JP4881705B2 - 離脱機構、および、ノズルチップ - Google Patents

離脱機構、および、ノズルチップ Download PDF

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Description

本発明は、ノズル装置のフィッティング部からノズルチップを離脱させる離脱技術に関する。
従来から、液体の吸引・吐出を行うノズル装置が広く知られている。このノズル装置の中には、処理対象の液体の汚染防止等のために、ノズルの先端部分が交換可能なものがある。かかるノズル装置は、ポンプに連通された略筒状のフィッティング部を備えており、当該フィッティング部にノズルチップと呼ばれるパイプが挿入、嵌合される。そして、このノズルチップをフィッティング部から取り外す際には、いわゆるチップリムーバが利用される場合が多かった。チップリムーバは、切り欠き等が形成された板材である。チップ離脱時には、当該切り欠きの内側にフィッティング部を移動させる。そして、切り欠きの内側にあるフィッティング部を上昇させて、装着されているノズルチップの上端面を切り欠きの周縁に衝突させ、ノズルチップを離脱させるものである。しかし、この従来の離脱技術は、単にノズル軸方向にノズルチップを引っ張っているに過ぎず、比較的、大きな離脱力が必要となる。
特許文献1には、かかる問題を解決するために、チップ離脱時に、ノズルチップに対して水平方向の押圧力を加える技術が開示されている。すなわち、特許文献1では、水平方向の押圧力を加えるために、予め、水平方向に延びる二枚の押圧板を設けている。そして、チップ離脱時には、フィッティング部を左右に移動させて、装着されているノズルチップの側面に当該二枚の押圧板を衝突させる。この衝突によりノズルチップには水平方向の押圧力が付加されることになる。ノズルチップを水平方向に押圧した後は、従来と同様に、当該ノズルチップに軸方向下向きの力を付加して、ノズルチップをフィッティング部から離脱させる。このとき、水平方向に付加された押圧力により、ノズルチップとフィッティング部との嵌合は緩まっているため、離脱のために必要な軸方向の力は、従来に比べて、小さくなる。つまり、特許文献1に記載の技術によれば、チップ離脱に要する軸方向下向きの力を小さくすることができる。
特開平11−248714号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、チップ離脱に要するフィッティング部の移動量が大きく時間がかかり、また、その移動のための制御も複雑になるという問題がある。
そこで、本発明では、より簡易に、かつ、円滑にノズルチップをフィッティング部から離脱させることができ得る離脱機構、および、ノズルチップを提供することを目的とする。
本発明のノズル装置は、ノズル装置のフィッティング部からノズルチップを離脱させる離脱機構であって、チップ離脱時に、当該ノズルチップを離脱方向に押圧する押圧手段と、ノズルチップに係合する係合部材を備え、前記押圧手段の押圧力を発生させる駆動源とは別の駆動源で当該係合部材を駆動してノズルチップをフィッティング部に対して回動させる回動手段と、を備えることを特徴とする。
好適な態様では、押圧手段は、フィッティング部の軸線上において昇降自在に設けられた移動部材と、移動部材を離脱方向に移動させる移動機構と、を備え、回動手段は、移動部材の底面または側面に設けられ、ノズルチップに係合する前記係合部材と、前記係合部材が設けられた移動部材を回動させる回動機構と、を備える。
他の好適な態様では、押圧手段は、所定のチップ廃棄位置においてフィッティング部が上昇した際、当該フィッティング部に装着されたノズルチップの上端面が引っ掛かるフック部材を備え、回動手段は、前記係合部材として機能する回転歯車であって、前記チップ廃棄位置におけるノズルチップに形成された歯車に歯合する回転歯車と、当該回転歯車を回動させる回動機構と、を備える。
他の本発明であるノズルチップは、上述した離脱機構によりノズル装置のフィッティング部から離脱されるノズルチップであって、ノズルチップをフィッティング部から離脱させる前記離脱機構に設けられた前記係合部材と係合する被係合部を備えることを特徴とする。好適な態様では、被係合部は、ノズルチップの上端または側面に形成された凹凸であって、係合部材に形成された凹凸に対応する凹凸である。
本発明によれば、ノズルチップを離脱方向に押圧するとともに回動させることができる。そのため、離脱に要する力を低減しつつ、ノズルチップの内圧変化を緩慢にすることができる。その結果、より簡易に、かつ、円滑にノズルチップをフィッティング部から離脱させることができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態であるノズル装置10の概略構成図である。また、図2は、ノズル装置のうちノズル基部12周辺の正面図および側面図である。
このノズル装置10は、ノズルを用いて液体の吸引・吐出を行う装置である。このノズルの先端部分は、吸引・吐出対象の液体の汚染防止のために、交換可能となっている。すなわち、ノズル装置10は、ポンプ26に接続された略筒状のフィッティング部22を備えており、当該フィッティング部22にはノズルチップ60と呼ばれるパイプ部材が着脱自在に装着される。このノズル装置10で、液体の吸引・吐出処理を行う場合は、予め、新しいノズルチップ60をフィッティング部22に嵌合させて装着しておく。そして、所定の処理が終了すれば、フィッティング部22からノズルチップ60を離脱させ、廃棄する。ここで、本実施形態のノズル装置10は、ノズルチップ60のフィッティング部22からの離脱をより簡易に行うために、特殊な態様の離脱機構が組み込まれている。以下、このノズル装置10について詳説する。
フィッティング部22などを有するノズル基部12は、XYZ駆動部32により水平方向および垂直方向の移動が可能となっている。XYZ駆動部32は、モータや、当該モータの出力をノズル基部12に伝達する伝達機構などから構成されており、制御部45により制御される。
フィッティング部22は、その内部に管状の空間が形成された筒状の軸部材であり、ノズル基部12のフレーム14に対して固定配置された部材である。フィッティング部22の内部に形成された管状の空間は、分注ポンプ26の配管24に接続されており、分注ポンプ26からのエア圧力をフィッティング部22に装着されたノズルチップ60に伝達するポンプ配管として機能する。分注ポンプ26は、制御部45からの指示に応じてポンプ駆動部28により駆動制御される。
フィッティング部22の下端には、ノズルチップ60が嵌合、装着される。このフィッティング部22は、ノズルチップ60の内部形状に応じた外部形状を備えており、下端に向かって僅かなテーパが形成されている。
フィッティング部22の上側には、離脱機構を構成するリムーバ20が設けられている。リムーバ20は、フィッティング部22と同軸上に設けられた略筒状の部材である。このリムーバ20は、リムーバ駆動部30により回動および昇降駆動される。また、リムーバ20の下端には、ノズルチップ60と係合する係合部が形成されているがこれについては後に詳説する。
リムーバ駆動部30は、リムーバ20を昇降駆動する昇降機構と、リムーバ20を回転駆動する回転機構と、から構成される。図2に示すように、昇降機構は、駆動源である昇降用モータ46、昇降用モータ46の駆動に応じて自転するリードスクリュー50、当該リードスクリュー50に螺合されたスライダ48などから構成される。昇降用モータ46の駆動に応じてリードスクリュー50が自転すると、当該リードスクリュー50に螺合されたスライダ48が昇降することになる。このスライダ48は、後述する回動機構に接続されている。したがって、スライダ48が昇降することにより、回動機構および当該回動機構に接続されたリムーバ20の昇降が実現される。
回動機構は、回動用モータ52、当該回動用モータ52に接続された回転アーム54などから構成されている。回転アーム54は、カップリング等を介して回動用モータ52の出力軸に接続されており、当該回動用モータ52の駆動に応じて回動するようになっている。この回転アーム54は、リムーバ20に接続されているため、当該回転アーム54の回転に伴い、リムーバ20が回動するようになっている。
リムーバ20の同軸上には、幾つかのスプリング18,19が設けられている。このスプリング18,19は、リムーバ20がノズルチップ60を押圧する際、あるいは、フィッティング部22に装着されているノズルチップ60の先端が異物に当接した際に、ノズル基部12が受ける負荷を吸収するために設けられている。
図1に戻り、ジャミングセンサ34は、リムーバ20のノズルチップ60への当接を検出するセンサである。このジャミングセンサ34の具体的構成は、種々考えられるが、例えば、スプリング18とリムーバ20との間に設けられた圧力センサをジャミングセンサとして用いることができる。すなわち、リムーバ20とノズルチップ60との当接によりスプリング18が圧縮変形した場合、その圧縮変形に応じた圧力が圧力センサで検出される。
ジャミングセンサ34で検出された検出値は、増幅回路36で増幅された上でジャミング判定部38に送られる。ジャミング判定部38は、ジャミングセンサ34での検出値に基づいて、リムーバ20がノズルチップ60に当接したか否かを判定する。
制御部45は、入力部42を介して入力されたユーザからの指示に応じてノズル装置10の各部を制御する制御手段である。すなわち、制御部45は、処理の進行状況に応じて、ノズル基部12の移動や、分注ポンプ26の駆動、リムーバ駆動部30の制御などを各部に指示する。この制御部45による制御の結果、ユーザに提示する必要のある各種情報は、表示部44に提示される。また、制御を実行するためのプログラムや、制御に必要な各種データは、予めメモリ40に記憶されている。
次に、このノズル装置10によるノズルチップ60の離脱原理について詳説する。本実施形態では、リムーバ20を下降させてノズルチップ60の上端を押圧することでノズルチップ60をフィッティング部22から離脱させている。しかし、単に、ノズルチップ60を軸方向下向きに押圧しただけの場合、離脱に要する力が大きくなり、ノズル装置10にかかる負荷が大きくなるという問題がある。また、ノズルチップ60を軸方向下向きに押圧しただけの場合、離脱時における当該ノズルチップ60の内圧が急激に変化することになる。このノズルチップ60の内圧の急変は、当該ノズルチップ60に残存する液体の飛散を招き、ノズル装置10周辺を汚染する恐れがあった。
そこで、本実施形態では、ノズルチップ60に対して、軸方向下向きの力だけでなく、回動力も付加可能な構成としている。図3は、リムーバ20周辺の拡大斜視図である。なお、見易さのためにフィッティング部22とノズルチップ60とを分離して図示している。
リムーバ20は、既述したとおり、昇降および回動が可能な略筒状部材である。このリムーバ20の外径は、ノズルチップ60上端の外径とほぼ等しい。そのため、リムーバ20が下降すれば、当該リムーバ20の下端でノズルチップ60の上端を押圧することができる。この押圧によりノズルチップ60のフィッティング部22からの離脱が実現されている。
また、本実施形態では、リムーバ20の回動動作をノズルチップ60に伝達するために、リムーバ20にノズルチップ60と係合する係合部20aを形成している。係合部としては、種々の形状が考えられるが、本実施形態では、図3に図示するように、係合部20aの形状を、略矩形の凹凸を連続させた形状としている。
ノズルチップ60は、公知の通り、樹脂等の材料からなるパイプ部材である。このノズルチップ60は、上側から下側に向かうにつれ、徐々にその径が絞られており、全体として、細長い筒状となっている。ノズルチップ60の上端における内径は、フィッティング部22の外径とほぼ同じであり、ここにフィッティング部22が挿入、嵌合されることで、ノズルチップ60のフィッティング部22への装着が図られる。また、ノズルチップ60の上端には、外側に張り出した鍔部62が形成されている。この鍔部62の上端面が、リムーバ20の下端により押圧されることによりノズルチップの離脱が実現される。
ここで、本実施形態では、鍔部62の上端面、換言すれば、ノズルチップ60の上端面を特殊形状として、リムーバ20との係合を可能としている。具体的には、ノズルチップ60の上端面には、略山状の凹凸を連続させた形状の被係合部64が形成されている。この被係合部64の凹凸の周期は、リムーバ20に形成された凹凸(係合部20a)の周期と同じとなっている。そのため、リムーバ20が下降した際、リムーバ20の凸がノズルチップ60の凹に、リムーバ20の凹がノズルチップ60の凸に、それぞれ係合するようになっている。そして、この係合を介して、リムーバ20の回動動作が、ノズルチップ60に伝達される。なお、ここで説明した係合部20aおよび被係合部64の形状や位置は一例であり、ノズルチップ60およびリムーバ20が互いに係合できるのであれば、その形状や位置は適宜変更可能である。
図4は、チップ離脱の様子を示す図である。ノズルチップ60をフィッティング部22から離脱させる際には、リムーバ20を回動させつつ下降させる。下降によりリムーバ20の下端が、ノズルチップ60の上端に当接する。そして、さらに、リムーバ20を下降させることにより、ノズルチップ60が軸方向下向きに押圧されることになる。また、このとき、リムーバ20の下端に形成された凹凸(係合部20a)が、ノズルチップ60の上端に形成された凹凸(被係合部64)に係合する。そして、係合したまま、リムーバ20が回動することにより、ノズルチップ60も回動することになる。つまり、本実施形態では、リムーバ20でノズルチップ60を回動させつつ軸方向下向きに押圧することになる。
ここで、チップ離脱時に、ノズルチップ60を離脱方向にのみ押圧した場合、既述したとおり、離脱に要する力が過大になりがちであり、また、離脱時におけるノズルチップ60の内圧変化が急激となり易い。一方、ノズルチップ60を離脱方向に押圧するだけでなく、本実施形態のように、回動させた場合、離脱に要する力を比較的小さくすることができる。また、回動により、ノズルチップ60とフィッティング部22との隙間が徐々に広がる。その結果、ノズルチップ60の内圧が徐々に大気圧に近づくことができ、急激な内圧変化を防止できる。つまり、本実施形態によれば、チップ離脱に要する力を小さくしつつ、ノズルチップ60に残存する液体の飛散等を防止でき、より簡易かつ確実にノズルチップ60を離脱させることができる。
さらに、本実施形態の場合、離脱機構をノズル基部12に組み込んでいるため、ノズルチップ離脱に要するノズル基部12の移動量を低減でき、結果として離脱動作に要する時間を短縮できる。すなわち、従来では、ノズル基部とは別個にチップ廃棄位置近傍に固定配置された板材に、フィッティング部に装着されたノズルチップの上端面を当接させてチップ離脱を図っていた。この場合、ノズル基部をチップ廃棄位置近傍まで移動させ、次いで、ノズルチップ上端が当該板材より下側になる位置までノズル基部を移動させる。その後、当該板材端部にノズルチップ上端を引っ掛けるべくノズル基部を上昇させるという手順が必要だった。一方、本実施形態によれば、ノズル基部12をチップ廃棄位置近傍まで移動させた後は、リムーバ20だけを駆動させればよく、ノズル基部12を新たに移動させる必要はない。そのため、離脱に要する時間を短縮できる。
次に、このノズル装置10における分注処理の流れについて説明する。図5は、本実施形態における分注処理の流れを示すフローチャートである。分注処理を行う場合は、予め、使用前のノズルチップ60をチップラックにセットしておく。そして、チップラックに保持されたノズルチップ60を、フィッティング部22に装着する。すなわち、ノズル基部12をチップラックに保持されたノズルチップ60の上空まで移動させた後、下降させる(S10、S12)。そして、ノズル基部12に設けられたフィッティング部22をノズルチップ60に挿入、嵌合する。
ノズルチップ60の装着ができれば、続いて、ノズルチップ装着の良否を判定する。ノズルチップ装着の良否は、リムーバ20を所定の初期高さからノズルチップ60に当接するまで下降させ(S16,18)、その際に要した下降距離に基づいて判断される(S20)。すなわち、何らかの原因でノズルチップ60がフィッティング部22に装着されていない場合には、リムーバ20を下降させてもノズルチップ60に当接することはできない。この場合は、チップ装着エラーと判断し、全ての処理を終了する(S22)。また、本実施形態のノズルチップ60は、凹凸が形成されているので、その凹凸の深さ分だけ、凹凸の無い通常のノズルチップよりも下降距離が長くなるはずである。したがって、下降距離が通常のノズルチップ装着時と同じ程度であった場合にも、チップ装着エラーと判断し、全ての処理を終了する(S22)。
一方、下降距離が適切な範囲以内の場合には、ノズルチップ60はフィッティング部22に適切に装着されていると判断する。そして、ノズル基部12を上昇させて、所定の液体吸引・吐出動作を実行する(S24)。
所定の液体吸引・吐出動作が終了すれば、続いて、装着されているノズルチップ60の廃棄動作を開始する。すなわち、まず、ノズル基部12を、チップ廃棄位置まで移動させる(S26)。ここで、チップ廃棄位置とは、使用済みノズルチップ60を収容する廃棄チップ収容容器の上空を意味する。
ノズル基部12をチップ廃棄位置まで移動させれば、リムーバ20をフィッティング部22に対して回動させつつ下降させる(S28)。回動および下降することにより、リムーバ20の下端に形成された凹凸が、ノズルチップ60の上端に形成された凹凸に係合する。そして、その状態で、さらに、回動および下降を続けることにより、ノズルチップ60は、離脱方向に押圧されつつ回動することになる。そして、これにより、比較的小さい力でノズルチップ60をフィッティング部22から離脱させることができる。また、チップ離脱時における、ノズルチップ60の内圧変化を緩慢にすることができる。その結果、ノズル基部12全体にかかる負荷を小さくでき、また、ノズルチップ60内の残留液体の飛散等を防止することができる。
ノズルチップ60が完全にフィッティング部22から完全に離脱した後は、ノズル基部12を所定の位置に移動させれば、分注処理は終了となる(S30)。なお、ノズルチップ60が完全離脱したか否かは、ジャミングセンサ34での検出値に基づいて判断できる。すなわち、ノズルチップ60が完全離脱しておらず、リムーバ20とノズルチップ60とが当接関係を維持している場合、この当接関係がジャミングセンサ34で検出される。一方、ノズルチップ60がフィッティング部22から完全離脱した場合には、当該当接関係は解除されるため、ジャミングセンサ34で当接を検出することができなくなる。制御部45は、このジャミングセンサ34での検出結果に基づいて、ノズルチップ60が完全離脱したか否か判断する。
以上の説明から明らかなように、本実施形態によれば、リムーバ20をノズルチップ60に係合させるとともに、当該リムーバ20を回動させつつ下降させている。これにより、ノズルチップ60は離脱方向に押圧されつつも回動することになる。その結果、簡易かつ適切にノズルチップ60を離脱させることができる。
次に、他の実施形態について説明する。本実施形態では、上述の実施形態と異なり、離脱機構をノズル装置から分離している。また、上述の実施形態では、ノズルチップの鍔部の上端面に形成された凹凸を被係合部としているが、本実施形態では鍔部の側面に形成された凹凸を被係合部としている。
はじめに、本実施形態で用いるノズルチップ60について説明する。図6は、本実施形態で用いるノズルチップ60の斜視図である。このノズルチップ60は、公知のノズルチップ60と同様に、樹脂等からなるパイプ部材で、その径は下端に向かうほど絞られている。ノズルチップ60の上端には、外側に張り出した大径の鍔部62が形成されている。この鍔部62の側面には、被係合部として機能する歯車状の凹凸66が形成されている。この鍔部側面に形成された歯車状凹凸66は、後述する離脱機構70の大歯車74と歯合可能となっている。そして、当該歯車状凹凸66が大歯車74に歯合した状態で、当該大歯車74が回転することで、ノズルチップ60の回動動作が実現されるようになっている。
図7(a)は本実施形態における離脱機構70の概略上面図であり、図7(b)は離脱機構70の概略側面図である。この離脱機構70は、フィッティング部に装着されたノズルチップ60を回動させる回動部と、当該ノズルチップ60を離脱方向に押圧する押圧部と、に大別される。回動部は、複数の回転歯車72,74、および、当該歯車72,74を回転駆動させるモータ(図示せず)から構成される。回転歯車72,74の個数や、大きさは適宜、変更可能であるが、本実施形態では、単一の小歯車72、および、当該小歯車72に歯合する二つの大歯車74を用いている。小歯車72は、その回転軸がモータの出力軸に連結されており、モータの駆動に応じて回転するようになっている。当該小歯車72に歯合された二つの大歯車74は、小歯車72の回転に応じて回転する。
二つの大歯車74は、互いに所定の間隙を開けて配される。この間隙は、チップ離脱時に、ノズルチップ60の鍔部62が挿入される間隙である。以下では、当該間隙を、挿入間隙76と呼ぶ。挿入間隙76にノズルチップ60の鍔部62が挿入された場合、当該鍔部62の側面に形成された歯車状凹凸66と、二つの大歯車74の歯と、が互いに歯合する。そして、この歯合関係により、大歯車74の回転に連動してノズルチップ60が回動することになる。
押圧部は、回転歯車72,74の上側に設けられた移動板78、当該移動板78を水平移動させる水平移動機構などから構成される。移動板78には、フィッティング部外径より大きく、ノズルチップ60の鍔部62の外径より小さい幅の切り欠き78aが形成されている。この切り欠き78aの周縁は、フィッティング部が上昇した際、ノズルチップ60を係止して、その上昇を阻害するフック部として機能する。
この移動板78は、水平移動機構により水平方向に移動可能となっている。この水平移動機構の構成は種々考えられるが、本実施形態では、駆動源であるモータ(図示せず)、互いに歯合したラック82とピニオン80、および、移動板78の進行方向を案内するガイド部材84,86等で水平移動機構を構成している。ピニオン80の回転軸は、モータの出力軸に接続されており、モータの駆動に応じて回転する。このピニオン80に歯合したラック82は、移動板78の上面に設けられている。そして、ピニオン80の回転に伴い、ラック82および当該ラック82に接続された移動板78が水平方向に移動する。移動板78の下側には、リニアガイド86のガイド溝に沿って摺動可能なスライダ84が接続されており、当該スライダ84により移動板78の進行方向がガイドされるようになっている。
次に、この離脱機構70によるチップ離脱処理の流れについて説明する。図8は、チップ離脱の様子を示す図であり、(a)は離脱機構の概略上面図、(b)は概略側面図である。また、図9は、本実施形態におけるチップ離脱の流れを示すフローチャートである。
ノズルチップ60をフィッティング部22から離脱させる際には、予め、移動板78を回転歯車72,74から離れた位置に移動させておき、挿入間隙76が上側から確認できるようにしておく。そして、ノズル基部を駆動して、フィッティング部22を挿入間隙76の上空に移動させる(S40)。その状態で、フィッティング部22を下降し、当該フィッティング部22に装着されたノズルチップ60を挿入間隙76に挿入する(S42)。このとき、ノズルチップ60の歯車状凹凸66と大歯車74とが互いに歯合する角度関係にするべく、大歯車74を微小回転させて歯車の回転角度を微調整しながら、フィッティング部22を下降させる。そして、最終的に、ノズルチップ60の上端面が、移動板78の底面より僅かに低くなる位置までフィッティング部22を下降する。
フィッティング部22が所定の高さまで下降すれば、大歯車74の回転を停止させるとともに、移動板78に形成された切り欠き78aが挿入間隙76の真上となる位置まで移動板78を水平移動させる(S44)。このとき、当該切り欠き78aの幅は、フィッティング部22の外径より大きいため、当該切り欠き78aの幅内にフィッティング部22が収容されることになる。
移動板78を水平移動させれば、フィッティング部22を上昇させるとともに、大歯車74の回転を開始する(S46)。フィッティング部22を上昇させた場合、当該フィッティング部22に装着されたノズルチップ60も一緒に上昇しようとする。しかし、当該ノズルチップ60の鍔部62は、切り欠き78aの周縁に係止されてしまうため、ノズルチップ60の上昇が阻害される。そして、結果として、ノズルチップ60の上端面は、移動板78の底面により離脱方向に押圧されることになる。この押圧により、ノズルチップ60のフィッティング部22からの離脱が図られる。また、このとき、鍔部62に形成された歯車状凹凸66は、二つの大歯車74に歯合している。そして、二つの大歯車74が回転することにより、鍔部62、ひいては、ノズルチップ60全体も回動することになる。この回動により、比較的小さい力でも、ノズルチップ60をフィッティング部22から離脱させることができる。また、ノズルチップ60の内圧を徐々に大気圧に近づけることができるため、当該ノズルチップ60に残存している液体の飛散等を防止することができる。そして、最終的に、ノズルチップ60が離脱すれば、チップ離脱処理は終了となる。
以上の説明から明らかなとおり、本実施形態においても、比較的小さい力で好適なチップ離脱動作が実現できる。
本発明の実施形態であるノズル装置の概略構成図である。 ノズル基部周辺の正面図である。 フィッティング部周辺の斜視図である。 チップ離脱の様子を示す概略図である。 分注処理の流れを示すフローチャートである。 他の実施形態で用いられるノズルチップの斜視図である。 他の実施形態における離脱機構の概略図である。 チップ離脱時にける離脱機構の様子を示す概略図である。 チップ離脱の流れを示すフローチャートである。
符号の説明
10 ノズル装置、12 ノズル基部、20 リムーバ、20a 係合部、22 フィッティング部、26 分注ポンプ、28 ポンプ駆動部、30 リムーバ駆動部、32 XYZ駆動部、34 ジャミングセンサ、45 制御部、60 ノズルチップ、62 鍔部、64 被係合部、66 歯車状凹凸、70 離脱機構、72,74 回転歯車、76 挿入間隙、78 移動板。

Claims (5)

  1. ノズル装置のフィッティング部からノズルチップを離脱させる離脱機構であって、
    チップ離脱時に、当該ノズルチップを離脱方向に押圧する押圧手段と、
    ノズルチップに係合する係合部材を備え、前記押圧手段の押圧力を発生させる駆動源とは別の駆動源で当該係合部材を駆動してノズルチップをフィッティング部に対して回動させる回動手段と、
    を備えることを特徴とする離脱機構。
  2. 請求項1に記載の離脱機構であって、
    押圧手段は、
    フィッティング部の軸線上において昇降自在に設けられた移動部材と、
    移動部材を離脱方向に移動させる移動機構と、
    を備え、
    回動手段は、
    移動部材の底面または側面に設けられ、ノズルチップに係合する前記係合部材と、
    前記係合部材が設けられた移動部材を回動させる回動機構と、
    を備えることを特徴とする離脱機構。
  3. 請求項1に記載の離脱機構であって、
    押圧手段は、所定のチップ廃棄位置においてフィッティング部が上昇した際、当該フィッティング部に装着されたノズルチップの上端面が引っ掛かるフック部材を備え、
    回動手段は、
    前記係合部材として機能する回転歯車であって、前記チップ廃棄位置におけるノズルチップの側面に形成された歯車に歯合する回転歯車と、
    当該回転歯車を回動させる回動機構と、
    を備えることを特徴とする離脱機構。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の離脱機構によりノズル装置のフィッティング部から離脱されるノズルチップであって、
    ノズルチップをフィッティング部から離脱させる前記離脱機構に設けられた前記係合部材と係合する被係合部を備えることを特徴とするノズルチップ。
  5. 請求項4に記載のノズルチップであって、
    被係合部は、ノズルチップの上端または側面に形成された凹凸であって、係合部材に形成された凹凸に対応する凹凸であることを特徴とするノズルチップ
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