JP4629645B2 - 引戸用取手 - Google Patents

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Description

本発明は引戸用取手に関し、さらに詳細には、引戸用取手が本体部とカバーとを備え、本体部は表側から引戸に螺子で取り付け可能に形成され、カバーは螺子を覆うように本体部に開閉可能に取り付けられた引戸用取手に関する。
冷蔵庫、冷凍冷蔵ショーケースその他のショーケースなどの扉には、図5(a)(b)に示したように、本体部51とカバー61とから構成される取手50が取り付けられることがある。本体部51は、図5(b)の断面図に示したように、手で握られる把持部52の両端53が扉70に向けて曲がったコ字形状になっており、両端53にはそれぞれ雌螺子54と孔55とが設けられている。雌螺子54は、扉70側から螺子を螺合させるためのものであり、孔55は表側から螺子を挿通して扉70に螺合させるためのものである。また本体部51には、カバー61を固定するための受け孔56が二箇所に設けられている。
カバー61の内側にはボス62が二つ突設され、これらボス62が本体部51の受け孔56に嵌合されることにより、カバー61は本体部51に固定される。このカバー61は、本体部51の孔55に表側から螺合させた螺子を締め直す際に、取り外しが可能になっている。
一方、建物の引戸や、電車の車両間の引戸などにも、手で握れるように表面に突出した取手が取り付けられることがあり、デザイン的あるいは維持管理上の理由により、本体部の表側がカバーで覆われた引戸用取手が採用されることがある。
しかしながら、このような取手が引戸に用いられた場合には、引戸を開閉するときに手で握られて側方に押されるものであるため、側圧が繰り返し作用する。このような側圧が作用すると、着脱可能に取り付けられたカバーは緩み易く、したがって、冷蔵庫などの扉に用いられる取手をそのまま引戸に適用することは現実的ではない。
また電車の車両間の引戸に使用する場合には、電車走行時の振動による影響も考慮した構成とする必要がある。
なお、住宅用の引戸用取手としては、特許文献1に記載されたものがあるが、この取手は本体部とカバーとから構成されるものではなく、上述のような先行技術の課題を解決するものではない。
特開2003−247361号公報
したがって、本発明の目的は、側圧が繰り返し作用する引戸に使用された場合にも、本体部の表側を覆うカバーが緩み難い引戸用取手を提供することである。
以下、課題を解決するための手段について、添付図面中の参照番号を付して説明する。
本発明では、本体部10は表側から引戸30に螺子で取り付け可能に形成され、当該螺子を覆うように本体部10にカバー20が設けられ、当該カバー20は螺子の緩みを締めなおすために開閉可能にされたものである引戸用取手1において、前記本体部10は、手で握られる把持部11の両端12が同じ方向に曲げられ、当該両端12に螺子孔12a,12bが形成され、本体部10の表側には縁13で囲まれた凹部14が形成され、当該凹部14にはカバー20の係止部22に係合される受け部16が突設され、当該受け部16付近には裏側から工具40を挿入可能な孔17が形成されたものであり、前記カバー20は、前記本体部10の縁13に嵌合する溝21が外周に形成され、当該溝21は本体部10の縁13を内側と外側の両側から挟むように形成されたフランジ部21a,21bを含み、本体部10の受け部16に対向する位置に係止部22が突設されたものであり、前記カバー20と前記本体部10とは、係止部22を受け部16に係合し、溝21を縁13に嵌合することにより、本体部10に取り付けたカバー20を表側から取り外し不可能にする一方で、係止部22と受け部16との係合状態を解除するための工具40を把持部13の孔17に裏側から挿入可能に形成したことを特徴とする引戸用取手1が提供される。
本発明の引戸用取手1において、前記本体部10の受け部16は先端16aから中間部に向けて徐々に断面が拡大し、中間部には断面が縮小して両側に顎状部16bが形成されたものとすることができる。また前記カバー20の係止部22は、前記本体部10の受け部16を両側から挟む一対の爪22からなり、当該一対の爪22には本体部10の両側の顎状部16bに係合する顎状部22bが形成されたものとすることができる。前記カバー20の一対の爪22は、その間隔を拡大させることができるように、弾性変形可能に形成することにより、前記本体部10の受け部16に着脱可能なようにしても良い。
また本発明の引戸用取手1において、前記カバー20の一対の爪22には、前記本体部10の受け部16に係合されたときに、楔状の先端部41を有する工具40が嵌合可能な隙間23を形成するようにテーパー面22cを設けても良い。この一対の爪22の隙間に、工具の楔状の先端部を嵌合させて押し込めば、一対の爪22は開く方向に弾性変形し、前記本体部10の受け部16から係合解除することが可能になる。
本発明の引戸用取手は本体部とカバーとからなり、本体部にはその表側の凹部に受け部が突設され、凹部の外周に縁が設けられ、一方、カバーには内側フランジ部と外側フランジ部とからなる溝が形成され、本体部の受け部に対向する位置に係止部が突設されている。したがって、本体部にカバーを取り付けたとき、カバーの係止部が本体部の受け部に係合し、カバーの溝が本体部の縁に嵌合し、これら係合部と嵌合部の複合的な作用により、側圧を繰り返し受けた場合にも、カバーは本体部から緩むことなく保持される。
また本体部の受け部付近には孔が形成されており、この孔から工具を挿入し、カバーの係止部と本体部の受け部との係合状態を解除することが可能であり、本体部の螺子が緩んだ場合には、これを締め直すことができる。なお、工具を挿入する孔は、表側からは見えず、裏側からのみ工具を挿入するものであるため、いたずら等によりカバーが外されることを防止できる。
以下、図面を参照して本発明について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明にかかる引戸用取手1は、図1及び図2に示したように、本体部10とカバー20とから構成される。
ここで、図1は引戸30に取り付けられた状態を示す側面図である。図2(a)は本体部10からカバー20が外された状態を示す側面図、図2(b)は一点鎖A―A部分の断面図である。また図3(a)は引戸用取手1を引戸30側から見た裏面図、図3(b)は一点鎖B―B部分の断面図、図3(c)は一点鎖C−C部分の断面図、図3(d)は一点鎖D−D部分の断面図である。
本体部10は、図1及び図2のように側方から見たとき、手で握られる把持部11の両端が引戸30に向けて曲がったコ字形状に形成される。これら両端12には、図3(d)の断面図に示したように、それぞれ雌螺子12aと孔12bとが設けられる。雌螺子12aは、引戸30側から螺子を螺合させるためのものであり、孔12bは引戸用取手1の表側から螺子を挿通し、引戸30に螺合させるためのものである。
本体部10は、例えば、金型に溶融金属を流し込んで形成可能なものであり、内部が刳り貫かれたような形状に形成される。すなわち、本体部10の表側には、図2(b)で示したように縁13で囲まれた凹部14が形成され、この凹部14を囲む縁13は肉厚が下方部分15よりも比較的薄くされ、後述するカバー20の溝21を嵌合し易くすると共に、本体部10とカバー20との接合部に段差ができないようにされる。
凹部14には、受け部16が複数箇所に突設されている。受け部16は、図2(b)の断面図に示したように、先端16aの曲面から中間部に向けて徐々に断面が拡大し、中間部で断面が縮小して両側に顎状部16bが形成され、さらに顎状部16bから根元16cまで徐々に断面が縮小するように形成されている。また受け部16は、図2(a)及び図3(a)に示したように、把持部11と同じ方向に所定長さ延びるように形成されたものであり、受け部16の根元16cには、受け部16よりも若干長いスリット17(孔)が両側に形成されている。このスリット17は、後述する工具40を挿入するための孔である。
一方、カバー20は、例えば、金型に溶融した合成樹脂材料を流し込んで形成可能なものであり、図2(a)(b)に示したように、本体部10の縁13に嵌合する溝21が外周に形成され、この溝21は、本体部の縁13を外側と内側の両側から挟むように形成されたフランジ部21a,21bから構成される。
またカバー20には、本体部10の受け部16に対向する位置に一対の爪22が突設される。この一対の爪22は、本体部10の受け部16を両側から挟むように係合されるものであり、根元22aからほぼ同じ厚さ(断面)で立ち上げられ、先端付近には対向する面に顎状部22bが形成され、これが受け部16の両側の顎状部16bに係合される。顎状部22bよりも先端は、楔状に尖るようにテーパー面22cが設けられている。この一対のテーパー面22cは、その隙間が先端に向けて拡大するような角度及び配置で設けられる。テーパー面22cは、図3(b)のように一対の爪22が本体部10の受け部16に係合したとき、受け部16との間に隙間23を形成するものである。この隙間23は、楔状の先端部41を有する工具40(図4参照)が差し込まれると、テーパー面22cが工具40で押され、一対の爪22が弾性変形して押し開かれるものである。またテーパー面22cは、一対の爪22を本体部10の受け部16に押し込み易くするものである。
なお、一対の爪22は、本体部10の受け部16へ係合する際に、図2(b)の矢印Rで示した方向に弾性変形して間隔を拡大できれば良く、根元22aからほぼ同じ厚さに形成されたものに限定されない。
次に、孔は引戸用取手1の作用について説明する。
本発明にかかる引戸用取手1は、カバー20の一対の爪22,22が本体部10の受け部16に係合し、カバー20の溝21が本体部10の縁13に嵌合することにより、カバー20が本体部10に固定されるものであるため、引戸用取手1に繰り返し側圧が作用しても、カバー20の緩みを防止することができる。
例えば、カバー20に一対の爪22,22のみが設けられ、溝21が形成されていない場合には、引戸用取手1が側圧を受けると、カバー20の一対の爪22,22は受け部16を中心として回転方向に動いてしまい、カバー20に緩みが生じる。
しかしながら、引戸用取手1では、カバー20の溝21が、内側フランジ部21aと外側フランジ部21bとから構成されるものであるため、引戸用取手1に側圧が作用した際にも、フランジ部21a,21bのいずれか一方は、本体部10の縁13から反力を受けて保持され、本体部10の受け部16を中心としたカバー20の回転は阻止される。
したがって、引戸用取手1では、一対の爪22,22と受け部16との係合部、及び溝21と縁13との嵌合部の複合的な作用により、側圧を繰り返し受けた場合にも、カバー20は本体部10から緩むことなく保持される。
また本発明の引戸用取手1において、本体部10を引戸に固定している螺子に緩みが生じた場合には、カバー20を取り外して螺子を締め直す必要がある。このような場合には、図4に示したように、断面がコ字形状で先端部41が楔状に形成された工具40を使用してカバー20が取り外される。
すなわち、工具40の先端部41を本体部10のスリット17に挿入すると、楔状の先端部41は、一対の爪22のテーパー面22cと本体部10の受け部16との隙間23(図3(b))に嵌合する。そして、工具40をさらに押し込むと、図4に示したように、一対の爪22は楔状の先端部41により押し開かれ、その顎状部22bが受け部16の顎状部16bから係合解除され、カバー20は本体部10から取り外し可能になる。このように引戸用取手1からカバー20を取り外す操作は、本体部10の裏側のスリット17からのみ可能であり、したがって、カバー20が誤って取り外されることを防止できる。
逆に、カバー20を本体部10に取り付ける際には、一対の爪22を本体部10の受け部16の位置に合わせ、カバー20を押し込むだけで、一対の爪22のテーパー面22cが受け部16の先端の拡大する曲面を摺動し、一対の爪22は押し開かれてその顎状部22bが受け部16の顎状部16bに係合される。したがって、メンテナンス時の取り扱いは極めて容易である。
本発明にかかる引戸用取手を示す側面図である。 図2(a)は本体部からカバーが外された状態を示す側面図、図2(b)は一点鎖A―A部分の断面図である。 (a)は引戸用取手を引戸側から見た裏面図、(b)は一点鎖B―B部分の断面図、(c)は一点鎖C−C部分の断面図、(d)は一点鎖D−D部分の断面図である。 工具を使用して本体部からカバーを外す動作を示した断面図である。 (a)は従来例の側面図、(b)は本体部からカバーが外された状態を示す図であり、本体部は断面図、カバーの上半分は側面図、カバーの下半分は断面図である。
符号の説明
1 引戸用取手
10 本体部
11 把持部
12 本体部の両端
12a 雌螺子
12b 孔
13 縁
14 凹部
16 受け部
17 工具を挿入可能な孔
20 カバー
21 溝
21a 内側のフランジ部
21b 外側のフランジ部
22 係止部
30 引戸
40 工具

Claims (3)

  1. 本体部は表側から引戸に螺子で取り付け可能に形成され、当該螺子を覆うように本体部にカバーが設けられ、当該カバーは螺子の緩みを締めなおすために開閉可能にされたものである引戸用取手において、
    前記本体部は、手で握られる把持部の両端が同じ方向に曲げられ、当該両端に螺子孔が形成され、本体部の表側には縁で囲まれた凹部が形成され、当該凹部にはカバーの係止部に係合される受け部が突設され、当該受け部付近には裏側から工具を挿入可能な孔が形成されたものであり、
    前記カバーは、前記本体部の縁に嵌合する溝が外周に形成され、当該溝は本体部の縁を外側と内側の両側から挟むように形成されたフランジ部を含み、本体部の受け部に対向する位置に係止部が突設されたものであり、
    前記カバーと前記本体部とは、係止部を受け部に係合し、溝を縁に嵌合することにより、本体部に取り付けたカバーを表側から取り外し不可能にする一方で、係止部と受け部との係合状態を解除するための工具を把持部の孔に裏側から挿入可能に形成したことを特徴とする引戸用取手。
  2. 前記本体部の受け部は先端から中間部に向けて徐々に断面が拡大し、中間部には断面が縮小して両側に顎状部が形成され、前記カバーの係止部は前記本体部の受け部を両側から挟む一対の爪からなり、当該一対の爪には本体部の両側の顎状部に係合する顎状部が形成されたものである請求項1に記載の引戸用取手。
  3. 前記カバーの一対の爪は、前記本体部の受け部に係合されたときに、楔状の先端部を有する工具が嵌合可能な隙間を形成するようにテーパー面を有することを特徴とし、
    当該隙間に、工具の楔状の先端部が嵌合して押し込まれると、一対の爪が開く方向に弾性変形し、前記本体部の受け部から係合解除されるものである請求項2に記載の引戸用取手。
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