JP3990922B2 - 現像剤担持部材、それを用いた画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式を用いた複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリ、印刷装置などに用いられる現像剤担持部材および画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、現像剤担持部材は、現像剤の搬送のためにその表面を凹凸に粗している。古くは特開昭54−79043号公報に示されているような、主に二成分現像におけるローレット状の溝を入れたものや、特開昭55−26526号公報に示されているような、主に一成分現像用の粗面化処理を施したものがある。
【0003】
特に、粗面化処理した現像剤担持部材の材質としては、長期使用時にその凹凸が摩耗減少してしまうのを防ぐために、比較的高硬度な材料の表面被覆層を基板に設けることが提案されている。例えば、特開昭58−132768号公報には、アルミニウム基板の表面にTiN,CrN等の窒化物、TiC,B4C等の炭化物又はNi−Pメッキ層を設けた現像剤担持部材が、また、特開平6−230676号公報には、アルミニウム、真ちゅう又はステンレス等の基板の表面にCrメッキ層、アルマイト層、Ni−Pメッキ層又は窒化処理層を設けた現像剤担持部材が、また、特開平3−41485号公報には、アルミニウム又はステンレス等の基板の表面にCr,Cu−Cr,Ni−Cr,Cu−Ni−Cr又はNi−Cu−Ni−Ca等のメッキ層を設けた現像剤担持部材が記載されている。
【0004】
これらの耐摩耗性の表面被覆層の中には、無電解Ni−Pメッキ層のように、300〜500℃の加熱処理によってビッカース硬度Hvが900以上になる高耐摩耗性のメッキ層もある(特開昭58−132768号公報)。しかし、このような加熱処理を行なうと、良品率がかなり低下する。それは、基板が長尺方向と垂直な方向に数10μm以上の熱変形を起こし、静電像担持体と現像剤担持部材との間隔が場所的にばらつき、トナー画像に画像ムラを生じてしまうことによる。特に、高品質なトナー画像を形成する上で、このような画像ムラは大きな障害になる。
【0005】
電気メッキによる表面被覆層は硬質であり、耐摩耗性に優れている。しかも、上述のNi−Pメッキのように、高温加熱処理も必要としない点で有利である。
【0006】
しかしながら、電気メッキでは、電気力線の密度に比例して、メッキ液中から金属が析出して基板に析出するが、基板表面には、一般に微小な突起やクラックがある。突起の場合には、その頂点に向かって、クラックの場合には、その縁に向かって電気力線が集中する傾向にある。それゆえ、それらの部位に金属が異常に析出することとなって、所定の表面粗さを持つ硬質メッキ層の形成が難しいからである。
【0007】
そこで、特開2000−284586号公報には、基板の上に無電解メッキ中間層を形成することで基板表面の突起やクラックを被覆し、その上にNi接合層を介して電気硬質メッキ層を形成した現像剤担持部材が提案されている。
【0008】
ところで、近年の画像形成装置の高速化の趨勢の中、基本的なハード構成を維持しつつ高速化を達成することが要請されているが、上記の現像剤担持部材を、このような高速の画像形成装置に適用すると、図3(a)に示すような横線等の画像の後端の非画像部に図3(b)に示すような穂がはみ出す現象(以下、尾引きという)が生ずる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明はこのような尾引きを生じない現像剤担持部材を提供することを目的とするものである。
【0010】
また、本発明は、このような現像剤担持部材を用いて良好なトナー画像を形成できる現像装置および画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、表面に現像剤を担持し搬送する現像剤担持部材において、該現像剤担持部材が、基板、該基板表面より平滑な表面を有する中間層、接合層、および電気硬質メッキ層からなり、
該基板がアルミニウム、アルミニウム合金または銅合金からなり、
該中間層が、Ni−P、Ni−B、Pd−P、Ni−Co−P、Ni−Fe−P、Ni−W−P、Ni−Cu−P及びCo−Pから選択される何れかからなる無電解メッキ層であり、
該接合層がCuメッキ層およびAlメッキ層から選択された何れかであり、更に
該電気硬質メッキ層が、Cr、Pt及びRhから選択される何れかからなるものであることを特徴とする現像剤担持部材に関する。
【0013】
さらに、本発明は、表面に静電像を形成する静電像担持体、および、該静電像担持体に対向して配置された現像剤担持部材を有し、現像剤担持部材上に担持された現像剤を静電像担持体対向部に搬送し、静電像を現像する画像形成装置において、該現像剤担持部材が、基板、中間層、上記接合層および電気硬質メッキ層を有することを特徴とする画像形成装置に関する。
【0014】
本発明による現像剤担持部材は中間層と電気硬質メッキ層との密着性向上のために、両層の間に設けられる接合層が実質的に非磁性の層であり、これによって尾引きの問題を解決できたものである。
【0015】
従来のNiメッキ接合層の場合、Niが強磁性で、これが原因で尾引きが生じていたものと考えられる。即ち、Niメッキ接合層は、強磁性であるため、現像剤担持部表面に担持されたトナーの穂の形状に影響を及ぼし、トナーの穂が長いまま静電像担持体にトナーが飛翔するためと考えられる。尾引きは、高速化するほど悪化する。その理由は、トナーが現像剤担持部材近傍において受ける機械的ストレスや摩擦熱が大きくなるために、トナーが凝集しやすくなるためと考えられる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明による現像剤担持部材は、中間層と電気硬質メッキ層の間に実質的非磁性の接合層を設けることによって、異常な金属析出部のない高い精度の表面粗さを持つ電気硬質メッキ層を形成できるとともに、現像剤担持部材の周速度が570mm・S−1以上でも尾引きを生じさせないものである。
【0017】
まず、図1は、本発明による現像剤担持部材の断面模式図であり、その基本的構成は、基板Sの上に、中間層P1、接合層P3および電気硬質メッキ層P2を有する。
【0018】
図2は、基板上に中間層、接合層および硬質電気メッキ層を形成した現像剤担持部材の表面粗さの概念図である。
【0019】
m1は、基板Sの表面粗さ曲線の概念図であり、ここでは、アルミニウム円筒基板にブラスト加工を施して、表面に凹凸を設けたときのものである。全体の大きい粗さと共に、多数の微小な突起やクラックがある。このような基板表面上に電気硬質メッキ層を形成すると、硬質メッキ層表面の粗さは、基板表面の微小な突起やクラック部の影響を受けて、強調された急峻を持っている。このような表面形状では、現像剤への電荷付与作用が劣り、また、現像剤が急峻な凹に落ち込んで固着し、現像剤担持部材の現像剤汚染を招くことになる。そこで基板表面上に中間層P1を形成し、その表面粗さは曲線m2として示される。この例では、中間層は無電解メッキのため、形成される粗さ曲線m2は滑らかであり、基板表面の微小な突起やクラック部の影響を受けていない。次に、接合層P3及び電気硬質メッキ層P2を形成したときの、接合層および電気硬質メッキ層の粗さ曲線は、それぞれm3およびm4として示される。このm4は、中間層の滑らかな表面形状のため、同じく滑らかな曲線となっている。
【0020】
次に、本発明による現像剤担持部材の好適な構成について説明する。
【0021】
基板は、円筒(以下、スリーブともいう)、円柱又は平板など、現像剤担持部材が適用される現像装置の形態に応じた形状を持つ。
【0022】
現像剤担持部材は、適正な表面粗さ、通常、Rzが0.3〜7μm又はRaが0.05〜1.1μmの範囲の表面粗さを持つのが好適である。このために、本発明による現像剤担持部材の表面層となる電気硬質メッキ層を形成後に粗面化処理を行うことも可能であるが、メッキ層の剥離やブラスト砥粒の付着の危険性の点で、予め基材表面に粗面化処理を施し、Rzが1〜8μm又はRaが0.1〜1.2μm程度の表面粗さにしておくことが好適である。この粗面化処理としては、球形粒子によるブラスト処理が好適である。
【0023】
なお、RaおよびRzはJISB0601に規定される表面粗さパラメータで、Raは算術平均粗さおよびRzは十点平均粗さを表わす。
【0024】
基材の材質としては、アルミニウム、アルミニウム合金、又は、銅合金が好ましい。これらは、非磁性で磁界を利用する現像用に適している。また、ビッカース硬度が40〜180と比較的軟らかい金属であるため、粗面化処理しやすく、また、熱伝導係数が150W/m・K以上と高いので、蓄熱しにくく、使用中における熱膨張による寸法精度の低下を生じにくい。
【0025】
中間層の厚さは、基板表面の微小突起やクラックを封入させる点から、3μm以上が好ましく、また、均一なメッキ層を形成し、且つ、トナーの搬送性に寄与する基板の所定の凹凸形状がメッキ層表面に現れるようにするために、30μm以下が好適である。
【0026】
この中間層としては、Ni−P、Ni−B、Pd−P、Ni−Co−P、Ni−Fe−P、Ni−W−PおよびNi−Cu−P、Co−Pなどの無電解メッキ層が好適で、特に工業用に汎用性が高く、品質安定性の点からNi−Pが好ましい。
【0027】
接合層は、中間層と電気硬質メッキ層との密着性を高め、現像剤担持部材として長時間使用されても電気硬質メッキ層が剥れないようにするものである。
【0028】
接合層は、実質的に非磁性の物質で形成される。
【0029】
このような物質として、特に、CuおよびAlが好適である。接合層の厚みは、接合機能を十分に生じさせる上で、0.2μm以上が好ましく、また、形成コストの点で2μm以下が好ましい。
【0030】
電気硬質メッキ層(以下、硬質メッキ層ともいう)は、耐摩耗性の点からHvが300以上、特に500以上が好適である。この硬質メッキ層としては、Cr、PtおよびRhなどが好適で、特にHvが600以上のCrが好ましい。
【0031】
また、硬質メッキ層の厚さは、耐久性の点から0.2μm以上が好ましい。また、良好な表面性の点で、あまり厚過ぎない方が良く、5μm以下が好適である。さらに、メッキ中間層の滑らかな表面形状が硬質メッキ層表面にも現れる点から、硬質メッキ層は、メッキ中間層よりも薄い方が良く、メッキ中間層の厚さの1/10以下が特に好ましい。中間層および電気硬質メッキ層を形成する物質の体積磁化率は5(μH・m−1)以下が好適である。
【0032】
なお、本発明において、表面性の測定には、接触式表面粗さ計((株)小坂研究所製:サーフコーダーSE−3300)を用いた。測定条件は、カットオフ値が0.8mm、測定長さが2.5mm、送りスピードが0.1mm/秒、倍率が5000倍である。
【0033】
本発明による現像装置の一例は図4に示される。現像装置4の現像スリーブ43は、非磁性部材である32.3mm径のアルミA6063の上に球形粒子ブラスト(FGB)#600でブラスト処理をした後、図1に示すようにメッキ処理を行なったものである。現像スリーブの内部には、6個の磁極を有する固定マグネット41を備えている。現像剤として用いられるトナーは、磁気ブレードである板状部材42で現像スリーブ43に塗布される厚さを規制され、G2は180μmに設定されている。該間隙G2を現像剤が通過する際に、所定の厚さの現像剤薄層を形成する。
【0034】
現像スリーブは静電像担持体1とギャップG1を置いて配置されている。
【0035】
又、現像剤層形成部材たるSPCC(冷間圧延鋼板)製の板状部材42を、図6に示すように、その先端(現像剤担持体側)が鋭くカットされた形状とすることにより、図7に示すような平板断面の板状部材242を使用した場合に比べ、板状部材と現像剤担持体との間に形成される磁界が、狭い領域に集中するので、トナー薄層形成能力が強まる。
【0036】
このため、トナーに対して強い摩擦帯電を与えられるため、トナーに十分な電荷を付与することができる。
【0037】
本実施形態の構成における板状部材の支持部材44へのねじ留め部における板状部材42の厚さt1は1.6mmであり、先端部の厚さt2は0.3mmである。
【0038】
図4に示される現像装置には、トナーを撹拌する第1撹拌棒4Bおよび第2撹拌棒4C、さらにトナー残量検知センサー44を備えている。
【0039】
現像スリーブ43の内部には、表1に示すような磁場パターンを有する固定マグネット41を備えている。
【0040】
【表1】
【0041】
図5は、本発明による画像形成装置の一例である。
【0042】
画像形成装置は、静電像担持体として108mm径のa−Siドラム感光体1を用いた。プロセススピードは450mm/secで毎分85枚の白黒デジタル複写機である。a−Siは、有機感光体(OPC)に比べ比誘電率が10程度と大きいことや帯電電位が比較的低く、OPCに比べ潜像電位が十分に取れないが、高耐久で寿命が300万枚以上あり、高速機に向いているという特徴がある。
【0043】
該感光体は、一次帯電器3により例えば+340Vに一様帯電された後、600dpiで画像露光12がなされる。画像露光12は、半導体レーザーを光源として露光部の表面電位を+50Vに減衰させて像状の潜像を形成する。波長は680nmである。
【0044】
レーザー光はコリメータレンズ、ポリゴンスキャナー、fθレンズ、折り返しミラー、防塵ガラス等を介してドラム上に照射される。ドラム上でのスポット径は600dpiの1画素=42.3μmよりも若干大きい程度のスポットサイズでドラム上に結像し、画像部を先に述べたように、+50V程度に除電して、静電潜像を形成する。その後、現像を行い、ポスト帯電器10でトナーをプラスに帯電させると共に感光体とトナー間の吸着力を弱め、転写、分離しやすいようにする。本実施例では、簡易で現像スリーブ寿命までメンテの要らない高耐久な現像方式である黒の磁性一成分現像剤を用いた現像を行う。トナーはポジトナーで重量平均粒径は8.0μmである。トナー補給の動作は、図4の4B付近のトナーがなくなると圧電素子信号によりマグロールを回転させるような信号を出し、マグロールの回転によりホッパー9よりトナーが現像器内に補給される。現像装置4で静電潜像をトナー像にした後、ポスト帯電器10で総電流+100μA(AD+DC)流してトナー像を帯電させた後、矢印方向に進む転写材に転写分離帯電器5により転写し、定着器7に送ってトナー像を定着する。6はクリーナーである。
【0045】
高速機の静電潜像担持体としてa−Siドラムを用いた場合には朝一の画像流れやa−Siが温度特性をもつため、これを防止し、安定に保つ目的でa−Siドラムの中にドラムヒーターが入っている。この時、現像スリーブの材質としてSUSを用いると、熱伝導率が小さいためにドラムヒーターの熱による変形が生じやすくなる。そのため現像スリーブ材質としては、熱伝導率が大きくドラムヒーターによる熱変形の小さいアルミニウム又はアルミニウム合金を使用すると良い。現像スリーブは767.5mm/sの速度で回転する。現像スリーブと感光体ドラムとの距離G1は220μmとし、現像バイアスは振幅1kVpp、周波数2.7kHz、Duty比35%の交流電圧に280Vの直流電圧を重畳させたものを現像スリーブに印加している。
【0046】
以下に実施例を述べるが、それに先立ちここで使用するトナーの概略を記す。現像剤としてはここでは磁性粒子を樹脂中に分散した磁性トナーが使用される。
【0047】
トナーの体積平均粒径は4〜10μm(好ましくは6〜8μm)で、体積平均粒径が4μm未満ではトナーの制御が難しく、特にベタ黒部の濃度が低くなりがちであり、10μmを超えると細線の解像度が劣る。ここでは体積平均粒径7μmのものを用いた。
【0048】
トナーの粒度分布は種々の方法により測定できるが、ここではコールター社のコールターカウンターTA−II型を用いた。電解液として1%NaCl水溶液中に界面活性剤を数滴加えたものに、数mgの試料を数分間、超音波分散させ100μmのアパーチャーを通して、2〜40μmの粒子の粒度分布を計測した。ここでは上記の体積平均粒径7μmのものについて、4μm以下の微粉の量は個数で20%以下、15μm以上の粗粉の量は体積で5%以下としている。
【0049】
トナーのバインダー(結着樹脂)は、一般的にはスチレン系のスチレン−アクリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体等や、フェノール樹脂、ポリエステル等が挙げられる。ここでは、スチレン−アクリル共重合体とスチレン−ブタジエン共重合体を8:2の割合(重量)で用いた。
【0050】
電荷制御剤(通常はトナーに内添されているが外添も可能)にはニグロシン、4級アンモニウム、トリフェニルメタン、イミダゾール等がポジトナーに用いられる。ここではトリフェニルメタンを(樹脂成分100部に対して)2部(重量)内添した。
【0051】
下記の製造例1と同様にして現像スリーブとする。
【0052】
また、ワックス成分としてパラフィン系ワックスを、磁性粒子としてマグネタイトを用いた。また、流動化剤としてシリカをトナーに外添させた。
【0053】
次に現像スリーブについて説明する。
【0054】
(実施例1)
〔ブラスト処理〕 外径32.3mm,肉厚0.65mmのAl(アルミニウム)スリーブの表面をブラスト処理した。ブラスト砥粒として、600メッシュの球形ガラスビーズを用い、次のようにしてブラスト処理を行った。
【0055】
ガラスビーズを36rpmで回転しているスリーブに対して、スリーブから距離150mmの位置の7mm径のノズル4本より4方向から、ブラスト圧:各2.5kg/cm2で9sec間(Total36sec間)吹き付けた。ブラスト処理後、洗浄工程でスリーブ表面を洗浄した後乾燥させる。スリーブの表面粗さRaは0.6μm、Rzは4μmである。
〔メッキ前処理〕 Alスリーブ表面をジンケート処理をして、表面に亜鉛を付着させる。ジンケート処理は、AlスリーブとNi−Pメッキとの密着性を向上させる。ジンケート処理には、市販ジンケート処理剤(商品名:シューマ K−102,日本カニゼン株式会社製)を用いた。
〔Ni−Pメッキ〕 AlスリーブをNi−Pメッキ液中に浸して19μm厚の無電解Ni−Pメッキ層を形成する。Ni−Pメッキ層中のP濃度は10.3wt%である。なお、一般に、P濃度は5〜15wt%の範囲で調整することが好ましい。無電解Ni−Pメッキ液としては、市販のメッキ液(商品名:S−754,日本カニゼン株式会社製)を用いた。
〔Cuメッキ〕 メッキ浴に用いる可溶性銅塩として硫酸銅を用い、そのメッキ浴に対する含有量は0.1mol/lである。
【0056】
ピットの防止、或は、メッキ皮膜の平滑性や外観等の向上などのために、界面活性剤(商品名:ノニオンNS230,日本油脂(株)製)を用い、その添加量は、30g/lである。
【0057】
メッキ浴温は30℃程度、陰極電流密度は5A/dm2であり、層厚は1μmである。
〔Crメッキ〕 Niメッキ処理されたスリーブをCrメッキ液に浸して電気メッキを行い、1μm厚のCrメッキ層を形成する。Crメッキ液としては市販品の触媒無水クロル酸液を用いた。
【0058】
Crメッキされたスリーブ全体の磁気特性は、保磁力が40エルステッド、飽和磁束密度が60ガウスである。
【0059】
また、Crメッキされたスリーブの硬度Hvは605〜640であり、表面粗さは、Raが0.53μm、およびRzが3.54μmである。
〔磁石の装着〕 このようにして処理されたスリーブ内に、表1の磁石を装着させて、現像スリーブとする。
〈評価結果〉 図4に示す現像装置に上で説明した現像スリーブを装着して、これを図5に示す画像形成装置に適用して画像出力耐久試験を行い、現像スリーブの摩耗度を表面粗さで評価した。その結果は、次の表2に示す通りであった。実施例1以外についての実施例についても記載してある。なお、各実施例・比較例のメッキ層の厚さは実施例1と同じである。
【0060】
(実施例2)
G2が240μmである点のみが発明の実施例1と異なるので、この点についてのみ説明する。
【0061】
G2が大きめなので、現像剤担持部材上のトナー量が若干増え、トナーの帯電量が若干低下するため、尾引きも若干悪化するが、依然として比較例に対する優位性は認められる。
【0062】
(実施例3)
図7に示す通り、板状部材42の断面形状が長方形である(厚さt1=t2=1mm)点のみが実施例1と異なるので、この点についてのみ説明する。
【0063】
ブレードの断面形状が長方形であるため、トナー規制能力が若干低下し、現像剤担持部材上のトナー量が若干増え、トナーの帯電量が若干低下するため、尾引きも若干悪化するが、依然として比較例に対する優位性は認められる。
【0064】
(実施例4)
現像剤担持部材の接合層が電気アルミメッキである点のみが実施例1と異なるので、この点についてのみ説明する。
【0065】
AlCl3と1−メチル−3プロピルイミダゾリウムブロマイドとを2:1のモル比に混合溶融してなる浴に、ポリスチレンを濃度4g/l添加してメッキ浴を調整した。次に、スリーブに対し、前処理として、アルカリ脱脂、電解洗浄および酸洗を行ない、水洗後アルコール洗浄し乾燥を行なった。
【0066】
アルミニウム板を陽極、スリーブを陰極として、50℃に保った前記メッキ浴に2.5分間浸漬し、乾燥窒素ガス雰囲気中で直流にてアルミニウムメッキを行った。なお、メッキ浴はスターラーで撹拌した。
【0067】
(実施例5)
現像剤担持部材の中間層が無電解ニッケル−ホウ素メッキである点のみが実施例1と異なるので、この点についてのみ説明する。
【0068】
上記Alスリーブを、無電解ニッケル−ホウ素メッキ液(還元剤としてジメチルアミンボランを含有し、pH6.5)中に70℃で浸漬して、メッキ層を形成した。このメッキ皮膜中のB含有量は1.02wt%であった。
【0069】
(実施例6)
本実施例においては、現像剤担持部材の中間層が無電解Pd−Pメッキである点のみが実施例1と異なるので、その点について説明する。
【0070】
塩化Pd 1.5g/l
エチレンジアミン 5g/l
次亜リン酸ナトリウム 7g/l
チオグリコール酸 0.03g/l
pH 7
温度 50℃
Alスリーブを上記組成のPd−Pメッキ液中に浸して19μm厚のメッキ層を形成する。
【0071】
(実施例7)
本実施例においては、現像剤担持部材の電気硬質メッキがPdを主体とする材料で形成されている点のみが実施例1と異なるので、その点について説明する。
【0072】
ジクロロテトラアンミンPd 4g/l
ピリジン3スルホン酸 5g/l
硝酸タリウム 27ppm
硝酸アンモニウム 400g/l
塩化アンモニウム 107g/l
pH 8
温度 50℃
上記組成のPdメッキ液を攪拌しながら電流密度2A/dm2で20秒行い、1.5μm厚のPdメッキを形成した。
【0073】
〔比較例1〜6〕
実施例1の電気銅メッキの代わりに電気ニッケルメッキを行った点だけが異なるので、この点にのみ説明する。
【0074】
Ni−Pメッキ処理されたスリーブをNiメッキ液に浸して電気メッキを行い、1μm厚のNiメッキ層を形成する。Niメッキ液として、硫酸酸性6水和硫酸ニッケル液を用いた。
【0075】
「尾引き」については、4画素幅の横線の入力画像に対する出力画像についてはほぼ尾引きがない場合を◎、20倍の拡大鏡で観察しなければわからない場合を○、肉眼で観察して気になる場合を△、肉眼で観察して非常に気になる場合を×とした。
【0076】
「耐久後画像特性」は、耐久後の画像についての主観的評価又は定性的評価の結果をレベル分けしたものである。
【0077】
ここで、「耐久後」とは、23℃50%RHの環境において、画像比率6%の原稿を、横送りされるA4版の転写材の両面に連続して出力することを100万回反復した後をいう。一日の稼動時間は約12時間で、出力量は、約6万頁である。
【0078】
表2に記載した従来技術の比較例1乃至3を見れば理解できようが、尾引きは、現像剤担持体を構成する層の磁性に影響されるのは前述のとおりだが、その理由は、接合層の磁性が強いと、現像領域における磁界に乱れが生じ、現像剤担持体上のトナーの穂が絡みあってトナーの穂が長くなり、そのまま潜像担持体へ飛翔するためと考えられる。
【0079】
【表2】
【0080】
この点で、磁性が極めて弱い銅メッキを、接合層として設けることで、尾引きを抑制しつつ、中間層と電気硬質メッキ層の熱膨張特性の差異に起因する内部残留応力を低減し、現像剤電荷制御層の剥離を防止できる。接合層の磁性を弱めても他の層が磁性を帯びていれば、尾引きは悪化する。
【0083】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明は、接合層を実質的に非磁性の物質で形成することにより、尾引きの問題を解決できたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の現像剤担持部材の断面模式図である。
【図2】本発明の現像剤担持部材の表面粗さの概念図である。
【図3】非画像部に穂状に画像がはみ出す現象の説明図である。
【図4】本発明による現像装置の一例を示す概略図である。
【図5】本発明による画像形成装置の一例を示す概略図である。
【図6】現像剤量規制部材の概略構成を示す模式的断面図である。
【図7】現像剤量規制部材の他の概略構成を示す模式的断面図である。
Claims (15)
- 表面に現像剤を担持し搬送する現像剤担持部材において、該現像剤担持部材が、基板、該基板表面より平滑な表面を有する中間層、接合層、および電気硬質メッキ層からなり、
該基板がアルミニウム、アルミニウム合金または銅合金からなり、
該中間層が、Ni−P、Ni−B、Pd−P、Ni−Co−P、Ni−Fe−P、Ni−W−P、Ni−Cu−P及びCo−Pから選択される何れかからなる無電解メッキ層であり、
該接合層がCuメッキ層およびAlメッキ層から選択された何れかであり、更に
該電気硬質メッキ層が、Cr、Pt及びRhから選択される何れかからなるものであることを特徴とする現像剤担持部材。 - 前記基板が、Rz(十点平均粗さ)1〜8μm又はRa(算術均粗さ)0.1〜1.2μmの表面粗さを有することを特徴とする請求項1に記載の現像剤担持部材。
- 前記基板がビッカース硬度Hvが40〜180であることを特徴とする請求項1に記載の現像剤担持部材。
- 前記中間層が3〜30μmの厚さを有することを特徴とする請求項1に記載の現像剤担持部材。
- 中間層が無電解Ni−Pメッキ層であることを特徴とする請求項1に記載の現像剤担持部材。
- 前記電気硬質メッキ層が0.2〜5μmの厚さを有することを特徴とする請求項1に記載の現像剤担持部材。
- 前記電気硬質メッキ層の厚さが前記中間層よりも薄いことを特徴とする請求項1に記載の現像剤担持部材。
- 前記接合層の厚さが0.2〜2μmである請求項1に記載の現像剤担持部材。
- 前記電気硬質メッキ層がCrメッキ層であることを特徴とする請求項1に記載の現像剤担持部材。
- 前記中間層が無電解Ni−Pメッキ層、および、前記電気硬質メッキ層がCrメッキ層であることを特徴とする請求項1に記載の現像剤担持部材。
- 前記接合層がCuメッキ層であることを特徴とする請求項10に記載の現像剤担持部材。
- 表面に静電像を形成する静電像担持体、および、該静電像担持体に対向して配置された現像剤担持部材を有し、現像剤担持部材上に担持された現像剤を静電像担持体対向部に搬送し、静電像を現像する画像形成装置において、該現像剤担持部材が、請求項1記載の現像剤担持部材であることを特徴とする画像形成装置。
- 現像剤担持部材の基板が、円筒基板であり、該円筒内に磁界発生手段を有することを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
- 現像剤担持部材は、周速度が570mm・s-1以上となるよう回転駆動されることを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置。
- 静電像担持体は、アモルファスシリコンを主体とする感光層を有することを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置。
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