JP4630425B2 - 現像装置と該装置に使用する現像剤担持体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、像担持体(ドラム状が代表的であるので以下「感光ドラム」という)上に形成された静電潜像に現像剤を付着させて可視像化する電子写真方式や静電記録方式を用いた複写機及びレーザービームプリンタ等の画像形成装置に使用される現像装置、及びその現像剤の搬送に使用する現像剤担持体(スリーブ状が代表的であるので以下「現像剤スリーブ」という)の改良に関し、特に現像剤スリーブの搬送表面を適度の表面形状にする現像剤スリーブの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
感光体ドラム上に形成された静電潜像を、現像剤を付着させて可視像化する電子写真方式を用いた複写機等の画像形成装置に使用される現像装置では、現像剤スリーブとして、例えば、金属製の現像剤スリーブを使用し、現像容器内に収容した現像剤を該スリーブ上に担持して、感光ドラムに対向した現像領域まで搬送し、感光ドラム上に形成された静電潜像を現像剤で現像し、潜像を可視像化する。
【0003】
現像剤としては、磁性トナーからなる磁性1成分現像剤、非磁性トナーからなる非磁性1成分現像剤、及び非磁性トナーと磁性キャリアとからなる2成分現像剤があり、それぞれの現像剤によって現像剤スリーブの材質等が選ばれる。
本発明の対象としている2成分現像剤の場合には、内部に例えば磁石等のような磁界発生手段が設けられた現像剤スリーブが用いられ、その材質はステンレス鋼やアルミニウム材等の非磁性金属が従来主として使用されている。
【0004】
上記のような現像装置において、現像剤スリーブの表面を粗面化することにより、トナーとキャリアにより構成された2成分現像剤を現像領域まで搬送する際の搬送性が向上し、又、現像剤スリーブ表面上に均一な現像剤層をコーティングすることが可能となる。現像剤スリーブ表面の粗面化方法としては、2成分現像方式の場合には不定形粒子による不定形ブラスト法(サンドブラスト法)が、従来主として実施されている。
【0005】
不定形ブラスト法とは、尖った角のある不定形の砂、アルミナ粒子や酸化けい素等を高速で金属表面吹き付けることにより該金属表面に細かい凹凸を作るものである。不定形ブラスト処理した現像剤スリーブの表面は、拡大してみると細かい溝が無数に存在した荒れた状態になっている。このように不定形ブラスト処理により現像剤スリーブの表面は粗面化され、それにより現像剤の搬送性は向上することとなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、一方で、表面を不定形ブラスト処理した現像剤スリーブには以下のような問題が存在する。不定形ブラスト方法により表面を粗面化した現像剤スリーブでは、その現像剤スリーブ表面は細かい溝が多数存在した荒れた状態であるため、長期間の使用によりトナー又はトナー中の成分がその粗面化した表面の細かな凹凸の谷に引っかかり、そこに付着し易くなる。この谷に付着したトナーは、現像剤スリーブ表層の現像剤の層厚を規制する層厚規制部材等の押圧等により長期間の使用で表面に融着するに至り、現像剤スリーブ表面がトナーで汚染されるおそれがある(以下、このトナーが現像剤スリーブ表面に融着した状態を「現像剤スリーブ汚染」と呼ぶ。)。
【0007】
更にキャリアを含む2成分現像剤を使用した場合、現像剤スリーブ表面に凹凸があると、キャリアの押圧によってトナー又はトナー中の成分が、その粗面化した表面の細かな溝の谷に埋め込まれ易くなる。この谷に埋め込まれたトナーは、長期間の使用によりそこに融着するに至り、現像剤スリーブ表面がトナーで汚染される傾向が大きくなる。
特に、近年カラー複写機等の需要増大に伴う複写機の高画質の要求及び消費電力低減の要求に応じて、トナーの小粒径化及び低軟化点化が行われるに従い、長期間の使用によりトナー又はトナー中の成分が、現像剤スリーブの表面の凹凸部分に融着し、現像剤スリーブの汚染に至る傾向がより強くなっている。
【0008】
現像剤スリーブ表面にトナーの融着が生じると、先ず、現像領域への現像剤の搬送量が低下し、形成される画像濃度が低下する。
又、従来、良好な現像を行わせるために、現像時に現像剤スリーブには交番電界(現像バイアス)が印加される場合が多いが、現像剤スリーブ表面にトナー融着が生じると、現像剤スリーブ表面の融着物が高抵抗層となり、現像時に現像剤スリーブと感光ドラム間の現像領域に所望の電界が形成されなくなる。その結果、現像バイアスによる十分な現像効果が得られず、形成される画像の濃度が低下したり、白抜けのような画像不良が生じる。
【0009】
特に、2成分現像方式においては、現像効率(現像部に存在するトナーのうち現像に消費され得るトナーの割合)の向上及び装置の小型化の要求のために、現像剤スリーブ上に現像剤の薄層を形成させ、現像部に交番電界を印加して現像を行う方法がよく用いられる。この方法では、現像剤スリーブ上の磁性キャリアの穂がまばらであるため、現像剤スリーブ表面の付着トナーを磁性キャリアの穂に阻害されることなく感光ドラムに供給できる。そこで、現像剤スリーブ表面に付着したトナーを交番電界により現像剤スリーブ表面から感光ドラム表面へ飛翔させることにより、高い現像効率が達成される。しかしながら、この方法を用いた場合、現像剤スリーブ表面にトナー融着が生じ、融着物による高抵抗層ができ、現像部に所望の交番電界が形成されなくなると、特に大きな影響を受け易く、現像効率が低下し、画像不良が生じる。
【0010】
実際、汚染していない現像剤スリーブと汚染した現像剤スリーブとを用意し、同じ現像剤を用いて画像評価を行ったところ、汚染していない現像剤スリーブに比べて汚染した現像剤スリーブでは画像濃度が最大0.2以上低下しており、又、白抜けのような画像不良が生じた。このことから、現像剤スリーブ表面がトナー融着により汚染されることが、形成される画像の濃度低下及び現像効率の低下や画像不良の原因になっていることが明らかである。
【0011】
以上のように不定形粒子を用いて不定形ブラストを施した現像剤スリーブでは、その表面がトナー融着によって汚染されることから、幾つかの問題点が生じることとなった。しかし、現像剤スリーブの表面に不定形ブラストを施した目的は、2成分現像剤を現像領域まで搬送する際の搬送性の向上であった。そのため、ブラストを行わなければ、今度は現像剤の搬送性に問題が生じることとなる。
【0012】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決し、2成分現像剤を用いた場合に、キャリアによって現像剤スリーブ表面の凹凸部分の谷へトナーが埋め込まれることを防ぎ、トナー融着による現像剤スリーブ汚染が抑制され、且つ現像領域への現像剤スリーブの現像剤搬送量を安定させ、それによって長期間安定して画質のよい画像を得ることを可能にした現像装置を提供することである。
本発明者らは、上記目的を達成するために種々検討した結果、現像剤スリーブ表面を特定な条件を満たすブラス材で粗面化し、特定な表面粗さに設定することにより、トナー融着による現像剤スリーブの汚染が防止され、現像剤の搬送性も安定し且つ向上することを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
上記目的は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明は、感光ドラムに画像情報信号に対応した静電潜像を形成する手段を有する画像形成装置に用いられ、前記感光ドラム上の静電潜像を非磁性トナー及び磁性キャリアを有する2成分現像剤を用いて現像してトナー像を形成する際に、前記2成分現像剤を担持して現像領域へと搬送する現像剤スリーブを有する現像装置において、
前記現像剤スリーブは、表面を前記2成分現像剤中の磁性キャリアの平均粒径Dに対して、下記の関係
D≦d≦10D
を満たす平均径dを有する定形球形粒子でブラスト処理することで得られたものであり、
前記現像剤スリーブの表面の十点平均粗さRzが、前記磁性キャリアの平均粒径Dに対して、下記の関係
D/6≦Rz≦D/2
を満たし、
前記Rzは、10〜14μmであることを特徴とする現像装置を提供する。
【0014】
又、本発明は、感光ドラムに画像情報信号に対応した静電潜像を形成する手段を有する画像形成装置に用いられ、前記感光ドラム上の静電潜像を非磁性トナー及び磁性キャリアを有する2成分現像剤を用いて現像してトナー像を形成する現像装置に備えられた、前記2成分現像剤を担持して現像領域へと搬送する現像剤スリーブの製造方法において、前記現像剤スリーブの表面を、前記2成分現像剤中の磁性キャリアの平均粒径Dに対して、下記の関係
D≦d≦10D
を満たす平均径dを有する定形球形粒子でブラスト処理する工程を有し、前記現像剤スリーブの表面の十点平均粗さRzが、前記磁性キャリアの平均粒径Dに対して、下記の関係
D/6≦Rz≦D/2
を満たし、前記Rzが、10〜14μmとなるように調整することを特徴とする現像剤スリーブの製造方法を提供する。
尚、本発明において、磁性キャリア、トナー及びブラスト粒子の平均粒径は、何れも重量平均粒径である。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に実施の形態及び実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。
本発明における現像装置の好ましい実施の形態は次の通りである。
(1)前記感光ドラムと前記現像剤スリーブの間に交番電界を形成するための電界形成手段を有する前記現像装置、
(2)前記現像剤スリーブの表面をダイヤモンド研磨を行った後、該表面を定形球形粒子でブラスト処理を行った前記現像装置、
(3)前記現像剤スリーブの表面を定形球形粒子でブラスト処理を行った後、更に表面に無電解めっきを施した前記現像装置、
(4)前記現像剤スリーブの材質が、アルミニウム又はステンレススチールである前記現像装置、
(5)前記無電解めっきが、無電解Ni−Pめっき、無電解Ni−Bめっき、無電解Pd−Pめっき、又は無電解Crめっきである前記現像装置、及び
(6)前記非磁性トナーの平均粒径が2〜10μmである前記現像装置。
【0016】
又、本発明における現像剤スリーブの製造方法の好ましい実施の形態は次の通りである。
(1)前記定形球形粒子が、ガラスビーズ、ステンレス鋼球又はセラミック球のいずれかである前記現像剤スリーブの製造方法、
(2)前記現像剤スリーブの表面を、定形球形粒子でブラスト処理する工程の前に、前記現像剤スリーブの表面をダイヤモンド研磨をする工程を有する前記現像剤スリーブの製造方法、
(3)前記現像剤スリーブの表面を、定形球形粒子でブラスト処理する工程の後に、前記現像剤スリーブの表面に無電解めっきを施す工程を有する前記現像剤スリーブの製造方法、
(4)前記現像剤スリーブの材質が、アルミニウム又はステンレススチールである前記現像剤スリーブの製造方法、
(5)前記無電解めっきが、無電解Ni−Pめっき、無電解Ni−Bめっき、無電解Pd−Pめっき、又は無電解Crめっきである前記現像剤スリーブの製造方法、及び
(6)前記非磁性トナーの平均粒径が、2〜10μmである前記現像剤スリーブの製造方法。
【0017】
上記構成よって、2成分現像剤を用いた場合に、キャリアによって現像剤スリーブ表面の凹凸部分の谷へトナーが埋め込まれることが防止され、トナー融着による現像剤スリーブ汚染がなくなり、且つ現像領域への現像剤スリーブによる現像剤搬送量も安定し、それによって形成される画像の品質を長期間安定して保証することができ、本発明の目的が達成される。
【0018】
【実施例】
次に図面に従って本発明の現像装置及び現像剤スリーブの製造方法を説明する。尚、本発明の現像装置は、例えば、以下に述べるような画像形成装置の中で使用されるが、必ずしもこの形態に限られるものではない。
<実施例1及び比較例1〜4>
図1は、図2に示されるようなフルカラー画像形成装置における、Y、M、C及びBkの各ステーションの1つを示したものである。Y、M、C及びBkの各ステーションはほぼ同様の構成であり、フルカラー画像において、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(Bk)の画像を形成する。以下の説明において、例えば、現像装置1とあれば、Y、M、C及びBk各ステーションにおける現像装置1Y、現像装置1M、現像装置1C及び現像装置1Bkを共通して指すものとする。
【0019】
先ず、図2により、本発明の画像形成装置全体の動作を説明する。感光ドラム4は回動自在に設けられており、その感光ドラム4を一次帯電器21で一様に帯電し、例えば、レーザーのような発光素子22によって、画像情報信号に応じて変調された光で露光して感光ドラム4上に静電潜像を形成する。その静電潜像は現像装置1により、後述のような過程でトナー像として可視像化される。次にその可視像を、転写帯電器23によって、転写紙搬送シート24によって搬送されてきた転写紙27に転写し、更に定着装置25によって定着して永久画像を得る。又、感光ドラム4上の転写残トナーはクリーニング装置26により除去する。
又、画像形成で消費されたトナーはトナー補給槽6から補給される。
【0020】
次に、図1により、現像装置の動作を説明する。図1において、感光ドラム4と対向して配置された現像装置1は、現像剤容器2、現像剤担持手段としての現像剤スリーブ3、現像剤の穂高規制部材としてのブレード5を有している。現像剤容器2は、隔壁により2つの空間に仕切られており、ともに非磁性トナーと磁性キャリアからなる2成分現像剤が収容されている。
【0021】
現像装置1の現像剤容器2は、感光ドラム4に対向した現像領域が開口しており、この開口部に一部露出するようにして現像剤スリーブ3が回転可能に配置されている。現像剤スリーブ3は非磁性材料で構成され、現像動作時には図1の矢印方向に回転し、その内部には磁界発生手段であるマグネット7が固定されている。マグネット7を内蔵する現像剤スリーブ3は、ブレード5によって層厚規制された2成分現像剤の層を現像剤溜り部から現像領域に担持搬送し、感光ドラム4と対向する現像領域で、現像剤を感光ドラム4に供給して感光体ドラム4に形成されている静電潜像を現像する。
【0022】
ここで、マグネット7について更に述べると、マグネット7は5極から構成され、攪拌スクリュー8で攪拌された現像剤は、汲み上げのための搬送用磁極(汲み上げ極)N2の磁力で現像剤スリーブ3上に拘束され、次に規制用磁極(S2)と規制ブレード5の作用により、現像剤の層が形成され、磁気ブラシを形成しつつ搬送される。次いで搬送用磁極N1の磁力及び現像剤スリーブ3の回転によって現像領域に搬送される。現像領域で感光ドラム4上の静電潜像を現像した後の現像剤は、取り込み極N3の磁力及び現像剤スリーブ3の回転によって現像領域から現像容器2へと搬送される。
【0023】
ここで、取り込み極N3と汲み上げ極N2は同極であり、この2つの磁極の間には磁力がほぼ0ガウスとなる領域(反発極)が設けられている。これによって静電潜像を現像した後の現像剤は、そのまま続いて汲み上げ極N2に拘束されてしまうことなく、現像容器2内へと収容される。本実施例のように反発極が設けられた構成の場合、現像剤のつれまわりが反発極により低減されるため、トナーが現像剤スリーブ3の表面に付着し、留まりにくくなり、現像剤スリーブ3へのトナー融着を低減する効果がある。従って、本実施例のように反発極を持つマグネット7と以下に述べるような表面構成を持つ現像剤スリーブ3を組み合わせて使用すると、現像剤スリーブの汚染低減に効果的である。
【0024】
次に、本実施例の特徴的な部分について更に詳しく説明する。従来技術の項で述べたように、不定形ブラスト処理により表面を粗面化した現像剤スリーブでは、トナー又はトナー中の成分が粗面化された現像剤スリーブの表面の細かな凹凸部分に付着又は融着し易いために、現像剤スリーブの表面が汚染されるおそれがある。そのため、本実施例では不定形ブラスト処理とは異なるブラスト処理を行う必要がある。
【0025】
そこで、定形ブラスト用粒子としてガラスビーズを用意してブラスト処理を行った。ブラスト処理の方法は、12rpmで回転している現像剤スリーブに対して、この現像剤スリーブから距離100mm離した直径7mmのブラストノズルを現像剤スリーブの軸に平行に移動させながら、ノズルから空気圧(ブラスト圧)3kg/cm2でガラスビーズを現像剤スリーブの表面に吹き付けた。このようにして現像剤スリーブ表面をブラスト処理し、その表面を粗面化した。
【0026】
ブラスト処理終了後、現像剤スリーブの表面を洗浄し、乾燥させた。尚、回転速度、ブラストノズルの現像剤スリーブからの距離及びブラスト圧等の条件は、現像剤スリーブ素管の材質等によって若干変更を行った。ブラスト条件は、これらに限定されるものではない。又、本実施例では、定形ブラスト用粒子としてガラスビーズを用いたが、定形ブラスト用粒子はこれに限られるものではなく、例えば、ステンレス鋼球、セラミック球、鋼球及びフェライト球等を用いてもよい。但し、鋼球やフェライト球は磁性材料であるため、現像剤スリーブ内に永久磁石部材を組み込んでブラストする場合にはあまり適さない。
【0027】
先ず、実験例1(比較例1)として#400メッシュ(JIS規格による)の不定形アルミナ粒子(ARD#400)を用いたブラスト処理により表面を粗面化したSUS製現像剤スリーブと、実験例2(比較例2)として#400メッシュの定形ガラスビーズ粒子(FGB#400)を用いたブラスト処理で表面を粗面化したSUS製現像剤スリーブを用意した。
【0028】
これらの現像剤スリーブをそれぞれ用い、4万枚の長期使用を行った後の現像剤スリーブの汚染の程度を評価した。この時、磁性キャリアは平均粒径40μmのものを、又、トナーは平均粒径7μmのものを用いた。汚染濃度の評価は、反射型濃度測定計を用いて行い、使用前後の現像剤スリーブ表面からの反射光を測定し、その光学濃度差ΔDを汚染濃度とした。その結果を後記の表1に示した。4万枚の長期使用後の比較例1の不定形ブラスト処理を行った現像剤スリーブは、トナーが現像剤スリーブ表面に融着するに至っていた。一方、比較例2の定形ガラスビーズ粒子による定形ブラスト処理を施した現像剤スリーブは、比較例1の不定形ブラスト処理を行った現像剤スリーブに比べ、現像剤スリーブ表面に融着するトナーの量も少なく、現像剤スリーブ汚染に起因する画質への影響も小さかった。
【0029】
実験例1(比較例1)の不定形ブラスト処理した現像剤スリーブに比べ、実験例2(比較例2)の定形ブラスト処理した現像剤スリーブの方が現像剤スリーブ表面にトナー等が付着しにくい理由を調べるために、実験例2(比較例2)の現像剤スリーブの表面を拡大して見ると、不定形ブラスト処理した場合の細かい溝が無数に存在した荒れた状態とは異なり、ブラストに使用した定形ガラスビーズを反映して溝はほぼ球形であり、細かな溝も少なく比較的滑らかな溝で構成されていた。従来技術の項でも少し述べたように、本発明者らの考えによれば、不定形ブラスト処理を行った場合には、表面の荒れた細かなギザギザの溝に、磁性キャリア等の押圧によりトナーが埋め込まれると、そのトナーは、動きづらくなり、層厚規制部材等の圧縮等により蓄熱し、長期間の使用中に融着するに至ると思われる。よって、球形ガラスビーズによるブラスト処理を施した現像剤スリーブの表面は、不定形ブラスト処理した表面に比べ、細かな凹凸も少なく、現像剤スリーブ表面がトナーで汚染されにくくなったと考えられる。
【0030】
実験例2(比較例2)のように、現像剤スリーブ表面に球形ガラスビーズ等による定形ブラスト処理を施せば、現像剤スリーブ表面が平滑になり、現像剤スリーブ汚染のレベルを低減できる。しかし、現像剤スリーブ表面が平滑になると、現像剤の搬送性が低下し、感光ドラムに十分な現像剤を供給することが困難になる可能性が懸念される。実際、実験例2(比較例2)のように#400メッシュの球形ガラスビーズ(FGB#400)による定形ブラスト処理を施したSUS製現像剤スリーブでは、2成分現像剤を現像領域まで搬送する際の搬送性が低減し、その結果形成される画質に影響が出始めた。
【0031】
そこで、いくつかのSUS製現像剤スリーブ及びアルミニウム製現像剤スリーブについて、球形のガラスビーズ粒子(FGB)を用たブラスト処理によりそれらの表面を粗面化し、表面粗さを測定した。この表面粗さと、4万枚の長期使用を行った後の現像剤スリーブの汚染の程度と搬送性の相関性についての比較を行った。その結果を表1に示す。
【0032】
表面粗さの測定には接触式表面粗さ計((株)小坂研究所製:サーフコーダーSE−3300)を用い、現像剤スリーブの表面の十点平均粗さRzを測定した。測定条件は、カットオフ値が0.8mm、測定長さが2.5mm、送りスピードが0.1mm/秒及び倍率が5000倍である。ここで、RzはJIS B 0601による十点平均粗さで、定性的には凸凹の山と谷の高低差を表す。
【0033】
【表1】
【0034】
上記表1における評価基準は下記の通りである。
汚染レベル
×:トナー融着がひどく、画像に影響を及ぼす(白抜け等)
○:トナー融着はやや発生するが、画質に影響はない
◎:トナー融着がほとんど発生しない
搬送性
×:搬送性低下による現像剤スリーブ上の現像剤搬送量にムラが目立つ
△:環境・条件によっては搬送量にムラがでる
○:現像剤スリーブ上の現像剤搬送量は安定している
総合評価
×:汚染レベル、搬送性ともに問題あり
△:汚染レベルか搬送性のどちらかに問題が起こりうる
○:汚染レベル、搬送性ともに問題ない
【0035】
先述の実験例2(比較例2)の#400メッシュの球形ガラスビーズ(FGB#400)により表面を定形ブラスト処理したSUS製現像剤スリーブは、先に述べたように現像剤スリーブの汚染は低減したが、現像剤の搬送性も低下し実用上問題があった。これに対し、表1の結果から、(1)現像剤スリーブ表面の十点平均粗さRzが大きくなると、又、(2)現像剤スリーブをブラスト処理する粒子を粗く(メッシュの番号を小さく)すると、現像剤スリーブ表面へのトナー汚染が悪化することなく、現像剤の搬送性が向上していることが分かる。
【0036】
本発明者らは、この現象が以下のような原因で起こると考えた。先ず、(1)現像剤スリーブ表面の十点平均粗さRzが大きくなると現像剤の搬送性が向上する理由について述べる。アルミニウムはSUSに比べて硬度が低い。そのため、同一条件でブラストを行うと、SUS製現像剤スリーブ表面に比べアルミニウム製現像剤スリーブ表面の方が深くブラストされる。実際、実験例3(比較例3)のSUS製現像剤スリーブ表面の十点平均粗さはRz=3μmに対し、実験例5(実施例1−1)のアルミニウム製現像剤スリーブ表面の十点平均粗さはRz=10μmであり、アルミニウム製現像剤スリーブ表面の方が粗くなっている。このように、実験例5(実施例1−1)のアルミニウム製現像剤スリーブ表面の方が表面粗さが大きい、つまり、現像剤スリーブの表面の凹凸の山と谷の高低差が大きいため、現像剤と現像剤スリーブ表面の間の摩擦力が増して現像剤の搬送性が向上したと考えられる。
【0037】
ところで、一般に現像剤スリーブ表面の十点平均粗さRzの値を大きくすることは、トナーが現像剤スリーブ表面の凹部に引っかかり易くなり、現像剤スリーブ汚染は悪くなると考えられるが、球形のガラスビーズ等を用いて、現像剤スリーブ表面がある程度滑らかに保たれていさえすれば、それほど問題になることはない。これは以下の理由によると考えられる。先にも述べたように、トナーが入る程度の細かな溝にトナーが埋め込まれ、動きづらくなった時、長期間使用していく中でトナーが現像剤スリーブ表面に最も融着に至り易いと考えられる。しかし、実験例5(実施例1−1)のアルミニウム製現像剤スリーブは、その表面の凹凸の高低差は大きくなり粗くなったものの、定形ガラスビーズによるブラスト処理のため、現像剤スリーブ表面の溝はほぼ球形であり、細かなギザギザも少なく比較的滑らかな溝で構成されている。そのため、トナーは溝に埋め込まれることなく、融着に至りにくい。
【0038】
更にキャリアやブラスト粒子に用いる定形球形粒子の種類等も含めて詳細な検討を行った結果、十点平均粗さRzがキャリアの平均粒径をDとして、D/6≦Rz≦D/2の範囲に入っていることが、現像剤スリーブ汚染防止及び現像剤の搬送性向上に良いことが分かった。現像剤スリーブ表面の十点平均粗さRzがD/6以上の場合には、キャリアは現像剤スリーブ表面の凹凸に十分引っかかり、現像剤と現像剤スリーブとの摩擦抵抗が高まり、現像剤の搬送性を向上することができる。但し、十点平均粗さRzがD/2を超えると、現像剤スリーブ表面の凹凸の凸部に相当するエッジ部が非常に鋭くなり、キャリア穂の形成に影響が生じ、結果として画像に影響を及ぼす。又、このような現像剤スリーブを製造することは非常に困難である。以上のように、十点平均粗さRzを調整することにより、現像剤スリーブ表面へのトナー汚染が悪化することなく搬送性が向上する。
【0039】
次に、(2)現像剤スリーブをブラスト処理する粒子を粗く(メッシュの番号を小さく)した場合、搬送性が向上した理由について述べる。実験例4(比較例4)の#400メッシュの定形ガラスビーズ(FGB#400)でブラストした場合と、実験例5(実施例1−1)の#300メッシュの定形ガラスビーズ(FGB#300)でブラストした場合(いずれも素管はアルミニウム)を比べてみると、#300メッシュでブラスト処理した実験例5(実施例1−1)の場合の方が現像剤の搬送性が向上した。分級に用いた#400メッシュや#300メッシュはJIS Z 8810による粒度測定用篩として規格化されている正方形網目の標準篩の規格によるものであり、#400メッシュは37μm、#300メッシュは50μmに相当する。これに対し実験例4及び5で用いた磁性キャリアの平均粒径は40μmのものを用いた。以上から実験例4(比較例4)の現像剤スリーブは、磁性キャリアよりも径の小さい球形のガラスビーズでブラスト処理され、実験例5(実施例1−1)の現像剤スリーブは、磁性キャリアよりも径の大きい球形のガラスビーズでブラスト処理されたことになる。
【0040】
それぞれの場合の現像剤スリーブ上の磁性キャリアの様子を比較すると、磁性キャリアよりも径の小さい球形ビーズでブラスト処理された場合は、図3に示すように磁性キャリアは現像剤スリーブ上の球形の溝の奥まで入り込むことができず、磁性キャリアと現像剤スリーブ上の球形の溝の間には隙間が空いてしまう。そのため、磁性キャリアは球形の溝にしっかり引っかかることができず、磁性キャリアは現像剤スリーブ上の溝の上を転がっていき易い。よって、現像剤と現像剤スリーブの間の摩擦抵抗は低下し、現像剤スリーブの搬送力は低下する。一方、磁性キャリアよりも径の大きい球形ビーズでブラスト処理された場合は、図4に示すように磁性キャリアは現像剤スリーブ上の球形の溝の奥まで入り込むことができ、磁性キャリアと現像剤スリーブ上の球形の溝の間に隙間もない。そのため、磁性キャリアは球形の溝にしっかり引っかかることができ、磁性キャリアは現像剤スリーブ上を転がっていきづらい。よって、現像剤と現像剤スリーブ間の摩擦抵抗は増し、現像剤スリーブの搬送性は向上したと考えられる。
【0041】
以上のように、磁性キャリアよりも径の大きい球形ビーズで現像剤スリーブの表面がブラスト処理された場合、現像剤スリーブによる現像剤の搬送性は向上する。しかし、磁性キャリアよりも径の大きい球形ビーズで現像剤スリーブの表面をブラスト処理した場合の利点はこれだけではなく、表1の結果から現像剤スリーブ汚染に関しても良化していることが分かる。これは、以下の理由によるものと考えられる。磁性キャリアよりも径の小さい球形ビーズでブラスト処理された場合は、先に述べたように、図3に示すように磁性キャリアは現像剤スリーブ上の球形の溝の底まで入り込むことができず、磁性キャリアと現像剤スリーブ上の球形の溝の間には隙間が生じてしまう。この隙間に入り込んだトナーは、磁性キャリアで掻き取ることができないため、隙間に滞留し、留まり易くなる。その結果、この残留トナーは蓄熱して融着するに至る。一方、磁性キャリアよりも径の大きい球形ビーズで現像剤スリーブ表面がブラスト処理された場合は、図4に示すように磁性キャリアは現像剤スリーブ上の球形の溝の底まで入り込むことができ、磁性キャリアと現像剤スリーブ上の球形の溝の間に隙間がない。従って、キャリアが循環していく過程で、トナーはキャリアに付着し運ばれていき、トナーは現像剤スリーブ表面に残留することがない。その結果、汚染も起こりづらくなる。
【0042】
更にキャリアの種類等も含めて詳細な検討を行った結果、現像剤スリーブは磁性キャリアの平均粒径D以上且つ10D以下の平均径d(D≦d≦10D)を有する定形球形粒子でブラスト処理されていることが、現像剤スリーブの汚染防止及び現像剤の搬送性向上によいことが分かった。定形球形粒子の径dが磁性キャリアの平均粒径D以上の場合には、上述のように、現像剤と現像剤スリーブとの摩擦抵抗が高まり、現像剤の搬送性が向上し、又、現像剤スリーブ汚染も低減する。但し、キャリアが現像部で穂立ちを形成するが、穂の間の距離は磁力、キャリア径又はキャリアの磁化により異なるが、フェライトキャリアを用いた場合はおおよそキャリア径の10倍あたりの間隔で配列して磁気ブラシを形成する。そこで定形粒子の径がキャリア径の10倍を超えると、磁気ブラシの穂がランダムになり、現像剤の層がその凹凸を反映してムラ状となり、形成される画像に影響を及ぼす。以上のように、現像剤スリーブ表面のブラスト処理に用いる定形球形粒子の平均径dを調整することにより、現像剤スリーブ表面の搬送性が向上し、更に現像剤スリーブ汚染も低減する。
【0043】
本発明者らの検討により、(1)現像剤スリーブ表面の十点平均粗さRzが、キャリアの平均粒径をDとして、D/6≦Rz≦D/2の範囲にあり、(2)現像剤スリーブが、平均径dが、磁性キャリアの平均粒径D以上且つ10D以下(D≦d≦10D)である定形球形粒子でブラスト処理されている時、現像剤スリーブ表面へのトナー汚染が悪化することなく、現像剤の搬送性が向上することが分かった。但し、先の実験例で上記(1)に当てはまるが、(2)に当てはまらない実験例4(比較例4)のアルミニウム素管に#400メッシュの球形ガラスビーズで表面を定形ブラスト処理をした現像剤スリーブや、又、上記(2)に当てはまるが(1)に当てはまらない実験例3(比較例3)のSUS素管に#300メッシュの球形ガラスビーズで表面を定形ブラスト処理をした現像剤スリーブは、ある程度の搬送性の向上が得られるものの、全く問題がないレベルには至らず、例えば、初期は安定しているものの、長期間使用していく途中で搬送性等に問題が出てくる等の問題が生じることがあった。従って、搬送性に関して、長期間安定して良い画像が得られるためには、(1)現像剤スリーブ表面の十点平均粗さRzが、キャリアの平均粒径をDとして、D/6≦Rz≦D/2の範囲にあり、且つ(2)現像剤スリーブが、磁性キャリアの平均粒径D以上且つ10D以下の平均径d(D≦d≦10D)を有する定形球形粒子でブラスト処理されていることが、最も望ましく且つ必要である。
【0044】
尚、本実施例では、現像剤スリーブとしてアルミニウム製の現像剤スリーブについてのみ述べたが、現像剤スリーブの材料はアルミニウムに限られるものではなく、ブラスト処理により上記と同様の表面形状が得られるならSUS等を用いてもよい。但し、アルミニウムを用いることは、以下のような利点がある。
先ず、SUSは高価であるが、アルミニウムを用いれば現像剤スリーブをコストダウンできる。又、SUSに比べてアルミニウムは材質が軟らかいため、ブラスト処理でガラスビーズが現像剤スリーブ表面に衝突することにより、ブラスト前の現像剤スリーブ素管に存在する切削時等にできた微少な凹凸が解消さる傾向が強く、均一性の高い現像剤スリーブが得られる。
【0045】
更に高速機の感光ドラムとしてa(非晶性)−Siドラムを用いている場合、朝一番の使用での画質の流れ現象を防止する目的で、a−Siドラム中にはヒーターが入っている場合が多い。現像剤スリーブがステンレス製ならば、熱伝導率が小さいために、ドラムヒーターの熱により変形し易い。一方、現像剤スリーブに熱伝導率が大きいアルミニウムを使用すれば、ドラムヒーターによる熱変形を避けることができる。
【0046】
以上説明したように、本発明によれば、現像装置の現像剤スリーブ表面が、平均粒径dが、磁性キャリアの平均粒径D以上且つ10D以下(D≦d≦10D)である定形球形粒子でブラスト処理され、該処理された表面の十点平均粗さRzが、キャリアの平均粒径をDとして、D/6≦Rz≦D/2の範囲に調整されていることにより、2成分現像剤を用いた場合にキャリアによって現像剤スリーブ表面の凹凸部分の谷へトナーが埋め込まれることが防止され、トナー融着による現像剤スリーブ汚染の発生が抑制され、且つ現像領域への現像剤スリーブの現像剤搬送量も安定し、それによって画像の品質を長期間安定して保証することが可能になった。
【0047】
ここで、キャリアの平均粒径の測定法について述べておく。本発明でのキャリアの平均粒径の測定法は以下の通りである。
1.試料約100gを0.1gの桁まで計り取る。
2.篩は、100メッシュから、400メッシュのJIS標準篩(以下単に「篩」という)を用い、上から100、145、200、250、350、400の大きさの順に積み重ね、底には受け皿を置き、試料は一番上の篩に入れて蓋をする。
3.これを振動機によって水平旋回数毎分285±6回、振動回数毎分150±10回で15分間ふるう。
4.ふるった後、各篩及び受け皿内の鉄粉を0.1gの桁まで計り取る。
5.重量百分率で少数第2位まで算出し、JIS−Z8401によって少数第1位まで丸める。
尚、このとき、篩の枠の寸法は篩面から上の内径が200mm、上面から篩面までの深さが45mmとされ、又、各部分の鉄粉の重量の総和は、始め取った試料の質量の99%以下であってはならない。
【0048】
又、平均粒径は、上述の粒度分布側定値より下記式により求める。
【数1】
【0049】
<実施例2>
これまで、SUSの素管を切削後、球形のガラスビーズ粒子(FGB)を用いて上記素管をブラスト処理して、表面を粗面化処理した現像剤スリーブを用いた例について述べたが、切削後ブラスト処理した表面は、切削時の表面の荒れを反映して微細なギザギザのある状態になっている。このような微細なギザギザが存在すると、トナー中に含まれる粒径の小さなトナー等が、この微細な溝に引っかかり付着し、融着状態になり易く、現像剤スリーブ汚染が起こり易い。
そこで、このような問題を解決する方法として、本実施例では現像剤スリーブ素管について、切削後ダイヤモンド研磨を行ってからブラスト処理して表面の粗面化を行った。この現像剤スリーブを使用した場合には現像剤スリーブ汚染は生じなかった。これはダイヤモンド研磨により切削時のギザギザがほぼなくなり、ミクロ的にも凹凸がない鏡面状の表面状態に改質されたことによる。
【0050】
<実施例3>
本実施例は、実施例1における実験3の粗面化処理された現像剤スリーブの表面に、無電解めっきを施したことが特徴である。無電解めっきとしては、例えば、無電解Ni−P、無電解Ni−Bめっき、無電解Pd−Pめっき、又は無電解Crめっき等を用いればよいが、これらに限定されるものではない。無電解めっきの特徴は、その他のめっき、例えば、電解Niめっきのような電解めっきでは、めっきがエッジ部に付き易く、めっき厚がばらつき易いのに比べ、めっき厚の均一性が良く、球形粒子の衝突により生じた丸みを保持できるという利点がある。又、付き回りが良く、深い穴でもめっきがのり、表面の凹凸が無く、より滑らかな表面が得られるという利点がある。以上から、無電解めっきを施すことにより、定形球形粒子によるブラスト後の表面形状を保持しながら、ブラスト後の表面に存在する微細なギザギザをなくすことができ、ミクロ的にも凹凸がない滑らかな表面を得ることが可能である。但し、めっきの厚さはあまり厚すぎると、滑らかになりすぎて現像剤スリーブの搬送性が低下する可能性がある。そのため、めっき厚は、球形粒子の衝突により生じた形状をある程度保持できる範囲である20μm以下にするのが望ましい。
【0051】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、現像装置のスリーブ表面を、磁性キャリアの平均粒径D以上且つ10D以下の平均径d(D≦d≦10D)を有する定形球形粒子でブラスト処理し、その表面の十点平均粗さRzが、キャリアの平均粒径をDとして、D/6≦Rz≦D/2の範囲に調整されていることにより、2成分現像剤を用いた場合に、キャリアによって現像剤スリーブ表面の凹凸部分の谷へトナーが埋め込まれることが防止され、トナー融着による現像剤スリーブ汚染の発生が著しく低減され、且つ現像領域への現像剤スリーブの現像剤搬送量も安定し、それによって画像の品質を長期間安定して保証することが可能になった。
【0052】
本発明の好ましい実施形態によれば、現像剤スリーブの表面をダイヤモンド研磨し、その後に定形球形粒子でブラスト処理を行うことにより、現像剤スリーブ表面のミクロなギザギザが無くなり、より効果的である。又、本発明の好ましい実施形態によれば、現像剤スリーブの表面を定形球形粒子でブラスト処理を行った後、更に表面に無電解めっきを施すことによっても、現像剤スリーブ表面のミクロなギザギザが無くなり効果的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による現像装置を説明する図。
【図2】本発明の一実施例に係わる現像装置を用いた画像形成装置を説明する図。
【図3】本発明の一実施例について説明するため、図1の現像剤スリーブの表面を拡大した図。
【図4】本発明の一実施例について説明するため、図1の現像剤スリーブの表面を拡大した図。
【符号の説明】
1:現像装置
3:現像剤スリーブ
4:感光ドラム
5:ブレード
6:トナー補給槽
21:一次帯電器
22:発光素子
23:転写帯電器
24:転写紙搬送シート
25:定着装置
26:クリーニング装置
27:転写紙
Y:イエロー
M:マゼンタ
C:シアン
K:ブラック
Claims (14)
- 像担持体に画像情報信号に対応した静電潜像を形成する手段を有する画像形成装置に用いられ、前記像担持体上の静電潜像を非磁性トナー及び磁性キャリアを有する2成分現像剤を用いて現像してトナー像を形成する際に、前記2成分現像剤を担持して現像領域へと搬送する現像剤担持体を有する現像装置において、
前記現像剤担持体は、表面を前記2成分現像剤中の磁性キャリアの平均粒径Dに対して、下記の関係
D≦d≦10D
を満たす平均径dを有する定形球形粒子でブラスト処理することで得られたものであり、
前記現像剤担持体の表面の十点平均粗さRzが、前記磁性キャリアの平均粒径Dに対して、下記の関係
D/6≦Rz≦D/2
を満たし、
前記Rzは、10〜14μmであることを特徴とする現像装置。 - 前記像担持体と前記現像剤担持体の間に交番電界を形成するための電界形成手段を有する請求項1に記載の現像装置。
- 前記現像剤担持体の表面をダイヤモンド研磨を行った後、該表面を定形球形粒子でブラスト処理を行った請求項1又は2に記載の現像装置。
- 前記現像剤担持体の表面を定形球形粒子でブラスト処理を行った後、更に表面に無電解めっきを施した請求項1〜3のいずれか1項に記載の現像装置。
- 前記現像剤担持体の材質が、アルミニウム又はステンレススチールである請求項1〜4のいずれか1項に記載の現像装置。
- 前記無電解めっきが、無電解Ni−Pめっき、無電解Ni−Bめっき、無電解Pd−Pめっき、又は無電解Crめっきである請求項4に記載の現像装置。
- 前記非磁性トナーの平均粒径が2〜10μmである請求項1〜6のいずれか1項に記載の現像装置。
- 像担持体に画像情報信号に対応した静電潜像を形成する手段を有する画像形成装置に用いられ、前記像担持体上の静電潜像を非磁性トナー及び磁性キャリアを有する2成分現像剤を用いて現像してトナー像を形成する現像装置に備えられた、前記2成分現像剤を担持して現像領域へと搬送する現像剤担持体の製造方法において、前記現像剤担持体の表面を、前記2成分現像剤中の磁性キャリアの平均粒径Dに対して、下記の関係
D≦d≦10D
を満たす平均径dを有する定形球形粒子でブラスト処理する工程を有し、前記現像剤担持体の表面の十点平均粗さRzが、前記磁性キャリアの平均粒径Dに対して、下記の関係
D/6≦Rz≦D/2
を満たし、前記Rzが、10〜14μmとなるように調整することを特徴とする現像剤担持体の製造方法。 - 前記定形球形粒子が、ガラスビーズ、ステンレス鋼球又はセラミック球のいずれかである請求項8に記載の現像剤担持体の製造方法。
- 前記現像剤担持体の表面を、定形球形粒子でブラスト処理する工程の前に、前記現像剤担持体の表面をダイヤモンド研磨をする工程を有する請求項8又は9に記載の現像剤担持体の製造方法。
- 前記現像剤担持体の表面を、定形球形粒子でブラスト処理する工程の後に、前記現像剤担持体の表面に無電解めっきを施す工程を有する請求項8〜10のいずれか1項に記載の現像剤担持体の製造方法。
- 前記現像剤担持体の材質が、アルミニウム又はステンレススチールである請求項8〜11のいずれか1項に記載の現像剤担持体の製造方法。
- 前記無電解めっきが、無電解Ni−Pめっき、無電解Ni−Bめっき、無電解Pd−Pめっき、又は無電解Crめっきである請求項11に記載の現像剤担持体の製造方法。
- 前記非磁性トナーの平均粒径が、2〜10μmである請求項8〜13のいずれか1項に記載の現像剤担持体の製造方法。
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