JP4629164B2 - リグノセルロース材料の蒸解法 - Google Patents

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Description

本発明は、リグノセルロース材料の蒸解法に関し、より詳しくは、従来の蒸解法に対して、パルプ収率を一層向上させ、カッパー価とパルプ収率との関係をさらに改善することができるリグノセルロース材料の蒸解法、すなわち、同一カッパー価におけるパルプ収率を向上させ、かつ、同一カッパー価における有効アルカリ添加率を削減することができるリグノセルロース材料の蒸解法に関する。
木材資源を有効利用するためには、化学パルプの収率を向上することが重要な課題である。この化学パルプの主流をなすクラフトパルプの高収率化技術の一つとして、ポリサルファイド蒸解法が知られている。ポリサルファイドは炭水化物のカルボニル末端を酸化し、ピーリング反応による炭水化物の分解を抑制することにより収率向上に寄与する。ポリサルファイド蒸解法における蒸解薬液は、水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムを含むアルカリ性水溶液、いわゆる白液を、活性炭等の触媒の存在下に空気等の分子状酸素により酸化する〔例えば、下記反応式(1)〕ことにより製造される(特開昭61−259754号公報、特開昭53−92981号公報)。
この方法により硫化物イオンベースで転化率60%、選択率60%程度でポリサルファイドサルファ濃度が5g/L程度のポリサルファイド蒸解液を得ることができる。しかし、この方法では転化率を上げた場合に副反応〔例えば、下記反応式(2)、(3)〕により蒸解には全く寄与しないチオ硫酸イオンの副生が多くなるため、高濃度のポリサルファイドサルファを含む蒸解液を高選択率で製造することは困難であった。
4NaS + O + 2HO → 2Na + 4NaOH (1)
2NaS + 2O + HO → Na + 2NaOH (2)
2Na + 3O → 2Na (3)
これに対し、国際公開第95/00701号、国際公開第97/00071号には、ポリサルファイドを含むアルカリ性蒸解液の電解製造法について記載されている。この方法は、高濃度のポリサルファイドサルファを含むアルカリ性蒸解液を、チオ硫酸イオンの副生を極めて少なくして高選択率で製造することができる。その他、高濃度のポリサルファイドサルファを含むアルカリ性蒸解液を得る方法として、特開平8−311790号公報には、水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムを含むアルカリ性水溶液に分子状硫黄を溶解する方法が開示されている。
一方、化学パルプの製造プロセスにおいて排出される蒸解排液を回収して薬品を再利用するためには、回収ボイラーの回収余力を持たせることが重要な課題であった。回収ボイラーの負荷が高くなる要因としては、有機物に関するものと無機物に関するものとがある。前者に対してはパルプ収率を向上することにより、後者に対しては薬品原単位を削減することにより、回収ボイラーの負荷を軽減することが可能であり、設備変更や減産により回収ボイラーの余力を持たせることもできるが、その効率上の問題やコスト的な問題から他の方法によることが望まれていた。
そこで、薬品原単位の削減方法として、蒸解系にアントラキノンスルホン酸塩、アントラキノンやテトラヒドロアントラキノン等の環状ケト化合物であるキノン化合物を蒸解助剤として添加する蒸解法(例えば、特公昭55−1398号公報、特公昭57−19239号公報、特公昭53−45404号公報、特開昭52−37803号公報)が用いられてきた。キノン化合物は、脱リグニンの選択性を向上させ、蒸解パルプのカッパー価の低減、すなわち薬品の削減やパルプ収率の向上に寄与する。また、特開平7−189153号公報には、キノン化合物とポリサルファイドを含むアルカリ性蒸解液とを併用する蒸解が開示され、特開昭57−29690号公報には、キノン化合物によるポリサルファイドの熱アルカリ条件下での分解の緩和について開示されている。
ところで、1970年代の終りから1980年代の初めにかけてスウェーデンのSTFI研究所の先駆的業績〔Svensk Papperstidning,87(10):30(1984)〕によってアルカリ推移の「平準化」という技術が導入された。「白液分割添加」と向流処理とを特徴とするこの方法は、「修正クラフト蒸解」として知られ、1980年代パルプ工業界に広く採用された。例えば、この方法および関連機器は、商標MCCの下に販売された。後に、この向流方法は、ハイ・ヒート洗浄ゾーンとして知られる向流洗浄ゾーンへの白液の添加にも拡張され、商標EMCCの下に市販された方法となった。
さらに1990年代に、Lo−Solids(登録商標)蒸解法とその関連機器が導入されたが、これはクラフト蒸解法の次の劇的な改良法となった(米国特許第5,489,363号、同第5,536,366号、同第5,547,012号、同第5,575,890号、同第5,620,562号、同第5,662,775号)。この方法では、パルプ製造プロセスの最初の段階で廃蒸解液を選択的に抜き出し、蒸解液と希釈液、例えば、溶解物を低濃度しか含まない洗浄機濾過液とを補給することによって、強くてきれいなセルロースパルプを製造することが可能になった。
特開2000−336586号公報、特開2000−336587号公報には、そのような新しい蒸解法に呼応するパルプ収率向上技術が提案されている。これらの提案では、広葉樹または針葉樹のチップを用い、硫黄として3〜20g/Lの濃度のポリサルファイドサルファを含み、かつ蒸解系へ導入されるアルカリ性蒸解液に含まれる全蒸解活性な硫黄分および全アルカリに対し45〜100質量%の硫黄分と45〜79質量%の有効アルカリとを含むアルカリ性蒸解液が前記蒸解釜の頂部で添加され、さらに絶乾チップ当り0.01〜1.5質量%のキノン化合物を含むアルカリ性蒸解液を前記蒸解釜に供給することを特徴とするリグノセルロース材料の蒸解法が提供されている。
しかしながら、さらなるパルプ収率の向上や、薬品原単位の削減が求められている。
本発明は、蒸解釜において蒸解釜の複数箇所から蒸解黒液を抽出し、蒸解釜の塔頂あるいは所定の蒸解ゾーンにアルカリ性蒸解液を分割して添加する特徴を持つリグノセルロース材料の蒸解法において、パルプ収率の向上や蒸解薬品の削減に最大限に寄与するポリサルファイド蒸解を行うことができるリグノセルロース材料の蒸解法を提供することを目的とする。
本発明は、蒸解釜の内部に頂部から底部に向けて、塔頂ゾーン、上部蒸解ゾーン、下部蒸解ゾーン、蒸解洗浄ゾーンを備えるとともに、各ゾーン底部にストレーナが設けられ、かつ、各ストレーナのうち少なくとも1つのストレーナから抽出された蒸解黒液が蒸解系外に排出される蒸解釜を使用する連続蒸解法において、
下記第1の蒸解液を前記蒸解釜の頂部以前に供給し、下記第2の蒸解液を上部蒸解ゾーンに供給し、かつ、下記第3の蒸解液を蒸解洗浄ゾーンに供給することを特徴とするリグノセルロース材料の蒸解法である。
第1の蒸解液:ポリサルファイドと、水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムあるいは炭酸ナトリウムと硫化ナトリウムとが主成分であって、硫黄として3〜20g/Lの濃度のポリサルファイドサルファを含み、かつ、蒸解系へ導入されるアルカリ性蒸解液全量に含まれる全蒸解活性な硫黄分および全アルカリに対し、99質量%以上の硫黄分および80〜95質量%の有効アルカリを含むアルカリ性蒸解液。
第2の蒸解液:水酸化ナトリウムが主成分のアルカリ性蒸解液。
第3の蒸解液:第2の蒸解液と同様のアルカリ性蒸解液。
本発明によれば、従来のリグノセルロース材料の蒸解法に対して、パルプ収率が一層向上し、カッパー価とパルプ収率との関係をさらに改善することができる。すなわち、本発明によれば、同一カッパー価におけるパルプ収率が向上し、かつ、同一カッパー価における有効アルカリ添加率を削減することができる。
図1は、本発明において好適に使用される連続蒸解装置の態様例を示す図である。
A:塔頂ゾーン,B:上部蒸解ゾーン,C:下部蒸解ゾーン,D:蒸解洗浄ゾーン,1:チップ導入管,2:蒸解釜,3:ポリサルファイドを含むアルカリ性蒸解液供給管,4:上部抽出ストレーナ,5、7:ストレーナ,6:下部抽出ストレーナ,8:上部アルカリ性蒸解液供給管,9:下部アルカリ性蒸解液供給管,10、11:黒液排出導管,12:蒸解パルプ排出管,13:洗浄液導入管,14、15:ヒータ,16、16’:キノン化合物導入管,17、28:抽出導管,19:上部蒸解循環液導管,20:下部蒸解循環液導管
本発明は、蒸解釜の内部に頂部から底部に向けて、塔頂ゾーン、上部蒸解ゾーン、下部蒸解ゾーン、蒸解洗浄ゾーンを備えるとともに、各ゾーン底部にストレーナが設けられ、かつ、各ストレーナのうち少なくとも1つのストレーナから抽出された蒸解黒液が蒸解系外に排出される蒸解釜を使用する連続蒸解法である。そして、当該連続蒸解法において、
硫黄として3〜20g/Lの濃度のポリサルファイドサルファを含み、かつ、蒸解系へ導入されるアルカリ性蒸解液に含まれる全蒸解活性な硫黄分および全アルカリに対し、99質量%以上の硫黄分および80〜95質量%の有効アルカリとを含むアルカリ性蒸解液からなる第1の蒸解液を前記蒸解釜の頂部以前に供給し、
水酸化ナトリウムが主成分のアルカリ性蒸解液からなる第2の蒸解液を上部蒸解ゾーンに供給し、第2の蒸解液と同様のアルカリ性蒸解液からなる第3の蒸解液を蒸解洗浄ゾーンに供給することを特徴とする。
〈蒸解法〉
本発明は、蒸解釜の内部に頂部から底部に向けて、塔頂ゾーン、上部蒸解ゾーン、下部蒸解ゾーン、蒸解洗浄ゾーンを備えるとともに、各ゾーン底部にストレーナが設けられ、かつ、各ストレーナのうち、少なくとも1つのストレーナから抽出された蒸解黒液が蒸解系外に排出される蒸解釜を使用する連続蒸解法を用いる。ここで、蒸解装置として、蒸解釜の前に浸透釜が設置されている2ベッセル蒸解装置を用いることもできる。また、蒸解系外に排出する黒液は、塔頂ゾーン底部に設置されたストレーナから抽出されてもよい。
〈蒸解液〉
本発明においては、蒸解釜の頂部以前(蒸解釜の頂部および/または浸透釜を有する蒸解装置にあっては浸透釜の頂部)、上部蒸解ゾーン、およびその他の箇所から異なる組成のアルカリ性蒸解液を添加する。本発明で使用するアルカリ性蒸解液としては、ポリサルファイドと、水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムあるいは炭酸ナトリウムと硫化ナトリウムとが主成分の溶液、あるいは水酸化ナトリウムが主成分の溶液等が用いられる。蒸解釜の各箇所から蒸解系に導入されるアルカリ性蒸解液全量に含まれる薬品量は、有効アルカリが10〜25質量%(蒸解釜に供給される絶乾チップに対するNaOの質量%)、硫黄分が1〜10質量%(蒸解釜に供給される絶乾チップに対する硫黄の質量%)である。
〈第1の蒸解液〉
本発明においては、第1の蒸解液を蒸解釜の頂部以前、すなわち、蒸解釜の頂部および/または浸透釜を有する蒸解装置にあっては浸透釜の頂部に添加する。第1の蒸解液に含まれるポリサルファイドは、高温(120℃以上)における安定性に欠け、蒸解が最高温度に達すると水酸化ナトリウムの消費を伴って分解する。連続蒸解法において、ポリサルファイドを含むアルカリ性蒸解液を蒸解釜の異なる箇所から分割して添加する場合、アルカリ性蒸解液を蒸解途中において供給すると、ポリサルファイドはすぐに高温に曝されて分解し、パルプ収率を向上することができない。そのため、本発明では、ポリサルファイドを含有する第1の蒸解液を、蒸解が最高温度に達する以前である蒸解釜の頂部以前に添加し、チップへ浸透させ、反応させることが必要である。
本発明の第1の蒸解液は、ポリサルファイドと、水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムあるいは炭酸ナトリウムと硫化ナトリウムとが主成分であり、硫黄として3〜20g/L、好ましくは硫黄として4〜15g/Lの濃度のポリサルファイドサルファを含むアルカリ性蒸解液である。ポリサルファイドは炭水化物を保護する作用があるためパルプ収率の向上に寄与するが、第1の蒸解液のポリサルファイドサルファ濃度が硫黄として3g/L未満であると、パルプ収率の向上への寄与がほとんど現れず、硫黄として20g/Lを超えると、炭水化物を保護する作用に寄与せずに残存した多くのポリサルファイドが、蒸解が最高温度に達するにつれて分解すると同時に、蒸解に必要な水酸化ナトリウムを消費し、蒸解に必要なアルカリ分を確保できなくなり、蒸解自体が進行せず、得られるパルプのカッパー価も非常に高くなる。
さらに、本発明の第1の蒸解液は、上記硫黄として3〜20g/Lの濃度のポリサルファイドサルファの他、蒸解系に導入されるアルカリ性蒸解液全量に含まれる全蒸解活性な硫黄分および全アルカリに対し、99質量%以上の硫黄分および80〜95質量%の有効アルカリを含むことが大きな特徴である。これにより、非常に良好なカッパー価とパルプ収率が得られ、有効アルカリ添加率を削減することができる。さらに、蒸解系に導入されるアルカリ性蒸解液全量に含まれる全蒸解活性な硫黄分に対し、100質量%の硫黄分を含むことがより好ましい。
第1の蒸解液としては、水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムあるいは炭酸ナトリウムと硫化ナトリウムを主成分とするアルカリ性溶液を電気化学的に酸化して得られるアノード液と、水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムあるいは炭酸ナトリウムと硫化ナトリウムを主成分とするアルカリ性溶液を電気化学的に酸化しないアルカリ性蒸解液と含むことが好ましい。電気化学的な酸化処理(電解処理)の対象としては、リグノセルロース材料製造プロセスを流れる全ての硫化ナトリウムを含むアルカリ性溶液を用いることができる。この場合、蒸解に供される硫化ナトリウムを含むアルカリ性溶液の全量を電解処理の対象としてもよいが、蒸解の方法や後述する第2、第3の蒸解液に必要なカソード液の量に応じて電解処理量を最適化することができる。
第1の蒸解液中の水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムあるいは炭酸ナトリウムと硫化ナトリウムを主成分とするアルカリ性溶液を電気化学的に酸化して得られるアノード液は、第1の蒸解液全量に対して30〜100質量%、および、水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムあるいは炭酸ナトリウムと硫化ナトリウムを主成分とするアルカリ性溶液を電気化学的に酸化しないアルカリ性蒸解液は、第1の蒸解液全量に対して0〜30質量%であることが好ましい。これは後述する第2、第3の蒸解液として、水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムあるいは炭酸ナトリウムと硫化ナトリウムを主成分とするアルカリ性溶液を電気化学的に酸化して得られるカソード液を供する観点による。
また、水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムあるいは炭酸ナトリウムと硫化ナトリウムを主成分とするアルカリ性溶液を電気化学的に酸化して得られるアノード液の割合を、第1の蒸解液全量に対して80質量%以上とすることにより、カソード液の一部をリグノセルロース材料製造プロセスにおける酸素脱リグニン工程のアルカリ源として用いることも可能になるため好ましい。
酸素脱リグニン工程のアルカリ源には一般に酸化白液、すなわち白液中の硫黄を含む原子団を触媒の存在化チオ硫酸にまで空気酸化して得られる薬品が用いられているが、これは白液中の硫化ナトリウムをチオ硫酸ナトリウム(Na)にまで酸化してしまうため、活性アルカリとしてのアルカリ源を無効化して損失となる問題がある。電解処理ではこのような活性アルカリの損失が殆どないため、酸化白液に代えて電解処理により得られるカソード液を供することができれば、このような活性アルカリの無効化という問題を解消できるので、より好ましい。
〈第1の蒸解液の製造方法〉
本発明の第1の蒸解液として用いるポリサルファイドを含むアルカリ性蒸解液は、従来から用いられている空気酸化法で製造することができる。しかし、空気酸化法では、ポリサルファイドの空気酸化に起因して、ポリサルファイドの一部がチオ硫酸ナトリウムに転ずる副反応が起こるなどの不利点がある。したがって、水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムあるいは炭酸ナトリウムと硫化ナトリウムが主成分のアルカリ性蒸解液等の硫化物イオンを含む溶液中の硫化物イオンを電気化学的に酸化する方法、すなわち電解法により製造することが好ましい。
本発明では、好ましくは(A)特願平10−166374号公報、(B)特願平11−51016号公報、(C)特願平11−51033号公報に記載された電解法を適用することができる。これらは本発明者らにより先に開発されたもので、電解法に関して、アノードの構成、アノードのアノード室への配置条件、カソード室内とアノード室内との圧力条件、その他の諸要件について追求、研究し、チオ硫酸イオンの副生を極度に少なくできる等、有効な効果を得る上で重要な要件を見出し、構成されたものである。
ここで、ポリサルファイドサルファとは、例えば多硫化ナトリウムNaにおける価数0の硫黄、すなわち原子(x−1)個分の硫黄をいう。なお、本明細書では容量の単位リットルをLで表す。また、ポリサルファイドイオン(ポリサルファイド)中の酸化数−2の硫黄に相当する硫黄(Sx2−またはNaにつき1原子分の硫黄)と硫化物イオン(S2−)を総称したものを本明細書では適宜NaS態硫黄と表すことにする。この点からして、ポリサルファイドとはポリサルファイドサルファとNaS態硫黄とを合わせたものを意味し、NaS態硫黄とは硫化ナトリウム(NaS)とNaのうちNaSの分を意味し、また、蒸解活性な硫黄分とは蒸解反応に寄与する硫黄分のうち、ポリサルファイドサルファとNaS態硫黄とを合わせたものを意味する。
これら(A)〜(C)の技術は、パルプ製造工程における白液(水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムを主成分とするアルカリ性溶液)、または緑液(炭酸ナトリウムと硫化ナトリウムを主成分とするアルカリ性溶液)を処理してポリサルファイドを製造し、かつ、水酸化ナトリウムを主成分とするアルカリ溶液を得るのに特に適している。本発明においては、電解槽のアノード室すなわち陽極側に白液または緑液を導入し、ここで生じるポリサルファイドをそのまま、あるいは苛性化した後に、蒸解釜の頂部以前(チップが最高温度に達する以前)に添加することにより利用することができる。また、電解槽のカソード室すなわち陰極側で生じる水酸化ナトリウムを主成分とするアルカリ溶液(少量の水酸化カリウムを含む)溶液を上部蒸解ゾーン以降(チップが最高温度に到達した後)に添加することにより利用することができる。
以下、これら方法に関し(A)の技術内容および諸態様を中心に説明するが、(B)〜(C)の技術についても同様である。水酸化ナトリウムおよび硫化ナトリウムが主成分のアルカリ性蒸解液を、アノードを配置したアノード室、カソードを配置したカソード室およびアノード室とカソード室とを区画する隔膜を有する電解槽のアノード室に連続的に供給する。
〈アノード〉
アノードの材質は、アルカリ性で耐酸化性があれば特に限定されることはなく、非金属または金属が用いられる。非金属としては例えば炭素材料を用いることができ、金属としては例えばニッケル、コバルト、チタンなどの卑金属、それらの合金、白金、金、ロジウムなどの貴金属、それらの合金または酸化物を用いることができる。アノードの構造としては物理的に3次元網目構造を有する多孔性アノードを用いることが好ましい。具体的には、例えばニッケル陽極材質の場合は、発泡高分子材料の骨格にニッケルメッキをした後、内部の高分子材料を焼成除去して得られる多孔性ニッケルをあげることができる。
上記物理的に3次元網目構造を有する多孔性アノードの場合、アノード室に少なくとも表面がニッケルまたはニッケルを50質量%以上含有するニッケル合金からなる物理的に連続な3次元の網目構造を有し、かつ、アノード室の単位体積当りのアノードの表面積が500〜20000m/mである多孔性アノードを配する。アノードの少なくとも表面部分がニッケルまたはニッケル合金であるので、多硫化物の製造において実用的に十分な耐久性を有する。
アノード表面は、ニッケルであることが好ましいが、ニッケルを50質量%以上含有するニッケル合金も使用することができ、ニッケル含有率が80質量%以上であるのがより好ましい。ニッケルは、比較的安価であり、その溶出電位や酸化物の生成電位が、ポリサルファイドサルファやチオ硫酸イオンの生成電位より高いので、電解酸化によりポリサルファイドイオンを得るのに好適な電極材料である。
また、多孔性で3次元の網目構造であるので大きな表面積を有し、アノードとして用いた場合に、電極表面の全面で目的とする電解反応が起き、副生物の生成を抑制することができる。さらに、該アノードは、繊維の集合体とは違い、物理的に連続した網目構造体であるため、アノードとして十分な電気伝導性を示し、アノードにおけるIRドロップを小さくできるので、セル電圧をより低くすることができる。また、アノードが良好な電気伝導性であるため、アノードの空隙率を大きくすることが可能となり、圧力損失を小さくすることができる。
アノード室の単位体積当りのアノードの表面積は、500〜20000m/mであることが必要である。ここでアノード室の体積は、隔膜の有効通電面とアノードの集電板とで区画された部分の体積である。アノードの表面積が500m/mよりも小さいと、アノード表面における電流密度が大きくなり、チオ硫酸イオンのような副生物が生成しやすくなるだけでなく、ニッケルがアノード溶解を起しやすくなるので好ましくない。アノードの表面積を20000m/mより大きくしようとすると、液の圧力損失が大きくなるといった電解操作上の問題が生じるおそれがあるので好ましくない。アノード室の単位体積当りのアノードの表面積は、1000〜10000m/mの範囲であるのがさらに好ましい。
また、アノードの表面積は、アノード室とカソード室を隔てる隔膜の単位面積当り2〜100m/mであるのが好ましい。アノードの表面積は、該隔膜の単位面積当り5〜50m/mであるのがさらに好ましい。アノードの網目の平均孔径は0.1〜5mmであることが好ましい。網目の平均孔径が5mmよりも大きいと、アノード表面積を大きくすることができず、アノード表面における電流密度が大きくなり、チオ硫酸イオンのような副生物が生成しやすくなるだけでなく、ニッケルがアノード溶解を起しやすくなるので好ましくない。網目の平均孔径が0.1mmより小さいと、液の圧力損失が大きくなるといった電解操作上の問題が生じるおそれがあるので好ましくない。アノードの網目の平均孔径は0.2〜2mmであるのがさらに好ましい。
3次元網目構造のアノードは、その網目を構成する線条材の直径が0.01〜2mmであることが好ましい。線条材の直径が0.01mmに満たないものは、製造が極めて難しく、コストがかかるうえ、取扱いも容易でないので好ましくない。線条材の直径が2mmを超える場合は、アノードの表面積が大きいものが得られず、アノード表面における電流密度が大きくなり、チオ硫酸イオンのような副生物が生成しやすくなるので好ましくない。網目を構成する線条材の直径が0.02〜1mmである場合は特に好ましい。
アノードは隔膜に接するようにアノード室いっぱいに配されてもよく、またアノードと隔膜との間にいくらかの空隙を有するように配されてもよい。アノード内を被処理液体が流通する必要があるので、アノードは十分な空隙を有することが好ましい。これらいずれの場合もアノードの空隙率は90〜99%であるのが好ましい。空隙率が90%に満たない場合は、アノードにおける圧力損失が大きくなるので好ましくない。空隙率が99%を超える場合は、アノード表面積を大きくすることが困難になるので好ましくない。空隙率が90〜98%である場合は特に好ましい。
この点、前掲(C)特願平11−51033号公報に記載の技術では、更に、アノードとして多孔性アノードを用いるに際し、該多孔性アノードと隔膜との間、アノード室の体積と該多孔性アノードの見掛け体積との間に、チオ硫酸イオンの副生を極めて少なく、高濃度のポリサルファイドを含み、残存NaS態イオウの多い蒸解液を高い選択率を維持しながら製造する上で重要な要件があることを見い出し、その要件を設定したものである。この技術では、得られたポリサルファイド蒸解液を蒸解に用いてパルプ収率を効果的に増加させることができる等、前記のとおりの諸効果を得ることができる。
隔膜面での電流密度は0.5〜20kA/mで運転するのが好ましい。隔膜面での電流密度が0.5kA/mに満たない場合は不必要に大きな電解設備が必要となるので好ましくない。隔膜面での電流密度が20kA/mを超える場合は、チオ硫酸、硫酸、酸素などの副生物を増加させるだけでなく、ニッケルがアノード溶解を起すおそれがあるので好ましくない。隔膜面での電流密度が2〜15kA/mである場合は、更に好ましい。隔膜の面積に対して、表面積の大きなアノードを用いているためアノード表面での電流密度が小さい範囲で運転することができる。
このアノードは表面積が大きいため、アノード表面の電流密度を小さな値にすることができる。アノード各部分の表面での電流密度が均一であると仮定して、アノードの表面積からアノード表面での電流密度を求めた場合、その値は5〜3000A/mであることが好ましい。より好ましい範囲は10〜1500A/mである。アノード表面での電流密度が5A/mに満たない場合は不必要に大きな電解設備が必要となるので好ましくない。アノード表面での電流密度が3000A/mを超える場合は、チオ硫酸、硫酸、酸素などの副生物を増加させるだけでなく、ニッケルがアノード溶解を起すおそれがあるので好ましくない。
このアノードは、繊維の集合体とは違い、物理的に連続した網目構造体であり、十分な電気伝導性を有するので、アノードにおけるIRドロップを小さく維持しつつ、アノードの空隙率を大きくすることができる。従って、アノードの圧力損失を小さくできる。
アノード室の液流は流速の小さい層流域に維持するのが、圧力損失を小さくする意味で好ましい。しかし層流ではアノード室内のアノード液が攪拌されず、場合によってはアノード室に面する隔膜に沈着物がたまりやすく、セル電圧が経時的に上昇しやすくなる。この場合、アノード液流速を大きく設定してもアノードの圧力損失を小さく維持できるので、隔膜表面付近のアノード液が攪拌され沈着物がたまり難くすることができるという利点がある。アノード室の平均流速は1〜30cm/秒が好適である。カソード液の流速は限定されないが、発生ガスの浮上力の大きさにより決められる。アノード室の平均流速のより好ましい範囲は1〜15cm/秒であり、特に好ましい範囲は2〜10cm/秒である。
〈カソード〉
カソードの材料としては、耐アルカリ性の材料が好ましく、例えばニッケル、ラネーニッケル、鋼、ステンレス鋼などを用いることができる。カソードは平板またはメッシュ状の形状のものを一つ、またはその複数を多層構成にして用いる。また、線状の電極を複合した3次元電極を用いることもできる。電解槽としては1つのアノード室と1つのカソード室とからなる2室型の電解槽や3つまたはそれ以上の部屋を組み合わせた電解槽が用いられる。多数の電解槽は単極構造または複極構造に配置することができる。
〈隔膜〉
アノード室とカソード室とを隔てる隔膜としては、カチオン交換膜を用いるのが好ましい。カチオン交換膜はアノード室からカソード室へカチオンを導き、硫化物イオンおよび多硫化物イオンの移動を妨げる。カチオン交換膜としては、炭化水素系またはフッ樹脂系の高分子に、スルホン基、カルボン酸基などのカチオン交換基が導入された高分子膜が好ましい。
〈電解条件〉
温度、電流密度等の電解条件はアノードにおいて硫化物イオンの酸化生成物としてS 2−、S 2−、S 2−、S 2−などの多流化物イオン(Sx2−)すなわちポリサルファイドイオンが生成し、チオ硫酸イオンが副生しないように調整、維持することが好ましい。これにより硫化ナトリウムの電解酸化法によりチオ硫酸イオンを実質上副生させずに、高効率で、硫黄として5〜20g/Lのポリサルファイドサルファ濃度のアルカリ性蒸解液を生成することができる。もちろん、温度、電流密度等の電解条件を選ぶことで8g/Lを下回るポリサルファイドサルファ濃度のアルカリ性蒸解液も生成することができる。
〈第2、第3の蒸解液〉
本発明では、第2の蒸解液を上部蒸解ゾーンに供給する。第2の蒸解液は、水酸化ナトリウムが主成分のアルカリ性蒸解液である。
さらに本発明では、第3の蒸解液を蒸解の後半の蒸解洗浄ゾーンに供給する。第3の蒸解液は、第2の蒸解液と同様のアルカリ性蒸解液である。
第2、第3の蒸解液としては、水酸化ナトリウムが主成分であればどのようなアルカリ性蒸解液を用いることもできるが、水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムあるいは炭酸ナトリウムと硫化ナトリウムが主成分のアルカリ性蒸解液等の硫化物イオンを含む溶液中の硫化物イオンを電解化学的に酸化してポリサルファイドにする際に得られるカソード液を用いることが好ましい。
第2、第3の蒸解液として、系外から持ち込んだ苛性ソーダを用いることもできるが、蒸解プロセスにおいて排出される薬品は、通常回収ボイラーで回収されるため、系外からの苛性ソーダの持ち込みは薬品回収系のバランスを崩すことになり問題である。
一方、第2、第3の蒸解液として、リグノセルロース材料製造プロセスにおける酸素脱リグニン工程のアルカリ源として一般に用いられる酸化白液、すなわち白液中の硫黄を含む原子団を触媒の存在化チオ硫酸にまで空気酸化して得られる薬品を用いることもできる。これは白液由来のアルカリ源であるから薬品回収系のバランスを崩すことなく用いることができるが、前述したように白液中の硫化ナトリウムをチオ硫酸ナトリウム(Na)にまで酸化してしまうため、活性アルカリとしてのアルカリ源を無効化して損失となる問題がある。
以上のように、本発明により、蒸解プロセスの最適化に寄与する、異なる組成を持つアルカリ性溶液を効率よく製造すること、および薬品回収系のバランスを維持すること、を両立することが可能となる。
〈キノン化合物〉
また、本発明においては、絶乾チップ当たり0.01〜1.5質量%のキノン化合物を含むアルカリ性蒸解液を蒸解釜に供給することが、薬品の削減、パルプ収率の向上の観点から好ましい。特に、高濃度ポリサルファイド蒸解の初期、すなわち、蒸解釜の頂部以前または上部蒸解ゾーンにおいてキノン化合物を供給することは、蒸解工程に対してきわめて有効である。すなわち、ポリサルファイドとキノン化合物を蒸解の初期に共存させることにより、蒸解工程での糖安定化と脱リグニン速度を促進し、大幅なパルプ収率の向上と薬品原単位の削減、さらに有機物および無機物に起因するボイラー負荷の軽減を併せて可能にする。
使用されるキノン化合物はいわゆる公知の蒸解助剤としてのキノン化合物、ヒドロキノン化合物又はこれらの前駆体であり、これらから選ばれた少なくとも1種の化合物を使用することができる。これらの化合物としては、例えば、アントラキノン、ジヒドロアントラキノン(例えば、1,4−ジヒドロアントラキノン)、テトラヒドロアントラキノン(例えば、1,4,4a,9a−テトラヒドロアントラキノン、1,2,3,4−テトラヒドロアントラキノン)、メチルアントラキノン(例えば、1−メチルアントラキノン、2−メチルアントラキノン)、メチルジヒドロアントラキノン(例えば、2−メチル−1,4−ジヒドロアントラキノン)、メチルテトラヒドロアントラキノン(例えば、1−メチル−1,4,4a,9a−テトラヒドロアントラキノン、2−メチル−1,4,4a,9a−テトラヒドロアントラキノン)等のキノン化合物であり、アントラヒドロキノン(一般に、9,10−ジヒドロキシアントラセン)、メチルアントラヒドロキノン(例えば、2−メチルアントラヒドロキノン)、ジヒドロアントラヒドロアントラキノン(例えば、1,4−ジヒドロ−9,10−ジヒドロキシアントラセン)又はそのアルカリ金属塩等(例えば、アントラヒドロキノンのジナトリウム塩、1,4−ジヒドロ−9,10−ジヒドロキシアントラセンのジナトリウム塩)等のヒドロキノン化合物であり、アントロン、アントラノール、メチルアントロン、メチルアントラノール等の前駆体が挙げられる。これら前駆体は蒸解条件下ではキノン化合物又はヒドロキノン化合物に変換する可能性を有している。
〈リグノセルロース材料〉
本発明に使用されるリグノセルロース材料としては、針葉樹または広葉樹のチップが使用され、いずれの樹種でもよい。例えば、針葉樹としてはスプルース、ダグラスファー、松、杉等、広葉樹では、ユーカリ、ブナ、ナラ等が挙げられる。
以下に、本発明の好ましい実施形態を説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではない。図1は、本発明において好適に使用されるLo−Solids(登録商標)法を実施する連続蒸解装置の態様例を示す図である。蒸解釜2本体は頂部から底部に向けて塔頂ゾーンA、上部蒸解ゾーンB、下部蒸解ゾーンC、および蒸解洗浄ゾーンDの4ゾーンに大別される。各ゾーン底部にストレーナが設けられ、それぞれ、1番目の塔頂ゾーンA底部の上部抽出ストレーナ4、2番目の上部蒸解ゾーンB底部のストレーナ5、3番目の下部蒸解ゾーンC底部の下部抽出ストレーナ6、4番目の蒸解洗浄ゾーンD底部のストレーナ7である。
チップはチップ導入管1を介して蒸解釜2の頂部に供給され、塔頂ゾーンAに入る。一方、ポリサルファイドおよび水酸化ナトリウムが主成分の第1のアルカリ性蒸解液はポリサルファイドを含むアルカリ性蒸解液供給管3を通り蒸解釜2の頂部で供給される。蒸解釜2頂部において供給され充填されたチップは蒸解液とともに下降し、この間に第1の蒸解液が有効に作用して初期の脱リグニンが起き、チップから蒸解液へリグニンの溶出が起る。そしてチップからのリグニンを含んだ蒸解黒液の所定量が上部抽出ストレーナ4から抽出され、黒液排出導管10を通って回収工程に送られる。
塔頂ゾーンAから下降したチップは上部蒸解ゾーンBに入る。このゾーンにおいてチップは蒸解最高温度に達し、脱リグニンがより進行する。上部蒸解ゾーンBの底部に設けられたストレーナ5から蒸解黒液が抽出液導管17により抽出される。この抽出蒸解黒液は、抽出液導管17において、第2の蒸解液すなわち上部アルカリ性蒸解液供給管8を流れる水酸化ナトリウムが主成分のアルカリ性蒸解液、および、キノン化合物供給導管16から供給されるキノン化合物含有液と合流され、流路に設けられているヒータ14によって加熱される。この循環液(上部蒸解循環液)は上部蒸解循環液導管19を介して上部蒸解ゾーンBの底部のストレーナ5近傍において供給される。
上部蒸解ゾーンBにおいてチップは上部抽出ストレーナ4底部よりストレーナ5の上部に向って下降するが、この間、ストレーナ5近傍において循環液導管19から供給された循環蒸解液は上部抽出ストレーナ4に向って上昇し、この第2蒸解液の作用による向流蒸解によって脱リグニン反応が進行する。上部抽出ストレーナ4に向って上昇した循環蒸解液は黒液となり上部抽出ストレーナ4から抽出され、黒液排出導管10を通って回収工程に送られる。上部蒸解ゾーンBで脱リグニンされたチップはストレーナ5の下部の下部蒸解ゾーンCに入り第2蒸解液との並流蒸解によりさらに脱リグニンを受ける。このゾーンで得られた蒸解黒液は下部蒸解ゾーンCの底部にある下部抽出ストレーナ6から抽出され、黒液排出導管11を通って回収工程に送られる。
下部蒸解ゾーンCから下降したチップは蒸解洗浄ゾーンDに入る。このゾーンにおいてチップは向流蒸解を受け、さらに脱リグニンが進行する。蒸解洗浄ゾーンDの下部に設けられた蒸解釜底部近傍のストレーナ7から抽出された蒸解黒液は、抽出液導管18において、下部アルカリ性蒸解液供給管9を流れる水酸化ナトリウムおよび硫化ナトリウムが主成分の、または水酸化ナトリウムが主成分のアルカリ性蒸解液と合流され、流路に設けられているヒータ15によって加熱される。この循環液は下部循環液導管20を介してストレーナ7の近傍において供給される。
蒸解洗浄ゾーンDにおいてチップは下部抽出ストレーナ6よりストレーナ7に向って下降する。この間、ストレーナ7近傍において下部循環液導管20から供給された循環蒸解液は下部抽出ストレーナ6に向って上昇し、蒸解黒液は下部抽出ストレーナ6から抽出され、黒液排出導管11を通って回収工程に送られる。このゾーンにおいて蒸解反応は終了し、蒸解パルプ排出管12を経てパルプが得られる。
蒸解釜2においては、塔頂ゾーンAで初期温度は120℃付近であり、塔頂ゾーンAの底部にかけて140〜170℃の範囲内にある蒸解最高温度まで加熱され、上部蒸解ゾーンB、下部蒸解ゾーンCでは140〜170℃の範囲内にある最高温度に保たれ、蒸解洗浄ゾーンDでは、蒸解洗浄ゾーンDの底部にかけて140〜170℃の範囲内にある蒸解最高温度から140℃付近まで低下する。
以下、実施例に基づき本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されないことはもちろんである。
〈蒸解の指標〉
蒸解はH−ファクター(HF)を指標とした。H−ファクターとは、蒸解過程で反応系に与えられた熱の総量を表す目安であり、本発明では下記式によって表す。
Figure 0004629164
式中、HFはH−ファクターを、Tはある時点の絶対温度を表し、dtは蒸解釜内の温度プロファイルにより経時的に変化する時間の関数である。H−ファクターは積分記号より右側の項をチップとアルカリ性蒸解液が混ざった時点から蒸解終了時点まで時間積分することで算出する。
〈試験、測定方法〉
得られた未漂白パルプのパルプ収率は、粕を除去した精選パルプの収率を測定した。未晒パルプのカッパー価は、TAPPI試験法T236os−76に従って行った。アルカリ性蒸解液中の硫化ナトリウムおよび硫黄換算でのポリサルファイド濃度の定量は、TAPPI試験法T624hm−85に従って行った。パルプ収率は、TAPPI試験法T249hm−85に従って行った炭水化物収率と、TAPPI試験法T204os−76に従って行ったパルプのアルコール・ベンゼン抽出分と、TAPPI試験法T222os−74に従って行ったパルプの酸不溶性リグニン分と、を足し合わせた。
〈実施例1〉
ラジアータパイン40質量%、ダグラスファー30質量%、およびカラマツ30質量%の各絶乾質量%で混合したチップを用い、図1に示す連続蒸解釜を使用して蒸解した。全有効アルカリ添加率は14.5、16.5、18.5質量%(対絶乾チップ;NaO換算)の3種類で行った。下記の組成の第1の蒸解液を、蒸解釜の頂部に添加した。液比はチップ持込水分と合わせ、絶乾チップに対して約3.5L/kgとなった。
第1の蒸解液:水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムを主成分とするアルカリ性溶液36%を下記電解槽により電気化学的に酸化して得られたアノード液全量と、水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムを主成分とするアルカリ性溶液を電気化学的に酸化しないもの64質量%とを混合し、蒸解系に導入されるアルカリ性蒸解液全量に対し100質量%の硫黄分(蒸解活性な硫黄分、以下同じ)および93質量%の有効アルカリを含むアルカリ性蒸解液〔ポリサルファイドサルファ濃度4g/L(硫黄換算、全アルカリ性蒸解液中濃度、以下同じ)、水酸化ナトリウム濃度70g/L(NaO換算)、硫化ナトリウム濃度20g/L(NaO換算)〕。
電解槽は以下のとおり構成した。アノードとしてニッケル多孔体(アノード室体積当りのアノード表面積:5600m/m、網目の平均孔径:0.51mm、隔膜面積に対する表面積:28m/m)、カソードとして鉄のエクスパンジョンメタル、隔膜としてフッ素樹脂系カチオン交換膜とからなる2室型の電解槽を組み立てた。
上部抽出ストレーナからは蒸解釜から直接回収工程に送られる全蒸解黒液の45容量%を抽出した。上部蒸解ゾーンに、第2の蒸解液として、上記電解槽から得られたカソード液を、蒸解系に導入されるアルカリ性蒸解液全量に対して4.5質量%の有効アルカリになるよう添加した。下部抽出ストレーナからは前記の全蒸解黒液の55容量%を抽出した。蒸解洗浄ゾーン底部に、第3の蒸解液として、第2の蒸解液と同じ液を、蒸解系に導入されるアルカリ性蒸解液全量に対して1.5質量%の有効アルカリになるよう添加した。
塔頂ゾーンでは、塔頂ゾーン頂部から底部にかけて120℃から140℃まで30分で加温し、上部蒸解ゾーンでは50分、156℃に保持し、下部蒸解ゾーンでは160分、156℃に保持し、蒸解洗浄ゾーンでは、蒸解洗浄ゾーン頂部から底部にかけて156℃から140℃まで170分で温度を下げて、H−ファクター1400まで蒸解を行った。
キノン化合物として、1,4,4a,9a−テトラヒドロアントラキノンを絶乾チップに対して0.05質量%を、蒸解釜の頂部で添加する第1の蒸解液に混合させた。実施例1の蒸解の結果を表1に示す。
〈実施例2〉
蒸解に使用したチップ、全有効アルカリ添加率、液比、電解に使用した電解槽、上部および下部抽出ストレーナからの蒸解黒液抽出、蒸解釜の温度、時間、H−ファクターおよびキノン化合物の添加は、実施例1と同様にして行った。下記の組成の第1の蒸解液を、蒸解釜の頂部に添加した。
第1の蒸解液:水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムを主成分とするアルカリ性溶液72質量%を上記電解槽により電気化学的に酸化して得られたアノード液全量と、水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムを主成分とするアルカリ性溶液を電気化学的に酸化しないもの28質量%とを混合し、蒸解系に導入されるアルカリ性蒸解液全量に対し100質量%の硫黄分および85質量%の有効アルカリを含むアルカリ性蒸解液〔ポリサルファイドサルファ濃度8g/L(硫黄換算)、水酸化ナトリウム濃度70g/L(NaO換算)、硫化ナトリウム濃度13g/L(NaO換算)〕。
上部蒸解ゾーン底部に、実施例1と同様の第2の蒸解液を、蒸解系に導入される全量に対して11.2質量%の有効アルカリになるよう添加した。蒸解洗浄ゾーン底部に、第3の蒸解液として、第2の蒸解液と同じ液を、蒸解系に導入されるアルカリ性蒸解液全量に対して3.8質量%の有効アルカリになるよう添加した。
実施例2の蒸解の結果を表1に示す。
〈実施例3〉
蒸解に使用したチップ、全有効アルカリ添加率、液比、電解に使用した電解槽、上部および下部抽出ストレーナからの蒸解黒液抽出、蒸解釜の温度、時間、H−ファクターおよびキノン化合物の添加は、実施例1と同様にして行った。下記の組成の第1の蒸解液を、蒸解釜の頂部に添加した。
第1の蒸解液:水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムを主成分とするアルカリ性溶液90質量%を上記電解槽により電気化学的に酸化して得られたアノード液全量と、水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムを主成分とするアルカリ性溶液を電気化学的に酸化しないもの10質量%とを混合し、蒸解系に導入されるアルカリ性蒸解液全量に対し100質量%の硫黄分および80質量%の有効アルカリを含むアルカリ性蒸解液〔ポリサルファイドサルファ濃度10g/L(硫黄換算)、水酸化ナトリウム濃度70g/L(NaO換算)、硫化ナトリウム濃度10g/L(NaO換算)〕。
上部蒸解ゾーン底部では、実施例1と同様の第2の蒸解液を、蒸解系に導入される全量に対して15質量%の有効アルカリになるよう添加した。上部蒸解ゾーン底部に、実施例1と同様の第2の蒸解液を、蒸解系に導入される全量に対して15.0質量%の有効アルカリになるよう添加した。蒸解洗浄ゾーン底部に、第3の蒸解液として、第2の蒸解液と同じ液を、蒸解系に導入されるアルカリ性蒸解液全量に対して5質量%の有効アルカリになるよう添加した。実施例3の蒸解の結果を表1に示す。
〈比較例1〉
蒸解に使用したチップ、全有効アルカリ添加率、液比、電解に使用した電解槽、上部および下部抽出ストレーナからの蒸解黒液抽出、蒸解釜の温度、時間、H−ファクターおよびキノン化合物の添加は、実施例1と同様にして行った。下記の組成の第1の蒸解液を、蒸解釜の頂部に添加した。
第1の蒸解液:水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムを主成分とするアルカリ性溶液36質量%を上記電解槽により電気化学的に酸化して得られたアノード液全量と、水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムを主成分とするアルカリ性溶液を電気化学的に酸化しないもの56質量%とを混合し、蒸解系に導入されるアルカリ性蒸解液全量に対し91質量%の硫黄分および85質量%の有効アルカリを含むアルカリ性蒸解液〔ポリサルファイドサルファ濃度4g/L(硫黄換算)、水酸化ナトリウム濃度70g/L(NaO換算)、硫化ナトリウム濃度18g/L(NaO換算)〕。
上部蒸解ゾーン底部に、第2の蒸解液として、上記電解槽から得られたカソード液全量と、水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムを主成分とするアルカリ性溶液を電気化学的に酸化しないもの8質量%を混合した、硫化度15.9%のアルカリ性蒸解液を、蒸解系に導入されるアルカリ性蒸解液全量に対して11.2質量%の有効アルカリになるよう添加した。蒸解洗浄ゾーン底部に、第3の蒸解液として、第2の蒸解液と同じ液を、蒸解系に導入されるアルカリ性蒸解液全量に対して3.8質量%の有効アルカリになるよう添加した。比較例1の蒸解の結果を表2に示す。
〈比較例2〉
蒸解に使用したチップ、全有効アルカリ添加率、液比、電解に使用した電解槽、上部および下部抽出ストレーナからの蒸解黒液抽出、蒸解釜の温度、時間、H−ファクターおよびキノン化合物の添加は、実施例1と同様にして行った。下記の組成の第1の蒸解液を、蒸解釜の頂部に添加した。
第1の蒸解液:水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムを主成分とするアルカリ性溶液72質量%を上記電解槽により電気化学的に酸化して得られたアノード液全量と、水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムを主成分とするアルカリ性溶液を電気化学的に酸化しないもの18質量%とを混合し、蒸解系に導入されるアルカリ性蒸解液全量に対し87質量%の硫黄分および75質量%の有効アルカリを含むアルカリ性蒸解液〔ポリサルファイドサルファ濃度8g/L(硫黄換算)、水酸化ナトリウム濃度70g/L(NaO換算)、硫化ナトリウム濃度11g/L(NaO換算)〕。
上部蒸解ゾーン底部に、第2の蒸解液として、電解より得たカソード液全量と、電解に供さなかったアルカリ性溶液の残りの10質量%を混合した、硫化度12.4%の蒸解液を、蒸解系に導入されるアルカリ性蒸解液全量に対して18.7質量%の有効アルカリになるよう添加した。蒸解洗浄ゾーン底部に、第3の蒸解液として、第2の蒸解液と同じ液を蒸解系に導入されるアルカリ性蒸解液全量に対して6.3質量%の有効アルカリになるよう添加した。比較例2の蒸解の結果を表2に示す。
〈比較例3〉
蒸解に使用したチップ、全有効アルカリ添加率、液比、電解に使用した電解槽、上部および下部抽出ストレーナからの蒸解黒液抽出、蒸解釜の温度、時間、H−ファクターおよびキノン化合物の添加は、実施例1と同様にして行った。下記の組成の第1の蒸解液を、蒸解釜の頂部に添加した。
第1の蒸解液:水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムを主成分とするアルカリ性溶液90質量%を上記電解槽により電気化学的に酸化して得られたアノード液全量と、水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムを主成分とするアルカリ性溶液を電気化学的に酸化しないもの10質量%とを混合し、蒸解系に導入されるアルカリ性蒸解液全量に対し85質量%の硫黄分および72質量%の有効アルカリを含むアルカリ性蒸解液〔ポリサルファイドサルファ濃度10g/L(硫黄換算)、水酸化ナトリウム濃度70g/L(NaO換算)、硫化ナトリウム濃度11g/L(NaO換算)〕。
上部蒸解ゾーン底部に、第2の蒸解液として、電解より得たカソード液全量と、電解に供さなかったアルカリ性溶液の残りの10質量%を混合した、硫化度10.2%の蒸解液を、蒸解系に導入される全量に対して21質量%の有効アルカリになるよう添加した。蒸解洗浄ゾーン底部に、第3の蒸解液として、蒸解系に導入される全量に対して7質量%の有効アルカリになるよう添加した。比較例3の蒸解の結果を表2に示す。
〈実施例4〉
アカシア30質量%、オーク30質量%、およびユーカリ40質量%の各絶乾質量%で混合した広葉樹チップを用い、図1に示す連続蒸解釜を使用して蒸解した。全有効アルカリ添加率は11.9、12.8、13.6質量%(対絶乾チップ;NaO換算)の3種類で行った。
電解に使用した電解槽、上部および下部抽出ストレーナからの蒸解黒液抽出、およびキノン化合物の添加は実施例1と同様にして行った。蒸解に使用した第1、第2、および第3の蒸解液の製法や組成、添加方法は実施例1と同様にして行った。液比はチップ持込水分と合わせ、絶乾チップに対して約2.5L/kgとなった。
塔頂ゾーンでは、塔頂ゾーン頂部から底部にかけて120℃から140℃まで20分で加温し、上部蒸解ゾーンでは30分、152℃に保持し、下部蒸解ゾーンでは120分、152℃に保持し、蒸解洗浄ゾーンでは、蒸解洗浄ゾーン頂部から底部にかけて156℃から140℃まで140分で温度を下げて蒸解をH−ファクター830まで蒸解を行った。実施例4の蒸解の結果を表3に示す。
〈実施例5〉
電解に使用した電解槽、上部および下部抽出ストレーナからの蒸解黒液抽出、およびキノン化合物の添加は実施例1と同様にして行った。また、蒸解に使用したチップ、全有効アルカリ添加率、液比、蒸解釜の温度、時間、H−ファクターおよびキノン化合物の添加は実施例4と同様にして行った。蒸解に使用した第1、第2、および第3の蒸解液の製法や組成、添加方法は実施例2と同様にして行った。実施例5の蒸解の結果を表3に示す。
〈実施例6〉
電解に使用した電解槽、上部および下部抽出ストレーナからの蒸解黒液抽出、およびキノン化合物の添加は実施例1と同様にして行った。蒸解に使用したチップ、全有効アルカリ添加率、液比、蒸解釜の温度、時間、H−ファクターおよびキノン化合物の添加は実施例4と同様にして行った。蒸解に使用した第1、第2、および第3の蒸解液の製法や組成、添加方法は実施例3と同様にして行った。実施例6の蒸解の結果を表3に示す。
〈比較例4〉
電解に使用した電解槽、上部および下部抽出ストレーナからの蒸解黒液抽出、およびキノン化合物の添加は実施例1と同様にして行った。蒸解に使用したチップ、全有効アルカリ添加率、液比、蒸解釜の温度、時間、H−ファクターおよびキノン化合物の添加は実施例4と同様にして行った。蒸解に使用した第1、第2、および第3の蒸解液の製法や組成、添加方法は比較例1と同様にして行った。比較例4の蒸解の結果を表4に示す。
〈比較例5〉
電解に使用した電解槽、上部および下部抽出ストレーナからの蒸解黒液抽出、およびキノン化合物の添加は実施例1と同様にして行った。蒸解に使用したチップ、全有効アルカリ添加率、液比、蒸解釜の温度、時間、H−ファクターおよびキノン化合物の添加は実施例4と同様にして行った。蒸解に使用した第1、第2、および第3の蒸解液の製法や組成、添加方法は比較例2と同様にして行った。比較例5の蒸解の結果を表4に示す。
〈比較例6〉
電解に使用した電解槽、上部および下部抽出ストレーナからの蒸解黒液抽出、およびキノン化合物の添加は実施例1と同様にして行った。蒸解に使用したチップ、全有効アルカリ添加率、液比、蒸解釜の温度、時間、H−ファクターおよびキノン化合物の添加は実施例4と同様にして行った。蒸解に使用した第1、第2、および第3の蒸解液の製法や組成、添加方法は比較例3と同様にして行った。比較例6の蒸解の結果を表4に示す。
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実施例1〜3、比較例1〜3は針葉樹チップを用いたリグノセルロース材料の蒸解結果であるが、実施例1と比較例1、実施例2と比較例2、実施例3と比較例3、を対比すると、全アルカリ性蒸解液中濃度において硫黄換算でポリサルファイドサルファ濃度を4g/L、8g/L、10g/Lのいずれとした場合でも、ポリサルファイドを含む第1のアルカリ性蒸解液を、硫黄分が蒸解系に導入される全量に対し100質量%となるように添加した実施例1〜3(表1)は、第1のアルカリ性蒸解液の硫黄分が蒸解系に導入される全量に対して99%未満であり、残りの硫黄分が第2・第3の蒸解液に含まれるように添加した比較例1〜3(表2)よりも、同一カッパー価におけるパルプ収率が向上するとともに、同一カッパー価における有効アルカリ添加率が減少した。
すなわち、木材資源を有効に利用するとともに、薬品原単位を削減することが可能となることがわかる。
また、実施例4〜6、比較例4〜6は広葉樹を用いたリグノセルロース材料の蒸解結果であるが、実施例4と比較例4、実施例5と比較例5、実施例6と比較例6、を対比すると、全アルカリ性蒸解液中濃度において硫黄換算でポリサルファイドサルファ濃度を4g/L、8g/L、10g/Lのいずれとした場合でも、ポリサルファイドを含む第1のアルカリ性蒸解液を、硫黄分が蒸解系に導入される全量に対し100質量%となるように添加した実施例4〜6(表3)は、第1のアルカリ性蒸解液の硫黄分が蒸解系に導入される全量に対して99%未満となり、残りの硫黄分が第2・第3の蒸解液に含まれるように添加した比較例4〜6(表4)よりも、同一カッパー価におけるパルプ収率が増加するとともに、同一カッパー価における有効アルカリ添加率が減少した。
すなわち、木材資源を有効に利用するとともに、薬品原単位を削減することが可能となることがわかる。

Claims (8)

  1. 蒸解釜の内部に頂部から底部に向けて、塔頂ゾーン、上部蒸解ゾーン、下部蒸解ゾーン、蒸解洗浄ゾーンを備えるとともに、各ゾーン底部にストレーナが設けられ、かつ、各ストレーナのうち少なくとも1つのストレーナから抽出された蒸解黒液が蒸解系外に排出される蒸解釜を使用する連続蒸解法において、
    下記第1の蒸解液を前記蒸解釜の頂部以前に供給し、
    下記第2の蒸解液を上部蒸解ゾーンに供給し、かつ、
    下記第3の蒸解液を蒸解洗浄ゾーンに供給する
    ことを特徴とするリグノセルロース材料の蒸解法。
    第1の蒸解液:ポリサルファイドと、水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムあるいは炭酸ナトリウムと硫化ナトリウムとが主成分であって、硫黄として3〜20g/Lの濃度のポリサルファイドサルファを含み、かつ、蒸解系へ導入されるアルカリ性蒸解液全量に含まれる全蒸解活性な硫黄分および全アルカリに対し、99質量%以上の硫黄分および80〜95質量%の有効アルカリを含むアルカリ性蒸解液。
    第2の蒸解液:水酸化ナトリウムが主成分のアルカリ性蒸解液。
    第3の蒸解液:第2の蒸解液と同様のアルカリ性蒸解液。
  2. 請求項1に記載のリグノセルロース材料の蒸解法において、さらに絶乾チップ当たり0.01〜1.5質量%のキノン化合物を蒸解釜に供給することを特徴とするリグノセルロース材料の蒸解法。
  3. 前記第1の蒸解液として用いられるアルカリ性蒸解液が、硫黄として4〜15g/Lのポリサルファイドサルファを含むことを特徴とする請求項1または2に記載のリグノセルロース材料の蒸解法。
  4. 前記第1の蒸解液として用いられるアルカリ性蒸解液が、水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムあるいは炭酸ナトリウムと硫化ナトリウムを主成分とするアルカリ性溶液を電気化学的に酸化して得られるアノード液と、水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムあるいは炭酸ナトリウムと硫化ナトリウムを主成分とするアルカリ性溶液を電気化学的に酸化しないアルカリ性蒸解液とを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のリグノセルロース材料の蒸解法。
  5. 前記第1の蒸解液中の水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムあるいは炭酸ナトリウムと硫化ナトリウムを主成分とするアルカリ性溶液を電気化学的に酸化して得られるアノード液が、第1の蒸解液全量に対して30〜100質量%、および、前記水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムあるいは炭酸ナトリウムと硫化ナトリウムを主成分とするアルカリ性溶液を電気化学的に酸化しないアルカリ性蒸解液が、第1の蒸解液全量に対して0〜70質量%であることを特徴とする請求項4に記載のリグノセルロース材料の蒸解法。
  6. 前記水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムあるいは炭酸ナトリウムと硫化ナトリウムを主成分とするアルカリ性溶液を電気化学的酸化で得られるアノード液が、硫黄として5〜20g/Lのポリサルファイドサルファを含むことを特徴とする請求項5に記載のリグノセルロース材料の蒸解法。
  7. 前記第2の蒸解液、第3の蒸解液として用いられるアルカリ性蒸解液が、水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムあるいは炭酸ナトリウムと硫化ナトリウムを主成分とするアルカリ性溶液を電気化学的に酸化して得られるカソード液であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のリグノセルロース材料の蒸解法。
  8. 請求項2〜7のいずれか1項に記載のリグノセルロース材料の蒸解法において、絶乾チップ当たり0.01〜0.15質量%のキノン化合物を、蒸解釜の頂部以前または上部蒸解ゾーン底部に供給することを特徴とするリグノセルロース材料の蒸解法。
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