JP4413035B2 - パターン形成体およびパターン形成方法 - Google Patents

パターン形成体およびパターン形成方法 Download PDF

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本発明は、印刷をはじめとして各種の用途に使用可能な新規なパターン形成体およびパターン形成方法に関するものである。
基材上に、周囲とは異なる特性を有する領域を形成したパターン形成体に関するものである。パターン形成体が図案、画像、文字等の印刷に利用する場合には、パターンは印刷インクを転写する際にインクを受容もしくは反発する部分を意味する。また、本発明のパターン形成体は、印刷用途以外にも利用することができ、その場合のパターンは、濡れ性の変化に応じてパターン形成体上に形成されたパターン状の層および転写された層を意味する。
印刷を例に挙げて説明すると、印刷方法の一種である平版印刷に使用する平版印刷版は、平版上にインクを受容する親油性部位と、印刷インクを受容しない部位を形成し、親油性部位に印刷すべきインクの画像を形成し、形成した画像を紙等に転写して印刷している。
こうした印刷では、印刷版原版に、文字、図形等のパターンを形成して印刷版を作製して印刷機に装着して使用している。代表的な平版印刷版であるオフセット印刷用の印刷版原版には、数多くのものが提案されている。
オフセット印刷用の印刷版は、印刷版原版にパターンを描いたマスクを介して露光して現像する方法、あるいは電子写真方式によって直接に露光して印刷版原版上に直接に製版する方法等によって作製することができる。電子写真式のオフセット印刷版原版は、導電性基材上に酸化亜鉛等の光導電性粒子および結着樹脂を主成分とした光導電層を設けた感光体として、電子写真方式によって露光し、感光体表面に親油性の高い画像を形成させ、続いて不感脂化液で処理し非画像部分を親水化することによってオフセット原版を得る方法によって作製されている。親水性部分は水等によって浸漬して疎油性とされ、親油性の画像部分に印刷インクが受容されて紙等に転写される。
また、こうした水の浸漬によって疎油性の部位を形成する方法に代えて、水等の浸漬によらずとも高度に疎油性の部位を形成することによって、インクを受容する部位とインクを受容しない部位を形成する乾式平板印刷用の印刷版原版も用いられている。
また、レーザーの照射によって、インクに対して受容性の高い部位と、撥インク性の部位を形成することが可能な、ヒートモード記録材料を用いた平版印刷原版を作製する方法も提案されている。ヒートモード記録材料は、現像等の工程が不要で、単にレーザー光によって画像を形成するのみで印刷版を製造することができるという特徴を有しているが、レーザーの強度の調整、レーザーにより変質した固体状物質の残留物の処理の間題、耐刷性などに課題があった。
また、高精細なパターンを形成する方法として、基材上に塗布したフォトレジスト層にパターンの露光を行い、露光後のフォトレジストの現像後、さらにエッチングを行ったり、フォトレジストに機能性を有する物質を用いて、フォトレジストの露光によって目的とするパターンを直接形成する等のフォトリソグラフィーによる方法が知られている。
フォトリソグラフィーによる高精細パターンの形成は、液晶表示装置等に用いられるカラーフィルタの着色パターンの形成、マイクロレンズの形成、精細な電気回路基板の製造、パターンの露光に使用するクロムマスクの製造等に用いられているが、これらの方法によっては、フォトレジストを用いると共に、露光後に液体現像液によって現像を行ったり、エッチングを行う必要があるので、廃液を処理する必要が生じる等の問題点があり、またフォトレジストして機能性の物質を用いた場合には、現像の際に使用されるアルカリ液等によって劣化する等の問題点もあった。
カラーフィルタ等の高精細なパターンを印刷等によって形成することも行われているが、印刷で形成されるパターンには、位置精度等の問題があり、高精細なパターンの形成は困難であった。
また、本発明者等は、このような問題点を解決するために、光触媒の作用によって濡れ性が変化する物質を用いてパターンを形成するパターン形成体およびパターン形成方法を既に、特願平9−214845号として提案しているが、本発明は、このような光触媒を用いたパターン形成体および形成方法において、特性のより優れたパターン形成体およびパターン形成方法を提供するものである。
本発明は、新規なパターン形成体およびパターン形成方法を提供することを課題とするものであり、印刷版原版に使用すれば、従来の印刷版原版の有する問題点を解決することが可能な、新規な印刷版原版を提供することができるパターン形成体を提供することを課題とするものであり、各種の機能性素子の形成に用いれば、特性の優れた機能性素子を提供することができるパターン形成体およびパターン形成方法を提供することを課題とするものである。
本発明は、光学的にパターンを形成するパターン形成体において、基材上に光触媒含有層を有し、光触媒含有層上に、パターンの露光によって光触媒の作用により分解除去される層を有するパターン形成体である。
光触媒含有層が、光触媒の単体で成膜されたものである前記のパターン形成体である。
光触媒の作用により分解除去される層が、溶液の塗布、表面グラフト処理、界面活性剤処理、および気相による成膜法からなる群から選択されるいずれか一つの方法により成膜されたものである前記のパターン形成体である。
光学的にパターンを形成するパターン形成体において、光触媒、パターンの露光によって光触媒の作用により分解される物質、および結着剤からなる組成物層を有するパターン形成体である。
光触媒含有層が、可視およびその他の波長に感受性を有するものである前記のパターン形成体である。
光触媒含有層に金属イオンがドープされている前記のパターン形成体である。
光触媒含有層に蛍光物質が添加されている前記のパターン形成体である。
光触媒含有層に感光性色素が添加されている前記のパターン形成体である。
パターン形成体が印刷版原版である前記のパターン形成体である。
また、光学的にパターンを形成する方法において、基材上に光触媒含有層を有し光触媒含有層上にパターンの露光によって光触媒の作用により分解除去される層を有するパターン形成体にパターンの露光をし、光触媒の作用によって表面の濡れ性を変化させるパターン形成方法である。
光学的にパターンを形成する方法において、基材上に、光触媒、パターンの露光によって光触媒の作用により分解される物質、および結着剤からなる組成物層を形成したパターン形成体にパターンの露光をし、光触媒の作用によって表面の濡れ性を変化させるパターン形成方法である。
光触媒含有層に対するパターン露光は、光描画照射により行う前記のパターン形成方法である。
光触媒含有層に対するパターン露光は、フォトマスクを介した露光によって行う前記のパターン形成方法である。
光触媒含有層に対するパターン露光は、パターン形成体を加熱しながら行う前記のパターン形成方法である。
基材上に前記のパターン形成体を有し、前記のパターン形成方法によって得られた該パターン形成体のパターンに対応した部位上に機能性層が配置された素子である。
パターン形成体上に前記のパターン形成方法によって得られた該パターン形成体のパターンに対応した部位上に形成された機能性層を、他の基材上に転写することによって形成した素子である。
基材上に前記のパターン形成体を有し、前記のパターン形成方法によって得られた該パターン形成体のパターンに対応した部位上に機能性層を形成する素子作製方法である。
パターン形成体上に、前記のパターン形成方法によって得られた該パターン形成体のパターンに対応した部位上に機能性層を、他の基材上に転写することによって基材上に機能性層を形成した素子作製方法である。
パターン形成体の全面に機能性層用組成物を積層する工程、未露光部の反撥作用によって露光部の濡れ性の変化した部位上のみにパターン状に機能性層を形成する工程を有する前記の素子作製方法である。
パターン形成体の全面に機能性層用組成物を積層する工程、未露光部の機能性層を除去することによってパターン状に機能性層を形成する工程を有する前記の素子作製方法である。
パターン形成体の全面に機能性層用組成物を積層する工程、未露光部の反撥作用によって露光部の濡れ性の変化した部位上のみにパターン状に機能性層を形成する工程を有する前記の素子作製方法である。
パターン形成体の全面に機能性層用組成物を積層する工程、未露光部の機能性層を除去することによってパターン状に機能性層を形成する工程を有する前記の素子作製方法である。
パターン形成体への機能性層の形成が、機能性層用組成物の塗布による前記の素子作製方法である。
パターン形成体への機能性層の形成が、機能性層用組成物のノズルからの吐出による前記の素子作製方法である。
パターン形成体への機能性層の形成が、機能性層用組成物塗布フィルムからの熱または圧力による転写による前記の素子作製方法である。
パターン形成体への機能性層の形成が、真空を利用した成膜による前記の素子作製方法である。
パターン形成体への機能性層の形成が、無電解めっきを利用した成膜による前記の素子作製方法である。
また、本発明は、光学的にパターンを形成するパターン形成体において、基材上に光触媒含有層を有し、光触媒含有層は、パターンの露光によって光触媒の作用により濡れ性が変化する物質を含有するパターン形成体である。
光学的にパターンを形成するパターン形成体において、基材上に光触媒含有層を有し、光触媒含有層上に、パターンの露光によって光触媒の作用により分解除去される層を有するパターン形成体である。
光学的にパターンを形成するパターン形成体において、基材上に光触媒含有層を有し、光触媒含有層上に、パターンの露光によって光触媒の作用により濡れ性が変化する物質の含有層を有するパターン形成体である。
光学的にパターンを形成するパターン形成体において、光触媒、パターンの露光によって光触媒の作用により分解される物質、および結着剤からなる組成物層を有するパターン形成体である。
光触媒を含有する層がシロキサン結合を有する化合物を含有する前記のパターン形成体である。
光触媒を含有する層がシリコーンを含有する前記のパターン形成体である。
シリコーンのケイ素原子にフルオロアルキル基が結合している前記のパターン形成体である。
シリコーンがオルガノアルコキシシランを含む組成物から得られたものである前記のパターン形成体である。
シリコーンが反応性シリコーン化合物を含む組成物から得られたものである前記のパターン形成体である。
パターン形成体が印刷版原版である前記のパターン形成体である。
また、光学的にパターンを形成する方法において、基材上に光触媒の作用により濡れ性が変化する物質を含有した光触媒含有層を設けたパターン形成体、基材上に形成した光触媒含有層上に光触媒の作用により濡れ性が変化する物質の含有層を形成したパターン形成体、基材上に光触媒含有層を有し光触媒含有層上にパターンの露光によって光触媒の作用により分解除去される層を有するパターン形成体、もしくは基材上に、光触媒、パターンの露光によって光触媒の作用により分解される物質、および結着剤からなる組成物層を形成したパターン形成体にパターンの露光をし、光触媒の作用によって表面の濡れ性を変化させるパターン形成方法である。
光触媒含有層に対するパターン露光は、光描画照射により行う前記のパターン形成方法である。
光触媒含有層に対するパターン露光は、フォトマスクを介した露光によって行う前記のパターン形成方法である。
光触媒含有層に対するパターン露光は、パターン形成体を加熱しながら行う前記のパターン形成方法である。
基材上に前記のパターン形成体を有し、前記のパターン露光によって得られた該パターン形成体のパターンに対応した部位上に機能性層が配置された素子である。
パターン形成体上に前記のパターン露光によって得られた該パターン形成体のパターンに対応した部位上に形成された機能性層を、他の基材上に転写することによって形成した素子である。
基材上に前記のパターン形成体を有し、前記のパターン露光によって得られた該パターン形成体のパターンに対応した部位上に機能性層を形成する素子作製方法である。
パターン形成体上に、前記のパターン露光によって得られた該パターン形成体のパターンに対応した部位上に機能性層を、他の基材上に転写することによって基材上に機能性層を形成した素子作製方法である。
パターン形成体の全面に機能性層用組成物を積層する工程、未露光部の反撥作用によって露光部の濡れ性の変化した部位上のみにパターン状に機能性層を形成する工程を有する前記の素子作製方法である。
パターン形成体の全面に機能性層用組成物を積層する工程、未露光部の機能性層を除去することによってパターン状に機能性層を形成する工程を有する前記の素子作製方法である。
パターン形成体の全面に機能性層用組成物を積層する工程、未露光部の反撥作用によって露光部の濡れ性の変化した部位上のみにパターン状に機能性層を形成する工程を有する前記の素子作製方法である。
パターン形成体の全面に機能性層用組成物を積層する工程、未露光部の機能性層を除去することによってパターン状に機能性層を形成する工程を有する前記の素子作製方法である。
パターン形成体への機能性層の形成が、機能性層用組成物の塗布による前記の素子作製方法である。
パターン形成体への機能性層の形成が、機能性層用組成物のノズルからの吐出による前記の素子作製方法である。
パターン形成体への機能性層の形成が、機能性層用組成物塗布フィルムからの熱または圧力による転写による前記の素子作製方法である。
パターン形成体への機能性層の形成が、真空を利用した成膜による前記の素子作製方法である。
パターン形成体への機能性層の形成が、無電解めっきを利用した成膜による前記の素子作製方法である。
本発明のパターン形成体は、基材上に光触媒含有組成物層を形成したので、光照射の際の光触媒の作用により、表面の濡れ性を変化させることによって、パターンの形成が可能であるので、現像等の工程を経ずに、パターンの形成が可能であり、印刷版原版、機能性素子をはじめとした多くの用途に使用することができる。
本発明は、光の照射によって近傍の物質に化学変化を起こすことが可能な光触媒の作用を用いて、パターンを形成するパターン形成体およびパターン形成方法である。本発明において、パターンは、図案、画像、文字等の印刷に利用する場合には印刷インクを転写する際にインクを受容もしくは反発する部分を意味する。 また、本発明のパターン形成体は印刷用途以外に利用することができる。この場合には、パターンは、濡れ性の変化に応じてパターン形成体上に形成された周囲とは特性が異なる領域、およびそれらが他の基材上に転写された転写物である場合も意味する。
本発明の酸化チタンに代表される光触媒による作用機構は、必ずしも明確なものではないが、光の照射によって生成したキャリアが、近傍の化合物との直接反応あるいは酸素、水の存在下で生じた活性酸素種によって、有機物の化学構造に変化を及ぼすものと考えられている。
このような光触媒の作用を用いて、油性汚れを光照射によって分解し、油性汚れを親水化して水によって洗浄可能なものとしたり、ガラス等の表面に親水性膜を形成して防曇性を付与したり、あるいはタイル等の表面に光触媒の含有層を形成して空気中の浮遊菌の数を減少させるいわゆる抗菌タイル等が提案されている。
本発明では、光触媒の作用により濡れ性が変化する物質、光触媒の作用により分解除去される層、光触媒の作用により濡れ性が変化する物質の含有層、あるいは光触媒の作用により分解される物質と結着剤からなる組成物を有する層等を用いてパターン形成部の印刷インクやトナー等との受容性、あるいはパターンが形成されていない部分との撥インク性等を高めることによってパターン形成体を得たものである。
本発明のパターン形成体およびパターン形成方法に使用することができる光触媒としては、光半導体として知られている酸化チタン(TiO2 )、酸化亜鉛(ZnO)、酸化すず(SnO2)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、酸化タングステン(WO3)、酸化ビスマス(Bi23)、酸化鉄(Fe23)のような金属酸化物を挙げることができるが、特に酸化チタンが好ましい。酸化チタンは、バンドギャップエネルギーが高く、化学的に安定であり、毒性もなく、入手も容易である。
酸化チタンとしては、アナターゼ型とルチル型のいずれも使用することができるが、アナターゼ型酸化チタンが好ましい。
アナターゼ型チタンとしては、粒径が小さいものの方が光触媒反応が効率的に起こるので好ましい。平均粒径が50nm以下のものが好ましく、より好ましくは20nm以下のものが好ましい。例えば、塩酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(石原産業製 STS−02、平均結晶子径7nm)、硝酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(日産化学、TA−15、平均結晶子径12nm)を挙げることができる。
本発明の光触媒を含有する層は、光触媒を結着剤中に分散させて形成することができる。光触媒は、結着剤をも光励起により分解するおそれがあるため、結着剤は光触媒の光酸化作用に対する十分な抵抗性を有する必要がある。また、パターン形成体を印刷版として利用することを考慮すると耐刷性、耐摩耗性も要求される。
したがって、結着剤としては、主骨格がシロキサン結合(−Si−O−)を有するシリコーン樹脂を使用することができる。
また、シリコーン樹脂は、ケイ素原子に有機基が結合しており、実施例中において詳述するように、光触媒を光励起すれば、シリコーン分子のケイ素原子に結合した有機基は光触媒作用により酸素含有基に置換されて濡れ性が向上するので、濡れ性が変化する物質としての機能も示す。
シリコーン樹脂としては、一般式YnSiX4-n(n=1〜3)で表されるケイ素化合物の1種または2種以上の加水分解縮合物、共加水分解縮合物を使用することができる。Yは、アルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、あるいはエポキシ基を挙げることができ、Xはハロゲン、メトキシル基、エトキシル基、またはアセチル基を挙げることができる。
具体的には、メチルトリクロルシラン、メチルトリブロムシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリt−ブトキシシラン;エチルトリクロルシラン、エチルトリブロムシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリt−ブトキシシラン;n−プロピルトリクロルシラン、n−プロピルトリブロムシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリイソプロポキシシラン、n−プロピルトリt−ブトキシシラン;n−ヘキシルトリクロルシラン、n−ヘキシルトリブロムシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリイソプロポキシシラン、n−ヘキシルトリt−ブトキシシラン;n−デシルトリクロルシラン、n−デシルトリブロムシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン、n−デシルトリイソプロポキシシラン、n−デシルトリt−ブトキシシラン;n−オクタデシルトリクロルシラン、n−オクタデシルトリブロムシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキシシラン、n−オクタデシルトリイソプロポキシシラン、n−オクタデシルトリt−ブトキシシラン;フェニルトリクロルシラン、フェニルトリブロムシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリt−ブトキシシラン;ジメトキシジエトキシシラン;ジメチルジクロルシラン、ジメチルジブロムシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン;ジフェニルジクロルシラン、ジフェニルジブロムシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン;フェニルメチルジクロルシラン、フェニルメチルジブロムシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン;トリクロルヒドロシラン、トリブロムヒドロシラン、トリメトキシヒドロシラン、トリエトキシヒドロシラン、トリイソプロポキシヒドロシラン、トリt−ブトキシヒドロシラン;ビニルトリクロルシラン、ビニルトリブロムシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリt−ブトキシシラン;γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリt−ブトキシシラン;γ−メタアクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリt−ブトキシシラン;γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−アミノプロピルトリt−ブトキシシラン;γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリt−ブトキシシラン;β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン;及び、それらの部分加水分解物;及びそれらの混合物を使用することができる。
結着剤層としてオルガノアルコキシシランからなるものを用いる場合には、その少なくとも10〜30重量%が2官能性シリコーン前駆体の例えばジアルコキシジメチルシランから構成されるものを用いることがより好ましい。オルガノアルコキシシランをゾルゲル法等に使用する場合には、3官能性シリコーン前駆体であるトリアルコキシメチルシラン等を主成分としたものを用いることによって架橋密度を向上させることができるが、本発明のように濡れ性を相違させる場合には、ジメチルシロキサン成分を多く含んだものの方がメチルシロキサン成分を含んだものよりも、撥油性を向上させることができる。
また、シリコーン分子は、ケイ素原子に結合したオルガノ基としてフルオロアルキル基を含有しても良い。この場合には、未露光部の臨界表面張力が更に低下する。したがって、インキおよび機能性層用組成物と未露光部との反撥性が向上し、インキまたは機能性層用組成物の付着を妨げる機能が増すとともに、インキ、あるいは機能性層用組成物として使用可能な物質の選択肢が増加することとなる。
具体的には、下記のフルオロアルコキシシランの1種または2種以上の加水分解縮合物、共加水分解縮合物から形成される。またフルオロアルキル基を含有する化合物としては、下記の化合物を挙げることができ、一般にフッ素系シランカップリング剤として知られているものを使用しても良い。
CF3(CF23CH2CH2Si(OCH33
CF3(CF25CH2CH2Si(OCH33
CF3(CF27CH2CH2Si(OCH33
CF3(CF29CH2CH2Si(OCH33
(CF32CF(CF24CH2CH2Si(OCH33
(CF32CF(CF26CH2CH2Si(OCH33
(CF32CF(CF28CH2CH2Si(OCH33
CF3(C64)C24Si(OCH33
CF3(CF23(C64)C24Si(OCH33
CF3(CF25(C64)C24Si(OCH33
CF3(CF27(C64)C24Si(OCH33
CF3(CF23CH2CH2SiCH3(OCH32
CF3(CF25CH2CH2SiCH3(OCH32
CF3(CF27CH2CH2SiCH3(OCH32
CF3(CF29CH2CH2SiCH3(OCH32
(CF32CF(CF24CH2CH2SiCH3(OCH32
(CF32CF(CF26CH2CH2SiCH3(OCH32
(CF32CF(CF28CH2CH2SiCH3(OCH32
CF3(C64)C24SiCH3(OCH32
CF3(CF23(C64)C24SiCH3(OCH32
CF3(CF25(C64)C24SiCH3(OCH32
CF3(CF27(C64)C24SiCH3(OCH32
CF3(CF23CH2CH2Si(OCH2CH33
CF3(CF25CH2CH2Si(OCH2CH33
CF3(CF27CH2CH2Si(OCH2CH33
CF3(CF29CH2CH2Si(OCH2CH33
CF3(CF27SO2N(C25)CH2CH2CH2Si(OCH33
更に良好なインキおよび機能性層組成物との反撥性を提供するためには、反応性の線状シリコーン、好ましくはジメチルポリシロキサンを低架橋密度で架橋することにより得られるシリコーンが好ましい。代表的には、以下に示す繰り返し単位を有するものを用いて、架橋反応させたものが好ましい。
Figure 0004413035
ただし、nは2以上の整数である。R1、R2はそれぞれ炭素数1〜10の置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、アリールあるいはシアノアルキル基である。また、R1、R2が、メチル基のものが表面エネルギーが最も小さくなるので好ましく、モル比でメチル基が60%以上であることが好ましい。
また、分子量は、500〜1000000のものが好ましく、分子量が小さいと、相対的にR1、R2の量が少ないので、撥油性等が発揮されにくい。また、分子量が大きすぎると、相対的に、末端のX、Yの割合が少なくなるので、架橋密度が小さくなってしまうという問題点がある。
また、X、Yは、以下の基から選ばれ、XとYは同じでも異なっていても良く、Rは、炭素数が10以下の炭化水素鎖である。
Figure 0004413035
本発明に用いる反応性変性シリコーンは、縮合して架橋を行うもの、架橋剤を用いて架橋を行うもののいずれも用いることができる。架橋反応を縮合によって行う場合には、カルボン酸のすず、亜鉛、鉛、カルシウム、マンガン塩、好ましくはラウリル酸塩や、塩化白金酸を触媒として添加しても良い。
架橋剤を用いて架橋反応をする場合には、架橋剤として一般的に用いられているイソシアネートを挙げることができ、好ましくは以下の化合物を挙げることができる。
Figure 0004413035
また、反応性シリコーン化合物として、水性エマルジョン型のものを用いても良い。水性エマルジョン型の化合物は、水性溶媒を用いるので、取り扱いが容易である。
また、本発明の結着剤として使用する反応性シリコーン化合物とともに、ジメチルポリシロキサンのような架橋反応をしない安定なオルガノシロキサン化合物を混合することによって撥油性を高めても良い。
この場合には、反応性シリコーン化合物を含む組成物から得られた層に含まれるシロキサンの60重量%以上が、反応性シリコーン化合物から得られたものであることが好ましく、60重量%より少ないとジメチルシロキサンが少なくなり撥水性が劣るので好ましくない。
また、結着剤としては、無定形シリカ前駆体を用いることができ、一般式SiX4 で表され、Xはハロゲン、メトキシ基、エトキシ基またはアセチル基等であるケイ素化合物、それらの加水分解物であるシラノール、または平均分子量3000以下のポリシロキサンが好ましい。
具体的には、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラメトキシシラン等が挙げられる。また、この場合には、無定形シリカの前駆体と光触媒の粒子とを非水性溶媒中に均一に分散させ、基材上に空気中の水分により加水分解させてシラノールを形成させた後、常温で脱水縮重合することにより光触媒含有膜を形成できる。シラノールの脱水縮重合を100℃以上で行えば、シラノールの重合度が増し、膜表面の強度を向上できる。また、これらの結着剤は、単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。
また、結着剤を使用せず、酸化チタン単体での成膜も可能である。この場合には、基材上に無定形チタニアを形成し、次いで焼成により結晶性チタニアに相変化させる。無定形チタニアは、例えば四塩化チタン、硫酸チタン等のチタンの無機塩の加水分解、脱水縮合、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラメトキシチタン等の有機チタン化合物を酸存在下において加水分解、脱水縮合によって得ることができる。
次いで、400℃〜500℃における焼成によってアナターゼ型チタニアに変成し、600℃〜700℃の焼成によってルチル型チタニアに変成することがする。
また、オルガノシロキサン、無定形シリカの少なくともいずれかと光触媒とを含む層において、光触媒の量は、5重量%〜60重量%であることが好ましく、20重量%〜40重量%であることがより好ましい。
光触媒、結着剤は、溶剤中に分散して塗布液を調製して塗布することができる。使用することができる溶剤としては、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系の有機溶剤を挙げることができる。
また、チタン系、アルミニウム系、ジルコニウム系、クロム系のカップリング剤も使用することができる。
光触媒を含んだ塗布液は、スプレーコート、ディップコート、ロールコート、ビードコートなどの方法により基材に塗布することができる。また結着剤として紫外線硬化型の成分を含有している場合には、紫外線を照射して硬化処理を行うことにより、基材上に光触媒を含有した組成物の層を形成することができる。
アナターゼ型チタニアは励起波長が380nm以下にあり、このような光触媒の場合には光触媒の励起は紫外線により行うことが必要である。紫外線を発するものとしては水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、エキシマランプ、エキシマレーザー、YAGレーザー、その他の紫外線光源を使用することができ、照度、照射量等を変えることにより、膜表面の濡れ性を変化させることができる。
また、露光をレーザー等の微細なビームで行う場合には、マスクを使用することなく直接に所望のパターンを描画することができるが、その他の光源の場合には、所望のパターンを形成したマスクを使用して光照射してパターンを形成する。パターン形成用のマスクは、蒸着用マスクのように金属板に形成されたもの、ガラス板に金属クロムで形成されたフォトマスク、あるいは印刷用途では、製版用フィルム等を使用することができる。
本発明のパターン形成体は、クロム、白金、パラジウム等の金属イオンのドーピング、蛍光物質の添加、感光性色素の添加によって、可視およびその他の波長に感受性を有するようにすることができる。例えば、シアニン色素、カルボシアニン色素、ジカルボシアニン色素、ヘミシアニン色素等のシアニン色素を挙げることができ、他の有用な色素としては、クリスタルバイオレット、塩基性フクシンなどのトリフェニルメタン色素等のジフェニルメタン色素、ローダミンBの様なキサンテン色素、ビクトリアブルー、ブリリアントグリーン、マラカイトグリーン、メチレンブルー、ピリリウム塩、ベンゾピリリウム塩、トリメチンベンゾピリリウム塩、トリアリルカルボニウム塩等が挙げられる。
本発明のパターン形成体の露光の際にマスクを使用する場合には、マスクを光触媒含有層と密着露光することにより解像度は高くなるが、感度が著しく低下するために、100μm前後の間隔を設けて露光することが好ましい。
また、マスクとパターン形成体との間隙へ空気を吹き付けながら露光することにより、反応が促進されて感度も向上し、更に中心部と周辺部の位置の違いによる不均一を防止することができる。また、パターン形成体を加熱しながら露光することによって感度を上昇することができる。縮小光学系を用いてマスクパターンの画像を縮小する縮小投影露光方法を用いることによって、微細なパターンを形成することもできる。
本発明のパターン形成体に使用することができる基材としては、パターン形成体あるいはパターンが形成された素子の用途に応じて、ガラス、アルミニウム、およびその合金等の金属、プラスチック、織物、不織布等を挙げることができる。 また、本発明のパターン形成体は、光触媒含有層組成物の塗布前に、接着性向上、表面粗度の改善、光触媒の作用による基材の劣化防止、光触媒活性低下防止等を目的として基材上にプライマー層を形成しても良い。プライマー層としては、シロキサン構造を主成分とする樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂等を挙げることができる。
本発明のパターン形成体の一つの実施形態としては、図1(A)に示すように、パターン形成体1は、基材2上に直接に、あるいはプライマー層3を形成した後に光触媒含有組成物層41を形成しても良い。図1(B)に示すようにパターン情報を記録するために、所定のパターン5の露光6を行い、図1(C)に示すように光触媒7の作用によって、シリコーン化合物のアルキル鎖をOH基とし、露光したパターンに応じて疎水性であった表面に親水性部位8を形成し、疎水性部位9との濡れ性の相違によってパターン情報を記録するものである。
また、本発明のパターン形成体の第2の実施形態としては、図2(A)に示すように、基材2上に、プライマー層3を積層し、光触媒を含有する光触媒含有組成物層42を形成し、さらに光触媒含有組成物層上に、光を照射した際に光触媒の作用によって濡れ性が変化する濡れ性変化物質層10を形成したものである。図2(B)に示すように、パターン5を用いて露光6し、図2(C)に示すようにパターンに応じて濡れ性が異なる部位11を形成して、パターン情報を記録するものである。
第2の実施形態の場合には、光触媒含有組成物層は、結着剤の前駆体等に光触媒を分散した組成物を、加水分解あるいは部分加水分解した光触媒組成物層を形成し、次いで、疎水性の有機物からなる薄膜を形成する方法が挙げられ、光触媒単体での成膜も可能である。有機物の薄膜は、溶液の塗布、表面グラフト処理、界面活性剤処理、PVD、CVD等の気相による成膜法を用いることができる。
有機物としては、低分子化合物、高分子化合物、界面活性剤等で、光触媒によって濡れ性が変化するものを用いることができる。
具体的には、光触媒の作用により有機基が水酸基に変化する、シラン化合物で、シランカップリング剤、クロロシラン、アルコキシシラン、あるいはこれらの2種以上の加水分解縮合物、共加水分解縮合物を挙げることができる。
また、第3の実施形態としては、図3(A)に示すように、基材2上に、光触媒含有組成物層43を形成し、さらに光触媒含有組成物層上に、光を照射した際に光触媒の作用によって分解除去される物質層12を形成し、図3(B)に示すようにパターン5を用いて露光6し、図3(C)に示すようにパターンに応じて濡れ性が異なる部位13を形成してパターン情報を記録するものである。
第3の実施形態の場合には、光触媒含有組成物層は、結着剤の前駆体等に光触媒を分散した組成物を加水分解、あるいは部分加水分解した光触媒組成物層を形成し、次いで疎水性の有機物からなる薄膜を形成する方法が挙げられ、光触媒単体での成膜も可能である。有機物の薄膜は、溶液の塗布、表面グラフト処理、界面活性剤処理、PVD、CVD等の気相中での成膜法を用いて形成することができる。
具体的には、日本サーファクタント工業製:NIKKOL BL、BC、BO、BBの各シリーズ等の炭化水素系、デュポン社:ZONYL FSN、FSO、旭硝子:サーフロンS−141、145、大日本インキ:メガファックF−141、144、ネオス:フタージェント F−200、F251、ダイキン工業 ユニダインDS−401、402、スリーエム:フロラードFC−170、176等のフッ素系あるいはシリコーン系の非イオン界面活性剤を挙げることができるが、カチオン系、アニオン系、両性界面活性剤を用いることができる。
また、界面活性剤以外にも、ポリビニルアルコール、不飽和ポリエステル、アクリル樹脂、ポリエチレン、ジアリルフタレート、エチレンプロピレンジエンモノマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ナイロン、ポリエステル、ポリブタジエン、ポリベンズイミダゾール、ポリアクリルニトリル、エピクロルヒドリン、ポリサルファイド、ポリイソプレン等のオリゴマー、ポリマーを挙げることができる。
また、第4の実施形態は、図4(A)に示すように、基材2上に、プライマー層3を形成し、次いで光触媒、結着剤および、光を照射した際に光触媒の作用によって分解する疎水性部分14と親水性部位15からなる光触媒分解性物質16を含有する光触媒含有組成物層44を形成したものである。光触媒含有組成物層に代えて光触媒と光触媒分解性物質のみからなる層を形成しても良い。そして、図4(B)に示すような所定のパターン5で露光6する。その結果、図4(C)に示すように、所定の部分に存在する疎水性部分14と親水性部位15からなる光触媒による分解性物質16を光触媒の作用によって分解し、表面の濡れ性を露光6したパターンに応じて変化した部位17を形成して、パターン情報を記録するものである。
表面の濡れ性を変化させる物質としては、界面活性剤のように、光触媒含有組成物層の濡れ性を、その種類、添加量に応じて任意に設定することが可能な物質を添加することが好ましい。
濡れ性を変化させることができる物質としては、界面活性剤が好ましく、具体的には、日本サーファクタント工業製:NIKKOL BL、BC、BO、BBの各シリーズ等の炭化水素系、デュポン社:ZONYL FSN、FSO、旭硝子:サーフロンS−141、145、大日本インキ:メガファックF−141、144、ネオス:フタージェント F−200、F251、ダイキン工業 ユニダインDS−401、402、スリーエム:フロラードFC−170、176等のフッ素系あるいはシリコーン系の非イオン界面活性剤を挙げることができるが、カチオン系、アニオン系、両性界面活性剤を用いることができる。
また、界面活性剤以外にも、ポリビニルアルコール、不飽和ポリエステル、アクリル樹脂、ポリエチレン、ジアリルフタレート、エチレンプロピレンジエンモノマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ナイロン、ポリエステル、ポリブタジエン、ポリベンズイミダゾール、ポリアクリルニトリル、エピクロルヒドリン、ポリサルファイド、ポリイソプレン等のオリゴマー、ポリマーを挙げることができる。
また、光触媒は5ないし60重量%、無定形シリカ95ないし40重量%、光触媒の作用によって濡れ性が変化する物質は、0.1ないし55重量%の組成物を用いることが好ましい。
本発明のパターン形成体は、組成物中の光触媒の作用によって表面エネルギーが変化し、濡れ性が変化した部位は、印刷インキの受容性が変化しているので、印刷版として使用することができる。
そして、本発明のパターン形成体を印刷版原版とした場合には、湿式現像等の必要がなく、光露光と同時に印刷版の作製が完了するという特徴を有している。また、本発明のパターン形成体へのパターン形成は、製版フィルム等を介して露光を行っても良いし、レーザー等で直接描画を行っても良い。
また、印刷版原版を作製する場合には、オフセット印刷版として一般に用いられているアルミニウムなどの基材を用いることができるが、織布、不織布などからなるスクリーン上に光触媒含有組成物層を塗布し、露光によってパターンを形成しても良い。また、基材がプラスチックなど光触媒の光酸化作用により劣化する怖れのあるものは予め基材上にシリコーン、フッ素樹脂などを被覆して保護層を形成しても良く、基材の形状は、シート状、リボン状、ロール状等の任意の形態のものを用いることができる。
また、組成物中に光によって変色するスピロピラン等のフォトクロミック材料あるいは光触媒の作用により分解される有機色素等を混合することにより、形成されたパターンを可視化しても良い。
また、未露光部を印刷インキ受容性、かつ湿し水反撥性に設計すると通常の湿し水を用いたオフセット印刷版としても使用できる。
本発明のパターン形成体が、パターンが積層された素子に使用される場合には、パターン形成体の表面の濡れ性を調整することにより、様々な基材上に様々な機能性層をパターン状に形成することができる。機能性とは、光学的(光選択吸収、反射性、透光性、偏光性、光選択透過性、非線形光学性、蛍光あるいはリン光等のルミネッセンス、フォトクロミック性等)、磁気的(硬磁性、軟磁性、非磁性、透磁性等)、電気・電子的(導電性、絶縁性、圧電性、焦電性、誘電性等)、化学的(吸着性、脱着性、触媒性、吸水性、吸油性、イオン伝導性、酸化還元性、電気化学特性、エレクトロクロミック性等)、機械的(耐摩擦性等)、熱的(伝熱性、断熱性、赤外線放射性等)、生体機能(生体適合性、抗血栓性等)等の特性を意味する。
機能性素子は、機能性層用組成物をパターン形成体上に塗布することによって作製することができる。機能性層用組成物としては、パターンを形成したパターン形成体の未露光部が撥水あるいは撥油等の反撥性を示し、露光部にのみ濡れる組成物を用いることができる。この場合には、パターン形成体の未露光部は、臨界表面張力が50mN/m以下で、好ましくは30mN/m以下であることが望ましい。好ましい物質としては、シリコーン樹脂、フルオロカーボン基を有するシリコーン樹脂等が挙げられる。また、機能性層用組成物は、パターン形成体の未露光部での臨界表面張力以上の表面張力を示す材料からなることが望ましい。
この場合、機能性層用組成物としては、紫外線硬化型モノマー等に代表される溶剤で希釈していない液状組成物や、溶剤で希釈した液体状組成物などが挙げられる。溶剤で希釈した液体状組成物の場合には、溶剤が水、エチレングリコール等の高表面張力を示すものが好ましい。
また、機能性層用組成物としての粘度が低いほど短時間にパターン形成が可能となる。ただし、溶剤で希釈した液体状組成物の場合には、パターン形成時に溶剤の揮発による粘度の上昇、表面張力の変化が起こるため、溶剤が低揮発性であることが望ましい。
機能性層用組成物は、ディップコート、ロールコート、ブレードコート等の塗布手段、インクジェット等を含むノズル吐出手段、無電解めっき等の手段を用いて形成される。また、機能性層用組成物の結着剤として紫外線、熱、電子線等で硬化する成分を含有している場合には、硬化処理を行うことにより、基体上にパターン形成体を介して様々な機能を有する層をパターン状に形成することができる。
また、全面に機能性層を形成した後、露光部あるいは未露光部と機能性層の界面の接着力差を利用し、例えば粘着テープを密着した後に粘着テープを引き剥がすことによる剥離、空気の吹き付け、溶剤による処理等の後処理によって未露光部上の機能性層を除去し、パターン化することができる。
また、未露光部、露光部はそれぞれ、完全に機能性層を反撥あるいは付着する必要はなく、付着力の違いによって付着量の異なるパターンが形成できる。
また、機能性層は、PVD、CVD等の真空成膜手段を用いても形成される。たとえ、全面に積層された場合にも、露光部あるいは未露光部と機能性層の接着力の違いを利用すれば、例えば粘着テープによる剥離、空気の吹き付け、溶剤処理等の後処理によってパターン化することができる。また、真空成膜手段による場合には、パターン形成体の全面に積層する方法のみではなく、露光部あるいは未露光部との反応性を利用して、露光部あるいは未露光部に選択的に機能性層を形成しても良い。
機能性層用組成物としては、パターン形成体上に層形成することによってのみで、機能性層としての特性を示すものはもちろん、層形成のみでは機能性層としての特性を示さず、層形成の後に薬剤により処理、紫外線、熱等による処理等が必要なものも含む。
次に、本発明のパターン形成体を用いて作製することができる素子について説明する。
液晶表示装置等に用いられるカラーフィルターは、赤、緑、青等の複数の着色画素が形成された高精細なパターンを有しているが、本発明のパターン形成体を適用することによって高精細なカラーフィルターを製造することができる。例えば、透明ガラス基板上に形成された光触媒含有層上に、パターン露光後にカラーフィルター形成用の着色剤含有組成物を塗布すると、露光部の濡れ性の変化によって、露光部のみに着色剤含有組成物が塗布されるので、着色剤含有組成物の使用量を減少させることができる。また、パターン上のみに着色剤含有組成物層が形成されるので、着色剤含有組成物として感光性樹脂組成物を用いるならば、塗布後の光硬化処理のみで、現像等を行うことなく高解像度のカラーフィルターを可能である。
また、マイクロレンズの製造に本発明のパターン形成体を用いることができる。例えば、透明基材上に積層された光触媒含有層上に円形に露光を行い、濡れ性が変化した円形のパターンを形成する。次いで、濡れ性が変化した部位上にレンズ形成用組成物を滴下すると、露光部のみに濡れ広がり、更に滴下することにより、液滴の接触角を変化させることができる。硬化すれば、様々な形状あるいは焦点距離のものが得られるので、高精細なマイクロレンズを得ることが可能である。
また、無電解めっきによる金属膜形成方法に本発明のパターン形成体を用いることによって所望のパターンの金属膜を形成することができる。
例えば、本発明のパターン形成体に光照射によって所定の親水性化したパターンを形成し、次いで、化学めっきの前処理液によって親水性化した部分の処理を行った後に化学めっき液に浸漬して所望の金属をパターンを形成することができる。この方法によれば、レジストパターンを形成することなく、金属のパターンを形成することができるので、プリント基板や電子回路素子等を製造することができる。
また、真空成膜技術を用いた金属等のパターンを形成する方法に本発明のパターン形成体を用いることができる。
例えば、光照射によって接着性の大きなパターンを作製し、次いで真空下で金属成分を加熱して蒸着して、アルミニウムなどの金属成分をパターン形成体の全面に蒸着して、金属の薄膜を形成する。パターンを形成した部分とそうでない部分では金属の薄膜の付着強度に違いが生じるので、薄膜表面に粘着剤を押し当てて剥離する方法、薬剤によって剥離する方法等によってパターン状の金属の薄膜を形成することができる。
粘着剤を用いて剥離する場合には、薄膜表面に、粘着剤を塗布したシートの粘着面を接触した後に、粘着剤を塗布したシートを剥がすと、パターン形成部とパターンを形成していない部分の接着性の相違によってパターン形成部分以外の薄膜は剥離し、金属のパターンが形成できる。この方法によれば、レジストのパターンを形成することなく金属のパターンを形成することが可能であり、印刷法によるよりも高精細なパターンを有する、プリント基板や電子回路素子等を作製することができる。
以下に図面を参照して、本発明の素子の作製方法を説明する。
図9に、本発明の素子の作製方法の一例を説明する図であり、断面を説明する図である。
図9(A)のパターン露光工程において、A1に示すように、基材2上に光触媒含有層4を設けたパターン形成体1に、フォトマスク20を用いて形成すべき素子のパターンに応じた露光6、あるいはA2に示すようにパターン形成体1に紫外線域の波長のレーザ21等を用いて直接に描画して、パターン形成体上の表面に濡れ性が異なる部位13を形成する。
次いで、図9(B)の全面成膜工程で、B1で示すようなブレードコータ22を用いた塗布、あるいはB2に示すようなスピンコータ23を用いた塗布、B3で示す蒸着、CVD等の真空を利用した成膜手段24によって、パターン形成体の全面に機能性層25を形成する。
パターン形成体上に形成された機能性層25は、パターン形成体の露光によって生じた表面エネルギーの違いによって、露光部と未露光部では接着力が相違している。
次いで、図9(C)の剥離工程で、粘着テープ26の粘着面を密着した後に、端部より引き剥がすことによって、未露光部に形成された機能性層を剥がす方法、空気噴射ノズル27から空気を噴射する方法、あるいは剥離用薬剤によって、接着力が小さな部分から機能性層を除去することによって、機能性層28を形成する。
図10は、本発明の素子の作製方法の他の実施例を説明する図であり、断面を説明する図である。
図9と同様に、図10(A)で示すような方法で、パターン形成体1上に、機能性層25を形成する。次いで、図10(B)で示すように、素子形成用基材29を密着する。
次いで、図10(C)に示すように、素子形成用基材29上に機能性層25を転写して機能性層28を有する素子を形成する。
図11は、本発明の素子の作製方法の他の実施例を説明する図であり、断面を説明する図である。
図11(A)で示すように、基材2上に光触媒含有層4を設けたパターン形成体1に、フォトマスク20を用いて形成すべき素子のパターンに応じた露光6を行い濡れ性が変化した部位13を形成する。
次いで、図11(B)に示すように、シート30上に熱溶融性組成物層31を形成した熱転写体32の熱溶融性の組成物層の形成面をパターン形成体の露光面に密着する。
次いで、図11(C)に示すように、熱転写体32のシート側から加熱板33を押し当てる。
次いで、図11(D)に示すように、冷却後に熱転写体32を引き剥がし、最後に図11(E)に示すようなパターン5を形成した。
図12は、本発明の素子の作製方法の他の実施例を説明する図であり、断面を説明する図である。
図12(A)に示すように、パターン形成体1にフォトマスク20を用いて露光をし、露光によって未露光部と濡れ性が変化した部位13を形成した。
図12(B)に示すように、吐出ノズル35から、円形のパターンに向けて紫外線硬化性樹脂組成物36を吐出する。
図12(C)に示すように、未露光部と露光部の濡れ性の相違によって、露光部に吐出した紫外線硬化性樹脂組成物は、界面張力の相違によって盛り上がる。
次いで、図12(D)に示すように、硬化用紫外線37を照射することによってマイクロレンズ38を形成することができる。
以下に、実施例を示し本発明を説明する。
実施例1
グラスカHPC7002(日本合成ゴム)30g、アルキルアルコキシシランであるグラスカHPC402H(日本合成ゴム)10gを混合し、撹拌装置によって5分間撹拌した。この溶液をスピンコーティング法により、面積が7.5cm2のガラスからなる基材に塗布し、150℃の温度で10分間乾燥し、厚さ2μmのナトリウムイオンブロック層を形成した。
次に、グラスカHPC7002(日本合成ゴム)15g、グラスカHPC402H(日本合成ゴム)5g、チタニアゾル(日産化学製 TA−15)を混合した。この溶液をスピンコーティング法により、ナトリウムイオンブロック層を形成した基材上に塗布した。これを150℃の温度で10分間乾燥することにより、加水分解、重縮合反応を進行させ、光触媒がオルガノポリシロキサンによって強固に固定した厚さ3μmの光触媒含有層を有するパターン形成体を作製した。
得られたパターン形成体にキセノンランプを6.6mW/cm2の照度で紫外線照射を行い、水に対する接触角の経時変化を接触角測定器(協和界面科学製CA−Z型)により測定した。結果を図5に示す。図より、接触角が徐々に減少し10°以下となることがわかる。また、格子状のマスクを介して紫外線照射することにより、キセノンランプで6.6mW/cm2の照度で6時間照射し、照射部9°、未照射部102°の濡れ性が異なるパターンの形成を行うことができた。
実施例2
厚さ0.15mmの脱脂したアルミニウム板上に、プライマー層形成用組成物(関西ペイント製 カンコート90T−25−3094)の20重量%ジメチルホルムアミド溶液を塗布し、200℃において1分間乾燥し、3μmのプライマー層を得た。このプライマー層上に実施例1記載の光触媒含有層を形成し、水なし印刷版原版を得た。
次いで、Nd:YAGレーザー(355nm ラムダフィジックStar Line)を用い、記録エネルギーは、300mJ/cm2としてパターン形成を行った。得られた印刷版をオフセット印刷機(アルファー技研製 アルファーニューエース)に取り付け、水なし印刷用インキ(ザ・インクテック製 インクテックウォーターレスS藍)を用いて、5000枚/時の印刷速度でコート紙に印刷を行ったところ2万枚の良好な印刷物が得られた。
また、レーザーに代えて、175線/インチで、2%から98%の網点を有するグラデーションネガフイルムを介してキセノンランプにより露光した点を除いて同様にして印刷を行ったところ良好な印刷物が得られた。
実施例3
シリカゾルであるグラスカHPC7002(日本合成ゴム)3g、アルキルアルコキシシランであるHPC402H(日本合成ゴム)1gを混合し、5分間攪拌した。この溶液をスピンコーティング法により面積が7.5cm2のガラス製の基材に塗布し、膜厚2μmのナトリウムイオンブロック層を形成した。
次にイソプロピルアルコール3g、シリカゾル(日本合成ゴム製 グラスカHPC7002)0.75g、アルキルアルコキシシラン(日本合成ゴム製 グラスカHPC402H)0.25g、フルオロアルコキシシラン(トーケムプロダクツ製 MF−160E:N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−N−エチルパーフルオロオクタンスルホンアミドのイソプロピルエーテル50重量%溶液)0.15gを混合した。得られた分散液を20分間、100℃に保持しながら攪拌した。その後、酸化チタン(石原産業製 酸化チタン塗布用液 ST−K01:固形分濃度10重量%)を2g添加し、さらに30分間攪拌した。
この分散液を先に作製したナトリウムブロック層を形成した基材にスピンコーティング法により塗布した。これを150℃の温度で10分間乾燥することにより、加水分解、重縮合反応を進行させ、光触媒がオルガノポリシロキサンによって強固に固定化された膜厚3μmの光触媒含有層を形成した。得られた光触媒含有層の表面の平均粗さを触針法により測定したところ、Ra=2nmであった。
また、格子状のマスクを介して高圧水銀灯を70mW/cm2の照度で2分間紫外線照射をおこない、水およびn−オクタンに対する接触角を接触角測定器(協和界面科学製CA−Z型)により測定した結果を表4に示す。
実施例4
実施例3と同様の方法でナトリウムイオンブロック層を作製し、次にイソプロピルアルコール3g、オルガノシラン(東芝シリコーン製TSL8113)0.4g、フルオロアルコキシシラン(トーケムプロダクツ製 MF−160E:N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−N−エチルパーフルオロオクタンスルホンアミドのイソプロピルエーテル50重量%溶液)0.15g、酸化チタン(石原産業製 酸化チタン塗布用液 ST−K01:固形分濃度10重量%)を2g添加混合した。得られた分散液を20分間、100℃に保ちながら攪拌した。この分散液をスピンコーティング法によりナトリウムイオンブロック層を形成した基材上に塗布した。これを150℃の温度で10分間乾燥させることにより加水分解、重縮合反応を進行させ、光触媒がオルガノシロキサン中に強固に固定化された厚さ3μmの光触媒含有層を形成することができた。得られた光触媒含有層の表面の平均粗さを、実施例3と同様に、触針法により測定したところ、Ra=2nmであった。また、光触媒含有層上に格子状のマスクを介して高圧水銀灯を70mw/cm2の照度で2分間紫外線照射を行い、水およびn−オクタンに対する接触角を接触角測定器(協和界面科学製 CA−Z型)により測定した結果を表4に示す。
実施例5
ポリカーボネート基材上に、実施例4に記載と同様にスピンコートによって厚さ0.3μmの光触媒含有層を形成し、光触媒含有層上に、50lp/mmの解像度のチャートマスクを介して高圧水銀灯を70mW/cm2の照度で2分間紫外線照射を行った。
得られた光触媒含有層上に、表面張力が既知の種々の液体を滴下して、接触角を接触角測定器(協和界面科学製 CA−Z型)によって測定し、Zismanプロットによって臨界表面張力を求めたところ、未露光部の臨界表面張力は14.6mN/m、露光部では72.3mN/mであった。
次いで、水なし平版インキ(ザ・インクテック製 インクテックウォーターレスS藍)をRIテスター(石川島産業機械製 RI−2型)を用いて、露光済み光触媒含有層上に全面塗布した。図6に示すように、未露光部は、撥油性によりインキがはじき、露光部のみに選択的に塗布され、透明なポリカーボネートの基材2上に光触媒層4を介して50lp/mmの藍色ストライプ状のパターン18が得られた。
実施例6
シリカゾルであるグラスカHPC7002(日本合成ゴム)3g、アルキルアルコキシシランであるHPC402H(日本合成ゴム)1gを混合し、5分間攪拌した。この溶液をスピンコーティング法により厚さ0.15mmの脱脂したアルミニウム板上に塗布し、膜厚2μmのプライマー層を得た。
次いで、このプライマー層上に、実施例3および4記載の光触媒含有層を形成し、水なし印刷版原版を得た。
次いで、Nd:YAGレーザー(355nm ラムダフィジックStar Line)を用い、記録エネルギーは、200mJ/cm2としてパターン形成を行った。得られた印刷版をオフセット印刷基(アルファー技研製 アルファーニューエース)に取り付け、水なし印刷用インキ(ザ・インクテック製 インクテックウォーターレスS藍)を用いて、5000枚/時の印刷速度でコート紙に印刷を行ったところ2万枚の良好な印刷物が得られた。
また、レーザーに代えて、175線/インチで、2%から98%の網点を有するグラデーションネガパターンを介して高圧水銀灯を70mW/cm2の照度で2分間紫外線照射を行って同様に印刷特性を評価したところ良好な印刷物が得られた。
実施例7
実施例3と同様の方法でナトリウムイオンブロック層を作製し、次にイソプロピルアルコール3g、オルガノシラン(東芝シリコーン製TSL8113)2.2g、フルオロアルコキシシラン(トーケムプロダクツ製 MF−160E:N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−N−エチルパーフルオロオクタンスルホンアミドのイソプロピルエーテル50重量%溶液)0.15g、酸化チタン粉末(石原産業製 ST−21 平均粒径20nm)0.2gを混合した。得られた分散液を20分間、100℃に保ちながら攪拌した。この分散液をスピンコーティング法によりナトリウムイオンブロック層を形成した基材上に塗布した。これを150℃の温度で10分間乾燥させることにより加水分解、重縮合反応を進行させ、光触媒がオルガノシロキサン中に強固に固定化された厚さ3μmの光触媒含有層を形成することができた。得られた光触媒含有層の表面の平均粗さを、触針法により測定したところ、Ra=4nmであった。また、光触媒含有層上に格子状のマスクを介して、高圧水銀灯を70mW/cm2の照度で5分間紫外線照射を行い、水およびn−オクタンに対する接触角を接触角測定器(協和界面科学製 CA−Z型)により測定した結果を表4に示す。
実施例8
実施例7に記載の方法で作製した厚さ0.3μmの光触媒含有層に、大きさが150×300μmの遮光層が30μm間隔で配置されたマスクを介して高圧水銀灯を70mW/cm2の照度で5分間紫外線照射を行った。
得られた光触媒含有層上に、表面張力が既知の種々の液体を滴下して、接触角を接触角測定器(協和界面科学製 CA−Z型)によって測定し、Zismanプロットによって臨界界面張力を求めたところ、未露光部の臨界表面張力は15.4mN/m、露光部では73.3mN/mであった。
次いで、カーボンブラック(三菱化学製 #950)4g、ポリビニルアルコール(日本合成化学製 ゴーセノール AH−26)0.7g、水95.3gを混合し、加熱溶解して、12000rpmで遠心分離して1μmのガラス製フィルタで濾過し、遮光性組成物を得た。
得られた遮光性組成物の表面張力を表面張力計(協和界面科学製 PD−Z型)で測定したところ、37.5mN/mであった。
これをブレードコーターによって、ブレード間隙40μm、速度0.6m/分で露光済み光触媒層上に全面塗布した。図7に示すように、未露光部は遮光性組成物をはじき、露光部のみに選択的に塗布され、100℃で30分間加熱することにより、ガラスからなる基材2上に光触媒層4を介して格子状の遮光性パターン19が得られた。
実施例9
実施例3と同様の方法でナトリウムイオンブロック層を作製し、次にイソプロピルアルコール3g、オルガノシラン(東芝シリコーン製TSL8113)2.2g、フルオロアルコキシシラン(トーケムプロダクツ製 MF−160E:N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−N−エチルパーフルオロオクタンスルホンアミドのイソプロピルエーテル50重量%溶液)0.15g、酸化チタン粉末(石原産業製 ST−21 平均粒径20nm)0.2gを混合した。得られた分散液を20分間、100℃に保ちながら撹拌した。この分散液をスピンコーティング法によりナトリウムイオンブロック層を形成した基体上に塗布した。これを150℃の温度で10分間乾燥させることにより加水分解、重縮合反応を進行させ、光触媒がオルガノシロキサン中に強固に固定化された厚さ3μmの光触媒含有層を形成することができた。得られた光触媒含有層の表面の平均粗さを、実施例1と同様に、触針法により測定したところ、Ra=4nmであった。また、光触媒含有層上に格子状のマスクを介して、高圧水銀灯を70mW/cm2の照度で5分間紫外線照射を行い、水およびn−オクタンに対する接触角を接触角測定器(協和界面科学製 CA−Z型)により測定した結果を表4に示す。
実施例10
実施例3と同様の方法でガラス基材上にナトリウムイオンブロック層を形成した。次いで、実施例9と同様の方法で光触媒含有層を形成し、実施例9と同様の方法で露光を行った。
未露光部および露光部をX線光電子分光装置(V.G.Sientific社ESCALAB220−I−XL)によって元素分析を行った。シャリーのバックグラウンド補正、スコフィールドの相対感度係数補正により定量計算を行い、得られた結果をSiを100とした場合の重量による相対値で表1に示す。
Figure 0004413035
露光により、炭素およびフッ素量の割合が減少し、酸素の割合が増加することを示しており、実施例9の結果から、水に対する接触角が減少していることを考慮すれば、露光の結果、ケイ素原子に結合していたメチル基、フルオロアルキル基等の有機基が、水酸基等の酸素含有基に置換されたものと考えられる。
実施例11
実施例3と同様の方法でナトリウムイオンブロック層を作製し、次にイソプロピルアルコール3g、オルガノシラン(東芝シリコーン製TSL8113)0.4g、フルオロアルコキシシラン(トーケムプロダクツ製 MF−160E:N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−N−エチルパーフルオロオクタンスルホンアミドのイソプロピルエーテル50重量%溶液)0.75g、酸化チタン(石原産業製 酸化チタン塗布用液 ST−K01:固形分濃度10重量%)2gを混合した。得られた分散液を60分間、100℃に保ちながら攪拌した。この分散液をスピンコーティング法によりナトリウムイオンブロック層を形成した基体上に塗布した。これを150℃の温度で10分間乾燥させることにより加水分解、重縮合反応を進行させ、光触媒がオルガノシロキサン中に強固に固定化された厚さ3μmの光触媒含有層を形成することができた。また、光触媒含有層上に格子状のマスクを介して高圧水銀灯を70mW/cm2の照度で10分間紫外線照射を行い、水およびn−オクタンに対する接触角を接触角測定器(協和界面科学製 CA−Z型)により測定した結果を表4に示す。
実施例12
実施例4と同様の方法で、厚さ0.3μmの光触媒含有層を形成した。100μmのピッチの遮光層を有するマスクを介して、高圧水銀灯を70mW/cm2の照度で2分間紫外線照射を行った。カラーフィルターの着色画素形成用の感光性樹脂組成物をディスペンサー(EFD社製 1500XL)によって滴下すると露光部に濡れ広がり、画素を形成することができた。
実施例13
イソプロピルアルコール3g、オルガノシラン(東芝シリコーン製TSL8113)0.3g、フルオロアルコキシシラン(トーケムプロダクツ製 MF−160E:N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−N−エチルパーフルオロオクタンスルホンアミドのイソプロピルエーテル50重量%溶液)0.45g、酸化チタン(石原産業製 酸化チタン塗布用液 ST−K01:固形分濃度10重量%)2gを混合した。得られた分散液を20分間、100℃に保ちながら攪拌した。この分散液をスピンコーティング法により厚さ0.3mmのアルミニウム基材上に塗布した。これを150℃の温度で10分間乾燥させることにより加水分解、重縮合反応を進行させ、光触媒がオルガノシロキサン中に強固に固定化された厚さ0.5μmの光触媒含有層を形成した。
得られたパターン形成体を熱板上で種々の温度に加熱した状態で、超高圧水銀灯(ウシオ電機製 UXM−3500、ML−40D型ランプハウス)から、熱線を取り除いて、241nm〜271nmの紫外光のみを、8.1mW/cm2の強度で300秒間照射し、水に対する接触角を接触角測定器(協和界面科学製 CA−Z型)により測定した結果を表2に示すように、加熱によって光触媒反応が促進されることを示している。
Figure 0004413035
実施例14
実施例3と同様の方法で、縦10cm、横10cmの石英ガラス上に、光触媒含有層を形成した。光透過部の大きさが150μm×300μmで、30μmの間隔に配置されたネガ型のフォトマスクを、パターン形成体上に、密着および100μmの間隙を設けて配置して高圧水銀灯で、320nm〜390nmの紫外光を70mW/cm2の照度で2分間照射した後に、水に対する接触角を接触角測定器(協和界面科学製 CA−Z型)により測定し、結果を表3に示す。
Figure 0004413035
実施例15
実施例14と同様に100μmの間隙を設けるとともに、パターン形成体の露光面上に空気を吹き付けた状態で同様に露光すると、露光部は70秒間で、水の接触角が5°以下となった。
実施例16
縦10cm、横10cm、厚さ0.1cmのガラス基材上に、実施例10と同様に、プライマー層、光触媒含有層を形成した。縦、横が100μmの遮光部を20μmの間隔で形成したフォトマスクを介して、高圧水銀灯から、320nm〜390nmの紫外光を70mW/cm2の照度で7分間照射した。
次いで、厚さ10μmのポリエステルフィルム上に、熱溶融性インキ層として、以下の組成
カーボンブラック(三菱化学工業製 #25) :20重量部
エチレン−酢酸ビニル共重合体(三井デュポンポリケミカル製):10重量部
カルナバワックス :10重量部
パラフィンワックス(日本精蝋製 HNP−11) :60重量部
からなる熱溶融性インキ組成物層を形成したインキリボンをパターン露光した光触媒含有層上に密着させて、90℃に加熱した後に、150mm/秒の速度で、70度の角度でインキリボンを引き剥がした。
パターン形成体の未露光部にはインキは付着せず、露光部のみにインキが転写され、遮光性のパターンを形成することができた。
実施例17
縦10cm、横10cm、厚さ0.1cmのガラス基材上に、実施例10と同様に、プライマー層、光触媒含有層を形成したパターン形成体を作製した。得られたパターン形成体に5μmの幅の線を線幅と同じ間隔を設けて形成したフォトマスクを介して、高圧水銀灯から、320〜390nmの紫外光を70mW/cm2の照度で7分間照射した。
次いで、光照射したパターン形成体を化学めっき用のセンシタイザー液(上村工業製 ガラス・セラミック用S−10X)を希釈した12.5ml/lの濃度の液に25℃において20秒間揺動しながら浸漬した後に、水洗後、還元触媒付与液(上村工業製 パラジウムコロイド触媒 A−10X)を希釈した12.5ml/lの濃度の液に25℃において20秒間揺動しながら浸漬した後に、80℃の無電解ニッケルめっき液(上村工業製 ニムデンLPX)に1時間揺動浸漬処理することによって、露光部に膜厚0.5μmのニッケル層を形成することができた。
更に、90℃の無電解金めっき浴(上村工業製 ELGB511)に、5分間揺動しながら浸漬して、ニッケルパターン上に厚さ0.1μmの金層を形成し、更に60℃の厚付用無電解金めっき浴(上村工業製 GOBEL2M)に1時間揺動しながら浸漬して、膜厚2μmの金を形成した。
実施例18
縦10cm、横10cm、厚さ0.1cmの石英ガラス基材上に、実施例4と同様の組成物をスピンコートして膜厚0.4μmの光触媒層を形成した。次いで、開口部が23μm×12μmの長方形のパターンを形成したフォトマスクを介して水銀ランプにより70mW/cm2の照度で90秒間露光し、光触媒含有層上に表面エネルギーの高い長方形のパターンが形成された透明基材を得た。
次いで、得られた透明基材の全面に真空度1×10-5Torr、蒸着速度1nm/秒の速度で以下の化学構造式を有するペリレン系顔料の薄膜を真空蒸着した。次いで、薄膜の表面をアセトンにて洗浄したところ、露光部と未露光部の接着性の違いにより、未露光部のみ蒸着膜が剥離し、23μm×12μmの長方形の赤色顔料の長方形のパターンを形成することができた。
Figure 0004413035
実施例19
厚さ100μmのポリイミドフィルム上に、実施例4と同様の組成物をスピンコートして膜厚0.4μmの光触媒含有層を形成した。これに、幅50μmで描画された回路パターンを有するネガ型フォトマスクを介して、水銀ランプにより70mW/cm2の照度で90秒間露光し、光触媒含有層上に表面エネルギーの高い部分が形成された透明基材を得た。
次いで、得られた透明基材の全面に真空度1×10-5Torr、蒸着速度4nm/秒の速度でアルミニウムを真空蒸着した。次いで、アルミニウム薄膜の表面を、セロハン粘着テープ(セキスイ製JIS Z 1522)によって135度、300mm/秒の速度で引き剥がしたところ、露光部と未露光部のアルミニウム薄膜の接着性の違いにより露光部と未露光部のアルミニウム薄膜と透明基材との接着性の違いにより、未露光部のみ蒸着膜が剥離し、幅50μm、膜厚0.1μmの幅の回路の形成された回路パターンを得ることができた。
実施例20
石英ガラス上に、実施例4と同様の組成物をスピンコートして膜厚0.3μmの光触媒含有層を形成した。光触媒含有層上に開口部直径5mmのマスクを介して、水銀ランプにより70mW/cm2の照度で2分間紫外線照射を行った。
得られた光触媒含有層上に、表面張力が既知の種々の液体を滴下して、接触角を接触角測定器(協和界面科学製CA−Z型)によって測定して、Zismanプロットによって臨界表面張力を求めたところ、未露光部の臨界界面張力は、14.6mN/m、露光部では72.3mN/mであった。
次いで、紫外線硬化型モノマー(荒川工業製 ビームセット770)100重量部、硬化開始剤(チバスペシャリティケミカルズ製イルガキュア1700)5重量部を混合した組成物を作製した。
得られた紫外線硬化型モノマー組成物の表面張力を表面張力計(協和界面科学製 PD−Z型)によって測定したところ、35mN/mであった。また、粘度を粘度計(秩父小野田製 CJV5000)にて測定したところ、4.3mPa・秒であった。この紫外線硬化型モノマーを、露光済みの光触媒含有層上にスピンコートによって全面塗布した。
未露光部は、紫外線硬化型モノマー組成物を反撥し、露光部のみに選択的に塗布された。次いで、高圧水銀灯により70mW/cm2の照度で3分間紫外線照射したところ、紫外線で硬化した樹脂の直径5mmの円形パターンが得られた。
比較例1
市販のオフセット印刷用原版でサーマルプレートPearl dry(Presstek製)を用いて実施例3と同様に特性を評価をし、その結果を表4に示す。
比較例2
市販のオフセット印刷用原版で水なしオフセット版 HGII(東レ製)を用いて実施例3と同様に特性を評価をし、その結果を表4に示す。
比較例3
フルオロアルキルシランを用いなかった点を除き実施例4と同様の方法で光触媒含有層を形成し、実施例4と同様にして光触媒含有層の特性を評価し、その結果を表4に示す。
比較例4
実施例3と同様の方法でナトリウムイオンブロック層を作製し、次にイソプロピルアルコール3g、オルガノシラン(東芝シリコーン製TSL8113)2.2g、フルオロアルコキシシラン(トーケムプロダクツ製 MF−160E:N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−N−エチルパーフルオロオクタンスルホンアミドのイソプロピルエーテル50重量%溶液)0.15g、酸化チタン粉末(石原産業製 ST−41 平均粒径50nm)0.2gを混合した。得られた分散液を20分間、100℃に保ちながら攪拌した。この分散液をスピンコーティング法によりナトリウムイオンブロック層を形成した基体上に塗布した。これを150℃の温度で10分間乾燥させることにより加水分解、重縮合反応を進行させ、光触媒がオルガノシロキサン中に強固に固定化された厚さ3μmの光触媒含有層を形成することができた。得られた光触媒含有層の表面の平均粗さを、実施例1と同様に、触針法により測定したところ、Ra=30mであった。また、光触媒含有層上に格子状のマスクを介して高圧水銀灯を70mW/cm2の照度で5分間紫外線照射を行い、水およびn−オクタンに対する接触角を接触角測定器(協和界面科学製 CA−Z型)により測定した結果を表4に示す。
Figure 0004413035
実施例21
厚さ0.15mmの脱脂したアルミニウム板上に、プライマー層形成用組成物(関西ペイント製 カンコート90T−25−3094)の20重量%ジメチルホルムアミド溶液を塗布し、200℃において1分間乾燥し、3μmのプライマー層を得た。
次いで、イソプロピルアルコール3g、オルガノシラン(東芝シリコーン製TSL8113)4.2g、酸化チタン粉末(石原産業製 ST−01 平均粒径7nm)0.2gを混合した。得られた分散液を60分間、100℃に保ちながら攪拌した。この分散液をスピンコーティング法によりプライマー層を形成した基体上に塗布した。これを150℃の温度で5分間乾燥させることにより加水分解、重縮合反応を進行させ、膜形成を行った。
次いで、高圧水銀灯を70mW/cm2の照度で10分間紫外線照射を行い、水およびn−オクタンに対する接触角を接触角測定器(協和界面科学製 CA−Z型)により測定した結果を表5に示す。
Figure 0004413035
また、この水あり平版印刷版原版に175線/インチで2%から98%の網点を有するグラデーションポジマスクを介して上記水銀ランプにより露光し、パターンを形成した。
次いで、得られた印刷版をオフセット印刷機(アルファー技研製 アルファーニューエース)に取り付け、印刷インキ(ザ・インクテック製 エイクロス紅)および湿し水(日研化学製 クリーンエッチ液20倍水希釈)を用いて5000枚/時の印刷速度で、コート紙に印刷を行ったところ2万枚の良好な印刷物が得られた。
実施例22
テトラエトキシシランSi(OC254の2.7g、エタノール38.7g、2N塩酸4.5gを混合し、10分間撹拌した。この溶液をスピンコーティング法により、基材に塗布し、80℃の温度で30分間乾燥し、厚さ0.2μmのナトリウムイオンブロック層を形成した。
テトラエトキシシランSi(OC254 0.62g、チタニアゾル(日産化学製 TA−15)0.96g、エタノール26.89g、純水0.32gを混合し、10分間撹拌した。この分散液をスピンコーティング法により、ナトリウムイオンブロック層を形成した基材上に塗布した。これを150℃の温度で30分間乾燥することにより、加水分解、重縮合反応を進行させ、高表面エネルギーであり、光触媒がシリカ中に強固に固定された厚さ0.2μmの光触媒含有組成物層を作製し、試料1とした。
次に、オリーブ油をシクロヘキサノンに溶解した5重量%の濃度の溶液をスピンコーティング法により試料1の光触媒含有組成物層上に、塗布量が1g/m2となるように塗布し、80℃の温度で10分間乾燥し、低表面エネルギーの有機物層を作製し、試料2とした。
得られた試料1および試料2に水銀灯を230mW/cm2の照度で5分間紫外線照射を行い、水に対する接触角を接触角測定器(協和界面科学製 CA−Z型)により測定した。結果を表6に示す。試料2の有機物層が光触媒作用により、分解除去され、有機物の塗布前の試料1の状態に戻ることがわかり、親水性を有する層を形成した試料1については、光照射の前後において、ほとんど濡れ性には変化しなかった。
Figure 0004413035
また、試料1表面上にポリビニルアルコール(日本合成化学製 ゴーセノールAH−26)2重量%水溶液を厚さ0.2μmでスピンコーターにより塗布後、80℃で45分間加熱し膜形成を行った。次いで、水銀灯により230mW/cm2 の照度で8分間紫外線照射を行い、水の接触角を接触角測定器(協和界面科学製 CA−Z型)により測定したところ、露光前は62°、露光後は5°以下であった。
実施例23
両末端水酸基ポリジメチルシロキサン(重合度700)94.99重量%、メチルトリアセトキシシラン5重量%、ジブチル錫ジラウリルレート0.01重量%をアイソパーE(エクソン社製)に溶解した5重量%の濃度の溶液をスピンコーティング法により実施例22に記載の試料1上に膜厚0.2μmとなるように塗布し、100℃の温度で10分間乾燥し膜形成した。
次いで、水銀灯で50mW/cm2の照度で1分間照射したところ、水の接触角にして130°から5°以下に濡れ性が変化した。
厚さ0.15mmの脱脂したアルミニウム板上に、プライマー層形成用組成物(関西ペイント製 カンコート90T−25−3094)の20重量%ジメチルホルムアミド溶液を塗布し、200℃において1分間乾燥し、3μmのプライマー層を得た。
次いで、このプライマー層の上に、実施例22記載の光触媒含有層および濡れ性の変化する物質層を形成し、水なし印刷版原版を得た。
次いで、Nd:YAGレーザー(355nm ラムダフィジックStar Line)を用い、記録エネルギーは、200mJ/cm2としてパターン形成を行った。得られた印刷版をオフセット印刷機(アルファー技研製 アルファーニューエース)に取り付け、水なし印刷用インキ(ザ・インクテック製 インクテックウォーターレスS黄)を用いて、5000枚/時の印刷速度でコート紙に印刷を行ったところ2万枚の良好な印刷物が得られた。
実施例24
縦10cm、横10cm、厚さ0.1cmのソーダライムガラス基材上に、実施例22と同様のナトリウムブロック層を形成した。得られた層上に、テトラエトキシチタン(Ti(OC254)1g、エタノール9g、塩酸0.1gを混合した溶液をスピンコーティングによって塗布した。
次いで、150℃で10分間の加熱を行い、厚さ0.1μmの無定形チタニア層を形成した。無定形チタニア層を400℃で10分間の加熱を行って、アナターゼ型チタニア層に相変化させた。
次いで、チタニア層上に実施例23と同様の濡れ性が変化する層を形成し、50lp/mmの解像度のチャートマスクを介して水銀灯で50mW/cm2の照度で2分間照射した。
次いで、水なし印刷用インキ(ザ・インクテック製 インクテックウォーターレスS黄)を、RIテスター(石川島産業機械製 RI−2型)を用いて、得られた露光済みパターン形成体上に全面塗布した。その結果、未露光部は撥油性によりインキをはじき、露光部のみに選択的に塗布されたた黄色のパターンが得られた。
実施例25
実施例1と同様の方法でナトリウムイオンブロック層を有するガラス基材を作製した。次に、界面活性剤(日本サーファクタント工業製 BL−2)0.14g、テトラエトキシシランSi(OC254 0.62g、チタニアゾル(日産化学製 TA−15)0.96g、エタノール26.89g、水0.32gを混合し、10分間攪拌した。この分散液をスピンコーティング法により、厚さ0.2μmのナトリウムイオンブロック層を有する基材上に塗布した。
次いで、150℃の温度で30分間乾燥することにより、加水分解、重縮合反応を進行させ、光触媒および界面活性剤がシリカ中に強固に固定された厚さ0.2μmの光触媒含有組成物層を作製した。得られた試料に、キセノンランプを3mW/cm2の照度で紫外線照射を行い、水に対する接触角の経時変化を接触角測定器(協和界面科学製 CA−Z型)により測定した。結果を図8に示す。図より、照射前63°であった接触角が照射時間とともに減少し、約80分間で6°まで下がることが確認された。
実施例26
シリカゾルであるグラスカHPC7002(日本合成ゴム)3g、アルキルアルコキシシランであるHPC402H(日本合成ゴム)1gを混合し、5分間攪拌した。この溶液をスピンコーティング法により厚さ0.15mmのアルミニウム製の基材に塗布し、膜厚2μmプライマー層を形成した。
次いで、プライマー層上に実施例23記載の光触媒含有層を形成し、印刷版原版を得た。
得られた印刷版原版を水あり平版印刷版原版として、175線/インチで2%から98%の網点を有するグラデーションポジフイルムを介して上記キセノンランプにより露光し、パターンの形成をした。
次いで得られた印刷版をオフセット印刷機(アルファー技研製 アルファーニューエース)に取り付け、オフセット印刷用インキ(ザ・インクテック製 エイクロス紅)および湿し水を用いて、5000枚/時の印刷速度でコート紙に印刷を行ったところ2万枚の良好な印刷物が得られた。
実施例27
石英ガラス製の透明基材上に、実施例4と同様の組成物をスピンコーティングによって膜厚0.4μmの光触媒含有層を形成した。次いで、開口部直径9mmの円形パターンを有するマスクを介して水銀灯により70mW/cm2の照度で90秒間露光し、表面に濡れ性の高い円形パターンが施された透明基材を得た。
水溶性紫外線硬化性エステルアクリレート樹脂(荒川工業製 AQ−7)1000g、硬化開始剤(チバスペシャリティケミカルズ製イルガキュア184)50g、水25gを混合し、3分間攪拌した。得られた混合液をマイクロシリンジにて、透明基材上に形成された濡れ性の異なる円形パターンの中心に30μlを滴下した。
次いで、水銀灯により70mW/cm2の照度で10秒間照射して、直径9mm、焦点距離45mmのレンズを作製した。
実施例28
石英ガラス製の透明基材上に、実施例4と同様の組成物をスピンコーティングによって膜厚0.4μmの光触媒含有層を形成した。次いで、開口部直径1mmの円形パターンを有するマスクを介して水銀灯により70mW/cm2の照度で90秒間露光し、表面に濡れ性の高い円形パターンが施された透明基材を得た。
水溶性紫外線硬化性エステルアクリレート樹脂(荒川工業製 AQ−7)1000g、硬化開始剤(チバスペシャリティケミカルズ製イルガキュア184)50g、水125gを混合し、3分間攪拌した。得られた混合液をスピンコーティングによって、透明基材上に形成された濡れ性の異なる円形パターン上に膜厚20μmの厚さで塗布したところ、円形部分のみに混合液が付着した。次いで、水銀灯により70mW/cm2の照度で3秒間照射して、直径1mm、焦点距離2.5mmのレンズを作製した。
実施例29
厚さ0.23mmの脱脂したアルミニウム板をプライマー(関西ペイント製 金属用プライマー塗料 カンコート90T−25−3094)20重量%ジメチルホルムアミド溶液を塗布し、200℃で1分間乾燥し、3μmのプライマー層を形成した。
次いで、このプライマー層の上に、両末端OH変性ポリジメチルシロキサン(信越化学製 X−22−160AS 官能基当量112)9g、架橋剤(ポリイソシアネート 日本ポリウレタン製 コロネートL)1g、ジラウリル酸ブチル錫0.05g、酸化チタン粉末(石原産業 ST−01 粒径7nm)1g、1,4−ジオキサン5g、イソプロパノール5gからなる組成物を塗布し、120℃で2分間乾燥し、厚さ1μmの光触媒含有層を形成し、印刷版原版を得た。得られた光触媒含有層の表面の平均粗さを触針法により測定したところ、Ra=2nmであった。
次いで、248nmのエキシマーレーザを200mJ/cm2の強度で照射し、パターンを形成し、光触媒反応を起こした。
この照射部に水及びn−オクタンに対する接触角を接触角測定器(協和界面科学製CA−Z型)により測定したところ濡れ性の差違を確認することができた。その測定結果を表7に示す。
実施例30
実施例29で作製した印刷版をオフセット印刷機(小森スプリント4色機)に取りつけ、印刷インキ(大日本インキ化学工業製ドライオカラー藍インキ)を用いてコート紙に印刷を行ったところ良好な印刷物が得られた。
実施例31
実施例29と同様の方法で、厚さ0.23mmのアルミニウム基板上に、プライマー層を形成し、次いで、このプライマー層の上に、両末端OH変性ポリジメチルシロキサン(信越化学製 X−22−160AS)8g、ポリジメチルシロキサン(信越化学製 KF96)1g、架橋剤(ポリイソシアネート 日本ポリウレタン製 コロネートL)1g、ジラウリン酸ジブチル錫0.05g、酸化チタン粉末(石原産業 ST−01 粒径7nm)1g、トルエン5g、イソプロパノール5gからなる組成物を塗布し、150℃で2分間乾燥し、厚さ1μmの光触媒含有層を形成し、印刷版原版を得た。
得られた光触媒含有層の表面の平均粗さを触針法により測定したところ、Raは2nmであった。
次いで、248nmのエキシマーレーザを200mJ/cm2の強度で照射し、パターンを形成し、光触媒反応を起こした。
光照射部の水及びn−オクタンに対する接触角を接触角測定器(協和界面科学製CA−Z型)により測定したところ濡れ性の差違を確認することができた。その測定結果を表7に示す。
また、実施例30と同様に、印刷版をオフセット印刷機(小森スプリント4色機)に取りつけ、印刷インキ(大日本インキ化学工業製ドライオカラー藍インキ)を用いてコート紙に印刷を行ったところ良好な印刷物が得られた。
実施例32
シリカゾル(日本合成ゴム製 グラスカHPC7002)3g、アルキルアルコキシシラン(日本合成ゴム製 HPC402H)1gを混合し、5分間撹拌した。この溶液をスピンコーティング法により面積が7.5cm2のガラス製の基材に塗布し、膜厚2μmのナトリウムイオンブロック層を形成した。
次にイソプロピルアルコール3g、シリカゾル(日本合成ゴム製 グラスカHPC7002)0.75g、アルキルアルコキシシラン(日本合成ゴム製 グラスカHPC402H)0.25g、フルオロアルコキシシラン(トーケムプロダクツ製 MF−160E:N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−N−エチルパーフルオロオクタンスルホンアミドのイソプロピルエーテル50重量%溶液)0.15gを混合した。得られた分散液を20分間、100℃に保持しながら撹拌した。その後、酸化チタン(石原産業製 酸化チタン塗布用液 ST−K01:固形分濃度10重量%)を2g添加し、さらに30分間撹拌した。
この分散液を先に作製したナトリウムブロック層を形成した基材上にスピンコーティング法により塗布した。これを150℃の温度で10分間乾燥することにより、加水分解、重縮合反応を進行させ、光触媒がオルガノポリシロキサンによって強固に固定化された膜厚3μmの光触媒含有層を形成した。
次いで、光触媒含有層上に、両末端OH変性ポリジメチルシロキサン(信越化学製 X−22−160AS)1g、シリカゾル(日本合成ゴム製 グラスカHPC7002)2g、アルキルアルコキシシラン(日本合成ゴム製 HPC402H)1gを混合し5分間攪拌した分散液を塗布し、これを150℃の温度で20分間乾燥し、乾燥膜厚が0.5μmのパターン形成体を得た。
得られたパターン形成体の表面の平均粗さを触針法により測定したところ、Ra=2nmであった。
次いで、365nmのYAGレーザを200mJ/cm2の強度で照射し、パターンを形成し、光触媒反応を起こした。
光照射部の水及びn−オクタンに対する接触角を接触角測定器(協和界面科学製CA−Z型)により測定し、測定結果を表7に示す。
また、実施例27と同様に、印刷用原版をオフセット印刷機(小森スプリント4色機)に取りつけ、印刷インキ(大日本インキ化学工業製ドライオカラー藍インキ)を用いてコート紙に印刷を行ったところ良好な印刷物が得られた。
実施例33
実施例29と同様の方法で、厚さ0.23mmのアルミニウム基板上に、プライマー層を形成し、このプライマー層の上に、エマルジョン型の付加反応型ポリジメチルシロキサン(信越化学製 KM−768 有効成分30%)0.76g、水1.34g、酸化チタンゾル(石原産業 STS−01 粒径7nm)1g、付加反応型用触媒(PM−6A)0.008g、付加反応型用触媒(PM−6B)0.012gを混合して、塗布後160℃で1分間乾燥し、厚さ1μmの光触媒含有層を得た。
また、マスクを密着させ高圧水銀灯を70mw/cm2の照度で10分間紫外線照射をおこない、光触媒反応をさせた後に、水およびn−オクタンに対する接触角を接触角測定器(協和界面科学製CA−Z型)により測定した結果を表7に示す。
実施例34
厚さ0.23mmの脱脂したアルミニウム板上にプライマー(関西ペイント製金属用プライマー塗料 カンコート90T−25−3094)20重量%ジメチルホルムアミド溶液を塗布し、200℃で1分間乾燥し、3μmのプライマー層を形成した。
シリカゾル(日本合成ゴム製 グラスカHPC7002)3g、アルキルアルコキシシラン(日本合成ゴム製 HPC402H)1gを混合し、攪拌機により5分間攪拌した。先に形成したプライマー層上にこの溶液をブレードコーターで塗布し、100℃で10分間乾燥を行った。
次にイソプロピルアルコール3g、シリカゾル(日本合成ゴム製 グラスカHPC7002 固形分12%)0.75g、アルキルアルコキシシラン(日本合成ゴム製 HPC402H 固形分50%)0.25g、フルオロアルコキシシラン(トーケムプロダクツ製 MF−160E:N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−N−エチルパーフルオロオクタンスルホンアミドのイソプロピルエーテル50重量%溶液)0.15g、ジメトキシジメチルシラン(東芝シリコーン製 TSL8112)0.15gを混合した。この溶液を20分、100℃に保ちながら攪件した。その後、酸化チタン塗布溶液(石原産業製 ST−K01:固形分濃度10%)2gを添加し、更に30分間攪拌し、得られた分散液をスピンコーティングにより塗布した。
次いで、150℃で10分間乾燥することにより、加水分解、重縮合反応を進行させ、光触媒がオルガノポリシロキサンによって強固に固定化された膜厚3μmの層を形成してパターン形成体を得た。
形成された層中のジメチルシロキサン単位は40%であった。また、得られたパターン形成体を触針法により測定したところ表面粗さRaは2nmであった。
次いで、このパターン形成体に格子状のマスクを介して高圧水銀灯で70mW/cm2の照度で5分間紫外線照射を行い、水及びn−オクタンに対する接触角を接触角測定器(協和界面科学製CA−Z型)により測定した結果を表1に示す。 また、パターンを形成したパターン形成体をオフセット印刷機(小森スプリント4色機)に取付けて、水なし印刷インク(大日本インキ化学工業製 ドライオカラー藍インク)を用いてコート紙に印刷を行ったところ良好な印刷物が得られた。
実施例35
実施例34と同様の方法で作製したパターン形成体に、355nmのYAGレーザーを200mJ/cm2の強度でパターン状に照射して光触媒反応を行った。 光照射部の水およびn−オクタンに対する接触角を接触角測定器(協和界面科学製CA−Z型)により測定した結果を表7に示す。
また、パターンを形成したパターン形成体をオフセット印刷機(小森スプリント4色機)に取付けて、水なし印刷インク(大日本インキ化学工業製 ドライオカラー藍インク)を用いてコート紙に印刷を行ったところ良好な印刷物が得られた。
実施例36
光触媒含有層に用いたジメトキシジメチルシラン(東芝シリコーン製 TSL8112)の量を0.03gとして、ジメチルシロキサン単位を10%とした点を除き実施例31と同様にしてパターン形成体を作製し、実施例31と同様に評価をし、その結果を表7に示す。
また、実施例31と同様にしてコート紙に印刷を行ったところ地汚れがない良好な印刷物が得られた。
実施例37
厚さ0.23mmの脱脂したアルミニウム板上にプライマー(関西ペイント製 金属用プライマー塗料 カンコート90T−25−3094)20重量%ジメチルホルムアミド溶液を塗布し、200℃で1分間乾燥し、3μmのプライマー層を形成した。
シリカゾル(日本合成ゴム製 グラスカHPC7002)3g、アルキルアルコキシシラン(日本合成ゴム製 HPC402H)1gを混合し、攪拌機により5分間攪拌した。先に形成したプライマー層上にこの溶液をブレードコーターで塗布し、100℃で10分間乾燥を行った。
次にイソプロピルアルコール3g、シリカゾル(日本合成ゴム製 グラスカHPC7002)0.75g、アルキルアルコキシシラン(日本合成ゴム製 HPC402H)0.25g、フルオロアルコキシシラン(トーケムプロダクツ製 MF−160E:N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−N−エチルパーフルオロオクタンスルホンアミドのイソプロピルエーテル50重量%溶液)0.15g、ジメトキシジメチルシラン0.30gを混合した。この溶液を20分間、100℃に保ちながら攪件した。その後、酸化チタン塗布溶液(石原産業製 ST−K01:固形分濃度10%)2gを添加し、更に30分間攪拌し、得られた分散液をスピン塗布によって塗布した。
さらに、得られた層上に、イソプロピルアルコール3g、シリカゾル(日本合成ゴム製 グラスカHPC7002)3g、アルキルアルコキシシラン(日本合成ゴム製 HPC402H)1gを混合し、5分間攪件した。得られた分散液を塗布して0.2μmの塗布層を形成しパターン形成体を得た。
次いで、得られたパターン形成体に格子状のマスクを介してYAGレーザーで200mJ/cm2のエネルギー密度で露光を行ってパターンを形成した印刷版を作製した。水及びn−オクタンに対する接触角を接触角測定器(協和界面科学製CA−Z型)により測定した結果を表1に示す。
また、パターンを形成したパターン形成体をオフセット印刷機(小森スプリント4色機)に取付けて、水なし印刷インク(大日本インキ化学工業製 ドライオカラー藍インク)を用いてコート紙に印刷を行ったところ良好な印刷物が得られた。
比較例5
基材をプライマーによって処理しなかった点を除き、実施例29と同様に刷版済みの印刷版を作製し、実施例30と同様に印刷機に取り付けたところアルミ基材から部分的に光触媒含有層が剥がれ落ち密着性が不十分であった。また、カッターによってクロスカットをしたメンディングテープ(住友スリーエム社製スコッチメンディングテープ)によって剥離試験をおこなったところプライマー層があるものは剥離を起こさないが、プライマー層がないものは剥離を起こした。
比較例6
市販のオフセット印刷用原版でサーマルプレートPearl dry(Presstek製)を用いて実施例29と同様に特性を評価をし、その結果を表7に示す。
比較例7
市販のオフセット印刷用原版で水なしオフセット版 HGII(東レ製)を用いて実施例29と同様に特性を評価をし、その結果を表7に示す。
比較例8
光触媒含有層に用いたジメトキシジメチルシラン(東芝シリコーン製 TSL8112)の量を0.2gとして、ジメチルシロキサン単位を50%とした点を除き実施例34と同様にしてパターン形成体を作製し、光触媒含有層の表面の膜面を触針法によって測定したところ表面粗さRaは500nmであり、光触媒含有層の表面が乱れ、印刷用の版面を作製することができなかった。
比較例9
光触媒含有層に用いたジメトキシジメチルシラン(東芝シリコーン製 TSL8112)の量を0.01gとして、ジメチルシロキサン単位を5%とした点を除き実施例31と同様にしてパターン形成体を作製し、実施例31と同様に評価をし、その結果を表7に示す。また、触針法によって測定した表面粗さRaは、50nmであった。
また、実施例34と同様にしてコート紙に印刷を行ったところ地汚れが生じた。
Figure 0004413035
図1は、本発明の一実施例を説明する図である。 図2は、本発明の他の実施例を説明する図である。 図3は、本発明の他の実施例を説明する図である。 図4は、本発明の他の実施例を説明する図である。 図5は、本発明のパターン形成用材料の光照射時間と濡れ性の関係を説明する図である。 図6は、本発明の他の実施例を説明する図である。 図7は、本発明の他の実施例を説明する図である。 図8は、本発明のパターン形成用材料の光照射時間と濡れ性の関係を説明する図である。 図9は、本発明の素子の作製方法の一実施例を説明する図である。 図10は、本発明の素子の作製方法の他の実施例を説明する図である。 図11は、本発明の素子の作製方法の他の実施例を説明する図である。 図12は、本発明の素子の作製方法の他の実施例を説明する図である。
符号の説明
1…パターン形成体、2…基材、3…プライマー層、4,41,42,43,44…光触媒含有層、5…パターン、6…露光、7…光触媒、8…親水性部位、9…疎水性部位、10…濡れ性変化物質層、11…濡れ性が異なる部位、12…分解除去される物質層、13…濡れ性が異なる部位、14…疎水性部分、15…親水性部位、16…光触媒分解性物質、17…パターンに応じて変化した部位、18…ストライプ状のパターン、19…格子状の遮光性パターン、20…フォトマスク、21…レーザ、22…ブレードコータ、23…スピンコータ、24…真空を利用した成膜手段、25…機能性層、26…粘着テープ、27…空気噴射ノズル、28…機能性層、29…素子形成用基材、30…シート、31…熱溶融性組成物層、32…熱転写体、34…加熱板、35…吐出ノズル、36…紫外線硬化性樹脂組成物、38…硬化用紫外線、38…マイクロレンズ

Claims (14)

  1. 光学的にパターンを形成するパターン形成体において、基材上に、光触媒含有層を有し、前記光触媒含有層は、ケイ素原子に結合したオルガノ基としてビニル基を含有したシリコーンを結着剤であり、かつ光触媒の作用により濡れ性が変化する物質として含有することを特徴とするパターン形成体。
  2. 光学的にパターンを形成するパターン形成体において、基材上に、光触媒含有層を有し、前記光触媒含有層は、ケイ素原子に結合したオルガノ基としてアミノ基を含有したシリコーンを結着剤であり、かつ光触媒の作用により濡れ性が変化する物質として含有することを特徴とするパターン形成体。
  3. 光学的にパターンを形成するパターン形成体において、基材上に、光触媒含有層を有し、前記光触媒含有層は、γ−メタアクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリt−ブトキシシランからなる群から選択される1種もしくは2種以上を含む化合物の加水分解縮合物または共加水分解縮合物であるシリコーンを結着剤であり、かつ光触媒の作用により濡れ性が変化する物質として含有することを特徴とするパターン形成体。
  4. 光学的にパターンを形成するパターン形成体において、基材上に、光触媒含有層を有し、前記光触媒含有層は、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリt−ブトキシシランからなる群から選択される1種もしくは2種以上を含む化合物の加水分解縮合物または共加水分解縮合物であるシリコーンを結着剤であり、かつ光触媒の作用により濡れ性が変化する物質として含有することを特徴とするパターン形成体。
  5. 光学的にパターンを形成するパターン形成体において、基材上に光触媒含有層を有し、前記光触媒含有層上に、ケイ素原子に結合したオルガノ基としてビニル基を含有したシリコーンを光触媒の作用により濡れ性が変化する物質として含有する含有層を有することを特徴とするパターン形成体。
  6. 光学的にパターンを形成するパターン形成体において、基材上に光触媒含有層を有し、前記光触媒含有層上に、ケイ素原子に結合したオルガノ基としてアミノ基を含有したシリコーンを光触媒の作用により濡れ性が変化する物質として含有する含有層を有することを特徴とするパターン形成体。
  7. 光学的にパターンを形成するパターン形成体において、基材上に光触媒含有層を有し、前記光触媒含有層上に、ケイ素原子に結合したオルガノ基としてエポキシ基を含有したシリコーンを光触媒の作用により濡れ性が変化する物質として含有する含有層を有することを特徴とするパターン形成体。
  8. 光学的にパターンを形成するパターン形成体において、基材上に光触媒含有層を有し、前記光触媒含有層上に、フェニルトリクロルシラン、フェニルトリブロムシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリt−ブトキシシラン;ジメトキシジエトキシシラン;ジメチルジクロルシラン、ジメチルジブロムシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン;ジフェニルジクロルシラン、ジフェニルジブロムシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン;フェニルメチルジクロルシラン、フェニルメチルジブロムシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、およびフェニルメチルジエトキシシランからなる群から選択される1種もしくは2種以上を含む化合物の加水分解縮合物または共加水分解縮合物であるシリコーンを光触媒の作用により濡れ性が変化する物質として含有する含有層を有することを特徴とするパターン形成体。
  9. 光学的にパターンを形成するパターン形成体において、基材上に光触媒含有層を有し、前記光触媒含有層上に、γ−メタアクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリt−ブトキシシランからなる群から選択される1種もしくは2種以上を含む化合物の加水分解縮合物または共加水分解縮合物であるシリコーンを光触媒の作用により濡れ性が変化する物質として含有する含有層を有することを特徴とするパターン形成体。
  10. 光学的にパターンを形成するパターン形成体において、基材上に光触媒含有層を有し、前記光触媒含有層上に、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリt−ブトキシシランからなる群から選択される1種もしくは2種以上を含む化合物の加水分解縮合物または共加水分解縮合物であるシリコーンを光触媒の作用により濡れ性が変化する物質として含有する含有層を有することを特徴とするパターン形成体。
  11. 光学的にパターンを形成するパターン形成体において、基材上に光触媒含有層を有し、前記光触媒含有層上に、シランカップリング剤、クロロシラン、およびアルコキシシランから選ばれる少なくとも1種のシラン化合物を、光触媒の作用により濡れ性が変化する物質として含有する層を有することを特徴とするパターン形成体。
  12. 前記光触媒含有層が可視およびその他の波長に感受性を有するものであることを特徴とする請求項1から請求項11までのいずれかの請求項に記載のパターン形成体。
  13. 前記光触媒含有層に蛍光物質が添加されていることを特徴とする請求項12記載のパターン形成体。
  14. パターン形成体が印刷版原版であることを特徴とする請求項1から請求項13までのいずれかの請求項に記載のパターン形成体。
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