JP3881138B2 - パターン形成体の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エネルギーを照射することにより表面のフッ素含有量を変化させ、表面におけるフッ素含有量の異なるパターン形成体を得ることができる複合材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、基材上に図案、画像、文字、回路等の各種パターンを形成するパターン形成体の製造方法としては、各種のものが製造されている。
【0003】
例えば、印刷を例に挙げて説明すると、印刷方法の一種である平版印刷に使用する平版印刷版は、インクを受容する親油性部位と、印刷インクを受容しない部位とからなるパターンを有する平版を製造し、この平版を用いて親油性部位に印刷すべきインクの画像を形成し、形成した画像を紙等に転写して印刷している。こうした印刷では、このように印刷版原版に、文字、図形等のパターンを形成してパターン形成体である印刷版を製造し、印刷機に装着して使用している。代表的な平版印刷版であるオフセット印刷用の印刷版原版には、数多くのものが提案されている。
【0004】
オフセット印刷用の印刷版は、印刷版原版にパターンを描いたマスクを介して露光して現像する方法、あるいは電子写真方式によって直接に露光して印刷版原版上に直接に製版する方法等によって作製することができる。電子写真式のオフセット印刷版原版は、導電性基材上に酸化亜鉛等の光導電性粒子および結着樹脂を主成分とした光導電層を設け、これを感光体として電子写真方式によって露光し、感光体表面に親油性の高い画像を形成させ、続いて不感脂化液で処理し非画像部分を親水化することによってオフセット原版、すなわちパターン形成体を得る方法によって作製されている。親水性部分は水等によって浸漬して疎油性とされ、親油性の画像部分に印刷インクが受容されて紙等に転写される。しかしながら、パターン形成に当たっては不感脂化液での処理等の種々の露光後の処理が必要となる。
【0005】
また、レーザーの照射によって、インクに対して受容性の高い部位と撥インク性の部位からなるパターンを形成することが可能なヒートモード記録材料を用いた平版印刷原版を作製する方法も提案されている。ヒートモード記録材料は、現像等の工程が不要で、単にレーザー光によって画像を形成するのみで印刷版を製造することができるという特徴を有しているが、レーザーの強度の調整、レーザーにより変質した固体状物質など残留物等の処理の問題、耐刷性などに課題があった。
【0006】
また、高精細なパターンを形成する方法として、基材上に塗布したフォトレジスト層にパターン露光を行い、露光後、フォトレジストを現像し、さらにエッチングを行ったり、フォトレジストに機能性を有する物質を用いて、フォトレジストの露光によって目的とするパターンを直接形成する等のフォトリソグラフィーによるパターン形成体の製造方法が知られている。
【0007】
フォトリソグラフィーによる高精細パターンの形成は、液晶表示装置等に用いられるカラーフィルタの着色パターンの形成、マイクロレンズの形成、精細な電気回路基板の製造、パターンの露光に使用するクロムマスクの製造等に用いられているが、これらの方法によっては、フォトレジストを用いると共に、露光後に液体現像液によって現像を行ったり、エッチングを行う必要があるので、廃液を処理する必要が生じる等の問題点があり、またフォトレジストとして機能性の物質を用いた場合には、現像の際に使用されるアルカリ液等によって劣化する等の問題点もあった。
【0008】
カラーフィルタ等の高精細なパターンを印刷等によって形成することも行われているが、印刷で形成されるパターンには、位置精度等の問題があり、高精度なパターンの形成は困難であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、パターン形成体を形成するに当たり、エネルギー照射後の現像・洗浄等の後工程が特に必要なく、かつ高精細なパターンを形成することが可能な複合材およびこの複合材を用いて形成されたパターン形成体を提供することを主目的とするものである。
【0010】
【課題が解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は請求項1において、基材と、この基材の少なくとも一方の表面に形成され、少なくともフッ素含有化合物および光触媒を含む光触媒含有層とからなる複合材であって、上記光触媒含有層に対しエネルギーを照射した際に、前記光触媒の作用により前記光触媒含有層表面のフッ素原子含有量がエネルギー照射前に比較して低下するように前記光触媒含有層が形成されている複合材の光触媒含有層にエネルギーを照射してパターン形成体を製造するパターン形成体の製造方法において、上記光触媒含有層に照射するエネルギーが、光触媒反応開始エネルギーおよび反応速度増加エネルギーであり、上記光触媒反応開始エネルギーを照射した部分に上記反応速度増加エネルギーを照射することにより、露光部分を形成することを特徴とするパターン形成体の製造方法を提供する。
【0011】
これは、光触媒含有層に対し、光触媒反応開始エネルギーを加え、この光触媒反応開始エネルギーが加えられた領域内に反応速度増加エネルギーをパターン状に加えることにより露光部分のパターンを形成するものである。すなわち、いままで発明者等によって提案されてきた光描画照射によるパターンの形成は、上記紫外線等の光触媒反応開始エネルギーを用いるものであったため、装置が高価、取り扱いが困難、さらには連続出力ができない等の問題を有する場合があった。しかしながら、この方法においては、紫外線等の光触媒反応開始エネルギーを加え、この光触媒反応開始エネルギーが加えられた領域に対して赤外線等の反応速度増加エネルギーを用いてパターンを形成するようにしたものであるので、パターン形成に際して、赤外線レーザ等の比較的安価で取り扱いが容易である反応速度増加エネルギーを用いることができるという利点を有するのである。
【0012】
上記請求項1に記載された複合材においては、請求項2に記載するように、上記光触媒含有層のフッ素原子含有量を、エネルギー照射前を100とした場合に、エネルギー照射により10以下まで低下させることができる光触媒含有層を有することを特徴とするパターン形成体の製造方法であることが好ましい。
【0013】
このように、重量を基準として10以下までフッ素原子含有量を低下させることができる光触媒含有層であれば、エネルギーを照射した際に、エネルギー照射部分と未照射部分とのフッ素原子含有量に大きな差異を生じさせることができる。したがって、エネルギー照射部分と未照射部分との親油性に大きな違いを生じさせることができるので、このような複合材にエネルギーをパターン照射してフッ素原子含有量の相違に基づくパターン形成体を形成し、そこにインク等を塗布した際に、フッ素原子含有量が低下した親油性の部位のみに正確にインク等を塗布することが可能となり、精度良くカラーフィルタ等の機能性素子を得ることができる。
【0014】
上記請求項1または請求項2に記載した本発明のパターン形成体の製造方法においては、請求項3に記載するように、光触媒含有層に含有される光触媒が、二酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、酸化タングステン(WO3)、酸化ビスマス(Bi23)、および酸化鉄(Fe23)から選択される1種または2種以上の物質であることが好ましい。中でも請求項4に記載するように二酸化チタン(TiO2)であることが好ましい。これは、二酸化チタンのバンドギャップエネルギーが高いため光触媒として有効であり、かつ化学的にも安定で毒性もなく、入手も容易だからである。
【0015】
上記請求項4に記載のパターン形成体の製造方法において、請求項5に記載するように、上記光触媒含有層表面のフッ素原子の含有量を、X線光電子分光法で分析して定量化すると、チタン(Ti)原子を100とした場合に、フッ素(F)原子が500以上となる比率でフッ素(F)原子が光触媒含有層表面に含まれている光触媒含有層を有することが好ましい。この程度の量のフッ素(F)原子が含まれていれば、エネルギー未照射部分の撥油性が十分であり、エネルギーを照射してフッ素(F)原子含有量が低下した部分のパターンを形成し、ここにインク等を塗布する場合に、インク等のはみ出しがなく、より正確にインク等の塗布を行うことができるからである。
【0016】
さらに、上記請求項3から請求項5までのいずれかの請求項に記載のパターン形成体の製造方法において、請求項6に記載するように、上記光触媒含有層が、少なくとも上記光触媒とバインダとを含み、上記バインダがフルオロアルキル基を有するオルガノポリシロキサンであることが好ましい。
【0017】
本発明のパターン形成体の製造方法において、光触媒含有層中にフッ素原子を含有させる方法には種々の方法を挙げることができるが、特に光触媒含有層を少なくとも光触媒およびバインダを含有する層とし、このバインダとしてフルオロアルキル基を有するオルガノポリシロキサンとすることにより、容易に光触媒含有層中にフッ素原子を含有させることができ、かつエネルギーの照射により、その含有量を容易に低下させることができるからである。
【0018】
上記請求項6に記載したパターン形成体の製造方法においては、請求項7に記載するように、上記オルガノポリシロキサンが、YnSiX(4-n)(ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基またはエポキシ基を示し、Xはアルコキシル基またはハロゲンを示す。nは0〜3までの整数である。)で示される珪素化合物の1種または2種以上の加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンであることが好ましい。このようなオルガノポリシロキサンであれば、フルオロアルキル基を容易に導入することが可能であるからである。
【0019】
さらに、上記請求項6または請求項7に記載のパターン形成体の製造方法においては、請求項8に記載するように、上記オルガノポリシロキサンを構成する上記珪素化合物の内、フルオロアルキル基を含む珪素化合物が0.01モル%以上含まれていることが好ましい。
【0020】
このように、フルオロアルキル基を含む珪素化合物が、0.01モル%以上含まれていれば、光触媒含有層表面に十分にフッ素原子が含有されることになり、エネルギーが照射されフッ素原子の含有量が低下した光触媒含有層上の親油性の部位と、エネルギーが未照射の光触媒含有層表面における撥油性の部位との差異を大きくすることができることから、インク等がエネルギーが照射されていない撥油性の部位にはみ出すことなく正確に塗布することができるからである。
【0021】
また、上記請求項1から請求項8までのいずれかの請求項に記載のパターン形成体の製造方法においては、請求項9に記載するように、上記光触媒含有層の表面における表面張力40mN/mの液体との接触角が10度以上であることが好ましい。エネルギーの照射により、濡れ性の差によるパターンを形成するためには、未照射部分がこの程度の濡れ性であることが好ましいからである。
【0031】
本発明においては、このように光触媒反応開始エネルギーおよび反応速度増加エネルギーの二つのエネルギーを用いる場合は、請求項10に記載するように、上記光触媒反応開始エネルギーが紫外光を含む光であり、上記反応速度増加エネルギーが赤外線レーザで加えられる熱エネルギーであることが好ましい。これは、本発明においては二酸化チタンが光触媒として好適に用いられるのであるが、この二酸化チタンのバンドギャップの関係から光触媒反応開始エネルギーとしては紫外光が好ましいからである。また、反応速度増加エネルギーが熱であることが好ましく、この熱エネルギーは赤外線レーザにより加えられることが好ましい。赤外線レーザを用いる方法は、比較的安価でかつ取り扱いが容易であるからである。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の複合材について詳細に説明する。本発明の複合材は、基材と、この基材の少なくとも一方の表面に形成された光触媒含有層とからなるものであり、▲1▼光触媒含有層が少なくとも光触媒とフッ素とを含有する点、および▲2▼この光触媒含有層表面のフッ素含有量が、光触媒含有層に対しエネルギーを照射した際に、上記光触媒の作用によりエネルギー照射前に比較して低下するように上記光触媒含有層が形成されている点の二つの点に大きな特徴を有する。
【0034】
本発明の複合材は、このような二つの特徴を有するものであるので、エネルギーをパターン照射することにより、容易にフッ素の含有量の少ない部分からなるパターンを形成することができる。ここで、フッ素は極めて低い表面エネルギーを有するものであり、このためフッ素を多く含有する物質の表面は、臨界表面張力がより小さくなる。したがって、フッ素の含有量の多い部分の表面の臨界表面張力に比較してフッ素の含有量の少ない部分の臨界表面張力は大きくなる。これはすなわち、フッ素含有量の少ない部分はフッ素含有量の多い部分に比較して親油性となっていることを意味する。よって、周囲の表面に比較してフッ素含有量の少ない部分からなるパターンを形成することは、撥油性の領域内に親油性のパターンを形成することとなる。
【0035】
なお、本発明において、親油性とは表面張力が50より小さい液体に対して濡れ性が良好である旨を意味し、同様に撥油性とは表面張力が50より小さい液体に対して濡れ性が良好でない旨を意味するものである。
【0036】
このように、本発明の複合材はエネルギーをパターン照射することにより、撥油性の領域内に親油性のパターンを形成することができるので、この親油性の領域のみにインク等を付着させることが容易に可能となり、親油性部分に沿って機能性部が形成された機能性素子、例えばカラーフィルタやマイクロレンズ等を容易に形成することができるのである。
【0037】
(光触媒含有層)
まず、本発明の複合材に用いられる光触媒含有層について説明する。本発明の複合材に用いられる光触媒含有層の特徴は、上述したように少なくとも光触媒とフッ素とを含むものであり、かつ光触媒含有層表面にエネルギーを照射することによりフッ素の含有量が低下するところにある。
【0038】
ここで、本発明の複合材における光触媒含有層内に含まれるフッ素の含有量は、エネルギー照射前、すなわち本発明の複合材における光触媒含有層のフッ素含有量を100とした場合、エネルギー照射により10以下、好ましくは5以下、特に好ましくは1以下まで低下させることができるように光触媒含有層が形成されていることが好ましい。ここで「低下させることができる」としたのは、光触媒含有層中のフッ素含有量はエネルギー照射の条件により低下幅が異なるものであり、このエネルギー照射の時間、強度等の条件は、得られる機能性素子(カラーフィルタ、マイクロレンズ等)により適宜決定されるものである。したがって、実際に複合材にエネルギーを照射してパターン形成体とした際のフッ素含有量の低下率は機能性素子によって異なることになる。したがって、ここでは、複合材の光触媒含有層において含有されるフッ素の内、除去されうるフッ素を全て除去された状態における低下率で規定したものである。なお、この低下率は重量を基準としたものである。
【0039】
このような光触媒含有層中のフッ素含有量の測定は、一般的に行われている種々の方法を用いることが可能であり、例えばX線光電子分光法(X-ray Photoelectron Spectroscopy, ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)とも称される。)、蛍光X線分析法、質量分析法等の定量的に表面のフッ素の量を測定できる方法であれば特に限定されるものではない。
【0040】
このようなフッ素を含む光触媒含有層としては、少なくともフッ素と光触媒が含まれており、エネルギーの照射による光触媒の作用によりフッ素の含有量が減少するように構成されたものであればよい。具体的には、フッ素が光触媒により切断されるような結合により固定されている場合等を挙げることができる。
【0041】
この光触媒含有層における、後述するような二酸化チタンに代表される光触媒によるフッ素含有量の低下の作用機構については、必ずしも明確なものではないが、光の照射によって生成したキャリアが、近傍の化合物との直接反応、あるいは、酸素、水の存在下で生じた活性酸素種によって、有機物等の化学構造に変化を及ぼし、これにより低分子化したフッ素が除去されるものと考えられている。
【0042】
(光触媒)
本発明で使用する光触媒としては、光半導体として知られる例えば二酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、酸化タングステン(WO3)、酸化ビスマス(Bi23)、および酸化鉄(Fe23)を挙げることができ、これらから選択して1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0043】
本発明においては、特に二酸化チタンが、バンドギャップエネルギーが高く、化学的に安定で毒性もなく、入手も容易であることから好適に使用される。二酸化チタンには、アナターゼ型とルチル型があり本発明ではいずれも使用することができるが、アナターゼ型の二酸化チタンが好ましい。アナターゼ型二酸化チタンは励起波長が380nm以下にある。
【0044】
このようなアナターゼ型二酸化チタンとしては、例えば、塩酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(石原産業(株)製STS−02(平均粒径7nm)、石原産業(株)製ST−K01)、硝酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(日産化学(株)製TA−15(平均粒径12nm))等を挙げることができる。
【0045】
本発明においては、光触媒として上述したような二酸化チタンを用いることが好ましいが、このように二酸化チタンを用いた場合の、光触媒含有層中に含まれるフッ素の含有量としては、X線光電子分光法で分析して定量化すると、チタン(Ti)元素を100とした場合に、フッ素(F)元素が500以上、このましくは800以上、特に好ましくは1200以上となる比率でフッ素(F)元素が光触媒含有層表面に含まれていることが好ましい。フッ素(F)が光触媒含有層にこの程度含まれることにより、光触媒含有層上における臨界表面張力を十分低くすることが可能となることから表面における撥油性を確保でき、これによりエネルギーをパターン照射したパターン部分における表面の親油性の程度との差異を大きくすることができ、最終的に得られる機能性素子の品質を向上させることができるからである。
【0046】
なお、本発明における光触媒の粒径は小さいほど光触媒反応が効果的に起こるので好ましく、平均粒径か50nm以下が好ましく、20nm以下の光触媒を使用するのが特に好ましい。
【0047】
本発明における光触媒含有層としては、フッ素が含有されており、かつエネルギーの照射によりフッ素含有量が低下するように形成されているのであれば、光触媒とバインダとから構成されているものであってもよいし、光触媒単体で製膜されたものであってもよい。
【0048】
光触媒単独で形成する場合、例えば二酸化チタンの場合は、透明基板上に無定形チタニアを形成し、次いで焼成により結晶性チタニアに相変化させる方法等が挙げられる。ここで用いられる無定形チタニアとしては、例えば四塩化チタン、硫酸チタン等のチタンの無機塩の加水分解、脱水縮合、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラメトキシチタン等の有機チタン化合物を酸存在下において加水分解、脱水縮合によって得ることができる。次いで、400℃〜500℃における焼成によってアナターゼ型チタニアに変性し、600℃〜700℃の焼成によってルチル型チタニアに変性することができる。
【0049】
(バインダ)
本発明における光触媒含有層は、上述したような光触媒単独で製膜されたものであってもよいが、フッ素を含有させる際の容易性を考慮すると、光触媒とバインダとにより製膜されたものであることが好ましい。
【0050】
このようにバインダを用いる場合は、バインダの主骨格が上記の光触媒の光励起により分解されないような高い結合エネルギーを有するものが好ましく、例えばこのようなバインダとしては、オルガノポリシロキサン等を挙げることができる。このようなオルガノポリシロキサンとしては、例えば、(1)ゾルゲル反応等によりクロロまたはアルコキシシラン等を加水分解、重縮合して大きな強度を発揮するオルガノポリシロキサン、(2)撥水牲や撥油性に優れた反応性シリコーンを架橋したオルガノポリシロキサン等のオルガノポリシロキサンを挙げることができる。
【0051】
上記の(1)の場合、一般式:
nSiX(4-n)
(ここで、Yはアルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基またはエポキシ基を示し、Xはアルコキシル基、アセチル基またはハロゲンを示す。nは0〜3までの整数である。)
で示される珪素化合物の1種または2種以上の加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンであることが好ましい。なお、ここでYで示される基の炭素数は1〜20の範囲内であることが好ましく、また、Xで示されるアルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基であることが好ましい。
【0052】
このような珪素化合物としては、メチルトリクロルシラン、メチルトリブロムシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリt−ブトキシシラン;エチルトリクロルシラン、エチルトリブロムシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリt−ブトキシシラン;n−プロピルトリクロルシラン、n−プロピルトリブロムシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリイソプロポキシシラン、n−プロピルトリt−ブトキシシラン;n−ヘキシルトリクロルシラン、n−へキシルトリブロムシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、n−へキシルトリイソプロポキシシラン、n−へキシルトリt−ブトキシシラン;n−デシルトリクロルシラン、n−デシルトリブロムシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン、n−デシルトリイソプロポキシシラン、n−デシルトリt−ブトキシシラン;n−オクタデシルトリクロルシラン、n−オクタデシルトリブロムシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキシシラン、n−オクタデシルトリイソプロポキシシラン、n−オクタデシルトリt−ブトキシシラン;フェニルトリクロルシラン、フェニルトリブロムシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリt−ブトキシシラン;テトラクロルシラン、テトラブロムシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン;ジメチルジクロルシラン、ジメチルジブロムシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン;ジフェニルジクロルシラン、ジフェニルジブロムシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン;フェニルメチルジクロルシラン、フェニルメチルジブロムシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン;トリクロルヒドロシラン、トリブロムヒドロシラン、トリメトキシヒドロシラン、トリエトキシヒドロシラン、トリイソプロポキシヒドロシラン、トリt−ブトキシヒドロシラン;ビニルトリクロルシラン、ビニルトリブロムシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリt−ブトキシシラン;トリフルオロプロピルトリクロルシラン、トリフルオロプロピルトリブロムシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリt−ブトキシシラン;γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリt−ブトキシシラン;γ−メタアクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリt−ブトキシシラン;γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−アミノプロピルトリt−ブトキシシラン;γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリt−ブトキシシラン;β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン;および、それらの部分加水分解物;および、それらの混合物を挙げることができる。
【0053】
本発明においては、このようなオルガノポリシロキサンに対してフッ素を含有させるために、上記一般式において、置換基Yとしてフルオロアルキル基を有する珪素化合物を用いることが好ましい。このように、フルオロアルキル基を有する珪素化合物を用いて合成したオルガノポリシロキサンをバインダとして用いた場合は、エネルギーが照射された際、光触媒含有層中の光触媒の作用により、フルオロアルキル基の炭素結合の部分が分解されることから、光触媒含有層表面にエネルギーを照射した部分のフッ素含有量を低減させることができるからである。
【0054】
本発明において用いられるフルオロアルキル基を有する珪素化合物としては、フルオロアルキル基を有するものであれば特に限定されるものではないが、少なくとも1個のフルオロアルキル基を有し、このフルオロアルキル基の炭素数が4から30、好ましくは6から20、特に好ましくは6から16である珪素化合物が好適に用いられる。このような珪素化合物としては、具体的には下記のフルオロアルキルシランを挙げることができる。
【0055】
CF3(CF23CH2CH2Si(OCH33
CF3(CF25CH2CH2Si(OCH33
CF3(CF27CH2CH2Si(OCH33
CF3(CF29CH2CH2Si(OCH33
(CF32CF(CF24CH2CH2Si(OCH33
(CF32CF(CF26CH2CH2Si(OCH33
(CF32CF(CF28CH2CH2Si(OCH33
CF3(C64)C24Si(OCH33
CF3(CF23(C64)C24Si(OCH33
CF3(CF25(C64)C24Si(OCH33
CF3(CF27(C64)C24Si(OCH33
CF3(CF23CH2CH2SiCH3(OCH32
CF3(CF25CH2CH2SiCH3(OCH32
CF3(CF27CH2CH2SiCH3(OCH32
CF3(CF29CH2CH2SiCH3(OCH32
(CF32CF(CF24CH2CH2SiCH3(OCH32
(CF32CF(CF26CH2CH2SiCH3(OCH32
(CF32CF(CF28CH2CH2SiCH3(OCH32
CF3(C64)C24SiCH3(OCH32
CF3(CF23(C64)C24SiCH3(OCH32
CF3(CF25(C64)C24SiCH3(OCH32
CF3(CF27(C64)C24SiCH3(OCH32
CF3(CF23CH2CH2Si(OCH2CH33
CF3(CF25CH2CH2Si(OCH2CH33
CF3(CF27CH2CH2Si(OCH2CH33
CF3(CF29CH2CH2Si(OCH2CH33
CF3(CF27SO2N(C25)C24CH2Si(OCH33
【0056】
本発明においては、中でも炭素数が6から8であるフルオロアルキル基を有する上記珪素化合物、すなわちフルオロアルキルシランが好ましい。
【0057】
本発明においては、このようなフルオロアルキル基を有する珪素化合物を上述したフルオロアルキル基を有さない珪素化合物と混合して用い、これらの共加水分解縮合物を上記オルガノポリシロキサンとして用いてもよいし、このようなフルオロアルキル基を有する珪素化合物を1種または2種以上用い、これらの加水分解縮合物、共加水分解縮合物を上記オルガノポリシロキサンとして用いてもよい。
【0058】
このようにして得られるフルオロアルキル基を有するオルガノポリシロキサンにおいては、このオルガノポリシロキサンを構成する珪素化合物の内、上記フルオロアルキル基を有する珪素化合物が0.01モル%以上、好ましくは0.1モル%以上含まれていることが好ましい。
【0059】
フルオロアルキル基がこの程度含まれることにより、光触媒含有層上の撥油性を高くすることができ、エネルギーを照射して親油性とした部分との濡れ性の差異を大きくすることができるからである。
【0060】
また、上記の(2)による反応性シリコーンを用いてオルガノポリシロキサンを得る際の反応性シリコーンとしては、下記一般式で表される骨格をもつ化合物を挙げることができる。
【0061】
【化1】
Figure 0003881138
【0062】
ただし、nは2以上の整数であり、R1,R2はそれぞれ炭素数1〜10の置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、アリールあるいはシアノアルキル基であり、モル比で全体の40%以下がビニル、フェニル、ハロゲン化フェニルである。また、R1、R2がメチル基のものが表面エネルギーが最も小さくなるので好ましく、モル比でメチル基が60%以上であることが好ましい。また、鎖末端もしくは側鎖には、分子鎖中に少なくとも1個以上の水酸基等の反応性基を有する。
【0063】
このように反応性シリコーンを用いてオルガノシロキサンを合成する場合も同様に、R1,R2のいずれかもしくは両方をフルオロアルキル基等のフッ素を含有する置換基とすることにより、光触媒含有層中にフッ素を含ませることが可能であり、またエネルギーが照射された場合に、シロキサン結合より結合エネルギーの小さいフルオロアルキル基の部分が分解されるため、エネルギー照射により光触媒含有層表面におけるフッ素の含有量を低下させることができる。
【0064】
なお、バインダとして上記のオルガノポリシロキサンとともに、ジメチルポリシロキサンのような架橋反応をしない安定なオルガノシリコーン化合物を混合してもよい。
【0065】
本発明において、バインダとして用いることができるのは、上記オルガノポリシロキサンに限定されるものではなく、例えば無定形シリカ前駆体を用いることもできる。この無定形シリカ前駆体は、一般式SiX4で表され、Xはハロゲン、メトキシ基、エトキシ基、またはアセチル基等であるケイ素化合物、それらの加水分解物であるシラノール、または平均分子量3000以下のポリシロキサンが好ましい。
【0066】
具体的には、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラメトキシシラン等が挙げられる。また、この場合には、無定形シリカの前駆体と光触媒の粒子とを非水性溶媒中に均一に分散させ、透明基板上に空気中の水分により加水分解させてシラノールを形成させた後、常温で脱水縮重合することにより光触媒含有層を形成できる。シラノールの脱水縮重合を100℃以上で行えば、シラノールの重合度が増し、膜表面の強度を向上できる。また、これらの結着剤は、単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。
【0067】
本発明においては、このように種々のバインダを光触媒含有層のバインダとして用いることができるが、このようなバインダを含む光触媒含有層にフッ素を含有させる方法としては、通常高い結合エネルギーを有するバインダに対し、フッ素化合物を比較的弱い結合エネルギーで結合させる方法、比較的弱い結合エネルギーで結合されたフッ素化合物を光触媒含有層に混入させる方法等を挙げることができる。このような方法でフッ素を導入することにより、エネルギーが照射された場合に、まず結合エネルギーが比較的小さいフッ素結合部位が分解され、これによりフッ素を光触媒含有層中から除去することができるからである。
【0068】
上記オルガノポリシロキサンにフルオロアルキル基を置換基として導入する方法は前者の典型的な例として挙げることができる。後者の例、すなわち、バインダの結合エネルギーより弱いエネルギーで結合したフッ素化合物を導入させる方法としては、例えば、低分子量のフッ素化合物を導入させる場合は、例えばフッ素系の界面活性剤を混入する方法等を挙げることができ、また高分子量のフッ素化合物を導入させる方法としては、バインダ樹脂との相溶性の高いフッ素樹脂を混合する等の方法を挙げることができる。
【0069】
本発明における光触媒含有層の表面は、表面張力40mN/mの液体との接触角が10度以上、好ましくは表面張力30mN/mの液体との接触角が10度以上、特に表面張力20mN/mの液体との接触角が10度以上であることが好ましい。これは、エネルギーが照射されない部分は、パターン形成体を形成した際に通常撥油性が要求される部分であることから、このような液体との接触角が小さい場合は、撥油性が十分でなく、インク等の機能性部を形成する際に親油性のパターン部分以外にインク等が残存する可能性が生じるため好ましくないからである。
【0070】
なお、本発明でいう液体との接触角とは、種々の表面張力を有する液体との接触角を接触角測定器(協和界面科学(株)製CA−Z型)を用いて測定(マイクロシリンジから液滴を滴下して30秒後)し、その結果から、もしくはその結果をグラフにして得たものである。また、この測定に際して、種々の表面張力を有する液体としては、純正化学株式会社製のぬれ指数標準液を用いた。
【0071】
(添加剤等)
本発明における光触媒含有層には、界面活性剤を含有させることができる。具体的には、日光ケミカルズ(株)製NIKKOL BL、BC、BO、BBの各シリーズ等の炭化水素系、デュポン社製ZONYL FSN、FSO、旭硝子(株)製サーフロンS−141、145、大日本インキ化学工業(株)製メガファックF−141、144、ネオス(株)製フタージェントF−200、F251、ダイキン工業(株)製ユニダインDS−401、402、スリーエム(株)製フロラードFC−170、176等のフッ素系あるいはシリコーン系の非イオン界面活性剤を挙げることかでき、また、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤を用いることもできる。
【0072】
また、光触媒含有層には上記の界面活性剤の他にも、ポリビニルアルコール、不飽和ポリエステル、アクリル樹脂、ポリエチレン、ジアリルフタレート、エチレンプロピレンジエンモノマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリブタジエン、ポリベンズイミダゾール、ポリアクリルニトリル、エピクロルヒドリン、ポリサルファイド、ポリイソプレン等のオリゴマー、ポリマー等を含有させることができる。
【0073】
このような光触媒含有層は、上述した成分を必要に応じて他の添加剤とともに溶剤中に分散して塗布液を調製し、この塗布液を基材上に塗布することにより形成することができる。使用する溶剤としては、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系の有機溶剤が好ましい。塗布はスピンコート、スプレーコート、ディッブコート、ロールコート、ビードコート等の公知の塗布方法により行うことができる。また、紫外線硬化型の成分を含有している場合、紫外線を照射して硬化処理を行うことにより光触媒含有層を形成することかできる。
【0074】
このような光触媒含有層における光触媒の含有量は、必要とする機能性素子の種類等により大きくことなるものであるが、通常5〜60重量%、好ましくは20〜40重量%の範囲で設定することができる。また、光触媒含有層の厚みも得られる機能性素子の種類等により大きく異なるが、具体的に挙げるとすると、0.05〜10μmの範囲内が好ましい。
【0075】
(基材)
本発明の複合材においては、強度との関係や最終的な機能性素子との関係から、基材上に上述した光触媒含有層が形成される。このような基材としては、得られるパターン形成体もしくはパターン形成体により形成された機能性素子の用途に応じて、ガラス、アルミニウム、およびその合金等の金属、プラスチック、織物、不織布等を挙げることができる。
【0076】
(パターン形成体)
本発明の複合材の光触媒含有層表面に、パターン状にエネルギーを照射することにより、上述したようにフッ素含有量が少ない部分のパターンを有するパターン形成体が得られる。このフッ素含有量が少ない部分は、上述したように周囲の領域より親油性が高い部分となる。したがって、このようにして得られるパターン形成体は、撥油性表面に親油性の高い部分がパターン状に形成されたパターン形成体となる。よって、親油性を有する部分に油性のインク等を付着させることにより、このパターン形成体上に形成されたパターンに沿ってインク等を正確に付着させることが可能となり、これにより精度の高いカラーフィルタ等の機能性素子を得ることができる。
【0077】
ここで、本発明のパターン形成体においては、エネルギーが照射されて形成されたフッ素含有量が低い部位における光触媒含有層中のフッ素含有量は、エネルギー照射されていない部分のフッ素含有量を100とした場合に、10以下、好ましくは、5以下、特に好ましくは1以下であることが好ましい。なお、この比率は重量を基準としたものである。
【0078】
このような範囲内とすることにより、エネルギー照射部分と未照射部分との親油性に大きな違いを生じさせることができる。したがって、このようなパターン形成体にインク等を塗布して機能性部を形成することにより、フッ素含有量が低下した親油性の部位のみに正確に機能性部を形成することが可能となり、精度良く機能性素子を得ることができるからである。
【0079】
また、本発明のパターン形成体においては、特に光触媒として二酸化チタンを用いた場合に、同様の理由から、上述した複合材に対してエネルギーをパターン照射することにより、Ti元素を100とした場合に、フッ素元素が500以上、好ましくは800以上、特に好ましくは1200以上となる比率でフッ素元素が光触媒含有層表面に含まれている光触媒含有層表面に、Ti元素を100とした場合にフッ素元素が50以下、好ましくは20以下、特に好ましくは10以下となる比率でフッ素元素が含まれている部位のパターンが形成されていることが好ましい。
【0080】
さらに、本発明のパターン形成体においては、光触媒含有層に含有されるフッ素の含有量を、エネルギーの照射により低下させることにより、表面張力40mN/mの液体との接触角が10度以上、好ましくは表面張力30mN/mの液体との接触角が10度以上、特に好ましくは表面張力20mN/mの液体との接触角が10度以上である光触媒含有層上に、表面張力40mN/mの液体との接触角が10度未満、好ましくは表面張力50mN/mの液体との接触角が10度以下、特に好ましくは表面張力60mN/mの液体との接触角が10度以下である部位のパターンが形成されていることが好ましい。このようなパターン形成体は、濡れ性に差のあるパターンが形成されているので、より親油性の高い部位にインク等を付着させ機能性部とすることにより、容易にカラーフィルタ等の機能性素子とすることが可能となる。
【0081】
(エネルギー)
本発明のパターン形成体は、上述したように、上記複合材にパターン状にエネルギーを照射して得られるものであるが、この光触媒含有層に照射するエネルギーとしては、紫外光を含む光を用いることができる。このような紫外光を含む光源としては、例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を挙げることができる。この露光に用いる光の波長は400nm以下の範囲、好ましくは380nm以下の範囲から設定することができ、また、露光に際しての光の照射量は、露光された部位が光触媒の作用により親油性を発現するのに必要な照射量とすることができる。
【0082】
エネルギーの照射に際してパターン照射が必要な場合は、上述したような光源を用い、フォトマスクを介したパターン照射により行うことができるが、他の方法として、エキシマ、YAG等のレーザーを用いてパターン状に描画照射する方法を用いることも可能である。しかしながら、このようなレーザを用いた方法は、装置が高価、取り扱いが困難、さらには連続出力ができない等の問題を有する場合がある。
【0083】
したがって、本発明においては、光触媒含有層に対し、光触媒反応開始エネルギーを加え、この光触媒反応開始エネルギーが加えられた領域内に反応速度増加エネルギーをパターン状に加えることにより親油性領域のパターンを形成するようにしてもよい。このようなエネルギーの照射方法を用いてパターンを形成することにより、パターン形成に際して、赤外線レーザ等の比較的安価で取り扱いが容易である反応速度増加エネルギーを用いることができ、これにより上述したような問題が生じないからである。
【0084】
このようなエネルギーを加えることによりフッ素含有量の低下した親油性領域のパターンが形成できるのは、以下の理由による。すなわち、まずパターンを形成する領域に対して光触媒反応開始エネルギーを加えることにより、光触媒含有層に対する光触媒の触媒反応を開始させる。そして、この光触媒反応開始エネルギーが加えられた領域内に、反応速度増加エネルギーを加える。このように反応速度増加エネルギーを加えることにより、既に光触媒反応開始エネルギーが加えられ、光触媒の触媒作用により反応が開始されている光触媒含有層内の反応が、急激に促進される。そして所定の時間、反応速度増加エネルギーを加えることにより、光触媒含有層内のフッ素含有量を所望の範囲まで低下させ、反応速度増加エネルギーが加えられたパターンをフッ素含有量の低下した親油性領域のパターンとすることができるのである。
【0085】
a.光触媒反応開始エネルギーについて
このエネルギー照射方法に用いられる光触媒反応開始エネルギーとは、光触媒が光触媒含有層中の化合物に対して、その特性を変化させるための触媒反応を開始させるエネルギーをいう。
【0086】
ここで加える光触媒反応開始エネルギーの量は、光触媒含有層中のフッ素含有量の低下を急激に生じない程度の量である。加えられる光触媒反応開始エネルギーの量が少ない場合は、反応速度増加エネルギーを加えてパターンを形成する際の感度が低下するため好ましくなく、またこの量が多すぎると、光触媒反応開始エネルギーを加えた光触媒含有層における特性の変化の度合いが大きくなりすぎて、反応速度増加エネルギーを加えた領域との差異が不明確となってしまうため好ましくない。この加えるエネルギーの量に関しては、予めエネルギーを加える量と光触媒含有層中のフッ素含有量の変化量とを予備実験等を行うことにより決定される。
【0087】
この方法における光触媒反応開始エネルギーとしては、光触媒反応を開始させることができるエネルギーであれば特に限定されるものではないが、中でも光であることが好ましい。
【0088】
本発明において用いられる光触媒は、そのバンドギャップによって触媒反応を開始する光の波長が異なる。例えば、硫化カドニウムであれば496nm、また酸化鉄であれば539nmの可視光であり、二酸化チタンであれば388nmの紫外光である。したがって、光であれば可視光であれ紫外光であれ本発明で用いることができる。しかしながら、上述したようにバンドギャップエネルギーが高いため光触媒として有効であり、かつ化学的にも安定で毒性もなく、入手も容易といった理由から光触媒としては二酸化チタンが好適に用いられる関係上、この二酸化チタンの触媒反応を開始させる紫外光を含む光であることが好ましい。具体的には、400nm以下の範囲、好ましくは380nm以下の範囲の紫外光が含まれることが好ましい。
【0089】
このような紫外光を含む光の光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、エキシマランプ等の種々の紫外線光源を挙げることができる。
【0090】
本発明においては、この光触媒反応開始エネルギーが加えられる範囲は、光触媒含有層の一部分であってもよく、例えばこの光触媒反応開始エネルギーをパターン状に加え、さらに後述する反応速度増加エネルギーもパターン状に加えることにより、フッ素含有量が低下した親油性領域のパターンを形成することも可能であるが、工程の簡略化、単純化等の理由から、この光触媒反応開始エネルギーをパターンを形成する領域全面にわたって加えることが好ましく、このように全面にわたって光触媒反応開始エネルギーが加えられた領域に反応速度増加エネルギーをパターン状に加えることにより、光触媒含有層上に親油性領域のパターンを形成するようにすることが好ましい。
【0091】
b.反応速度増加エネルギーについて
次に、この方法に用いられる反応速度増加エネルギーについて説明する。この方法に用いられる反応速度増加エネルギーとは、上記光触媒反応開始エネルギーによって開始された光触媒含有層の濡れ性を変化させる反応の反応速度を増加させるためのエネルギーをいう。本発明においては、このような作用を有するエネルギーであればいかなるエネルギーであっても用いることができるが、中でも熱エネルギーを用いることが好ましい。
【0092】
このような熱エネルギーをパターン状に光触媒含有層に加える方法としては、光触媒含有層上に熱によるパターンが形成できる方法であれば特に限定されるものではないが、赤外線レーザによる方法や感熱ヘッドによる方法等を挙げることができる。このような赤外線レーザとしては、例えば指向性が強く、照射距離が長いという利点を有する赤外線YAGレーザ(1064nm)や、比較的安価であるという利点を有するダイオードレーザ(LED;830nm、1064nm、1100nm)等の他、半導体レーザ、He−Neレーザ、炭酸ガスレーザ等を挙げることができる。
【0093】
この方法においては、上述した光触媒反応開始エネルギーを加えることにより、光触媒を活性化させて光触媒含有層内の触媒反応によるフッ素含有量の低下を開始させ、この変化が生じた部分に反応速度増加エネルギーを加えてその部分の触媒反応を促進させることにより、反応速度増加エネルギーが加えられた領域と、加えられなかった領域との反応速度の差により、親油性領域のパターンを形成することができる。
【0094】
(機能性素子)
本発明においては、上述したパターン形成体の上に形成されたパターンに対応した部位上に機能性部を配置することにより種々の機能性素子を得ることができる。
【0095】
ここで機能性とは、光学的(光選択吸収、反射性、偏光性、光選択透過性、非線形光学性、蛍光あるいはリン光等のルミネッセンス、フォトクロミック性等)、磁気的(硬磁性、軟磁性、非磁性、透磁性等)、電気・電子的(導電性、絶縁性、圧電性、焦電性、誘電性等)、化学的(吸着性、脱着性、触媒性、吸水性、イオン伝導性、酸化還元性、電気化学特性、エレクトロクロミック性等)、機械的(耐摩耗性等)、熱的(伝熱性、断熱性、赤外線放射性等)、生体機能的(生体適合性、抗血栓性等)な各種の機能を意味するものである。
【0096】
このような機能性部のパターン形成体のパターンに対応した部位への配置は、光触媒含有層表面に親油性のパターンが形成されていることから、機能性部用組成物をパターン形成体上に塗布することにより、濡れ性の良好な親油性領域のみ機能性部用組成物が付着することになり、容易にパターン形成体のパターンに対応した部位に機能性部を配置することができる。
【0097】
本発明に用いられる機能性部用組成物としては、機能性素子の機能、機能性素子の形成方法等によって大きく異なるものである。また、その態様も、紫外線硬化型モノマー等に代表される溶剤で希釈されていない組成物や、溶剤で希釈した液体状の組成物等種々のものが考えられる。
【0098】
本発明に用いられる機能性部用組成物としては、パターン形成体に付着等させて配置されることにより機能性部となるものであってもよく、またパターン形成体上に配置された後、薬剤により処理され、もしくは紫外線、熱等により処理された後に機能性部となるものであってもよい。この場合、機能性部用組成物の結着剤として、紫外線、熱、電子線等で効果する成分を含有している場合には、硬化処理を行うことにより素早く機能性部が形成できることから好ましい。
【0099】
このような機能性素子の形成方法を具体的に説明すると、機能性部用組成物をディップコート、ロールコート、ブレードコート、スピンコート等の塗布手段、インクジェット等を含むノズル吐出手段等の手段を用いて上記パターン形成体上に形成された親油性領域のパターン上に機能性部を形成する。例えば、図1に示すように、基材1上に光触媒含有層2が設けられ、この光触媒含有層2にはエネルギーをパターン照射することにより形成された濡れ性変化部位(親油性領域)3が形成されたパターン形成体4上に、ブレードコータ5を用いて機能性部用組成物6を塗布する方法、もしくは、図2に示すように同様なパターン形成体4上に機能性部用組成物6を滴下し、スピンコータ7により塗布する方法等を挙げることができる。このようにして機能性部用組成物6を塗布することにより、図3に示すように濡れ性が変化して親油性領域となった濡れ性変化部位3上にのみ機能性部用組成物が付着する。この機能性部用組成物を硬化させて機能性部8とすることにより、機能性素子を形成することができる。
【0100】
また、図4はさらに他の機能性素子の形成方法を示すものである。まず、図4(A)に示すように濡れ性変化部位3のパターンを有する光触媒含有層2が基材1上に設けられたパターン形成体4上に、シート9の片面に熱溶融性組成物層10が積層された熱転写体11を、熱溶融性組成物層10が濡れ性変化部位3に接触するように密着させる。次いで図4(B)に示すように熱転写体11のシート9側から加熱板12を押し当てて加熱する。そして図4(C)に示すように、冷却後熱転写体11を引き剥がすことにより、光触媒含有層2上に形成された濡れ性変化部位3のパターンに沿うように機能性部8が形成された機能性素子を得ることができる(図4(D))。
【0101】
このようにして得られる機能性素子として具体的には、カラーフィルタ、マイクロレンズ等を挙げることができる。
【0102】
上記カラーフィルタは、液晶表示装置等に用いられるものであり、赤、緑、青等の複数の画素部がガラス基板等上に高精細なパターンで形成されたものである。本発明の複合材およびこれを用いて形成されたパターン形成体をこのカラーフィルタの製造に用いることにより、低コストで高精細なカラーフィルタとすることができる。すなわち、光触媒含有層にエネルギーをパターン照射することにより、フッ素含有量が低下し、濡れ性の変化したパターンが形成されたパターン形成体を得る。次いで、この濡れ性変化部位(エネルギー照射により親油性領域となった部位)に、例えばインクジェット装置等によりインク(機能性部用組成物)を付着・硬化させることにより、容易に画素部(機能性部)を形成することができ、これにより少ない工程数で高精細なカラーフィルタを得ることができる。
【0103】
また、機能性素子がマイクロレンズである場合は、光触媒含有層上にエネルギーをパターン照射し、フッ素含有量の少ない濡れ性が変化した円形のパターンを有するパターン形成体を製造する。次いで、濡れ性が変化した部位上にレンズ形成用組成物(機能性部用組成物)を滴下すると、濡れ性が変化した親油性領域のみに広がり、さらに滴下することにより液滴の接触角を変化させることができる。このレンズ形成用組成物を硬化させることにより種々の形状あるいは焦点距離のものを得ることが可能となり、高精細なマイクロレンズを得ることができる。
【0104】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0105】
【実施例】
以下、本発明について、実施例を通じてさらに詳述する。
【0106】
イソプロピルアルコール3g、フルオロアルキルシラン(トーケムプロダクツ(株)製;MF−160E(商品名)、N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−N−エチルパーフルオロオクタンスルホンアミドのイソプロピルエーテル50重量%溶液)0.014g、酸化チタンゾル(石原産業(株)製;STS−01(商品名))2g、シリカゾル(日本合成ゴム(株)製;グラスカHPC7002(商品名))0.6g、およびアルキルアルコキシシラン(日本合成ゴム(株)製;HPC402II(商品名))0.2gを混合し、100℃で20分間撹拌した。この溶液を厚さ0.7mmの無アルカリガラス基板上にスピンコーティング法によりコートし、厚さ0.15μmの光触媒含有層を得た。
【0107】
この光触媒含有層表面に格子状のフォトマスクを介して超高圧水銀ランプにより70mW/cm2(365nm)の照度で2分間紫外線照射を行い、n−オクタン(表面張力21mN/m)に対する接触角を接触角測定器(協和界面科学製CA−Z型)により測定した結果、未露光部は52度であったのに対し、露光部は0度であった。
【0108】
未露光部および露光部をX線光電子分光装置(V.G.Sientific社ESCALAB220-I-XL)により元素分析を行った。シャリーのバッククラウンド補正、スコフィールドの相対感度係数補正により定量計算を行い得られた結果をチタン(Ti)を100とした場合の重量による相対値で示すと、未露光部はチタン(Ti)100に対しフッ素(F)1279であるのに対し、露光部ではチタン(Ti)100に対しフッ素(F)6であった。
【0109】
これらの結果から、光触媒含有層を露光することにより、光触媒含有層表面のフッ素の割合が減少し、これにより表面が撥油性から親油性に変化していることがわかった。
【0110】
【発明の効果】
本発明は、基材と、この基材の少なくとも一方の表面に形成され、少なくともフッ素および光触媒を含む光触媒含有層とからなる複合材であって、上記光触媒含有層に対しエネルギーを照射した際に、上記光触媒の作用により上記光触媒含有層表面のフッ素含有量がエネルギー照射前に比較して低下するように上記光触媒含有層が形成されていることを特徴とする複合材である。
【0111】
このように、本発明の複合材は、基材表面に形成された光触媒含有層上のエネルギー照射部のフッ素含有量が低下するように構成されているので、エネルギーをパターン照射することにより、フッ素含有量の低下した部分からなるパターンを形成することができる。フッ素含有量が低下するとその部分は、他の部分と比較して親油性の領域となるので、この部分にインク等を付着させることにより、容易にカラーフィルタ等の機能性素子を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合材を用いて機能性素子を製造する製造方法の一例を説明するための概略断面図である。
【図2】本発明の複合材を用いて機能性素子を製造する製造方法の他の例を説明するための概略断面図である。
【図3】本発明の複合材を用いて機能性素子を製造する製造方法の他の例を説明するための概略断面図である。
【図4】(A)から(D)は、本発明の複合材を用いて機能性素子を製造する製造方法の他の例を説明するための概略断面図である。
【符号の説明】
1…基材
2…光触媒含有層
4…パターン形成体
8…機能性部

Claims (10)

  1. 基材と、この基材の少なくとも一方の表面に形成され、少なくともフッ素含有化合物および光触媒を含む光触媒含有層とからなる複合材であって、前記光触媒含有層に対しエネルギーを照射した際に、前記光触媒の作用により前記光触媒含有層表面のフッ素原子含有量がエネルギー照射前に比較して低下するように前記光触媒含有層が形成されている複合材の光触媒含有層にエネルギーを照射してパターン形成体を製造するパターン形成体の製造方法において、
    前記光触媒含有層に照射するエネルギーが、光触媒反応開始エネルギーおよび反応速度増加エネルギーであり、前記光触媒反応開始エネルギーを照射した部分に前記反応速度増加エネルギーを照射することにより、露光部分を形成することを特徴とするパターン形成体の製造方法。
  2. 前記光触媒含有層のフッ素原子含有量を、エネルギー照射前を100とした場合に、エネルギー照射により10以下まで低下させることができる光触媒含有層を有することを特徴とする請求項1記載のパターン形成体の製造方法。
  3. 前記光触媒含有層に含有される光触媒が、二酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、酸化タングステン(WO3)、酸化ビスマス(Bi23)、および酸化鉄(Fe23)から選択される1種または2種以上の物質であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパターン形成体の製造方法。
  4. 前記光触媒含有層に含有される光触媒が二酸化チタン(TiO2)であることを特徴とする請求項3記載のパターン形成体の製造方法。
  5. 前記光触媒含有層表面のフッ素原子の含有量を、X線光電子分光法で分析して定量化すると、Ti原子を100とした場合に、フッ素原子が500以上となる比率でフッ素原子が光触媒含有層表面に含まれている光触媒含有層を有することを特徴とする請求項4記載のパターン形成体の製造方法。
  6. 前記光触媒含有層が、少なくとも前記光触媒とバインダとを含み、前記バインダがフルオロアルキル基を有するオルガノポリシロキサンであることを特徴とする請求項3から請求項5までのいずれかの請求項に記載のパターン形成体の製造方法。
  7. 前記オルガノポリシロキサンが、YnSiX(4-n)(ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基またはエポキシ基を示し、Xはアルコキシル基またはハロゲンを示す。nは0〜3までの整数である。)で示される珪素化合物の1種または2種以上の加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンであることを特徴とする請求項6記載のパターン形成体の製造方法。
  8. 前記オルガノポリシロキサンを構成する前記珪素化合物の内、フルオロアルキル基を含む珪素化合物が0.01モル%以上含まれていることを特徴とする請求項7記載のパターン形成体の製造方法。
  9. 前記光触媒含有層の表面における表面張力40mN/mの液体との接触角が、10度以上であることを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれかの請求項に記載のパターン形成体の製造方法。
  10. 前記光触媒反応開始エネルギーが紫外光を含む光であり、前記反応速度増加エネルギーが赤外線レーザにより加えられた熱エネルギーであることを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれかの請求項に記載のパターン形成体の製造方法。
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