請求項6に記載のパターン形成体の製造方法。
  8. 前記露光が、光触媒含有層を加熱しながらなされることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれかの請求項に記載のパターン形成体の製造方法。
  9. 前記特性変化層が、前記光触媒含有層中の光触媒の作用により、露光された際に液体との接触角が低下するように濡れ性が変化する濡れ性変化層であることを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれかの請求項に記載のパターン形成体の製造方法。
  10. 前記濡れ性変化層上における表面張力40mN/mの液体との接触角が、露光されていない部分において10°以上であり、露光された部分において9°以下であることを特徴とする請求項9に記載のパターン形成体の製造方法。
  11. 前記濡れ性変化層が、オルガノポリシロキサンを含有する層であることを特徴とする請求項9または請求項10に記載のパターン形成体の製造方法。
  12. 前記オルガノポリシロキサンが、フルオロアルキル基を含有するポリシロキサンであることを特徴とする請求項11記載のパターン形成体の製造方法。
  13. 前記オルガノポリシロキサンが、YSiX(4−n)(ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基またはエポキシ基を示し、Xはアルコキシル基またはハロゲンを示す。nは0〜3までの整数である。)で示される珪素化合物の1種または2種以上の加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンであることを特徴とする請求項11または請求項12に記載のパターン形成体の製造方法。
  14. 前記パターン形成体用基板が、自己支持性を有する濡れ性変化層と、その表面にパターン状に形成された遮光部とを有することを特徴とする請求項9から請求項13までのいずれかの請求項に記載のパターン形成体の製造方法。
  15. 前記特性変化層が、前記光触媒含有層中の光触媒の作用により、露光された際に分解除去される分解除去層であることを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれかの請求項に記載のパターン形成体の製造方法。
  16. 前記分解除去層に対する液体の接触角が、前記分解除去層が分解除去された際に露出する透明基板に対する液体の接触角と異なるものであることを特徴とする請求項15に記載のパターン形成体の製造方法。
  17. 前記分解除去層が、自己組織化単分子膜、ラングミュア−ブロジェット膜、もしくは交互吸着膜のいずれかであることを特徴とする請求項15または請求項16に記載のパターン形成体の製造方法。
  18. 前記透明基板上の濡れ性が、表面張力40mN/mの液体との接触角として9°以下であり、かつ前記分解除去層上において10°以上であることを特徴とする請求項15から請求項17までのいずれかの請求項に記載のパターン形成体の製造方法。
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