JP4629397B2 - ピペットチップ - Google Patents

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Description

本発明はピペットチップに関する。
ピペットチップはピペット装置と共に液体の計量に使用される。ピペットチップは、ピペット開口を下端に持ち、ピペット装置の受けシャンクに取り付けられる取付け用開口を上端に持つ長手の管状体を備える。受けシャンクは通常、円錐形である。しかし、円筒状の受けシャンクまたは複合形のものも知られている。さらに、密封または締め作用を強化するための周方向突起等を備えた円錐ないし円筒状の受けシャンクがある。ピペット装置は気体変位装置を備え、それは通常、ピストン・シリンダーユニットとして設計されている。気体変位装置は受けシャンクの貫通開口に連結される。ピペットチップは、ピペット装置上のピペットチップの取付け用開口にピペット装置の受けシャンクを押し込めることにより固定される。
気体変位装置によって気体柱が変位し、受けシャンクに置かれたピペットチップに液体を吸引したり、チップからそれを排出する。通常、気体柱は空気柱である。気体柱がピペットチップから遠ざかる方向に変位すると、ある量の液体がピペット開口を通して管状体内に吸引される。ピペットチップの方向に気体柱を変位させることによって、ある量の液体が開口を通して管状体から分配される。
受けシャンクからピペットチップを手で持ち上げる形体のピペット装置がある。典型的なピペット装置は、受けシャンクからピペットチップを強制的に取り外すよう、ピペットチップの上端部に作用する取外し装置を備えている。
ピペット装置は手動ピペットまたは計量ステーションにあり得、気体変位装置は手で操作するか、あるいはモータ駆動することができる。ピペットチップの取付けと取外しも手動あるいはモータ駆動で行える。
不完全なピペット作用を回避するためには、ピペットチップを受けシャンクに密閉状に固定させなければならない。さらに、受けシャンクにピペットチップを取り付けたり、それを取り外す力はあまり強くするべきでない。ピペットチップと受けシャンクの接触領域は環状である。環状の接触領域で、ピペットチップは比較的硬直である。したがって、取り付けたり、取り外す力は既に強すぎる。取り外されるとき、接触領域は全体として密着摩擦から滑り摩擦へ同時に変化する。その結果、取外しにははるかに大きな力を作用させなければならない。
したがって、本発明の目的は、受けシャンクから解放するための取外し力を弱め、ヘッド領域でのたわみ性を高めたピペットチップを提供することにある。
この目的はクレーム1の特徴を持ったピペットチップによって達成される。ピペットチップの有利な実施例はサブクレームに示されている。
下端にピペット開口を、上端にピペット装置の受けシャンクに取り付けられる取付け用開口を、そして上端の近傍に閉曲線に沿った周方向リブを備えた長手の管状体を持つプラスチック製の、発明によるピペットチップは、異なる形状位置に下端からの異なる間隔と、周方向リブの内面の回転面上における周方向の接触領域と、下端から最大距離を持つ周方向リブの少なくとも1つの位置から上端まで延びた少なくとも1つの更なるリブを備える。
発明によるピペットチップは、周方向リブの内面の回転面に周方向の接触領域を備え、それがピペット装置の受けシャンクと密封状に接触する。回転面はリブの内面上に形成されるか、あるいはリブの内面と一致する接触領域の意図される回転面である。それは例えば円錐状または円筒状である。受けシャンクは、接触領域と密封状に接触するよう相応して構成された別の接触領域を備える。
取り外し時に、ピペット装置の取外し装置が、ピペットチップの上端を少なくとも1つの更なるリブに対して押圧する。少なくとも1つの更なるリブによって、取外し力は下端から最大距離の周方向リブの少なくとも1つの位置へ伝えられる。その結果、この周方向リブの少なくとも1つの位置が下端の方向にわずかに押圧される。ピペットチップの管状体に直交する面に対して、周方向リブがわずかに平らに押圧される。その少なくとも1つの更なるリブは硬直した領域を形成し、力が伝えられた際、それは比較的小さく変形するだけである。周方向リブはその少なくとも1つの更なるリブを横切る方向に位置するので、更なるリブの方向に導入される力によって比較的容易に変形可能である。その結果、周方向リブはわずかに拡がり、周方向リブまたは接触領域の内面と受けシャンクとの静止摩擦はその分小さくなる。したがって、受けシャンクからピペットチップを解放するのに必要な取外し力が小さいものになる。さらに、ピペットチップは周方向リブの領域においてより柔軟であるため、受けシャンクに取り付けるための力も小さくなり、種々の受けシャンクに取り付けることが容易になる。
周方向リブが沿って延びる曲線は種々の形状が可能である。実施例によれば、周方向リブは正弦曲線または矩形曲線または三角曲線またはのこぎり歯曲線または他の周期曲線に相当する経路を持つ。主要な角部を持つ矩形曲線または三角曲線またはのこぎり歯曲線または他の曲線は、角部で丸みを付けることもできる。
周方向リブは外周で1つ以上の周期にわたって延びる。複数の周期にわたって延びる場合、周方向リブは下端からの最大距離を持つ複数の位置を備え、その位置で複数の更なるリブを介して周方向リブへ取外し力を対称的に導入することができる。その結果、取外し力が特に有利に減少され、たわみ性が増す。
実施例によれば、接触領域は円形の経路または周方向リブの経路に対応する経路を持つ。したがって、接触領域は、例えば正弦曲線または矩形曲線または三角曲線またはのこぎり歯曲線または他の周期曲線の経路を持つ。回転面上での接触領域の配置の結果、ピペットチップは常に受けシャンク上の所望の回転位置に取り付けることができる。
原則として、周方向リブの内面全体が接触領域になりえる。実施例によれば、接触領域の高い圧縮を得るために、接触領域は線形または帯形である。帯形の接触領域は、周方向リブの(ピペットチップの軸線方向視で)全高さ、またはその一部のみにわたって延びることができる。
実施例によれば、周方向リブおよび/または少なくとも1つの更なるリブは管状体から外方および/または内方に突出する。
実施例によれば、周方向リブの内面は円錐状または円筒状である。円錐状または円筒状は、円錐状または円筒状の受けシャンクへの取付けに特に適している。接触領域が延びる回転面も円錐状または円筒状であることば望ましい。
実施例によれば、少なくとも更なるリブは管状体の軸心と平行に位置し、かつ/またはそれに対して傾斜している。
ピペットチップの上端は種々の形に設計できる。実施例によれば、上端は平面状であるか、または周方向リブと平行な経路を持っている。後者の場合、上端は下端から最大距離を持つ箇所を少なくとも1つ含み、そこを介して取外し力を導入し得る。
少なくとも1つの更なるリブへの取外し力の導入の助けとなる実施例によれば、少なくとも1つの更なるリブは上端で更なる周方向リブにつながっている。これにより、平面状の上端または周方向リブと平行なピペットチップの上端を形成することができる。
実施例によれば、管状体の軸心の方向に傾斜した更なるリブは、下端からの最大距離を持つ周方向リブの位置と上端に配置された位置で互いにつながっている。
取外し力は上端での接続点を介して更なるリブへ導入され、下端から最大距離を持つ周方向リブの位置へそこから伝えられる。更なるリブの傾斜の結果、トグル機構でのように取外し力が伝えられ、特に強い力が周方向リブへ導入することができる。
実施例によれば、傾斜した更なるリブは、更なる周方向リブ上で互いにつながっている。したがって、傾斜した更なるリブが同時にピペットチップの上端を形成する。
実施例によれば、管状体は、下端に対向する面上の周方向リブに隣接した柔軟な軸領域で、下端に近い領域よりも薄い肉厚および/または柔軟な材質を持つ。柔軟な軸領域は、少なくとも1つの更なるリブを介して導入される取外し力による周方向リブの変形と、シール領域のたわみ性を促進する。
実施例によれば、管状体は、周方向リブと少なくとも1つの更なるリブの間で、そして任意で更なる周方向リブとの間で、壁を持たないか、あるいは下端と周方向リブまたは柔軟な軸領域の間よりも薄い肉厚および/または柔軟な材質を持つ。その結果、上端からの力の伝達が少なくとも1つの更なるリブを介して促進され、取外しが容易になり、たわみ性が向上する。
周方向リブを柔軟な軸領域にわたって支持し、および/または射出型における射出を向上させるために、実施例によれば、ピペットチップは、下端から最小距離の周方向リブの位置から下端の方向に位置する更なるリブを備える。これらのリブが、実質的により柔軟な軸領域にわたって延びることが望ましい。
最後に、実施例によれば、ピペットチップは少なくとも1つのプラスチック材から一体的に製造される。ピペットチップは単一のプラスチック材から有利に製造することができ、上部領域のたわみ性が肉厚の変動または穿孔によって向上する。さらに、ピペットチップは、種々の剛性または柔軟性を持つ複数の異なるプラスチックから多成分射出成形によって有利に製造することができる。
以下、実施例を示す添付図を参照して、ピペットチップをより詳細に説明する。
図1a〜図1dは、波形の周方向リブと軸心と平行な更なるリブを持つピペットチップを示す斜視側面図(図1a)と、その上端部を拡大して詳細に示す同方向の斜視図(図1b)と、上端部の拡大縦断面図(図1c)と、同断面部分の斜視図(図1d)であり;
図2aおよび図2bは、上端部にさらに周方向リブを備えたピペットチップを示す上端部の縦断面図(図2a)と、同断面部分の斜視図(図2b)であり;
図3aおよび図3bは、周方向リブ上で互いにつながった斜め方向のさらなるリブを備えたピペットチップを示す上端部の拡大側面図(図3a)と、上端部を上から見た斜視図(図3b)である。
以下の種々の実施例の説明で、同様の要件には同じ参照番号を付している。
図1によれば、ピペットチップ1は長手の管状体2を持ち、それは、実質的に円錐形の第1部分2’と、円筒形の主要部2”と、後で詳述するヘッド部2”’を備えている。
管状体2は下端3にピペット開口4を持ち、上端5に、ピペット装置の受けシャンクに載置される載置用開口6を備える。ピペットチップの下端3は使用時に常に下に位置するためにそう呼び、上端5の名称は使用時にそれが常に上に位置することに基づく。
ヘッド部2”’は、閉曲線に沿った周方向リブ7を上端5から離れた箇所に持っている。リブ7は管状体2の外面と内面からわずかに突出している。その横断面はほぼ矩形である。それは波形の経路を持つ、つまりピペットチップの軸線に直交する面に対して波形ないし正弦形に延びている。この例において、リブ7は正弦関数の3つの周期にわたって延びている。
リブ7の内部形状は、直線状で円形の接触領域8を含んでいる。
上端5は周方向リブ7の経路と平行な経路を持っている。
周方向リブ7の3つの最高箇所9’、9”、9”’、つまり下端3からの最大の距離の周方向リブ7の位置、からさらに3つのリブ’10’、10”、10”’が上端5まで管状体2の軸線と平行に延びる。その更なるリブ10’、10”、10”’も管状体2の内外面からわずかに突出し、ほぼ矩形の横断面を持つ。
さらに、管状体2は軸方向に延びるリブ11’、11”、11”’を備え、それらは周方向リブ7の3つの最低箇所9IV、9V、9VI、つまり下端3に最も近い周方向リブ7の位置、から延びている。これらのリブ11’、11”、11”’はヘッド領域2”’の下側部分にわたって主要部2”まで延び、管状体2の両面から突出している。さらに、それらはほぼ矩形の横断面形状になっている。それらは、外部で下方段部12’、12”、12”’を形成し、内部で段部13’、13”、13”’を備える。段部12’、12”、12”’は、保持装置(「ラック」)の孔のエッジにそれを支持する役目をし、段部13’、13”、13”’は受けシャンク上での載置を規制する役目をする。
リブ10’、10”、10”’および11’、11”、11”’間の周方向リブ7の両面上のヘッド部2”’で、管状体2は主要部2”に対して肉厚が薄くなっている。
受けシャンクにピペット装置を取り付ける際、円形の接触領域8は密封、密着を保証する。取外し装置がリブ10’〜10”’の上端に対して押し付けられると、周方向リブ7は最高箇所9’〜9”’で下方へ押される。したがって、周方向リブ7は最低箇所9IV、9V、9VIでリブ11’〜11”’に支持される。その結果、周方向リブ7つまり接触領域8の内面が拡がって、取出しに必要な取出し力が小さくなる。ヘッド領域2”’の薄い肉厚によって、開示された変形が促進される。さらに、受けシャンク上へと押すのに必要な力を小さくするヘッド領域2”’の高いたわみ性によって、種々の寸法の受けシャンク上への押し付けを容易にする。
図2の実施例は、特に上端5に別の周方向リブ14が存在する点で上記のものと異なる。その結果、リブ10’〜10”’の上端内への力の導入が向上する。さらに、接触領域8’の経路は周方向リブ7の正弦形経路に追従する。接触領域8’は回転の円錐面上に位置する。例えば、リブ7の内面全体が円錐形になっている。
図3の実施例は、管状体2の軸線に平行な更なるリブ10’〜10”’の代わりに、管状体2の軸線の方向に傾斜したリブ15’〜l5VIが存在する点で上記のものと異なる。これらはそれぞれ、一端で最高箇所9’〜9”’に、他端で隣接した更なるリブ15’〜15VIにつながり、全体として更なる周方向リブ16を形成する。
最後に言及された接続点17’〜17”’で、傾斜した更なるリブ15’〜l5VIは下端3からの最も遠い距離にある。取外し装置はそこに取り付けることができ、傾斜した更なるリブ15’〜l5VIを介して最高箇所9’〜9”’を下方へ押し、周方向リブ7の内部形状の拡がり実現する。この実施例は、周方向リブ7と傾斜リブ15’〜l5VIの間に自由空間18’、18”、18”’を持ち、ヘッド領域2”’のたわみ性をさらに高める。周方向リブ7の他の面上でヘッド部2”’の肉厚が減少している。
第1実施例に係るピペットチップを示す斜視側面図である。 第1実施例に係るピペットチップの上端部を拡大して詳細に示す同方向の斜視図である。 第1実施例に係るピペットチップの上端部の拡大縦断面図である。 第1実施例に係るピペットチップの上端部の断面部分の斜視図である。 上端部にさらに周方向リブを備えた第2実施例に係るピペットチップを示す上端部の縦断面図である。 第2実施例の同断面部分の斜視図である。 周方向リブ上で互いにつながった斜め方向のさらなるリブを備えた第3実施例に係るピペットチップを示す上端部の拡大側面図である。 第3実施例に係るピペットチップの上端部を上から見た斜視図である。
符号の説明
1 … ピペットチップ
2 … 管状体
3 … 下端
5 … 上端
7 … 周方向リブ
8 … 接触領域
10’〜10”’… リブ
11’〜11”’… リブ

Claims (15)

  1. 下端(3)にピペット開口(4)を、上端(5)にピペット装置の受けシャンクに取り付けられる取付け用開口(6)を、そして上端(5)の近傍に閉曲線に沿った周方向リブ(7)を備えた長手の管状体(2)を持つプラスチック製ピペットチップであって、周方向リブ(7)の外周における複数の位置で下端(3)からの距離が異なっており、周方向リブ(7)の内面の回転面上に周方向の接触領域(8)を備え、かつ、下端から最大距離を持つ周方向リブ(7)の少なくとも1つの位置(9’、9”、9”’)から上端(5)まで延びた少なくとも1つの更なるリブ(10’、10”、10”’)を備えたピペットチップ。
  2. 周方向リブ(7)が正弦曲線または矩形曲線または三角曲線またはのこぎり歯曲線または他の周期曲線に相当する経路を持つ請求項1に記載のピペットチップ。
  3. 接触領域(8)が円形の経路または周方向リブ(7)の経路に対応する経路を持つ請求項1または2に記載のピペットチップ。
  4. 接触領域(8)が線形または帯形である請求項1から3のいずれかに記載のピペットチップ。
  5. 周方向リブ(7)および/または少なくとも1つの更なるリブ(10’、10”、10”’)が管状体(2)から外方および/または内方に突出した請求項1から4のいずれかに記載のピペットチップ。
  6. 周方向リブ(7)の内面が円錐状または円筒状である請求項1から5のいずれかに記載のピペットチップ。
  7. 少なくとも更なるリブ(10’、10”、10”’)が管状体(2)の軸心と平行に位置し、かつ/またはそれに対して傾斜している請求項1から6のいずれかに記載のピペットチップ。
  8. 上端(5)が平面状であるか、または周方向リブ(7)と平行な経路を持っている請求項1から7のいずれかに記載のピペットチップ。
  9. 少なくとも1つの更なるリブ(10’、10”、10”’)が上端(5)で更なる周方向リブ(14)につながっている請求項1から8のいずれかに記載のピペットチップ。
  10. 前記更なるリブ(10’、10”、10”’)に代えて、管状体(2)の軸心に対して傾斜した更なるリブ(15’〜15VIを備え、前記更なるリブ(15’〜15 VI )が、下端からの最大距離を持つ周方向リブ(7)の位置(9’、9”、9”’)と上端(5)に配置された位置で互いにつながっている請求項1から9のいずれかに記載のピペットチップ。
  11. 傾斜した更なるリブ(15’〜15VI)が更なる周方向リブ(16)上で互いにつながっている請求項10に記載のピペットチップ。
  12. 管状体(2)が、下端(3)に対向する面上の周方向リブ(7)に隣接した柔軟な軸領域(2”’)で、下端(3)に近い領域(2)よりも薄い肉厚および/または柔軟な材質を持つ請求項1から11のいずれかに記載のピペットチップ。
  13. 管状体(2)が、周方向リブ(7)と少なくとも1つの更なるリブ(10’〜10”’)の間で、そして任意で更なる周方向リブ(14)との間で、壁を持たないか、あるいは下端(3)と周方向リブ(7)または柔軟な軸領域(2”’)の間よりも薄い肉厚および/または柔軟な材質を持つ請求項1から12のいずれかに記載のピペットチップ。
  14. 下端(3)から最小距離の周方向リブ(7)の位置(9IV、9V、9VI)から下端(3)の方向に位置する更なるリブ(11’〜11”’)を備える請求項1から13のいずれかに記載のピペットチップ。
  15. 少なくとも1つのプラスチック材から一体的に製造される請求項1から14のいずれかに記載のピペットチップ。
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